JP7154117B2 - 造形装置、造形方法、及び造形プログラム - Google Patents
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第1の線状部分を複数有する第1の造形層と、第1の線状部分に対して交差する第2の線状部分を複数有する第2の造形層とを造形する層造形手段と、
第1の線状部分と第2の線状部分とが交差する接点を加熱する加熱手段と、を有する。
本発明の造形装置は、第1の線状部分を複数有する第1の造形層と、第1の線状部分に対して交差する第2の線状部分を複数有する第2の造形層とを造形する層造形手段と、
第1の線状部分と第2の線状部分とが交差する接点を加熱する加熱手段とを有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の造形方法は、第1の線状部分を複数有する第1の造形層と、前記第1の線状部分に対して交差する第2の線状部分を複数有する第2の造形層とを造形する層造形工程と、
前記第1の線状部分と前記第2の線状部分とが交差する接点を加熱する加熱工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の造形プログラムは、本発明の造形方法を実施するために、本発明の造形装置により、好適に実行される。なお、本発明の造形プログラムは、本発明の造形装置によって実行されることに限定されるものではない。例えば、本発明の造形プログラムは、他のコンピュータ又はサーバによって実行されてもよく、本発明の造形装置、他のコンピュータ、及びサーバのいずれかが協働して実行されてもよい。
立体造形物を造形する際に、造形層を形成する造形材料の節約による造形コスト削減、立体造形物の軽量化、造形時間の短縮などのために、立体造形物の造形層どうしが接しない中空部(造形材料が存在せず、隙間の空いた空間になっている部分)を設けるという手法が知られている。特に、大型の立体造形物を造形する際には、中空部を設けるメリットが大きくなる。しかし、中空部を有する立体造形物は、造形材料が存在せず、隙間の空いた空間になっている部分を有することになるため、強度が低くなりやすいという問題がある。
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、造形層の表面を粗面化する技術であるため、造形層の積層方向における立体造形物の強度の低下を防止するためには、造形層どうしが十分に接触している必要がある。そのため、特許文献1に記載の技術では、井桁構造などを有する立体造形物を造形する際には、造形層どうしが接する部分の面積が小さく、造形した立体造形物の強度が十分でないことがあった。
層造形手段は、造形材料を溶融吐出して、第1の線状部分を複数有する第1の造形層と、第1の線状部分に対して交差する第2の線状部分を複数有する第2の造形層とを造形する手段である。
層造形工程は、造形材料を溶融吐出して、第1の線状部分を複数有する第1の造形層と、第1の線状部分に対して交差する第2の線状部分を複数有する第2の造形層とを造形する工程である。
層造形手段は、移動(走査)しながら造形材料を溶融吐出することにより、造形層を形成する。なお、層造形手段は、上述の第1の造形層及び第2の造形層以外の造形層を造形してもよい。
なお、立体造形物のスライスデータとは、立体造形物の3Dデータに基づいて加工されたものであり、造形層毎で造形材料を溶融吐出する箇所を示す座標データを意味する。
また、立体造形物の断面における周縁部の内側を囲うようにする造形材料の溶融吐出は、フィラメント状に溶融吐出した造形材料を1ラインとしてもよく、複数のラインとしてもよい。複数のラインとする場合には、層造形手段は、溶融吐出した造形材料の幅の分だけ内側を走査して溶融吐出するようにすることが好ましい。
造形層としては、熱可塑性の造形材料により形成されるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の造形装置は、第1の線状部分を複数有する第1の造形層と、第1の線状部分に対して交差する第2の線状部分を複数有する第2の造形層とを造形することにより、井桁構造を有する立体造形物を造形する。
また、層造形手段は、第1の造形層と第2の造形層の造形を繰り返すことが好ましい。層造形手段が第1の造形層と第2の造形層の造形を繰り返すことで、立体造形物における井桁構造の割合が大きくなるため、造形材料の節約による造形コスト削減、立体造形物の軽量化、及び造形時間の短縮という観点から有利である。
井桁構造(井桁部)とは、立体造形物における、所定の間隔で位置する第1の線状部分を複数有する第1の造形層と、当該第1の線状部分に対して交差する第2の線状部分を複数有する第2の造形層とが、交互に形成された部分を意味する。なお、線状部分は、直線であってもよいし、直線でなくてもよい。複数の線状部分同士は、互いに平行であってもよい。もちろん完全に平行でなくても略平行であればよい。また、第1の線状部分に対して、第2の線状部分は、直角もしくは任意の角度をもって交差すればよく、略直交して交差してもよい。
ここで、第1の造形層及び第2の造形層における線状部分が位置する所定の間隔としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、使用する造形材料における溶融吐出時の粘度などの物性に応じて選択することが好ましい。なお、第1の造形層及び第2の造形層における線状部分が位置する所定の間隔は、1つの造形層の中で異なる間隔となっていてもよい。
また、第1の造形層及び第2の造形層における線状部分が互いに略平行であるとは、或る造形層における隣り合う線状部分が、当該造形層の中で交差しない程度に平行に位置していることを意味する。
第2の造形層における線状部分が、第1の造形層における線状部分と略直交するとは、第2の造形層における線状部分と第1の造形層における線状部分がなす角が、70°以上110°以下であることを意味する。
また、井桁構造は形状がシンプルであることから、層造形手段を走査させる経路であるツールパスがシンプルになるため、立体造形物の造形時間を短くすることができる。
さらに、井桁構造は規則的(周期的)な構造を有する場合には、層造形手段及び加熱手段の制御を簡易なものとすることができる。井桁構造を造形する際の層造形手段及び加熱手段の制御についての詳細は後述する。
造形材料としては、熱可塑性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて選択することができ、例えば、熱可塑性樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱可塑性樹脂が好ましい。
造形材料は、最終的に立体造形物となるモデル材と、モデル材で形成されたモデル部を支持するサポート部となるサポート材とに分かれていてもよく、それぞれの造形材料が層造形手段の別の吐出口から溶融吐出されてもよい。なお、モデル材とサポート材とは、同一の造形材料を用いてもよく、異なる造形材料を用いてもよい。
また、造形材料は、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。
熱可塑性樹脂とは、熱を加えると可塑化し、溶融する樹脂を意味する。
熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶性樹脂、非結晶性樹脂、液晶樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、結晶性樹脂が好ましい。また、熱可塑性樹脂としては、融解開始温度と、冷却時の再結晶温度の差が大きな樹脂が好ましい。
なお、結晶性樹脂とは、ISO3146(プラスチック転移温度測定方法、JIS K7121)に準拠した測定において、融点ピークが検出される樹脂である。
ポリアリールケトンとしては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)などが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、スーパーエンジニアリングプラスチックから選択される少なくとも1種であることが好ましい。熱可塑性樹脂がスーパーエンジニアリングプラスチックであると、造形する立体造形物の引張強度、耐熱性、耐薬品性、及び難燃性を向上することができ、立体造形物を工業用途にも使用可能になる点で有利である。
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィラーなどが挙げられる。フィラーとしては、例えば、カーボンファイバー、ガラス繊維、セラミック繊維、チタン酸カルシウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維等のうち1つもしくは複数を組み合わせて含有してもよい。
カーボンファイバーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
カーボンファイバーの形状及び大きさとしては、長さが200μm以上かつアスペクト比が1:30以上であることが好ましい。カーボンファイバーの長さが200μm以上、かつカーボンファイバーのアスペクト比が1:30以上であれば、層造形手段により井桁構造における架橋部分の長さが1.5mm以上となる造形層を少なくとも一部に形成することができる。これは、架橋部分の長さを長くできる点で有利である。
溶融した状態の造形材料が吐出された箇所の、既に固化している造形材料は、造形材料が溶融吐出されて形成されつつある造形層の下の造形層の造形材料と、造形材料が溶融吐出されて形成されつつある造形層内の隣接する造形材料との両方であることが好ましい。こうすることにより、立体造形物の圧縮強度が更に向上する。
造形材料におけるフィラーの含有率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%以上20質量%以下が好ましい。造形材料におけるフィラーの含有率が5質量%以上20質量%以下であると、造形材料を架橋できる距離を長くすることができるとともに、吐出した造形材料が「だま」にならずに架橋が切れにくい点で有利である。
加熱手段は、第1の線状部分と第2の線状部分とが交差する接点を加熱する手段である。
加熱工程は、第1の線状部分と第2の線状部分とが交差する接点を加熱する工程である。
第1の線状部分と第2の線状部分とが交差する接点とは、積層方向に隣接している造形層どうしの接点となっている箇所、又は層造形手段により造形材料が溶融吐出されることで、新たな造形層が形成された後には造形層どうしの接点となる箇所を意味する。なお、本明細書においては、第1の線状部分と第2の線状部分とが交差する接点を、単に「造形層の接点」と称することがある。
また、加熱手段が加熱する造形層の接点の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、立体造形物における造形層の接点全てのうち、少なくとも一部を加熱できればよい。造形層の積層方向における立体造形物の強度をより向上させるという観点からは、加熱手段が、できるだけ多くの造形層の接点を加熱することが好ましい。
熱風供給部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知のヒータやファンなどの熱風供給装置を用いることができる。また、熱風供給部としては、耐熱チューブなどの先端に取り付けられたノズルから、熱風を供給するようにしてもよい。加熱手段として熱風供給部を用いることにより、造形層の接点を選択的に加熱することができる。
レーザ照射部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知のレーザ照射装置を用いることができる。加熱手段としてレーザ照射部を用いることにより、造形層の接点をより選択的に加熱することができる。
また、レーザ照射部が照射するレーザ光としては、造形材料の光吸収特性に応じた波長を有することが好ましい。レーザ照射部が照射するレーザ光が、造形材料の光吸収特性に応じた波長を有することにより、効率的に熱エネルギーを造形層に付与することができる。例えば、造形材料としてPEEKを用いる場合には、短波長にピークを有するレーザ光を照射することが好ましい。
また、加熱手段が造形層の接点を加熱する温度が、造形材料が溶融する温度未満の場合であっても、層造形手段が溶融吐出する造形材料と造形層の接点との温度差が小さくなるため、層造形手段が溶融吐出する造形材料と造形層の接点との親和性が向上する。そのため、加熱手段が造形層の接点を加熱する温度が、熱可塑性の造形材料が溶融する温度未満の場合であっても、造形層の積層方向における立体造形物の強度を向上させることができる。
つまり、層造形手段が、既に造形された造形層に接する新たな造形層を形成する際に、当該既に造形された造形層における接点となる箇所が加熱手段により加熱された後に、当該接点となる箇所に対して造形材料を溶融吐出することが好ましい。こうすることにより、既に造形された造形層における加熱された状態の接点に対して、新たな造形層となる造形材料が溶融吐出される。このため、既に造形させた造形層と新たな造形層となる造形材料との親和性が向上するため、既に造形された造形層と新たな造形層との接点となる箇所における接着力を確実に高めることができる。そのため、造形層の積層方向における立体造形物の強度をより向上させることができる。
造形層の接点の鉛直方向に対して交差する方向から造形層の接点を加熱可能であるとは、造形層の接点の鉛直方向以外の方向に位置する加熱手段により、造形層の接点を斜めの方向から加熱可能であることを意味する。
加熱手段が、造形層の接点の鉛直方向に対して交差する方向から造形層の接点を加熱可能であることにより、層造形手段が造形材料を溶融吐出する位置の前方を加熱することができる。このため、加熱された状態の接点に対して造形材料が溶融吐出されるので、造形層の接点における接着力を確実に高めることができる。よって、加熱手段が、造形層の接点の鉛直方向に対して交差する方向から造形層の接点を加熱可能であることにより、造形層の積層方向における立体造形物の強度をより向上させることができる。
加熱手段が、層造形手段における造形材料を溶融吐出する吐出口を中心に回動乃至回転可能であることにより、造形層の接点の鉛直方向に対して交差する様々な方向から造形層の接点を加熱可能となる。そのため、層造形手段の走査方向にかかわらず、層造形手段が造形材料を溶融吐出する位置の前方となる箇所を加熱することができる。加熱手段が、層造形手段が造形材料を溶融吐出する位置の前方となる箇所を加熱することにより、加熱された状態の接点に対して造形材料が溶融吐出されるため、造形層の接点における接着力をより確実に高めることができる。したがって、加熱手段が、層造形手段における造形材料を溶融吐出する吐出口を中心に回動乃至回転可能であることにより、造形層の積層方向における立体造形物の強度をより向上させることができる。
また、加熱手段が回動乃至回転する速度とは、加熱手段が層造形手段の吐出口を中心に回動乃至回転する際における加熱手段の角速度を意味する。
例えば、上述した井桁構造などの規則的な構造を有する立体造形物を造形する際においては、層造形手段を一定の速度で直線的に走査させることにより造形可能な直線部分を有する場合がある。この場合、造形層の接点は一定の間隔で形成されることになるので、層造形手段は一定の時間間隔ごとに造形層の接点部分を形成することになる。このため、例えば、層造形手段が造形層の或る接点を形成してから時間T0後に次の接点を造形する場合、造形層の接点を加熱できる位置に時間T0ごとに加熱手段が位置するように、回動乃至回転する速度(又は周期)を制御することが好ましい。
このように、加熱手段が回動乃至回転する速度と層造形手段が走査する速さを対応させる(比例させる)ことにより、層造形手段が造形層の接点を形成する時間間隔と、加熱手段が回動乃至回転する周期を合わせることができる。層造形手段が造形層の接点を形成する時間間隔と、加熱手段が回動乃至回転する周期を合わせることにより、簡易な制御で造形層の接点を選択的に加熱することができる。すなわち、加熱手段の回動乃至回転する速度が、層造形手段が走査する速さに応じて制御されることにより、簡易な制御で造形層の接点を選択的に加熱することができ、造形層の焼損や造形精度の低下を防止することができる。
層造形手段が、形成する造形層の形状に応じて、造形層の接点の間隔を変更するように制御されることにより、形成する造形層の形状にかかわらず、造形層の接点が形成されるため、造形層の積層方向における立体造形物の強度を向上することができる。より具体的には、例えば、形成する造形層が鋭角的な尖った部分を有する形状である場合などでは、他の部分に比べて造形層の接点が間隔を狭くなるようにすることにより、面積が狭い部分であっても造形層の接点を形成することができる。面積が狭い部分であっても造形層の接点が形成されることにより、加熱手段が加熱可能な箇所が増加するため、立体造形物の積層方向の強度をより向上させることができる。
なお、造形層の接点となる箇所の間隔に応じて制御される加熱手段としては、吐出口を中心に回動乃至回転可能な加熱手段であってもよいし、層造形手段の走査している位置に対応して、レーザ光などの熱エネルギーをパルス照射するような加熱手段であってもよい。
その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、温度測定手段、制御手段などが挙げられる。
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、温度測定工程、制御工程などが挙げられる。
温度測定工程は温度測定手段により好適に行うことができ、制御工程は制御手段により好適に行うことができる。
温度測定手段は、造形層の温度を測定する手段である。
温度測定工程は、造形層の温度を測定する工程である。
温度測定手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の温度センサを用いることができる。
制御手段は、各種プログラムを実行し、造形装置全体の動作を制御する手段である。
制御工程は、各種プログラムを実行し、造形装置全体の動作を制御する工程である。
制御手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などが挙げられる。
本発明の一実施形態として、熱溶解積層法(FFF)により立体造形物を造形する立体造形装置について説明する。なお、本発明における造形装置は、熱溶解積層法を用いたものに限定されるものではなく、載置台(造形テーブル)の載置面上に立体造形物を造形する任意の造形装置を用いることができる。
径測定部103は、撮像モジュール101により撮像されたフィラメントの画像から、X軸、Y軸の2方向におけるフィラメントのエッジ間の幅を、それぞれフィラメントの径として測定し、規格外となる径を検出した際には、エラー情報を出力する。エラー情報の出力先は、ディスプレイであってもよいし、スピーカであってもよいし、他の装置であってもよい。なお、径測定部103は、回路であってもよいし、CPU(Central Processing Unit)の処理によって実現される機能であってもよい。
図5は、一実施形態における造形層の接点を加熱する動作の一例を示す模式図である。以下、一実施形態として、レーザを用いて加熱する方法について説明する。
続いて、実施形態の変形例Aについて上記の実施形態と異なる点を説明する。図7は、一実施形態における造形層の接点を加熱する際の動作の一例を示す模式図である。
続いて、一実施形態における三次元造形装置1の処理および動作について説明する。図8は、造形プログラムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9Aに示すような造形層(第1の造形層)に第1の線状部分が複数含まれている。また、図9Bに示すような造形層(第2の造形層)に第2の線状部分が複数含まれている。図9Aでは第1の線状部分がy軸に対して平行になっており、図9Bでは第2の線状部分がx軸に対して平行である。したがって、第1の造形層と第2の造形層とを交互に積層することにより、井桁構造を少なくとも一部に有する立体造形物を造形することができる。
また、図9A及び図9Bに示すように、造形層の最も外側に位置する部分(外殻部)に対して、井桁構造となる内側の部分の両端側が、外殻部に内側から接するように造形することが好ましい。こうすることにより、外殻部と井桁構造となる内側の部分の両端側が一体となるため、造形層の強度を向上させることができる。造形層の強度が向上することにより、立体造形物の強度も向上する。
図10に示す井桁構造は線状部分として直線部分が含まれているため、吐出モジュール10を一定の速度で直線的に走査させることにより形成できる。図10における造形層Aの直線部分と造形層Bの直線部分との接点として点a及び点bである。その他の隣接する接点の間の距離は、点aと点bとの間の距離と等しいとする。この場合、吐出モジュール10が、造形層Aを形成する際において、点aの上を走査してから時間T0後に点bを走査するとき、レーザ光源21が点aを加熱してから時間T0後に点bを加熱するように、回転ステージRSの回転速度を制御する。こうすることにより、レーザ光源21の出力(照射する熱エネルギーの量)を可変に制御することなく(レーザ光源21の出力を一定としつつ)、簡易な制御で造形層Aと造形層Bの接点となる箇所を選択的に加熱することができる。
なお、造形層Aと造形層Bの接点となる箇所に供給される単位時間当たりのエネルギー量が所望の値となるように、吐出モジュール10の移動速度に応じて、レーザ光源21の出力を設定しておくことが好ましい。
図11において、造形層Aは隣り合う線状部分の間隔がDAであり、造形層Bは隣り合う線状部分の間隔がDBである。DA及びDBを一定とすると、井桁構造における接点の座標位置(X-Y)は、各造形層で同じ位置で繰り返される。このように、隣り合う線状部分の間隔を同一にすることで、加熱手段が熱エネルギーを供給する箇所(接点)を、異なる造形層においても同じ座標位置とすることができるため、加熱手段の制御を簡易なものとすることができる。
また、造形層αは隣り合う線状部分の間隔がDA/2であり、造形層βは隣り合う線状部分の間隔がDB/2である。このように、隣り合う線状部分の間隔を、造形物の他の箇所の間隔に対して規則性を持たせたものにすることにより、加熱手段の制御を簡易なものとすることができる。なお、図11においては、模式的に、造形層A及び造形層Bと、造形層α及び造形層βとをずらして示している。
上記の造形装置1に例示される造形装置を用いて、井桁構造を有する立体造形物1の造形を行い、3つのサンプルを作製した。井桁構造は、図9A及び図9Bに示すような形状の造形層を交互に積層することにより形成した。井桁構造における隣り合う線状部分の間隔を2mmとし、当該線状部分の幅を0.5mm、高さを0.2mmとした。立体造形物1の形状は、縦10mm、横10mm、高さ60mmの直方体状の形状とした。
また、井桁構造となる造形層を積層する際には、既に造形された造形層における新たな造形層との接点となる箇所を加熱手段としてのレーザ照射器により加熱した。なお、レーザ照射器から3Wのエネルギーを有するレーザ光を照射することにより、造形層の接点となる箇所を加熱した。
実施例1において、レーザ照射器から照射するレーザ光のエネルギーを4Wとした以外は、実施例1と同様にして立体造形物2を造形した。
実施例1において、レーザ照射器から照射するレーザ光のエネルギーを5Wとした以外は、実施例1と同様にして立体造形物3を造形した。
実施例1において、レーザ照射器から照射するレーザ光のエネルギーを6Wとした以外は、実施例1と同様にして立体造形物4を造形した。
実施例1において、レーザ照射器から照射するレーザ光のエネルギーを7Wとした以外は、実施例1と同様にして立体造形物5を造形した。
実施例1において、レーザ照射器からレーザ光を照射しなかった以外は、実施例1と同様にして立体造形物6を造形した。
立体造形物1~6の高さ方向(積層方向)の両端をクランプで挟み、引張試験を行った。結果を図12に示す。
なお、引張強度を算出する際の断面積は、造形層どうしが交差している箇所における、0.5mm四方の大きさとなっている部分の個数を、単位面積化して換算した。
なお、図12におけるレーザ光のエネルギーごとの3つのプロットは、それぞれのサンプルにおける引張強度を意味する。そのため、3つのプロットの振れ幅は、それぞれの条件における引張強度の振れ幅を意味する。
<1> 第1の線状部分を複数有する第1の造形層と、前記第1の線状部分に対して交差する第2の線状部分を複数有する第2の造形層とを造形する層造形手段と、
前記第1の線状部分と前記第2の線状部分とが交差する接点を加熱する加熱手段と、
を有することを特徴とする造形装置である。
<2> 前記層造形手段が、前記第1の造形層と前記第2の造形層の造形を繰り返す前記<1>に記載の造形装置である。
<3> 前記層造形手段が、前記第1の造形層に接する前記第2の造形層を造形する際に、前記第1の造形層における前記接点となる箇所が前記加熱手段により加熱された後に、前記接点となる箇所に対して、前記造形層を形成する造形材料を吐出する前記<1>から<2>のいずれかに記載の造形装置である。
<4> 前記加熱手段が、前記層造形手段と同期して走査するように制御される前記<1>から<3>のいずれかに記載の造形装置である。
<5> 前記加熱手段が、前記接点となる箇所を選択的に加熱する前記<1>から<4>のいずれかに記載の造形装置である。
<6> 前記加熱手段が、前記接点となる箇所の鉛直方向に対して交差する方向から加熱可能である前記<1>から<5>のいずれかに記載の造形装置である。
<7> 前記加熱手段が、前記層造形手段における前記造形材料を吐出する吐出口を中心に回動乃至回転可能である前記<6>に記載の造形装置である。
<8> 前記加熱手段の回動乃至回転する速度が、前記層造形手段が走査する速さに応じて制御される前記<7>に記載の造形装置である。
<9> 前記層造形手段が、形成する前記造形層の形状に応じて、前記接点となる箇所の間隔を変更するように制御される前記<1>から<8>のいずれかに記載の造形装置である。
<10> 前記加熱手段による加熱が、前記接点となる箇所の間隔に応じて制御される前記<1>から<9>のいずれかに記載の造形装置である。
<11> 前記加熱手段がレーザ光を照射するレーザ照射部を備え、前記加熱手段による加熱が、前記レーザ照射部により行われる前記<1>から<10>のいずれかに記載の造形装置である。
<12> 前記加熱手段が熱風を供給する熱風供給部を備え、前記加熱手段による加熱が、前記熱風供給部により行われる前記<1>から<10>のいずれかに記載の造形装置である。
<13> 第1の線状部分を複数有する第1の造形層と、前記第1の線状部分に対して交差する第2の線状部分を複数有する第2の造形層とを造形する層造形工程と、
前記第1の線状部分と前記第2の線状部分とが交差する接点を加熱する加熱工程と、
を含むことを特徴とする造形方法である。
<14> 前記層造形工程が、前記第1の造形層と前記第2の造形層の造形を繰り返す前記<13>に記載の造形方法である。
<15> 前記層造形工程が、前記第1の造形層に接する前記第2の造形層を造形する際に、前記第1の造形層における前記接点となる箇所が前記加熱工程により加熱された後に、前記接点となる箇所に対して、前記造形層を形成する造形材料を吐出する前記<13>から<14>のいずれかに記載の造形方法である。
<16> 層造形手段により、第1の線状部分を複数有する第1の造形層と、前記第1の線状部分に対して交差する第2の線状部分を複数有する第2の造形層とを造形させ、
加熱手段により、前記第1の線状部分と前記第2の線状部分とが交差する接点を加熱させる、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする造形プログラムである。
<17> 前記層造形手段により、前記第1の造形層と前記第2の造形層の造形を繰り返させる前記<16>に記載の造形プログラムである。
<18> 前記層造形手段により、前記第1の造形層に接する前記第2の造形層を造形する際に、前記第1の造形層における前記接点となる箇所が前記加熱手段により加熱された後に、前記接点となる箇所に対して、前記造形層を形成する造形材料を吐出する前記<16>から<17>のいずれかに記載の造形プログラムである。
3 造形テーブル
10 吐出モジュール
18 吐出ノズル
20、20´ 加熱モジュール
21 レーザ光源
28 加熱プレート
100 制御部
104 温度センサ
RS 回転ステージ
Claims (18)
- 第1の線状部分を複数有する第1の造形層と、前記第1の線状部分に対して交差する第2の線状部分を複数有する第2の造形層とを造形する層造形手段と、
前記第1の線状部分と前記第2の線状部分とが交差して接する箇所を加熱する加熱手段と、を有する造形装置であって、
前記加熱手段は、前記層造形手段における吐出口を中心に回動乃至回転可能であることを特徴とする造形装置。 - 前記層造形手段が、前記第1の造形層と前記第2の造形層の造形を繰り返す、請求項1に記載の造形装置。
- 前記加熱手段が、前記交差して接する箇所を選択的に加熱する、請求項1から2のいずれかに記載の造形装置。
- 第1の線状部分を複数有する第1の造形層と、前記第1の線状部分に対して交差する第2の線状部分を複数有する第2の造形層とを、繰り返し造形する層造形手段と、
前記第1の線状部分と前記第2の線状部分とが交差して接する箇所を、各層毎に、選択的かつ局所的に加熱する加熱手段と、を有することを特徴とする造形装置。 - 前記加熱手段が、前記層造形手段における吐出口を中心に回動乃至回転可能である、請求項4に記載の造形装置。
- 前記加熱手段の回動乃至回転する速度が、前記層造形手段が走査する速さに応じて制御される、請求項5に記載の造形装置。
- 前記層造形手段は、前記第1の造形層と前記第2の造形層とが前記交差して接する箇所のみで互いに接触し、前記第1の造形層及び前記第2の造形層が他の造形層と接触しない中空部が存在するように造形する、請求項1から6のいずれかに記載の造形装置。
- 前記層造形手段が、前記第1の造形層に接する前記第2の造形層を造形する際に、前記第1の造形層における前記交差して接する箇所が前記加熱手段により加熱された後に、前記交差して接する箇所に対して、前記第2の造形層を形成する造形材料を吐出する、請求項1から7のいずれかに記載の造形装置。
- 前記加熱手段が、前記層造形手段と同期して走査するように制御される、請求項1から8のいずれかに記載の造形装置。
- 前記加熱手段が、前記交差して接する箇所の鉛直方向に対して交差する方向から加熱可能である、請求項1から9のいずれかに記載の造形装置。
- 前記層造形手段が、形成する造形層の形状に応じて、前記交差して接する箇所の間隔を変更するように制御される、請求項1から10のいずれかに記載の造形装置。
- 前記加熱手段による加熱が、前記交差して接する箇所の間隔に応じて制御される、請求項1から11のいずれかに記載の造形装置。
- 前記加熱手段がレーザ光を照射するレーザ照射部を備え、前記加熱手段による加熱が、前記レーザ照射部により行われる、請求項1から12のいずれかに記載の造形装置。
- 前記加熱手段が熱風を供給する熱風供給部を備え、前記加熱手段による加熱が、前記熱風供給部により行われる、請求項1から13のいずれかに記載の造形装置。
- 第1の線状部分を複数有する第1の造形層と、前記第1の線状部分に対して交差する第2の線状部分を複数有する第2の造形層とを造形する層造形工程と、
前記第1の線状部分と前記第2の線状部分とが交差して接する箇所を加熱する加熱工程と、含む造形方法であって、
前記層造形工程が、前記第2の造形層を形成する造形材料を吐出する工程を含み、
前記加熱工程が、前記造形材料の吐出位置を中心に回動乃至回転可能である加熱手段を用いて行われることを特徴とする造形方法。 - 第1の線状部分を複数有する第1の造形層と、前記第1の線状部分に対して交差する第2の線状部分を複数有する第2の造形層とを、繰り返し造形する層造形工程と、
前記第1の線状部分と前記第2の線状部分とが交差して接する箇所を、各層毎に、選択的かつ局所的に加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする造形方法。 - 層造形手段により、第1の線状部分を複数有する第1の造形層と、前記第1の線状部分に対して交差する第2の線状部分を複数有する第2の造形層とを造形させる処理と、
加熱手段により、前記第1の線状部分と前記第2の線状部分とが交差して接する箇所を加熱させる処理と、をコンピュータに実行させ、
前記加熱させる処理において、前記加熱手段を、前記層造形手段における造形材料の吐出口を中心に回動乃至回転させることを特徴とする造形プログラム。 - 層造形手段により、第1の線状部分を複数有する第1の造形層と、前記第1の線状部分に対して交差する第2の線状部分を複数有する第2の造形層と、を繰り返し造形させ、
加熱手段により、前記第1の線状部分と前記第2の線状部分とが交差して接する箇所を、各層毎に、選択的かつ局所的に加熱させる処理をコンピュータに実行させることを特徴とする造形プログラム。
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