JP7158905B2 - ブドウ糖の晶析装置 - Google Patents

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Description

本願発明は、晶析装置に関し、詳しくは、ブドウ糖の結晶を得るために用いられるブドウ糖の晶析装置に関する。
ブドウ糖(グルコース(glucose))は、分子式:C6126を持つ糖であり、血糖として動物の血液中を循環している。
このブドウ糖は、腎臓病患者などに施される人工透析治療において、人工透析液に含まれる主たる成分の一つとして広く用いられている。
なお、人工透析に用いられる人工透析液は、粉体のブドウ糖と、所定の塩を主成分とした粉体を、病院で溶解する方法で調製され、使用される場合がある。
このようなブドウ糖の結晶の製造方法の1つとして、特許文献1には、 原料のD-グルコースおよびD-フラクトースを主成分とする液糖に対し、(A)D-グルコースおよびD-フラクトースを含有する複合体結晶糖質からなる種結晶を添加することにより、または、種結晶を添加しないで冷却することにより、D-グルコースおよびD-フラクトースを含有する複合体結晶糖質を生成させる、あるいは、(B)結晶D-グルコースからなる種結晶を添加してD-フラクトースがD-グルコース1水和物結晶の集合体に取り込まれている結晶を生成させる、ことを特徴とする結晶糖質の製造方法が記載されている。
特開2012-232908号公報
しかし、特許文献1に開示されているのは、結晶D-グルコースからなる種結晶を添加してD-フラクトースがD-グルコース1水和物結晶の集合体に取り込まれている結晶を生成させることを特徴とする結晶糖質の製造方法であって、人工透析液の調製に用いるのに適した粒径の大きいブドウ糖結晶を製造する方法については特に開示されていない。
それゆえ、例えば、粒径が500μm以上というような大粒の、人工透析液を調製する際に用いるのに好適なブドウ糖結晶を効率よく製造する技術が待たれているのが実情である。
本発明は、上記課題を解決するものであり、粒径の大きいブドウ糖結晶を効率よく生成させることが可能なブドウ糖の晶析装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のブドウ糖の晶析装置は、
10重量部を超え20重量部以下の水と、80重量部以上90重量部未満のエタノールを含有する溶媒にブドウ糖が飽和状態で溶解したブドウ糖溶液である晶析母液から、エタノールと水を蒸発させて前記ブドウ糖の結晶を析出させるとともに、前記ブドウ糖の結晶を成長させるように構成された蒸発晶析缶と、
前記蒸発晶析缶における前記晶析母液からの蒸発ベーパ中のエタノールと水の割合と同じ割合でエタノールと水を含有するとともに、ブドウ糖が所定の割合で溶解した供給液を、前記蒸発晶析缶に所定の割合で供給するブドウ糖溶液供給機構と
を具備することを特徴としている。
本発明のブドウ糖の晶析装置においては、前記蒸発晶析缶で析出させ、成長させた前記ブドウ糖結晶を前記晶析母液から分離する分離機構を備えていることが好ましい。
また、前記分離機構により分離された前記ブドウ糖結晶の一部が、種晶として前記蒸発晶析缶に戻されるように構成されていることが好ましい。
また、前記蒸発晶析缶の操作圧力が大気圧であることが好ましい。
本発明のブドウ糖の晶析装置は、(a)10重量部を超え20重量部以下の水と、80重量部以上90重量部未満のエタノールを含有する溶媒に、ブドウ糖が溶解したブドウ糖溶液である晶析母液から、溶媒を構成するエタノールと水を蒸発させてブドウ糖の結晶を析出させるとともに、ブドウ糖結晶を成長させるように構成された蒸発晶析缶と、(b)蒸発晶析缶における晶析母液からの蒸発ベーパ中のエタノールと水の割合と同じ割合でエタノールと水を含有するとともに、ブドウ糖が所定の割合で溶解した供給液を、蒸発晶析缶に所定の割合で供給するブドウ糖溶液供給機構と、を具備しているので、効率よく、粒径の大きいブドウ糖結晶を得ることが可能なブドウ糖の晶析装置を実現することができる。
すなわち、蒸発晶析缶において、10重量部を超え20重量部以下の水と、80重量部以上90重量部未満のエタノールを含有する溶媒にブドウ糖を溶解させたブドウ糖溶液(晶析母液)からブドウ糖を析出させるようにしているので、溶媒として水を用いる場合に比べて、晶析母液中のブドウ糖の濃度を確実に低く抑えることが可能で、晶析工程での晶析母液の粘度の増大や沸点上昇などの物性の変動(晶析条件の乱れ)が抑制されることから、安定した条件下で、ブドウ糖を析出させ、成長させることが可能になり、粒径の大きいブドウ糖結晶を効率よく製造することができる。
また、ブドウ糖溶液供給機構から、蒸発晶析缶における晶析母液からの蒸発ベーパ中のエタノールと水の割合と同じ割合でエタノールと水を含有するとともに、ブドウ糖が所定の割合で溶解した供給液を、蒸発晶析缶に所定の割合で供給するようにしているので、蒸発晶析缶における晶析母液の組成を一定に保ちつつ、安定した晶析操作を継続することができる。
また、蒸発晶析缶で析出させ、成長させたブドウ糖結晶を晶析母液から分離する分離機構を備えた構成とすることにより、粒径の大きいブドウ糖結晶を回収することが可能なブドウ糖の晶析装置を実現することが可能になる。
また、分離機構により分離されたブドウ糖結晶の一部が、種晶として蒸発晶析缶に戻されるように構成されている場合、別途種晶を用意することが不要になり、本発明をより実効あらしめることができる。
なお、本発明においては、上述の蒸発晶析缶の操作圧力に特別の制約はなく、減圧で操作したり、場合によっては加圧下で操作したりすることも可能であるが、通常は、蒸発晶析缶の操作圧力を大気圧とすることが好ましい。
蒸発晶析缶の操作圧力を大気圧とすることにより、蒸発晶析缶内の温度、すなわち晶析母液の温度を適度に高い温度に保って、粒径の大きいブドウ糖を生成させることが容易になる。
また、減圧操作や加圧操作を行う場合に比べて、操作性を向上させることができる。さらに、減圧操作や加圧操作を行う設備に比べて、設備コストの低減を図ることが可能になる。
本発明の一実施形態にかかるブドウ糖の晶析装置の構成を示すフローシートである。 ブドウ糖の水溶液と、ブドウ糖のエタノール-水系溶媒溶液におけるブドウ糖の溶解度を示すグラフである。 ブドウ糖の水溶液の粘度、ブドウ糖のエタノール-水系溶媒溶液の粘度を示すグラフである。 ブドウ糖の水溶液の沸点と、ブドウ糖のエタノール-水系溶媒溶液の沸点を示すグラフである。
以下、本願発明の実施の形態を示してその特徴とするところをさらに詳しく説明する。
なお、本実施形態では、バッチ式に晶析操作を行う場合の晶析装置を例にとって説明する。
図1は、本願発明の一実施形態にかかるブドウ糖の晶析装置100の構成を示す図である。
このブドウ糖の晶析装置100は、図1に示すように、
(a)エタノールと水を含有する溶媒にブドウ糖が飽和状態で溶解したブドウ糖溶液(晶析母液)から、エタノールと水を蒸発させてブドウ糖結晶を析出させるとともに、析出したブドウ糖結晶を成長させる蒸発晶析缶10と、
(b)ブドウ糖が所定の割合で溶解した供給液を、蒸発晶析缶に供給するブドウ糖溶液供給機構20と、
(c)蒸発晶析缶10で析出させたブドウ糖結晶を分離するための分離機構30と
を備えている。
また、本実施形態にかかるブドウ糖の晶析装置100は、後述するように、分離機構30により分離されたブドウ糖結晶をその粒径によって分級するための篩い機(篩過機)40を備えている。
本実施形態のブドウ糖の晶析装置100において用いられている蒸発晶析缶10は、エタノールと水を含有する溶媒にブドウ糖が飽和状態で溶解したブドウ糖溶液である晶析母液から、エタノールと水を蒸発させてブドウ糖結晶を析出させ、成長させることができるように構成されている。
この蒸発晶析缶10には、晶析ヒーター11から熱を供給することができるように構成されており、ブドウ糖溶液が循環ポンプ13によって晶析ヒーター11と蒸発晶析缶10との間を循環することで、晶析母液からエタノールと水を蒸発させるための熱量が供給されるように構成されている。
また、蒸発晶析缶10は攪拌機12を備えており、内部の晶析母液を混合することができるように構成されている。
さらに、本実施形態にかかるブドウ糖の晶析装置100は、蒸発晶析缶10で発生したエタノールと水を含む溶媒の蒸気を冷却して凝縮させるためのコンデンサ14を備えている。なお、コンデンサ14で凝縮した凝縮液(すなわち溶媒)は、ブドウ糖溶液供給機構20を構成する溶解槽20aに戻されるように構成されている。
また、ブドウ糖溶液供給機構20は、ブドウ糖が所定の割合でエタノールと水とを含む溶媒に溶解したブドウ糖溶液を、蒸発晶析缶10に供給するための機構であって、原料であるブドウ糖を溶媒に溶解させるための溶解槽20aを備えている。そして、溶解槽20aには、溶媒を構成するエタノールと水とを、外部から供給することができるように構成されている。
そして、本実施形態では、上述のように、蒸発晶析缶10で発生したエタノールと水とを含む溶媒の蒸気をコンデンサ14で冷却して凝縮させた凝縮液(すなわち溶媒)がブドウ糖溶液供給機構20に戻されるように構成されており、定常状態では、外部からのエタノールと水(溶媒の構成成分)の供給は基本的に必要がないように構成されている。
ブドウ糖溶液供給機構20は、ブドウ糖溶液を所定の温度に加熱することができるように、水蒸気の供給ラインを備えている。さらに、ブドウ糖溶液供給機構20は、供給ポンプ21を経て、蒸発晶析缶10に供給液を供給するための供給ラインを備えている。
ブドウ糖溶液供給機構20の溶解槽20aは、溶解層用攪拌機22を備えており、内容液を攪拌して、ブドウ糖を速やかに溶解させるとともに、ブドウ糖溶液が均一に混合されるように構成されている。
また、分離機構30は、蒸発晶析缶10で析出させたブドウ糖結晶を晶析母液から分離する分離器30aを備えているとともに、濾液を貯留する濾液槽31を備えている。そして、分離器30aにおいてブドウ糖結晶が分離された後の晶析母液(濾液)が濾液槽31に貯留されるように構成されている。なお、濾液槽31は濾液槽用攪拌機32を備えており、均一に攪拌することができるように構成されている。
また、濾液槽31内の濾液は、濾液ポンプ33を介して蒸発晶析缶10に供給することができるように構成されている。
なお、本実施形態においては、後述するように、分離機構30の分離器30aにより分離されたブドウ糖結晶の一部が、次回のバッチの晶析操作において、種晶として用いられるように構成されている。
また、本実施形態にかかるブドウ糖の晶析装置100においては、分離機構30を構成する分離器30aとして、分離したブドウ糖結晶を、洗浄し、乾燥させる機能を備えたフィルタードライヤーが用いられている。
ただし、分離機構30を構成する分離器30aとしては、乾燥機能を備えていない構成のものを用いることも可能である。その場合に、分離したブドウ糖結晶を乾燥させるための乾燥機が設けられることになる。
また、本実施形態にかかるブドウ糖の晶析装置100では、分離機構30を構成する分離器(フィルタードライヤー)30aで分離、乾燥されたブドウ糖結晶を篩い分ける(分級する)篩い機(篩過機)40を備えており、ブドウ糖結晶を、粒径が500μm以上のブドウ糖結晶(図1のI)と、粒径が300μm以上500μm未満のブドウ糖結晶(図1のII)と、粒径が300μm未満のブドウ糖結晶(図1のIII)とに篩い分けすることができるように構成されている。
そして、粒径が500μm以上のブドウ糖結晶Iは、製品として回収されるように構成されている。
また、粒径が300μm以上500μm未満のブドウ糖結晶IIは、次回のバッチ、または、それ以降のバッチにおいて種晶として用いられるように構成されている。
さらに、粒径が300μm未満のブドウ糖結晶IIIは、ブドウ糖溶液供給機構20の溶解槽20aに戻されて再度溶解され、蒸発晶析缶10に供給されるように構成されている。
なお、粒径が300μm以上500μm未満のブドウ糖結晶IIのうち、種晶として用いられないものは、ブドウ糖原料として、ブドウ糖溶液供給機構20の溶解槽20aに戻して再度溶解し、蒸発晶析缶10に供給するように構成してもよい。
なお、この実施形態では、上述のように、ブドウ糖結晶を、粒径が500μm以上のブドウ糖結晶と、粒径が300μm以上500μm未満のブドウ糖結晶と、粒径が300μm未満のブドウ糖結晶とに篩い分けするようにしているが、分級の基準となる粒径は、上記の例に限定されるものではない。
本実施形態にかかるブドウ糖の晶析装置100を用いてバッチで晶析操作を行うにあたっては、まず、溶解槽20aに、溶媒を構成するエタノールと水を重量比で93:7の割合で投入するとともに、ブドウ糖(原料)を投入し、溶解層用攪拌機22で攪拌しながら、大気圧下で約79℃に加熱し、ブドウ糖をエタノール-水溶媒に溶解させて、ブドウ糖濃度が約5.7wt%のブドウ糖溶液(原料溶液)を調製する。なお、ブドウ糖濃度が約5.7wt%のブドウ糖溶液は、ブドウ糖がほぼ飽和状態にあるブドウ糖溶液である。
一方、蒸発晶析缶10には、エタノールと水の割合が重量比で86:14の溶媒とブドウ糖を、ブドウ糖の割合が23.1wt%となるような割合で投入し、加熱、攪拌することによりブドウ糖を溶解させて晶析母液を調製する。また、蒸発晶析缶10内の晶析母液には、例えば粒径が約400μmのブドウ糖を種晶として添加する。
そして、蒸発晶析缶10を加熱し、晶析母液から溶媒を蒸発させつつ、ブドウ糖の結晶を析出させ、成長させると同時に、溶解槽20aから蒸発晶析缶10にブドウ糖溶液(原料溶液)を供給する。
このとき、気液平衡により、蒸発晶析缶10内の晶析母液中のエタノールと水の割合は、重量比で86:14、蒸気中のエタノールと水の割合は、重量比で93:7となる。
また、蒸発晶析缶10内の晶析母液のブドウ糖濃度は、飽和濃度の23.1wt%となる。
また、蒸発晶析缶から発生した、エタノールと水の割合が重量比で93:7である蒸気はコンデンサ14で冷却されて凝縮し、溶解槽20aに戻される。
そして、溶解槽20aには、ブドウ糖原料が連続的に投入され、ブドウ糖濃度が約5.7wt%のブドウ糖溶液(原料溶液)が調製され、蒸発晶析缶10に連続的に供給される。
それから、所定時間(例えば12時間)上述の方法で、継続して晶析および結晶の分離を行った後、蒸発晶析缶10における加熱蒸発を停止する(すなわち、晶析母液の晶析ヒーター11への循環を停止する)とともに、ブドウ糖溶液供給機構20から蒸発晶析缶10へのブドウ糖溶液の供給を停止する。
蒸発晶析缶10における加熱蒸発を停止すると、コンデンサ14からの凝縮液(ブドウ糖(原料)を溶解するための溶媒)が、ブドウ糖溶液供給機構20の溶解槽20aに供給されなくなるので、ブドウ糖溶液供給機構20の溶解槽20aへのブドウ糖(原料)の投入を停止するとともに、ブドウ糖溶液供給機構20の溶解槽20aから蒸発晶析缶10へのブドウ糖溶液の供給を停止する。
それから、蒸発晶析缶10内の、ブドウ糖結晶を含む晶析母液をすべて後述の分離機構30に送って、ブドウ糖結晶を分離するとともに、ブドウ糖結晶を分離した晶析母液を濾液槽31に貯留し、次のバッチでの晶析操作に備える。なお、この場合、濾液槽31として、ブドウ糖結晶を分離した晶析母液を貯留することができる大きさのものを用いることが必要である。
こうして、バッチ式の晶析操作を終了した後、次回のバッチの晶析操作を開始するにあたっては、濾液槽31内に貯留していた晶析母液を、濾液ポンプ33を介して蒸発晶析缶10に戻し、蒸発晶析缶10の加熱を再開するとともに、ブドウ糖溶液供給機構20へのブドウ糖(原料)の供給、ブドウ糖溶液供給機構20から蒸発晶析缶10へのブドウ糖溶液の供給を行うことにより、バッチ式の晶析操作を開始することができる。
本実施形態のブドウ糖の晶析装置は上述のように構成されているので、この晶析装置100を用いてブドウ糖の晶析を行うことにより、効率よく、粒径の大きいブドウ糖結晶を製造することができる。
すなわち、本実施形態にかかるブドウ糖の晶析装置100においては、晶析母液を構成する溶媒として、エタノールと水を含む溶媒を用いるようにしているので、
(a)溶媒として水を用いる場合に比べて、ブドウ糖の飽和溶液である晶析母液中のブドウ糖の濃度(飽和濃度)を低く抑えることが可能になり、
(b)晶析工程での晶析母液の粘度の増大や沸点上昇などの物性の変動(晶析条件の乱れ)を抑制することが可能になるため、
安定した条件下で、ブドウ糖を確実に析出させ、成長させることが可能で、粒径の大きいブドウ糖結晶を効率よく製造することができる。
また、晶析母液の粘度の増大を抑制することが可能になるため、攪拌や晶析ヒーターにおける熱交換を効率よく行うことが可能になり、操作性が良好で、信頼性の高い晶析装置を実現することができる。
次に、上述のブドウ糖の晶析装置100を用いることにより、粒径の大きいブドウ糖結晶を確実に製造することが可能になる点についてさらに説明を行う。
図2は、
(1)ブドウ糖を水に溶解したブドウ糖溶液(ブドウ糖水溶液)と、
(2)ブドウ糖を、エタノールと水の割合が、エタノールが84重量部、水が16重量部の割合の溶媒に溶解したブドウ糖溶液(ブドウ糖溶媒溶液)
に含まれるブドウ糖の量(ブドウ糖の飽和濃度)と、温度との関係を示すグラフである。
図2に示すように、ブドウ糖を水に溶解したブドウ糖溶液(ブドウ糖水溶液)における、ブドウ糖と水の割合は、例えば45℃において、ブドウ糖が約65wt%、水が約35wt%であり、温度が75℃゜程度にまで上昇すると、ブドウ糖の溶解度はさらに上昇する。なお、従来は、ブドウ糖の晶析時の一般的な操作温度を45℃~75℃としており、上述のような極めてブドウ糖濃度の高い条件下で晶析が行われることになる。
これに対し、本発明のように、エタノールと水を含む溶媒(例えば、エタノールが84重量部、水が16重量部の割合の溶媒)を用いた場合の、ブドウ糖と溶媒の割合は、例えば80℃において、ブドウ糖が約23wt%、溶媒が約77wt%、温度が100℃になっても、ブドウ糖が約38wt%、溶媒が約62wt%となるにすぎず、溶媒として水を用いる場合に比べて、ブドウ糖濃度の低い条件下で晶析を行うことができる。
このことから、水を溶媒として用いる場合に比べて、エタノールと水を含む溶媒を用いた場合には、ブドウ糖の溶解量が大幅に低減し、ブドウ糖の結晶を析出させやすくなることがわかる。
また、図3は、
(1)ブドウ糖を水に溶解したブドウ糖溶液(ブドウ糖水溶液)と、
(2)ブドウ糖を、エタノールと水の割合が、エタノールが84重量部、水が16重量部の割合の溶媒に溶解したブドウ糖溶液(ブドウ糖溶媒溶液)
における粘度とブドウ糖濃度との関係を示すグラフである。
図3に示すように、水を溶媒として用いる場合において、ブドウ糖水溶液中のブドウ糖濃度が60wt%を超えると粘度が上昇し、従来のブドウ糖の晶析時の一般的なブドウ糖濃度である65wt%~83wt%になると、さらに粘度が上昇する。
これに対し、本発明のように、エタノールと水を含む溶媒(例えば、エタノールが84重量部、水が16重量部の割合の溶媒)を用いた場合、例えば80℃でブドウ糖が飽和濃度(23wt%)の場合にも、粘度が十分に低く抑えられる。
このことから、水を溶媒として用いる場合に比べて、エタノールと水を含む溶媒を用いた場合には、ブドウ糖溶液の粘度の上昇を抑えることが可能になり、攪拌や晶析ヒーターにおける熱交換を効率よく行うことが可能で、良好な操作性や信頼性を確保できることがわかる。
また、図4は、
(1)ブドウ糖を水に溶解したブドウ糖溶液(ブドウ糖水溶液)と、
(2)ブドウ糖を、エタノールと水の割合が、エタノールが84重量部、水が16重量部の割合の溶媒に溶解したブドウ糖溶液(ブドウ糖溶媒溶液)
における、沸点とブドウ糖濃度との関係を示すグラフである。
図4に示すように、ブドウ糖を水に溶解したブドウ糖溶液(ブドウ糖水溶液)の場合、ブドウ糖水溶液中のブドウ糖濃度が60wt%を超えると沸点上昇が認められるようになり、従来のブドウ糖の晶析時の一般的なブドウ糖濃度である65wt%~83wt%になると、さらに沸点上昇が大きくなる。
これに対し、本発明のように、エタノールと水を含む溶媒(例えば、エタノールが84重量部、水が16重量部の割合の溶媒)を用いた場合、例えば80℃でブドウ糖が飽和濃度(23wt%)の場合の沸点と、ブドウ糖が過飽和になり、ブドウ糖濃度が33%程度になった場合の沸点が同じである(沸点がほぼ一定である)ことが確認された。このように、水を溶媒として用いる場合に比べて、エタノールと水を含む溶媒を用いた場合には、沸点上昇がほとんどなく、安定した条件下で、ブドウ糖を確実に析出させ、成長させることが可能になることがわかる。
以上のことから、エタノールと水を含む溶媒を用いて蒸発晶析を行うようにしている本発明によれば、溶媒として水を用いる場合に比べて、ブドウ糖の溶解度を低減させることが可能になり、晶析母液中のブドウ糖の濃度(飽和濃度)を抑えること、および、晶析母液の粘度の増大や沸点上昇などの物性の変動を抑制することが可能になる。
その結果、晶析工程での晶析母液の温度やブドウ糖の溶解度などに関し、安定した条件下でブドウ糖を確実に析出させ、成長させることが可能になり、粒径の大きいブドウ糖結晶を効率よく製造することが可能になる。
なお、上記実施形態では、バッチ操作によって、晶析を行う方法および晶析装置について説明したが、本発明のブドウ糖の晶析装置は、連続操作によって晶析を行うための方法および装置として構成することも可能である。
連続操作によって晶析を行うための方法および装置として構成する場合には、例えば、分離機構30において分離回収される、粒径が500μm以上のブドウ糖結晶の量に相当する量のブドウ糖(原料)を、ブドウ糖溶液供給機構20の溶解槽20aに連続的に供給して溶解させる(コンデンサ14の凝縮液が溶解槽20aに戻されるため、供給されたブドウ糖(原料)は溶解槽20a内で溶解する)。
そして、このブドウ糖溶液を蒸発晶析缶10に連続的に供給して、ブドウ糖結晶を析出させて成長させるとともに、成長したブドウ糖結晶を含む焼成母液を蒸発晶析缶10から分離機構30に連続的に送ってブドウ糖結晶を分離し、粒径が500μm以上のブドウ糖結晶を製品として回収するように構成することで、連続式のブドウ糖の晶析装置とすることができる。
なお、蒸発晶析缶10を連続式に構成する場合であっても、例えば、蒸発晶析缶10から分離機構30に送られる、ブドウ糖結晶を含む晶析母液を一旦受器(図示せず)に受けて貯留し、この受器から順次、ブドウ糖結晶を含むブドウ糖溶液(晶析母液)を分離機構30に送ってブドウ糖結晶を分離するように構成するなど、ブドウ糖の晶析装置100の全体としての構成については、種々の変形を加えることができる。
本発明はさらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、ブドウ糖溶液供給機構、蒸発晶析缶、および、分離機構などの具体的な構成に関し、発明の範囲内において種々の応用、変形を加えることが可能である。
100 ブドウ糖の晶析装置
10 蒸発晶析缶
11 晶析ヒーター
13 循環ポンプ
12 攪拌機
14 コンデンサ
20 ブドウ糖溶液供給機構
20a 溶解槽
22 溶解層用攪拌機
30 分離機構
30a 分離器
31 濾液槽
32 濾液槽用攪拌機
21 供給ポンプ
33 濾液ポンプ
40 篩い機(篩過機)

Claims (4)

  1. 10重量部を超え20重量部以下の水と、80重量部以上90重量部未満のエタノールを含有する溶媒にブドウ糖が飽和状態で溶解したブドウ糖溶液である晶析母液から、エタノールと水を蒸発させて前記ブドウ糖の結晶を析出させるとともに、前記ブドウ糖の結晶を成長させるように構成された蒸発晶析缶と、
    前記蒸発晶析缶における前記晶析母液からの蒸発ベーパ中のエタノールと水の割合と同じ割合でエタノールと水を含有するとともに、ブドウ糖が所定の割合で溶解した供給液を、前記蒸発晶析缶に所定の割合で供給するブドウ糖溶液供給機構と
    を具備することを特徴とするブドウ糖の晶析装置。
  2. 前記蒸発晶析缶で析出させ、成長させた前記ブドウ糖結晶を前記晶析母液から分離する分離機構を備えていることを特徴とする請求項記載のブドウ糖の晶析装置。
  3. 前記分離機構により分離された前記ブドウ糖結晶の一部が、種晶として前記蒸発晶析缶に戻されるように構成されていることを特徴とする請求項記載のブドウ糖の晶析装置。
  4. 前記蒸発晶析缶の操作圧力が大気圧であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のブドウ糖の晶析装置。
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