JP7162291B2 - 粒子分離装置及び粒子分離方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粒子分離装置及び粒子分離方法に関する。より具体的に、本発明は、流体中に含まれる粒子の分離装置及び前記装置を用いた流体中に含まれる粒子を操作する方法に関する。
現在、幅広い分野で産業応用されているものの一つとして粒子が挙げられる。一般に、粒子はその形状、材質、大きさなど種々の物理量により分類される。しかしながら、近年では、例えば、ある材質の粒子の大きさをナノレベルまで小さくした場合に、他の材質では見られない光学的特性の変化が現れるといった現象が判明しており(非特許文献1)、粒子の物理量によって一義に分類できないほど、その種類は多岐にわたっている。粒子を産業利用するためには、目的の粒子の物理的性質を鑑み、それに適した手法で製造するか、または自然界から分離して回収する必要がある。前者の場合、目的とする粒子を均一にかつ高純度で製造することは、産業化という観点で技術やコスト面で容易ではないため、一度製造したものから分離、回収し、製造物中の濃度や純度を上げるケースが大半である。よって、粒子を用いた製品の産業化においては、目的とする粒子の分離技術は極めて重要なものとして位置づけられ、古くから世界中で研究、開発されてきている。例えば、粒子の大きさを利用した分離方法としてフィルター分離法(篩分級も含む)、重力分級法、遠心分離法、サイクロン分離法などが挙げられるほか、密度勾配、電場、磁場を用いた手法なども多く存在する。
生物学の分野においても、より精密に粒子を分離する技術の開発が求められており、マイクロメートルレベルでの分解能が必要となってきている。例えば、胎児の出生前診断に用いられる末梢血中の有核赤血球は、直径、厚みが数マイクロメートルレベルである(非特許文献2)。また、癌転移に関連するといわれる血中循環癌細胞は、10マイクロメートル前後の白血球から分離する必要がある(非特許文献3)。これらの血球細胞を分離するため、フィルターを用いてサイズ分離を行う例もある。しかしながら、細胞は機械的強度が低いため、フィルターで捕捉された細胞が送液圧力により破裂することがあるという欠点がある。
そこで微細加工技術を用いて作製された、幅や高さがサブミクロン~数百ミクロンの微小な流路構造(マイクロ流路)を用いて精密に細胞を分離する技術の開発がこれまでに進められてきており、水力学的作用(非特許文献4)、決定論的分離作用(非特許文献5)、慣性力(非特許文献6)を用いた例などが報告されている。
一方で近年、マイクロメートルサイズの細胞よりもさらに小さい数十~数百ナノメートル(サブビジブル)サイズの粒子を分離する研究が進められている。こうした研究では、細胞から分泌される細胞外小胞(エクソソーム)や、抗体医薬品の製造時に生じる不溶性の抗体凝集体といった粒子が、分離対象としてあげられる。エクソソームは、細胞内の新たなシグナル伝達手段として近年研究が進められている。例えば、癌の転移において、エクソソームが他の臓器をより転移しやすい環境へと変化させるモデルが提唱されていることから(非特許文献7)、癌の早期診断への応用が近年期待されている。また、母乳中に存在するエクソソームは乳児の免疫獲得を助ける作用があると報告されており、エクソソームの機能解明とその臨床的応用に多くの研究者が期待している。抗体凝集体は、抗体の産生及び精製過程を経て得られた抗体を含む溶液中に含まれることがある。医薬品用途で用いる抗体は通常、前記抗体を発現可能な細胞を培養後、得られた培養液を遠心分離、濾過、カラムクロマトグラフィーなどの精製操作を行なうことで製造されるが、こうして得られた抗体溶液中にも抗体凝集体が含まれうる。抗体凝集体は免疫原性を有する可能性があるため、特に医薬品用途で用いる場合、抗体凝集体を精度よく検出し、抗体を含む溶液中に凝集体が極力含まれないように製造する必要がある。一般に、抗体凝集体の評価はサイズ排除クロマトグラフィーや光遮蔽粒子計数法で評価されているが、サブビジブル凝集体と言われる粒径が0.1から2μm程度の凝集体は、これらの手法では検出できない。
以上のように、近年数十ナノメートルから数マイクロメートルサイズの粒子の検出、分離技術が必要とされている。検出技術に関しては、動的光散乱法、レーザー回折・散乱法、共振式質量測定法、Nano Tracking Analysisなどの手法が存在するものの、それぞれ測定粒径範囲が狭い、データ再現性がよくない、異なる径の粒子サンプルでは正確さが失われるなどの短所があり、ゴールデンスタンダードとなる手法はないのが現状である。分離技術に関しては、Field Flow Fractionation(以下FFFと記載)などの技術が存在するものの、精密な流量調整が必要なため、データ再現性を取るのが難しく、またサンプルをインジェクションして分離を行う機構であるため、連続的な分離は難しく、極めて微量なサンプルを分離することしかできない。
連続的な分離を可能にする技術として、前述のマイクロ流路を用いたピンチドフローフラクショネーション(Pinched Flow Fractionation)(以下PFFと記載)という手法が報告されている。この手法の利点としては、光学系・情報処理系などの複雑な機器・装置を必要とせず、連続的な微粒子分離を容易に可能とする点があげられる。また、粒子径という一つの要因を利用した分離ではあるものの複数のフラクションへの分離が可能であり、つまり、例えば大きさで分離する場合、大きいものと小さいものという2段階だけではなく、大きさによる3グループ以上の集団へと分離することができる点、さらに、流路の並列化などを行うことで、大量・高速な微粒子や細胞の分離が可能である点なども利点としてあげられる。
PFFは、径が部分的に細くなっている流路(以下、狭窄流路とする)に複数の分岐から流体を導入し、流れに対して垂直な方向における粒子の位置を制御し、その後、相対的に径が太い流路(以下、拡大流路とする)に粒子が流れる際に、狭窄流路内における粒子の位置に応じて流れが粒子に与える力の方向が異なることに着目した分離方法であり、連続的にかつ精密に分離が可能な技術である。PFFでは、特許文献1に記載のように、2つのインレットを持つ構造を用いることができ、例えば一方のインレットから目的の粒子を含む液、他方のインレットから目的の粒子を含まない液を流すことで実施することができる。しかしながらPFFのようなマイクロ流路を用いて、サブビジブル粒子程度の大きさの物質を分離した例はこれまでになく、またマイクロサイズの流路を用いて、0.1~2マイクロメートルサイズの粒子を、その大きさという要素だけを用いて分離した例についても報告がない。
特開2005-205387号公報
Prashant K.Jain.et al、Plasmonics、Volume 2、Issue 3、pp107-118(2007) R.Huang.et al、Prenatal Diagnosis、28(10)、pp892-899(2008) Bee Luan Khoo.et al、Plos One、Volume 9、Issue 7、e99409(2014) Masumi Yamada.et al、Lab on a Chip、5、1233-1239(2005) Keith J. Morton.et al、Proceedings of National Academic Society、Vol.105、No21、pp.7434-7438(2008) Mehdi Rafeie.et al、Lab on a Chip、16、2791-2802(2016) Yu Fujita.et al、Trends in Molecular Medicine、Volume 21、Issue 9、pp533-542(2015) Junya Takagi.et al、Lab on a chip,5,778-784(2005) Gibson,A.H.et al,Engineering,93,205(1912)
本発明の課題は、流路の構造を工夫することによってナノ~マイクロメートルサイズの粒子を連続的に分離できる粒子分離装置、及び粒子分離方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を鑑み、PFFの原理を利用した流路構造を種々検討した結果、拡大流路の内壁17aが狭窄流路の内壁16aに対して、粒子が滑流する壁面側に向けて流路幅が拡大しないように接続された構造とすることで、ナノ~マイクロメートルサイズの粒子が分離可能になることを見出した。すなわち、拡大流路の内壁17aが狭窄流路の内壁16aに対して、粒子含有サンプル液を導入するポート14a側に拡大しないように構成される。
さらに、粒子が滑流する壁面側の狭窄流路の内壁16aと、同じ側(粒子が滑流する壁面側)の拡大流路の内壁17aとが平面的に接続することで、より精度よく粒子が分離可能になる。さらに、粒子が滑流しない壁面側に向けて流路幅を漸増させることで、つまり狭窄流路16の壁面と拡大流路17の壁面との間に出来るだけ角を設けないようにすることで、さらに粒子の分離精度が良くなることを見出した。
一般に、マイクロ流路内は慣性力よりも粘性力が支配的な空間であり、レイノルズ数が2300以上となるような乱流条件で流体を流すことは簡単ではないため、マイクロ流路内での流体は層流で流れることが前提となる。これはレイノルズ数が2300以上となるように流体を流す場合、数m/sec以上の高流速で流体をマイクロ流路内へ流す必要があるため、圧力損失が数MPaをはるかに超える値となり、送液ポンプへの圧力負荷や流路の破断などが問題となり送液が困難になるためである。したがって、理論に限定されることを意図するものではないが、PFFを用いる流路内でも、流体は基本的に層流で流れるため、本発明の効果はマイクロ流路内での乱流の発生によるものではないことが考察される。
一方でPFFでは、粒子が狭窄流路から拡大流路へ侵入した際、流路の幅が大きく変わるために、狭窄流路側の拡大流路の入り口では流速分布が著しく変化する。従って本発明では、この著しい流速分布変化により、流路内で、特に流路幅が変化する拡大領域入り口付近の壁面近傍で渦流が発生している可能性を見いだした。そこで、理論に限定されることを意図するものではないが、この渦流を可能な限り低減することで、壁面近傍へ整列された粒子が渦流の影響で拡散が抑制され、より微小な粒子の分離が可能になったものと考えられる。
一般に、急拡大流路での渦流の発生は、流れ場が剥離することに起因する。流れが剥離する限界角度は、実験により検証されているが(非特許文献9)、断面が矩形の流路の広がり角度が11°以上(24b=169°以下)となると、流れの剥離によるエネルギー損失が支配的となることが知られている。しかしながら発明者らが鋭意検討した結果、矩形流路の広がり角度が11°以上であっても流量により渦流が発生しない条件を見出した。
したがって、前記観点において、本発明は以下のものに関する:
一方の末端に流体導入口を備え、もう一方の末端において他の分岐流路と合流する2以上の分岐流路、当該2以上の分岐流路が合流して形成される狭窄流路、及び狭窄流路のもう一方の末端に接続され、流路幅が拡大され、少なくとも1の回収口が備えられた拡大流路を含む、粒子分離装置であって、1の分岐流路の流体導入口から分離対象の粒子を含有する流体を導入し、もう一方の分岐流路の流体導入口から分離対象の粒子を含まない流体を導入した場合に、狭窄流路の壁面に沿って粒子が滑流し、前記拡大流路の壁面のうち、粒子が滑流する壁面側に向けて流路幅は拡大せず、粒子が滑流しない壁面側に向けて流路幅が拡大することを特徴とする、前記粒子分離装置。
さらに別の態様では、本発明はかかる粒子分離装置を用いた粒子分離方法であって、
少なくとも1の分岐流路の流体導入口から分離対象の粒子を含有する流体を導入し、その他の分岐流路の流体導入口から分離対象の粒子を含有しない流体を導入し、それにより合流して形成される流路の壁面に沿って、粒子を滑流させる工程を含む、粒子分離方法にも関する。粒子分離方法は、さらに拡大流路の回収口から、粒子を回収する工程を含んでもよい。
本発明により、より精度よく目的の粒子を分離、回収する事ができ、加えてこれまで困難であったナノ~マイクロレベルの微小な粒子をその大きさ毎に連続的に分離及び/又は回収することが可能となる。また、バッチ処理の分離技術と比較して、大量の粒子の処理が可能になる。
図1は、PFFの原理を模式的に示した図である。2つの分岐から導入された流体の挙動と粒子の分離の様子が示される。 図2(a)~(c)は、PFFの原理を利用した連続粒子分級方法を実施するための、従来技術のマイクロチップ10を示す。図2(a)はマイクロチップ10の上面図であり、図2(b)におけるA矢視図である。図2(b)は図2(a)におけるB-B線による断面図であり、図2(c)は図2(a)における領域21の拡大図である。 図3(a)~(c)は、本発明による連続粒子分級方法を実施するための実施形態を備えたマイクロチップ10を示す。図3(a)はマイクロチップ10の上面図であり、図3(b)におけるA矢視図である。図3(b)は図3(a)におけるB-B線による断面図であり、図3(c)は図3(a)における領域21の拡大図である。 図3(d)~(g)は、図3(a)~(c)に示した本発明にかかるマイクロチップ10を用いて0.2μm蛍光ポリスチレンビーズ及び0.5μm蛍光ポリスチレンビーズを分離したことを示す図である。図3(d)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像であり、図3(e)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像である。図3(f)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフであり、図3(g)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフである。 図4(a)~(c)は、従来技術のマイクロチップ10を示しており、本発明に係る図3のマイクロチップ10の比較として示す。図4(a)はマイクロチップ10の上面図であり、図4(b)におけるA矢視図である。図4(b)は図4(a)におけるB-B線による断面図であり、図4(c)は図4(a)における領域21の拡大図である。 図4(d)~(g)は、図4(a)~(c)に示した従来技術のマイクロチップ10を用いて0.2μm蛍光ポリスチレンビーズ及び0.5μm蛍光ポリスチレンビーズを分離したことを示す図である。図4(d)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像であり、図4(e)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像である。図4(f)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフであり、図4(g)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフである。 図5(a)~(c)は、本発明による連続粒子分級方法を実施するための実施形態を備えた図4のマイクロチップ10において、拡大流路の拡大する壁面が逆になるように設計された比較のためのマイクロチップ10を示す。図5(a)はマイクロチップ10の上面図であり、図5(b)におけるA矢視図である。図5(b)は図5(a)におけるB-B線による断面図であり、図5(c)は図5(a)における領域21の拡大図である。 図5(d)~(g)は、図5(a)~(c)に示した本発明にかかるマイクロチップ10を用いて0.2μm蛍光ポリスチレンビーズ及び0.5μm蛍光ポリスチレンビーズを分離したことを示す図である。図5(d)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像であり、図5(e)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像である。図5(f)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフであり、図5(g)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフである。 図6(a)~(c)は、本発明による連続粒子分級方法を実施するための実施形態を備えたマイクロチップ10を示す。図6(a)はマイクロチップ10の上面図であり、図6(b)におけるA矢視図である。図6(b)は図6(a)におけるB-B線による断面図であり、図6(c)は図6(a)における領域21の拡大図である。図6(c)に示すように拡大流路の流路幅が徐々に拡大するように構成されている。 図6(d)~(g)は、図6(a)~(c)に示した本発明にかかるマイクロチップ10を用いて0.2μm蛍光ポリスチレンビーズ及び0.5μm蛍光ポリスチレンビーズを分離したことを示す図である。図6(d)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像であり、図6(e)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像である。図6(f)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフであり、図6(g)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフである。 図7(a)~(c)は、本発明による連続粒子分級方法を実施するための実施形態を備えた図6のマイクロチップ10において、拡大流路の拡大する壁面が逆になるように設計された比較のためのマイクロチップ10を示す。図7(a)はマイクロチップ10の上面図であり、図7(b)におけるA矢視図である。図7(b)は図7(a)におけるB-B線による断面図であり、図7(c)は図7(a)における領域21の拡大図である。 図7(d)~(g)は、図7(a)~(c)に示した本発明にかかるマイクロチップ10を用いて0.2μm蛍光ポリスチレンビーズ及び0.5μm蛍光ポリスチレンビーズを分離したことを示す図である。図7(d)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像であり、図7(e)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像である。図7(f)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフであり、図7(g)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフである。 図8(a)~(d)は、本発明による連続粒子分級方法を実施するための実施形態を備えたマイクロチップ10を示す。図8(a)はマイクロチップ10の上面図であり、図8(b)におけるA矢視図である。図8(b)は図8(a)におけるB-B線による断面図であり、図8(c)は図8(a)における領域21の拡大図である。図8(d)は、狭窄流路16と拡大流路17との接続点(拡大開始点)をさらに拡大して示した図である。図8(d)に示すようにスロープ部分40に、流路壁面41a、41b(共に長さ50μm)により構成される部分的な凹部を有する。 図8(e)~(h)は、図8(a)~(d)に示した本発明にかかるマイクロチップ10を用いて0.2μm蛍光ポリスチレンビーズ及び0.5μm蛍光ポリスチレンビーズを分離したことを示す図である。図8(e)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像であり、図8(f)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像である。図8(g)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフであり、図8(h)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフである。 図9は、図6のマイクロチップ10において、狭窄流路16の幅と、流路13の深さのみを変更したマイクロチップ10を用いて、0.1μm蛍光ポリスチレンビーズ及び0.2μm蛍光ポリスチレンビーズを分離したことを示す図である。図9(a)は分離された0.1μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像であり、図9(b)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像である。 図10は、本発明による連続粒子分級方法を実施するための実施形態を備えた図3のマイクロチップ10において、複数のアウトレット15a、15b、及び15cを備えるように改良されたマイクロチップ10を示す。図10(a)はマイクロチップ10の上面図であり、図10(b)におけるA矢視図である。図10(b)は図10(a)におけるB-B線による断面図であり、図10(c)は図10(a)における領域21の拡大図である。 図11(a)~(c)は、本発明による連続粒子分級方法を実施するための実施形態を備えた図3のマイクロチップ10の拡大流路に対して、分離能に影響を与えないと考えられる変更を加えたマイクロチップ10を示す。 図12(a)~(c)は、本発明による連続粒子分級方法を実施するための実施形態を備えた図3のマイクロチップ10において、拡大流路壁面17aが17b側へ伸びるように設計された比較のためのマイクロチップ10を示す。図12(a)はマイクロチップ10の上面図であり、図12(b)におけるA矢視図である。図12(b)は図12(a)におけるB-B線による断面図であり、図12(c)は図12(a)における領域21の拡大図である。 図12(d)~(g)は、図12(a)~(c)に示した本発明にかかるマイクロチップ10を用いて0.2μm蛍光ポリスチレンビーズ及び0.5μm蛍光ポリスチレンビーズを分離したことを示す図である。図12(d)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像であり、図12(e)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像である。図12(f)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフであり、図12(g)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフである。 図13(a)~(c)は、本発明による連続粒子分級方法を実施するための実施形態を備えた図3のマイクロチップ10において、拡大流路の壁面17a、17bが徐々に拡大するように設計された比較のためのマイクロチップ10を示す。図13(a)はマイクロチップ10の上面図であり、図13(b)におけるA矢視図である。図13(b)は図13(a)におけるB-B線による断面図であり、図13(c)は図13(a)における領域21の拡大図である。 図13(d)~(g)は、図13(a)~(c)に示した本発明にかかるマイクロチップ10を用いて0.2μm蛍光ポリスチレンビーズ及び0.5μm蛍光ポリスチレンビーズを分離したことを示す図である。図13(d)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像であり、図13(e)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像である。図13(f)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフであり、図13(g)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフである。 図14(a)~(d)は、角度24bを65°とした図6(a)~(c)に示した本発明にかかるマイクロチップ10を用いて0.2μm蛍光ポリスチレンビーズ及び0.5μm蛍光ポリスチレンビーズを分離したことを示す図である。図14(a)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像であり、図14(b)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像である。図14(c)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフであり、図14(d)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフである。 図15(a)~(d)は、角度24bを90°とした図6(a)~(c)に示した本発明にかかるマイクロチップ10を用いて0.2μm蛍光ポリスチレンビーズ及び0.5μm蛍光ポリスチレンビーズを分離したことを示す図である。図15(a)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像であり、図15(b)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像である。図15(c)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフであり、図15(d)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフである。 図16(a)~(d)は、角度24bを112°とした図6(a)~(c)に示した本発明にかかるマイクロチップ10を用いて0.2μm蛍光ポリスチレンビーズ及び0.5μm蛍光ポリスチレンビーズを分離したことを示す図である。図16(a)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像であり、図16(b)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像である。図16(c)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフであり、図16(d)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフである。 図17(a)~(d)は、角度24bを124°とした図6(a)~(c)に示した本発明にかかるマイクロチップ10を用いて0.2μm蛍光ポリスチレンビーズ及び0.5μm蛍光ポリスチレンビーズを分離したことを示す図である。図17(a)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像であり、図17(b)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像である。図17(c)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフであり、図17(d)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフである。 図18(a)~(d)は、角度24bを135°とした図6(a)~(c)に示した本発明にかかるマイクロチップ10を用いて0.2μm蛍光ポリスチレンビーズ及び0.5μm蛍光ポリスチレンビーズを分離したことを示す図である。図18(a)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像であり、図18(b)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像である。図18(c)は分離された0.2μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフであり、図18(d)は分離された0.5μm蛍光ポリスチレンビーズの積算蛍光画像の検出ライン20における蛍光プロファイルをプロットしたグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例の例示にのみ限定されるものでは無い。
まず、図1をもとに、ピンチドフローフラクショネーション(Pinched Flow Fractionation:PFF)の原理についての詳細を説明する。図1は図2や図4のマイクロチップにおける分岐流路18a、18bが合流して形成される狭窄流路16、及び狭窄流路16のもう一方の末端に接続され、流路幅が拡大された拡大流路17を示している。具体的には、図2(a)における領域21の拡大図である。また、流体100Pと、斜線で示した流体100Nは、それぞれ粒子を含む流体と、粒子を含まない流体であり、粒子300a、300bは、それぞれ相対的に大きな粒子と相対的に小さな粒子を示している。図1において、矢印200は、狭窄流路16と拡大流路17の境界における流線のプロファイルを示しており、矢印210a、210bは、それぞれ大きな粒子300aと小さな粒子300bの運動ベクトルを示している。
粒子を含む流体100Pおよび粒子を含まない流体100Nを、シリンジポンプなどを用いて2つのインレット(流体導入口)14a、14bからそれぞれ連続的に供給する。この時、狭窄流路16内では、それぞれの流体が安定な層流を保ちながら流れる。そして、粒子を含む流体100Pおよび粒子を含まない流体100Nの流量を調節することで、狭窄流路16における流体100Pの幅(粒子が滑流する壁面16aから、流体100Pと流体100Nの界面までの距離)が、分離対象とする最小の粒子の粒径よりも小さくなるようにする。この操作により、分離対象とする全ての粒子は、狭窄流路の内壁16aに沿って滑流するようになり、粒子が滑流する内壁16aの壁面に対して垂直方向における粒子の位置を、粒子の大きさによって一定にすることができる。
そして狭窄流路16と拡大流路17の境界(拡大開始点19)において、流線はプロファイル200に示されているように広がるため、狭窄流路16における任意の流線間の距離は、拡大流路17においてより拡大される。したがって、狭窄流路16における流れと垂直な方向における粒子の位置は、粒子の大きさによってそれぞれ異なるため、狭窄流路16と拡大流路17の境界において、大きい粒子300aの運動ベクトル210aと小さい粒子300bの運動ベクトル210bの方向に差が生じ、拡大流路17において、粒子の大きさごとの位置差が拡大され、分級が可能となる。
なお、分離した粒子を拡大流路17における検出ライン20に沿って、適当な検出系を用いて観察することで、粒子の粒径と粒子群の粒径分布を調べることが可能となる。また、拡大流路17にはアウトレット15は複数設けてもよい。また流路終端を分岐してアウトレットを複数設けることで、分離された目的の粒子を回収することができる。さらに、「非対称ピンチドフローフラクショネーション(Asymmetric Pinched Flow Fractionation(AsPFF))」(非特許文献8)の原理に基づいて、一部のアウトレットに多量の流体を流すことで分離能を向上させることもできる。より具体的には、流路の抵抗値を適切に設計し、また、狭窄流路16の流路幅および粒子径の関係から、ある特定のサイズの粒子を、特定のアウトレットにのみ導入できる、という原理である。
複数のアウトレットを有する連続粒子分離装置及びその方法の場合、流路ネットワーク全体を抵抗回路のアナロジーとしてみなし、適切な設計を行うことで、任意の流量分配比を達成することができるため、そのような考えに基づいた設計を行うことが望ましい。例えば、前述のAsPFFの原理に基づいて、図3、4に示すように、大半の流体が流れるように拡大流路17の一部にドレイン流路22を設計し、ドレイン用のアウトレット23を設けてもよい。その場合も、目的物をアウトレット15、または図10(a)のアウトレット15a、15b、15cのように複数設けたアウトレットの任意のアウトレットから回収するようにしてもよい。特に、複数の大きさをもつ物質を含むサンプルから特定の大きさの粒子を分離し回収しようとする場合、アウトレット15の数は目的に応じて任意の数に設定されるが、回収するという点で少なくとも2以上に設定されることが好ましい。一方で、分離した後に回収せず、例えば分離された粒子を検出するのみでよい場合は、検出ライン20で蛍光や明視野像の検出系等を用いて検出すればよく、この場合、アウトレットの数は1つであってもよい。
図3には、本発明による連続分級方法の実施形態を備えたマイクロチップ10が示されており、図3(a)は図3(b)におけるA矢視図であり、図3(b)は図3(a)におけるB-B線による断面図である。図3におけるマイクロチップ10の流路13は、どの地点においても断面形状が矩形であり、流路深さは均一である。このように断面形状は、粒子を断面においてその大きさによって分離するために、また、流路構造の作製上の容易さから、矩形であることが望ましいが、円形や楕円形、多角形などの断面であってもよく、また部分的に矩形以外の形状であってもよい。狭窄流路の壁面に沿って粒子を滑流させる観点から粒子が滑流する壁面は平面であることが好ましい。同様に流路構造の深さはその作製上の容易さから一定であることが好ましいが、部分的に深さが異なっていてもよい。
このマイクロチップ10は、粒子をその大きさにより分離し、適当な検出系を用いることにより、粒径と粒径分布を測定するためのマイクロチップであり、例えば、PDMSなどの高分子(ポリマー)材料により形成された、2枚の平板状の基板11と基板12により形成された平板状の構造を有していてよい。
マイクロチップ10を作製する場合に用いる技術としては、例えば、モールディングやエンボッシングといった鋳型を用いる作製技術は、流路構造を正確かつ容易に作製可能であるという点において好ましいが、その他にも、フォトリソグラフィー、ソフトリソグラフィー、ウェットエッチング、ドライエッチング、ナノインプリンティング、レーザー加工、電子線直接描画、機械加工等の作製技術を用いることも可能である。
また、マイクロチップ10を作製する場合の材質としては、PDMS、アクリル等の各種ポリマー材料、ガラス、シリコーン、セラミクス、ステンレスなどの各種金属、などを用いることができ、また、これらの材料のうち、任意の2種類の基板を組み合わせて用いることも可能である。ただし、流路自体を安価に作製し、ディスポーザブルな装置を提供するためには、少なくとも部分的にポリマー材料を用いることが好ましい。
そして、基板11の下面11aには、基板12と重ね合わせた場合に、分岐流路18、狭窄流路16、及び拡大流路17を含む流路13が形成されるように加工されており、各流路の幅、深さは、それぞれ10nmから1cmまでの任意の値に設定することが可能である。作製の容易さから、各流路の幅、深さは、それぞれ、サブミクロンから数百μmの値に設定することが好ましい。特にナノ~マイクロレベル程度の大きさをもつものを分離する場合、各流路の幅、深さはサブミクロンから数十μmの値に設定することが好ましい。
流路13は、インレット14a、14bおよびアウトレット15、15a、15b、15c、23を有し、インレット14a、14bは、それぞれ測定対象の粒子を含む流体と測定対象の粒子を含まない流体の流体導入口であり、アウトレット15、15a、15b、15c、23は流体の出口である。インレット及びアウトレットは、それぞれ、基板11又は12を貫通することで、基板上面又は下面からの流体の導入又は排出を可能にする。なお、測定対象の粒子を含む流体は、インレット14a、14b何れかから導入されることが好ましいが、インレット14aから導入されることが好ましい。また、測定対象の粒子を含まない流体は、インレット14a、14b何れかから導入されることが好ましいが、インレット14bから導入されることが好ましい。
また、流路13は、インレット側に少なくとも2つの分岐流路18a、18b、中央部に分岐流路18a、18bが合流して形成される狭窄流路16、アウトレット側に流路幅が拡大された拡大流路17から構成されている。分岐流路の数は、狭窄流路において層流を達成できる限りにおいて、任意の数であってよい。また、分岐流路は、少なくとも2の分岐流路が合流すれば、任意の形状であってよいが、合流して形成される狭窄流路において層流を達成する観点から、図3(a)に示されるように、分岐流路間の角度を鋭角に形成することが好ましく、合流して形成される狭窄流路を、その優角側に形成することが好ましい。狭窄流路16と拡大流路17の接続部を拡大開始点19ということができ、図1~8、10、及び11で表されるように拡大開始点において流路幅が変わる。拡大流路17は、狭窄流路16よりも流路幅が大きくなれば任意の形状であってよい。ここで、分岐流路18a、18bは、それぞれインレット14a、14bへ接続されており、また拡大流路17はアウトレット15、15a、15b、15c、23へ接続されている。
流路13の全体の長さ、つまり、インレット14a、14bのある一方の端から、アウトレット15、23のあるもう一方の端までの長さは1μm以上の任意の値に設定することが可能であるが、流路作製の容易さと圧力損失の観点から数μm~数十mm程度に設定することが好ましい。
また狭窄流路16、拡大流路17の長さは、10nm以上の任意の値に設定することが可能であるが、流路作製の容易さと圧力損失の観点からサブミクロン~数十mm程度に設定することが好ましい。また、粒子の整列を達成する観点から、長さの下限が100nm以上であることが好ましく、1μm以上がさらに好ましく、長さの上限が10mm以下であることが好ましく、500μm以下がさらに好ましい。
狭窄流路16の流路幅は、内壁16aの壁面に対して垂直方向の流路の長さをいう。狭窄流路16の流路幅は、拡大流路17の幅未満であるという条件を満たす限り、10nm以上の任意の値に設定することが可能である。また、粒子の整列を達成する観点から、流路幅の下限が100nm以上であることが好ましく、500nm以上がさらに好ましい。また流路幅の上限は100μm以下であることが好ましく、10μm以下がさらに好ましい。
また、流路内部における流量条件を達成するための導入量の調節方法として、導入口からシリンジポンプ等を用いて溶液を導入することが操作上簡便であり好ましいが、ペリスタポンプ等の他のポンプを用いる手法、ボンベ、圧力装置等を用いた定圧送液方法、液面差を用いる方法、電気浸透流や遠心力等を用いた送液方法などを用いることも可能である。また、アウトレットから陰圧を付す圧力装置を用いることもできる。
なお、粒子の安定的かつ効率的な分離を達成するためには、流路内で安定な層流が保たれることが望ましく、具体的には、レイノルズ数が2300以下になる条件下で送液操作を行うことが好ましく、1000以下になる条件がさらに好ましい。
また分岐流路18a、18bの幅は、それぞれが同じ幅である必要はなく、またそれぞれ10nm以上の任意の値に設定することが可能である。なお、分岐流路は2つ以上あってもよい。
分離を行う粒子としては、直径100nm~5μmの蛍光ポリスチレンビーズを用いたが、目的に応じて、ポリスチレン等のポリマー粒子、金属微粒子、セラミックス粒子、またはそれらの表面に物理的あるいは化学的な処理を施した粒子を用いることができる。また、本発明の粒子分離装置では、粒子にかかる外圧や変形を及ぼす力が少ないため、従来の分離方法であるフィルターなどでは、破裂や破壊が生じてしまう微粒子や細胞、その構成要素であるオルガネラなどの生物粒子、ウイルス、細菌、エクソソーム等の細胞外小胞、タンパク質、タンパク質凝集体を処理できる、という優れた効果を発揮する。分級対象とする粒子の最大直径は流路13における狭窄流路16の幅以下であれば、任意の大きさの粒子を分離することができる。例えば、狭窄流路16の幅が100nm~10μmである流路を用いる場合、分離される粒子の直径は、1nm~9.9μmであり、5nm~9μmがさらに好ましく、10nm~5μmが最も好ましい。
粒子を懸濁させた流体としては、0.05%(v/v)ツイーン20水溶液を用いたが、任意の液体または気体を用いることができ、目的に応じて様々な溶液を用いることができる。例えば、粒子としてポリマー粒子や金属粒子を用いる場合には、各種化学物質を含む水溶液の他、有機溶液、イオン性流体等を用いることができる。さらに、粒子として細胞等の生物粒子を用いる場合には、細胞培養液や生理緩衝液などの細胞と等張の水溶液を用いるのが好ましい。ただし、例えばバクテリアや植物細胞のような比較的低張あるいは高張溶液に対し耐性をもつ細胞の場合には、必ずしも等張である必要はない。また、操作の都合上、溶液の密度と粒子の密度の差が大きくない系がより好ましい。サンプル液、シース液の粘度に関しては、これらの粘度における差が小さい系がより好ましいが、粒子の処理を可能とするシステムであれば、粘度に差があってもよい。なお、粒子を含む流体と粒子を含まない流体は、どちらも同じ流体から構成されていてもよく、また、それぞれ2種類以上の異なる流体から構成されていてもよい。
流路13内に導入された粒子は、流れに乗って下流方向に移動するが、この時、2つのインレット14a、14bから導入された流体の流量を適切に調節することで、流路13における狭窄流路16において、内壁16aの壁面に対して垂直方向における粒子の位置を粒子の大きさによって制御することができる。このように壁面に対して整列された粒子は、壁面に沿って滑流する。粒子が壁面に沿って滑流するとは、粒子が壁面付近を流れることをいい、必ずしも壁面に接触していることを意図するものではない。また、粒子は壁面付近で回転や跳躍する場合も含まれるものとする。サンプル液とシース液の流量は、粒子を狭窄流路のサンプル液側の壁面16aへ整列させる観点で、シース液流量の方が大きい方が好ましく、2倍以上大きい方がさらに好ましく、10倍以上大きい場合が最も好ましい。
狭窄流路16と拡大流路17が接続する構造は、図3に示すように拡大開始点で、流路幅が段状に拡大してもよいし、図6に示すように流路幅が徐々に拡大するように構成してもよい。流路幅が徐々に拡大する場合、拡大流路の壁面17bが直線を描くように拡大して、スロープ40を形成してもよいし、曲線を描くように拡大してもよい。拡大流路17の流路幅が、段状に拡大するか又は直線的に拡大する場合、狭窄流路の壁面16a、16bと、当該壁面に続く拡大流路17の壁面17a、17bとの間の角度24a、24bにより、拡大流路を規定することができる。例えば、段状に拡大する場合の角度24a、24bは90°である。拡大流路17の壁面が、徐々に直線的に拡大する場合、角度24a、24bは、90°~180°で表される。拡大流路の壁面は、狭窄流路の流路幅に比較して拡大していればよい。壁面17bが段状に拡大している場合や、その角度24bが90°に近い場合に、角度24aは180°を超えてもよく、例えば210°、225°であってもよい(図12)。一の態様では、拡大領域の壁面の角度24a、24bは、独立に90°~180°の間の任意の角度をとることができ、一例として、120°、135°、150°、180°をとることができる。別の態様において、狭窄流路壁面16bに対する拡大流路壁面17bの角度24bは90°またはそれ未満の場合であっても、それが部分的な構造で、実質的には徐々に拡大していくような構造であれば、大半の流体は徐々にアウトレット23の方向へ流れることから、渦流の影響はほとんど受けないため、このような構造を用いてもよい(図11aを参照)。また別の実施形態において、例えば図6(a)~(c)で示される粒子分離装置を用いる場合に、粒子の分離が良好に行われる限り、狭窄流路壁面16bに対する拡大流路壁面17bの角度24bは90°またはそれ未満であってもよい。一例として、65°以上90°未満であり得る。拡大流路の壁面17bが曲線を描くように拡大する場合、渦流を防止する観点から、拡大開始点におけるその接平面が、狭窄流路の壁面と一致することが好ましい。
本発明の特徴は、上述のマイクロチップ10などの粒子分離装置において、拡大流路17の壁面のうち、狭窄流路16における粒子が滑流する壁面16a側に向けて流路幅は拡大せず、狭窄流路16における粒子が滑流しない壁面16b側に向けて流路幅が拡大することを特徴としている。粒子が滑流する壁面側に向けて流路幅が拡大しない観点から、角度24a、24bのうち、粒子が滑流する壁面側の角度24aは180°又はそれ以上(最大で270°未満)であり、好ましくは180°である一方で、もう一方の壁面の角度24bは65°~180°の任意の角度、例えば65°、90°、112°、120°、124°、135°、150°、180°である。このように構成することにより、狭窄流路の出口と拡大流路の入り口部分での渦流の発生を抑制することができる。
拡大流路の壁面17aや17bは、図8(d)、図11(a)-(c)点線部に示すように、壁面17aや17bに対して垂直方向に凹部や凸部があったとしても、これが流体中の粒子の流れへ大きく影響しないのであれば、凹部や凸部が存在しても分離に影響はない。またマイクロチップ10の製造上の欠陥の様な不規則な形状を持つものであっても、同様に流体中の粒子の流れへ大きく影響しないのであれば、そのような構造をとっても問題はなく、そのような構成を排除するものではない。
狭窄流路16において粒子が滑流する壁面16aを、サンプル液側狭窄流路壁面16aと言うこともでき、狭窄流路16における粒子が滑流しない壁面16bを、シース液側狭窄流路壁面16bと言うこともできる。また、サンプル液側狭窄流路壁面16a側の拡大流路壁面を、サンプル液側拡大流路壁面17a、またシース液側狭窄流路壁面16b側の拡大流路壁面をシース液側拡大流路壁面17bということができる。
また、狭窄流路壁面と拡大流路壁面は、それぞれ直線同士で結合しているものを図1に示したが、何れか一方または両方が曲線であってもよい。ただし、前記狭窄流路と拡大流路の壁面の接続構造は、サンプル液側、シース液側壁面共に効果が十分見られるものの、粒子をサンプル液側に整列させるPFFの原理からも推察されるように、粒子が滑流する壁面を直線的に接続する方が、より精度よく粒子分離が可能となり、さらにシース液側壁面の構造を前述の通り改良することで、さらに粒子の分離精度があがる。
ドレイン流路22は、AsPFFにより粒子を分離する場合に用いてもよく、拡大流路17へ流れる流体の少なくとも一部がドレイン流路22へ流れるよう、ドレイン流路の幅、高さ、長さを設計することが好ましい。さらに好ましくは同程度の流体がドレイン流路22へ流れるよう設計することが好ましく、2倍以上の流体が流れるよう設計することが最も好ましい。
また、図3に示したドレイン流路22は、狭窄流路16中を流体が流れていく方向に対して、垂直な方向に設計したものを示しているが、平行な方向に設計してもよく、任意の角度に設定してもよい。ドレイン流路を、狭窄流路16中を流体が流れていく方向に対して、垂直方向のシース液側壁面17bに設計する場合、拡大流路の拡大開始点にドレイン流路を配置してもよいし(図3(c))、ドレイン流路を拡大開始点からは離して配置してもよい(図6(c))。平行な方向に設計した場合、狭窄流路16中を高流速で流れてきた粒子が、拡大領域で低流速に急激に変化するため、慣性力の影響で粒子はその質量に応じた力を受ける。この時、この慣性力により整列したはずの粒子の位置がばらつき、分離の精度が悪くなる。従って、ドレイン流路22は、狭窄流路16中を流体が流れていく方向に対して、垂直な方向に設計したものがより好ましい。
以下、添付の書類に基づいて、本発明による連続粒子分級方法の実施の形態を詳細に説明するものとする。
製造実施例:粒子分離装置の製造
本発明による連続分級方法の実施形態を備えたマイクロチップ10は、一般的なフォトリソグラフィーとソフトリソグラフィー技術を用いて作製した。具体的な手順を以下の通り示す。
4インチベアシリコンウェハ(株式会社フィルテック)上へ、フォトレジストSU-8 3005(Microchem社)を滴下後、スピンコーター(MIKASA社)を用いてフォトレジスト薄膜を形成した。マスクアライナー(ウシオ電機社)と、任意のパターンを形成したクロムマスクを用いて流路パターンをフォトレジスト膜へ形成し、SU-8Developer(Microchem社)を用いて流路パターンを現像することで、用いたい流路の鋳型を作製した。
続いて、作製した鋳型へ、SYLGARD SILICONE ELASTOMER KIT(東レ・ダウコーニング社)を用いて調整した未硬化のシロキサンモノマーと重合開始剤の混合物(重量比10:1)を流し込み、80℃で2時間加熱することで、流路の形状を転写されたポリジメチルシロキサン(PDMS)を作製した。硬化したPDMSを鋳型から慎重に剥がし、カッターで任意の大きさに成形後、パンチャーを用いて流路の入り口側ポート、アウトレットを形成した。剥離したPDMSとスライドガラス(松浪ガラス社)を酸素プラズマ発生装置(メイワフォーシス社)で表面処理後、PDMSとスライドガラスを貼り合わせることでマイクロチップを作製した。
分離観察実施例:粒子の分離及び蛍光画像の取得
製造実施例に記載の手順で作製したマイクロチップを用いて、直径0.2μm及び直径0.5μmの粒子を用いて分離を検証した。0.2μm粒子として、蛍光ポリスチレンビーズFluoresbriteDG(Polyscience社製;吸収極大波長480nm、蛍光極大波長;520nm)、0.5μm粒子として蛍光ポリスチレンビーズFluoresbriteBB(Polyscience社製;吸収極大波長360nm、蛍光極大波長;407nm)を用いた。分離対象の粒子を含有する流体100Pとしては、0.05%(v/v)ツイーン20水溶液を用い、直径0.2μmの蛍光ポリスチレン粒子を3.3ng/mL、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子を7.5ng/mLになるように調製した。分離対象の粒子を含有しない流体100Nとしては0.05%(v/v)ツイーン20水溶液を用いた。ここで、用いた0.05%(v/v)ツイーン20水溶液は実験前にポアサイズ0.45μmのシリンジフィルター(メルクミリポア社製)を用いて異物除去を行ってから用いた。シリンジポンプ(KDScientific社)により流量を調節し、流体100Pをインレット14aから、流体100Nをインレット14bから、それぞれ5、90μL/hの流量で送液した。なお、各流量は最も2つの粒子の分離が良好な条件を採用した。各流体をマイクロチップ10に導入し、導入しながら、それぞれ対応する波長の光で別々に蛍光画像を取得した。蛍光画像は、倒立型顕微鏡IX71(オリンパス社)を用いて水銀ランプで所定の励起光を観察領域へ照射し、デジタルCMOSカメラORCA-FLASH(浜松ホトニクス社)で画像取得エリア30を2秒間にわたり撮影することで取得した。0.2μmの粒子及び0.5μmの粒子でそれぞれ蛍光画像を作成後、検出ライン20の蛍光プロファイルを解析した。蛍光プロファイルの横軸は検出ライン20上の座標であり、縦軸は座標ごとの相対蛍光輝度を示している。なお、検出ライン20は分岐点31からアウトレット15の方向へ200μm下流地点に設定し、座標0を拡大領域壁面17a側とした。また画像取得エリア30は検出ライン20が取得画像内に収まるよう設定した。
実施例1:粒子が滑流する壁面16a側に向けて流路幅は拡大せず、粒子が滑流しない壁面16b側に向けて、段状に流路幅が拡大し、かつ拡大流路17の拡大開始点19にドレイン流路が配置された粒子分離装置
図3(a)~(c)で示されるマイクロチップ10を、粒子分離装置として上述の製造実施例に基づき作成した。図3(a)はマイクロチップ10の上面図であり、図3(b)におけるA矢視図である。図3(b)は図3(a)におけるB-B線による断面図であり、図3(c)は図3(a)における領域21の拡大図である。
基板11の下面11aには、基板12を重ね合わせた際に流路13を形成するように、加工を行った。流路13の深さはすべて3.5μmとした。流路13の端部に、基板11の上面に貫通するインレット14a、14b、アウトレット15、23(それぞれ穴の径1.5mm)を設けた。また流路13は、分岐流路18a(幅20μm、長さ1.5mm)、分岐流路18b(幅40μm、長さ500μm)、狭窄流路16(幅3.3μm、長さ20μm)、拡大流路17(幅215μm、長さ6.15mm)、ドレイン流路22(幅300μm、長さ1.3mm)の流路からなった。
上述の図3(a)~(c)で示されるマイクロチップ10を用いて、分離観察実施例にしたがって、直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の積算画像を得た(図3(d)及び(e))。直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の検出ライン20における蛍光プロファイルを示したグラフをそれぞれ図3(f)、図3(g)に示す。これらの結果から直径0.2、0.5μmの粒子がほぼ完全に分離している様子が確認できた。
比較例1:粒子が滑流する壁面16a側に向けて流路幅が段状に拡大し、粒子が滑流しない壁面16b側に向けて、段状に流路幅が拡大し、かつ拡大流路17の拡大開始点19にドレイン流路が配置された粒子分離装置
図4(a)~(c)で示されるマイクロチップ10を、粒子分離装置として上述の製造実施例に基づき作製した。実施例1のマイクロチップ10と比較して、狭窄流路16と拡大流路17との角度24a、24bが90°で、狭窄流路壁面16aから拡大流路壁面17aまでの幅が50μmとなる点のみが実施例2と異なるよう設計したものを用い、サンプル液とシース液の流量条件がそれぞれ5、80μL/hとなるよう設定した点以外は実施例1と同じ実験条件で、同様に直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の分離の検証を行った。なお、実施例1と同様に、各流量は最も2つの粒子の分離が良好な条件を採用し、分離の評価に用いた。
直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の積算画像をそれぞれ図4(d)、図4(e)に、直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の検出ライン20の蛍光プロファイルを示したグラフをそれぞれ図4(f)、図4(g)に示す。これらの結果から、本比較例での直径0.2、0.5μm粒子の分離は、部分的に重複が見られるため、性能が実施例1と比べて劣っていることがわかる。
比較例2:粒子が滑流する壁面16a側に向けて段状に流路幅が拡大し、かつ拡大流路17の拡大開始点19にドレイン流路22が配置され、粒子が滑流しない壁面16b側に向けて流路幅は拡大しない粒子分離装置
図5(a)~(c)で示されるマイクロチップ10を、粒子分離装置として上述の製造実施例に基づき作製した。実施例1のマイクロチップ10と比較して、狭窄流路16と拡大流路17との角度24aが90°、24bが180°となるよう設計した点以外は実施例1と同様のマイクロチップ10を用い、サンプル液とシース液の流量条件がそれぞれ5、80μL/hとなるよう設定した点以外は実施例1と同じ実験条件で、同様に直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の分離の検証を行った。なお、実施例1と同様に、各流量は最も2つの粒子の分離が良好な条件を採用し、分離の評価に用いた。また、角度24aを90°、24bを180°としたため、拡大流路17が狭窄流路に対して垂直方向に、ドレイン流路22が狭窄流路に対して平行方向に位置する流路構造をもつマイクロチップ10を用いた。つまり、本比較例は実施例1の狭窄流路16と拡大流路17の接続部分の構造を、上下反転したもので比較を行っているものである。ここで、拡大流路17を狭窄流路16に対して平行方向に、つまり実施例1と同じ方向に配置し、ドレイン流路22が垂直方向で、実施例1とは上下反転した位置に配置した流路構造とした場合、大半の流体が流れるドレイン流路22へ粒子が流れた。すなわち、この配置の場合、ドレイン流路22による分離能向上の効果を得ることが出来なかった。そこで、実施例1と同じ粒子分離能をもつ流路構造とするため、図5(a)~(c)に示す流路構造とした。
直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の積算画像をそれぞれ図5(d)、図5(e)に、直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の検出ライン20の蛍光プロファイルを示したグラフをそれぞれ図5(f)、図5(g)に示す。これらの結果から、本比較例での直径0.2、0.5μm粒子の分離は、部分的に重複が見られ、性能が実施例1と比べて大きく劣り、比較例1と比べても劣っていることがわかる。
実施例2:粒子が滑流する壁面16a側に向けて流路幅は拡大せず、粒子が滑流しない壁面16b側に向けて、徐々に流路幅が拡大し、かつ拡大流路17の拡大終了点にドレイン流路22が配置された粒子分離装置
図6(a)~(c)で示されるマイクロチップ10を、粒子分離装置として上述の製造実施例に基づき作製した。実施例1のマイクロチップ10と比較して、狭窄流路16と拡大流路17との角度24aが180°、24bが135°で、拡大領域のスロープ部分40の長さが1/√2mmで、アウトレット15と23へ流れる流体の比が実施例1と同等になるよう、ドレイン流路の長さを500μmとした点以外は実施例2と同じ構造をもつマイクロチップ10を用い、また、サンプル液とシース液の流量条件がそれぞれ3、90μL/hとなるよう設定した点以外は実施例1と同じ実験条件で、同様に直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の分離の検証を行った。なお、実施例1と同様に、各流量は最も2つの粒子の分離が良好な条件を採用し、分離の評価に用いた。
直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の積算画像をそれぞれ図6(d)、図6(e)に、直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の検出ライン20の蛍光プロファイルを示したグラフをそれぞれ図6(f)、図6(g)に示す。これらの結果から、本実施例での直径0.2、0.5μm粒子の分離は、完全な分離が確認でき、分離性能が実施例1よりも優れていることがわかる。
比較例3:粒子が滑流する壁面16a側に向けて徐々に流路幅が拡大し、かつ拡大流路17の拡大終了点にドレイン流路22が配置され、粒子が滑流しない壁面16b側に向けて流路幅は拡大しない、粒子分離装置
図7(a)~(c)で示されるマイクロチップ10を、粒子分離装置として上述の製造実施例に基づき作製した。実施例2のマイクロチップ10と比較して、狭窄流路16と拡大流路17との角度24aが135°、24bが180°となるよう設計した点以外は実施例2と同様のマイクロチップ10を用い、サンプル液とシース液の流量条件がそれぞれ3、95μL/hとなるよう設定した点以外は実施例3と同じ実験条件で、同様に直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の分離の検証を行った。なお、実施例2と同様に、各流量は最も2つの粒子の分離が良好な条件を採用し、分離の評価に用いた。また、角度24aを135°、24bを180°としたため、拡大流路17が狭窄流路16に対して垂直方向に、ドレイン流路22が狭窄流路16に対して平行方向に位置する流路構造をもつマイクロチップ10を用いた。つまり、本比較例は実施例2の狭窄流路16と拡大流路17の接続部分の構造を、上下反転したもので比較を行っているものである。ここで、拡大流路17を狭窄流路16に対して平行方向に、つまり実施例2と同じ方向に配置し、ドレイン流路22が垂直方向で、実施例1とは上下反転した位置に配置した流路構造とした場合、大半の流体が流れるドレイン流路22へ粒子が流れることになった。すなわち、この配置の場合、ドレイン流路22による分離能向上の効果を得ることが出来なかった。そこで、実施例2と同じ粒子分離能をもつ流路構造とするため、図7(a)~(c)に示す流路構造とした。
直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の積算画像をそれぞれ図7(d)、図7(e)に、直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の検出ライン20の蛍光プロファイルを示したグラフをそれぞれ図7(f)、図7(g)に示す。これらの結果から、本比較例での直径0.2、0.5μm粒子の分離は、不完全なものであることが確認でき、分離性能が実施例2よりも劣っていることがわかる。
実施例3:実施例2の粒子分離装置のスロープ部分40に、凹部を有する粒子分離装置
図8(a)~(d)で示されるマイクロチップ10を、粒子分離装置として上述の製造実施例に基づき作製した。このマイクロチップ10は、実施例2とほぼ同じ構造であるが、拡大領域のスロープ部分40の一部には、狭窄流路16と拡大流路17の接続部分の拡大図を示す図8(d)に示すように、シース液側狭窄流路壁面16bとスロープ部分40との間に、流路壁面41a、41b(共に長さ50μm)により構成される部分的な凹部をもつマイクロチップ10を用い、その他の実験条件は実施例3と同じになるよう設定し、直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の分離の検証を行った。なお、実施例2と同様に、各流量は最も2つの粒子の分離が良好な条件を採用し、分離の評価に用いた。
直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の積算画像をそれぞれ図8(e)、図8(f)に、直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の検出ライン20の蛍光プロファイルを示したグラフをそれぞれ図8(g)、図8(h)に示す。これらの結果から、本比較例での直径0.2、0.5μm粒子の分離は、完全な分離が確認でき、分離性能が実施例2とほぼ同等であることがわかる。
ここまでの結果から、シース液側の狭窄流路壁面16bと拡大流路壁面17bとの角度24bは、90°よりも大きくすることが好ましいといえるが、たとえ90°、またはそれ以下の角度であっても、それが部分的な凹部構造であって、かつその凹部構造が拡大流路やドレイン流路の幅よりも小さいのであれば、PFFによる粒子分離の観点からいえば、実質的にはシース液側の狭窄流路壁面16bの下流側にスロープ部分40のみが存在する場合と流体の流れはほぼ等価であるとみなすことができ、同等の分離性能を発揮できるといえる。
実施例4:実施例2の粒子分離装置の狭窄流路幅、流路13の深さを変更した粒子分離装置
狭窄流路16の幅を2μm、流路13の深さを2μmへ変更した点以外は同じ構造をもつマイクロチップ10を粒子分離装置として上述の製造実施例に基づき作製した。このマイクロチップ10を用いて、0.1と0.2μm粒子の分離を検証した。分離する粒子としては、直径0.2μmの蛍光ポリスチレンビーズFluoresbriteDG(Polyscience社製;吸収極大波長480nm、蛍光極大波長;520nm)と、直径0.1μmの蛍光ポリスチレンビーズFluoresbriteBB(Polyscience社製;吸収極大波長360nm、蛍光極大波長;407nm)を用い、直径0.2μmの蛍光ポリスチレン粒子は3.3ng/mLに希釈し、直径0.1μmの蛍光ポリスチレン粒子は67ng/mLに希釈し実験に用いた。また、サンプル液とシース液の流量条件がそれぞれ0.5、75μL/hとなるよう設定した。なお、実施例2と同様に各流量は最も2つの粒子の分離が良好な条件を採用し、分離の評価に用いた。
直径0.1μm、直径0.2μmの蛍光ポリスチレン粒子の積算画像をそれぞれ図9(a)、図9(b)に示す。直径0.1μmの粒子がアウトレット15へ流れる拡大流路17へ、0.2μmの粒子がアウトレット23へ流れるドレイン流路22へそれぞれ流れる様子を観察し、100nm程度の微小な粒子においても、本発明記載の内容で分離、回収可能であることを確認した。
実施例5:拡大流路壁面17aが17bへ向けて縮小し、粒子が滑流しない壁面16b側に向けて、段状に流路幅が拡大し、かつ拡大流路17の拡大開始点19にドレイン流路が配置された粒子分離装置
図12(a)~(c)で示されるマイクロチップ10を、粒子分離装置として上述の製造実施例に基づき作製した。実施例1のマイクロチップ10と比較して、狭窄流路16と拡大流路17との角度24aが210°、24bが90°となるよう設計した点以外は実施例2と同様のマイクロチップ10を用い、送液ポンプとしてプレッシャーポンプP-PumpBasic(Dolomite社)を用い、サンプル液とシース液の流量条件がそれぞれ1090、1200mbarとなるよう設定した点以外は実施例2と同じ実験条件で、同様に直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の分離の検証を行った。なお、実施例2と同様に、各流量は最も2つの粒子の分離が良好な条件を採用し、分離の評価に用いた。
直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の積算画像をそれぞれ図12(d)、図12(e)に、直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の検出ライン20の蛍光プロファイルを示したグラフをそれぞれ図12(f)、図12(g)に示す。これらの結果から、本実施例での直径0.2、0.5μm粒子の分離が可能であることが確認できた。本結果から、拡大流路壁面17aは拡大させないことが好ましいことが示唆された。
比較例4:拡大流路壁面17a、17bが共に拡大し、かつ拡大流路17の拡大終了点にドレイン流路22が配置された粒子分離装置
図13(a)~(c)で示されるマイクロチップ10を、粒子分離装置として上述の製造実施例に基づき作製した。実施例1のマイクロチップ10と比較して、狭窄流路16と拡大流路17との角度24a、24bが165°となるよう設計した点以外は実施例2と同様のマイクロチップ10を用い、送液ポンプとしてプレッシャーポンプを用い、サンプル液とシース液の流量条件がそれぞれ1070、1200mbarとなるよう設定した点以外は実施例2と同じ実験条件で、同様に直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の分離の検証を行った。なお、実施例2と同様に、各流量は最も2つの粒子の分離が良好な条件を採用し、分離の評価に用いた。
直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の積算画像をそれぞれ図13(d)、図13(e)に、直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の検出ライン20の蛍光プロファイルを示したグラフをそれぞれ図13(f)、図13(g)に示す。これらの結果から、本比較例での直径0.2、0.5μm粒子の分離が不完全であることが確認できた。本結果からも、拡大流路壁面17aは拡大させないことが好ましいことが示唆された。
実施例6:粒子が滑流する壁面16a側に向けて流路幅は拡大せず、粒子が滑流しない壁面16b側に向けて、流路幅が拡大し、かつ拡大流路17の拡大終了点にドレイン流路22が配置された粒子分離装置における、角度24bが及ぼす分離性能への影響評価
マイクロチップ10を、粒子分離装置として上述の製造実施例に基づき作製した。実施例1のマイクロチップ10と比較して、流路13の深さをすべて3.2μm、狭窄流路16の幅を3.0μmとし、狭窄流路16と拡大流路17との角度24aを180°、角度24bをθとした場合に、拡大領域のスロープ部分40の長さを212/tanθμmとなるよう設計し、アウトレット15と23へ流れる流体の比が実施例1と同等になるよう設計した。また、送液ポンプとしてプレッシャーポンプP-PumpBasic(Dolomite社)を用いてサンプル液とシース液の流量条件がそれぞれ5、90μL/hとなるよう設定した点以外は実施例1と同じ実験条件で、同様に直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の分離の検証を行った。本実施例では、角度24bを65°、90°、112°、124°、135°へと変更した場合の直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の分離性能評価をRs値により行った。
Figure 0007162291000001

Rs値は、直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の検出ライン20の蛍光プロファイルを示したグラフにおいて、直径0.2μm蛍光ポリスチレン粒子のピーク位置をP(0.2)、ピーク幅の半値をw(0.2)、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子ピーク位置をP(0.5)、ピーク幅の半値をw(0.5)、ピーク幅とした場合にRs=(P(0.5)―P(0.2))/(w(0.2)+w(0.5))で表されるものとし、値が大きいほど分離性能が高いことを示すこととする。
各角度24bにおける直径0.2μm、直径0.5μmの蛍光ポリスチレン粒子の積算画像、検出ライン20の蛍光プロファイルを示したグラフを図14~図18に示す。また各角度24bにおけるRs値を表1に示す。角度24bが大きくなるにつれて分離性能が高くなることがわかる。
10 マイクロチップ
11 基板
11a 基板下面
12 基板
13 流路
14a、14b インレット
15 アウトレット
15a、15b、15c アウトレット
16 狭窄流路
16a サンプル液側狭窄流路壁面
16b シース液側狭窄流路壁面
17 拡大流路
17a サンプル液側拡大流路壁面
17b シース液側狭拡大路壁面
18a、18b 分岐流路
19 拡大開始点
20 検出ライン
21 領域
22 ドレイン流路
23 アウトレット
24a、24b 角度
30 画像取得エリア
31 分岐点
40 スロープ部分
41a、41b 流路壁面
100P 流体
100N 流体

Claims (8)

  1. 一方の末端側に流体導入口を備え、もう一方の末端側において他の分岐流路と合流する2以上の分岐流路、
    当該2以上の分岐流路が合流して形成される狭窄流路、及び
    狭窄流路のもう一方の末端に接続し、流路幅が拡大され、少なくとも1の回収口が備えられた拡大流路
    を含む、粒子分離装置であって、
    1の分岐流路の流体導入口から分離対象の粒子を含有する流体を導入し、もう一方の分岐流路の流体導入口から分離対象の粒子を含まない流体を導入した場合に、狭窄流路の壁面に沿って粒子が滑流し、前記拡大流路の壁面のうち、粒子が滑流する壁面側に向けて流路幅は拡大せず、粒子が滑流しない壁面側に向けて流路幅が拡大することを特徴とする、
    前記粒子分離装置。
  2. 粒子が滑流しない壁面側に向けて、拡大流路の流路幅が拡大し、狭窄流路壁面と拡大流路壁面との間の角度24bが65°以上であるすることを特徴とする、請求項1に記載の粒子分離装置。
  3. 粒子が滑流しない壁面側に向けて拡大流路の流路幅が拡大し、狭窄流路壁面と拡大流路壁面との間の角度24bが90°以上であることを特徴とする、請求項1に記載の粒子分離装置。
  4. 粒子が滑流しない壁面側に向けて拡大流路の流路幅が拡大し、狭窄流路壁面と拡大流路壁面との間の拡大する角度24bが135°以上であることを特徴とする、請求項1に記載の粒子分離装置。
  5. 一方の末端に流体導入口を備え、もう一方の末端において他の分岐流路と合流する2以上の分岐流路、
    当該2以上の分岐流路が合流して形成される狭窄流路、及び
    狭窄流路のもう一方の末端に接続され、流路幅が拡大され、少なくとも1の回収口が備えられた拡大流路
    を含み、拡大流路の壁面のうち、粒子が滑流する壁面側に向けて流路幅は拡大せず、粒子が滑流しない壁面側に向けて流路幅が拡大する粒子分離装置を用いた粒子分離方法であって、
    1の分岐流路の流体導入口から分離対象の粒子を含有する流体を導入し、もう一方の分岐流路の流体導入口から分離対象の粒子を含まない流体を導入して、それにより合流して形成される流路の壁面に沿って粒子を滑流させる工程を含む、前記方法。
  6. 粒子が滑流しない壁面側に向けて拡大流路の流路幅が拡大し、狭窄流路壁面と拡大流路壁面との間の角度24bが65°以上であることを特徴とする、請求項5に記載の粒子分離方法。
  7. 粒子が滑流しない壁面側に向けて拡大流路の流路幅が拡大し、狭窄流路壁面と拡大流路壁面との間の角度24bが90°以上であることを特徴とする、請求項5に記載の粒子分離方法。
  8. 粒子が滑流しない壁面側に向けて拡大流路の流路幅が拡大し、狭窄流路壁面と拡大流路壁面との間の角度24bが135°以上であることを特徴とする、請求項5に記載の粒子分離方法。
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