本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態〕
実施形態に係る飲料供給機について説明する。図1は、飲料供給機1の構成例を示す模式図である。図2は、図1のA-A矢視図である。図3は、図2のB-B矢視図である。飲料供給機1は、例えば、ウォーターサーバーであり、使用者の操作に応じて飲料水などの飲料物を容器に注ぎ出すものである。飲料供給機1は、図1に示すように、貯留部10と、供給機本体20と、注出装置30と、操作部40と、を備える。
貯留部10は、飲料水などの飲料物を貯留する容器である。貯留部10は、内部に飲料物が貯留された状態で、供給機本体20の上部に配置されるものであり、供給機本体20に保持または収容される。貯留部10は、例えば、貯留された飲料物が使い果たされた際に、飲料物が貯留された新たな容器に交換される。本実施形態では、貯留部10は、供給機本体20の鉛直方向における上側で保持されるものとして例示する。
供給機本体20は、貯留部10の飲料物を注出装置30に供給するものである。例えば、供給機本体20は、貯留部10から流入してきた飲料物を常温で注出装置30に供給したり、冷やしたり温めたりして注出装置30に供給する。供給機本体20は、筐体21の内部に、図には明示しないが、分配供給路と、保冷容器と、保温容器と、冷水流路と、温水流路と、常温流路と、を備える。分配供給路は、飲料物の流入側が貯留部10に接続され、貯留部10から流入してきた飲料物を、例えば、保冷容器、保温容器、または常温流路に分配する。保冷容器は、冷却装置を備えて使用者などが設定した所定温度に飲料物を冷やして貯留する。保温容器は、加熱装置を備えて使用者などが設定した所定温度に飲料物を温めて貯留する。冷水流路は、保冷容器に接続されて保冷容器の冷たい飲料物を注出装置30に流す。温水流路は、保温容器に接続されて保温容器の温かい飲料物を注出装置30に流す。常温流路は、分配供給路を介して貯留部10に接続され、貯留部10の常温の飲料物を注出装置30に流す。
供給機本体20の筐体21は、供給機本体20の前後方向における前側に配置されるフロントパネル210と、前後方向における後ろ側に配置されるバックパネル213と、水平方向において前後方向に交差する方向である横方向における両側に配置されるサイドパネル212と、を有している。なお、本実施形態において、前側とは後述する操作部40が配置される側である。
筐体21が有するフロントパネル210には、中央部に矩形の開口が形成されており、当該開口には意匠パネル211が取り付けられる。意匠パネル211は、合成樹脂材料などから形成され、鉛直方向における上側に位置する平面部211aと、鉛直方向における下側に位置すると共に方体状の形状でバックパネル213側に凹んだ凹部211bとを有する。意匠パネル211は、平面部211aに操作部40が設けられ、凹部211bに注出室22が設けられる。意匠パネル211の平面部211aは、例えば、操作部40の周囲が、透明の合成樹脂材料などから形成される。注出室22は、使用者が注出装置30から飲料物を注出する際に、容器を位置づける場所である。注出室22には、注出装置30と、受け台225とが設けられる。
注出装置30は、使用者の操作に応じて供給機本体20の飲料物を注ぎ出すものである。注出装置30は、注出口31と、押圧部32と、を備える。注出口31は、貯留部10に貯留された飲料物を外部に注ぎ出すものである。注出口31は、凹部211bの上部に設けられ、鉛直方向における下側に向けて配置されている。注出口31は、上述した冷水流路、温水流路、及び常温流路に接続される。注出口31は、鉛直方向の下側に向けて飲料物を注ぎ出す。注出装置30には、常時点灯照明部331が設けられる。常時点灯照明部331は、例えば、LED(Light Emitting Diode)照明であり、注出装置30における前後方向の前側に設けられる。常時点灯照明部331は、常に点灯し、注出口31の位置を暗示する。なお、常時点灯照明部331は、設置しなくてもよい。
押圧部32は、注出口31から飲料物を注出させたり、注出されている飲料物を停止させたりするスイッチとなるものである。押圧部32は、鉛直方向における注出口31の下側で注出口31の近傍に配置されている。押圧部32は、供給機本体20の前後方向に移動可能であり、前後方向における前側に付勢されている。押圧部32は、使用者により前後方向における後ろ側に押圧された場合にスイッチ回路がONし、押圧部32が押圧されない場合にはスイッチ回路がOFFする。押圧部32は、スイッチ回路がONされた場合には飲料物を注出することを示す注出信号を図示しない制御装置に出力し、スイッチ回路がOFFされた場合には飲料物の注出を停止することを示す注出停止信号を制御装置に出力する。
受け台225は、注出口31から流れ落ちる飲料物の滴などを受けるものである。受け台225は、注出室22における鉛直方向の下側に設けられ、受け面225aが注出口31と鉛直方向に対向する。受け台225は、箱状に形成され、一定の深さを有する。
操作部40は、注出口31から注ぎ出される飲料物を設定するためのものである。操作部40は、設定摘み41と、ロック解除スイッチ42とを備える。設定摘み41は、意匠パネル211の平面部211aに回動自在に組み付けられる。設定摘み41は、円柱状の摘みが回動されることにより、常温の飲料物、冷たい飲料物、又は、温かい飲料物を示す種類マーク211cを選択する。操作部40は、制御装置に接続され、設定摘み41により選択された飲料物の種類を示す種類信号を制御装置に出力する。
ロック解除スイッチ42は、設定摘み41の近傍に設けられる。ロック解除スイッチ42は、ボタン式のスイッチである。操作部40は、ロック解除スイッチ42が一定時間押下されることによりロック機構のロックが解除されたこと示す信号を制御装置に出力する。ロック解除スイッチ42の近傍には、ロックがされていることを示すロック表示部420が設けられる。ロック表示部420は、例えば、LED照明であり、ロック機構によりロックされているか否かに基づいて点灯又は消灯する。例えば、ロック表示部420は、設定摘み41が温かい飲料物に設定されている場合に、ロック機構によりロックされているときには点灯し、ロック機構によりロックがされていないときには消灯する。ロック機構は、温かい飲料物を注ぎ出すことを制限するものである。ロック機構は、設定摘み41が温かい飲料物に設定されている場合、初期の設定として温かい飲料物を注ぎ出すことを不可とする。ロック機構は、ロック解除スイッチ42が一定時間押下されてロック解除が行われると、温かい飲料物を注ぎ出すことを許可する。これにより、不用意に温かい飲料物を注ぎ出すことを防止できる。
照明部50は、例えば、LED照明であり、注出口31の周囲及び操作部40を照らす。照明部50は、注出口照明部51と、操作照明部52とを備える。注出口照明部51は、注出口31の周囲に設けられ、図示しない電源に接続される。注出口照明部51は、電源がONされ、所定の発光色で注出口31の周囲を照らす。注出口照明部51は、例えば、同色のLED照明を備え、飲料物の種類に関わらず、同色で連続点灯する。注出口照明部51は、飲料物の種類に応じて、発光状態が異なるようにしてもよい。この場合、注出口照明部51は、例えば、異なる色に発光するLED照明を複数備え、飲料物の種類に応じて異なる色で点灯する。これにより、使用者は、注出口照明部51の発光色を視認することで、飲料物の種類を確認することができる。
操作照明部52は、操作部40の近傍に設けられ、図示しない電源に接続される。操作照明部52は、電源がONされ、操作部40を照らす。操作照明部52は、例えば、意匠パネル211の平面部211aの裏面側に設けられ、意匠パネル211の裏面側から操作部40に明かりを照らす。操作照明部52は、意匠パネル211の裏面側から意匠パネル211の透明な部分に明かりを照らすことにより、操作部40に明かりを照らす。これにより、操作照明部52は、設定摘み41、種類マーク211c、及び、ロック解除スイッチ42に明かりを照らす。例えば、操作照明部52は、注出口照明部51と同様に、飲料物の種類に応じて発光状態が異なるように明かりを照らす。この場合、操作照明部52は、例えば、異なる色に発光するLED照明を複数備え、飲料物の種類に応じて異なる色で点灯する。
筐体21が有するバックパネル213には、排気孔213aが設けられている。排気孔213aは、バックパネル213における鉛直方向の下側に配置され、供給機本体20の内部の空気を排出することにより、飲料供給機1の使用時に発生する熱を供給機本体20の外部に放熱する。
鉛直方向における供給機本体20の下側には、ベースカバー60とベーストレイ70とが配置されている。ベースカバー60は、鉛直方向における供給機本体20の下側に取り付けられており、これにより、ベースカバー60は、供給機本体20と一体となって供給機本体20に設けられている。ベーストレイ70は、飲料供給機1を設置する床面等に配置される。飲料供給機1は、鉛直方向における供給機本体20の下側に配置されるベースカバー60を、供給機本体20と共にベーストレイ70上に載置してベーストレイ70に固定することにより、任意の設置場所に設置することが可能になっている。これらのベースカバー60とベーストレイ70とは、例えば、合成樹脂材料などから形成される。
図4は、図1に示すベーストレイ70を前斜め上から見た斜視図である。図5は、図1に示すベーストレイ70を後ろ斜め上から見た斜視図である。ベーストレイ70は、鉛直方向視における形状が略矩形状の載置面71と、載置面71の外周に形成される枠部74とを有している。載置面71は、ベーストレイ70におけるベースカバー60を載置する部分になっており、枠部74は、載置面71よりも鉛直方向における上側に突出して形成されている。また、ベーストレイ70における前後方向の前側には、前方に突出する前側鍔部75が設けられている。前側鍔部75は、枠部74における前側に位置する部分の載置面71からの水平方向外側への突出量が、枠部74における後ろ側に位置する部分や横方向の両側に位置する部分の、載置面71からの水平方向外側への突出量と比較して、大きな突出量で突出することにより形成されている。ベーストレイ70は、前側鍔部75が形成されることにより、供給機本体20に取り付けられたベースカバー60をベーストレイ70の載置面71に載置した際に、供給機本体20の前後方向における前側が、ベースカバー60より大幅に前側に突出する。
ベーストレイ70における前後方向の後ろ側には、ベースカバー60と係合するフック76が配設されている。フック76は、枠部74における前後方向の後ろ側に位置する部分に配設され、枠部74から鉛直方向の上側に突出し、さらに前後方向における前側に突出することにより形成されている。このように形成されるフック76は、枠部74における前後方向の後ろ側に位置する部分の2箇所に配置されており、2箇所のフック76は、横方向に間隔をあけて配置されている。
ベーストレイ70における横方向の両側には、後述する固定部材80(図9参照)を取り付けるためのねじ孔77が形成されている。ねじ孔77は、例えば、アウトサートネジにより構成され、ベーストレイ70の横方向における両側に位置する枠部74の上面に、それぞれ形成されている。即ち、ねじ孔77は、ベーストレイ70における横方向の両側2箇所に形成されている。2箇所のねじ孔77は、前後方向における位置がほぼ同じ位置になっており、いずれもベーストレイ70の前後方向における中央よりも前側寄りに形成されている。
また、2箇所のねじ孔77の近傍には、固定部材80と係合する固定部材係合部78が形成されている。固定部材係合部78は、枠部74における横方向の外側に面する部分が、ねじ孔77の近傍で水平方向内側、即ち、水平方向における載置面71が位置する側に凹むことにより形成されている。
ベーストレイ70の載置面71には、前後方向に延びるレール72が複数形成されている。レール72は、載置面71から上側に突出しつつ前後方向に延びており、前側レール72fと、後ろ側レール72bと、サイドレール72sとを有している。このうち、前側レール72fは、載置面71の横方向におけるほぼ中央に位置し、複数のレール72の中で最も前側に配設されている。後ろ側レール72bは、前側レール72fと同様に載置面71の横方向におけるほぼ中央に位置し、前側レール72fに対して離間して前後方向における前側レール72fの後ろ側に配設されている。サイドレール72sは、前側レール72fと後ろ側レール72bとの間の位置である離間部73の横方向における両側に配設されている。つまり、サイドレール72sは、横方向における離間部73の両側2箇所に配設されている。
離間部73は、前後方向における長さが前側レール72fや後ろ側レール72bの前後方向における長さより大幅に短くなっており、サイドレール72sは、前後方向における長さが離間部73の前後方向における長さより僅かに長くなっている。このため、サイドレール72sは、前後方向における長さが、前側レール72fや後ろ側レール72bの前後方向における長さより大幅に短くなっている。サイドレール72sは、前後方向に対して、前側の端部が前側レール72fの後ろ側の端部と一部でオーバーラップしている。また、サイドレール72sは、前後方向に対して、後ろ側の端部が後ろ側レール72bの前側の端部と一部でオーバーラップしている。
図6は、図4のC-C断面図である。複数のレール72は、長さ方向における位置によって高さ(前後方向、及び、横方向と直交する高さ方向に沿った高さ)が変化しており、異なるレール72同士の間で、前後方向における位置が同じ位置での高さが異なる部分を有している。具体的には、サイドレール72sは、前後方向における前側から後ろ側に向かうに従って高さが高くなっている。また、前側レール72f、後ろ側レール72bの前後方向の前側の端部は、前後方向の前側に向かって先細りの形状となっている。ここでいう先細りは、レール72の高さ方向とレール72の幅方向との双方を含んでおり、レール72の前後方向における前側の端部から後ろ側に向かった所定の範囲において、高さ方向と幅方向との少なくともいずれか一方が、前後方向の後ろ側から前側に向かって小さくなっていればよい。本実施形態では、前側レール72fは、前後方向の前側の端部付近が、前後方向の後ろ側から前側に向かって高さが低くなっており、後ろ側レール72bは、前後方向の前側の端部付近が、前後方向の後ろ側から前側に向かって高さが低く、且つ、幅が細くなっている。
各レール72は、これらのように形成されるため、サイドレール72sの前後方向における前側の端部72sfは、高さが、前側レール72fにおける前後方向の同じ位置の高さよりも低くなっている。また、サイドレール72sの前記前後方向における後ろ側の端部72sbは、高さが、後ろ側レール72bにおける前後方向の同じ位置の高さよりも高くなっている。この場合におけるサイドレール72sの端部72sf、72sbは、厳密にサイドレール72sの端部に限定されるものではない。サイドレール72sの端部に、安全性等の目的で丸みや面取りが施される場合には、これらの丸みや面取りが施される範囲全体が、ここでいう端部72sf、72sbに含まれる。即ち、サイドレール72sの端部72sf、72sbの高さと、前側レール72fや後ろ側レール72bの高さとの比較は、サイドレール72sの厳密な端部以外の位置での高さと、前側レール72fや後ろ側レール72bの高さとを比較してもよい。本実施形態では、サイドレール72sの端部には丸みが施されているため、サイドレール72sの端部72sf、72sbの高さは、丸みが施された範囲のうちの最も高い位置での高さになる。
図7は、図1に示すベースカバー60を前斜め上から見た斜視図である。図8は、図1に示すベースカバー60を後ろ斜め下から見た斜視図である。ベースカバー60は、鉛直方向視における形状が略矩形状の載置部61と、載置部61の外周に形成される壁部63とを有している。載置部61は、ベースカバー60における供給機本体20を載置する部分になっており、上面に供給機本体20と係合する係合部62が設けられている。ベースカバー60は、係合部62を供給機本体20に係合させ、図示しないビス等を用いることにより、供給機本体20に取り付けることが可能になっている。
壁部63は、鉛直方向における載置部61の上下両方向に載置部61より突出して形成されている。ベースカバー60は、壁部63を含む鉛直方向視の投影面積が、ベーストレイ70の載置面71の鉛直方向視の投影面積よりも小さくなっている。特に、ベースカバー60の前後方向における長さは、ベーストレイ70の載置面71の前後方向における長さよりも短くなっている。このため、ベースカバー60は、ベーストレイ70の載置面71上に載置することが可能になっている。
載置部61の外周に形成される壁部63における、前後方向の後ろ側に位置する部分には、壁部63における他の部分よりも鉛直方向の上側に突出した係止部64が形成されている。また、壁部63における、前後方向の後ろ側に位置する部分には、ベーストレイ70のフック76を挿入するフック挿入孔65が形成されている。フック挿入孔65は、横方向における位置が、ベースカバー60をベーストレイ70の載置面71上に載置した状態におけるベーストレイ70のフック76の横方向における位置とほぼ同じ位置に形成されている。また、フック挿入孔65は、壁部63における載置部61よりも下側に位置しており、壁部63を前後方向に貫通する孔として形成されている。
ベースカバー60における横方向の両側には、後述する固定部材80(図9参照)を挿入する固定部材挿入孔66が形成されている。固定部材挿入孔66は、ベースカバー60の両側2箇所に形成されており、2箇所の固定部材挿入孔66は、壁部63における横方向の両側に位置する部分にそれぞれ形成されている。固定部材挿入孔66は、前後方向における位置が、ベースカバー60をベーストレイ70の載置面71上に載置した状態における、ベーストレイ70のねじ孔77や固定部材係合部78の前後方向における位置とほぼ同じ位置に形成されている。また、固定部材挿入孔66は、フック挿入孔65と同様に、壁部63における載置部61よりも下側に位置しており、壁部63を横方向に貫通する孔として形成されている。
また、ベースカバー60には、ベーストレイ70への載置時にベーストレイ70に対向する面に、複数のリブ67が形成されている。即ち、複数のリブ67は、ベースカバー60における載置部61の下側に形成されている。リブ67は、前後方向に延びる縦リブ67aと、横方向に延びる横リブ67bとを有している。縦リブ67aは、前後方向の両側に位置する壁部63間に亘って形成されており、複数が横方向に並んでいる。横リブ67bは、横方向の両側に位置する壁部63間に亘って形成されており、複数が前後方向に並んでいる。即ち、縦リブ67aと横リブ67bとは、それぞれ複数が交差して配設されている。
これらのように形成されるリブ67は、ベースカバー60をベーストレイ70の載置面71上に載置した際に、ベーストレイ70のサイドレール72sが位置する部分には配設されていない。また、複数の横リブ67bのうち、ベースカバー60をベーストレイ70の載置面71上に載置した際にサイドレール72sの前側の端部72sf付近に位置する横リブ67bと、サイドレール72sの後ろ側の端部72sb付近に位置する横リブ67bとは、前後方向における間隔が、サイドレール72sの長さと同程度になっている。
また、ベースカバー60には、ベースカバー60をベーストレイ70の載置面71上に載置した状態における、ベーストレイ70のレール72と嵌合する凹部68が形成されている。凹部68は、ベースカバー60の横リブ67bに形成されており、ベースカバー60をベーストレイ70の載置面71上に載置した状態における、ベーストレイ70の前側レール72f及び後ろ側レール72bに対応する位置に、横リブ67bの下端部分が切り欠かれる形態で形成されている。ベーストレイ70の前側レール72f及び後ろ側レール72bは、前後方向に延びているため、凹部68は、前側レール72fや後ろ側レール72bが配設される範囲の複数の横リブ67bに形成されている。つまり、凹部68は、横リブ67bにおける前側レール72fに対応する位置と、後ろ側レール72bに対応する位置とにそれぞれ形成されている。このため、凹部68は、前側レール72fに嵌合する凹部68と、後ろ側レール72bに嵌合する凹部68とを有している。
図9は、固定部材80の斜視図である。固定部材80は、長方形の金属製の板状部材が、板の厚さ方向に約90°折り曲げられる形態で形成されている。折り曲げられることにより形成される2片のうち、一方の片はベースカバー60の固定部材挿入孔66に挿入するカバー挿入部81になっており、他方の片はベーストレイ70の固定部材係合部78に係合するトレイ係合部82になっている。カバー挿入部81とトレイ係合部82とは、互いに長さが異なっており、トレイ係合部82よりもカバー挿入部81の方が長さが長くなっている。また、カバー挿入部81には、ベーストレイ70に形成されるねじ孔77と螺合するねじ部材85(図12参照)が挿通する貫通孔83が形成されている。これにより、固定部材80は、貫通孔83にねじ部材85を挿通させてねじ部材85をねじ孔77に螺合することにより、ねじ部材85によって着脱自在にベーストレイ70に取り付けることが可能になっている。
本実施形態に係る飲料供給機1は、以上のような構成からなり、次に、ベースカバー60とベーストレイ70とを用いて飲料供給機1を設置する際の手順について説明する。飲料供給機1を設置する際には、まず、ベーストレイ70の下面に、図示しない耐震用のゲルを貼付し、飲料供給機1の設置場所にベーストレイ70を設置する。耐震用のゲルは、ベーストレイ70の下面の四隅に貼付するのが好ましい。
次に、供給機本体20に取り付けられた状態のベースカバー60をベーストレイ70上に載置する。図10は、ベースカバー60をベーストレイ70上に載置する際の説明図であり、ベースカバー60及びベーストレイ70を後ろ斜め上から見た要部斜視図である。なお、図10及び後述する図11~図13は、便宜上、供給機本体20の図示を省略しているが、実際にベースカバー60をベーストレイ70上に載置する際には、ベースカバー60を供給機本体20に取り付けてベースカバー60と供給機本体20とが一体となった状態で行う。ベースカバー60をベーストレイ70上に載置する際には、ベーストレイ70に対してベースカバー60を僅かに前方に位置させて、ベーストレイ70の載置面71の上方に配置する。これにより、ベースカバー60における前後方向の後ろ側に形成されるフック挿入孔65を、ベーストレイ70のフック76の前方に位置させてフック挿入孔65をフック76に対向させる。
ベースカバー60のフック挿入孔65を、ベーストレイ70のフック76に対向させたら、ベースカバー60の前後方向の前側が持ち上がる方向にベースカバー60と供給機本体20とを少し傾け、ベースカバー60の後ろ側の端部付近がベーストレイ70のレール72に接触した状態で、ベースカバー60を後方に移動させる。これにより、フック挿入孔65にフック76を挿入させて、フック挿入孔65にフック76を嵌合させる。
図11は、固定部材80を取り付ける際の説明図である。ベースカバー60のフック挿入孔65にベーストレイ70のフック76を嵌合させると、ベースカバー60の固定部材挿入孔66と、ベーストレイ70のねじ孔77及び固定部材係合部78の前後方向における位置がほぼ同じ位置になる。固定部材80は、この状態でベーストレイ70に取り付ける。固定部材80は2つが用いられ、2つの固定部材80は、ベーストレイ70の横方向における両側に取り付ける。固定部材80をベーストレイ70に取り付ける際には、固定部材80のトレイ係合部82からカバー挿入部81が水平方向に延びてベースカバー60の固定部材挿入孔66に向かう向きで、カバー挿入部81を固定部材挿入孔66に挿入する。
図12は、固定部材80をねじ部材85で固定する際の説明図である。図13は、ベースカバー60をベーストレイ70に固定した状態の説明図である。固定部材80のカバー挿入部81を固定部材挿入孔66に挿入すると、固定部材80のトレイ係合部82がベーストレイ70の固定部材係合部78に係合し、固定部材80の貫通孔83がベーストレイ70のねじ孔77上に位置して貫通孔83とねじ孔77とが連通する。固定部材80の貫通孔83とベーストレイ70のねじ孔77とが連通したら、ボルトやビス等のねじ部材85を貫通孔83に挿通させて、固定部材80をねじ部材85とベーストレイ70とで挟んだ状態で、ねじ部材85をねじ孔77に螺合させる。これにより、固定部材80のカバー挿入部81をベースカバー60の固定部材挿入孔66に挿入させてカバー挿入部81と固定部材挿入孔66とを嵌合させた状態で、固定部材80をベーストレイ70に固定させる。ベースカバー60は、これらによりベーストレイ70に固定され、即ち、ベースカバー60が取り付けられた供給機本体20はベーストレイ70に固定され、飲料供給機1は任意の場所に設置される。
以上の実施形態に係る飲料供給機1は、供給機本体20に設けられるベースカバー60と、飲料供給機1の設置場所に配置するベーストレイ70とを有し、ベースカバー60とベーストレイ70とは、フック76及びフック挿入孔65と、固定部材80及び固定部材挿入孔66とを用いて固定するため、確実に固定することができる。つまり、ベースカバー60やベーストレイ70の後ろ側で、ベーストレイ70のフック76をベースカバー60のフック挿入孔65に挿入してフック76をフック挿入孔65に嵌合することにより、ベースカバー60が取り付けられる供給機本体20が前方に倒れることを抑制することができる。また、ベースカバー60やベーストレイ70の横方向における両側で、ベーストレイ70に取り付けられる固定部材80をベースカバー60の固定部材挿入孔66に挿入して固定部材80を固定部材挿入孔66に嵌合することにより、供給機本体20が側方に倒れることを抑制することができる。また、固定部材挿入孔66や固定部材80は、ベースカバー60やベーストレイ70の前後方向における中央よりも前側寄りに位置するため、固定部材80を固定部材挿入孔66に嵌合することにより、供給機本体20が後方に倒れることを抑制することができる。
さらに、ベーストレイ70は、前側鍔部75が形成されることにより、供給機本体20の前後方向における前側がベースカバー60より突出しているため、飲料供給機1が前方に倒れることをより確実に抑制することができる。つまり、前後方向における飲料供給機1の前側には、注出装置30や操作部40等が位置しており、飲料供給機1は重心位置が前方寄りに位置している。このため、ベーストレイ70に前側鍔部75を形成して設置面積を増やし、供給機本体20から前方に大きく離れた位置までベーストレイ70によって支持することにより、飲料供給機1の前方への倒れ易さを低減することができる。この結果、耐転倒性を向上させることができる。
また、固定部材80は、ねじ部材85により着脱自在にベーストレイ70に取り付けられるため、ベースカバー60は、容易にベーストレイ70に対して固定することができる。この結果、容易に耐転倒性を向上させることができる。
また、ベーストレイ70の載置面71には、前後方向に延びるレール72が形成されるため、ベーストレイ70に対して前側にずらした状態でベーストレイ70上に載置したベースカバー60を後方に移動させる際における、ベースカバー60とベーストレイ70との接触面積を小さくすることができる。これにより、ベースカバー60とベーストレイ70との間の摩擦力は小さくなるため、ベースカバー60を後方に移動させる際に、レール72上でベースカバー60を滑らせながら比較的小さな力で移動させることができる。
さらに、ベースカバー60には、レール72と嵌合する凹部68が形成されるため、ベーストレイ70上にベースカバー60の載置する過程でベースカバー60を後方に移動させる際に、ベースカバー60の移動をガイドすることができる。つまり、ベーストレイ70のレール72がベースカバー60の凹部68に入り込むと、ベースカバー60はベーストレイ70に対して横方向に相対移動し難くなるため、ベーストレイ70に対するベースカバー60の相対移動は、前後方向のみに規制される。このため、ベーストレイ70上へのベースカバー60の載置時に、ベーストレイ70に対して前側にずらした状態でベーストレイ70上に載置したベースカバー60を後方に移動させる際に、容易に前後方向にのみ移動させることができる。レール72と凹部68とは、これによりベースカバー60の移動をガイドすることができ、ベースカバー60を前後方向のみに移動させることにより、ベースカバー60のフック挿入孔65にベーストレイ70のフック76を容易に挿入させることができる。従って、ベースカバー60をベーストレイ70に対して容易に固定することができる。これらの結果、飲料供給機1の設置時における作業性を向上させることができ、より容易に耐転倒性を向上させることができる。
また、ベースカバー60に、レール72と嵌合する凹部68が形成されることにより、より確実にベースカバー60をベーストレイ70に対して固定することができる。図14は、ベースカバー60のリブ67の凹部68とベーストレイ70のレール72との関係を示す説明図である。図14は、ベースカバー60のリブ67の凹部68とベーストレイ70のレール72との関係を説明するためにベースカバー60の載置部61を取り除いた状態における、ベースカバー60とベーストレイ70との要部斜視図である。ベースカバー60の横リブ67bに形成される凹部68は、ベーストレイ70の前側レール72fに対応する位置と、後ろ側レール72bに対応する位置とにそれぞれ形成されるため、ベースカバー60をベーストレイ70に固定した際には、前側レール72fと後ろ側レール72bとは、ベースカバー60の凹部68にそれぞれ入り込む。これにより、前側レール72f及び後ろ側レール72bと、ベースカバー60の凹部68とはそれぞれ嵌合するため、この嵌合により、ベースカバー60は、ベースカバー60をベーストレイ70に対して移動させる場合のみでなく、ベーストレイ70に固定した場合においても、横方向の移動が規制される。従って、ベースカバー60は、より確実にベーストレイ70に対して固定することができる。この結果、より確実に耐転倒性を向上させることができる。
また、ベーストレイ70のレール72は、前側レール72fと、前側レール72fに対して離間して前側レール72fの後ろ側に配設される後ろ側レール72bと、を有するため、製造コストの上昇を抑えることができる。つまり、ベーストレイ70を、金型を用いて樹脂によって成形する場合は、金型における樹脂の投入口は、前後方向と横方向との双方の中央位置に配置すれば、1つの投入口で樹脂をベーストレイ70の全体に均等に行き渡らせることができるので、効率良く製造することができる。しかし、ベーストレイ70に、ベーストレイ70の前端から後端に延びるレールが形成される場合は、前後方向と横方向との双方の中央位置にレールが位置することなるため、樹脂をベーストレイ70の全体に均等に行き渡らせるためには、金型における樹脂の投入口は、レールの位置を外した複数の位置に設ける必要がある。この場合、金型が複雑になるため、製造コストが上昇する虞がある。
これに対し、本実施形態では、ベーストレイ70のレール72は、前側レール72fと後ろ側レール72bとが前後方向に離間するため、ベーストレイ70の前後方向と横方向との双方の中央位置にレール72が位置することを抑制することができる。これにより、ベーストレイ70の金型における樹脂の投入口を、ベーストレイ70の前後方向と横方向との双方の中央位置に配置することができ、金型が複雑になることを抑制することができる。従って、ベーストレイ70にレール72を設ける際における製造コストの上昇を抑えることができる。この結果、製造コストの上昇を抑えつつ、耐転倒性を向上させることができる。
また、前側レール72fと後ろ側レール72bとは、前後方向の前側の端部が、前後方向の前側に向かって先細りになっているため、ベーストレイ70に対して前方にずらして載置したベースカバー60を後方へ移動させる際に、前側レール72fや後ろ側レール72bを、ベースカバー60に形成される凹部68に容易に入り込ませることができる。これにより、ベースカバー60の横方向への移動をより容易に規制することができるため、ベーストレイ70へのベースカバー60の載置時には、ベースカバー60の移動を容易にガイドすることができ、また、ベーストレイ70へのベースカバー60の確実な固定も、より容易に行うことができる。この結果、飲料供給機1の設置時における作業性をより容易に向上させることができ、より容易に耐転倒性を向上させることができる。
また、レール72は、前側レール72fと後ろ側レール72bとの間の位置である離間部73の横方向における両側に、サイドレール72sを有するため、製造コストの上昇を抑えつつ、より確実にベースカバー60をベーストレイ70に対して固定することができる。図15は、ベースカバー60のリブ67とベーストレイ70のサイドレール72sとの関係を示す説明図である。図15は、ベースカバー60のリブ67とベーストレイ70のサイドレール72sとの関係を説明するためにベースカバー60の載置部61を取り除いた状態における、ベースカバー60とベーストレイ70との平面図である。ベースカバー60が有する複数の横リブ67bのうち、ベースカバー60をベーストレイ70上に載置した際にサイドレール72sの前後方向における両側に位置する横リブ67b同士は、間隔がサイドレール72sの長さと同程度になっている。このため、ベースカバー60をベーストレイ70上に載置した際には、これらの横リブ67bは、サイドレール72sの前後方向における両側に位置することになる。換言すると、ベースカバー60をベーストレイ70上に載置した際には、ベーストレイ70のサイドレール72sは、前後方向に隣り合うこれらの横リブ67b同士の間に入り込み、サイドレール72sが間に入り込んだ横リブ67bは、前後方向への移動が規制される。従って、ベースカバー60は、ベーストレイ70に対して前後方向への移動が規制されるため、より確実にベースカバー60をベーストレイ70に対して固定することができる。
また、サイドレール72sは、前側レール72fと後ろ側レール72bとの間の位置である離間部73の横方向の両側に形成されるため、ベーストレイ70の前後方向と横方向との双方の中央位置に、レール72が位置することを抑制することができる。これにより、ベーストレイ70の金型における樹脂の投入口を、より確実にベーストレイ70の前後方向と横方向との双方の中央位置に配置することができ、金型が複雑になることを抑制することができる。この結果、より確実に製造コストの上昇を抑えつつ、耐転倒性を向上させることができる。
また、サイドレール72sの前側の端部72sfは、高さが、前側レール72fにおける前後方向の同じ位置の高さよりも低くなっているため、ベースカバー60を後方に移動させる際に、ベースカバー60の横リブ67bがサイドレール72sに引っ掛かることを抑制することができる。つまり、ベースカバー60をベーストレイ70上に載置した後、ベースカバー60を後方に移動させる際において、前側レール72fに接触しながら後方に移動する横リブ67bが、サイドレール72sの位置に到達した際に、サイドレール72sに横リブ67bが引っ掛かることを抑制することができる。同様に、サイドレール72sの後ろ側の端部72sbは、高さが、後ろ側レール72bにおける前後方向の同じ位置の高さよりも高くなっているため、ベースカバー60を後方に移動させる際に、ベースカバー60の横リブ67bが後ろ側レール72bに引っ掛かることを抑制することができる。つまり、ベースカバー60をベーストレイ70上に載置した後、ベースカバー60を後方に移動させる際において、サイドレール72sに接触しながら後方に移動する横リブ67bが、後ろ側レール72bの位置に到達した際に、後ろ側レール72bに横リブ67bが引っ掛かることを抑制することができる。これらにより、ベースカバー60を後方に移動させる際に、横リブ67bがベーストレイ70のレール72に対して引っ掛かることなく移動させることができ、容易にベースカバー60をベーストレイ70に対して固定することができる。この結果、より容易に耐転倒性を向上させることができる。
また、ベースカバー60は、前後方向における長さが、ベーストレイ70の載置面71の前後方向における長さよりも短くなっているため、ベースカバー60をベーストレイ70に固定した際には、ベースカバー60を前側には、ベーストレイ70との間に空隙部90(図13参照)が形成される。即ち、ベースカバー60をベーストレイ70に固定した際には、ベースカバー60における前側の壁部63と、ベーストレイ70における前側の枠部74とが前後方向に離間する状態となり、壁部63と枠部74との間の部分は、空隙部90として形成される。これにより、ユーザーは、空隙部90からベーストレイ70の載置面71を視認することができ、漏れた飲料物を視認することができる。つまり、ベーストレイ70は、飲料供給機1における最も下側に配設されるため、飲料物の漏れが発生した際には、漏れた飲料物は、ベーストレイ70の載置面71上に溜まる。このように、ベーストレイ70の載置面71上に漏れた飲料物が溜まった場合でも、ベースカバー60の前方には空隙部90が形成されるため、ユーザーは、空隙部90から載置面71上の飲料物を視認することができる。この結果、耐転倒性を向上させつつ、飲料供給機1の使い勝手を向上させることができる。
〔変形例〕
なお、上述した実施形態では、ベースカバー60は、供給機本体20とは別体で形成され、供給機本体20に対して取り付けることができるようになっているが、ベースカバー60は、供給機本体20と一体で形成されていてもよい。
また、上述した実施形態では、ベーストレイ70のレール72は、前側レール72f、後ろ側レール72b、サイドレール72sにより構成されているが、ベーストレイ70のレール72は、これ以外の構成であってもよい。レール72の構成に関わらず、ベーストレイ70に前後方向に延びるレール72が形成されることにより、ベーストレイ70上でベースカバー60を移動させる際における力を小さくすることができ、また、レール72がベースカバー60の凹部68に入り込むことにより、ベースカバー60の移動をガイドすることができる。これにより、飲料供給機1の設置時の作業性を向上させることができる。
また、上述した本発明の実施形態、変形例に係る飲料供給機は、上述した実施形態、変形例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態、変形例に係る飲料供給機は、以上で説明した各実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。