JP7162138B2 - 電子機器 - Google Patents

Description

本発明は、外部の交流電源から供給される電力によって動作する電子機器に関する。

家庭向け商用電源等の交流電源から供給される電力によって動作する電子機器が知られている。通常、このような電子機器を動作させる際には、外付け、又は内蔵の電源ユニットが、交流電源から供給される電力を直流に変換し、電子機器の本体部に変換された直流の電力を供給する。

停電などによって、外部の交流電源から電源ユニットへの電力供給が不意に停止することがある。このような場合、最終的に電源ユニットから電子機器本体部への電力供給も停止し、本体部は動作を継続することができなくなるが、完全に本体部への電力供給が停止してしまう前に、電源ユニット内に蓄積されている電力を利用して本体部の終了処理などを行いたいことがある。そのためには、電源ユニットが電力供給の停止を検出し、そのような事象の発生を本体部に通知する必要がある。しかしながら、電源ユニットからの通知を受け付けるためには、当該通知を伝送するための制御信号線が必要となる。

本発明は上記実情を考慮してなされたものであって、その目的の一つは、外部からの電力供給が停止した場合に、制御信号線を使わずに電力供給の停止に応じた処理を実行することのできる電子機器を提供することにある。

本発明の一態様に係る電子機器は、電源ユニットと本体部とを備える電子機器であって、前記電源ユニットは、外部電源から供給される電力を、第１の電圧値の直流電圧に変換して前記本体部に対して出力する出力部と、前記外部電源からの電力供給が停止した場合に、前記出力部が出力する直流電圧の値を前記第１の電圧値と異なる第２の電圧値に変化させる制御部と、を備え、前記本体部は、前記電源ユニットが出力する直流電圧の値が前記第２の電圧値に変化した場合に、所定の終了処理を実行することを特徴とする。

本発明の一態様に係る電源ユニットは、電子機器本体部に電力を供給する電源ユニットであって、外部電源から供給される電力を、第１の電圧値の直流電圧に変換して前記電子機器本体部に対して出力する出力部と、前記外部電源からの電力供給が停止した場合に、前記出力部が出力する直流電圧の値を前記第１の電圧値と異なる第２の電圧値に変化させる制御部と、を備えることを特徴とする。

本発明の実施の形態に係る電子機器の構成を示す構成ブロック図である。 本発明の実施の形態に係る電子機器の制御内容を説明するタイムチャートである。

以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。

図１は、本発明の一実施形態に係る電子機器１の概略構成を示す構成ブロック図である。電子機器１は、例えばパーソナルコンピュータや家庭用ゲーム機などであって、電源ユニット１０と、本体部２０と、を含んで構成されている。また、電源ケーブル３０を介して外部電源Ｐと接続されている。本実施形態において、外部電源Ｐは家庭向け商用電源等の交流電源であるものとする。

電源ユニット１０は、ＡＣ／ＤＣコンバータ１１と、制御回路１２と、を含んで構成されている。

ＡＣ／ＤＣコンバータ１１は、電源ケーブル３０を介して外部電源Ｐから入力される交流の電力を、所定の電圧値の直流電圧に変換して本体部２０に対して出力する。以下では、外部電源ＰからＡＣ／ＤＣコンバータ１１に入力される交流電圧を入力電圧Ｖｉと表記し、入力電圧ＶｉをＡＣ／ＤＣコンバータ１１が変換して出力する直流電圧を出力電圧Ｖｏと表記する。この出力電圧Ｖｏは、本体部２０が動作可能な電圧である必要がある。通常、出力電圧Ｖｏの大きさは電圧値Ｖ１に設定されているものとする。

制御回路１２は、集積回路等であって、外部電源Ｐからの電力供給が停止した場合に、その旨を検出する。例えば停電が発生したり、あるいはユーザーが電源ケーブル３０を引き抜いたりすることによって、外部電源Ｐから電子機器１への電力供給が突発的に停止することがある。制御回路１２は、入力電圧Ｖｉを監視することによって、外部電源Ｐから電源ユニット１０への電力供給の停止を検出する。制御回路１２が電力供給の停止を検出した場合に実行する制御の内容については、後述する。

なお、電源ユニット１０は、電流の平滑化などのために内部にコンデンサ（不図示）を備えており、外部電源Ｐからの電力供給が行われている間、このコンデンサには電力が蓄積される。外部電源Ｐからの電力供給が停止した場合、電源ユニット１０はこのコンデンサに蓄積されている電力を本体部２０に対して供給することが可能になっている。ただし、このコンデンサに蓄積されている電力は、長時間にわたって本体部２０を動作させることが可能な量ではないものとする。

本体部２０は、電源回路２１と、システム回路２２と、２個の抵抗器Ｒ１及びＲ２とを含んで構成されている。

電源回路２１は、集積回路等であって、電源ユニット１０が出力する出力電圧Ｖｏを、本体部２０内の各部の仕様に応じた電圧に変圧して出力する。本実施形態において電源回路２１は、出力電圧Ｖｏを動作電圧Ｖｒに降圧してシステム回路２２に対して出力する。ここでは図示されていないが、電源回路２１は、本体部２０が備えるシステム回路２２以外の各部に対しても、その動作に必要な電圧を供給するものであってよい。各部に供給される電圧は、動作電圧Ｖｒと同じ大きさの電圧であってもよいし、異なる大きさの電圧であってもよい。システム回路２２を含む本体部２０内の各部は、この電源回路２１から供給される電力によって動作する。

システム回路２２は、集積回路等であって、電源回路２１から供給される動作電圧Ｖｒの電力によって動作する。特に本実施形態では、システム回路２２は外部電源Ｐからの電力供給が停止した場合に、所定の終了処理を実行する。この終了処理は、例えば電力供給の停止が発生したことを示すログデータの書き込み処理や、装置の各部を正常な手順で停止させるシャットダウン処理などであってよい。

ＡＣ／ＤＣコンバータ１１が出力する出力電圧Ｖｏは、抵抗器Ｒ１及びＲ２によって降圧されてシステム回路２２に入力される。以下では、抵抗器Ｒ１及びＲ２によって降圧されてシステム回路２２に入力される電圧を降下電圧Ｖｄと表記する。降下電圧Ｖｄの値は、出力電圧Ｖｏの値に比例する。すなわち、抵抗器Ｒ１と抵抗器Ｒ２それぞれの抵抗値の大きさに応じて決まる比例定数ｒを用いて、出力電圧Ｖｏと降下電圧Ｖｄとの間にＶｄ＝ｒ・Ｖｏの関係が成り立つ。システム回路２２はＡＤコンバータ２２ａを内蔵しており、このＡＤコンバータ２２ａが降下電圧Ｖｄの大きさ（アナログ値）をデジタル値に変換することによって、システム回路２２は降下電圧Ｖｄの大きさを計測する。システム回路２２は、このような降下電圧Ｖｄの計測を継続的に実施することで、出力電圧Ｖｏの変化を検知する。

以下、外部電源Ｐからの電力供給が停止した場合の電子機器１の動作について、説明する。制御回路１２は、外部電源Ｐからの電力供給の停止を検出した場合に、ＡＣ／ＤＣコンバータ１１に対してその出力電圧Ｖｏの大きさを変化させる制御命令を出力する。具体的に制御回路１２は、ＡＣ／ＤＣコンバータ１１の出力電圧Ｖｏの大きさを電圧値Ｖ１からこれと異なる電圧値Ｖ２に変化させる。この電圧値Ｖ２は、電圧値Ｖ１より小さな値であってよい。ただし、電圧値Ｖ２は、電源回路２１が出力電圧Ｖｏに基づいて動作電圧Ｖｒを出力する制御を実現可能な大きさである必要がある。そのため電圧値Ｖ２は、少なくとも動作電圧Ｖｒより大きな値になる。

システム回路２２は、降下電圧Ｖｄの値を監視することによって、出力電圧Ｖｏの変化を検知する。出力電圧Ｖｏの値が電圧値Ｖ１から電圧値Ｖ２に変化すると、出力電圧Ｖｏに比例する降下電圧Ｖｄの値も対応して変化する。具体例として、電圧値Ｖ１＝１２Ｖ、Ｖ２＝１０Ｖ、比例定数ｒが０．２の場合について説明する。制御回路１２は、電力供給の停止を検出した場合に、ＡＣ／ＤＣコンバータ１１の出力電圧Ｖｏを１２Ｖから１０Ｖに変化させる。この変化に伴って、システム回路２２に入力される降下電圧Ｖｄは、２．４Ｖ（＝１２Ｖ×０．２）から２Ｖ（＝１０Ｖ×０．２）に変化する。システム回路２２は、降下電圧Ｖｄの計測値を所定の閾値（例えば２．２Ｖ）と比較することによって、このような出力電圧Ｖｏの変化を検知する。

システム回路２２は、出力電圧Ｖｏが電圧値Ｖ１から電圧値Ｖ２に変化したことを検知すると、外部電源Ｐから電源ユニット１０への電力供給が停止したとみなす。このように、外部電源Ｐからの電力供給が停止した場合に、電源ユニット１０が出力電圧Ｖｏそのものの値を意図的に変化させることによって、電源ユニット１０とシステム回路２２との間を制御信号線で接続せずとも、システム回路２２は電力供給の停止を検知できる。電力供給の停止が検知された場合、システム回路２２は前述した終了処理を実行する。なお、電圧値Ｖ２は、降圧電圧Ｖｄの変化をシステム回路２２が誤検知を起こさずに識別可能な程度に、電圧値Ｖ１と異なる大きさの値とする必要がある。

以上説明した制御の流れについて、図２のタイムチャートを用いて説明する。図２において、上段は電源ユニット１０に入力される入力電圧Ｖｉの時間変化を、中段は電源ユニット１０の出力電圧Ｖｏの時間変化を、下段は電源回路２１がシステム回路２２に供給する動作電圧Ｖｒの時間変化を、それぞれ示している。

図２は、時刻ｔ１に外部電源Ｐからの電力供給が停止したことを示している。この電力供給停止を契機として、制御回路１２はＡＣ／ＤＣコンバータ１１の出力電圧Ｖｏを電圧値Ｖ１から電圧値Ｖ２に変化させる。通常の動作中は電源ユニット１０内に一定量の電力が蓄積されるので、外部電源Ｐからの電力供給が停止しても、電源ユニット１０はこの蓄積された電力を電圧値Ｖ２で供給し続けることができる。出力電圧Ｖｏの電圧値が変化すると、システム回路２２に入力される降下電圧Ｖｄも変化するので、この変化を検知したシステム回路２２は予め定められた終了処理を開始する。

電源回路２１は、出力電圧Ｖｏが電圧値Ｖ１から電圧値Ｖ２に変化した後も、変化前と同様に出力電圧Ｖｏを降圧して動作電圧Ｖｒの電力をシステム回路２２に供給し続ける。システム回路２２は、この電源回路２１から供給される電力を用いて終了処理を実行することができる。

その後、電源ユニット１０内に残留している電力が低下すると、ＡＣ／ＤＣコンバータ１１は出力電圧Ｖｏを電圧値Ｖ２に維持することができなくなり、出力電圧Ｖｏが低下して最終的に電源ユニット１０から本体部２０への電力供給が停止する。図２においては、時刻ｔ２のタイミングで出力電圧Ｖｏが電圧値Ｖ２からさらに低下し始めることとしている。システム回路２２は、時刻ｔ１から時刻ｔ２までの間（すなわち、電源ユニット１０が自身の残留電力によって電圧値Ｖ２の電力供給を継続可能な期間）に、終了処理を終える必要がある。

なお、システム回路２２は、所定の時間内に出力電圧Ｖｏが電圧値Ｖ２よりもさらに低下したことを検知した場合、出力電圧Ｖｏが電圧値Ｖ２に変化した場合とは別の処理を実行してもよい。本実施形態において電源ユニット１０は、通常時には電圧値Ｖ１、外部電源Ｐからの電力供給が停止した場合には電圧値Ｖ２で電力供給を行うこととしている。ここで、出力電圧Ｖｏが電圧値Ｖ２まで低下したタイミングから所定の時間内に、出力電圧Ｖｏが電圧値Ｖ２よりもさらに低い値まで低下した場合、電源ユニット１０の故障など、予期しない異常が発生した可能性がある。そこでシステム回路２２は、降下電圧Ｖｄがｒ・Ｖ２よりも大きな第１の閾値を下回ったことを検知した後、所定の時間内にｒ・Ｖ２よりも小さな第２の閾値をさらに下回ったことを検知した場合、異常事態の発生を示すログデータの書き込み処理を行うなど、前述した終了処理とは異なる別の処理を実行してもよい。

以上説明したように、本実施形態に係る電子機器１によれば、外部電源Ｐからの電力供給が停止した場合に電源ユニット１０が出力電圧Ｖｏの値を変化させ、本体部２０内のシステム回路２２がこの出力電圧Ｖｏの値の変化を検知することによって、電源ユニット１０とシステム回路２２の間で別途制御信号を送受信することなく、電力供給の停止に応じた処理を実行することができる。

なお、本発明の実施の形態は、以上説明したものに限られない。例えば以上の説明では、電源ユニット１０と本体部２０との間の電力供給線は１本だけであることとしたが、電源ユニット１０は複数本の電力供給線を介して本体部２０への電力供給を行ってもよい。この場合電源ユニット１０は、複数本の電力供給線に対して、互いに異なる大きさの電圧値で電力を供給することとなる。この例において電源ユニット１０の制御回路１２は、電源供給の停止を検出した場合、複数本の電力供給線のうち、いずれか一本に対して出力する出力電圧の大きさを所定の値に変化させることとする。システム回路２２は、この一本の電力供給線を経由して出力される電圧値の大きさの変化を検知することによって、電源供給の停止に応じた処理を実行することができる。なお、この場合において電圧値の大きさを変化させる電力供給線は、システム回路２２に対する電力供給に用いられる電力供給線とは別の電力供給線であってよい。この場合、電圧値の大きさを比較的大きく変化させてもシステム回路２２への電力供給に影響が生じないようにすることができ、電圧値の変化を検知しやすくできる。あるいは電源ユニット１０は、システム回路２２に対する電力供給に用いられる電力供給線の電圧値を変化させるとともに、その他の電力供給線からの電力供給は停止するなどの制御を行ってもよい。この場合、システム回路２２は電圧値が変化した電力供給線から供給される電力を用いて終了処理を実行することができる一方で、電源ユニット１０は終了処理に影響しない電力供給線への電力供給をすぐに停止することができ、システム回路２２への電力供給を比較的長時間継続させることができる。

また、以上の説明では、電力供給の停止が検出された際に電源ユニット１０が出力する出力電圧Ｖｏの電圧値Ｖ２は、通常時の電圧値Ｖ１よりも小さな値であることとしたが、電圧値Ｖ２は、電源回路２１がシステム回路２２に対して動作電圧Ｖｒを出力可能な電圧であればよく、電圧値Ｖ１よりも大きな値であってもよい。

また、以上の説明では電源ユニット１０は電子機器１内に内蔵されることとしたが、電源ユニット１０は電子機器１とは独立したユニットであってもよい。具体的に電源ユニット１０は、電子機器１と外部電源Ｐとを結ぶＡＣアダプターなどであってもよい。この場合も、電源ユニット１０が外部電源Ｐからの電力供給の停止を検出した場合に出力電圧Ｖｏの大きさを変化させ、電子機器１はこの出力電圧Ｖｏの変化を検知することによって、電力供給の停止に応じた処理を実行することができる。

１ 電子機器、１０ 電源ユニット、１１ ＡＣ／ＤＣコンバータ、１２ 制御回路、２０ 本体部、２１ 電源回路、２２ システム回路、２２ａ ＡＤコンバータ。

Claims (4)

1. 電源ユニットと本体部とを備える電子機器であって、
   前記電源ユニットは、
   外部電源から供給される電力を、第１の電圧値の直流電圧に変換して前記本体部に対して出力する出力部と、
   前記外部電源からの電力供給が停止した場合に、前記出力部が出力する直流電圧の値を前記第１の電圧値と異なる第２の電圧値に変化させる制御部と、
   を備え、
   前記本体部は、
   前記電源ユニットが出力する直流電圧の値が前記第２の電圧値に変化した場合に、所定の終了処理を実行する
   ことを特徴とする電子機器。
2. 請求項１に記載の電子機器において、
   前記本体部は、前記終了処理を実行する処理回路を備え、
   前記第２の電圧値は、前記第１の電圧値より小さく、かつ前記処理回路の動作電圧よりも大きい値である
   ことを特徴とする電子機器。
3. 請求項１又は２に記載の電子機器において、
   前記本体部は、前記電源ユニットが出力する直流電圧の値が前記第２の電圧値に変化したタイミングから所定の時間内に当該直流電圧の値がさらに低下したことを検知した場合に、前記所定の終了処理とは異なる別の処理を実行する
   ことを特徴とする電子機器。
4. 電子機器本体部に電力を供給する電源ユニットであって、
   外部電源から供給される電力を、互いに異なる電圧値の直流電圧に変換して複数の電力供給線を経由して前記電子機器本体部に対して出力する出力部と、
   前記外部電源からの電力供給が停止した場合に、前記複数の電力供給線のうちの一つを経由して前記出力部が出力する直流電圧の値を、選択的に、前記電力供給が停止する前の電圧値と異なる所与の電圧値に変化させる制御部と、
   を備えることを特徴とする電源ユニット。

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