以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明に係る画像形成システムの一実施形態としてのハードウェア概略構成を表すブロック図である。なお特に断らない限り、本発明の機能が実行されるのであれば、LAN、WAN等のネットワークを介して、接続が為され処理が行われるシステムであっても本発明を適応できる。同図に示すように、本実施例に係る画像形成システムは、印刷装置100と、ホストコンピュータ101とから構成される。印刷装置100とホストコンピュータ101とは、それぞれ通信回線105によって互いに接続されている。
ホストコンピュータ101は不図示の入力装置によるユーザからの入力情報を取得し、印刷装置100に送信するプリントジョブを作成し、印刷装置100へ送信することができる。コントローラ110(以下、制御部とも呼ぶ)は、各種データ処理を行い、印刷装置100の動作を制御する。操作パネル120は、タッチパネル方式でユーザからの各種操作を受け付ける。スキャナ130は、光学センサを用いて原稿文書をスキャンし、スキャン画像データを取得する。給紙装置140は、複数の給紙段から構成される給紙装置である。各給紙段には、各種印刷用紙(シート)を収容しておくことが可能である。各給紙段では、収納された用紙の最上位の用紙一枚のみを分離し、プリンタエンジン150へと搬送することが可能である。プリンタエンジン150は、画像データを印刷用紙に物理的に印刷する。
更に、読み取り装置160では、プリンタエンジン150によって印刷された印刷結果190を読み取って、コントローラ110へ印刷結果に関する読取データを出力する。コントローラ110は読取データに基づいて画像処理条件を生成したり、印刷装置100の画像形成条件を制御する。なお、本読み取り装置160の詳細は図4を用いて後述する。後処理装置170は複数の後処理装置から構成され、様々な処理を、印刷された印刷結果190に施すことが可能である。これらのメカ構成図の詳細については図2を用いて後述する。なお、紙検知センサ500は、給紙装置140、プリンタエンジン150、後処理装置170の搬送路に設けられた複数のフォトインタラプタである。シートがフォトインタラプタの発光部と受光部との間の光を遮ることで、シートの有無を検知する。コントローラ110は紙検知センサ500の検知結果をモニタすることによってシートが搬送路のどこにあるのか特定することができる。さらにコントローラ110は、所定のタイミングにおいて紙検知センサ500によりシートが検知されないことによってジャムの発生を検知する。
次にコントローラ110の構成について説明する。I/O制御部111は、外部ネットワークとの通信制御を行う。ROM112は、各種制御プログラムを記憶するROMである。RAM113は、ROM112に記憶された制御プログラムを読み出して記録するRAMである。CPU114は、RAM113に読み出された制御プログラムを実行し、画像信号や各種デバイスを統括的に制御するCPUである。HDD115は、画像データやプリントデータなどの大容量のデータを一時的あるいは長期的に保持する目的で使用されるHDDである。各モジュールはそれぞれシステムバス116を介して互いに接続される。さらにシステムバス116は、コントローラボックスと印刷装置100内の各デバイスとを互いに接続している。なおRAM113はCPU114の主メモリ、ワークメモリとしても機能する。また制御プログラムおよびオペレーティングシステムはROM112の他にもHDD115にも格納される。さらに、図示しないNVRAMを有し、操作パネル120からの印刷装置モード設定情報を記憶するようにしてもよい。
次に、印刷装置100の構成を、図2に示す断面図を用いて説明する。
図2はプリンタエンジン150、給紙装置140、後処理装置170を含めた全体のメカ断面図である。大きく分けると、151が画像形成装置本体であり、152が画像定着装置である。151と152を合わせて用紙への画像形成が行われる。
給紙装置140としては、画像形成装置本体151の右側に給紙装置201が接続されている。この給紙装置201は複数台接続可能であり2台目の大容量給紙装置202が更に右側に接続されている。各給紙装置には用紙を収納する給紙デッキ203を備えている。更に、画像形成装置本体151内にも給紙デッキ203を備えており、標準の給紙部として動作する。給紙された用紙は画像形成装置本体151へと送られ画像形成が行われる。また、1台目の給紙装置201は、エスケープトレイ204を備えており、給紙開始後に何らかのエラーを検知した場合には、給紙処理が始まってしまった用紙をエスケープさせる機構もある。例えば、給紙デッキ203には、シートが複数枚重なった状態で搬送される重送を検知する機能を有しており、重送を検知した場合には、通常の搬送路からエスケープトレイ用の搬送路へ切り替えてエスケープトレイ204へシートを排出する。
プリンタエンジン150は、給紙装置140から受け取った用紙に画像形成処理を施す。153は現像ユニットであり、カラー画像を形成するために、Y、M、C、Kの4つのステーションから構成されている。ここで形成された画像は中間転写ベルト155に一次転写され、中間転写ベルトは図を時計回りに回転し、二次転写位置154で用紙搬送路211から搬送されてきたシートへと画像が転写される。シートへと転写された画像は、画像形成装置本体151から画像定着装置152へと受け渡されて、画像定着装置152内の定着器156で加熱、加圧されることによりシートへ定着される。定着器156を抜けたシートは搬送路を通って後処理装置へと搬送される。シートの種類によって、定着のための加熱、加圧が追加で必要な場合は、定着器156を通過した後、上の搬送経路を使って第二定着器157へと搬送され、追加の加熱、加圧が施された後、後処理装置へと搬送される。画像形成モードが両面の場合は、シート反転パス212へとシートを搬送して反転した後、両面搬送路214へとシートが搬送され、再給紙が行われ、二次転写位置154で両面の2面目の画像形成が再度行われる。また、シート反転パス212の先にはエスケープトレイ213を備えており、シート搬送中にジャム等のエラーを検知した場合には、このエスケープトレイよりも上流に残っているシートの排出先をエスケープトレイ213に切り替えてシートを排出する。本構成におけるエスケープトレイ213は、通常の排紙先とは異なり、前ドアを開けないと排出されたシートを取り出すことができない。そのため、上述のようなエラーを検知した場合にのみ使われることが想定されている。
本実施例では、後処理装置170が複数接続されている場合を用いて説明する。後処理装置の種類としては、画像定着装置152の左側にシートインサート装置220、次いで、多穴パンチャ230が接続されており、さらに、大容量スタッカ240がタンデム接続されていて、最終段にフィニッシャ250が接続されている。
シートインサート装置220は、挿入したいシートを置く給紙トレイ221を備えており、プリンタエンジン150で画像形成されたシートが搬送されてくる中で、挿入すべきタイミングがきたらシートを挿入させ、後段の装置に搬送可能にしている。
多穴パンチャ230では、プリンタエンジン150から画像形成が完了したシートが搬送されてくると、多穴パンチを実行する指定が有った場合、シートは搬送路を切り替えて多穴パンチ実行用の搬送路に搬送される。その後、多穴パンチ用のダイ231で、凸の多穴パンチ用ダイと、凹の多穴パンチ受け用ダイに挟まれることによりパンチ穴が穿孔され、後段の装置に搬送可能にする。この多穴パンチ用のダイは変更可能であり、ユーザが都度最適なダイをセットする。一方で、多穴パンチを実行する指定が無かった場合は、搬送路を多穴パンチ実行用の搬送路に切り替えず、バイパス用の搬送路を通って、後段の後処理装置へと搬送可能に構成される。
次に、プリンタエンジン150で画像を印刷されたシートは、大容量スタッカ240に搬送される。ここで、本発明の実施例では、大容量スタッカ240に継続的な出力が可能となるように、大容量スタッカ240を2台接続した構成を採っている。機能面や動作的にも大容量スタッカ240は同等であるが、このように構成する事で、より長時間継続的に積載が可能となっている。ここでは、積載部やトレイの説明に関しては、大容量スタッカ240の1台目と2台目で差異がないため、1台目のみの説明を行う。この大容量スタッカ240は、積載部241とトップトレイ243とを備え、積載指示に応じて、受け取ったシートを積載部241に搬送するか、スルー用搬送路に搬送するか、トップトレイ243に搬送するかを決定する。大容量スタッカの積載部241への積載指示がある場合は、受け取ったシートを積載用搬送路に搬送させて、積載部241に排紙する。大容量スタッカのトップトレイ243への積載指示がある場合は、トップトレイ用搬送路に搬送させ、トップトレイ243に排紙する。大容量スタッカ240よりも下流の排紙先に積載する指示がなされていた場合は、スルー用搬送路に搬送して、後段の後処理装置へと搬送する。ここで、この大容量スタッカ240はエスケープトレイ244を備えており、用紙搬送中にジャム等のエラーを検知した場合には、このエスケープトレイよりも上流に残っている用紙の排出先をエスケープトレイ244に切り替えてシートを排出する。このエスケープトレイ244も、プリンタエンジン150に内蔵のエスケープトレイ213と同様に、大容量スタッカ240の前ドアを開かないと排出されたシートを取り出せない構造となっている。また、大容量スタッカ240は前カバーオープン指示を受け付けると、前カバー403を上方にスライドさせて開く。スタッカ内部では、積載部241を下降させ、積載部241に積載されている成果物を、イジェクトトレイ242に載せ換える。イジェクトトレイ242に成果物の載せ換えが完了すると、イジェクトトレイ242をスタッカ装置外にせり出すよう制御し、ユーザから成果物を取り出し可能にする。これと同時に、積載部241をリフトアップさせ再び積載物を積載可能な位置に戻す。そして排紙を受け付け可能な状態になると、大容量スタッカ240はコントローラ110に排紙を受け付け可能な状態に戻ったことを通知する。また、大容量スタッカ240は、イジェクトトレイ242に積載されている成果物が取り除かれたことを検知すると、再び自動でイジェクトトレイ242をスタッカ内に戻し、前カバーを閉じる。このような構成をとる事で、イジェクトトレイ242から成果物が取り除かれるまでの間も積載部241には継続的に出力が可能となり、より生産性の高い画像形成システムを構築可能となる。
次に、プリンタエンジン150で画像を印刷されたシートは、フィニッシャ250に搬送される。フィニッシャ250では、ユーザに指定された機能に応じ、印刷済み用紙に対して後処理を加える。具体的には、ステープル(1個所・2箇所綴じ)やパンチ(2穴・3穴)や中とじ製本等の機能を有する。フィニッシャ250には排紙トレイ251、252の2つの排紙トレイを有する。排紙トレイ251に排紙する場合にはステイプルやパンチの処理を行うことはできない。ステイプルやパンチの処理を行う場合、シート処理部254及び255でユーザに指定された後処理を実行した後、シートを排紙トレイ252へ出力される。排紙トレイ251と252は昇降することが可能であり、成果物の積載高さに応じて徐々に排紙トレイを下降することで、大量のシートを積載可能となっている。中とじ製本が指定された場合には中とじ処理部256で、シート中央にステイプルされた後、シートを二つ折りにして中とじ製本トレイ253へと出力される。中とじ製本トレイ253はベルトコンベア構成になっており、中とじ製本トレイ253上に積載された中とじ製本束は束が積載される毎に左側へ搬送可能な構成となっている。
以上のように、画像形成システムにて、給紙、印刷、後処理、排紙等の処理が実行される。なお、本実施形態では、印刷装置100が、4D(ドラム)タイプのカラーMFPの場合について説明するが、印刷装置100の構成はこれに限らず、白黒MFPでも、1D(ドラム)タイプのカラーMFPでもよい。
図3は、読み取り装置160とチャート311の模式図である。図2に示した通り、読み取り装置160は、紙搬送路上に配置される。本実施例では4つのセンサを使用した例を示しており、センサ301(a)、センサ301(b)、センサ301(c)、センサ301(d)がチャート311の搬送方向に直交する方向において並んでいる。また、チャート311には複数のテスト画像313が形成されている。チャート311上のテスト画像313の形成位置は、テスト画像313がセンサ301(a)、センサ301(b)、センサ301(c)、センサ301(d)の測定位置を通過するように、搬送方向に直交する方向に4列に並んで形成されている。
チャート311上のテスト画像313がセンサ301を通過する際に、センサ301はテスト画像313を測定する。1つのセンサが測定するのは、チャート上に配置されるテスト画像313のうちセンサ301の測定位置を通過するパッチのみである。そして、センサ301による測定結果(読取データ)が、コントローラ110に送信される。
センサ301による測定で得られる読取データは、例えば、分光値や色度値、濃度である。本実施例では、センサ301として、デバイスに非依存の色空間の値である、色度値(L*a*b*値)を取得可能な分光センサを例として説明する。センサ301は、測定前に所定の準備動作を必要とする。例えば、センサ301がコントローラ110と正常に接続されているかを確認する接続確認、照明光源の自己昇温が安定するまで強制的に発光を行う暖気動作、照明光源の光量調整を目標値に近づけるための光量調整動作などを行う。また、センサ301の読み取り動作の異常を検出するために、センサ301の近傍に位置する不図示の白色基準板を測定し、測定値が一定の基準範囲内に収まるか否かを確認する。コントローラ110は、これらの確認工程にて少なくとも1つのセンサ301の異常を検出すると、全てのセンサ301は使用不可であるものとして制御する。例えば、コントローラ110は、操作パネル120においてキャリブレーション機能の設定画面にて、調整用チャートの測定装置として読み取り装置160を使うような補正処理の実行ボタンを選択できないように表示内容を制御する。
本印刷装置100が具備するユーザインタフェース部の一例に該当する操作パネル120を、図4などを用いて説明する。
操作パネル120は、ハードキーによるユーザ操作を受付け可能なキー入力部402、ソフトキー(表示キー)によるユーザ操作を受付可能な表示ユニットの一例としてのタッチパネル401を有する。キー入力部402及び、タッチパネル401により入力されたユーザ操作に応じて、ユーザ設定やジョブの設定を入力可能に制御している。また、操作パネル120は、タッチパネル401においてユーザ操作を受け付けるだけでなく、ユーザ操作なしに、本印刷装置100の状態やユーザへの情報を表示可能に制御している。
以上のような構成を前提とし、本印刷装置100が具備する制御部の一例に該当するコントローラ(制御部)110は、以下に例示の制御を実行する。
通常のジョブを印刷中にジャムが発生した場合の制御フローを、図5のフローチャートを用いて詳細に説明する。ここで、各フローチャートは本実施形態においてコントローラ(以下、制御部)110によって実行される処理を示すフローチャートであり、各ステップはCPU114がROM112から読み出して実行することによって行われる。
まず、S501において制御部110は、紙検知センサ500の検知結果に基づいて印刷装置100においてジャムが発生したかどうかを検知する。そして、制御部110はジャムが検知された場合に処理をS502に移行する。
S502において制御部110は、紙検知センサ500の検知結果に基づいてジャムが発生したシートのページ番号とその位置を特定し、RAM113に保持して、S503に進む。
S503において制御部110は、S502で保持したジャム先頭紙の情報から、後続の滞留紙を特定し、各滞留紙を排紙可能なエスケープ排紙先を探索して、S504に進む。この滞留紙に対する処理の詳細は、S550以降のフローで後ほど詳しく説明する。
S504において制御部110は、S503で探索したとおり、各滞留紙の中でエスケープ可能なシートに対しては、各エスケープ先に排紙して、S505に進む。
S505において制御部110は、S503でエスケープ不可と判断された滞留紙についてはジャム処理対象シートとして扱い、図6に例示されるようなジャム処理画面を操作パネル120に表示して、オペレータにシートの除去を促し、S506に進む。
S506において制御部110は、ジャム処理対象シートが除去されたかどうかを検知し、ジャム処理対象シートが除去されたことを検知すると、S507に進む。S506において、前カバーが開かれた後前カバーが再び閉じられると、制御部110は紙検知センサ500の検知結果を取得し、ジャム紙が除去されたか否かを判定する。
S507において制御部110は、ジャム処理画面の表示を消して、ジャム先頭紙からのリカバリ印刷を再開し、一連の制御フローを終了する。
このように構成する事で、ジャム先頭紙以外で、搬送可能な滞留紙を、なるべく同じ排紙トレイに排紙する事が可能となり、オペレータがジャム処理を行う上で、ジャム紙の除去を簡便化できる。
ここで、S503におけるジャム検知後の滞留紙のエスケープ先探索の制御フローをS550からS562のフローで詳細に説明する。また、S503の時点での印刷装置100の搬送路内の滞留紙の一例を図7に示す。図7は、図2で例示した断面図を簡略化し、フィニッシャ250でジャムが発生した直後の本印刷装置100内の搬送路に滞留している滞留紙の位置を表した模式図である。本実施例では、フィニッシャ250でのジャム発生を例にとって説明するがこの限りでなく、他のエラーや他の装置内でのジャム発生でも良い。シート701がジャム先頭紙であり、シート702~715までが給紙デッキ203からピックアップして搬送中だった滞留紙となる。また、シート716は給紙デッキ203からのピックアップをしていない、これから給紙処理を開始する予定だったシートを示している。
次に、S503における詳細な制御フローをS550以降にて説明する。S550において制御部110は、S502で保持したジャム先頭紙の情報をもとに、ジャム先頭紙よりも下流の滞留紙に対しては、当初よりジョブに設定されている排紙先をエスケープ先としてそのまま保持し、S551に進む。
S551において制御部110は、S502で保持したジャム先頭紙の情報と、各搬送路に配置される紙検知センサ500の検知結果を元に、ジャム先頭紙よりも上流の滞留紙の枚数(K枚)とその位置(P)を取得してRAM113に保持し、S552に進む。図7の状態を例にとると、滞留紙の枚数は、ジャム先頭紙を除くと14枚となる。
S552において制御部110は、各滞留紙に対して順に排紙先を算出するために、滞留紙の番号としてN(1≦N≦K)を定義し、初期化を行ってS553に進む。ここで、本実施例では、N=1は最も下流側(ジャム先頭紙の次のシート)として、下流側から順にナンバリングした場合を想定するが、この限りでなく、どのシートを基準に考えてもよい。本実施例の図7の状態を例にとると、N=1はシート702となり、以降はシート703から順にNを割り振る。
S553において制御部110は、全ての滞留紙に対して排紙先の探索を終えたかどうか判断し、全ての滞留紙の確認が終わったら処理を終了し、未完了であればS554に進む。
S554において制御部110は、エスケープトレイを含む、排紙可能な全ての排紙トレイの数(L個)を取得し、更に、各排紙トレイの位置(T)を取得し、RAM113に保持してS555に進む。ここで、図7の状態を例にとると、フィニッシャの排紙トレイ251は搬送路内にジャム先頭紙が存在するため排紙不可と判断し、それ以外の排紙トレイ、及びエスケープトレイの数である9をLとして保持する。具体的には、給紙装置のエスケープトレイ204、プリンタエンジンのエスケープトレイ213、大容量スタッカのエスケープトレイ244及び248、積載部241及び245、トップトレイ243及び247、フィニッシャの排紙トレイ252である。
S555において制御部110は、各排紙トレイに対して順に排紙可能かどうかを判定するため、排紙トレイの番号としてMを定義し、初期化を行ってS556に進む。ここで、本実施例では、M=1は最も上流側(給紙装置側)として、上流側から順にナンバリングした場合を想定するが、この限りではない。例えば、下流側からナンバリングしてもよく、また、排紙可能な最大枚数の大きい順や、通常の排紙トレイよりもエスケープトレイを優先するようなナンバリングでも良い。本実施例の図7の状態を例にとって上流側からMを割り振ると、M=1は給紙装置のエスケープトレイ204となる。以降は、M=2から順にエスケープトレイ213、エスケープトレイ244、積載部241、トップトレイ243、エスケープトレイ248、積載部245、トップトレイ247、排紙トレイ252、の順にM=9まで割り振られる。
S556において制御部110は、全ての排紙トレイに対して排紙可否判定を行ったかどうかを判断し、全ての排紙トレイについて確認が終わった場合にはS561に進み、未判定のトレイがある場合は、S557に進む。
S557において制御部110は、S551およびS554にて保持した、N番目の滞留紙の位置(PN)と、M番目の排紙トレイの位置(TM)とを取得し、S558に進む。
S558において制御部110は、S557で取得したN番目の滞留紙の位置(PN)と、M番目の排紙トレイの位置(TM)とを比較し、滞留紙の方が下流にあれば、S560に進み、滞留紙の方が上流にあれば、S559に進む。
S559において制御部110は、M番目の排紙トレイがN番目の滞留紙を排紙可能なトレイであると判断し、N番目のシートのエスケープ先をM番目の排紙トレイとしてRAM113に保持してS562に進む。
S560において制御部110は、M番目の排紙トレイはN番目の滞留紙を排紙できないトレイであると判断し、次のトレイに対する判断を行うためにMに1を加算してS556に戻る。
S561において制御部110は、N番目の滞留紙に対するエスケープ可能な排紙トレイがなかったと判断し、N番目のエスケープ先は「無し」、つまり、オペレータによるジャム処理が必要な用紙としてRAM113に保持してS562に進む。
S562において制御部110は、N番目の滞留紙に対するエスケープ先の有無が決定したと判断し、次の滞留紙をチェックするためにNに1を加算してS553に戻る。
このように構成する事で、全ての滞留紙に対して、上流側(つまり滞留紙に対して最も近い方)から順にエスケープ先を選定する事が可能となり、エスケープ中のさらなるジャム等のエラーがなるべく起きないようにエスケープ先を選定可能となる。具体的には、図7の状態を例にとると、N=1のシート702は、フィニッシャの排紙トレイ252を選定する。シート703~シート704は大容量スタッカ内のエスケープトレイ248を選定し、シート705~708はエスケープトレイ244を選定する。更にシート709~712はプリンタエンジン150内のエスケープトレイ213を選定し、シート713~715は給紙装置201のエスケープトレイ204を選定する。ただし、エスケープ先の選定方法はこの限りでなく、オペレータがチェックするべきエスケープ先をなるべく単一にできるように制御してもよい。具体的には、下流側の排紙トレイから順に排紙可能かどうかをチェックし、最も下流の排紙トレイになるべく滞留紙全てが集まるよう制御してもよい。更に、滞留紙のエスケープ先の選定方法として、通常の排紙トレイよりもエスケープトレイを優先して選択するよう制御する事で、通常の印刷ジョブで排紙された成果物となるべく混在しないよう制御してもよい。また、本実施例では、滞留枚数ごとに、各排紙トレイへの排紙可能かどうかを順に見るような制御としたが、この限りでなく、排紙トレイごとに、各滞留紙が排紙可能かどうかを順に見るような制御フローでも良い。
本発明に好適な実施例として、読み取り装置160で読み取りを行う複数枚のチャートを印刷中にエラーが発生した場合のエラー処理として特徴的なフローを、図8のフローチャートを用いて詳細に説明する。ここで、各フローチャートは本実施形態においてコントローラ(以下、制御部)110によって実行される処理を示すフローチャートであり、各ステップはCPU114がROM112から読み出して実行することによって行われる。また、ジャム発生直後の滞留紙の一例として、通常ジョブでの制御フローの説明と同じく、フィニッシャ内でジャムが発生した場合を例にとって説明する。
まず、S801~S804の制御は、S501~S504の制御と同等であるため詳細な説明を省略する。ただし、S803における詳細な制御処理はS503と異なるため、S550以降の制御フローの説明と同様、S850以降の制御フローを用いて詳細を後ほど説明する。
S805において制御部110は、後述のS865で設定される未印字ページ継続印刷フラグを取得し、継続印刷フラグがONの場合にはS806に進み、継続印刷フラグがOFFの場合はS808に進む。
S806において制御部110は、後述のS865で保持された未印字ページの排紙先を取得して、未給紙ページを含む、未印字のインラインセンサでの読み取りジョブの印刷処理を継続し、S807に進む。
S807において制御部110は、未印字ページの印刷が完了したかどうかを判断し、未印字ページの印刷が完了したと判断した場合にはS808に進む。
S808において制御部110は、S505と同様、S803にてエスケープ不可と判断された滞留紙についてはジャム処理対象シートとして扱い、図6に例示されるようなジャム処理画面を操作パネル120に表示してS809に進む。
S809において制御部110は、S506と同様、ジャム処理対象シートが除去されたかどうかを検知し、ジャム処理対象シートが除去されたことを検知すると、S810に進む。
S810において制御部110は、S808にて操作パネル120に表示していたジャム処理表示画面を消して、S811に進む。
S811において制御部110は、S805と同様、後述のS865にて保持された未印字ページ継続印刷フラグを取得し、ONの場合にはS812に進み、OFFの場合にはS813に進む。
S812において制御部110は、未印字ページ継続印刷フラグをOFFにしてクリアし、インラインセンサで読み取りを行っていないページがある場合には、未読み取りの先頭ページからリカバリ印刷を再開し、一連の制御フローを終了する。
S813において制御部110は、ジャム先頭紙のページからリカバリ印刷を再開し、一連の制御フローを終了する。
このように構成する事で、インラインセンサ読み取りジョブにおいて、継続印刷が可能な排紙先がある場合には、全ての未印字ページを印刷してからジャム処理画面を表示する事が可能となる。そのため、インラインセンサで読み取りを行うジョブを印刷中に、ジャムが発生し、且つ、ジャム位置よりも上流に排出可能な排紙先があった場合には、すぐにはジャム表示をせず、印刷処理、およびインラインセンサでの読み取り処理を継続可能となる。よって、インラインセンサの準備動作を実行後、ジャムが発生したとしても、後続ページの読み取りに影響が出ることがなく、精度の高い読み取りを継続することができる。そのため、インラインセンサの準備動作を再実施する必要も、インラインセンサで読み取るジョブを先頭からやり直す必要もなくなり、生産性を落とすことなく、消耗品の消費や各種パーツの消耗度を抑えることが可能となる。
次に、S803における詳細な制御フローをS850以降のフローを用いて説明する。ここで、S850~S858はS550~S558と同等であるため詳細な説明を省略する。
S859において制御部110は、ジャムが発生したジョブが、インラインセンサでの読み取りを行うジョブかどうかを判断し、読み取りを行うジョブの場合にはS860に進み、読み取りを行わないジョブの場合にはS866に進む。
S860において制御部110は、インラインセンサが配置されている位置(S)を取得してRAM113に保持し、S861に進む。
S861において制御部110は、N番目の滞留紙の位置(PN)とインラインセンサの位置(S)を比較し、滞留紙の方が上流にある場合には、未読み取りの滞留紙と判断して、継続して読み取りを行えるかどうかを判断するためにS862に進む。滞留紙の方が下流にある場合にはインラインセンサで読み取り済みのため、通常の印刷ジョブでのジャム時と同様、エスケープ可能な排紙先であればよいと判断してS866に進む。
S862において制御部110は、M番目の排紙トレイの位置(TM)とインラインセンサの位置(S)を比較し、排紙トレイの方が上流にある場合には、エスケープトレイとしては利用可能だが読み取りは出来ない排紙先であると判断してS863に進む。排紙トレイの方が下流にある場合には、インラインセンサで読み取りを行いながら更にエスケープも可能なトレイとして判断し、S865に進む。
S863において制御部110は、M番目の排紙トレイをエスケープ可能だがインラインセンサで読み取りは出来ない排紙先であるため、エスケープ排紙先の候補としてRAM113に保持し、S864に進む。
S864において制御部110は、S560と同様、次のエスケープ排紙先の候補を探索するためにMに1を加算してS856に戻る。
S865において制御部110は、M番目の排紙トレイは、N番目のページのみならず、未印字や未給紙のページに対してもインラインセンサで読み取りを行いながら、且つ、エスケープ可能な排紙トレイと判断し、未印字ページ継続印刷フラグをONにする。更に、M番目の排紙トレイを未印字や未給紙のページに対する排紙先としてRAM113に保持し、S866に進む。
S866において制御部110は、S559と同様、M番目の排紙トレイがN番目の滞留紙を排紙可能なトレイであると判断し、N番目のシートのエスケープ先をM番目の排紙トレイとしてRAM113に保持してS867に進む。
S867において制御部110は、S863にてRAM113に保持していたエスケープ排紙先候補の情報をクリアし、S868に進む。
S868において制御部110は、S562と同様、N番目の滞留紙に対するエスケープ先の有無が決定したと判断し、次の滞留紙をチェックするためにNに1を加算してS853に戻る。
S869において制御部110は、S863にてRAM113に保持される可能性のあるエスケープ排紙先候補の情報を取得し、エスケープ排紙先候補が設定されていればS870に進み、設定されていなければS871に進む。
S870において制御部110は、N番目の滞留紙に対して、インラインセンサで読み取りを行わずに排紙のみ可能なエスケープ先があったと判断し、S863にて保持されたエスケープ候補の排紙先をN番目の滞留紙の排紙先として設定し、S867に進む。
S871において制御部110は、S561と同様、N番目の滞留紙に対するエスケープ可能な排紙トレイがなかったと判断し、エスケープ先を「無し」、つまり、オペレータによるジャム処理が必要なシートとしてRAM113に保持してS868に進む。
このように構成する事で、インラインセンサで読み取りを行うジョブに対しては、読み取りを行いながらエスケープも可能な排紙先を優先して探索することが可能となる。
図9は、ジャム紙の位置と滞留紙の搬送先との関係を示した表である。なお、シート706がジャムした場合、シート701はフィニッシャ250の排紙トレイ251、シート702はフィニッシャ250の排紙トレイ252へ搬送される。同様に、シート703~704は大容量スタッカ240のエスケープトレイ248へ搬送され、シート705は大容量スタッカ240のエスケープトレイ244へ搬送される。一方、シート706~708はシートを搬送できないのでエスケープ先がない。そして、シート709~712はエスケープトレイ213へ搬送され、シート713~715はエスケープトレイ204へ搬送される。
また、シート714がジャムした場合、シート701はフィニッシャ250の排紙トレイ251、シート702はフィニッシャ250の排紙トレイ252へ搬送される。同様に、シート703~704は大容量スタッカ240のエスケープトレイ248へ搬送され、シート705~712は大容量スタッカ240のエスケープトレイ244へ搬送される。そして、シート713はエスケープトレイ204へ搬送される。シート714~715はシートを搬送できないのでエスケープ先がない。給紙装置140においてジャムが発生した場合には全てのチャートを読み取ることができない可能性がある。そのため、ジャムが除去された後、制御部110はジャムによって読み取れなかったチャートの再印刷を実行して読み取りデータを取得し直す。
本実施例において、排紙トレイ251はチャート313を排出する排出部の一例である。本実施例において、エスケープトレイ204、213、241、243、244、245、247、及び258はチャート311が積載されるバッファ部の一例である。エスケープトレイ244と読み取り装置160との間の所定位置よりも上流にてジャムが検知された場合、制御部110はテスト画像313の形成を停止すると共にタッチパネル401にジャム画面を表示する。一方、所定位置より下流にてジャムが検知された場合、制御部110はテスト画像313の形成を続けながらチャート311をエスケープトレイ244へ搬送させ、チャート311の読み取りが完了してからタッチパネル401にジャム画面を表示する。これによって、所定位置より下流にてジャムが発生した場合にはチャート311をエスケープトレイ244へ搬送しながら調整機能を実行することが可能である。
また、本実施例では、未印字ページのインラインセンサでの読み取りジョブに対して、各滞留紙の位置とインラインセンサの位置と排紙トレイの位置のみで判断したがこの限りではない。例えば、排紙トレイに排紙できなくも、インラインセンサの下流の搬送路まで搬送できるように、一時的にインラインセンサよりも下流にある滞留紙の間隔を狭めるよう制御してもよい。また、排紙トレイではなく、後処理装置内の別の搬送路が存在する場合には、滞留紙及び未印字ページの搬送先を後処理装置内の別の搬送路に切り替えるよう制御してもよい。このように構成する事で、インラインセンサで読み取るジョブは可能な限り継続読み取りを行う事ができるようになる。そのため、インラインセンサの準備動作を実行後、ジャムが発生したとしても、後続ページの読み取りに影響が出ることがなく、精度の高い読み取りを継続することができる。そのため、インラインセンサの準備動作を再実施する必要も、インラインセンサで読み取るジョブを先頭からやり直す必要もなくなり、生産性を落とすことなく、消耗品の消費や各種パーツの消耗度を抑えることが可能となる。