特許法第30条第2項適用 日綜産業株式会社は、令和2年10月29日に第三回全国QDホルダー会議において、当該発明である足場装置及び足場装置の組み立て方法について説明した。
特許法第30条第2項適用 日綜産業株式会社は、令和2年12月7日に「QuickDeck」の製品カタログにおいて、当該発明である足場装置及び足場装置の組み立て方法について説明した。
以下に、図面を参照しながら本実施の形態について説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は同じ部品を示す。
第一の実施の形態に係る足場装置1は、図1に示すように、奥行方向と幅方向にそれぞれ接続して配置される複数の足場ユニットAを備えて構成される。
足場ユニットAは、図1に示すように、一対の縦梁2,2と、一対の横梁3,3と、縦梁2の各端部と横梁3の各端部の間に配置されて縦梁2と横梁3を同一平面上で回転可能に連結する4つの結合部材5とを有する枠体6と、縦梁2,2間に所定の間隔で架け渡される3つの中間梁7と、縦梁2,2間に架け渡されるとともに少なくとも1つの中間梁7に支持される4つの足場板8とを備える。なお、図1では、足場装置1の構成を理解しやすくするために、一部の枠体6に、足場板8を設置していない。また、図1中で幅方向に隣り合う枠体6,6は、ともに縦梁2を共有し、図1中で奥行方向で隣り合う枠体6,6は、横梁3を共有している。
そして、図1に示すように、各結合部材5には、足場ユニットAを吊持する吊り材としてのチェーン9が連結されており、チェーン9の上端を橋梁や建物などの構築物又は建築物に連結することで、足場装置1は、チェーン9を介して建築物又は構築物に吊持されて、建築物又は構築物の建設や保守工事を行う作業者に足場を提供する。
以下、足場装置1を構成する足場ユニットAの各部について詳細に説明する。本実施の形態の枠体6は、一対の縦梁2,2と、一対の横梁3,3と、縦梁2,2の各端部と横梁3,3の各端部の間に配置されて縦梁2と横梁3を水平方向に回転可能に連結する4つの結合部材5とを備え、縦梁2を横梁3側へ引き寄せた折り畳み姿勢から縦梁2,2同士及び横梁3,3同士を平行配置させる展開姿勢へ姿勢を変更可能に構成されている。
本実施の形態の縦梁2及び横梁3は、図2,図3に示すように、アルミニウム製の梁本体20(30)と、梁本体20(30)の長手方向の両端にそれぞれ分解可能に連結されて梁本体20(30)を後述する結合部材5に連結可能な鋼鉄製の連結部21(31)とを有する。
このように、本実施の形態の連結部21(31)は、結合部材5との接続部分であって、足場装置1の使用時に大きなせん断荷重が作用する部分であるため、梁本体20(30)よりも剛性の高い材料である鋼鉄を材料にして形成されている。他方、梁本体20(30)は、連結部21(31)に比べて、足場装置1の使用時に連結部21(31)に比較して作用する荷重が小さいため、鋼鉄よりも剛性は低いものの単位体積当たりの質量が小さく軽量なアルミニウムを材料にして形成されている。
よって、本実施の形態の縦梁2及び横梁3は、足場装置1の積載荷重の低下を招かずに、梁本体20(30)と連結部21(31)の両方を鋼鉄製とする場合に比べて、軽量化されている。
なお、梁本体20(30)を鋼鉄製、連結部21(31)をアルミニウム製とするのは、一例であって、梁本体20(30)を連結部21(31)よりも単位体積当たりの質量が小さい材料で形成し、連結部21(31)を梁本体20(30)よりも剛性の高い材料で形成すれば、足場装置1の積載荷重の低下を招かずに、縦梁2及び横梁3を軽量化することができる。ただし、梁本体20(30)と連結部21(31)は、同じ材料で形成されてもよい。
また、梁本体20(30)は、図2,図3に示すように、上下で対向して互いに平行配置される上弦材22(32)及び下弦材23(33)と、上弦材22(32)と下弦材23(33)との間に垂直に架け渡されて上弦材22(32)と下弦材23(33)とを連結する束材24(34)と、上弦材22(32)と下弦材23(33)との間に斜めに架け渡される複数の斜材25(35)とを備えて、トラス構造の梁材となっている。
なお、本実施の形態では、梁本体20(30)は、強度の確保のために、斜材25(35)で上弦材22(32)と下弦材23(33)とを連結したトラス構造とされているが、必要な強度が担保されていれば、梁本体20(30)の構造は、トラス構造には限定されない。
また、上弦材22(32)は、図4に示すように、梁本体20(30)の長手方向に沿って延びる平板状の足場板支持部22a(32a)と、足場板支持部22a(32a)の上面から上方へ向けて起立するとともに梁本体20(30)の長手方向に沿って設けられて互いに間隔を空けて対向する一対の位置決め片22b,22b(32b,32b)と、足場板支持部22a(32a)の下面から下方へ向けて起立するとともに梁本体20(30)の長手方向に沿って設けられて互いに対向して束材24(34)及び斜材25(35)を挟持する一対の保持片22c,22c(32c,32c)とを備える。
また、下弦材23(33)は、図4に示すように、底片23a(33a)と、底片23a(33a)の両端から垂直に起立して互いに対向して束材24(34)及び斜材25(35)を挟持する側片23b,23b(33b,33b)とで略断面コ字状に形成されており、開口側が上弦材22(32)側を向くように配置されている。
さらに、上弦材22(32)の保持片22c,22c(32c,32c)には、互いに対向する孔22d,22d(32d,32d)が梁本体20(30)の長手方向に沿って所定の間隔で設けられている。また、下弦材23(33)の側片23b,23b(33b,33b)にも、互いに対向する孔23c,23c(33c,33c)が梁本体20(30)の長手方向に沿って所定の間隔で設けられている。
そして、図4に示すように、束材24(34)の上端と下端をそれぞれ上弦材22(32)の保持片22c,22c(32c,32c)間と下弦材23(33)の側片23b,23b(33b,33b)間に配置し、束材24(34)の上端と下端にそれぞれ設けられた孔24a(34a)を、保持片22c,22c(32c,32c)に設けられた孔22d(32d)と、下弦材23(33)の側片23b,23b(33b,33b)に設けられた孔23c,23c(33c,33c)にそれぞれ対向させて、対向する各孔にそれぞれボルトB1を挿通し、反対側からナットN1をボルトB1に螺着して締め付けることで、束材24(34)が上弦材22(32)と下弦材23(33)との間にボルトナット連結される。
また、図示しないが、斜材25(35)の上端と下端にもそれぞれ孔が設けられており、斜材25(35)は、束材24(34)と同様の手順で上弦材22(32)と下弦材23(33)との間にボルトB1とナットN1とで連結されている。
よって、本実施の形態では、上弦材22(32)、下弦材23(33)、束材24(34)及び斜材25(35)は、互いにボルトB1とナットN1とを用いて分解可能な態様で連結されている。そのため、梁本体20(30)を構成する部品のいずれかが経年劣化や荷重により損傷又は変形してしまったとしても、分解して損傷又は変形した部品のみを取り換えればよく、メンテナンスが容易となる。
また、前述したように、本実施の形態の梁本体20(30)は、アルミニウム製であるが、アルミニウムの溶接は手間がかかり、上弦材22(32)、下弦材23(33)、束材24(34)及び斜材25(35)を溶接によって連結しようとすると、非常にコストがかかってしまう。これに対し、本実施の形態では、上弦材22(32)、下弦材23(33)、束材24(34)及び斜材25(35)をボルトB1とナットN1とを用いて連結しているため、溶接を回避しつつ、梁本体20(30)をトラス構造とすることができる。
なお、上弦材22(32)、下弦材23(33)、束材24(34)及び斜材25(35)を分解可能な態様で連結する手段は、ボルトB1とナットN1とを用いる連結手段には限定されない。また、梁本体20(30)をアルミニウム製とすると溶接コストがかかってしまうが、梁本体20(30)を構成する各部品を、溶接で連結してもよい。
また、図5に示すように、足場板支持部22a(32a)における位置決め片22b,22b(32b,32b)よりも幅方向で外側の部分には、それぞれ3つの引掛け孔26(36)が梁本体20(30)の長手方向に沿って所定の間隔で配置されており、引掛け孔26(36)には、後述する中間梁7の端部に設けた引掛け部71のピン体71dを挿入して梁本体20(30)に中間梁7を連結できる。ただし、引掛け孔26(36)の数は3つには限定されず、引掛け孔26(36)は、縦梁2,2間に架け渡す中間梁7の数と同数だけ設けられればよい。
さらに、図5に示すように、上弦材22(32)の足場板支持部22a(32a)における位置決め片22b,22b(32b,32b)間には、6つの螺子孔27(37)が梁本体20(30)の長手方向に沿って並べて設けられている。ただし、螺子孔27(37)の数は、6つには限られず、任意の数を設ければよい。
また、本実施の形態では、6つの螺子孔27(37)は、図5に示すように、図中で左側、中央、右側にそれぞれ間隔を空けて2つずつ配置されており、中央に配置される2つの螺子孔27,27(37,37)同士の間隔は、左側と右側にそれぞれ配置される2つの螺子孔27,27(37,37)同士の間隔に比べて、狭くなっている。なお、螺子孔27(37)は、後述するナット27c(37c)によって形成されている。
戻って、本実施の形態の連結部21(31)は、図6に示すように、上下一対の断面四角筒状の固定材21a,21a(31a,31a)と、一対の固定材21a,21a(31a,31a)の一端同士の間に架け渡されて連結される断面四角筒状の接続材21b(31b)と、接続材21b(31b)の上端側及び下端側にそれぞれ設けられて固定材21a(31a)の軸方向に沿って突出する上下一対の平板状の連結片21c,21c(31c,31c)とを備える。
そして、連結部21(31)の上下一対の固定材21a,21a(31a,31a)を梁本体20(30)の端部から上弦材22(32)の一対の保持片22c,22c(32,32c)間と下弦材23(33)の一対の側片23b,23b(33b,33b)間にそれぞれ挿入して、一対の固定材21a,21a(31a,31a)にそれぞれ並べて設けられた2つの孔21j(31j)と梁本体20(30)の保持片22cと側片23b(33b)にそれぞれ並べて設けられた2つの孔(図示せず)とを対向させた状態で、これらの孔にボルトB2を挿通し反対側からナット(図示せず)をボルトB2に螺着して締め付けることで、連結部21(31)は、図2,図3に示すように、梁本体20(30)の各端部に分解可能に連結されている。
なお、連結部21(31)を梁本体20(30)に対して連結する方法は、連結部21(31)と梁本体20(30)が分解可能となる限りにおいては特に限定されない。
また、各連結片21c(31c)には、図6に示すように、先端側に配置される第一取付孔21d(31d)と、基端側に配置される第二取付孔21e(31e)とが設けられている。第一取付孔21d(31d)と第二取付孔21e(31e)は各連結片21c(31)に対して梁本体20(30)の長手方向に沿って並べて設けられている。
また、接続材21b(31b)の一対の連結片21c,21c(31c,31c)間には、図6に示すように、各連結片21c(31c)と対向する上下一対の平板状の支持片21f,21f(31f,31f)が設けられている。さらに、各支持片21f(31f)には、連結片21c(31c)の第一取付孔21d(31d)と対向する第一対向孔21g(31g)と、連結片21c(31c)の第二取付孔21e(31e)と対向する第二対向孔21h(31h)が設けられている。また、一対の支持片21f,21f(31f,31f)間には、筒状であって管端が各支持片21f,21f(31f,31f)にそれぞれ支持される筒材21i(31i)が架け渡されている。筒材21i(31i)の両管端は、それぞれ第一対向孔21g(31g)に対向していて、筒材21i(31i)の内方が第一対向孔21g(31g)に連通されている。
また、図6に示すように、本実施の形態の連結部21(31)は、一対の固定材21a,21a(31a,31a)間に垂直に架け渡される束材21k(31k)と、束材21k(31k)と接続材21b(31b)との間に斜めに架け渡される斜材21m(31m)とを備える。連結部21(31)も斜材21m(31m)を含んでトラス構造となるため、連結部21(31)の強度を高められる。
さらに、図6,図7に示すように、上側の連結片21c(31c)の上面には、連結片21c(31c)の上面に沿って延びる底部21o(31o)と、底部21o(31o)の側端から垂直に突出する垂直部21p(31p)とを有する2つの断面L字状のL字片21n(31n)が、図7中で垂直部21p(31p)を向き合わせて底部21o(31o)を互いに外向きに突出するように配置して連結されている。
また、各L字片21n(31n)の底部21o(31o)の上面は、図3に示すように、上弦材22(32)の足場板支持部22a(32a)の上面と面一になっており、各L字片21n(31n)の垂直部21p(31p)の側面は、図5に示すように、各位置決め片22b(32b)の側面と面一になっている。
つづいて、本実施の形態の結合部材5について詳細に説明する。本実施の形態の結合部材5は、図8に示すように、平行配置される上下一対のプレート50,51と、上側プレート50と下側プレート51を接続する円筒状の接続部52とを備える。また、接続部52の外周には、コ字状の把持部55が設けられており、結合部材5を持ち運ぶときの持ち手として機能する。
上側プレート50と下側プレート51は、図6に示すように、正方形の四面の周囲に4つの等脚台形を接してできる形状の板材であって、各台形状部分には、同一円周上に等間隔で配置されて互いに対向する4つの挿通孔50a,51aと、先端であって各プレート50,51の中心から見て挿通孔50a,51aと正対する位置に設けられる4つの回転防止溝50b,51bが設けられている。
なお、上述した上側プレート50と下側プレート51の形状は、一例であって、特に形状は限定されず、円形や四角形でもよい。また、接続部52の形状も、円筒状には限定されず、例えば、角筒状であってもよい。
そして、図9,図10(A)に示すように、縦梁2及び横梁3の連結部21(31)における上側の連結片21c(31c)と上側の支持片21f(31f)の間に上側プレート50を挿入し、下側の連結片21c(31c)と下側の支持片21f(31f)の間に下側プレート51を挿入するとともに、各プレート50,51の挿通孔50a,51aと、連結部21(31)の連結片21c,21c(31c,31c)の第一取付孔21d,21d(31d,31d)とを対向させる。この状態で、第一取付孔21d,21d(31d,31d)と挿通孔50a,51aとに固定ピンP1を挿入することで、結合部材5は、縦梁2及び横梁3に対して水平方向に回転自在に連結される。
また、結合部材5の各プレート50,51の外周に設けられた回転防止溝50b,51bは、挿通孔50a,51aを連結部21(31)の第一取付孔21d(31d)と対向させた状態で、連結部21(31)の第二取付孔21eと対向するように設けられている。
そのため、図9に示すように、第一取付孔21d,21d(31d,31d)と挿通孔50a,51aに固定ピンP1が挿入された状態で、第二取付孔21e,21e(31e,31e)に回転防止ピンP2を挿入すると、回転防止ピンP2が回転防止溝50b,51bにも挿入される。すると、結合部材5は縦梁2及び横梁3に対して2つの軸で支持されることになるので、結合部材5は縦梁2及び横梁3に対して回転不能の状態で固定される。このように、結合部材5に縦梁2と横梁3とを固定すると、縦梁2及び横梁3は、枠体6を上方から見て互いに直交する姿勢で結合部材5に連結される。
また、固定ピンP1と回転防止ピンP2の上端には、図10(B)に示すように、固定ピンP1及び回転防止ピンP2を径方向に貫通して突出する2つのピン状の突起Pa,Pbが上下に並べて設けられており、これらの突起Pa,Pbは固定ピンP1及び回転防止ピンP2の軸方向から見て互いに交差する方向を向いて配置されている。なお、本実施の形態では、これらの突起Pa,Pbは、固定ピンP1及び回転防止ピンP2を径方向に貫通して設けられているが、固定ピンP1及び回転防止ピンP2を貫通せずに固定ピンP1及び回転防止ピンP2から径方向で一方向のみに突出するように形成されてもよい。
そして、上側突起Paは、固定ピンP1及び回転防止ピンP2の持ち手として機能し、下側突起Pbは、固定ピンP1及び回転防止ピンP2を第一取付孔21d(31d)及び第二取付孔21e(31e)に挿入する際に、第一取付孔21d(31d)及び第二取付孔21e(31e)の縁に引っ掛かって抜け止めとして機能する。
また、本実施の形態では、固定ピンP1及び回転防止ピンP2の上端部に固定ピンP1及び回転防止ピンP2を径方向に貫通する2つの孔(図示せず)を固定ピンP1及び回転防止ピンP2を軸方向から見て交差するとともに上下にずらして開穿し、これらの孔にそれぞれ上側突起Paと下側突起Pbを挿入して溶接することで、上側突起Paと下側突起Pbは、固定ピンP1及び回転防止ピンP2に連結されている。つまり、2つの孔は各ピンP1,P2に対して上下でねじれの位置に設けられている。
また、本実施の形態では、上側突起Paと下側突起Pbは、固定ピンP1及び回転防止ピンP2を軸方向から見て互いに交差する方向を向いて配置されているが、上下に平行に配置されてもよい。
ただし、上側突起Paと下側突起Pbを上下に平行に配置した場合、上側突起Paと下側突起Pbを固定ピンP1及び回転防止ピンP2に連結するために固定ピンP1と回転防止ピンP2の上端側に設けられる2つの孔の間の肉厚を確保しなければ孔開け加工ができなくなるので、孔同士の上下方向の間隔をある程度あけておく必要がある。
これに対して、本実施の形態のように、上側突起Paと下側突起Pbを固定ピンP1及び回転防止ピンP2の軸方向から見て交差する方向に配置すると、上側突起Paと下側突起Pbが挿入される2つの孔がねじれの位置に配置されるので、2つの孔の上下方向の距離を短くしても無理なく孔開け加工できる。
したがって、上側突起Paと下側突起Pbを固定ピンP1及び回転防止ピンP2の軸方向から見て交差する方向に配置した場合、上側突起Paと下側突起Pbを上下に平行に配置した場合に比べて、上側突起Paと下側突起Pbの上下方向の間隔を短くできる。よって、固定ピンP1及び回転防止ピンP2が第一取付孔21d(31d)及び第二取付孔21e(31e)に挿入されて、下側突起Pbが第一取付孔21d(31d)及び第二取付孔21e(31e)の縁に引掛かった状態における固定ピンP1及び回転防止ピンP2の上端の突出高さを低くできる。
このように、固定ピンP1及び回転防止ピンP2の上端の突出高さが低くなると、縦梁2,2の上弦材22の足場板支持部22a上に載置される後述の足場板8の板厚を足場板8の軽量化のために薄くしても、図9に示すように、固定ピンP1及び回転防止ピンP2の上端の位置を足場板8の上端面と同じか足場板8の上端面よりも低い位置に配置できるため、作業者が固定ピンP1及び回転防止ピンP2に躓くのを防止できる。
また、第一取付孔21d(31d)及び挿通孔50a,51a内に挿入される固定ピンP1と第一取付孔21d,21d(31d,31d)及び挿通孔50a,51aの間には、固定ピンP1をスムーズに挿入するために若干の隙間がある。そのため、第一取付孔21d,21d(31d,31d)及び挿通孔50a,51aに挿入される固定ピンP1は、図9に示すように、縦梁2及び横梁3から受けるモーメントにより、上記隙間分だけ第一取付孔21d,21d(31d,31d)及び挿通孔50a,51a内で上端が下端に対して図中右側に僅かに傾く。
したがって、図示しないが、結合部材5が縦梁2及び横梁3に対して固定ピンP1のみで連結されている状態では、縦梁2及び横梁3は、固定ピンP1の傾斜角度に応じて下向きに傾く。
他方、図9に示すように、第二取付孔21e(31e)内に挿入される回転防止ピンP2と第二取付孔21e,21e(31e,31e)の間には若干の隙間があり、下側プレート51に設けられた下側の回転防止溝51bは、上側プレート50に設けられた上側の回転防止溝50bよりも浅く形成されている。そのため、第二取付孔21e,21e(31e,31e)に挿入される回転防止ピンP2は、図9に示すように、縦梁2及び横梁3から受けるモーメントによって第二取付孔21e,21e(31e,31e)内で、上端が下端に対して図9中で右側に傾こうとするが、下端が下側プレート51によって側方から支持されて傾きが抑制される。
すなわち、本実施の形態では、縦梁2及び横梁3からモーメントを受けても回転防止ピンP2の下端が下側プレート51によって側方から支えられるため、縦梁2及び横梁3を水平配置できる。
戻って、上側プレート50の中央には、図8,図11に示すように、チェーン9の下端を連結可能なチェーン固定孔53が設けられている。詳細には、本実施の形態のチェーン固定孔53は、図8に示すように、チェーン9の挿通を許容する中心孔部53aと、中心孔部53aから各挿通孔50a側に向けてそれぞれ径方向に延びる4本の突条孔部53bとを有して十字状に形成されている。さらに、チェーン固定孔53は、各突条孔部53bの延長方向を横切る切欠き溝部53cを有している。
そのため、図11に示すように、中心孔部53aにチェーン9を挿通してから、チェーン9を構成するリング9aを突条孔部53bに沿わせて横方向に移動させて、リング9aの厚みよりも広く横幅よりも狭い突条孔部53bに挿入すると、そのリング9aよりも下方のリング9aが突条孔部53bに対して直交する向きになって、チェーン9は、上側プレート50の突条孔部53bから抜けなくなる。
さらに、図11に示すように、突条孔部53bにチェーン9を挿入した状態で、切欠き溝部53cにチェーン固定プレートCを挿入し、チェーン固定プレートCの上端側に設けられた孔Caとチェーン9のリング9a内に拘束バンド54を通し、チェーン固定プレートCとチェーン9を拘束バンド54で固定することで、チェーン9の横方向の移動も規制される。
本実施の形態では、このようにして、チェーン9の下端が結合部材5のチェーン固定孔53に連結されているが、上述した連結方法は一例であって、チェーン9は、他の方法で結合部材5に連結されてもよい。また、足場ユニットAを吊持する吊り材は、チェーン9でなくともよい。
また、図8,図9に示すように、上側プレート50の下面には、上側プレート50と接続部52に連結される4つのリブ板57によって、補強板56が固定されている。これにより、チェーン9によって吊り上げられる結合部材5の上側プレート50を補強している。
詳細には、図8に示すように、上側プレート50の隣り合う突条孔部53b,53b間には、それぞれ第一嵌合孔58が形成されている。そして、接続部52には、各第一嵌合孔58と周方向で同じ位置にそれぞれ第二嵌合孔59が形成されている。
また、補強板56は、図9に示すように、接続部52の内径と略同じ外径を有する円形の板材であって、上側プレート50に設けられるチェーン固定孔53及び第一嵌合孔58と同形状で対向する孔を有している。さらに、リブ板57は、図9に示すように、リブ本体57aと、リブ本体57aの上端に設けられて第一嵌合孔58に嵌合可能な第一嵌合部57bと、リブ本体57aの下端に設けられて第二嵌合孔59に嵌合可能な第二嵌合部57cとを備える。
そして、補強板56を上側プレート50の下面に当接した状態で、各リブ板57の第一嵌合部57bを第一嵌合孔58に嵌合し、各リブ板57の第二嵌合部57cを第二嵌合孔59に嵌合して、各リブ板57の第一嵌合部57bを上側プレート50に溶接することで、補強板56は上側プレート50と4つのリブ板57のリブ本体57aによって挟持されて、上側プレート50の下面に固定されている。ただし、上側プレート50の強度が十分であれば、補強板56は省略されてもよい。
つづいて、図1に示すように、隣り合う縦梁2,2間に架け渡される中間梁7の構造について詳細に説明する。本実施の形態の中間梁7は、図12に示すように、中間梁本体70と、中間梁本体70の長手方向の両端部にそれぞれ設けられる引掛け部71とを備える。詳細には、中間梁本体70は、図13に示すように、断面矩形筒状の本体部70aと、本体部70aの上部の幅方向両側端からそれぞれ側方に張り出して上面が本体部70aの上面と面一の張出部70b,70bと、本体部70aの上部の幅方向中央から起立して本体部70aの軸方向に沿って延びる突部70cとを備える。
また、図12,図13に示すように、中間梁本体70の本体部70aの軸方向で両側にはそれぞれ把持部72が連結されており、把持部72は中間梁7の持ち手として機能する。
詳細には、把持部72は、図13に示すように、矩形板状の底片72aと、底片72aの両端から起立して互いに対向する一対の対向片72b,72bとを備え、各対向片72bには自身の延長方向に沿って延びるとともに互いに対向する長孔72cが形成されている。そして、各長孔72cを中間梁本体70の本体部70aに設けられた孔(図示せず)と対向させた状態で、本体部70aに設けられた上記孔にボルトB3を挿通し、反対側からナットN3をボルトB3に螺着して締め付けることで、把持部72が、中間梁本体70に対して長孔72cの延長方向に沿って移動可能に連結されている。よって、底片72aを本体部70a側に接近させるように把持部72を移動させると、中間梁7の高さを低くできるため、中間梁7の保管時に必要なスペースを少なくできる。
また、本実施の形態の引掛け部71は、図14に示すように、中間梁本体70の本体部70aの高さ方向に沿って延びる平板状の垂直片71aと、垂直片71aの両側端から垂直片71aに対して垂直に延びて本体部70aの端部を挟み込んだ状態で本体部70aの端部に2箇所で付示しないボルトとナットとで締結される一対の側板71b,71bと、垂直片71aの上端から反中間梁側に向けて延びる平板状の水平片71cと、水平片71cを上下に貫通する孔(図示せず)に挿入されて先端が水平片71cから下向きに突出するピン体71dと、ピン体71dの基端から中間梁本体70側に向けて延びて水平片71cの上面に溶接される起立片71eとを備える。また、図12,図14に示すように、起立片71eは、矩形平板状であって、起立片71eの厚みは、中間梁本体70の突部70cは同じ厚さになっており、中間梁7を軸方向から見たときに起立片71eと凸部70cとの間に段差が生じないようになっている。
また、前述したように、本実施の形態の中間梁7は、別部材として構成される中間梁本体70と引掛け部71を、互いを符示しないボルトとナットとを用いて分解可能な態様で連結して形成されている。
そのため、本実施の形態では、中間梁本体70を、軽量であるが溶接に手間がかかる金属であるアルミニウムを材料に形成し、引掛け部71を剛性の高い鋼鉄を材料に形成することができる。よって、中間梁本体70をアルミニウム製とすると、中間梁7を鋼鉄のみで構成する場合に比べて軽量となるので、持ち運びやすく、中間梁7の設置作業が容易となる。
ただし、中間梁本体70は、アルミニウム以外の材料で形成されていてもよい。また、中間梁本体70を、例えば、鋼鉄を材料に形成する場合には、中間梁本体70と引掛け部71を溶接により一体化してもよい。また、本実施の形態の中間梁7の構造は、一例であって、上述した構造には限定されない。
そして、このように構成された中間梁7は、図15に示すように、各引掛け部71のピン体71dを枠体6を構成する一対の縦梁2,2の各足場板支持部22aに設けられた引掛け孔26にそれぞれ挿入することで、縦梁2,2間に架け渡される。また、本実施の形態では、1つの縦梁2の足場板支持部22aの片側に3つの引掛け孔26が設けてあるため、1つの枠体6の縦梁2,2間には、図1に示すように、3つの中間梁7を架け渡すことが可能となっている。
つづいて、縦梁2,2間に架け渡される足場板8について詳細に説明する。本実施の形態の足場板8は、図1に示すように、木製の矩形板材である。なお、足場板8の材料は、必要な強度が確保される限りにおいて特に限定されないが、足場板8を木製とすると軽量となるので、足場板8を持ち運びしやすく、足場板8の設置作業が容易となる。また、足場板8を金属製とする場合には、足場板8は、軽量な金属、例えば、アルミニウム等で形成されるのが好ましい。
また、本実施の形態の足場装置1では、足場板8は、図1に示すように、一対の縦梁2,2間であって、互いに対向する横梁3と中間梁7の間の枠体6の奥行方向で手前側と奥側の2箇所と、互いに対向する3つの中間梁7,7間の2箇所にそれぞれ設置されている。したがって、本実施の形態では、1つの枠体6に対して4枚の足場板8が設置される。
このように、1つの足場ユニットAの足場を4枚の足場板8で構成すると、1つの足場ユニットAの足場を1枚の足場板8で構成する場合や、特許文献1の足場装置のように1つの足場ユニットの足場を2枚の足場板で構成する場合に比べて、足場ユニットAの枠体6の面積を同じとすると、足場板8の1枚当たりの面積が小さくなる。よって、従来に比べて、足場板8の1枚当たりの重さも軽量化できるので、足場板8の持ち運びがしやすく、足場板8の設置作業も容易となる。
なお、1つの足場ユニットAの足場を構成する足場板8の枚数は、4枚には限定されず、3枚以上であれば、従来よりも足場板8の1枚当たりの重さを軽量化できる。
また、足場板8は、図13,図16に示すように、縦梁2及び横梁3の足場板支持部22a(32a)と中間梁7の張出部70bに載置されて、一対の縦梁2,2間に架け渡されている。
さらに、枠体6の奥行方向で手前側と奥側に設置される足場板8は、縦梁2の位置決め片22bと横梁3の位置決め片32bと中間梁7の突部70cとによって外周を囲われており、枠体6の3つの中間梁7,7間に設置される足場板8は、縦梁2の位置決め片22bと中間梁7の突部70cとによって外周を囲われている。そのため、一対の縦梁2,2間に架け渡された足場板8は、水平方向の移動が規制されて位置決めされる。
また、本実施の形態の足場板8の厚みは、図13,図16に示すように、位置決め片22b,22b(32b,32b)及び突部70cの突出高さと等しくなっている。そのため、位置決め片22b,22b(32b,32b)及び突部70cが、隣接する足場板8,8同士の隙間から足場板8の上方へ突出することがない。よって、作業者が位置決め片22b,22b(32b,32b)及び突部70cに躓いてしまうのを防止できる。
さらに、本実施の形態では、図1,図16に示すように、縦梁2及び横梁3の上弦材22(32)に固定されて足場板支持部22a(32a)に載置された足場板8を足場板支持部22a(32a)とともに挟持して枠体6からの足場板8の脱落を防止する固定プレート10が設けられている。
このように設けられた固定プレート10は、縦梁2及び横梁3の上弦材22(32)の長手方向に沿って設けられており、1つの縦梁2及び横梁3上で隣り合う足場板8,8の間の隙間を埋めて段差を無くすとともに、足場板8を足場板支持部22a(32a)側に押し付けて、足場板8の浮き上がりを防止する。
詳細には、本実施の形態の固定プレート10は、図1,図16に示すように、足場板支持部22a(32a)に設けられた複数の螺子孔27(37)と同じ間隔で配置された複数のボルト挿通孔10aを有する矩形状の板材である。
ここで、螺子孔27(37)は、図16に示すように、足場板支持部22a(32a)の位置決め片22b,22b(32b,32b)間の下面に固定具27b(37b)を介して設けられたナット27c(37c)と、足場板支持部22a,22a(32a,32a)のナット27c(37c)が取付けられている箇所に設けられてボルトの挿通を許容する孔27a(37a)とによって形成されている。
そして、図16に示すように、縦梁2及び横梁3の足場板支持部22a(32a)の位置決め片22b,22b(32b,32b)を挟んで図中左側と右側にそれぞれ載置された足場板8の上に固定プレート10を被せ、固定プレート10のボルト挿通孔10aを縦梁2及び横梁3の螺子孔27(37)に対向させた状態で、ボルト挿通孔10aにボルトB4を挿入し、ボルトB4を螺子孔27(37)のナット27c(37c)に螺合することで、固定プレート10は、ボルトB4の頭部によって縦梁2及び横梁3に押し付けられて、縦梁2及び横梁3に固定される。
なお、本実施の形態では、1つの縦梁2及び横梁3に対して2つの固定プレート10が固定されているが、固定プレート10の設置数や設置個所は必要に応じて任意に決定されればよく、固定プレート10は縦梁2と横梁3の全ての螺子孔27(37)に固定されなくともよい。
また、図1,図17に示すように、縦梁2の螺子孔27には、枠体6を吊持する吊り材としてのチェーン9を取付け可能なブラケット11を連結することもできる。
詳細には、本実施の形態のブラケット11は、図17,図18に示すように、矩形の底部プレート11aと、底部プレート11aの下部から突出して位置決め片22b,22b間に挿入されて位置決め片22b,22bと対向する一対の規制片11b,11bと、底部プレート11aの上部から突出して互いに対向する一対の支持片11c,11cと、一対の支持片11c,11cに対して回転ピン11dを介して回転自在に連結される一対の回転片11e,11eと、回転片11e,11e間に固定されてチェーン9を挿通可能な連通孔11gを有する吊り材保持部11fとを備える。
また、底部プレート11aには、図5中で縦梁2の梁本体20の軸方向中央に配置される2つの螺子孔27,27と同じ間隔で配置される2つの孔11h,11hが設けられている。
そして、図17に示すように、底部プレート11aの孔11h,11hを梁本体20の軸方向中央に配置される2つの螺子孔27,27に対向させた状態で、底部プレート11aの各孔11hにボルトB5を挿入して、螺子孔27のナット27cにボルトB5を螺合することで、ブラケット11は縦梁2に固定される。また、この際、位置決め片22b,22b間に規制片11b,11bが挿入されて、ブラケット11の縦梁2に対する幅方向の移動が規制された状態で、底部プレート11aの孔11hにボルトB5を挿入できるので、底部プレート11aの孔11hと螺子孔27の位置決めが容易になる。
また、詳細には図示しないが、ブラケット11の連通孔11gにチェーン9を挿入して、チェーン9をブラケット11に引掛けることで、チェーン9をブラケット11を介して枠体6に取付けできるので、足場装置1において、結合部材5が配置されている以外の箇所にも足場装置1を吊持するチェーン9を取付けできるようになり、足場装置1の積載荷重を大きくできる。
さらに、本実施の形態のブラケット11では、吊り材保持部11fが固定される回転片11e,11eが支持片11c,11cに対して回転自在に連結されているため、建築物又は構築物に連結されたチェーン9の位置が、ブラケット11の真上になくとも回転片11e,11eが回転してブラケット11にモーメントが負荷されないようになっている。
また、図17に示すように、本実施の形態のブラケット11の幅(図中左右の幅)は、幅方向で隣り合う足場板8,8の間の幅よりも狭くなっている。具体的には、ブラケット11がブラケット11における各位置決め片22b,22bの外側端面の上向き延長線からはみ出す長さは、縦梁2,2(横梁3,3)における位置決め片22b,22b間の長さから足場板8の長さを差し引いた長さの半分よりも短くなっている。そのため、ブラケット11を縦梁2に固定した状態であっても、ブラケット11に邪魔されることなく、縦梁2の足場板支持部22a上に足場板8を載置することができる。
また、本実施の形態では、ブラケット11は、縦梁2のみに取付けされているが、横梁3のみ又は縦梁2と横梁3の両方にブラケット11が取付けられてもよい。また、本実施の形態のブラケット11の構成は一例であって、吊り材としてのチェーン9を取付け可能であれば、上述の構造には限定されない。また、足場装置1の積載荷重に不足がなければ、ブラケット11は省略されてもよい。
つづいて、本実施の形態の足場装置1の組立方法について詳細に説明する。まず、奥行方向と幅方向に複数の足場ユニットAを接続して構成される足場装置1を地上で組み立てる。そして、地上で組み立てた足場装置1の各足場ユニットA(以下、「既設の足場ユニットA」とする。)に設けられた結合部材5及びブラケット11に連結されるチェーン9の上端を建築物又は構築物側に取付けて、チェーン9を重機やチェーンブロックで巻き上げることで、図19に示すように、足場装置1を建築物又は構築物に吊持させる。
本実施の形態では、足場装置1は、図19に示すように、幅方向に3列、奥行方向に2列配置された6つの既設の足場ユニットAで構成されており、幅方向で隣接する既設の足場ユニットA,Aは縦梁2を共有部品とし、奥行方向で隣接する既設の足場ユニットA,Aは横梁3を共有部品としている。なお、足場装置1を構成する既設の足場ユニットAの数は、必要に応じて適宜決定されればよく、少なくとも1つあればよい。
次に、建築物又は構築物に吊持された足場装置1の既設の足場ユニットAに拡張用の足場ユニットA1を接続して、足場装置1の床板面積を拡張する工程について詳細に説明する。ここでは、説明の便宜上、拡張用の足場ユニットA1の構成部品に対して、既設の足場ユニットAの構成部品とは異なる符号を付けて説明するが、拡張用の足場ユニットA1の構成部品と既設の足場ユニットAの構成部品は、同じ部品である。
まず、予め拡張用の縦梁2Aの一端に拡張用の結合部材5Aを連結しておくとともに、軸方向中央の螺子孔27,27にブラケット11を取付けておく。
そして、図20に示すように、一端に拡張用の結合部材5Aを取付けた拡張用の縦梁2Aの他端を、既設の足場ユニットAの既設の枠体6の拡張する側である一辺側(図中左側)に配置される既設の各結合部材5にそれぞれ固定ピンP1のみで水平方向に回転自在に連結する。この際、作業者は、既設の1つの足場ユニットA上で作業を行うようにし、拡張用の縦梁2Aの一端を作業が行われる足場ユニットA側に引き寄せた状態で既設の結合部材5に連結される。この状態から、作業者は、既設の結合部材5を支点にして各拡張用の縦梁2Aの一端を足場ユニットAから遠ざけるように外側に向けて水平方向に回転させることで、一対の拡張用の縦梁2Aを奥行方向に沿って互いに平行になるように配置する。その後、拡張用の縦梁2Aの他端と既設の各結合部材5を回転防止ピンP2によって回転不能に固定する。
次に、図21に示すように、既設の足場ユニットAから見て各拡張用の縦梁2Aの1番手前側にある引掛け孔26に1つ目の拡張用の中間梁7Aの両端に設けられた引掛け部71をそれぞれ引っ掛けて、1つ目の拡張用の中間梁7Aを拡張用の縦梁2A,2A間に架け渡す。その後、図22に示すように、1枚目の拡張用の足場板8Aを、既設の足場ユニットAの既設の横梁3と1つ目の拡張用の中間梁7Aに支持させつつ、拡張用の縦梁2A,2A間に架け渡す。作業者はこの作業を既設の足場ユニットA上で行うが、本実施の形態の足場装置1では、中間梁7が1つの枠体6に対して3つ設けられているため、既設の足場ユニットAから1つ目の拡張用の中間梁7Aまでの距離が短くなっており、作業者は安全に上記作業を行うことができる。
そして、図示しないが、2つ目及び3つ目の拡張用の中間梁7Aと足場板8Aについても、1つ目の拡張用の中間梁7Aと1枚目の拡張用の足場板8Aと同様の手順で、手前側から順に拡張用の縦梁2A,2A間に拡張用の中間梁7Aと拡張用の足場板8Aを架け渡していく。この作業を行うにあたっても、拡張用の中間梁7A,7A間の幅が狭いので、作業者は拡張用の縦梁2A,2A間に設置した拡張用の足場板8A上から大きく身を乗り出すことなく、安全に作業を行うことができる。なお、2枚目及び3枚目の拡張用の足場板8Aは、奥行方向で隣り合う2つの拡張用の中間梁7A,7Aに支持される。
次に、図23に示すように、各拡張用の縦梁2Aの一端に連結された拡張用の結合部材5A,5A間に拡張用の横梁3Aを架け渡す。以下、拡張用の結合部材5A,5A間に拡張用の横梁3Aを架け渡す手順について詳細に説明する。
まず、拡張用の縦梁2Aの一端に拡張用の結合部材5Aを連結する際に、拡張用の結合部材5Aを、拡張用の縦梁2Aの一端に対して、固定ピンP1のみで連結しておき、拡張用の縦梁2Aの一端に対して水平方向に回転可能としておく。
この状態において、図24(A)に示すように、図中右側の拡張用の結合部材5Aを図中左側の拡張用の縦梁2A側(内側)に向けて回転させて、図中右側の拡張用の結合部材5Aを拡張用の足場板8Aに近づけた状態で、拡張用の横梁3Aの一端である図中右端にある連結部31を、奥行方向で手前側から奥側へ移動させて図中右側の拡張用の結合部材5Aの一対のプレート50,51の上下に重ねて、図中右側の連結部31の孔(第一取付孔31d,第一対向孔31g)と図中右側の拡張用の結合部材5Aの挿通孔50a,51aを対向させた状態で、固定ピンP1を挿入して、拡張用の横梁3Aの図中右端を図中右側の拡張用の結合部材5Aに対して水平方向に回転自在に連結する。
その後、図24(B)に示すように、図中右側の拡張用の結合部材5Aを図中左側の拡張用の縦梁2Aとは反対側(外側)に向けて回転させていき、拡張用の横梁3Aの他端である図中左端にある連結部31を、図中左側の拡張用の結合部材5Aのプレート50,51の上下に重ねて、拡張用の横梁3Aの図中左端にある連結部31の孔(第一取付孔31d,第一対向孔31g)と図中左側の拡張用の結合部材5Aのプレート50,51の挿通孔50a,51aを対向させた状態で、固定ピンP1を挿入して、拡張用の横梁3Aの図中左端を図中左側の拡張用の結合部材5Aに対して水平方向に回転自在に連結する。
このように拡張用の結合部材5Aを拡張用の縦梁2Aの一端に対して固定せずに水平方向に回転可能に連結しておけば、一方の拡張用の結合部材5Aを内側に向けて回転させることで、一方の拡張用の結合部材5Aを拡張用の足場板8A側に近づけることができるので、作業者が拡張用の足場板8Aから身を乗り出す量が減り、足場装置1をより安全に組み立てることができる。
また、足場装置1を組み立ていくと、足場装置1を構成する各部品の寸法誤差や各部品の組付時の位置のずれ等で拡張用の横梁3Aを拡張用の結合部材5A,5A間に架け渡しづらくなる場合がある。これに対し、本実施の形態では、内側に向けて回転させた状態で拡張用の横梁3Aの一端が連結された一方の拡張用の結合部材5Aを、外側に向けて回転させるだけで、拡張用の横梁3Aの他端にある連結部31の孔(第一取付孔31d,第一対向孔31g)と他方の拡張用の結合部材5Aのプレート50,51の挿通孔50a,51aとを対向させることができるので、足場装置1を構成する各部品に寸法誤差があったり、各部品の組付時のずれ等があっても、連結部31の孔と拡張用の結合部材5Aのプレート50,51の孔の位置合わせを容易に行える。
よって、前述した方法で拡張用の横梁3Aを拡張用の結合部材5A,5A間の架け渡すと、足場装置1の組立作業がより安全で容易となる。
なお、本実施の形態では、左右両方の拡張用の結合部材5Aを左右の拡張用の縦梁2Aの一端に対してそれぞれ水平方向に回転可能に連結しているが、少なくとも一方の拡張用の結合部材5Aを、拡張用の縦梁2Aの一端に対して水平方向に回転可能に連結しておけば、上記したものと同様の手順で拡張用の横梁3Aを拡張用の結合部材5A,5A間に架け渡すことができる。
ただし、左右両方の拡張用の結合部材5Aが、予め回転防止ピンP2によって拡張用の縦梁2Aに対して回転不能に固定されていてもよい。この場合であっても、拡張用の結合部材5A,5A間に拡張用の横梁3Aを架け渡すことはできる。
戻って、図示しないが、各拡張用の縦梁2Aの端部と拡張用の横梁3Aの各端部を回転防止ピンP2を介して各拡張用の結合部材5Aに対して回転不能に固定する。
そして、4枚目の拡張用の足場板8Aを、3つ目の拡張用の中間梁7Aと拡張用の横梁3Aに支持させつつ、拡張用の縦梁2A,2A間に架け渡す。
最後に、拡張用の結合部材5Aと、拡張用の縦梁2Aに予め取付けておいたブラケット11に、上端が建物又は構築物側に連結されたチェーン9の下端を取付けることで、図25に示すように、拡張用の足場ユニットA1を建築物又は構築物に吊持させる。
この際、拡張用の縦梁2Aには、予めブラケット11が取付けられているため、1つの拡張用の枠体6Aに全ての拡張用の足場板8Aを設置後すぐにブラケット11にチェーン9の下端を取付けでき、ブラケット11に取付けされるチェーン9を介して拡張用の足場ユニットA1が吊持されていない時間を短くできるので、安全性が向上する。
以上の手順を幅方向又は奥行方向に繰り返すことで、本実施の形態の足場装置1は、建築物又は構築物に吊持された状態で、任意の位置まで床板面積を拡張できるようになっている。そして、複数の拡張用の足場ユニットA1を組立て足場装置1の床板面積を拡張した後に、各縦梁2と各横梁3に固定パネル10を固定することで、足場板8の脱落を防止できる。
なお、作業者は、縦梁2,2を既設の足場ユニットAに連結して展開する作業を1つの足場ユニットA上で行うことができるため、既設の複数の足場ユニットAが幅方向に連なっており、複数の既設の足場ユニットAに対して幅方向に1列を成す拡張用の足場ユニットA1を奥行方向に設置する場合、縦梁2,2に関しては幅方向に並ぶ既設の足場ユニットAの1つおきに用意して作業を行えばよいので作業効率が向上する。
上述した足場装置1の組立方法によると、一つの結合部材5に対して複数の縦梁2と横梁3の端部を一度に連結する工程をなくせる。そのため、結合部材5に設けられる4つの挿通孔50a,51aのうち、どの挿通孔50a,51aに縦梁2及び横梁3を連結するかの判断を誤りにくい。よって、上記組立方法によると、組み間違えが生じにくく、組立作業性が向上する。
また、本実施の形態の足場装置1では、前述したように、足場ユニットAの足場を3枚以上の足場板8で構成しているため、従来の足場ユニットの足場を2枚以下の足場板で構成する場合に比べて、足場板8の幅が狭くなって、足場板8の1枚当たりの重さを軽量化できる。さらに、縦梁2及び横梁3の梁本体20(30)と、中間梁7の中間梁本体70を軽量なアルミニウムを材料にすることで、軽量化が図られている。よって、本実施の形態では、足場装置1を構成する各部品の持ち運びが容易となるため、足場装置1の組立作業が容易となり、足場装置1の組み立てにかかる時間を短縮できる。
また、足場板8の幅が狭くなるので、足場板8を支持する中間梁7,7間の幅も狭くなり、作業者は既設の足場ユニットA上又は設置済みの拡張用の足場板8上から大きく身を乗り出さなくても足場装置1を組み立てできる。よって、足場装置1をより安全に組み立てできる。
なお、上述した足場装置1の組立方法は、一例であって、足場装置1を組立可能であれば、上記方法には限定されない。
前述したように、本実施の形態の足場装置1は、一対の縦梁2,2と、一対の横梁3,3と、縦梁2の各端部と横梁3の各端部の間に配置されて縦梁2と横梁3を同一平面上で回転可能に連結する4つの結合部材5とを有する枠体6と、縦梁2,2間に所定の間隔で架け渡される2つ以上の中間梁7と、縦梁2,2間に架け渡されるとともに少なくとも1つの中間梁7に支持される中間梁7の設置数より1枚多い足場板8とを備える。
この構成によると、枠体6内に設置される足場板8の数が少なくとも3枚以上になるため、従来のように枠体6内に設置される足場板8の枚数が2枚以下である場合に比べて、足場板8の幅が狭くなって、足場板8の1枚当たりの重さを軽量化できる。そのため、足場装置1の組立作業が容易となり、足場装置1の組み立てにかかる時間を短縮できる。
さらに、足場板8の幅が狭くなるので、足場板8を支持する中間梁7,7間の幅も狭くなる。そのため、足場装置1の組立時において、作業者が縦梁2,2間に架け渡された足場板8上から次の中間梁7と足場板8を縦梁2,2間に架け渡す作業を、作業者は足場板8上から大きく身を乗り出すことなく行うことができる。よって、足場装置1の組立作業をより安全に行うことができる。
なお、本実施の形態では、縦梁2,2間に架け渡される中間梁7の数を3つとし、少なくとも1つの中間梁7に支持される足場板8の枚数を4枚としているが、中間梁7の設置数を2つ以上とし、少なくとも1つの中間梁7に支持される足場板8の枚数を中間梁7の設置数より1枚多い3枚以上とすれば、従来よりも足場板8の1枚当たりの重さを軽量化できる。また、中間梁7の設置数を2つ以上とし、少なくとも1つの中間梁7に支持される足場板8の枚数を中間梁7の設置数より1枚多い3枚以上としていれば、足場板8を支持する中間梁7,7間の幅も狭くなるので、前述したように、足場装置1の組立作業をより安全に行うことができる。
また、本実施の形態では、結合部材5は、縦梁2の各端部と横梁3の各端部を水平方向に回転可能に連結しているが、縦梁2の各端部と横梁3の各端部を鉛直方向に回転可能に連結してもよい。ただし、結合部材5が、縦梁2の各端部と横梁3の各端部を鉛直方向に回転可能に連結する場合、縦梁2及び横梁3の鉛直方向の回転を許容するだけの足場装置1から建築物や構築物又は地面までの距離の確保が必要となるため、結合部材5は、縦梁2の各端部と横梁3の各端部を水平方向に回転可能に連結する方が好ましい。
また、本実施の形態の足場装置1では、縦梁2及び横梁3は、梁本体20(30)と、梁本体20(30)の長手方向の両端にそれぞれ分解可能に連結されて梁本体20(30)を結合部材5に連結可能な連結部21(31)とを有している。
この構成によると、縦梁2及び横梁3の梁本体20(30)又は連結部21(31)が破損した場合に、破損した部品のみを分解して取り換えればよいため、足場装置1のメンテナンスが容易となる。なお、縦梁2と横梁3の少なくともいずれか一方の梁本体20(30)と連結部21(31)が分解可能に連結されていればよい。
また、本実施の形態の足場装置1では、梁本体20(30)は連結部21(31)よりも単位体積当たりの質量が小さい材料で形成され、連結部21(31)は梁本体20(30)よりも剛性の高い材料で形成されている。
この構成によると、足場装置1の使用時に大きなせん断荷重が作用する連結部21(31)のみ剛性の高い材料で形成し、連結部21(31)に比べて作用する荷重が小さい梁本体20(30)を連結部21(31)よりも単位体積当たりの質量の小さい材料で形成しているので、足場装置1の剛性を確保して積載荷重の低下を招かずに、縦梁2又は横梁3を軽量化できる。よって、上記構成によれば、足場装置1の組立作業性が向上する。
なお、本実施の形態の足場装置1では、梁本体20(30)を鋼鉄製、連結部21(31)をアルミニウム製としているが、梁本体20(30)を連結部21(31)よりも単位体積当たりの質量が小さい材料で形成し、連結部21(31)を梁本体20(30)よりも剛性の高い材料で形成する限りにおいて、梁本体20(30)と連結部21(31)の材料は特に限定されない。ただし、梁本体20(30)と連結部21(31)は、同じ材料で、一体的に形成されてもよい。
また、本実施の形態の足場装置1では、梁本体20(30)は、上下で対向して互いに平行配置される上弦材22(32)及び下弦材23(33)と、上弦材22(32)と下弦材23(33)との間に架け渡されて上弦材22(32)と下弦材23(33)を連結する少なくとも1つの束材24(34)及び複数の斜材25(35)とを有し、上弦材22(32)、下弦材23(33)、束材24(34)及び斜材25(35)は互いに分解可能な態様で連結されている。
この構成によると、梁本体20(30)を構成する部品が、経年劣化や荷重により損傷又は変形してしまったとしても、損傷又は変形した部品のみを分解して取り換えればよく、足場装置1のメンテナンスが容易となる。
また、梁本体20(30)を構成する部品が分解可能な態様、つまり溶接以外の方法で連結されているので、梁本体20(30)を溶接に手間のかかる金属であるアルミニウム製とした場合に、溶接を回避しつつ、梁本体20(30)をトラス構造とすることができる。
また、本実施の形態の足場装置1では、上弦材22(32)は、梁本体20(30)の軸方向に沿って延びて足場板8を支持する平板状の足場板支持部22a(32a)と、足場板支持部22a(32a)の上面側から起立して互いに対向するとともに足場板支持部22a(32a)に支持された足場板8の水平方向移動を規制する一対の位置決め片22b,22b(32b,32b)とを有し、縦梁2又は横梁3を吊持する吊り材としてのチェーン9を取付け可能なブラケット11が足場板支持部22aにおける位置決め片22b,22b(32b,32b)同士の間に連結されており、足場板支持部22aに対して位置決め片22b,22bを挟んで2つの足場板8が設置され、ブラケット11の幅は2つの足場板8,8間の幅よりも狭くなっている。
この構成によると、足場装置1の組立時に、拡張用の縦梁2A又は横梁3Aに予めブラケット11を取付けておいても、拡張用の足場板8Aを拡張用の縦梁2,2間に架け渡す際にブラケット11が邪魔にならない。したがって、拡張用の枠体6Aに全ての拡張用の足場板8Aを設置後すぐにブラケット11にチェーン9の下端を取付けでき、ブラケット11に取付けされるチェーン9を介して拡張用の足場ユニットA1が吊持されていない時間を短くできるので、安全性が向上する。
また、本実施の形態の足場装置1では、連結部21(31)に設けられた第一取付孔21d,21d(31d,31d)と結合部材5に設けられた挿通孔50a,51aとを対向させた状態で、第一取付孔21d,21d(31d,31d)と挿通孔50a,51aとに挿入される固定ピンP1によって、結合部材5が縦梁2又は横梁3に対して回転自在に連結され、連結部21(31)に設けられた第二取付孔21e,21e(31e,31e)と結合部材5の外周に設けられた回転防止溝50b,51bとを対向させた状態で、第二取付孔21e,21e(31e,31e)と回転防止溝50b,51bとに挿入される回転防止ピンP2によって、結合部材5が縦梁2又は横梁3に対して回転不能の状態で固定される。
この構成によると、幅方向で隣り合う結合部材5,5間に横梁3を架け渡す際に、少なくとも一方の結合部材5を縦梁2に対して固定ピンP1のみで回転自在に連結しておけば、一方の結合部材5を内側に向けて回転させることで一方の結合部材5を足場板8側に近づけることができる。したがって、作業者が足場板8上から結合部材5,5間に横梁3を架け渡す際に、作業者が足場板8上から身を乗り出す量を減らすことができるので、より安全に結合部材5,5間に横梁3を架け渡すことができる。
さらに、足場装置1を組み立てていくと、足場装置1を構成する各部品の寸法誤差や各部品の組付時の位置のずれ等で横梁3を結合部材5,5間に架け渡しづらくなることがあるが、本実施の形態では、内側に向けて回転されて横梁3の一端が連結された状態の一方の結合部材5を、外側に向けて回転させるだけで、横梁3の他端にある連結部31の孔(第一取付孔31d,第一対向孔31g)と他方の結合部材5のプレート50,51の挿通孔50a,51aとの位置合わせを容易に行うことができる。
また、本実施の形態の足場装置1では、固定ピンP1及び回転防止ピンP2の上端には、固定ピンP1及び回転防止ピンP2を径方向に突出する2つの突起Pa,Pbが上下に並べて設けられており、固定ピンP1及び回転防止ピンP2の軸方向から見て2つの突起Pa,Pbは互いに交差する方向を向いて配置されている。
この構成によると、上側突起Paは、固定ピンP1及び回転防止ピンP2の持ち手として機能し、下側突起Pbは、固定ピンP1及び回転防止ピンP2の抜け止めとして機能する。
また、仮に上側突起Paと下側突起Pbを上下に平行に配置した場合、上側突起Paと下側突起Pbを固定ピンP1及び回転防止ピンP2に連結するために固定ピンP1及び回転防止ピンP2の上端側における2つの孔の上下方向の肉厚を確保しなければ孔開け加工をできなくなるので、孔同士の間隔をある程度あけておく必要がある。これに対して、本実施の形態のように、上側突起Paと下側突起Pbを固定ピンP1及び回転防止ピンP2の軸方向から見て交差する方向に配置すると、上側突起Paと下側突起Pbが挿入される2つの孔がねじれの位置に配置されるので、2つの孔の上下方向の距離を短くしても無理なく孔開け加工できる。
したがって、上側突起Paと下側突起Pbを固定ピンP1及び回転防止ピンP2の軸方向から見て交差する方向に配置した場合、上側突起Paと下側突起Pbを上下に平行に配置した場合に比べて、上側突起Paと下側突起Pbの上下方向の間隔を短くできる。そのため、固定ピンP1及び回転防止ピンP2が第一取付孔21d(31d)及び第二取付孔21e(31e)に挿入されて、下側突起Pbが第一取付孔21d(31d)又は第二取付孔21e(31e)の縁に引掛かった状態における固定ピンP1及び回転防止ピンP2の上端の突出高さを低くできる。
よって、上側突起Paと下側突起Pbを固定ピンP1及び回転防止ピンP2の軸方向から見て交差する方向に配置すると、縦梁2,2間に架け渡される足場板8の板厚を足場板8の軽量化のために薄くしても、固定ピンP1及び回転防止ピンP2の上端が足場板8から突出せず、作業者が固定ピンP1及び回転防止ピンP2に躓くのを防止できる。ただし、上側突起Paと下側突起Pbを上下に平行に配置してもよい。
また、本実施の形態の足場装置1では、結合部材5は、平行配置される上下一対のプレート50,51と、プレート50,51同士を接続する接続部52とを有し、プレート50,51は、それぞれ同一円周上に等間隔で配置されて互いに対向する4つの挿通孔50a,51aと、プレート50,51の外周であってプレート50,51の中心から見て挿通孔50a,51aと正対する位置に設けられる4つの回転防止溝50b,51bとを有し、連結部21(31)は、梁本体20(30)の各端部から軸方向に沿って突出する上下一対の連結片21c,21c(31c,31c)を有し、各連結片21c(31c)は、それぞれ互いに対向する第一取付孔21d(31d)と、第一取付孔21d(31d)を挿通孔50a,51aのいずれか1つと対向させた状態で回転防止溝50b,51bと対向する位置に配置される第二取付孔21e,21eとを有し、下側プレート51に設けられた回転防止溝51bは、上側プレート50に設けられた回転防止溝50bよりも浅く形成されている。
ここで、第一取付孔21d(31d)及び挿通孔50a,51a内に挿入される固定ピンP1と第一取付孔21d,21d(31d,31d)及び挿通孔50a,51aの間には若干の隙間があるため、縦梁2又は横梁3が結合部材5に連結されると、固定ピンP1は、縦梁2又は横梁3から受けるモーメントにより、上記隙間分だけ第一取付孔21d,21d(31d,31d)及び挿通孔50a,51a内で僅かに傾く。そのため、結合部材5が縦梁2又は横梁3に対して固定ピンP1のみで連結されている状態では、縦梁2又は横梁3は、固定ピンP1の傾斜角度に応じて下向きに傾く。
他方、第二取付孔21e(31e)内に挿入される回転防止ピンP2と第二取付孔21e,21e(31e,31e)の間にも若干の隙間があり、下側プレート51に設けられた下側の回転防止溝51bは、上側プレート50に設けられた上側の回転防止溝50bよりも浅く形成されている。そのため、第二取付孔21e,21e(31e,31e)に挿入される回転防止ピンP2は、縦梁2又は横梁3から受けるモーメントによって第二取付孔21e,21e(31e,31e)内で傾こうとするが、回転防止ピンP2の下端が下側プレート51によって側方から支持されて傾きが抑制される。
すなわち、本実施の形態では、縦梁2又は横梁3からモーメントを受けても回転防止ピンP2の下端が下側プレート51によって側方から支えられるため、縦梁2又は横梁3を水平配置できる。
また、結合部材5の高さを低くすると、傾斜する固定ピンP1を上側と下側を支える支点となる第一取付孔21d,21dの内周同士の間の距離も近くなるので、固定ピンP1と第一取付孔21d,21d(31d,31d)及び挿通孔50a,51aの間の隙間が同じであれば固定ピンP1の傾斜角度が大きくなる。よって、結合部材5の高さを低くすると、結合部材5と縦梁2及び横梁3が固定ピンP1のみで連結されている状態における縦梁2及び横梁3の下向きの傾きも大きくなってしまう。ところが、本実施の形態では、上述したように、縦梁2及び横梁3からモーメントを受けても、回転防止ピンP2の下端が下側プレート51によって側方から支えられて、縦梁2及び横梁3が水平配置されるようになっているため、結合部材5の高さを低くしても上記不具合が生じない。
よって、本実施の形態によれば、結合部材5の高さを低くして、結合部材5を軽量化できるので、足場装置1の組立作業性がより向上し、足場装置1の組み立てにかかる時間をより短縮できる。
ただし、固定ピンP1及び回転防止ピンP2が傾くことによる縦梁2及び横梁3の下向きの傾きが、許容範囲にある場合には、上側プレート50の回転防止溝50bと下側プレート51に設けられた回転防止溝51bの深さは同じに設定されてもよい。
また、図示しないが、互いに対向する横梁3及び中間梁7の間と、互いに対向する中間梁7,7同士の間にそれぞれ各足場板8を支持する補助梁を縦梁2と平行に架け渡してもよい。この構成によると、足場板8の撓みを防止できるとともに、足場板8を設置する際に、一対の縦梁2,2と一対の横梁3,3と各中間梁7で囲われた枠から足場板8が落下するのを防止できる。
また、本実施の形態の足場装置1の組立方法は、一対の縦梁2,2と、一対の横梁3,3と、縦梁2の各端部と横梁3の各端部の間に配置されて縦梁2と横梁3を同一平面上で回転可能に連結する4つの結合部材5とを有する枠体6と、縦梁2,2間に所定の間隔で架け渡される2つ以上の中間梁7と、縦梁2,2間に架け渡されるとともに少なくとも1つの中間梁7に支持される中間梁7の設置数より1枚多い足場板8とを備える足場装置1の組立方法において、一端に拡張用の結合部材5Aを取付けた拡張用の一対の縦梁2A,2Aの他端を、枠体6の一辺側に配置される各結合部材5にそれぞれ連結する工程と、拡張用の一対の縦梁2A,2A間に拡張用の中間梁7Aを架け渡し、少なくとも架け渡した拡張用の中間梁7Aに支持させるとともに拡張用の一対の縦梁2A,2A間に拡張用の足場板8Aを架け渡す工程を1つの枠体6A内に設置する中間梁7Aの数と同じだけ繰り返し、拡張用の結合部材5A,5A間に拡張用の横梁3Aを架け渡す工程と、少なくとも拡張用の横梁3Aに支持させるとともに拡張用の一対の縦梁2A,2A間に他の拡張用の足場板8Aを架け渡す工程とを含んでいる。
この構成によると、枠体6内に設置される足場板8の数が少なくとも3枚以上になるため、従来のように枠体6内に設置される足場板8の数が2枚以下である場合に比べて、足場板8の幅が狭くなって、足場板8の1枚当たりの重さを軽量化できる。そのため、足場装置1の組立作業が容易となり、足場装置の組み立てにかかる時間を短縮できる。
また、足場板8の幅が狭くなるので、足場板8を支持する中間梁7,7間の幅も狭くなる。そのため、作業者は、既設の足場板8上又は拡張用の縦梁2A,2A間に架け渡された拡張用の足場板8A上から大きく身を乗り出すことなく、次の拡張用の中間梁7Aと拡張用の足場板8Aを拡張用の縦梁2A,2A間に架け渡すことができるので、組立作業をより安全に行うことができる。
さらに、この足場装置1の組立方法によると、結合部材5に対して複数の縦梁2と横梁3の端部を一度に連結する工程をなくせる。そのため、結合部材5に設けられる4つの挿通孔50a,51aのうち、どの挿通孔50a,51aに縦梁2及び横梁3を連結するかの判断を誤りにくい。よって、上記組立方法によると、組み間違えが生じにくく、組立作業性が向上する。
なお、拡張用の一対の縦梁2A,2A間に拡張用の中間梁7Aを架け渡し、少なくとも架け渡した拡張用の中間梁7Aに支持させるとともに拡張用の一対の縦梁2A,2A間に拡張用の足場板8Aを架け渡す工程を繰り返す回数は、枠体6内に設置される中間梁7の数と同じになる。よって、中間梁7を1つの枠体6に対してN個(Nは2つ以上の整数)設ける場合には、当該工程を行うN回となる。
つづいて、第二の実施の形態の足場装置100について詳細に説明する。ここでは、第二の実施の形態の足場装置100が、第一の実施の形態の足場装置1と異なる部分について詳細に説明し、説明の重複を避けるため、同じ部材については同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
第二の実施の形態の足場装置100は、図26に示すように、奥行方向(図中上下方向)に沿って配置される一対の縦梁200,200と、幅方向(図中左右方向)に沿って配置される一対の横梁300,300と、縦梁200の各端部と横梁300の各端部の間に配置されて縦梁200と横梁300を同一平面上で回転可能に連結する4つの結合部材500とを有する枠体600と、縦梁200,200間に所定の間隔で架け渡される3つの中間梁7と、縦梁200,200間に架け渡されるとともに少なくとも1つの中間梁7に支持される4枚の足場板8とを備える。なお、図26では、枠体600の構造の理解を容易にするため、中間梁7と足場板8の記載を省略している。また、第二の実施の形態の中間梁7と足場板8は、第一の実施の形態の足場装置1における中間梁7と足場板8と同一である。
以下、4つの結合部材500の内、枠体600の奥行方向手前側(図26中下側)に配置される2つの結合部材500を手前側結合部材500Aと称し、枠体600の奥行方向で奥側(図26中上側)に配置される2つの結合部材500を奥側結合部材500Bと称して、第二の実施の形態の足場装置100の各部について説明する。
本実施の形態の結合部材500は、図27に示すように、上下一対のプレート501,501と、上側のプレート501と下側のプレート501を接続する円筒状の接続部507とを備える。また、各プレート501は、図26,図27(A)に示すように、二等辺三角形の頂点を面取りしてできる形状の平板とされており、底辺側が縦梁200の一端に溶接により固定的に連結されている。よって、手前側結合部材500Aは、手前側に配置されている図外の枠体600の縦梁200の一端に固定的に取付けられており、奥側結合部材500Bは、図中の枠体600の縦梁200の一端に固定的に取付けられている。なお、縦梁200と結合部材500の連結方法は、縦梁200と結合部材500が一体不可分となる限りにおいて、溶接には限定されない。
また、各プレート501には、図27(A)に示すように、左右に並べて配置される左孔502及び右孔503と、左孔502及び右孔503よりも奥側(図中上側)であって左孔502と右孔503の間に配置される前孔504が形成されている。なお、プレート501の形状は、上述した形状には特に限定されず、円形や四角形であってもよい。
また、図27(A)に示すように、各プレート501の外周であって各プレート501の中心から見て左孔502,右孔503,前孔504と正対する位置には、それぞれ回転防止溝505が設けられている。
さらに、図27に示すように、左孔502,右孔503,前孔504に囲われた上側のプレート501の中央位置には、吊り材としてのチェーン9の下端を取付け可能なチェーンブラケット506が設けられている。
本実施の形態の縦梁200は、図26,図27に示すように、第一の実施の形態の縦梁2と比較すると、梁本体20の奥側端(図中上端)に設けられる連結部21に代えて、奥側結合部材500Bが一体的に連結されている点で異なり、他の構成は同一である。
詳細には、本実施の形態の縦梁200は、図27に示すように、梁本体20と、梁本体20の手前側端(図中下端)に設けられて手前側結合部材500Aに連結可能な連結部21とを備える。第二の実施の形態における連結部21は、特許請求の範囲に記載した第一連結部に対応している。
また、第一の実施の形態における縦梁2の端部に結合部材5を連結する方法と同じであるため、詳細には図示しないが、本実施の形態では、連結部21に設けられた第一取付孔21dと手前側結合部材500Aの前孔504を対向させた状態で、第一接続ピンP3を挿入することで、縦梁200は手前側結合部材500Aに対して水平方向に回転自在に連結され、連結部21に設けられた第二取付孔21eと手前側結合部材500Aの前孔504と正対する回転防止溝505を対向させた状態で、回転防止ピンP4を挿入することで、縦梁200は図外の手前の枠体600の縦梁200に固定的に取り付けられた手前側結合部材500Aに対して回転不能に固定される。
なお、本実施の形態の第一接続ピンP3及び回転防止ピンP4の構造は、第一の実施の形態の固定ピンP1及び回転防止ピンP2と同じ構造であるが、異なっていてもよい。
本実施の形態の横梁300は、図26,図28に示すように、外筒としての上弦材303aと上弦材303a内に摺動自在に挿入される内筒としての摺動体404とで構成される伸縮部Tを有する梁本体301と、梁本体301の長手方向の両端に設けられて結合部材500に連結可能な第二連結部302とを備える。
詳細には、本実施の形態の梁本体301は、図28(B)に示すように、上下で対向して互いに平行配置される断面四角筒状の上弦材303a及び下弦材303bと、上弦材303aと下弦材303bとの間に斜めに架け渡されて上弦材303aと下弦材303bとを連結する複数の斜材303cとを有してトラス構造に構成される支持体303と、外筒としての上弦材301a内に摺動自在に挿入される内筒としての断面四角筒状の摺動体304とを備える。
つまり、本実施の形態では、上弦材301aと、上弦材301a内に摺動自在に挿入される摺動体304とで伸縮部Tが構成されており、図28(B),(C)に示すように、摺動体304を上弦材301a内に出入りさせることで、伸縮部Tを伸縮させて横梁300の軸方向長さを変更できるようになっている。
なお、本実施の形態では、支持体303の上弦材303aを伸縮部Tの外筒としているが、下弦材303bを伸縮部Tの外筒としてもよい。あるいは、上弦材303aと下弦材303bの両方を伸縮部Tの外筒とし、各外筒内に挿入される2つの内筒を設けてこれらの内筒を伸縮部Tの内筒としてもよい。ただし、伸縮部Tの内筒の数を2つにした場合、伸縮部Tの強度は向上するが、伸縮部Tの内筒の数が増えた分だけ横梁300の重量が増加する。なお、伸縮部Tの外筒及び内筒の数は要求される強度や重量に応じて設計変更可能である。
また、本実施の形態の横梁300では、伸縮部Tが梁本体301の一端側に設けられているが、伸縮部Tは、梁本体301の軸方向の途中に設けられてもよい。
なお、本実施の形態では、梁本体301の強度を確保するために支持体303をトラス構造としているが、必要な強度が担保されていれば、支持体303の構造は、トラス構造には限定されない。
また、本実施の形態の伸縮部Tは、摺動体304の上弦材303a内からの脱落を防止する脱落防止手段を備えている。具体的には、本実施の形態の脱落防止手段は、図28(B),(C)に示すように、伸縮部Tの外筒としての上弦材303aに軸方向に沿って形成される長孔305と、摺動体304の外周から径方向に突出して長孔305内に挿入される規制ピン306とを備えている。規制ピン306は、図28(B)に示すように長孔305における上弦材303aの中央側(図中左側)の縁に当接すると伸縮部Tのそれ以上の収縮を規制し、図28(C)に示すように長孔305における上弦材303aの先端側(図中右側)の縁に当接すると伸縮部Tのそれ以上の伸長を規制する。
したがって、このような脱落防止手段を設けると、伸縮部Tの伸縮可能な長さの設定を行えるとともに、横梁300の運搬時における摺動体304の上弦材303aからの脱落を防止できる。
なお、上述した脱落防止手段の構成は一例であって、摺動体304の上弦材303aからの脱落の防止が可能であれば、上述した手段には限定されない。よって、例えば、外筒としての上弦材303aと内筒としての摺動体304に、それぞれ、伸縮部Tの収縮時に互いに対向可能なピン孔を設けておき、両ピン孔にロックピンを挿入することで、摺動体304の脱落を防止してもよい。このようにすると、横梁300の運搬時にだけ両ピン孔にロックピンを挿入しておけば、横梁300の運搬時に伸縮部Tが勝手に伸縮することがないので、伸縮部Tが横梁300の運搬の邪魔にならない。
戻って、本実施の形態の第二連結部302は、図28に示すように、上下一対の対向板302a,302aと、一対の対向板302a,302aの基端同士を接続する筒状の接続体302bとを備える。また、各対向板302aには、基端側に配置される第一孔302cと、先端側に配置される第二孔302dが横梁300の梁本体301の長手方向に沿って並べて設けられている。
また、図28に示すように、第二連結部302の接続体302bを支持体303の反摺動体側端(図28(B)中左端)と、摺動体304の反支持体側端(図28(B)中右端)とにそれぞれ固定することで、第二連結部302は、梁本体301の両端に設けられている。
そして、枠体600の幅方向で対向する2つの結合部材500,500の内、左側の結合部材500の右孔503と、右側の結合部材500の左孔502にそれぞれ各第二連結部302の第一孔302cを対向させた状態で、左孔502及び右孔503と各第二連結部302の第一孔302cに第二接続ピンP5を挿入することで、横梁300は枠体600の幅方向で対向する結合部材500,500に対して水平方向に回転自在に連結される。なお、本実施の形態の第二接続ピンP5の構造は、第一の実施の形態の固定ピンP1と同じ構造であるが、異なっていてもよい。
また、縦梁200,200間に架け渡される中間梁7と足場板8の構造や数は、第一の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
つづいて、第二の実施の形態の足場装置100の組立方法について詳細に説明する。ここでは、枠体600と、枠体600の縦梁200,200間に架け渡される中間梁7と、足場板8を一つの足場ユニットA10と称して説明する。
まず、第一の実施の形態と同様に、奥行方向と幅方向に複数の足場ユニットA10を接続した足場装置100を地上で組み立てる。そして、地上で組み立てた足場装置100を図示しないチェーン9を介して建築物又は構築物に吊持させる。
次に、建築物又は構築物に吊持された足場装置100の足場ユニットA10(以下、「既設の足場ユニット」とする。)における縦梁200の奥側端に連結された結合部材500である手前側結合部材500Aの各前孔504に各縦梁200の連結部21の第一取付孔21dを対向させた状態で、第一取付孔21dと前孔504にそれぞれ第一接続ピンP3を挿入して、各縦梁200を各手前側結合部材500Aに対して水平方向回転自在に連結する。
その後、図29に示すように、各縦梁200の奥側端をそれぞれ手前側に引き寄せ、幅方向で隣り合う奥側結合部材500Bの内で左側に位置する奥側結合部材500Bの右孔503と右側に位置する奥側結合部材500Bの左孔502とにそれぞれ横梁300の第二連結部302の第一孔302cを対向させた状態で、左孔502及び右孔503と第二連結部302の第一孔302cにそれぞれ第二接続ピンP5を挿入して、横梁300の各端部を各奥側結合部材500B,500Bに対して水平方向に回転自在に連結する。このようにして、図29に示すように、複数の枠体600を折り畳み姿勢で手前側結合部材500Aに接続する。
次に、図30に示すように、縦梁200同士及び横梁300同士が互いに平行配置されるまで各縦梁200を手前側結合部材500Aに対して水平方向に回転させて、複数の枠体600を折り畳み姿勢から展開姿勢へと姿勢変更する。
ここで、枠体600の幅方向で隣り合う奥側結合部材500B,500B間の距離は、枠体600が展開姿勢になっている場合に最も近づき、枠体600が折り畳み姿勢となっている場合に最も遠ざかるが、本実施の形態では、横梁300が伸縮部Tを備えているので、図29に示すように、枠体600が折り畳み姿勢になっているときは伸縮部Tが最伸長し、図30に示すように、枠体600が展開姿勢となると伸縮部Tが最収縮する。つまり、枠体600の幅方向で隣り合う奥側結合部材500B,500B間の距離の変化に対して、伸縮部Tを伸縮させて横梁300の軸方向長さを変化させることで対応できる。
よって、本実施の形態の足場装置100によれば、奥側結合部材500Bが縦梁200の奥側端に一体的に連結されていても、手前側結合部材500Aに対して複数の枠体600を折り畳み姿勢で接続してから、複数の枠体600を展開姿勢に姿勢変更することで、複数の枠体600を一気に組み立てることができる。
その後、各縦梁200の手前側端に設けられた連結部21の第二取付孔21eに回転防止ピンP4を挿入して、各縦梁200を手前側結合部材500Aに対して回転不能に固定する。
なお、第二の実施の形態では、縦梁200の奥側端に奥側結合部材500Bが一体的に連結されているため、縦梁200が手前側結合部材500Aに対して回転不能に固定されると、横梁300も自動的に奥側結合部材500Bに対して回転不能になる。したがって、第二の実施の形態では、横梁300を奥側結合部材500Bに対して回転不能に連結するために回転防止ピンを必要としない。
最後に、枠体600の幅方向で隣り合う縦梁200,200間に奥行方向で手前側から順に中間梁7を架け渡す工程と、横梁300と中間梁7又は奥行方向で隣り合う中間梁7,7に支持させるとともに縦梁200,200間に足場板8を架け渡す工程を1つの枠体600内に設置する中間梁7の数と同数だけ繰り返す。これにより、図31に示すように、足場装置100の既設の足場ユニットA10に対して、拡張用の足場ユニットA10が連結される。
以上の手順を幅方向又は奥行方向に繰り返すことで、本実施の形態の足場装置100は、建築物又は構築物に吊持された状態で、任意の位置まで床板面積を拡張できるようになっている。
ただし、足場装置100の組立方法は、上記方法には限定されず、第一の実施の形態の足場装置1と同様に、一対の縦梁200を奥行方向に沿うように平行配置してから、縦梁200,200間に中間梁7を架け渡し、少なくとも架け渡した中間梁7に支持させるとともに縦梁200,200間に足場板8を架け渡す工程を手前側から順に1つの枠体600に設置される中間梁7の数と同じ数だけ繰り返し、縦梁200の奥行側端に横梁300を架け渡してから、最後に奥側の横梁300に支持させつつ縦梁200,200間に足場板8を架け渡す方法であってもよい。
前述したように、本実施の形態の足場装置100では、結合部材500には、左右に並べて配置される左孔502及び右孔503と、左孔502及び右孔503よりも奥側に配置される前孔504が形成されており、縦梁200は、奥側端に奥側結合部材500Bが一体的に連結されており、手前側端に孔(第一取付孔21d)を有する連結部21(第一連結部)が設けられており、横梁300は、外筒(上弦材301a)と外筒(上弦材301a)内に摺動自在に挿入される内筒(摺動体304)とで構成される伸縮部Tを有する梁本体301と、梁本体301の長手方向の両端に設けられてそれぞれ孔(第一孔302c)を有する第二連結部302とを有し、連結部21の孔(第一取付孔21d)と手前側結合部材500Aの前孔504とを対向させた状態で、連結部21の孔(第一取付孔21d)と手前側結合部材500Aの前孔504とに挿入される第一接続ピンP3によって、縦梁200は手前側結合部材500Aに対して水平方向に回転自在に連結され、枠体600の幅方向で対向する2つの奥側結合部材500Bの内、左側の奥側結合部材500Bの右孔503と、右側の奥側結合部材500Bの左孔502にそれぞれ各第二連結部302の孔(第一孔302c)を対向させた状態で、左孔502及び右孔503と各第二連結部302の孔(第一孔302c)とにそれぞれ挿入される第二接続ピンP5によって、横梁300の各端部は各奥側結合部材500Bに対して水平方向に回転自在に連結されている。
この構成によると、縦梁200の奥側端に奥側結合部材500Bが一体的に連結されているため、足場装置100を組み立てる際に、作業者が各縦梁200に対して奥側結合部材500Bを連結する作業を行う必要がなくなる。したがって、足場装置100の組立作業が容易となり、足場装置100の組み立てにかかる時間を短縮できる。
さらに、本実施の形態の足場装置100では、横梁300が伸縮部Tを備えている。そのため、本実施の形態の足場装置100によれば、奥側結合部材500Bが縦梁200の奥側端に一体的に連結されていても、枠体600の姿勢を折り畳み姿勢から展開姿勢に変更する際において、枠体600の幅方向で隣り合う奥側結合部材500B,500B間の距離の変化に対して、伸縮部Tを伸縮させて横梁300の軸方向長さを変化させることで対応できる。よって、本実施の形態では、手前側結合部材500Aに対して複数の枠体600を折り畳み姿勢で接続してから、複数の枠体600を展開姿勢に姿勢変更する前述の方法で、複数の枠体600を一気に組み立てることができる。
また、本実施の形態の足場装置100であっても、第一の実施の形態の足場装置1と同様に、縦梁200,200間に架け渡される中間梁7の数が2つ以上であって、枠体600内に設置される足場板8の数が少なくとも3枚以上になるため、従来のように枠体600内に設置される足場板8の枚数が2枚以下である場合に比べて、足場板8の幅が狭くなって、足場板8の1枚当たりの重さを軽量化できる。
さらに、足場板8の幅が狭くなるので、足場板8を支持する中間梁7,7間の幅も狭くなる。そのため、足場装置100の組立時において、作業者が縦梁200,200間に架け渡された足場板8上から次の中間梁7と足場板8を縦梁200,200間に架け渡す作業を、作業者は足場板8上から大きく身を乗り出すことなく行うことができる。よって、足場装置100の組立作業をより安全に行うことができる。
ただし、第二の実施の形態の足場装置100では、中間梁7の設置数を2つ未満にし、枠体600内に設置される足場板8の数を2枚以下にしてもよい。
つづいて、第二の実施の形態の足場装置100における第一の変形例について説明する。ここでは、第一の変形例の足場装置100Aが、第二の実施の形態の足場装置100と異なる部分について詳細に説明し、説明の重複を避けるため、同じ部材については同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図32に示すように、第一の変形例の足場装置100Aでは、横梁300に設けられる伸縮部Tを省略し、横梁300の長手方向の両端に設けられる第二連結部302の第一孔302cと第二孔302dに代えて、横梁300の軸方向に沿う方向の長さが長い孔である長孔302eを設けた点で第二の実施の形態と異なる。なお、図32では、第一の変形例の足場装置100Aの枠体600の構造の理解を容易にするため、中間梁7と足場板8の記載を省略している。
第一の変形例の足場装置100Aでは、図33に示すように、枠体600が折り畳み姿勢にあって、枠体600の幅方向で隣り合う奥側結合部材500B,500B間の距離が最も遠ざかる状態では、横梁300の各端部と各奥側結合部材500Bとを連結する各第二接続ピンP5は、各長孔302eの先端側縁に当接する。
そして、図34に示すように、枠体600が展開姿勢にあって、枠体600の幅方向で隣り合う奥側結合部材500B,500B間の距離が最も近づく状態では、横梁300の各端部と各奥側結合部材500Bとを連結する各第二接続ピンP5は、各長孔302eの基端側縁寄りに位置する。
したがって、第一の変形例の足場装置100Aでは、枠体600の姿勢を折り畳み姿勢から展開姿勢に変更する際における、枠体600の幅方向で隣り合う奥側結合部材500B,500B間の距離の変化に対して、各第二接続ピンP5が各長孔302eの長手方向に沿ってスライドすることで対応できる。
よって、第一の変形例の足場装置100Aにおいても、縦梁200の奥側端に奥側結合部材500Bを一体的に連結しても、手前側結合部材500Aに対して複数の枠体600を折り畳み姿勢で接続してから、複数の枠体600を展開姿勢に姿勢変更する方法で、複数の枠体600を一気に組み立てることができる。
なお、第一の変形例では、長孔302eは、枠体600が折り畳み姿勢にある場合に、各第二接続ピンP5が各長孔302eの先端側縁に当接し、枠体600が展開姿勢にある場合に、各第二接続ピンP5が各長孔302eの基端側縁寄りに位置する長さに設定されているが、長孔302eは、少なくとも枠体600の姿勢を折り畳み姿勢から展開姿勢に変更する際における、第二接続ピンP5の移動を許容する長さに設定されていればよい。
また、第一の変形例の足場装置100Aにおいても、第二の実施の形態の足場装置100と同様に、縦梁200の奥側端に奥側結合部材500Bが一体的に連結されているため、足場装置100を組み立てる際に、作業者が各縦梁200に対して奥側結合部材500Bを連結する作業を行う必要がなくなる。したがって、足場装置100Aの組立作業が容易となり、足場装置100Aの組み立てにかかる時間を短縮できる。
つづいて、第二の実施の形態の足場装置100における第二の変形例について説明する。ここでは、第二の変形例の足場装置100Bが、第二の実施の形態の足場装置100と異なる部分について詳細に説明し、説明の重複を避けるため、同じ部材については同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図35に示すように、第二の変形例の足場装置100Bでは、横梁300に設けられる伸縮部Tを省略し、結合部材500に形成される左孔502と右孔503が、それぞれ、奥行方向に沿う直線部502a,503aと、直線部502a,503aの奥側端に連なり互いに内側へ湾曲する湾曲部502b,503bを有する点で第二の実施の形態と異なる。なお、図35では、第二の変形例の足場装置100Bの枠体600の構造の理解を容易にするため、中間梁7と足場板8の記載を省略している。
第二の変形例の足場装置100Bでは、図36に示すように、枠体600が縦梁200を図中右側に折り畳んだ折り畳み姿勢にあって、枠体600の幅方向で隣り合う奥側結合部材500B,500B間の距離が最も遠ざかる状態では、図中左側の奥側結合部材500Bと横梁300の左端とを連結する第二接続ピンP5は、左側の奥側結合部材500Bの右孔503の湾曲部503b内の奥側端に位置し、図中右側の奥側結合部材500Bと横梁300の右端とを連結する第二接続ピンP5は、右側の奥側結合部材500Bの左孔502の直線部502a内の手前側端に位置する。
なお、図示するところでは、枠体600を右側に折り畳む折り畳み姿勢としているが、枠体600は左側に折り畳まれてもよい。その場合、図中左側の奥側結合部材500Bと横梁300の左端とを連結する第二接続ピンP5は、左側の奥側結合部材500Bの右孔503の直線部503a内の手前側端に位置し、図中右側の奥側結合部材500Bと横梁300の右端とを連結する第二接続ピンP5は、右側の奥側結合部材500Bの左孔502の湾曲部502b内の奥側端に位置する。
そして、図37に示すように、枠体600が展開姿勢にあって、枠体600の幅方向で隣り合う奥側結合部材500B,500B間の距離が最も近づく状態では、横梁300の各端部を左右の奥側結合部材500B,500Bにそれぞれ連結する第二接続ピンP5は、図中左側の奥側結合部材500Bの右孔503の直線部503a内と、図中右側の奥側結合部材500Bの左孔502の直線部502a内にそれぞれ位置する。
このように、第二の変形例の足場装置100Bでは、左側の奥側結合部材500Bの右孔503と右側の奥側結合部材500Bの左孔502が、枠体600の姿勢を折り畳み姿勢から展開姿勢に変更する際における第二接続ピンP5の移動軌跡に沿う形状になっている。
そのため、枠体600の姿勢を折り畳み姿勢から展開姿勢に変更する際において、枠体600の幅方向で隣り合う奥側結合部材500B,500B間の距離が変わっても、各第二接続ピンP5が奥側結合部材500B,500B間の距離の変化に応じて、左側の奥側結合部材500Bの右孔503と右側の奥側結合部材500Bの左孔502内でスライドして位置を変えて対応する。
よって、第二の変形例の足場装置100Bにおいても、縦梁200の奥側端に奥側結合部材500Bを一体的に連結しても、手前側結合部材500Aに対して複数の枠体600を折り畳み姿勢で接続してから、複数の枠体600を展開姿勢に姿勢変更する方法で、複数の枠体600を一気に組み立てることができる。
また、第二の変形例の足場装置100Bにおいても、第二の実施の形態の足場装置100と同様に、縦梁200の奥側端に奥側結合部材500Bが一体的に連結されているため、足場装置100を組み立てる際に、作業者が各縦梁200に対して奥側結合部材500Bを連結する作業を行う必要がなくなる。したがって、足場装置100Bの組立作業が容易となり、足場装置100Bの組み立てに係る時間を短縮できる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱なく改造、変形及び変更ができるのは当然である。