JP7149211B2 - 接着剤、接着剤の製造方法、及びその使用方法 - Google Patents
接着剤、接着剤の製造方法、及びその使用方法 Download PDFInfo
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Description
一方、(メタ)アクリル重合体は、強度、透明性、光沢、加工性が長所であり、金属、木、ガラス、陶磁器、及び通常の有機プラスチックに対する接着剤としても使用されている(特許文献4)。
(A)1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン、
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)ヒドロシリル化触媒となる白金族金属系触媒、
(D)重合性(メタ)アクリル化合物、
(E)重合性(メタ)アクリル化合物を重合可能な重合開始剤
を含む、相互侵入高分子網目を形成可能な組成物からなる接着剤を提供する。
前記(A)成分、(B)成分及び(D)成分の含有量が前記特定の範囲であると、この接着剤はより優れた接着性、強度及び柔軟性を有するものとなる。
前記(E)成分が熱重合開始剤であると、この接着剤は強度等の機械的物性がより優れたものとなる。
(A)1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン、
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)ヒドロシリル化触媒となる白金族金属系触媒
をヒドロシリル化させて得たオルガノポリシロキサン架橋物の網目構造に、
(D)重合性(メタ)アクリル化合物と、
(E)重合性(メタ)アクリル化合物を重合可能な重合開始剤
を含む、相互侵入高分子網目を形成可能な組成物からなる接着剤を提供する。
この接着剤がシート状であると、この接着剤を被着体に貼り合わせられる。
(A)1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン、
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)ヒドロシリル化触媒となる白金族金属系触媒
をヒドロシリル化させてオルガノポリシロキサン架橋物の網目構造を得る工程と、
前記架橋物の網目構造に、
(D)重合性(メタ)アクリル化合物と、
(E)重合性(メタ)アクリル化合物を重合可能な重合開始剤
を含浸させる工程とを含む、相互侵入高分子網目を形成可能な組成物からなる接着剤の製造方法を提供する。
前記オルガノポリシロキサン架橋物をシート状とすると、被着体に貼り合わせられる接着剤を製造できる。
前記(A)成分、(B)成分及び(D)成分の含有量を前記特定の範囲とすると、より優れた接着性、強度及び柔軟性を有する接着剤を製造できる。
前記(A)成分~(E)成分を含む、相互侵入高分子網目を形成可能な組成物からなる接着剤を被着体に塗布する工程、
前記(D)成分を未硬化状態に維持できる温度で加熱し、前記(A)成分~(C)成分をヒドロシリル化させてオルガノポリシロキサン架橋物の網目構造を形成する工程、
その後、前記(D)成分を重合して接着性を発現させる工程を含む接着剤の使用方法を提供する。
前記(A)成分~(C)成分をヒドロシリル化させて得たオルガノポリシロキサン架橋物の網目構造に前記(D)成分と(E)成分を含む、相互侵入高分子網目を形成可能な組成物からなる接着剤を被着体に貼り合わせる工程、
前記(D)成分を重合して接着性を発現させる工程を含む接着剤の使用方法を提供する。
下記(A)~(E)成分、
(A)1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン、
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)ヒドロシリル化触媒となる白金族金属系触媒、
(D)重合性(メタ)アクリル化合物、
(E)重合性(メタ)アクリル化合物を重合可能な重合開始剤
を含む、相互侵入高分子網目を形成可能な組成物からなる接着剤である。
(A)1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン、
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)ヒドロシリル化触媒となる白金族金属系触媒
をヒドロシリル化させて得たオルガノポリシロキサン架橋物の網目構造に、
(D)重合性(メタ)アクリル化合物と、
(E)重合性(メタ)アクリル化合物を重合可能な重合開始剤
を含む、相互侵入高分子網目を形成可能な組成物からなる接着剤である。
(A)1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン、
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)ヒドロシリル化触媒となる白金族金属系触媒
をヒドロシリル化させてオルガノポリシロキサン架橋物の網目構造を得る工程と、
前記架橋物の網目構造に、
(D)重合性(メタ)アクリル化合物と、
(E)重合性(メタ)アクリル化合物を重合可能な重合開始剤
を含浸させる工程とを含む、相互侵入高分子網目を形成可能な組成物からなる接着剤の製造方法である。
(A)成分は、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンであり、例えば下記一般式(1)で表される。
MdMV eDfDV gThTV iQj (1)
(式中、MはR3SiO1/2、MVはR2KSiO1/2、DはR2SiO2/2、DVはRKSiO2/2、TはRSiO3/2、TVはKSiO3/2、QはSiO4/2であり、Rはそれぞれ独立に、脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1~12の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、Kは-(CH2)L-CH=CH2(Lは好ましくは0~6の整数)で表されるアルケニル基である。d、e、g、iはそれぞれ独立に0以上の整数で、e、g、iが同時に0になることはなく、かつ、2≦e+g+i≦500であることが好ましい。fは10~1,000の整数、hは0~20の整数、jは0~10の整数であることが好ましい。)
hは好ましくは0~20の整数、より好ましくは0~10の整数であり、jは好ましくは0~10の整数、より好ましくは0~5の整数である。
構造式で表すと、MV 2Df、M2DfDV g、MV 3DfT1、MV 4DfT2、MV 2DfDV g、MV 2DfQ1、MαDfDV gTV i(M、MV、D、DV、T、TV、Q、f、g、iは上記と同じ。以下同様。)等を挙げることができる。さらに具体的な構造例としては、MV 2D100、M2D97DV 3、M2D26DV 4、M2D96DV 4、M2D95DV 5、MV 3D100T1、MV 4D100T2、MV 2D97DV 1、MV 2D95DV 3、M3D93DV 3TV 1、MV 2D200、MV 2D1000、M2D900DV 20等を挙げることができる。
(B)成分は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、例えば下記一般式(2)で表される、1分子中にSiH基を少なくとも2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
MmMH nDoDH pTqTH rQs (2)
(式中、M、D、T、Qは上記の通り、MHはR2HSiO1/2、DHはRHSiO2/2、THはHSiO3/2であり、Rは上記の通りである。m、n、o、qはそれぞれ独立に0以上の整数である。pは2~100の整数、rは0~10の整数、sは0~10の整数、2≦n+p+r≦100であることが好ましい。)
この(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基と(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンのアルケニル基とのヒドロシリル化反応(触媒は後述する(C)成分)により、オルガノポリシロキサン架橋物が形成される。
また、(B)成分のSiH基含有量としては、1.0×10-5~3.5×10-2mol/gが好ましく、より好ましくは1.0×10-4~2.5×10-2mol/gであり、さらに好ましくは2.0×10-4~2.0×10-2mol/gである。SiH基含有量が1.0×10-5~3.5×10-2mol/gであると、オルガノポリシロキサンのヒドロシリル化時の硬化性が良く、形成する相互侵入高分子網目の機械強度も良くなる。
構造式で表すと、MH 2Do、M2DH p、M2DoDH p、MH 2DoDH p、MH 3DoT1、MH 4DoT2、MmDoDH pTH r(M、MH、D、DH、T、TH、Q、m、o、p、rは上記と同じ。以下同様。)等を挙げることができる。さらに具体的な構造例としては、MH 2D10、MH 2D100、M2D27DH 3、M2D97DH 3、M2D26DH 4、M2D25DH 5、M2D24DH 6、M2D96DH 4、M2D95DH 5、MH 3D100T1、MH 4D100T2、MH 2D97DH 1、MH 2D95DH 3、M3D93DH 3TH 1等を挙げることができる。
(C)成分は、ヒドロシリル化触媒となる白金族金属系触媒であり、公知のものを使用できる。例えば、白金系、パラジウム系、ロジウム系、ルテニウム系等の触媒が挙げられ、これらの中で特に白金系触媒が好ましく用いられる。この白金系触媒としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液又はアルデヒド溶液、塩化白金酸の各種オレフィン又はビニルシロキサンとの錯体、白金と各種オレフィン又はビニルシロキサンとの錯体等が挙げられる。
(D)成分は、重合性(メタ)アクリル化合物であり、一種単独で用いても二種以上を併用しても良い。また、一分子中の(メタ)アクリル基の数は1つでも2つ以上でも良いが、重量平均分子量が72~1,000であり、下記式(3)で表されるものであることが好ましい。
(CH2=CR1COY)aZ (3)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、Yは酸素原子又はNR2(R2は水素原子又はR)であり、ここで、Rは脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1~12の非置換又は置換の一価炭化水素基である。aは1~4の整数であり、好ましくは1~3の整数である。Zは1~4価の有機基である。)
aが3の場合、Zは(-CH2)3CR(Rは上記と同様)等の炭素原子数2~12の3価の基であることが好ましい。
ここで、炭素原子数1~30のアルキレン基は、好ましくは炭素原子数1~20、より好ましくは炭素原子数1~10のアルキレン基であり、具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、n-ブチレン、イソブチレン、s-ブチレン、n-オクチレン、2-エチルヘキシレン、n-デシレン、n-ウンデシレン、n-ドデシレン、n-トリデシレン、n-テトラデシレン、n-ペンタデシレン、n-ヘキサデシレン、n-ヘプタデシレン、n-オクタデシレン、n-ノナデシレン、n-エイコサニレン基、1,4-シクロへキシレン基、トリシクロデカンジメチレン基等が挙げられる。
また、上記炭素原子数2又は3のオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基等が挙げられ、上記炭素原子数4~20のポリオキシアルキレン基としてはポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基等が挙げられる。
例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基、デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、ネオデシル基、シクロデシル基、ラウリル基、ステアリル基、べヘニル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基などや、これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子あるいはヒドロキシ基などで置換されたもの等が挙げられる。
2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸、ブチルアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、メタアクリル酸、イソデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、ラウリルアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、プロピルヘプチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、ウレイドメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2-メタクリロイロキシエチルコハク酸、トリフロロエチルメタクリレート。
テトラエチレングリコールジアクリレート、ノナエチレングリコールジアクリレート、テトラデカニルエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ヘプタプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ノナエチレングリコールジメタクリレート、テトラデカニルエチレングリコールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ヘプタプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート。
(D)成分の配合量は、(A)、(B)、(D)成分の合計を100質量部とした際、好ましくは(A)成分と(B)成分の合計が80~20質量部に対し、(D)成分が20~80質量部、より好ましくは(A)成分と(B)成分の合計が70~40質量部に対し(D)成分は30~60質量部である。更に好ましくは(A)成分と(B)成分の合計が70~50質量部に対し(D)成分は30~50質量部となる量である。(A)成分と(B)成分の合計が80~20質量部に対し、(D)成分の配合量が20~80質量部であると、形成する相互侵入高分子網目の機械強度が良くなり、接着力も高くなる。
(E)重合性(メタ)アクリル化合物を重合可能な重合開始剤は、熱又は光照射により分解し、ラジカルを発生する化合物である。発生したラジカルにより(メタ)アクリル基が重合する。
ラジカル開始剤は、公知のものが使用可能で、例えば、有機過酸化物、ジハロゲン、アゾ化合物、レドックス触媒、トリエチルボラン、ジエチル亜鉛、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、分子内水素引き抜き型光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤、複数の光重合開始剤のブレンド等が挙げられ、アゾ化合物とアルキルフェノン系光重合開始剤が好ましい。
アルキルフェノン系光重合開始剤としては、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(Irgacure 651)、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(Irgacure 184)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(Irgacure 1173)等(いずれもBASF製)が好ましい。
使用する(D)重合性(メタ)アクリル化合物の種類により、適する(E)成分は異なるが、形成される相互侵入高分子網目の機械的物性(強度等)の観点から、熱重合開始剤の方が好ましい。
本発明の接着剤には、その他の成分を必要に応じて添加することができる。なお、各種任意成分は、一種単独で用いても二種以上を併用しても良い。
ポリマーブレンドの一種である相互侵入高分子網目は、一方の樹脂の架橋物の網目の中を他の樹脂鎖が通る構造を持つものであり、この構造により相溶性が悪い樹脂同士でも分離しにくくなる。一般に、相互侵入高分子網目は、第一の樹脂となる成分と第二の樹脂となる成分を混合して、第一の樹脂となる成分を重合させて第一の網目構造を作り、次いで第二の樹脂となる成分を重合させる、あるいは、第一の樹脂に第二の樹脂となる成分を含浸させ、第二の樹脂となる成分を重合させることにより作製できる。
本発明では、オルガノポリシロキサン架橋物が第一の樹脂であり、(A)成分~(C)成分が第一の樹脂となる成分である。また、(D)成分と(E)成分が第二の樹脂となる成分である。
本発明の相互侵入高分子網目を形成可能な組成物からなる接着剤を使用する場合、以下に示すi)、ii)、iii)の方法等が挙げられる。
i)上記(A)~(E)成分、及び必要に応じてその他任意成分を混合した組成物を被着体に塗布し、上から別の被着体を貼り合わせ、該組成物中の(D)成分の硬化が進行せず(未硬化状態を維持できる)、かつ(A)成分~(C)成分がヒドロシリル化できる温度で加熱することにより(A)成分、(B)成分を架橋させて第一の網目構造を作る。次いで、前記ヒドロシリル化時の温度より高い温度で加熱あるいは紫外線や電子線等のエネルギー線の照射によって(D)成分を重合する事で、第二の樹脂となる成分である(D)成分の硬化時に接着性を発現させる方法。なお、金属など光を透過しない被着体の場合は、(D)成分の重合は加熱硬化に限定する。
上記i)~iii)の方法を用いると、オルガノポリシロキサン架橋物の網目の中を(メタ)アクリル重合体鎖が通りやすくなり、頑強で接着力が良好な相互侵入高分子網目を形成可能な組成物からなる接着剤を使用できる。特にはi)の使用方法が好ましい。
(D)成分を加熱重合させる条件としては、被着体が変形、溶融、変質しない温度、硬化時間で行うことが好ましい。被着体等の種類にもよるが加熱重合の場合は50~180℃、特に70~150℃で、10分~8時間、特には30分~4時間加熱することが好ましい。
エネルギー線照射量は、使用する光重合開始剤の種類や量により異なるが、光重合開始剤が活性化するのに十分な量であればよく、20~300mW/cm2、特に50~150mW/cm2の紫外線強度を40秒~10分、特に30秒~7.5分程度照射することが好ましい。
なお、上記ラジカル重合反応は窒素雰囲気下で行うのが好ましいが、被着体で挟む場合はその限りではない。必要であれば加熱重合及び光重合の併用も可能である。
(A)メチルビニルポリシロキサン(1)
分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖され、両末端以外は全てジメチルシロキシ単位からなる、ビニル価が1.3×10-4mol/g、重量平均分子量が15,000の下記式で示されるポリシロキサン。
{(CH2=CH)(CH3)2SiO1/2}2{(CH3)2SiO}200
分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、主鎖が(CH3)HSiO単位と(CH3)2SiO単位からなり、SiH基含有量が1.0×10-3mol/g、重量平均分子量が6,500である下記式で示されるメチルハイドロジェンポリシロキサン。
{(CH3)3SiO1/2}2{(CH3)HSiO}6{(CH3)2SiO}80
分子鎖両末端が(メタ)アクリロイルジメチルシロキシ基で封鎖され、両末端以外は全てジメチルシロキシ単位からなる、(メタ)アクリル基含有量が1.1×10-3mol/g、重量平均分子量が1,850の下記式で示されるポリシロキサン。
[{CH2=C(CH3)COOC3H6}(CH3)2SiO1/2]2{(CH3)2SiO}20
表1に示したように、(A)成分~(E)成分及び反応制御剤として1,1-ジメチルプロピニルオキシトリメチルシランを混合して得た組成物を、アルミニウム板(JIS H 4000 A1050P)上に、バーコーターNo.44(第一理科株式会社製)を用いて100μm厚となるように塗布した。次いで、60℃で1時間加熱して、ヒドロシリル化により(A)成分、(B)成分を架橋させ、さらに窒素雰囲気下で、80℃で1.5時間加熱して(D)成分を重合させることにより、アルミニウム板上にオルガノポリシロキサンと(メタ)アクリル重合体との相互侵入高分子網目を形成した。
表1に示したように、(A)成分~(E)成分及び反応制御剤として1,1-ジメチルプロピニルオキシトリメチルシランを混合して得た組成物を、実施例1と同様に塗布した。次いで、60℃で1時間加熱してヒドロシリル化により(A)成分、(B)成分を架橋させ、さらに塗膜に窒素雰囲気下で紫外線を6000mJ/cm2(100mW/cm2,60秒間)のエネルギー密度で照射して(D)成分を重合させることにより、アルミニウム板上にオルガノポリシロキサンと(メタ)アクリル重合体との相互侵入高分子網目を形成した。
表1に示したように、(A)成分~(C)成分及び反応制御剤として1,1-ジメチルプロピニルオキシトリメチルシランを混合して得た組成物を、実施例1と同様に塗布、加熱して、アルミニウム板上にオルガノポリシロキサン架橋物を形成した。
表1に示したように、(A)成分~(C)成分、反応制御剤として1,1-ジメチルプロピニルオキシトリメチルシラン、及び接着助剤としてトリメトキシシラン(3)を混合して得た組成物を、実施例1と同様に塗布、加熱して、アルミニウム板上にオルガノポリシロキサン架橋物を形成した。
表1に示したように、(D)成分、(E)成分を混合して得た組成物を、実施例1と同様に塗布、加熱して、アルミニウム板上に(メタ)アクリル重合体を形成した。
表1に示したように、(D)成分、(E)成分を混合して得た組成物を、実施例1と同様に塗布し、次いで塗膜に窒素雰囲気下で紫外線を6000mJ/cm2(100mW/cm2、60秒間)のエネルギー密度で照射して(D)成分を重合させることにより、アルミニウム板上に(メタ)アクリル重合体を形成した。
表1に示したように、(D)成分、(E)成分、及び(メタ)アクリル基含有メチルポリシロキサン(4)を混合して得た組成物を、実施例1と同様に塗布、加熱して、アルミニウム板上にポリシロキサンと(メタ)アクリルの共重合体を形成した。
上記の方法で得たサンプルについて、JIS5600に従い、カッターナイフで25マスの碁盤目状の切れ込みを入れて、セロハンテープによる剥離試験を行い、塗布膜の剥がれの状態を目視で観察し、下記の基準により評価した。
評価基準
分類0:カットの線の縁が滑らかで、はがれがない。
分類1:カットの線の交差点において小さなはがれがある。クロスカット部分で影響を受けるのは明確に10%を上回らない。
分類2:カットの線に沿って、交差点においてはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは10%以上、25%未満である。
分類3:塗膜がカットの線に沿って部分的、全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは25%以上、50%未満である。
分類4:塗膜がカットの線に沿って部分的、全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは50%以上である。
表2に示したように、(A)~(E)成分及び反応制御剤として1,1-ジメチルプロピニルオキシトリメチルシランを混合して得た組成物を、深さが2mm、面積が15cm×20cmのフッ素コートされた金型枠の中に流し入れ、60℃で1時間加熱してヒドロシリル化により(A)、(B)成分を架橋させ、未硬化の(D)、(E)成分を含有する相互侵入高分子網目を形成可能なオルガノポリシロキサン架橋物の2mm厚のシートを形成した。
表2に示したように、(A)~(C)成分及び反応制御剤として1,1-ジメチルプロピニルオキシトリメチルシランを混合して得た組成物を、実施例4と同様に加熱成型して、オルガノポリシロキサン架橋物の2mm厚のシートを形成した。
表2に示したように、(D)、(E)成分を混合して得た組成物を、実施例4と同様の金型枠の中に流し入れ、80℃で1時間加熱して(D)成分を重合させることにより、(メタ)アクリル重合体の2mm厚のシートを形成した。
上記の各種2mm厚のシートを25mm×10mmに切り、厚み1mmのアルミニウム板(JIS H 4000 A1050P)2枚の間に、接着面積が25mm×10mmとなるように挟み込んだ状態で固定し、空気中で80℃で1.5時間加熱し、接着試験片を作製した。得られた試験片の引張せん断接着力を、25℃にて、JIS K 6850に従って測定した。
上記の各種2mm厚のシートを、窒素雰囲気下で、80℃で1.5時間加熱した。得られた各種2mm厚のシートの引張強度、切断時伸びを、25℃にて、JIS K 6251に従って測定した。比較例7のシートは脆くダンベル型に加工できなかったため、引張強度及び切断時伸びを測定できなかった。
Claims (10)
- 下記(A)~(E)成分、
(A)1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有する下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン、
M d M V e D f D V g T h T V i Q j (1)
(式中、MはR 3 SiO 1/2 、M V はR 2 KSiO 1/2 、DはR 2 SiO 2/2 、D V はRKSiO 2/2 、TはRSiO 3/2 、T V はKSiO 3/2 、QはSiO 4/2 であり、Rはそれぞれ独立に、脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1~12の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、Kは-(CH 2 ) L -CH=CH 2 (Lは0~6の整数)で表されるアルケニル基である。d、e、g、iはそれぞれ独立に0以上の整数で、e、g、iが同時に0になることはなく、かつ、2≦e+g+i≦500である。fは10~1,000の整数、hは0~20の整数、jは0~10の整数である。)
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分のアルケニル基1molに対してケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)が0.8~3molの範囲となる量
(C)ヒドロシリル化触媒となる白金族金属系触媒、
(D)下記式(3)で表される重合性(メタ)アクリル化合物、
(CH 2 =CR 1 COY) a Z (3)
(式中、R 1 は水素原子又はメチル基であり、Yは酸素原子又はNR 2 (R 2 は水素原子又はR)であり、ここで、Rは脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1~12の非置換又は置換の一価炭化水素基である。aは1~4の整数である。Zは1~4価の有機基である。ただし、aが1の場合、Zはアルケニル基ではない1価の有機基である。)
(E)重合性(メタ)アクリル化合物を重合可能な重合開始剤
を含む、相互侵入高分子網目を形成可能な組成物からなるものであることを特徴とする接着剤。 - 前記(A)成分と(B)成分の合計が80~20質量部で、前記(D)成分が20~80質量部(但し、前記(A)成分、(B)成分及び(D)成分の合計は100質量部である。)であることを特徴とする請求項1に記載の接着剤。
- 前記(E)成分が熱重合開始剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の接着剤。
- (A)1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有する下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン、
M d M V e D f D V g T h T V i Q j (1)
(式中、MはR 3 SiO 1/2 、M V はR 2 KSiO 1/2 、DはR 2 SiO 2/2 、D V はRKSiO 2/2 、TはRSiO 3/2 、T V はKSiO 3/2 、QはSiO 4/2 であり、Rはそれぞれ独立に、脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1~12の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、Kは-(CH 2 ) L -CH=CH 2 (Lは0~6の整数)で表されるアルケニル基である。d、e、g、iはそれぞれ独立に0以上の整数で、e、g、iが同時に0になることはなく、かつ、2≦e+g+i≦500である。fは10~1,000の整数、hは0~20の整数、jは0~10の整数である。)
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分のアルケニル基1molに対してケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)が0.8~3molの範囲となる量、
(C)ヒドロシリル化触媒となる白金族金属系触媒
をヒドロシリル化させて得たオルガノポリシロキサン架橋物の網目構造に、
(D)下記式(3)で表される重合性(メタ)アクリル化合物と、
(CH 2 =CR 1 COY) a Z (3)
(式中、R 1 は水素原子又はメチル基であり、Yは酸素原子又はNR 2 (R 2 は水素原子又はR)であり、ここで、Rは脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1~12の非置換又は置換の一価炭化水素基である。aは1~4の整数である。Zは1~4価の有機基である。ただし、aが1の場合、Zはアルケニル基ではない1価の有機基である。)
(E)重合性(メタ)アクリル化合物を重合可能な重合開始剤
を含む、相互侵入高分子網目を形成可能な組成物からなるものであることを特徴とする接着剤。 - 前記接着剤がシート状であることを特徴とする請求項4に記載の接着剤。
- (A)1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有する下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン、
M d M V e D f D V g T h T V i Q j (1)
(式中、MはR 3 SiO 1/2 、M V はR 2 KSiO 1/2 、DはR 2 SiO 2/2 、D V はRKSiO 2/2 、TはRSiO 3/2 、T V はKSiO 3/2 、QはSiO 4/2 であり、Rはそれぞれ独立に、脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1~12の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、Kは-(CH 2 ) L -CH=CH 2 (Lは0~6の整数)で表されるアルケニル基である。d、e、g、iはそれぞれ独立に0以上の整数で、e、g、iが同時に0になることはなく、かつ、2≦e+g+i≦500である。fは10~1,000の整数、hは0~20の整数、jは0~10の整数である。)
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分のアルケニル基1molに対してケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)が0.8~3molの範囲となる量、
(C)ヒドロシリル化触媒となる白金族金属系触媒
をヒドロシリル化させてオルガノポリシロキサン架橋物の網目構造を得る工程と、
前記架橋物の網目構造に、
(D)下記式(3)で表される重合性(メタ)アクリル化合物と、
(CH 2 =CR 1 COY) a Z (3)
(式中、R 1 は水素原子又はメチル基であり、Yは酸素原子又はNR 2 (R 2 は水素原子又はR)であり、ここで、Rは脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1~12の非置換又は置換の一価炭化水素基である。aは1~4の整数である。Zは1~4価の有機基である。ただし、aが1の場合、Zはアルケニル基ではない1価の有機基である。)
(E)重合性(メタ)アクリル化合物を重合可能な重合開始剤
を含浸させる工程とを含むものであることを特徴とする相互侵入高分子網目を形成可能な組成物からなる接着剤の製造方法。 - 前記オルガノポリシロキサン架橋物をシート状とすることを特徴とする請求項6に記載の接着剤の製造方法。
- 前記(A)成分~(C)成分をヒドロシリル化させて得られるオルガノポリシロキサン架橋物を80~20質量部とし、前記(D)成分を20~80質量部(但し、(A)成分~(C)成分をヒドロシリル化させて得られるオルガノポリシロキサン架橋物と(D)成分の合計は100質量部である。)とすることを特徴とする請求項6又は7に記載の接着剤の製造方法。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の接着剤を被着体に塗布する工程、
前記(D)成分を未硬化状態に維持できる温度で加熱し、前記(A)成分~(C)成分をヒドロシリル化させてオルガノポリシロキサン架橋物の網目構造を形成する工程、
その後、前記(D)成分を重合して接着性を発現させる工程を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の接着剤の使用方法。 - 請求項4又は5に記載の接着剤を被着体に貼り合わせる工程、
前記(D)成分を重合して接着性を発現させる工程を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の接着剤の使用方法。
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