JP7151837B2 - 紫外線照射装置 - Google Patents
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Description
このように、エキシマランプを耐熱樹脂筐体で覆うことで、筐体内が保温されやすくなる。これにより、放電容器を構成するガラスの紫外線歪の緩和効果が得られる。また、エキシマランプの周囲に微量な酸素が存在する場合、その酸素がエキシマランプから放射される紫外線を受け、オゾンが発生する場合があるが、筐体内が保温されていることでオゾンの熱分解が促進される効果がある。また、筐体内を保温する構造であるため、当該筐体内には、例えばエキシマランプ等を冷却するための機構を配置する必要はない。そのため、筐体構造が大型化することを抑制し、汎用性の高い装置構造とすることができる。
この場合、筐体内の電気的接続は、導電部材(電線)を用いない構造とすることができる。電気的接続に電線を用いる場合、電線を被覆する材料がオゾンで劣化することを想定すると短絡や漏電の問題が懸念されるが、電気的接続に電線を用いない構造とすることで、上記の問題を回避することができる。また、筐体と電極との当接面に接続端子を設けることで、筐体内の閉塞空間を維持しつつも、電極と電源部との間の電気的接続をより堅牢なものとすることができる。また、筐体内で発生した紫外線が、接続端子を形成した貫通孔から漏洩することをより適切に防ぐことができる。
この場合、接続端子を、筐体と電極との機械的接続(電極の固定)としても兼用できる。
この場合、紫外線照射装置の製造、組立が容易となる。
この場合、最もコンパクトで扱いやすく、汎用性のある構造とすることができる。
この場合、電源部を効率的に冷却することができる。
この場合、人体への悪影響の少ない波長域の光を出射する紫外線照射装置とすることができる。
この場合、紫外線に対する劣化が少なく、耐熱性(100℃以上)が十分に確保された樹脂材料により筐体を構成することができる。なお、紫外線の劣化耐性や耐熱性だけでなく、UVC波の遮光性や加工性を考慮した場合には、ポリエーテルイミド(PEI)が最も扱いやすく好適である。
図1は、本実施形態における紫外線照射装置である光源部110の外観イメージ図である。また、図2は、光源部110の内部構造の模式図である。
図1に示すように、光源部110は、上枠部11aと下枠部11bとからなる筐体11を備える。また、図2に示すように、光源部110は、筐体11の内部に収容されたエキシマランプ12を備える。エキシマランプ12は、波長200nm~230nmに中心波長を有する光を放射する。
なお、筐体11の材料は、紫外線に対する劣化が少なく、耐熱性(100℃以上)が十分に確保された樹脂材料であればよく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ガラス繊維含有ポリフェニレンサルファイド(PPS-GF)、液晶ポリマー(LCP)、およびガラス繊維含有ポリブチレンテレフタレート(PBT-GF)等であってもよい。
一方で、筐体の材料としてポリエーテルイミド(PEI)を用いた場合は、UVC波の透過がかなり効果的に抑制できることが確認できた。図3は、厚み1mmの板状のポリエーテルイミド材に対して、UV-VIS透過率を測定した結果である。図3から分かるとおり、波長400nm以下の光は殆ど透過しないことが理解できる。
以上の観点から、筐体材料としては、ポリエーテルイミド(PEI)を採用することが最も望ましいといえる。
なお、図2では、光源部110が複数(3本)のエキシマランプ12を備えているが、エキシマランプ12の数は特に限定されない。
なお、ハロゲンとしては、臭素(Br)を用いることもできる。KrBrエキシマランプの場合、得られる放射光の中心波長は207nmである。
そして、放電容器13は、これら2つの電極14、15に接触しながら跨るように配置されている。具体的には、2つの電極14、15には凹溝が形成されており、放電容器13は、電極14、15の凹溝に嵌め込まれている。
ここで、電極14、15は、エキシマランプ12から放射される光に対して反射性を有する金属部材により構成されていてもよい。この場合、放電容器13から+Z方向に放射された光を反射して-Z方向に進行させることができる。
波長選択フィルタとしては、例えば、HfO2層およびSiO2層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いることができる。
しかしながら、波長選択フィルタとしてHfO2層およびSiO2層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いた場合には、SiO2層およびAl2O3層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いた場合と比較して、層の総数を少なくすることができる。そのため、入射角が0°のときの紫外線の透過率を高めることができる。
このように、光出射窓に光学フィルタを設けることで、エキシマランプ12から人に有害な光が僅かに放射されている場合であっても、当該光が筐体11の外に漏洩することをより確実に抑えることができる。
具体的には、光源部110は、第一電極14と電源部とを電気的に接続する第一接続部材(第一導電体)として、第一電極14と電気的に接続され、筐体11を貫通して設けられた金属部材である第一接続端子16aと、第一接続端子16aと電源部とを電気的に接続する第一導電部材(電線)17aと、を備える。
また、第一導電部材17aおよび第二導電部材17bには、電源部に対して着脱可能なコネクタ18が設けられている。第一接続端子16aおよび第二接続端子16bと電源部との電気的接続は、コネクタ18によって容易に行うことができる。
上記の構成により、光源部110は、コネクタ18の着脱によって容易に電源部に対して着脱することが可能となる。したがって、筐体11内に収容されたエキシマランプ12を交換したい場合には、筐体11自体を取り換えることでランプ交換が可能となり、利便性の高い装置構造となる。
この図4に示すように、紫外線照射装置100は、上述した光源部110と、電源部120と、を備える。
電源部120は、支持部21と、電源部材22と、コネクト部23と、冷却部材(冷却機構)24と、を備える。電源部材22、コネクト部23および冷却部材24は、支持部21における筐体11が配置される側とは反対側に配置され、遮蔽部25によって覆われている。
電源部120は、支持部21が固定部26によって筐体11の下枠部11bに固定されることで、光源部110の筐体11の裏面側(光出射窓とは反対側)に配置される。
エキシマランプ12からの放射光に波長190nm未満の紫外線が僅かにでも含まれている場合、エキシマランプの周囲に酸素が存在していると、この酸素に紫外線が作用してオゾンが生成される。エキシマランプ12を耐熱樹脂材料からなる筐体11で覆い、筐体11の外部に電源部120を配置することで、エキシマランプ12の周囲でオゾンが生成された場合でも、電源部120を構成する電子部品がオゾンにより劣化することを防ぐことができる。
オゾンの半減期は、温度の上昇に伴って短くなる。そのため、筐体11内が保温されることで、筐体11内で発生したオゾンが熱分解されやすくなるといった効果が得られる。
さらに、放電容器13を構成する石英ガラスは、長時間の紫外線照射によって歪が蓄積されることがある。このような石英ガラス中の歪は、熱によって緩和されることが期待できる。つまり、筐体11内の熱を放熱されにくくしてエキシマランプ12が保温されやすい構成とすることで、放電容器13を構成する石英ガラスの紫外線歪の緩和効果が期待できる。
このとき、エキシマランプと電源部とが同一空間(互いに連通する空間を含む)に配置されていると、電源部を冷却するための冷却機構によりエキシマランプが冷却されてしまう。エキシマランプが過冷却されると、放電容器を構成する石英ガラスに紫外線による歪みが残りやすい。
これに対して、本実施形態では、電源部120を筐体11の外部に配置するので、冷却機構によって電源部120のみを適切に冷却することができる。このように、エキシマランプ12を過冷却させずに適切に点灯駆動を持続させることができる。
さらに、接続端子16a、16bを、筐体11と電極14、15との当接面に設けることで、筐体11内の電気的接続を、導電部材(電線)を用いない構造とすることができる。したがって、筐体11内において、電線を被覆する材料がオゾンで劣化することを防止することができ、短絡や漏電の問題が回避することができる。また、筐体11内の閉塞空間を維持しつつ、電極14、15と電源部120との間の電気的接続をより堅牢なものとすることができる。
また、接続端子16a、16bを、電極14、15をそれぞれ筐体11に固定するネジ部材とすることで、接続端子16a、16bを、筐体11と電極14,15との機械的接続(電極の固定)としても兼用することができる。
さらに、このとき、筐体11の電極14、15が当接する面に接続端子16a、16bが設けられていることで、接続端子16a、16bを電源部120に最も近い位置に配置することができ、導電部材17a、17bの引き回しが容易となる。
Claims (9)
- 発光ガスが封入された放電容器と、前記放電容器に当接して配置され、前記放電容器の内部に誘電体バリア放電を生じさせる一対の第一電極および第二電極と、を有するエキシマランプと、
前記エキシマランプを内部に収容し、前記エキシマランプから発せられる波長200~230nmに中心波長を有する光を放射する光出射窓を有する、絶縁性の耐熱樹脂材料により構成された筐体と、
前記第一電極を前記筐体の外部に電気的に接続し、前記筐体を貫通して設けられた第一接続端子と、
前記第一接続端子に接続された第一導電部材と、
前記第二電極を前記筐体の外部に電気的に接続し、前記筐体を貫通して設けられた第二接続端子と、
前記第二接続端子に接続された第二導電部材と、を備え、
前記第一接続端子および前記第二接続端子は、前記筐体の外部において、前記第一導電部材および前記第二導電部材を介して前記エキシマランプに電力を供給する電源部と電気的に接続されていることを特徴とする紫外線照射装置。 - 前記第一電極および前記第二電極は、前記筐体に当接して固定されており、
前記第一接続端子は、前記筐体における前記第一電極が当接する面に設けられ、
前記第二接続端子は、前記筐体における前記第二電極が当接する面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。 - 前記第一接続端子および前記第二接続端子は、前記第一電極および前記第二電極をそれぞれ前記筐体に固定するネジ部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の紫外線照射装置。
- 前記筐体は、上枠部と下枠部とを備え、前記上枠部と前記下枠部とによって前記エキシマランプを収容する閉鎖空間を形成するように構成されており、
前記上枠部に、前記光出射窓が形成されており、
前記下枠部に、前記第一電極および前記第二電極がそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。 - 前記筐体における前記光出射窓が形成された面とは反対側に、前記電源部が配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
- 前記電源部は、インバータと、当該インバータを冷却する冷却機構と、を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
- 前記光出射窓には、230nmよりも長波長側のUVC波の透過を阻止する光学フィルタが設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
- 前記耐熱樹脂材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ガラス繊維含有ポリフェニレンサルファイド(PPS-GF)、液晶ポリマー(LCP)、およびガラス繊維含有ポリブチレンテレフタレート(PBT-GF)のいずれかであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
- 前記耐熱樹脂材料は、ポリエーテルイミド(PEI)であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
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