JP2017002677A - 地盤改良薬液の注入方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】地盤に薬液を注入するに際して、薬液注入仕様を迅速に決定できるとともに工数やコストを抑えることが可能な地盤改良薬液の注入方法を提供する。【解決手段】対象領域に形成された少なくとも1本の注入孔に水を注入することにより、対象領域における注水圧力Pと注水流量Qとの関係を取得する。そして、この取得した注水圧力Pと注水流量Qとの関係に基づいて対象領域の透水係数kを算出し、この算出した透水係数kと、予め蓄積されている細粒分含有率Fcと透水係数kとの関係データとに基づいて、対象領域の細粒分含有率Fcを算定する。細粒分含有率Fcの範囲に応じて予め設定されている薬液の複数の注入仕様の中から、算定した細粒分含有率Fcに合致する1つの注入仕様を選択し、この注入仕様に基づいて、水を注入した注入孔およびその周囲の注入孔に薬液を注入し、改良地盤を形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、地盤改良薬液の注入方法に関し、さらに詳しくは、地盤に薬液を注入するに際して、薬液注入仕様を迅速に決定できるとともに工数やコストを抑えることが可能な地盤改良薬液の注入方法に関するものである。
液状化対策等を目的とした地盤改良方法として、地盤中に溶液系薬液やセメント系懸濁型薬液等の地盤改良薬液(以下、薬液という)を注入する薬液注入工法が行われている。薬液注入工法において、薬液を地盤に注入する際の注入流量や注入圧力、注入率等の薬液注入仕様は対象領域の土質に基づいて決定される。一般的には、その対象領域の細粒分含有率(粒径0.075mm以下の土粒子の含有率)に基づいて決定されている。
従来、地盤の細粒分含有率の測定方法として、地盤の土と水を投入した容器をよく撹拌して泥土中の砂分を洗浄分離し、容器を静置した後に沈降した砂分の体積を計り、間隙比から粗粒土の質量を求めて細粒分含有率を求める方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この測定方法では細粒分含有率を迅速に把握することができない。また、粒度分析によって細粒分含有率を求める方法では、ボーリングにより現地土砂を採取した後に室内で試験を行う必要があるため、試験に要する時間が長くなる。間隙水圧の消散値により細粒分含有率を求める方法では、間隙水圧の消散値を得るためにコーン試験等のサラウンディングを実施する必要があり、間隙水圧の消散解析にもある程度の時間が必要であった。また、上述の従来の種々の方法では、薬液を地盤に注入する施工とは別に、細粒分含有率を測定するための工数やコストが必要になる。そのため、薬液を地盤に注入する施工の際に、薬液注入仕様を迅速に決定するとともに工数やコストを抑制するには改善の余地があった。
特開2012−220229号公報
本発明の目的は、地盤に薬液を注入するに際して、薬液注入仕様を迅速に決定できるとともに工数やコストを抑えることが可能な地盤改良薬液の注入方法を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明の地盤改良薬液の注入方法は、地盤の対象領域に形成された注入孔に、地盤改良薬液を注入することにより前記対象領域に改良地盤を形成する地盤改良薬液の注入方法において、前記対象領域に形成された少なくとも1本の注入孔に水を注入することにより、前記対象領域における注水圧力と注水流量との関係を取得し、この取得した注水圧力と注水流量との関係に基づいて前記対象領域の透水係数を算出し、この算出した透水係数と、予め蓄積されている細粒分含有率と透水係数との関係データとに基づいて、前記対象領域の細粒分含有率を算定し、細粒分含有率の範囲に応じて予め設定されている前記地盤改良薬液の複数の注入仕様の中から、前記算定した細粒分含有率に合致する1つの注入仕様を選択し、この選択した注入仕様に基づいて、前記水を注入した注入孔を含めて前記対象領域に形成された注入孔に前記地盤改良薬液を注入することを特徴とする。
本発明によれば、対象領域で注入孔に水を注入して、その注水圧力と注水流量との関係を取得することで迅速、容易に対象領域の細粒分含有率を算出し、その対象領域に適した注入仕様も決定できる。さらに、この細粒分含有率を算定するためだけに用いる注入孔を掘削する必要がなく、細粒分含有率の算定に用いた注入孔を地盤改良薬液を注入するためにも使用するので、工数やコストを抑えるのに有利である。
前記注入仕様として、例えば前記地盤改良薬液の注入率、限界注入速度および限界注入圧力を設定する。これにより、対象領域におけるひび割れ発生や注入不足などの不具合を回避しつつ地盤改良薬液を注入して良好な改良地盤を形成し易くなる。
前記地盤改良薬液として、溶液型薬液またはセメント系懸濁型薬液を使用し、それぞれの薬液について別々に、細粒分含有率の範囲に応じて予め複数の前記注入仕様を設定しておくこともできる。この場合、対象領域の地盤の状況等に応じて、それぞれの地盤改良薬液を使い分けることができるので、良好な改良地盤を形成するには益々有利である。
前記透水係数を算出する際に、具体的に例えば、前記注水圧力を有効注水圧力水頭に換算し、前記注水流量に対する前記有効注水圧力水頭の傾きAを求め、この求めた傾きAを下記(1)式に導入することにより、前記透水係数kを算出することもできる。
透水係数k={1/(2πLA)}ln(2L/D)・・・(1)
ここで、Lは前記注入孔において注入した前記水を保持する部分の長さ、Dは前記注入孔の直径である。
本発明の地盤改良薬液の注入方法の一例を示すフロー図である。 現地注水試験工程を縦断面視で例示する説明図である。 注水流量と有効注水圧力水頭の関係を例示するグラフ図である。 細粒分含有率と透水係数との関係データを例示するグラフ図である。 薬液注入工程を縦断面視で例示する説明図である。
以下、本発明の地盤改良薬液の注入方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。
本発明は、図5に示すように、地盤の対象領域に形成された注入孔Hに、地盤改良薬液G(以下、薬液Gという)を注入することによって対象領域に改良地盤を形成する薬液Gの注入方法である。この薬液Gを対象領域に注入する施工の際に、特別な工夫をすることで対象領域に適した薬液Gの注入仕様を迅速に決定できるようにしている。この実施形態では、削孔機から延ばしたケーシングロッドによって対象領域に孔径D(m)の注入孔Hを形成している。地盤に薬液Gを注入する工程については後述する。
本発明は、図1のフロー図で示すように、大きく分けて5つの工程(現地注水試験工程、透水係数算出工程、細粒分含有率算定工程、注入仕様選択工程、薬液注入工程)で構成されている。以下に、各工程の詳細を説明する。
現地注水試験工程では、図2で示すように、地盤の対象領域に形成された少なくとも1本の注入孔Hに水Wを注入することにより、対象領域における注水圧力P(Pa)と注水流量Q(m/s)との関係を取得する。具体的には、対象領域に削孔機等を用いて注入孔Hを形成し、この注入孔Hに現地注水試験装置1を設置する。
現地注水試験装置1は、注水管2と、注水管2に接続される注水装置3と、注水管2に設けられる流量計4と水圧計5と、注水装置3と流量計4と水圧計5とに有線または無線で接続される演算装置6と、注水管2の外周面に設けられるパッカ7と、パッカ7に接続されるチューブ8と、チューブ8に接続される加圧装置9とを備えている。
注水管2は、水密性を有する管体であり、注入孔Hの孔径Dよりも小さな外径寸法を有する挿入管部2aと、挿入管部2aと注水装置3とを接続する供給管部2bとで構成されている。挿入管部2aの上端部には水圧計5が設置されていて、上端部は塞がれている。供給管部2bの中途の位置には、流量計4が設置されている。
注水装置3は、注水管2(供給管部2b)に所定の注水圧力Pまたは注水流量Qで水Wを供給することができる。注水装置3としては、ポンプやガスの圧力で水Wを送り出す機密水槽を例示できる。注水装置3には、注水圧力Pの脈動を少なくするために、アキュムレーターを取り付けるとよい。
流量計4は、注水装置3から注水管2に供給された水Wの注水流量Qを測定する。水圧計5は、対象領域に水Wを注入した際の注水圧力Pを測定する。流量計4と水圧計5の測定データは逐次演算装置6に入力される。
演算装置6は、注水装置3の制御と、流量計4および水圧計5の測定データの記録と、測定データを基にした演算作業を行う。演算装置6としては、パーソナルコンピュータ等を例示できる。パッカ7は、円環状の袋体である。加圧装置9からチューブ8を通してパッカ7の内部にガスgまたは水を注入することによってパッカ7は膨張する。
現地注水試験装置1を用いて対象領域における注水圧力Pと注水流量Qとの関係を取得する手順を以下に説明する。この実施形態では、注入孔Hの孔底から上側にL(m)の位置までの間を試験区間としている。そして試験区間に注水圧力Pを段階的に上昇させながら水Wを注入し、各段階における定常時の注水流量Qを測定する。この現地注水試験工程は、地盤工学会(JGS)のJGS1322(注水による岩盤の透水試験方法)に基づいて行う。
まず、注水管2の挿入管部2aを注入孔Hに挿入するようにして設置する。この際、挿入管部2aの下端部は孔底に接地させず、膨張させた際のパッカ7の下端部が注入孔Hの孔底から上側にL(m)の位置に配置されるようにする。次に、加圧装置9からガスgを供給することによってパッカ7を膨張させ、パッカ7によって挿入管部2aの外周面と注入孔Hの孔壁との間を密に塞ぐ。すなわち、注入孔Hの孔底から膨張させたパッカ7の下端部までの空間(試験区間)を密閉した状態にする。
上記の準備を終えた後、演算装置6から注水装置3に一定の注水流量Q1で注水するように指令を入力して注水を開始する。演算装置6の指令を受けて、注水装置3は供給管部2bに水Wを供給し、挿入管部2aの下端部開口から一定の注水流量Q1で試験区間内に水Wを注入する。即ち、注入孔Hにおいて、注入した水Wを保持する部分の長さがL(m)となる。
一定の注水流量Q1で水Wを注入している際の注水圧力Pの経時変化は水圧計5によって逐次測定され、その測定データは演算装置6に逐次入力される。演算装置6は、逐次入力される測定データから、一定の注水流量Q1において注水圧力Pがほぼ一定になった時(定常時)の数値を読み取り、その数値を注水流量Q1における注水圧力P1として記録する。
注水流量Q1における注水圧力P1の記録を終えると、演算装置6は、注水装置3に対象地盤に注水する注水流量Q1をより流量の大きい注水流量Q2に変更するように指令を入力する。この後は、注水流量Q1で行った手順と同様の手順で注水流量Q2における注水圧力P2を記録する。この注水流量Qを変更してからその注水流量Qにおける注水圧力Pを記録するまでの手順を注水流量Q1、Q2、Q3・・・と注水流量Qを段階的に増加させて繰り返し行うことにより、注水圧力Pと注水流量Qの関係を取得する。
注水圧力Pと注水流量Qとの測定は、注水流量Qが限界注入速度を上回った時点で終了する。具体的には、注水流量Qが一定の数値(限界注入速度)を上回ると地盤に割裂が生じ、注水圧力Pの数値が低下するので、注水圧力Pが前回の測定を下回った時点で演算装置6から注水装置3に注水を終了するように指令を入力する。
この実施形態では、一定の注水流量Qで試験区間に水Wを注入した際の注水圧力Pを測定したが、一定の注水圧力Pで試験区間に注水した際の注水流量Qを測定することで注水圧力Pと注水流量Qの関係を取得することもできる。また、注水流量Qが限界注入速度に達する前の段階で測定を終えることもできる。
注水装置3の制御と、流量計4および水圧計5の測定と、測定結果の記録とを作業員による人力で行なうこともできるが、この実施形態のように演算装置6を用いてこれら作業を行なうと、作業を精度よく行なえる。しかも軽労化を図ることもできる。
次の透水係数取得工程では、現地注水試験工程で取得した注水圧力Pと注水流量Qとの関係に基づいて対象領域の透水係数kを算定する。透水係数kの算定は、この実施形態では、地盤工学会(JGS)のJGS1322(注水による岩盤の透水試験方法)に基づいて行う。注水圧力Pと注水流量Qの関係に基づいて対象領域の透水係数kを算定する手順を以下に説明する。
まず、注水圧力P(Pa)を下記(2)式により有効注水圧力水頭S(m)に換算する。
Figure 2017002677
ここで、h1は水圧計5と試験区間中央の高さの差(m)、h2は平衡水位と試験区間中央の高さの差(m)、h3は注水管2の管内抵抗による損失水頭(m)、rは水Wの単位体積重量(N/m)である。尚、平衡水位は、JGS1311(ボーリング孔を利用した砂質・礫室地盤の地下水位の測定方法)に基づいて測定することができる。注水管2の管内抵抗による損失水頭h3は、損失水頭試験によって求めることができる。
次に、図3で示すように、有効注水圧力水頭Sを縦軸に、注水流量Qを横軸にとり、各圧力段階の測定値をプロットしたグラフを作成する。そして、注水流量Qの増加量に対する有効注水圧力水頭Sの傾きAを求める。傾きAを求める際には、注水流量Qが限界注入速度Qcrを上回る前の段階(図3におけるQ1〜Q5)までの有効注水圧力水頭Sと注水流量Qとの関係を利用して求める。傾きAは下記(3)式で表される。
Figure 2017002677
また、一段階の注水圧力Pと注水流量Qから透水係数kを求める場合には、下記(4)式から傾きAを求める。
Figure 2017002677
尚、この実施形態では、説明の便宜上グラフを作成したが、グラフを作成せずに傾きAを求めることもできる。
そして、(3)式または(4)式で求めた傾きAを下記(1)式に代入することにより、透水係数kを算出する。
Figure 2017002677
ここで、Dは注入孔Hの直径(試験区間の孔径)(m)、Lは試験区間の長さ(m)である。このように、施工現場における作業によって簡易、迅速に透水係数kを算出することができる。
次の細粒分含有率取得工程では、透水係数算出工程で算出した透水係数kと、予め蓄積されている細粒分含有率Fcと透水係数kとの関係データに基づいて、対象領域の細粒分含有率Fcを算定する。
予め蓄積されている細粒分含有率Fcと透水係数kの関係データとしては、図4の細粒分含有率Fcと透水係数kとの相関関係を示すグラフ図を例示することができる。図4は、透水係数kの対数関数logkを縦軸にとり、細粒分含有率Fcを横軸にとっている。対数関数logkと細粒分含有率Fcとは相関関係を有しているので、透水係数取得工程で算出した対象領域の透水係数kと、予め蓄積されている細粒分含有率Fcと透水係数kの関係データとを対応させることによって対象領域の細粒分含有率Fcを算定することができる。
細粒分含有率Fcと透水係数kとの関係データは過去に蓄積したデータ等から事前にグラフ等に整理しておくとよい。例えば、細粒分含有率Fcは粒度分析により求めることが可能であり、透水係数kは粒径(例えば、20%粒径D20)から算定することができる。この実施形態では、グラフ図を用いて対象領域の細粒分含有率Fcを算定しているが、透水係数kと細粒分含有率Fcとの関係式を用いて細粒分含有率Fcを算定することもできる。
細粒分含有率Fcと透水係数kとの関係データとしてはその他に、論文等(例えば、堤防基礎地盤における透水係数と粒度特製の関係、河川技術論文集、第16巻、2010年6月)で開示されている細粒分含有率Fcと透水係数kとの関係データを利用することもできる。
次の注入仕様決定工程では、細粒分含有率Fcの範囲に応じて予め設定されている薬液Gの複数の注入仕様の中から、細粒分含有率算定工程によって求められた対象領域の細粒分含有率Fcに合致する1つの注入仕様を選択する。注入仕様とは、薬液Gを対象地盤に注入する際の適切な限界注入速度Qcrや限界注入圧力Pcr、注入率λ等を定めたものである。注入率λとは、形成した改良地盤の体積Vに対する注入した薬液Gの体積割合であり、注入率λ=(n×α)/100(%)により算出される。nは間隙率であり、土中に間隙の体積と全体体積の比を百分率で表したものである。αは充填率であり、間隙に対する薬液注入量の割合を体積百分率で表したものである。例えば、砂の場合の充填率αは90%になる。
薬液Gとして、溶液系薬液を採用する場合には例えば、表1で示すような細粒分含有率Fcの区分で注入仕様が予め設定される。セメント系懸濁型薬液を用いる場合には例えば、表2で示すような細粒分含有率Fcの区分で注入仕様が予め設定される。これら細粒分含有率Fcの区分、注入率λ、限界注入速度Qcr、限界注入圧力Pcrの数値は一例であり、これに限定されるものではない。
Figure 2017002677
Figure 2017002677
例えば、細粒分含有率工程で算定した対象地盤の細粒分含有率Fcが8%である場合には、溶液系薬液を採用する場合には表1のFc≦20%における注入仕様を選択し、セメント系薬液を採用する場合には、表2のFc≦10%における注入仕様を選択する。
この実施形態では、演算装置6に予め、透水係数算出工程から注入仕様決定工程までの作業プログラムを構築しておくことで、現地注水試験工程で取得した注水圧力Pと注水流量Qとの関係データに基づいて、各薬液を使用する際の注入仕様が自動的に決定されるようになっている。つまり、事前に作業プログラムを構築した演算装置6を用意しておけば、現地注水試験工程から注入仕様決定工程までの作業を自動化することができる。尚、演算装置6を設けることなく、作業員が透水係数取得工程から注入仕様決定工程までの作業を行なうことも可能である。
最後の薬液注入工程では、注入仕様決定工程で決定した注入仕様に基づいて対象領域に形成された注入孔Hに薬液Gを注入する。この際に、現地注水試験工程で水Wを注入した注入孔Hも薬液Gの注入に使用する。対象領域には薬液Gを注入するために1本または複数本の注入孔Hを形成する。注入孔Hが1本の場合はその注入孔Hに、注入孔Hが複数本の場合は少なくとも1本の注入孔Hに、水Wを注入して注水圧力Pと注水流量Qとの関係を取得する。その後、形成したすべての注入孔Hに薬液Gを注入して改良地盤を形成する。
この実施形態では、図5で示すように、注入孔Hに薬液注入装置10を設置して対象領域に薬液G(溶液型薬液G1またはセメント系懸濁型薬液G2)を注入する。薬液注入装置10は、外管11と、外管11に挿入される内管12と、内管12に接続される薬液供給設備13と、上下2つの内管パッカ12bに接続される加圧設備14とを備えている。
外管11は、注入孔Hの孔径Dに内設される有底管体である。外管11の周壁には、管内側と管外側とを連通する複数の注入口11aが外管軸方向に離間して形成されている。注入口11aは、注入孔Hに設置した際に、薬液Gを注入したい位置に配置されるように形成されている。
内管12は、外管11に挿入される有底管体である。内管12の外周面には、内管軸方向に離間した2つの膨張可能な内管パッカ12b、12cが設けられている。2つの内管パッカ12b、12cの間には管内側と管外側とを連通する複数の吐出口11aが設けられている。
薬液供給設備13は、内管12に薬液Gを供給する設備であり、薬液Gを対象領域に注入する際の注入圧力や注入流量等を制御できる機能を備えている。具体的には、薬液供給設備13の入力手段に注入仕様を入力することで、注入口11aから対象領域に入力した注入仕様で薬液Gが注入されるように、内管12に供給する薬液Gの供給圧力や供給流量を制御する。
加圧設備14は、内管パッカ12b、12cにガスgや液体等を供給する設備であり、ガスgや液体等を供給する量や圧力を変えることによって内管パッカ12b、12cを膨張および収縮させることができる機能を備えている。
薬液注入装置10を用いて対象領域に薬液Gを注入する手順を以下に説明する。まず、注入孔Hに外管11を挿入して設置する。この際、薬液Gを注入したい位置に注入口11aを配置する。そして、外管11に内管12を内挿して吐出口12aを注入口11aに対応する位置に配置する。より詳しくは、上下2つの内管パッカ12b、12cの間に注入口11aが位置するように内管12を配置する。次に、加圧設備14から内管パッカ12b、12cにガスgを供給して内管パッカ12b、12cを膨張させ、内管パッカ12b、12cによって内管12の外周面と外管11の内周面との間を密に塞ぐ。
そして、注入仕様選択工程で選択した注入仕様を薬液供給設備13に入力し、薬液供給設備13によって内管12に薬液Gを供給する。薬液Gは、吐出口12aから内管12の外周面と外管11の内周面と上下2つの内管パッカ12b、12cとで囲まれた空間に吐出され、注入口11aを通して対象領域に注入仕様選択工程で選択した注入仕様で注入される。この際、上下2つの内管パッカ12b、12cによって内管12の外周面と外管11の内周面とのすき間が塞がれているので、内管パッカ12b、12cの間に位置する注入口11a以外の注入口11aから薬液Gが漏れ出すことはない。
薬液Gを注入仕様に基づいて十分に注入し終えたら、加圧設備14によって内管パッカ12b、12cを収縮させる。そして、次に薬液Gを注入する注入口11aの位置まで内管12を移動させて、前述した手順と同様の手順で薬液Gの注入を行なう。尚、注入する薬液Gの種類を変える場合には、その薬液Gに適合する注入仕様を薬液供給設備13に入力し直して引き続き注入作業を行なう。
注入する薬液Gは対象領域の地盤の性状や状態によって溶液型薬液G1またはセメント系懸濁型薬液G2を採用する。注入仕様選択工程で選択した注入仕様に基づいて薬液Gの注入作業を行なうことによって改良地盤を形成する。
本発明によれば、対象領域で注入孔Hに水Wを注入して、その注水圧力Pと注水流量Qとの関係を取得することで迅速、容易に対象領域の細粒分含有率Fcを算出し、その対象領域に適した注入仕様も決定できる。さらにこの細粒分含有率Fcを算出するためだけに用いる注入孔Hを掘削する必要がなく、細粒分含有率Fcの算出に用いた注入孔Hを薬液Gを注入するためにも使用する。地盤に注入孔Hを形成するには、削孔機の設置、稼働、撤去などのそれぞれの作業に多大な工数、労力が必要になる。したがって、本発明を用いることで当業者にとっては、工数やコスト削減に大きなメリットになる。工期短縮にも大きく寄与する。
そして、注入仕様として、薬液Gの注入率λ、限界注入速度Qcrおよび限界注入圧力Pcrを設定することで、対象領域におけるひび割れ発生や注入不足などの不具合を回避しつつ薬液Gを注入して良好な改良地盤を形成し易くなる。
薬液Gとして、溶液型薬液G1またはセメント系懸濁型薬液G2を使用し、それぞれの薬液Gについて別々に、細粒分含有率Fcの範囲に応じて予め複数の注入仕様を設定することで、対象領域の地盤の状況等に応じて、それぞれの薬液Gを使い分けることができる。これにより対象領域の地盤に一段と適した施工が可能になるため、良好な改良地盤を形成するには益々有利になる。
尚、この実施形態では、溶液型薬液G1とセメント系懸濁型薬液G2とで薬液Gを分類し、それぞれの注入仕様を設定しているが、例えば、溶液型薬液G1をさらに水ガラス系薬液とシリカ系薬液とに細分化してそれぞれの注入仕様を設定しておくこともできる。
1 現地注水試験装置
2 注水管
2a 挿入管部
2b 供給管部
3 注水装置
4 流量計
5 水圧計
6 演算装置
7 パッカ
8 チューブ
9 加圧装置
10 薬液注入装置
11 外管
11a 注入口
12 内管
12a 吐出口
12b、12c 内管パッカ
13 薬液供給設備
14 加圧設備
H 注入孔
W 水
G 地盤改良薬液
G1 溶液型薬液
G2 セメント系懸濁型薬液
g ガス

Claims (4)

  1. 地盤の対象領域に形成された注入孔に、地盤改良薬液を注入することにより前記対象領域に改良地盤を形成する地盤改良薬液の注入方法において、
    前記対象領域に形成された少なくとも1本の注入孔に水を注入することにより、前記対象領域における注水圧力と注水流量との関係を取得し、この取得した注水圧力と注水流量との関係に基づいて前記対象領域の透水係数を算出し、この算出した透水係数と、予め蓄積されている細粒分含有率と透水係数との関係データとに基づいて、前記対象領域の細粒分含有率を算定し、細粒分含有率の範囲に応じて予め設定されている前記地盤改良薬液の複数の注入仕様の中から、前記算定した細粒分含有率に合致する1つの注入仕様を選択し、この選択した注入仕様に基づいて、前記水を注入した注入孔を含めて前記対象領域に形成された注入孔に前記地盤改良薬液を注入することを特徴とする地盤改良薬液の注入方法。
  2. 前記注入仕様として、前記地盤改良薬液の注入率、限界注入速度および限界注入圧力が設定されている請求項1に記載の地盤改良薬液の注入方法。
  3. 前記地盤改良薬液として、溶液型薬液またはセメント系懸濁型薬液を使用し、それぞれの薬液について別々に、細粒分含有率の範囲に応じて予め複数の前記注入仕様が設定されている請求項1または2に記載の地盤改良薬液の注入方法。
  4. 前記透水係数を算出する際に、前記注水圧力を有効注水圧力水頭に換算し、前記注水流量に対する前記有効注水圧力水頭の傾きAを求め、この求めた傾きAを下記(1)式に導入することにより、前記透水係数kを算出する請求項1〜3のいずれかに記載の地盤改良薬液の注入方法。
    透水係数k={1/(2πLA)}ln(2L/D)・・・(1)
    ここで、Lは前記注入孔において注入した前記水を保持する部分の長さ、Dは前記注入孔の直径である。
JP2015120842A 2015-06-16 2015-06-16 地盤改良薬液の注入方法 Pending JP2017002677A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020100949A (ja) * 2018-12-20 2020-07-02 五洋建設株式会社 N値及び細粒分含有率の推定方法、地盤改良体及び情報処理装置
JP2020153112A (ja) * 2019-03-19 2020-09-24 五洋建設株式会社 地表面変位の推定方法

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