JP7153416B2 - 高圧噴射撹拌工法の品質管理方法 - Google Patents
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Description
ここで、計測された造成径が設計改良体径よりも大径であれば、供給される固化材量(固化材添加量)は一定なので、改良体の大径部分(径大部)の単位体積当たりの固化材含有量は少なくなってしまう。
従来技術では固化材添加量の調整はリアルタイムで行うことが出来なかった。そのため従来技術では、改良体の単位体積当たりの固化材含有量が少なくならないように、(径大部が形成されても単位体積当たりの固化材添加量が基準値を低下しない様に)地中で噴射する固化材噴流における固化材含有量を基準値相当値よりも多くして、必要以上に「富配合」の固化材を噴射していた。
しかし、固化材を必要以上に「富配合」にすることは固化材の浪費であり、改良体造成コストの高騰を惹起してしまう。
地上側に流出したスライム(排泥)を分析装置(2:例えば、粘性計測機能、比重計測機能、或いは成分分析機能を有している装置)により分析して、比重、粘性、成分分析の結果の何れか1つのパラメータを用いてスライム中の固化材含有量を決定する工程と、
前記工程で決定したスライム中の固化材含有量から、改良体に含有される固化材の量を決定する工程を含み、
改良体に含有される固化材の量を決定する工程では、単位時間当たりの軸方向長さ(da)の改良体の体積(va)を式
va=(πD 2 /4)×da
によりリアルタイムで算定し、軸方向単位長さ(da)だけ回転噴射管(1)を引き上げる時間(単位時間)毎に、回転噴射管(1)に供給される固化材量(リアルタイムで管理されている数値)から、前記スライム中の固化材含有量を決定する工程で決定されたスライム中に包含する固化材量を減算することにより、軸方向単位長さ(da)だけ回転噴射管(1)を引き上げる時間に造成された改良体(単位体積の改良体)に含有されている固化材の量を決定し、
前記スライム中の単位体積当たりの固化材含有量と、前記スライム中の単位体積当たりの固化材含有量の過不足の良否を判定するしきい値とを比較し、高濃度固化材スラリーに混合する流体(水、混和剤、低濃度固化材スラリー等)の混合量を流量調整手段(例えば流量調整弁、絞り等)により制御して、適正な固化材含有量に調節する工程を有することを特徴としている。
地上側に流出したスライム(排泥)を分析装置(2:例えば、粘性計測機能、比重計測機能、或いは成分分析機能を有している装置)により分析して、比重、粘性、成分分析の結果の何れか1つのパラメータを用いてスライム中の固化材含有量を決定する工程と、
前記工程で決定したスライム中の固化材含有量から、改良体に含有される固化材の量を決定する工程を有し、
改良体に含有される固化材の量を決定する工程では、単位時間当たりの軸方向長さ(da)の改良体の体積(va)を式
va=(πD 2 /4)×da
によりリアルタイムで算定し、軸方向単位長さ(da)だけ回転噴射管(1)を引き上げる時間(単位時間)毎に、回転噴射管(1)に供給される固化材量(リアルタイムで管理されている数値)から、前記スライム中の固化材含有量を決定する工程で決定されたスライム中に包含される固化材量を減算することにより、軸方向単位長さ(da)だけ回転噴射管(1)を引き上げる時間に造成された改良体(単位体積の改良体)に含有されている固化材の量を決定し、
前記スライム中の単位体積当たりの固化材含有量と、前記スライム中の単位体積当たりの固化材含有量の過不足の良否を判定するしきい値とを比較し、高濃度固化材スラリーまたは低濃度固化材スラリーの供給により適正な固化材含有量に調節する工程を有することを特徴としている。
さらに本発明は、回転噴射管(1)から固化材を地盤中に噴射して改良体を造成する高圧噴射撹拌工法により造成される改良体の品質を管理する管理方法において、
地上側に流出したスライム(排泥)を分析装置(2:例えば、粘性計測機能、比重計測機能、或いは成分分析機能を有している装置)により分析してスライム中の固化材含有量を決定する工程と、
前記工程で決定したスライム中の固化材含有量から、造成された改良体に含有される固化材の量を決定する工程を有し、
前記造成された改良体に含有される固化材の量を決定する工程では、単位時間当たりの軸方向長さ(da)の改良体の体積(va)を式
va=(πD 2 /4)×da
によりリアルタイムで算定し、軸方向単位長さ(da)だけ回転噴射管(1)を引き上げる時間(単位時間)毎に、回転噴射管(1)に供給される固化材量(リアルタイムで管理されている数値)からスライム中に包含する固化材量を減算することにより、軸方向単位長さ(da)だけ回転噴射管(1)を引き上げる時間に造成された改良体(単位体積の改良体)に含有されている固化材の量を決定し、
(軸方向単位長さdaだけ回転噴射管1を引き上げる時間に造成された)改良体に含有された固化材の量と、(軸方向単位長さだけ回転噴射管1を引き上げる時間に造成された)改良体の体積(va:改良体の単位体積)から、単位体積(va)当りの改良体における固化材含有量を求め、単位体積(va)当りの改良体における固化材含有量から造成された地中固結体における固化材含有量が適正か否を判定することを特徴としている。
本発明において、造成径連続検知センサー(3:例えばACI:音響円柱状固結体検査装置:Acoustic Column Inspector)により改良体の径寸法を推定する工程を有することが好ましい。
前記制御機能(10)は、スライム中の固化材含有量を決定する機能と、改良体が含有する固化材の量を決定する機能と、改良体が含有する固化材の量が改良体の所望の品質を充足するか否かを判断する機能を有しているのが好ましい。
また、前記システム(100)を使用するに際して、改良体の径寸法を推定する造成径連続検知センサー(3、例えばACI:音響円柱状固結体検査装置:Acoustic Column Inspector)を有し、造成径連続検知センサー(3)により改良体の径寸法を推定するのが好ましい。
ここで、「改良体に含有された固化材の量」は、「回転噴射管(1)に供給される固化材量」から「スライム中に包含する固化材量」を減算すれば求めることが出来るので、地上側に流出するスライム(排泥)中に包含する固化材量を決定することが出来る本発明によれば、改良体に含有される固化材の量を求めることが出来る。
その結果、改良体造成に際して地中で噴射される固化材噴流の固化材含有量を適正に制御することが出来る。
すなわち、改良体を造成しつつ、造成径連続検知センサー(3、例えばACI:音響円柱状固結体検査装置:Acoustic Column Inspector)によってリアルタイムにて造成径を推定し、推定された径寸法に基づいて、改良体の施工仕様(例えば、引上げ速度、回転数等)を変更或いは調整することが出来る。また、造成径の推定結果に基づいて、固化材(セメント)添加量の良否を判定することが可能となり、その結果、地中固結体の品質(固化材添加率が適正であること)が担保されると共に、無駄になる固化材の量が減少する。そのため、コストが削減される。
また、単位体積当たりの固化材含有量を調整できるので、改良体の強度の調整も可能である。
従来技術では、試験施工を複数回実行して、施工領域における施工地盤の性状(構成土層その他の仕様)を確定してからでないと、固化材含有量を算定することは出来なかった。
本発明において、造成径を推定すれば、試験施工を複数回行わなくても、造成径を推定し、固化材の含有量を適切に設定することが出来る。そのため、試験施工に掛かるコストを節減することが出来る。
それに加えて、本発明によれば必要以上の富配合の固化材スラリーを使用する必要が無いため、固化材消費量を節減することが出来る。
そして本発明において未固結改良体を分析する場合には、改良体に含有された固化材の量を減算せずに決定することが出来るので、その分だけ演算が簡略化される。
図示の実施形態は、高圧噴射撹拌工法により回転噴射管から固化材を地盤中に噴射して改良体を造成し、造成された改良体の品質を管理する制御を実行しつつ施工しており、図示の実施形態における施工の概要が図1に示されている。図1において、回転噴射管1から固化材を地盤中に噴射して(固化材の噴流を符号Jで示す)改良体Kを造成する際に、造成現場の作業員により、リアルタイムで改良体Kの径寸法Dを推定し、造成される改良体における軸方向単位長さda(単位時間当たりに回転噴射管1が移動する軸方向長さ)の改良体の体積vaを算定する。
改良体Kは回転体形状(円柱状)であり、単位時間当たりの軸方向長さdaは、回転噴射管1の引上げ速度(例えば一定値)から容易に求まるので、造成改良体径Dがリアルタイムで推定されれば、単位時間当たりの軸方向長さdaの改良体の体積vaも例えば下式により、リアルタイムで算定できる。
va=(πD2/4)×da
そして、軸方向単位長さda当りの改良体(体積va)における固化材の含有量は適正か、すなわち、軸方向単位長さda当りの改良体(体積va)が所望の品質で施工されているか否かがリアルタイムに判明する。
図示の実施形態においては、上述の様な改良体品質の判定、すなわち、改良体における固化材の含有量は適正か否かについて、軸方向の単位長さda毎に、軸方向に連続して且つリアルタイムで行い、また、改良体の品質が適正となる様に固化材供給量を制御している。
図示の実施形態においては、造成径連続検知センサー(例えばACI)により回転噴射管1の軸方向の単位長さda毎に、且つ、回転噴射管1の軸方向に連続して、地盤改良体Kの改良体径Dを推定している。
なお、現場の作業員による改良体径Dの推定で用いられる造成径連続検知センサーはACIに限定されるものではなく、回転噴射管1の軸方向に連続して改良体の造成径を推定することが出来る技術であれば、その他の技術を適用することが可能である。
先ず、回転噴射管1に供給され、回転噴射管1から地盤中に噴射される固化材量はリアルタイムに計測(管理)されている。この回転噴射管1に供給され、地盤中に噴射される固化材は、一部は(造成改良体に留まり)造成改良体に含有されるが、その他は地上側に流出するスライム(排泥)に包含される。
したがって、地上側に流出するスライム中に包含する固化材量が決定出来れば、軸方向単位長さだけ回転噴射管1を引き上げる時間毎に、「回転噴射管1に供給される固化材量」から「スライム中に包含する固化材量」を減算することにより、「(軸方向単位長さだけ回転噴射管を引き上げる時間に造成された)改良体に含有された固化材の量」を決定することが出来る。
スライム中に包含された固化材量を決定するために用いられる計測装置或いは分析装置としては、例えば蛍光X線分析装置或いはそれ以外の従来技術に係る分析装置を適用可能である。
そして、固化材含有量が適正でない場合には、回転噴射管1に供給される固化材量を制御して対処することが出来る。
すなわち、図示の実施形態によれば、地中固結体Kの造成径Dの推定と、固化材(セメント)添加量の調整をリアルタイムに実行しながら施工できると共に、造成径Dを推定して判定しながら、固化材(セメント)添加量の良否を判定することが出来る。
ACI3は、回転噴射管1の噴射ノズル1Aから噴射された固化材ジェットを衝突させる鉄筋棒3A1、3A2、収音器3B1、3B2を備えている。集音器3B1、3B2は鉄筋棒3A1、3A2の地上側端部に設けられ、固化材ジェットが各々の鉄筋棒3A1、3A2に衝突した際の振動を検知する機能を有している。
図2において、符号Jは固化材を含有する噴流(固化材ジェット)、矢印AR1は回転噴射管1内を流れて噴射ノズル1Aに供給される固化材の流れ、矢印AR2はボーリング孔BHの内壁と回転噴射管1の間の空間を流れるスライムの流れを示している。
固結体造成中に固化材ジェットJが噴射されている土層が変化すると、鉄筋棒3A1、3A2に固化材ジェットJが衝突する音が変化する。これにより、回転噴射管1の軸方向(図2の上下方向)の単位長さ(図1の長さda)毎に、且つ、回転噴射管1の軸方向に連続して、地盤改良体Kの改良体径D(図1)をリアルタイムに推定することが出来る。
図2のACI3では、鉄筋棒3A1が設計改良体径Ddの相当する位置に配置され、鉄筋棒3A2が設計改良体径Ddよりも僅かに大きい径Ddlに相当する位置に配置されているので、造成径Dが Dd≦D≦Ddl の範囲であるか否かを推定することが出来る。
スライム分析装置2により、スライムの粘性計測や比重計測或いは成分分析を行うことで、スライム中の固化材含有量を決定することが出来る。
スライム分析装置2で粘性計測や比重計測或いは成分分析が行われる。
スライム分析装置2について、粘性計測機能、比重計測機能、及び/又は、成分分析機能を有している従来技術に係る機器が適用可能である。
そして、改良体における固化材含有量が適正でない場合には、固化材(セメント)添加量の調整をリアルタイムに実行しながら、改良体造成を行うことができる。すなわち、図示の実施形態では、改良体Kを造成しつつ、リアルタイムにて造成径Dを推定して判定し、改良体における固化材含有量(セメント添加量)を算出した上、当該固化材含有量の良否(改良体の品質)を判定することが出来る。
そして、軸方向単位長さdaだけ回転噴射管1を引き上げる時間(単位時間)毎に、「回転噴射管1に供給される固化材量」(リアルタイムで管理されている数値)から「スライム中に包含する固化材量」を減算することにより、軸方向単位長さdaだけ回転噴射管1を引き上げる時間に造成された改良体(単位体積の改良体)に含有されている固化材の量を決定する。
そして、(軸方向単位長さdaだけ回転噴射管1を引き上げる時間に造成された)改良体に含有された固化材の量が求まれば、上述した様に、(軸方向単位長さだけ回転噴射管1を引き上げる時間に造成された)改良体の体積va(改良体の単位体積)はリアルタイムに算定することができるので、単位体積当りの改良体における固化材含有量が求まり、造成された地中固結体における固化材含有量が適正か否を判定出来る。
そして、スライム中の固化材量算定10は、スライム分析装置2から得られた「スライム中に包含する固化材量」及びリアルタイムで管理される「回転噴射管1に供給される固化材量」から「単位体積va当りの固化材含有量」を求め、「単位体積当りの固化材含有量(セメント添加量)の良否判定のしきい値」との対比により、(改良体の単位体積va当たりの)固化材含有量が適正か否かを判定している。すなわち、造成された単位体積va当りの改良体の品質が適切か否かを判定している。
図3を参照して後述する様に、固化材供給ユニット5には固化材供給用の超高圧ポンプ5C(図3参照:図2では図示せず)が設けられており、超高圧ポンプ5Cから固化材が高圧にて回転噴射管1に供給される。ここで超高圧ポンプ5C(図3)は一つ(シングルポンプ)でも良く、ダブルポンプも適用可能である。図2における符号6は高圧エアを供給するためのコンプレッサである。
図2では、ACI3(造成径連続検知センサー)の鉄筋棒は2本示されているが、同一径の位置に鉄筋棒を1本だけ設けても良く、或いは鉄筋棒を3本以上でも良い。また、鉄筋棒を3種類以上の径位置に設けることも出来る。
そして、「音量-固化材ジェット到達距離(すなわち改良体径)」特性と、前記「音量」に基づき、造成された改良体径Dを推定する(20)。
改良体径Dを推定すると共に、推定された改良体径Dに関する情報信号は、スライム中の固化材量算定10に送信される。
図3において破線で囲って示す固化材供給ユニットは、全体を符号5で示している。固化材供給ユニット5は、高濃度固化材スラリー貯蔵部51を備えている。高濃度固化材スラリー貯蔵部51で貯蔵されている高濃度固化材スラリーは、固化材供給ライン5E1を介してミキサ55(撹拌装置)に送られる。
一方、固化材供給ユニット5は貯水槽56(流体貯蔵手段)を備え、貯水槽56内の水(流体)は、水(流体)供給ライン5E3、流量調整弁57、水供給ライン5E4を介してミキサ55に送られる。
スライム中の固化材量算定10の結果により、流量調整弁57及び超高圧ポンプ5Cを操作して流量を調整する。
しかし、超高圧ポンプ5Cの吐出量を定量として、回転噴射管1に供給される固化材流量を一定にして、回転噴射管1に供給される固化材スラリー(固化材+水の混合液で懸濁している液体)における固化材濃度を調節して、地中側へ供給される固化材の量を調整することも出来る。その場合には、スライム中の固化材量算定10の結果、「単位体積当りの固化材含有量」が少な過ぎるため、地中側へ供給される固化材の量を増加したい場合には、スライム中の固化材量算定10により流量調整弁57の弁開度を減少して、ミキサ55に供給される水の量を減少し、固化材スラリーにおける固化材濃度を高くする。
なお、回転噴射管1の引上げ速度を変動させて、地中側へ供給される固化材流量を調節することも可能である。
破線で囲って示す固化材供給ユニットは、全体を符号5Aで示している。そして固化材供給ユニット5は、高濃度固化材スラリー貯蔵部5A1、低濃度固化材スラリー貯蔵部5A2を有している。
高濃度固化材スラリー貯蔵部5A1、低濃度固化材スラリー貯蔵部5A2は、それぞれ配管5E11、5E12、5E13により回転噴射管1に接続されている。
一方、配管5E12は低濃度固化材スラリー貯蔵部5A2に連通しており、回転噴射管1に低濃度の固化材スラリーを供給する配管であり、低濃度の固化材スラリーの流量を調整する流量調整弁5D2が介装されている。
配管5E13にはミキサ5B及び超高圧ポンプ5Cが介装されており、固化材はミキサ5Bで混合された後、超高圧ポンプ5Cで高圧にて回転噴射管1に供給される。
スライム中の固化材量算定10の結果により、流量調整弁5D1、5D2を操作して流量を調整する。
スライム中の固化材量算定10の結果、「単位体積当りの固化材含有量」が少な過ぎるため、地中側へ供給される固化材の量を増加したい場合には、スライム中の固化材量算定10から流量調整弁5D1、5D2の操作を制御することにより、高濃度の固化材スラリーの流量を増加し、低濃度の固化材スラリーの流量を減少する。
図4のその他の構成及び作用効果は、図3のスライム中の固化材量算定10と同様である。
図5は、図6を参照して後述する施工手順において、「一本目の改良体」に相当する改良体造成における改良体の品質を管理する制御を示している。
図5において、符号Fβで示す範囲に包含されるステップS4~S8は、改良体に含有される固化材量を所定の範囲に保ち、改良体の品質を保つ制御に関する。
一方、ステップS5では、スライム(排泥)の分析によりスライム中の固化材含有量(軸方向単位長さ当たりのスライムの固化材含有量)を決定する。軸方向単位長さ当たりのスライムの固化材含有量の決定は、スライム分析装置2の分析結果に基づき、決定される。スライム分析後、ステップS6に進む。
ステップS6では、単位体積vaの改良体における固化材含有量(単位体積vaの改良体へ供給された固化材量)を演算し、決定する。単位体積vaの改良体へ供給された固化材量の決定は、スライム中の固化材量算定10で決定した固化材供給量(単位時間毎に回転噴射管1に供給される固化材量)から、ステップS5で求めたスライム中の固化材含有量を減算することにより実行される。そしてステップS7に進む。
単位体積va当たりの改良体の固化材含有量が適切(良)か否か(すなわち改良体の品質が適切か否か:ステップS7がYesかNoか)の決定においては、単位体積va当たりの改良体の適切な固化材含有量のしきい値を基準とする。
単位体積va当たりの改良体の固化材含有量が所定の許容値すなわち「しきい値」より大きければ、「適切(良)」と判断する(ステップS7が「Yes」)。一方、単位体積va当たりの改良体の固化材含有量が「しきい値」以下であれば、「適切でない(否)」と判断する(ステップS7が「No」)。
一方、ステップS7における改良体の単位体積va当りの固化材含有量が「適切でない」の場合(ステップS7が「No」)には、ステップS8に進む。
なお、図4で示す固化材供給ユニット5Aの場合には、流量制御弁5D1、5D2の操作を制御して、回転噴射管1に供給されるスラリー中の固化材量(スラリーに含有される固化材量)を調整する。
所定の改良体で実施された造成径の計測により、施工現場における地盤の性状(構成土層等)、深度と構成土層との関係、その他の仕様が判明するので、それ以降(所定の改良体の造成以降)における改良体の造成では、造成径連続検知センサー(例えばACI)による造成径の推定を行うことなく、スライム分析装置2によりスライム中の固化材含有量を決定することが出来る。
図6において、ステップS11では、最初の1本目の改良体造成時に得た施工仕様を2本目以降においても適用するか否かを判定する。
ステップS11の判定の結果、1本目の施工仕様を適用する場合(ステップS11が「適用する」)、ステップS15に進む。
一方、施工地盤の違い等により適用しない場合(ステップS11が「適用しない」)、ステップS12に進み、1本目と同様に、ACIによる造成径の推定とスライムの分析結果により、適切な固化材を供給制御して改良体造成の施工仕様を決定する。そしてステップS12では、1本目で求めた造成径の値を利用し、スライムの分析結果から固化材の算定を行う。
ステップS13が「No」の場合、スライム分析装置2によりスライム中の固化材含有量の計測と固化材供給量の制御を実行する(ステップS16)。固化材供給量の制御では、図3、図4を参照して上述した様に、スライム中の固化材含有量の計測結果に基づき、改良体の固化材含有量を決定した上で、当該改良体の固化材含有量の過不足分を調整するため、必要な制御を行う。そして、ステップS12以下を繰り返す。
計画時の改良体造成仕様にもとづく事前の配合試験や、過去の実績等により、スライム中の成分特性値を決定し、決定された成分特性値に基づいてしきい値が設定される。
事前の配合試験の結果や、過去の実績等に基づいて、上述した様に、比重、粘性、成分分析の各項目について、しきい値が設定される。このしきい値は現場施工において比重、粘性、成分分析(例えば、カルシウム含有量)の各計測項目の合否判定基準となる。
しきい値と計測値を比較し、比重、粘性、成分分析における各計測値が、それぞれのしきい値を充足しているか否かの合否判定が施工現場で行われる。
計測された比重により、固化材含有量および切削地盤量を求めることができる。配合試験や過去の実績、土質により求まる比重のしきい値よりもスライムの比重が低い場合は、固化材及び切削地盤がスライム中に包含されていないため、施工計画における想定よりも改良体の内部に固化材および切削地盤が残存している可能性があり、これは「切削不良」や「撹拌不足」に基づくことが想定される。
地盤の比重は、1.4から2.1程度であり、固化材の比重は、3.0程度であるので、切削地盤と固化材と水から構成されるスライムの比重を計測すれば、固形物である固化材含有量と切削地盤量を概略決定することが出来、これにより、固化材含有量の過不足を判定することができる。
計測されたスライムの粘性値から、固化材含有量と、切削地盤量及び固化材の材料均一性と、切削地盤の材料均一性とを求めることができる。
配合試験や、過去の実績等により求まる粘度のしきい値よりも、計測されたスライムの粘度が低い場合には、切削地盤が排出されておらず、施工計画における想定よりも改良体内部に切削地盤が残存している可能性があり、その原因として、比重の場合と同様に、「切削不良」や「撹拌不足」が考えられる。
上述したようにスライムは切削地盤と固化材と水から構成されているため、スライムの固形物分である固化材と切削地盤の量が、スライムの粘度の高低として顕現する。また高圧噴射撹拌工法においては、地盤が切削された程度と、固化材と水と切削地盤が混合した程度が、スライムの粘度の高低となって現れる。比重の計測結果からスライムにおける固化材含有量と地盤切削量が求められれば、粘性の計測値から固化材含有量の過不足を判定することができる。
スライム中の固化材含有の元素成分(例えば、カルシウムCa)の含有量から固化材含有量を換算することが出来るので、改良体の改良径及び/又は強度を求めることが出来る。ここで、カルシウムCa含有量のしきい値(配合試験や過去の実績等により求められたしきい値)よりも、スライム中のCa含有量が高い場合、固化材がスライムとして多く排出されていることとなり、切削地盤中の固化材が施工計画よりも少なくなっている可能性がある。そのため、「切削不良」や「撹拌不足」が疑われる。
高圧噴射撹拌工法における固化材はセメントを包含しており、セメントの水和反応で固化する成分は、例えばCaの含有量で評価できることが知られている。そのため、スライム中のCa含有量を計測することで固化材含有量を特定することが出来、その結果、固化材含有量の過不足を判定することが出来る。
その結果、改良体造成に際して地中で噴射される固化材噴流の固化材含有量を適正に制御することが出来る。
また、改良体に含有される固化材の量も推定して、適正に制御することが出来る。換言すれば、改良体を造成しつつ、リアルタイムにて造成径を推定して判定し、固化材(セメント)添加量の良否を判定することが出来る。その結果、地中固結体の品質(固化材添加率が適正であること)が担保されると共に、無駄になる固化材の量が減少する。そのため、コストが削減される。
その結果、単位体積当たりの固化材含有量が少ない地中固結体が造成されてしまう可能性が排除でき、また、単位体積当たりの固化材含有量を調整できるので、改良体の強度の調整も可能である。
それに加えて、図示の実施形態では必要以上の富配合の固化材スラリーを使用する必要が無いため、固化材消費量を節減することが出来る。
2・・・スライム分析装置
3・・・造成径連続検知センサー(例えばACI:音響円柱状固結体検査装置)
10・・・スライム中の固化材量算定
100・・・管理方法を実行するシステム
K・・・改良体
Claims (4)
- 回転噴射管(1)から固化材を地盤中に噴射して改良体を造成する高圧噴射撹拌工法により造成される改良体の品質を管理する管理方法において、
地上側に流出したスライムを分析装置(2)により分析して、比重、粘性、成分分析の結果の何れか1つのパラメータを用いてスライム中の固化材含有量を決定する工程と、
前記工程で決定したスライム中の固化材含有量から、改良体に含有される固化材の量を決定する工程を含み、
改良体に含有される固化材の量を決定する工程では、単位時間当たりの軸方向長さ(da)の改良体の体積(va)を式
va=(πD 2 /4)×da
によりリアルタイムで算定し、軸方向単位長さ(da)だけ回転噴射管(1)を引き上げる時間毎に、回転噴射管(1)に供給される固化材量から、前記スライム中の固化材含有量を決定する工程で決定されたスライム中に包含する固化材量を減算することにより、軸方向単位長さ(da)だけ回転噴射管(1)を引き上げる時間に造成された改良体に含有されている固化材の量を決定し、
前記スライム中の単位体積当たりの固化材含有量と、前記スライム中の単位体積当たりの固化材含有量の過不足の良否を判定するしきい値とを比較し、高濃度固化材スラリーに混合する流体の混合量を流量調整手段により制御して、適正な固化材含有量に調節する工程を有することを特徴とする管理方法。 - 回転噴射管(1)から固化材を地盤中に噴射して改良体を造成する高圧噴射撹拌工法により造成される改良体の品質を管理する管理方法において、
地上側に流出したスライムを分析装置(2)により分析して、比重、粘性、成分分析の結果の何れか1つのパラメータを用いてスライム中の固化材含有量を決定する工程と、
前記工程で決定したスライム中の固化材含有量から、改良体に含有される固化材の量を決定する工程を有し、
改良体に含有される固化材の量を決定する工程では、単位時間当たりの軸方向長さ(da)の改良体の体積(va)を式
va=(πD 2 /4)×da
によりリアルタイムで算定し、軸方向単位長さ(da)だけ回転噴射管(1)を引き上げる時間毎に、回転噴射管(1)に供給される固化材量から、前記スライム中の固化材含有量を決定する工程で決定されたスライム中に包含される固化材量を減算することにより、軸方向単位長さ(da)だけ回転噴射管(1)を引き上げる時間に造成された改良体に含有されている固化材の量を決定し、
前記スライム中の単位体積当たりの固化材含有量と、前記スライム中の単位体積当たりの固化材含有量の過不足の良否を判定するしきい値とを比較し、高濃度固化材スラリーまたは低濃度固化材スラリーの供給により適正な固化材含有量に調節する工程を有することを特徴とする管理方法。 - 回転噴射管(1)から固化材を地盤中に噴射して改良体を造成する高圧噴射撹拌工法により造成される改良体の品質を管理する管理方法において、
地上側に流出したスライム(排泥)を分析装置(2)により分析してスライム中の固化材含有量を決定する工程と、
前記工程で決定したスライム中の固化材含有量から、造成された改良体に含有される固化材の量を決定する工程を有し、
前記造成された改良体に含有される固化材の量を決定する工程では、単位時間当たりの軸方向長さ(da)の改良体の体積(va)を式
va=(πD 2 /4)×da
によりリアルタイムで算定し、軸方向単位長さ(da)だけ回転噴射管(1)を引き上げる時間毎に、回転噴射管(1)に供給される固化材量からスライム中に包含する固化材量を減算することにより、軸方向単位長さ(da)だけ回転噴射管(1)を引き上げる時間に造成された改良体に含有されている固化材の量を決定し、
改良体に含有された固化材の量と改良体の体積(va)から、単位体積(va)当りの改良体における固化材含有量を求め、単位体積(va)当りの改良体における固化材含有量から造成された地中固結体における固化材含有量が適正か否を判定することを特徴とする管理方法。 - 造成径連続検知センサーにより改良体の径寸法を推定する工程を有する請求項1~3の何れか1項の管理方法。
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