[第一実施形態]
はじめに、本願の開示する技術の第一実施形態を説明する。
液体が注入されたボトルの底部には、異物が沈んでいることがある。図1に示される第一実施形態に係る異物検査システム200は、ボトルの底部に沈んだ異物の有無を検査するためのものである。この第一実施形態に係る異物検査システム200の検査対象は、特定のものに限定されないが、第一実施形態では、好適な例として、ワインを検査対象にした場合を説明する。
図7には、ワインのボトル90が示されている。ボトル90は、透明、着色透明、又は、半透明のガラス製であり、このボトル90には、液体であるワイン液98が注入されている。ボトル90の底部95には、ワインの製造過程で混入したガラス片や虫などの異物が沈殿していることがある。
ボトル90は、断面円形状に形成されている。このボトル90は、頭部91及び胴体部92を有する。頭部91は、ボトル90の上部に位置し、胴体部92は、ボトル90の頭部91よりも下側に位置する。頭部91の上端面には、注ぎ口93が開口しており、注ぎ口93は、コルク栓96によって閉塞されている。
ボトル90内には、気泡97があり、この気泡97は、ボトル90が起立した状態では、ボトル90の頭部91に位置する。胴体部92の上部は、肩部94であり、肩部94と頭部91との間の部分は、下側に向かうに従って拡径するテーパ状に形成されている。胴体部92の下端部は、底部95として形成されている。
ボトル90の外周面には、一対のラベル99が付されている。一対のラベル99は、それぞれ四角形状である。一対のラベル99の第一の端部間には、第一の隙間100が形成され、一対のラベル99の第二の端部間には、第二の隙間101が形成されている。この第一の隙間100及び第二の隙間101は、ボトル90の径方向に対向している。また、この第一の隙間100及び第二の隙間101は、それぞれ胴体部92の上下方向に亘って一定の間隔で形成されている。
図1に示される第一実施形態に係る異物検査システム200は、上述のボトル90の底部に沈んだ異物の有無を検査するために好適に使用されるものであり、異物検査装置10と、制御装置40と、モニタ70と、コンプレッサ80とを備える。各図において、矢印UPは、鉛直方向上側を示している。
図1、図2に示されるように、異物検査装置10は、筐体11と、ステージ12と、モータ13と、支持台14と、中間部センサ15と、底部センサ16と、カメラ17と、照明18とを備える。図1、図2では、異物検査装置10の構造の理解の容易のために、ステージ12に保持されたボトル90が想像線(二点鎖線)で示されている。
筐体11は、箱状に形成されており、この筐体11の内側には、ステージ12、モータ13、及び、支持台14等が収容されている。ステージ12は、ボトル90を保持するためのものあり、縦壁21と、底壁22と、第一チャック機構23と、第二チャック機構24と、第三チャック機構25とを備える。縦壁21は、正面視で縦長の長方形状であり、底壁22は、縦壁21の下部から前方に突き出している。この縦壁21及び底壁22は、側面視で概略L字状を成している。
第一チャック機構23、第二チャック機構24、及び、第三チャック機構25には、一例として、エアシリンダ機構が用いられている。第一チャック機構23は、縦壁21の上部に設けられ、第二チャック機構24は、縦壁21の上下方向の中央部に設けられ、第三チャック機構25は、縦壁21の下部に設けられている。
第一チャック機構23は、スライド部23Aと、ガイド部23Bとを有する。ガイド部23Bは、鉛直方向に沿って延びており、スライド部23Aは、ガイド部23Bに支持されることにより、鉛直方向にスライド可能となっている。スライド部23Aは、ボトル90の上方に位置する。
第二チャック機構24は、一対のスライド部24Aと、ガイド部24Bとを有する。ガイド部24Bは、縦壁21の横幅方向に沿って延びており、一対のスライド部24Aは、ガイド部24Bに支持されることにより、縦壁21の横幅方向にスライド可能となっている。一対のスライド部24Aは、ボトル90の上下方向の中央部の側方にそれぞれ位置する。
第三チャック機構25は、一対のスライド部25Aと、ガイド部25Bとを有する。ガイド部25Bは、縦壁21の横幅方向に沿って延びており、一対のスライド部25Aは、ガイド部25Bに支持されることにより、縦壁21の横幅方向にスライド可能となっている。一対のスライド部25Aは、ボトル90の下部の側方にそれぞれ位置する。
第一チャック機構23は、第一配管26を介してコンプレッサ80と接続され、第二チャック機構24は、第二配管27を介してコンプレッサ80と接続され、第三チャック機構25は、第三配管28を介してコンプレッサ80と接続されている。第一配管26には、第一バルブ29が設けられ、第二配管27には、第二バルブ30が設けられ、第三配管28には、第三バルブ31が設けられている。第一バルブ29、第二バルブ30、及び、第三バルブ31には、電磁バルブが用いられている。以下、第一チャック機構23、第二チャック機構24、及び、第三チャック機構25の動作の一例を説明する。
第一チャック機構23は、第一バルブ29が閉じて第一チャック機構23にコンプレッサ80から圧縮空気が供給されていない状態では、スライド部23Aが上昇位置に退避する構成となっている。また、第一チャック機構23は、第一バルブ29が開いてコンプレッサ80から第一チャック機構23に圧縮空気が供給されると、スライド部23Aが降下してボトル90の頭部91を上から押え付ける構成となっている。
第二チャック機構24は、第二バルブ30が閉じて第二チャック機構24にコンプレッサ80から圧縮空気が供給されていない状態では、一対のスライド部24Aが開いてボトル90から離れる構成となっている。また、第二チャック機構24は、第二バルブ30が開いてコンプレッサ80から第二チャック機構24に圧縮空気が供給されると、一対のスライド部24Aが閉じてボトル90の肩部の付近を挟持する構成となっている。ボトル90の肩部の付近は、ボトル90の頭部と底部との間の中間部に位置する。
第三チャック機構25は、第三バルブ31が閉じて第三チャック機構25にコンプレッサ80から圧縮空気が供給されていない状態では、一対のスライド部25Aが開いてボトル90から離れる構成となっている。また、第三チャック機構25は、第三バルブ31が開いてコンプレッサ80から第三チャック機構25に圧縮空気が供給されると、一対のスライド部25Aが閉じてボトル90の底部の付近を挟持する構成となっている。
モータ13は、支持台14の上に設置されている。モータ13には、減速ギアやステッピングモータなど各種モータを適用可能である。モータ13は、縦壁21の背面側に配置されており、モータ13の出力軸13Aは、水平方向に沿って前方に延びている。出力軸13Aの先端部は、縦壁21の上下方向の中央部に固定されている。モータ13が作動すると、出力軸13Aと共にステージ12が水平方向を中心に回転する。
中間部センサ15及び底部センサ16は、ボトル90内の気泡を検出する気泡センサである。中間部センサ15は、ボトル90の頭部と底部との間の中間部に対応する位置の一例として、第二チャック機構24の片側のスライド部24Aに設けられている。底部センサ16は、ボトル90の底部に対応する位置の一例として、第三チャック機構25の片側のスライド部25Aに設けられている。中間部センサ15は、より具体的には、第一中間部センサ15Aと、第二中間部センサ15Bとを有する。第二中間部センサ15Bは、第一中間部センサ15Aと隣接しており、第一中間部センサ15Aよりもボトル90の底部側に位置する。
第一中間部センサ15A、第二中間部センサ15B、及び、底部センサ16には、ボトル90内の気泡を検出可能な各種センサが適用可能である。この第一中間部センサ15A、第二中間部センサ15B、及び、底部センサ16は、ボトル90内の気泡と対向している場合、すなわち、気泡を検出している場合には、それぞれオンになる。また、第一中間部センサ15A、第二中間部センサ15B、及び、底部センサ16は、ボトル90内の気泡と対向していない場合、すなわち、気泡を検出していない場合には、それぞれオフになる。
カメラ17及び照明18は、ステー32を介してステージ12に固定されている。このカメラ17及び照明18は、ステージ12の上下方向における第二チャック機構24と第三チャック機構25との間に配置されている。カメラ17及び照明18は、縦壁21の横幅方向に対向しており、ボトル90の側方にそれぞれ位置する。このカメラ17及び照明18は、ステージ12にボトル90がセットされた場合に、ボトル90の軸方向から見てカメラ17及び照明18の光軸上にボトル90の中心が位置するように配置されている。カメラ17は、ステージ12が回転する側(矢印R側)に配置されており、照明18は、ステージ12が回転する側と反対側に配置されている。
制御装置40は、モータ13、カメラ17、照明18、第一バルブ29、第二バルブ30、第三バルブ31を制御するものである。図3に示されるように、制御装置40は、ハードウェア構成として、パーソナルコンピュータ41及びシーケンサ51を有する。パーソナルコンピュータ41には、シーケンサ51、カメラ17、及び、照明18が電気的に接続されている。シーケンサ51には、第一中間部センサ15A、第二中間部センサ15B、底部センサ16、第一バルブ29、第二バルブ30、第三バルブ31、及び、モータ13が電気的に接続されている。
パーソナルコンピュータ41は、CPU42(Central Processing Unit)、ROM43(Read Only Memory)、RAM44(Random Access Memory)、ストレージ45、及び、入出力インターフェース46を有する。CPU42、ROM43、RAM44、ストレージ45、及び、入出力インターフェース46は、バス47を介して相互に通信可能に接続されている。
ROM43又はストレージ45には、プログラム48が記憶されている。CPU42は、中央演算処理ユニットであり、ROM43又はストレージ45に記憶されているプログラム48を読み出し、このプログラム48をRAM44に展開して実行する。CPU42は、プログラム48に従って、演算処理を行い、シーケンサ51、カメラ17、及び、照明18の制御を行う。
シーケンサ51は、CPU52(Central Processing Unit)、ROM53(Read Only Memory)、RAM54(Random Access Memory)、ストレージ55、及び、入出力インターフェース56を有する。CPU52、ROM53、RAM54、ストレージ55、及び、入出力インターフェース56は、バス57を介して相互に通信可能に接続されている。
ROM53又はストレージ55には、プログラム58が記憶されている。CPU52は、中央演算処理ユニットであり、ROM53又はストレージ55に記憶されたプログラム58を読み出し、このプログラム58をRAM54に展開して実行する。CPU52は、プログラム58に従って、演算処理を行い、第一バルブ29、第二バルブ30、第三バルブ31、及び、モータ13の制御を行う。
図4に示されるように、制御装置40は、機能構成として、第一制御部61、第二制御部62、第三制御部63、及び、第四制御部64を有する。第一制御部61、第二制御部62、第三制御部63、及び、第四制御部64は、CPU42がプログラム48を実行すること、及び、CPU52がプログラム58を実行することにより実現される。CPU42及びCPU52は、「コンピュータ」の一例であり、プログラム48及びプログラム58は、「異物検査プログラム」の一例である。第一制御部61、第二制御部62、第三制御部63、及び、第四制御部64は、異物を検出するための機能を有する。
すなわち、第一制御部61は、ボトル90が起立した状態から傾斜してボトル90の頭部にあるボトル90内の気泡がボトル90の頭部と底部との間の中間部に移動するように、モータ13を制御してステージ12を回転させる機能を有する。第二制御部62は、モータ13を制御して、気泡がボトル90の中間部に滞留する角度にステージ12の回転角度を調節する機能を有する。第三制御部63は、ボトル90が傾斜した状態から倒立するように、モータ13を制御してステージ12を回転させる機能を有する。第四制御部64は、ボトル90が倒立状態とされた場合にボトル90の底部と頭部との間の異物落下経路が撮像されるように、カメラ17を制御する機能を有する。
次に、第一実施形態に係る異物検査方法について説明する。
第一実施形態に係る異物検査方法は、上述の異物検査システム200を用いて実行される。第一実施形態に係る異物検査方法では、先ず、図8に示されるように、ボトル90が起立した状態で底壁22の上に載置される。このとき、ボトル90は、一対のラベル99がステージ12の回転方向(矢印R方向)と平行になるようにステージ12にセットされる。
ここで、第一仮想線L1は、第一の隙間100及び第二の隙間101を通りボトル90の軸方向と直交する線であり、第二仮想線L2は、ボトル90の軸方向及び第一仮想線L1とそれぞれ直交する線である。上述のようにボトル90がステージ12に適切にセットされた状態では、第一仮想線L1がカメラ17及び照明18の光軸と平行になり、第二仮想線L2がステージ12の回転軸と平行になる。ボトル90内には、気泡97があり、この気泡97は、ボトル90の頭部91に位置している。また、一例として、ボトル90の底部95には、異物102が沈んでいる。
そして、第一実施形態に係る異物検査方法では、上述のようにボトル90がステージ12にセットされた状態で、例えば、図示しないスタートスイッチが押される。スタートスイッチが押されると、図5のフローチャートに示されるステップS1~ステップS20が制御装置40によって実行される。
以下、制御装置40によって実行されるステップS1~ステップS20の内容については、図5のフローチャートを適宜参照することとする。また、ステップS1~ステップS20における、第一中間部センサ15A、第二中間部センサ15B、底部センサ16、及び、ステージ12の動作状況については、図6のタイムチャートを適宜参照することとする。
ステップS1では、図8に示されるように、制御装置40が、第一チャック機構23、第二チャック機構24、及び、第三チャック機構25を作動させる。すなわち、制御装置40は、第一バルブ29、第二バルブ30、及び、第三バルブ31を閉状態から開状態に切り替える。
第一バルブ29、第二バルブ30、及び、第三バルブ31が閉状態から開状態に切り替わると、コンプレッサ80から第一チャック機構23、第二チャック機構24、及び、第三チャック機構25に圧縮空気が供給される。そして、スライド部23Aが降下してボトル90の頭部91を上から押え付けると共に、一対のスライド部24Aが閉じてボトル90の肩部94の付近を挟持する。また、一対のスライド部25Aが閉じてボトル90の底部95の付近を挟持する。
また、一対のスライド部24Aが肩部94の付近を挟持すると、第二の隙間101側のスライド部24Aに設けられた第一中間部センサ15A及び第二中間部センサ15Bがボトル90の肩部94の付近(胴体部92の上部の外周面)と対向した状態になる。さらに、一対のスライド部25Aが底部95の付近を挟持すると、第二の隙間101側のスライド部25Aに設けられた底部センサ16がボトル90の底部95の付近(胴体部92の下部の外周面)と対向した状態になる。このとき、第一中間部センサ15A、第二中間部センサ15B、及び、底部センサ16は、ボトル90と接触していても接触していなくてもどちらでもよい。
ステップS2では、図9に示されるように、制御装置40が、モータ13を作動させてステージ12を回転させる。このとき、制御装置40は、後述のステップS4における第二速度よりも高い第一速度でステージ12を回転させる。第一速度は、例えば、400°/sである。これにより、ステージ12と共にボトル90がボトル90の軸方向と直交する方向(第二仮想線L2と平行な方向)を中心に回転する。このとき、モータ13は、ボトル90が傾斜したときに第一の隙間100が鉛直方向下向きになる方向(矢印R方向)にステージ12を回転させる。ステージ12が回転してボトル90が傾斜し始めると、ボトル90の頭部91にある気泡97がボトル90の第二の隙間101側の肩部94に向けて移動を開始する。
ステップS3では、制御装置40が、ステージ12の回転角度が角度θ1以上になったか否かを判断する。角度θ1は、例えば、90°である。ステージ12の回転角度が90°未満の状態では、気泡97が肩部94に到達せずに頭部91を移動する。制御装置40は、ステージ12の回転角度が角度θ1以上になるまでステップS2~ステップS3を実行する。そして、ステージ12の回転角度が角度θ1以上になると、制御装置40は、ステップS4に移行する。
ステップS4では、制御装置40が、上述のステップS2における第一速度よりも低い第二速度でステージ12を引き続き回転させる。第二速度は、例えば、1°/sである。ステージ12の回転角度が角度θ1を超えると、気泡97が肩部94に移動し、この気泡97が肩部94に沿って底部95側へ向けて移動する。ステップS4では、ステージ12が第一速度よりも低い第二速度で回転するので、気泡97が肩部94に沿ってゆっくりと移動する。気泡97が肩部94に沿ってゆっくり移動することにより、気泡97が一気に底部95へ移動することが抑制されると共に、気泡97がワイン液98の抵抗を受けて分割することが抑制される。
ステップS5では、制御装置40が、第一中間部センサ15Aがオフからオンになったか否かを判断する。気泡97が第一中間部センサ15Aと対向する位置に到達するまでは、第一中間部センサ15Aがオフのままとなる。制御装置40は、第一中間部センサ15AがオフからオンになるまでステップS4~ステップS5を実行する。
そして、ステージ12の回転角度が所定の角度に到達すると、図9の右図に示されるように、気泡97が第一中間部センサ15Aと対向する位置に到達し、第一中間部センサ15Aがオフからオンになる。制御装置40は、第一中間部センサ15Aがオフからオンになると、ステップS6に移行する。
ステップS6では、制御装置40が、モータ13を停止させ、ステージ12の回転を止める。
このように、ステップS1~ステップS6では、ボトル90が起立した状態から傾斜してボトル90の頭部91にある気泡97がボトル90の肩部94の付近に移動するように、モータ13が制御されてステージ12が回転する。また、ステップS1~ステップS6では、第一中間部センサ15Aによって気泡97が検出された場合には、モータ13が停止してステージ12の回転が止まる。このステップS1~ステップS6は、制御装置40の第一制御部61によって実行される。この第一制御部61によって実行されるステップS1~ステップS6は、第一ステップの一例である。
ここで、ステージ12の回転が止まった場合でも、慣性力や浮力、振動等により、気泡97が底部95側に向けて肩部94の付近を通過してしまう場合がある。この場合、第一中間部センサ15A及び第二中間部センサ15Bのオンオフ状態は、次のようになる。すなわち、気泡97が第一中間部センサ15Aを通過中のときには、第一中間部センサ15Aがオンで第二中間部センサ15Bがオフになる。また、気泡97が第二中間部センサ15Bを通過中のときには、第一中間部センサ15Aがオフで第二中間部センサ15Bがオンになる。また、気泡97が底部95側に向けて肩部94の付近を通過すると、第二中間部センサ15Bもオフになる。
ステップS7では、制御装置40が、第一中間部センサ15Aがオンで第二中間部センサ15Bがオフの状態から、第一中間部センサ15Aがオフで第二中間部センサ15Bがオンの状態を経て、第二中間部センサ15Bがオフになったか否かを判断する。気泡97が底部95側に向けて肩部94の付近を通過した場合、制御装置40は、ステップS8に移行する。
ステップS8では、制御装置40が、モータ13を制御してステージ12を逆回転させる。これにより、ボトル90の底部95が下がる方向にステージ12が回転し、気泡97が肩部94の付近に戻される。気泡97が肩部94の付近に戻り、気泡97が第二中間部センサ15Bと対向すると、第二中間部センサ15Bがオフからオンになる。
ステップS9では、制御装置40が、第二中間部センサ15Bがオフからオンになったか否かを判断する。制御装置40は、第二中間部センサ15BがオフからオンになるまでステップS8~ステップS9を実行する。そして、気泡97が肩部94の付近に戻って第二中間部センサ15Bと対向し、第二中間部センサ15Bがオフからオンになると、制御装置40は、ステップS10に移行する。
ステップS10では、制御装置40が、モータ13を停止させ、ステージ12の逆回転を止める。
ここで、ステージ12の逆回転が止まった場合でも、慣性力や浮力、振動等により、気泡97が底部95と反対側に向けて肩部94の付近を通過してしまう場合がある。この場合、第一中間部センサ15A及び第二中間部センサ15Bのオンオフ状態は、次のようになる。すなわち、気泡97が第二中間部センサ15Bを通過中のときには、第二中間部センサ15Bがオンで第一中間部センサ15Aがオフになる。また、気泡97が第一中間部センサ15Aを通過中のときには、第二中間部センサ15Bがオフで第一中間部センサ15Aがオンになる。また、気泡97が底部95と反対側に向けて肩部94の付近を通過すると、第一中間部センサ15Aもオフになる。
ステップS11では、制御装置40が、第二中間部センサ15Bがオンで第一中間部センサ15Aがオフの状態から、第二中間部センサ15Bがオフで第一中間部センサ15Aがオンの状態を経て、第一中間部センサ15Aがオフになったか否かを判断する。気泡97が底部95と反対側に向けて肩部94の付近を通過した場合、制御装置40は、ステップS4に戻り、モータ13を制御してステージ12を正回転させる。これにより、ボトル90の底部95が上がる方向にステージ12が回転し、気泡97が肩部94の付近に戻される。気泡97が肩部94の付近に戻り、気泡97が第一中間部センサ15Aと対向すると、第一中間部センサ15Aがオフからオンになる。
そして、制御装置40は、気泡97が肩部94の付近に留まっており、ステップS7又はステップS11においてステップS12に移行すべきと判断するまで、ステップS4~ステップS11を実行する。
このように、初回のステップS6の後のステップS4~ステップS11では、モータ13が制御されて、気泡97がボトル90の肩部94の付近に滞留する角度にステージ12の回転角度が調節される。また、気泡97が肩部94の付近に滞留する角度にステージ12の回転角度が調節されているときには、図9の右図に示されるように、ボトル90の底部95に沈んでいた異物102が自重により下側に移動する。つまり、気泡97が肩部94の付近に滞留しながら底部95に沈んでいた異物102が自重により下側に移動する角度にステージ12の回転角度が調節される。
ここで、上述のステップS2~ステップ11において、ステージ12は、第二仮想線L2を中心とし、かつ、第一の隙間100が鉛直方向下向きになる方向(矢印R方向)に回転する。このため、図9の右図の状態では、図10に示されるように、異物102は、ボトル90の周方向の一部である第一の隙間100の中央部に移動する。この第一の隙間100の中央部は、言い換えれば、ラベル99間の谷部である。以降、第一の隙間100の中央部を、ラベル間谷部104と称する。異物102が複数ある場合には、複数の異物102がラベル間谷部104に寄せ集められる。
そして、初回のステップS6の後のステップS4~ステップS11におけるステップS7又はステップ11において、図9の右図に示される気泡97が肩部94の付近を通過せずに肩部94の付近に留まっている場合、制御装置40は、ステップS12に移行する。
ステップS12では、制御装置40が、ステージ12の回転角度を維持させたまま、予め定められた規定時間が経過するまで待機する。この規定時間は、ボトル90の底部95に沈んでいた異物102がラベル間谷部104に移動するのに要する時間に相当し、例えば、初回のステップS6への到達時を基準にカウントを開始される。この規定時間は、想定される異物102の大きさや重さ等に応じて経験的に設定される。例えば、検査対象がワインであり、異物102がワインの製造過程で混入したガラス片と想定される場合、規定時間を一例として3秒とすればよく、また、異物102がワインの製造過程で混入した虫と想定される場合、規定時間を一例として5秒とすればよい。そして、制御装置40は、規定時間が経過した後、ステップS13に移行する。
このように、第一実施形態に係る異物検査方法では、ボトル90の底部95に沈んだ異物102がラベル間谷部104に移動するまで、気泡97がボトル90の肩部94の付近に滞留させた状態に維持される。これにより、ボトル90の底部95に沈んだ異物102がラベル間谷部104に移動する際に、異物102が気泡97と干渉することが抑制されるので、異物102がラベル間谷部104に適切に移動する。この初回のステップS6の後のステップS4~ステップS12は、制御装置40の第二制御部62によって実行される。この第二制御部62によって実行される初回のステップS6の後のステップS4~ステップS12は、第二ステップの一例である。
ステップS13では、制御装置40が、上述のステップS4と同様に、ステップS2における第一速度よりも低い第二速度でステージ12の回転を再開させる。ステージ12の回転が再開されると、図11の上図から下図に示されるように、気泡97が底部95へ向けて移動を開始する。
ステップS14では、制御装置40が、底部センサ16がオフからオンになったか否かを判断する。気泡97が底部センサ16と対向する位置に到達するまでは、底部センサ16がオフのままとなる。制御装置40は、底部センサ16がオフからオンになるまでステップS13~ステップS14を実行する。
そして、ステージ12の回転角度が所定の角度に到達すると、図11の右図に示されるように、気泡97が底部センサ16と対向する位置に到達し、底部センサ16がオフからオンになる。制御装置40は、底部センサ16がオフからオンになると、ステップS15に移行する。
ステップS15では、制御装置40が、上述のステップS13における第二速度よりも高い第一速度でステージ12を回転させる。これにより、図12の左図から右図に示されるように、ボトル90が傾斜した状態から倒立するように回転する。
ステップS16では、制御装置40が、ステージ12の回転角度が反転角度θ2以上になったか否かを判断する。角度θ2は、例えば、180°である。ステージ12の回転角度が180°になると、図12の右図に示されるように、ボトル90が倒立状態になる。制御装置40は、ステージ12の回転角度が反転角度θ2以上になるまでステップS15~ステップS16を実行する。そして、ステージ12の回転角度が反転角度θ2以上になると、制御装置40は、ステップS17に移行する。
ステップS17では、制御装置40が、モータ13を停止させ、ステージ12の回転を止める。
このように、ステップS13~ステップS17では、先ず、底部センサ16によって気泡97が検出されるまでボトル90が傾斜するように、モータ13が制御されてステージ12が回転する。次いで、底部センサ16によって気泡97が検出された後には、ボトル90が倒立するように、モータ13が制御されてステージ12が回転する。このステップS13~ステップS17は、制御装置40の第三制御部63によって実行される。この第三制御部63によって実行されるステップS13~ステップS17は、第三ステップの一例である。
そして、図12の右図に示されるように、ボトル90が倒立すると、異物102が落下する。このボトル90の底部95と頭部91との間の異物102が落下する経路は、異物落下経路103である。このとき、異物102は、第一の隙間100に沿って落下する。この第一の隙間100は、カメラ17の正面に位置しているため、カメラ17から見た場合、異物102は、一対のラベル99間を落下するように見える(図13も参照)。
ステップS18では、制御装置40が、カメラ17によって撮像画像が得られるように、カメラ17を制御する(作動させる)。カメラ17は、異物落下経路103を含む範囲を撮像する。このときの撮像時間は、想定される異物102の大きさや重さ等に応じて経験的に設定される。例えば、検査対象がワインであり、異物102がワインの製造過程で混入したガラス片と想定される場合、撮像時間を一例として5秒とすればよく、また、異物102がワインの製造過程で混入した虫と想定される場合、撮像時間を一例として10秒とすればよい。また、制御装置40は、カメラ17が撮像する際に、照明18を作動させる。照明18は、第二の隙間101と対向しているため、照明18から発せられた光は、第二の隙間101を通じて異物落下経路103に照射される。
図13に示されるように、第一実施形態では、一例として、ボトル90の横幅よりも広い範囲で、かつ、異物落下経路103を含む範囲110が撮像される。このとき、異物落下経路103は、第一の隙間100を通じて撮像される。このステップS18は、制御装置40の第四制御部64によって実行される。この第四制御部64によって実行されるステップS18は、第四ステップの一例である。撮像終了後、制御装置40は、ステップS19に移行する。
ステップS19では、制御装置40が、図8に示される如くステージ12が元の位置に戻るように、モータ13を制御してステージ12を逆回転させる。これにより、ボトル90が元の起立状態に戻される。
ステップS20では、制御装置40が、第一チャック機構23、第二チャック機構24、及び、第三チャック機構25の保持状態を解除させる。すなわち、制御装置40は、第一バルブ29、第二バルブ30、及び、第三バルブ31を開状態から閉状態に切り替える。
第一バルブ29、第二バルブ30、及び、第三バルブ31が開状態から閉状態に切り替わると、コンプレッサ80から第一チャック機構23、第二チャック機構24、及び、第三チャック機構25への圧縮空気の供給が停止する。これにより、スライド部23Aが上昇すると共に、一対のスライド部24A及び一対のスライド部25Aがそれぞれ開いた状態となり、ボトル90の保持状態が解除される。そして、ボトル90がステージ12から取り出される。
第一実施形態では、以上の要領で、異物の有無の検査が終了する。異物の有無の判定は、図13に示されるカメラ17の撮像画像に基づいて行われる。
次に、第一実施形態の作用及び効果について説明する。
先ず、第一実施形態の作用及び効果を明確にするために、第一比較例について説明する。図23、図24に示される第一比較例では、上述の第一実施形態に対し、中間部センサ15及び底部センサ16(図1等参照)が省かれている。
また、この第一比較例では、上述の第一実施形態に対し、ボトル90の底部95に沈んだ異物102がラベル間谷部104に移動するまで気泡97をボトル90の肩部94の付近に滞留させる動作が行われない。
このため、図23に示されるように、ボトル90を起立状態から傾斜させた際に、ボトル90の底部95に沈んだ異物102がラベル間谷部104に移動すると同時に、気泡97がボトル90の頭部91から底部95へ移動する。このとき、気泡97は、ワイン液98中を移動することにより、ワイン液98の抵抗を受け、多数の小さい気泡に分割される。そして、ボトル90の底部95に沈んだ異物102がラベル間谷部104に移動する際に、異物102が気泡97と干渉する。
このように異物102が気泡97と干渉すると、異物102の移動先が不安定になり、異物102がラベル間谷部104に移動せずにラベル99の陰に移動する場合がある。この場合には、図24に示されるように、ボトル90を傾斜状態から倒立させても、図25に示されるように、異物102がラベル99の陰を落下する。このラベル99の陰となる領域は、ラベル99に対するカメラ17と反対側に位置するため、異物102がラベル99の陰を落下する場合には、カメラ17で異物102を撮像することが不可能である。
また、異物102が複数である場合、一部の異物102がラベル間谷部104に移動し、残りの異物102がラベル99の陰に移動すると、ボトル90を倒立させたときに、カメラ17で一部の異物102しか撮像できなくなる。この場合には、異物の検査精度が低下する虞がある。
これに対し、第一実施形態では、図9、図10に示されるように、ボトル90の底部95に沈んだ異物102がラベル間谷部104に移動するまで、気泡97がボトル90の肩部94の付近に滞留させられる。したがって、ボトル90の底部95に沈んだ異物102がラベル間谷部104に移動する際に、異物102が気泡97と干渉することを抑制できるので、異物102をラベル間谷部104に適切に移動させることができる。これにより、ボトル90を傾斜状態から倒立させた場合には、異物102がラベル99間を落下するので、このラベル99間の第一の隙間100を通じて異物102をカメラ17で撮像できる。この結果、異物の検査精度を向上させることができる。
また、異物102が複数である場合にも、この複数の異物102をラベル間谷部104に移動させることができるので、ボトル90を倒立させたときに、複数の異物102をまとめてカメラ17で撮像できる。したがって、異物102が複数である場合にも、異物の検査精度を向上させることができる。
しかも、第一実施形態では、ボトル90の肩部94の付近に対応する位置に、気泡97を検出する中間部センサ15が配置されている。そして、制御装置40(第一制御部61)は、中間部センサ15によって気泡97が検出されるまでモータ13を制御してステージ12を回転させ、中間部センサ15によって気泡97が検出された場合には、モータ13を停止させてステージ12の回転を止める。これにより、気泡97が底部95側に向けて肩部94の付近を通過することを抑制できるので、ボトル90の底部95に沈んだ異物102がラベル間谷部104に移動する際に、異物102が気泡97と干渉することを抑制できる。
また、制御装置40(第二制御部62)は、モータ13を制御して、中間部センサ15によって気泡97が検出された状態に維持される角度にステージ12の回転角度を調節する。したがって、慣性力や浮力、振動等により、気泡97が肩部94の付近から底部95側に向けて移動したり、気泡97が肩部94の付近から底部95と反対側に向けて移動したりすることを抑制できる。これにより、気泡97がボトル90の肩部94の付近に滞留した状態に維持できる。
また、中間部センサ15は、より具体的には、第一中間部センサ15Aと、第一中間部センサ15Aよりもボトル90の底部95側に位置する第二中間部センサ15Bとを有する。ここで、気泡97が底部95側に向けて肩部94の付近を通過するときには、第一中間部センサ15Aがオンで第二中間部センサ15Bがオフの状態から、第一中間部センサ15Aがオフで第二中間部センサ15Bがオンの状態を経て、第二中間部センサ15Bがオフになる。この場合には、制御装置40(第二制御部62)が、モータ13を制御してステージ12を逆回転させる。これにより、ボトル90の底部95が下がる方向にステージ12が回転するので、気泡97を肩部94の付近に戻すことができる。
また、気泡97が底部95と反対側に向けて肩部94の付近を通過するときには、第二中間部センサ15Bがオンで第一中間部センサ15Aがオフの状態から、第二中間部センサ15Bがオフで第一中間部センサ15Aがオンの状態を経て、第一中間部センサ15Aがオフになる。この場合には、制御装置40(第二制御部62)が、モータ13を制御してステージ12を正回転させる。これにより、ボトル90の底部95が上がる方向にステージ12が回転するので、気泡97を肩部94の付近に戻すことができる。
また、制御装置40(第二制御部62)は、モータ13を制御して、気泡97がボトル90の肩部94の付近に滞留しながら底部95に沈んでいた異物102がラベル間谷部104に移動する角度にステージ12の回転角度を調節する。これにより、ボトル90の底部95に沈んだ異物102がラベル間谷部104に移動する際に、異物102が気泡97と干渉することを抑制できる。
また、制御装置40(第二制御部62)は、ボトル90の底部95に沈んでいた異物102がラベル間谷部104に移動する時間が経過するまでステージ12の回転角度を維持したまま待機する。これにより、ボトル90の底部95に沈んだ異物102をラベル間谷部104に移動させることができる。
また、図11、図12に示されるように、ボトル90の底部95に対応する位置には、気泡97を検出する底部センサ16が配置されている。そして、制御装置40(第三制御部63)は、底部センサ16によって気泡97が検出されるまでボトル90が傾斜するように、モータ13を制御してステージ12を回転させる。また、制御装置40(第三制御部63)は、底部センサ16によって気泡97が検出された後には、ボトル90が倒立するように、モータ13を制御してステージ12を回転させる。これにより、気泡97が底部95に移動してから、ラベル間谷部104に移動していた異物102がラベル99間を落下するので、異物102がラベル99間を落下する際に、異物102が気泡97と干渉することを抑制できる。
次に、第一実施形態の変形例について説明する。
上記第一実施形態では、ワインが検査対象とされているが、ワイン以外に、例えば、ジュース、飲料水、医薬品、又は、化粧水など、ボトル90に注入された液体であれば、検査対象はどのようなものでもよい。
また、上記第一実施形態において、ボトル90は、ガラス製であるが、ペットボトル製など、ガラス製以外でもよい。また、ボトル90は、断面円形状であるが、例えば、断面三角形状、断面四角形状、断面多角形状、又は、断面楕円形状など、断面円形状以外の形状でもよい。
また、上記第一実施形態では、ボトル90の外周面に一対のラベル99が付されており、一対のラベル99の第一の端部間には、第一の隙間100が形成され、一対のラベル99の第二の端部間には、第二の隙間101が形成されている。しかしながら、ボトル90の外周面には、ラベル99が一枚のみ付されることで、第二の隙間101が省かれ、第一の隙間100のみが形成されてもよい。そして、照明18から発せられた光が、ラベル99における照明18の対向部位を通じて異物落下経路103に照射されると共に、第一の隙間100を通じて異物落下経路103がカメラ17により撮像されてもよい。
また、このようにボトル90の外周面にラベル99が一枚のみ付される場合、照明18と対向するラベル99の対向部位には、文字等の表記がされていないことが望ましい。このようにすると、カメラ17で異物落下経路103を撮像する際に、文字等の表記が撮像画像に写り込むことを抑制できるので、異物の検査精度を確保できる。
また、上記第一実施形態において、第一チャック機構23、第二チャック機構24、及び、第三チャック機構25には、エアシリンダ機構が用いられているが、電動アクチュエータが用いられてもよい。
また、上記第一実施形態では、図9に示されるように、気泡97がボトル90の肩部94の付近に移動するように、ステージ12が回転する。しかしながら、気泡97がボトル90の頭部91と底部95との間の中間部で肩部94の付近以外の部位に滞留するときには、この部位に気泡97が移動するように、ステージ12が回転してもよい。
また、上記第一実施形態では、気泡97がボトル90の肩部94の付近に滞留するようにステージ12を正逆回転させる。しかしながら、例えば、ボトル90の肩部94の付近に気泡97が滞留する凹形状がある場合など、ステージ12を正逆回転させなくて済む場合には、ステージ12を正逆回転させなくてもよい。また、ステージ12の回転角度が角度θ1を超えた段階でステージ12の回転速度を極低速化させる場合も、ステージ12を正逆回転させなくて済むので、ステージ12を正逆回転させなくてもよい。
また、上記第一実施形態では、中間部センサ15が第一中間部センサ15A及び第二中間部センサ15Bの二つのセンサを有している。しかしながら、例えば、上述のように、ステージ12を正逆回転させない場合には、中間部センサ15は一つでもよい。
また、上記第一実施形態では、気泡センサである中間部センサ15及び底部センサ16が用いられている。しかしながら、中間部センサ15及び底部センサ16に代わりに、カメラが用いられ、このカメラの撮像画像に基づいて、肩部94の付近及び底部95の付近に気泡97が移動したことが検出されてもよい。
また、上記第一実施形態では、中間部センサ15及び底部センサ16が用いられ、この中間部センサ15及び底部センサ16で気泡97が検出された場合に、ステージ12の回転が止められる。しかしながら、例えば、気泡97がボトル90の肩部94の付近及び底部95の付近に移動するときのステージ12の回転角度が予め分かっており、この回転角度でステージ12の回転を止める場合には、中間部センサ15及び底部センサ16は省かれてもよい。
また、上記第一実施形態では、図12に示されるように、ボトル90が倒立状態とされてからカメラ17による撮像が開始されるが、ボトル90が倒立状態とされる前からカメラ17による撮像が開始されてもよい。
また、上記第一実施形態において、カメラ17は、ステージ12に設けられている。しかしながら、図14に示されるように、カメラ17は、筐体11に設けられていてもよい。この図14に示される変形例において、カメラ17は、ボトル90が倒立状態とされた場合に、第一の隙間100を通じて異物落下経路103を撮像できる位置に配置されている。
また、上記第一実施形態において、カメラ17及び照明18は、ステージ12の回転軸の方向と、カメラ17及び照明18の光軸の方向とが直交するように配置されている。しかしながら、図15に示されるように、カメラ17及び照明18は、ステージ12の回転軸の方向と、カメラ17及び照明18の光軸の方向とが平行になるように配置されてもよい。そして、カメラ17は、ステージ12の回転軸と平行な方向から第一の隙間100を通じて異物落下経路103を撮像してもよい。つまり、カメラ17は、湾曲する第一の隙間100の側方から第一の隙間100を通じて異物落下経路103を撮像してもよい
また、上記第一実施形態では、図13に示されるように、カメラ17は、ボトル90の横幅よりも広い範囲で、かつ、異物落下経路103を含む範囲110を撮像する。しかしながら、図16に示されるように、カメラ17は、ボトル90の横幅よりも狭い範囲で、かつ、異物落下経路103を含む範囲112を撮像してもよい。このようにすると、撮像範囲が狭い分、撮像画像に基づいて異物の有無を検査する際の検査領域が狭まるので、検査に要する時間を短縮できる。
また、上記第一実施形態において、制御装置40は、ハードウェア構成として、パーソナルコンピュータ41及びシーケンサ51を有する。そして、制御装置40における第一制御部61等の各機能部は、CPU42がプログラム48を実行すること、及び、CPU52がプログラム58を実行することにより実現される。しかしながら、制御装置40における第一制御部61等の各機能部は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のように、製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)によって実現されてもよい。また、制御装置40における第一制御部61等の各機能部は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のように、特定の処理を実行させるために専用に設計された専用電気回路によって実現されてもよい。
また、上記複数の変形例のうち組み合わせ可能な変形例は、適宜、組み合わされてもよい。
[第二実施形態]
次に、本願の開示する技術の第二実施形態を説明する。
第一実施形態では、外周面にラベルが付されたボトル90を対象に異物の有無の検査を行うが、第二実施形態では、図17に示されるように、外周面にラベルが付されていないボトル90を対象に異物の有無の検査を行う。
この第二実施形態に係る異物検査方法は、外周面にラベルが付されていないボトル90を対象に異物の有無の検査を行う以外は、上述の第一実施形態に係る異物検査方法と同様である。つまり、この第二実施形態に係る異物検査方法は、上述の異物検査システム200(図1参照)を用いて実行され、制御装置40のステップS1~ステップS20の動作も第一実施形態と同様である。
ただし、この第二実施形態に係る異物検査方法では、後述するように、カメラ17は、ボトル90の横幅よりも狭い範囲で、かつ、異物落下経路103を含む範囲114(図22参照)を撮像する。
第二実施形態に係る異物検査方法では、先ず、図18の左図に示されるように、ボトル90が起立した状態で底壁22の上に載置される。そして、第一チャック機構23、第二チャック機構24、第三チャック機構25が作動し、ボトル90がステージ12に保持される。
そして、モータ13が作動し、ステージ12が回転する。これにより、ステージ12と共にボトル90がボトル90の軸方向と直交する方向を中心に回転する。ステージ12が回転してボトル90が傾斜し始めると、ボトル90の頭部91にあるボトル90内の気泡97がボトル90の肩部94に向けて移動を開始する。
また、図18の右図に示されるように、気泡97がボトル90の肩部94の付近に到達すると、モータ13が停止し、ステージ12の回転が止まる。そして、気泡97がボトル90の肩部94の付近に滞留する角度にステージ12の回転角度が調節される。このように、ステージ12の回転角度が調節されているときには、図18の右図及び図19に示されるように、ボトル90の底部95に沈んでいた異物102が自重によりボトル90の周方向の一部に移動する。このボトル90の周方向の一部は、言い換えれば、傾斜した状態にあるボトル90の鉛直方向下側に位置する部分であり、カメラ17側の谷部である。以降、異物102の移動先であるボトル90の周方向の一部をカメラ側谷部106と称する。異物102が複数ある場合には、複数の異物102がカメラ側谷部106に寄せ集められる。
続いて、ステージ12の回転が再開され、図20の左図から右図に示されるように、気泡97が底部95へ向けて移動を開始する。図20の右図に示されるように、気泡97が底部95の付近に到達すると、図21の左図から右図に示されるように、ボトル90が傾斜した状態から倒立するように回転する。
そして、図21の右図に示されるように、ボトル90が倒立すると、異物102が落下する。このボトル90の底部95と頭部91との間の異物102が落下する経路は、異物落下経路103である。このとき、異物102は、カメラ17の正面を落下する。そして、異物落下経路103を含む範囲がカメラ17によって撮像される。このとき、図22に示されるように、第二実施形態では、一例として、ボトル90の横幅よりも狭い範囲で、かつ、異物落下経路103を含む範囲114が撮像される。
第二実施形態では、以上の要領で、異物の有無の検査が終了する。異物の有無の判定は、カメラ17の撮像画像に基づいて行われる。
次に、第二実施形態の作用及び効果について説明する。
先ず、第二実施形態の作用及び効果を明確にするために、第二比較例について説明する。図26、図27に示される第二比較例では、第一比較例と同様に、ボトル90の底部95に沈んだ異物102がカメラ側谷部106に移動するまで気泡97をボトル90の肩部94の付近に滞留させる動作が行われない。
このため、図26に示されるように、ボトル90を起立状態から傾斜させた際に、ボトル90の底部95に沈んだ異物102がカメラ側谷部106に移動すると同時に、気泡97がボトル90の頭部91から底部95へ移動する。このとき、気泡97は、ワイン液98中を移動することにより、ワイン液98の抵抗を受け、多数の小さい気泡に分割される。そして、ボトル90の底部95に沈んだ異物102がカメラ側谷部106に移動する際に、異物102が気泡97と干渉する。
このように異物102が気泡97と干渉すると、異物102の移動先が不安定になり、異物102がカメラ側谷部106に移動せずにカメラ側谷部106以外の位置に移動する場合がある。この場合には、図27に示されるように、ボトル90を傾斜状態から倒立させても、図28に示されるように、異物102がカメラ17によって撮像される範囲114の外を落下する。この場合には、カメラ17で異物102を撮像することが不可能である。
また、異物102が複数である場合、一部の異物102がカメラ側谷部106に移動し、残りの異物102がカメラ側谷部106以外の位置に移動すると、カメラ17で一部の異物102しか撮像できなくなる。この場合には、異物の検査精度が低下する虞がある。
これに対し、第二実施形態では、図18、図19に示されるように、ボトル90の底部95に沈んだ異物102がカメラ側谷部106に移動するまで、気泡97がボトル90の肩部94の付近に滞留させられる。したがって、ボトル90の底部95に沈んだ異物102がカメラ側谷部106に移動する際に、異物102が気泡97と干渉することを抑制できるので、異物102をカメラ側谷部106に適切に移動させることができる。これにより、ボトル90を傾斜状態から倒立させた場合には、異物102がカメラ17によって撮像される範囲114内を落下するので、異物102をカメラ17で撮像できる。この結果、異物の検査精度を向上させることができる。
また、異物102が複数である場合にも、この複数の異物102をカメラ側谷部106に移動させることができるので、ボトル90を倒立させたときに、複数の異物102をまとめてカメラ17で撮像できる。したがって、異物102が複数である場合にも、異物の検査精度を向上させることができる。
また、図22に示されるように、カメラ17は、ボトル90の横幅よりも狭い範囲で、かつ、異物落下経路103を含む範囲114を撮像する。したがって、撮像範囲が狭い分、撮像画像に基づいて異物102の有無を検査する際の検査領域が狭まるので、検査に要する時間を短縮できる。
なお、第二実施形態に係る異物検査方法において、第一実施形態に係る異物検査方法と同様の動作については、第一実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
次に、第二実施形態の変形例について説明する。
上記第二実施形態において、カメラ17は、ボトル90の横幅よりも狭い範囲で、かつ、異物落下経路103を含む範囲114を撮像する。しかしながら、カメラ17は、ボトル90の横幅よりも広い範囲で、かつ、異物落下経路103を含む範囲を撮像してもよい。
また、上述の第一実施形態における複数の変形例のうち適用可能な例は、上記第二実施形態に適用されてもよい。
以上、本願の開示する技術の第一及び第二実施形態について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
なお、上述の本願の開示する技術の一実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
液体が注入されたボトルを保持するステージと、
前記ボトルの軸方向と直交する方向を中心に前記ステージを回転させるモータと、
前記ボトルが倒立状態とされた場合に前記ボトルの底部と頭部との間の異物落下経路を撮像するカメラと、
前記モータ及び前記カメラを制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記ボトルが起立した状態から傾斜して前記ボトルの頭部にある前記ボトル内の気泡が前記ボトルの頭部と底部との間の中間部に移動するように、前記モータを制御して前記ステージを回転させる第一制御部と、
前記モータを制御して、前記気泡が前記ボトルの中間部に滞留する角度に前記ステージの回転角度を調節する第二制御部と、
前記ボトルが傾斜した状態から倒立するように、前記モータを制御して前記ステージを回転させる第三制御部と、
前記異物落下経路が撮像されるように、前記カメラを制御する第四制御部と、
を有する異物検査システム。
(付記2)
前記ボトルの中間部に対応する位置に配置され、前記気泡を検出する中間部センサを備え、
前記第一制御部は、前記中間部センサによって前記気泡が検出された場合には、前記モータを停止させて前記ステージの回転を止める、
付記1に記載の異物検査システム。
(付記3)
前記第二制御部は、前記中間部センサによって前記気泡が検出された状態に維持されるように、前記モータを制御して前記ステージの回転角度を調節する、
付記2に記載の異物検査システム。
(付記4)
前記中間部センサは、第一中間部センサと、前記第一中間部センサよりも前記ボトルの底部側に位置する第二中間部センサとを有し、
前記第一中間部センサ及び前記第二中間部センサは、前記気泡を検出している場合にオンになり、前記気泡を検出していない場合にオフになり、
前記第二制御部は、
前記第一中間部センサがオンで前記第二中間部センサがオフの状態から、前記第一中間部センサがオフで前記第二中間部センサがオンの状態を経て、前記第二中間部センサがオフになった場合には、前記ボトルの底部が下がるように、前記モータを制御して前記ステージを回転させ、
前記第二中間部センサがオンで前記第一中間部センサがオフの状態から、前記第二中間部センサがオフで前記第一中間部センサがオンの状態を経て、前記第一中間部センサがオフになった場合には、前記ボトルの底部が上がるように、前記モータを制御して前記ステージを回転させる、
付記3に記載の異物検査システム。
(付記5)
前記第二制御部は、前記モータを制御して、前記気泡が前記ボトルの中間部に滞留しながら前記ボトルの底部に沈んでいた異物が前記ボトルの周方向の一部に移動する角度に前記ステージの回転角度を調節する、
付記1~付記4のいずれか一項に記載の異物検査システム。
(付記6)
前記第二制御部は、前記異物が前記ボトルの周方向の一部に移動する時間が経過するまで前記ステージの回転角度を維持したまま待機する、
付記5に記載の異物検査システム。
(付記7)
前記ボトルの底部に対応する位置に配置され、前記気泡を検出する底部センサを備え、
前記第三制御部は、前記底部センサによって前記気泡が検出されるまで前記ボトルが傾斜するように、前記モータを制御して前記ステージを回転させ、前記底部センサによって前記気泡が検出された後には、前記ボトルが倒立するように、前記モータを制御して前記ステージを回転させる、
付記1~付記6のいずれか一項に記載の異物検査システム。
(付記8)
前記ボトルの外周面に付されたラベルの一対の端部間の隙間を通り前記ボトルの軸方向と直交する第一仮想線と、前記軸方向及び前記第一仮想線とそれぞれ直交する第二仮想線とを設定した場合に、
前記モータは、前記第二仮想線を中心とし、かつ、前記ボトルが傾斜したときに前記隙間が鉛直方向下向きになる方向に前記ステージを回転させ、
前記カメラは、前記ボトルが倒立状態とされた場合に前記隙間を通じて前記異物落下経路を撮像する、
付記1~付記7のいずれか一項に記載の異物検査システム。
(付記9)
前記カメラは、前記ボトルの横幅よりも狭い範囲で、かつ、前記異物落下経路を含む範囲を撮像する、
付記1~付記8のいずれか一項に記載の異物検査システム。
(付記10)
液体が注入されたボトルが起立した状態から傾斜して前記ボトルの頭部にある前記ボトル内の気泡が前記ボトルの頭部と底部との間の中間部に移動するように、前記ボトルを保持するステージを回転させるモータを制御して、前記ステージを前記ボトルの軸方向と直交する方向を中心に回転させる第一ステップと、
前記モータを制御して、前記気泡が前記ボトルの中間部に滞留する角度に前記ステージの回転角度を調節する第二ステップと、
前記ボトルが傾斜した状態から倒立するように、前記モータを制御して前記ステージを回転させる第三ステップと、
前記ボトルが倒立状態とされた場合に前記ボトルの底部と頭部との間の異物落下経路が撮像されるように、前記異物落下経路を撮像するカメラを制御する第四ステップと、
をコンピュータに実行させるための異物検査プログラム。
(付記11)
前記第一ステップでは、前記ボトルの中間部に対応する位置に配置された中間部センサによって前記気泡が検出された場合には、前記モータを停止させて前記ステージの回転を止める、
付記10に記載の異物検査プログラム。
(付記12)
前記第二ステップでは、前記中間部センサによって前記気泡が検出された状態に維持されるように、前記モータを制御して前記ステージの回転角度を調節する、
付記11に記載の異物検査プログラム。
(付記13)
前記第二ステップでは、
前記中間部センサにおける第一中間部センサがオンで前記中間部センサにおける前記第一中間部センサよりも前記ボトルの底部側に位置する第二中間部センサがオフの状態から、前記第一中間部センサがオフで前記第二中間部センサがオンの状態を経て、前記第二中間部センサがオフになった場合には、前記ボトルの底部が下がるように、前記モータを制御して前記ステージを回転させ、
前記第二中間部センサがオンで前記第一中間部センサがオフの状態から、前記第二中間部センサがオフで前記第一中間部センサがオンの状態を経て、前記第一中間部センサがオフになった場合には、前記ボトルの底部が上がるように、前記モータを制御して前記ステージを回転させる、
付記12に記載の異物検査プログラム。
(付記14)
前記第二ステップでは、前記モータを制御して、前記気泡が前記ボトルの中間部に滞留しながら前記ボトルの底部に沈んでいた異物が前記ボトルの周方向の一部に移動する角度に前記ステージの回転角度を調節する、
付記10~付記13のいずれか一項に記載の異物検査プログラム。
(付記15)
前記第二ステップでは、前記異物が前記ボトルの周方向の一部に移動する時間が経過するまで前記ステージの回転角度を維持したまま待機する、
付記14に記載の異物検査プログラム。
(付記16)
前記第三ステップでは、前記ボトルの底部に対応する位置に配置された底部センサによって前記気泡が検出されるまで前記ボトルが傾斜するように、前記モータを制御して前記ステージを回転させ、前記底部センサによって前記気泡が検出された後には、前記ボトルが倒立するように、前記モータを制御して前記ステージを回転させる、
付記10~付記15のいずれか一項に記載の異物検査プログラム。
(付記17)
液体が注入されたボトルを保持するステージと、
前記ボトルの軸方向と直交する方向を中心に前記ステージを回転させるモータと、
前記ボトルの頭部と底部との間の中間部に対応する位置に配置され、前記ボトルの頭部から中間部に移動した気泡を検出する中間部センサと、
前記ボトルが倒立状態とされた場合に前記ボトルの底部と頭部との間の異物落下経路を撮像するカメラと、
を備える異物検査装置。
(付記18)
前記中間部センサは、第一中間部センサと、前記第一中間部センサよりも前記ボトルの底部側に位置する第二中間部センサとを有する、
付記17に記載の異物検査装置。
(付記19)
前記ボトルの外周面に付されたラベルの一対の端部間の隙間を通り前記ボトルの軸方向と直交する第一仮想線と、前記軸方向及び前記第一仮想線とそれぞれ直交する第二仮想線とを設定した場合に、
前記モータは、前記第二仮想線を中心とし、かつ、前記ボトルが傾斜したときに前記隙間が鉛直方向下向きになる方向に前記ステージを回転させ、
前記カメラは、前記ボトルが倒立状態とされた場合に前記隙間を通じて前記異物落下経路を撮像する、
付記17又は付記18に記載の異物検査装置。
(付記20)
前記カメラは、前記ボトルの横幅よりも狭い範囲で、かつ、前記異物落下経路を含む範囲を撮像する、
付記17~付記19のいずれか一項に記載の異物検査装置。