運航の安全性のために、かつパイロットが正しい滑走路セクションに誘導されるように、本発明の一態様によれば、滑走路セクションをマークするためのデバイスであって、光源と、導光器(light director)とを含む、デバイスが提供される。
着陸航空機を案内するために、導光器は、光源によって放出される、滑走路セクションの上に着陸する航空機に向けて案内される光を抑止するように配置されていることが好ましい。
導光器は、着陸滑走路セクションを示す第1の状態と非着陸滑走路セクションを示す第2の状態との間で調整可能であることが好ましい。
導光器はレンズを含んでいることが好ましい。
導光器は、光源からの光を選択的に遮断する手段を含んでいることが好ましい。
遮断手段は、光源に対して傾斜していることが好ましい。
導光器は、不透明なカバーを含んでいることが好ましい。
導光器は、光を偏光させる手段を含んでいることが好ましく、偏光手段は、偏光フィルターを含んでいることが好ましい。
導光手段は、光源に対して移動可能であることが好ましい。
導光手段は回転可能であることが好ましい。
光源は、滑走路設備の縁部の上に配置されるようになっていることが好ましい。
光源は、滑走路設備の中心線の上に配置されるようになっていることが好ましい。
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載された、滑走路セクションをマークするための複数のデバイスを有する、滑走路セクションをマークするためのデバイスが提供される。
本発明の別の態様によれば、滑走路セクションをマークするためのデバイスであって、滑走路セクションに沿って配置されるようになっている複数の滑走路光源と、それぞれの滑走路光源のための導光器とを含み、導光器は、そのそれぞれの光源によって放出される、前記滑走路セクションの上に着陸する航空機に向けて案内される光を抑止するように配置されており、それによって、前記滑走路セクションを非着陸滑走路セクションとして指定する、デバイスが提供される。そのようなデバイスは、滑走路セクションの安全な独立した運航を可能にする。
導光器は、人工視覚システムを含んでいることが好ましい。人工視覚システムは、ヘッドアップディスプレイ、ヘルメット装着式ディスプレイ、および視覚ディスプレイのうちの少なくとも1つを含んでいることが好ましい。
前記導光器は、光源からの光を前記滑走路セクションの上の航空機に向けて案内するように配置されており、それによって、前記滑走路セクションを離陸滑走路セクションとして指定することが好ましい。
それぞれの導光器は、滑走路セクションに沿う光源の意図される位置に応じて、そのそれぞれの光源に対して傾斜していることが好ましい。
前記滑走路セクションに沿ってより近位の位置に設置されることを目的とした導光器は、前記滑走路セクションに沿ってより遠位の位置に設置されることを目的としたものよりも大きく傾斜していることが好ましい。
本発明の別の態様によれば、滑走路設備であって、第1の滑走路セクションと、第1の滑走路セクションの延長部分に実質的に延びている第2の滑走路セクションであって、滑走路光源とそれぞれの滑走路光源のための導光器とをそれぞれが含む複数の滑走路標識デバイスを有する第2の滑走路セクション、第1の滑走路セクションと第2の滑走路セクションとの間の中間セクションと、を含み、それぞれの導光器は、その導光器のそれぞれの光源によって放出される、前記中間セクションに向けて前記第1の滑走路セクションの上に着陸する航空機に向けて案内される光を抑止するように配置されており、それによって、前記第2の滑走路セクションを非着陸滑走路セクションとして指定する、滑走路設備が提供される。
いずれかの方向への運航を可能にするために、第1の滑走路セクションは、滑走路光源とそれぞれの滑走路光源のための導光器とをそれぞれが含む複数の滑走路標識デバイスを含み、それぞれの導光器は、その導光器のそれぞれの光源によって放出される、前記中間セクションに向けて前記第2の滑走路セクションの上に着陸している航空機に向けて案内される光を抑止するように配置されており、それによって、前記第1の滑走路セクションを非着陸滑走路セクションとして指定することが好ましい。
「長い着陸」が一時的休止することを地元の住民に対して提供可能にするために、導光器は、非着陸滑走路セクションを着陸滑走路セクションとして指定するように調整されるようになっていることが好ましい。
「長い着陸」が一時的休止することを地元の住民に対して提供可能にするために、非着陸滑走路セクションは、非着陸滑走路セクションを着陸滑走路セクションとして指定するために、二次的な照明をさらに含んでいることが好ましい。
導光器は、光が前記非着陸滑走路セクションの上の航空機に向けて案内されるように配置されており、それによって、前記非着陸滑走路セクションを離陸滑走路セクションとして指定することが好ましい。
それぞれの滑走路光源は導光器を含んでいることが好ましい。
それぞれの滑走路標識デバイスは、本明細書に記載されたデバイスであることが好ましい。
本発明の別の態様によれば、滑走路照明システムを有する滑走路設備を運用する方法であって、滑走路設備の第1および第2のセクションに沿って光源を設置することと、第2の滑走路セクションの上に着陸する航空機に向けて案内される第1の滑走路セクションの上の光からの光を抑止するように、導光器を設置することと、それによって、前記第2の滑走路セクションを非着陸滑走路セクションとして指定することとを含む、方法が提供される。そのような方法は、2つの滑走路セクションの安全な独立した運航を可能にする。
滑走路設備は、本明細書に記載された滑走路設備を含んでいることが好ましい。
本発明の別の態様によれば、滑走路設備であって、着陸滑走路セクションとして指定されている第1の滑走路セクションと、離陸滑走路セクションとして指定されている第2の滑走路セクションと、無風(sterile)安全領域と、を含み、第1および第2の滑走路セクションは、無風安全領域によって連結されており、滑走路設備は、第1の滑走路セクションの上の着陸に起因して、航空機に関する進入復行点を含み、進入復行点は、第2の滑走路セクションの開始点から、H/tanθ1を超える距離だけ変位させられており、ここで、Hは、安全な旋回高さであり、θ1は、進入復行に続く上昇の角度であり、Hは、150mを超えており、θ1は、2°を超えている、滑走路設備が提供される。そのような設備は、2つの滑走路セクションの安全な独立した運航を可能にし、それによって、進入復行を実施している着陸航空機は、別の航空機と干渉する可能性が低い。進入復行点は、第1の滑走路セクションの上に物理的な標識を含んでいてよく、または、ソフトウェアによって規定されていてもよい。
進入復行点は、第2の滑走路セクションの開始点から、1500mから4500mの間にあることが好ましい。進入復行点は、第2の滑走路セクションの開始点から、2500mから3500mの間にある。進入復行点は、第2の滑走路セクションの開始点から、おおよそ3000mにあることが好ましい。
進入復行点は、前記第1の滑走路セクションの上にマークされた着陸末端であることが好ましい。
着陸末端は、第2の滑走路セクションの開始点から、100mから1500mの間にあることが好ましい。着陸末端は、第2の滑走路セクションの開始点から、100mから1000mの間にあることが好ましい。着陸末端は、第2の滑走路セクションの開始点から、300mから800mの間にあることが好ましい。着陸末端は、第2の滑走路セクションの開始点から、500mから800mの間にあることが好ましい。
着陸末端は、第2の滑走路セクションの開始点から850m未満にあることが好ましい。
着陸末端は、実質的に第2の滑走路セクションの開始点にあることが好ましい。
第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションに対してある角度で配置されていることが好ましい。
本発明の別の態様によれば、滑走路設備の上の安全な進入を決定する方法であって、滑走路設備は、着陸滑走路セクションとして指定されている第1の滑走路セクションと、離陸滑走路セクションとして指定されている第2の滑走路セクションと、無風安全領域とを含み、第1および第2の滑走路セクションは、無風安全領域によって連結されており、方法は、進入復行点を指定することと、第2の滑走路セクションの開始点から、H/tanθ1を超える距離だけ変位させられているとして、進入復行点を決定することであって、ここで、Hは、安全な旋回高さであり、θ1は、進入復行に続く上昇の角度である、進入復行点を決定することと、を含む方法が提供される。そのような方法は、進入復行を実施している着陸航空機が、離陸滑走路セクションから出発する別の航空機と干渉する可能性を低減させる。
好ましくは、Hは、150mを超えており、θ1は、2°を超えている。
本発明の別の態様によれば、滑走路設備であって、第1の滑走路セクションと、第2の滑走路セクションと、無風安全領域と、を含み、第1および第2の滑走路セクションは、無風安全領域によって連結されており、第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションに対してある角度で配置されている、滑走路設備が提供される。
例えば、住宅地を含む市街地の解体の必要性を未然に防ぐとともに、地元の住民に安心感を与えることによって、滑走路設備の幾何学形状は、地元の環境に利益を提供することが可能である。さらに、計器着陸システム(ILS)などの地上の航空機安全機器が、第1の滑走路セクションまたは第2の滑走路セクションのいずれかに進入している航空機への見通しを有するように配置されていてもよい。
第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションに対して、実質的に0.1~10度で、好ましくは、実質的に0.25~10度で、好ましくは、実質的に1~5度で、より好ましくは、実質的に2~3度で配置されていることが好ましい。
第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションから横方向にずれており、横方向のずれは、第2の滑走路セクションが角度を付けられている方向と反対側の方向になっていることが好ましく、それによって、第1および第2の滑走路セクションを利用する航空機間の干渉を減少させていることが好ましい。
安全性のバランスを取るために、かつ空港ターミナルへのおよび空港ターミナルからの航空機に関する地上走行距離を最小化するために、第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションの幅の4分の1倍から2倍の間だけ、好ましくは、50mから100mだけ、より好ましくは、60mから80mだけ、第1の滑走路セクションから横方向にずれていることが好ましい。
滑走路設備は、第1の滑走路セクションに対して実質的に平行な、横方向にずれた滑走路セクションをさらに含んでいてよく、第1の滑走路セクションに対して実質的に長手方向に整列していることが好ましい。
滑走路設備の安全運航範囲の中の土地を効率的に使用するために、第2の滑走路セクションは、横方向にずれた滑走路セクションに向けて、安全領域から傾斜していることが好ましい。
安全を確保するために、かつ航空機の衝突または破壊を防止するために、横方向にずれた滑走路セクションは、第1の滑走路セクションから横方向にずれており、それにより、横方向にずれて並んだ滑走路の中心線が、第2の滑走路セクションとは交差しないようになっていることが好ましく、滑走路設備は、不等式D>L・sin(θ)またはD+O>L・sin(θ)を満たしていることが好ましい。好ましくは、Dは、長手方向に整列している滑走路間の横方向の間隔であり、Lは、第2の滑走路セクションの長さであり、θは、第2の滑走路セクションが角度を付けられている角度であり、Oは、第1および第2の滑走路セクションの横方向のずれである(これらは、下記にさらに規定されている)。
土地効率の良い様式で空港の収容能力を改善するために、実質的に第1の滑走路セクションの延長部分である第3の滑走路セクションが設けられ、それによって、好ましくは、「y字形状の」滑走路設備を形成していることが好ましく、第1および第3の滑走路セクションは、無風安全領域によって連結されていることが好ましい。
第1の滑走路セクションと第3の滑走路セクションとの間の無風安全領域は、第1の滑走路セクションと第2の滑走路セクションとの間の無風安全領域に連結されていてもよい。
第3の滑走路セクションは、前記第1の滑走路セクションから横方向にずれており、横方向のずれは、第2の滑走路セクションの角度に対して反対側の方向になっており、それによって、好ましくは、第1および第3の滑走路セクションの同時使用をすることができることが好ましい。
第3の滑走路セクションは、前記第1の滑走路セクションの近位にある滑走路セクションの端部に、無風安全領域を含んでいることが好ましい。
第3の滑走路セクションの端部における無風安全領域は、第1の滑走路セクションと第2の滑走路セクションとの間の無風安全領域に実質的に整列していることが好ましい。
第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションから横方向にずれていることが好ましく、それは、結果的に、環境的な破壊を、例えば、市街地から離れるようにずらしている。
滑走路設備は、さらに横方向にずれた2つの滑走路セクションをさらに含み、さらに横方向にずれた2つの滑走路セクションは、第1および第2の滑走路セクションの少なくとも一方に対して実質的に平行であり、第1および第2の滑走路セクションの少なくとも一方に対して実質的に長手方向に整列していることが好ましく、それによって、好ましくは、例えば、住宅地を含む複数の市街地の解体の必要性を防止し、航空機の収容能力も改善しながら、より幅広い地元の住民に安心感を与える。
本発明の別の態様によれば、滑走路設備であって、第1の滑走路セクションと、第2の滑走路セクションとを含み、第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションから横方向にずれており、第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションと長手方向に重なっており、重なっていないセクションが、離陸セクションまたは着陸セクションとして使用するためのものである、滑走路設備が提供される。
例えば、住宅地を含む市街地の解体の必要性を未然に防ぐとともに、地元の住民に安心感を与えることによって、滑走路設備の幾何学形状は、地元の環境に利益を提供することが可能である。さらに、ILSなどの地上の航空機安全機器が、第1の滑走路セクションまたは第2の滑走路セクションのいずれかに沿って移動している航空機への見通しを有するように配置されていてもよい。
一般的に、安全性のために、着陸セクションは、重なっているセクションに向けて方向付けされていてもよく、離陸セクションは、重なっているセクションから離れるように方向付けされている。
重なっているセクションは、300mから900mの間の長さであり、好ましくは、実質的に400m~600mの長さであることが好ましい。
重なっているセクションは、無風安全領域であることが好ましく、無風安全領域は、滑走路設備の通常使用の間には、地上の航空機がいないころが好ましく、それによって、好ましくは、重なっているセクションが、緊急時、または例外的な事態において、航空機による使用のために利用可能になることが可能になる。
安全性のバランスを取るために、かつ空港ターミナルへのおよび空港ターミナルからの航空機に関する地上走行距離を最小化するために、第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションの幅の4分の1倍から2倍の間だけ、好ましくは、50mから100mだけ、より好ましくは、60mから80mだけ、第1の滑走路セクションから横方向にずれていることが好ましい。
第1の滑走路セクションを横切って第2の滑走路セクションの近位端部へアクセスすることを可能にするように、無風安全領域の外側の誘導路が設けられていることが好ましい。
飛行経路の交差地点を回避するために、第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションに対して実質的に平行になっていることが好ましい。
第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションに対してある角度で配置されていることが好ましく、それによって、好ましくは、地元の環境および住民に対して第2の滑走路設備の使用が有することとなる影響をシフトさせる。
好ましくは、第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションに対して、実質的に0.1~10度で、好ましくは、実質的に0.25~10度で、好ましくは、実質的に1~5度で、より好ましくは、実質的に2~3度で配置されていてもよい。第2の滑走路の長さに関して、第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションに対して傾斜しており、飛行経路または滑走路設備に対する拡張が地元の環境または地元の住民に害を及ぼすことを回避するようになっていることが好ましい。
本発明のさらなる態様によれば、滑走路設備を設置する方法であって、第1の滑走路セクションを提供するステップと、第2の滑走路セクションを設置するステップと、無風安全領域を設置するステップと、を含み、第1および第2の滑走路セクションは、無風安全領域によって連結されており、第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションに対してある角度で配置されている、方法が提供される。
それによって、特に(例えば、地理的制約または社会的制約に起因して)拡張がそうでなければ制限される場合に、空港滑走路設備の拡張は可能になる。
地元の環境の潜在的な破壊を回避するために、第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションから横方向にずれており、横方向のずれは、第2の滑走路セクションの角度に対して反対側の方向になっていることが好ましい。
実質的に2倍の収容能力を可能にするために、さらに横方向にずれた2つの滑走路セクションを設置する追加的なステップであって、第1のおよび第2の滑走路セクションの少なくとも一方に対して実質的に平行になっているとともに、第1のおよび第2の滑走路セクションの少なくとも一方に実質的に整列しているさらに横方向にずれた2つの滑走路セクションを設置する追加的なステップが設けられていることが好ましい。
収容能力を増加させるために、第1の滑走路セクションに対して実質的に平行であるとともに、第1の滑走路セクションに対して実質的に整列している、さらに横方向にずれた滑走路セクションがさらに設置されることが好ましく、第2の滑走路セクションは、好ましくは第1の滑走路セクションから、さらに横方向にずれた滑走路セクションに向けて傾斜していることが好ましい。第1の滑走路セクションと横方向にずれた滑走路セクションとの間の横方向のずれの距離Dは、1000m~3000mであり、より好ましくは、1,400m~1,600mであることが好ましい。
安全性のために、かつ飛行経路の交差地点を防止するために、横方向にずれた滑走路セクションは、第1の滑走路セクションから横方向にずれており、それにより、横方向にずれた滑走路の中心線が、第2の滑走路セクションとは交差しないようになっていることが好ましく、滑走路設備は、不等式D>L・sin(θ)またはD+O>L・sin(θ)を満たしていることが好ましい。
土地を効率的に使用しながら収容能力を改善するために、実質的に第1の滑走路セクションの延長部分である第3の滑走路セクションが設置されることが好ましく、それによって、好ましくは、「y字形状の」滑走路設備を形成しており、第1および第3の滑走路セクションは、無風安全領域によって連結されていることが好ましい。
第1の滑走路セクションと第3の滑走路セクションとの間の無風安全領域は、第1の滑走路セクションと第2の滑走路セクションとの間の無風安全領域に連結されている。
第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションから横方向にずれていることが好ましい。
本発明のさらなる別の態様によれば、滑走路設備を設置する方法であって、第1の滑走路セクションを設置するステップと、第2の滑走路セクションを設置するステップと、を含み、第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションから横方向にずれており、第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションと長手方向に重なっており、重なっていないセクションが、離陸セクションまたは着陸セクションとして使用するためのものである、方法が提供される。
それによって、特に(例えば、地理的制約または社会的制約に起因して)拡張がそうでなければ制限される場合に、空港滑走路設備の拡張は可能になる。
効率のために、着陸セクションは、重なっているセクションに向かう方向に使用するために指定されており、離陸セクションは、重なっているセクションから離れる方向に使用するために指定されていることが好ましい。
安全性のために、重なっているセクションは、無風安全領域であることが好ましく、無風安全領域は、滑走路設備の通常使用の間には地上の航空機がいないことが好ましい。
第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションの幅の4分の1倍から2倍の間だけ、好ましくは、50mから100mだけ、より好ましくは、60mから80mだけ、第1の滑走路セクションから横方向にずれていることが好ましい。
好ましくは無風安全領域に進入する必要なしに、第1の滑走路セクションを横切って第2の滑走路セクションの近位端部へアクセスすることを可能にするように、無風安全領域の外側の誘導路が指定されることが好ましい。
飛行経路の交差地点を防止するために、第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションに対して実質的に平行に設置されることが好ましい。
第2の滑走路セクションは、第1の滑走路セクションに対してある角度で設置されてもよい。
本発明のさらなる態様によれば、航空機のための空港滑走路設備を運用する方法であって、第1の滑走路セクションに沿って移動するように航空機に指示するステップと、第2の滑走路セクションに沿って移動するように航空機に指示するステップであって、第1の滑走路セクションに沿って移動するように指示された航空機に対してある角度で移動するか、第1の滑走路セクションに沿って移動するように指示された航空機から横方向にずれて移動するか、あるいは、第1の滑走路セクションに沿って移動するように指示された航空機に対してある角度でかつ横方向にずれて移動するように航空機に指示するステップと、第1の滑走路セクションと第2の滑走路セクションとの間に無風安全領域を設置するステップと、を含む、方法が提供される。したがって、航空機の飛行経路を、市街地を回避するように案内することができる
第1の滑走路セクションに沿って移動するように航空機に指示するステップは、好ましくは安全領域に向かって着陸するように航空機に指示することを含んでいることが好ましい。
第2の滑走路セクションに沿って移動するように航空機に指示するステップは、好ましくは安全領域から離れて離陸するように航空機に指示することを含んでいることが好ましい。
空港滑走路設備の地元の人に安心感を提供するために、第1および第2の滑走路セクションの少なくとも一方に沿って移動するように航空機が指示された方向は、定期的に、好ましくは毎日、逆にされることが好ましい。
安全性のために、好ましくは通常の運航の下で、安全領域に進入することなく、第1または第2の滑走路セクションへ地上走行するように航空機に指示するステップをさらに含んでいることが好ましい。
航空機は、第1の滑走路セクションに対して平行であるか、第1の滑走路セクションから横方向にずれているか、あるいは、第1の滑走路セクションに対して平行でかつ横方向にずれている第3の滑走路セクションに沿って移動するように指示されることが好ましい。
安全性のために、かつ地域住民に安心感を提供するために、航空機は、第1、第2、および第3の滑走路セクションの少なくともいずれかに進入するか、第1、第2、および第3の滑走路セクションの少なくともいずれかから離陸するか、あるいはその両方において、カーブした経路に沿って移動するように指示されることが好ましい。
好ましくは、第1および第2の滑走路セクションは、(例えば、長い着陸、長い離陸、または、緊急のときのために)単一の拡張された滑走路として使用されてもよく、第1および第2の滑走路セクションは、実質的に互いの延長部分に延びている。
本発明の別の態様によれば、上記に記載の滑走路設備を含む空港が提供される。その空港は英国のロンドン・ヒースロー空港であることが好ましい。
本発明の別の態様によれば、航空機と、本明細書に記載された滑走路設備と、本明細書に記載された航空交通制御システムとの少なくとも一方と、を含む、空港システムが提供される。
本発明のさらなる別の態様によれば、航空交通を制御する方法であって、好ましくは上述の運用の方法に従って空港滑走路設備を運用する方法であり、航空機は、滑走路設備に案内されるか、滑走路設備から案内されるか、あるいはその両方である、方法が提供される。
本発明は、本明細書に記載および図示の少なくとも一方がされる任意の新規な態様または特徴にまで及ぶ。
本発明のさらなる特徴は、他の独立項および従属項によって特徴づけられる。
本発明の一態様における任意の特徴は、任意の適切な組み合わせにおいて、本発明の他の態様に適用されてもよい。特に、方法の態様は、装置の態様にも適用することができ、その逆も可能である。
さらに、ハードウェアに実装される特徴は、ソフトウェアに実装されてもよく、その逆も可能である。ソフトウェアおよびハードウェアの特徴に対する本明細書での参照はいずれも、そのように解釈されるべきである。
本明細書で説明される任意の装置の特徴もまた、方法の特徴として提供されてもよく、その逆も可能である。本明細書で用いられるように、ミーンズプラスファンクションの特徴は、代替として、適切にプログラムされたプロセッサおよび関連するメモリなどの、対応する構成の用語で表現されてもよい。
本発明の任意の態様において説明および規定された様々な特徴の特定の組み合わせが実装され、供給され、独立して使用されてもよいことが理解されるであろう。
本明細書において、特に明記しない限り、「または(or)」という用語は排他的な意味または包括的な意味のどちらに解釈されてもよい。
さらに、ハードウェアに実装される特徴は、一般的に、ソフトウェアにも実装されてもよく、その逆も可能である。ソフトウェアおよびハードウェアの特徴に対する本明細書での参照はいずれも、そのように解釈されるべきである。
本発明は、添付の図面を参照して本明細書で説明されるような、滑走路設備、滑走路設備を設置する方法、滑走路設備を運用する方法、空港、および、航空交通を制御する方法に実質的に拡張される。
ここで、本発明の好適な特徴が、単なる一例として、添付の図面を参照して説明される。
この説明中で用いられる「滑走路」という用語は、好ましくは、航空機が離陸および着陸の少なくとも一方を行うために用いられ、規制および安全当局によって指定および認定された領域を指す。一般的には、これは、滑走路として(すなわち誘導路などとは別に)区画され、適切な硬い表面で覆われた領域である。
全体を通して、「無風」という用語は、好ましくは、通常の運航の下で(すなわち、緊急時および悪条件を除いて)、地上走行しているかまたは操縦されている航空機を含むいかなる地上の航空機も存在しないことになる領域の指定を表すために使用される。
さらに、「安全領域」という用語、または、これと交互に用いられる(「中間安全領域」(「ISAs」)または「中間安全セクション」(「ISSs」)を含み得る)「無風安全領域」という用語は、好ましくは、安全の目的のために無風状態である滑走路の領域またはセクションを含意している。安全領域として指定されている領域は、通常の運航の間には使用されないが、アンダーシュート、オーバーシュート、滑走路からのエクスカーション、長い着陸、または、長い離陸の際にのみ使用されることが好ましく、滑走路を横切って操縦するケースでは使用されないことが好ましい。安全領域は、可変であるか、または移動可能であることが好ましい。例えば、滑走路全体が航空機操縦のために使用される際に(例えば、離陸または着陸など)、安全領域は、除去可能であるか、または可変であることが好ましい。滑走路のそれぞれのセクションは、適切にマークされ、それにより、航空機のパイロットは、到着航空機および出発航空機用にそれぞれ指定されている滑走路のセクションが開始および終了する場所を理解することができる。当業者は、当技術分野で現在知られている多種多様な滑走路の標識および照明が適切であるということを認識するであろう。本明細書において安全領域に関する「中間」という用語は、例外的な事態または悪条件の場合だけであるが、中間安全領域によって連結された滑走路セクション間で中間安全領域を介して航空機が操縦される表面を提供することで滑走路セクション同士を連結するように、安全領域が滑走路セクション間にあるということを意味していることが好ましい。
下記の説明において、「長手方向の長さ」または「長さ」という用語は、着陸時または離陸時に航空機が通常移動する滑走路に沿った長さをいうことが好ましい。「横方向の幅」または「幅」という用語は、長手方向の長さと直交する方向に測った、滑走路または滑走路群の幅をいうことが好ましい。
旅客機用の既存の民間航空機専用空港は、単一の滑走路に比べて収容能力を増大させるために、2つ以上の滑走路を有する場合が多い。これらの滑走路の構成は、(数ある要因の中でも)空港のターミナルのレイアウト、利用可能なスペース(土地)、周りの地理的条件、および一般的な気象条件に依存する。
図1は、2つの滑走路102,104を使用する既存の空港設備100の一例を示している。この設備は、通常の使用において他の運航を妨げないように、2つの滑走路102,104が十分に離れており、各滑走路がターミナル106または航空機駐車スタンドに近い場合に一般的である。各滑走路は、着陸または離陸滑走路として、または航空機が同じ滑走路を着陸および離陸の両方のために交互に用いて航空機が同じ方向に移動する混合モードとして指定される場合が多い。そのような指定は、恒久のものではなく、例えば、1日の中の時間や風の条件によって変更することができる。
そのような既存の設備に3つ目の滑走路(点線で示された滑走路108)を加えると、必然的に、滑走路108-1で示されるように、運航を妨害するか、または、滑走路108-2で示されるように、ターミナル106または航空機駐車スタンドから長い距離地上走行しなければならなくなる。この設備では、滑走路108-2とターミナルまたは航空機駐車スタンドとの間を地上走行する際に、航空機が滑走路102を横断しなければならない場合もある。そのような追加の滑走路の設備は、航空機が他の滑走路から進入または出発している他の航空機の飛行経路を横切らなければならない場合もあるため、(航空機が進入または着陸を中止して、もう一度着陸を試みるために折り返す)「着陸復行」をより危険にする可能性がある。
民間旅客機が民事の規制下で運航するための代替の滑走路設備が、図2(a)に示されており、1つの滑走路が、中間領域210-3により分離された2つのセクション202-1,202-2に分割されている。示された例では、第1の滑走路セクション202-1は、着陸滑走路として用いられ、第2の滑走路セクション202-2は、離陸滑走路として用いられる。この設備の全滑走路長は、航空機が滑走路の各セクションから同時に着陸および離陸できるようにするため、図1に示されたものよりも長い。滑走路の各端部には、規制および安全当局により要求されるように、アンダーシュート、オーバーシュート、または滑走路からのエクスカーションが起きた際に航空機がダメージを受けるリスクを低減するために、(滑走路端安全領域(RESAs)とも呼ばれる)安全領域210-1,210-2が設けられている。同じ目的を満たすため(つまり、好ましくは、アンダーシュート、オーバーシュート、または滑走路からのエクスカーションが起きた際に、航空機がダメージを受けるリスクを低減するため)に、類似の中間安全領域210-3が、滑走路の2つのセクションの間の境界に設けられている。
「着陸復行」が、図2aに示されており、進入または着陸が中止された際に、着陸航空機がどのようにして滑走路から折り返して離れるかが示されている。これは、着陸セクション202-1の開始点において生じるため、出発航空機との衝突を避けることができる。
図2(a)は、中間安全領域のそれぞれの側にある同じ長さの複数の滑走路セクションを示している。しかしながら、中間安全領域の位置は固定ではなく、それにより、運航要求に応じて、滑走路セクションの長さがそれぞれの側で延びたり縮んだりすることができる。安全領域210は、それらの寸法および位置の少なくとも一方に関して、風の向きと着陸および出発航空機の空間的な条件に応じて、調整可能である。
この滑走路設備はまた、逆の運航方向に用いること、すなわち、滑走路セクション202-1を離陸滑走路として用い、滑走路セクション202-2を着陸滑走路として用いることが可能である。使用時に、滑走路セクション202の運航方向は切り替え可能であることが好ましい。
図2には、参照番号200により識別された、民事の規制下での民間旅客機の運航のための滑走路設備が示されており、そこには、一対の滑走路が設けられている。示された例において、第1の滑走路セクション202-1,204-1は、着陸滑走路として用いられ、第2の滑走路セクション202-2,204-2は離陸滑走路として用いられている。この設備の各滑走路の全長は、航空機が滑走路の各セクションから同時に着陸および離陸することを許容するために、図1に示されたものよりも長い。
滑走路の各端部には、規制および安全当局により要求されるように、アンダーシュート、オーバーシュート、または滑走路からのエクスカーションが起きた際に航空機がダメージを受けるリスクを低減するために、(滑走路端安全領域(RESAs)とも呼ばれる)安全領域210-1,210-2,210-3,210-4が設けられている。滑走路の2つのセクションの間の境界には、同様の目的を満たすとともに、2つの滑走路セクション202-1,202-2の完全に独立した運航を可能にするために、同様の中間安全領域210-5および210-6が設けられている。滑走路の各セクションは、適切にマークされ、それにより、航空機のパイロットが、到着航空機および出発航空機用にそれぞれ指定されている滑走路のセクションが開始および終了する場所を理解することができる。当業者は、現在、当技術分野で知られている滑走路の多種多様な標識および照明が適切であることを理解するであろう。安全領域210は、滑走路上の関連する標識(例えば、照明)を調整することによって、移動可能/可変であることが好ましい。安全領域210は、通常の運航状態では無風であることが好ましく、地上走行しているかまたは操縦されている航空機を含むいかなる地上の航空機も存在しないことが好ましい。安全領域210は、地上走行をしていたり、滑走路を横切って操縦されていたりする航空機が存在しないことが好ましい。
一例において、1つの同じ中間安全領域が、着陸および離陸のために用いられる。オーバーシュートのような緊急の場合に、滑走路のより長い延長部分が必要とされると、中間安全領域(一般的には、例えばライトのような一組の滑走路標識の形態)が滑走路の延長部分として指定されるように変化する。一例において(与えられた数値は、最も近い5%または10%に近似している)、全長6400mの滑走路は、長さ2800mの第1滑走路セクションと、長さ400mの中間安全領域と、長さ3200mの第2滑走路セクションとを有している。あるいは、滑走路は、長さ2600mの第1滑走路セクションと、長さ400mの中間安全領域と、長さ3200mの第2滑走路セクションとを有してもよい。さらなる代替の例において、滑走路は、長さ2800mの第1滑走路セクションと、長さ600mの中間安全領域と、長さ3200mの第2滑走路セクションとを有していてもよい。上記の複数の例のそれぞれは、少なくとも2組の標識が、滑走路の長さおよび滑走路設備の運航方向の少なくとも一方の調整に対応するために用いられる。中間安全領域は、離陸用には不要であることが好ましく、着陸用に必要であることが好ましいため、中間安全領域の長さ(例えば、上記の例によれば600mまたは400mの追加の長さ)または中間安全領域の長さの一部によって延長するために、離陸滑走路の長さが利用可能である。中間安全領域の指定は、滑走路設備の異なる運航方向のために可変である。少なくとも2つの中間安全領域、または2つの隣接するペア(例えば、西方運航用の1つのペアと、東方運航用の他のペア)に4つの中間安全領域があることが好ましい。複数の構成部分に分割されて、中間安全領域と、滑走路セクションの長さおよび位置の少なくとも一方との調整において大きな粒度を可能にするために、中間安全領域が利用可能であることが好ましい。
図2(b)は、中間安全領域210-5,210-6の両側にある同じ長さの滑走路セクションを示している。しかしながら、中間安全領域の位置は固定ではなく、それにより、運航上の要求に従って、滑走路セクションの長さを延長したり短くしたりすることができる。
「着陸復行」は、図2(b)において両方の着陸滑走路について示されており、進入または着陸が中止される際に、どのように着陸航空機が滑走路から折り返して離れるかが示されている。これは、着陸セクション202-1,204-1の開始点において発生するため、出発航空機との衝突を避けることができる。
この滑走路設備は、逆の運航方向で用いることが可能である。すなわち、滑走路セクション202-1,204-1は、離陸滑走路として用いられ、滑走路セクション202-2,204-2は着陸滑走路として用いられることができる。このような方法で滑走路の運航方向を逆にすることは、風向きが変化する場合、または、例えば空港の周囲の領域で航空機騒音を制限するために、1日のうち時間によって異なる方向の進入が好ましい場合、特に有利であろう。安全領域210の位置およびサイズの少なくとも一方の調整に自由度があるために、双方向の運航が容易となる。
破線は、地上における誘導路212からの典型的な航空機の動きおよび地上における誘導路212への典型的な航空機の動きを示している。当業者には、航空機の地上における動きは、実際には示されているよりも複雑であるが、到着航空機および出発航空機の地上の動きが衝突することなく可能であることが理解されるであろう。
下記の表1は、図2(a)および図2(b)中の滑走路設備の例の寸法を示している。
表1に提供される長さは、単に一例であり、滑走路を利用する航空機の種類や利用可能なスペースなどの様々な要因に依存する。例えば、滑走路セクションは、1000mから8000mの間の長さであってよく、2000mから4000mの間の長さであることが好ましい。同様に、RESAsおよび中間安全領域の寸法は、現地の規制要件によって規定されているように、より長くてもより短くてもよい。好ましい一例において、それらは240mから600mの間の長さであるが、1500m以上の長さであることが好ましい。中間安全領域は、少なくとも175m、180m、200m、240m、250m、または300mの長さであることが好ましい。さらに、滑走路間隔(d)は、現地の規制によって規定されている場合が多く、より長くてもより短くてもよい。
空港において、既存の滑走路および誘導路の長さを延長することによって、図2(a)および図2(b)に示される設備は、空港の周りで航空機騒音の影響を受ける領域を拡大するような全く新たな滑走路を建設する必要なく、実質的に収容能力を拡大することができる。収容能力を増やすことによって空港の効率を改善することは、着陸枠を待っている間、到着航空機が旋回し続ける必要性を低減するため、フライト当たりのCO2排出量を減らすことができる。さらに、示された滑走路設備は、効率および収容能力を増大させ、地上走行する距離を複数の滑走路レイアウトの場合と比較して減らすことができ、航空機が離陸枠を待っている時間を短縮し、フライト当たりのCO2排出量を減らすことができる。
図2(a)および図2(b)に示される設備は、出発航空機が滑走路の離陸セクションに進入することを許される前に着陸航空機が安全なスピードに減速するのを待つように、規制および安全当局が出発航空機に要求する特定の例において、多少制限されることがあるだろう。
図3は、参照番号300によって全体に識別される代替の実施形態を示しており、着陸セクション302-1,304-1は、離陸部302-2,304-2のそれぞれから横方向にずれている。これは、到着航空機と出発航空機の間の認識される起こり得る衝突のリスクを減らす。各滑走路302,304のトータルの幅は、図2(a)および図2(b)の例よりも広くなり(どんな状況であっても、規制および安全当局により要求されるように、図2の例では40mから50mであるのに対して、図3の例では70mから170m、好ましくは85mから95m)、一方、滑走路および誘導路の長さは、図2に示されたのと同様の方法で延びている。
この配置は、既存の滑走路の幅が規制および安全当局により要求されているよりも広く、2つの隣接する平行な滑走路を提供するように、既存の滑走路を縦方向に分割することが可能である場合に特に有利であるだろう。あるいは、既存の滑走路が、要求される幅となるように、一方または両側に広げることが可能であってもよい。
図3(a)、図3(b)、図3(c)、および図3(d)は、この滑走路設備が使用される方法を示している。図3(a)および(b)は、南からの運航が用いられる場合の2つの設備を示しており、図3(c)および(d)は、北からの運航が用いられる場合の対応する滑走路設備を示している。一例において、滑走路の運航様式の図3(a)から図3(c)への切替は、南からの運航から北からの運航への変化を示しており、安全領域の指定は、これに応じて調整される。
中間安全領域の位置および好ましくは長さの少なくとも一方は、様々な配置によって示されるように、運航要求に従って、滑走路セクションの長さがそれぞれの側で延長または短縮されることを許容するように変化する。中間安全領域の長さは、航空機推進ブラスト効果、航空機性能効果、障害制限面(例えば、出発航空機が、地上の航空機の垂直尾翼などの過去の潜在的な障害を十分に除去できるように)などを含む様々な要素に依存して、動的に変化することが好ましい。滑走路および好ましくは中間安全領域の少なくとも一方が異なる長さである例は、軽い/中型の航空機が、より短いセクションから着陸および離陸し、大きい/重い航空機が、より長いセクションから着陸および離陸する場合に有利であるだろう。この設備はまた、より小さい航空機が、直近に着陸/離陸した大きな航空機によって発生した旋風による影響を受ける問題を回避する。これらのセクションの長さは、滑走路設備を使用する航空機の正確な型に合わせられることが可能であり、必ずしも恒久的ではない。表2は、そのようなシナリオの寸法の例を示している。
表2に提供される長さは、単に例示であり、滑走路を使用する航空機の型や利用可能なスペースのような様々な要素に依存する。例えば、滑走路302,304のそれぞれの全長は、3000mおよび8000mの間であってよく、好ましくは4000mおよび6000mの間であってよく、より好ましくは、約5400m(中間安全領域を除く)であってよい。より好ましい例では、長い方の滑走路302-1,304-1は実質的に3200mの長さであり、短い方の滑走路302-2,304-1は、約2200mの長さである。滑走路設備の全長は、少なくとも5000m、6000m、6400m、6600m、6800m、または7000mの長さであることが好ましい。これは、空港の既存の境界を越えて、図7と関連して後述するように騒音の観点から有利である人口密度の低い地域へ滑走路設備を延長することができる。
滑走路の両端部には、規制および安全当局による要求に従って、アンダーシュート、オーバーシュートまたは滑走路からのエクスカーションが発生した場合に航空機がダメージを受けるリスクを低減するために、(滑走路端安全領域(RESAs)とも呼ばれる)安全領域310-1,310-2,310-3,310-4が設けられている。同じ目的を満たすために、類似の中間安全領域310-5,310-6が各滑走路の2つのセクションの間の境界において設けられている。滑走路の各セクションは、航空機のパイロットが、到着および出発用にそれぞれ指定された滑走路のセクションがどこから始まってどこで終わるかが分かるように、適切にマークされている。当業者は、現在、当技術分野で知られている滑走路の多種多様な標識および照明が適切であることを理解するであろう。安全領域310は、滑走路上で関連する標識を調整することによって、移動可能であることが好ましい。
安全領域310は、通常の運航状態では無風であることが好ましく、地上を走行する航空機または操縦されている航空機を含むいかなる地上の航空機も存在しないことが好ましい。安全領域310は、地上走行をしていたり、滑走路を横切って操縦されていたりする航空機が存在しないことが好ましい。
図3(a)、図3(b)、図3(c)、および図3(d)には、両方の着陸滑走路について「着陸復行」が示されており、進入または着陸が中止された際に、着陸航空機がどのようにして滑走路から折り返して離れるかが示されている。このような操縦は「進入復行」と呼ばれてもよい。これは、着陸セクション302-1,304-1の始点(図3(a)および(b))および着陸セクション302-4,304-4(図3(c)および図3(d))において生じるため、出発航空機との衝突を避けることができる。外側の一対の滑走路(図3(a)および図3(b)における302-1,304-1、および図3(c)および図3(d)における302-4および304-4)は、内側の一対の滑走路上で、航空機が出発航空機と衝突せずに滑走路から折り返して離れることができるように、着陸滑走路として指定される。
図2および図3において、安全領域210,310として領域を指定することは、物理的な変化、例えば、照明および滑走路標識の追加と、ユーザインタフェースを介して利用可能な滑走路長をパイロットおよび航空交通管制官へ警告するようなソフトウェア実装の変更との少なくとも一方を含んでいてよい。これらの指定は、ユーザとコンピュータシステムとの少なくとも一方によって変更することができ、コンピュータシステムは、点灯している照明および滑走路上の標識の少なくとも一方を変更して、対応する変化をパイロットおよび航空管制官のためにユーザインタフェース上に表示させる。そのようなシステムは、中間安全領域の位置の柔軟性を可能にするであろう。また、航空機が通常要求されるよりも長い滑走路を必要とする状況においても、中間安全領域の位置が柔軟であり、要求に応じて中間安全領域を滑走路の一部として用いることもできるため、各滑走路の全長を使用することができる。(そのようなシナリオでは、中間安全領域が設けられていない)。しかしながら、そのような配置により、一列に並んだ2つの独立した滑走路セクションを有するものと比較して、増加した収容能力の利得が取り除かれることになる。
着陸を支援するために使用される計器着陸システム(ILS)は、通常、ILSのアンテナが滑走路の先端に位置するように配置されている。図2(a)および図2(b)を参照すると、出発航空機からの潜在的な障害物に加えて、着陸航空機およびILSアンテナの間の距離に起因して、ILS信号の劣化が予想される。滑走路セクション302-1,304-1の滑走路セクション302-2,304-2それぞれからのずれは、図3(a)から図3(d)に示されるように、着陸滑走路セクション(例えば図3(a)中の滑走路セクション302-1,304-1)を越えてILSアンテナが着陸航空機の近くに位置することを可能にする。このようにして、ILSアンテナは、着陸航空機への見通しを確保し、着陸航空機へより接近し、出発航空機から安全に位置がずれている。安全性を改善するために、好ましくは固定されているが、壊れやすいILSエアリアス構造が用いられ、それにより、例えば航空機着陸事故において航空機へのダメージを防止することができる。加えて、ILSアンテナは、航空機の翼との接触を回避するように低地に設けられている。
図4(a)は、上述した滑走路設備を使用する別の方法を示している。早朝や深夜においては、周囲の住民に対する騒音に起因する空港の運用上の制約がある場合がある。
航空機が着陸するだけである間、例えば早朝の間は、1つまたは両方の滑走路の全長が、到着航空機のために利用可能である。したがって、航空機は、任意の滑走路の遠位端に着陸することができ、騒音は実際には滑走路の下方に移動する。これは、長い滑走路については、数千メートルにもなり得る。このように、滑走路は、実際上、地元の住民からさらに遠く離れたこのような臨時的な距離となり、飛行経路上の人々に対する騒音の密度を低減する。図7(a)は、離陸する航空機がない場合に航空機が着陸できる複数の地点702と比較して、航空機が通常着陸する複数の地点700(図2から図4および上記を参照)を示している。
航空機が離陸するだけである間、例えば夕方遅くには、1つまたは両方の滑走路の全長が、出発航空機のために利用可能である。したがって、航空機は、同様に、滑走路の下方から離陸を開始することができる。
図4(b)は、近くの住民704上での、距離xだけ離れたこのような異なる着陸方法の効果を示している。通常の飛行経路706は、住民704の真上を距離dで通過する。「長い着陸」を用いるとき、着陸点は、距離Δxだけずれており、新たな飛行経路708は、この同じ地点上で距離d+Δdにある。この距離は、下記の関係により与えられる。
Δd=Δx・tanθ
下降勾配3°で上記2kmだけ着陸地点を延長することは、飛行経路が約105m高くなることを意味する。これは、地上の騒音レベルに重大な影響を与える。着陸地点がより遠くに延長されるほど、滑走路の開始点から離れた所定の地点において、航空機はより高くなる。この距離は、利用可能な滑走路長によって制限される。2kmは、単なる一例であり、距離は、使用される滑走路に応じて、これより大きくても小さくてもよい。
離陸の際に同様の方法を用いることができ、それにより、航空機が近くの住民の上を通過するときにより大きい距離にまで上昇することができる。そのような運用では、図2から図4に示される中央により近いのとは対照的に、航空機は滑走路の端で離陸を開始する。そのような運用は、航空機の着陸とは独立して発生することになる。
着陸の閾値および安全領域の少なくとも一方の指定は、物理的な変化、例えば、照明および追加の滑走路標識(閾値標識など)の追加または除去を含んでいてよく、パイロットおよび航空管制官に安全領域、滑走路長、位置などを警告すること、場合によっては、ユーザインタフェースを介してパイロットおよび航空管制官に滑走路長を警告するような、ソフトウェアで実装した変化を用いることを含んでいてよい。これらの指定は、ユーザとコンピュータシステムとの少なくとも一方によって変更することができ、コンピュータシステムは、点灯している照明および滑走路上の標識の少なくとも一方を変更して、対応する変化をパイロットおよび航空管制官のためにユーザインタフェース上に表示させる。そのようなシステムにより、滑走路の長さおよび位置の少なくとも一方と、運航方向との柔軟性が高まり、「長い着陸」を容易にすることができる。中間安全領域の位置が柔軟であるだけでなく、必要であるならば中間安全領域もまた滑走路の一部として使うことができるため、各滑走路の全長を使用することができる。
図5(a)は、図2(a)に示す滑走路設備の簡単化されたバージョンを示しており、明確にするために、RESAsなどの詳細は省略されている。第1の滑走路セクション502-1および第2の滑走路セクション502-2は、第1および第2の滑走路セクションの中間にある無風安全領域510によって連結されている(したがって、中間安全領域(ISA)とも呼ばれる)。無風安全領域および図5~図10を参照すると、「連結されている」という用語は、好ましくは、第1の502-1および第2の502-2などの、滑走路セクション間に連続的に延びる領域(事実上、滑走路セクション同士を接続する)を表すために使用されており、航空機は、必要とされる場合には、第1の滑走路セクションと第2の滑走路セクションとの間で、安全領域を介して操縦することができる。1つの例では、無風安全領域510セクションは、300mから900mの間の長さであり、好ましくは、400m~600mの長さである。無風安全領域510が無風状態であるということは、好ましくは、航空機が、一般的には、通常の運航の間に、着陸、離陸、または地上走行のためには、この領域を使用しないということを意味している。したがって、無風安全領域510は、好ましくは、地上の航空機の移動がなく、一般的に、緊急状況のために取っておかれている。
概観すると、図5(b)~図5(e)は、図5(a)に示すものから修正されている滑走路設備を示しており、(図5(b)~図5(e)では)第1の滑走路セクション502-1は、第2の502-2から横方向にずれている。
具体的には、図5(b)は、図5(a)に示す配置の修正例を示しており、それによって、第1および第2の滑走路セクション502-1,502-2の端部は、互いから横方向にずれており、長手方向に重なっている。第1および第2の滑走路セクション502-1,502-2は、(滑走路セクションの端部間で、中心線から中心線へ測定される)距離Oだけ横方向にずれている。横方向のずれは、(例えば、住宅地を含む市街地の解体の必要性を防止することによって)環境的な目的に関して有益であり、地元の住民に安心感を与えることが可能である。これが実現されるためには、重なっていない滑走路の量は、航空機が着陸および離陸の少なくとも一方を行うのに十分でなければならず、重なっている部分は、緊急状況において、または、(例えば、とりわけ重い航空機に関して、または、悪い気象条件の間の)段階的な着陸/離陸のために使用される。滑走路セクションの中のずれに起因して、人工集中地域から離れるように飛行経路をシフトさせることによって、安全面の利点が生じる可能性がある。
図5(c)は、第2の滑走路セクション502-2がターミナルに配置されているよりも、ターミナル106の近くに配置されている第1の滑走路セクション502-1を示している。図5(d)は、図5(c)に関連するが、第2の滑走路セクション502-2よりもターミナル106から遠くに配置されている第1の滑走路セクション502-1を示しており、第1の滑走路セクション502-1は、東方へ延びており、一方、第2の滑走路セクション502-2は、西方へ配置されている。例えば、第1の滑走路セクション502-1が、既存の滑走路であり、西への滑走路設備の拡張が実行可能でない場合(例えば、貯水池、高速道路、または市街地の存在、例えば、英国のロンドン・ヒースロー空港のケースでは、レイズバリー貯水池、ザ・クイーン・マザー貯水池、または、キング・ジョージVI貯水池、および、M25高速道路に対応する可能性がある、貯水池、高速道路、または市街地の存在などの地理的な制約または社会環境的な制約に起因して実行可能でない場合)、図5(c)に示す滑走路設備が使用される。逆に、西への滑走路設備の拡張が実行可能であるときに(したがって、例えば、ロンドン・ヒースロー空港のケースでは、英国のクランフォード、ロンドンなどの市街地の存在に起因して、東への拡張が実行可能でないとき)、第2の滑走路セクション502-2を設けることによって、図5(d)に示す配置が使用される(また、その場合には、第2の滑走路セクション502-2が、第1の滑走路セクション502-1よりもターミナル106の近位に設けられる)。図5(d)は、単一の無風安全領域510-1が、(図5(b)に示すように)長手方向に重なっているセクションと一致する領域から、第1の滑走路セクション502-1と第2の滑走路セクション502-2との間に延びており、それによって、2つの滑走路セクションを連結する場合の1つの例を図示している。
他の例では、図5(c)に示すように、2つの個別の無風安全領域510-1,510-2が指定されている。それぞれの滑走路セクション502は、無風安全領域510を含み、無風安全領域510は、1つの例では、(図5(b)に示すように)重なっているセクションと一致しており、単一の無風安全領域を形成している。1つの例では、長手方向の重なっているセクションは、300mから900mの間の長さであり、好ましくは、400mから700mの間の長さであり、より好ましくは、400mから600mの長さである。
通常の運航では、(実線によって示されている)誘導路Tが使用され、それによって、航空機は、安全領域として指定されていない滑走路の長さだけを利用する。使用時には、航空機は、同じ方向に移動する。すなわち、航空機は、無風安全領域510から離れるように(例えば、図5(b)を参照すると、西方への運航においてセクション502-1を使用し、東方への運航において502-2を使用して)離陸し、無風安全領域に向かって(例えば、図5(b)を参照すると、西方への運航においてセクション502-2を使用し、東方への運航において502-1を使用して)着陸する。また、図4を参照して上記に説明されているように、長い着陸/離陸が実施されてもよい。運航モードに関するさらなる詳細が、下記で表3に提供されている。
例外的な事態(例えば、飛行機がとりわけ重い場合、または、悪い気象条件に起因する場合)には、滑走路セクションの全体長さが使用されてもよい。しかし、上記に議論されているように、そのような事態の下では、独立した運航はできない可能性がある。そのような事態で使用される誘導路T’は、点線によって示されている。例えば、(航空機が図5(b)の左に向かって移動する)西方への運航では、離陸するために追加的な滑走路長さを必要とする航空機は、離陸するために、無風安全領域510-2の外側の下側滑走路セクション502-2を横断し、上側滑走路セクション502-1の無風安全領域を利用することが可能である。同様に、着陸するために、より大きい距離が必要とされる場合には、航空機は、無風安全領域510-2を利用することが可能である。(図5(b)の右に向かう)東方への運航が使用されているときには、正確に類似した配置が存在する。
無風安全領域510は、地上走行の目的のためには使用されない。航空機は、無風安全領域510のいずれかの側を地上走行し、拡張された離陸または着陸を実行するときにだけ通過する(完全に通過する)。滑走路が、上記に説明されているように「例外的な」モードで使用されている場合には、出発および着陸は、航空機が横断することを許容するように、段階的に行われる必要がある可能性がある。例えば、図5(c)を参照すると、第2の滑走路セクション502-2(しかし、その関連の安全領域510-2ではない)が、第1の滑走路セクション502-1の近位端部にアクセスするために横断される。この運航制限は、そのようなフェージング(phasing)が存在していないときに、航空機が無風安全領域510の中に存在する可能性を低くする(例えば、航空管制官が段階的な出発/着陸の手配をしていないときに、パイロットが、拡張された滑走路を使用する許可を得ていると信じている場合)。
別の変形例(図5(e)を参照)では、滑走路セクション502がずらされ得る距離(滑走路セクションの端部間で中心線から中心線へ測定される距離)は、例えば、滑走路の幅の4分の1倍、または、10メートルなど、滑走路幅よりも小さいものから(すなわち、したがって、滑走路セクション502は、図5(e)に示すように横方向に重なっている)、滑走路の幅のおおよそ2倍の距離、または、100mまで変化してもよい。1つの例では、横方向の間隔は、おおよそ、第1の滑走路セクション502-1の幅の距離であり、滑走路セクションが隣接するようになっている。これらの2つの例では、それぞれの滑走路セクションの無風安全領域510は、図5(d)および図5(e)に図示されているように、単一の無風安全領域510へと組み合わせられてもよい。
別の例では、主要な空港における滑走路幅(または、ロンドン・ヒースロー空港に存在するような「コードF」滑走路)に関する規制に起因して、または、例えば、空港における適切な場所でのクリアランス表面に起因して、最小の横方向の間隔は、60mから80mである。横方向の間隔が大きければ大きいほど、航空機による使用に関して、配置は安全になる。しかし、横方向の間隔を増加させることは、航空機が地上走行するために必要とされる、より大きい合計のスペースおよび距離を必要とする。したがって、例えば、60mから100mを超える横方向の間隔は、非効率的である。
ILSアンテナ512は、それぞれの滑走路セクション502の遠位端部に据え付けられてもよい。そのような設置によって、アンテナは、着陸航空機の十分に近くに設置されることが可能になり、着陸航空機への見通しを確保することが可能になり、出発航空機から安全な距離をとることが可能になる。安全性を向上させるために、好ましくは固定されているが壊れやすい計器着陸システム(ILS)アンテナ構造または他の運航機器が、例えば、航空機の着陸事故の際に、航空機へのダメージを防止するために使用される。追加的に、ILSアンテナは、滑走路エクスカーションの場合に、航空機の翼との接触を回避するために、低い位置に配置されてもよい。
マイクロ波着陸システム(MLS)または他の電子的なシステムなどの、着陸誘導システムは、好ましくは、着陸を支援するために、(ILSに加えて、または、ILSの代わりに)上述の滑走路設備に沿って据え付けられるために利用可能である。ILSにおいて観察されるような、信号干渉、および、MLS計装のコンポーネントの設置に関する制限は、克服されることが有利である。
したがって、図5(b)~図5(e)は、横方向にずれて並んだ滑走路セクションの例を示しており、それらは、例えば、横方向に整列した滑走路セクションを有する滑走路設備から飛行経路の下方にある市街地が回避され得るときに、図2(a)および図5(a)に示すような、横方向に整列している滑走路設備よりも、とりわけ有利である。
図6は、第1および第2の滑走路セクション602-1,602-2を含む追加の滑走路設備を示しており、第2の滑走路セクション602-2は、2つの滑走路セクションを連結する安全領域610を介して、第1の滑走路セクション602-1から角度を付けて延びている。したがって、2つの滑走路セクションは、(中間)安全領域610を除いて、効果的に連続している。第2の滑走路セクション602-2は、第1の滑走路セクション602-1に対して角度θで配置されている。角度θは、ゼロ度を超えている。1つの例では、滑走路セクションが、例えば、英国のロンドン・ヒースロー空港に適用される場合には、角度θは、0.25°から10°の間にあり、一般的には、0.5°から8°の間にあり、好ましくは、1°から5°の間にあり、より好ましくは、2°から3°の間にある。当然のことながら、第2の滑走路602-2が配置されている角度は、他の要因の中でも、第2の滑走路セクションの長さ、および、回避されるべき任意の障害物の場所(例えば、英国のクランフォード、ロンドンなどの市街地)に依存する。航空機が、滑走路端部をオーバーシュートするときに、他の滑走路を著しく侵害することは非常に起こりにくいこととなるので、そのような配置によって、より大きい安全が可能になる。さらに、わずかに傾いた配置は、滑走路設備のために必要とされる全体の長さを低減させ、追加的な滑走路セクション602-2の追加的な長さをcosθ倍だけ低減させる。
したがって、そうでなければ(傾斜した滑走路セクションを有していない配置に基づいて)飛行経路の下方にある可能性のある市街地が回避され得るという点において、図6に示す例は、少なくとも、図5(b)~図5(e)に図示されている配置と同じ利点を提供する。さらに、第1のセクション602-1に対してある角度で第2の滑走路セクション602-2を位置決めすることは、ILSアンテナ512が着陸航空機への見通しを伴って位置決めされ得る限りにおいて、図5(b)~図5(e)を参照して上記に説明されているような横方向にずれているセクションと同様の利点を有する。
概観すると、図7~図10は、少なくとも3つの滑走路セクションを含む滑走路設備のさらなる例を図示しており、したがって、図5および図6に示す例よりも大きい航空機処理能力の可能性を提供している。これらの例のすべてにおいて、上記の表1および表2に、または、図2~図4を参照して他の場所に設けられているさまざまなセクションの例示的な長さが適用されてもよい。
より詳細には、図7(a)および図7(b)は、3つの滑走路セクションを含む滑走路設備を示しており、滑走路セクションのうちの1つは、滑走路セクションのうちの別のものに対して実質的に平行であり、長手方向に整列させられており、好ましくは、それから距離Dだけ横方向にずれている。
図7(a)に図示されているように、追加の滑走路652が存在する場合には、傾斜した滑走路602-2が、第1の滑走路セクション602-1からこの追加の滑走路652に向けて傾斜していることが好ましく、それにより、追加的な滑走路セクション602-2が、空港の既存の安全運航範囲の中に残るようになっている。これは、滑走路拡張によって立ち退かされたであろう住民が、必ずしもそうならなくてもよいということを意味することとなる。図7~図10を参照すると、追加の滑走路652は、ロンドン・ヒースロー空港の南滑走路に対応することが可能であり、第1の滑走路セクションは、ロンドン・ヒースロー空港の北滑走路に対応することが可能であり、または、その逆も同様である。
追加的な滑走路セクション602-2の長さ(L)および角度(θ)は、いくつかの要因によって決定される。
1.2つの平行な滑走路セクション602-1,652の間の間隔(D)。
両方の滑走路が同時に使用されるようにするために、2つの滑走路セクションの上の進入経路/出発経路の衝突が存在してはならない。少なくとも、追加の滑走路652の中心線(C)は、追加的な滑走路セクション602-2と交差しない。これが実現されるためには、以下の不等式が保持されなければならない。
D>L・sin(θ)
Dは、既存の滑走路設備によって固定されている可能性が高いので、この不等式は、Lおよびθに上限を課す。安全な進入/出発を維持しながら、Lおよびθを最大化するために、(誇張された方式で図示されているように)カーブした進入/出発が使用されてもよい。カーブした進入/出発のパラメーターは、航空機の速度、サイズ、および、滑走路の中心線からの距離に依存して変化する。カーブした進入/出発に関するバンク角は、風速とともに変化する(航空機の対気速度は変化するが、対地速度は変化しないときのように)。一般的に、カーブした進入/出発の直径は、約1000m~2000mである。
2.ターミナル106および他のインフラストラクチャーに対する近接性。
既存のインフラストラクチャー(例えば、ターミナル106など)が保持されることとなる場合には、この場所が、追加的な滑走路セクション602-2の角度(および、開始点)を拘束する。とりわけ、既存のインフラストラクチャーの高さは、追加的な滑走路セクション602-2の角度θおよび開始点の少なくとも一方を決定する可能性がある。これは、一般的に、規制によって管理される。例えば、滑走路から60mで開始するおおよそ1/7の進入/出発スロープが採用されてもよい。
これらの要件は、第1の滑走路セクション602-1に対して第2の(傾斜した)滑走路セクション602-2を横方向にずらすことによって、ある程度まで避けることが可能である。図7(b)は、第2の滑走路セクション602-2の中心線が、第1の滑走路セクション602-1の中心線から(滑走路セクションの端部間で中心線から中心線へ測定される)距離Oだけ横方向にずれている場合の配置を示している。これは、上記の等式を以下のものへ変化させる。
D+O>L・sin(θ)
Dが固定されているケースを考えると、Oが大きければ大きいほど、第2の滑走路セクション602-2の角度または長さは、第1のおよび追加の滑走路セクション602-1,652と干渉することなく、大きくなることが可能である。Oが増加するにつれて、航空機が第1の滑走路セクション602-1の上へオーバーシュートする機会は減少する。しかし、Oが大きければ大きいほど、航空機は遠くへ地上走行する必要があり、より多くの(または、異なる)土地が滑走路設備のために必要とされる。1つの例では、好ましくは、1つの滑走路の幅の4分の1倍から2倍の距離、より好ましくは、実質的に1つの滑走路幅(例えば、40m~75m)が、適当な妥協点になることとなる。
図8(a)~図8(d)は、「y字形状の」滑走路設備を示しており、それは、3つの滑走路セクションを含み、したがって、空港の収容能力がさらに改善されることを可能にし、または、近くの住民に安心感を与えるために、航空機のための代替的な進入経路/出発経路を提案する。
具体的には、図8(a)は、追加の滑走路設備を示しており、それは、第1のセクション602-1に対してある角度で配置されている第2の滑走路セクション602-2と、実質的に第1の滑走路セクション602-1の延長部分にある第3の滑走路セクション602-3とを含み、それによって、好ましくは、「y字形状の」滑走路設備を形成している。このさらなる配置は、図6が図5(a)のものの上に重ね合わせられたものとして考えられてもよく、実際に、これは、その配置が建設される様式である可能性がある。
図8(a)に示す配置は、2つの異なる進入経路/出発経路を可能にし(すなわち、滑走路セクション602-2または602-3に沿って)、地元の住民に安心感を与え、地元の住民は、そうでなければ1つの進入経路/出発経路によって絶えず悩まされることとなる。例えば、滑走路セクション602-2,602-3は、交互の曜日に使用される。また、図7(a)に図示されているカーブした進入/出発が使用される場合には、(例えば、進入/出発の曲率を定期的に変化させることによって、)この利点が拡大される。
第3の滑走路セクション602-3は、無風安全領域610を含み、無風安全領域610は、第1の滑走路セクションと第2の滑走路セクションとの間の無風安全領域と重なっている。3つの滑走路セクションの交差地点において位置決めされている滑走路設備の単一のセクションは、航空機が例外的な事態においてのみ使用することができる無風安全領域610として確保されていることが好ましい。それによって、すべての3つの滑走路セクション602は、共通の安全領域610によって連結されている。
設備が、西方への運航において使用されているとき(すなわち、西方行きの航空機がセクション602-1の上に着陸しているとき)には、航空機は、離陸するために、滑走路セクション602-2または602-3のいずれかを使用することが可能である。全長を必要としない2つの航空機が離陸する場合には(例えば、小さい航空機またはより軽い航空機)、これらの両方の航空機が、第1の滑走路セクション602-1の上に着陸する航空機と干渉することなく、同時に離陸することが可能であることとなる。それぞれの航空機は、それぞれの滑走路セクションの上の離陸地点800-2,800-3へ地上走行することとなる。これらの地点は、十分に遠い距離において、滑走路セクションの西へ向かう地点に位置決めされており、滑走路セクションの相対的な角度は、航空機が横方向に分離されていることを意味するようになっている。この距離「A」は、角度θに依存し、翼端クリアランスに関する地元の規制上の要件に依存しており、とりわけ、(例えば、規制によって管理されている距離に基づいて)他方の航空機の妨げになる一方の航空機からの翼端渦流を回避するようになっている。
図8(a)に示す配置に対する修正例が、図8(b)に示されており、図8(b)では、第3の滑走路セクション602-3は、第2の滑走路セクション602-2から横方向にずれており、横方向のずれの方向は、第2の滑走路セクション602-2が配置されている角度に対して反対側になっている。第1および第3の滑走路セクション602-1,602-3は、(滑走路セクションの端部間で中心線から中心線へ測定される)距離O’だけ横方向にずれている。この配置は、図6が図5(b)のものの上に重ね合わせられたものとして考えられてもよく、実際に、これは、その配置が建設される様式である可能性がある。
図5(d)に示すように、単一の無風安全領域として組み合わせられ、それによって、3つの滑走路セクションを連結することができる)無風安全領域610,610-3は、地上走行の目的のためには使用されない。航空機は、そのいずれかの側を地上走行し、拡張された離陸または着陸を実行するときにだけ通過する(完全に通過する)。滑走路が、「例外的な」モードで使用されている場合には、出発および着陸は、航空機が横断することを許容するように、段階的に行われる必要がある可能性がある。この運航制限は、そのようなフェージングが存在していないときに(例えば、航空管制官が段階的な出発/着陸の手配をしていないときに、パイロットが、拡張された滑走路を使用する許可を得ていると信じている場合)、航空機が無風安全領域610の中に存在する可能性を低くする。
滑走路セクション602-3,602-1がずらされ得る横方向の距離は、滑走路幅よりも小さい距離から(すなわち、したがって、滑走路セクション602-3は、他の滑走路セクションと重なっている)、例えば、滑走路セクション602-1、602-2、または602-3の幅の4分の1倍から、滑走路セクション602-1、602-2、または602-3の幅の2倍の横方向の距離まで変化することが可能であり、それは、好ましくは、約50mから100mの間の距離であり、より好ましくは、60mから80mの間の距離である。間隔が大きければ大きいほど、より大きい安全が得られるが、必要とされる合計のスペースが増加され、同様に、航空機が地上走行するために必要とされる距離が増加される。間隔が十分な量になっている場合には、2つの航空機は、図8(a)に図示されているように地点800まで地上走行する必要なしに、それぞれの滑走路セクション602-2,602-3の全長を使用して同時に離陸することが可能である。
通常の運航では、(実線によって示されている)誘導路Tが使用され、それによって、航空機は、安全領域610として指定されていない滑走路の長さだけを利用する。
例外的な事態では(例えば、航空機がとりわけ重い場合、または、悪い気象条件に起因して)、滑走路セクションの全体長さが使用されてもよい。そのような事態で使用される誘導路は、点線によって示されている。例えば、(航空機は図の左に向かって移動する)西方への運航では、離陸するために追加的な滑走路長さを必要とする航空機は、離陸するために、無風安全領域610の外側の下側滑走路セクション602-1を横断し、第3の滑走路セクション602-3の無風安全領域610-3を利用することが可能である。同様に、着陸するために、より大きい距離が必要とされる場合には、航空機は、無風安全領域610を利用することが可能であり、無風安全領域610を通って完全に横切った後に、線Tに沿って地上走行することが可能である。同様の誘導路が、配置が反対側の(東方への)方向に運航しているときに使用されてもよい。
図8(c)は、図7(b)に示すように、第2の(傾斜した)滑走路セクション602-2も第1の滑走路セクション602-1からずれている代替的な配置を示している。この配置は、ずれて並んだ滑走路602-2,602-3の利点を依然として得ながら、とりわけコンパクトであるためにスペースが限られている場所に適合させることが可能であり、第1の滑走路セクション602-1の上のオーバーシュートが起こる可能性を低くする。
図8(d)は、図8(a)に示す滑走路設備に対する修正例を示しており、それによって、滑走路セクション602-2に対する拡張部810が、滑走路セクション602-2と602-3との間の三角形状のフィレット820を使用して設けられており、航空機は、その上を地上走行、離陸、着陸してもよい。この例は、空港の安全運航範囲を大きく増加させることなく、滑走路セクション802-2が拡張されることを可能にする。
図9(a)~図9(c)は、距離Dだけずれている追加の滑走路セクション652(特定の事態では、ロンドン・ヒースロー空港の南滑走路などの、滑走路セクション602-1とともに既存の滑走路セクションである可能性がある追加の滑走路セクション)を除いて、図8(a)~図8(d)と実質的に同じ「y字形状の」滑走路設備を示している。
具体的には、図9(a)は、追加の滑走路セクション652を備えた、図8(a)の滑走路設備を図示している。この配置は、図8(a)および図7(a)によって図示されている配置の組み合わせとして考えられてもよい。図8(b)および図7(a)の組み合わせに対応する同様の配置が、図9(b)に示されており、図8(c)および図7(b)の組み合わせが、図9(c)に示されている。第2の滑走路セクション602-2の長さ(L)、角度(θ)、および開始点に関する同じ制限が、図7を参照して上記に説明されているものと同様に、これらの配置にも適用される。
図10は、互いに平行な、斜めに一列に並んだ2つの滑走路(図6に図示されているようなもの)のセットを示している。そのような配置では、2つの航空機が、同時に離陸ことが可能であり、2つの航空機が、同時に着陸することが可能である。滑走路セクション652-1,602-2が同時に使用されるようにするために、2つの滑走路セクションの上に進入経路/出発経路の衝突は存在してはならない。したがって、滑走路セクション652-1の中心線(C)は、滑走路セクション602-2と交差していない。これが実現されるためには、不等式D>L・sin(θ)が真である状態に保持されなければならず、ここで、Dは、滑走路セクション602-1,652-1の中心線間の距離であり、Lは、滑走路セクション602-2の長さであり、θは、滑走路セクション602-2が滑走路セクション602-1に対して配置されている角度である。
さらに、航空機が出発していないとき(例えば、早朝など)には、遠位滑走路セクション(例えば、東へ着陸するときのセクション602-1,652-1)が、着陸のために使用されてもよく、(図4(b)を参照して上記に説明されているように)空港に近い住民に対する騒音を減らすようになっている。
下記の表3は、図5~図10に説明されているさまざまな滑走路設備の同時運航の可能なモード、および、それにしたがって航空交通を制御するモードを図示している。これらの例示的な運航モードは、地元の航空機の法律、ならびに、地元の地形および気象などの他の物理的な運航要件を受けることとなるということが留意されるべきである。
また、上記に詳述されている同時運航の例示的なモードに付け加えて、2つの一列になっている滑走路セクションのうちの1つだけが(例えば、混合モードでは、離陸だけのために、または、着陸だけのために)使用される場合の運航モードを有することも可能であることとなる。これは、例えば、一列になっている滑走路のうちの1つが修理されているかまたは除雪作業されているとき、または、まれに起こる航空機移動の期間の間などに、安全目的のために有用である可能性がある。
建設の方法を見てみると、上述の滑走路設備は、図5~図10を参照して説明されている配置にしたがって、第2および第3の滑走路設備の少なくとも一方を設けることによって建設される。例えば、図5(b)~図5(e)では、第2の滑走路セクション502-2は、それが第1の滑走路セクション502-1から横方向にずれているように設けられている。第1の滑走路セクションと第2の滑走路セクションとの間の安全領域は、例えば、第1および第2の滑走路セクションが長手方向に重なっている領域によって画定されるものとして指定されている。
他の例では、例えば図6などでは、第2の滑走路セクション602-2は、第1の滑走路セクション602-1に対してある角度で設けられており、第2の滑走路セクション602-2が、無風安全領域610を介して、第1の滑走路セクション602-1から、第1の滑走路セクション602-1に対してある角度で延びるようになっている。第1の滑走路セクションと第2の滑走路セクションとの間の無風安全領域610を指定することによって、滑走路セクションは、事実上、無風安全領域610によって連結されている。図7(b)を参照して説明されているような滑走路設備を建設するために、傾斜した横方向にずれて並んだ滑走路セクションを設置するステップが組み合わせられてもよい。
図8(d)に示す例では、滑走路設備の建設は、第1の滑走路セクション602-1の西に三角形状のフィレット820を設置することによって行われる。フィレット820は、航空機が地上走行し、そこから離陸し、その上に着陸するのに適切であり、フィレット820は、第1の滑走路セクション602-1から延びる2つの追加の滑走路セクション、すなわち(傾斜した)第2の滑走路セクション602-2および第3の滑走路セクション602-3が指定されている領域をカバーしている。第2の滑走路セクション602-2に対する拡張部810は、第2の滑走路セクション602-2が三角形状のフィレット820の斜辺の実質的に全体を横切って延びるように指定されている。
純粋な例として、下記の表4は、図5~図10に示す滑走路設備の建設の段階を図示している。
(滑走路末端)
任意の空港において、場合によっては故障に起因して、着陸航空機が、着陸すること、および、即座にもう一度離陸すること(「進入復行」)を必要とする可能性が存在している。極端な例では、これは、離陸に続いて上昇するその能力を制限することとなるエンジン故障に見舞われている航空機に実施されなければならない可能性がある。典型的な滑走路設備では、進入復行に続く要件は、フェンスまたは建物などの、滑走路の周りの障害物を回避するために、十分な高さまで上昇することができるということである。そのような障害物の上方の100ft(30m)の間隔が、典型的な規制上の要件である。最も高い可能性のあるクリアされるべき物体は、大型の航空機(例えば、エアバスA380など)の垂直尾翼(おおよそ30mの高さ)であるので、実際には、これは、地上の上方に200ft(60m)の高さを結果として生じさせる可能性がある。
第1の航空機が近位滑走路セクションの上で着陸操縦および離陸操縦を実施するのと同時に、第2の航空機が滑走路の遠位端部から離陸することができるように、上記に説明されているような拡張された滑走路の同時運航の間に、より厳しい要件が、安全な独立した運航のために要求される可能性がある。これは、(例えば、異なる滑走路セクションの上で)さらなる着陸を試みるようにターンする前に、出発航空機と干渉する、不完全な着陸航空機および離陸航空機を結果として生じさせる可能性がある。そのようなシナリオを回避するために、拡張された滑走路設備の寸法およびレイアウトは、任意の干渉の可能性が無視できるようになるように調整されてもよい。
図11(a)は、第2の航空機250-2が拡張された滑走路202-2の遠位セクションから同時に離陸している間に、到着して、滑走路202-1の近位セクションの上で進入復行を実施しなければならない第1の航空機250-1の平面図を示している。図11(b)は、進入復行を実施する航空機の高度を図示する同じシナリオの水平方向の概略図を示している。
安全注意事項に関連する距離は「H」であり、それは、航空機が滑走路のラインから離れるようにターンし始めることができる前に航空機が存在することができる最小高さである。この最小高さは、搭乗員が航空機を再構成させることを可能にし、この最小高さは、安定した上昇の中で十分に確立される。他の距離が、他のテリトリー、および、実際に他の文脈(例えば、異なる規制が適用される特定の航空機または場所)において適用可能であるということが認識されるべきである。進入復行を実施する航空機は、一般的に、少なくとも20°、好ましくは、少なくとも40°の角度だけターンすることとなり、したがって、出発航空機との任意の起こり得る干渉から離れるように迅速に移動することとなる。
滑走路設備202から離れるようにターンする前に実現されなければならない最小高さに関する制限は、第1の航空機が進入復行に続いてその上昇を開始する地点と、第2の航空機が遠位滑走路セクションの上でその上昇を開始する地点との間に、最小距離Dを導入する。
D>H/tanθ1
距離Dは、効果的には、着陸滑走路セクションの上の最後に起こり得る着陸末端と離陸滑走路セクションの開始点との間の間隔である。また、この距離は、(図11(b)の中で距離r1によって示されているように)航空機がその上昇を始める前に着陸末端を超えて滑走路に沿って進行する(場合によっては無視できる)距離を含んでいてよい。
500ft(152m、すなわち、おおよそ150m)の典型的な最小旋回高さH、および、変化するθ1に関して、これは、Dに関して、以下の近似の最小距離を与える。
表5に図示されているように、安全な進入復行を提供するためのDの最小値は、進入復行に続く上昇の角度に応じて変化する。ケースのうちの多くでは、Dの最小値は、そのような着陸復行の安全によって設定されることとはならず、むしろ、(図2~図10を参照して上記に議論されているように)飛行機が着陸して安全に停止するようになるために必要とされる滑走路距離および中間安全領域によって設定されることとなる。
実際には、θ1は、単一のエンジン故障に見舞われているときに、(独立した運航を維持しながら)特定の空港に着陸することが許容される最低性能の航空機によって設定される。図12のグラフは、Hに関する典型的な値が500ft(152m)であると仮定したときに、さまざまなθ1の値に関してどのように距離Dが変化するかということを示している。この関係は、空港設計者/オペレーターが、1)独立した運航を維持しながら、特定のクラスの航空機が安全に着陸することを確実にするように、Dに関する値を選択することと、2)所与のDに関して独立した運航を維持しながら、どのクラスの航空機が安全に着陸するかということを決定することとの少なくとも一方を可能にする。(完全には動作可能でないときの)2°~7°の間で上昇することができる航空機に関して、Dに関する最小値は、おおよそ1500mから4500mの間で変化する。(完全には動作可能でないときの)2.5°~3.5°の間で上昇することができる航空機に関して、Dに関する最小値は、おおよそ2500mから3500mの間で変化する。
より古いモデルのボーイング737-400またはエアバスA320などの、ツインエンジン航空機は、(エンジン故障に見舞われているときには)大規模な民間航空機専用空港の中で最低性能の航空機である。このクラスの航空機は、単一のエンジン故障のときに、3度またはそれをわずかに超える角度で上昇することが可能である。これは、おおよそ2,900mのDの最小値を提供する。
所定の最小上昇率を満たしていない航空機(例えば、非常に古い航空機)が、着陸したい場合には、その航空機が安全に着陸するまで、滑走路設備の独立した運用を中断することが必要である可能性がある。
長さDに影響を及ぼすいくつかの距離が存在しており、これらは、以下の通りである。
・L1:陸滑走路202-1の長さ
・d1:着陸滑走路202-1の開始点から、第1の航空機が故障に続いて離陸するときまでの距離
・S:中間安全領域210の長さ
これらの距離は、以下の公式によって関連付けされる。
D=S+L1-d1
L1は、一般的に、上記に説明されているように、航空機が着陸に続いて安全に停止するために必要とされる距離によって決定される。例示的な距離は、2~4kmであり、好ましくは、3km、または3100mである。
中間安全領域210のサイズ(S)は、規制上の注意事項および安全注意事項によって決定され、航空機間の最小間隔を確保するようになっている。また、そのような領域は、アンテナのために、または、ILSアンテナなどの他の地上機器のために使用されてもよい。典型的な距離は、約300m~900mであり、好ましくは、650mである。
d1は、図11bでは、2つの距離r1およびt1へと分割されるように示されている。d1は、「最終着陸地点」を画定しており、航空機が、この地点までに、着陸するための進入経路の上にいない場合には、航空機は、着陸することとはならない。それよりも、航空機は、着陸を中止し、再び上昇し、ターンし、着陸を再び試みることとなる(そのケースでは、t1≒d1)。最終着陸地点は、航空機が安全に停止するために必要とされる距離によって規定されてもよい。したがって、この地点と次の滑走路セクションの開始点との間の最小距離(D)は、安全領域Sの長さおよび滑走路セクションL1の長さに関する制限を設定する。
t1は、着陸滑走路202-1の開始点から着陸地点までの距離である。これは、規制上の要件(例えば、上記に説明されているようなRESAの規定)およびパイロットの技量によって、部分的に設定されてもよい。
r1は、航空機が再び離陸する前に滑走路202-1に沿って進行する距離である。これは、問題の航空機の能力によって決定されてもよく、多くのケースでは、航空機がほんの少しだけ滑走路に接触するので、この距離は、無視できる可能性がある。
Dの代わりにこれを使うことは、t1に関する値を与え、それは、航空機性能によって主に設定される変数(すなわち、θ1、r1、およびL1)、ならびに、規制上の要件によって主に設定される変数(すなわち、HおよびS)によって規定される。
t1<S+L1+r1-(H/tanθ1)
H1またはr1の増加は、t1の減少を必然的に伴い、一方、S、L1、またはθ1の増加は、「最終着陸地点」から着陸滑走路セクション202-1の開始点までの距離を緩和させるということが上記の等式から明確である。
パイロットが着陸滑走路セクションの開始点の非常に近くに着陸しようと試みること、および、着陸に関して明示的に指定されていない着陸滑走路セクションの前に、(RESAなどの)セクションの上に着陸することを回避する要求によって、t1の下限は設定されてもよい。最終進入における突風(または、他の外部影響)は、着陸滑走路セクションの開始点に非常に近い着陸を十分な信頼性を持って繰り返すことが困難であるということを意味する可能性がある。300m~500mの下限が使用されてもよい。
1つの例では、r1は、着陸滑走路を単に「かする」航空機に対応して、ゼロであってもよく、または、ゼロに近くてもよい。
Hが500ft(152m)であり、Sが650mであり、L1が3100mであり、θ1が3°であり、r1がゼロである場合の例に関して、これは、約<850mのt1の値を与える。そのようなシナリオでは、滑走路セクションの開始点から約300m~800mの間の着陸ゾーンが提供される。
1つの例では、「最終着陸地点」t1は、着陸滑走路の開始点から100m未満である。別の例では、t1は、着陸滑走路の開始点から、100mから1500mの間である。別の例では、t1は、着陸滑走路の開始点から、100mから1000mの間である。別の例では、t1は、着陸滑走路の開始点から、500mおよび800mの間である。
「最終着陸地点」を規定する上記の制限は、一般的に、着陸地点の比較的に近くになって初めて潜在的な問題を認識するようになる航空機のシナリオに適用される。代替的な例では、距離Dは、通常の着陸末端(すなわち、実質的に、着陸滑走路の開始点)から測定されてもよい。航空機が潜在的な問題を認識しており、したがって、航空機が完全に動作可能である場合よりも近くに着陸することを目指す場合に、そのような要件の緩和が許容されてもよい。
代替的な例では、「進入復行点」として決定される地点が存在し、それは、一般的に、滑走路の開始点から1マイルまたはさらに遠く離れており、そこで、航空機が正しい進入の上(例えば、滑走路から特定の距離において特定の高さ)にいるかどうかが認められる。航空機が正しい進入経路の上にいると認められない場合には、航空機は、適切な旋回高さ(H)まで上昇し、着陸を再び試みる。規制が許す場合には、距離Dは、「進入復行点」から測定されてもよい。そのような例では、上記のDを規定する等式の中の「H」は、実際に、進入復行点における航空機の高さと安全な旋回高さとの間の差である。
「進入復行点」の前に航空機がエンジン故障に見舞われている場合には、独立した運航が中断されてもよく、航空機は、代替的な滑走路の上に着陸するように指示されてもよく、あるいは、その両方であってもよい。
進入復行点の後に起こるエンジン故障は非常にまれであるので、このタイプの制限は、規制機関によって強制される可能性がある。そのようなケースでは、エンジン故障は起こらないと仮定することが可能であり、したがって、上昇角度θ1はより大きくなることが可能であり、例えば10°になることが可能である。そのような仮定は、最終着陸地点に関する要件を緩和することとなり、それを着陸滑走路セクションのさらに下方に拡張する。
さらなる代替例では、Dの計算の地点に関する上記の制限のいずれかが、組み合わせて適用されてもよい。3つの代替例が、安全性を減少させる順序で、下記に要約されている。
1.最終着陸:エンジン故障または同様のものに基づく計算であり、それは、航空機が(安全に着陸するために)着陸することができるが、必要な場合には、依然として進入復行を安全に実施する、最も遠い位置との間の距離に制限を課す。
2.末端:上記1に基づく計算であるが、それは、着陸滑走路セクションの開始点から計算される。
3.進入復行点:着陸滑走路の前のかなりの距離にある進入復行点において試みられた着陸および旋回を中止する航空機、または、完全に動作可能な航空機のいずれかを仮定する、1組の制限である。
上記の地点のいずれかは、適切な場所の規制に応じて、「進入復行点」と呼ばれてもよい。上記のケースのいずれかでは、一列になっている滑走路設備の安全な独立した運航のために、着陸滑走路の上の進入復行点と離陸滑走路の開始点との間の距離は、距離Dを超えている。距離Dは、公式D>H/tanθ1によって与えられる。そのような進入復行点は、(例えば、ライト、塗装線によって)滑走路設備の上に物理的にマークされてもよく、航空機誘導システムの上にソフトウェアを介してマークされてもよく、あるいは、その両方であってもよい。
図5(b)から図10を参照して上記に説明されているような傾斜した滑走路設備またはずれて並んだ滑走路設備は、傾斜およびずれの少なくとも一方の程度に関連する距離によって、2つの航空機の間の間隔を増加させることとなる。したがって、そのような配置は、図11および図12を参照して上記に議論されているような単一の一列になって拡張された滑走路と比較して、t1に関する制限を緩める。
(滑走路ライト)
航空機のパイロットは、多数の異なるシステムまたは方法によって、着陸および離陸へと誘導される。ガイド航空機を着陸するように誘導する一般の方式は、滑走路標識およびライトである。ライトが、滑走路の中心線および縁部を示すために一般的に使用され、パイロットが、指定されている着陸領域または離陸領域の外側にそれないようになっている。
図2~図10を参照して上記に説明されているような拡張された滑走路を利用するときに、着陸するパイロットが、遠位の離陸滑走路の上のライトを、意図される着陸滑走路の上のライトと混同し、それによって、正しくない滑走路の上に着陸する可能性が存在する(ILSアンテナなどの他のシステムおよび航空管制官は、そのようなシステムが動作可能である場合には、この可能性を低減させる可能性が高いこととなるが)。代替的に、または、加えて、遠位の離陸セクションの上のライトは、パイロットを着陸に集中できなくする可能性があり、または、単一の長い滑走路であるという間違った印象を与える可能性がある。
図2(a)を参照して上記に説明されているものと同様の滑走路設備が、斜視図で図13に示されている。この実施形態では、滑走路は、同じ長手方向軸線の上に実質的にインラインで配置されており、滑走路設備は、近位滑走路セクション202-1および1つの遠位滑走路セクション202-2を含む。共通の長手方向軸線が、滑走路標識およびライト40の少なくとも一方の列を使用して示されてもよく、それは、地上走行、離陸、または着陸の間に、滑走路のナビゲーションにおいてパイロットを支援するために使用される。
従来の使用の間に、滑走路設備202を使用する航空機は、実質的に同じ長手方向に進行する。着陸は、近位滑走路セクション202-1において行われ、離陸は、遠位滑走路セクション202-2において行われる。
2つの滑走路セクションは、無風中間安全領域(ISA)210-3によって分離されている。ISA210-3の存在は、万が一、近位滑走路セクション202-1の上に着陸する航空機が滑走路セクションの端部をオーバーシュートしたとしても、衝突のリスクを低下させる。ISA210-3は、そのような航空機に対して追加的なスペースを提供しており、航空機は、この領域に進入することを許可されない。ILSアンテナなどの航空機着陸機器が、ISA210-3の中に設置され、近位滑走路セクション202-1の上に着陸する際に、および、遠位滑走路セクション202-2から離陸する際に、航空機を支援することが可能である。中間セクション210-3の中にそのような機器を設置することは、(図5および図6を参照して上記に説明されているように)アンテナから、誘導を必要とする航空機への直接的な見通しが常に存在することとなるので、信号の品質を向上させる。
近位滑走路セクション202-1の開始点は、ライトの列、滑走路標識、ライト30などを使用して境界が定められてもよい。これらのライトおよび滑走路標識30の少なくとも一方は、パイロットが滑走路の開始点を確認することを支援し、ライトは、厳しい気象または夜間にとりわけ適切である。ISA210-3の開始点は、ライトの列および滑走路標識50の少なくとも一方を使用して、同様に境界が定められてもよい。また、これらのライトおよび滑走路標識50の少なくとも一方は、滑走路設備202の近位端部202-1に配置されている滑走路の端部をパイロットに表示する。ISA210-3の端部および近位滑走路セクション202-1の開始点は、ライトの別の列および滑走路標識55の少なくとも一方を使用して、同様に境界が定められてもよい。遠位滑走路セクション202-2の端部は、ライトの列および滑走路標識60の少なくとも一方を使用して、パイロットに表示されてもよい。
滑走路設備202を使用して離陸または着陸を試みる任意のパイロットが滑走路202の幅および正確な場所を認識することは、航空機の安全にとって重要である。幅は、ライト40を使用して境界を定められている滑走路の長手方向軸線に対して垂直方向に測定される。したがって、滑走路設備202は、滑走路設備202の長手方向軸線に対して平行に走る1つまたは複数のライト10をさらに含み、それは、滑走路設備202の周囲に位置している。
着陸のために滑走路設備202に進入するときに、パイロットは、遠位滑走路セクション202-2の上のライトを、意図される近位滑走路セクション202-1の上のライトと混同し、それによって、正しくない滑走路の上に着陸する可能性がある。遠位の離陸セクションの上のライトが、パイロットを着陸に集中できなくすることが可能であり、または、より長い単一の滑走路であるという間違った印象を与えることが可能であるというさらなるリスクが存在する。したがって、「方向指示灯」10とも呼ばれるライト10が、滑走路設備202のその特定のセクションの上に着陸するために進入している航空機のパイロットから見ることができることが重要である。滑走路光源10からの光を案内するための導光器15が設けられており、光源から特定の方向または方向の範囲に発せられる光を抑止するようになっている。
導光器15は、航空機を着陸させるときに、近位滑走路セクション202-1からの方向指示灯10-1だけが、滑走路設備202に進入しているパイロットから見ることができるように、配置されていることが有利である。遠位滑走路セクション202-2の上に位置している指向性光源10-2からのライトは、近位滑走路セクション202-1の上に着陸するために進入している航空機のパイロットによって見られる方向の範囲において、遮断手段15によって実質的に遮断される。そのように、遠位滑走路セクション202-2は、非着陸滑走路セクションとして指定されている。導光器15は、滑走路設備202の遠位端部202-2からの指向性光源10-2が、遠位滑走路セクション202-2から離陸するパイロットから見ることができないように配置されている。
導光器15は、光を選択的に遮断する手段を含んでいてよい(例えば、遮断手段など)。遮断手段は、光源の場所に応じて遮断される光の量/範囲を調整することができるように調整可能であり得る。遠位滑走路セクション202-2の上で出発する航空機は、このセクションの開始点において、この滑走路セクション202-2に沿うすべての光源10-2を見る必要があることとなる。これは、遠位滑走路セクション202-2の上の最も近位にある光源10-2が、滑走路セクション202-2の遠位端部におけるものに対してより大きい程度に遮断されてもよいこと意味している。そのような「テーパーリング」は、(下記の図11から図13に示すような)遮断手段を使用することによって実現されてもよく、光源10-2を取り囲む材料の不透明なセクションを使用し、光源10-2とパイロットとの間に物理的なバリアを設置し、または、特定の距離以上では見ることができないように、光源10-2の明るさを低減させる。
代替的な実施形態では、導光器15は、レンズまたはレンズ構成体を含み、光が、特定の方向または方向の範囲だけに案内されるように焦点を合わせられるようになっている。
上記に説明されているように、従来から、近位滑走路セクション202-1は、航空機が着陸するために使用され、遠位滑走路セクション202-2は、航空機の離陸のために使用されている。しかし、航空機が滑走路設備202の遠位端部202-2に着陸するならば(「長い着陸」と呼ばれる)、地域社会への妨害を低減させる観点から有利である可能性がある。そうする際に、航空機の飛行経路のうちのより多くが、居住者のいない滑走路の上になっており、航空機は、近位端部202-1に着陸することを目指したとした場合よりも高い高度で、滑走路設備202に進入することが可能であり、飛行経路の下に住む人に対する妨害の低減につながる。遠位端部が離陸のために使用されていない場合には、または、妨害が最小化されるべきであるようなときに航空機が到着する場合には、航空機は、滑走路設備202の遠位端部202-2に着陸してもよい。
このシナリオでは、パイロットは、滑走路設備202の遠位端部202-2を取り囲む方向指示灯10を見ることができるべきである。これらの方向指示灯10は、通常は、航空機を着陸させるパイロットから見ることができないように遮断されている。遠位端部202-2の上の着陸手順の安全性を向上させるために、1つまたは複数の二次的な光源20が、図14に示すように、前記方向指示灯10に隣接して設置されてもよい。二次的な光源20は、点灯されるときには、遮断手段15が指向性光源10からの光をその特定の方向に遮断するときでも、滑走路設備202の近位端部202-2の場所に関する情報をパイロットに提供することが可能である。代替的な実施形態では、遮断手段15は、指向性光源10が着陸航空機から見ることができるように移動可能であってもよい。いずれの実施形態においても、近位滑走路セクション202-1の上の照明は、パイロットが疑いなく遠位滑走路セクション202-2に案内されるように消されることとなる。
上記の説明は、第1の配向での滑走路設備202の使用を説明しており、それによって、航空機は、近位端部202-1において着陸し、遠位端部202-2において離陸することが可能である。上記に説明されているように、個々の滑走路のそれぞれを使用する航空機の方向は、実質的に同様であり、滑走路の上の矢印または他の標識90,100として表示されてもよい。しかし、また、滑走路設備202は、第2の配向でも使用されてもよく、それによって、個々の滑走路のそれぞれを使用する航空機の方向は、長手方向に逆にされる。航空機がISA210-3から離れるように近位端部202-1から離陸する間に、航空機は、遠位端部202-2において着陸し、ISA210-3に向けて進行することが可能である。
この第2の配向では、航空機を離陸または着陸させる領域をパイロットが明確に見て認識することができることが必要であるという点において、同じ安全性の懸念が提供される。したがって、指向性光源10、遮断手段15、および二次的な光源20は、2つの配向のいずれかにおいて、この情報をパイロットに提供するシステムとして動作可能であり得る。
図14は、滑走路設備202を示しており、図13を参照して上記に説明されているような光遮断特徴を維持しながら、両方の運航方向が可能である。示されている実施形態では、滑走路セクション202-1,202-2に沿う指向性光源10-1および10-2は、映される導光器15に関して、お互いに鏡のように左右対称である。二次的な照明20が、滑走路セクション202-1,202-2の両方の上に設けられ、それによって、滑走路設備がいずれかの方向に使用されるときに、「長い着陸」を可能にすることができる。しかし、長い着陸は、(例えば、滑走路設備202が、一方の端部の近くだけにかなりの住民を有する場合)1つの運航方向だけに使用されてもよく、したがって、二次的な照明20が、1つのセクションだけの上に設けられてもよい。代替的に、移動可能な導光器15が、二次的な照明20の代わりに(または、二次的な照明20に加えて)、上記に説明されているように設けられてもよい。
図15は、滑走路設備202に着陸するパイロットおよび滑走路設備202から離陸するパイロットの視線の斜視図を示しており、滑走路設備202の近位端部202-1における照明システム10-1,10-2からの視界を、滑走路設備202の遠位端部202-2からの視界と比較している。遠位滑走路セクション202-2の上の光源10-2は、近位滑走路セクション202-1に進入しているかまたは近位滑走路セクション202-1の上にいる、着陸航空機の方向を照らさないように、導光器15によって抑止されている。しかし、遠位滑走路セクション202-2の上の航空機は、離陸を案内するように遠位滑走路セクション202-2の全体にわたって光源10-2を見ることができる。
一実施形態では、光源10-2は、(ライトおよび滑走路標識50の少なくとも一方によって示されている)ISA210-3の開始点までは、着陸航空機のパイロットから見ることができない。この例は、着陸航空機のパイロットが遠位滑走路セクションの上のライトを決して見ることとならないので、混同の可能性を最小化することとなる。しかし、そのような極端な案内は、光が航空機離陸の方向に案内されることを不注意に抑止する可能性がある。さらなる実施形態では、光源10-2は、近位滑走路セクション202-1の上で着陸すると、着陸航空機のパイロットから見ることができるようになる。航空機が正しい滑走路の上に着陸するときまでに、オーバーランが起こることとなる可能性は低いので、この遮断の程度が十分である可能性がある。さらなる実施形態では、着陸航空機が降下を計画し、その滑走路の選択が明確になると、着陸航空機が近位滑走路セクション202-1からある距離にいるときに、光源10-2は、着陸航空機のパイロットから見ることができるようになる。したがって、パイロットが着陸することとなる滑走路をすでに認識しているので、それは、ライト10-2が光源10-1と同様に見ることができる場合でも、混同を引き起こさない。光源10-2が、上記に述べられている距離間の任意の距離において、着陸航空機のパイロットから見ることができるようになる場合に、さらなる実施形態が可能である。
図16は、滑走路設備202に着陸するパイロットおよび滑走路設備202から離陸するパイロットの視線の側面図を示しており、滑走路設備202の近位端部202-1における光源10-1からの視界を、滑走路設備202の遠位端部202-2からの視界と比較している。光遮断手段15の配置の結果として、近位端部202-1における指向性光源10-1は見ることができるが、一方、遠位端部202-2における指向性光源10-2は見ることができない。したがって、着陸することになっている場所がパイロットにより明確になる。
図17(a)は、特定の方向の範囲に光を遮断するように光源10のそばにある、(光を選択的に遮断する手段の形態の)導光器15を示している。図15(a)の中の遮断手段15は、回転することができるものとして示されている。これは、それが邪魔にならない所に移動させられてもよいようになっており、それにより、光源10が二次的なライト20の機能を果たすことができるようになっているか、据え付け(または、調整)目的のために、遮断手段15の角度の調整を可能にするようになっているか、あるいは、その両方であってもよい。回転は、遮断手段15の軸線の周りで行われることが可能であり、または、遮断手段15は、例えば、光源10を中心として円形に、光源10に対して移動可能であってもよい。代替的に、光源10および光遮断器15を含む構成体は、回転することが可能である。
図17(b)は、指向性光源10および二次的な光源20の相対的な設置を図示している。
図18(a)は、を指向性光源10の実施形態図示しており、それによって、光源10は、滑走路設備202の表面の中に埋め込まれている。光遮断器15は、指向性光源10の一部分の不透明なカバーを含み、特定の方向に光の放出を遮断する。
図18(b)は、指向性光源10の特定の実施形態を図示している。図18(a)と同様に、光遮断器15は、指向性光源10の一部分の不透明なカバーを含む。しかしこの実施形態では、指向性光源10は、軸線25に対して回転するように動作可能である。したがって、光が遮断される方向は、指向性光源10が見ることができるようにされるべき方向にしたがって、変化させられてもよい。この実施形態では、航空機が滑走路設備202の遠位端部202-2の上に着陸しようとしている場合などには、二次的な光源20は必要とされない可能性があり、または、二次的な光源20の使用を必要とする任意の他の状況では、指向性光源10がそのシャフト25の周りに回転させられてもよい。したがって、ライトは、パイロットから見ることができるが、その前にはそうなっていない。
ライト10、40の視認性が調整可能な比較的簡単な様式は、遠位滑走路セクション202-2の上の光源10,40を、近位滑走路セクション202-1の上のものよりも薄暗く(明るくなく)するということである。遠位滑走路セクション202-2から離陸する航空機は、滑走路セクション202-2の長さの最大距離にある滑走路光源10,40を見ることだけを必要とされる(すなわち、離陸を開始するときに最も遠い光源10,40を見ることができる)。しかし、着陸するために進入している航空機は、はるかに遠くから着陸光源10,40を見ることを必要とされる。この理由のために、遠位滑走路セクション202-2の上の光源10,40を薄暗くすることは、航空機離陸には悪影響を及ぼさないこととなる。この進入は、上記に説明されている遮断手段15とともに使用されてもよい。
光源40,10の明るさ(強度)は、(例えば、航空管制官によって)制御可能であってもよく、運航モードが変化させられるときに(例えば、「長い着陸」のために、または、運航の方向が逆にされるときのために)、どのセットの光源をより明るくするかを切り替えるようになっている。加えて、光源40,10の強度は、視認性に応じて調整可能であってもよい。低い視認性条件(<2マイルの視認性)では、着陸航空機が遠位滑走路セクション202-2の上の光源を明確に見ることができない可能性があり、したがって、フル強度が、離陸航空機を支援するために利用されてもよい。
上記に説明されているものと同様の光遮断システムが、中心線光源40に関して設けられてもよい。着陸するパイロットが遠位滑走路セクション202-2の上の中心線光源を見ることができるということを抑止することは、着陸すべき滑走路セクションについての混同に関する可能性をさらに低減させることとなる。
代替的な実施形態では、パイロットが疑いなく正しい着陸滑走路に案内されるように、偏光を使用する滑走路照明が利用されてもよい。そのような実施形態では、遠位滑走路セクション202-2の上の滑走路光源10-2,40-2は、偏光で光を放出する手段を含む。滑走路設備に進入しているパイロットは、特定の偏光で光を遮断する手段を利用することが可能であり、光は、彼らから見にくくなるようになっている。滑走路光源10-1,40-1からの光は、偏光がないか、または、反対の偏光を有するかのいずれかであってもよく、この光のほとんどは、特定の偏光で光を遮断するためのパイロットの手段によって遮断されないようになっている。
特定の偏光で光を遮断する手段は、ヘッドアップディスプレイ、ヘルメット装着式ディスプレイ、パイロットとコクピットウィンドウとの間のスクリーン、パイロットがスクリーンを通して見る偏光カメラを含んでいてよい。そのようなデバイスは、拡張現実ディスプレイなどの他の「人工視覚」パイロット支援装置に加えて使用されてもよい。
視認性が許せば、特定の偏光で光を遮断する手段は、着陸の間にパイロットが着用することとなるグラスまたはゴーグルと、コクピットウィンドウに適用されるコーティングまたはカバーとの少なくとも一方を含んでいてよい。そのようなデバイスは、着陸進入の視認性を低減させる可能性があり、したがって、厳しい気象では好ましくない可能性がある。
滑走路光源10、40から偏光を作り出す手段は、偏光フィルター、反射偏光体、散乱偏光体などを含んでいてよい。特定の偏光は、水平方向、垂直方向、円形(時計回りまたは反時計回り)、または、それらの任意の組み合わせであることが可能である。
滑走路設備202が異なるモード(例えば、「長い着陸」、または運航の方向が逆にされるとき)に使用されるようにするために、滑走路光源10,40の偏光は調整可能であってもよい。一実施形態では、偏光手段は、着陸滑走路セクションを示す第1の偏光と離陸滑走路セクションを示す第2の偏光との間で切り替わるようになっている。1つの例では、偏光を切り替えることは、おおよそ90°だけ偏光フィルターを回転させることを含む。
着陸航空機に向けて案内される光の視認性を遮断するために、偏光される滑走路照明を使用することは、図13から図19を参照して上記に説明されている物理的な遮断方法の代わりに、または、それに加えて、利用されてもよい。
(代替および変更)
上記の記載は、空港の滑走路設備が2つの平行な滑走路を有する多くの例に関し、本発明は、1つの滑走路がある状況に拡張することができる。これは、特に1つの滑走路のためのスペースしかない都市環境において有利である。さらに、本発明は、1つ以上の平行でない滑走路を有する空港に適用することもまたできる。これは、平行でない滑走路が、風の条件に応じてそれぞれ独立して用いられる状況において、または、スペースの制約上、滑走路が平行でないことが要求される状況において、乗客定員を増やすために特に有利である。
上記の説明は、滑走路および空港設備の寸法に対する多くの参照を含んでいる。これらの寸法は、単に例示であり、当業者は、これらが、航空機の種類、空港をカバーする規制などの要素に依存することを理解するであろう。そのような変更は、当業者によってなされ、本発明の範囲内である。
1つの例では、安全領域510が無風状態であるということは、航空機が、一般的には、通常の運航の間に、着陸または地上走行のためには、この領域を使用しないということを意味している。しかし、無風安全領域510は、とりわけ、段階的な様式で行われているときに、まれなときにだけ離陸のために使用されるが、単に、悪い事態または例外的な事態の間に、着陸または地上走行のための領域を使用することとなる。
上記に説明されている滑走路設備の多くは、一緒に組み合わせられるものとして明示的に説明されてきたが、任意の2つの滑走路設備が組み合わせられてもよく、例えば、図8に示すような任意の2つの滑走路設備が、並んで位置決めされてもよい。
上記に説明されている滑走路設備の配向は単なる例であり、(例えば、南北配向、または、滑走路設備が反対の方向に角度を付けられているなど)代替的な配向が、場所に応じて可能であることとなるということが認識されるべきである。さらに、特定の方向に(例えば、西へ)滑走路を延長するということは、反対の方向(例えば、東へ)に等しく実施されてもよい。
着陸航空機に向けて案内される光を遮断する他の手段が利用されてもよく、例えば、人工視覚ビデオ処理ソフトウェアは、着陸のために使用されることとはならない滑走路セクションから生じまたは検出される光を除去または低減させることが可能である。
他の様々な変更は、当業者に明らかであり、ここではさらに説明しない。
なお、本発明は、純粋に一例により説明されてきたことが理解されるであろう。詳細の変更は、本発明の範囲内で行うことができる。
特許請求の範囲中にあらわれる参照番号は、単なる例示であり、特許請求の範囲を限定するものではない。