JP7154087B2 - 機械部品 - Google Patents

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Description

本発明は、機械部品に関する。より特定的には、本発明は、チタン合金製の機械部品に関する。
従来から、チタン合金製の機械部品が広く知られている。チタン合金製の機械部品は、例えば航空機、自動車部品等に用いられている。チタン合金製の機械部品には、耐摩耗性が必要とされる。そのため、チタン合金製の機械部品に対しては、硬さを高めるための熱処理が行われることが通例である。
チタン合金製の機械部品の硬さを高めるための熱処理としては、溶体化処理が挙げられる。溶体化処理においては、第1に、加熱工程が行われる。加熱工程においては、機械部品は、機械部品を構成するチタン合金のβ変態開始点よりも高い温度に加熱される。これにより、機械部品を構成するチタン合金中のα相の一部が、β相へと相変態する。
溶体化処理においては、第2に、冷却工程が行われる。冷却工程においては、加熱工程で生じたβ相が、セカンダリα相へ相変態する。これにより、チタン合金製の機械部品の硬さが改善される。
溶体化処理のみによっては、チタン合金製の機械部品の表面における硬さが十分ではない場合がある。そのため、チタン合金製の機械部品の表面における硬さをさらに改善するために、非特許文献1(F. Borogioli et. al., Improvement of wear resistance of Ti-6Al-V alloy by means of thermal oxidation, Material Letters, 59 (2005), pp.2159-2162)に記載されているように、チタン合金製の機械部品の表面に酸素を固溶させる表面処理(浸酸処理)がさらに行われる場合がある。
F. Borogioli et. al., Improvement of wear resistance of Ti-6Al-V alloy by means of thermal oxidation, Material Letters, 59 (2005), pp.2159-2162
しかしながら、チタン合金製の機械部品の表面に酸素等を固溶させるための表面処理を行う場合、表面近傍において結晶粒の粗大化を惹起する。その結果、チタン合金製の機械部品の表面における硬さは改善されるものの、結晶粒の粗大化に起因して疲労強度が低下してしまう。
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、表面における硬さ及び疲労強度を両立することが可能な機械部品を提供するものである。
一実施形態に係る機械部品は、表面を有し、かつチタン合金製である。チタン合金は、複数のα結晶粒を有する。α結晶粒には、プライマリα結晶粒と、セカンダリα結晶粒とが含まれている。表面にあるα結晶粒は、第1群と、第2群とに区分されている。第1群に属するα結晶粒の結晶粒径の最小値は、第2群に属するα結晶粒の結晶粒径の最大値よりも大きい。第1群に属するα結晶粒の総面積をα結晶粒の総面積で除した値は0.7以上である。第1群に属する結晶粒径が最も小さいα結晶粒を除いた第1群に属するα結晶粒の総面積をα結晶粒の総面積で除した値は0.7未満である。第1群に属するα結晶粒の平均粒径は、15μm以下である。チタン合金は、表面において、1質量パーセント以上の酸素を含有する。
上記の機械部品において、表面におけるチタン合金の硬さは600Hv以上であってもよい。
上記の機械部品において、チタン合金は、表面において、1.4質量パーセント以上の酸素を含有していてもよい。上記の機械部品において、表面におけるチタン合金の硬さは650Hv以上であってもよい。
上記の機械部品において、チタン合金は、表面において、1.8質量パーセント以上の酸素を含有していてもよい。上記の機械部品において、表面におけるチタン合金の硬さは700Hv以上であってもよい。
上記の機械部品において、チタン合金は、α型チタン合金及びα+β型チタン合金のいずれかであってもよい。上記の機械部品において、チタン合金は、64チタン合金であってもよい。
上記の機械部品は、軸受部品であってもよい。上記の機械部品は、すべり軸受であってもよい。
一実施形態に係る機械部品によると、表面における硬さ及び疲労強度を両立することができる。
すべり軸受10の上面図である。 図1のII-IIにおける断面図である。 チタン合金に含まれる酸素の濃度と硬さとの関係とを示すグラフである。 第1群に属するα結晶粒の平均粒径と表面におけるチタン合金の硬さとの関係を示すグラフである。 実施形態に係る機械部品の製造方法を示す工程図である。 比較例に係る機械部品の表面付近におけるEBSD像である。 実施例に係る機械部品の表面付近におけるEBSD像である。
実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付すものとし、重複する説明は繰り返さない。
(実施形態に係る機械部品の構成)
以下に、実施形態に係る機械部品の構成を説明する。
実施形態に係る機械部品は、例えば、軸受部品である。実施形態に係る機械部品は、例えば、すべり軸受である。実施形態に係る機械部品はこれに限られないが、以下においては、すべり軸受10を例として説明する。
図1は、すべり軸受10の上面図である。図2は、図1のII-IIにおける断面図である。図1及び図2に示されるように、環状(リング状)の形状を有している。すべり軸受10は、表面を有している。より具体的には、すべり軸受は、表面として、上面10aと、底面10bと、内周面10cと、外周面10dとを有している。
上面10a及び底面10bは、すべり軸受10の中心軸10eに沿う方向における端面を構成している。内周面10c及び外周面10dは、上面10a(底面10b)に連なっている。内周面10cは、すべり軸受10のすべり面を構成している。
すべり軸受10は、チタン(Ti)合金製である。すべり軸受10は、好ましくは、α型のチタン合金又はα+β型のチタン合金で形成されている。ここで、α型のチタン合金とは、常温においてα相単相組織を呈するチタン合金である。また、α+β型のチタン合金とは、常温においてα相及びβ相で構成される2相組織を呈するチタン合金である。なお、α相とは、hcp(hexagonal closed pack)構造のチタンの低温相であり、β相とは、bcc(body centered cubic)構造のチタンの高温相である。
好ましくは、すべり軸受10は、ASTM規格(B348-13 GR.5)に定められるTi-6Al-4V合金(以下においては、「64チタン合金」という)で形成されている。なお、64チタン合金は、α+β型のチタン合金の一種である。
α型チタン合金の例としては、ASTM規格に定められるTi-5Al-2.5Sn合金、Ti-8Al-1Mo-1V合金、Ti-6Al-2Sn-4Zr-2Mo合金がある。α+β型チタン合金の例としては、ASTM規格に定められるTi-3Al-2.5V合金、Ti-6Al-2Sn-4Zr-6Mo合金、Ti-6Al-6V-2Sn(Cu+Fe)合金がある。
表面にあるチタン合金は、複数のα結晶粒を含んでいる。α結晶粒とは、α相で構成されている結晶粒である。α結晶粒には、プライマリα結晶粒及びセカンダリα結晶粒が含まれている。プライマリα結晶粒は、プライマリα相で構成される結晶粒である。セカンダリα結晶粒は、セカンダリα相で構成される結晶粒である。
プライマリα相は、後述する溶体化処理工程S2、時効処理工程S3及び浸酸処理工程S4のいずれにおいてもβ相に変態することなく残存したα相である。また、セカンダリα相は、一旦β相に変態した後に冷却される際に、マルテンサイト変態又はマッシブ変態により形成される相である。セカンダリα相には、hcp構造のα’相と、斜方晶構造のα’’相とがある。
プライマリα結晶粒とセカンダリα結晶粒とは、形状により識別することができる。プライマリα結晶粒は楕円形状を有しており、セカンダリα結晶粒は針状の形状を有している。
各々のα結晶粒は、結晶方位により識別される。より具体的には、あるα結晶相の結晶方位と当該α結晶相に隣接する別のα結晶相の結晶方位とのずれが15°未満である場合には、それらのα結晶相は、1つのα結晶粒と見做される。他方で、あるα結晶相の結晶方位と当該α結晶相に隣接する別のα結晶相の結晶方位とのずれが15°以上である場合には、それらのα結晶相は、別々のα結晶粒と見做される。なお、結晶方位の測定(各々のα結晶粒界の特定)は、例えば、EBSD(Electron Back Scatter Diffraction)法を用いて行われる。
表面にあるチタン合金に含まれるα結晶粒は、第1群と、第2群とに区分される。第1群に属するα結晶粒の結晶粒径の最小値は、第2群に属するα結晶粒の最大値よりも大きい。第1群に属するα結晶粒の総面積をα結晶粒の総面積で除した値は、0.7以上である。第1群に属する最も結晶粒径が小さいα結晶粒を除いた第1群に属するα結晶粒の総面積をα結晶粒の総面積で除した値は、0.7未満である。
このことを別の観点からいうと、表面にあるチタン合金に含まれるα結晶粒は、降順に(結晶粒径が大きいものから順番に)第1群に割り当てられる。そして、それまでに第1群に割り当てられたα結晶粒の総面積がα結晶粒の総面積の0.7倍をはじめて超えた段階で、第1群への割り当てを停止し、残余のα結晶粒を第2群に割り当てる。
なお、「表面にあるα結晶粒」とは、すべり軸受10の表面と当該表面から250μmの距離にある位置との間にある領域に含まれているα結晶粒のことをいう。「表面にあるα結晶粒」は、すべり軸受10の表面と当該表面から300μmの距離にある位置との間にある領域に含まれているα結晶粒であってもよい。
第1群に属するα結晶粒の平均粒径は、25μm以下である。第1群に属するα結晶粒の平均粒径は、好ましくは15μm以下である。第1群に属するα結晶粒の平均粒径は、各々の結晶粒の円相当径から算出することができる。
チタン合金は、表面において、1質量パーセント以上の酸素(O)を含有している。好ましくは、チタン合金は、表面において、1.4質量パーセント以上の酸素を含有している。さらに好ましくは、チタン合金は、表面において、1.8質量パーセント以上の酸素を含有している。なお、チタン合金中における酸素の濃度は、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)により測定される。
表面におけるチタン合金の硬さは、600Hv以上であることが好ましい。表面におけるチタン合金の硬さは、650Hv以上であることがさらに好ましい。表面におけるチタン合金の硬さは、700Hv以上であることが特に好ましい。なお、表面におけるチタン合金の硬さは、JIS規格(JJS Z 2244:2009)に規定されるビッカース硬さ試験法にしたがって測定される。
図3は、チタン合金に含まれる酸素の濃度と硬さとの関係とを示すグラフである。図3において、横軸は酸素濃度(単位:質量パーセント)を示しており、縦軸は硬さ(単位:Hv)を示している。図3に示されるように、チタン合金に含まれる酸素の濃度をXとすると(単位:質量パーセント)とすると、チタン合金の硬さは、-13.846X+185.95X+363.66で近似することができる。
そのため、例えば、表面におけるチタン合金中の酸素の濃度を1.4質量パーセント以上とすることにより、表面におけるチタン合金の硬さを600Hv以上とすることができる。同様に、表面におけるチタン合金中の酸素の濃度を1.8質量パーセント以上とすることにより、表面におけるチタン合金の硬さを650Hv以上とすることができる。
図4は、第1群に属するα結晶粒の平均粒径と表面におけるチタン合金の硬さとの関係を示すグラフである。図4において、横軸は第1群に属するα結晶粒の平均粒径の平方根の逆数(単位:μm-1/2)であり、縦軸は硬さ(単位:Hv)である。図4に示されるように、第1群に属するα結晶粒の平均粒径が小さくなるほど、表面におけるチタン合金の硬さが上昇している。
図5は、実施形態に係る機械部品の製造方法を示す工程図である。図5に示されるように、実施形態に係る機械部品の製造方法は、準備工程S1と、溶体化処理工程S2と、時効処理工程S3と、浸酸処理工程S4と、後処理工程S5とを有している。
準備工程S1においては、対象材が準備される。対象材は、チタン合金製である。対象材は、例えば、α型のチタン合金、α+β型のチタン合金で形成されている。対象材は、好ましくは、64チタン合金で形成されている。
溶体化処理工程S2においては、対象材に対して、溶体化処理が行われる。溶体化処理工程S2は、保持工程S21と、冷却工程S22とを有している。保持工程S21においては、対象材が、所定の保持温度(以下においては、「第1温度」という)において、所定の時間(以下においては、「第1時間」という)保持される。溶体化処理工程S2においては、対象材を構成するチタン合金中のα相の一部が、β相へと変態する。
第1温度は、対象材を構成するチタン合金のβ変態開始点よりも高い。第1温度は、対象材を構成するチタン合金のβ単相変態点よりも低い。β変態開始点とは、対象材を構成するチタン合金中のα相の少なくとも一部が、β相への変態を開始する温度である。β単相変態点とは、対象材を構成するチタン合金中のα相の全てがβ相へと変態する温度である。第1温度は、好ましくは、β単相変態点よりも60℃低い温度以上β単相変態点未満である。第1時間は、好ましくは、60秒以上7.2×10秒以下である。
冷却工程S22は、保持工程S21の後に行われる。冷却工程S22においては、保持工程S21を経た対象材の冷却が行われる。これにより、保持工程S21においてβ相に変態したα相がセカンダリα相となる。冷却工程S22は、例えば5質量パーセント濃度の食塩水で対象材を水冷することにより行われる。
時効処理工程S3は、溶体化処理工程S2が行われた後に行われる。時効処理工程S3においては、対象材が、所定の温度(以下においては、「第2温度」という)において所定の時間(以下においては、「第2時間」という)保持された後に、冷却される。時効処理工程S3により、冷却工程S22においてα相に変態していないβ相から、微細なセカンダリα結晶粒が析出する。
第2温度は、対象材を構成するチタン合金のβ変態開始点よりも低い。好ましくは、第2保持温度は、400℃以上700℃以下である。第2温度は、さらに好ましくは、500℃以上560℃以下である。第2時間は、好ましくは、30秒以上4.3×10秒以下であり、さらに好ましくは、7.2×10秒以上3.6×10秒以下である。
浸酸処理工程S4は、時効処理工程S3が行われた後に行われる。浸酸処理工程S4においては、対象材の表面から対象材の内部に向かって、酸素が導入される。浸酸処理工程S4においては、対象材の表面に、チタン酸化物(TiO、TiO)及びチタン炭化物(TiC)が形成される。なお、対象材の表面に形成されたチタン酸化物及びチタン炭化物は、後処理工程S5において除去される。
浸酸処理工程S4は、対象材を、所定の保持温度(以下においては、「第3温度」という)において、所定の時間(以下においては、「第3時間」という)保持することにより行われる。
第3温度は、対象材を構成するチタン合金中における酸素の拡散速度を高める観点から800℃以上であることが好ましい。第3温度は、対象材を構成するチタン合金に含まれる結晶粒の粗大化を抑制する観点からβ単相変態点未満が好ましい。第3時間は、対象材中に十分酸素を拡散させる観点から、1.4×10秒以上3.6×10秒以下であることが好ましい。
浸酸処理工程S4は、二酸化炭素(CO)を含む雰囲気ガス中において行われる。この雰囲気ガスは、不活性ガスをさらに含んでいてもよい。不活性ガスは、例えばアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等の希ガスである。不活性ガスは、窒素(N)であってもよい。雰囲気ガスの圧力は、常圧(大気圧)であることが好ましい。
雰囲気ガス中における二酸化炭素の分圧は、対象材中へと十分酸素を拡散させる観点から、50ppm以上であることが好ましい。この雰囲気ガス中における二酸化炭素の分圧は、対象材の表面においてチタン酸化物及びチタン炭化物が過度に形成されてしまうことを抑制する観点から、1パーセント以下であることが好ましい。
雰囲気ガス中に含まれる二酸化炭素は、対象材の表面において、炭素(C)と酸素とに分解される。対象材の表面において分解された炭素及び酸素は、対象材の内部へと拡散する。このようにして、雰囲気ガスに含まれる元素が対象材に拡散浸透し、浸酸処理工程S4が行われる。なお、炭素は、酸素と比較してチタン中での固溶限が狭いため、対象材の固溶強化に殆ど影響しない。
後処理工程S5は、浸酸処理工程S4の後に行われる。後処理工程S5においては、対象材に対する後処理が行われる。後処理工程S5においては、例えば、対象材の洗浄、対象材に対する研削、研磨等の機械加工等が行われる。以上により、実施形態に係る機械部品の製造が行われる。
(実施形態に係る機械部品の効果)
以下に、実施形態に係る機械部品の効果を説明する。
プライマリα相はセカンダリα相と比較して相対的に硬さが低いため、チタン合金中に相対的に結晶粒径の大きなプライマリα結晶粒が多く含まれている場合、当該プライマリα結晶粒が破壊の起点となりやすく、疲労強度が低下する。
上記のとおり、実施形態に係る機械部品の表面にあるチタン合金中においては、第1群に属するα結晶粒の平均粒径は、15μm未満である。すなわち、表面にあるチタン合金中には、相対的に結晶粒径の大きなプライマリ結晶粒の数が少ない。また、実施形態に係る機械部品においては、表面にあるチタン合金中の酸素濃度が1重量パーセント以上であるため、表面にあるチタン合金は、酸素によって固溶強化されている。したがって、実施形態に係る機械部品によると、表面における硬さが改善されているとともに、結晶粒径の微細化に伴って疲労強度が改善されている。
実施例に係る機械部品は、64チタン合金製の対象材に対して、溶体化処理工程S2、時効処理工程S3及び浸酸処理工程S4を行うことにより、製造された。詳細な熱処理条件に関しては、表1に示されるとおりである。
Figure 0007154087000001
より詳細には、第1温度は980℃とされ、第1時間は20分(1.2×10秒)とされた。また、第2温度は530℃とされ、第2時間は5時間(1.8×10秒)とされた。さらに、第3温度は850℃とされ、第3時間は16時間(5.76×10秒)とされた。浸酸処理工程S4は、二酸化炭素とアルゴンとを含む雰囲気ガス中において行われ、当該雰囲気ガス中における二酸化炭素の分圧は200ppmとされた。
他方で、比較例に係る機械部品は、64チタン合金製の対象材に対して、二酸化炭素とアルゴンとを含む雰囲気ガス中において、850℃で16時間(5.76×10秒)保持することにより製造された。
図6は、比較例に係る機械部品の表面付近におけるEBSD像である。なお、図6中においては、下側が表面側である。図6に示されるように、比較例に係る機械部品においては、表面にあるチタン合金中において、粗大なα結晶粒が析出していた。比較例に係る機械部品においては、第1群に属するα結晶粒の平均粒径は、21.6μmであった。
図7は、実施例に係る機械部品の表面付近におけるEBSD像である。なお、図7中においては、下側が表面側である。図7に示されるように、実施例に係る機械部品においては、表面にあるチタン合金中において、相対的に微細なα結晶粒が析出していた。実施例に係る機械部品においては、第1群に属するα結晶粒の平均粒径は、10.1μmであった。
このように、実施形態に係る機械部品によると、相対的に結晶粒径の大きなプライマリ結晶粒の数を減らすことができ、その結果、疲労強度の改善が可能であることが実験的にも示された。
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
上記の実施形態は、チタン合金製の機械部品に特に有利に適用される。
10 すべり軸受、10a 上面、10b 底面、10c 内周面、10d 外周面、10e 中心軸、S1 準備工程、S2 溶体化処理工程、S3 時効処理工程、S4 浸酸処理工程、S5 後処理工程、S21 保持工程、S22 冷却工程。

Claims (7)

  1. 表面を有するチタン合金製の機械部品であって、
    前記チタン合金は、複数のα結晶粒を有し、
    前記α結晶粒には、プライマリα結晶粒と、セカンダリα結晶粒とが含まれており、
    前記表面と前記表面から250μmの距離にある位置との間の領域にある前記α結晶粒は、第1群と、第2群とに区分され、
    前記第1群に属する前記α結晶粒の結晶粒径の最小値は、前記第2群に属する前記α結晶粒の結晶粒径の最大値よりも大きく、
    前記第1群に属する前記α結晶粒の総面積を前記第1群に属する前記α結晶粒及び前記第2群に属する前記α結晶粒の総面積で除した値は0.7以上であり、
    前記第1群に属する結晶粒径が最も小さい前記α結晶粒を除いた前記第1群に属する前記α結晶粒の総面積を前記第1群に属する前記α結晶粒及び前記第2群に属する前記α結晶粒の総面積で除した値は0.7未満であり、
    前記第1群に属する前記α結晶粒の平均粒径は15μm以下であり、
    前記チタン合金は、前記表面において、1質量パーセント以上の酸素を含有
    前記チタン合金は、64チタン合金であり、
    前記表面における前記チタン合金の硬さは、600Hv以上である、機械部品。
  2. 前記チタン合金は、前記表面において、1.4質量パーセント以上の酸素を含有する、請求項1に記載の機械部品。
  3. 前記表面における前記チタン合金の硬さは650Hv以上である、請求項2に記載の機械部品。
  4. 前記チタン合金は、前記表面において、1.8質量パーセント以上の酸素を含有する、請求項に記載の機械部品。
  5. 前記表面における前記チタン合金の硬さは700Hv以上である、請求項に記載の機械部品。
  6. 前記機械部品は、軸受部品である、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の機械部品。
  7. 前記機械部品は、すべり軸受である、請求項に記載の機械部品。
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