JP7158147B2 - 研磨シート及び研磨方法 - Google Patents

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Description

本発明は、研磨シート及び研磨方法に関する。
従来から、金属製品等に平滑面を形成するために様々な研磨材が検討されている。例えば、特許文献1及び2には、三次元形状を有する研磨部を備えた研磨材が記載されている。
特表平9-502665号公報 特開2015-223653号公報
本発明は、金属製品等の硬質材料を効率良く研磨して、凹凸の少ない平滑面を形成することが可能な研磨シート、及び、当該研磨シートを用いて研磨対象物を効率良く研磨することが可能な研磨方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、基材と、砥粒及び結合材を含有する複数の立体要素と、立体要素と基材との間に設けられ、基材と立体要素とを接合する中間層と、を含み、基材の25℃におけるヤング率が3.0×10Pa以上であり、中間層の25℃におけるヤング率が1.0×10Pa以上5.0×10Pa以下である、研磨シートに関する。
このような研磨シートによれば、高荷重下での研磨において、対象面の凹凸を十分に低減できる。このため、上記研磨シートによれば、金属製品等の硬質材料を高荷重研磨により効率良く研磨でき、凹凸の少ない平滑面を容易に形成することができる。
本発明の他の一側面は、上記研磨シートを用いた研磨方法であって、研磨シートを1.0×10Pa以上の荷重で研磨対象物に押し付けて、研磨シートと研磨対象物とを摺動させる工程を含む、研磨方法に関する。
このような研磨方法では、上記研磨シートを用いているため、研磨対象物を効率良く研磨でき、研磨対象物に凹凸の少ない平滑面を容易に形成することができる。
本発明の更に他の一側面は、基材と、砥粒及び結合材を含有する複数の立体要素と、立体要素と基材との間に設けられ、基材と立体要素とを接合する中間層と、を含み、結合材が、アクリルモノマーを含有する樹脂組成物の硬化物を含み、当該アクリルモノマーの60質量%以上が、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート及びトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレートからなる群より選択される多官能モノマーである、研磨シートに関する。
このような研磨シートによれば、高荷重下での研磨において、対象面の凹凸を十分に低減できる。このため、上記研磨シートによれば、金属製品等の硬質材料を高荷重研磨により効率良く研磨でき、凹凸の少ない平滑面を容易に形成することができる。
本発明は、金属製品等の硬質材料を効率良く研磨して、凹凸の少ない平滑面を形成することが可能な研磨シート、及び、当該研磨シートを用いて研磨対象物を効率良く研磨することが可能な研磨方法を提供することを目的とする。
研磨シートの一態様を示す断面図である。 研磨シートの他の一態様を示す断面図である。 (a)は研磨シートが有する立体形状の一態様を示す図であり、(b)は研磨シートが有する立体形状の他の一態様を示す図である。 (a)は研磨シートが有する立体形状の一態様を示す図であり、(b)は研磨シートが有する立体形状の他の一態様を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は理解を容易にするため一部を誇張して描いており、寸法比率等は図面に記載のものに限定されるものではない。
(研磨シート)
本実施形態に係る研磨シートは、基材と、砥粒及び結合材を含有する複数の立体要素と、立体要素と基材との間に設けられ、基材と立体要素とを接合する中間層と、を含む。
本実施形態において、研磨シートは、(a)基材の25℃におけるヤング率が3.0×10Pa以上であり、且つ、中間層の25℃におけるヤング率が1.0×10Pa以上5.0×10Pa以下であるか、(b)結合材が、アクリルモノマーを含有する樹脂組成物の硬化物を含み、且つ、当該アクリルモノマーの60質量%以上が、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート及びトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレートからなる群より選択される多官能モノマーである、という特徴を有している。研磨シートは、上記(a)及び(b)の少なくとも一方の特徴を有していればよく、両方の特徴を有していてもよい。
なお、本明細書中、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートは、「(2,4,6-Trioxo-1,3,5-triazinane-1,3,5-triyl)triethylene triacrylate」((2,4,6,-トリオキソ-1,3,5-トリアジナン-1,3,5-トリイル)トリエチレントリアクリラート)であり、下記式(A-1)で表される化合物を示す。また、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレートは、「2-{3-[2-(Acryloyloxy)ethyl]-5-(2-hydroxyethyl)-2,4,6-trioxo-1,3,5-triazinan-1-yl}ethyl acrylate」(2-{3-[2-(アクリロイルオキシ)エチル]-5-(2-ヒドロキシエチル)-2,4,6-トリオキソ-1,3,5-トリアジナン-1-イル}エチルアクリラート)であり、下記式(A-2)で表される化合物を示す。
Figure 0007158147000001
本実施形態に係る研磨シートによれば、高荷重下での研磨において、対象面の凹凸を十分に低減できる。このため、上記研磨シートによれば、金属製品等の硬質材料を高荷重研磨により効率良く研磨でき、凹凸の少ない平滑面を容易に形成することができる。
上記(a)の特徴を有する研磨シートは、剛直な基材を有するため、固定された硬質材料に対して研磨シートを摺動させやすく、高荷重研磨への適応性に優れる。また、当該研磨シートは、基材と立体要素との間に柔軟な中間層が設けられており、当該中間層が緩衝層として機能する。このため、上記研磨シートでは、高荷重研磨時に中間層上の複数の立体要素がそれぞれ硬質材料の凹凸に追従し、凹凸の少ない平滑面を容易に形成できる。
なお、本明細書中、基材のヤング率は、ISO 527-3に準拠した、フィルムに対する引張特性に関する試験により測定される値を示す。
また、本明細書中、中間層のヤング率及び結合材のヤング率は、ISO 6721-5に準拠した周波数1Hzでの曲げ振動による動的粘弾性測定を以下の条件で行い、当該測定の結果から算出される複素弾性率の値を示す。
(測定条件)
・測定装置:Rheometric Scientific社製Solids Analyzer RSA III
・測定モード:Three Point Bending
・支持端間距離:40mm
・周波数:1Hz
・試験片概寸法:幅10mm×長さ50mm×厚さ2mm
・歪:0.05%
上記(b)の特徴を有する研磨シートは、結合材が特定のイソシアヌレート構造を有する硬化物から構成される。このような結合材は圧縮降伏応力が高くなるため、高荷重研磨時に、研磨面に係る圧力を維持しつつ変形するため、硬質材料に対する密着性が向上し、高い研磨力が得られる。このため、上記研磨シートでは、高荷重研磨において対象面の凹凸を容易に除去でき、凹凸の少ない平滑面を容易に形成できる。
なお、本明細書中、圧縮降伏応力は、以下の測定方法及び算出方法により求められる値を示す。
(測定方法)
角柱の試験片を2枚の平行板面に挟み、荷重を加えて破壊するまでの応力と歪の関係を求めた(試験片寸法、圧縮ひずみ算出方法を除いてISO 604準拠)。
・測定装置:Orientec社製Tensilon万能試験機(1KNロードセル使用)
・圧縮速度:1mm/分
・圧縮ひずみ:圧縮呼びひずみ(nominal compressive strain)
・試験片寸法:2mm×2mm×5mm
(算出方法)
上記測定方法で得られた圧縮応力-ひずみ曲線は、始めに弾性変形による直線部分が現れ、変曲点を経て、部分的に生じた塑性変形による緩やかな直線部分が現れる。この2つの直線部分の各線形回帰直線の交点の圧縮応力値を、圧縮降伏応力として求める。
以下、図面を参照して研磨シートの好適な一態様について詳細に説明する。
図1は、研磨シートの好適な一態様を示す断面図である。図1に示す研磨シート10は、基材11と、砥粒及び結合材を含有する立体要素12と、基材11及び立体要素12の間に配置され、基材11の一方面上に立体要素12を接合する中間層13と、を備えている。
基材11としては、例えば、紙基材、布基材、スポンジ基材、樹脂フィルム、金属フィルム等が挙げられる。
紙基材としては、例えば、クラフト紙、含浸紙、コート紙、合成紙等が挙げられる。また、布基材としては、綿布、レーヨン布、ポリエステル布、またはこれらの混紡等が挙げられる。また、スポンジ基材としては、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、メラミンフォーム等が挙げられる。
基材11は、中間層13と接する面が平滑であることが好ましく、平滑さと好適なヤング率とを両立しやすい観点からは、樹脂フィルム及び/又は金属フィルムを含むことが好ましい。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム等が挙げられる。金属フィルムとしては、熱伝導性が高く、摩擦熱放出が期待できる観点から、金属箔が好ましく、例えばアルミニウム泊、銅箔等が挙げられる。基材11は、複数の樹脂フィルムを積層した積層体であってもよく、複数の金属フィルムを積層した積層体であってもよく、樹脂フィルムと金属フィルムとを含む積層体であってもよい。
基材11の中間層13と接する面には、例えば中間層13との接着性の向上等を目的として、表面処理が施されていてよい。当該表面処理としては、例えば、火炎処理、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン若しくは酸化性の酸による酸化処理、スパッタエッチング等による表面処理、又は、ポリエチレンアクリル酸、ポリウレタン等によるプライマー処理などが挙げられる。
基材11の中間層13と反対側の面には、例えば研磨装置への適応性の向上等を目的として、表面処理が施されていてよい。当該表面処理としては、例えば、サンドブラスト処理による粗面化処理、無機粒子含有樹脂によるすべり止め層の形成、感圧接着剤による接着層の付与等が挙げられる。
基材11の厚さは特に限定されず、例えば15μm以上であってよく、60μm以上であってもよい。また、基材11の厚さは、例えば500μm以下であってよく、350μm以下であってもよい。基材11の厚さを厚くすると、高荷重研磨時の基材の破損が顕著に抑制され、高荷重研磨の安定性が向上する。また、基材11の厚さを薄くすると、研磨対象物に対する追従性が一層向上する。
基材11は、25℃におけるヤング率が3.0×10Pa以上であることが好ましい。このような基材11を有することで、固定された硬質材料に対して研磨シート10を摺動させやすくなり、高荷重研磨への適応性に優れた研磨シート10となる。
基材11の25℃におけるヤング率は、上記効果がより顕著に得られる観点から、3.5×10Pa以上がより好ましく、3.8×10Pa以上が更に好ましい。なお、基材11が金属フィルムである場合、基材11の25℃におけるヤング率は更に高くてよく、例えば10×10Pa以上であってもよく、20×10以上であってもよい。
基材11の25℃におけるヤング率の上限は特に限定されない。基材11の25℃におけるヤング率は、ロール状製品への加工性の観点からは、例えば250×10Pa以下が好ましく、150×10以下がより好ましい。なお、基材11が樹脂フィルムである場合、基材11の25℃におけるヤング率は更に低くてよく、例えば20×10Pa以下であってもよく、15×10Pa以下であってもよい。
基材11は、破断伸びが200%以下であることが好ましい。このような基材11は、高荷重研磨時において立体要素12をより強固に固定でき、研磨性能が一層向上する傾向がある。
上記効果がより顕著に得られる観点から、基材11の破断伸びは、180%以下がより好ましく、150%以下が更に好ましい。なお、基材11が金属フィルムである場合、基材11の破断伸びは更に低くてよく、例えば40%以下であってよく、30%以下であってもよい。
基材11の破断伸びの下限は特に限定されず、例えば1%以上であってよく、3%以上であってもよい。なお、基材11が樹脂フィルムである場合、基材11の破断伸びは更に高くてよく、例えば20%以上であってもよく、40%以上であってもよい。
立体要素12は、研磨対象物を研磨するための砥粒と、砥粒を結着する結合材とを含んでいる。立体要素12によって、研磨シート10の研磨面には、研磨対象物と接する凸部と研磨対象物と接しない凹部とが形成される。すなわち、研磨シート10における立体要素12は、研磨面が凸部及び凹部を有するように設けられた要素ということができる。
研磨シート10は、複数の立体要素12を有しており、立体要素12同士は互いに独立している。このような構成を有することで、高荷重研磨時に複数の立体要素12がそれぞれ研磨対象物の凹凸に追従することができる。
砥粒は、研磨シート10の用途(例えば、研磨対象物の種類、研磨シートを適用する研磨装置の種類等)に応じて適宜選択してよい。砥粒としては、例えば、ダイヤモンド、溶融酸化アルミニウム、熱処理酸化アルミニウム、セラミック酸化アルミニウム、シリコンカーバイド、アルミナジルコニア、ガーネット、立方体窒化ホウ素等が挙げられ、これらは一種を単独で用いても二種以上を混合して用いても、これらを集結砥粒状に加工してもよい。これらのうち、ダイヤモンド、シリコンカーバイド、立方体窒化ホウ素は、硬質材料の高荷重研磨への適性が高く、特に好適である。
砥粒の平均粒径は、研磨シート10の用途に応じて適宜選択してよい。砥粒の平均粒径は、例えば0.3μm以上であってよく、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは10μm以上である。また、砥粒の平均粒径は、例えば50μm以下であってよく、好ましくは35μm以下、より好ましくは20μm以下である。また、砥粒を集結して用いる場合には、その平均粒径は、例えば5μm以上であってよく、このましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上である。また、集結砥粒の平均粒径は、例えば5mm以下であってよく、好ましくは1mm以下、より好ましくは500μm以下である。
なお、本明細書中、研磨粒子の平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定を用いて測定される体積累積粒径D50である。具体的な測定条件は以下のとおりであるが、同様の原理に基づき同等の値が得られることが当業者にとって理解できる限り、他の測定装置及び条件を用いることを妨げない。
・測定装置:レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA-920(株式会社堀場製作所、京都府京都市)
・解析ソフトウェア:LA-920 for Windows(登録商標)
・砥粒量:150mg
・分散媒:イオン交換水150mL
・循環速度(水の撹拌速度):設定値15
・超音波発振:あり(LA-920内蔵の超音波装置を使用)
・測定温度:室温(25℃)
・相対湿度:85%以下
・He-Neレーザー光透過率:85%
・タングステンランプ透過率:85%
・相対屈折率:1.80に設定(ダイヤモンドの相対屈折率:1.81)
・測定時間:20秒
・データ取り込み数:10
・粒径基準:体積
砥粒の番手は、JIS R-6001-2:2017で定義され、例えば#280~#30000であってよく、好ましくは#600~#20000である。
立体要素12中の砥粒の含有量は、結合材100質量部に対して、例えば0.2質量部以上であってよく、0.4質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、立体要素12中の砥粒の含有量は、結合材100質量部に対して、例えば800質量部以下であってよく、600質量部以下が好ましく、500質量部以下がより好ましい。
結合材は、砥粒を分散させるマトリックスということができる。結合材は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の硬化物であってよく、光硬化性樹脂組成物の硬化物であってもよい。
結合材は、25℃におけるヤング率が1.0×10Pa以上であることが好ましい。このような結合材によれば、高荷重下でも立体要素12の形状を十分に維持でき、研磨対象物に対する研磨力がより顕著に発現される傾向がある。
上記効果がより顕著に得られる観点からは、結合材の25℃におけるヤング率は、2.0×10Pa以上がより好ましく、4.0×10Pa以上が更に好ましい。結合材の25℃におけるヤング率の上限は特に限定されず、例えば20×10以下であってよく、15×10以下であってもよい。
好適な一態様において、結合材は、フェノール樹脂を含むものであってよい。このような結合材は、後述の好適なヤング率を得られやすい。
好適な他の一態様において、結合材は、アクリルモノマーを含有する樹脂組成物の硬化物であってよい。アクリルモノマーは、アクリロイル基及びメタアクリロイル基からなる群より選択される少なくとも1種の重合性基を有する化合物である。上記樹脂組成物は、アクリルモノマーの重合によって硬化され、結合材を構成する硬化物となる。
上記樹脂組成物は、アクリルモノマーの60質量%以上が、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート及びトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレートからなる群より選択される多官能モノマーであってよい。これにより、圧縮降伏応力の高い結合材が形成されるため、高荷重研磨時に研磨面に係る圧力を維持しつつ結合材を変形させることができ、硬質材料に対する密着性を向上させ、高い研磨力を得ることができる。
アクリルモノマー中の上記多官能モノマーの含有量は、好ましくは65質量%以上であり、より好ましくは85質量%以上であり、95質量%以上であってよく、99質量%以上であってもよく、100質量%以上であってもよい。
上記樹脂組成物は、上記多官能モノマー以外の他のアクリルモノマーを更に含有していてもよい。他のアクリルモノマーとしては、単独ポリマーでのガラス転移温度が25℃以上のものが好ましい。他のアクリルモノマーとしては、例えば、単官能モノマーとして、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等が挙げられ、二官能モノマーとして、トリシクロデカンメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、多官能モノマーとして、トリメチルプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
上記樹脂組成物中のアクリルモノマーの含有量は、樹脂組成物中の固形分の総量基準で、例えば90質量%以上であってよく、好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上である。上記樹脂組成物中のアクリルモノマーの含有量の上限は特に限定されない。
上記樹脂組成物は、アクリルモノマーの重合を開始させるための重合開始剤を更に含有していてよい。重合開始剤としては、熱重合開始剤及び光重合開始剤が挙げられ、これらのうちフリーラジカル重合を開始させるための光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤としては、例えば、分子内開裂タイプとして、ベンゾイン誘導体、ベンジルケタール、α-ヒドロキシアセトフェノン、α-アミノアセトフェノン、アシルフォスフィンオキサイド、チタノセン類、O-アシルオキシム類等が挙げられ、水素引き抜きタイプとして、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、チオキサントン等が挙げられる。
上記樹脂組成物中の重合開始剤の含有量は、重合開始剤の種類等に応じて適宜変更してよい。上記樹脂組成物中の重合開始剤の含有量は、アクリルモノマー100質量部に対して、例えば0.1質量部以上であってよく、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。また、上記樹脂組成物中の重合開始剤の含有量は、アクリルモノマー100質量部に対して、例えば10質量部以下であってよく、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
上記樹脂組成物は、アクリルモノマー及び重合開始剤以外の他の成分を更に含んでいてもよい。他の成分としては、例えばカップリング剤、湿潤剤、染料、顔料、可塑剤、フィラー、剥離剤、研磨補助剤、及びその他の添加剤等が挙げられる。
図1において、立体要素12は、断面が三角形状を成す形状として記載したが、立体要素12の形状は必ずしもこれに限定されない。立体要素12は、例えば、凸部を頂点とし、底面で中間層13と接合する錐体構造を有していてよい。また、立体要素12は、例えば、一側辺で凸部を成し、該側辺と対向する側面で中間層13と接合する三角柱構造を有していてもよい。
また、立体要素12は、例えば、一方底面で凸部を成し、他方底面で中間層13と接合する、柱体構造を有していてもよい。また、立体要素12は、例えば、一方底面で凸部を成し、他方底面で中間層13と接合する、錐台構造を有していてもよい。
立体要素12は、多層構造を有していてもよい。例えば、立体要素12は、研粒及び結合材からなる研磨材層と、結合材からなる支持層とから構成されていてもよい。
立体要素12の高さ(研磨面の凹部から凸部までの高さ)は、例えば、2~800μmであってよく、4~400μmであってもよい。
中間層13は、基材11と立体要素12との間に配置され、基材11及び立体要素12を接合する層である。
中間層13の25℃におけるヤング率は、1.0×10Pa以上であることが好ましい。このような中間層13は、立体要素12を基材11上に十分に固定できるため、研磨時の立体要素12の脱落等を十分に抑制できる。
上記効果がより顕著に奏される観点から、中間層13の25℃におけるヤング率は、3.0×10Pa以上が好ましく、5.0×10Pa以上がより好ましい。
また、中間層13の25℃におけるヤング率は、5.0×10Pa以下であることが好ましい。このような中間層13は高荷重研磨時に緩衝層として機能し、複数の立体要素12をそれぞれ研磨対象物の凹凸に追従させることができる。このため、このような中間層13によれば、凹凸の少ない平滑面を容易に形成できる。
上記効果がより顕著に奏される観点から、中間層13の25℃におけるヤング率は、4.0×10Pa以下が好ましく、2.0×10Pa以下がより好ましい。
中間層13の構成材料は、基材11と立体要素12とを接合できるものであれば特に限定されない。中間層13は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の硬化物で構成されていてよく、光硬化性樹脂組成物の硬化物で構成されていてもよい。
好適な一態様において、中間層13は、ウレタンアクリレートを含む樹脂組成物の硬化物で構成されていてよい。このような中間層13は、上述の好適なヤング率と、基材11及び立体要素12間の強固な接着力とを両立しやすい傾向がある。
ウレタンアクリレートは、ウレタン結合と、アクリロイル基及びメタアクリロイル基からなる群より選択される少なくとも一種の重合性基と、を有する重合性化合物ということができる。ウレタンアクリレートの具体例としては、例えば、ポリエステル骨格含有ウレタンアクリレート、ポリエーテル骨格含有ウレタンアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート等が挙げられる。
上記樹脂組成物は、ウレタンアクリレート以外の他の重合性化合物を更に含んでいてよい。他の重合性化合物は、ウレタンアクリレートと共重合可能な化合物から適宜選択してよい。他の重合性化合物としては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、グリシジルメタクリレート、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。また、上記樹脂組成物は、エポキシ樹脂等のウレタンアクリレートとは共重合しない重合性化合物を更に含んでもよい。
上記樹脂組成物中の重合性化合物に占めるウレタンアクリレートの割合は、例えば40質量%以上であってよく、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。これにより、上述の好適なヤング率がより得られやすくなる。
上記樹脂組成物中の重合性化合物に占めるウレタンアクリレートの割合の上限は特に限定されず、例えば99.9質量%以下であってよく、99質量%以下であってもよい。
上記樹脂組成物は、ウレタンアクリレートの重合を開始させるための重合開始剤を更に含有していてよい。重合開始剤としては、熱重合開始剤及び光重合開始剤が挙げられ、これらのうちフリーラジカル重合を開始させるための光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤としては、例えば、分子内開裂タイプとしてベンゾイン誘導体、ベンジルケタール、α-ヒドロキシアセトフェノン、α-アミノアセトフェノン、アシルフォスフィンオキサイド、チタノセン類、O-アシルオキシム類等が挙げられ、水素引き抜きタイプとしてベンゾフェノン、ミヒラーケトン、チオキサントン等が挙げられる。
上記樹脂組成物中の重合開始剤の含有量は、重合開始剤の種類等に応じて適宜変更してよい。上記樹脂組成物中の重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対して、例えば0.1質量部以上であってよく、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。また、上記樹脂組成物中の重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対して、例えば50質量部以下であってよく、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
上記樹脂組成物は、重合性化合物及び硬化剤以外の他の成分を更に含んでいてもよい。他の成分としては、例えばカップリング剤、湿潤剤、染料、顔料、可塑剤、フィラー、及びその他の添加剤等が挙げられる。
研磨シート10において、中間層13は立体要素12と共に立体的に成形され、研磨面の凹部を構成している。また、研磨シート10は、複数の中間層13を有しており、複数の中間層13は、それぞれ一つの立体要素12と基材11とを接合している。すなわち、研磨シート10では、一つの中間層13上に一つの立体要素12が設けられている。
本実施形態において、中間層の形状は上記の形状に限定されない。例えば、研磨シートは、複数の立体要素が一つの中間層によって立体要素と接合されていてもよい。言い換えると、一つの中間層上に複数の立体要素が設けられていてもよい。
図2は、研磨シートの他の一態様を示す断面図である。図2に示す研磨シート20は、基材21と、複数の立体要素22と、基材11及び複数の立体要素22の間に配置され、基材11及び複数の立体要素を接合する中間層23と、を備えている。中間層23は、一方面側で基材11と接合し、他方面側で複数の立体要素22と接合している。中間層23の立体要素22と接する側の面は、立体要素22と共に立体的に成形され、研磨面の凹部を構成している。
基材21及び立体要素22は、研磨シート10における基材11及び立体要素12と同じであってよく、中間層23はその形状以外、研磨シート10における中間層23と同じであってよい。
なお、中間層23は立体要素22と共に立体的に成形され、研磨面に立体形状を成しているが、中間層23は必ずしも立体的に成形されている必要はなく、中間層23の平滑面上に立体要素22が設けられていてもよい。
本実施形態において、研磨シートの研磨面には、立体要素(場合により、立体要素及び中間層)によって立体形状が形成されている。以下、図面を参照して、当該立体形状の好適な態様について例示する。
図3(a)は、研磨シートが有する立体形状の一態様を示す上面図である。立体部121は、頂点が凸部をなし、底面で基材側に接合する錐体構造(三角錐構造)を有している。なお、図3(a)中、複数の立体部121は錐体構造の底辺で互いに接しているが、複数の立体部121は互いに離間していてもよい。
図3(a)中、符号oは立体部121の底辺長さを示し、符号pは隣接する立体部121の頂点間距離を示す。oは、例えば、5μm~1000μmであってよく、好ましくは10μm~500μmである。pは、例えば、5μm~1000μmであってよく、10μm~500μmである。
図3(b)は、研磨シートが有する立体形状の他の一態様を示す上面図である。立体部122は、一方底面で凸部をなし、他方底面で基材側に接合する錐台構造を有している。図3(b)中、複数の立体部122は互いに離間しているが、複数の立体部122は基材側の底辺で互いに接していてもよい。
図3(b)中、符号oは立体部122の基材側の底辺長さを示し、符号uは隣接する立体部122の底辺間距離を示し、符号yは立体部122の凸部をなす側の底辺長さを示す。oは、例えば、5μm~2000μmであってよく、好ましくは10μm~1000μmである。uは、例えば、0~1000μmであってよく、好ましくは2μm~500μmである。yは、例えば、0.5μm~1800μmであってよく、好ましくは1μm~900μmである。
図4(a)は、研磨シートが有する立体形状の他の一態様を示す斜視断面図である。立体部123は、一側辺で凸部をなし、該側辺と対向する側面で基材側に接合する三角柱構造を有している。立体部123は、立体要素132と中間層133とを含む多層構造を有している。
なお、図4(a)では三角柱構造及び多層構造を有する立体要素を図示したが、三角柱構造を有する立体部は、多層構造を有さず、立体要素のみから構成されていてもよい。
立体部123の頂角αは、例えば30°~150°であってよく、45°~140°であってよい。図4(a)中、符号hは立体部123の高さを示し、符号sは立体要素132の高さを示す。hは、例えば、10μm~10000μmであってよく、好ましくは20μm~1000μmである。sは、例えば、立体部の高さhの5%~95%であってよく、好ましくは10%~90%である。
図4(a)中、符号wは立体部123の短底辺の長さ(立体部123の幅)を示し、符号pは立体部123の頂上間距離を示し、符号uは隣接する立体部123の長底辺間距離を示す。wは、例えば、2μm~2000μmであってよく、好ましくは4μm~1000μmである。pは、例えば、2μm~4000μmであってよく、好ましくは4μm~2000μmである。uは、例えば0~2000μmであってよく、好ましくは0~1000μmである。
立体部123の長さ(長底辺の長さ)は、研磨シートの全域に亘って伸長されていてよい。この場合、立体部123の長底辺方向の両端部がいずれも研磨シートの端部付近にあり、複数の立体部123は縞状に配置される。
また、立体部123は、長底辺の長さを適当な長さ、例えば5μm~10000μm、としてもよい。この場合の例を図4(b)に示す。図4(b)において、立体部124の端面は、下から鋭角をつけて切り取られた形状としているが、立体部124の端面はこのような形状に限定されない。
図4(b)中、符号lは立体部124の長底辺の長さを示し、符号xは隣接する立体部124の短底辺間距離を示す。lは、例えば5μm~10000μmであってよく、好ましく10μm~5000μmである。xは、例えば、0~2000μmであってよく、好ましくは0~1000μmである。
本実施形態に係る研磨シートは、高荷重下での研磨において、対象面の凹凸を十分に低減できる。このため、上記研磨シートは、高荷重研磨の用途に好適に用いることができる。すなわち、上記研磨シートは高荷重研磨用研磨シートであってよい。
高荷重研磨における荷重は、例えば1.0×10Pa以上であってよく、1.2×10Pa以上が好ましく、1.5×10Pa以上が更に好ましい。また、高荷重研磨における荷重は、例えば5.0×10Pa以下であってよく、3.0×10Pa以下が好ましい。
また、本実施形態に係る研磨シートは、高荷重研磨に好適であるため、金属製品等の硬質材料の研磨用途に好適に用いることができる。すなわち、上記研磨シートは、硬質材料研磨用研磨シートであってよい。
硬質材料は、例えば、ISO 8486-2:2007で定義されるビッカース硬度がHV150以上である材料を示す。硬質材料の例としては、例えば、炭素鋼、ステンレス、チタン、タングステン、及び、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、ジルコニア、アルミナ等のセラミック材料などが挙げられる。
(研磨方法)
本実施形態に係る研磨方法は、上記研磨シートを研磨対象物に押し付けて、研磨シートと研磨対象物とを摺動させる工程を含む。
本実施形態において、研磨シートを研磨対象物に押し付けるときの荷重は、例えば1.0×10Pa以上の高荷重であってよい。当該荷重は、例えば1.2×10Pa以上が好ましく、1.5×10Pa以上が更に好ましい。当該荷重の上限は、例えば5.0×10Pa以下であってよく、3.0×10Pa以下が好ましい。
研磨シートと研磨対象物との摺動は、一方を固定して他方を摺り動かすことで実施してよく、両方を摺り動かすことで実施してもよい。本実施形態では、これらのうち、研磨対象物を固定して、研磨シートを摺動させる方法が特に好ましい。
研磨対象物は特に限定されないが、上記研磨シートを用いたことによる効果を顕著に得る観点からは、上述の硬質材料であることが好ましい。
本実施形態では、研磨シートと研磨対象物とを摺動させる際に、潤滑液を介在させてもよい。潤滑液は、水溶性と不水溶性とに大別される。水溶性の潤滑液としては、ソリュブルタイプ、ソリューションタイプ、エマルションタイプがあり、これらのいずれを使用してもよい。また、不水溶性の潤滑液としては、鉱油及び/又は脂肪油から構成された潤滑液が挙げられ、当該潤滑液は、極圧添加剤を含んでいても含んでいなくてもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例A-1)
<立体要素形成用組成物(a-1)の調製>
フェノール樹脂としてPR-53074(液状レゾール型フェノール樹脂:住友ベークライト社(東京都品川区)製、不揮発分75%)を用い、立体要素形成用組成物(a-1)を調製した。
具体的には、140質量部のPR-53074と、17.5質量部のプロピレングリコールメチルエーテルと、17.5質量部のプロピレングリコールメチルエーテルアセテートと混合して、第一の混合液を得た。次いで、300質量部のダイヤモンド砥粒(平均粒径15μm)と200質量部のイソプロピルアルコールとを混合して、第二の混合液を得た。第一の混合液及び第二の混合液を混合して、立体要素形成用組成物(a-1)を調製した。
<中間層形成用組成物(b-1)>
ウレタンアクリレートとしてCN991(アルケマ社(Colombes Cedex, France)製)を用い、中間層形成用組成物を調製した。
具体的には、78.43質量部のCN991と、19.61質量部のテトラヒドロフルフリルアクリレートと、1.96質量部の光重合開始剤(Omnirad 369、IGM Resins社(Waalwijk,The Netherlands)製)とを混合して、中間層形成用組成物(b-1)を調製した。
<基材>
基材として、PETフィルム(厚さ75μm、25℃におけるヤング率は4×10Pa)を準備した。
(研磨シートの作製)
表面に図3(a)に示す立体形状に対応する凹部を有するポリプロピレン製賦形フィルムを準備した。賦形フィルム上に立体要素形成用組成物(a-1)をバーコーターで塗布し、賦形フィルムの凹部に組成物(a-1)を充填し、75℃で3分間乾燥させた。
次に、賦形フィルム上に、中間層形成用組成物(b-1)を塗布し、基材として厚さ75μmの透明ポリエステルフィルムを重ね、ロールで加圧して積層した。ポリエステルフィルムの側から紫外線を照射し、次いで、90℃で24時間加熱した。
賦形フィルムを剥離し、110℃で24時間、追加加熱を行うことで、研磨シートを得た。
(実施例A-2)
<中間層形成用組成物(b-2)>
ウレタンアクリレートとしてCN991(アルケマ社製)、エポキシ樹脂としてYDCN-700-10(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学株式会社(東京都千代田区)製)を用い、中間層形成用組成物を調製した。
具体的には、56.49質量部のCN991と、18.83質量部のテトラヒドロフルフリルアクリレートと、4.01質量部のイソボルニルアクリレートと、15.06質量部のYDCN-700-10と、1.60質量部の光重合開始剤(Omnirad 907、IGM Resins社製)と、4.01質量部のエポキシ樹脂硬化剤(2-エチル-4-メチルイミダゾール)とを混合して、中間層形成用組成物(b-2)を調製した。
<研磨シートの作製>
中間層形成用組成物(b-1)に代えて中間層形成用組成物(b-2)を用いたこと以外は、実施例A-1と同様にして研磨シートを作製した。
(実施例A-3)
<中間層形成用組成物(b-3)>
ウレタンアクリレートとしてCN991(アルケマ社製)を用い、中間層形成用組成物を調製した。
具体的には、73.17質量部のCN991と、24.39質量部の環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレートと、2.44質量部の光重合開始剤(Omnirad 369、IGM Resins社)とを混合して、中間層形成用組成物(b-3)を調製した。
<研磨シートの作製>
中間層形成用組成物(b-1)に代えて中間層形成用組成物(b-3)を用いたこと以外は、実施例A-1と同様にして研磨シートを作製した。
(実施例A-4)
<立体要素形成用組成物(a-2)の調製>
ダイヤモンド砥粒として、平均粒径20μmのダイヤモンド砥粒を用いたこと以外は、実施例A-1と同様にして立体要素形成用組成物(a-2)を調製した。
<研磨シートの作製>
立体要素形成用組成物(a-1)に代えて立体要素形成用組成物(a-2)を用いたこと以外は、実施例A-1と同様にして研磨シートを作製した。
(比較例X-1)
<中間層形成用組成物(b-4)>
ウレタンアクリレートを用いずに、中間層形成用組成物を調製した。
具体的には、36.55質量部のイソボルニルアクリレートと、21.69質量部のトリメチロールプロパントリアクリレート(SR351S、アルケマ社製)と、36.15質量部のYDCN-700-10と、1.60質量部の光重合開始剤(Omnirad 907、IGM Resins社製)と、4.01質量部のエポキシ樹脂硬化剤(2-エチル-4-メチルイミダゾール)とを混合して、中間層形成用組成物(b-4)を調製した。
<研磨シートの作製>
中間層形成用組成物(b-1)に代えて中間層形成用組成物(b-4)を用いたこと以外は、実施例A-1と同様にして研磨シートを作製した。
(比較例X-2)
<中間層形成用組成物(b-5)>
ウレタンアクリレートとしてCN991(アルケマ社製)を用い、中間層形成用組成物を調製した。
具体的には、48.78質量部のCN991と、16.26質量部の環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレートと、32.52質量部のSR368D(トリメチロールプロパントリアクリレート:トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート=70:30(質量比)の混合物、アルケマ社製)と、2.44質量部の光重合開始剤(Omnirad 369、IGM Resins社製)とを混合して、中間層形成用組成物(b-5)を調製した。
<研磨シートの作製>
中間層形成用組成物(b-1)に代えて中間層形成用組成物(b-5)を用いたこと以外は、実施例A-1と同様にして研磨シートを作製した。
(比較例X-3)
<研磨シートの作製>
立体要素形成用組成物(a-1)に代えて立体要素形成用組成物(a-2)を用い、中間層形成用組成物(b-1)に代えて中間層形成用組成物(b-4)を用いたこと以外は、実施例A-1と同様にして研磨シートを作製した。
(研磨シートの評価(1))
実施例及び比較例で作製した研磨シートについて、以下の条件(1)で研磨試験を行い、60秒間でのカット量及び研磨面の表面粗さRaを求めた。結果を表1及び表2に示す。
<研磨試験の条件(1)>
・被研磨物:S45C(熱処理なし)
・被研磨物サイズ:10mmΦ×150mm長さ
・研磨装置:スーパーフィニッシャ―(松田精機製)
・回転速度:825rpm
・フィルム送り:なし
・オシレーション速度:1000rpm
・研削液:シムテック500(CIMCOOL FLUIDS TECHNOLOGY社製) 2%水溶液
・バックアップロール硬度:ショアA 30°
・切りこみ量:4.2mm
・研磨時間:60秒
・カット量:被研磨物の研磨試験後の重量減量をカット量とした。
・表面平均粗さRa:以下の装置・条件で測定した。
装置:株式会社ミツトヨ社製 SURFTEST SV-3100H4
測定条件:JIS B-0601:2001(ISO 4287:1997)準拠
カットオフ:0.8mm
評価長さ:4mm
(中間層及び結合材の評価(1))
中間層及び結合材のヤング率は、以下の評価用試験片を作成し、測定した。
一対の2mm厚みのガラス板2枚の間に0.5mm厚み片面剥離用シリコーン処理PETフィルムを介して、中間層形成用組成物を2mmのギャップを保持して挟み込んだ。ガラス面両側から紫外線を照射して硬化させた後、研磨シート作製と同じ加熱処理を行うことで、板状硬化物を得た。得られた板状硬化物を、ダイヤモンドカッターで所定のサイズに加工することで、中間層評価用試験片を得た。
また、立体要素形成用組成物から砥粒を除いた組成に対しても同様に行うことで、板状硬化物を得た。得られた板状硬化物を、ダイヤモンドカッターで所定のサイズに加工することで、結合材評価用試験片を得た。
中間層評価用試験片及び結合材評価用試験片を用いて、上述の方法で中間層のヤング率及び結合材のヤング率を求めた。結果を表1に示す。
Figure 0007158147000002
Figure 0007158147000003
実施例A-1~A-3と比較例X-1~X-2とを比較すると、実施例A-1~A-3では、十分なカット量(例えば、30mg/分以上)を維持しつつ、Raの小さい平滑面を形成することができた。また、実施例A-4と比較例X-3とを比較すると、実施例A-4では、カット量が低減したもののRaが顕著に小さくなり、より凹凸の少ない平滑面を形成することができた。
(実施例B-1)
<立体要素形成用組成物(c-1)の調製>
特定の多官能モノマーを含むアクリルモノマーを用い、立体要素形成用組成物(c-1)を調製した。
具体的には、100質量部のトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(SR368、アルケマ社製)と、1.8質量部の光重合開始剤(Omnirad 369、IGM Resins社製)と、3質量部のシランカップリング剤(KBM-503、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製(東京都千代田区))と、293質量部のダイヤモンド砥粒(平均粒径15μm)と、176質量部のプロピレングリコールメチルエーテルとを混合して、立体要素形成用組成物(c-1)を調製した。
<中間層形成用組成物(d-1)>
ウレタンアクリレートとしてCN991(アルケマ社製)を用い、中間層形成用組成物を調製した。
具体的には、78.43質量部のCN991と、19.61質量部のテトラヒドロフルフリルアクリレートと、1.96質量部の光重合開始剤(Omnirad 369、IGM Resins社製)とを混合して、中間層形成用組成物(d-1)を調製した。
<基材>
基材として、PETフィルム(厚さ75μm、25℃におけるヤング率は4×10Pa)を準備した。
(研磨シートの作製)
表面に図3(a)に示す立体形状に対応する凹部を有するポリプロピレン製賦形フィルムを準備した。賦形フィルム上に立体要素形成用組成物(c-1)をバーコーターで塗布し、賦形フィルムの凹部に組成物(c-1)を充填し、75℃で3分間乾燥させた。
次に、賦形フィルム上に、中間層形成用組成物(d-1)を塗布し、基材として厚さ75μmの透明ポリエステルフィルムを重ね、ロールで加圧して積層した。ポリエステルフィルムの側から紫外線を照射し、次いで、賦形フィルムを剥離し、70℃で24時間加熱することで、研磨シートを得た。
(実施例B-2)
<立体要素形成用組成物(c-2)の調製>
トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートに代えて、100質量部のトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート及びトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレートの混合物(ARONIX M-313、ジアクリレート体含有率30~40質量%、東亞合成株式会社(東京都港区)製)を用いたこと以外は、実施例B-1と同様にして、立体要素形成用組成物(c-2)を調製した。
<研磨シートの作製>
立体要素形成用組成物(c-1)に代えて立体要素形成用組成物(c-2)を用いたこと以外は、実施例B-1と同様にして研磨シートを作製した。
(実施例B-3)
<立体要素形成用組成物(c-3)の調製>
トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートに代えて、70質量部のトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート及びトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレートの混合物(ARONIX M-313、ジアクリレート体含有率30~40質量%、東亞合成株式会社製)、並びに30質量部のイソシアヌレート系トリアクリレート(NK ESTER A9300-1CL)を用いたこと以外は、実施例B-1と同様にして、立体要素形成用組成物(c-3)を調製した。
<研磨シートの作製>
立体要素形成用組成物(c-1)に代えて立体要素形成用組成物(c-3)を用いたこと以外は、実施例B-1と同様にして研磨シートを作製した。
(実施例B-4)
<立体要素形成用組成物(c-4)の調製>
トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートに代えて、90質量部のトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート及びトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレートの混合物(ARONIX M-313、ジアクリレート体含有率30~40質量%、東亞合成株式会社製)、並びに10質量部のイソボルニルアクリレートを用いたこと以外は、実施例B-1と同様にして、立体要素形成用組成物(c-4)を調製した。
<研磨シートの作製>
立体要素形成用組成物(c-1)に代えて立体要素形成用組成物(c-4)を用いたこと以外は、実施例B-1と同様にして研磨シートを作製した。
(実施例B-5)
<立体要素形成用組成物(c-5)の調製>
トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートに代えて、70質量部のトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート及びトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレートの混合物(ARONIX M-313(ジアクリレート体含有率30-40質量%)、東亞合成株式会社製)、並びに30質量部のイソボルニルアクリレートを用いたこと以外は、実施例B-1と同様にして、立体要素形成用組成物(c-5)を調製した。
<研磨シートの作製>
立体要素形成用組成物(c-1)に代えて立体要素形成用組成物(c-5)を用いたこと以外は、実施例B-1と同様にして研磨シートを作製した。
(実施例B-6)
<立体要素形成用組成物(c-6)の調製>
トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートに代えて、100質量部のSR368D(トリメチロールプロパントリアクリレート:トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート=70:30(質量比)の混合物、アルケマ社製)を用いたこと以外は、実施例B-1と同様にして、立体要素形成用組成物(c-6)を調製した。
<研磨シートの作製>
立体要素形成用組成物(c-1)に代えて立体要素形成用組成物(c-6)を用いたこと以外は、実施例B-1と同様にして研磨シートを作製した。
(実施例B-7)
<立体要素形成用組成物(c-7)の調製>
トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートに代えて、40質量部のトリメチロールプロパントリアクリレート(SR351、アルケマ社製)及び60質量部の2-フェノキシエチルアクリレート(SR339、アルケマ社製)を用いたこと以外は、実施例B-1と同様にして、立体要素形成用組成物(c-7)を調製した。
<研磨シートの作製>
立体要素形成用組成物(c-1)に代えて立体要素形成用組成物(c-7)を用いたこと以外は、実施例B-1と同様にして研磨シートを作製した。
(実施例B-8)
<立体要素形成用組成物(c-8)の調製>
トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートに代えて、100質量部のイソシアヌレート系トリアクリレート(NK ESTER A9300-1CL、新中村化学工業株式会社(和歌山県和歌山市)製)を用いたこと以外は、実施例B-1と同様にして、立体要素形成用組成物(c-8)を調製した。
<研磨シートの作製>
立体要素形成用組成物(c-1)に代えて立体要素形成用組成物(c-8)を用いたこと以外は、実施例B-1と同様にして研磨シートを作製した。
(実施例B-9)
<中間層形成用組成物(d-2)>
ウレタンアクリレートを用いずに、中間層形成用組成物を調製した。
具体的には、36.55質量部のイソボルニルアクリレートと、21.69質量部のトリメチロールプロパントリアクリレート(SR351S、アルケマ社製)と、36.15質量部のYDCN-700-10と、1.60質量部の光重合開始剤(Omnirad 907、IGM Resins社製)と、4.01質量部のエポキシ樹脂硬化剤(2-エチル-4-メチルイミダゾール)とを混合して、中間層形成用組成物(d-2)を調製した。
<研磨シートの作製>
表面に図3(a)に示す立体形状に対応する凹部を有するポリプロピレン製賦形フィルムを準備した。賦形フィルム上に立体要素形成用組成物(c-3)をバーコーターで塗布し、賦形フィルムの凹部に組成物(c-3)を充填し、75℃で3分間乾燥させた。
次に、賦形フィルム上に、中間層形成用組成物(d-2)を塗布し、基材として厚さ75μmの透明ポリエステルフィルムを重ね、ロールで加圧して積層した。ポリエステルフィルムの側から紫外線を照射した。次いで、70℃で24時間加熱することにより、研磨シートを得た。
(実施例B-10)
<研磨シートの作製>
立体要素形成用組成物(c-3)に代えて立体要素形成用組成物(c-4)を用いたこと以外は、実施例B-9と同様にして研磨シートを作製した。
(実施例B-11)
<研磨シートの作製>
立体要素形成用組成物(c-3)に代えて立体要素形成用組成物(c-5)を用いたこと以外は、実施例B-9と同様にして研磨シートを作製した。
(研磨シートの評価(2))
実施例及び比較例で作製した研磨シートについて、以下の条件(2)で研磨試験を行い、30秒間でのカット量及び研磨面の表面粗さRaを求めた。結果を表3、表4及び表5に示す。
<研磨試験の条件(2)>
・被研磨物:硬度HRC55度に高周波焼き入れをしたS45C
・被研磨物サイズ:10mmΦ×200mm長さ
・研磨装置:スーパーフィニッシャ―(松田精機製)
・回転速度:825rpm
・フィルム送り:なし
・オシレーション速度:1000rpm
・研削液:シムテック500(CIMCOOL FLUIDS TECHNOLOGY社製)2%水溶液
・バックアップロール硬度:ショアA 30°
・切りこみ量:4.2mm
・研磨時間:30秒
・カット量:被研磨物の研磨試験後の重量減量をカット量とした。
・表面平均粗さRa:以下の装置・条件で測定した。
装置:株式会社ミツトヨ社製 SURFTEST SV-3100H4
測定条件:JIS B-0601:2001(ISO 4287:1997)準拠
カットオフ:0.8mm
評価長さ:4mm
(中間層及び結合材の評価(2))
中間層のヤング率、並びに結合材のヤング率及び圧縮降伏応力は、以下の評価用試験片を作成し、測定した。
一対の2mm厚みのガラス板2枚の間に0.5mm厚み片面剥離用シリコーン処理PETフィルムを介して、中間層形成用組成物を2mmのギャップを保持して挟み込んだ。ガラス面両側から紫外線を照射して硬化させた後、研磨シート作製と同じ加熱処理を行うことで、板状硬化物を得た。得られた板状硬化物を、ダイヤモンドカッターで所定のサイズに加工することで、中間層評価用試験片を得た。
また、立体要素形成用組成物から砥粒を除いた組成に対しても同様に行うことで、板状硬化物を得た。得られた板状硬化物を、ダイヤモンドカッターで所定のサイズに加工することで、結合材評価用試験片を得た。
中間層評価用試験片及び結合材評価用試験片を用いて、上述の方法で中間層のヤング率、並びに結合材のヤング率及び圧縮降伏応力を求めた。結果を表3、表4及び表5に示す。
なお、表3~表5中、「モノマー(A)量」は、立体要素形成用組成物における、アクリルモノマー全量に対するトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート又はトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレートの含有量(質量%)を示す。また、「圧縮降伏応力」は、各研磨シートにおける結合材の圧縮降伏応力(MPa)を示す。
Figure 0007158147000004
Figure 0007158147000005
Figure 0007158147000006
実施例B-6~B-8では、ヤング率が所定の範囲の中間層を用いることで、実施例B-9~B-11と比較してRaのより小さい平滑面を形成することができた。また、実施例B-9~B-11では、特定の多官能モノマーを用いることで、実施例B-6~B-8と比較して圧縮降伏応力の高い結合材が形成され、より高いカット量が実現された。そして、実施例B-1~B-5では、ヤング率が所定の範囲の中間層を用い、且つ、特定の多官能モノマーを用いて立体要素を形成することで、高いカット率と小さいRaとを両立することができた。
(実施例C-1)
<立体要素形成用組成物(e-1)の調製>
特定の多官能モノマーを含むアクリルモノマーを用い、立体要素形成用組成物(e-1)を調製した。
具体的には、100質量部のトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(SR368、アルケマ社製)と、1.8質量部の光重合開始剤(Omnirad 369、IGM Resins社製)と、4.4質量部のシランカップリング剤(KBM-503、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社)と、443質量部のアルミナ砥粒(WA#800、フジミインコーポレーテッド株式会社(愛知県清須市)製)と、176質量部のプロピレングリコールメチルエーテルとを混合して、立体要素形成用組成物(e-1)を調製した。
<研磨シートの作製>
立体要素形成用組成物(c-1)に代えて立体要素形成用組成物(e-1)を用いたこと以外は、実施例B-1と同様にして研磨シートを作製した。
(実施例C-2)
<立体要素形成用組成物(e-2)の調製>
フィラーとして100質量部の重質炭酸カルシウムフィラー(エスカロン#800、三共精粉株式会社(岡山県新見市)製)を更に混合したこと以外は、実施例C-1と同様にして立体要素形成用組成物(e-2)を調製した。
<研磨シートの作製>
立体要素形成用組成物(e-1)に代えて立体要素形成用組成物(e-2)を用いたこと以外は、実施例C-1と同様にして研磨シートを作製した。
(実施例C-3)
<立体要素形成用組成物(e-3)の調製>
トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートに代えて、100質量部のトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート及びトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレートの混合物(ARONIX M-313、ジアクリレート体含有率30~40質量%、東亞合成株式会社製)を用いたこと以外は、実施例C-1と同様にして立体要素形成用組成物(e-3)を調製した。
<研磨シートの作製>
立体要素形成用組成物(e-1)に代えて立体要素形成用組成物(e-3)を用いたこと以外は、実施例C-1と同様にして研磨シートを作製した。
(実施例C-4)
<立体要素形成用組成物(e-4)の調製>
トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートに代えて、100質量部のSR368D(トリメチロールプロパントリアクリレート:トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート=70:30(質量比)の混合物、アルケマ社製)を用いたこと以外は、実施例C-1と同様にして立体要素形成用組成物(e-4)を調製した。
<研磨シートの作製>
立体要素形成用組成物(e-1)に代えて立体要素形成用組成物(e-4)を用いたこと以外は、実施例C-1と同様にして研磨シートを作製した。
(実施例C-5)
<立体要素形成用組成物(e-5)の調製>
トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートに代えて、40質量部のトリメチロールプロパントリアクリレート(SR351、アルケマ社製)及び60質量部の2-フェノキシエチルアクリレート(SR339、アルケマ社製)を用いたこと以外は、実施例C-1と同様にして立体要素形成用組成物(e-5)を調製した。
<研磨シートの作製>
立体要素形成用組成物(e-1)に代えて立体要素形成用組成物(e-5)を用いたこと以外は、実施例C-1と同様にして研磨シートを作製した。
実施例及び比較例で作製した研磨シートについて、上述の研磨シートの評価(2)と同じ方法で30秒間でのカット量及び研磨面の表面粗さRaを求めた。結果を表6に示す。
また、上述の中間層及び結合材の評価(2)と同じ方法で評価用試験片を作成し、中間層のヤング率、並びに結合材のヤング率及び圧縮降伏応力を求めた。結果を表6に示す。
なお、表6中、「モノマー(A)量」は、立体要素形成用組成物における、アクリルモノマー全量に対するトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート又はトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレートの含有量(質量%)を示す。また、「圧縮降伏応力」は、各研磨シートにおける結合材の圧縮降伏応力(MPa)を示す。
Figure 0007158147000007
実施C-1~C-5では、アルミナ砥粒を用いてRaの小さい平滑面を形成することができた。また、特に実施例C-1~C-3では、特定の多官能モノマーを用いることで、実施例C-4~C-5と比較して圧縮降伏応力の高い結合材が形成され、より高いカット量が実現された。
10,20…研磨シート、11,21…基材、12,22…立体要素、13,23…中間層、121,122,123,123…立体部。

Claims (10)

  1. 基材と、
    砥粒及び前記砥粒を分散させるマトリックスである結合材を含有する複数の立体要素と、
    前記立体要素と前記基材との間に設けられ、前記基材と前記立体要素とを接合する中間層と、
    を含み、
    前記基材が、25℃におけるヤング率が3.0×10Pa以上の剛直な基材であり、
    前記中間層の25℃におけるヤング率が1.0×10Pa以上5.0×10Pa以下である、研磨シート。
  2. 前記結合材の25℃におけるヤング率が1.0×10Pa以上である、請求項1に記載の研磨シート。
  3. 前記結合材が、
    アクリルモノマーを含有する樹脂組成物の硬化物を含み、
    前記アクリルモノマーの60質量%以上が、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート及びトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレートからなる群より選択される多官能モノマーである、請求項1又は2に記載の研磨シート。
  4. 前記基材の破断伸びが、200%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の研磨シート。
  5. 前記基材が、樹脂フィルム及び金属フィルムからなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の研磨シート。
  6. 前記中間層が、ウレタンアクリレートを含む樹脂組成物の硬化物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の研磨シート。
  7. 前記結合材が、フェノール樹脂を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の研磨シート。
  8. 前記基材の前記中間層と反対側の面に表面処理が施されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の研磨シート。
  9. 前記立体要素が、錐体構造、錐台構造及び三角柱構造からなる群より選択される構造を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の研磨シート。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の研磨シートを用いた研磨方法であって、
    前記研磨シートを1.0×10Pa以上の荷重で研磨対象物に押し付けて、前記研磨シートと前記研磨対象物とを摺動させる工程を含む、研磨方法。
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