JP7152173B2 - フォトクロミック硬化体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、新規なフォトクロミック硬化体の製造方法に関する。
クロメン化合物、フルギド化合物、スピロオキサジン化合物等に代表されるフォトクロミック化合物は、太陽光あるいは水銀灯の光のような紫外線を含む光を照射すると速やかに色が変わり、光の照射をやめて暗所におくと元の色に戻るという特性(フォトクロミック性)を有しており、この特性を活かして、種々の用途、特に光学材料の用途に使用されている。
その一例が、フォトクロミック眼鏡レンズであり、該レンズは、太陽光のような紫外線を含む光が照射される屋外では速やかに着色してサングラスとして機能し、そのような光の照射がない屋内では退色して透明な通常の眼鏡として機能する。近年、フォトクロミック眼鏡レンズの需要は増大している。
光学材料にフォトクロミック性を付与するために、一般に、フォトクロミック化合物はプラスチック材料と併用され、具体的には、次のような手段が知られている。
(a)化合物にフォトクロミック化合物を溶解させ、それを重合させることにより、レンズ等の光学材料を成形する方法。この方法は、練り込み法と呼ばれている。
(b)レンズ等のプラスチック成形品の表面に、フォトクロミック化合物が分散した樹脂層を、コ-ティング或いは注型重合により設ける方法。この方法は、積層法と呼ばれている。
(c)2枚の光学シ-トを、フォトクロミック化合物が分散した接着材樹脂により形成された接着層により接合する方法。この方法は、バインダー法と呼ばれている。
ところで、フォトクロミック性を有する光学材料については、次のような特性が求められている。
(I)紫外線を照射する前の可視光領域での着色度(初期着色)が低いこと。
(II)紫外線を照射した時の着色度(発色濃度)が高いこと。
(III)紫外線の照射を止めてから元の状態に戻るまでの速度(退色速度)が速いこと。
(IV)発色~退色の可逆作用の繰り返し耐久性がよいこと。
(V)保存安定性が高いこと。
(VI)各種の形状に成形し易いこと。
これまでに種々のフォトクロミック化合物が報告されており、溶液中で優れた光応答性を示すフォトクロミック化合物であっても、高分子固体マトリックス中では光応答性が悪く、退色半減期は長くなる傾向であることが知られている。これは、溶液中に比較し、高分子固体マトリックス中では自由空間が圧倒的に小さいため、フォトクロミック化合物の構造変化が制約を受けるためと考えられる。この問題の解決方法として、ナノカプセル化が可能なフォトクロミック化合物が提案されている。具体的には、近年ポリアルキレンオキシ鎖基やポリシロキサンオリゴマー鎖基を有するフォトクロミック化合物(以下、高分子化フォトクロミック化合物)が開示されている。これらの高分子化フォトクロミック化合物は、マトリックス依存性が低く、高分子固体マトリックス中でおいても、優れた光応答性を示すことが報告されている。(特許文献1、2参照)。上記の高分子化フォトクロミック化合物は、近年注目されている技術ではあるが、高分子化フォトクロミック化合物を含有する硬化体は白濁することも知られている。その解決方法として、(チオ)ウレタン系レンズの場合、ポリイソシアネートと2官能以上のアルコールの官能基当量比を制御することで、フォトクロミック特性を発現させつつ、レンズの白濁を抑制できることが記載されている。(特許文献3) 。
国際公開第WO2004/041961号 国際公開第WO2000/015630号 国際公開第WO2017/047745号
上述した通り、フォトクロミック特性を付与した光学材料を製造するために、練りこみ法、積層法、バインダー法等が適用されており、それぞれの手法に適したフォトクロミック組成物、フォトクロミック硬化体が必要とされている。すなわち、実用的なフォトクロミック特性を有しており、様々な力学特性を発現できるマトリックスの開発が求められていた。
このような現状において、特許文献3に記載の方法では、本発明者等の検討によれば以下の点で改善の余地があることが分かった。すなわち、該方法においては、2官能以上のアルコールの量によって白濁を抑制しているが、該アルコールの量を比較的多くしないと、白濁を十分に抑制できない場合があることが分かった。2官能以上のアルコールの量が増加すると、得られる硬化体の物性をコントロールし難くなるという不利益が生じる。該方法において、2官能以上のアルコールは、硬化体を形成(架橋)するモノマー、および白濁を抑制する添加剤の役割を果たすものと考えられる。そのため、該2官能以上のアルコールの量が増加すると架橋度が増すため、他のモノマー等による物性をコントロールすることが難しくなる。つまり、硬化体の物性を制御し易くするためには、白濁を抑制する添加剤の役割を示すモノマーの量をなるべく少なくすることが求められていた。
したがって、本発明の目的は、白濁抑制効果を発現するモノマーの量を低減することができ、かつ、フォトクロミック特性、その他の機械特性に優れ、および白濁が抑制されたフォトクロミック硬化体の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討を行った。そして、様々なモノマーを配合し検討したところ、活性水素を1分子中に1個有する単官能化合物を配合するが、上記課題の解決に有用であることを見出した。すなわち、特定量の単官能活性水素化合物を用いることで、オリゴマー鎖基を有するフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック硬化体を製造したとしても、フォトクロミック特性を維持したまま、白濁を抑制しつつ、その力学特性を容易にコントロールできることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下に示すことができる。
すなわち、本発明は、フォトクロミック硬化体の製造方法であって、
(A)分子中にイソ(チオ)シアネート基を2個以上有するポリイソ(チオ)シアネート化合物(以下、単に「ポリイソ(チオ)シアネート化合物」、又は「(A)成分」とする場合もある。)と、
(B)活性水素を1分子中に2個以上有する多官能化合物(以下、単に「多官能化合物」、又は「(B)成分」とする場合もある。)と、
(C)活性水素を1分子中に1個有する単官能化合物(以下、単に「単官能化合物」、又は「(C)成分」とする場合もある。)と、
(D)ヘテロ原子を有し、且つ繰り返し単位を3つ以上有するオリゴマー鎖基を有するフォトクロミック化合物(以下、単に「フォトクロミック化合物」、又は「(D)成分」とする場合もある。)を含有し、
前記(D)成分におけるオリゴマー鎖基1モル当たり、前記(C)成分を1~2000モル含むフォトクロミック組成物を硬化せしめることを特徴とするフォトクロミック硬化体の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、良好なフォトクロミック特性と機械的特性を有し、且つ透明なフォトクロミック硬化体を製造することができる。特に活性水素を1分子中に1個有する単官能化合物を用いることにより、フォトクロミック硬化体の白濁を抑制することができる。
本発明で使用するフォトクロミック組成物は、(A)分子中にイソ(チオ)シアネート基を2個以上有するポリイソ(チオ)シアネート化合物と、(B)活性水素を1分子中に2個以上有する多官能化合物と、(C)活性水素を1分子中に1個有する単官能化合物と、(D)ヘテロ原子を有し、且つ繰り返し単位を3つ以上有するオリゴマー鎖基を有するフォトクロミック化合物を含んでなる。そして、使用形態に応じて、その他の公知の配合剤を含んでいる。
先ず、(A)ポリイソ(チオ)シアネート化合物について説明する。
<(A)ポリイソ(チオ)シアネート化合物>
本発明のフォトクロミック組成物を構成する(A)ポリイソ(チオ)シアネート化合物は、分子内に2個以上のイソ(チオ)シアネート基を有する化合物である。本発明において、イソ(チオ)シアネート基とは、イソシアネート基、又はイソチオシアネート基を指す。そして、分子中にイソ(チオ)シアネート基を2個以上有するとは、イソシアネート基を分子内に2個以上有するか、イソチオシアネート基を分子内に2個以上有するか、又は、分子内のイソシアネート基とイソチオシアネート基との合計数が2個以上となることを指す。
(A)成分において、イソ(チオ)シアネート基の数は、2個以上であれば特に制限されるものではない。中でも、重合を制御し易いう点で、2~6個であることが好ましく、2~4個であることがより好ましく、2個であることがさらに好ましい。
該ポリイソ(チオ)シアネート化合物の内、ポリイソシアネート化合物(分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物)としては、脂肪族イソシアネート化合物、脂環族イソシアネート化合物、芳香族イソシアネート化合物、含硫黄脂肪族イソシアネート化合物、脂肪族スルフィド系イソシアネート化合物、芳香族スルフィド系イソシアネート化合物、脂肪族スルホン系イソシアネート化合物、芳香族スルホン系イソシアネート化合物、スルホン酸エステル系イソシアネート化合物、芳香族スルホン酸アミド系イソシアネート化合物、含硫黄複素環イソシアネート化合物等が挙げられる。
<好適な(A)ポリイソシアネート化合物>
以上のような該(A)ポリイソシアネート化合物の中でも、透明性・機械強度に優れた光学物品を形成するのに好適な化合物、特に、フォトクロミック化合物を含む光学物品を製造するのに適している化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
該(A)ポリイソシアネート化合物の好ましい例としては、下記式(I)~(VIII)で示される化合物である。
<アルキレン鎖を有する化合物>
下記式(I)
Figure 0007152173000001
(式中、
100は、炭素数1~10のアルキレン基であり、前記アルキレン基の鎖中のメチレン基の一部が硫黄原子に置換された基であってもよい。)で示される化合物を使用することが好ましい。
100は、炭素数1~10のアルキレン基であり、直鎖状、又は分岐鎖状の基であってもよい。中でも、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、又はヘプタメチレン基、オクタメチレン基の直鎖状の基、又は、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基の水素原子の一部がメチル基に置換された分岐鎖状の基が好ましい。また、メチレン基の一部が硫黄原子で置換されたアルキレン基は、―CHCHSCHCHSCHCH-基が好ましい。
前記式(I)で示される化合物を具体的に例示すると、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,4,4,-トリメチルヘキサンメチレンジイソシアネート、1,2-ビス(2-イソシアナトエチルチオ)エタン等が挙げられる。これら化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上の化合物を使用することもできる。
<フェニル基、又はシクロヘキサン基(環)を有する化合物>
下記式(II)、下記式(III)
Figure 0007152173000002
Figure 0007152173000003
(式中、
101は、それぞれ、炭素数1~4のアルキル基、又は水素原子であり、同一の基であっても、異なる基であってもよく、
102は炭素数1~4のアルキル基であり、複数の基が存在する場合には、同一の基であっても、異なる基であってよく、
100は整数で2又は3であり、b100は整数で0~4であり、c100は整数で0~4である。)で示される化合物を使用することが好ましい。前記式(II)で示される化合物と前記式(III)で示される化合物の違いは、フェニル基を有する化合物(前記式(II)で示される化合物)とシクロヘキサン基(環)を有する化合物(前記式(III)で示される化合物)である。
101において、炭素数1~4のアルキル基は、直鎖状、又は分岐鎖状の基であってもよい。中でも、 R101は、水素原子、メチル基、エチル基であることが特に好ましい。R102において、炭素数1~4のアルキル基は、直鎖状、又は分岐鎖状の基であってもよい。中でも、 R102は、メチル基、エチル基であることが特に好ましい。
前記式(II)、又は前記式(III)で示される化合物を具体的に例示すれば、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート(o-,m-,p-)、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート等が挙げられる。これら化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上の化合物を使用することもできる。
<2つのフェニル基、又は2つのシクロヘキサン基(環)を有する化合物>
下記式(IV)、下記式(V)
Figure 0007152173000004
Figure 0007152173000005
(式中、
103は、それぞれ、炭素数1~4のアルキル基、又は水素原子であり、同一の基であっても、異なる基であってもよく、d100は整数で0~4である。)で示される化合物を使用することが好ましい。前記式(IV)で示される化合物と前記式(V)で示される化合物の違いは、フェニル基を2個有する化合物(前記式(IV)で示される化合物)とシクロヘキサン基(環)を2個有する化合物(前記式(V)で示される化合物)との違いである。
103において、炭素数1~4のアルキル基は、直鎖状、又は分岐鎖状の基であってもよい。中でも、R103は、水素原子、メチル基、エチル基であることが特に好ましい。
前記式(IV)、又は前記式(V)で示される化合物を具体的に例示すれば、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート等が挙げられる。これら化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上の化合物を使用することもできる。
<ノルボルナン環を有する化合物>
下記式(VI)
Figure 0007152173000006
(式中、
104は、それぞれ、炭素数1~4のアルキル基、又は水素原子であり、同一の基であっても、異なる基であってよく、e100は整数で0~4である。)で示される化合物である。
104において、炭素数1~4のアルキル基は、直鎖状、又は分岐鎖状の基であってもよい。中でも、R104は、水素原子、メチル基、エチル基であることが特に好ましい。
前記式(VI)で示される化合物を具体的に例示すれば、ノルボルナンジイソシアネート、2,5-ビス(イソシアネートメチル)-ビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアネートメチル)-ビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタンが挙げられる。これら化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上の化合物を使用することもできる。
<チオフェン環または含硫黄複素環を有する化合物>
下記式(VII)、下記式(VIII)
Figure 0007152173000007
Figure 0007152173000008
(式中、
105は、それぞれ、炭素数1~4のアルキル基、又は水素原子であり、同一の基であっても、異なる基であってもよく、
106は、メチレン基、又は硫黄原子であり、R107は炭素数1~6のアルキレン基、又は前記炭素数1~6のアルキレン基の鎖中の炭素原子の一部が-S-結合となる基であり、f100は整数で0~2である。)で示される化合物を使用することが好ましい。
前記式(VII)、又は前記式(VIII)で示される化合物を具体的に例示すれば、2,5-ビス(イソシアナトメチル)チオフェン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-1,4-ジチアン、3,4-ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、4,5-ビス(イソシアナトメチル)-1,3-ジチオラン等が挙げられる。これら化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上の化合物を使用することもできる。
さらに、上記ポリイソシアネートのハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体や、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビウレット変性体、ダイマー化あるいはトリマー化反応生成物なども使用できる。
<好適な(A)ポリイソ(チオ)シアネート化合物(分子内に2個以上のイソチオシアネート基を有する化合物)
また、ポリイソチオシアネート化合物としては、前記式(I)~(VIII)で示されるポリイソシアネート化合物において、イソシアネート基がイソチオシアネート基に代わっている化合物が挙げられる。より具体的には、脂肪族イソチオシアネート化合物、脂環族イソチオシアネート化合物、芳香族イソチオシアネート化合物、含複素環イソチオシアネート化合物、含硫黄脂肪族イソチオシアネート化合物、含硫黄芳香族イソチオシアネート化合物、含硫黄複素環イソチオシアネート化合物等が挙げられる。
アルキレン鎖を有する化合物としては、ヘキサメチレンジイソチアシネート、1,2-ジイソチオシアネートエタン、1,3-ジイソチオシアネートプロパン、1,4-ジイソチオシアネートブタン、1,6-ジイソチオシアネートヘキサン、2,4,4,-トリメチルヘキサンメチレンジイソチアシネート、チオビス(3-イソチオシアネートプロパン)、チオビス(2-イソチオシアネートエタン)、ジチオビス(2-イソチオシアネートエタン)などが挙げられる。
フェニル基、又はシクロヘキサン基(環)を有する化合物としては、p-フェニレンジイソプロピリデンジイソチオシアネート、1,2-ジイソチオシアネートベンゼン、1,3-ジイソチオシアネートベンゼン、1,4-ジイソチオシアネートベンゼン、2,4-ジイソチオシアネートトルエン、イソホロンジイソチオシアネート、キシレンジイソチオシアネート(o-,m-,p-)、2,4-トリレンジイソチオシアネート、2,6-トリレンジイソチオシアネート、シクロヘキサンジイソチオシアネートなどが挙げられる。
2つのフェニル基、又は2つのシクロヘキサン基(環)を有する化合物としては、1,1’-メチレンビス(4-イソチオシアネートベンゼン)、1,1’-メチレンビス(4-イソチオシアネート2-メチルベンゼン)、1,1’-メチレンビス(4-イソチオシアネート3-メチルベンゼン)などが挙げられる。
ノルボルナン環を有する化合物としては、2,4-ビス(イソチオシアナトメチル)ノルボルナン、2,5-ビス(イソチオシアナトメチル)ノルボルナン、
2,6-ビス(イソチオシアナトメチル)ノルボルナン、3,5-ビス(イソチオシアナトメチル)ノルボルナン、ノルボルナンジイソチアネートなどが挙げられる。
チオフェン環または含硫黄複素環を有する化合物としては、チオフェン-2,5-ジイソチオシアネート、1,4-ジチアン-2,5-ジイソチオシアネート、2,5-ビス(イソチオシアナトメチル)-1,4-ジチアン、4,5-ビス(イソチオシアナトメチル)-1,3-ジチオランなどが挙げられる。
<(A)成分;イソシアネート基、およびイソチオシアネート基を有する化合物>
本発明において、(A)成分として、イソシアネート基、およびイソチオシアネート基の両方の基を有する化合物としては、以下の化合物が挙げられる。例えば、前記の具体的に例示したポリイソシアネート化合物において、少なくとも1つのイソシアネート基がイソチオシアネート基となっている化合物である。また、前記の具体的に例示したポリイソチオシアネート化合物において、少なくとも1つのイソチオシアネート基がイソシアネート基となっている化合物である。
<(A)成分の好ましい例>
上記(A)成分のポリイソ(チオ)シアネート化合物の好ましい例として、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、2,5-ビス(イソシアネートメチル)-ビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアネートメチル)-ビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン、1,2-ビス(2-イソシアナ-トエチルチオ)エタン、キシレンジイソシアネート(o-,m-,p-)、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、および、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートを挙げることができ、単独で使用することもでき、またそれらの混合物として使用してもよい。
次に、(B)活性水素を1分子中に2個以上有する多官能化合物について説明する。
<(B)活性水素を1分子中に2個以上有する多官能化合物>
本発明のフォトクロミック組成物を構成する活性水素を1分子中に2個以上有する多官能化合物は、化合物中に水酸基(OH基)、又はチオール基(SH基)を2個以上有する化合物であることが好ましい。水酸基、又はチオール基を有する化合物を使用することにより、重合を制御し易くなる。
該多官能化合物の内、水酸基、又はチオール基を有する化合物を単に「(B)ポリ(チ)オール化合物」とする場合もある。なお、(B)ポリ(チ)オール化合物において、分子内に2個以上の活性水素(活性水素含有基)を有する化合物とは、水酸基を分子内に2個以上有するか、チオール基を分子内に2個以上有するか、又は、分子内の水酸基とチオール基との合計数が2個以上となる化合物を指す。なお、(B)成分において、活性水素(活性水素含有基)の数は、2個以上であれば特に制限されるものではない。中でも、重合を制御し易いう点で、2~6個であることが好ましく、2~4個であることがより好ましく、2個であることがさらに好ましい。
具体的なポリ(チ)オール化合物は、脂肪族ポリ(チ)オール化合物、芳香族ポリ(チ)オール化合物等が挙げられる。より詳細には、下記の化合物を上げることができる。
<(B)成分;ポリ(チ)オール化合物の好適な化合物>
以上のような該(B)ポリ(チ)オール化合物の中でも、透明性・機械強度に優れた光学物品を形成するのに好適な化合物、特に、フォトクロミック化合物を含む光学物品を製造するために適している化合物としては、以下の化合物が挙げられる。具体的には、下記式(IX)~(XI)、(XIII)~(XV)、および(XVII)~(XXII)で示される化合物が挙げられる。
((B)成分;アルキレン鎖等を有するポリ(チ)オール化合物)
下記式(IX)
Figure 0007152173000009
(式中、
100は、炭素数2~30のアルキレン基、又はアルケニル基であり、
108は、それぞれ、水酸基、又はSH基であり、同一の基であっても、異なる基であってもよい。)で示される化合物を使用することが好ましい。
100は、炭素数2~30のアルキレン基、又はアルケニル基であり、直鎖状、又は分岐鎖状の何れであってもよい。好ましくは、炭素数2~15の直鎖状のアルキレン基である。前記式(IX)で示される化合物を具体的に例示すれば、ポリエチレンポリオール(炭素数2~15)、1,10-デカンジチオール、1,8-オクタンジチオールが挙げられる。
<(B)成分;2つ以上のエーテル結合、又はエステル結合を有する化合物>
下記式(X)、又は下記式(XI)
Figure 0007152173000010
Figure 0007152173000011
{式中、
100は、炭素数2~15のアルキレン基、又はアルケニル基であり、
109は、それぞれ、水素原子、又は下記式(XII)
Figure 0007152173000012
(式中、
110は、炭素数1~6のアルキレン基である。)
で示される基であり、同一の基であっても、異なる基であってよく、
100は平均値で1~100の整数である。}で示される化合物を使用することが好ましい。
100は、炭素数2~15のアルキレン基、又はアルケニル基であり、直鎖状、又は分岐鎖状の基であってもよい。好ましくは、炭素数2~6の直鎖状のアルキレン基である。R110は、炭素数1~6のアルキレン基であり、直鎖状、又は分岐鎖状の基であってもよい。中でも、R107は、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基であることが特に好ましい。
前記式(X)で示される化合物、又は前記式(XI)で示される化合物を具体的に例示すると、ポリエチレングリコール(l=1~100)、ポリカプロラクトンポリオール(l=1~100)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ブタンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,6-ヘキサンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
<(B)成分;好適なカーボネートポリオール化合物>
下記式(XIII)
Figure 0007152173000013
(式中、
100、およびE100’は、それぞれ、炭素数2~15のアルキレン基であり、同一の基であっても、異なる基であってよく、
100は平均値で1~20の数である。)で示される化合物を使用することが好ましい。
100、およびE100’は、炭素数2~15のアルキレン基であり、直鎖状、又は分岐鎖状の基であってもよい。中でも、E100、およびE100’は、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、ドデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、1-メチルトリエチレン基、1-エチルトリエチレン基、1-イソプロピルトリエチレン基であることが特に好ましい。前記式(XIII)で示される化合物を具体的に例示すれば、ポリカーボネートポリオール(E100、E100’がペンタメチレン基、ヘキサメチレン基であり、g100=4~10)等が挙げられる。
<(B)成分;多官能ポリオール化合物>
下記式(XIV)
Figure 0007152173000014
(式中、
111は、炭素数1~6のアルキル基であり、複数存在する場合には、同一又は異なっていてもよく、
112は、水素原子、又は前記式(X)と同一であり、同一又は異なっていてもよく
113は、それぞれ、水素原子、メチル基、エチル基、又は水素原子であり、同一又は異なっていてもよく、
100は0~2であり、q100は2~4であり、o100+q100は4であり、p100は0~10であり、r100は1~6である。)で示される化合物を使用することが好ましい。
111は、炭素数2~15のアルキル基であり、直鎖状、又は分岐鎖状の基であってもよい。中でも、R111は、メチル基、エチル基、トリメチル基、プロピル基であることが特に好ましい。
前記式(XIV)で示される化合物を具体的に例示すれば、トリメチロールプロパントリポリオキシエチレンエーテル (日本乳化剤株式会社製TMP-30)、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
<(B)成分;エーテル結合を有するポリオール化合物>
下記式(XIII)
Figure 0007152173000015
{式中、
100は、それぞれ、1~6のアルキル基、又は、下記式(XVI)
Figure 0007152173000016
(式中、
114は、水素原子、又は、前記式(X)と同義の基であり、同一の基であっても、異なる基であってもよく、
115は、それぞれ、メチル基、エチル基、又は水素原子であり、同一の基であっても、異なる基であってもよく、
100は0~10であり、t100は1~6である。)であり、
ただし、基F100の内、少なくとも2つ以上が前記式(XVI)で示される基である。}で示される化合物を使用することが好ましい。
100は、少なくとも2つが前記式(XVI)で示される基である。そして、それ以外の基としては、1~6のアルキル基が挙げられ、鎖状、又は分岐鎖状の基であってもよい。中でも、F100は、メチル基、エチル基、トリメチル基、プロピル基であることが特に好ましい。また、Fは、2つ以上が前記式(XVI)で示される基であれば、それぞれ、同一の基であっても、異なる基であってもよい。前記式(XV)で示される化合物を具体的に例示すれば、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリト-ルヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
<(B)成分;水酸基を2つ有するポリオール化合物>
下記式(XVII)
Figure 0007152173000017
(式中、
116は、炭素数1~30のアルキル基、又はアルケニル基である。)で示される化合物を使用することが好ましい。
116は、炭素数1~30のアルキル基、又は炭素数1~30のアルケニル基であり、直鎖状、又は分岐鎖状の基であってもよい。上記式(XVII)は、脂肪酸とグリセリンの縮合反応から得ることができるため、R116は具体的には、脂肪酸のアルキル、及びアルケニル基部位が挙げられる。脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等が挙げられる。
前記式(XVII)で示される化合物を具体的に例示すれば、モノオレイン酸グリセリル(東京化成工業株式会社製モノオレイン)、モノエライジン、モノリノール酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル等が挙げられる。
<(B)成分;多官能ポリチオール化合物>
下記式(XVIII)
Figure 0007152173000018
(式中、
117は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又は前記炭素数1~6のアルキル基のメチレン基の一部が-S-結合となる基あり、R117が複数存在する場合には、同一の基であっても、異なる基であってもよく、
118は、炭素数1~10のアルキレン基であり、前記炭素数1~10のアルキレン基の鎖中のメチレン基の一部が-S-結合となる基、又は、前記炭素数1~10のアルキレン基の水素原子の一部がSH基で置換された基であり、R118が複数存在する場合には、同一の基であっても、異なる基であってもよく、
100は2~4の整数であり、v100は0~2の整数である。)で示される化合物を使用することが好ましい。
117において、炭素数1~6のアルキル基は、直鎖状、又は分岐鎖状の基であってもよく、中でも、 R117は、水素原子、メチル基、エチル基であることが好ましい。また、炭素数1~6のアルキル基の鎖中のメチレン基の一部が-S-結合となる具体的な基としては、-CHSCH等が挙げられる。
118において、炭素数1~10のアルキレン基は、直鎖状、又は分岐鎖状の基であってもよい。中でも、R115は、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基が特に好ましい。また、炭素数1~10のアルキレン基の鎖中のメチレン基の一部が-S-結合となる具体的な基としては、-CHS-、-CHCHS-、-CHCHCHS-等が挙げられる。さらに、前記炭素数1~6のアルキル基の水素原子の一部がSH基で置換された基とは、-CHSCH(SCHSH)-のような基が挙げられる。
前記式(XVIII)で示される化合物を具体的に例示すれば、1,2-ビス[(2-メルカプトエチル)チオ]-3-メルカプトプロパン、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ブタンジチオール、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、1,1,1,1-テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン等が挙げられる。
<(B)成分;環状のポリチオール化合物>
下記式(XIX)
Figure 0007152173000019
(式中、
119は、メチレン基、又は硫黄原子であり、3つのR119の少なくとも2つは硫黄原子であり、
120は炭素数1~6のアルキレン基、又は前記炭素数1~6のアルキレン基の鎖中のメチレン基の一部が-S-結合となる基である。)で示される化合物を使用することが好ましい。
120において、炭素数1~6のアルキレン基は、直鎖状、又は分岐鎖状の基であってもよい。中でも、R120は、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基であることが好ましい。また、前記炭素数1~6のアルキレン基の鎖中のメチレン基の一部が-S-結合となる基は、具体的には、-CHS-、-CHCHS-、等が挙げられる。前記式(XIX)で示される化合物を具体的に例示すれば、2,5-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ジチアン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン等が挙げられる。
<(B)成分;フェニル基含有ポリチオール化合物>
下記式(XX)
Figure 0007152173000020
(式中、
121は、炭素数1~6のアルキレン基であり、又は前記炭素数1~6のアルキレン基の鎖中のメチレン基の一部が-S-結合となる基であり、w100は2~3である。)で示される化合物を使用することができる。
121において、炭素数1~6のアルキレン基は、直鎖状、又は分岐鎖状の基であってもよい。中でも、 R121は、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基であることが好ましい。また、前記炭素数1~6のアルキレン基の鎖中のメチレン基の一部が-S-結合となる基は、具体的には、-CHCHCHSCH-、-CHCHSCH-、-CHSCH-等が挙げられる。前記式(XX)で示される化合物を具体的に例示すれば、1,4-ビス(メルカプトプロピルチオメチル)ベンゼンが挙げられる。
<(B)成分;トリアジン環を有するポリ(チ)オール化合物>
下記式(XXI)
Figure 0007152173000021
{式中、
122は、それぞれ、炭素数1~6のアルキル基、又は下記式(XXII)
Figure 0007152173000022
(式中、
123、およびR124は、炭素数1~6のアルキレン基であり、
125は、酸素原子、又は硫黄原子である)
で示される基であり、ただし、前記R122の少なくとも2つは前記式(XXII)で示される基であり、前記R122は、同一の基であっても、異なる基であってもよい。}で示される化合物を使用することが好ましい。
123、およびR124において、炭素数1~6のアルキレン基は、直鎖状、又は分岐鎖状の基であってもよい。 中でも、R123、およびR124は、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基であることが好ましい。前記式(XXII)で示される化合物を具体的に例示すれば、2-メルカプトメタノ-ル、トリス-{(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル}-イソシアヌレ-トが挙げられる。
<(B)成分;シルセスキオキサン構造を有する化合物>
(B)成分として、シルセスキオキサン構造を有する化合物を用いることが可能である。シルセスキオキサン重合性化合物は、ケージ状、ハシゴ状、ランダム状といった種々の分子構造を取るものであり、下記式(XXIII)で示される化合物である。
Figure 0007152173000023
式中、複数個あるR500は、互いに同一もしくは異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、及び少なくとも1分子中には2つ以上の水酸基、及び/またはチオール基を含む有機基であり、重合度n100は3~100の整数である。
<(B)成分の好ましい例>
本発明において、上記(B)成分は特に制限なく用いることができ、単独で使用することもでき、複数組み合わせて使用することもできる。得られるフォトクロミック硬化体のフォトクロミック特性を考慮すると、上記(B)成分のポリ(チ)オール化合物の好ましい例としては、ポリエチレンポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカ-ボネートポリオール、トリメチロ-ルプロパン、ペンタエリスリト-ル、トリメチロ-ルプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリト-ルテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリト-ルヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコ-ルビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ブタンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,6-ヘキサンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,2-ビス[(2-メルカプトエチル)チオ]-3-メルカプトプロパン、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ブタンジチオール、1,4-ビス(メルカプトプロピルチオメチル)ベンゼン、2,5-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ジチアン、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、1,1,1,1-テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、2-メルカプトメタノ-ル、トリス-{(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル}-イソシアヌレ-トであることが好ましい。
次に、(C)活性水素を1分子中に1個有する単官能化合物について説明する。
<(C)活性水素を1分子中に1個有する単官能化合物>
本発明において、(C)成分は、活性水素を1分子中に1個有する単官能化合物とは、化合物中に1つの水酸基(OH基)、又は1つのチオール基(SH基)を有する化合物であることが好ましい。水酸基、又はチオール基を有する化合物を使用することにより、重合が制御し易くなる。以下、水酸基、又はチオール基の活性水素含有基を1つ分子内に有する化合物を単に(C)モノ(チ)オール化合物とする場合もある。本発明においては、この(C)成分を特定量使用することが特徴の1つである。
本発明の方法で得られるフォトクロミック硬化体は、例えば、前記(A)ポリイソ(チオ)シアネート化合物と(B)ポリ(チ)オール化合物とを反応させて得られるため、(チオ)ウレタン結合を有する網目状構造の剛直な硬化体となる。本発明に用いる(D)フォトクロミック化合物は、後述するようにオリゴマー鎖基を有している。オリゴマー鎖基を有していることにより、フォトクロミック硬化体中においても、フォトクロミック化合物は優れたフォトクロミック特性を発現するが、用いるオリゴマー鎖基の種類や分子量によっては、ポリマーマトリックスとの相溶性が悪い場合があり、得られたフォトクロミック硬化体が白濁することがあった。
本発明では、上記(C)成分を用いることにより、オリゴマー鎖基を有するフォトクロミック化合物とポリマーマトリックスとの相溶性が向上するものと考えられ、得られるフォトクロミック硬化体が白濁することを抑制できると考えられる。さらに、上記(C)成分の添加量を調節することにより、得られる硬化体の力学特性を容易にコントロールすることができる。また、(B)ポリ(チ)オール化合物しか含まないフォトクロミック組成物と、(C)モノ(チ)オール化合物を含むフォトクロミック組成物とを比較すると、後者の組成物は、水素結合を少なくすることができる。そのため、フォトクロミック組成物の粘度を減少させることができ、注型の際のハンドリング性能、成型性を向上できたと考えられる。
<(C)成分;モノオール化合物>
本発明において、(C)モノ(チ)オール化合物の内、モノオール化合物(水酸基を1つ有する化合物)としては、直鎖または枝分かれを有する飽和または、不飽和アルキルアルコールなどが挙げられる。
具体的には、モノオール化合物として、下記の化合物を例示することができる。
ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル化合物、ポリオキシプロピレン化合物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノアルキルエーテル化合物を好適に利用でき、該アルキル基は、炭素数が1~50の炭化水素基である。化合物の入手のしやすさから、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基、オレイユ基、ミリスチル基、オクチルドデシル基、デシル基、イソデシル基、ベへニル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、イソデシル基、トリデシル基、イソステアリル基、コレステリル基であることが好ましい。
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ノニルフェニルエーテル、ドデシルフェニルエーテル鎖ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンベンジルエーテル、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレンビスフェノールFエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル化合物が挙げられる。
ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンモノミリステート、ポリオキシエチレンモノイソステアレートなどのポリオキシエチレンモノアルキルエステル化合物が挙げられる。
ポリオキシプロピレンモノラウレート、ポリオキシプロピレンモノオレエート、ポリオキシプロピレンモノイソステアレート等のポリオキシプロピレンモノアルキルエステル化合物が挙げられる。
ジオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ジラウリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル等のグリセロールのビスエステル化合物が挙げられる。
<(C)成分;モノオール化合物>
本発明において、(C)モノ(チ)オール化合物の内、モノチール化合物(チオール基を1つ有する化合物)としては、チオグリコール酸3-メトキシブチル、チオグリコール酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-メルカプトエチル、3-メルカプトプロピオン酸-3-メトキシブチル、3-メルカプトプロピオン酸エチル、3-メルカプトプロピオン酸-2-オクチル、3-メルカプトプロピオン酸n-オクチル、3-メルカプトプロピオン酸メチル、3-メルカプトプロピオン酸トリデシル、3-メルカプトプロピオン酸ステアリル、炭素数5~30の直鎖状、または枝分かれ状構造を有する飽和、不飽和アルキルチオールなどが挙げられる。
<(C)成分;好適な化合物>
本発明においては、少量の添加で、得られるフォトクロミック硬化体の白濁を抑制できるという観点から、炭素数3~50のアルキル基が置換したポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンモノアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノアルキルエーテルが好ましく、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルが最も好ましい。
<(A)成分、(B)成分、および(C)成分の配合割合>
本発明において、得られるフォトクロミック硬化体は、前記(A)成分、(B)成分、および(C)成分を反応させて得られる(チオ)ウレタン系樹脂がベースを形成する。そのため、得られるフォトクロミック硬化体のフォトクロミック性、耐久性、および力学特性は、前記(A)、(B)、及び(C)成分の配合量によって適宜調整できる。前記(A)成分におけるイソ(チオ)シアネート基の総モル数をn1とし、前記(B)成分における活性水素の総モル数をn2とし、前記(C)成分における活性水素の総モル数をn3とした時、得られるフォトクロミック硬化体のフォトクロミック性、耐久性、および力学特性を向上するためには、
n1:(n2+n3)=0.9~1.5:1とすることが好ましく、n1:(n2+n3)=0.95~1.3:1とすることがより好ましく、n1:(n2+n3)=1.0~1.15:1とすることがさらに好ましい。
また、この時、n2:n3=1~300:1とすることが好ましく、n2:n3=3~200:1とすることがより好ましく、n2:n3=5~150:1とすることがさらに好ましい。
さらに、フォトクロミック硬化体製造時の成型性を向上させるためには、低粘度のフォトクロミック組成物を硬化することが効果的である。そのため、高分子量の(C)成分を単独で用いることもできるが、高分子量の(C)成分と、低粘度で低分子量の(C)成分を併用し、成形性を向上させることもできる。
<(D)ヘテロ原子を有し、且つ繰り返し単位を3つ以上有するオリゴマー鎖基を有することを特徴とするフォトクロミック化合物>
本発明で用いるフォトクロミック化合物は、ヘテロ原子を有し、且つ繰り返し単位を3つ以上有するオリゴマー鎖基を有する。これにより、フォトクロミック化合物近傍に上記オリゴマー鎖基が選択的に存在できるため、ナノカプセル状の形態をとっていると考えられる。これにより、(チオ)ウレタン結合を有する網目状構造の剛直な硬化体中であっても、フォトクロミック部位の可逆的な構造変化を、より速やかに生じさせることが可能となり、フォトクロミック特性(発色濃度、退色速度)に優れたフォトクロミック硬化体を製造することができる。
本発明において、(D)フォトクロミック化合物は公知のものを使用することができ、これらは単独で使用することも、2種以上を併用して使用することもできる。例えば、国際公開第2000/015630号、国際公開第2004/041961号、国際公開第2005/105874号、国際公開第2005/105875号、国際公開第2006/022825号、国際公開第2009/146509号、国際公開第2010/20770号、国際公開第2012/121414号、国際公開第2012/149599号、国際公開第2012/162725号、国際公開第2012/176918号、国際公開第2013/078086号等に記載のフォトクロミック化合物を使用できる。
中でも、フォトクロミック部位としてナフトピラン、スピロオキサジン、スピロピラン、フルギド、フルギミド、及びジアリールエテンが代表的なものとして例示される。このうち、特に発色濃度、及び退色速度において、優れたフォトクロミック性を発現することができるという点から、インデノナフトピランが好ましく、中でもインデノ[2,1-f]ナフト[1,2-b]ピランが特に好ましい。特に好ましいインデノ[2,1-f]ナフト[1,2-b]ピランは、下記式(1)で示される。
Figure 0007152173000024
<R、およびR
前記式(1)において、
、およびRは、それぞれ独立に、繰り返し単位を3つ以上有するオリゴマー鎖基、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、置換基を有してもよい複素環基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアラルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、チオール基、アルコキシアルキルチオ基、ハロアルキルチオ基、又は置換基を有してもよいシクロアルキルチオ基である。
なお、前記式(1)において、aはRの個数を示し、bはRの個数を示す。そして、aは0~4の整数であり、bは0~4の整数であり、
aが2~4である場合には、複数のRは互いに同一でも異なってもよく、
bが2~4である場合には、複数のRは互いに同一でも異なってもよい。
また、それぞれ隣接するRまたはRが存在する場合には、隣接する2つのRまたはRが一緒になって、それらRまたはRと結合する炭素原子と共に、下記式(2)
Figure 0007152173000025
で示される環を形成してもよい。
式中、*は、R又はRが結合する炭素原子を指し、
X、およびYは、一方または両方が硫黄原子、メチレン基、酸素原子、または下記式(3)
Figure 0007152173000026
(式中、Rは、前記オリゴマー鎖基、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基である。)で示される基である。
そして、RおよびRは、それぞれ独立に、前記オリゴマー鎖基、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、置換基を有してもよい複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアラルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、チオール基、アルキルチオ基、アルコキシアルキルチオ基、ハロアルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、又は置換基を有してもよいアリールチオ基であり、また、RおよびRは、それらが結合する炭素原子と共に、置換基を有してもよい脂肪族環を形成してもよく、cは、1~3の整数である。
<R300、およびR400
前記式(1)において、R300、およびR400は、それぞれ独立に、前記オリゴマー鎖基、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、置換基を有してもよい複素環基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキルチオ基、又は置換基を有してもよいアリールチオ基であり、
a’は0~5の整数であり、a’が2以上である場合には、R300は、互いに同一でも異なる基であってもよく
b’は0~5の整数であり、b’が2以上である場合には、R400は、互いに同一でも異なる基であってもよい。
<R、およびR
前記式(1)において、R、およびRは、互いに同一であっても、異なっていてもよく、前記オリゴマー鎖基、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアラルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基である。
また、R、およびRは2つが一緒になって、それらが結合する13位の炭素原子と共に、環員炭素数が3~20である脂肪族環、前記脂肪族環に芳香族環若しくは芳香族複素環が縮環した縮合多環、環員原子数が3~20である複素環、又は前記複素環に芳香族環若しくは芳香族複素環が縮環した縮合多環を形成してもよく、ただし、これら環は置換基を有してもよい。
また、分子内に少なくとも1つの前記オリゴマー鎖基を有するために、前記置換基を有してもよい基の置換基は、前記オリゴマー鎖基であってもよい。
次に、以上で説明した基において、具体的な基について説明する。
前記アルキル基としては、特に制限されるものではないが、炭素数1~6のアルキル基であることが好ましい。炭素数1~6の好適なアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等を挙げることができる。
前記ハロアルキル基としては、特に制限されるものではないが、炭素数1~6のハロアルキル基であることが好ましい。炭素数1~6のハロアルキル基としては、フッ素原子、塩素原子もしくは臭素原子で置換されたアルキル基が好ましい。好適なハロアルキル基の例としては、トリフルオロメチル基、テトラフルオロエチル基、クロロメチル基、2-クロロエチル基、ブロモメチル基等を挙げることができる。
前記シクロアルキル基としては、特に制限されるものではないが、炭素数3~8のシクロアルキル基(環を形成する炭素原子の数が3~8であるシクロアルキル基)であることが好ましい。炭素数3~8のシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。なお、前記シクロアルキル基は、置換基を有してもよいが、前記炭素数の数(炭素数3~8)には、置換基の炭素数は含まれないものとする。
前記アルコキシ基としては、特に制限されるものではないが、炭素数1~6のアルコキシ基であることが好ましい。 前記炭素数1~6の好適なアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基等を挙げることができる。
前記アミノ基は、一級アミノ基(-NH)であり、置換アミノ基は、1つまたは2つの水素原子が置換された2級または3級アミノ基である。置換アミノ基が有する置換基としては、特に制限されるものではないが、前記オリゴマー鎖基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数3~7のシクロアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数4~14のヘテロアリール基等が挙げられる。好適なアミノ基の例としては、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基等を挙げることできる。
前記複素環基としては、原子数が3~10である複素環基が好ましい。具体的には、例えば、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジニル基、ピペラジノ基、N-メチルピペラジノ基のような脂肪族複素環基、又はインドリニル基のような芳香族複素環基等を挙げることができる。さらに、該複素環基は、置換基を有していてもよい。好ましい置換基としては、前記オリゴマー鎖基、又は炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。置換基を有する好適な複素環基としては、例えば2,6-ジメチルモルホリノ基、2,6-ジメチルピペリジノ基および2,2,6,6-テトラメチルピペリジノ基等が挙げられる
前記ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
前記アルキルチオ基としては、特に制限されるものではないが、炭素数1~6のアルキルチオ基が好ましい。炭素数1~6のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、s-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基等を挙げることができる。
前記アリールチオ基としては、特に制限されるものではないが、炭素数6~10のアリールチオ基が好ましい。炭素数6~10のアリールチオ基としては、フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基等を挙げることができる。
前記アルキルカルボニル基としては、特に制限されるものではないが、炭素数2~7のアルキルカルボニル基が好ましい。炭素数2~7のアルキルカルボニル基としては、アセチル基、エチルカルボニル基が挙げられる。
前記アルコキシカルボニル基としては、特に制限されるものではないが、炭素数2~7のアルコキシカルボニル基が好ましい。炭素数2~7のアルコキシカルボニル基としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が挙げられる。
前記アラルキル基としては、特に制限されるものではないが、炭素数7~11のアラルキル基であることが好ましい。炭素数7~11のアラルキル基としてはベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
前記アラルコキシ基としては、特に制限されるものではないが、炭素数7~11のアラルコキシ基が好ましい。前記炭素数7~11のアラルコキシ基としては、ベンジロキシ基、ナフチルメトキシ基等を挙げることができる。
前記アリールオキシ基としては、特に制限されるものではないが、炭素数6~12のアリールオキシ基であることが好ましい。炭素数6~12のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基等を挙げることができる。
前記アリール基としては、特に制限されるものではないが、炭素数6~12のアリール基が好ましい。炭素数6~12のアリール基としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等を挙げることができる。
前記ヘテロアリール基としては、特に制限されるものではないが、炭素数3~12のヘテロアリール基が好ましい。炭素数3~12のヘテロアリール基は、チエニル基、フリル基、ピロリニル基、ピリジル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾピロリニル基等を挙げることができる。
前記アルコキシアルキルチオ基としては、特に制限されるものではないが、炭素数2~9のアルコキシアルキルチオ基が好ましい。炭素数2~9のアルコキシアルキルチオ基としては、メトキシメチルチオ基、メトキシエチルチオ基、メトキシn-プロピルチオ基、メトキシn-ブチルチオ基、エトキシエチルチオ基、n-プロポキシプロピルチオ基等を挙げることができる。
前記ハロアルキルチオ基としては、特に制限されるものではないが、炭素数1~6のハロアルキルチオ基が好ましい。炭素数1~6のハロアルキルチオ基としては、トリフルオロメチルチオ基、テトラフルオロエチルチオ基、クロロメチルチオ基、2-クロロエチルチオ基、ブロモメチルチオ基等を挙げることができる。
前記シクロアルキルチオ基としては、特に制限されるものではないが、炭素数3~8のシクロアルキルチオ基が好ましい。炭素数3~8のシクロアルキルチオ基としては、シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等を挙げることができる。なお、なお、前記シクロアルキルチオ基は、置換基を有してもよいが、前記炭素数の数(炭素数3~8)には、置換基の炭素数は含まれないものとする。
なお、前記シクロアルキル基、前記アリールチオ基、前記アラルキル基、前記アラルコキシ基、前記アリールオキシ基、前記アリール基、前記ヘテロアリール基、および前記シクロアルキルチオ基は、非置換であってもよい。ただし、置換基を有する場合、環を形成する基における1~8個の水素原子、特に好ましくは1~4個の水素原子が、前記オリゴマー鎖基、ヒドロキシル基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、原子数3~8の複素環基、シアノ基、ニトロ基、およびハロゲン原子から選ばれる置換基で置換されることが好ましい。これら置換基の具体例は、前記で説明したのと同じ基が挙げられる。
なお、前記アラルキル基、前記アラルコキシ基、前記アリールオキシ基、前記アリール基、および前記ヘテロアリール基で記載した炭素数は、置換基の炭素数を含むものではない。
13位の炭素原子と共に、環員炭素数が3~20である脂肪族環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、シクロヘプタン環、ノルボルナン環、ビシクロノナン環、アダマンタン環、スピロジシクロヘキサン環が挙げられる。 また、前記脂肪族環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環としては、例えばフェナントレン環が挙げられる。
前記複素環としては、例えばチオフェン環、フラン環、ピリジン環が挙げられる。また、前記複素環に、芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環としては、例えば、フェニルフラン環、ビフェニルチオフェン環が挙げられる。
前記脂肪族環、前記脂肪族環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環、前記複素環、又は前記複素環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環は、置換基を有してもよい。該環らに置換する置換基としては、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種類の置換基が挙げられる。
前記の環の中でも、早い退色速度を得るためには、環を構成する炭素数が6~16よりなる前記脂肪族炭化水素環基であり、これら脂肪族炭化水素環に炭素数1~6のアルキル基(好ましくは炭素数1~3のアルキル基)が置換した環基、又は該脂肪族炭化水素環に炭素数3~8のシクロアルキル基が結合、または縮環した環基であることが好ましい。
これらの中でも、優れた退色速度および、高い発色濃度が得られるという観点から以下の環となることが好ましい。すなわち、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロノナン環、シクロデカン環、シクロウンデカン環、シクロドデカン環、およびスピロジシクロヘキサン環から選ばれる環であって、
該環らは、炭素数1~3のアルキル基、もしくは炭素数5~7のシクロアルキル基を1~10個置換基として有してもよい、または、
該環らは、炭素数5~7のシクロアルキル基が縮環してもよい環となることが好ましい。
特に好適な該環らを具体的に例示すると、下記式(4)
Figure 0007152173000027
で示される環となることが好ましい。なお、前記式中、点線の結合手を有する炭素原子が13位の炭素原子である。
以上、インデノ[2,1-f]ナフト[1,2-b]ピランにおけるそれぞれの好適な基について説明したが、前記の通り、該インデノ[2,1-f]ナフト[1,2-b]ピランの分子内に少なくとも1つの前記オリゴマー鎖基を有するために、前記置換基を有してもよい基の置換基は、前記オリゴマー鎖基であってもよい。
次に、本発明のフォトクロミック部位に結合する、ヘテロ原子を有し、且つ繰り返し単位を3つ以上有するオリゴマー鎖基について説明する。
<オリゴマー鎖基>
前記オリゴマー鎖基は、ヘテロ原子を有し、且つ繰り返し単位を3つ以上有するものであれば、特に制限されるものではない。中でも、ヘテロ原子として、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子を有するオリゴマー鎖基が好ましい。中でも、優れたフォトクロミック特性を発揮できるという観点から、ポリアルキレンオキシドオリゴマー鎖基、ポリエステルオリゴマー鎖基、ポリエステルポリエーテルオリゴマー鎖基、およびポリシロキサンオリゴマー鎖基が好ましい。さらに、該オリゴマー鎖基の平均分子量は、300~20,000であることが好ましく、350~15,000であることより好ましく、350~12,000であることがさらに好ましく、440~10,000であることが特に好ましい。特に好ましい該オリゴマー鎖基としては下記式(5a)~(5d)
Figure 0007152173000028
で示される基であり、破線部は、前記インデノナフトピランと結合することを示している。
前記式(5a)~(5d)において、nは、オリゴマー鎖基の繰り返し単位数を指すものであり、3~200の整数である。nは3~150が好ましく、特に5~120が好ましい。
前記式(5a)~(5c)において、Rは、炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であり、同一分子内に複数のRを含む場合は、Rは、互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは、エチレン基、プロピレン基、又はブチレン基が好ましく、プロピレン基が特に好ましい。
前記式(5a)~(5d)で示されるオリゴマー鎖基において、tは、オリゴマー鎖基の数と一致する。
tは、該オリゴマー鎖基の数を指すものであり、1~10の整数であり、
tが1の場合には、Rは、水素原子、炭素数1~20のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基であることが好ましい。
tが2の場合には、Rは、結合手、又は2価の有機残基である。Rが結合手になる場合には、実質オリゴマー鎖基が2倍の長さとなり、その両末端にフォトクロミック部位を有することとなる。
tが3~10の場合には、Rは、tの数と同じ有機残基である。tの数に応じた有機残基となるが、このとき、tは3~6であることが好ましい。好ましい有機残基(R)を例示すると、下記式(6)
Figure 0007152173000029
で示される何れかの多価の有機残基が挙げられる。該多価の有機残基において、破線部はLとの結合を示すものである。
前記式(5d)において、R10は、炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、または炭素数6~14のアリール基であり、同一分子内に複数のR10を含む場合は、R10は、互いに同一であっても異なっていてもよい。R10は、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
前記式(5a)~(5d)において、Lは、2価の結合基であり、複数あるLは互いに同一であっても異なっていてもよく、好ましくは下記式(7)
Figure 0007152173000030
で示される基である。
前記式(7)において、式中、R11は、2価の基であり、炭素数が1~20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキレン基、環を形成する炭素数が3~12の置換基を有してもよいシクロアルキル基、環を形成する炭素数が6~12の置換基を有してもよいアリール基、又は環を形成する原子の数が3~12である置換基を有してもよい複素環基である。
前記式(7)において、R12は、2価の基であり、炭素数が1~20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキレン基、環を形成する炭素数が3~12の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は環を形成する炭素数が6~12の置換基を有してもよいアリール基である。
前記式(7)において、R13は、2価の基であり、炭素数が1~20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキレン基、環を形成する炭素数が3~12の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は環を形成する炭素数が6~12の置換基を有してもよいアリール基である。
前記式(7)において、X、およびXは、2価の基であり、それぞれ独立に、直結、酸素原子、硫黄原子、アミノ基、置換アミノ基、(チオ)アミド基、又は(チオ)エステル基である。dは0~50の整数であり、eは0~50の整数であり、fは0~50の整数である。また、dが2以上の場合、複数あるR11は、互いに同一であっても異なっていてもよく、eが2以上の場合、複数あるeの単位の2価の基は、互いに同一であっても異なっていてもよく、fが2以上の場合、複数あるfの単位の2価の基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
Lのうち、特に好ましいものを例示すると、下記式(8a)~(8e)
Figure 0007152173000031
で示される2価の基が挙げられる。なお、前記Lの好適な2価の基において、破線部は、前記インデノナフトピランと結合することを示している。該オリゴマー鎖基の数は、特に制限されるものではなく、フォトクロミック化合物1分子内に少なくとも1つ存在すればよい。該オリゴマー鎖基の数は、0.25~10であることが好ましく、0.5~5であることがより好ましい。該オリゴマー鎖基の数が1以下となる場合は、1つのオリゴマー鎖基が複数のフォトクロミック部位を有しているフォトクロミック化合物の場合である。例えば、0.25の場合には、オリゴマー鎖基1つに対し、フォトクロミック部位(例えば、前記インデノナフトピラン骨格)が4つ結合することを指す。なお、該オリゴマー鎖基が複数存在する場合には、該オリゴマー鎖基は、同一の基であっても、異なる基であってもよい。
本発明において、オリゴマー鎖基はインデノナフトピラン化合物に結合さえしていればよいが、製造上の観点からは、インデノナフトピラン骨格の3位、6位、7位、11位、13位に置換していることが好ましい。
<(D)成分の配合量>
本発明において、フォトクロミック組成物(前記(A)成分、(B)成分、(C)成分、および(D)成分を必須成分として含む組成物)を練りこみ法により硬化し、フォトクロミック硬化体を製造できる。そして、本発明において、(D)成分の配合量は、使用する(D)成分の種類、特に分子量等に応じて、十分なフォトクロミック特性が発揮できるだけの量を使用すればよい。中でも、該硬化体の好適なフォトクロミック特性を発現させるためには、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計100質量部に対して、(D)フォトクロミック化合物を0.0001~10質量部とすることが好ましく、0.001~5質量部とすることがさらに好ましく、0.001~3質量部とすることが最も好ましい。
<(C)及び(D)成分の配合割合>
本発明において、フォトクロミック硬化体の白濁を抑制する観点から、前記(C)、(D)の配合割合は、前記(D)成分におけるオリゴマー鎖基1モル当たり、前記(C)成分を1~2000モルの範囲としなければならない。前記(C)成分の配合量が前記範囲を満足することにより、優れた特性を発揮するだけでなく、前記で示した範囲の(A)成分、(B)成分、および(C)成分のモル比を容易に調整することができる。その結果、機械特性等を向上させることがきる。前記(C)成分が1モル未満の場合には、白濁抑制効果が低減するため好ましくない。一方、2000モルを超える場合には、得られる硬化体の機械的特性が低下してしまうため好ましくない。白濁抑制効果、および得られる硬化体の機械的特性等を考慮すると、10~1500モルの範囲で配合することがさらに好ましく、50~1300モルの範囲で配合することが最も好ましい。
<フォトクロミック組成物の準備>
本発明においては、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分、および(D)成分を混合することにより、フォトクロミック組成物を準備することができる。ただし、(A)成分、並びに、(B)成分、および(C)成分は、比較的反応(重合)が速く進むため、混合する順序は、以下のようにすることもできる。
例えば、前記フォトクロミック組成物は、(A)成分と(D)成分の予混合物1と(B)成分と(C)成分の予混合物2の混合物との組み合わせからなることもできる。そして、これら予混合物同士を混合すればよい。
また、前記フォトクロミック組成物は、(B)成分と(C)成分と(D)成分の予混合物3と(A)成分の混合物との組み合わせからなることもできる。そして、これら予混合物同士を混合すればよい。
<フォトクロミック組成物 その他の配合成分>
本発明において、フォトクロミック組成物には、それ自体公知の各種配合剤、例えば、(E)樹脂改質剤、(F)重合硬化促進剤、(G)内部離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、赤外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料等の各種安定剤、添加剤、溶剤、レベリング剤、さらには、t-ドデシルメルカプタン等のチオール類を重合調整剤として、必要に応じて配合することができる。これら配合成分は、前記フォトクロミック組成物を製造する際に同時に配合することができる。また、反応に悪影響を及ぼさない様に、それぞれの性能に応じて、予混合物1、予混合物2、又は予混合物3に配合することもできる。
<(E)樹脂改質剤>
本発明において、得られる硬化体の屈折率の向上や、硬度調整を目的として、樹脂改質剤を添加することが出来る。例えば、エピスルフィド系化合物、チエタニル系化合物、ポリアミン化合物、エポキシ化合物、(メタ)アクリレート化合物を含むオレフィン化合物等が挙げられる。以下に具体例を説明する。
<(E)樹脂改質剤;エピスルフィド系化合物>
本発明において、エピスルフィド系化合物は、1分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物であり、エピスルフィド基は、開環重合が進行するため、硬化体を製造することができる。該化合物は、フォトクロミック硬化体の高屈折率化を目的に添加することができる。該化合物の具体例としては、以下のものを例示することができる。
ビス(1,2-エピチオエチル)スルフィド、ビス(1,2-エピチオエチル)ジスルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)メタン、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピルジチオ)メタン、ビス(2,3-エピチオプロピルジチオ)エタン、ビス(6,7-エピチオ-3,4-ジチアヘプチル)スルフィド、ビス(6,7-エピチオ-3,4-ジチアヘプチル)ジスルフィド、1,4-ジチアン-2,5-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオメチル)、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオメチル)ベンゼン、1,6-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオメチル)-2-(2,3-エピチオプロピルジチオエチルチオ)-4-チアヘキサン、1,2,3-トリス(2,3-エピチオプロピルジチオ)プロパン、1,1,1,1-テトラキス(2,3-エピチオプロピルジチオメチル)メタン、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオ)-2-チアプロパン、1,4-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオ)-2,3-ジチアブタン、1,1,1-トリス(2,3-エピチオプロピルジチオ)メタン、1,1,1-トリス(2,3-エピチオプロピルジチオメチルチオ)メタン、1,1,2,2-テトラキス(2,3-エピチオプロピルジチオ)エタン、1,1,2,2-テトラキス(2,3-エピチオプロピルジチオメチルチオ)エタン、1,1,3,3-テトラキス(2,3-エピチオプロピルジチオ)プロパン、1,1,3,3-テトラキス(2,3-エピチオプロピルジチオメチルチオ)プロパン、2-[1,1-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオ)メチル]-1,3-ジチエタン、2-[1,1-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオメチルチオ)メチル]-1,3-ジチエタン。
<(E)樹脂改質剤;チエタニル系化合物>
本発明において、チエタニル系化合物は、1分子内に2個以上のチエタニル基を有するチエタン化合物であり、開環重合により硬化する。これらの化合物は、フォトクロミック硬化体の高屈折率化を目的に添加することができる。チエタニル系化合物の一部は、複数のチエタニル基と共にエピスルフィド基を有するものであり、これは、上記のエピスルフィド系化合物の項に挙げられている。その他のチエタニル系化合物には、分子内に金属原子を有している含金属チエタン化合物と、金属を含んでいない非金属系チエタン化合物とがある。このようなチエタニル系化合物の具体例としては、以下のものを例示することができる。
非金属系チエタン化合物;ビス(3-チエタニル)ジスルフィド、ビス(3-チエタニル)スルフィド、ビス(3-チエタニル)トリスルフィド、ビス(3-チエタニル)テトラスルフィド、1,4-ビス(3-チエタニル)-1,3,4-トリチアブタン、1,5-ビス(3-チエタニル)-1,2,4,5-テトラチアペンタン、1,6-ビス(3-チエタニル)-1,3,4,6-テトラチアヘキサン、1,6-ビス(3-チエタニル)-1,3,5,6-テトラチアヘキサン、1,7-ビス(3-チエタニル)-1,2,4,5,7-ペンタチアヘプタン、1,7-ビス(3-チエタニルチオ)-1,2,4,6,7-ペンタチアヘプタン、1,1-ビス(3-チエタニルチオ)メタン、1,2-ビス(3-チエタニルチオ)エタン、1,2,3-トリス(3-チエタニルチオ)プロパン、1,8-ビス(3-チエタニルチオ)-4-(3-チエタニルチオメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,11-ビス(3-チエタニルチオ)-4,8-ビス(3-チエタニルチオメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン、1,11-ビス(3-チエタニルチオ)-4,7-ビス(3-チエタニルチオメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン、1,11-ビス(3-チエタニルチオ)-5,7-ビス(3-チエタニルチオメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン、2,5-ビス(3-チエタニルチオメチル)-1,4-ジチアン、2,5-ビス[[2-(3-チエタニルチオ)エチル]チオメチル]-1,4-ジチアン、2,5-ビス(3-チエタニルチオメチル)-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン、ビスチエタニルスルフィド、ビス(チエタニルチオ)メタン、3-[<(チエタニルチオ)メチルチオ>メチルチオ]チエタン、ビスチエタニルジスルフィド、ビスチエタニルトリスルフィド、ビスチエタニルテトラスルフィド、ビスチエタニルペンタスルフィド、1,4-ビス(3-チエタニルジチオ)-2,3-ジチアブタン、1,1,1-トリス(3-チエタニルジチオ)メタン、1,1,1-トリス(3-チエタニルジチオメチルチオ)メタン、1,1,2,2-テトラキス(3-チエタニルジチオ)エタン、1,1,2,2-テトラキス(3-チエタニルジチオメチルチオ)エタン。
<(E)樹脂改質剤;含金属チエタン化合物>
このチエタン化合物は、分子内に、金属原子として、Sn原子、Si原子、Ge原子、Pb原子等の14族の元素;Zr原子、Ti原子等の4族の元素;Al原子等の13族の元素;またはZn原子等の12族の元素;などを含んでいるものであり、例えば、特に好適に使用されるのは、以下の化合物である。
アルキルチオ(チエタニルチオ)スズとしては、メチルチオトリス(チエタニルチオ)スズ、エチルチオトリス(チエタニルチオ)スズ、プロピルチオトリス(チエタニルチオ)スズ、イソプロピルチオトリス(チエタニルチオ)スズ等が挙げられる。
ビス(アルキルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズとしては、ビス(メチルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、ビス(エチルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、ビス(プロピルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、ビス(イソプロピルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ等が挙げられる。
アルキルチオ(アルキルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズとしては、エチルチオ(メチルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、メチルチオ(プロピルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、イソプロピルチオ(メチルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、エチルチオ(プロピルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、エチルチオ(イソプロピルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、イソプロピルチオ(プロピルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ等が挙げられる。
ビス(チエタニルチオ)環状ジチオスズ化合物としては、ビス(チエタニルチオ)ジチアスタンネタン、ビス(チエタニルチオ)ジチアスタンノラン、ビス(チエタニルチオ)ジチアスタンニナン、ビス(チエタニルチオ)トリチアスタンノカン等が挙げられる。
アルキル(チエタニルチオ)スズ化合物としては、メチルトリス(チエタニルチオ)スズ、ジメチルビス(チエタニルチオ)スズ、ブチルトリス(チエタニルチオ)スズ、テトラキス(チエタニルチオ)スズ、テトラキス(チエタニルチオ)ゲルマニウム、トリス(チエタニルチオ)ビスマス等が挙げられる。
<(E)樹脂改質剤;ポリアミン化合物>
本発明において、ポリアミン化合物は、一分子中にNH基を2つ以上有している化合物であり、ポリイソシアネートとの反応でウレア結合を形成し、ポリイソチオシアネートとの反応でチオウレア結合を形成する。これらのポリアミン化合物は、硬化体の硬度調整の為に添加することができる。その具体例としては、以下の化合物を挙げることができる。
エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、プトレシン、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノ-ル、ジエチレントリアミン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、メラミン、1,3,5-ベンゼントリアミン。
<(E)樹脂改質剤;エポキシ系化合物>
本発明において、エポキシ系化合物は、分子内にエポキシ基を有するものであり、エポキシ基が開環重合することにより硬化する。該化合物は、屈折率の調整やレンズ硬度の調整を目的に添加することができる。このようなエポキシ系化合物は、脂肪族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物、及び芳香族エポキシ化合物に分類され、その具体例としては、以下のものを例示することができる。
脂肪族エポキシ化合物としては、エチレンオキシド、2-エチルオキシラン、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2,2’-メチレンビスオキシラン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ノナプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
脂環族エポキシ化合物としては、イソホロンジオールジグリシジルエーテル、ビス-2,2-ヒドロキシシクロヘキシルプロパンジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
芳香族エポキシ化合物としては、レゾールシンジグリシジルエーテル、ビスフェノ-ルAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、オルトフタル酸ジグリシジルエステル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
また、上記以外にも、エポキシ基と共に、分子内に硫黄原子を有するエポキシ系化合物も使用することができる。このような含硫黄原子エポキシ系化合物は、特に屈折率の向上に寄与するものであり、鎖状脂肪族系及び環状脂肪族系のものがあり、その具体例は、次のとおりである。
鎖状脂肪族系含硫黄原子エポキシ系化合物としては、ビス(2,3-エポキシプロピル)スルフィド、ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィド、ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)エタン、1,2-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)プロパン、1,3-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)プロパン、1,3-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-2-メチルプロパン、1,4-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)ブタン、1,4-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-2-メチルブタン、1,3-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)ブタン、1,5-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)ペンタン、1,5-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-2-メチルペンタン、1,5-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-3-チアペンタン、1,6-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)ヘキサン、1,6-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-2-メチルヘキサン、3,8-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-3,6-ジチアオクタン、1,2,3-トリス(2,3-エポキシプロピルチオ)プロパン、2,2-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-1,3-ビス(2,3-エポキシプロピルチオメチル)プロパン、2,2-ビス(2,3-エポキシプロピルチオメチル)-1-(2,3-エポキシプロピルチオ)ブタンなどが挙げられる。
環状脂肪族系含硫黄原子エポキシ系化合物としては、1,3-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3-ビス(2,3-エポキシプロピルチオメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(2,3-エポキシプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5-ビス(2,3-エポキシプロピルチオメチル)-1,4-ジチアン、2,5-ビス[<2-(2,3-エポキシプロピルチオ)エチル>チオメチル]-1,4-ジチアン、2,5-ビス(2,3-エポキシプロピルチオメチル)-2,5-ジメチル-1,4-ジチアンなどが挙げられる。
<(E)樹脂改質剤;ラジカル重合性官能基を有する化合物>
ラジカル重合性基を有する化合物は、ラジカル重合により硬化することができるため、レンズ硬度の調整に使用することができる。ラジカル重合性基としては、アクリレート基、及びメタクリレート基を有する化合物{以下(メタ)アクリレート化合物}、アリル化合物、ビニル化合物が挙げられる。
(メタ)アクリレート化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレ-ト、テトラエチレングリコ-ルジ(メタ)アクリレ-ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ-ルジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールビスグリシジル(メタ)アクリレ-ト、ビスフェノ-ルAジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、ビスフェノ-ルFジ(メタ)アクリレート、1,1-ビス(4-(メタ)アクロキシエトキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-(メタ)アクロキシジエトキシフェニル)メタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト-ルテトラ(メタ)アクリレート、メチルチオ(メタ)アクリレート、フェニルチオ(メタ)アクリレート、ベンジルチオ(メタ)アクリレート、キシリレンジチオールジ(メタ)アクリレート、メルカプトエチルスルフィドジ(メタ)アクリレート、2官能ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
アリル化合物としては、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレ-ト、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカ-ボネート、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ブトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアリルエーテル、メタクリロイルオキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアリルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールアリルエーテル、メタクリロイルオキシポリエチレングリコールアリルエーテル、などが挙げられる。
ビニル化合物としては、α-メチルスチレン、α-メチルスチレンダイマ-、スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ジビニルベンゼン、3,9-ジビニルスピロビ(m-ジオキサン)などが挙げられる。
<(F)重合硬化促進剤>
本発明のフォトクロミック組成物においては、上記の化合物の種類に応じて、その重合硬化を速やかに促進させるために、各種の重合硬化促進剤を使用することができる。本発明では水酸基、及びチオール基とイソシアネート基、及びイソチアシアネート基との反応が進行するため、ウレタン或いはウレア用反応触媒が重合硬化促進剤として好適に使用できる。本発明のフォトクロミック組成物が、エピスルフィド系化合物、チエタニル系化合物、エポキシ系化合物を含んでいる場合、後述するエポキシ硬化剤やカチオン重合触媒が重合硬化促進剤として使用できる。(メタ)アクリレート基などのラジカル重合性基を有する化合物を使用している場合、後述するラジカル重合開始剤を重合硬化促進剤として使用できる。
<(F)重合硬化促進剤;ウレタン或いはウレア用反応触媒>
本発明においては、ポリイソ(チア)シアネートと、ポリオール又はポリチオールを反応させ、ポリ(チオ)ウレタン結合を有するフォトクロミック硬化体を製造することができる。本反応は無触媒条件下で反応を進行させることもできるが、触媒を使用することにより、反応速度を向上させることができる。触媒として、無機塩基、3級アミンやホスフィン等の有機塩基、4級アンモニウム塩類、4級ホスホニウム塩類、ルイス酸類を挙げることが出来る。
3級アミン類としては、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、N,N-ジメチルオクチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ジアミノヘキサン、4,4’-トリメチレンビス(1-メチルピペリジン)、1,8-ジアザビシクロ-(5,4,0)-7-ウンデセンなどが挙げられる。
ホスフィン類としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ-n-プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ-n-ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタン等が挙げられる。
4級アンモニウム塩類としては、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。
4級ホスホニウム塩類としては、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイドなどが挙げられる。
ルイス酸としては、トリフェニルアルミニウム、ジメチルスズジクロライド、ジメチルスズビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジブチルスズジクロライド、ジブチルチンジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズマレエートポリマー、ジブチルスズジリシノレート、ジブチルスズビス(ドデシルメルカプチド)、ジブチルスズビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジオクチルスズジクロライド、ジオクチルスズマレエート、ジオクチルスズマレエートポリマー、ジオクチルスズビス(ブチルマレエート)、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジリシノレート、ジオクチルスズジオレエート、ジオクチルスズジ(6-ヒドロキシ)カプロエート、ジオクチルスズビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジドデシルスズジリシノレート、各種金属塩、例えば、オレイン酸銅、アセチルアセトナート銅、ナフテン酸鉄、乳酸鉄、クエン酸鉄、グルコン酸鉄、オクタン酸カリウム、チタン酸2-エチルヘキシルが挙げられる。使用するルイス酸によっては、触媒活性が高いために、硬化反応を制御できず、フォトクロミック硬化体の機械的特性を損なう場合がある。その場合、触媒活性を抑えるために、上記アミンを併用することができる。
<(F)重合硬化促進剤;エポキシ硬化剤>
エポキシ硬化剤としては、アミン化合物及びその塩、4級アンモニウム塩、有機ホスフィン化合物、金属カルボン酸塩、アセチルアセトンキレ-ト化合物を挙げることが出来る。この具体例としては、以下のものを例示することができる。
アミン化合物及びその塩としては、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7-トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2-(ジメチルアミノメチル)フェノールなどが挙げられる。4級アンモニウム塩としてはテトラメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミドなどが挙げられる。有機ホスフィン化合物としては、テトラ-n-ブチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラ-n-ブチルホスホニウム-0,0-ジエチルホスホロジチオエートなどが挙げられる。金属カルボン酸塩としては、クロム(III)トリカルボキシレート、オクチル酸スズなどが挙げられる。アセチルアセトンキレ-ト化合物としては、クロムアセチルアセトナートなどが挙げられる。
<(F)重合硬化促進剤;カチオン重合触媒>
カチオン重合触媒としてはルイス酸系触媒、熱硬化性カチオン重合触媒、紫外線硬化性カチオン重合触媒などが挙げられる。これらの具体例は、以下のものを例示することができる。ルイス酸系触媒としては、BF・アミン錯体、PF、BF、AsF、SbFなどが挙げられる。 熱硬化性カチオン重合触媒としては、ホスホニウム塩や、ベンジルアンモニウム塩、ベンジルピリジニウム塩、等の4級アンモニウム塩、スルホニウム塩、ベンジルスルホニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミドなどが挙げられる。紫外線硬化性カチオン重合触媒としては、ジアリールヨードニウムヘキサフロオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモン酸ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムなどが挙げられる。
<(F)重合硬化促進剤;ラジカル重合開始剤>
ラジカル重合開始剤として、熱重合開始剤を好適に使用することができ、その具体例は以下のとおりである。ジアシルパーオキサイドとしては、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイドなどが挙げられる。パーオキシエステルとしては、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサネート、t-ブチルパーオキシネオデカネート、クミルパーオキシネオデカネート、t-ブチルパーオキシベンゾエートなどが挙げられる。パーカーボネートとしては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-s-ブチルパーオキシジカーボネートなどが挙げられる。アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)などが挙げられる。
上記の重合硬化促進剤(F)は、単独でも、2種以上を併用することもできるが、その使用量は、所謂触媒量でよく、例えば、上記(A)、(B)、及び(C)の合計100質量部に対して、0.001~10質量部、特に0.01~5質量部の範囲の少量でよい。
<(G)内部離型剤>
本発明において、内部離型剤は、離型性に効果を示すものであれば制限なく使用することができるが、樹脂の透明性などの物性を損なわないものであることが好ましい。フォトクロミック化合物との相溶性を考慮すると、界面活性剤を好適に使用することができる。その中でも、リン化合物の界面活性剤が好ましく、さらに(チオ)リン酸エステル系、(チオ)ホスホン酸エステル系、(チオ)ホスフィン酸エステル系界面活性剤が好ましい。ここでいう内部離型剤は、前述の各種触媒のうち離型効果を示すものを含み、例えば4級アンモニウム塩類および4級ホスホニウム塩類をも含むことがある。これら内部離型剤は、フォトクロミック組成物との相溶性、重合条件、経済性、取り扱いの容易さを考慮し、適宜選択することができる。(チオ)リン酸エステル系、(チオ)ホスホン酸エステル系、(チオ)ホスフィン酸エステル系、および、亜リン酸エステル系の内部離型剤の具体例は、下記のとおりである。
リン酸モノ-n-ブチル、リン酸モノ-2-エチルヘキシル、リン酸モノ-n-オクチル、リン酸モノ-n-ブチル、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェ-ト、リン酸ジ(2-エチルヘキシル)、リン酸ジ-n-オクチル、リン酸ジ-n-ブチル、ジチオリン酸O,O-ジメチル、ジチオリン酸O,O-ジエチル、ジチオリン酸O,O-ビス(2-エチルヘキシル)、チオリン酸O,O-ジメチル、チオリン酸O,O-ジエチル、チオリン酸O,O-ビス(2-エチルヘキシル)、チオメトン、ジスルホトン、ジチオリン酸O,O-ジエチルS-メチル、ジプロピルホスフィン酸等があり、製品としては、SC有機化学株式会社から販売されているChelex H-8、Chelex H-12、Chelex H-18D、Phoslex A-8、Phoslex A-10、Phoslex A-12、Phoslex A-13、Phoslex A-18、Phoslex DT-8、Chelex TDP、Chelex H-OL、城北化学工業株式会社から販売されているJP-506H、JP-512、JP-524R、JP-312L、JP-333E、JP-318-Oなどが挙げられる。
上記の各種内部離型剤(G)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできるが、その使用量は少量でよく、通常(A)、(B)、及び(C)の合計100質量部に対して0.001質量部~10質量部用いれば十分である。
<紫外線安定剤>
本発明において、フォトクロミック硬化体の耐久性を向上させるために、紫外線安定剤を用いることができる。紫外線安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤、ヒンダードフェノール酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが知られており、フォトクロミック組成物との相溶性などを勘案し、適宜選択して用いることができる。得られるフォトクロミック硬化体のフォトクロミック特性及び、耐久性の観点から、特に好適な紫外線安定剤は、下記の通りである。
ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケ-ト、株式会社ADEKAから販売されているアデカスタブLA-52、LA-57、LA-62、LA-63、LA-67、LA-77、LA-82、LA-87、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチル-フェーノール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、BASFから販売されているIRGANOX1010、IRGANOX1035、IRGANOX1075、IRGANOX1098、IRGANOX1135、IRGANOX1141、IRGANOX1222、IRGANOX1330、IRGANOX1425、IRGANOX1520、IRGANOX259、IRGANOX3114、IRGANOX3790、IRGANOX5057、IRGANOX565等を好適に使用できる。
紫外線安定剤の使用量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されるものではないが、通常、(A)、(B)、及び(C)の合計100質量部に対して、0.001質量部~10質量部、特に0.01質量部~1質量部の範囲である。特にヒンダードアミン光安定剤を用いる場合、フォトクロミック化合物の種類によって耐久性の向上効果に差が出ることがあり、調整した発色色調の色ズレが発生することがある。色ズレを抑制する観点から、フォトクロミック化合物1モル当り、ヒンダードアミン光安定剤の使用量を0.5~30モル、より好ましくは1~20モル、さらに好ましくは2~15モルとするのがよい。
<フォトクロミック組成物の使用>
本発明において、フォトクロミック組成物に対して、熱、または必要に応じて、紫外線、α線、β線、γ線等の活性エネルギ-線の照射、あるいは両者の併用等により、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合或いは縮重合を進行させ、フォトクロミック硬化体を製造することができる。即ち、本発明において、重合手段に特に制限はなく、形成されるフォトクロミック硬化体の形態に応じて、重合手段を適宜選択すればよい。
本発明のフォトクロミック組成物を熱重合させるに際しては、特に重合温度が、得られるフォトクロミック硬化体の性状に影響を与える。重合硬化促進剤の種類や量、モノマーの種類等により、適切な重合温度は異なるため、一概に限定はできないが、一般的に比較的低温で重合を開始し、ゆっくりと温度を上げていく方法が好適である。重合時間も、温度と同様に各種の要因によって異なるので、予めこれらの条件を勘案した最適な重合時間を決定するのが好適であり、一般的には、2~48時間で重合が完結するように条件を選ぶのが好ましい。フォトクロミック積層シ-トを得る場合には、重合性官能基同士の反応が進行する温度で重合し、その際、目的とする分子量になるように最適な温度と時間を決定することが好ましい。
<フォトクロミック硬化体の製造方法、および特性>
上述した練り込み法によりフォトクロミック硬化体を製造するためには、エラストマーガスケット又はスペーサーで保持されているガラスモールド間に、十分に脱泡を行った上記のフォトクロミック組成物を注入し、重合すればよい。重合硬化促進剤の種類に応じて、空気炉中での加熱や紫外線等の活性エネルギ-線照射を適宜行うことが好ましい。上記の方法により、レンズ等の光学材料の形態に成形されたフォトクロミック硬化体を得ることができる。
なお、本発明において、得られるフォトクロミック硬化体のLスケールロックウエル硬度(HL)は、特に制限されるものではないが、100以上150以下となることが好ましく、110以上130以下となることが好ましい。本発明においては、この範囲の硬度のものであっても、優れたフォトクロミック特性を発揮する。
本発明の製造方法では、発色濃度や退色速度等のフォトクロミック特性と、機械的特性の優れた光学基材、例えばフォトクロミック眼鏡レンズを製造できる。 また、本発明により得られるフォトクロミック硬化体は、その用途に応じて、後加工を施すことも可能である。具体的には、分散染料などの染料を用いる染色、シランカップリング剤やケイ素、ジルコニウム、アンチモン、アルミニウム、スズ、タングステン等のゾルを主成分とするハードコート膜の積層、SiO、TiO、ZrO等の金属酸化物の蒸着による薄膜形成、有機高分子の薄膜による反射防止処理、帯電防止処理等が挙げられる。
次に、実施例及び比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。下記の実施例及び比較例において、上記の各成分及びフォトクロミック特性の評価方法等は、下記のとおりである。
(A)ポリイソ(チオ)シアネート化合物;
XDI:m-キシレンジイソシアネート。
NBDI:(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,5(2,6)-ジイル)ビスメチレンジイソシアネート。
(B)多官能化合物;
PEMP:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)。
MTODT:4-メルカプトメチル-3、6-ジチア-オクタンジチオール。
DPMP:ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)。
PPGOH3-700:ポリプロピレングリコールトリオール体(Mn=700)。
(C)単官能化合物
PGME2:ポリエチレングリコールモノオレイルエーテル(エチレングリコールの繰り返し数約2、Mn=357)。
PGME10:ポリエチレングリコールモノオレイルエーテル(エチレングリコールの繰り返し数約10、Mn=709)。
PEISE5:ポリエチレングリコールモノイソステアリルエーテル (エチレングリコールの繰り返し数約5、Mn=490)。
PESA2:ポリエチレングリコールモノステアレート(エチレングリコールの繰り返し数約2、Mn=373)。
PEOA4.5:ポリエチレングリコールモノオレエート(エチレングリコールの繰り返し数約4.5、Mn=481)。
SMP:ステアリル-3-メルカプトプロピオネート(Mw=359)。
(D)ヘテロ原子を有し、且つ繰り返し単位を3つ以上有するオリゴマー鎖基を有することを特徴とするフォトクロミック化合物;PC1
PC1 は、国際公開WO2004/041961号パンフレットや国際公開WO2012/1214141号パンフレットを参考にして合成した。
Figure 0007152173000032
その他の成分;
(F)重合硬化促進剤
DMTD:ジメチルジクロロスズ。
(G)内部離型剤;
JP-506H:ブトキシエチルアシッドフォスフェート。
実施例1
下記処方により、各成分を混合し、脱泡を行い、均一液(フォトクロミック組成物)を調製した。各配合量は表1に示す。
処方;
(A)ポリイソシアネート化合物:NBDI 44質量部。
(B)ポリ(チ)オール化合物:PEMP 47.6質量部。
(C)モノ(チ)オール化合物:PGME2 8.4質量部。
(D)フォトクロミック化合物:PC1 0.12質量部。
(F) 重合硬化促進剤:DMTD 0.04質量部。
(G)内部離型剤:JP-506H 0.1質量部。
上記のフォトクロミック組成物を用い、練り込み法にてフォトクロミック硬化体を得た。(A)、(B)、(C)100質量部に対し、(D)が48μmolとなるように添加した。重合方法は、以下に示す。
<重合方法;フォトクロミック硬化体の製造方法>
ガラスモールドと、エチレン-酢酸ビニル共重合体製のガスケットを用いて、厚さ2mmの鋳型を作製した。続いて十分に脱泡した前記フォトクロミック組成物を、鋳型に注型した。次いで、20℃から120℃まで徐々に昇温しながら、重合反応を進行させ、フォトクロミック硬化性組成物の硬化を行った。20時間かけて硬化させた後、フォトクロミック硬化体を鋳型から取り外した。
<フォトクロミック硬化体の評価方法>
得られたフォトクロミック硬化体に関して、(1)フォトクロミック特性、(2)L-スケールロックウエル硬度、(3)透明性の評価を行った。またフォトクロミック硬化性組成物に関しては、(4)ハンドリング性の評価を行った。評価方法は下記の通りである。
(1)フォトクロミック特性
(株)浜松ホトニクス性のキセノンランプL-2480(300W)SHL-100を用いて、エアマスフィルター2.0(株式会社光洋社製)を介して、フォトクロミック硬化体に光照射を行い、フォトクロミック硬化体を発色させた、各種フォトクロミック特性を評価した。照射時の条件は下記の通りである。
照射温度;23±0.1℃。
発光強度:300~500nmの範囲で50,000lux。
照射時間;300秒。
フォトクロミック硬化体のフォトクロミック特性として、最大吸収波長、発色濃度、退色速度を評価した。測定は、株式会社大塚電子工業製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディテクターMCPD1000)を使用した。
・最大吸収波長(λmax):
発色後のフォトクロミック硬化体の、可視光領域における最大吸収波長である。該最大吸収波長は発色時の色調に関係する。
・発色濃度{ε(300)-ε(0)}:
前記最大吸収波長における、300秒間光照射した後の吸光度{ε(300)}と光照射前の吸光度ε(0)との差で、発色濃度を評価した。この値が高いほどフォトクロミック性が優れている。
・退色速度〔t1/2(sec.)〕:
フォトクロミック硬化体に、300秒間光を照射し、光の照射を止めた後に、前記最大吸収波長における吸光度が{ε(300)-ε(0)}の半分まで低下するのに要する時間で、退色速度を評価した。この時間が短いほどフォトクロミック性が優れている。
(2)Lスケールロックウエル硬度(HL)
フォトクロミック硬化体(2mm厚)を23℃のデシケーター内で1日保管した後、明石ロックウエル硬度計(形式:AR-10)を用いて、前記硬化体のLスケ-ルロックウエル硬度を測定した。
(3)フォトクロミック硬化体の透明性
フォトクロミック硬化体を、直行ニコル下で、白濁の評価を目視にて行った。
1:製品として問題ないレベルで、白濁がない、あるいはほとんど見えない。
2:製品として問題ないレベルであるが若干白濁のあるもの。
3:製品として問題ないレベルであるが2よりは白濁が強いもの。
4:白濁があり、製品として使用できないもの。
(4)フォトクロミック硬化性組成物のハンドリング性
フォトクロミック組成物を、レンズモールドに注型する際のハンドリング性を以下の基準で評価した。
1:問題なくレンズモールドに注型できるもの。
2:粘度は高いが問題なくレンズモールドに注型できるもの。
3:粘度が高く、扱いにくいが、レンズモールドに注型可能なもの。
4:粘度が高く、レンズモールドに注型不可能なもの。
<実施例2~9、比較例1~4>
表1に示した組成のフォトクロミック組成物を用いた以外は、実施例1と同様の方法でフォトクロミック硬化体を作製し、評価を行った。また、比較例2において、下記式
Figure 0007152173000033
で表されるPC2をPC1の代わり添加した。添加量は(A)、(B)、(C)の混合物100質量部に対し、48μmolとなるように添加した。
結果を表2に示した。
Figure 0007152173000034
Figure 0007152173000035
以上の実施例、比較例から明らかな通り、本発明のフォトクロミック組成物はハンドリング性に優れており、重合して得られる硬化体は、透明性や、フォトクロミック特性、力学特性等が非常に優れている。

Claims (10)

  1. (A)分子中にイソ(チオ)シアネート基を2個以上有するポリイソ(チオ)シアネート化合物と、
    (B)活性水素を1分子中に2個以上有する多官能化合物と、
    (C)活性水素を1分子中に1個有する単官能化合物と、
    (D)ヘテロ原子を有し、且つ繰り返し単位を3つ以上有するオリゴマー鎖基を有するフォトクロミック化合物とを含有し、
    前記(D)成分におけるオリゴマー鎖基1モル当たり、前記(C)成分を1~2000モル含むフォトクロミック組成物を硬化せしめることを特徴とするフォトクロミック硬化体の製造方法。
  2. 前記(A)成分におけるイソシアネート基の総モル数をn1とし、
    前記(B)成分における活性水素の総モル数をn2とし、
    前記(C)成分における活性水素の総モル数をn3とした時、
    n1:(n2+n3)=0.9~1.5:1であり、n2:n3=1~300:1である請求項1に記載のフォトクロミック硬化体の製造方法。
  3. 前記(D)成分が、ポリアルキレンオキシドオリゴマー鎖基、ポリエステルオリゴマー鎖基、ポリエステルポリエーテルオリゴマー鎖基、およびポリシロキサン鎖基から選ばれるオリゴマー鎖基を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のフォトクロミック硬化体の製造方法。
  4. 前記(D)成分が、インデノナフトピラン化合物であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のフォトクロミック硬化体の製造方法。
  5. 前記(D)成分が、下記式(1)で示されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のフォトクロミック硬化体の製造方法。
    Figure 0007152173000036
    式中、
    、およびRは、それぞれ独立に、繰り返し単位を3つ以上有するオリゴマー鎖基、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、置換基を有してもよい複素環基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアラルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、チオール基、アルコキシアルキルチオ基、ハロアルキルチオ基、又は置換基を有してもよいシクロアルキルチオ基であることが好ましく、
    aは0~4の整数であり、bは0~4の整数であり、
    aが2~4である場合には、複数のRは互いに同一でも異なってもよく、
    bが2~4である場合には、複数のRは互いに同一でも異なってもよく、
    また、隣接するR、またはRが存在する場合には、隣接する2つのR、またはRが一緒になってそれらR、またはRと結合する炭素原子と共に、下記式(2)
    Figure 0007152173000037
    [式中、
    *は、R、またはRが結合する炭素原子を指し、
    X、およびYは、一方または両方が硫黄原子、メチレン基、酸素原子、または下記式(3)
    Figure 0007152173000038
    (式中、
    は、前記オリゴマー鎖基、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基である。)で示される基であり、RおよびRは、それぞれ独立に、前記オリゴマー鎖基、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、置換基を有してもよい複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアラルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、チオール基、アルキルチオ基、アルコキシアルキルチオ基、ハロアルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、又は置換基を有してもよいアリールチオ基である。)で示される基であり、
    また、RおよびRは、それらが結合する炭素原子と共に、置換基を有してもよい脂肪族環を形成してもよく、cは、1~3の整数である。]
    で示されるような環を形成してもよく、
    300、およびR400は、それぞれ独立に、前記オリゴマー鎖基、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、炭シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、置換基を有してもよい複素環基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキルチオ基、又は置換基を有してもよいアリールチオ基であり、
    a’は0~5の整数であり、a’が2以上である場合には、R300は、互いに同一でも異なる基であってもよく
    b’は0~5の整数であり、b’が2以上である場合には、R400は、互いに同一でも異なる基であってもよく、
    、およびRは、互いに同一であっても、異なっていてもよく、前記オリゴマー鎖基、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアラルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基であり、
    また、R、およびRは2つが一緒になって、それらが結合する13位の炭素原子と共に、環員炭素数が3~20である脂肪族環、前記脂肪族環に芳香族環若しくは芳香族複素環が縮環した縮合多環、環員原子数が3~20である複素環、又は前記複素環に芳香族環若しくは芳香族複素環が縮環した縮合多環を形成してもよく、ただし、これら環は置換基を有してもよく、
    分子内に少なくとも1つの前記オリゴマー鎖基を有するために、前記置換基を有してもよい基の置換基は、前記オリゴマー鎖基であってもよい。
  6. 前記オリゴマー鎖基が、下記式(5a)~(5d)で示されることを特徴とする請求項1~5いずれか1項に記載のフォトクロミック硬化体の製造方法。
    Figure 0007152173000039
    式中、
    は、炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であり、同一分子内に複数のRを含む場合は、Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、
    10は、炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、または炭素数6~14のアリール基であり、同一分子内に複数のR10を含む場合は、R10は、互いに同一であっても異なっていてもよく、nは、前記オリゴマー鎖基の繰り返し単位を指すものであり、3~200の整数であり、複数ある繰り返し単位の2価の基は、互いに同一であっても異なっていてもよく、
    Lは、2価の結合基であり、下記式(7)
    Figure 0007152173000040
    (式中、
    11は、2価の基であり、炭素数が1~20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキレン基、環を形成する炭素数が3~12の置換基を有してもよいシクロアルキル基、環を形成する炭素数が6~12の置換基を有してもよいアリール基、又は環を形成する原子の数が3~12である置換基を有してもよい複素環基であり、
    12は、2価の基であり、炭素数が1~20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキレン基、環を形成する炭素数が3~12の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は環を形成する炭素数が6~12の置換基を有してもよいアリール基であり、
    13は、2価の基であり、炭素数が1~20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキレン基、環を形成する炭素数が3~12の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は環を形成する炭素数が6~12の置換基を有してもよいアリール基であり、
    、およびXは、2価の基であり、それぞれ独立に、直結、O、S、アミノ基、置換アミノ基、(チオ)アミド基、又は(チオ)エステル基であり、
    dは0~50の整数であり、
    eは0~50の整数であり、
    fは0~50の整数であり、
    dが2以上の場合、複数あるR11は、互いに同一であっても異なっていてもよく、
    eが2以上の場合、複数あるeの単位の2価の基は、互いに同一であっても異なっていてもよく、
    fが2以上の場合、複数あるfの単位の2価の基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)で示される基であり、
    複数あるLは互いに同一であっても異なっていてもよく、
    破線部は、前記フォトクロミック部位との結合を表し、
    tは、該オリゴマー鎖基の数を指すものであり、1~10の整数であり、
    tが1の場合には、Rは、水素原子、炭素数1~20のアルキル基であり、
    tが2の場合には、Rは、結合手、又は2価の有機残基であり、
    tが3~10の場合には、Rは、tの数と同じ有機残基である。
  7. 前記結合基Lが、下記式(8、(8b)、(8c)、(8d)、又は(8e)で示されることを特徴とする請求項に記載のフォトクロミック硬化体の製造方法。
    Figure 0007152173000041
    (式中、破線部は、前記インデノナフトピラン部位と結合することを表す。)
  8. 前記(C)成分が、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のフォトクロミック硬化体の製造方法。
  9. 前記フォトクロミック組成物が、
    (A)成分と(D)成分の予混合物1と(B)成分と(C)成分の予混合物2の混合物、または
    (B)成分と(C)成分と(D)成分の予混合物3と(A)成分の混合物からなる請求項1~8のいずれか1項に記載のフォトクロミック硬化体の製造法。
  10. (A)分子中にイソ(チオ)シアネート基を2個以上有するポリイソ(チオ)シアネート化合物と(D)ヘテロ原子を有し、且つ繰り返し単位を3つ以上有するオリゴマー鎖基を有するフォトクロミック化合物との予混合物1と、
    (B)活性水素を1分子中に2個以上有する多官能化合物と(C)活性水素を1分子中に1個有する単官能化合物との予混合物2との組合せ、または
    上記(B)成分と(C)成分と(D)成分の予混合物3と上記(A)成分の組合せ、からなり、
    前記(D)成分におけるオリゴマー鎖基1モル当たり、前記(C)成分を1~2000モルの範囲で含む、フォトクロミック硬化体を製造するための組合せ組成物。
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