JP7149883B2 - キャニスタパージ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、キャニスタパージ制御装置、特に、ターボチャージャを備えたエンジンにキャニスタで吸着された燃料蒸発ガスをパージガスとして供給するキャニスタパージ制御装置に関する。
エンジンを搭載する車両では、主にガソリンやアルコールなどの揮発性燃料が用いられる。これら揮発性燃料は、大気中は勿論、燃料タンク内でも気化(蒸発)する。こうした燃料蒸発ガス(以下、エバポとも称する)の大気流出抑制のために、エバポを吸着するキャニスタ(チャコールキャニスタ)が車両に搭載されている。このキャニスタは、エバポを一時的に吸着するものであり、キャニスタに吸着した燃料蒸発ガスは、例えばエンジンの負圧を利用してエンジン吸気系にパージガスとして供給され、更にエンジンの燃焼室に供給されて燃焼に供される。なお、このパージガスのエンジン吸気系への供給に伴ってキャニスタに外気を導入するため、キャニスタのドレンポートは大気開放されている。
このキャニスタとエンジン吸気系を連通してパージガスを供給する通路をパージガス通路とすると、このパージガス通路は、通常、スロットルバルブよりも吸気下流側、具体的にはインテークマニホールド又はその近傍に接続され、その接続部分からエンジン吸気系にパージガスが供給(吸引)される。パージガス通路には、一般に電磁弁で構成されてパージガス通路を開閉するパージ制御弁が設けられ、このパージ制御弁を開弁制御してパージガス流量を制御する。パージ制御弁の開弁制御は、例えばキャニスタから生じるパージガス濃度やエンジン吸気系の負圧状態から目標とするパージガス流量が供給される弁開度が達成されるように行われる。なお、キャニスタからのパージガス濃度は、例えば排ガス中の空燃比をフィードバックして補正学習している。
一方、ターボチャージャを備えたエンジンでは、排ガスでタービンが回転されてコンプレッサが新気を過給すると、インテークマニホールド内が正圧状態となり、パージガスが吸引されない。そこで、例えば下記特許文献1に記載されるように、上記パージガス通路を分岐してターボチャージャのコンプレッサよりも吸気上流側にも接続し、コンプレッサが作動しているときのコンプレッサよりも吸気上流側の負圧でパージガスがコンプレッサの吸気上流側に吸引(供給)されるようにする。ここでは、コンプレッサよりも吸気下流側、具体的には上記インテークマニホールドに接続されたパージガス通路をエンジン側経路、コンプレッサよりも吸気上流側に接続されたパージガス通路をコンプレッサ側経路ともいう。また、一般に、パージガス供給中は、燃料噴射装置から噴射する燃料噴射量を所定の割合で減少(補正)制御する。
特開2017-172477号公報
ところで、パージ制御弁を開弁制御してパージガスをエンジン吸気系に供給するキャニスタパージ制御の開始から実際にパージガスがエンジンの燃焼室に到達して燃焼に供されるまでには、パージガス供給経路に応じた応答遅れがある。したがって、排ガス中の空燃比を所定値に制御するためには、この応答遅れを見込んで燃料噴射量を低減(補正)制御するのが望ましい。上記エンジン側経路とコンプレッサ側経路では、構成上、パージガスの供給経路長が異なり、パージガスが燃焼室に到達するまでの時間、すなわち応答遅れも異なる。したがって、例えば燃料噴射量の減少割合を補正係数で補正する場合には、パージガスがエンジン側経路を通って供給される場合とコンプレッサ側経路を通って供給される場合とで、補正係数の応答遅れを変える必要がある。
パージガスがエンジン側経路を通って供給されるのか、コンプレッサ側経路を通って供給されるのかは、それぞれが接続されている部分のエンジン吸気系内部の圧力を比較することで可能となる。すなわち、パージガスは、何れか圧力の小さい経路を通ると判定できる。エンジン吸気系内部の圧力は、圧力センサで測定したり、或いは吸気流量から推定したりして検出することができる。したがって、検出されたエンジン吸気系内の圧力に基づいて、エンジン側経路に応じた応答遅れを伴う燃料噴射量低減量とコンプレッサ側経路に応じた応答遅れを伴う燃料噴射量低減量を選択し、その選択された燃料噴射量低減量を、例えば燃料噴射量の補正係数として用いて燃料噴射量の補正制御を行う。
しかしながら、エンジン吸気系内の圧力を推定する場合には推定誤差が生じる。また、エンジン吸気系内の圧力を測定する場合にも、例えばセンサの個体差によって測定誤差が生じる。その結果、応答遅れの異なる燃料噴射量補正係数(低減量)が誤って選択され、排ガス中の空燃比が所定値から乖離するおそれがある。また、例えば、パージガスがエンジン側経路を通る場合とコンプレッサ側経路を通る場合ではパージガスの流量が異なることから、この異なるパージガス流量に応じて、すなわちパージガスの供給経路に応じてパージ制御弁の弁開度が異なるように開弁制御する場合には、パージガス経路の誤判定によってパージ制御弁の弁開度も誤って制御され、その結果、排ガス中の空燃比が所定値からますます乖離してしまうおそれもある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、排ガス中の空燃比が所定値から乖離するのを抑制することが可能なキャニスタパージ制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため請求項1に記載のキャニスタパージ制御装置は、
ターボチャージャを備えたエンジンと、前記エンジンの燃料を貯留する燃料タンクと、前記燃料タンク内の燃料蒸発ガスを吸着するキャニスタと、エンジン吸気系及び前記キャニスタを連通するパージガス通路と、前記パージガス通路を開閉するパージ制御弁と、前記パージ制御弁を開弁制御する制御手段とを備え、前記パージガス通路は、前記ターボチャージャのコンプレッサよりも吸気下流側で前記エンジン吸気系及び前記キャニスタを連通するエンジン側経路と、前記コンプレッサよりも吸気上流側で前記エンジン吸気系及び前記キャニスタを連通するコンプレッサ側経路とを有するキャニスタパージ制御装置において、
前記エンジン吸気系又は前記エンジンの燃焼室に前記燃料を噴射する燃料噴射装置と、前記エンジンの燃焼室からの排ガスの空燃比を検出する空燃比センサと、前記コンプレッサよりも吸気下流側で前記エンジン吸気系内の圧力を測定又は推定して検出するエンジン側吸気圧力検出手段と、前記コンプレッサよりも吸気上流側で前記エンジン吸気系内の圧力を測定又は推定して検出するコンプレッサ側吸気圧力検出手段とを備え、前記制御手段は、前記エンジン側吸気圧力検出手段で検出された圧力が前記コンプレッサ側吸気圧力検出手段で検出された圧力よりも小さい場合に前記エンジン側経路に応じた応答遅れを伴う燃料噴射量低減量を選択し、前記コンプレッサ側吸気圧力検出手段で検出された圧力が前記エンジン側吸気圧力検出手段で検出された圧力よりも小さい場合に前記コンプレッサ側経路に応じた応答遅れを伴う燃料噴射量低減量を選択し、それぞれ選択された前記燃料噴射量低減量で前記燃料噴射装置から噴射する燃料噴射量を補正する燃料噴射量補正手段と、前記燃料噴射量低減量による前記燃料噴射装置からの燃料噴射量の補正の前及び後の少なくとも一方にて前記空燃比センサで検出された空燃比のリーン側又はリッチ側への変化量が所定量以上である場合に前記エンジン側吸気圧力検出手段で検出された圧力及び前記コンプレッサ側吸気圧力検出手段で検出された圧力の何れか一方を補正学習する吸気圧力補正学習手段とを備えたことを特徴とする。
この構成によれば、エンジン側経路に応じた燃料噴射量低減量の応答遅れとコンプレッサ側経路に応じた燃料噴射量低減量の応答遅れが異なる場合に、コンプレッサ側吸気圧力検出手段で検出された圧力とエンジン側吸気圧力検出手段で検出された圧力に基づいて燃料噴射量低減量が誤って選択されると、燃料噴射量の補正の前後に検出された排ガス中の空燃比がリーン側又はリッチ側に所定量以上異なる。すなわち、応答遅れの大きい供給経路を通ってパージガスがエンジン吸気系に供給されているのに、応答遅れの小さな燃料噴射量低減量が選択された場合には、燃料噴射量補正後の排ガス中の空燃比がリーン側に大きく変化する。一方、応答遅れの小さい供給経路を通ってパージガスがエンジン吸気系に供給されているのに、応答遅れの大きな燃料噴射量低減量が選択された場合には、燃料噴射量補正前の排ガス中の空燃比がリッチ側に大きく変化する。そこで、それぞれの場合に応じて、燃料噴射量低減量の選択に用いられる上記エンジン吸気系内の圧力を、例えば、その燃料噴射量低減量が選択されないように補正学習することで、排ガス中の空燃比の所定値からの乖離を次第に小さくすることが可能となり、結果的には、排ガス中の空燃比が所定値から乖離するのを抑制することができる。
請求項2に記載のキャニスタパージ制御装置は、請求項1に記載のキャニスタパージ制御装置において、前記吸気圧力補正学習手段は、前記エンジン側経路に応じた応答遅れを伴う燃料噴射量低減量が選択され且つ該燃料噴射量低減量による燃料噴射量の補正後の前記空燃比のリーン側への変化量が所定量以上である場合に前記エンジン側吸気圧力検出手段で検出される圧力が所定値だけ大きくなるように又は前記コンプレッサ側吸気圧力検出手段で検出される圧力が所定値だけ小さくなるように補正学習を行うエンジン側吸気圧力補正学習手段を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、ターボチャージャのコンプレッサよりも吸気下流側のエンジン吸気系として、例えばインテークマニホールドにパージガスを供給するエンジン側経路は、コンプレッサよりも吸気上流側にパージガスを供給するコンプレッサ側経路よりもパージガスの供給経路長が小さく、エンジン側経路に応じた燃料噴射量低減量の応答遅れも小さく設定される。このエンジン側経路に応じた燃料噴射量低減量が選択され且つその燃料噴射量低減量による燃料噴射量の補正後の空燃比がリーン側に大きく変化する場合、実際のパージガスはコンプレッサ側経路を通ってエンジン吸気系に供給されていると判断される。そこで、エンジン側経路に応じた燃料噴射量低減量が選択されないように、エンジン側吸気圧力検出手段で検出される圧力が所定値だけ大きくなるように又はコンプレッサ側吸気圧力検出手段で検出される圧力が所定値だけ小さくなるように補正学習を行うことで、排ガス中の空燃比が所定値から乖離するのを確実に抑制することができる。
請求項3に記載のキャニスタパージ制御装置は、請求項1又は2に記載のキャニスタパージ制御装置において、前記吸気圧力補正学習手段は、前記コンプレッサ側経路に応じた応答遅れを伴う燃料噴射量低減量が選択され且つ該燃料噴射量低減量による燃料噴射量の補正前の前記空燃比のリッチ側への変化量が所定量以上である場合に前記コンプレッサ側吸気圧力検出手段で検出される圧力が所定値だけ大きくなるように又はエンジン側吸気圧力検出手段で検出される圧力が所定値だけ小さくなるように補正学習を行うコンプレッサ側吸気圧力補正学習手段を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、ターボチャージャのコンプレッサよりも吸気上流側でエンジン吸気系にパージガスを供給するコンプレッサ側経路は、コンプレッサの吸気下流側として、例えばインテークマニホールドにパージガスを供給するエンジン側経路よりもパージガスの供給経路長が大きく、コンプレッサ側経路に応じた燃料噴射量低減量の応答遅れも大きく設定される。このコンプレッサ側経路に応じた燃料噴射量低減量が選択され且つその燃料噴射量低減量による燃料噴射量の補正前の空燃比がリッチ側に大きく変化する場合、実際のパージガスはエンジン側経路を通ってエンジン吸気系に供給されていると判断される。そこで、コンプレッサ側経路に応じた燃料噴射量低減量が選択されないように、コンプレッサ側吸気圧力検出手段で検出される圧力が所定値だけ大きくなるように又はエンジン側吸気圧力検出手段で検出される圧力が所定値だけ小さくなるように補正学習を行うことで、排ガス中の空燃比が所定値から乖離するのを確実に抑制することができる。
請求項4に記載のキャニスタパージ制御装置は、請求項1乃至3の何れか1項に記載のキャニスタパージ制御装置において、前記制御手段は、前記エンジン側吸気圧力検出手段で検出された圧力が前記コンプレッサ側吸気圧力検出手段で検出された圧力よりも小さい場合に前記エンジン側経路に応じた弁開度を選択し、前記コンプレッサ側吸気圧力検出手段で検出された圧力が前記エンジン側吸気圧力検出手段で検出された圧力よりも小さい場合に前記コンプレッサ側経路に応じた弁開度を選択し、それぞれ選択された前記弁開度で前記パージ制御弁を開弁制御する弁開度設定手段と、前記燃料噴射量低減量を伴う前記燃料噴射装置からの燃料噴射量の補正前後に前記空燃比センサで検出された空燃比のリーン側又はリッチ側への変化量が所定量以上である場合に前記弁開度設定手段で選択された前記経路の弁開度と異なる前記経路の弁開度に変更し且つ該変更された弁開度で前記パージ制御弁を開弁制御する弁開度変更手段とを備えたことを特徴とする。
この構成によれば、エンジン側吸気圧力検出手段で検出された圧力及びコンプレッサ側吸気圧力検出手段で検出された圧力の何れか小さい方のエンジン側経路に応じた弁開度又はコンプレッサ側経路に応じた弁開度が選択され、その選択された弁開度が達成されるようにパージ制御弁が開弁制御される。その際、上記のように、応答遅れの異なる供給経路を通ってパージガスがエンジン吸気系に供給された場合、燃料噴射量補正前後の排ガス中の空燃比がリーン側又はリッチ側に大きく変化する。そこで、それぞれの場合に応じて、選択された経路の弁開度と異なる経路の弁回路に変更し、その変更された弁開度でパージ制御弁を開弁制御することで、排ガス中の空燃比が所定値から乖離するのを抑制することができる。
以上説明したように、本発明によれば、燃料噴射量低減量の選択に用いられるコンプレッサの吸気上流側と下流側の2つのエンジン吸気系内の圧力を補正学習することで、排ガス中の空燃比の所定値からの乖離を次第に小さくすることが可能となり、結果的に、排ガス中の空燃比が所定値から乖離するのを抑制することができる。
本発明のキャニスタパージ制御装置が適用された車両の一実施の形態を示すエンジン吸排気系統及び燃料蒸発ガス通路の概略構成図である。 図1のエンジンコントロールユニットでキャニスタパージ制御に用いられる燃料噴射量補正係数の制御マップである。 図1のエンジンコントロールユニットで実行される演算処理を示すフローチャートである。 燃料噴射量補正係数の応答遅れが誤っていた場合の燃焼(排ガス)状態の説明図である。 燃料噴射量補正係数の応答遅れが誤っていた場合の燃焼(排ガス)状態の説明図である。
以下に、本発明のキャニスタパージ制御装置の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態のキャニスタパージ制御装置が適用された車両のエンジン吸排気系統及び燃料蒸発ガス通路の概略構成図である。この車両は、駆動源として、ターボチャージャ4を備えたエンジン1を搭載している。ターボチャージャ4は、周知のように、エンジン排気系3内に配設されたタービン4bとエンジン吸気系2内に配設されたコンプレッサ4aを回転軸4cで接続して構成される。これにより、タービン4bが排ガスで回転されると、それに伴って回転されるコンプレッサ4aは、エアフィルタ21を介して吸気した新気を圧縮する。圧縮された新気は、一般に昇温するので、これをインタークーラ22で冷却する。圧縮後に冷却された新気は、スロットルバルブ14からインテークマニホールド7を経てエンジン1の燃焼室5に過給される。なお、排ガス流量が小さいときにタービン4bが回転されない、すなわちコンプレッサ4aが新気を圧縮しない場合もあり、その場合には、自然吸気と同じく、排気行程で生じる負圧によって新気が燃焼室5に流れ込む。
この実施の形態では、エンジン1の吸気ポートにインジェクタ(燃料噴射装置)6が設けられており、このインジェクタ6から噴射された燃料と新気の混合気が燃焼室5で燃焼する。混合気の燃焼で生じた排ガスは、タービン4bを通過して触媒23で浄化され、マフラー24を経て排出される。燃料は、燃料タンク8から図示しない燃料ポンプでインジェクタ6に圧送される。燃料が燃焼室5内(筒内)に直接噴射されるエンジン1もある。インジェクタ6からの燃料噴射量の制御は、エンジンコントロールユニット13で電子制御される。例えば、触媒23の排気上流側には空燃比(A/F)センサ27が設けられており、この空燃比センサ27で検出される空燃比が所定値となるように、インジェクタ6から噴射する燃料噴射量をフィードバック制御する。近年では、排ガス中の空燃比は、理想空燃比(ストイキオメトリック、一般にストイキ)とする傾向にある。なお、図1は模式的な構成を示しており、各構成要素の配置などは、単なる例示である。
エンジン1の燃料には、ガソリンなどの揮発性燃料が用いられ、燃料タンク8内に給油されて貯留される。エンジン1に供給される燃料の大部分は、例えば、図示しない燃料ポンプによって燃料タンク8から汲み出され、更にインジェクタ6からエンジン吸気系2又は燃焼室5に噴射される。一方、前述のように、揮発性燃料からなるエンジン1用の燃料は、燃料タンク8内でも気化(蒸発)しており、その燃料蒸発ガス(エバポ)をキャニスタ9で一時的に吸着し、更にキャニスタ9に吸着した燃料蒸発ガスをエンジン吸気系2にパージガスとして供給してエンジン1での燃焼に供する。ここでは、キャニスタ9とエンジン吸気系2を連通する通路をパージガス通路10と規定する。なお、キャニスタ9は、チャージポート9cが燃料タンク8に接続され、パージポート9pがパージガス通路10に接続され、ドレンポート9dは、フィルタ25を介して大気開放されている。ちなみに、このドレンポート9dには、この燃料蒸発ガス通路内の漏れ(リーク)を検出するための装置を配設してもよい。
このパージガス通路10には、パージガス通路10を開閉するパージ制御弁11が設けられている。このパージ制御弁11は電磁弁であり、後述するように、デューティ制御によって開弁制御され、パージガスを所定の濃度(割合)でエンジン吸気系2に供給する。このパージ制御弁11も、エンジンコントロールユニット13によって開弁制御される。このパージガス通路10は、パージ制御弁11よりもパージガス供給下流側でエンジン側経路10aとコンプレッサ側経路10bに分岐される。このうち、エンジン側経路10aは、スロットルバルブ14よりも吸気下流側でエンジン吸気系2、具体的にはインテークマニホールド7に接続され、コンプレッサ側経路10bは、ターボチャージャ4のコンプレッサ4aよりも吸気上流側でエンジン吸気系2に接続される。コンプレッサ4aは、スロットルバルブ14よりも吸気上流側に配置されているので、エンジン側経路10aはコンプレッサ4aよりも吸気下流側でエンジン吸気系2に接続されている。
前述のように、排気ガスでタービン4bが回転されてコンプレッサ4aが新気を圧縮すると、コンプレッサ4aよりも吸気下流側のエンジン吸気系2では、エンジン吸気系2内の圧力が正圧となり、エンジン側経路10aからはインテークマニホールド7内にパージガスが吸引されない。そこで、コンプレッサ4aが作動したときに負圧状態となる、コンプレッサ4aよりも吸気上流側にコンプレッサ側経路10bを接続し、その部分からエンジン吸気系2にパージガスが吸引されるようにしている。なお、このコンプレッサ側経路10bとエンジン吸気系2との接続部分には、例えば上記特許文献1に記載されるエジェクタ12が設けられている。このエジェクタ12は、コンプレッサ4aよりも吸気下流側のエンジン吸気系2内の新気の一部を還流し、ベンチュリ管の原理を用いて負圧を増進する(系内圧力を小さくする)ものである。なお、エンジン側経路10a及びコンプレッサ側経路10bのそれぞれには、エンジン吸気系2からの新気の流入を防止する逆止弁20が介装されている。また、エジェクタ12は必須ではない。
以下、この実施の形態の車両におけるパージガスのパージ制御の概要について説明する。なお、「パージ」は、一掃、消去、浄化、追放といった意味の英語である。キャニスタ9に吸着されたエバポはスロットルバルブ14の吸気下流側、具体的にはインテークマニホールド7内、又はコンプレッサ4aの吸気上流側にパージガスとしてエンジン吸気系2の負圧で吸引され、更にエンジン1の燃焼室5内で燃焼される。このパージガス供給量を制御するのがキャニスタパージ制御であり、パージ制御弁11の開弁状態をディーティ制御して行う。キャニスタパージ制御はエンジン運転中に行われる。上記パージ制御弁11の弁開度は、パージガスが通る供給経路に応じて変更している。一例として、パージガスがコンプレッサ側経路10bを通ってエンジン吸気系2に供給される場合はコンプレッサ4aが作動しており、このコンプレッサ作動中は吸気流量が大きいので、より多くのパージガスがエンジン吸気系2に供給されるように、パージ制御弁11の弁開度を大きく設定する。一方、パージガスがエンジン側経路10aを通ってエンジン吸気系2に供給される場合、コンプレッサ4aが作動していない、すなわち吸気流量が小さいので、パージガスが過剰にエンジン吸気系2に供給されないように、パージ制御弁11の弁開度を小さく設定する。パージガスの流量は、キャニスタ9から生じるパージガスの濃度及びエンジン吸気系2内の圧力、具体的には負圧状態から求めることができる。キャニスタ9から生じるパージガス濃度は、前述のように、例えば排ガス中の空燃比をフィードバックして補正学習している。その他の制御因子を考慮してもよい。パージ制御弁11の弁開度は、周知のように、例えば0%近傍又は100%近傍といった特定の無効領域を除き、デューティ比に略比例する。以下では、パージガスがエンジン側経路10aを通ってエンジン吸気系2に供給されていると判定される場合のパージ制御弁11のデューティ比をエンジン側経路用デューティ比とし、パージガスがコンプレッサ側経路10bを通ってエンジン吸気系2に供給されていると判定される場合のパージ制御弁11のデューティ比をコンプレッサ側経路用デューティ比とする。
また、前述のように、エンジン吸気系2にパージガスが供給されている間は、インジェクタ6から噴射する燃料噴射量を、所定の割合で低減(補正)する。この実施の形態では、この燃料噴射量の低減量を燃料噴射量補正係数で制御する。具体的には、例えば、エンジン1の負荷状態、すなわちスロットル開度やエンジン回転数に応じた燃料噴射量基準値に燃料噴射量補正係数を乗じて燃料噴射量指令値とする。実際の燃料噴射量は、更に、上記空燃比センサ27で検出された排ガス中の空燃比でフィードバック補正される。なお、次段に詳述するように、燃料噴射量の低減(補正)は、排ガス中の空燃比を所定値(ストイキ)に維持するためには、キャニスタパージ制御開始からパージガスが実際に燃焼室5に供給されるまでの時間、すなわち応答遅れを考慮して行うのが望ましい。
この燃料噴射量補正係数は、例えば、図2に示す制御マップに従って設定される。各制御マップの横軸は、キャニスタパージ制御開始からの経過時間である。図2(A)と図2(B)では、補正係数が1から減少するまでの設定経過時間が異なる。前述のように、パージガスが通るエンジン側経路10aとコンプレッサ側経路10bでは、パージガスの供給経路長が異なる。一般に、エンジン側経路10aの方がコンプレッサ側経路10bよりもパージガスの供給経路長が小さい。パージガスの供給経路長の違いは、キャニスタパージ制御開始から、実際にパージガスが燃焼室5に供給されて燃焼するまでの時間差であり、すなわち燃料噴射量低減(補正)制御の応答遅れの差になる。したがって、図2(A)は、パージガスがエンジン側経路10aを通る場合の燃料噴射量補正係数であり、図2(B)は、パージガスがコンプレッサ側経路10bを通る場合の燃料噴射量補正係数である。以下では、図2(A)の応答遅れをエンジン側経路用応答遅れとし、図2(B)の応答遅れをコンプレッサ側経路用応答遅れとする。
パージガスが何れの供給経路を通るかは、各供給経路が接続されているエンジン吸気系2内の圧力を検出することで判定することができる。すなわち、何れかエンジン吸気系2内の圧力の小さい方にパージガスは供給される。そのため、スロットルバルブ14よりも吸気下流側でエンジン側経路10aが接続されるインテークマニホールド7には、エンジン吸気系2内の圧力を測定して検出する圧力センサ26が設けられている。この実施の形態の圧力センサ26には、例えば、大気圧を0、大気圧よりも高圧(正圧)状態を正、低圧(負圧)状態を負の出力値として出力する相対圧(ゲージ圧)センサが用いられている。一方、この実施の形態では、コンプレッサ側経路10bが接続されているコンプレッサ4aよりも吸気上流側のエンジン吸気系2の圧力は、例えば図示しないエアフローメータで検出される吸気流量から推定して検出する。以下では、スロットルバルブ14よりも吸気下流側、すなわちコンプレッサ4aよりも吸気下流側のエンジン吸気系2内の圧力をインテークマニホールド内圧とし、コンプレッサ4aよりも吸気上流側のエンジン吸気系2内の圧力をコンプレッサ前圧とする。更に、後述のように、これらのエンジン吸気系2内の圧力は、それぞれの補正量で補正されてパージガスの供給経路判定に用いられるので、圧力センサ26で測定されたインテークマニホールド内圧をインテークマニホールド内デフォルト圧とし、吸気流量から推定されたコンプレッサ前圧をコンプレッサ前デフォルト圧とする。なお、コンプレッサ前デフォルト圧の推定検出は、図示しない演算処理に従って、エンジンコントロールユニット13内で随時行われる。また、双方のエンジン吸気系2内の圧力をセンサで測定して検出するようにしてもよいし、逆に双方とも推定して検出するようにしてもよい。
車両には、上記エンジンコントロールユニット13を始めとする種々のコントロールユニットが搭載されている。これらのコントロールユニットは、何れも、マイクロコンピュータのようなコンピュータシステムを搭載して構成される。これらのコンピュータシステムは、周知のコンピュータシステムと同様に、高度な演算処理機能を有する演算処理装置に加え、例えばプログラムを記憶する記憶装置や、センサ信号を読込んだり、他のコントロールユニットと相互通信を行ったりするための入出力装置を備えて構成される。なお、この実施の形態のエンジンコントロールユニット13は、複数の処理(タスク)を並行して実行可能なコンピュータシステムを搭載している。
図3は、キャニスタパージ制御を行うために、エンジンコントロールユニット13で実行される演算処理の一例を示すフローチャートである。なお、燃料噴射量制御は、図示以外の別の処理で行われる。この演算処理は、例えばエンジン冷却液の温度がエンジン1の暖機完了後の温度相当であるといったキャニスタパージ制御条件成立で開始され、まずステップS1で、上記インテークマニホールド内デフォルト圧PI0及びコンプレッサ前デフォルト圧PC0を読込む。
次にステップS2に移行して、ステップS1で読込まれたインテークマニホールド内デフォルト圧PI0に後述するインテークマニホールド圧用補正量ΔPを加えてインテークマニホールド内圧Pを算出する。
次にステップS3に移行して、ステップS1で読込まれたコンプレッサ前デフォルト圧PC0に後述するコンプレッサ圧用補正量ΔPを加えてコンプレッサ前圧Pを算出する。
次にステップS4に移行して、ステップS2で算出されたインテークマニホールド内圧PがステップS3で算出されたコンプレッサ前圧Pより小さいか否かを判定し、インテークマニホールド内圧Pがコンプレッサ前圧Pより小さい場合にはステップS5に移行し、そうでない場合にはステップS11に移行する。
上記ステップS5では、図示しない個別の演算処理を起動して、上記エンジン側経路用デューティ比でのパージ制御弁11の開弁制御を開始する。
次にステップS6に移行して、上記エンジン側経路用応答遅れを伴う燃料噴射量補正係数(マップ)を選択し、それを個別の燃料噴射制御のための演算処理に指示する。
次にステップS7に移行して、上記エンジン側経路用応答遅れを伴う燃料噴射量補正係数(マップ)による燃料噴射量補正後に上記空燃比センサ27で検出される空燃比を例えば所定サンプリング周期毎に読込んで記憶する。
次にステップS8に移行して、上記ステップS7で読込み・記憶した燃料噴射量補正後の空燃比のリーン側変化量が所定値以上且つ所定時間以上、すなわち所定量以上であるか否かを判定し、空燃比のリーン側変化量が所定量以上である場合にはステップS9に移行し、そうでない場合には演算処理を終了する。
ステップS9では、インテークマニホールド圧用補正量ΔPを所定値ΔPI0だけ増大補正する。
次にステップS10に移行して、図示しない個別の演算処理を起動して、現在行われている上記エンジン側経路用デューティ比でのパージ制御弁11の開弁制御を上記コンプレッサ側経路用デューティ比でのパージ制御弁11の開弁制御に変更してから演算処理を終了する。
一方、上記ステップS11では、図示しない個別の演算処理を起動して、上記コンプレッサ側経路用デューティ比でのパージ制御弁11の開弁制御を開始する。
次にステップS12に移行して、上記コンプレッサ側経路用応答遅れを伴う燃料噴射量補正係数(マップ)を選択し、それを個別の燃料噴射制御のための演算処理に指示する。
次にステップS13に移行して、上記コンプレッサ側経路用応答遅れを伴う燃料噴射量補正係数(マップ)による燃料噴射量補正前に上記空燃比センサ27で検出される空燃比を例えば所定サンプリング周期毎に読込んで記憶する。
次にステップS14に移行して、上記ステップS13で読込み・記憶した燃料噴射量補正前の空燃比のリッチ側変化量が所定値以上且つ所定時間以上、すなわち所定量以上であるか否かを判定し、空燃比のリッチ側変化量が所定量以上である場合にはステップS15に移行し、そうでない場合には演算処理を終了する。
ステップS15では、コンプレッサ圧用補正量ΔPを所定値ΔPC0だけ増大補正する。
次にステップS16に移行して、図示しない個別の演算処理を起動して、現在行われている上記コンプレッサ側経路用デューティ比でのパージ制御弁11の開弁制御を上記エンジン側経路用デューティ比でのパージ制御弁11の開弁制御に変更してから演算処理を終了する。
この演算処理によれば、インテークマニホールド内デフォルト圧PI0にインテークマニホールド圧用補正量ΔPを加えてインテークマニホールド内圧Pを算出すると共に、コンプレッサ前デフォルト圧PC0にコンプレッサ圧用補正量ΔPを加えてコンプレッサ前圧Pを算出し、インテークマニホールド内圧Pとコンプレッサ前圧Pの何れが小さいかを判定する。その結果、インテークマニホールド内圧Pがコンプレッサ前圧Pより小さい場合にはエンジン側経路用デューティ比を用いてパージ制御弁11の開弁制御を開始すると共に、エンジン側経路用応答遅れを伴う燃料噴射量補正係数(制御マップ)を選択し、燃料噴射量制御の演算処理に指示する。すなわち、演算処理ステップとしては明示していないが、この場合には、パージガスはエンジン側経路10aを通ってエンジン吸気系2に供給されていると判定している。しかしながら、このパージ制御中、燃料噴射量の補正後の排ガス中の空燃比のリーン側への変化量が所定量以上である場合には、後述するように、実際にはパージガスはコンプレッサ側経路10bを通ってエンジン吸気系2に供給されていると考えられる。そこで、上記パージガスの供給経路を判定するためのインテークマニホールド圧用補正量ΔPを所定値ΔPI0だけ増加補正する。したがって、これ以後、インテークマニホールド内圧Pは所定値ΔPI0だけ大きくなることから、パージガスの供給経路がエンジン側経路10aであるとは判定されにくくなる。すなわち、エンジン側経路用応答遅れを伴う燃料噴射量補正係数(制御マップ)が選択されにくくなるように、インテークマニホールド内圧Pを補正学習する。また、パージガスの供給経路をエンジン側経路10aと誤判定した場合には、パージ制御弁11の開弁制御のデューティ比をコンプレッサ側経路用デューティ比に変更する。
一方、コンプレッサ前圧Pがインテークマニホールド内圧Pより小さい場合にはコンプレッサ側経路用デューティ比を用いてパージ制御弁11の開弁制御を開始すると共に、コンプレッサ側経路用応答遅れを伴う燃料噴射量補正係数(制御マップ)を選択し、燃料噴射量制御の演算処理に指示する。すなわち、演算処理ステップとしては明示していないが、この場合には、パージガスはコンプレッサ側経路10bを通ってエンジン吸気系2に供給されていると判定している。しかしながら、このパージ制御中、燃料噴射量の補正前の排ガス中の空燃比のリッチ側への変化量が所定量以上である場合には、後述するように、実際にはパージガスはエンジン側経路10aを通ってエンジン吸気系2に供給されていると考えられる。そこで、上記パージガスの供給経路を判定するためのコンプレッサ圧用補正量ΔPを所定値ΔPC0だけ増加補正する。したがって、これ以後、コンプレッサ前圧Pは所定値ΔPC0だけ大きくなることから、パージガスの供給経路がコンプレッサ側経路10bであるとは判定されにくくなる。すなわち、コンプレッサ側経路用応答遅れを伴う燃料噴射量補正係数(制御マップ)が選択されにくくなるように、コンプレッサ前圧Pを補正学習する。また、パージガスの供給経路をコンプレッサ側経路10bと誤判定した場合には、パージ制御弁11の開弁制御のデューティ比をエンジン側経路用デューティ比に変更する。
図4は、実際にはパージガスがコンプレッサ側経路10bを通ってエンジン吸気系2に供給されているのに、エンジン側経路10aを通ってエンジン吸気系2に供給されていると誤判定した場合の空燃比のタイミングチャートである。パージガスの供給経路をエンジン側経路10aであると判定した(判定するステップそのものはない)場合は、図2(A)に示すように、燃料噴射量補正係数の応答遅れが小さい。しかし、実際にはパージガスは供給経路の長いコンプレッサ側経路10bを通って供給されるので、燃料噴射量補正係数が低減された後、すなわち燃料噴射量が低減された後に燃焼室5に到達する。その結果、燃料噴射量が低減されてから実際にパージガスが燃焼室5に流れ込むまでの間、排ガス中の空燃比はリーン(図では薄)側に変化する。この排ガス中の空燃比のリーン側への変化に応じて、インジェクタ6からの燃料噴射量制御では、空燃比のリーンが是正されるように燃料噴射量を増大補正する。然る後に、パージガスが燃焼室5に到達すると、例えば、今度は排ガス中の空燃比がリッチ(図では濃)側に変化してしまう。したがって、この間、排ガス中の空燃比は、過渡的にストイキに維持できない。
図5は、実際にはパージガスがエンジン側経路10aを通ってエンジン吸気系2に供給されているのに、コンプレッサ側経路10bを通ってエンジン吸気系2に供給されていると誤判定した場合の空燃比のタイミングチャートである。パージガスの供給経路をコンプレッサ側経路10bであると判定した(判定するステップそのものはない)場合は、図2(B)に示すように、燃料噴射量補正係数の応答遅れが大きい。しかし、実際にはパージガスは供給経路の短いコンプレッサ側経路10bを通って供給されるので、燃料噴射量補正係数が低減される前、すなわち燃料噴射量が低減される前に燃焼室5に到達する。その結果、実際にパージガスが燃焼室5に流れ込んでから燃料噴射量が低減されるまでの間、排ガス中の空燃比はリッチ(図では濃)側に変化する。この排ガス中の空燃比のリッチ側への変化に応じて、インジェクタ6からの燃料噴射量制御では、空燃比のリッチが是正されるように燃料噴射量を減少補正する。然る後に、燃料噴射量が低減されると、例えば、今度は排ガス中の空燃比がリーン(図では薄)側に変化してしまう。したがって、この間、排ガス中の空燃比は、過渡的にストイキに維持できない。
図3の演算処理では、燃料噴射量補正後の空燃比のリーン側変化量が所定量以上になるたびに、インテークマニホールド内圧Pを所定値ΔPI0ずつ大きくしていくことで、パージガス供給経路の判定に用いられるインテークマニホールド内圧を是正してパージガス供給経路を誤判定されにくくし、結果として排ガス中の空燃比を所定値に維持することを可能とする。同様に、燃料噴射量補正前の空燃比のリッチ側変化量が所定量以上になるたびに、コンプレッサ前圧Pを所定値ΔPC0ずつ大きくしていくことで、パージガス供給経路の判定に用いられるコンプレッサ前圧を是正してパージガス供給経路を誤判定されにくくし、結果として排ガス中の空燃比を所定値に維持することを可能とする。また、パージ制御弁11の弁開度、すなわちパージガス供給流量をパージガス供給経路に応じて変更する場合には、パージガス供給経路の誤判定によって、排ガス中の空燃比の所定値からの乖離が大きくなってしまうおそれもあるが、このようにパージガス供給経路の誤判定を回避することによって、パージガス供給流量も適正なものとすることができる。更には、前述のように、キャニスタ9から発生するパージガス濃度を排ガス中の空燃比から補正学習する場合にも、パージガス供給経路の誤判定を回避することによって、パージガス濃度を適正な値に維持することができる。
このように、この実施の形態のキャニスタパージ制御装置では、エンジン側経路10aに応じた燃料噴射量補正係数(低減量)の応答遅れとコンプレッサ側経路10bに応じた燃料噴射量補正係数(低減量)の応答遅れが異なる場合に、エンジンコントロールユニット13で推定検出されたインテークマニホールド内圧と圧力センサ26で測定検出されたコンプレッサ前圧に基づいて燃料噴射量補正係数が誤って選択されると、燃料噴射量の補正前後に検出された排ガス中の空燃比がリーン側又はリッチ側に所定量以上異なる。そこで、それぞれの場合に応じて、燃料噴射量補正係数の選択に用いられるエンジン吸気系2内の圧力を、燃料噴射量補正係数が選択されないように補正学習することで、排ガス中の空燃比の所定値からの乖離を次第に小さくすることが可能となり、結果的には、排ガス中の空燃比が所定値から乖離するのを抑制することができる。
また、ターボチャージャ4のコンプレッサ4aよりも吸気下流側のエンジン吸気系2として、インテークマニホールド7にパージガスを供給するエンジン側経路10aは、コンプレッサ4aよりも吸気上流側にパージガスを供給するコンプレッサ側経路10bよりもパージガスの供給経路長が小さく、エンジン側経路10aに応じた燃料噴射量補正係数の応答遅れも小さく設定される。このエンジン側経路10aに応じた燃料噴射量補正係数が選択され且つその燃料噴射量補正係数を伴う燃料噴射量の補正後の空燃比がリーン側に大きく変化する場合、実際のパージガスはコンプレッサ側経路10bを通ってエンジン吸気系2に供給されていると判断される。そこで、エンジン側経路10aに応じた燃料噴射量補正係数が選択されないように、圧力センサ26で測定検出されるインテークマニホールド内圧が所定値だけ大きくなるように補正学習を行うことで、排ガス中の空燃比が所定値から乖離するのを正確に抑制することができる。
また、ターボチャージャ4のコンプレッサ4aよりも吸気上流側でエンジン吸気系2にパージガスを供給するコンプレッサ側経路10bは、コンプレッサ4aの吸気下流側として、インテークマニホールド7にパージガスを供給するエンジン側経路10aよりもパージガスの供給経路長が大きく、コンプレッサ側経路10bに応じた燃料噴射量補正係数の応答遅れも大きく設定される。このコンプレッサ側経路10bに応じた燃料噴射量補正係数が選択され且つその燃料噴射量補正係数を伴う燃料噴射量の補正前の空燃比がリッチ側に大きく変化する場合、実際のパージガスはエンジン側経路10aを通ってエンジン吸気系2に供給されていると判断される。そこで、コンプレッサ側経路10bに応じた燃料噴射量補正係数が選択されないように、エンジンコントロールユニット13で推定検出されるコンプレッサ前圧が所定値だけ大きくなるように補正学習を行うことで、排ガス中の空燃比が所定値から乖離するのを正確に抑制することができる。
また、圧力センサ26で測定検出されたインテークマニホールド内圧及びエンジンコントロールユニット13で推定検出されたコンプレッサ前圧の何れか小さい方のエンジン側経路10aに応じた弁開度又はコンプレッサ側経路10bに応じた弁開度が選択され、その選択された弁開度が達成されるようにパージ制御弁11が開弁制御される。その際、前述のように、応答遅れの異なる供給経路を通ってパージガスがエンジン吸気系2に供給された場合、燃料噴射量補正前後の排ガス中の空燃比がリーン側又はリッチ側に大きく変化する。そこで、それぞれの場合に応じて、選択された経路の弁開度と異なる経路の弁回路に変更し、その変更された弁開度でパージ制御弁11を開弁制御することで、排ガス中の空燃比が所定値から乖離するのを抑制することができる。
以上、実施の形態に係るキャニスタパージ制御装置について説明したが、本件発明は、上記実施の形態で述べた構成に限定されるものではなく、本件発明の要旨の範囲内で種々変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、誤判定されたパージガスの供給経路を選択されにくくするために、検出された2か所のエンジン吸気系内の圧力の何れか小さい方を所定値だけ大きく補正学習したが、同じ目的で、検出された2か所の検出された2か所のエンジン吸気系内の圧力の何れか大きい方を所定値だけ小さく補正学習してもよい。
また、上記実施の形態では、燃料噴射量補正の前に排ガス中の空燃比がリッチ側に変化した場合と燃料噴射量補正の後に排ガス中の空燃比がリーン側に変化した場合の双方で、検出された2か所のエンジン吸気系内の圧力を補正学習したが、何れか一方の場合のみで該当するエンジン吸気系の圧力のみを補正学習するようにしても、本件発明の目的は達成可能である。
また、キャニスタパージ制御中の燃料噴射量の低減補正は、燃料噴射量補正係数に代えて、燃料噴射量の低減量を数値的に決定して行うようにしてもよい。
1 エンジン
2 エンジン吸気系
4 ターボチャージャ
4a コンプレッサ
5 燃焼室
6 インジェクタ(燃料噴射装置)
8 燃料タンク
9 キャニスタ
10 パージガス通路
10a エンジン側経路
10b コンプレッサ側経路
11 パージ制御弁
13 エンジンコントロールユニット(制御手段、コンプレッサ側吸気圧力検出手段)
26 圧力センサ(エンジン側吸気圧力検出手段)
27 空燃比センサ

Claims (4)

  1. ターボチャージャを備えたエンジンと、前記エンジンの燃料を貯留する燃料タンクと、前記燃料タンク内の燃料蒸発ガスを吸着するキャニスタと、エンジン吸気系及び前記キャニスタを連通するパージガス通路と、前記パージガス通路を開閉するパージ制御弁と、前記パージ制御弁を開弁制御する制御手段とを備え、前記パージガス通路は、前記ターボチャージャのコンプレッサよりも吸気下流側で前記エンジン吸気系及び前記キャニスタを連通するエンジン側経路と、前記コンプレッサよりも吸気上流側で前記エンジン吸気系及び前記キャニスタを連通するコンプレッサ側経路とを有するキャニスタパージ制御装置において、
    前記エンジン吸気系又は前記エンジンの燃焼室に前記燃料を噴射する燃料噴射装置と、
    前記エンジンの燃焼室からの排ガスの空燃比を検出する空燃比センサと、
    前記コンプレッサよりも吸気下流側で前記エンジン吸気系内の圧力を測定又は推定して検出するエンジン側吸気圧力検出手段と、
    前記コンプレッサよりも吸気上流側で前記エンジン吸気系内の圧力を測定又は推定して検出するコンプレッサ側吸気圧力検出手段とを備え、
    前記制御手段は、前記エンジン側吸気圧力検出手段で検出された圧力が前記コンプレッサ側吸気圧力検出手段で検出された圧力よりも小さい場合に前記エンジン側経路に応じた応答遅れを伴う燃料噴射量低減量を選択し、前記コンプレッサ側吸気圧力検出手段で検出された圧力が前記エンジン側吸気圧力検出手段で検出された圧力よりも小さい場合に前記コンプレッサ側経路に応じた応答遅れを伴う燃料噴射量低減量を選択し、それぞれ選択された前記燃料噴射量低減量で前記燃料噴射装置から噴射する燃料噴射量を補正する燃料噴射量補正手段と、
    前記燃料噴射量低減量による前記燃料噴射装置からの燃料噴射量の補正の前及び後の少なくとも一方にて前記空燃比センサで検出された空燃比のリーン側又はリッチ側への変化量が所定量以上である場合に前記エンジン側吸気圧力検出手段で検出された圧力及び前記コンプレッサ側吸気圧力検出手段で検出された圧力の何れか一方を補正学習する吸気圧力補正学習手段とを備えたことを特徴とするキャニスタパージ制御装置。
  2. 前記吸気圧力補正学習手段は、
    前記エンジン側経路に応じた応答遅れを伴う燃料噴射量低減量が選択され且つ該燃料噴射量低減量による燃料噴射量の補正後の前記空燃比のリーン側への変化量が所定量以上である場合に前記エンジン側吸気圧力検出手段で検出される圧力が所定値だけ大きくなるように又は前記コンプレッサ側吸気圧力検出手段で検出される圧力が所定値だけ小さくなるように補正学習を行うエンジン側吸気圧力補正学習手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のキャニスタパージ制御装置。
  3. 前記吸気圧力補正学習手段は、
    前記コンプレッサ側経路に応じた応答遅れを伴う燃料噴射量低減量が選択され且つ該燃料噴射量低減量による燃料噴射量の補正前の前記空燃比のリッチ側への変化量が所定量以上である場合に前記コンプレッサ側吸気圧力検出手段で検出される圧力が所定値だけ大きくなるように又は前記エンジン側吸気圧力検出手段で検出される圧力が所定値だけ小さくなるように補正学習を行うコンプレッサ側吸気圧力補正学習手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のキャニスタパージ制御装置。
  4. 前記制御手段は、
    前記エンジン側吸気圧力検出手段で検出された圧力が前記コンプレッサ側吸気圧力検出手段で検出された圧力よりも小さい場合に前記エンジン側経路に応じた弁開度を選択し、前記コンプレッサ側吸気圧力検出手段で検出された圧力が前記エンジン側吸気圧力検出手段で検出された圧力よりも小さい場合に前記コンプレッサ側経路に応じた弁開度を選択し、それぞれ選択された前記弁開度で前記パージ制御弁を開弁制御する弁開度設定手段と、
    前記燃料噴射量低減量を伴う前記燃料噴射装置からの燃料噴射量の補正前後に前記空燃比センサで検出された空燃比のリーン側又はリッチ側への変化量が所定量以上である場合に前記弁開度設定手段で選択された前記経路の弁開度と異なる前記経路の弁開度に変更し且つ該変更された弁開度で前記パージ制御弁を開弁制御する弁開度変更手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のキャニスタパージ制御装置。
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