JP2020025900A - 粒子分離方法 - Google Patents

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Toshishige Toyoshima
俊薫 豊嶋
和樹 飯嶋
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和樹 飯嶋
琴浩 古川
Kotohiro Furukawa
琴浩 古川
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Koji Katayama
晃治 片山
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Kengo Numata
健吾 沼田
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Masao Sawano
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Abstract

【課題】本発明の課題は、PFFの原理を利用した粒子分離方法において、流路幅が変化する拡大領域入り口付近の壁面近傍で渦流を発生させることなく、粒子を分離することを目的とする。【解決手段】一方の末端に流体導入口を備え、もう一方の末端において他の分岐流路と合流する2以上の分岐流路、当該2以上の分岐流路が合流して形成される狭窄流路、及び狭窄流路のもう一方の末端に接続され、流路幅が拡大される拡大流路を有する粒子分離装置を用いた粒子分離方法であって、前記狭窄流路から前記拡大流路へ移る起点で、流れのレイノルズ変化率dRe/dxが−9.84×106以上となるように、1の分岐流路の流体導入口から分離対象の粒子を含有する流体を導入し、もう一方の分岐流路の流体導入口から分離対象の粒子を含まない流体を導入することを特徴とする前記方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、粒子分離方法に関する。
近年、数十ナノメートルから数マイクロメートルサイズの粒子の検出、分離技術が必要とされている。連続的な分離を可能にする技術として、前述のマイクロ流路を用いたピンチドフローフラクショネーション(Pinched Flow Fractionation)(以下PFFと記載)という手法が報告されている(例えば、特許文献1参照)。この手法の利点としては、光学系・情報処理系などの複雑な機器・装置を必要とせず、連続的な微粒子分離を容易に可能とする点があげられる。また、粒子径という一つの要因を利用した分離ではあるものの複数のフラクションへの分離が可能であり、つまり、例えば大きさで分離する場合、大きいものと小さいものという2段階だけではなく、大きさによる3グループ以上の集団へと分離することができる点、さらに、流路の並列化などを行うことで、大量・高速な微粒子や細胞の分離が可能である点なども利点としてあげられる。
しかしながら、PFFのようなマイクロ流路を用いて、サブビジブル粒子程度の大きさの物質を分離した例はこれまでになく、マイクロサイズの流路を用いて、0.1〜2マイクロメートルサイズの粒子を、その大きさという要素だけを用いて分離した例についても報告がない。
特開2005−205387号公報
本発明の課題は、PFFの原理を利用した粒子分離方法において、流路幅が変化する拡大領域入り口付近の壁面近傍で渦流を発生させることなく、粒子を分離することを目的とする。
本発明に係る粒子分離方法は、一方の末端に流体導入口を備え、もう一方の末端において他の分岐流路と合流する2以上の分岐流路、当該2以上の分岐流路が合流して形成される狭窄流路、及び狭窄流路のもう一方の末端に接続され、流路幅が拡大される粒子分離装置を用いた方法であって、前記狭窄流路から前記拡大流路へ移る起点で、流れのレイノルズ変化率dRe/dxが−9.84×10以上となるように、1の分岐流路の流体導入口から分離対象の粒子を含有する流体を導入し、もう一方の分岐流路の流体導入口から分離対象の粒子を含まない流体を導入することを特徴とする。
また、本発明に係る粒子分離方法は、上述の粒子分離装置を用いた方法であって、前記狭窄流路から前記拡大流路に流れた際の圧力損失ΔPが17.89kPa以下となるように、1の分岐流路の流体導入口から分離対象の粒子を含有する流体を導入し、もう一方の分岐流路の流体導入口から分離対象の粒子を含まない流体を導入することを特徴とする。
本発明によれば、ナノ〜マイクロレベルの微小な粒子をその大きさ毎に連続的に分離及び/又は回収することが可能となる。
図1は、PFFの原理を模式的に示した図である。2つの分岐から導入された流体の挙動と粒子の分離の様子が示される。 図2(a)はマイクロチップ10の上面図であり、図2(b)におけるA矢視図である。図2(b)は図2(a)におけるB−B線による断面図であり、図2(c)は図2(a)における領域21の拡大図である。 拡大流路開始部分でのレイノルズ変化率を計算するために利用した流路の上面図である。 図4(a)はマイクロチップ10の上面図であり、図4(b)におけるA矢視図である。図4(b)は図4(a)におけるB−B線による断面図であり、図4(c)は図4(a)における領域21の拡大図である。 図5(a)はマイクロチップ10の上面図であり、図5(b)におけるA矢視図である。図5(b)は図5(a)におけるB−B線による断面図であり、図5(c)は図5(a)における領域21の拡大図である。 図4(a)〜(c)に示した本発明にかかるマイクロチップ10を用いて数値流体力学シュミレーションを行った結果の図である。サンプル液、シース液の流量はそれぞれ5μL/h、90μL/hとした。 図4(a)〜(c)に示した本発明にかかるマイクロチップ10を用いて数値流体力学シュミレーションを行った結果の図である。サンプル液、シース液の流量はそれぞれ10μL/h、180μL/hとした。 図4(a)〜(c)に示した本発明にかかるマイクロチップ10を用いて数値流体力学シュミレーションを行った結果の図である。サンプル液、シース液の流量はそれぞれ20μL/h、360μL/hとした。
図1をもとに、PFFの原理についての詳細を説明する。図1は図2のマイクロチップにおける分岐流路18a、18bが合流して形成される狭窄流路16、及び狭窄流路16のもう一方の末端に接続され、流路幅が拡大された拡大流路17を示している。具体的には、図2(a)における領域21の拡大図である。また、流体100Pと、斜線で示した流体100Nは、それぞれ粒子を含む流体と、粒子を含まない流体であり、粒子300a、300bは、それぞれ相対的に大きな粒子と相対的に小さな粒子を示している。図1において、矢印200は、狭窄流路16と拡大流路17の境界における流線のプロファイルを示しており、矢印210a、210bは、それぞれ大きな粒子300aと小さな粒子300bの運動ベクトルを示している。
粒子を含む流体100Pおよび粒子を含まない流体100Nを、シリンジポンプなどを用いて2つのインレット(流体導入口)14a、14bからそれぞれ連続的に供給する。この時、狭窄流路16内では、それぞれの流体が安定な層流を保ちながら流れる。そして、粒子を含む流体100Pおよび粒子を含まない流体100Nの流量を調節することで、狭窄流路16における流体100Pの幅(粒子が滑流する壁面16aから、流体100Pと流体100Nの界面までの距離)が、分離対象とする最小の粒子の粒径よりも小さくなるようにする。この操作により、分離対象とする全ての粒子は、狭窄流路の内壁16aに沿って滑流するようになり、粒子が滑流する内壁16aの壁面に対して垂直方向における粒子の位置を、粒子の大きさによって一定にすることができる。
そして狭窄流路16と拡大流路17の境界(拡大開始点19)において、流線はプロファイル200に示されているように広がるため、狭窄流路16における任意の流線間の距離は、拡大流路17においてより拡大される。したがって、狭窄流路16における流れと垂直な方向における粒子の位置は、粒子の大きさによってそれぞれ異なるため、狭窄流路16と拡大流路17の境界において、大きい粒子300aの運動ベクトル210aと小さい粒子300bの運動ベクトル210bの方向に差が生じ、拡大流路17において、粒子の大きさごとの位置差が拡大され、分級が可能となる。
なお、分離した粒子を拡大流路17における検出ライン20に沿って、適当な検出系を用いて観察することで、粒子の粒径と粒子群の粒径分布を調べることが可能となる。また、拡大流路17にはアウトレット15は複数設けてもよい。また流路終端を分岐してアウトレットを複数設けることで、分離された目的の粒子を回収することができる。さらに、「非対称ピンチドフローフラクショネーション(Asymmetric Pinched Flow Fractionation(AsPFF))」の原理に基づいて、一部のアウトレットに多量の流体を流すことで分離能を向上させることもできる。より具体的には、流路の抵抗値を適切に設計し、また、狭窄流路16の流路幅および粒子径の関係から、ある特定のサイズの粒子を、特定のアウトレットにのみ導入できる、という原理である。
複数のアウトレットを有する連続粒子分離装置及びその方法の場合、流路ネットワーク全体を抵抗回路のアナロジーとしてみなし、適切な設計を行うことで、任意の流量分配比を達成することができるため、そのような考えに基づいた設計を行うことが望ましい。例えば、前述のAsPFFの原理に基づいて、図4に示すように、大半の流体が流れるように拡大流路17の一部にドレイン流路22を設計し、ドレイン用のアウトレット23を設けてもよい。その場合も、目的物をアウトレット15、または図4(a)のアウトレット15a、15b、15cのように複数設けたアウトレットの任意のアウトレットから回収するようにしてもよい。特に、複数の大きさをもつ物質を含むサンプルから特定の大きさの粒子を分離し回収しようとする場合、アウトレット15の数は目的に応じて任意の数に設定されるが、回収するという点で少なくとも2以上に設定されることが好ましい。一方で、分離した後に回収せず、例えば分離された粒子を検出するのみでよい場合は、検出ライン20で蛍光や明視野像の検出系等を用いて検出すればよく、この場合、アウトレットの数は1つであってもよい。
図4には、本発明による連続分級方法の実施形態を備えたマイクロチップ10が示されており、図4(a)は図4(b)におけるA矢視図であり、図4(b)は図4(a)におけるB−B線による断面図である。図4におけるマイクロチップ10の流路13は、どの地点においても断面形状が矩形であり、流路深さは均一である。このように断面形状は、粒子を断面においてその大きさによって分離するために、また、流路構造の作製上の容易さから、矩形であることが望ましいが、円形や楕円形、多角形などの断面であってもよく、また部分的に矩形以外の形状であってもよい。狭窄流路の壁面に沿って粒子を滑流させる観点から粒子が滑流する壁面は平面であることが好ましい。同様に流路構造の深さはその作製上の容易さから一定であることが好ましいが、部分的に深さが異なっていてもよい。
このマイクロチップ10は、粒子をその大きさにより分離し、適当な検出系を用いることにより、粒径と粒径分布を測定するためのマイクロチップであり、例えば、PDMSなどの高分子(ポリマー)材料により形成された、2枚の平板状の基板11と基板12により形成された平板状の構造を有していてよい。
マイクロチップ10を作製する場合に用いる技術としては、例えば、モールディングやエンボッシングといった鋳型を用いる作製技術は、流路構造を正確かつ容易に作製可能であるという点において好ましいが、その他にも、フォトリソグラフィー、ソフトリソグラフィー、ウェットエッチング、ドライエッチング、ナノインプリンティング、レーザー加工、電子線直接描画、機械加工等の作製技術を用いることも可能である。
また、マイクロチップ10を作製する場合の材質としては、PDMS、アクリル等の各種ポリマー材料、ガラス、シリコーン、セラミクス、ステンレスなどの各種金属、などを用いることができ、また、これらの材料のうち、任意の2種類の基板を組み合わせて用いることも可能である。ただし、流路自体を安価に作製し、ディスポーザブルな装置を提供するためには、少なくとも部分的にポリマー材料を用いることが好ましい。
そして、基板11の下面11aには、基板12と重ね合わせた場合に、分岐流路18、狭窄流路16、及び拡大流路17を含む流路13が形成されるように加工されており、各流路の幅、深さは、それぞれ10nmから1cmまでの任意の値に設定することが可能である。作製の容易さから、各流路の幅、深さは、それぞれ、サブミクロンから数百μmの値に設定することが好ましい。特にナノ〜マイクロレベル程度の大きさをもつものを分離する場合、各流路の幅、深さはサブミクロンから数十μmの値に設定することが好ましい。
流路13は、インレット14a、14bおよびアウトレット15、15a、15b、15c、23を有し、インレット14a、14bは、それぞれ測定対象の粒子を含む流体と測定対象の粒子を含まない流体の流体導入口であり、アウトレット15、15a、15b、15c、23は流体の出口である。インレット及びアウトレットは、それぞれ、基板11又は12を貫通することで、基板上面又は下面からの流体の導入又は排出を可能にする。なお、測定対象の粒子を含む流体は、インレット14a、14b何れかから導入されることが好ましいが、インレット14aから導入されることがより好ましい。また、測定対象の粒子を含まない流体は、インレット14a、14b何れかから導入されることが好ましいが、インレット14bから導入されることがより好ましい。
また、流路13は、インレット側に少なくとも2つの分岐流路18a、18b、中央部に分岐流路18a、18bが合流して形成される狭窄流路16、アウトレット側に流路幅が拡大された拡大流路17から構成されている。分岐流路の数は、狭窄流路において層流を達成できる限りにおいて、任意の数であってよい。また、分岐流路は、少なくとも2の分岐流路が合流すれば、任意の形状であってよいが、合流して形成される狭窄流路において層流を達成する観点から、図5(a)に示されるように、分岐流路間の角度を鋭角に形成することが好ましく、合流して形成される狭窄流路を、その優角側に形成することが好ましい。狭窄流路16と拡大流路17の接続部を拡大開始点19ということができ、図4、5で表されるように拡大開始点において流路幅が変わる。拡大流路17は、狭窄流路16よりも流路幅が大きくなれば任意の形状であってよい。ここで、分岐流路18a、18bは、それぞれインレット14a、14bへ接続されており、また拡大流路17はアウトレット15、15a、15b、15c、23へ接続されている。
流路13の全体の長さ、つまり、インレット14a、14bのある一方の端から、アウトレット15、23のあるもう一方の端までの長さは1μm以上の任意の値に設定することが可能であるが、流路作製の容易さと圧力損失の観点から数μm〜数十mm程度に設定することが好ましい。
また狭窄流路16、拡大流路17の長さは、10nm以上の任意の値に設定することが可能であるが、流路作製の容易さと圧力損失の観点からサブミクロン〜数十mm程度に設定することが好ましい。また、粒子の整列を達成する観点から、長さの下限が100nm以上であることが好ましく、1μm以上がさらに好ましく、長さの上限が10mm以下であることが好ましく、500μm以下がさらに好ましい。
狭窄流路16の流路幅は、内壁16aの壁面に対して垂直方向の流路の長さをいう。狭窄流路16の流路幅は、拡大流路17の幅未満であるという条件を満たす限り、10nm以上の任意の値に設定することが可能である。また、粒子の整列を達成する観点から、流路幅の下限が100nm以上であることが好ましく、500nm以上がさらに好ましい。また流路幅の上限は100μm以下であることが好ましく、10μm以下がさらに好ましい。
また、流路内部における流量条件を達成するための導入量の調節方法として、導入口からシリンジポンプ等を用いて溶液を導入することが操作上簡便であり好ましいが、ペリスタポンプ等の他のポンプを用いる手法、ボンベ、圧力装置等を用いた定圧送液方法、液面差を用いる方法、電気浸透流や遠心力等を用いた送液方法などを用いることも可能である。また、アウトレットから陰圧を付す圧力装置を用いることもできる。
分離を行う粒子としては、目的に応じて、直径100nm〜5μmのポリスチレン等のポリマー粒子、金属微粒子、セラミックス粒子、またはそれらの表面に物理的あるいは化学的な処理を施した粒子を用いることができる。また、本発明の粒子分離装置では、粒子にかかる外圧や変形を及ぼす力が少ないため、従来の分離方法であるフィルターなどでは、破裂や破壊が生じてしまう微粒子や細胞、その構成要素であるオルガネラなどの生物粒子、ウイルス、細菌、エクソソーム等の細胞外小胞、タンパク質、タンパク質凝集体を処理できる、という優れた効果を発揮する。分級対象とする粒子の最大直径は流路13における狭窄流路16の幅以下であれば、任意の大きさの粒子を分離することができる。例えば、狭窄流路16の幅が100nm〜10μmである流路を用いる場合、分離される粒子の直径は、1nm〜9.9μmであり、5nm〜9μmがさらに好ましく、10nm〜5μmが最も好ましい。
粒子を懸濁させた流体としては、任意の液体または気体を用いることができ、目的に応じて様々な溶液を用いることができる。例えば、粒子としてポリマー粒子や金属粒子を用いる場合には、各種化学物質を含む水溶液の他、有機溶液、イオン性流体等を用いることができる。さらに、粒子として細胞等の生物粒子を用いる場合には、細胞培養液や生理緩衝液などの細胞と等張の水溶液を用いるのが好ましい。ただし、例えばバクテリアや植物細胞のような比較的低張あるいは高張溶液に対し耐性をもつ細胞の場合には、必ずしも等張である必要はない。また、操作の都合上、溶液の密度と粒子の密度の差が大きくない系がより好ましい。サンプル液、シース液の粘度に関しては、これらの粘度における差が小さい系がより好ましいが、粒子の処理を可能とするシステムであれば、粘度に差があってもよい。なお、粒子を含む流体と粒子を含まない流体は、どちらも同じ流体から構成されていてもよく、また、それぞれ2種類以上の異なる流体から構成されていてもよい。
流路13内に導入された粒子は、流れに乗って下流方向に移動するが、この時、2つのインレット14a、14bから導入された流体の流量を適切に調節することで、流路13における狭窄流路16において、内壁16aの壁面に対して垂直方向における粒子の位置を粒子の大きさによって制御することができる。このように壁面に対して整列された粒子は、壁面に沿って滑流する。粒子が壁面に沿って滑流するとは、粒子が壁面付近を流れることをいい、必ずしも壁面に接触していることを意図するものではない。また、粒子は壁面付近で回転や跳躍する場合も含まれるものとする。サンプル液とシース液の流量は、粒子を狭窄流路のサンプル液側の壁面16aへ整列させる観点で、シース液流量の方が大きい方が好ましく、2倍以上大きい方がさらに好ましく、10倍以上大きい場合が最も好ましい。
サンプル流量とシース流量の流量は任意に設定可能であるが、総流量が一定の流量を上回ると流路構造が著しく変化する点、本発明の場合は狭窄流路から拡大流路に移る起点で流路壁面との流速変化量が過大となり、層流構造が崩れ、起点付近で渦流が発生する。本発明の特徴は、狭窄流路から拡大流路へ移る起点で、流れのレイノルズ変化率dRe/dxや圧力損失ΔPにより流路の構造を設計し渦流を抑制することを特徴としている。流れのレイノルズ変化率dRe/dxが−9.84×10以上であることまたは圧力損失ΔPが17.89kPa以下である。このように構成することにより、狭窄流路の出口と拡大流路の入り口部分での渦流の発生を抑制することができる。
狭窄流路16と拡大流路17が接続する構造は、拡大開始点で、流路幅が段状に拡大してもよいし、図5に示すように流路幅が徐々に拡大するように構成してもよい。流路幅が徐々に拡大する場合、拡大流路の壁面17bが直線を描くように拡大して、スロープを形成してもよいし、曲線を描くように拡大してもよい。拡大流路17の流路幅が、段状に拡大するか又は直線的に拡大する場合、狭窄流路の壁面16a、16bと、当該壁面に続く拡大流路17の壁面17a、17bとの間の角度24a、24bにより、拡大流路を規定することができる。例えば、段状に拡大する場合の角度24a、24bは90°である。拡大流路17の壁面が、徐々に直線的に拡大する場合、角度24a、24bは、0°〜180°で表される。拡大流路の壁面は、狭窄流路の流路幅に比較して拡大していればよい。一の態様では、前述のレイノルズ変化率または圧力損失ΔPの範囲であれば、拡大領域の壁面の角度24a、24bは、独立に0°〜180°の間の任意の角度をとることができ、一例として、65°、90°、120°、135°、165°、180°をとることができる。ただし、狭窄流路壁面16bに対する拡大流路壁面17bの角度24bは90°またはそれ未満の場合であっても、それが部分的な構造で、実質的には徐々に拡大していくような構造であれば、大半の流体は徐々にアウトレット23の方向へ流れることから、渦流の影響はほとんど受けないため、このような構造を用いてもよい(図4aを参照)。拡大流路の壁面17bが曲線を描くように拡大する場合、渦流を防止する観点から、拡大開始点におけるその接平面が、狭窄流路の壁面と一致することが好ましい。
狭窄流路16において粒子が滑流する壁面16aを、サンプル液側狭窄流路壁面16aと言うこともでき、狭窄流路16における粒子が滑流しない壁面16bを、シース液側狭窄流路壁面16bと言うこともできる。また、サンプル液側狭窄流路壁面16a側の拡大流路壁面を、サンプル液側拡大流路壁面17a、またシース液側狭窄流路壁面16b側の拡大流路壁面をシース液側拡大流路壁面17bということができる。
また、狭窄流路壁面と拡大流路壁面は、それぞれ直線同士で結合しているものを図1に示したが、何れか一方または両方が曲線であってもよい。ただし、前記狭窄流路と拡大流路の壁面の接続構造は、サンプル液側、シース液側壁面共に効果が十分見られるものの、粒子をサンプル液側に整列させるPFFの原理からも推察されるように、粒子が滑流する壁面を直線的に接続する方が、より精度よく粒子分離が可能となり、さらにシース液側壁面の構造を前述の通り改良することで、さらに粒子の分離精度があがる。
ドレイン流路22は、AsPFFにより粒子を分離する場合に用いてもよく、拡大流路17へ流れる流体の少なくとも一部がドレイン流路22へ流れるよう、ドレイン流路の幅、高さ、長さを設計することが好ましい。さらに好ましくは同程度の流体がドレイン流路22へ流れるよう設計することが好ましく、2倍以上の流体が流れるよう設計することが最も好ましい。
また、図4に示したドレイン流路22は、狭窄流路16中を流体が流れていく方向に対して、垂直な方向に設計したものを示しているが、平行な方向に設計してもよく、任意の角度に設定してもよい。ドレイン流路を、狭窄流路16中を流体が流れていく方向に対して、垂直方向のシース液側壁面17bに設計する場合、拡大流路の拡大開始点にドレイン流路を配置してもよい(図4(c))。平行な方向に設計した場合、狭窄流路16中を高流速で流れてきた粒子が、拡大領域で低流速に急激に変化するため、慣性力の影響で粒子はその質量に応じた力を受ける。この時、この慣性力により整列したはずの粒子の位置がばらつき、分離の精度が悪くなる。従って、ドレイン流路22は、狭窄流路16中を流体が流れていく方向に対して、垂直な方向に設計したものがより好ましい。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
実施例1:数値流体力学(CFD)シミュレーションによる拡大流路17での渦流が抑制可能な装置形状評価
図4(a)〜(c)で示されるマイクロチップ10を、粒子分離装置の計算モデルとして作成した。流路13の深さはすべて3.2μmとした。流路13の端部に、基板11の上面に貫通するインレット14a、14b、アウトレット15、23(それぞれ穴の径1.5mm)を設けた。また、狭窄流路16と拡大流路17との角度24a、24bが90°で、流路13は分岐流路18a(幅20μm、長さ1.5mm)、分岐流路18b(幅40μm、長さ500μm)、狭窄流路16(幅3.0μm、長さ20μm)、拡大流路17(幅215μm、長さ6.15mm)、ドレイン流路22(幅300μm、長さ1.3mm)の流路とした。
粒子分離装置形状をDesignModeler(ANSYS社製)にて作成後、AnsysMeshing(ANSYS社製)にて、約600万個のメッシュに細分化した。細分化された粒子分離装置モデルをFluent(ANSYS社製)にインポートし、流体の輸送方程式であるナビエ・ストークス式を数値的に解析することにより、サンプル液、シース液及びその混合液の流れ場、圧力場を推算した。なお、サンプル液とシース液の流量条件はそれぞれ5μL/h、95μL/hと10μL/h、180μL/hとなるよう設定した。
サンプル液とシース液の流量条件がそれぞれ5μL/h、95μL/hと10μL/h、180μL/hの粒子分離装置モデルについて、CFD解析結果より、拡大流路17近傍の速度ベクトル情報を抽出した結果をそれぞれ図6、図7に示す。これらの結果から、拡大流路17近傍において渦流が発生していない様子が確認できた。
比較例1:数値流体力学(CFD)シミュレーションによる拡大流路17での渦流が抑制不能な装置形状評価
実施例1の条件で作成した計算モデルでサンプル液とシース液の流量条件はそれぞれ20μL/h、360μL/hとなるよう設定しCFD解析を行った。
サンプル液とシース液の流量条件はそれぞれ20μL/h、360μL/hの粒子分離装置モデルについて、CFD解析結果より、拡大流路17近傍の速度ベクトル情報を抽出した結果を図8に示す。この結果から、拡大流路17近傍において渦流が発生している様子が確認できた。
(レイノルズ数変化率の計算)
図3(a)に示すモデルを用いてレイノルズ数変化率dRe/dxを算出した。計算に用いる流路幅w(x)を狭窄流路幅+円弧と設定し、レイノルズ数変化率の算出は下式に従って行った。
式(1)Re = ρUDh/μ
式(2)U = Q/hw(x)
式(3)Dh = 2hwx/(h + w(x))
式(4)w(x) = wp +2 (π − θ)x
式(1)に式(2)、(3)を代入して
式(5)Re = 2ρQ/(μ(h + w(x))
式(5)に式(4)を代入し、xについて微分すると
式(6)dRe/dx = (4ρQ(θ − π))/μ(h + wx)
ここで、ρは密度、Uは流速、Dhは水力直径、μは粘度、Qは流量、wpは狭窄流路幅、hは流路高さ、θは角度24a=角度24bとし、計算に用いた密度は1006kg/m、粘度は0.000882Pa・sとし、流路深さ、狭窄流路幅は各実施例記載の値を用いた。
実施例1、比較例1に対して上述の式を用いて計算を行い、変化率が最も大きいx=0の時のdRe/dxを表1にまとめた。
Figure 2020025900
渦流が抑制される条件(実施例1)ではdRe/dx=−9.84.18×10となることから、dRe/dxが−9.84×10以上となる条件であれば渦流れを抑制可能となることが分かる。
(圧力損失の計算)
図3(a)に示すモデルを用いて圧力損失を算出した。圧力損失ΔPの計算は下式に従って行った。
式(1)ξ=67.6×10−6×θ2.17
式(2)ΔP=ξρu2/2
ここで、ξは損失係数、θは角度24b、ρは密度、uは狭窄流路内の流速とし、計算に用いた密度は1006kg/mを用いた。
実施例1、比較例1に対して上述の式を用いて計算を行い、圧力損失ΔPを表2にまとめた。
Figure 2020025900
渦流が抑制される条件(実施例1)では圧力損失ΔP=17.89kPaとなることから、ΔPが17.89kPa以下となる条件であれば渦流れを抑制可能となることが分かる。
10 マイクロチップ
11 基板
11a 基板下面
12 基板
13 流路
14a、14b インレット
15 アウトレット
15a、15b、15c アウトレット
16 狭窄流路
16a サンプル液側狭窄流路壁面
16b シース液側狭窄流路壁面
17 拡大流路
17a サンプル液側拡大流路壁面
17b シース液側拡大流路壁面
18a、18b 分岐流路
19 拡大開始点
20 検出ライン
21 領域
22 ドレイン流路
23 アウトレット
24a、24b 角度
30 画像取得エリア
31 分岐点
51 狭窄流路幅(Wp)
52 拡大部での流路幅(Wx)
100P 流体
100N 流体

Claims (2)

  1. 一方の末端に流体導入口を備え、もう一方の末端において他の分岐流路と合流する2以上の分岐流路、当該2以上の分岐流路が合流して形成される狭窄流路、及び狭窄流路のもう一方の末端に接続され、流路幅が拡大される拡大流路を有する粒子分離装置を用いた粒子分離方法であって、
    前記狭窄流路から前記拡大流路へ移る起点で、流れのレイノルズ変化率dRe/dxが−9.84×10以上となるように、1の分岐流路の流体導入口から分離対象の粒子を含有する流体を導入し、もう一方の分岐流路の流体導入口から分離対象の粒子を含まない流体を導入することを特徴とする前記方法。
  2. 一方の末端に流体導入口を備え、もう一方の末端において他の分岐流路と合流する2以上の分岐流路、当該2以上の分岐流路が合流して形成される狭窄流路、及び狭窄流路のもう一方の末端に接続され、流路幅が拡大される拡大流路を有する粒子分離装置を用いた粒子分離方法であって、
    前記狭窄流路から前記拡大流路に流れた際の圧力損失ΔPが17.89kPa以下となるように、1の分岐流路の流体導入口から分離対象の粒子を含有する流体を導入し、もう一方の分岐流路の流体導入口から分離対象の粒子を含まない流体を導入することを特徴とする前記方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000512541A (ja) * 1996-06-14 2000-09-26 ユニバーシティ オブ ワシントン 吸収力が向上した差違抽出装置

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