JP5142251B2 - 金酸化鉄粒子を利用した複合粒子およびmri造影剤 - Google Patents
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Description
項1.磁性酸化鉄粒子の表面に複数の金微粒子を備えた金酸化鉄粒子の、金微粒子の全部又は一部に、硫黄を介して、ポリアルキレングリコールが結合した複合粒子。
項2.磁性酸化鉄が、Fe3O4、γ-Fe2O3、フェライトからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1に記載の複合粒子。
項3.金酸化鉄粒子の一次粒子の平均粒径が5〜200nmである項1または2に記載の複合粒子。
項4.金酸化鉄粒子の二次粒子の平均粒径が100〜1000nmである項1〜3のいずれかに記載の複合粒子。
項5.複合粒子における磁性酸化鉄粒子に対する金微粒子の重量比が、10:1〜1:1(金微粒子:磁性酸化鉄粒子)である項1〜4のいずれかに記載の複合粒子。
項6.金微粒子の平均粒径が1〜20nmである項1〜5のいずれかに記載の複合粒子。
項7.磁性酸化鉄粒子の全表面が実質的に金微粒子で覆われた項1〜6のいずれかに記載の複合粒子。
項8.ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコール(PEG)である項1〜7のいずれかに記載の複合粒子。
項9.ポリアルキレングリコールの分子量が2000〜30万である項1〜8のいずれかに記載の複合粒子。
項10.項1〜9のいずれかに記載の複合粒子を含むMRI造影剤
項11.組織非特異的MRI造影剤である項10に記載のMRI造影剤。
従来のMRI造影剤は点滴などによって静脈内投与後、腫瘍組織には殆ど取り込まれず、投与後わずか数分で正常肝細胞(主にクッパー細胞)に投与粒子中のおよそ80%が取り込まれる。このような機構で正常肝組織のみに集積した造影剤は、電磁波を照射した際に正常肝細胞内でのみ局所磁場の撹乱を引き起こすため、結果として肝腫瘍−肝正常組織間のMRI信号コントラストを増強し肝腫瘍の高感度造影を可能としている。しかし一方で、他の目的組織ではこのような生物学的現象が起こらないため従来のMRI造影剤の用途は肝腫瘍造影に限定されるという問題点があった。
また、本発明の複合粒子は、金酸化鉄粒子における金微粒子の担持量(数及び大きさ)を調節することにより、ポリアルキレングリコールの担持量を任意に調節することができ、複合粒子の体内動態などを容易に制御することができる。
また、本発明の複合粒子は、硫黄を介してポリアルキレングリコールが金酸化鉄粒子に結合しているため、投与後にポリアルキレングリコールが金酸化鉄粒子から脱離することがなく、MRI造影剤として実用性が高いものである。
また、本発明の複合粒子は、例えば、金酸化鉄粒子とチオール基を有するポリアルキレングリコールとを混合するという簡単な方法で製造することができる。また、後述するように、金酸化鉄粒子が滅菌状態で得られるため、別途滅菌しておいたチオール基を有するポリアルキレングリコールを用いて滅菌状態の複合粒子を簡単に得ることができ、医薬品として使用し易い。
本発明の複合粒子は、磁性酸化鉄粒子の表面に複数の金微粒子を備えた金酸化鉄粒子の金微粒子の全部又は一部に、硫黄を介して、ポリアルキレングリコールが結合した複合粒子であることを特徴とする。
金酸化鉄粒子の製造方法
金酸化鉄粒子は、金イオンまたは金錯体を含有する液に磁性酸化鉄粒子を分散させ、ガンマ線、電子線、または超音波を照射することによって得られる。具体的には、特許文献1に記載の方法で製造できる。
本発明に用いる磁性酸化鉄粒子は磁性を有する酸化鉄の微粒子であり、酸化鉄としては例えば磁鉱、四三酸化鉄(Fe3O4)、ガンマヘマタイト、フェライトを挙げることができる。中でも生体への毒性が低いことにより、四三酸化鉄(Fe3O4)、ガンマヘマタイト(γ−Fe2O3)の微粒子が好ましい。
磁性酸化鉄粒子は、一次粒子の平均粒径が10nm程度のものを用いればよい。ここで平均粒子径は電子顕微鏡観察により20個の粒子の粒径を測定し、平均した値である。
また、上記磁性酸化鉄粒子およびその製造方法は周知である。例えばPVS(Physical Vapor Synthesis)法(C.J.Parker,M.N.Ali,B.B.Lympany,US公開特許第5514349A参照)などにより製造することができる。さらに磁性酸化鉄粒子は、既に市販されているため、本発明ではこのような市販品、例えばフェリデックス(栄研化学株式会社製造、田辺製薬株式会社販売)を利用することもできる。
金微粒子は金イオンまたは金錯体含有液に上記の磁性酸化鉄粒子を添加し、ガンマ線、電子線または超音波を照射することによって磁性酸化鉄粒子の表面に設けることができる。
金イオン含有液は金イオンを含む水溶液またはアルコール溶液で、その調製は金イオンを与える適当な化合物を水、含水アルコールもしくはアルコール(メタノール、エタノール、n-プロパノール等)、または塩酸、硫酸、硝酸などの酸(アルコールなどの有機物を含んでいてもよい)に溶解させることにより行い得る。適当な化合物としては、金の硝酸塩、塩化物、酢酸塩、クエン酸塩などを挙げることができる。中でもHAuCl4が好ましい。
金錯体を含有する液体としては、上記金イオンに適当な配位子が配位した化合物の水溶液、含水アルコールもしくはアルコール溶液を挙げることができる。配位子は、非共有電子対もしくは負電荷を持っている限り特に限定されず、公知のものから制限なく選択することができる。具体的には、例えば単座配位子としての、ハロゲン化物イオン、シアン化物イオン、アンモニア、ピリジンなど;二座配位子としてのエチレンジアミン、アセチルアセトンイオンなど;六座配位子としてのエチレンジアミンテトラ酢酸イオンなどを挙げることができる。
金イオン含有液及び金錯体含有液中の金濃度は、1μM〜1M程度とすればよい。金イオン含有液及び金錯体含有液中への磁性酸化鉄粒子の添加量は、0.001〜50重量%程度とすればよい。
ガンマ線は一般的なガンマ線を使用できるが、コバルト60によるガンマ線が好ましい。照射量と照射時間は通常3kGy/hで3時間程度の照射とすればよい。
電子線は、一般的な電子線を使用できるが、直線加速器による電子線が好ましい。照射量と照射時間は電子線加速器による電子線(エネルギー10MeV)を、通常1MGy/hで20秒程度の照射とすればよい。
超音波は、一般的な超音波を使用できるが、200kHz程度の超音波が好ましい。照射量と照射時間は通常200Wで30分程度の照射とすればよい。
上記方法によって、本発明の複合粒子の製造に適した金酸化鉄粒子が得られる。
本発明の複合粒子は、上記方法で得られた金酸化鉄粒子を含む溶液に、硫黄原子を有するポリアルキレングリコールを、金酸化鉄粒子に対して過剰量添加し、室温で1時間程度インキュベーションすることにより得られる。上記の溶液から金酸化鉄粒子を分離して、蒸留水などの溶液に懸濁させた状態で、硫黄原子を有するポリアルキレングリコールと反応させてもよい。インキュベーションの温度と時間は、16〜25℃程度で1時間程度が好ましい。上記範囲であれば反応が十分に進行し目的の複合粒子の収量も十分となる。
本発明の複合粒子の製造に使用するポリアルキレングリコールは分子の末端、または分子中に硫黄原子を有している。これは金酸化鉄粒子とポリアルキレングリコールとを結合するのに硫黄原子を利用するためである。硫黄原子は、例えばチオール基(−SH基)として含まれていればよい。ポリアルキレングリコール分子中に含まれる硫黄原子の部位や数は特に制限されない。硫黄原子は、ポリアルキレングリコール分子の末端又は内部に結合していればよい。中でも末端に結合していることが好ましい。ポリアルキレングリコール分子の内部に1個以上結合している場合は、ポリアルキレングリコール分子が折れ曲がって金酸化鉄粒子に結合するため、金酸化鉄粒子から伸びるポリアルキレングリコール鎖の本数が多くなる。
本発明に用いるポリアルキレングリコールは公知のポリアルキレングリコールを制限なく使用できる。公知のポリアルキレングリコールとしてはポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられるが、生体適合性が良い点でポリエチレングリコール(以下、「PEG」ということもある)が好ましい。
ポリアルキレングリコールの分子量は通常、2000〜30万程度、好ましくは2000〜20万程度、より好ましくは5000〜15万程度とすればよい。上記範囲であれば血中滞留性が高く、かつ肝集積性が低い組織非特異的な造影剤が得られる。
かくして、磁性酸化鉄微粒子の表面に複数の金微粒子を備え、金微粒子に硫黄原子を介してポリアルキレングリコールが結合した本発明の複合粒子が得られる。
本発明の複合粒子においてPEGは硫黄原子を介して(Au−S結合を介して)金微粒子と結合している。具体的には−S−、−S−S−などの結合様式が挙げられる。また硫黄に加えて硫黄以外の原子が介在する場合も本発明の範囲に含まれる。
本発明の複合粒子において、磁性酸化鉄粒子に担持される金微粒子の平均粒径は通常、1〜20nm程度、好ましくは1〜10nm程度、より好ましくは1〜5nm程度とすればよい。上記範囲であれば表面積を活用してPEGを高い効率で結合させることができる。また上記範囲であれば金微粒子が磁性酸化鉄表面で安定に存在し、かつ複合粒子の良好な分散性を維持できる。
また、金酸化鉄粒子の一次粒子の平均粒径は、5〜200nm程度が好ましく、30〜100nm程度がより好ましく、50〜100nm程度がさらにより好ましい。また、金酸化鉄粒子は凝集していることがあるが、二次粒子の平均粒子径は、100〜1000nm程度が好ましく、100〜800nm程度がより好ましく、100〜500nm程度がさらにより好ましい。ここでいう一次粒子とは磁性酸化鉄の表面に金微粒子が担持された粒子のことを意味し、二次粒子とは該一次粒子が複数個、凝集したものを意味する。上記範囲であれば、腫瘍組織内の血管壁を通過し易く、有効に腫瘍組織に集積させることができる。原料となる磁性酸化鉄粒子の大きさを調整することにより、金酸化鉄粒子の平均粒子径を上記範囲に調整することができる。金酸化鉄粒子の1次粒子径は動的光散乱法あるいは電子顕微鏡観察により測定した値であり、2次粒径は動的光散乱法の方法により測定した値である。
また、金酸化鉄粒子における金微粒子の担持量は、磁性酸化鉄粒子に対する金微粒子の重量比(金微粒子:磁性酸化鉄粒子)が、1〜10:1程度であることが好ましく、1〜2:1程度であることがより好ましい。上記範囲であれば、十分にポリアルキレングリコールを担持でき、かつ、実用的な造影効果が得られる。
金イオン又は金錯体含有液中の金イオン又は金錯体の濃度や、これに添加する磁性酸化鉄微粒子の量を上記範囲で調整することにより、金微粒子の担持量をこの範囲に調整することができる。また、磁性酸化鉄粒子の表面は金で実質的に覆われていることが好ましく、これにより、ポリアルキレングルコールの結合量を多くすることができる。金酸化鉄粒子へのポリアルキレングリコールの担持量は、磁性酸化鉄粒子への金微粒子の担持量、及びポリアルキレングリコール分子中の硫黄原子の数と位置等により定まる。ポリアルキレングリコールの担持量が多いほど、血中滞留性が向上する。
<本発明の複合粒子の用途>
本発明の複合粒子は、製造されたままの分散液として各種用途に利用することができる。また、適当な溶液に懸濁させた状態、又は乾燥させた状態で製品にすることもできる。本発明の複合粒子は磁性を帯びているため、その磁性を利用して磁石などを用いて磁気分離することにより、別の溶液に懸濁させたり、溶液から分離することができる。また、本発明の複合粒子は、磁性を帯びていることにより外部磁場を利用して目的組織への誘導も可能である。
本発明の複合粒子はMRI造影剤の有効成分として好適に使用できる。この場合の製剤の形態は、従来のMRI造影剤と同様にすればよい。代表的には、生理食塩水のような溶液に本発明の複合粒子を懸濁させた製剤が挙げられる。溶液中の複合粒子の濃度は、例えば1〜50重量%程度とすればよい。本発明の複合粒子にはポリアルキレングリコールが結合しているため、製剤は分散剤を含まないこともでき、安全性の高い製剤とすることができる。
実際にMRI造影剤として人体へ使用する場合には、従来のMRI造影剤の投与方法と同様に、そのまま、又はブドウ糖注射液などに用時混合して静脈注射できる塩濃度に調整した上で静脈注射や点滴などにより投与することができる。また投与量も市販鉄製MRI用造影剤と同程度とすればよい。
本発明の複合粒子を利用したMRI造影剤はポリアルキレングリコールを担持することで組織非特異性を有し、造影部位を肝腫瘍に限定しないという特徴がある。
磁性酸化鉄粒子として市販品(一般名:フェルモキシデス、分子式(Fe2O3)m(FeO)n:但し0<n/m<1、商品名:フェリデックス(登録商標)、栄研化学株式会社製、田辺製薬株式会社販売)を利用した。フェリデックスの平均一次粒子径は10nm、平均二次粒子径は80nmである。
HAuCl4を金イオンが0.5mM含まれるように純水に溶解させた。さらにこの溶液に対して、ポリビニルアルコール(平均分子量22000)を10グラム/リットルの濃度になるように、また2−プロパノールを10ミリリットル/リットルの濃度になるよう添加した。試薬はすべて和光純薬工業株式会社より購入した。
上記、磁性酸化鉄粒子5 mgと金イオン含有液(金イオン0.5 mM、50 ml)を100ml容ビーカーに混合し、直線加速器による電子線(エネルギー10MeV)を、線量率1MGy/hで20秒照射した。
上記方法により、磁性酸化鉄粒子の表面に金微粒子が担持され、本発明の複合粒子を調製するための金酸化鉄粒子が得られた。得られた金酸化鉄粒子に担持された金微粒子の平均粒径は6nmで、金酸化鉄粒子の二次粒径は250nmだった。また、金酸化鉄粒子における金微粒子の担持量は1:1(磁性酸化鉄:金微粒子)だった。
市販のPEG−SH(日本油脂社製、商品名SUNBRIGHT(登録商標)SH Series、分子量5000)を利用した。
上記の金酸化鉄粒子を遠心分離によって終濃度20 mg/mlに精製または濃縮し、さらに10 mM PEG−SHを40μl加え、室温(22℃)にて1時間インキュベートした。これにより金酸化鉄粒子の表面に硫黄原子を介してPEGが結合した複合粒子が生成した。この溶液を遠心分離して複合粒子を沈殿させ、蒸留水に再懸濁した。この洗浄操作を3回繰り返すことにより精製した複合粒子を以下の実験に使用した。
ポリビニルアルコール(以下、「PVA」という)の存在下では、PEGがPVAと水素結合することにより、PVAが架橋剤として働きPEGが担持された金酸化鉄粒子は凝集および沈殿を起こす。この現象を利用して本発明の複合粒子にPEGが実際に担持されていることを証明した。具体的には上記(5)にて作製した複合粒子に対して終濃度が0.2〜0.3(g/ml)となるようにPVA溶液を添加した後に室温で3時間インキュベートし、粒子の凝集の有無を目視により確認した。
結果
結果を図1に示す。金酸化鉄粒子単独ではPVAの添加による凝集が生じなかったのに対して、PEG−SHを結合させた複合粒子では、PVAとPEGとの架橋によって粒子の沈殿が観察された。このことから、PEG−SHを用いることによって金磁性酸化鉄をPEGで修飾可能であることが分かった。
−S−結合によるPEGの存在下で過剰量のシステインを添加し、室温で一時間程度インキュベートを行うと、システイン中の−SH基がPEGの−S−結合と競合反応を起こしPEGとシステインの置換が起こる。精製後、さらにPVAを添加するとPEGがシステインに置き換わった懸濁液では、前述のPEGとPVAの水素結合による凝集および沈殿が見られない。この現象を利用して金酸化鉄粒子にPEGが硫黄原子によって結合していることを証明した。具体的には上記の(5)で作製した本発明の複合粒子に対して10 mMのシステイン溶液を添加した後に、(6)で説明した上記PVA定性反応を行った。
結果
結果を図2に示す。本発明の複合粒子では、PVA依存的な粒子の凝集または沈殿が認められたのに対して、本発明の複合粒子と過剰量のシステインを混合した後に、PVAを添加した群では、粒子の凝集がまったく認められなかった。以上の結果は、PEG−SHが硫黄原子を介して粒子表面に結合していることを裏付けるものである。
(5)で得られた本発明の複合粒子がMRI造影剤として有効に機能するためには、十分な水分子緩和時間の短縮能を有している必要がある。そこで、Feridex、金酸化鉄粒子、および(5)で得られた本発明の複合粒子を種々の濃度で蒸留水に懸濁し、NMR測定装置(Varian社製:Varian Unity INOVA 400WB high resolusion NMR spectrometer)を用いてT1、T2、T2*値を測定した。
結果
各粒子のT1、T2、T2*の測定結果を表1に示す。H−NMRのスペクトル解析の結果、(5)で得られた本発明の複合粒子は水分子の緩和時間(T1、T2、T2*)を短縮する性質を有することが明らかとなった。この結果より、本発明の複合粒子がMRI造影剤としての性質を保持していることが示された。
(5)で得られた本発明の複合粒子を用いて実際に造影を行なった。Feridex、金酸化鉄粒子、および本発明の複合粒子を10 mg/マウスで尾静脈内より投与した後に、NMR測定装置を用いてマウスの全身MRI像を撮影することにより、本発明の複合粒子のMRI造影剤としての適性を評価した。具体的にはマウス(Balb/c,6週齢)の腹部皮膚組織下に腫瘍細胞(Meth−A繊維芽肉腫)を移植して、腫瘍の長径が15〜20mm程度の担癌マウスを作成した。該担癌マウスに(5)で得られた本発明の複合粒子またはFeridexを1mg/100μl(蒸留水)/マウスで尾静脈内より投与し、4〜7時間後に全身および腫瘍断面のMRI造影を実施した。
結果
撮影した結果を図3に示す。上段のFeridexを投与したマウスでは腹部に移植した腫瘍が白く写り造影されていないのに対して、下段の複合粒子を投与したマウスの腫瘍は黒く鮮明に造影されている。この結果より、本発明の複合粒子はがん組織への集積性を有し、かつ肝臓以外の臓器への適用が可能なMRI造影剤として十分、実用的に機能することが確認された。
本発明の複合粒子が肝臓以外の組織の腫瘍細胞に集積していることを確認した。具体的にはマウス(Balb/c,6週齢)の腹部皮膚組織下に腫瘍細胞(Meth−A繊維芽肉腫)を移植して、腫瘍の長径が15〜20mm程度の担癌マウスを作成した。該担癌マウスに(5)で得られた本発明の複合粒子を利用したMRI造影剤、および(3)で得られたPEG修飾を施していない金酸化鉄粒子を尾静脈注射(1mg/100μl(蒸留水)/マウス)し、注射後24時間経過した時点で腫瘍組織を回収、ベルリンブルー染色を行った。具体的には、回収した組織をリン酸緩衝生理食塩水で希釈した4%ホルマリンにて固定し(室温、24時間)、さらに0.3(g/ml)スクロース溶液に浸漬した。24〜72時間浸漬した組織から凍結組織切片(3 μm)を作成し、0.01(g/ml)フェロシアン化カリウム、0.01(g/ml)塩酸を含むベルリンブルー溶液にて30分間反応させた。発色後の標本を顕微鏡下で観察することにより、青色に発色した酸化鉄粒子の局在を解析した。
結果
結果を図4に示す。PEG修飾を施していない金酸化鉄粒子を投与した群では、腫瘍組織内に酸化鉄由来の青色のスポットが全く観察されなかった。それに対して本発明の複合粒子を投与したマウスの腫瘍組織内には酸化鉄粒子由来の青色の染色像が認められたことから、金酸化鉄粒子をPEG修飾することによってMRI造影剤の腫瘍組織集積性を向上できることが示された。
Claims (9)
- 磁性酸化鉄粒子とその表面に存在する複数の金微粒子からなる金酸化鉄粒子と、金微粒子の全部又は一部に、硫黄を介して結合したポリエチレングリコール(PEG)からなる複合粒子を含むMRI造影剤。
- 磁性酸化鉄が、Fe3O4、γ-Fe2O3、フェライトからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のMRI造影剤。
- 金酸化鉄粒子の一次粒子の平均粒径が5〜200nmである請求項1または2に記載のMRI造影剤。
- 金酸化鉄粒子の二次粒子の平均粒径が100〜1000nmである請求項1〜3のいずれかに記載のMRI造影剤。
- 複合粒子における磁性酸化鉄粒子に対する金微粒子の重量比が、10:1〜1:1(金微粒子:磁性酸化鉄粒子)である請求項1〜4のいずれかに記載のMRI造影剤。
- 金微粒子の平均粒径が1〜20nmである請求項1〜5のいずれかに記載のMRI造影剤。
- 磁性酸化鉄粒子の全表面が実質的に金微粒子で覆われた請求項1〜6のいずれかに記載のMRI造影剤。
- エチレングリコール(PEG)の分子量が2000〜30万である請求項1〜7のいずれかに記載のMRI造影剤。
- 組織非特異的MRI造影剤である請求項1〜8のいずれかに記載のMRI造影剤。
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