JP7367475B2 - 立体造形物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、立体造形物の製造方法に関する。
強度の高い立体造形物を造形できることなどから、樹脂粒子を含む粒子層(粉末層)を固化させて造形した造形層(層状造形物)の積層を繰り返すことにより、立体造形物を造形する装置に対する関心が高まっている。粒子層が固化した造形層の積層を繰り返すことで立体造形物を造形する装置としては、例えば、HSS(High Speed Sintering)方式の装置、SLS(Selective Laser Sintering)方式の装置、BJ(Binder Jetting)方式の装置などが知られている。
これらの中でも、HSS方式の装置は、装置自体のコスト(価格)を抑えることができることに加え、短時間で立体造形物を造形可能であるため、特に注目を集めている。
HSS方式の装置においては、例えば、インクジェットヘッドを用いてカーボンブラックなどを含む光吸収インクを粒子層の所定の位置に吐出した後、ハロゲンランプなどの光源により粒子層を加熱することで、粒子層の所定の位置を固化して造形層を造形する。そして、HSS方式の装置では、造形層の造形を繰り返して造形層を積層することにより、立体造形物を造形する。
HSS方式の装置に関しては、造形層となる領域の周囲にディテールインク(detailing agent)を吐出して、熱の拡散を抑制することにより、造形層の周りに存在する樹脂粒子の除去性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、BJ方式の装置においては、立体造形物の平坦性を向上させる目的で、粒子層(粉体層)における立体造形物となる領域の下方に、固化していない粒子層を介して、立体造形物と分離可能な犠牲造形物を形成する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、樹脂粒子を加熱して造形する立体造形物の変形を抑制して、立体造形物の造形精度を向上できる立体造形物の製造装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための手段としての本発明の立体造形物の製造装置は、
樹脂粒子を含む粒子層を形成する層形成手段と、
粒子層にエネルギーを吸収可能なモデル材を吐出してモデル領域を形成する第1の吐出手段と、
粒子層にサポート材を吐出してサポート領域を形成する第2の吐出手段と、
モデル領域にエネルギーを付与するエネルギー付与手段と、を備え、
モデル領域に対してエネルギーが付与されることにより、モデル領域における樹脂粒子同士、及び、モデル領域における樹脂粒子とモデル領域に接するサポート領域における樹脂粒子同士が融着される。
本発明によれば、樹脂粒子を加熱して造形する立体造形物の変形を抑制して、立体造形物の造形精度を向上できる立体造形物の製造装置を提供することができる。
図1は、従来技術の一例における造形層及びディテールインクが吐出された領域を示す概略側面図である。 図2は、従来技術の他の一例における造形層と犠牲造形物を示す概略側面図である。 図3は、本発明の立体造形物の製造装置におけるモデル部とサポート部の一例を示す概略側面図である。 図4は、本発明の立体造形物の製造装置におけるモデル部とサポート部の他の一例を示す概略側面図である。 図5は、本発明の立体造形物の製造装置におけるモデル部とサポート部の他の一例を示す概略側面図である。 図6は、従来技術におけるモデル部の端部の一例を示す概略側面図である。 図7は、本発明の立体造形物の製造装置におけるモデル部の端部の一例を示す概略側面図である。 図8は、本発明の立体造形物の製造装置におけるモデル部とサポート部の他の一例を示す概略側面図である。 図9は、本発明の立体造形物の製造装置におけるモデル部とサポート部の他の一例を示す概略側面図である。 図10は、本発明の立体造形物の製造装置の一実施形態における概略平面図である。 図11は、本発明の立体造形物の製造装置の一実施形態における概略側面図である。 図12は、本発明の立体造形物の製造装置の一実施形態における造形部を示す概略側面図である。 図13は、本発明の立体造形物の製造装置の一実施形態における制御部の構成の一例を示すブロック図である。 図14Aは、立体造形物の造形の流れの一例を示す模式図である。 図14Bは、立体造形物の造形の流れの一例を示す模式図である。 図14Cは、立体造形物の造形の流れの一例を示す模式図である。 図14Dは、立体造形物の造形の流れの一例を示す模式図である。 図14Eは、立体造形物の造形の流れの一例を示す模式図である。 図14Fは、立体造形物の造形の流れの一例を示す模式図である。 図15は、サポート領域を形成する際の流れの一例を示す説明図である。 図16は、モデル領域及びモデル部を形成する際の流れの一例を示す説明図である。 図17は、立体造形物からサポート部を除去する際の流れの一例を示す説明図である。 図18は、溶媒揮散方式を用いて形成したサポート部の一例を示す図である。 図19は、加熱硬化方式を用いて形成したサポート部の一例を示す図である。 図20は、複数の光照射手段を用いて樹脂粒子を融着させる場合の流れの一例を示す説明図である。 図21は、第1の光照射ユニットが照射する光と第2の光照射ユニットが照射する光の関係の一例を示す図である。 図22は、造形動作を行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。 図23は、モデル部とサポート部の界面の断面を撮影した写真である。 図24は、図9に示す立体造形物におけるモデル部とサポート部の一例を示す概略側面図である。 図25は、本発明の立体造形物の製造装置におけるモデル部とサポート部の他の一例を示す概略側面図である。 図26は、一つの粒子層に、モデル領域及びモデル部を形成する際の流れの一例を示す説明図である。 図27は、立体造形物の製造装置におけるキャリッジの構造の一例を示す概略側面図である。 図28は、立体造形物の製造装置におけるキャリッジの一例を示す概略上面図である。 図29は、立体造形物の製造装置におけるキャリッジの他の一例を示す概略上面図である。 図30は、立体造形物の製造装置におけるキャリッジの他の一例を示す概略上面図である。
(立体造形物の製造装置、立体造形物の製造方法)
本発明の立体造形物の製造装置は、樹脂粒子を含む粒子層を形成する層形成手段と、粒子層にエネルギーを吸収可能なモデル材を吐出してモデル領域を形成する第1の吐出手段と、粒子層にサポート材を吐出してサポート領域を形成する第2の吐出手段と、モデル領域にエネルギーを付与するエネルギー付与手段と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の立体造形物の製造方法は、樹脂粒子を含む粒子層を形成する層形成工程と、粒子層にエネルギーを吸収可能なモデル材を吐出してモデル領域を形成するモデル領域形成工程と、粒子層にサポート材を吐出してサポート領域を形成するサポート領域形成工程と、モデル領域にエネルギーを付与して、モデル領域における樹脂粒子同士、及び、モデル領域における樹脂粒子とモデル領域に接するサポート領域における樹脂粒子とを融着させるエネルギー付与工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の立体造形物の製造方法は、本発明の立体造形物の製造装置により好適に行うことができ、層形成工程は層形成手段により好適に行うことができ、モデル領域形成工程は第1の吐出手段により好適に行うことができ、サポート領域形成工程は第2の吐出手段により好適に行うことができ、エネルギー付与工程はエネルギー付与手段により好適に行うことができ、その他の工程はその他の手段により行うことができる。
つまり、本発明の立体造形物の製造装置は、本発明の立体造形物の製造方法を実施することと同義である。そのため、本発明の立体造形物の製造装置に関する説明を通じて、本発明の立体造形物の製造方法の詳細についても明らかにする。
また、本発明の立体造形物の製造装置は、従来技術の立体造形物の造形装置では、樹脂粒子を加熱して立体造形物を造形する際に、立体造形物が変形してしまうことにより、立体造形物の造形精度が低下する場合があるという知見に基づくものである。
従来技術においては、立体造形物における反りなどの変形を抑制する目的で、所定の予熱温度となるように加熱された粒子層を新たに形成する(リコートする)際に、予熱温度を、樹脂粒子の再結晶化温度と溶融温度の間の温度(ΔT)に制御する場合がある。この場合、粒子層を加熱して造形層を造形する際には、モデル材(例えば、光吸収インク、光吸収液体組成物)が吐出され造形層となる領域における樹脂粒子は、溶融温度以上となり融解する。融解した樹脂粒子は、立体造形物を造形している際においては、結晶化温度以下とならないため、固化(結晶化)しない。このため、従来技術においては、全ての造形層の積層を終えた後に、造形層を徐冷することにより、樹脂粒子を固化させて立体造形物の製造を行う。
しかしながら、上記のような従来技術の立体造形物の製造装置では、造形層を徐冷する際における造形層内の温度のムラ(造形層内の位置によって温度が異なること)により、立体造形物に反りなどの変形が生じる場合があった。
さらには、上記のような従来技術では、再結晶化温度と溶融温度との間に明確な差異がない樹脂粒子や、インクジェットヘッドの耐熱性による制限から、粒子層の予熱温度の上限に限界があり溶融温度の高い樹脂粒子を用いることが難しいという問題があった。このため、従来技術の立体造形物の造形装置においては、スーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)や非晶質樹脂などで形成された樹脂粒子を用いることができないという問題があった。
従来技術の一例である特許文献1に記載の発明においては、造形層の周りに存在する樹脂粒子の除去性を向上させる目的で、造形層となる領域の周囲にディテールインク(detailing agent)を吐出して、熱の拡散を抑制する。
ここで、図1は、従来技術の一例における造形層及びディテールインクが吐出された領域を示す概略側面図である。特許文献1におけるディテールインクは水系の液体であり、粒子層におけるディテールインクが吐出された領域33は固化しない。そのため、特許文献1の技術では、図1に示すように造形層30の周囲にディテールインクを吐出したとしても、立体造形物の変形を抑制することはできないと考えられる。
また、従来技術の他の一例である特許文献2に記載の発明においては、立体造形物の平坦性を向上させるため、粒子層における立体造形物となる領域の下方に、固化していない粒子層を介して、立体造形物と分離可能な犠牲造形物を形成する。
図2は、従来技術の他の一例における造形層と犠牲造形物を示す概略側面図である。特許文献2の発明においては、造形層30の周囲に樹脂粒子が付着乃至凝集することを抑制する目的で、例えば、図2に示すように立体造形物となる領域の下方に犠牲造形物35を形成する。特許文献2における犠牲造形物35は、立体造形物に対して、固化していない(造形液が吐出されていない)粒子層31を介する位置に形成されるため、立体造形物を形成する造形層とは接していない。そのため、特許文献2の技術における犠牲造形物35は、立体造形物の変形を抑制することはできないと考えられる。
ここで、本発明の立体造形物の製造装置は、粒子層に、エネルギーを吸収可能なモデル材を吐出してモデル領域を形成すると共に、サポート材を吐出して、サポート領域を形成する。そして、本発明の立体造形物の製造装置は、モデル領域に対してエネルギーが付与されることにより、モデル領域における樹脂粒子同士、及び、モデル領域における樹脂粒子とモデル領域に接するサポート領域における樹脂粒子同士が融着される。
こうすることにより、本発明の立体造形物の製造装置は、立体造形物を形成するモデル部となるモデル領域と、モデル部の形状を維持するためのサポート部となるサポート領域との少なくとも一部を融着させることができる。本発明の立体造形物の製造装置においては、モデル領域とサポート領域との少なくとも一部を融着させることにより、サポート部のモデル部に対する支持力を向上させることができる。
図3は、本発明の立体造形物の製造装置におけるモデル部とサポート部の一例を示す概略側面図である。図3に示した例においては、モデル部30の下面にサポート部200が融着されている。図3に示すように、本発明の立体造形物の製造装置の一例においては、モデル部とサポート部が融着されていることにより、サポート部の支持力によってモデル部の変形(例えば、モデル部の反りなど)が抑制されるため、立体造形物の造形精度を向上できる。
すなわち、本発明の立体造形物の製造装置は、モデル領域とサポート領域との少なくとも一部を融着させることにより、樹脂粒子を加熱して造形する立体造形物の変形を抑制して、立体造形物の造形精度を向上できる。
<層形成手段、層形成工程>
層形成手段は、樹脂粒子を含む粒子層を形成する手段である。
層形成工程は、樹脂粒子を含む粒子層を形成する工程である。
層形成手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粒子を供給する機構と、供給された粒子を均しながら粒子層を形成する機構の組合せなどが挙げられる。層形成手段の詳細については、後述する。
<<樹脂粒子>>
樹脂粒子とは、樹脂成分を含む粒子を意味する。なお、以下では、樹脂粒子を「樹脂粉末」又は「樹脂粉体」と称することがある。樹脂粒子は、樹脂成分の他に、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。
樹脂成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
-熱可塑性樹脂-
熱可塑性樹脂とは、熱を加えると可塑化し、溶融する樹脂を意味する。
熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶性樹脂、非結晶性樹脂、液晶樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、結晶性樹脂が好ましい。また、熱可塑性樹脂としては、融解開始温度と、冷却時の再結晶温度の差が大きな樹脂が好ましい。
なお、結晶性樹脂とは、ISO3146(プラスチック転移温度測定方法、JIS K7121)に準拠した測定において、融点ピークが検出される樹脂である。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセタール(POM:Polyoxymethylene)、ポリイミド、フッ素樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などが挙げられる。
ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド410(PA410)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド612(PA612)、ポリアミド11(PA11)、及びポリアミド12(PA12);並びにポリアミド4T(PA4T)、ポリアミドMXD6(PAMXD6)、ポリアミド6T(PA6T)、ポリアミド9T(PA9T)、及びポリアミド10T(PA10T)などの半芳香族性のポリアミドが挙げられる。
ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブタジエンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性を付与する点で、テレフタル酸やイソフタル酸を一部に含む芳香族を有するものが好ましい。
ポリエーテルとしては、例えば、ポリアリールケトン、ポリエーテルスルフォンなどが挙げられる。
ポリアリールケトンとしては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)などが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、PA9Tのように2つの融点ピークを有するものでもよい。2つの融点ピークを有する熱可塑性樹脂は、高温側の融点ピーク以上の温度になると完全に溶融する。
また、ポリフタルアミド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、及びポリテトラフルオロエチレンなどは、「スーパーエンジニアリングプラスチック」と称されている。
熱可塑性樹脂としては、スーパーエンジニアリングプラスチックから選択される少なくとも1種であることが好ましい。熱可塑性樹脂がスーパーエンジニアリングプラスチックであると、造形する立体造形物の引張強度、耐熱性、耐薬品性、及び難燃性を向上することができ、立体造形物を工業用途にも使用可能になる点で有利である。
樹脂粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円柱体、多角柱体、球体などの形状が挙げられる。これらの中でも、円柱体が好ましい。
円柱体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、真円柱体、楕円柱体などが挙げられる。これらの中でも、真円柱体が好ましい。
なお、円柱体には、略円柱体が含まれる。ここで、略円とは、短径に対する長径の比(長径/短径)が、1以上10以下であることを意味する。また、円柱体の円形部分は、一部が欠けていてもよい。
多角柱体としては、円柱体と同様に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、多角柱体における多角形部分の一部が欠けていてもよい。
球体としては、円柱体と同様に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、球体の一部が欠けていてもよい。
円柱体の円形部分の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましい。なお、円柱体の円形部分が楕円形である場合、直径とは長径を意味する。
多角柱体の多角形部分の一辺の長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、多角形部分を全て含むような最小の円(最小包含円)の直径が5μm以上200μm以下であることが好ましい。
球体の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下であることが好ましい。
円柱体の高さ、即ち対向する2つの円形部分の距離(上面-底面間の距離)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上200μm以下が好ましい。
多角柱体の高さ、即ち対向する2つの多角形部分の距離(上面-底面間の距離)としては、円柱体の高さと同様に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上200μm以下が好ましい。
円柱体における、対向する2つの円形部分(上面及び底面)の面積は、互いに異なっていてもよい。ただし、面積が小さいほうの円形部分の直径r1に対する面積が大きいほうの円形部分の直径r2の比(r2/r1)としては、2つの円形部分の面積に差がないほうが嵩密度を高めることができる点で、1.5以下が好ましく、1.1以下がより好ましい。
多角柱体における、対向する2つの多角形部分(上面及び底面)の面積は、互いに異なっていてもよい。ただし、多角形部分の小さいほうの面積(S1)に対する多角形部分の大きいほうの面積(S2)の比(S2/S1)としては、2つの多角形部分の面積に差がないほうが嵩密度を高めることができる点で、1に近いことが好ましい。
例えば、HSS方式の立体造形物の製造装置を用いて立体造形物を造形する際には、樹脂粒子の嵩密度を高めることにより、造形物や成形物の精度を向上させることができる。
円柱体や多角柱体などの柱体の樹脂粒子においては、嵩密度を高めるため、頂点を持たないことが好ましい。なお、頂点とは、柱体の中に存在する角の部分をいう。
<<粒子層>>
粒子層とは、樹脂粒子を含む層を意味する。なお、以下では、粒子層を「粉末層」又は「粉体層」と称することがある。
粒子層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。
層形成手段が粒子層を形成する際には、樹脂粒子の温度が所望の予熱温度になるように、樹脂粒子をあらかじめ加熱しておくことが好ましい。すなわち、本発明の立体造形物の製造方法においては、樹脂粒子の温度が所望の予熱温度になるように、樹脂粒子をあらかじめ加熱する予熱工程を更に含むことが好ましい。こうすることにより、エネルギー付与手段が粒子層に付与するエネルギーが小さい場合であっても、樹脂粒子同士を融着可能な温度になるように、粒子層を加熱することができる。
予熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、樹脂粒子の再結晶化温度と溶融温度の間の温度であることが好ましい。予熱温度が、樹脂粒子の再結晶化温度と溶融温度の間の温度であることにより、粒子層を形成する際の樹脂粒子の流動性を保ちつつ、造形した立体造形物における反りなどの変形を抑制することができる。
予熱工程を行う予熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知のヒーター、加熱ランプ、加熱ローラなどを用いることが可能である。
<第1の吐出手段、モデル領域形成工程>
第1の吐出手段は、粒子層にエネルギーを吸収可能なモデル材を吐出してモデル領域を形成する手段である。
モデル領域形成工程は、粒子層にエネルギーを吸収可能なモデル材を吐出してモデル領域を形成する工程である。
<第2の吐出手段、サポート領域形成工程>
第2の吐出手段は、粒子層にサポート材を吐出してサポート領域を形成する手段である。
サポート領域形成工程は、粒子層にサポート材を吐出してサポート領域を形成する工程である。
モデル部形成工程は、第1の吐出手段により好適に行うことができ、サポート領域形成手段は、第2の吐出手段により好適に行うことができる。
ここで、第1の吐出手段と第2の吐出手段は、1つの吐出手段として実現されてもよいし、別々の吐出手段として実現されてもよい。第1の吐出手段と第2の吐出手段とを1つの吐出手段により実現する場合、当該吐出手段は、モデル材を吐出する際には第1の吐出手段として機能し、サポート材を吐出する際には第2の吐出手段として機能する。なお、以下では、第1の吐出手段と第2の吐出手段とを区別しない場合には、第1の吐出手段と第2の吐出手段をまとめて、単に「吐出手段」と称することがある。
吐出手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インクジェット方式の吐出ヘッドなどが挙げられる。
また、立体造形物の製造装置が有する吐出手段の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<モデル領域>>
モデル領域は、第1の吐出手段がエネルギーを吸収可能なモデル材を粒子層に吐出して形成した領域である。モデル領域は、製造(造形)する立体造形物を3次元モデルで表した3次元データに基づいて形成することができ、例えば、3次元データを所定の間隔で輪切り(スライス)した形状となるようにしてもよい。
形成されたモデル領域は、エネルギー付与手段によりエネルギーを付与されて加熱されることによって、モデル領域における樹脂粒子同士が融着して、立体造形物の一部であるモデル部となる。言い換えると、形成されたモデル領域は、吐出されたモデル材により、効率的にエネルギーを吸収可能であるため、エネルギー付与手段によりエネルギーが付与される際に、樹脂粒子の融点以上の温度となり、樹脂粒子同士が融着して固化する。
ここで、樹脂粒子同士を融着するとは、樹脂粒子を融点以上の温度となるように加熱することにより、樹脂粒子の融点より低い温度となった際に、樹脂粒子同士が一体となって固化することを意味する。そのため、樹脂粒子同士が融着している領域においては、樹脂粒子同士の境界(粒界)の少なくとも一部がなくなる。
<<<モデル材>>>
モデル材としては、エネルギーを吸収可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック等の黒色顔料を含む液体組成物、色素を含む液体組成物、金属微粒子を含む液体組成物などが挙げられる。また、液体組成物としては、インクジェットヘッドを用いて吐出可能なものが好ましく、例えば、インクなどを用いることができる。
これらの中でも、モデル材としては、エネルギー付与手段が光照射手段である場合には、光照射手段が照射した前記光を吸収することにより発熱可能なものが好ましく、例えば、上記のカーボンブラック等の黒色顔料を含む液体組成物(例えば、黒色インク)が好ましい。モデル材が黒色顔料を含む液体組成物であることにより、エネルギー付与手段が光照射手段である場合に、光照射手段が照射した光を効率的に吸収して発熱することができ、モデル領域における樹脂粒子同士の融着を容易に行うことができる。
<<サポート領域>>
サポート領域は、第2の吐出手段がサポート材を吐出して形成された領域である。サポート領域は、例えば、吐出されたサポート材が固化して樹脂粒子同士を接着することにより、モデル部の形状を維持するサポート部となる。
後述するように、本発明においては、モデル領域における樹脂粒子とサポート領域における樹脂粒子が融着されている。つまり、本発明においては、モデル領域とサポート領域との少なくとも一部が融着されているため、モデル領域が固化したモデル部とサポート領域が固化したサポート部との少なくとも一部が融着されている。こうすることにより、本発明の立体造形物の製造装置においては、サポート部のモデル部に対する支持力を向上させることができる。なお、本発明において、モデル領域とサポート領域とは、本発明の効果を阻害しない程度の割合で融着していればよく、モデル領域とサポート領域の界面に存在する樹脂粒子の全てが融着している必要はない。
サポート領域の位置及び形状としては、モデル領域の少なくとも一部と接するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。以下では、サポート領域の好ましい一例について説明する。
層形成手段が第1の粒子層の上に第2の粒子層を形成する際においては、第2の吐出手段が、第2の粒子層におけるモデル領域となる予定部分と接するように、第1の粒子層におけるサポート領域を形成することが好ましい。すなわち、第2の吐出手段が、モデル領域の下側と接するように、サポート領域を形成することが好ましい。
ここで、第2の粒子層におけるモデル部となる予定部分は、例えば、立体造形物を3次元モデルで表した3次元データに基づいて、第1の粒子層を形成する際にあらかじめ特定することができる。この場合、第2の粒子層におけるあらかじめ特定した予定部分にモデル材を吐出してモデル領域を形成した際に、第1の粒子層におけるサポート領域と、第2の粒子層におけるモデル領域とが接することになる。このようにして、モデル領域とサポート領域とを融着することにより、サポート領域が固化したサポート部の支持力によって、モデル部の変形(例えば、モデル部の反りなど)が抑制できる。
上記の形態のより具体的な一例としては、例えば、図3に示すような直方体状の立体造形物を製造する場合には、モデル部30の下面にサポート部200を融着することが挙げられる。このようにモデル部30の下面にサポート部200を融着することにより、立体造形物の反りをより効果的に抑制することができる。
また、層形成手段が第1の粒子層の上に第2の粒子層を形成する際においては、第2の吐出手段が、第1の粒子層におけるモデル領域と接する第2の粒子層における領域にサポート領域を形成することも好ましい。すなわち、第2の吐出手段が、モデル領域の上側と接するように、サポート領域を形成することが好ましい。こうすることにより、立体造形物を造形した後に立体造形物を冷却する際などにおける、立体造形物の変形を抑制することができる。
上記の形態のより具体的な一例としては、例えば、図4に示すような直方体状の立体造形物を製造する場合には、モデル部30の上面にサポート部200を融着することが挙げられる。
さらに、第1の吐出手段により形成されるモデル領域と、第2の吐出手段により形成されるサポート領域とが、一つの前記粒子層に形成されることも好ましい。すなわち、第2の吐出手段が、モデル領域の側面と接するように、サポート領域を形成することが好ましい。
上記の形態のより具体的な一例としては、例えば、図5に示すような直方体状の立体造形物を製造する場合には、モデル部30の側面にサポート部200を融着することが挙げられる。こうすることにより、立体造形物の反りを抑制することができる。
また、モデル領域の側面と接するように、サポート領域を形成することにより、モデル部における端部(エッジ)の盛り上がりを抑制することができる。
例えば、図6に示すように、モデル領域101の側面にサポート領域を形成しない場合、エネルギー付与手段により粒子層を加熱する際に、モデル材10mを吐出したモデル領域101のみが溶融して高密度化する。このため、モデル領域101の側面にサポート領域を設けない場合には、モデル領域101とモデル領域でない領域(粒子領域)の境界に、モデル部における液体状に溶融した樹脂によるメニスカスが形成され、モデル部の端部が盛り上がるように表面が形成されるときがある。このモデル部の端部の盛り上がりは、HSS方式で立体造形物を造形する際に特に顕著になる。
これに対して、図7に示すように、モデル領域101の側面にサポート領域201を形成すると、一実施形態においては、図7の中央部に示すように、エネルギー付与手段による加熱の前にサポート領域201が固化する際に、サポート領域201(又はサポート部200)が液架橋力により高密度化(圧縮)する。このとき、図7の右部に示すように、サポート部200の圧縮に伴って、モデル部の端部も圧縮するため、図6に示した例と比べると、モデル部における端部の盛り上がりを抑制できる。
また、第2の吐出手段が、モデル部で形成された立体造形物の表面全体にサポート部が形成されるように、サポート領域を形成することが好ましい。こうすることにより、立体造形物を造形した後に立体造形物を冷却する際などにおける、立体造形物の反りなどの変形を、より確実に抑制することができる。
上記の形態のより具体的な一例としては、例えば、図8に示すような直方体状の立体造形物を製造する場合には、モデル部30の表面全体にサポート部200を融着することが挙げられる。
加えて、第2の吐出手段が、モデル領域における外縁近傍領域となる領域の少なくとも一部と接するようにサポート領域を形成することが好ましい。言い換えると、モデル部で形成された立体造形物の端部と接するように、サポート領域(部)を形成することが好ましい。こうすることにより、使用するサポート材の量を抑制しつつ、立体造形物の反りを効果的に抑制できる。
上記の形態のより具体的な一例としては、例えば、図9に示すような直方体状の立体造形物を製造する場合には、モデル部30の底面側の端部にサポート部200を融着することが挙げられる。
<<<サポート材>>>
サポート材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。サポート材としては、樹脂粒子同士を接着可能であるものが好ましい。
ここで、樹脂粒子同士を接着するとは、吐出手段により吐出されたサポート材が固化することにより、樹脂粒子同士を固化(固定)することを意味する。そのため、樹脂粒子同士が接着されている領域(サポート部)においては、樹脂粒子同士の境界(粒界)が存在している。
また、吐出されたサポート材が固化して樹脂粒子同士を接着する際における、サポート材の固化方式としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶媒揮散方式、加熱硬化方式、紫外線硬化方式、硬化剤混合方式などが挙げられる。これらの中でも、溶媒揮散方式及び加熱硬化方式が好ましい。
〔溶媒揮散方式〕
溶媒揮散方式とは、樹脂粒子同士を接着する接着成分と溶媒とを少なくとも含むサポート材を用い、サポート材の一部(例えば、溶媒)を揮発させることにより、サポート材を固化する方式である。言い換えると、溶媒揮散方式においては、第2の吐出手段が吐出したサポート材の一部が揮発して固化することで、サポート部が形成される。
サポート材の溶媒を揮発させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂粒子の予熱やエネルギー付与手段によるエネルギーの付与などにより、サポート材を加熱することが挙げられる。このように、溶媒揮散方式においては、サポート材を固化するための特別な手段を用いることなく、エネルギー付与手段などによりサポート材を固化できるため、立体造形物の製造装置の構造が複雑化することを防止できる。
溶媒揮散方式におけるサポート材は、樹脂粒子同士を接着する接着成分と、溶媒とを含み、エネルギー吸収剤を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含む。
接着成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、可溶性高分子、水系コロイド、無機溶質などが挙げられる。可溶性高分子としては、例えば、水溶性高分子(水溶性ポリマー)、油溶性高分子(油溶性ポリマー)などが挙げられる。
溶媒としては、接着成分を溶解又は分散できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、有機溶媒などが挙げられる。
エネルギー吸収剤としては、エネルギー付与手段が粒子層に付与するエネルギーを吸収可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック等の黒色顔料などが挙げられる。溶媒揮散方式におけるサポート材が黒色顔料を含むことにより、エネルギー付与手段が粒子層にエネルギーを付与する際に、サポート材がエネルギーを吸収して発熱するため、溶媒の揮発が促進され、より容易にサポート材が固化する。
なお、溶媒揮散方式におけるサポート材が含むエネルギー吸収剤の含有量としては、エネルギー付与手段が粒子層にエネルギーを付与する際における、サポート領域の樹脂粒子の温度が融点を超えないようにすることが好ましい。こうすることにより、サポート領域における樹脂粒子が融着してしまうことによる、サポート部の除去性の悪化を防止することができる。
溶媒揮散方式におけるサポート材のその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、分散安定剤、界面活性剤、浸透促進剤、保湿剤、防カビ剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、増粘剤、フィラー、凝集防止剤、消泡剤などが挙げられる。
このように、溶媒揮散方式におけるサポート材は、反応性の化合物を含むことを必須としないため、保存性、及び吐出手段により吐出する際の吐出安定性に優れる。
また、溶媒揮散方式におけるサポート材の接着成分としては、融点及び軟化点の少なくともいずれかが、樹脂粒子の予熱温度よりも高いことが好ましい。こうすることにより、固化した後のサポート材が、樹脂粒子から付与される熱によって融解や軟化を生じることを防止できるため、サポート部の強度を向上させることができ、サポート部のモデル部に対する支持力を向上させることができる。
ここでは、軟化点とは、樹脂などの物質が温度の上昇によって軟化し,変形を始めるときの温度を意味する。通常、物質の温度を上げたとき、物質が完全に液体となる温度を融点と呼ぶが、樹脂などの物質は、明確な融点を示さないで漸次軟化して溶融状態に至り、はっきりした状態の変化を特定しにくいため、融点と区別して軟化点と呼ぶことがある。
サポート材における接着成分の軟化点は、例えば、ビカット軟化温度 A50法(JIS K 7206:1999)によって測定された値とすることができる。
加えて、溶媒揮散方式におけるサポート材の溶媒としては、沸点が樹脂粒子の予熱温度よりも低いことが好ましい。こうすることにより、樹脂粒子を予熱する場合、第2の吐出手段により吐出されたサポート材の溶媒が、樹脂粒子から付与される熱により揮発可能であるため、より容易にサポート材を固化して樹脂粒子同士を接着し、サポート部を形成することができる。サポート部の形成が容易に短時間で可能であると、立体造形物の製造装置の生産性を向上させることができる。
さらに、溶媒揮散方式におけるサポート材は、上記の2つの条件を満たすもの、即ち、接着成分の融点及び軟化点の少なくともいずれかが、樹脂粒子の予熱温度よりも高く、溶媒の沸点が、樹脂粒子の予熱温度よりも低いことがより好ましい。こうすることにより、サポート部のモデル部に対する支持力を向上できるとともに、サポート部の形成が容易に短時間で可能であり、立体造形物の製造装置の生産性を向上させることができる。
〔加熱硬化方式〕
加熱硬化方式とは、反応性化合物と硬化剤とを少なくとも含むサポート材を用い、サポート材を加熱することにより、硬化剤を活性化させて、反応性化合物に重合反応を生じさせることで、サポート材を固化する方式である。言い換えると、加熱硬化方式では、第2の吐出手段が吐出したサポート材が、加熱されることにより重合反応を生じて硬化することで、サポート部が形成される。
サポート材を加熱して硬化反応を生じさせる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エネルギー付与手段によるエネルギーの付与などにより、サポート材を加熱することが挙げられる。このように、加熱硬化方式においては、サポート材を固化するための特別な手段を用いることなく、エネルギー付与手段などによりサポート材を固化できるため、立体造形物の製造装置の構造が複雑化することを防止できる。また、加熱硬化方式においては、サポート材が硬化する際の体積変化が小さく、サポート部の強度をより高くできるため、サポート部のモデル部に対する支持力をより向上させることができる。
加熱硬化方式におけるサポート材は、反応性化合物と、硬化剤とを少なくとも含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
反応性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合性化合物などが挙げられる。重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物などが挙げられる。エチレン性不飽和重合性化合物は、単官能の重合性化合物や多官能の重合性化合物、又はそれらの混合物の化学形態を有する。
また、重合性化合物としては、単官能の重合性化合物が好ましく、単官能の重合性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸と多価アルコール化合物とのエステル類、不飽和カルボン酸とアミン化合物とのアミド類、アクリロイルモルフォリンなどが挙げられる。つまり、加熱硬化方式におけるサポート材が単官能の重合性化合物を含むことが好ましい。こうすることにより、サポート材において架橋が生じないため、液体に対するサポート部の溶解性が高くなるため、サポート部の除去性を向上させることができる。
また、サポート部の熱分解開始温度が、樹脂粒子の補外融解終了温度よりも高いことが好ましい。こうすることにより、サポート部が、樹脂粒子から付与される熱によって分解することを防止できるため、造形中におけるサポート部の強度の低下を抑制することができ、サポート部のモデル部に対する支持力をより維持することができる。
ここで、熱分解開始温度とは、樹脂などの物質が温度の上昇によって分解し始めるときの温度を意味する。熱分解開始温度は、例えば、プラスチックの熱重量測定方法(JIS K7120)によって測定された値とすることができる。熱分解が多段階質量減少である場合には、熱分解開始温度は、第一次開始温度とする。
また、補外融解終了温度とは、樹脂などの物質の融解が終了するときの温度を意味する。補外融解終了温度は、例えば、プラスチックの転移温度測定方法(JIS K7121)によって測定された値とすることができる。
ここで、サポート部の熱分解開始温度としては、380℃より高いことがより好ましい。こうすることにより、スーパーエンジニアリングプラスチックのような高融点の樹脂粒子をより好適に用いることが可能となる。例えば、スーパーエンジニアリングプラスチックの一例であるPEEK(VICTREX社製、150PF)の補外融解終了温度は、350℃である。
また、本発明においては、サポート材がアクリロイルモルフォリンを含むことにより、サポート材が固化して形成されたサポート部の除去性を向上させることができる。
硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アゾ化合物、有機過酸化物などが挙げられる。
加熱硬化方式におけるサポート材のその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、希釈剤、重合禁止剤、連鎖移動剤、着色剤、分散安定剤、界面活性剤、浸透促進剤、保湿剤、防カビ剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、増粘剤、フィラー、凝集防止剤、消泡剤などが挙げられる。
加熱硬化方式におけるサポート材の具体的な組成の一例を以下に示すが、加熱硬化方式におけるサポート材はこれに限定されるものではない。なお、下記のサポート材の一例は、固化後において水に可溶である(水溶性である)ため、このサポート材が固化することにより形成されたサポート部は、水に浸漬させることで容易に除去することができる。また、下記サポート材の一例は、サポート材が固化することにより形成されたサポート部の熱分解開始温度が392℃であった。
・アクリロイルモルフォリン(東京化成工業株式会社製):97質量部
・t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート(日本油脂株式会社製):2質量部
・BYK-UV3530(BYK Additives & Instruments社製):1質量部
紫外線硬化方式とは、紫外線が照射されることにより硬化可能なサポート材を用い、紫外線照射手段によりサポート領域に紫外線を照射して、サポート材を硬化させて固化させる方式である。
硬化剤混合方式とは、サポート領域に対して、サポート材を硬化可能な硬化剤を吐出することにより、サポート材を硬化させて固化する方式である。
[サポート部の除去性]
サポート材が固化して樹脂粒子同士を接着することにより形成されたサポート部は、通常、立体造形物の造形が終了した後には、立体造形物を形成するモデル部から除去される。このため、サポート部は、立体造形物を造形が終了した後に、モデル部から除去しやすい物性を有することが好ましい。
サポート部を除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、立体造形物周辺に余剰に付着している粉をエアーブロー等で吹き払った後、サポート部を有する状態の立体造形物を、サポート部を選択的に溶解する液体に浸漬させる方法、サポート部を選択的に膨潤させる液体に浸漬し、サポート部の機械的強度を低下させた上で、サポート層を剥離又は破壊する方法などが挙げられる。
上記の方法の中でも、サポート部を有する状態の立体造形物を、サポート部を選択的に溶解する液体に浸漬させる方法が好ましい。言い換えると、サポート材が固化することにより形成されたサポート部を、樹脂粒子を溶解しない液体に浸漬させることにより除去することが好ましい。こうすることにより、サポート部の除去が容易に短時間で可能であり、立体造形物を製造する際の生産性を高めることができる。
また、サポート部を、樹脂粒子を溶解しない液体に浸漬させることにより除去する場合、液体を加熱することや、超音波振動を付与することで、より容易にサポート部を除去することができる。
サポート部を有する状態の立体造形物を、サポート部を選択的に溶解する液体に浸漬させてサポート部を除去する場合、サポート材としては、固化したサポート材が、樹脂粒子を溶解しない液体に可溶であることが好ましい。こうすることにより、サポート部の除去が容易に短時間で可能であり、立体造形物を製造する際の生産性を高めることができる。
また、サポート部を選択的に溶解する液体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、有機溶媒などが挙げられ、安全性、コスト、及び環境負荷などの観点から、水であることが好ましい。
サポート部を選択的に溶解する液体として水を用いる場合、サポート材は、水溶性の接着成分を含むことが好ましい。水溶性の接着成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、アクリルアミド、ビニルアルコール、エチレンイミン、エチレンオキシド、N-ビニル-2-ピロリドン、アクリロイルモルフォリン等の重合性化合物又はそれらの混合物、並びにそれらの重合体などが挙げられる。
<エネルギー付与手段、エネルギー付与工程>
エネルギー付与手段は、モデル領域にエネルギーを付与する手段である。エネルギー付与手段は、例えば、モデル領域にエネルギーを付与して、モデル領域における樹脂粒子同士、及び、モデル領域における樹脂粒子とモデル領域に接するサポート領域における樹脂粒子とを融着させる。
エネルギー付与工程は、モデル領域にエネルギーを付与して、モデル領域における樹脂粒子同士、及び、モデル領域における樹脂粒子とモデル領域に接するサポート領域における樹脂粒子とを融着させる工程である。
エネルギー付与手段としては、粒子層にエネルギーを付与して加熱可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光を照射する光照射手段、マイクロ波を照射するマイクロ波照射手段、電子線を照射する電子線照射手段などが挙げられる。
エネルギー付与手段は、例えば、粒子層におけるモデル領域にエネルギーを付与して加熱することにより、モデル領域における樹脂粒子同士を融着させ、立体造形物の一部となるモデル部を形成する。また、エネルギー付与手段は、粒子層におけるモデル領域とサポート領域の境界近傍にエネルギーを付与して加熱することにより、モデル領域における樹脂粒子とサポート領域における樹脂粒子とを融着させる。
また、エネルギー付与手段は、粒子層におけるサポート領域にエネルギーを付与して加熱することが好ましい。こうすることにより、サポート領域におけるサポート材の固化を促進され、サポート部の形成を短時間で行うことができるため、立体造形物の製造装置の生産性を向上させることができる。
エネルギー付与手段としては、上記に挙げたものの中でも、光照射手段であることが好ましい。エネルギー付与手段が光照射手段であり、モデル材が光を吸収することにより発熱可能なものであると、効率よく短時間で立体造形物を造形することができるため、立体造形物の製造装置の生産性を向上させることができる。
光照射手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ハロゲンランプ、レーザー照射手段、LED照射手段、キセノンランプなどが挙げられる。
ここで、光照射手段として用いることができるハロゲンランプの具体例な製品としては、例えば、ウシオ電機株式社製ラインタイプハロゲン光源 3W/mm(色温度3,000K、エネルギー密度0.04W/mm)、ウシオ電機株式社製ラインタイプハロゲン光源 3W/mm(色温度3,300K、エネルギー密度0.04W/mm)などが挙げられる。
また、エネルギー付与手段は、モデル領域における樹脂粒子同士の融着と、モデル領域における樹脂粒子とモデル領域に隣接するサポート領域における樹脂粒子との融着とを一括して行うことが好ましい。言い換えると、エネルギー付与手段は、モデル部の形成、及びモデル部とサポート部の融着とを、一度の走査で(まとめて)行うことが好ましい。こうすることにより、効率よく短時間で立体造形物を造形することができるため、立体造形物の製造装置の生産性を向上させることができる。
ここで、立体造形物の製造装置が有するエネルギー付与手段の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
立体造形物の製造装置が、エネルギー付与手段として複数の光照射手段を有する場合、モデル領域における樹脂粒子同士の融着と、モデル領域における樹脂粒子とモデル領域に隣接するサポート領域における樹脂粒子との融着とを、異なるエネルギーの光を照射して行うことが好ましい。こうすることにより、モデル領域における樹脂粒子同士の融着と、モデル領域における樹脂粒子とモデル領域に隣接するサポート領域における樹脂粒子との融着において、それぞれに合わせて適切なエネルギーを選択することができ、サポート部のモデル部に対する支持力をより向上させることができる。
さらに、立体造形物の製造装置が、複数の光照射手段を有する場合、モデル領域における樹脂粒子とモデル領域に隣接するサポート領域における樹脂粒子との融着を、モデル領域における樹脂粒子同士の融着の際に照射する光の波長よりも、短い波長の光を照射して行うことが好ましい。
こうすることにより、例えば、モデル領域の下側(下面)と接するようにサポート領域を形成する場合などであっても、透過性の高い短波長の光によって、モデル領域とサポート領域の境界に位置する樹脂粒子を、より確実に加熱して融着することができる。このため、モデル領域における樹脂粒子とモデル領域に隣接するサポート領域における樹脂粒子との融着を、モデル領域における樹脂粒子同士の融着の際に照射する光の波長よりも、短い波長の光を照射して行うことにより、サポート部のモデル部に対する支持力をより向上させることができる。
この場合、モデル領域における樹脂粒子同士の融着に用いる光照射手段としては、例えば、ウシオ電機株式社製ラインタイプハロゲン光源 3W/mm(色温度3,000K、エネルギー密度0.04W/mm)を用いることができる。また、モデル領域における樹脂粒子とサポート領域における樹脂粒子との融着に用いる光照射手段としては、例えば、ウシオ電機株式社製ラインタイプハロゲン光源 3W/mm(色温度3,300K、エネルギー密度0.04W/mm)を用いることができる。
加熱時のモデル領域の温度は、樹脂粒子の補外融解終了温度以上かつサポート部の熱分解開始温度未満とすることが好ましい。こうすることにより、サポート部が、樹脂粒子から付与される熱によって分解することを防止できるため、造形中におけるサポート部の強度の低下を抑制することができ、サポート部のモデル部に対する支持力をより維持することができる。
ここで、加熱時のモデル領域の温度が樹脂粒子の補外融解終了温度以上とすることにより、樹脂の溶融をより確実に行うことができる。また、加熱時のモデル領域の温度をサポート部の熱分解開始温度未満とすることにより、サポート部の熱分解を防止して、サポート部の強度の低下を抑制することができるため、モデル部がサポート部からはがれてしまうことや、サポート部が変形してモデル部の変形を抑制できなくなることを防ぐことができる。
加熱時のモデル領域の温度は、例えば、粒子層(粉体層)の予熱温度とエネルギー付与条件によって調整することができる。エネルギー付与条件としては、例えば、光源の出力やエネルギーを付与する時間が挙げられる。
<その他の手段>
その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、吐出手段における吐出不良の発生を抑制するメンテナンス手段、立体造形物の製造装置の制御を行う制御手段などが挙げられる。
本発明の立体造形物の製造装置は、少なくとも、層形成手段、第1の吐出手段、第2の吐出手段、及びエネルギー付与手段を繰り返して動作させることにより、立体造形物を製造(造形)することができる。同様に、本発明の立体造形物の製造方法は、少なくとも、層形成工程、モデル領域形成工程、サポート領域形成工程、及びエネルギー付与工程を繰り返して行うことにより、立体造形物を製造(造形)することができる。
ここで、図23を参照して、モデル領域(モデル部)とサポート領域(サポート部)との界面の状態について説明する。
図23は、モデル部とサポート部の界面の断面を撮影した写真である。本発明の立体造形物の造形装置を使用して作製したサンプルを、エポキシ樹脂で包埋処理後、ガラスナイフで断面出しを行い、撮影用サンプルを作製した。また、図23の電子顕微鏡写真の撮影には、デジタルマイクロスコープであるVHX-2000(株式会社キーエンス製)を用いた。
図23に示す電子顕微鏡写真において、符号301で示す領域は、モデル部における樹脂粒子であり、溶融して粒界がなくなり、融着していることがわかる。
符号302で示す領域は、断面観察のために包埋処理した際に、モデル部中の空隙に充填されたエポキシ樹脂である。
符号303で示す領域は、モデル部とサポート部の界面であり、モデル部及びサポート部の樹脂粒子が溶融して粒界がなくなり、融着していることがわかる。
符号304で示す領域は、サポート部における樹脂粒子であり、粒界が認められ、樹脂粒子同士が接着されていることがわかる。
符号305で示す領域は、サポート材が固化した領域である。
このように、本発明の立体造形物の製造装置においては、モデル部とサポート部が融着されていることにより、サポート部の支持力によってモデル部の変形を抑制でき、立体造形物の造形精度を向上できる。
<立体造形用材料セット>
本発明の立体造形用材料セットは、本発明の立体造形物の製造装置及び本発明の立体造形物の製造方法に、好適に用いることができる。
つまり、本発明の立体造形用材料セットは、本発明の立体造形物の製造装置、又は本発明の立体造形物の製造方法に用いる立体造形用材料セットであって、サポート材と樹脂粒子とを有し、サポート材が固化することにより形成されたサポート部の熱分解開始温度が、前記樹脂粒子の補外融解終了温度よりも高くなる(サポート部の熱分解開始温度が樹脂粒子の補外融解終了温度よりも高い)。
こうすることにより、サポート部が、樹脂粒子から付与される熱によって分解することを防止できるため、造形中におけるサポート部の強度の低下を抑制することができ、サポート部のモデル部に対する支持力をより維持することができる。
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明は、これらの実施形態に何ら限定されるものではない。
なお、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
図10は、本発明の立体造形物の製造装置の一実施形態における概略平面図である。図11は、本発明の立体造形物の製造装置の一実施形態における概略側面図である。図12は、本発明の立体造形物の製造装置の一実施形態における造形部を示す概略側面図である。
図1から3に示す、本発明の立体造形物の製造装置の一実施形態(以下では、単に「立体造形装置」と称することがある)は、樹脂粒子が融着して形成された層状造形物である造形層(モデル部)30が形成される造形部1と、造形部1の層状に敷き詰められた粒子層31に、モデル材を吐出する第1の吐出手段及びサポート材を吐出する第2の吐出手段としての吐出ユニット5と、粒子層31に光81を照射するエネルギー付与手段としての光照射ユニット80を備えている。なお、モデル材及びサポート材をまとめて「造形液10」と称することがある。
造形部1は、粒子槽11と、層形成手段の一例(平坦化部材、リコータ)である回転体としての平坦化ローラ12などを備えている。なお、平坦化部材は、回転体に代えて、例えば板状部材(ブレード)とすることもできる。
粒子槽11は、樹脂粒子20を供給する供給槽21と、造形層30が積層されて立体造形物が造形される造形槽22とを有している。造形前に供給槽21に樹脂粒子20を供給する。供給槽21の底部は供給ステージ23として鉛直方向(高さ方向)に昇降自在となっている。同様に、造形槽22の底部は造形ステージ24として鉛直方向(高さ方向)に昇降自在となっている。造形ステージ24上に造形層30が積層された立体造形物が造形される。
供給ステージ23と造形ステージ24は、モータによって矢印Z方向(高さ方向)に昇降される。
平坦化ローラ12は、供給槽21の供給ステージ23上に供給された粒子20を造形槽22に供給し、平坦化部材である平坦化ローラ12によって均して平坦化して、粒子層31を形成する。
この平坦化ローラ12は、造形ステージ24のステージ面(樹脂粒子20が積載される面)に沿って矢印Y方向に、ステージ面に対して相対的に往復移動可能に配置され、往復移動機構によって移動される。また、平坦化ローラ12は、モータ26によって回転駆動される。
吐出ユニット5は、造形ステージ24上の粒子層31に造形液10を吐出する液体吐出ユニット50を備えている。
液体吐出ユニット50は、キャリッジ51と、キャリッジ51に搭載された2つ(1又は3つ以上でもよい。)の液体吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)52a、52bを備えている。
キャリッジ51は、ガイド部材54及び55に移動可能に保持されている。ガイド部材54及び55は、両側の側板70、70に昇降可能に保持されている。
このキャリッジ51は、後述するX方向走査モータ550によってプーリ及びベルトから構成される主走査移動機構を介して主走査方向である矢印X方向(以下、単に「X方向」という。他のY、Zについても同様とする。)に往復移動される。
2つのヘッド52a、52b(以下、区別しないときは「ヘッド52」を称する。)は、液体を吐出する複数のノズルを配列したノズル列が、それぞれ複数列配置されている。ヘッド52ノズル列は、造形液10を吐出する。例えば、ヘッド52aがモデル材を、ヘッド52bがサポート材を吐出するようにしてもよい。この場合、ヘッド52aは第1の吐出手段の一例となり、ヘッド52bは第2の吐出手段の一例となる。
また、ヘッド52は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックなど色がついた造形液をそれぞれ吐出することもできる。なお、ヘッド52としては、これに限るものではない。
これらの造形液の各々を収容した複数のタンク60が、タンク装着部56に装着され、供給チューブなどを介して造形液10がヘッド52a、52bに供給される。
また、X方向の一方側には、液体吐出ユニット50のヘッド52の維持回復を行うメンテナンス機構61が配置されている。
メンテナンス機構61は、キャップ62とワイパ63を有する。メンテナンス機構61は、キャップ62をヘッド52のノズル面(ノズルが形成された面)に密着させ、ノズルから造形液10を吸引することにより、ノズルに詰まった粒子の排出や高粘度化した造形液を排出させる。また、ノズルのメニスカス形成(ノズル内は負圧状態である)のため、ノズル面をワイパ63でワイピング(払拭)する。メンテナンス機構61は、造形液10の吐出が行われない場合に、ヘッドのノズル面をキャップ62で覆い、樹脂粒子20がノズルに混入することや造形液10が乾燥することを防止する。
吐出ユニット5は、ベース部材7上に配置されたガイド部材71に移動可能に保持されたスライダ部72を有し、吐出ユニット5全体がX方向と直交するY方向(副走査方向)に往復移動可能である。この吐出ユニット5は、後述するモータ552を含む走査機構によって全体がY方向に往復移動される。
液体吐出ユニット50は、ガイド部材54、55とともに矢印Z方向に昇降可能に配置され、後述するモータ551を含む昇降機構によってZ方向に昇降される。
光照射ユニット80は、ヘッド52から造形液10が吐出された領域上に、光81を照射しながら走査する。光照射ユニット80をキャリッジ51内に備えることで、ヘッド52と駆動を共有することも可能だが、個別に駆動源を用意することで、光照射ユニット単体でのX方向間の駆動を行うことも可能である。
また、光照射ユニット80は、ヘッド52の左右にそれぞれ配置してもよいし、どちらか片方に配置してもよい。
ここで、造形部1の詳細について説明する。
粒子槽11は、箱型形状であり、上面が開放された槽である、供給槽21、造形槽22、及び余剰粒子受け槽25を備えている。供給槽21内部には供給ステージ23が、造形槽22内部には造形ステージ24がそれぞれ昇降可能に配置される。
供給ステージ23の側面は、供給槽21の内側面に接するように配置されている。造形ステージ24の側面は造形槽22の内側面に接するように配置されている。これらの供給ステージ23及び造形ステージ24の上面は水平に保たれている。
平坦化ローラ12は、供給槽21から樹脂粒子20を造形槽22へと移送供給して、表面を均すことで平坦化して所定の厚みの層状の粒子群である粒子層31を形成する。
この平坦化ローラ12は、造形槽22及び供給槽21の内寸(即ち、樹脂粒子20が供される部分又は仕込まれている部分の幅)よりも長い棒状部材であり、往復移動機構によってステージ面に沿ってY方向(副走査方向)に往復移動される。
この平坦化ローラ12は、モータ26によって回転されながら、供給槽21の外側から供給槽21及び造形槽22の上方を通過するようにして水平移動する。これにより、樹脂粒子20が造形槽22上へと移送供給され、平坦化ローラ12が造形槽22上を通過しながら粒子20を平坦化することで粒子層31が形成される。
また、図12にも示すように、平坦化ローラ12の周面に接触して、平坦化ローラ12に付着した樹脂粒子20を除去するための粒子除去部材である粒子除去板13が配置されている。
粒子除去板13は、平坦化ローラ12の周面に接触した状態で、平坦化ローラ12とともに移動する。また、粒子除去板13は、平坦化ローラ12が平坦化を行うときの回転方向に回転するときにカウンタ方向でも、順方向での配置可能である。
本実施形態では、造形部1の粒子槽11が、供給槽21と、造形槽22と、余剰粉体受け槽25の3つの槽を有しているが、供給槽21を設けずに、造形槽22に粒子供給装置から粒子を供給して、平坦化手段で平坦化する形態であってもよい。
次に、立体造形物の製造装置601の制御部の概要について、図13を参照して説明する。
制御手段としての制御部500は、この立体造形装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501に本発明に係わる制御を含む立体造形動作の制御を実行させるためのプログラムを含むプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、造形データ等を一時格納するRAM503とを含む主制御部500Aを備えている。
制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)504を備えている。また、制御部500は、画像データに対する各種信号処理等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505を備えている。
制御部500は、外部の造形データ作成装置600から造形データを受信するときに使用するデータ及び信号の送受を行うためのI/F506を備えている。なお、造形データ作成装置600は、最終形態の造形物を各造形層にスライスした造形データを作成する装置であり、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置により実現可能である。
制御部500は、各種センサの検知信号を取り込むためのI/O507を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50の各ヘッド52を駆動制御するヘッド駆動制御部508を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50のキャリッジ51をX方向(主走査方向)に移動させるX方向走査機構550を構成するモータを駆動するモータ駆動部510と、吐出ユニット5をY方向(副走査方向)に移動させるY方向走査機構552を構成するモータを駆動するモータ駆動部512を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50のキャリッジ51をZ方向に移動(昇降)させるZ方向昇降機構551を構成するモータを駆動するモータ駆動部511を備えている。なお、矢印Z方向への昇降は吐出ユニット5全体を昇降させる構成とすることもできる。
制御部500は、供給ステージ23を昇降させるモータ27を駆動するモータ駆動部513と、造形ステージ24を昇降させるモータ28を駆動するモータ駆動部514を備えている。
制御部500は、平坦化ローラ12を移動させる往復移動機構のモータ553を駆動するモータ駆動部515と、平坦化ローラ12を回転駆動するモータ26を駆動する516を備えている。
制御部500は、供給槽21に粒子20を供給する粒子供給装置を駆動する供給系駆動部と、液体吐出ユニット50のメンテナンス機構61を駆動するメンテナンス駆動部518を備えている。
制御部500のI/O507には、装置の環境条件としての温度及び湿度を検出する温湿度センサ560などの検知信号やその他のセンサ類の検知信号が入力される。
制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル522が接続されている。
次に、立体造形物の製造(造形)の流れについて、図14Aから14Fを参照して説明する。図14Aから14Fは、立体造形物の造形の流れの一例を示す模式図である。
造形槽22の造形ステージ24上に、1層目の造形層30が形成されている状態から説明する。
造形層30上に次の造形層30を形成するときには、図14Aに示すように、供給槽21の供給ステージ23をZ1方向に上昇させ、造形槽22の造形ステージ24をZ2方向に下降させる。
このとき、造形槽22の上面(粒子層表面)と平坦化ローラ12の下部(下方接線部)との間隔がΔtとなるように造形ステージ24の下降距離を設定する。この間隔Δtが次に形成する粒子層31の厚さに相当する。間隔Δtは、数十~100μm程度であることが好ましい。
次いで、図14Bに示すように、供給槽21の上面レベルよりも上方に位置する粒子20を、平坦化ローラ12を順方向(矢印方向)に回転しながらY2方向(造形槽22側)に移動することで、樹脂粒子20を造形槽22へと移送供給する(粒子供給)。
さらに、図14Cに示すように、平坦化ローラ12を造形槽22の造形ステージ24のステージ面と平行に移動させ、図14Dに示すように、造形ステージ24の造形層30上で所定の厚さΔtになる粒子層31を形成する(平坦化)。粒子層31を形成後、平坦化ローラ12は、図14Dに示すように、Y1方向に移動されて初期位置に戻される。
ここで、平坦化ローラ12は、造形槽22及び供給槽21の上面レベルとの距離を一定に保って移動できるようになっている。一定に保って移動できることで、平坦化ローラ12で樹脂粒子20を造形槽22の上へと搬送させつつ、造形槽22上又は既に形成された造形層30の上に均一厚さΔtの粒子層31を形成できる。
その後、図14Eに示すように、液体吐出ユニット50のヘッド52から造形液10の液滴を、造形槽22の所望の位置に吐出して、モデル領域及びサポート領域の少なくともいずれかを形成する。そして、図14Fに示すように、光照射ユニット80が、光81を照射しながら造形槽22上を走査することにより、粒子層31を加熱し樹脂粒子同士を融着させ、モデル部(造形層)30及びサポート部の少なくともいずれかを形成する。
次いで、上述した樹脂粒子の供給・平坦化よる粒子層31を形成する工程、ヘッド52による造形液吐出工程、光照射ユニット80によるエネルギー付与工程を繰り返して新たな造形層30を形成する。このとき、新たな造形層30とその下層の造形層30とは一体化して三次元形状造形物の一部となる。
以後、樹脂粒子の供給・平坦化よる粒子層31を形成する工程、ヘッド52による造形液吐出工程、光照射ユニット80による加熱を必要な回数繰り返すことによって、三次元形状造形物(立体造形物)を製造する。
図15は、サポート領域を形成する際の流れの一例を示す説明図である。
まず、図15の左部に示すように、平坦化ローラ12を回転させながら矢印Y2の向きに移動させることで樹脂粒子20を含む粒子層31を形成する。次に、図15の中央部に示すように、ヘッド52により、サポート材(サポートインク、サポート液体組成物)10sを粒子層31に吐出して、サポート領域201を形成する。そして、図15の右部に示すように、形成されたサポート領域におけるサポート材10sは、予熱された樹脂粒子20からの熱などにより固化し、固化したサポート材202となる。固化したサポート材202により、樹脂粒子20同士が接着されサポート部200となる。
図16は、モデル領域及びモデル部を形成する際の流れの一例を示す説明図である。
まず、図16の左部に示すように、図15に示す動作により形成したサポート部200が存在する粒子層31の上に、平坦化ローラ12を回転させながら矢印Y2の向きに移動させることで、新たな粒子層31を形成する。次に、図16の中央部に示すように、ヘッド52により、モデル材(モデルインク、モデル液体組成物)10mを粒子層31に吐出して、モデル領域101を形成する。
そして、図16の右部に示すように、形成されたモデル領域101における樹脂粒子20は、光照射ユニット80が照射する光81により加熱され、モデル材10mが光81を吸収して発熱することなどにより、樹脂粒子20同士が融着してモデル部(造形層)30となる。このとき、モデル領域101の一部における樹脂粒子20と、サポート領域201(サポート部200)の一部における樹脂粒子20も、光照射ユニット80が照射する光81により加熱されて融着する。
図16に示した工程を、所定の回数繰り返すことにより、モデル部30を積層して立体造形物を製造する。
ここで、例えば、上記の図9に示した直方体状の立体造形物を製造する場合などにおいては、第1の吐出手段により形成されるモデル領域と、第2の吐出手段により形成されるサポート領域とが、一つの粒子層に形成されるときに、モデル部30とサポート部200とが隣り合っている部分が存在する。このような場合には、第1の吐出手段により形成されるモデル領域を第2の吐出手段により形成するサポート領域よりも先に形成することが好ましい。
例えば、図24に示すように、モデル部30の底面側の端部にサポート部200を設けた場合、モデル部30の垂直面には、サポート部200と隣り合う(接触する)モデル部表面30aと、サポート部200と隣り合わない(接触しない)モデル部表面30bとが存在する。この場合、モデル部30とサポート部200が一つの粒子層に形成されるときに、モデル部30とサポート部200とが隣り合っている部分において、第1の吐出手段により形成されるモデル領域を、第2の吐出手段により形成するサポート領域よりも先に形成することにより、サポート部200と隣り合うモデル部表面30aと、サポート部200と隣り合わないモデル部表面30bとの表面性の差異を小さくすることができる。
つまり、一つの粒子層にモデル部30とサポート部200を形成する際に、モデル部30を先に形成することにより、固化したサポート材の近傍にモデル材が吐出されることで、モデル材の浸透や熱の伝達が、サポート材の近傍に位置するモデル材とそうでないモデル材とで異なり、造形したモデル部30の表面性に差異が生じることを抑制できる。また、一つの粒子層にモデル部30とサポート部200を形成する際に、モデル部30を先に形成することにより、サポート部200と隣り合うモデル部表面30aと、サポート部200と隣り合わないモデル部表面30bとの間に段差などが形成されることを抑制できる。
図25は、本発明の立体造形物の製造装置におけるモデル部とサポート部の他の一例を示す概略側面図である。
図25に示すような庇部(オーバーハング部)32を有するモデル部30を造形する場合、庇部32は薄い板状の形状となり、造形中に変形しやすくなると考えられるため、図25のようにサポート部200により支持することが好ましい。図25に示す例においても、モデル部30の垂直面には、サポート部200と隣り合う(接触する)モデル部表面30aと、サポート部200と隣り合わない(接触しない)モデル部表面30bとが存在する。
このため、図25に示すような形状のモデル部30を造形する際においても、第1の吐出手段により形成されるモデル領域を、第2の吐出手段により形成するサポート領域よりも先に形成することが好ましい。言い換えると、一つの粒子層に、モデル領域とサポート領域とが隣り合う部分を形成する際に、第2の吐出手段によりサポート領域を形成するより前に、第1の吐出手段によりモデル領域を形成することが好ましい。こうすることにより、サポート部200と隣り合うモデル部表面30aと、サポート部200と隣り合わないモデル部表面30bとの表面性の差異を小さくすることができる。
図26は、一つの粒子層に、モデル領域及びモデル部を形成する際の流れの一例を示す説明図である。
図26に示す例においては、まず、平坦化ローラ12を回転させながら矢印Y2の向きに移動させることで樹脂粒子20を含む粒子層31を形成する。また、粒子層31を形成する際には、樹脂粒子20の温度が所望の予熱温度になるように、樹脂粒子20を加熱しておく。次に、ヘッド52により、モデル材(モデルインク、モデル液体組成物)10mを粒子層31に吐出して、モデル領域101を形成する。続いて、ヘッド52により、サポート材(サポートインク、サポート液体組成物)10sを粒子層31に吐出して、サポート領域201を形成する。なお、サポート材10sに加熱硬化方式のサポート材を用いた場合には、所望の予熱温度としたときの熱エネルギーにより、サポート材10sの反応性化合物に重合反応が生じてサポート材が固化し、樹脂粒子20同士が接着されサポート部200を形成する。
次いで、形成されたモデル領域101における樹脂粒子20に、光照射ユニット80から光81を照射して加熱し、モデル材10mが光81を吸収して発熱することなどにより、樹脂粒子20同士が融着してモデル部(造形層)30を形成する。このとき、モデル領域101の一部における樹脂粒子20と、サポート領域201(サポート部200)の一部における樹脂粒子20も、光照射ユニット80が照射する光81により加熱されて融着する。
図27は、立体造形物の製造装置におけるキャリッジの構造の一例を示す概略側面図である。
図27に示す例において、キャリッジ51には、2つのヘッド52a、52bが搭載されており、ヘッド52a(第1の吐出手段の一例)はモデル材10mを、ヘッド52b(第2の吐出手段の一例)はサポート材10sを吐出する。例えば、キャリッジ51が矢印X2で示す方向に移動しているときに、各ヘッド52a及び52bを駆動し、モデル材10m、サポート材10sの順で吐出することにより、粒子層31にはモデル材10mが先に着弾し、その後にサポート材10sが着弾する。こうすることにより、第1の吐出手段により形成されるモデル領域を、第2の吐出手段により形成するサポート領域よりも先に形成することができる。
図28は、立体造形物の製造装置におけるキャリッジの一例を示す概略上面図である。
図28に示す例においては、キャリッジ51における、サポート材吐出用ヘッド52bの両側に、モデル材吐出用ヘッド52a1及び52a2が配置されている。図28に示す例では、キャリッジ51が矢印X2の方向に移動しているときには、ヘッド52a1を用いてモデル材を吐出し、ヘッド52bを用いてサポート材を吐出する。一方、キャリッジ51が矢印X1方向に移動しているときには、ヘッド52a2を用いてモデル材を吐出し、ヘッド52bを用いてサポート材を吐出する。このようにすることで、キャリッジが矢印X1及びX2のどちらに移動している場合でも、サポート材よりもモデル材を先に吐出することができる。
上述のようにして、キャリッジ51を双方向に動作させる場合、矢印X1の方向にキャリッジ51を移動させてモデル材及びサポート材を吐出した後、キャリッジ51が図28の右側に待機した状態のまま、平坦化ローラ12によって、樹脂粒子を造形槽22に供給し、平坦化ローラ12によって均一に平坦化する。その後、キャリッジ51を矢印X2の方向に移動させて、モデル材及びサポート材の吐出を行う。
図28に示した例においては、モデル材及びサポート材を双方向で吐出することができるため、吐出を一度終えた後に、キャリッジをホームポジションに戻す必要がなく、造形速度を速くすることができる。
また、図29に示すように、図28に示した例とは異なり、キャリッジ51における、モデル材吐出用ヘッド52aの両側に、サポート材吐出用ヘッド52b1及び52b2を配置してもよい。
図29に示す例では、キャリッジ51が矢印X2の方向に移動しているときには、ヘッド52aを用いてモデル材を吐出し、ヘッド52b2を用いてサポート材を吐出する。一方、キャリッジ51が矢印X1方向に移動しているときには、ヘッド52aを用いてモデル材を吐出し、ヘッド52b1を用いてサポート材を吐出する。このようにすることで、キャリッジが矢印X1及びX2のどちらに移動している場合でも、サポート材よりもモデル材を先に吐出することができる。
また、図28及び29で示した例においては、モデル材吐出用ヘッド52a及びサポート材吐出用ヘッド52bを、一つのキャリッジに搭載する例を示したが、本発明はこれに限られるものではない。言い換えると、本発明においては、第1の吐出手段と第2の吐出手段とが一体となって配置されてもよいし、別々に配置されてもよい。
例えば、図30に示すように、モデル材吐出用ヘッド52aと、サポート材吐出用ヘッド52bを、別々のキャリッジ51a、51bに搭載してもよい。こうすることにより、ヘッド52aとヘッド52bとを独立して移動させることができ、モデル領域を形成した後にサポート領域を形成するまでの時間を容易に変更することができる。言い換えると、第1の吐出手段と第2の吐出手段とが別々に配置されると共に、独立して移動可能とすることが好ましい。
樹脂粒子の材料やモデル材の種類を変更する場合には、樹脂粒子にモデル材が浸透する時間や、モデル材が溶融固化する時間などが変わることがある。図30に示す例では、材料を変えた場合にも、それぞれの材料に適した条件を容易に設定することが可能となる。
図17は、立体造形物からサポート部を除去する際の流れの一例を示す説明図である。
まず、図17の左部に示すように、エアブロワー等で生じさせた風90を吹き付けることで、モデル部30が積層された立体造形物の周辺に付着している樹脂粒子20を除去する。次に、図17の右部に示すように、立体造形物とサポート部200を、固化したサポート材202を溶解可能な液体91に浸漬させ、サポート部200を立体造形物から除去して、最終的な所望の形状を有する立体造形物を作製する。
図18は、溶媒揮散方式を用いて形成したサポート部の一例を示す図である。
図18に示すように、溶媒揮散方式においては、サポート材10sの溶媒を揮発させることでサポート部200を形成するため、吐出したサポート材10sの体積よりも固化したサポート材202の体積の方が小さくなる。このため、溶媒揮散方式においては、図18に示すように、固化したサポート材202が、樹脂粒子20の周りをコーティングしたような状態になると考えられる。
なお、上述したように、溶媒揮散方式においては、例えば、樹脂粒子20の予熱や光照射ユニット80が付与する光81などにより、吐出されたサポート材10sが加熱されて溶媒が揮発することにより固化し、サポート部200が形成される。
図19は、加熱硬化方式を用いて形成したサポート部の一例を示す図である。
図19に示すように、加熱硬化方式においては、サポート材10sの反応性化合物に重合反応を生じさせることでサポート部200を形成するため、溶媒揮散方式を用いる場合よりも、固化したサポート材202の体積の減少量が小さくなる。このため、加熱硬化方式においては、図18に示すように、固化したサポート材202が、樹脂粒子20の間を満たすような状態になると考えられる。
なお、上述したように、加熱硬化方式においては、例えば、樹脂粒子20の予熱や光照射ユニット80が付与する光81などにより、吐出されたサポート材10sが加熱されることで、硬化剤を活性化させ、反応性化合物に重合反応を生じさせることにより、サポート部200が形成される。
図20は、複数の光照射手段を用いて樹脂粒子を融着させる場合の流れの一例を示す説明図である。
まず、図20の左から1つ目の部分に示すように、図16の左部と同様に、サポート部200が存在する粒子層31の上に、平坦化ローラ12を回転させながら矢印Y2の向きに移動させることで、新たな粒子層31を形成する。次に、図20の左から2つ目の部分に示すように、図16の中央部と同様に、ヘッド52により、モデル材(モデルインク)10mを粒子層31に吐出して、モデル領域101を形成する。
そして、図20の左から3つ目の部分に示すように、形成されたモデル領域101における樹脂粒子20は、第1の光照射ユニット80aが照射する光81aにより加熱され、モデル材10mが光81を吸収して発熱することなどにより、樹脂粒子20同士が融着してモデル部(造形層)30となる。続いて、図20の左から4つ目の部分に示すように、モデル領域101の一部における樹脂粒子20と、サポート領域201(サポート部200)の一部における樹脂粒子20を、第2の光照射ユニット80bが照射する光81bにより加熱して融着する。
このとき、第1の光照射ユニット80aが照射する光81aと第2の光照射ユニット80bが照射する光81bとにおいては、図21に示すように、第2の光照射ユニット80bが照射する光81bの方が短波長側にピークを有する。こうすることにより、図20に示すように、モデル領域101の下側にサポート領域201を形成する場合であっても、透過性の高い短波長の光によって、モデル領域101とサポート領域201(又はサポート部200)の境界に位置する樹脂粒子を、より確実に加熱して融着することができる。
次に、本発明の立体造形物の製造方法における造形動作の流れの一例を説明する。
図22は、造形動作を行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。ここでは、造形動作を行う処理の流れの一例を図22に示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって説明する。
ステップS101では、制御部500は、造形データ作成装置600から受信した造形データを読み込むと、処理をS102に移行する。
ステップS102では、制御部500は、造形データに基づく造形動作を開始し、各駆動部によりヘッド52などの各部を初期位置に移動させると、処理をS103に移行する。
ステップS103では、制御部500は、平坦化ローラ12を駆動させて、樹脂粒子20を含む粒子層31を形成させると、処理をS104に移行する。
ステップS104では、制御部500は、造形データに基づき、ヘッド52の吐出位置がモデル領域であると判定すると、処理をS105に移行する。また、制御部500は、ヘッド52の吐出位置が造形領域ではないと判定すると、処理をS106に移行する。
ステップS105では、制御部500は、ヘッド52にモデル材10mを吐出させると、処理をS108に移行する。
ステップS106では、制御部500は、造形データに基づき、ヘッド52の吐出位置がサポート領域であると判定すると、処理をS107に移行する。また、制御部500は、ヘッド52の吐出位置サポート領域ではないと判定すると、処理をS108に移行する。
ステップS107では、制御部500は、ヘッド52にサポート材10sを吐出させると、処理をS108に移行する。
ステップS108では、制御部500は、当該粒子層31の吐出動作が終了したと判定すると、処理をS110に移行する。また、制御部500は、当該粒子層31の吐出動作が終了していないと判定すると、処理をS109に移行する。
ステップS109では、制御部500は、ヘッド52の吐出位置を移動させると、処理をS104に戻す。
ステップS110では、制御部500は、光照射ユニット80により、粒子層31に光81を照射させて、粒子層31を加熱する。ここで、粒子層31におけるモデル領域の樹脂粒子20同士は融着されるとともに、モデル領域における樹脂粒子20とサポート領域における樹脂粒子20も融着される。
ステップS111では、制御部500は、造形データに基づく造形動作が終了していないと判定すると、処理をS103に戻す。また、制御部500は、造形データに基づく造形動作が終了したと判定すると、本処理を終了する。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
図10に示すような立体造形物の製造装置を用いて、モデル領域の下側(下面)と接するようにサポート領域を形成して、サポート部の上にモデル部を1層造形し、造形物1を造形した。モデル部を造形する際には、モデル領域を加熱するときにおけるモデル領域の温度をサーモカメラ(OPTRIS社製、Xi-80)で測定した。
粒子層に含まれる樹脂粒子としては、PEEK(VICTREX社製、150PF)を用いた。
サポート材としては、下記の組成のものを用いた。また、サポート材が固化することにより形成されたサポート部の熱分解開始温度は、392℃であった。
・アクリロイルモルフォリン(東京化成工業株式会社製):97質量部
・t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート(日本油脂株式会社製):2質量部
・BYK-UV3530(BYK Additives & Instruments社製):1質量部
また、実施例1においては、粒子層の平均厚みを0.1mmとし、モデル領域及びサポート領域の平面方向の大きさを、1cm×1cmとした。モデル材としては、黒色インク(Nazdar Ink Technologies社製、LMOPI11AKK)を用いた。
実施例1では、粒子層の予熱温度を160℃とし、出力383Wのハロゲンランプを用いて3.6秒間加熱した。加熱時のモデル領域の到達温度は最大で380℃であった。
<観察>
上記のようにして得られた造形物1を、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、VHX-2000)を用いて観察したところ、モデル領域における樹脂粒子は溶融してモデル部が形成されていた。また、モデル部とサポート部とは融着しており、モデル部は造形後においても変形しなかった。
また、同様にして、サポート部の表面における黄変の様子を観察した。ここで、サポート部の表面に黄変が生じていると、固化したサポート材が熱分解したと考えることができる。
実施例1においては、サポート部の表面における黄変は生じていなかった。観察結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、粒子層の予熱温度を190℃、ハロゲンランプの出力を340W、加熱時間を5.0秒とした以外は、実施例1と同様にして造形物2を造形した。加熱時のモデル領域の到達温度は最大で385℃であった。
実施例1と同様にして造形物2を観察したところ、モデル領域における樹脂粒子は溶融してモデル部が形成されていた。また、モデル部とサポート部とは融着しており、モデル部は造形後においても変形しなかった。なお、サポート部の表面における黄変は生じていなかった。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、樹脂粒子としてPA12(EOS社製、PA2200)を用い、粒子層の予熱温度を120℃、ハロゲンランプの出力を745W、加熱時間を0.7秒とした以外は、実施例1と同様にして造形物3を造形した。加熱時のモデル領域の到達温度は最大で322℃であった。
実施例1と同様にして造形物3を観察したところ、モデル領域における樹脂粒子は溶融してモデル部が形成されていた。また、モデル部とサポート部とは融着しており、モデル部は造形後においても変形しなかった。なお、サポート部の表面における黄変は生じていなかった。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例3において、ハロゲンランプの出力を373Wとした以外は、実施例3と同様にして造形物4を造形した。加熱時のモデル領域の到達温度は最大で245℃であった。
実施例1と同様にして造形物4を観察したところ、モデル領域における樹脂粒子は溶融してモデル部が形成されていた。また、モデル部とサポート部とは融着しており、モデル部は造形後においても変形しなかった。なお、サポート部の表面における黄変は生じていなかった。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、ハロゲンランプの出力を213W、加熱時間を8.0秒とした以外は、実施例1と同様にして造形物の造形処理を行った。加熱時のモデル領域の到達温度は最大で280℃であった。
比較例1においては、加熱時のモデル領域の到達温度が樹脂粒子の補外終了温度よりも低くかったため、モデル領域における樹脂粒子が溶融(融着)せず、モデル部を造形することができなった。このため、サポート部の表面の黄変の有無以外の観察は行わなかった。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例2において、ハロゲンランプの出力を425W、加熱時間を2.0秒とした以外は、実施例2と同様にして造形物の造形処理を行った。加熱時のモデル領域の到達温度は最大で380℃であった。
比較例2においては、加熱時のモデル領域の到達温度が樹脂粒子の補外終了温度よりも高かったものの、加熱時間が十分でなく、樹脂粒子の溶融が不十分となり、樹脂粒子同士を融着することができず、モデル部を造形することができなった。このため、サポート部の表面における黄変の有無以外の観察は行わなかった。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例3において、ハロゲンランプの出力を298Wとした以外は、実施例3と同様にして造形物の造形処理を行った。加熱時のモデル領域の到達温度は最大で196℃であった。
比較例3においては、加熱時のモデル領域の到達温度が樹脂粒子の補外終了温度よりも高かったものの、加熱時間が十分でなく、樹脂粒子の溶融が不十分となり、樹脂粒子同士を融着することができず、モデル部を造形することができなった。このため、サポート部の表面における黄変の有無以外の観察は行わなかった。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例3において、ハロゲンランプの出力を260Wとした以外は、実施例3と同様にして造形物の造形処理を行った。
比較例4においては、加熱時のモデル領域の到達温度が樹脂粒子の補外終了温度よりも低くかったため、モデル領域における樹脂粒子が溶融(融着)せず、モデル部を造形することができなった。このため、サポート部の表面における黄変の有無以外の観察は行わなかった。結果を表1に示す。
Figure 0007367475000001
表1に示すように、本発明の実施例となる実施例1から4においては、モデル領域における樹脂粒子同士(モデル部)、及び、モデル領域における樹脂粒子とモデル領域に接するサポート領域における樹脂粒子同士(モデル部とサポート部)が融着されており、モデル部の変形が抑制されていることがわかる。
以上、説明したように、本発明の立体造形物の製造装置は、樹脂粒子を含む粒子層を形成する層形成手段と、粒子層にエネルギーを吸収可能なモデル材を吐出してモデル領域を形成する第1の吐出手段と、粒子層にサポート材を吐出してサポート領域を形成する第2の吐出手段と、モデル領域にエネルギーを付与するエネルギー付与手段と、を備え、モデル領域に対してエネルギーが付与されることにより、モデル領域における樹脂粒子同士、及び、モデル領域における樹脂粒子とモデル領域に接するサポート領域における樹脂粒子同士が融着される。
これにより、本発明の立体造形物の製造装置は、樹脂粒子を加熱して造形する立体造形物の変形を抑制して、立体造形物の造形精度を向上できる。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 樹脂粒子を含む粒子層を形成する層形成手段と、
前記粒子層にエネルギーを吸収可能なモデル材を吐出してモデル領域を形成する第1の吐出手段と、
前記粒子層にサポート材を吐出してサポート領域を形成する第2の吐出手段と、
前記モデル領域に前記エネルギーを付与するエネルギー付与手段と、を備え、
前記モデル領域に対して前記エネルギーが付与されることにより、前記モデル領域における前記樹脂粒子同士、及び、前記モデル領域における前記樹脂粒子と前記モデル領域に接する前記サポート領域における前記樹脂粒子同士が融着されること、
を特徴とする立体造形物の製造装置である。
<2> 前記第2の吐出手段が吐出した前記サポート材が固化することにより、前記サポート領域における前記樹脂粒子同士が接着される前記<1>に記載の立体造形物の製造装置である。
<3> 前記層形成手段が第1の粒子層の上に第2の粒子層を形成する際に、
前記第2の吐出手段が、前記第2の粒子層における前記モデル領域となる予定部分と接するように、前記第1の粒子層における前記サポート領域を形成する前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<4> 前記層形成手段が第1の粒子層の上に第2の粒子層を形成する際に、
前記第2の吐出手段が、前記第1の粒子層における前記モデル領域と接する前記第2の粒子層における領域に前記サポート領域を形成する前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<5> 前記第1の吐出手段により形成される前記モデル領域と、前記第2の吐出手段により形成される前記サポート領域とが、一つの前記粒子層に形成される前記<1>から<4>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<6> 前記一つの前記粒子層に、前記モデル領域と前記サポート領域とが隣り合う部分を形成する際に、
前記第2の吐出手段により前記サポート領域を形成するより前に、前記第1の吐出手段により前記モデル領域を形成する前記<5>に記載の立体造形物の製造装置である。
<7> 前記第2の吐出手段が、前記モデル領域における外縁近傍領域となる領域の少なくとも一部と接するように前記サポート領域を形成する前記<1>から<6>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<8> 前記第1の吐出手段と前記第2の吐出手段とが一体となって配置される、前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<9> 前記第1の吐出手段と前記第2の吐出手段とが別々に配置されると共に、独立して移動可能である、前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<10> 前記エネルギー付与手段が、前記モデル領域における前記樹脂粒子同士の融着と、前記モデル領域における前記樹脂粒子と前記モデル領域に接する前記サポート領域における前記樹脂粒子との融着とを一括して行う前記<1>から<9>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<11> 前記エネルギー付与手段が、光を照射する光照射手段であり、
前記第1の吐出手段が吐出する前記モデル材が、前記光照射手段が照射した前記光を吸収することにより発熱可能である前記<1>から<10>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<12> 前記光照射手段が、前記モデル領域における前記樹脂粒子同士の融着と、前記モデル領域における前記樹脂粒子と前記モデル領域に接する前記サポート領域における前記樹脂粒子との融着とを、異なる前記エネルギーの前記光を照射して行う前記<11>に記載の立体造形物の製造装置である。
<13> 前記光照射手段が、前記モデル領域における前記樹脂粒子と前記モデル領域に接する前記サポート領域における前記樹脂粒子との融着を、前記モデル領域における前記樹脂粒子同士の融着の際に照射する前記光の波長よりも、短い波長の前記光を照射して行う前記<12>に記載の立体造形物の製造装置である。
<14> 前記第2の吐出手段が吐出した前記サポート材の一部が揮発することにより、前記サポート材が固化する前記<1>から<13>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<15> 前記第2の吐出手段が吐出する前記サポート材が、前記エネルギーを吸収可能である前記<14>に記載の立体造形物の製造装置である。
<16> 前記第2の吐出手段が吐出した前記サポート材が重合反応を生じることにより固化する前記<1>から<13>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<17> 固化した前記サポート材が、前記樹脂粒子を溶解しない液体に可溶である前記<15>から<16>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<18> 樹脂粒子を含む粒子層を形成する層形成工程と、
前記粒子層にエネルギーを吸収可能なモデル材を吐出してモデル領域を形成するモデル領域形成工程と、
前記粒子層にサポート材を吐出してサポート領域を形成するサポート領域形成工程と、
前記モデル領域に前記エネルギーを付与して、前記モデル領域における前記樹脂粒子同士、及び、前記モデル領域における前記樹脂粒子と前記モデル領域に接する前記サポート領域における前記樹脂粒子とを融着させるエネルギー付与工程と、
を含むことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<19> 前記サポート材が固化することにより形成されたサポート部を、前記モデル領域における前記樹脂粒子同士が融着して形成されたモデル部を溶解しない液体に浸漬させることにより除去する前記<18>に記載の立体造形物の製造方法である。
<20> 前記樹脂粒子の温度が所望の予熱温度になるように、前記樹脂粒子をあらかじめ加熱する予熱工程を更に含む前記<18>から<19>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<21> 前記サポート材が、前記樹脂粒子同士を接着する接着成分と溶媒とを含み、
前記接着成分の融点及び軟化点の少なくともいずれかが、前記予熱温度よりも高く、前記溶媒の沸点が、前記予熱温度よりも低い、前記<20>に記載の立体造形物の製造方法である。
<22> 前記サポート材が固化することにより形成されたサポート部の熱分解開始温度が、前記樹脂粒子の補外融解終了温度よりも高い、前記<18>から<21>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<23> 前記サポート部の前記熱分解開始温度が380℃より高い、前記<22>に記載の立体造形物の製造方法である。
<24> 前記エネルギー付与工程を行う際の前記モデル領域の温度を、前記樹脂粒子の前記補外融解終了温度より高く、かつ前記サポート部の前記熱分解開始温度未満とする、前記<22>から<23>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<25> 前記<1>から<17>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置、又は前記<18>から<24>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法に用いる立体造形用材料セットであって、
前記サポート材と前記樹脂粒子とを有し、
前記サポート材が固化することにより形成されたサポート部の熱分解開始温度が、前記樹脂粒子の補外融解終了温度よりも高くなることを特徴とする立体造形用材料セットである。
前記<1>から<17>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置、前記<18>から<24>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法、及び前記<25>に記載の立体造形用セットによれば、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
国際公開第2017/162306号公報 特開2016-155367号公報
10m モデル材
10s サポート材
12 平坦化ローラ(層形成手段の一部)
20 樹脂粒子
30 モデル部(造形層)
31 粒子層
52 ヘッド(吐出手段の一例)
80 光照射ユニット(エネルギー付与手段の一部)
101 モデル領域
200 サポート部
201 サポート領域
601 立体造形物の製造装置

Claims (7)

  1. 樹脂粒子を含む粒子層を形成する層形成工程と、
    前記粒子層にエネルギーを吸収可能なモデル材を吐出してモデル領域を形成するモデル領域形成工程と、
    前記粒子層にサポート材を吐出してサポート領域を形成するサポート領域形成工程と、
    前記モデル領域に前記エネルギーを付与して、前記モデル領域における前記樹脂粒子同士、及び、前記モデル領域における前記樹脂粒子と前記モデル領域に接する前記サポート領域における前記樹脂粒子とを融着させるエネルギー付与工程と、
    を含むことを特徴とする立体造形物の製造方法。
  2. 前記サポート材が固化することにより形成されたサポート部を、前記モデル領域における前記樹脂粒子同士が融着して形成されたモデル部を溶解しない液体に浸漬させることにより除去する請求項1に記載の立体造形物の製造方法。
  3. 前記樹脂粒子の温度が所望の予熱温度になるように、前記樹脂粒子をあらかじめ加熱する予熱工程を更に含む請求項1から2のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  4. 前記サポート材が、前記樹脂粒子同士を接着する接着成分と溶媒とを含み、
    前記接着成分の融点及び軟化点の少なくともいずれかが、前記予熱温度よりも高く、前記溶媒の沸点が、前記予熱温度よりも低い、請求項3に記載の立体造形物の製造方法。
  5. 前記サポート材が固化することにより形成されたサポート部の熱分解開始温度が、前記樹脂粒子の補外融解終了温度よりも高い、請求項1から4のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  6. 前記サポート部の前記熱分解開始温度が380℃より高い、請求項5に記載の立体造形物の製造方法。
  7. 前記エネルギー付与工程を行う際の前記モデル領域の温度を、前記樹脂粒子の前記補外融解終了温度より高く、かつ前記サポート部の前記熱分解開始温度未満とする、請求項5から6のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
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