JP7156665B2 - 医薬、並びにその製造方法 - Google Patents
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Description
特に、MRI造影剤は、近年様々なタイプの造影剤が開発されており、様々な診断に利用されている。例えば、細胞外液分布造影剤として、Gd-DTPA、Gd-DOTA、Gd-DTPA-BMA、Gd-DTPA-BMEA、Gd-HP-DO3A等のGd造影剤が使用又は開発され、肝特異性造影剤として、SPIO(Super Paramagnetic Iron Oxide)造影剤、Gd-EOB-DTPA、Gd-BOPTA、Gd-DTPA-DeA等のGd造影剤が使用又は開発され、血液プール造影剤として、アルブミン結合性Gd造影剤、高分子Gd造影剤、及びUSPIO(Ultrasmall Super Paramagnetic Iron Oxide)造影剤が使用又は開発されている(例えば、非特許文献1参照)。
このため、短時間で体外に排出され組織への蓄積がより低減されたMRI造影剤が求められている。また、このような特性への要求は、他のイメージング剤でも同様であり、治療、又は治療補助用途の医薬でもこのような特性が求められることがある。
従って、細胞内に造影剤を導入するMRI検査では、横緩和時間の短縮を生じず細胞内でも高い陽性効果を奏する造影剤が求められている。
本発明はまた、脳脊髄液関門の通過がより妨げられ、脳内への蓄積がより少ない、安全性が高いイメージング剤、治療剤、治療補助剤等の医薬(以下、単に「医薬」、又は「イメージング剤等の医薬」と総称することがある)を提供することを第二の目的とする。
本発明はさらに、短時間で体外に排出され、肝臓等の他の臓器中への蓄積もより少ない、より安全性が高いイメージング剤等の医薬を提供することを第三の目的とする。
他方、本発明は、癌組織等の特定の組織や細胞に取り込ませて当該組織や細胞を標識又はその医薬用途に応じて組織又は細胞に作用する、イメージング剤等の医薬を提供することを第四の目的とする。
本発明はさらにまた、細胞に導入されるMRI造影剤において、横緩和時間の短縮を生じず細胞内でも高い陽性効果を奏する造影剤を提供することを第五の目的とする。
上記第二の目的に関しては、ハイドロゲルに標識プローブを担持することで脳脊髄液関門の通過を防止し得ることを見出した。
上記第三の目的に関しては、ハイドロゲルを特定の非常に小さな粒径とすることで、イメージング剤等の医薬の腎排出が容易となり、肝臓等の臓器への蓄積が低減されることを見出した。
逆に、上記第四の目的に関しては、ハイドロゲルを比較的大きな特定の粒径とすることで、イメージング剤の腎排出が妨げられ、癌組織等の特定の組織又は細胞に取り込まれ易くなることを見出した。
更に、上記第五の目的に関し、ハイドロゲルにGd錯体等の標識プローブを担持させることで標識プローブの周囲に自由水が多く存在する空間が形成され、これにより細胞内に導入された際でも横緩和時間の短縮が抑制されることを見出した。このようなハイドロゲルによる効果はこれまで全く報告は無く、驚くべき事象である。
[1]放射線架橋構造を有するハイドロゲル粒子に標識プローブ又は薬学的に活性な物質を担持する医薬。
[2]前記ハイドロゲル粒子の粒径は、1~70nmである、[1]に記載の医薬。
[3]前記ハイドロゲル粒子の粒径は、1~10nmである、[1]に記載の医薬。
[4]前記ハイドロゲル粒子の平均粒径は、30nm以下である、[1]に記載の医薬。
[5]前記ハイドロゲル粒子の平均粒径は、5nm以下である、[1]に記載の医薬。
[6]投与後に迅速に腎排泄させるための、[2]~[5]の何れか1項に記載の医薬。
[7]前記標識プローブの腎髄質での信号強度が、投与前の該信号強度に対して、投与後1時間以内に10%以上増大し、投与後2時間以内に10%以下の増加レベルになる、[[6]に記載の医薬。
[8]肝臓への蓄積無しにイメージ化又は治療を行なうための、[2]~[7]の何れか1項に記載の医薬。
[9]前記標識プローブの肝臓での信号強度が、投与前の該信号強度に対して、少なくとも投与後2時間まで10%以上増加しない、[8]に記載の医薬。
[10]肝臓機能が低下している患者に用いる、[2]~[9]の何れか1項に記載の医薬。
[11]細胞内に取り込まれて該細胞を標識又は該細胞に作用するための、[1]に記載の医薬。
[12]前記ハイドロゲル粒子の粒径が1nm~5μmである、[11]に記載の医薬。
[13]前記ハイドロゲル粒子の粒径が10~200nmである、癌組織の標識又は抗癌治療のための、[11]に記載の医薬。
[14]前記ハイドロゲル粒子の粒径が500nm~5μmである、貪食細胞を標識するための、[11]に記載の医薬。
[15]前記ハイドロゲルは、ゼラチン、コラーゲン、及びペプチドからなる群から選択される少なくとも1種の親水性ポリマーに由来する、[1]~[14]の何れか1項に記載の医薬。
[16]投与後、脳室への移行が無い、[1]~[15]の何れか1項に記載の医薬。
[17]前記標識プローブの脳室での信号強度が、投与前の該信号強度に対して、少なくとも投与後2時間まで5%以上増加しない、[16]に記載の医薬。
[18]PETイメージング剤、SPECTイメージング剤、CT造影剤、又はMRI造影剤である、[1]~[17]の何れか1項に記載の医薬。
[19]MRI造影剤である、[1]~[17]の何れか1項に記載の医薬。
[20]細胞内に導入されるMRI造影剤である、[19]に記載の医薬。
[21]細胞内に導入された際、MRI装置で撮像されたT1強調画像法において水および生体組織において信号低下を生じさせない、[20]に記載の医薬。
[22]細胞外液分布造影剤として用いられるMRI造影剤である、[2]~[9]の何れか1項に記載の医薬。
[23]前記標識プローブが、Gd、Mn、Fe、Co、I、Au、酸化鉄、11C、13N、15O、18F、29Si、62Cu、68Ga、82Rb、13C、19F、3He、129Xe、15N、123I又は99mTcを含む、[18]~[22]の何れか1項に記載の医薬。
[24]Gd、Mn、又はFeが、前記ハイドロゲル粒子に直接結合しているか、又はこれら原子の少なくとも1つの1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸モノ-N-ヒドロキシスクシニミドエステル(DOTA-NHS-エステル)の錯体が前記ハイドロゲル粒子に結合している、[19]に記載の医薬。
[25][1]~[24]の何れか1項に記載の医薬がイメージング剤であり、前記イメージング剤を、in vitroで、対象細胞と共培養して該細胞に該イメージング剤を取り込ませ、該細胞中の該イメージング剤からの信号を検出し、画像化する、細胞イメージング方法。
[26][1]~[24]の何れか1項に記載の医薬がイメージング剤であり、前記イメージング剤を取り込んでいる対象からの信号を検出し、画像化する、組織又は細胞のイメージング方法。
[27]親水性ポリマーを含む水溶液に放射線を照射して、ハイドロゲル粒子を製造する方法であって、
該溶液中の溶存酸素濃度を調整し、且つ/又は特定の範囲の分子量を有する該親水性ポリマーを選択して、前記ハイドロゲル粒子の粒径を制御することを特徴とする、方法。
[28]前記溶液中の溶存酸素濃度を0~40mg/Lの範囲で調整し、且つ/又は分子量1,000~1,000,000の範囲の前記親水性ポリマーから選択する、[27]に記載の方法。
[29]前記親水性ポリマーは、デキストリン、デキストラン、キチン、キトサン、ゼラチン、コラーゲン、寒天、アガロース、ジェランガム、キサンタンガム、フィブリン、カラヤガム、カラギーナン、セルロース、スターチ、ペプチド、タンパク質および核酸からなる群から選択される天然高分子化合物、該天然高分子化合物をヒドロキシ低級アルキル基、又は低級アルコキシアルキル基で置換した誘導体、並びにポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、およびポリエチレングリコールからなる群から選択される合成高分子からなる群から選択される少なくとも1種を含む、[27]又は[28]に記載の方法。
[30]前記放射線が、電子線、X線、及びγ線のいずれか1種、或いはこれらの混合放射線である、請求項1~29の何れか1項に記載の方法。
[31]さらに、前記水溶液中の前記親水性ポリマーの濃度、前記放射線の線量、前記放射線の線量率、および/又は前記放射線の照射時の温度を調整することにより、前記ハイドロゲル粒子の粒径を制御する、[27]~[30]の何れか1項に記載の方法。
[32]前記水溶液中の前記親水性ポリマーの濃度を0.05~5.0質量%に調整し、放射線の線量を0.04~100kGyの範囲で調整し、前記放射線のうちγ線やX線の線量率を0.1~100kGy/h、電子線の線量率は0.04~50kGy/passの範囲で調整し、前記放射線の照射時の温度を0~70℃の範囲で調整する、[31]に記載の方法。
[33]分子量が50,000~1,000,000の前記親水性ポリマーを選択し、前記溶液中の溶存酸素濃度を8~40mg/Lの範囲で調節し、前記水溶液中の前記天然高分子化合物又はその誘導体の濃度を0.05~5.0質量%に調整し、前記放射線の線量を0.1~100kGyの範囲で調整し、前記放射線の照射時の温度を25~60℃の範囲で調整し、必要に応じて限外ろ過フィルターにかけ、所望の粒径のゼラチンナノゲルを分取することにより、典型的には、粒径が1~70nmの前記ハイドロゲル粒子を得る、[31]に記載の方法。
[34]分子量が1,000~50,000の前記親水性ポリマーを選択し、前記溶液中の溶存酸素濃度を8~40mg/Lの範囲で調節し、前記水溶液中の前記天然高分子化合物又はその誘導体の濃度を0.05~0.5質量%に調整し、前記放射線の線量を0.1~100kGyの範囲で調整し、前記放射線の照射時の温度を25~60℃の範囲で調整することにより、典型的には、粒径が1~10nmのハイドロゲル粒子を調製する、[31]に記載の方法。
[35]前記溶液中の溶存酸素濃度を30~40mg/Lの範囲で調節する、[31]~[34]の何れか1項に記載の方法。
[36]分子量が1,000~10,000の前記親水性ポリマーを選択する、[31]~[35]の何れか1項に記載の方法。
[37]粒径が1~10nmの放射線架橋構造を有するハイドロゲル粒子に、標識プローブ又は薬学的に活性な物質を担持する工程を含む、医薬の製造方法。
[38][27]~[36]の何れか1項に記載の方法で得られたハイドロゲル粒子に、標識プローブ又は薬学的に活性な物質を担持する工程を含む、医薬の製造方法。
[39]前記医薬は、MRI造影剤であり、前記ハイドロゲル粒子にマクロ環型キレート剤を結合し、前記マクロ環型キレート剤に標識化合物を結合させて錯体を形成する、[37]又は[38]に記載の方法。
[40]
前記マクロ環型キレート剤は、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸モノ-N-ヒドロキシスクシニミドエステル(DOTA-NHS-エステル)であり、前記標識化合物は、Gdである、[39]に記載の方法。
[41]放射線架橋構造を有するハイドロゲル粒子であって、粒径が1~10nmの粒子。
[42]前記ハイドロゲル粒子の平均粒径は、5nm以下である、[41]に記載の粒子。
[43][41]又は[42]に記載の粒子を含む水性組成物。
また、本発明の更に他の実施の形態では、細胞に導入されるMRI造影剤において、横緩和時間の短縮を生じず細胞内でも高い陽性効果を奏する造影剤を提供する。すなわち、本発明の造影剤では、ハイドロゲル粒子に標識プローブ、典型的には陽性造影剤用標識化合物(例えばGdを含む標識化合物など)が担持されるが、ハイドロゲルは、内部又はその周りに多くの水を保持するため、標識プローブの周囲に自由水が多く存在する空間が形成される。この多くの自由水の存在は、MRI造影剤の横緩和時間の短縮を最小限に抑制し、細胞内においてもMRI造影剤が高い陽性効果を発揮することができる。
本願明細書における「親水性ポリマー」とは、親水性基を有し、架橋反応により吸水性高分子となるポリマーを意味する。
本願明細書における「ハイドロゲル」とは、架橋構造を有し、その内部又は周りに多くの水を保持することができる高分子を意味する。
本願明細書における「放射線架橋構造」は、親水性ポリマーが架橋剤を介さずに結合して形成される橋渡し構造であり、このような構造は、架橋剤に由来する構造を有しないことを特徴とする。後述する実施例で実証する通り、典型的な放射線架橋では、フェニルアラニンなどアミノ酸残基が減少するものの、標識プローブや薬学的に活性な物質を担持させるためのアミノ基を有するリジン残基を化学架橋に比して2倍程度多く残すことができる。
本願明細書における「低級アルキル」、「低級アルコキシ」及び「低級アルコキシアルキル」とは、それぞれ炭素数が1~10、好ましくは1~5の「アルキル」、「アルコキシ」及び「アルコキシアルキル」を意味する。
本願明細書では、特に言及しない限り、「分子量」は重量平均分子量を意味するものとする。重量平均分子量は、示差屈折計を有する水系GPC分析装置(TOSOH 8020 model Gel Permeation Chromatography)を用い、サイズ排除クロマトカラム(TSK gel PWXL-Mを2本とPWXL2500を1本連結させたもの)を50℃に保ち、リン酸バッファー(0.1M KH2PO4、0.1M Na2HPO4・12H2O混合溶液)を溶離液として1.0 ml/minで通液することで、分析できる。
本願明細書では、特に言及しない限り、「医薬」は、生体成分、細胞若しくは組織の分析、診断、治療、又は治療補助等の医療又はライフサイエンスに関連する目的で用いられる物質を意味する。
また、「薬学的に活性な物質」とは、低分子化学物質、生体分子、放射性同位体、ラジカル、熱等の、治療、予防、又は治療補助等の目的に応じて、化学的、物理的、生物学的等の活性を通じて何らかの薬理活性を奏する物質をいう。
量子ドットイメージング剤用標識プローブとしては、例えば、カドミウム、セレン、鉛等の量子ドットをアルブミン等の生体高分子でコーティングしたものが挙げられる。
以上の標識プローブ及び薬学的に活性な物質は、1種のみがハイドロゲル粒子に担持されてもよいが、2種以上の標識プローブ及び薬学的に活性な物質がハイドロゲル粒子に担持されてもよい。例えば、標識プローブと薬学的に活性な物質の両方を担持して、イメージング剤と治療剤の両方の機能を付与してもよいし、例えば、PETイメージング剤、SPECTイメージング剤、CT造影剤、及びMRI造影剤の少なくとも1種のイメージング剤の標識プローブと伴に、各種蛍光・発光イメージング剤の標識プローブをハイドロゲル粒子に結合させて、複数のイメージング機能を付与することができる。
本発明の医薬は、体内に投与することから安全性の高い天然高分子由来のハイドロゲルが好ましく、中でも、生物毒性が低く、生体親和性の高く、生分解性であることが良く知られ、架橋した際に多くの水を保持する事ができる点で、アルブミン、ゼラチン、コラーゲン、フィブリン等の生体タンパク質由来のハイドロゲルが好ましい。
特に限定するものでは無いが、例えば、マクロファージ、単球、好中球等の貪食細胞へ標識プローブを担持させたハイドロゲル粒子を取り込ませて当該細胞を標識するために用いることができる。このとき、ハイドロゲル粒子は、上記貪食細胞のエンドサイトーシス(特にファゴサイトーシス)により細胞内に取り込まれる粒径とすることが好ましい。例えば、500nm以上、通常は500nm~5μm、好ましくは1μm~4μmの粒径のハイドロゲル粒子とすることができる。
或いはまた、幹細胞、iPS細胞、免疫細胞、遺伝子改変された免疫細胞等の非貪食細胞へ標識プローブを担持させたハイドロゲル粒子を取り込ませて当該細胞を標識するために用いることもできる。これにより、例えば移植細胞の動態観察を実現できる。このとき、ハイドロゲル粒子は、上記非貪食細胞の細胞外物質の取り込み方法に対応した粒径とすることが好ましい。例えば、エンドサイトーシス(例えば、マクロピノサイトーシスなど)により細胞内に取り込まれる粒径とすることが好ましい。例えば、10nm以上、通常は10nm~400nm、好ましくは20nm~200nmの粒径のハイドロゲル粒子とすることができる。
なお、対象細胞によるハイドロゲル粒子の取り込みは、in vitro環境下で行っても良いし、in vivo環境下で行っても良い。例えば、in vitro環境下でイドロゲル粒子を取り込んだ細胞の生体内での動態を観察するために、上記イメージング剤を用いても良い。
また、患者への投与経路は、その分析、治療等の目的及び標的などに応じて選択すればよいが、例えば静脈投与、標的臓器への局所投与などで投与することができる。その他については、担持される標識プローブ又は薬学的に活性な物質の通常の利用方法を参考に決定すればよい。
本発明の医薬を構成するハイドロゲル粒子は、親水性ポリマーを架橋反応させて得られ、親水性ポリマーとしては前述した天然高分子、その誘導体、及び合成高分子を挙げることができる。親水性ポリマーは、通常溶液として調製され、架橋反応に供される。溶媒としては水が望ましいが、親水性ポリマーの種類に応じて、適宜、アルコールを添加したり、乳化剤を添加してもよい。
親水性ポリマーを含む溶液にγ線等の放射線を照射すると、水分子の分解によって活性の高い分子が形成され、これが親水性ポリマーから水素原子を引き抜き、親水性ポリマーは反応活性の高い状態になる。この結果、近傍の親水性ポリマーと結合して3次元的なネットワーク構造を形成し、耐熱性や形状安定性が向上すると共に、多くの水を保持できるようになる。この架橋反応が連続すると多くのポリマーが架橋し大きな粒子になるが、反応中、親水性ポリマーを含む溶液に酸素が存在すると、これが架橋反応を停止する。そこで、親水性ポリマーを含む溶液中の酸素濃度を調整することでハイドロゲル粒子の粒径を制御することができる。
他方、親水性ポリマーの分子量は、ネットワーク構造の構造単位の点から、分子量を制御する。すなわち、架橋反応が同じ数繰り返された場合でも、相互に架橋してハイドロゲルを形成する親水性ポリマーの分子量が小さければ、ハイドロゲル粒子の粒径も小さくなる。このため、溶液中の酸素濃度等の他の条件と相まって特定の分子量の親水性ポリマーを選択することで、ハイドロゲル粒子の粒径を制御することができる。
溶液中の溶存酸素濃度を0.1mg/L以下とする場合には、例えば、ゼラチン溶液を窒素ガスを充填するなどした無酸素雰囲気に攪拌しながら一定時間(少なくとも30分以上、好ましくは1時間から12時間)置くことが好ましく、必要に応じて脱気工程を行ってもよい。他方、8mg/Lより多い溶存酸素濃度、典型的には10~40mg/Lの溶存酸素濃度とするには、例えば、ゼラチン溶液を、20~100%の酸素含有雰囲気、好ましくは30~100%、より好ましくは75~100%の酸素濃度の雰囲気下で、必要に応じて加圧及び/又は攪拌しながら一定時間(少なくとも20分以上、好ましくは30分以上、より好ましくは1時間から12時間)置けばよい。大気は、約20%の酸素を含有しており、ゼラチン溶液に酸素を溶存させる簡便な雰囲気である。もっとも、より多くの酸素を含有させるために、より高濃度の酸素を含有する雰囲気を選択しても良い。
他方、平均粒径が30nm以下の粒子とする場合には、分子量が180,000以下(例えば、1,000~180,000)の親水性ポリマーを選択するこが好ましく、分子量が10,000以下(例えば、1,000~10,000)の親水性ポリマーを選択することがより好ましく、分子量が3,000以下(例えば、1,000~3,000)の親水性ポリマーを選択することが更に好ましい。特に、平均粒径が10nm以下の粒子とする場合には、分子量が10,000以下(例えば、1,000~10,000)の親水性ポリマーを選択することがより好ましく、平均粒径が5nm以下の粒子とする場合には、分子量が5,000以下(例えば、1,000~5,000)の親水性ポリマーを選択することが好ましく、分子量が3,000以下(例えば、1,000~3,000)の親水性ポリマーを選択することがより好ましい。
親水性ポリマーの分子量:5,000以下(例えば、1,000~5,000、好ましくは1,000~3,000)
親水性ポリマー溶液の濃度:0.05~3.0重量%
溶存酸素濃度:8~40mg/L(好ましくは25~40mg/L、より好ましくは30~40mg/L)
γ線線量:0.1~100kGy
溶液温度が20~60℃。
親水性ポリマーの分子量:150,000以下(例えば、1,000~150,000、好ましくは1,000~100,000)
親水性ポリマー溶液の濃度:0.05~0.5重量%
溶存酸素濃度:8~40mg/L、(好ましくは、30~40mg/L)
γ線線量:0.1~100kGy
溶液温度が20~60℃(好ましくは25~60℃)。
親水性ポリマーの分子量:100,000以下(通常1,000~100,000)
ゼラチン水溶液の濃度:0.05~0.5重量%
溶存酸素濃度:30~40mg/L
γ線の照射線量:0.1~100kGy
溶液温度が25~60℃。
親水性ポリマーの分子量:5,000以上(通常5,000~1,000,000)
ゼラチン水溶液の濃度:0.05~5重量%
溶存酸素濃度:0~8mg/L
γ線の照射線量:0.1~100kGy
照射温度が0~15℃。
MRI造影剤の標識プローブを例に説明すると、標識プローブは、通常、Fe、Mn、Co、Ni、Gd等の常磁性体を含み、標識プローブの担持は、通常、これら常磁性体を含む化合物をハイドロゲル粒子にエステル結合させることにより行なう。これら常磁性体は、生体内でイオン化すると毒性を有することがあるため、キレート剤などに捕捉させた上でハイドロゲル粒子に結合させることが好ましい。このようなキレート剤としては、DTPA等の直鎖型キレート剤、DOTA-NHS-エステル(一般名ガドテル酸メグミン)等のマクロ環型誘導体、複合型のPyC3A、金属粒子である酸化鉄微粒子(SPIO、USPIO)、MnO、GdF3、化学交換飽和移動(CEST)用の標識化合物、超偏極用の核種(13C、19F、3He、129Xe、15N等)などが挙げられる。
キレート化合物とハイドロゲル粒子との結合は、例えば、キレート化合物のN-ヒドロキシコハク酸イミド部分等の官能基と、ハイドロゲルのアミノ基とのアミド結合を典型的な一例として挙げることができ、その他では、エステル結合、エーテル結合、ジスルフィド結合、ホスホジエステル結合、メタセシス反応、アルドール縮合等を利用して行なう事ができる。反応は、例えば、常温で水中で両化合物を混合する、事前に両化合物を結合するなどして行なう事ができる。
錯体の形成は、標識プローブ又は薬学的に活性な物質のハロゲン化合物等の塩を用いてキレート化合物に標識プローブ又は薬学的に活性な物質を捕捉させることで行なうことができる。
キレート化合物以外の化合物についても、同様の結合を利用することができるし、ゲルの網目に保持することでハイドロゲルに担持させることも可能である。
このような濃縮、精製及び分取工程は、一般的に利用されている方法でよいが、例えば、1~100kDaの限外ろ過フィルターにより行なうことができる。
(MRI造影剤の調製)
[実施例1]
分子量150,000の豚ゼラチン0.1重量%に蒸留水99.9重量%を加え、25℃において空気雰囲気で(酸素含有量約21%、大気圧)、10分間攪拌して溶存酸素濃度8mg/Lのゼラチン水溶液を得た。次いで、得られた溶液を、空気雰囲気で、温度25℃で、Co60照射施設においてγ線を線量率10kGy/h、線量5kGyで照射したところ、白濁した液が得られた。動的光散乱測定装置(Malvern社ゼータサイザーナノZSP)を用いて、液にレーザー光を照射して散乱光のゆらぎ(拡散係数を反映する)を検出し、ストークス・アインシュタイン式を利用して液中のゼラチンナノゲルの粒径を分析したところ、図1に示した通り、8~60nmであった。
得られた白濁液を100kDa限外ろ過フィルターにかけ、未反応のゼラチンを弁別し、ゼラチンナノゲルを分取、濃縮、精製した。
得られたゼラチンナノゲルの濃縮液を、5mmol/Lの1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸モノ-N-ヒドロキシスクシニミドエステル(DOTA-NHS-エステル)と混合し、25℃で1時間静置して反応させ、得られたDOTA-NHS-エステルを担持したゼラチンナノゲルと5mmol/Lの塩化ガドリニウムを40℃で3時間反応させることにより、ゼラチンナノゲルにGd錯体を担持したMRI造影剤を得た。
得られたMRI造影剤を含有する水溶液を密閉容器に入れ、透過型電子顕微鏡で観察した。得られた顕微鏡の像を図2に示す。観察された像からも、造影剤はサイズの揃った粒子であることが分かる。
実施例1で得られた造影剤を、24時間、間葉系幹細胞と共培養し、細胞内に導入した。培養液をPCRチューブに移し、遠心装置により沈殿させた後、チューブをMRI装置内に固定し、MRI計測を行った。対照として、粒径10nm未満のデキストランにMn-DOTAを担持した造影剤を用いた。装置は、7テスラ前臨床用MRIおよび送受信バードケージコイルを用い、典型的なT1強調画像、T2強調画像、T1計算画像、T2計算画像を撮像し、得られた画像より、緩和時間および緩和率を計算した。
図3の左は、実施例1の造影剤を導入した細胞のT1強調画像及びT2強調画像であり、右は、対照であるデキストランMn-DOTAを導入した細胞のT1強調画像及びT2強調画像である。図3に示すように、実施例1の造影剤は、細胞内に入ってもT1強調画像で陽性効果を維持した。一方、デキストランMn-DOTAでは陰性化した。実施例1の造影剤では、水を多く保持しているゼラチンナノゲルを母材としたことで、Gd錯体の周囲に自由水が多く存在する空間が形成され、これにより、横緩和時間の短縮が抑制されたものと予想される。結果として、本発明の造影剤は、細胞追跡など、造影剤を細胞内に導入して行なうMRI検査に有用と考えられる。
<実施例1の造影剤>
縦緩和能(r1):5.40(sec-1・mM-1)
横緩和能(r2):7.96(sec-1・mM-1)
r1/r2:0.68
<gadoteridol、Gd-HP-DO3A>
r1:3.82(sec-1・mM-1)
r2:4.82(sec-1・mM-1)
r1/r2:0.79
(1テスラ装置、サンプル温度24度、ソレノイドコイルで計測)
[実施例10]
分子量2,000の豚ゼラチン2重量%に蒸留水98重量%を加え、25℃において空気雰囲気で(酸素含有量約21%、大気圧)、10分間攪拌して溶存酸素濃度8mg/Lのゼラチン水溶液を得た。次いで、得られた溶液を、空気雰囲気で、温度25℃で、Co60照射施設においてγ線を線量率5kGy/h、線量2.5kGyで照射した。動的光散乱測定装置(Malvern社ゼータサイザーナノZSP)を用いて、この液にレーザー光を照射して散乱光のゆらぎ(拡散係数を反映する)を検出し、ストークス・アインシュタイン式を利用して液中のゼラチンナノゲルの粒径を解析したところ、図4に示す通り2~20nmの粒径で、4nm付近に大きなピークと11nm付近に小さなピークを有する粒径分布が得られ、平均粒径は4.9nmであった。
実施例10で得られた平均粒径4.9nm、濃度5mMのMRI造影剤を、21.3gの坦がんマウスの静脈に300μL注入し、体内での集積及び排出の様子をMRIにより計測・撮像した。担がんマウスは、Colon26 s.c. Day9 modelを用いた。装置は、7テスラ前臨床用MRIおよび送受信バードケージコイルを用い、T1強調画像、T2強調画像、T1計算画像、T2計算画像を撮像した。
図5は、実施例10で得られたMRI造影剤を担癌マウスに投与する前のMRIのT1強調画像であり、信号強度を測定した各部位を枠で囲んでいる。図6は、実施例10で得られたMRI造影剤を静脈投与する前、投与直後及び投与から1間後にMRI計測を行った際の腎臓付近のT1強調画像であり、図7は、担癌マウスに実施例10で得られたMRI造影剤を静脈投与する前、投与直後及び投与から1間後にMRI計測を行った際の各部位(肝臓、腎臓皮質、腎臓髄質及び腫瘍部)の信号強度を示す。
これらの図に示すように、造影剤は腫瘍や肝臓には集積せず、投与直後腎臓に集積し、その後、2時間以内で腎排出され正常な値(複数回の投与で投与前の信号強度の100~110%)に戻ることが分かった。このことから、2時間後には投与された造影剤の大半の排出が終わったことが示唆される。
[実施例11]
実施例2と同じ条件で作製したゼラチン水溶液を、空気雰囲気で、温度25℃で、2MeVの電子線を線量率800Gy/passで6回、線量4.8kGy照射した。動的光散乱測定装置を用いて、液中のゼラチンナノゲルの粒径を分析したところ、図8に示す通り、10nm以下の他、10~50nmの間と300~600nmの間にピークを有する粒度分布のナノゲルが得られた。
分子量150,000の豚ゼラチン10重量%に蒸留水90重量%を加え、25℃において空気雰囲気で(酸素含有量約21%、大気圧)、10分間攪拌して溶存酸素濃度8mg/Lのゼラチン水溶液を得た。この水溶液に対し、空気雰囲気で、温度25℃で、Co60照射施設においてγ線を線量率10kGy/h、線量60kGyで照射し、放射線架橋ゼラチンゲルを得た。また、上記ゼラチン水溶液に、化学架橋剤であるグルタルアルデヒドの水溶液(0.48重要%)を等量加え40℃で12時間反応させたのち、100mMのグリシン水溶液で50℃1時間洗浄し化学架橋ゼラチンゲルを得た。それぞれの手法で得られた架橋ゼラチンゲルを30℃で24時間真空乾燥し、約1mgを1.5mLの小型バイアルに採取した。窒素飽和条件下、110℃で塩酸により24時間加水分解した。リファレンスとして未架橋のゼラチンも同様に加水分解した。その後、水酸化ナトリウムで中和し、各アミノ酸を4-Fluoro-7-nitrobenzofurazanにより蛍光標識し、HPLCにより定性、定量測定した。ゲル粒子にキレート剤を結合する場合、アミノ基を有するリジンの残存量が重要となる。解析の結果、表3に示すように、未処理のゼラチンと比較して、グルタルアルデヒド処理ではリジンが20%程度まで減少するものの、γ線照射では40%以上残すことが出来るが明らかにされた。さらに、放射線照射では、架橋に関与すると考えられているフェニルアラニンの残存率がグルタルアルデヒドと比べて減少することが明らかにされた。
*表中の数値は、未処理のゼラチン中のアミノ基を有するリジン及びフェニルアラニンのモル数を100とした場合の各架橋ゲルのリジン及びフェニルアラニン残存率を示す。
Claims (38)
- ゼラチンまたはペプチドで構成されるハイドロゲルナノ粒子であって、
溶液中に溶解している前記ゼラチンまたはペプチドが放射線架橋によって結合してゲル粒子が形成されている、ハイドロゲルナノ粒子。 - 粒径が400nm以下である、請求項1に記載のハイドロゲルナノ粒子。
- 平均粒径が20nm以下である、請求項1または2に記載のハイドロゲルナノ粒子。
- 放射線架橋構造を有するゼラチンまたはペプチドで構成されるハイドロゲル粒子であって、平均粒径が5nm以下である、ハイドロゲルナノ粒子。
- 標識プローブ又は薬学的に活性な物質を担持する、請求項1~4の何れか1項に記載のハイドロゲルナノ粒子を含む、医薬。
- PETイメージング剤、SPECTイメージング剤、CT造影剤、又はMRI造影剤である、請求項5に記載の医薬。
- 標識プローブを担持し、放射線架橋構造を有するゼラチンまたはペプチドで構成されるハイドロゲル粒子を含む、細胞外液分布造影剤であって、
前記ハイドロゲル粒子の平均粒径は、1~20nmである、細胞外液分布造影剤。 - 前記ハイドロゲル粒子の平均粒径は、1~10nmである、請求項7に記載の細胞外液分布造影剤。
- 前記ハイドロゲル粒子の平均粒径は、3~10nmである、請求項7に記載の細胞外液分布造影剤。
- 前記ハイドロゲル粒子の平均粒径は、5nm以下である、請求項7に記載の細胞外液分布造影剤。
- 前記標識プローブの腎髄質での信号強度が、投与前の該信号強度に対して、投与後1時間以内に10%以上増大し、投与後2時間以内に10%以下の増加レベルになる、請求項7~10の何れか1項に記載の細胞外液分布造影剤。
- 肝臓への蓄積無しにイメージ化を行なうための、請求項7~11の何れか1項に記載の細胞外液分布造影剤。
- 前記標識プローブの肝臓での信号強度が、投与前の該信号強度に対して、少なくとも投与後2時間まで10%以上増加しない、請求項12に記載の細胞外液分布造影剤。
- 肝臓機能が低下している患者に用いる、請求項7~13の何れか1項に記載の細胞外液分布造影剤。
- PETイメージング剤、SPECTイメージング剤、CT造影剤、又はMRI造影剤である、請求項7~14の何れか1項に記載の細胞外液分布造影剤。
- 細胞内に導入されて該細胞を標識するためのMRI造影剤であって、標識プローブを担持する、放射線架橋構造を有するゼラチンまたはペプチドで構成されるハイドロゲル粒子を含む、MRI造影剤。
- 前記ハイドロゲル粒子の粒径が1nm~5μmである、請求項16に記載のMRI造影剤。
- 前記ハイドロゲル粒子の粒径が10~200nmである、癌細胞に導入されて該細胞を標識するための、請求項16に記載のMRI造影剤。
- 前記ハイドロゲル粒子の粒径が500nm~5μmである、貪食細胞に導入されて該細胞を標識するための、請求項16に記載のMRI造影剤。
- 細胞内に導入された際、MRI装置で撮像されたT1強調画像法において水および生体組織において信号低下を生じさせない、請求項16~19の何れか1項に記載のMRI造影剤。
- 前記標識プローブが、Gd、Mn、Fe、Co、I、Au、酸化鉄、11C、13N、15O、18F、29Si、62Cu、68Ga、82Rb、13C、19F、3He、129Xe、15N、123I又は99mTcを含む、請求項5または6に記載の医薬、または請求項7~20の何れか1項に記載の造影剤。
- Gd、Mn、又はFeが、前記ハイドロゲル粒子に直接結合しているか、又はこれら原子の少なくとも1つの1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸モノ-N-ヒドロキシスクシニミドエステル(DOTA-NHS-エステル)の錯体が前記ハイドロゲル粒子に結合している、請求項21に記載の医薬または造影剤。
- 請求項16~22の何れか1項に記載のMRI造影剤を、in vitroで、対象細胞と共培養して該細胞に該MRI造影剤を取り込ませ、該細胞中の該イメージング剤からの信号を検出し、画像化する、細胞イメージング方法。
- 請求項5、6、21または22に記載の医薬、または請求項7~22の何れか1項に記載の造影剤を取り込んでいる対象からの信号を検出し、画像化する、組織又は細胞のイメージング方法。
- ゼラチンまたはペプチドを含む水溶液に放射線を照射して、ハイドロゲル粒子を製造する方法において、
該溶液中の溶存酸素濃度を調整し、且つ特定の範囲の分子量を有する該ゼラチンまたはペプチドを選択して、前記ハイドロゲル粒子の粒径を制御することによって、所定の粒径のハイドロゲル粒子を製造し、
前記ゼラチンまたはペプチドは、目的とする粒径に応じて、分子量が1,000~1,000,000の範囲のものを選択し、前記溶液中の溶存酸素濃度を8~40mg/Lの範囲で調整する、方法。 - 前記溶液中の溶存酸素濃度を、所定の酸素濃度の雰囲気中で前記溶液を攪拌して調整する、請求項25に記載の方法。
- 前記放射線が、電子線、X線、及びγ線のいずれか1種、或いはこれらの混合放射線である、請求項25または26に記載の方法。
- さらに、前記水溶液中の前記ゼラチンまたはペプチドの濃度、前記放射線の線量、前記放射線の線量率、および/又は前記放射線の照射時の温度を調整することにより、前記ハイドロゲル粒子の粒径を制御する、請求項25~27の何れか1項に記載の方法。
- 前記水溶液中の前記ゼラチンまたはペプチドの濃度を0.05~5.0質量%に調整し、放射線の線量を0.04~100kGyの範囲で調整し、前記放射線の線量率を、ガンマ線やX線の場合は0.1~10kGy/hの範囲で、電子線の場合は0.04~50kGy/passの範囲で調整し、前記放射線の照射時の温度を0~70℃の範囲で調整する、請求項28に記載の方法。
- 分子量が50,000~1,000,000の前記ゼラチンまたはペプチドを選択し、前記水溶液中の前記ゼラチンまたはペプチドの濃度を0.05~5.0質量%に調整し、前記放射線の線量を0.1~100kGyの範囲で調整し、前記放射線の線量率をγ線又はX線では0.1~100kGy/hの範囲で、電子線では0.04~50kGy/passの範囲で調整し、前記放射線の照射時の温度を25~60℃の範囲で調整し、必要に応じて限外ろ過フィルターにかけ、所望の粒径のゼラチンナノゲルまたはペプチドナノゲルを分取する、請求項28に記載の方法。
- 分子量が1,000~50,000の前記ゼラチンまたはペプチドを選択し、前記水溶液中の前記ゼラチンまたはペプチドの濃度を0.05~0.5質量%に調整し、前記放射線の線量を0.1~100kGyの範囲で調整し、前記放射線の線量率を0.1~10kGy/hの範囲で調整し、前記放射線の照射時の温度を25~60℃の範囲で調整する、請求項28に記載の方法。
- 前記溶液中の溶存酸素濃度を30~40mg/Lの範囲で調節する、請求項28~31の何れか1項に記載の方法。
- 分子量が1,000~10,000の前記ゼラチンまたはペプチドを選択する、請求項28~32の何れか1項に記載の方法。
- 請求項1~4の何れか1項に記載のハイドロゲルナノ粒子に、標識プローブ又は薬学的に活性な物質を担持する工程を含む、医薬の製造方法。
- 請求項25~33の何れか1項に記載の方法で得られたハイドロゲル粒子に、標識プローブ又は薬学的に活性な物質を担持する工程を含む、医薬の製造方法。
- 前記イメージング剤は、MRI造影剤であり、前記ハイドロゲル粒子にマクロ環型キレート剤を結合し、前記マクロ環型キレート剤に標識化合物を結合させて錯体を形成する、 請求項34又は35に記載の方法。
- 前記マクロ環型キレート剤は、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸モノ-N-ヒドロキシスクシニミドエステル(DOTA-NHS-エステル)であり、前記標識化合物は、Gdである、請求項36に記載の方法。
- 請求項1~4の何れか1項に記載のハイドロゲル粒子を含む水性組成物。
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