以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用可能な記録装置1の概略構成を示した斜視図である。記録装置1は、主走査方向(矢印X方向)に移動可能なキャリッジ31に記録ヘッド12が搭載されており、記録媒体11を搬送しながらキャリッジ31を往復移動させて記録ヘッド12の吐出口から液体を吐出することで記録媒体11に記録を行う。キャリッジ31は、ガイド軸14に沿って移動可能に設けられている。キャリッジ31の移動範囲の一方の端部にプーリ付きキャリッジモータ15が配置され、他方の端部にアイドルプーリ16が配置され、これらにタイミングベルト17がかけられ、キャリッジ31とタイミングベルト17とが連結されている。ガイド軸14を中心としてキャリッジ31が回転するのを防ぐために、ガイド軸14と平行に延びるサポート部材18が設置され、キャリッジ31はサポート部材18によって摺動自在に支持されている。キャリッジ31の主走査方向の移動量は、不図示のエンコーダ等によって制御される。
記録ヘッド12のメンテナンスを行うためのメンテナンス機構19が記録領域外に設けられている。メンテナンス機構19には、例えば、非記録時に記録ヘッド12の吐出口の開口部を被覆するキャップ(不図示)や、吐出口が設けられた吐出口面に付着した異物や余分な液体(インク)を掻き取るためのワイパ(不図示)などがある。以下、主走査方向(矢印X方向)において、メンテナンス機構19に近い側をHOME側、遠い側をAWAY側と呼ぶ。
更に、記録装置1は、記録媒体11を搬送する第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ22とを備えており、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ22とが搬送モータ20によって駆動されることで記録媒体11が搬送方向(矢印Y方向、所定方向)に搬送される。第1搬送ローラ13および第2搬送ローラ22のローラ軸方向は、主走査方向と略平行である。以下、搬送方向において、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ22を比較して、第1搬送ローラ13に近い側を搬送方向上流側、第2搬送ローラ22に近い側を搬送方向下流側と呼ぶ。搬送方向において、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ22の間に、キャリッジ31が移動する領域が設けられている。また、記録媒体11の搬送経路であり、第1搬送ローラ13の上流側に記録媒体11を検出するエッジセンサ26が設けられている。
記録装置1は、プラテン10を備えており、プラテン10は記録中の記録媒体11を支持する。キャリッジ31には光学式センサ25Aが取り付けられており、光学式センサ25Aから光を発し、後述する反射部で反射した反射光を受光することができる。また、主走査方向(矢印X方向)と搬送方向(矢印Y方向)とによって作られる平面に対し垂直な方向(矢印Z方向)にキャリッジ31は移動可能に構成されている。
図2は、記録装置1の制御構成を示すブロック図である。コントローラ400は、例えば、マイクロコンピュータ形態のCPU401、プログラムや所要のテーブルその他の固定データを格納したROM403、画像データを展開する領域や作業領域等を設けたRAM405を有する。ホスト装置410は、記録装置1に接続され、画像データの供給源であり、画像データの生成や処理等を行なうパーソナルコンピュータ(PC)、画像読取用のスキャナ装置、デジタルカメラ等の形態であってもよい。画像データ、その他のコマンド、ステータス信号等は、インタフェース(I/F)412を介してコントローラ400との間で送受信される。
操作部420は、操作者による指示入力を受け付ける複数のスイッチを備え、これらは、電源スイッチ422、記録ヘッド12のメンテナンス動作や各種記録動作を指示するための操作パネル426、等である。センサ群430は、装置状態を検出するための複数のセンサからなる。これらは、キャリッジ31に搭載されている光学式センサ25A、搬送路内において記録媒体11を検出するエッジセンサ26、環境温度を検出するために適宜の部位に設けられた温度センサ434等を含む。ヘッドドライバ440は、記録データ等に応じて記録ヘッド12内の記録素子402やサブヒータ442を駆動するドライバである。サブヒータ442は、インクの吐出特性を安定させるための温度調整を行なうために記録ヘッド12内に設けられている。
モータドライバ450はキャリッジモータ15を駆動するドライバであり、モータドライバ460は記録媒体11を搬送するために用いられる搬送モータ20を駆動するためのドライバである。
図3は、記録時に記録媒体11を搭載する記録補助部材(以下、トレイとよぶ)3を示した斜視図である。記録装置1は、図1に示したように記録媒体11を直接搬送して記録する他に、記録媒体11をトレイ3に搭載してトレイ3と一緒に記録媒体11を搬送しながら記録することができる。トレイ3を記録装置1に導入する際は導入部80からトレイを導入する、本実施形態では記録装置1の排紙口の位置が導入部80となっている。この導入部80からトレイ3を差し込んで記録装置1にセットする。セットされたトレイは引き込まれた後、Y方向下流側に搬送され、記録媒体11への記録が行われる。トレイ3は、記録媒体11を搭載する凹部(搭載部)41、記録媒体11を押圧する押圧部材42を備えている。またトレイ3は、押圧部材42の押圧力を生み出す弾性部材43Aおよび43B、第2反射部47A、第3反射部47B、第1反射部(被検出部)47Cを備えている。第2反射部47A、第3反射部47B、第1反射部47Cは、光学式センサ25Aが発した光を反射する。各反射部47A~Cは光の反射率が高い部材で構成されている。光学式センサ25Aと対向する位置で反射部から反射した光を光学式センサ25Aが受光したときの受光量は、トレイ3の反射部の周辺の部材が反射することで受光する受光量よりも大きい。例えば黒色のプラスチックのトレイに、その部分だけ金属光沢を有するように各反射部が設けられている。ここで、光学式センサ25Aは、各反射部を検出可能であり、自ら発した光の拡散反射光を受光し、その受光量の大小に応じて出力する。今回の例では、光学式センサ25Aは、受光量が大きいほど出力が小さくなる。なお、本実施形態では、被検出部として反射部を設けているがこれに限定するものではない。記録装置1の検出手段に対応し、正確にその位置を検出されることができる被検出部であればよい。
第2反射部47A、第3反射部47Bはトレイ3の凹部41以外(搭載部以外)に設けられており、第1反射部47Cは、凹部41に設けられている。第2反射部47A、第3反射部47B、第1反射部47Cは、トレイ3のその他の部分に比べて、光学式センサ25Aの発した光を反射しやすい。よって光学式センサ25Aの出力を確認することで、各反射部の有無や位置を検出することができる。各反射部の詳細については後述する。
図4は、記録媒体11を搭載したトレイ3を示した図であり、図4(a)は、記録媒体11である光ディスク51をトレイ3へ搭載した図であり、図4(b)は、記録媒体11であるネイルシールマウント53をトレイ3へ搭載した図である。トレイ3は、複数種類(本実施形態では2種類)の形状の異なる記録媒体を個別に搭載することが可能(搭載可能)である。光ディスク51は、例えば、表面にインク受容層を持つプリンタブルディスクを想定しており、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blue-ray Disc)などが例として挙げられる。光ディスク51は、トレイ3に設けられた突き当て部44A、44Bと、押圧部材42に設けられた突き当て部44Cとが、光ディスク51の外端で接することで、トレイ3に対して把持されている。
ネイルシールマウント53は、ネイルシール群54を搭載しており、板状のプラスチック材からできている。ネイルシール群54には、ネイルアート用の大きさの異なるネイルシールが整列して配置されており、表面にインク受容層を有しているため記録が可能である。ネイルシールマウント53は、トレイ3に設けられた突き当て部45A、45Bと、押圧部材42に設けられた突き当て部45C、45Dと接することで、トレイ3に対して把持されている。
図5(a)は、記録動作前に記録装置にセットされた光ディスク51が搭載されたトレイ3を示した図であり、図5(b)は、記録動作中に搬送されている、光ディスク51が搭載されたトレイ3を示した図である。トレイ3は、記録動作開始前にユーザーによって記録装置1の内部にセットされる。その際、トレイ3は、主走査方向をトレイガイド29に規制されながら搬送方向の下流側からセットされる。セットされたトレイ3は、第2搬送ローラ22によって記録装置1の内部へ送られる。
記録装置1には、第1搬送ローラ13に従動するように第1従動ローラ21が設けられている。第1従動ローラ21は、主走査方向に複数個並べて設けられており、第1搬送ローラ13と対になってトレイ3の主走査方向全域をニップしてトレイ3を搬送可能である。また記録装置1には、従動する第2従動ローラ27が設けられており、第2従動ローラ27は、トレイ3の凹部41の主走査方向外側に隣接して、2個並べて設けられている。2個の第2従動ローラ27は、トレイ3の主走査方向の中心線に対して、主走査方向に左右対称に設けられている。2個の第2従動ローラ27は、第2搬送ローラ22よりも上流側に設けられており、第2搬送ローラ22とともにトレイ3を把持しながら搬送可能である。記録動作が開始されると、セットされたトレイ3は、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ27のどちらか一方もしくは両方によって搬送される。
図6は、記録動作開始時のトレイ引き込み動作から第3反射部47B検出の成功判定までの処理を示したフローチャートである。以下、このフローチャートを用いてトレイ引き込み動作から第2反射部検出の成功判定までの処理を説明する。記録動作が開始されると、S101で、トレイ引き込み処理を行う。第2搬送ローラ22と第2従動ローラ27とにより挟持されて、トレイ3が搬送方向上流側に搬送される(図5(a)参照)。その後、トレイ3の先端が、第1搬送ローラ13と第1従動ローラ21のニップに噛みこむ。そして、第1搬送ローラ13と第1従動ローラ21、第2搬送ローラ22と第2従動ローラ27、両ローラ対によってトレイ3は搬送される(図5(b)参照)。
その後、S102で、エッジセンサ26がトレイ3を検知するか、もしくは所定量搬送駆動を行ったかの判断を行う。S102でNo判定の場合にはYesになるまで処理を繰り返す。S102からS103に移行すると、S103で反射部発見動作を行う。
ここで、図7を用いて反射部発見動作について説明する。図7は、反射部発見動作時のトレイ3を示した図である。反射部発見動作が開始されると、コントローラ400に予め格納された値に基づき、キャリッジ31を主走査方向に移動させて、光学式センサ25Aの主走査方向の位置をトレイ3の第2反射部47Aがあると想定される位置に移動させる。光学式センサ25Aの主走査方向への移動が完了したら、トレイ3を移動(光学式センサ25Aとトレイ3とを相対移動)する。これによって、トレイ3に対する光学式センサ25Aの位置を上流側(矢印Y方向)へ(トレイ3を搬送方向下流側に)移動させて第2反射部47Aの検出を行う。
図8(a)は、第2反射部47A検出時の光学式センサ25Aの出力波形を示したグラフであり、図8(b)は、図8(a)のグラフと対応して示した図であり、第2反射部47Aを検出中の光学式センサ25Aを示した図である。検出中の光学式センサ25Aは図において下流側から上流側(左から右)にトレイ3に対して相対移動する。前述したように、第2反射部47Aはトレイ3のその他の部分に比べて、光学式センサ25Aの発する光を反射しやすい。よって、第2反射部47Aの検出時は、トレイ3のその他の部分の検出時に比べて、光学式センサ25Aの受光量が大きく、結果として出力は小さくなる。
図のように、光学式センサ25Aは第2反射部47Aを検出する前は、高い出力値を示している。その後、第2反射部47Aを検出する位置1031では、受光量が大きくなることから、光学式センサ25Aの出力は小さくなる。第2反射部47Aを検出中は継続して出力値は小さな値を示している。その後、第2反射部47Aを検出しなくなる位置1032では、受光量が小さくなることから、光学式センサ25Aの出力は大きくなる。このような光学式センサ25Aの出力値から、所定のセンサ受光出力の閾値Vth1をまたぐ位置を検出することで、第2反射部47Aの両端部である位置1031、1032を検出することができる。
図6のフローチャートに戻り、S104で反射部を発見したか否かを判断する。第2反射部47Aの両端部である位置1031、1032(図7参照)の検出に成功し、本検出結果から算出できる第2反射部47Aの搬送方向の大きさ1033(図8参照)が所定範囲内にある場合、第2反射部47Aを発見しトレイ3が引き込まれたと認識する。そしてS106に移行する。一方、第2反射部47Aの位置1031、1032が検出できない場合、また本検出結果から算出できる第2反射部47Aの搬送方向の大きさ1033が所定範囲外であった場合、第2反射部47Aが発見できず、トレイ3が引き込まれていないと認識する。そして、S105に移行して、トレイなしエラーとして記録動作を中断し、トレイ3を排出する動作を行った後、ユーザーにエラーの報知を行う。
S106に移行した場合は、トレイ3を搬送方向上流側に所定量移動する。その後、S107で、第2反射部47Aの検出を行う。ここでは、S103で行ったような単なる反射部の有無を検出するのではなく、第2反射部47Aの中心位置を高精度に求める。
ここで、図9を用いて、S107で行われる第2反射部47Aの検出動作について説明する。図9は、第1反射部47の検出動作時のトレイ3を示した図である。第2反射部47Aの検出動作では、トレイ3を搬送方向上流側に移動させることで、光学式センサ25Aによる第2反射部47Aの検出を行い、第2反射部47Aの搬送方向の両端部の位置である位置1071、1072を検出する。その後、トレイ3を搬送方向下流側に移動させることで、再度、光学式センサ25Aによる第2反射部47Aの検出を行い、第2反射部47Aの搬送方向の両端部の位置である位置1073、1074を検出する。このように、光学式センサ25Aの第2反射部47Aに対する往復移動の往路と復路とのそれぞれで両端部位置を検出する。このように検出した両端部位置から第1反射部47の搬送方向における中心位置を求める。
ここで、第1反射部47の中心位置の検出にあたり、往路と復路との両方で両端部位置を検出する理由は次の通りである。光学式センサ25Aがトレイ3の第2反射部47Aのない部分から第2反射部47Aへ移動して検出する場合と、第2反射部47Aから第2反射部47Aのない部分へ移動して検出する場合とを比べると、センサ受光出力波形には異なる傾向が見られる。よって、往路と復路とで同じ端部位置を読む際も、若干の系統的なずれが生じる。そこで今回は、第2反射部47Aの中心を求めるために、両端部位置とも、光学式センサ25Aが第2反射部47Aに入っていく際に検出する値とすることで、第2反射部47Aの中心算出精度を上げている。つまり、検出した位置1071と位置1073とを基に、第2反射部47Aの搬送方向(Y方向)における中心位置を求める。
次に、第2反射部47Aの主走査方向(X方向)における中心位置を求める。先ず、トレイ3を搬送することで、光学式センサ25Aが搬送方向において、検出した位置1071と位置1073とを基に算出した第2反射部47Aの中心を検出する位置に来るようにする。そして、キャリッジ31を主走査方向(搬送方向と交差する方向)に移動することにより、光学式センサ25Aの主走査方向の位置を第2反射部47Aから所定量AWAY側に離れた位置に移動させる。その後、キャリッジ31をHOME側に移動して、搬送方向での検出と同様に、主走査方向における第2反射部47Aの両端部を検出する。更に、第2反射部47AのHOME側からAWAY側へキャリッジ31を移動することで、第2反射部47Aの両端部を検出する。このように、キャリッジ31を往復動させることで、第2反射部47Aの主走査方向の両端部を光学式センサ25Aで検出し、前述した搬送方向の中心位置算出と同様に、第2反射部47Aの主走査方向における中心位置を算出する。このようにして、第2反射部47Aの中心位置C1を取得することができる。
ここで再度図6のフローチャートに戻り、S108に移行して、第2反射部47Aの検出に成功したか判断する。ここでは、S104における判断と同様に、第2反射部47Aの端部が検出できなかったり、もしくは第2反射部47Aが検出できても、第2反射部47Aの大きさが所定範囲外であった場合は、所定のトレイ3が引き込まれていないと認識する。検出できたと判断した場合には、S110に移行し、検出できなかったと判断した場合には、S109に移行してトレイなしエラーとして記録動作を中断し、トレイ3を排出する動作を行った後、ユーザーにエラーの報知を行う。
S110に移行した場合は、第3反射部47Bの検出を行う。ここでの検出は、S107における第2反射部47Aの検出と同様に、第3反射部47Bに対する光学式センサ25Aの往復相対移動により、第3反射部47Bの搬送方向の両端部かつ主走査方向の両端部を検出する。そして最終的に第3反射部47Bの中心位置C2を取得する。
その後、S111で、第3反射部47Bの検出に成功したか判断する。これもS108での判断と同様に行われ、第1反射部47Bの端部が検出できなかったり、もしくは第1反射部47Bが検出できても、第1反射部47Bの大きさが所定範囲外であった場合は、所定のトレイ3が引き込まれていないと認識する。検出できたと判断した場合には、後述する次工程に移行し、検出できなかったと判断した場合には、S112に移行してトレイなしエラーとして記録動作を中断し、トレイ3を排出する動作を行った後、ユーザーにエラーの報知を行う。
なお、反射部発見動作S103に比べて、第1反射部検出S107と第2反射部検出S110では、トレイ3の搬送速度を落としている。これにより反射部端部位置の検出精度を上げて、反射部中心算出精度を上げている。本実施形態では、トレイ3の搬送速度を、反射部発見動作S103で速度2.00ips、第1反射部検出S107と第2反射部検出S110で速度0.67ipsとしている。
図10は、図6のフローチャートの次工程を示したフローチャートである。図11は、図10のS201における第1反射部47C検出動作を示したフローチャートである。また、図12は、記録媒体(ここでは光ディスク)がトレイ3に正常に搭載された場合の第3反射部検出時のトレイ3とキャリッジ31とを示した図である。以下、これらのフローチャートと図12とを用いて、図6のフローチャートの次工程を説明する。
S111からS201(図10参照)に移行すると、第1反射部47Cの検出動作を行う。第1反射部47Cの検出動作が開始されると、S802(図11参照)で、キャリッジ31を第1反射部47Cに対してAWAY側の検知準備位置に移動する。この時、トレイ3の凹部41は、第1搬送ローラニップライン24の搬送方向下流側に位置している(図12(a)参照)。その後、S803で、第1反射部47Cが、第1搬送ローラニップライン24を越える位置Y5まで第1搬送ローラ13を駆動してトレイ3を上流側に搬送する(図12(b)参照)。このとき正常にトレイ3にセットされた記録媒体11(図12では光ディスク51)は、トレイ3からずれることなく、第1搬送ローラニップライン24を越える位置まで搬送される。
その後、S804で、光学式センサ25Aの位置が、予めコントローラ400に格納された情報を基に第1反射部47Cの搬送方向の中心と想定される位置となるように、トレイ3を位置Y6まで第1搬送ローラ13を駆動し下流側に搬送する(図12(c)参照)。そして、S805で、キャリッジ31を主走査方向に動かして光学式センサ25Aで第1反射部47Cの検出(図12(d)参照)を行って処理を終了する。
ここで、図13を用いて第1反射部47Cの検出方法について詳細に説明する。図13は、記録媒体の有無による違いを示した第3反射部検出動作時のキャリッジ31とトレイ3とを示した図である。図13(a)は、記録媒体がトレイ3に搭載されていない場合を示しており、第1反射部47Cは記録媒体で隠されることなく露出した状態となっている。この状態で光学式センサ25Aは、前述した反射部(第2反射部47A、第3反射部47B)検出動作と同様に第1反射部47Cの両端部を検出することができ、第1反射部47Cを検出することができる。
一方、図13(b)、(c)は、トレイ3に記録媒体が搭載されている場合を示しており、図13(b)では、記録媒体として光ディスク51を搭載しており、図13(c)では、記録媒体としてネイルシールマウント53を搭載している。このように、トレイ3に光ディスク51やネイルシールマウント53といった記録媒体が搭載されている場合は、第1反射部47Cは記録媒体で隠れてしまうため、光学式センサ25Aは第1反射部47Cを検出することができない。
ここで、図10のフローチャートに戻り、第3反射部検出の後、S202で、反射部検出に成功したか判断を行う。検出に成功した場合には、トレイ3に記録媒体11が搭載されていないとみなし、S203で、記録動作を中止し、トレイ3を排出したのちに、ユーザーに記録媒体無しエラーを報知する。一方、第1反射部47Cの検出に失敗した場合は、トレイ3には記録媒体11が搭載されているとみなし記録動作を続行する。その後、S204で、記録する記録媒体11の種類を判断する。この判断は、ユーザーが指定した記録媒体の情報を基に決定される。今回の例では、記録媒体11の種類が「光ディスク」か「その他」かによって分岐先が異なる。分岐先における動作については後述する。
ここまで、記録媒体がトレイ3に正常に搭載された場合について説明した。ここから、記録媒体がトレイ3に正常に搭載されていない場合について説明する。
図14は、記録媒体(ここでは光ディスク)がトレイ3に正常に搭載されていない場合の第3反射部検出時のトレイ3とキャリッジ31とを示した図である。この場合の第3反射部検出動作も、図11の第1反射部47C検出動作を示したフローチャートに沿って行われる。先ず、S802で、キャリッジ31を第1反射部47Cに対してAWAY側の検知準備位置に移動する。この時、トレイ3の凹部41は、第1搬送ローラニップライン24の搬送方向下流側に位置している(図14(a)参照)。その後、S803で、第1反射部47Cが、第1搬送ローラニップライン24を越える位置Y5まで第1搬送ローラ13を駆動してトレイ3を上流側に所定量(搬送開始から位置Y5まで)搬送する(図14(b)参照)。
このとき正常にトレイ3にセットされていない記録媒体11(図14では光ディスク51)は、先端部が第1搬送ローラニップライン24まで到達すると、第1搬送ローラ13と第1従動ローラ21と当接してニップラインを越えることができない。そのためトレイ3からさらにずれた状態となり、トレイ3のみが搬送される状態となる。このようにして第1従動ローラ21は、記録媒体11が第1搬送ローラニップライン24を超えて移動することを規制する規制部材として機能する。図14(a)のようにトレイ3から搬送方向に対して少しずれた状態でセットされた記録媒体11は、第1反射部47Cを覆った状態で搬送されていた。しかし、第1反射部47Cが第1搬送ローラニップライン24を越える位置Y5までトレイ3が搬送されることで、第1反射部47Cが露出した状態となる(図14(b)参照)。なお、本実施形態では、第1搬送ローラ13と第1従動ローラ21とで記録媒体11の移動を規制しているがこれに限定するものではない。記録媒体11の移動を規制する第1搬送ローラ13と第1従動ローラ21以外の規制手段を設けてもよい。例えば、第1従動ローラ21を支持するホルダを規制手段としてもよいし、ホルダに規制部材を付けてもよい。また、第1反射部47Cが完全に第1搬送ローラニップライン24を超えずとも、第1反射部47Cが第1搬送ローラニップライン24に掛かる、つまり第1従動ローラ21に掛る位置まで搬送されればよい。この位置まで第1反射部47Cが到達すれば、正常にセットされていない記録媒体11は従動ローラ21に引っ掛かり、第1反射部47Cが露出した状態となる。
その後、S804で、光学式センサ25Aの位置が、予めコントローラ400に格納された情報を基に第1反射部47Cの搬送方向の中心と想定される位置となるように、トレイ3を位置Y6まで第1搬送ローラ13を駆動し下流側に搬送する(図14(c)参照)。そして、S805で、キャリッジ31を主走査方向に動かして光学式センサ25Aで第1反射部47Cの検出(図14(d)参照)を行って処理を終了する。S805では、S803の動作によって第1反射部47Cは記録媒体11からずれた位置となり、第1反射部47Cは露出しているため、光学式センサ25Aは第1反射部47Cを検出することができる。よって、図10に示すS202における判定により検出成功となり、S203で記録媒体なしエラーを出して、記録動作を中止する。
このように、S803とS804の処理を行うことで、トレイ3に記録媒体11が不完全な状態でセットされており、第1反射部47Cが隠れている状態で記録動作が開始されても、第1反射部47Cを検出できる状態にすることができる。
なお、図14(a)では不完全なセット状態は、第1反射部47Cが記録媒体11に完全に隠れた状態であるが、これに限らない。他にも、第1反射部47Cが少し隠れた状態や、第1反射部47Cが露出した状態からでも第1反射部47Cを検出することが可能である。
また図14では、記録媒体11の一例として光ディスク51を挙げているが、ネイルシールマウント53などトレイ3に搭載する他の記録媒体11であっても実現することができる。
また、第1反射部47Cの位置は、トレイの凹部41の中で上流側に設けられている。これにより、記録媒体11をずらして第1反射部47Cが見える状態になるまでの、記録媒体11のずらし量を低減することができる。結果として、図11のS803の動作量を減らすことができる。これにより記録動作に要する時間を低減することができる。
<記録媒体が光ディスクの場合>
以下、記録媒体の種類が「光ディスク」の場合の記録動作について説明する。
図15は、記録媒体が光ディスクの場合の記録動作における処理を示したフローチャートである。図16から図18は、図15のS301の光ディスク位置確定処理を示したフローチャートである。また図19は、光ディスク空孔検出動作における光ディスクの空孔を示した図であり、図20(a)は、光ディスク空孔検出動作でのセンサ受光出力を示したグラフ、図20(b)は、図20(a)のグラフと対応して示した光ディスクの空孔の図である。
以下、記録媒体が光ディスクの場合の記録動作を説明する。S204(図10参照)からS301(図15参照)に移行した場合、光ディスクの位置確定処理を行う。光ディスクの位置確定処理が開始されると、図16のS302で、取得した第2反射部47Aの中心位置C1と第3反射部47Bの中心位置C2を基に、光ディスクの想定中心位置(光ディスク空孔の中心位置)C3(MCx、MCy)を算出する。次に、S303で、キャリッジ31を主走査方向に移動させることで光学式センサ25Aの主走査方向位置を位置MCxまで移動する。その後、S304で、トレイ3を搬送して、予めコントローラ400に格納された値を基に、光学式センサ25Aが、光ディスク中心よりも所定距離上流と想定される位置となるまで移動する。なお、所定距離は、光ディスク空孔の半径よりも長い距離とする。
S305では、トレイ3を搬送方向上流側に搬送しながら、光学式センサ25Aを用いて光ディスク空孔71の検出を行い、図19に示すように、光ディスク空孔両端部の位置3051、3052を検出する。ここで、光ディスク空孔71の内部は、光学式センサ25Aの方向から見て、トレイ3の凹部41が見えている。凹部41は、光ディスク空孔71の外側に隣接した光ディスク基板部72よりも、光学式センサ25Aの発した光を反射する量が小さい。よって図20に示すように、S305において、光学式センサ25Aのセンサ受光出力変化を検出し、所定の電圧の閾値Vth2をまたぐ位置を検出することで、光ディスク空孔両端部の位置3051、3052を検出することができる。
その後、S306で、光ディスク空孔両端部を検出できたか否かを判断し、検出できなかった場合には、S307に移行して光ディスク空孔検出失敗フラグをONとし、S310に移行する。また検出に成功した場合、S308に移行して、検出した光ディスク空孔両端部の位置3051、3052を基に光ディスク空孔径3053を算出する。そして、S309で、光ディスク空孔径3053が許容範囲内か判断する。許容範囲外であった場合は、正確に光ディスク空孔71が検出できていないと認識し、S307に移行して光ディスク空孔検出失敗フラグをONとしS310に移行する。
S309で許容範囲内と判断した場合もS310に移行して、トレイ3を搬送方向下流側に搬送しながら、光学式センサ25Aを用いて光ディスク空孔71の検出を行い、図19に示すように、光ディスク空孔両端部の位置3101、3102を検出する。その後、S311で、光ディスク空孔両端部を検出できたか否かを判断し、検出できなかった場合には、S312に移行して光ディスク空孔検出失敗フラグをONとし、S315に移行する。検出に成功した場合、S313に移行して、検出した光ディスク空孔両端部の位置3101、3102を基に光ディスク空孔径3103を算出する。そして、S314で、S313で算出した光ディスク空孔径3103が許容範囲内か否かを判断する。許容範囲外であれば、正確に光ディスク空孔71が検出できていないと認識し、S312に移行して、光ディスク空孔検出失敗フラグをONとし、S315に移行する。許容範囲内であれば、S315に移行する。
S315では、光ディスク空孔検出失敗フラグがONかどうかを判断し、ONでなければ、S316に移行して、検出した光ディスク空孔71の両端部の位置3052と3102の中点として光ディスクの搬送方向の中心位置DCyを算出する。
ここで、往路だけでなく往路と復路の両方の往復動作で光ディスク空孔両端部を検出する理由は、上述した第1反射部検出と第2反射部検出の際の理由と同じくより精度よく位置を検出するためである。
その後、S317(図17参照)で、コントローラ400に予め格納された値を基にキャリッジ31を主走査方向に移動させて、光学式センサ25Aの主走査方向位置を光ディスク中心よりも所定距離HOME側と想定される位置に移動する。なお、所定距離は、光ディスク空孔の半径よりも長い距離とする。そして、S318で、トレイ3を搬送して光学式センサ25Aの搬送方向位置を光ディスク中心位置(光ディスク空孔の搬送方向端部検出成功時はDCy、失敗時はMCy)に移動する。その後、S319で、図19に示すように、キャリッジ31を主走査方向AWAY側に動かしながら光ディスク空孔71の主走査方向の端部の位置3191と3192とを光学式センサ25Aにより検出する。
S320では、光ディスク空孔両端部を検出できたか否かを判断し、検出できなかった場合には、S321に移行して、光ディスク空孔検出失敗フラグをONとし、S324に移行する。検出に成功した場合は、S322に移行して、検出した光ディスク空孔両端部の位置3191、3192を基に光ディスク空孔径3193を算出する。そして、S323で、光ディスク空孔径3193が許容範囲内かを判断し、許容範囲外であれば、正確に光ディスク空孔71が検出できていないと認識し、S321に移行して、光ディスク空孔検出失敗フラグをONとし、S324に移行する。許容範囲内であれば、S324に移行する。
S324では、キャリッジ31を主走査方向HOME側に動かしながら、図19に示すように、光ディスク空孔71の主走査方向の端部の位置3241と3242とを光学式センサ25Aにより検出する。その後、S325で、光ディスク空孔両端部を検出できたか否かを判断し、検出できなかった場合には、S326に移行して、光ディスク空孔検出失敗フラグをONとし、S329に移行する。S329では、光ディスク空孔検出失敗フラグがONであるか否かを判断する。ONでなければ、S330で、検出した光ディスク空孔71の両端部の位置3192と3242との中点として光ディスクの搬送方向の中心位置DCxを算出する。その後、S331で、検出した光ディスク空孔71の両端部の位置3191と3241との中点として、光ディスクの搬送方向の中心位置DCx2を算出する。
ここでは、光学式センサ25Aがトレイ凹部41から出ていく方向に移動しながら検出した際の端部から算出した搬送方向の中心位置DCxの他に、トレイ凹部41に入っていく方向に移動しながら検出した際の端部から算出した中心位置DCx2も算出している。この中心位置DCx2を算出した理由については後述する。
その後、S332(図18参照)で、光ディスク空孔71の主走査方向の中心DCx、搬送方向の中心DCyの少なくとも一方が算出できているか否かを判断する。算出できている場合は、S333に移行する。算出できていない場合は、S339に移行する。S333では、第2反射部47Aの中心位置C1と第3反射部47Bの中心位置C2を基に算出した光ディスクの想定中心位置C3(MCx、MCy)と、光ディスク空孔71の両端部の検出を基に算出した光ディスク中心位置C4(DCx、DCy)とを比較する。ここでは、主走査方向の位置差分|DCx-MCx|が所定の許容量X1より大きいか、もしくは搬送方向の位置差分|DCy-MCy|が許容量Yより大きいかを判断する。これによって、トレイ3に対する光ディスク51のずれ量を得ることができ、光ディスクがトレイに正常に搭載されているか搭載ミス(誤搭載)かを判断することができる。この詳細については後述する。
S333における判定の結果、いずれか一方向でも位置差分が許容量より大きければ判定S334に移行し、そうでなければS337に移行する。判定S334、S337はともに、光ディスク空孔71の検出時に取得した、2つの主走査方向の光ディスク中心位置DCxとDCx2の差分|DCx-DCx2|が所定の許容量X2より大きいか判定をする。S334では|DCx-DCx2|が所定の許容量より大きい場合には、S336で、光ディスク空孔検出失敗フラグをONとした上でS339に進み、そうでない場合にはS335に移行して記録媒体なしエラーとする。S335では、トレイ3に光ディスク51が搭載されていないとみなし、記録動作を中止し、トレイ3を排出したのちに、ユーザーにエラーを報知する。
一方、S337に移行した場合、|DCx-DCx2|が所定の許容量より大きい場合には、S338で光ディスク空孔検出失敗フラグをONとしてS339に移行し、そうでない場合には、そのままS339に進む。なお、S334とS337における判断の詳細については後述する。
S339では、光ディスク空孔検出失敗フラグがONかどうか判断する。ONの場合には、S340で、第2反射部47Aの中心位置C1と第3反射部47Bの中心位置C2を基に算出した光ディスク想定中心位置C3(MCx、MCy)にもとづいて記録位置を設定する。一方、S339でONでない場合には、S341に移行して、光ディスク空孔71の両端部の検出を基に算出した光ディスク中心位置C4(DCx、DCy)にもとづいて記録位置を設定する。この判定の詳細については後述する。以上がS301(図15参照)における光ディスク位置確定処理である。
S301における光ディスク位置確定処理の後は、S401で、設定した記録位置に基づきトレイ3を頭出し搬送する。その後、S402で、キャリッジの記録ヘッド12とディスクの位置を合わせて、S402で記録を開始する。記録が終了すると、S403で、トレイ3を記録装置1の外部へと排出して、全体の記録動作が終了となる。
ここで、S301の光ディスク位置確定処理における各種判断の詳細について説明する。まずS339における判断について説明する。S339では、光ディスク空孔検出失敗フラグがONか否かを判断する。これは言い換えれば、光ディスク空孔71の両端部の検出が正確に行えているかを判断しており、検出が正確に行えていなければフラグはONとなり、検出が正確に行えていればフラグはONではなくなる。光ディスク空孔検出失敗フラグがON、つまり光ディスク空孔71の両端部の検出が正確に行えていなければ、S340に移行する。S340で、第2反射部47Aの中心位置C1と第3反射部47Bの中心位置C2とを基に算出した光ディスク想定中心位置C3(MCx、MCy)に基づいて記録位置を設定する。
この狙いは次のとおりである。例えば光ディスクの種類によっては、光ディスク空孔71の外側に隣接した光ディスク基板部72でのセンサ受光量が低く、光ディスク空孔71の両端部が検出できない、もしくは検出できても値が正確でない可能性がある。このような場合でも、第2反射部47Aの中心位置C1と第3反射部47Bの中心位置C2とを基に記録位置を設定することで、光ディスクへ記録できないケースを防いだり、記録ずれを抑制したりすることができる。
一方、S339で、光ディスク空孔検出失敗フラグがONでない場合は、光ディスク空孔71の両端部の検出が正確に行えていると判断し、S341で、検出した光ディスク中心位置C4(DCx、DCy)に基づいて記録位置を設定する。ここで、本実施形態では光ディスク空孔71を基に光ディスク中心を算出して記録位置を決定している。この方法によれば「第2反射部47Aの中心位置C1と第3反射部47Bの中心位置C2から光ディスク中心位置を想定する場合」や「光ディスク外円を基に光ディスク中心を算出する場合」と比べて、記録ずれを抑制することができる。この理由を次に説明する。
「第2反射部47Aの中心位置C1と第3反射部47Bの中心位置C2から光ディスク中心位置を想定する場合」では、光ディスクの外径公差やトレイ3の反射部から突き当て部までの公差等を含むことになり、高精度に光ディスクの中心位置を得ることができない。しかし、本実施形態の「光ディスク空孔71の両端部を検出することで光ディスク中心位置を取得する場合」は、光ディスクの外径公差やトレイ3の反射部から突き当て部までの公差等による記録ずれを無視することができる。よって、本実施形態の方が、光ディスクの中心位置を精度よく得ることが可能であり、光ディスク51に対して高精度に記録することができる。
また、光ディスク空孔71の径は、光ディスク51の外径に比べて寸法精度がよい。よって、本例の「光ディスク空孔71の両端部を検出することで光ディスク中心位置を取得する場合」は、「光ディスク外円を基に光ディスク中心を算出する場合」に比べて、実際の光ディスク中心と検出した光ディスク中心とのずれ量を低減することができる。更には、検出した光ディスク中心位置を基に決める記録位置の、光ディスクに対するずれ量を低減することができるため、記録ずれを抑制することができる。
一方、「光ディスク外円を基に光ディスク中心を算出する場合」と比較した場合、本実施形態の「光ディスク空孔71の両端部を検出することで光ディスク中心位置を取得する場合」のメリットとして以下の点が挙げられる。光ディスク空孔71の直径は、光ディスク51の外円の直径に比べて小さい。よって、「光ディスク外円を基に光ディスク中心を算出する場合」に比べて、光学式センサ25Aの相対的な移動距離を短くすることができ、その結果、記録動作に要する時間を短くすることができる。
図21は、光ディスクとトレイとを示した図であり、図21(a)は、正常に搭載された場合を示しており、図21(b)は、搭載ミスの場合を示している。次にS333の判断について説明する。S333では、図21に示すような、光ディスク51の搭載ミスを判定し、搭載ミスがある場合には記録動作を中止することを狙いとしている。ここでは、図6に示す動作で検知できなかった搭載ミスを検出する。
トレイ3に対して光ディスク51の搭載ミスがあり、光ディスク51がトレイ3に正確に把持されていない場合、記録動作中にトレイ3に対する光ディスク51の相対的な位置がずれる。よって、光ディスク空孔71の両端部を検出することにより光ディスク中心位置C4を算出した場合、トレイ3に対する光ディスク51の相対的な位置が、正確に搭載されている場合に比べてずれる。これにより、搭載ミスがある場合、中心位置C1と中心位置C2とを基に算出した光ディスクの想定中心位置C3(MCx、MCy)と、光ディスク空孔71の両端部の検出を基に算出した光ディスク中心位置C4(DCx、DCy)とはずれる。
そこでS333の判断では、この各中心位置のずれ量を主走査方向、搬送方向でそれぞれ算出し、その値が所定のずれ許容量より大きい場合には、記録媒体なしエラー(S335)とし、記録動作を中止させる。これにより、光ディスク51の搭載ミスがあった場合に、光ディスク51がトレイ3に対して所定の位置よりずれることで、記録ずれが発生したりトレイ3への誤記録が発生したりするのを防止することができる。実際には、記録媒体なしエラー(S335)とする前に、もう一つの判断処理であるS334が入るが、これについては後述する。
ここで、S333の判断における所定のずれ許容量は以下のように設定する。例えば光ディスク51が正常に搭載されている場合の、中心位置C1と中心位置C2を基に算出した想定中心位置C3(MCx、MCy)と、空孔両端部の検出を基に算出した中心位置C4(DCx、DCy)の最大ずれ量より少しマージンを持たせた値に設定する。
ちなみに、本実施形態において、光ディスク51の搭載ミスがある場合、光ディスク51はトレイ3に対して搬送方向ではずれ易いが、主走査方向では比較的ずれにくい。なぜなら、図5に示すように、光ディスク51の搭載場所であるトレイ3の凹部41に対して、搬送方向両側に隣接する形で第2従動ローラ27が設けられているため、光ディスク51の主走査方向の位置は第2従動ローラ27によって規制されるからである。この理由から、光ディスク空孔71の検出を行う際は、光学式センサ25Aの搬送方向の検出を、主走査方向の検出の前に行っている。これは、光ディスク空孔71の検出の最初は、トレイ3に対する光学式センサ25Aの位置を、光ディスク空孔71の中心と想定されている位置に合わせる必要がある。ここで、搬送方向の検出が最初であれば、光ディスク51は、たとえ搭載ミスがあったとしても主走査方向には比較的ずれていない。そのため光学式センサ25Aは、光ディスク空孔71を検出することができ、検出した光ディスクの中心位置C4が所定よりずれていることを認識することができるからである。
最後にS334、S337について説明する。S334、S337における判断では、光ディスク空孔71の検出時に取得した、2つの主走査方向の光ディスク中心位置DCxとDCx2とのずれ量が所定の許容量以下か判定する。このS334、S337における判断の狙いは、次の通りである。
図22(a)は、光ディスク空孔検出動作でのセンサ受光出力を示したグラフ、図20(b)は、図22(a)のグラフと対応して示した光ディスクの空孔の図である。図22に示すように、光ディスクの種類によっては、光ディスク基板部での光学式センサ25Aの発する光の反射量が少なく、光ディスク空孔71における反射量との差が小さくなり、センサ受光出力が閾値Vth2付近となることがある。この場合、光学式センサ25Aの移動による検出で得られるセンサ受光出力が、閾値Vth2をまたげなければ検出失敗とみなせる。しかし図22に示すように、センサ受光出力がかろうじて閾値Vth2をまたいだ場合、検出される光ディスク空孔71の端部の位置は、精度が悪い可能性が大きい。なぜなら、センサ受光出力は完全な矩形ではなく、その立ち上がりや立ち下がりは鈍っているため、光ディスク基板部のセンサ受光出力Vdが閾値Vth2と近い場合はその鈍った部分を読み取ってしまうためである。よって、この検出された端部の位置は精度が悪くずれていることが考えられ、それを基に記録した場合、記録ずれが生じる可能性がある。
そこで、端部検出精度を判定するために、S334、S337の判断では、光ディスク空孔端部の主走査方向の検出より算出した2つの中心値DCxとDCx2を比較している。この中心位置DCxは、光学式センサ25Aがトレイ凹部41から出ていく方向に移動しながら検出した際の端部から算出した中心位置であり、中心位置DCx2は、トレイ凹部41に入っていく方向に移動しながら検出した際の端部から算出した中心位置である。端部における検出精度が悪い場合、この中心位置DCxと中心位置DCx2との差が大きくなる。そこで、S334とS337とでは、中心位置DCxと中心位置DCx2との差が所定量X2より大きいかを判断し、所定量X2よりも大きければ、端部の検出精度は悪いと判断することができる。
よってこの差分が所定量V2以下であれば、端部は正確に検出できているとみなし、光ディスク空孔検出失敗フラグはONにしない。一方、この差分が所定値より大きければ、端部は正確に検出できていないとみなし、S337の判断では、S338で光ディスク空孔検出失敗フラグをONとして、記録位置として光ディスク空孔71の端部検出の結果を使用しない。
なおS334の判断の場合は、事前のS333で光ディスク51の搭載ミスがあると判断している。なので、このS334の判断の狙いとしては、光ディスク51の搭載ミスが本当に起きているか確認することである。S334にて、中心位置DCxと中心位置DCx2とのずれ量が所定量X2以下であれば、光ディスク51の搭載ミスの判断材料である光ディスク空孔71の中心算出精度あるいは端部検出精度は高く、判断の精度が高いとみなす。よって、S335で、搭載ミスが本当に起きていると判断し、記録媒体なしエラーとする。
一方、中心位置DCxと中心位置DCx2とのずれ量が所定量X2より大きければ、そもそも搭載ミスの判断材料としていた中心算出精度、ひいては端部検出精度が低く、判断の精度が低いと考えられる。よって、光ディスク51の搭載ミスが実際には起きていない可能性があるため、記録媒体なしエラーとはせず、S336で、光ディスク空孔検出失敗フラグをONとする。そして、S340で、第2反射部47Aの中心位置C1と第3反射部47Bの中心位置C2を基に算出した光ディスク想定中心位置C3(MCx、MCy)に基づいて記録位置を設定して記録を行う。
なお本実施形態では、端部検出精度の判定で、光学式センサ25Aがトレイ凹部41から光ディスク基板部72に出ていく方向に移動しながら検出した値と、逆に光ディスク基板部72からトレイ凹部41に入っていく方向に移動しながら検出した値を使用した。しかしこれに限らず、例えば光ディスク空孔端部検出の往復動作を2回行って、それぞれ求められる光ディスク中心位置を比較してもよい。また、その2回検出する往復動はそれぞれ、光学式センサを移動させる方向と直交する方向に向かって所定量ずれていてもよい。
<記録媒体が光ディスク以外の場合>
以下、記録媒体の種類が「光ディスク以外」の場合の記録動作について説明する。
図23は、本実施形態において記録媒体が光ディスク以外の場合の記録動作における処理を示したフローチャートである。本実施形態では、記録媒体としてネイルシールマウント53のネイルシール群54に記録を行う場合を説明する。以下、このフローチャートを用いて記録媒体が光ディスク以外の場合の記録動作における処理を説明する。
S204(図10参照)からS501(図23参照)に移行した場合、記録位置算出処理を行う。ここでは、検出した第2反射部47Aの中心位置C1および第3反射部47Bの中心位置C2を基に、ネイルシール群54の記録位置を算出する。本実施形態で記録するネイルシール群54は、光ディスク51に比べて記録ずれの許容量を大きく設定している。そこでネイルシール群54への記録では、ネイルシール群54自体を直接センサ検出せず、トレイ3の第2反射部47Aの中心位置C1および第3反射部47Bの中心位置C2を基にネイルシール群54の位置を想定して記録位置を決定している。
これにより、トレイ3の第2反射部47Aの中心位置C1および第3反射部47Bの中心位置C2から位置決め部までの公差等による記録ずれが発生するが、その記録ずれ量は許容範囲内に収められている。さらにネイルシール群54自体を直接センサ検出する動作を省くことで、記録開始までの時間を短縮することができる。
その後、S502で、設定した記録位置に基づきトレイ3を頭出し搬送する。続いてS503で、キャリッジ31の記録ヘッド12とネイルシール群54との位置を合わせて記録を開始する。S503の記録が終了すると、S504で、トレイ3を記録装置1の外部へと排出して、全体の記録動作が終了となる。
このように、光学式センサ25Aは、凹部41に対してずれた位置に記録媒体11が搭載されたトレイを第2搬送ローラ22が所定量搬送することで、第3反射部が露出して第3反射部を検知可能になる。これによって、記録ずれや装置汚染の発生を抑制することができる記録装置および記録方法を実現することができる。