以下、エレベータにおける一実施形態について、図1~図5を参照しながら説明する。なお、各図(図6~図9も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
図1に示すように、エレベータ1は、例えば、人が乗るためのかご2と、かご2に接続されるかごロープ3と、かごロープ3に接続される釣合錘4と、かごロープ3を駆動してかご2を走行させる巻上機5とを備えていてもよい。また、エレベータ1は、例えば、かご2を案内するかごレール6と、釣合錘4を案内する錘レール7と、かご2の走行速度を検出する調速機8と、エレベータ1の各部を制御する処理部9とを備えていてもよい。
本実施形態に係るエレベータ1においては、巻上機5は、昇降路X1内に配置されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、巻上機5は、昇降路X1の上部に設けられる機械室の内部に配置されている、という構成でもよい。
また、本実施形態においては、かごロープ3の両端がそれぞれ昇降路X1の上部又は下部に固定され、かごロープ3がかご2のシーブ2a及び釣合錘4のシーブ4aにそれぞれ巻き掛けられることによって、かごロープ3がかご2及び釣合錘4にそれぞれ接続されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、かごロープ3の一端がかご2に固定され、かごロープ3の他端が釣合錘4に固定されている、という構成でもよい。
巻上機5は、例えば、かごロープ3が巻き掛けられる綱車5aと、綱車5aを回転させる駆動源5bと、綱車5aを制動する制動部5cとを備えていてもよい。また、かご2は、例えば、かごレール6を挟むことによってかご2を停止させる停止部2bと、調速機8の動作を停止部2bへ伝達する伝達部2cとを備えていてもよい。
調速機8は、例えば、かご2に接続される無端環状のガバナロープ8aと、かご2の速度を検出するために、ガバナロープ8aが巻き掛けられるガバナシーブ8bと、ガバナロープ8aに張力を付与する張り車8cと、ガバナロープ8aを把持する把持部8dとを備えていてもよい。そして、例えば、かご2の速度が設定速度を超えた場合に、把持部8dがガバナロープ8aを把持し、ガバナロープ8aの走行が停止されることによって、かご2の停止部2bは、作動する、という構成でもよい。
図2に示すように、エレベータ1は、例えば、昇降路X1と乗場X2~X4とを連通する出入口を開閉する乗場戸10と、かご2を動作させるために操作される乗場操作盤11とを備えていてもよい。なお、図示しないが、乗場操作盤11は、例えば、上昇するかご2を呼び出す指示が入力される上昇呼出入力部と、下降するかご2を呼び出す指示が入力される下降呼出入力部とを備えていてもよい。
そして、エレベータ1は、かご2の内部に、かご2を動作させるために操作されるかご操作盤12を備えていてもよい。なお、図示しないが、かご操作盤12は、かご2の行先の指示が入力される行先入力部と、かご2の戸及び乗場戸10を開ける指示が入力される戸開入力部と、かご2の戸及び乗場戸10を閉める指示が入力される戸閉入力部とを備えていてもよい。
エレベータ1は、昇降路X1内の水位が第1水高さに達することを検出する第1水位検出部13と、昇降路X1内の水位が第2水高さに達することを検出する第2水位検出部14とを備えている。なお、第1水高さは、第2水高さよりも高い。また、例えば、第1水高さは、巻上機5の高さよりも、低いことが好ましい。
各水位検出部13,14の構成は、昇降路X1内の水位を検出できれば、特に限定されない。各水位検出部13,14は、例えば、フロート式センサでもよく、また、例えば、電極棒式センサでもよい。
エレベータ1は、例えば、本実施形態のように、かご2の位置が第1かご高さであることを検出する第1かご検出部15と、かご2の位置が第2かご高さであることを検出する第2かご検出部16とを備えていてもよい。なお、例えば、第1かご高さは、第1水高さよりも高く、第2かご高さは、第1かご高さよりも高い、という構成が好ましい。
エレベータ1は、例えば、本実施形態のように、かご2の位置が第1下限かご高さであることを検出する第1下限かご検出部17と、かご2の位置が第2下限かご高さであることを検出する第2下限かご検出部18とを備えていてもよい。なお、例えば、第2下限かご高さは、第1下限かご高さよりも高い、という構成が好ましい。
そして、第1下限かご高さ及び第2下限かご高さは、第1水高さよりも低い。なお、第1下限かご高さは、例えば、第2水高さよりも高くてもよく、また、例えば、第2水高さよりも低くてもよい。また、第2下限かご高さは、例えば、第2水高さよりも高くてもよく、また、例えば、第2水高さよりも低くてもよい。
各かご検出部15,16,17,18の構成は、かご2の位置を検出できれば、特に限定されない。各かご検出部15,16,17,18は、例えば、接触式センサでもよく、また、例えば、非接触式の光電センサでもよい。
図3に示すように、エレベータ1は、例えば、非常時(例えば、昇降路X1内が浸水した時)に、手動操作によって、かご2の走行を許可する指示が入力される走行許可入力部19を備えていてもよい。なお、走行許可入力部19の構成は、特に、限定されず、例えば、走行許可入力部19は、セレクトスイッチ(切替スイッチ)としてもよい。
また、エレベータ1は、例えば、かご2の積載量を検出する積載量検出部20を備えていてもよい。なお、積載量検出部20の構成は、かご2の積載量を検出できれば、特に限定されない。例えば、釣合錘4が水中に位置した場合(釣合錘4に浮力が働いた場合)でも、積載量を正確に検出するために、積載量検出部20は、かご2に配置される器具(例えば、ロードセル)であることが好ましい。
処理部9は、例えば、各情報を取得する取得部9aと、各情報を記憶する記憶部9bと、各情報を演算する演算部9cと、エレベータ1を制御する制御部9dと、非常時にエレベータ1を制御する非常回路部9eとを備えていてもよい。例えば、制御部9d及び非常回路部9eは、巻上機5を制御することによって、かご2の走行を制御してもよい。
例えば、演算部9c及び制御部9dは、ソフトシーケンス(例えば、プログラマブルロジックコントローラによるプログラム制御)によって構成されていてもよい。また、例えば、非常回路部9eは、ハードシーケンス(リレー等の有接点機器による実配線制御)によって構成されていてもよい。
演算部9c及び制御部9dは、例えば、一つの装置で構成されていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置で構成されていてもよい。具体的には、例えば、1つのコンピュータにおけるプロセッサ、即ち、1つのプロセッサが処理を実行することによって、演算部9c及び制御部9dが実現されている、という構成でもよく、また、例えば、複数のコンピュータにおけるプロセッサ、即ち、複数のプロセッサが分散して処理を実行することによって、演算部9c及び制御部9dが実現されている、という構成でもよい。
なお、処理部9は、CPU及びMPU等のプロセッサ(例えば、演算部9c、制御部9d)、ROM及びRAM等のメモリ(例えば、取得部9a、記憶部9b)、各種インターフェイス(例えば、取得部9a)等を備えるコンピュータであってもよい。そして、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行し、ソフトウェア及びハードウェアが協働することによって、演算部9c及び制御部9dが実現されていてもよい。
本実施形態に係るエレベータ1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るエレベータ1の制御について説明する。なお、エレベータ1の制御は、以下に説明する内容に限定されない。
<正常時運転制御>
まず、第2水位検出部14が水位を検出していない正常時、即ち、昇降路X1内に水が流れ込んでいない正常時には、処理部9は、正常時運転を行い、乗場操作盤11及びかご操作盤12に入力された情報に基づいて、かご2の走行を制御する。なお、正常時運転の走行範囲は、最下階(乗場X2)から最上階までの範囲である。
ところで、特に限定されないが、第2下限かご高さは、例えば、かご2が設定速度以上で下降していることが好ましくない高さに設定されていてもよい。これにより、かご2が設定速度以上で下降し、且つ、第2下限かご検出部18がかご2を検出した場合には、かご2の走行が異常であるため、制御部9dは、走行中のかご2を減速させる。
なお、かご2の速度に関わらず、第2下限かご検出部18が下降中のかご2を検出した場合に、制御部9dは、走行中のかご2を減速させてもよい。また、第2下限かご高さは、例えば、本実施形態のように、最下階(乗場X2)に停止したときのかご2の位置よりも、高くなっていてもよく、また、例えば、低くなっていてもよい。
また、特に限定されないが、第1下限かご高さは、例えば、最下階(乗場X2)に停止したときのかご2の位置よりも、低くなっている。即ち、第1下限かご検出部17がかご2を検出した場合には、かご2は、正常時運転の走行範囲よりも、下方に位置している。
したがって、第1下限かご検出部17がかご2を検出した場合には、かご2の走行がさらに異常であるため、非常回路部9eは、走行中のかご2を停止させる。これにより、かご2が昇降路X1の底に衝突することを抑制することができる。
このように、かご2を減速・停止させる回路が、ソフトシーケンスによる制御部9d及びハードシーケンスによる非常回路部9eの複数設けられているため、かご2の異常走行を確実に減速・停止させることができる。なお、第1下限かご検出部17がかご2を検出した場合には、例えば、本実施形態のように、非常回路部9eは、走行中のかご2を停止させた後に、かご2の走行を休止させる、という構成が好ましい。
本明細書において、「停止」とは、例えば、走行中のかご2が止まることをいい、「休止」とは、例えば、停止した上で、乗場操作盤11及びかご操作盤12に情報が入力された場合でも、かご2が走行しないことをいう。そして、かご2の走行が休止された場合に、非常状態が解消されても、自動復旧することなく、例えば、非常状態が解消されて且つ所定の手動操作を行うことによって、かご2の走行が再び可能となる、という構成としてもよい。
<非常時運転制御>
そして、昇降路X1内に水が入り込み、図4に示すように、水位が第2水高さまで達し、第2水位検出部14が水位を検出した場合に、処理部9は、例えば、走行中のかご2を最寄り階(例えば、乗場X4)に停止させて、かご2の走行を休止させる。そして、走行許可入力部19に、許可の指示が入力された場合に、処理部9は、非常時運転を可能とし、非常時走行範囲に含まれる階(例えば、乗場X4)の乗場操作盤11とかご操作盤12とに入力された情報に基づいて、かご2の走行を制御する。
これにより、例えば、目視点検等により、エレベータ1の各部(例えば、乗場戸10等)に、異常が無く安全が確認できた場合に、走行許可入力部19が手動操作されることによって、非常時運転の安全性を確保することができる。なお、第2水位検出部14が水位を検出した場合に、処理部9は、正常時運転から非常時運転に自動的に切り替える、という構成でもよい。
また、第2水位検出部14が水位を検出することによって、エレベータ1が正常時運転から非常時運転に切り替えられるため、第2水位検出部14は、昇降路X1内の水位が運転を切り替えるための水位に達することを検出する切替水位検出部ともいう。なお、特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、切替水位検出部14は、複数の水位検出部13,14のうち最も低い水位を検出する検出部14としてもよい。
そして、非常時運転においては、処理部9は、第1水高さよりも高い非常時走行範囲で、かご2の走行を可能とする。例えば、非常時運転の走行範囲は、第1水高さよりも高い階(乗場X4。以下、「非常時走行範囲の最下階」ともいう。)から最上階までの範囲とすることができる。
また、処理部9は、非常時運転中のかご2の最高速度を、正常時運転中のかご2の最高速度よりも遅くする。特に限定されないが、例えば、非常時運転中のかご2の最高速度は、正常時運転中のかご2の最高速度の50%以下とすることが好ましい。また、処理部9は、例えば、非常時運転中のかご2の最高加速度を、正常時運転中のかご2の最高加速度よりも遅くする、という構成が好ましい。
なお、非常時運転が可能となった場合に、非常時走行範囲から外れた階(例えば、乗場X2,X3)の乗場操作盤11及び各下限かご検出部17,18の出力信号は、無効になる、という構成が好ましい。これにより、例えば、乗場操作盤11及び下限かご検出部17,18が浸水によって誤検出(例えば、短絡)した出力信号に基づいてかご2が走行及び停止することを抑制することができる。
出力信号が無効となる構成は、特に限定されない。例えば、乗場操作盤11及び下限かご検出部17,18は、処理部9と電気的に接続する電気回路から分離されることによって、乗場操作盤11及び下限かご検出部17,18は、処理部9へ向けて信号を出力しない、という構成でもよく、また、例えば、処理部9は、入力された乗場操作盤11及び下限かご検出部17,18の出力信号を無効にする、という構成でもよい。
一方で、例えば、正常時運転中に無効であった第1及び第2かご検出部15,16の出力信号は、非常時運転が可能となった場合に、有効になる、という構成が好ましい。これにより、正常時運転中に、第1及び第2かご検出部15,16の出力信号に基づいて、予期しない不具合が発生することを抑制することができる。
出力信号が有効となる構成は、特に限定されない。例えば、第1及び第2かご検出部15,16は、処理部9と電気的に接続する電気回路に接続されることによって、処理部9へ向けて信号を出力可能となる、という構成でもよく、また、例えば、処理部9は、入力された第1及び第2かご検出部15,16の出力信号を有効にする、という構成でもよい。
ところで、特に限定されないが、第2かご高さは、例えば、非常時運転のときに、かご2が設定速度以上で下降していることが好ましくない高さに設定されていてもよい。これにより、非常時運転のときに、かご2が設定速度以上で下降し、且つ、図5に示すように、第2かご検出部16がかご2を検出した場合には、かご2の走行が異常であるため、制御部9dは、走行中のかご2を減速させる。
なお、かご2の速度に関わらず、第2かご検出部16が下降中のかご2を検出した場合に、制御部9dは、走行中のかご2を減速させてもよい。また、第2かご高さは、例えば、本実施形態のように、非常時運転の最下階(乗場X4)に停止したときのかご2の位置よりも、高くなっていてもよく、また、例えば、低くなっていてもよい。
また、特に限定されないが、第1かご高さは、例えば、非常時運転の最下階(乗場X4)に停止したときのかご2の位置よりも、低くなっている。即ち、第1かご検出部15がかご2を検出した場合には、かご2は、非常時運転の走行範囲よりも、下方に位置している。
したがって、第1かご検出部15がかご2を検出した場合には、かご2の走行がさらに異常であるため、非常回路部9eは、走行中のかご2を停止させる。これにより、昇降路X1内が浸水した場合に、かご2が水中に突入することを確実に防止することができる。
このように、かご2を減速・停止させる回路が、ソフトシーケンスによる制御部9d及びハードシーケンスによる非常回路部9eの複数設けられているため、かご2の異常走行を確実に減速・停止させることができる。なお、第1かご検出部15がかご2を検出した場合には、例えば、本実施形態のように、非常回路部9eは、走行中のかご2を停止させた後に、かご2の走行を休止させる、という構成が好ましい。
しかも、非常時運転中のかご2の最高速度が遅く設定されているため、かご検出部15,16がかご2を検出した場合に、走行中のかご2が停止するまでに走行する距離は、短くなる。これにより、例えば、昇降路X1内が浸水した場合に、かご2が水中に突入することを確実に防止することができる。
なお、第1かご高さ(第1かご検出部15が検出するかご2の位置)の位置は、第1水高さ(第1水位検出部13が検出する水位)に対して、例えば、加速距離と空走距離と制動距離との合計の距離よりも高いことが好ましい。これにより、例えば、昇降路X1内が浸水した場合に、かご2が水中に突入することを確実に防止することができる。そして、加速距離、空走距離及び制動距離のそれぞれは、非常時運転中のかご2の最大速度、最大加速度、及び積載量(例えば、最大積載、積載ゼロ)により、算出できる。
加速距離とは、第1かご検出部15がかご2を検出した後、処理部9が巻上機5の制御を開始する(例えば、駆動源5b及び制動部5cへの給電を遮断する)までに、かご2が走行する距離である。空走距離とは、処理部9が巻上機5の制御を開始した後、巻上機5の制動部5cがかご2の制動を開始するまでに、かご2が走行する距離である。制動距離とは、制動部5cがかご2の制動を開始した後、かご2が停止するまでに、かご2が走行する距離である。
そして、万が一、昇降路X1内がさらに浸水し、水位が第1水高さまで達し、第1水位検出部13が水位を検出した場合には、処理部9は、例えば、走行中のかご2を最寄りの階に停止させて、かご2の走行を休止させる。これにより、昇降路X1内がさらに浸水した場合に、かご2が水中に突入することを防止することができる。
以上より、本実施形態のように、エレベータ1は、上下方向に走行するかご2と、昇降路X1内の水位を検出する複数の水位検出部13,14と、前記かご2の走行を制御する処理部9と、を備え、前記複数の水位検出部13,14は、前記昇降路X1内の水位が第1水高さに達することを検出する第1水位検出部13と、前記昇降路X1内の水位が前記第1水高さよりも低い第2水高さに達することを検出する第2水位検出部14と、を含み、前記処理部9は、前記第2水位検出部14が水位を検出した場合に、前記第1水高さよりも高い非常時走行範囲で前記かご2の走行を可能とし、前記処理部9は、前記第1水位検出部13が水位を検出した場合に、前記かご2を停止させ、且つ、前記かご2の走行を休止させる、という構成が好ましい。
斯かる構成によれば、第2水位検出部14が水位を検出した場合に、かご2の走行は、第1水高さよりも高い非常時走行範囲で可能となる。そして、万が一、第1水位検出部13が水位を検出した場合には、かご2は、停止し、かご2の走行は、休止する。これにより、昇降路X1内が浸水した場合に、かご2が水中に突入することを防止することができる。
また、本実施形態のように、エレベータ1は、前記かご2の位置が前記第1水高さよりも高い第1かご高さであることを検出する第1かご検出部15をさらに備え、前記処理部9は、前記第2水位検出部14が水位を検出し且つ前記第1かご検出部15が前記かご2を検出した場合に、前記かご2を停止させる、という構成が好ましい。
斯かる構成によれば、第2水位検出部14が水位を検出している状態で、第1かご検出部15がかご2を検出した場合に、かご2は、停止する。これにより、昇降路X1内が浸水した場合に、かご2が水中に突入することを確実に防止することができる。
また、本実施形態のように、エレベータ1においては、前記第1かご高さは、前記かご2が前記非常時走行範囲のうちの最下階に停止したときの前記かご2の位置よりも、低く、前記処理部9は、前記第2水位検出部14が水位を検出し且つ前記第1かご検出部15が前記かご2を検出した場合に、前記かご2を停止させ、且つ、前記かご2の走行を休止させる、という構成が好ましい。
斯かる構成によれば、第1かご検出部15がかご2を検出した場合に、かご2の位置は、かご2が非常時走行範囲のうちの最下階に停止したときのかご2の位置よりも、低くなっている。これにより、第2水位検出部14が水位を検出している状態で、第1かご検出部15がかご2を検出した場合に、かご2は、停止し、しかも、かご2の走行は、休止する。
また、本実施形態のように、エレベータ1は、前記かご2の位置が前記第1かご高さよりも高い第2かご高さであることを検出する第2かご検出部16をさらに備え、前記処理部9は、ソフトシーケンスによる制御部9dと、ハードシーケンスによる非常回路部9eと、を備え、前記制御部9dは、前記第2水位検出部14が水位を検出し且つ前記第2かご検出部16が設定速度以上で下降中の前記かご2を検出した場合に、前記かご2を減速させ、前記非常回路部9eは、前記第2水位検出部14が水位を検出し且つ前記第1かご検出部15が前記かご2を検出した場合に、前記かご2を停止させる、という構成が好ましい。
斯かる構成によれば、第2水位検出部14が水位を検出した状態で、第2かご検出部16が設定速度以上で下降中のかご2を検出した場合に、かご2は、ソフトシーケンスによる制御部9dによって、減速する。また、第2水位検出部14が水位を検出した状態で、第1かご検出部15がかご2を検出した場合に、かご2は、ハードシーケンスによる非常回路部9eによって、停止する。
また、本実施形態のように、エレベータ1においては、前記第2水位検出部14が水位を検出した場合における、前記かご2の最高速度は、前記複数の水位検出部13,14の全てが水位を検出していない場合における、前記かご2の最高速度よりも、遅い、という構成が好ましい。
斯かる構成によれば、第2水位検出部14が水位を検出した場合に、かご2の最高速度は、遅くなっている。これにより、第2水位検出部14が水位を検出した状態で、第1かご検出部15がかご2を検出した場合に、走行中のかご2が停止するまでに走行する距離を、短くすることができる。
なお、エレベータ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
(1)上記実施形態に係るエレベータ1は、一つの非常時走行範囲を備える、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、図6~図8に示すように、エレベータ1は、複数の非常時走行範囲を備え、水位検出部13,14,21の検出に基づいて、非常時走行範囲を切り替える、という構成でもよい。
以下に、図6~図8に係るエレベータ1の構成について説明するが、斯かる構成に限定されない。例えば、非常時走行範囲の数は、特に限定されず、例えば、図6~図8に係るエレベータ1のように、二つである、という構成でもよく、また、例えば、三つ以上である、という構成でもよい。
図6に示すように、複数の水位検出部13,14,21は、昇降路X1内の水位が第1水高さに達することを検出する第1水位検出部13と、昇降路X1内の水位が第1水高さよりも低い第2水高さに達することを検出する第2水位検出部14と、昇降路X1内の水位が第2水高さよりも低い第3水高さに達することを検出する第3水位検出部21とを含んでいる。なお、特に限定されないが、図6においては、正常時運転から非常時運転へ切り替えるための水位を検出する切替水位検出部は、第3水位検出部21としている。
エレベータ1は、かご2の位置が第1かご高さであることを検出する第1かご検出部15と、かご2の位置が第2かご高さであることを検出する第2かご検出部16とを備えている。なお、第1かご高さは、第1水高さよりも高く、第2かご高さは、第1かご高さよりも高い。
また、エレベータ1は、かご2の位置が第1下限かご高さであることを検出する第1下限かご検出部17と、かご2の位置が第2下限かご高さであることを検出する第2下限かご検出部18とを備えている。なお、第2下限かご高さは、第1下限かご高さよりも高い。
そして、エレベータ1は、かご2の位置が第3かご高さであることを検出する第3かご検出部22と、かご2の位置が第4かご高さであることを検出する第4かご検出部23とを備えている。なお、第3かご高さは、第2水高さよりも高く、第4かご高さは、第3かご高さよりも高く、且つ、第1水高さよりも低い。
<正常時運転制御>
まず、第3水位検出部21が水位を検出していない正常時、即ち、昇降路X1内に水が流れ込んでいない正常時には、処理部9は、正常時運転を行う。なお、正常時運転の走行範囲は、最下階(乗場X2)から最上階(図示していない)までの範囲である。
そして、かご2が設定速度以上で下降し、且つ、第2下限かご検出部18がかご2を検出した場合には、かご2の走行が異常であるため、制御部9dは、走行中のかご2を減速させる。さらに、第1下限かご検出部17がかご2を検出した場合には、かご2の走行がさらに異常であるため、非常回路部9eは、走行中のかご2を停止させ、しかも、かご2の走行を休止させる。
<第1次非常時運転制御>
そして、昇降路X1内に水が流れ込み、図7に示すように、切替水位検出部である第3水位検出部21が水位を検出し且つ第2水位検出部14が水位を検出していない第1次非常時である場合には、処理部9は、第1次非常時運転を行う。なお、第1次非常時運転の走行範囲は、例えば、第2水高さよりも高い階(乗場X5)から最上階までの範囲とすることができる。
そして、特に限定されないが、第4かご高さは、例えば、第1次非常時運転のときに、かご2が設定速度以上で下降していることが好ましくない高さに設定されていてもよい。これにより、第1次非常時運転のときに、かご2が設定速度以上で下降し、且つ、第4かご検出部23がかご2を検出した場合には、かご2の走行が異常であるため、制御部9dは、走行中のかご2を減速させる。
なお、かご2の速度に関わらず、第4かご検出部23が下降中のかご2を検出した場合に、制御部9dは、走行中のかご2を減速させてもよい。また、第4かご高さは、例えば、本実施形態のように、第1次非常時運転の最下階(乗場X5)に停止したときのかご2の位置よりも、高くなっていてもよく、また、例えば、低くなっていてもよい。
また、特に限定されないが、第3かご高さは、例えば、第1次非常時運転の最下階(乗場X5)に停止したときのかご2の位置よりも、低くなっている。これにより、第3かご検出部22がかご2を検出した場合には、かご2の走行がさらに異常であるため、非常回路部9eは、走行中のかご2を停止させ、しかも、かご2の走行を休止させる。
<第2次非常時運転制御>
さらに、昇降路X1内に水が流れ込み、昇降路X1内が浸水し、図8に示すように、第2水位検出部14が水位を検出し且つ第1水位検出部13が水位を検出していない第2次非常時である場合には、処理部9は、第2次非常時運転を行う。なお、第2次非常時運転の走行範囲は、例えば、第1水高さよりも高い階(乗場X6)から最上階までの範囲とすることができる。
そして、特に限定されないが、第2かご高さは、例えば、第2次非常時運転のときに、かご2が設定速度以上で下降していることが好ましくない高さに設定されていてもよい。これにより、第2次非常時運転のときに、かご2が設定速度以上で下降し、且つ、第2かご検出部16がかご2を検出した場合には、かご2の走行が異常であるため、制御部9dは、走行中のかご2を減速させる。
なお、かご2の速度に関わらず、第2かご検出部16が下降中のかご2を検出した場合に、制御部9dは、走行中のかご2を減速させてもよい。また、第2かご高さは、例えば、本実施形態のように、第2次非常時運転の最下階(乗場X6)に停止したときのかご2の位置よりも、高くなっていてもよく、また、例えば、低くなっていてもよい。
また、特に限定されないが、第1かご高さは、例えば、第2次非常時運転の最下階(乗場X6)に停止したときのかご2の位置よりも、低くなっている。これにより、第1かご検出部15がかご2を検出した場合に、かご2の走行がさらに異常であるため、非常回路部9eは、走行中のかご2を停止させ、しかも、かご2の走行を休止させる。
その後、万が一、昇降路X1内がさらに浸水し、水位が第1水高さまで達し、第1水位検出部13が水位を検出した場合には、処理部9は、例えば、走行中のかご2を最寄りの階に停止させて、かご2の走行を休止させる。このように、昇降路X1内が浸水した場合に、かご2が水中に突入することを防止することができる。
(2)また、上記実施形態に係るエレベータ1は、第1かご検出部15及び第2かご検出部16を備えている、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、エレベータ1は、第1かご検出部15を備え、第2かご検出部16を備えていない、という構成でもよい。また、例えば、エレベータ1は、第1及び第2かご検出部15,16の両方を備えていない、という構成でもよい。
(3)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、第2水位検出部14が水位を検出し且つ第1かご検出部15がかご2を検出した場合に、処理部9は、かご2を停止させ、しかも、かご2の走行を休止させる、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。
例えば、第2水位検出部14が水位を検出し且つ第1かご検出部15がかご2を検出した場合に、処理部9は、かご2を停止させ、異常が無い場合に、かご2の走行を自動復帰させる、という構成でもよい。また、例えば、第2水位検出部14が水位を検出し且つ第1かご検出部15がかご2を検出した場合に、処理部9は、かご2を所定の速度まで減速させる、という構成でもよい。
(4)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、第2水位検出部14が水位を検出し且つ第2かご検出部16がかご2を検出した場合に、処理部9は、かご2を減速させる、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。
例えば、第2水位検出部14が水位を検出し且つ第2かご検出部16がかご2を検出した場合に、処理部9は、かご2を停止させる、という構成でもよい。また、例えば、第2水位検出部14が水位を検出し且つ第2かご検出部16がかご2を検出した場合に、処理部9は、かご2を停止させ、しかも、かご2の走行を休止させる、という構成でもよい。
(5)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、第1かご高さは、かご2が非常時走行範囲のうちの最下階に停止したときのかご2の位置よりも、低い、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第1かご高さは、かご2が非常時走行範囲のうちの最下階に停止したときのかご2の位置よりも、高い、という構成でもよい。
(6)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、第2水位検出部14が水位を検出している状態において、第2かご検出部16がかご2を検出した場合に、ソフトシーケンスによる制御部9dは、かご2を減速させ、第1かご検出部15がかご2を検出した場合に、ハードシーケンスによる非常回路部9eは、かご2を停止させる、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。
例えば、第2水位検出部14が水位を検出している状態において、第2かご検出部16がかご2を検出した場合でも、第1かご検出部15がかご2を検出した場合でも、ソフトシーケンスによる制御部9dは、かご2を停止させる、という構成でもよい。また、例えば、第2水位検出部14が水位を検出している状態において、第2かご検出部16がかご2を検出した場合でも、第1かご検出部15がかご2を検出した場合でも、ハードシーケンスによる非常回路部9eは、かご2を停止させる、という構成でもよい。
(7)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、非常時運転(第2水位検出部14が水位を検出した場合)における、かご2の最高速度は、正常時運転(複数の水位検出部13,14の全てが水位を検出していない場合)における、かご2の最高速度よりも、遅い、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、非常時運転におけるかご2の最高速度は、正常時運転におけるかご2の最高速度と同じ、という構成でもよく、正常時運転におけるかご2の最高速度よりも速い、という構成でもよい。
(8)また、エレベータ1においては、例えば、非常時運転(第2水位検出部14が水位を検出した場合)における、かご2の最大積載量は、正常時運転(複数の水位検出部13,14の全てが水位を検出していない場合)における、かご2の最大積載量よりも、小さい、という構成でもよい。
斯かる構成によれば、例えば、釣合錘4が水中に位置し、釣合錘4に浮力が働いた場合でも、浮力が働いた釣合錘4に対して、かご2の最大積載量を適正にすることができる。
これにより、例えば、昇降路X1内が浸水した状態でも、釣合錘4の適正な重量をかごロープ3に付与することができるため、かごロープ3に適正な張力が付与される。
また、例えば、走行中のかご2を停止させる場合に、停止するまでに走行するかご2の走行距離を短くすることができる。これにより、例えば、昇降路X1内が浸水した場合に、かご2が水中に突入することを確実に防止することができる。なお、かご2に最大積載量よりも重い積載がされた場合には、例えば、その情報(音、表示)が出力され、かご2の走行が許可されない(かご2の戸及び乗場戸10が閉まらない)。
(9)また、エレベータ1は、例えば、図9に示すように、昇降路X1内の水位が設定水位に達することを検出する許可水位検出部24を備え、切替水位検出部14が水位を検出し、且つ、許可水位検出部24が水位を検出する前に(検出しない状態で)、走行許可入力部19に許可の指示が入力された場合に、処理部9は、非常時運転を可能とする、という構成でもよい。
なお、許可水位検出部24が検出する設定水位は、切替水位検出部14が検出する水位よりも高く、且つ、処理部9と電気的に接続する電気回路から非常時運転のときに分離される電装品11,17.18のうち、昇降路X1内で最も低い電装品(図9においては、第1下限かご検出部17)よりも低い、という構成とすることができる。そして、特に限定されないが、例えば、以下のような制御を行うことができる。
まず、図9に示すように、昇降路X1内に水が入り込み、切替水位検出部14が水位を検出した場合に、処理部9は、かご2を最寄り階に停止させて、かご2の走行を休止させる。そして、許可水位検出部24が水位を検出する前に、走行許可入力部19に、許可の指示が入力された場合に、乗場操作盤11及び下限かご検出部17,18が、処理部9と接続する電気回路から分離され、処理部9は、非常時運転を可能とする。
一方で、許可水位検出部24が水位を検出した後で(検出した状態で)、走行許可入力部19に、許可の指示が入力された場合に、処理部9は、走行許可入力部19からの指示を無効にし、かご2の走行の休止が維持され、非常時運転が可能にならない。これにより、処理部9と接続される電気回路から非常時運転のときに分離される電装品(下限かご検出部17,18)が浸水によって誤検出(例えば、短絡)し、予期しない不具合が発生することを抑制することができる。