以下、本発明の一実施形態に係る装置及び方法を説明する。
[袋取出装置]
図1は、袋取出装置10を例示する平面図である。図1に示す袋取出装置10は、第1搬送部51、第2搬送部52、第3搬送部53、受渡装置11及び包装機88を備える。
図1に示す袋取出装置10では、複数の収容箱70がストックゾーンZ1に置かれている。ストックゾーンZ1に置かれている各収容箱70は、積層方向(本実施形態では重力が作用する鉛直方向と平行な高さ方向)に積み重ねられた複数の袋セット81を収容する。作業者Wは、ストックゾーンZ1から供給ゾーンZ2に収容箱70を運び、当該収容箱70を供給ゾーンZ2において第1搬送部51(特に上流側搬送コンベア51a)に載せる。第1搬送部51は、積層方向に積み重ねられた複数の袋セット81を収容する収容箱70を、供給ゾーンZ2で受け取って、取出ゾーンZ3に搬送する。図1において、収容箱70の搬送方向が矢印「Dc」によって表されている。
図1に示す第1搬送部51は、上流側搬送コンベア51a、下流側搬送コンベア51b及び押出装置(図示省略)を有する。上流側搬送コンベア51aは、供給ゾーンZ2において収容箱70を受け取り、当該収容箱70を第1搬送方向(図1の上から下に向かう方向)へ搬送する。下流側搬送コンベア51bは、上流側搬送コンベア51aから収容箱70を受け取り、当該収容箱70を第2搬送方向(図1の下から上に向かう方向)へ搬送し、取出ゾーンZ3に配置する。本実施形態の上流側搬送コンベア51a及び下流側搬送コンベア51bの各々は、コンベア脚部56により支持されたコンベアフレーム55(図2参照)と、当該コンベアフレーム55に対して回転可能に取り付けられ水平方向に延在する複数の回転軸と、これらの複数の回転軸に掛け渡されたベルトと、を含む。上流側搬送コンベア51a及び下流側搬送コンベア51bの各々は、後述の制御ユニット(図8参照)の制御下で少なくとも1つの回転軸が駆動されベルトが走行させられることによって、収容箱70を下流に向けて搬送する。
押出装置(図示省略)は、上流側搬送コンベア51a上の収容箱70を下流側搬送コンベア51b上に向けて押し出し、当該収容箱70を上流側搬送コンベア51aから下流側搬送コンベア51bに移動させる。図示の例において、上流側搬送コンベア51a上の収容箱70は、押出装置によって、第1搬送方向及び第2搬送方向の各々と直角を成す方向(すなわち図1の左から右に向かう方向)へ移動させられる。
取出ゾーンZ3には位置決め部54が設けられている。位置決め部54は、下流側搬送コンベア51bによって搬送される収容箱70を、取出ゾーンZ3における所定の取出位置に位置決めする。受渡装置11は、収容箱70が取出位置に位置決めされている間に、当該収容箱70から袋セット81を取り出し、当該袋セット81を第3搬送部53上に載せる。図1には、収容箱70から第3搬送部53への袋セット81の移動軌道(すなわち円弧軌道)が矢印「Db」により示されているが、各袋セット81の移動軌道は図1に示す移動軌道Dbには限定されない。
第2搬送部52は、取出ゾーンZ3から送られてくる空の収容箱70を受け取って、当該収容箱70を排出ゾーンZ4に搬送する。空の収容箱70は、排出ゾーンZ4において作業者W等によって第2搬送部52から降ろされる。排出ゾーンZ4に搬送された収容箱70は、新たな複数の袋セット81(すなわち複数の袋80)が補給された後、再びストックゾーンZ1に置かれてもよい。
第3搬送部53は、受渡装置11から受け取った袋セット81を、袋取出装置10よりも下流側に設けられる装置(本実施形態では包装機88)に向けて搬送する。
包装機88は、第3搬送部53から袋80を受け取って、包装処理を行う。包装機88の装置構成及び包装機88で行われる処理内容は限定されない。
図1に例示される包装機88は、回転テーブル89の外周部に取り付けられる複数のグリッパーペア90(図1ではステーションと同数のグリッパーペア90)を備える。これらのグリッパーペア90は、回転テーブル89の間欠回転に応じて複数のステーション(図1では第1ステーションS1~第10ステーションS10)を間欠的に巡回する。各グリッパーペア90は、第1ステーションS1において中継装置(図示省略)を介して第3搬送部53から1つの袋80を受け取って把持する。各グリッパーペア90によって側部が把持されている袋80は、第2ステーションS2で印字装置91によって印字処理を受け、第3ステーションS3で印字撮像装置92によって印字検査のために印字箇所が撮影され、第4ステーションS4で開口装置93によって開かれ、第5ステーションS5で液体充填部94によって液体(内容物)が注入され、第6ステーションS6で固体充填部95によって固体(内容物)が投入され、第8ステーションS8で第1加熱シール装置96によって加熱シールされ、第9ステーションS9で第2加熱シール装置97によって加熱シールされ、第10ステーションS10で冷却シール装置98によって冷却シールされる。
第1ステーションS1~第10ステーションS10で一連の処理を受けた袋80は、第10ステーションS10において対応のグリッパーペア90から解放されて落下し、第4搬送部99上に載せられ、第4搬送部99によって更に後段に送られる。
[収容箱]
各収容箱70に収容されている複数の袋セット81の各々は1以上の袋80を含み、各収容箱70に収容されている複数の袋セット81は、2以上の袋80から成る袋セット81を1以上含む。各収容箱70において、複数の袋セット81の各々は、積層方向に隣り合う位置に配置される他の袋セット81と部分的に重なる。すなわち、積層方向に隣り合う位置に配置される2つの袋セット81は、お互いに幅方向(後述の第1水平方向Dh1(図9A~図9D参照))にずらされた状態で、収容箱70に収容されている。
ここで言う「積層方向に隣り合う位置に配置される2つの袋セット81」は、積層方向に連続して並べられる2つの袋セット81を意味し、接触の有無は関係ない。複数の袋セット81を幅方向にずらしながら積み重ねる場合、積み重ねる順番が1番目である袋セット81と2番目である袋セット81とは、ここで言う「積層方向に隣り合う位置に配置される2つの袋セット81」に該当する。一方、積み重ねる順番が1番目である袋セット81と3番目である袋セット81とは、たとえお互いに接触していても、ここで言う「積層方向に隣り合う位置に配置される2つの袋セット81」には該当しない。
2以上の袋80を含む袋セット81の各々において、当該2以上の袋80の各々は積層方向に隣り合う位置に配置される他の袋80と部分的に重なった状態で収容箱70に収容されている。特に、収容箱70内において隣り合う位置に配置される2つの袋セット81がずらされる方向とは直角を成す方向(後述の第2水平方向Dh2(図9A~図9D参照))に、袋セット81に含まれる2以上の袋80をずらすことが好ましい。このように積層方向に隣り合う位置に配置される袋セット81同士をお互いにずらして配置し、また同じ袋セット81に含まれ且つ積層方向に隣り合う位置に配置される袋80同士をお互いにずらして配置することによって、多数の袋80をスペース効率良く収容箱70に収容することができる。
図示の例では、各収容箱70に収容されている全ての袋セット81の各々が2以上の袋80を含む。また各収容箱70に収容されている全ての袋セット81はお互いに同数の袋80を含む。各袋80は、局所的に他の部分よりも大きな厚みを有する厚み部84を有する。図示の厚み部84は、いわゆるスパウトによって構成されており、平面形状が概ね長方形である各袋80の4つのコーナー部分のうちの1つに位置する。2以上の袋80を含む袋セット81において、積層方向に隣り合う位置に配置される袋80間において厚み部84がお互いに重ならないように、各収容箱70には複数の袋セット81(すなわち複数の袋80)が積み重ねられている。
また図示の例では、2以上の袋80を含む袋セット81において、当該2以上の袋80はお互いに同じ向きを有する。各収容箱70(図示の例では全ての収容箱70)において、各袋80の表面及び裏面の各々が袋80間で共通の積層方向に向けられている。例えば、各収容箱70内の全ての袋80の表面が上方に向けられ且つ裏面が下方に向けられていてもよいし、全ての袋80の表面が下方に向けられ且つ裏面が上方に向けられていてもよい。
なお本実施形態の各収容箱70における、複数の袋セット81(すなわち複数の袋80)の配置の詳細は後述される(図9A~図9D参照)。
[受渡装置]
図2は、受渡装置11を例示する概略図である。図2に示されている要素には、簡略化して示されている要素が含まれている。例えば、図2では、複数の袋80を含む各袋セット81が、単一の袋80によって簡略的に表されている。
図2に示す受渡装置11は、保持部30、位置検出部31及び移動機構22を備える。
保持部30は、収容箱70に収容され且つ積層方向に積み重ねられている複数の袋セット81の各々を、保持可能に設けられている。図示の保持部30は、各袋セット81を積層方向(すなわち高さ方向)に挟んで把持するチャック構造を有する。
移動機構22は、向き調整機構23を介して保持部30が取り付けられており、移動制御部(図8参照)の制御下で保持部30を移動させることができる。本実施形態の移動機構22は、取出ゾーンZ3の取出位置に位置決めされている収容箱70内において最上位置にある袋セット81を保持する位置と、保持している袋セット81を第3搬送部53(図1参照)の所望位置に置くための位置との間において、保持部30を3次元的に往復移動させる。
図示の移動機構22は、多関節ロボットによって構成されており、複数のアーム部22aと、隣り合うアーム部22a同士を揺動可能に連結する複数の関節部22bとを含む。先端側アーム部22aには向き調整機構23が取り付けられている。基端側アーム部22aは土台21によって支持されている。各関節部22b及び土台21にはサーボモータ等の駆動デバイスが設けられている。各関節部22bに設けられる駆動デバイスによって、隣り合うアーム部22a間の角度を調整することができる。土台21に設けられる駆動デバイスによって、鉛直方向と平行な旋回軸Axを中心に、移動機構22を回転させることができる。これらの駆動デバイスが移動制御部の制御下で駆動されることによって、移動機構22は保持部30を移動させる。なお移動機構22の構成は図示の例には限定されない。例えば他の多関節ロボット(例えば他の水平多関節ロボット(スカラロボット)等)、パラレルリンクロボット、或いは直交ロボットによって、移動機構22の全体又は一部が構成されていてもよい。
向き調整機構23は、保持部30が取り付けられており、向き制御部(図8参照)の制御下で保持部30の水平方向に関する向きを変えることができる。図示の向き調整機構23は回転体を含む。この回転体は、保持部30に対して固定的に取り付けられており、保持部30と一体的に回転する。一方、この回転体は、移動機構22(特に先端側アーム部22a)に対しては回転可能に取り付けられている。向き調整機構23の回転体が向き制御部の制御下で回転させられることによって、移動機構22を回転させることなく保持部30を回転させて、保持部30の向きを変えることができる。
位置検出部31は、保持部30の積層方向(すなわち高さ方向)に関する位置を検出する。具体的には、位置検出部31は、収容箱70内における最上位置の袋セット81に対する保持部30の位置を、直接的又は間接的に検出する。位置検出部31の構成は限定されない。図示の位置検出部31は、後述のように、収容箱70内における最上位置の袋セット81を支持する部分(例えば最上位置の袋セット81の直下に位置する袋セット81又はビニール体PL)の高さ方向位置を基準として、保持部30の高さ方向位置を検出する。
なお図2に示す収容箱70は、収容箱70の内側から外側にわたって延在するビニール体PLにより覆われている。収容箱70内の複数の袋セット81(すなわち複数の袋80)は、収容箱70の内側を覆うビニール体PL上に配置されている。収容箱70内において高さ方向の最下方に位置する袋セット81は、ビニール体PL上に載せられている。
図3は、保持部30及び位置検出部31の正面図である。図4は、保持部30及び位置検出部31の上面図である。図5は、保持部30及び位置検出部31の下面図である。図6は、保持部30及び位置検出部31の右側面図である。図7は、保持部30及び位置検出部31の左側面図である。
図示の保持部30及び位置検出部31は一体的に設けられており、移動機構22(図2参照)によって一体的に移動され、向き調整機構23(図2参照)によって一体的に向きが変えられる。移動機構22の先端側アーム部22a(図2参照)には、向き調整機構23を介して連結プレート32が取り付けられている。連結プレート32には第1取付フレーム36a及び第2取付フレーム36bが固定されている。第1取付フレーム36a及び第2取付フレーム36bの各々は、高さ方向に延在する鉛直部と、当該鉛直部の下方端部から水平方向に延在する水平部とを有する。図示の第1取付フレーム36a及び第2取付フレーム36bは対称的に設けられている。
第1取付フレーム36a及び第2取付フレーム36b(特に鉛直部)には、開閉駆動部33が固定されている。開閉駆動部33は、エアシリンダによって好適に構成され、保持制御部(図8参照)の制御下で高さ方向に進退する駆動軸33aを有する。駆動軸33aには保持可動部34が固定されている。保持可動部34の高さ方向位置は、駆動軸33aの高さ方向への進退に応じて決められる。
第1取付フレーム36a及び第2取付フレーム36b(特に水平部)には、保持固定部35が取り付けられている。保持固定部35は、高さ方向に関し、保持可動部34と対向する位置に配置されている。図示の保持固定部35は、第1保持固定部35a及び第2保持固定部35bを有する。第1保持固定部35aは、第1取付フレーム36aと一体的に設けられ、水平方向に延在する。第2保持固定部35bは、第2取付フレーム36bと一体的に設けられ、水平方向に延在する。なお第1保持固定部35a及び第1取付フレーム36aは同一部材によって構成されていてもよい。また第2保持固定部35b及び第2取付フレーム36bは同一部材によって構成されていてもよい。
保持部30は、保持可動部34及び保持固定部35をチャック構造体として含む。収容箱70に収容されている各袋セット81は、保持可動部34及び保持固定部35により積層方向(すなわち高さ方向)に挟まれることによって、移動可能に保持される。
第1取付フレーム36a(特に鉛直部)には取付プレート37が固定されている。図示の取付プレート37は、高さ方向に延在する鉛直プレート部と、当該鉛直プレート部の下方端部から水平方向に延在する水平プレート部とを有する。例えば、1枚のプレートを部分的に折り曲げることによって、鉛直プレート部及び水平プレート部を有する取付プレート37を形成することが可能である。取付プレート37の鉛直プレート部が第1取付フレーム36a(特に鉛直部)に対して固定されている。取付プレート37の水平プレート部には、揺動検出センサ39が固定されている。
第1取付フレーム36a及び第2取付フレーム36bには揺動軸41が固定されている。揺動軸41は、第1取付フレーム36aと第2取付フレーム36bとの間に位置する。図示の例では、第1取付フレーム36a及び第2取付フレーム36bの各々のうちの鉛直部と水平部とが接続する部位に、揺動軸41が接続されている。この揺動軸41を介し、揺動体40が、第1取付フレーム36a及び第2取付フレーム36bに対して揺動自在に支持されている。
揺動体40は、高さ方向に作用する力を受けることによって、揺動軸41を中心に揺動する。揺動体40の一部として検出プレート40aが設けられている。検出プレート40aは、水平方向に関して揺動軸41を基準とした一方側に位置しており、高さ方向に関して揺動検出センサ39と対向する。検出プレート40aと揺動検出センサ39との間の距離は、揺動体40の揺動状態(すなわち揺動軸41を中心とした揺動体40の揺動角度)に応じて変わる。揺動体40が外力を受けていない状態において、検出プレート40aは相対的に上方に位置し、検出プレート40aと揺動検出センサ39との間の距離は比較的小さい。一方、揺動体40(特に揺動体40のうち揺動軸41を基準として検出プレート40aとは水平方向に関して反対側の部分)が下方から力を受けた場合、検出プレート40aが揺動検出センサ39から遠ざかるように揺動体40は揺動し、検出プレート40aは相対的に下方に位置し、検出プレート40aと揺動検出センサ39との間の距離は大きくなる。
このように揺動体40は、保持部30(例えば保持可動部34及び保持固定部35)と一体的に移動し、積層方向(すなわち高さ方向)に作用する力に応じて揺動するレバー構造を有する。本実施形態の揺動体40は、後述の第2位置袋セット(すなわち収容箱70内の最上位置の袋セット81に隣り合う位置に配置される袋セット81)の上面との接触に応じて揺動する。
揺動検出センサ39は、揺動体40の揺動状態を検出する。上述のように、揺動体40の揺動状態に応じて、揺動検出センサ39と検出プレート40aとの間の距離が変わる。本実施形態の揺動検出センサ39は、揺動検出センサ39と検出プレート40aとの間の距離に応じてオン及びオフが切り替えられる。すなわち揺動検出センサ39は、検出プレート40aと揺動検出センサ39との間の距離が所定の大きさ以上になるとオン状態となり、所定の大きさよりも小さくなるとオフ状態になる。したがって揺動検出センサ39のオン-オフ状態から、揺動体40の揺動状態を検出することができる。なお揺動検出センサ39のオン-オフ状態に関する情報は、揺動検出センサ39から制御ユニット(特に移動制御部(図8参照))に送られる。
第1取付フレーム36aの水平部と第2取付フレーム36bの水平部との間には、第1回転体42a、第2回転体42b及び揺動ストッパー43が設けられている。第1回転体42aは、第1取付フレーム36a及び第2取付フレーム36bに固定された第1回転支持軸42cによって、回転自在に支持されている。第2回転体42bは、第1取付フレーム36a及び第2取付フレーム36bに固定された第2回転支持軸42dによって、回転自在に支持されている。揺動ストッパー43は、第1回転体42aと第2回転体42bとの間において、第1取付フレーム36a及び第2取付フレーム36bに対して直接的に固定されている。第1回転体42a、第2回転体42b及び揺動ストッパー43は、水平方向に関し、揺動軸41を介して検出プレート40aとは反対側に位置する。
後述のように、保持部30を準備位置から保持位置に移動させる際、第1回転体42a及び/又は第2回転体42bは、袋セット81(すなわち後述の第2位置袋セット)に圧力をかけつつ回転する。このように揺動体40が袋セット81上をスライド移動する際に、第1回転体42a及び/又は第2回転体42bの回転を許容しつつ第1回転体42a及び/又は第2回転体42bを袋セット81に押し付けることによって、揺動体40によって袋セット81が傷つけられることを効果的に回避できる。
揺動体40には、第1回転支持軸42c、第2回転支持軸42d及び揺動ストッパー43のそれぞれに対応する位置に、第1回転体孔44a、第2回転体孔44b及びストッパー孔45が形成されている。第1回転体孔44a、第2回転体孔44b及びストッパー孔45は、水平方向に関し、揺動軸41を介して検出プレート40aとは反対側に位置する。第1回転体孔44aには第1回転支持軸42cが配置可能であり、第2回転体孔44bには第2回転支持軸42dが配置可能であり、ストッパー孔45には揺動ストッパー43が配置可能である。第1回転体孔44a、第2回転体孔44b及びストッパー孔45の各々は、全体が揺動体40に囲まれていてもよいし、一部が切り欠かれて一部のみが揺動体40に囲まれていてもよい。図示の第1回転体孔44aは、一部が切り欠かれた溝形状を有し、第1回転支持軸42cは、揺動体40の揺動状態に応じて第1回転体孔44aの内側及び/又は外側に配置される。図示の第2回転体孔44b及びストッパー孔45の各々は、切り欠きを持たず、全体が揺動体40に囲まれている。第2回転支持軸42d及び揺動ストッパー43は、揺動体40の揺動状態に関わらず常に、第2回転体孔44b及びストッパー孔45に配置されている。
予め想定されている揺動可能範囲において揺動体40が揺動する際、揺動体40は、第1回転支持軸42c、第2回転支持軸42d及び揺動ストッパー43と衝突することなく、揺動することができる。揺動体40の揺動可能範囲は、ストッパー孔45に配置された揺動ストッパー43が揺動体40と衝突する位置を境界位置として定められている。
位置検出部31は上述の揺動体40(検出プレート40aを含む)及び揺動検出センサ39を有し、揺動体40が接触する物体に対する保持部30の積層方向(すなわち高さ方向)の位置を、揺動検出センサ39のオン-オフ状態に応じて検出することができる。本実施形態の位置検出部31は、収容箱70内において最上位置の袋セット81の直下に位置する袋セット81に対する保持部30の位置を直接的に検出することによって、最上位置の袋セット81に対する保持部30の位置を間接的に検出することができる。
図8は、制御ユニット60の機能ブロック図である。
本実施形態の制御ユニット60は、移動制御部61、向き制御部62及び保持制御部63を有する。制御ユニット60は、単一のデバイスにより構成されてもよいし、複数のデバイスが組み合わされて構成されてもよい。したがって、移動制御部61、向き制御部62及び保持制御部63のうちの2以上が共通のデバイスによって実現されていてもよい。また、それぞれ別個のデバイスによって移動制御部61、向き制御部62及び保持制御部63が実現されていてもよい。
制御ユニット60には、撮像部25及び位置検出部31(特に揺動検出センサ39)が接続されている。撮像部25は、取出ゾーンZ3の取出位置に配置されている収容箱70の内側の撮影画像を取得する装置であり、取出位置の収容箱70に収容されている袋セット81(すなわち袋80)が撮像部25によって撮影される(図2参照)。移動制御部61、向き制御部62及び保持制御部63は、お互いに必要に応じて送受信可能に接続されており、各種情報(データ)を共有することができる。
移動制御部61は、移動機構22を制御し、保持部30及び位置検出部31を移動させる。向き制御部62は、向き調整機構23を制御する。具体的には、向き調整機構23は、収容箱70から取り出される対象の袋セット81に対して保持部30の向きを適合させるように、向き制御部62によって制御される。保持制御部63は開閉駆動部33を制御し、保持可動部34を移動させる。保持可動部34を移動させて保持可動部34と保持固定部35との間の間隔を調整することにより、保持可動部34及び保持固定部35によって袋セット81を保持したり、保持可動部34及び保持固定部35から袋セット81を解放したりすることができる。
移動制御部61、向き制御部62及び保持制御部63は、後述のように相互に協働し、保持部30を使って収容箱70から袋セット81を取り出すことができる(図10~図22参照)。
なお制御ユニット60は、袋取出装置10を構成する他の要素(例えば、第1搬送部51、第2搬送部52、第3搬送部53及び位置決め部54等)も制御し、図示しないセンサ及び装置との間で情報(データ)の送受信を行ってもよい。
[袋セットの収容例]
図9A~図9Dは、複数の袋セット81の収容例を説明するための概略平面図である。図9Bは、図9Aに示す収容箱70から最上位置の袋セット81を取り出した後の状態を示す。図9Cは、図9Bに示す収容箱70から最上位置の袋セット81を取り出した後の状態を示す。図9Dは、図9Cに示す収容箱70から最上位置の袋セット81を取り出した後の状態を示す。図9Dに示す収容箱70から最上位置の袋セット81を取り出した後の状態は、図9Aに示すようになる。
本実施形態では、4種類の態様(第1態様P1~第4態様P4)の袋セット81を1セットとする。このセット(すなわち4種類の態様)が積層方向(すなわち高さ方向)に繰り返し規則的に積み重ねられることにより、複数の袋セット81が収容箱70に収容されている。
収容箱70に収容されている複数の袋セット81のうち、積層方向に連続して積み重ねられている4つの袋セット81は、それぞれ第1態様P1、第2態様P2、第3態様P3及び第4態様P4を有する。第1態様P1の袋セット81に含まれている各袋80は、第2態様P2の袋セット81に含まれている各袋80に対して、第1水平方向Dh1に関する位置がずれており、且つ、第1水平方向Dh1と直角を成す第2水平方向Dh2に関する向きが同じである(図9A及び図9B参照)。第2態様P2の袋セット81に含まれている各袋80は、第3態様P3の袋セット81に含まれている各袋80に対して、第1水平方向Dh1に関する位置がずれており且つ第2水平方向Dh2に関する向きが反対である(図9B及び図9C参照)。第3態様P3の袋セット81に含まれている各袋80は、第4態様P4の袋セット81に含まれている各袋80に対して、第1水平方向Dh1に関する位置がずれており且つ第2水平方向Dh2に関する向きが同じである(図9C及び図9D参照)。第4態様P4の袋セット81に含まれている各袋80は、第1態様P1の袋セット81に含まれている各袋80に対して、第1水平方向Dh1に関する位置がずれており且つ第2水平方向Dh2に関する向きが反対である(図9D及び図9A参照)。
図9A~図9Dに示す例において、第1態様P1の袋セット81及び第3態様P3の袋セット81は、第1水平方向Dh1及び第2水平方向Dh2に関して実質的に同じ位置(図9A~図9Dの右側位置)に配置されている。また第2態様P2の袋セット81及び第4態様P4の袋セット81は、第1水平方向Dh1及び第2水平方向Dh2に関して実質的に同じ位置(図9A~図9Dの左側位置)に配置されている。また第1態様P1と第2態様P2との間で、厚み部84はそれぞれの袋80において同じ方向位置(図9A~図9Dの右上位置)に配置されている。また第3態様P3と第4態様P4との間で、厚み部84はそれぞれの袋80において同じ方向位置(図9A~図9Dの左下位置)に配置されている。
図示の各収容箱70の内側の空間は、長方形の平面形状を有する。また各袋80も、長方形の平面形状を有する。第1態様P1~第4態様P4の各々の袋セット81に含まれる複数の袋80は、第2水平方向Dh2に関して実質的に同じ範囲にわたって収容箱70内に配置されており、図示の例では収容箱70の内側スペースの第2水平方向Dh2の実質的に全体にわたって配置されている。
したがって収容箱70に収容されている複数の袋セット81のうち、積層方向に関する最上位置に配置されている袋セット81(すなわち第1位置袋セット81a)と、第1位置袋セット81aに対して積層方向に隣り合う位置に配置されている袋セット81(すなわち第2位置袋セット81b)とは、以下のように配置される。すなわち第1位置袋セット81aは、収容箱70の内側において、第2位置袋セット81b上に積み重ねられつつ、第1水平方向Dh1に関して第2位置袋セット81bからずらされている。また第1位置袋セット81a及び第2位置袋セット81bの各々は、第2水平方向Dh2に関してお互いにずらされるように積み重ねられた2以上の袋80を含む。
上述のように図示の例において各収容箱70内には、積層方向に隣り合う2つの態様の袋セット81(例えば第3態様P3の袋セット81及び第4態様P4の袋セット81)の上に、これらの2つの袋セット81とは第2水平方向Dh2に関する向きが逆である他の2つの態様の袋セット81(例えば第1態様P1の袋セット81及び第2態様P2の袋セット81)が載せられている。これにより厚み部84の水平方向位置を、第1態様P1~第4態様P4の袋セット81間でずらすことができ、複数の袋セット81(すなわち複数の袋80)を収容箱70にスペース効率良く収容することができる。
[袋取出方法]
次に、上述の袋取出装置10によって行われる袋取出方法の一例を説明する。
図10~図19は、保持部30及び位置検出部31の作動例を説明するための概略図である。図20~図22は、取出ゾーンZ3の取出位置に配置された収容箱70から第3搬送部53上への袋セット81の移動例を説明するための概略平面図である。図10~図22に示されている要素には、簡略化して示されている要素が含まれており、例えば図10~図19では各袋セット81が単一の袋80により表されている。また図10~図22には、一部要素の図示が省略されている図面が含まれており、例えば図20では保持可動部34の図示が省略されている。
本実施形態の袋取り出し方法は、収容箱位置決め工程、準備位置配置工程、保持位置配置工程、保持工程、及び取出移動工程を含む。
収容箱位置決め工程では、対象の収容箱70が、位置決め部54(図1参照)によって所定の取出位置に位置決めされる。位置決め部54は、制御ユニット60の制御下で第1搬送部51(特に下流側搬送コンベア51b)と協働し、取出ゾーンZ3に送られてくる収容箱70を取出位置で停止させる。受渡装置11によって収容箱70から複数の袋セット81が取り出されている間、位置決め部54は、当該収容箱70を取出位置に位置決めし続ける。
なお位置決め部54は、受渡装置11により全ての袋セット81が収容箱70から取り出された後、空になった収容箱70の位置決めを解除する。その後、制御ユニット60の制御下で下流側搬送コンベア51b及び第2搬送部52が協働し、空の収容箱70が取出位置から排出ゾーンZ4に搬送される。
準備位置配置工程では、積層方向に積み重ねられた複数の袋セット81を収容する収容箱70であって取出位置に位置決めされている収容箱70の内側における準備位置Ps1に、保持部30が移動させられる(図10、図11及び図20参照)。具体的には、移動制御部61(図8参照)が位置検出部31の検出結果(すなわち保持部30の高さ方向位置)に基づいて移動機構22(図2参照)を制御し、取出位置に位置決めされている収容箱70の内側の準備位置Ps1に、保持部30を移動させる。
ここで言う「準備位置Ps1」は、第1位置袋セット81aとは積層方向(すなわち高さ方向)に関して重ならないが、第2位置袋セット81bとは積層方向に関して重なる位置である。
本実施形態の移動機構22は、収容箱70の内側に保持部30及び位置検出部31を移動させ、最上位置の袋セット81(すなわち第1位置袋セット81a)の直下に位置する袋セット81(すなわち第2位置袋セット81b)に向けて、保持部30及び位置検出部31を更に移動させる。そして、揺動体40が第2位置袋セット81bに接触し、保持部30(特に第1取付フレーム36a及び第2取付フレーム36bの水平部の先端部の上面)が所望の高さ位置に配置されたことが、位置検出部31によって検出された際に、移動機構22は保持部30及び位置検出部31の下降を停止させる。
本実施形態の位置検出部31は、第2位置袋セット81bを基準とした保持部30の高さ方向(すなわち積層方向)に関する位置を検出し、準備位置Ps1は、第2位置袋セット81bの高さ方向位置を基準に決められる。揺動体40が外力を受けていない状態で保持部30が準備位置Ps1に移動する際、揺動体40のうち揺動軸41を介して検出プレート40aとは反対側の部分が、重力の影響下で、検出プレート40aよりも下方に位置する。揺動体40は、保持部30の下降とともに第2位置袋セット81bに接触し、第2位置袋セット81bから力を受けて揺動軸41を中心に揺動する。この揺動体40の揺動によって検出プレート40aは揺動検出センサ39から離れる方向に移動する。揺動検出センサ39と検出プレート40aとの間の距離が所定の大きさ以上になったことを示す揺動検出センサ39からの信号(オン状態信号)を移動制御部61が受けた場合、移動制御部61は移動機構22を制御して、保持部30の下降を停止させる。このようにして保持部30は準備位置Ps1に配置される。
保持位置配置工程では、保持部30を準備位置Ps1から保持位置Ps2に移動させて、収容箱70内の第1位置袋セット81aと第2位置袋セット81bとの間に、保持部30の少なくとも一部が配置される(図12及び図21参照)。具体的には、移動制御部61(図8参照)が移動機構22(図2参照)を制御し、保持部30を準備位置Ps1から水平方向へ移動させて保持位置Ps2に配置する。これにより、収容箱70に収容されている第1位置袋セット81aと第2位置袋セット81bとの間に、保持部30の少なくとも一部(図示の例では第1取付フレーム36aの水平部、第2取付フレーム36bの水平部及び保持固定部35)を配置する。
このように保持部30の下降停止後に、保持部30を水平方向に移動させることによって、保持部30が保持位置Ps2に配置される。なお準備位置Ps1から保持位置Ps2までの水平方向距離は、収容箱70における第1位置袋セット81aの態様(第1態様P1~第4態様P4(図9A~図9D参照))によらず、一定に設定されていてもよい。この場合、センサ等によって保持部30の水平方向位置を検出及び監視することが不要である。
保持部30のうち第1位置袋セット81aと第2位置袋セット81bとの間に配置される部分の先端部(図示の例では第1取付フレーム36a及び第2取付フレーム36bの水平部の先端部)には、第1位置袋セット81aを保持固定部35上に誘導する誘導面40bが形成されている。誘導面40bは高さ方向位置がスムーズに変化する傾斜面によって構成されている。保持部30が準備位置Ps1から保持位置Ps2に移動する際、第1位置袋セット81aは、誘導面40b上に乗り上げた後、保持固定部35上に向けてスムーズに案内される。
保持工程では、保持部30が保持位置Ps2に配置された後に、第1位置袋セット81aを保持部30によって保持させる(図13参照)。具体的には、保持制御部63が開閉駆動部33を制御し、保持部30が保持位置Ps2に配置された後に第1位置袋セット81aが保持部30によって保持される。図示の例では、保持制御部63の制御下で駆動軸33aの突出量を増大させて保持可動部34を下方に移動させ、保持可動部34を保持固定部35に近づけて、保持可動部34及び保持固定部35により第1位置袋セット81aを挟む。これにより、第1位置袋セット81aが保持可動部34及び保持固定部35によって圧力がかけられつつ保持される。
取出移動工程では、保持部30によって第1位置袋セット81aを保持させつつ保持部30を移動させて、第1位置袋セット81aを収容箱70の内側から外側に移動させる(図14及び図22参照)。具体的には、保持制御部63が開閉駆動部33を制御するとともに移動制御部61が移動機構22を制御し、保持部30によって第1位置袋セット81aを保持させつつ保持部30を移動させる。これにより、第1位置袋セット81aを収容箱70の内側から外側に移動させて、第1位置袋セット81aを供給位置に配置する。そして、第1位置袋セット81aが供給位置に配置されている状態で、第1位置袋セット81aを保持部30から解放して第3搬送部53上に載せる。図示の例では、保持制御部63の制御下で駆動軸33aの突出量を低減させて保持可動部34を上方に移動させ、保持可動部34を保持固定部35から遠ざけることで、第1位置袋セット81aは保持部30から解放されて第3搬送部53に向けて落下する。
上述の準備位置配置工程、保持位置配置工程、保持工程、及び取出移動工程を繰り返し行うことによって、収容箱70内から第3搬送部53上に袋セット81(特に第1位置袋セット81a)が順次送られる。このように移動制御部61は移動機構22を制御し、収容箱70が位置決め部54によって取出位置に位置決めされている間に、保持部30によって収容箱70内の複数の袋セット81(すなわち全ての袋セット81)を、収容箱70の内側から外側に移動させる。
なお収容箱70内に2以上の袋セット81が残っている場合、準備位置Ps1及び保持位置Ps2に配置される位置検出部31(特に揺動体40)は第2位置袋セット81bに接触する。一方、収容箱70内に1つの袋セット81しか残っていない場合、準備位置Ps1及び保持位置Ps2に配置される位置検出部31(特に揺動体40)は、最後の1つの袋セット81を支持するビニール体PL(すなわち収容箱70の底部を覆うビニール体PL)に接触し、位置検出部31は当該ビニール体PLに対する保持部30の高さ方向位置を検出する。
また本実施形態では上述のように、収容箱70内において積層方向に隣り合う位置に配置される2つの袋セット81は、第1水平方向Dh1に関してずらされて配置されている。そのため、第1位置袋セット81aの第1水平方向Dh1の位置に応じて、保持部30の水平方向に関する向きが調整される。すなわち、積層方向に隣り合う位置に他の袋セット81(すなわち第2袋セット)が配置されている袋セット81(すなわち第1袋セット)を、第1位置袋セット81aとして保持部30により収容箱70の内側から外側に移動させる際には(例えば図10~図14参照)、保持部30を、水平方向のうちの第1配向方向(例えば図10~図14の右方向)に向ける。その後、第2袋セットを第1位置袋セット81aとして保持部30により収容箱70の内側から外側に移動させる際には(例えば図15~図19参照)、保持部30を、水平方向のうち第1配向方向とは異なる第2配向方向(例えば図15~図19の左方向)に向ける。
より具体的には、向き制御部62が向き調整機構23を制御し、収容箱70における取り出し対象の袋セット81(すなわち第1位置袋セット81a)の位置及び向きに適合するように、保持部30が回転させられる。図示の例では、ある袋セット81が収容箱70から取り出された後、次の袋セット81を収容箱70から取り出すために、向き調整機構23の回転体が概ね180度回転させられ、保持部30の向きが当該次の袋セット81に適合させられる。
なお、第1水平方向Dh1に関して一方側に配置される袋セット81(例えば第1態様P1の袋セット81及び第3態様P3の袋セット81)を保持するための準備位置Ps1と、第1水平方向Dh1に関して他方側に配置される袋セット81(例えば第2態様P2の袋セット81及び第4態様P4の袋セット81)を保持するための準備位置Ps1とは、第1水平方向Dh1に関する位置が異なっている。特に本実施形態の収容箱70には、第1水平方向Dh1に関して一方側に配置される袋セット81と、第1水平方向Dh1に関して他方側に配置される袋セット81とが交互に配置される。一方、第2水平方向Dh2に関しては、収容箱70に収容される全ての袋セット81が実質的に同じ位置に配置される。そのため、2種類の準備位置Ps1(すなわち第1準備位置及び第2準備位置)が設定されてもよい。これらの2種類の準備位置Ps1は、第1水平方向Dh1に関する位置がお互いに異なっている。またこれらの2種類の準備位置Ps1は、第2水平方向Dh2に関する位置がお互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。移動制御部61が移動機構22を制御して、収容箱70からの袋セット81の取り出しに応じて第1準備位置及び第2準備位置を交互に切り替えることで、保持部30を常に適切な準備位置Ps1に配置することが可能である。
このように本実施形態の保持部30は、収容箱70からある袋セット81を取り出した後に、水平方向向きが逆側に向けられ且つ第1水平方向Dh1に移動させられ、その後、次の袋セット81を取り出すための準備位置Ps1に配置される。なお、向き調整機構23によって保持部30の向きを変えるタイミングは限定されず、収容箱70の内側に保持部30を移動させる前及び/又は後であってもよいし、保持部30を準備位置Ps1に配置する前及び/又は後であってもよい。向き制御部62は、各種情報に基づいて向き調整機構23を制御することが可能である。例えば移動制御部61や他のデバイスから得られる保持部30の位置情報、位置検出部31の検出情報、保持制御部63や他のデバイスから得られる保持可動部34及び保持固定部35の開閉情報、及び/又は他の情報に基づいて、向き制御部62は向き調整機構23を制御してもよい。
以上説明したように本実施形態の袋取出装置10及び袋取り出し方法によれば、袋セット81単位で袋80を収容箱70の内側から外側に移動させることができるため、短時間で多数の袋80を収容箱70から的確に取り出すことが可能である。収容箱70から一度に複数の袋80を取り出すことによって、包装機88に対する単位時間当たりの袋80の供給量を増やすことができ、包装機88の処理速度が速くても、包装機88の処理速度に応じた袋80の供給が可能である。
作業者Wは、ストックゾーンZ1から供給ゾーンZ2に収容箱70を運び、当該収容箱70を供給ゾーンZ2において第1搬送部51上に載せるだけでよい。これだけで、継続的且つ自動的に包装機88に対して袋80を供給することができる。このように、包装機88に対して多数の袋80を機械的に連続的に供給することができる。また作業者Wは収容箱70から袋80を取り出す等の作業が不要であり、作業者Wの負担及び作業ミスを著しく低減することができる。
例えば、袋80の製造業者は、図9A~図9Dに示すような状態で多数の袋セット81を収容箱70に収容することができる。この場合、作業者Wは、製造業者から納品されるそのような収容箱70を、そのまま上流側搬送コンベア51aに載せることができる。この場合、袋取出装置10によって自動的に、包装機88に対して袋80を連続的に供給することができる。特に、各袋セット81に含まれる複数の袋80をお互いにずらしながら収容箱70に収容することによって、袋セット81に含まれる複数の袋80をばらす作業や複数の袋80を整列させる作業を作業者Wが行うことなく、包装機88に対して1枚ずつ袋80を適切に提供することができる。
また向き調整機構23を設けることによって、袋セット81の位置及び向きに適合させるように保持部30の向きを変えることができ、保持部30は袋セット81を的確に保持することができる。また保持部30自体をコンパクトに構成することも可能である。
また揺動体40を使った位置検出部31によって、保持部30の高さ方向位置を正確に検出し、所望の準備位置Ps1及び保持位置Ps2に保持部30を正確に配置することができる。例えば、収容箱70内の袋セット81の撮影画像を解析することによって収容箱70における袋セット81(特に第1位置袋セット81a)の高さ方向位置を把握することが可能である。しかしながら、袋80が透明である場合、画像解析によって収容箱70における袋セット81の高さ方向位置を精度良く把握することが難しい。一方、本実施形態によれば、袋80が透明であっても、第1位置袋セット81aの実際の高さ方向位置(具体的には第1位置袋セット81aを支持する第2位置袋セット81bの実際の高さ方向位置)に応じた所望の準備位置Ps1及び保持位置Ps2に、保持部30を正確に配置することが可能である。
また第1回転体42a及び第2回転体42bを袋セット81(特に第2位置袋セット81b)に押し付けつつ、保持部30を準備位置Ps1から保持位置Ps2に移動させることによって、第2位置袋セット81bが位置検出部31(特に揺動体40)から受けるダメージを、軽減することができる。
[第1変形例]
移動制御部61は、撮像部25によって取得される収容箱70の内側の画像に基づいて、移動機構22を制御してもよい。例えば、移動制御部61は、撮像部25によって取得される画像を解析し、第1位置袋セット81aの位置情報を取得してもよい。この場合、移動制御部61は、第1位置袋セット81aの位置情報に基づいて、最適な準備位置Ps1及び/又は保持位置Ps2を導き出してもよい。
また向き制御部62は、撮像部25によって取得される収容箱70の内側の画像に基づいて、向き調整機構23を制御してもよい。例えば向き制御部62は、撮像部25によって取得される画像を解析し、第1位置袋セット81aの向き情報を取得してもよい。この場合、向き制御部62は、第1位置袋セット81aの向き情報に基づいて、準備位置Ps1及び/又は保持位置Ps2に移動させる保持部30の最適な向きを導き出してもよい。
また移動制御部61及び/又は向き制御部62は、撮像部25によって取得される画像を解析して得られる第1位置袋セット81aの位置情報及び向き情報の両者に基づいて、最適な準備位置Ps1、最適な保持位置Ps2、及び/又は保持部30の最適な向きを導き出してもよい。
[第2変形例]
上述の実施形態及び変形例では、保持部30の向きが向き調整機構23によって変えられる。しかしながら、保持部30の向きは必ずしも変えられなくてもよく、その場合、向き調整機構23及び向き制御部62は設けられなくてもよい。
図23及び図24は、保持部30の一変形例を説明するための概略平面図である。本変形例に係る袋取出装置10は、基本的に上述の実施形態に係る袋取出装置10と同様の構成を有するが、本変形例の保持可動部34及び保持固定部35の各々は、第2水平方向Dh2に延在する。本変形例において、保持可動部34と保持固定部35との間には、第1水平方向Dh1に関して閉じられていない開放スペースが形成されている。保持可動部34及び保持固定部35が保持位置Ps2に配置されることによって、第1位置袋セット81aは、保持可動部34と保持固定部35との間のその開放スペースに配置される(図24参照)。
この場合、保持部30を準備位置Ps1から保持位置Ps2に水平方向へ直線的に移動させても、第1位置袋セット81aは、保持可動部34と保持固定部35との間の開放スペースにスムーズに配置される。保持部30を第1水平方向Dh1の一方側から他方側に移動させる場合にも、また他方側から一方側に移動させる場合にも、第1位置袋セット81aを当該開放スペースにスムーズに配置することができる。なお本変形例において、保持可動部34と保持固定部35とを連結する部材(例えば開閉駆動部33(駆動軸33a含む)、第1取付フレーム36a、第2取付フレーム36b、取付プレート37、揺動検出センサ39及び揺動体40(検出プレート40a含む))は、必要に応じて、収容箱70と各袋セット81との間に形成される作動空間Sp(図23及び図24では、収容箱70内において第2水平方向Dh2の一方側に形成される作動空間Sp)に配置されてもよい。
なお保持部30は、他の構造を有していてもよい。例えば、図示は省略するが、ある水平方向(例えば第1水平方向Dh1の一方側)に向けられた第1の保持可動部及び第1の保持固定部と、他の水平方向の(例えば第1水平方向Dh1の他方側)に向けられた第2の保持可動部及び第2の保持固定部と、が一体的に設けられてもよい。そのような第1の保持可動部、第1の保持固定部、第2の保持可動部及び第2の保持固定部は、共通の連結プレート32に対して固定されることにより、一体的に移動させることができる。例えば、収容箱70において第1水平方向Dh1の一方側に位置する袋セット81(例えば第1態様P1の袋セット81及び第3態様P3の袋セット81)は、第1の保持可動部及び第1の保持固定部により保持されて、収容箱70から取り出されることができる。収容箱70において第1水平方向Dh1の他方側に位置する袋セット81(例えば第2態様P2の袋セット81及び第4態様P4の袋セット81)は、第2の保持可動部及び第2の保持固定部により保持されて、収容箱70から取り出されることができる。
[第3変形例]
上述の図示の形態において、収容箱70(例えばダンボール箱)内の複数の袋セット81のうち積層方向に関する最下位置に配置されている袋セット81(以下「最下袋セット」とも称する)は、ビニール体PL上に載せられている。またビニール体PLの直下には収容箱70の底部が位置する。そのため、最下袋セットとビニール体PLとの間のスペースが小さく、且つ、ビニール体PLと収容箱70の底部との間のスペースが小さい場合がある。この場合、最下袋セットとビニール体PLとの間に保持部30を進入させるのに十分な空間が確保されておらず、保持部30によって最下袋セットを適切に保持及び取り出すことができない場合がある。
本変形例では、可動部により最下袋セットを積層方向に移動させ、最下袋セットの下方において形成される空間であって可動部によって覆われていない空間の積層方向に関するサイズを増大させる。これにより保持部30は、容易に最下袋セットの下方に進入することができ、保持部30によって最下袋セットを適切に保持して取り出すことが可能になる。
図25は、第3変形例に係る取出ゾーンZ3における袋取出装置10の装置構成を示す側方図である。図25には基本的に装置の外観が示されているが、符号「E」で示される範囲に関しては収容箱70内の状態が示されている。図26は、図25に示す収容箱70の底部71、可動部72及び昇降装置102(特に昇降部材102b及び持ち上げピン102c(昇降部))の拡大図である。図27は、図25に示す袋取出装置10の装置構成の断面を正面から見た図である(図28の断面線XXVII-XXVII参照)。図28は、図25に示す袋取出装置10の装置構成の上面図である。
上述のように、受渡装置11(図1参照)を使って収容箱70から袋セット81を取り出すために、収容箱70は下流側搬送コンベア51b(第1搬送部51)によって搬送され、位置決め部54によって取出ゾーンZ3の所定の取り出し位置に位置決めされる。
本変形例では、複数の下流側搬送コンベア51b(図示の例では2つの下流側搬送コンベア51b(図27及び図28参照))が設けられている。2つの下流側搬送コンベア51bは、容器搬送方向Dcと直角を成す水平方向に並べられて設置され、各下流側搬送コンベア51bのベルト120は容器搬送方向Dcと平行な方向に走行する。
位置決め部54は、位置決め駆動部54aと、位置決め駆動部54aによって高さ方向に駆動される位置決めストッパー54bとを有する。位置決め駆動部54aは、ベース101に固定されており、制御ユニット60(図8参照)の制御下で駆動される駆動デバイス(例えばエアシリンダ)により構成されている。位置決めストッパー54bは、下方位置と上方位置との間で昇降させられる。ここでいう下方位置は、位置決めストッパー54bが、下流側搬送コンベア51bのベルト120に載せられた収容箱70に接触せず、当該収容箱70の容器搬送方向Dcへの移動を阻害しないような位置である。一方、上方位置は、位置決めストッパー54bが、下流側搬送コンベア51bのベルト120に載せられた収容箱70に接触することで、当該収容箱70の容器搬送方向Dcへの移動を阻害するような位置である(図25参照)。
また、取出ゾーンZ3に配置されている収容箱70の積層方向(特に上方向)に関する位置を規制する収容箱規制部103が設けられている。図示の例では、四角形の四隅に対応する位置に配置される4つの収容箱規制部103が設けられている。各収容箱規制部103は、対応の規制回転軸104を中心に回転可能に設けられており、規制位置及び非規制位置に配置可能である。図28に示すように、2つの規制回転軸104が設けられており、容器搬送方向Dcに並んで配置される2つの収容箱規制部103が共通の規制回転軸104に取り付けられている。図27において、規制位置に配置されている収容箱規制部103が実線で示されており、非規制位置に配置されている収容箱規制部103が二点鎖線で示されている。
収容箱70は、4箇所で、規制位置に配置された収容箱規制部103によって上方への移動が制限される。各収容箱規制部103の回転は、制御ユニット60の制御下で回転駆動部(図示省略)から伝えられる動力によって行われる。各収容箱規制部103は対応の規制回転軸104に固定され、回転駆動部が規制回転軸104を軸回転させることで各収容箱規制部103を回転させてもよい。或いは、各収容箱規制部103を対応の規制回転軸104に対して回転自在に取り付けて、回転駆動部からの動力を各収容箱規制部103に伝えることで、各収容箱規制部103を回転させてもよい。
また、取出ゾーンZ3に配置されている収容箱70の水平方向(特に容器搬送方向Dcと直角を成す水平方向)の位置を規制する2つの側方ガイド111が設けられている。すなわち取出ゾーンZ3に位置する収容箱70は、容器搬送方向Dcと直角を成す水平方向に関して2つの側方ガイド111の間に配置される。各側方ガイド111は、図示しない固定部材に取り付けられており、収容箱70と接触することによって当該収容箱70の位置を規制する。
ベース101には昇降装置102が設置されている。昇降装置102は、ベース101に固定されている昇降駆動部(例えばエアシリンダ)102aと、昇降駆動部102aにより高さ方向に駆動される昇降部材102bと、昇降部材102bから上向きに延在する2つの持ち上げピン102cとを有する。2つの持ち上げピン102cのそれぞれは、取出ゾーンZ3に配置された収容箱70の2つの可動部72と高さ方向に向かい合う位置に設けられている。昇降駆動部102aは制御ユニット60(図8参照)の制御下で駆動され、昇降部材102b及び持ち上げピン102c(すなわち昇降部)は、昇降駆動部102aによって積層方向へ一体的に移動させられる。
また本変形例では、積層方向に可動な可動部72が設けられている。可動部72は、最下袋セット81zの一部のみを下方から覆う範囲に設けられている。高さ方向に関し、最下袋セット81z及びビニール体PLの各々の一部範囲と収容箱70の底部71との間には可動部72が介在しない。最下袋セット81z及びビニール体PLが可動部72により持ち上げられた場合、最下袋セット81z及びビニール体PLの各々の一部範囲の直下には空間が形成される。
図示の例において各可動部72は、収容箱70の折り返し部分により構成されており、収容箱70の一部を成す。例えば、収容箱70がダンボール箱の場合、ダンボールの端部を4方向から折り曲げることによって、直方体形状の収容箱70を作ることができる。例えば、折り曲げられた4つの部分のうち、お互いに対向し且つ相対的に外側(図示の例では相対的に下側)に位置する2つの部分によって収容箱70の底部71を構成し、お互いに対向し且つ相対的に内側(図示の例では相対的に上側)に位置する2つの部分によって可動部72を構成してもよい。この場合、可動部72は、折り曲げ位置を中心に移動可能に設けられる。
収容箱70が有する底部71の上方には、収容箱70に収容されている複数の袋セット81が位置する。一方、各可動部72は、最下袋セット81zと収容箱70の底部71との間に位置し、最下袋セット81zが載せられる。そして各可動部72は、昇降部(すなわち昇降部材102b及び持ち上げピン102c)の積層方向への移動に応じて、積層方向に可動である。図示の例では、各持ち上げピン102cが収容箱70の底部71の外側に接触し、当該底部71を介して対応の可動部72を下から押し上げることにより、可動部72は上方へ移動し、底部71から相対的に離れた位置である持ち上げ位置に配置される(図26参照)。一方、各持ち上げピン102cが収容箱70の底部71から離れた位置に配置されている場合や対応の可動部72を下から押し上げていない場合、可動部72は、底部71に対して相対的に近い位置である通常位置に配置される。
次に、本変形例に係る袋取出装置10の作動例(特に最下袋セット81zの取り出し例)を説明する。
図29~図32は、第3変形例における袋セット81の収容箱70からの取り出しを説明するための概略図である(図28の断面線XXIX-XXIX参照)。図29~図32において一部の要素(例えば保持可動部34及び保持固定部35)は簡略化して示されている。
本変形例では、収容箱70が取出ゾーンZ3において位置決めストッパー54bにより位置決めされた状態で、上述の実施形態と同様に、当該収容箱70に収容されている袋セット81が、1つずつ保持部30(すなわち保持固定部35及び保持可動部34)により取り出されて第3搬送部53に載せられる。
図29には、最後から2番目の袋セット81が保持固定部35及び保持可動部34により収容箱70から取り出された直後の状態が示されている。この時、各持ち上げピン102cは収容箱70の底部71から離れた位置に配置されており、各可動部72は、収容箱70の底部71に対して近い位置(通常位置)に配置されている。また各収容箱規制部103は、規制位置に配置されており、収容箱70の上方への移動を制限している。
各収容箱規制部103は、収容箱70が取出ゾーンZ3に配置された直後から規制位置に配置されていてもよい。各収容箱規制部103は、収容箱70が持ち上げピン102cから上向きに力を加えられる前(例えば収容箱70の底部71が持ち上げピン102cによって持ち上げられる前)に、規制位置に配置される。規制位置に配置された各収容箱規制部103が取出ゾーンZ3への収容箱70の移動を阻害しないのであれば、収容箱70が取出ゾーンZ3に配置される前から、収容箱規制部103は規制位置に配置されていてもよい。
そして図30に示すように、収容箱70内の最後の袋セット81(すなわち最下袋セット81z)が保持可動部34及び保持固定部35によって把持される前に、昇降部材102b及び持ち上げピン102cは上昇され、各可動部72は持ち上げ位置に配置される。これにより最下袋セット81zはビニール体PLとともに各可動部72によって高さ方向に持ち上げられ、最下袋セット81z及びビニール体PLの各々の一部範囲(図30に示す例では可動部72間の範囲)と収容箱70の底部71との間には、比較的大きな空間が形成される。このように可動部72によって最下袋セット81zが積層方向(特に上向き)に移動させられることで、最下袋セット81zの下方において形成される「可動部72によって覆われていない空間」の積層方向に関するサイズが増大させられる。
図30に示されている保持可動部34及び保持固定部35は、最下袋セット81zを把持するために収容箱70内を移動している途中の状態が示されている。
上述のように図示の例では、最後から2番目の袋セット81が収容箱70から取り出された後に各可動部72は持ち上げピン102cによって持ち上げ位置に配置される。ただし、可動部72を持ち上げ位置に移動するタイミングは、これには限定されない。最下袋セット81zが保持可動部34及び保持固定部35によって把持される前の任意のタイミングで、収容箱70から袋セット81がこぼれ落ちないように、可動部72は持ち上げ位置に配置されてもよい。例えば、2以上の袋セット81が収容箱70に残っている状態で各可動部72は持ち上げ位置に移動させられてもよいし、収容箱70からの袋セット81の取り出しを開始する前に各可動部72は持ち上げ位置に移動させられてもよい。
そして図31に示すように、保持可動部34は最下袋セット81zよりも下方の位置に移動させられる。この際、保持可動部34は、ビニール体PLと収容箱70の底部71との間の空間を利用してビニール体PLを押し下げ、最下袋セット81zとビニール体PLとの間の空間の積層方向に関するサイズを増大させる。すなわち、保持可動部34の下面がビニール体PLに接触しつつ保持可動部34がビニール体PLを下方に押すことによって、ビニール体PLが最下袋セット81zから剥がされる。
そして、最下袋セット81zとビニール体PLとの間の空間に保持可動部34が進入し、図32に示すように最下袋セット81zは保持可動部34及び保持固定部35によって把持される。そして最下袋セット81zは、保持可動部34及び保持固定部35によって収容箱70から取り出され、第3搬送部53に載せられる。なお図32には、最下袋セット81zが取り出されている途中の状態が二点鎖線によって示されている。
一方、持ち上げピン102cは、最下袋セット81zとビニール体PLとの間の空間に保持可動部34が配置された後(例えば最下袋セット81zが保持可動部34及び保持固定部35によって把持された後)、収容箱70の底部71から離れた位置に向けて移動を開始する。そして持ち上げピン102cは、収容箱70の底部71から離れた位置(待機位置)に配置される。
最下袋セット81zが収容箱70外に移動され、持ち上げピン102cが収容箱70から離れた後、位置決めストッパー54bは上方位置から下方位置に移動させられる。その後、空になった収容箱70は下流側搬送コンベア51bによって取出ゾーンZ3から第2搬送部52に向けて搬送される。そして複数の袋セット81を収容している新たな収容箱70が、下流側搬送コンベア51bによって取出ゾーンZ3に配置され且つ位置決めストッパー54bによって位置決めされ、上述の処理が繰り返される。
以上説明したように本変形例によれば、保持部30(すなわち保持可動部34及び保持固定部35)によって最下袋セット81zを収容箱70から取り出す際に、ビニール体PLと最下袋セット81zとの間に隙間(空間)を作ることができる。このようにビニール体PLを最下袋セット81zから剥がすことで、保持部30によって最下袋セット81zを適切に保持させることができる。
なお図示の例では、各袋80が厚み部84を有するが、各袋80は厚み部84を有することなく全体的に概ね均一な厚みを有していてもよい。この場合、最下袋セット81zの下方において形成される「各可動部72により覆われていない空間」の積層方向に関するサイズを増大させることによって、積層方向に隣接する2つの袋セット81のうち下方に位置する袋セット81を保持可動部34によって下向きに押し下げやすくなる。これにより、積層方向に隣接する2つの袋セット81をお互いから剥がすことが促進され、保持可動部34は、積層方向に隣接する2つの袋セット81の間に進入しやすくなる。
このように本変形例によれば、平袋のように全体にわたって厚み差が小さい袋80であっても、積層方向に隣接する2つの袋セット81間に隙間を作り出すことが容易であり、上方に位置する袋セット81と下方に位置する袋セット81との間に保持可動部34を簡単に進入させることができる。
また図示の例では、最後から2番目の袋セット81が収容箱70から取り出された後に可動部72により最下袋セット81zを積層方向に移動させている。一例として、制御ユニット60は、「取出ゾーンZ3に配置された直後の収容箱70に収容されている袋セット81の数」の情報及び「収容箱70から取り出された袋セット81の数」の情報を取得することができる。この場合、制御ユニット60の制御下で、これらの情報に基づいて昇降装置102が駆動され、可動部72により最下袋セット81zを積層方向に移動させることができる。このように図示の例では、収容箱70に収容されている袋セット81の数に応じて、最下袋セット81zの下方において形成される「可動部72によって覆われていない空間」の積層方向に関するサイズを増大させるように、可動部72により最下袋セット81zが積層方向に移動させられる。
ただし本開示は、これには限定されない。例えば、収容箱70における第1位置袋セット81aの積層方向に関する位置に応じて、最下袋セット81zの下方において形成される「可動部72によって覆われていない空間」の積層方向に関するサイズを増大させるように、可動部72により最下袋セット81zが積層方向に移動させられてもよい。一例として、収容箱70における第1位置袋セット81aの積層方向に関する位置をセンサ(例えば光学センサ(図示省略))によって検知し、制御ユニット60は、当該センサの検知結果に基づいて昇降装置102を制御してもよい。例えば、収容箱70内において第1位置袋セット81aの位置が徐々に降下して所定の高さ位置に達したことをセンサが検知した場合に、持ち上げピン102cが上昇させられて最下袋セット81zが持ち上げられ、最下袋セット81zの下方において形成される空間の積層方向に関するサイズを増大させてもよい。これにより、収容箱70から袋セット81がこぼれ落ちるのを防ぎつつ、最下袋セット81zの下方の空間のサイズを増大させることができる。
また上述の例では、収容箱70の底部71とは別体として可動部72が設けられているが、底部71及び可動部72が同一体によって構成されていてもよい。
また上述の例では、可動部72が収容箱70の一部として構成されているが、可動部72は収容箱70とは別体として設けられていてもよい。
[他の変形例]
本発明は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。また上述の実施形態及び変形例の構成が、全体的に又は部分的に組み合わせられてもよい。
例えば、上述の実施形態では4種類の態様(第1態様P1~第4態様P4)で複数の袋セット81が収容箱70に収容されているが、これに限定されない。例えば2種類の態様で複数の袋セット81が収容箱70に収容されていてもよく、第1態様P1及び第2態様P2、第3態様P3及び第4態様P4、第1態様P1及び第4態様P4、或いは第2態様P2及び第3態様P3で複数の袋セット81が収容箱70に収容されていてもよい。そのような場合にも、各収容箱70の内側において、異なる態様の袋セット81(例えば第1水平方向Dh1に関する位置が異なる袋セット81)が交互に繰り返し積み重ねられる。
また上述の実施形態では、各袋セット81は保持可動部34及び保持固定部35によって挟まれることで保持されているが、保持部30は他の方法で各袋セット81を保持してもよい。例えば、各袋セット81は、十分な水平面積を有する保持固定部35の上に載せられることによって、保持部30により保持されてもよい。
また上述の実施形態及び変形例では、各袋80が厚み部84を有するが、各袋80は厚み部84を有することなく全体的に概ね均一な厚みを有していてもよい。このように上述の装置及び方法は、様々な形状及びサイズを有する袋80に対して柔軟に適用可能である。