JP7144039B2 - 重症熱性血小板減少症候群ウイルス抗体検出キット及び重症熱性血小板減少症候群ウイルス抗体検出方法 - Google Patents

重症熱性血小板減少症候群ウイルス抗体検出キット及び重症熱性血小板減少症候群ウイルス抗体検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、重症熱性血小板減少症候群ウイルス抗体検出キット及び重症熱性血小板減少症候群ウイルス抗体検出方法に関する。
重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome、以下「SFTS」ともいう)は、ブニヤウイルス科フレボウイルス属のSFTSウイルス(以下「SFTSV」ともいう)によるマダニ媒介性の新興感染症である。SFTSの感染例が中国、韓国及び日本で報告されている。日本では現在までに300名以上の感染が確認されており、致死率は約20%と高く、特に高齢者で致死率が高い傾向がある。
現在、SFTSの診断は、非特許文献1に開示されたように、SFTSV遺伝子検出法及びSFTSV抗体検出法で主に行われる。SFTSV遺伝子検出法では、本症の疑いのある患者の血液検体を対象としたRT-PCR法が用いられる。SFTSV抗体検出法では、急性期及び回復期のペア血清について、SFTSV感染細胞と非感染細胞とを所定の比で混合し、これを抗原とした間接蛍光抗体法により、SFTSVに対するIgG抗体価又はIgM抗体価が測定される。
福士秀悦、外5名、「重症熱性血小板減少症候群の検査法」、病原微生物検出情報、感染研感染症疫学センター、2014年2月、第35巻、第2号(No.408)、p.10-11
上記のSFTSV遺伝子検出法は、専用の検査設備と高度な技術を必要とし、一般的な検査室では実施できない。また、血液検体からのRNAの抽出、逆転写反応及び遺伝子増幅等、結果を得るまでのステップが多くて煩わしく、時間を要する。SFTSV遺伝子検出法は、保健所経由で衛生研究所に輸送された血液検体を対象に実施されるため、検体の輸送にも時間がかかり、結果が得られるまでの迅速性に欠ける。
また、上記のSFTSV抗体検出法においては、ペア血清の準備及びSFTSV感染細胞と非感染細胞とを混合するステップを要する。さらに、SFTSVに対する間接蛍光抗体法に用いる試薬は市販されておらず、SFTSV遺伝子検出法と同様に、血液検体の衛生研究所への輸送に時間がかかる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、簡便かつ迅速に重症熱性血小板減少症候群ウイルス抗体を検出できる重症熱性血小板減少症候群ウイルス抗体検出キット及び重症熱性血小板減少症候群ウイルス抗体検出方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点に係る重症熱性血小板減少症候群ウイルス抗体検出キットは、
重症熱性血小板減少症候群ウイルスの第1の組換え核タンパク質が固定化された担体と、
重症熱性血小板減少症候群ウイルスの標識された第2の組換え核タンパク質と、
を備え
前記第1の組換え核タンパク質及び前記第2の組換え核タンパク質のアミノ酸配列は、
配列番号1に示されるアミノ酸配列である。
また、前記担体は、
ELISA用プレートに設けられたウェルである、
こととしてもよい。
また、前記第2の組換え核タンパク質は、
西洋ワサビペルオキシダーゼで標識されている、
こととしてもよい。
また、前記担体は、
血液検体に暴露される検体反応部及び前記血液検体に含まれる重症熱性血小板減少症候群ウイルスの核タンパク質に対する抗体を捕捉する捕捉部を有するクロマトグラフ媒体であって、
前記検体反応部は、前記第2の組換え核タンパク質を有し、
前記捕捉部には、前記第1の組換え核タンパク質が固定化されている、
こととしてもよい。
また、前記第2の組換え核タンパク質は、
金コロイドで標識されている、
こととしてもよい。
本発明の第2の観点に係る重症熱性血小板減少症候群ウイルス抗体検出方法は、
担体に固定化された重症熱性血小板減少症候群ウイルスの第1の組換え核タンパク質に捕捉された血液検体に含まれる重症熱性血小板減少症候群ウイルスの核タンパク質に対する抗体を、前記抗体に結合した、重症熱性血小板減少症候群ウイルスの標識された第2の組換え核タンパク質を介して検出し、
前記第1の組換え核タンパク質及び前記第2の組換え核タンパク質のアミノ酸配列は、
配列番号1に示されるアミノ酸配列である。
本発明によれば、簡便かつ迅速に重症熱性血小板減少症候群ウイルス抗体を検出できる。
本発明の実施の形態2に係るクロマトグラフ媒体の構成を示す図である。(A)はクロマトグラフ媒体の上面図を示す。(B)はクロマトグラフ媒体の(A)に示すX-X’破線で切断し、分解したクロマトグラフ媒体の矢視図を示す。 実施例1に係る症例M2について、酵素結合免疫吸着法(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay、以下では「ELISA」という)において固相化するrNP溶液のrNPの濃度に対する吸光度を示す図である。 実施例1に係る症例M4について、ELISAにおいて固相化するrNP溶液のrNPの濃度に対する吸光度を示す図である。 実施例2において、健常人の血清を対象として、実施例1で構築したELISAで測定した吸光度の分布を示す図である。 実施例2において、実施例1で構築したELISAで測定した検体のカットオフ値に対する吸光度を示す図である。(A)は症例M1の血清を含む検体に係る結果を示す図である。(B)は症例M2の血清を含む検体に係る結果を示す図である。(C)は症例M6の血清を含む検体に係る結果を示す図である。 実施例1で構築したELISAによる抗NP抗体測定の特異性を示す図である。(A)は症例M1に係る結果を示す図である。(B)は症例M2に係る結果を示す図である。(C)は症例M6に係る結果を示す図である。(D)はウサギ抗NP血清に係る結果を示す図である。 実施例4におけるイムノクロマトグラフィーによる抗NP抗体の検出結果を示す図である。 回復期血清を含む検体に関する実施例5に係るイムノクロマトグラフィーの結果を示す図である。 急性期血清を含む検体に関する実施例5に係るイムノクロマトグラフィーの結果を示す図である。
本発明に係る実施の形態について説明する。なお、本発明は下記の実施の形態によって限定されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態に係るSFTSV抗体検出キットは、血液検体に含まれるSFTSVの核タンパク質(以下「NP」とする)に対する抗体(以下「抗NP抗体」という)を検出するためのキットである。血液検体に抗NP抗体が検出された場合、被検者はSFTSVに感染している又は感染していた、すなわち、SFTSである又はSFTSであったと診断される。血液検体は、被検者の全血であってもよく、被検者の血液に含まれる血清及び血漿等の成分であってもよい。また、血液検体は、被検者の全血、血清及び血漿等の成分を緩衝液等で希釈したものであってもよい。
SFTSVは、1本鎖RNAウイルスである。SFTSVのゲノムRNAは、L分節、M分節及びS分節の3分節で構成される。NPは、非構造タンパク質とともにS分節にコードされている。
SFTSV抗体検出キットは、SFTSVの(第1の)組換えNP(以下「rNP」とする)が固定化された担体と、SFTSVの標識された(第2の)rNPと、を備える。rNPは、人為的に発現させたNPであって、SFTSVの種々の株におけるNPのアミノ酸配列を有するものであれば特に限定されない。
rNPは、公知の方法で構築される発現系で発現させることができる。発現系は、例えば、SFTSVのNPをコードする遺伝子を組み込んだ発現ベクターを導入した細胞である。好ましくは、発現系は大腸菌で構築される。発現系で発現されたrNPは、好ましくはアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー及びゲルろ過クロマトグラフィー等の任意の精製方法によって精製される。好適には、His tagがC末端に付加されたrNPがアフィニティークロマトグラフィーで精製される。
上記の担体は、特に限定されないが、ポリスチレン等のポリマー、ガラスビーズ、マイクロプレート及びクロマトグラフ媒体等の不溶性担体等である。rNPは、常法で担体に固定化される。本実施の形態に係るSFTSV抗体検出キットは、ELISAで血液検体中の抗NP抗体を検出する。このため、担体としてELISA用プレートを用いる。
rNPは、ELISA用プレートに設けられたウェル内に固定化される。ELISA用プレートとしては、例えば、タンパク質を吸着する表面処理がなされた市販のELISA用プレートを用いることができる。この場合、各ウェルに適量のrNP溶液を添加し、低温、例えば4℃で数時間、好ましくは10~20時間静置することで、ELISA用プレートに設けられたウェル内にrNPを固相化できる。rNPを固定化したウェルには、適宜、非特異的な結合を低減するためのブロッキング処理が施される。
上記担体に固定化されるrNPの濃度は特に限定されず、例えば、適用する血液検体の希釈倍率に応じて適宜調製される。血液検体として適切な溶媒で100~500倍に希釈した被検者の血清を用いる場合、例えば、96ウェルプレートの各ウェルには、2~5μg/mL、好ましくは2.2~4μg/mL、より好ましくは2.3~3.5μg/mL、特に好ましくは2.5~3μg/mLの濃度のrNP溶液が固定化される。
一方、血液検体として適切な溶媒で10~50倍に希釈した被検者の血清を用いる場合、例えば、96ウェルプレートの各ウェルには、1~5ng/mL、好ましくは2~4ng/mL、より好ましくは2.5~3.5ng/mL、特に好ましくは3ng/mLの濃度のrNP溶液が固定化される。
担体に固定化された抗NP抗体捕捉用のrNPとは別に、抗NP抗体検出用のrNPとしてrNPが標識される。rNPは、市販のキット等を用いて公知の方法で標識できる。rNPを標識する物質としては、アルカリホスファターゼ及び西洋ワサビペルオキシダーゼ(Horseradish peroxidase:HRP)等の酵素、放射性同位体、蛍光物質及び発光物質等を用いることができる。好ましくは、rNPはHRPで標識される。以下では、担体に固定化された抗NP抗体捕捉用のrNP及び抗NP抗体検出用の標識されたrNPを、それぞれ“捕捉用rNP”及び“検出用rNP”という。
捕捉用rNP及び検出用rNPのアミノ酸配列は、SFTSVのNPのアミノ酸配列であれば特に限定されない。好適には、rNPのアミノ酸配列は、国内で分離されたSFTSV株SPL030AのrNPのアミノ酸配列である(配列番号1)。なお、精製のためにrNPにHis tagを付加する場合、His tagはrNPのアミノ酸配列に含まないものとする。また、捕捉用rNP及び検出用rNPのアミノ酸配列は、それぞれSFTSVの異なる株由来のアミノ酸配列であってもよいが、好ましくは同一である。
本実施の形態に係るSFTSV抗体検出キットは、例えば、rNPを標識する酵素の基質、発色剤、色素及び緩衝液等をさらに含んでもよい。検出用rNPをHRPで標識した場合、好ましくは、SFTSV抗体検出キットはHRPの発色反応に用いる基質を含む。
続いて、本実施の形態に係るSFTSV抗体検出方法について説明する。当該SFTSV抗体検出方法は、担体に固定化された捕捉用rNPに捕捉された血液検体に含まれるSFTSVのNPに対する抗NP抗体を、抗NP抗体に結合した、検出用rNPを介して検出する。
より詳細には、当該SFTSV抗体検出方法は、第1の反応ステップ、第2の反応ステップ及び検出ステップを含む。第1の反応ステップでは、担体に固定化された捕捉用rNPを血液検体に暴露する。第1の反応ステップの条件は、常法に従えばよいが、室温で5分間~4時間、好ましくは2時間である。これにより、血液検体に含まれる抗NP抗体が抗原抗体反応によって捕捉用rNPに結合することで捕捉される。続いて、洗浄液で担体を洗浄し、未反応の物質等を除去してもよい。
第2の反応ステップでは、捕捉用rNPに捕捉された抗NP抗体を、検出用rNPに結合させる。第2の反応ステップの条件は、常法に従えばよいが、室温で3分間~3時間、好ましくは1時間である。続いて、洗浄液で担体を洗浄し、未反応の検出用rNP等を除去する。
検出ステップでは、捕捉用rNPに捕捉された抗NP抗体を、当該抗NP抗体に結合した検出用rNPを介して検出する。例えば、検出用rNPをHRPで標識した場合、基質とHRPとを反応させ、吸光度を測定する。吸光度によって、検出用rNP、すなわち検出用rNPに結合した抗NP抗体を検出又は定量できる。血液検体から抗NP抗体が検出されたことは、被検者からSFTSVが検出されたことを意味する。
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係るSFTSV抗体検出キットは、上述の急性期及び回復期のペア血清の準備及びSFTSV感染細胞と非感染細胞の混合が不要で、かつ二次抗体を使用せずにSFTSV抗体としての抗NP抗体を検出できる。よって、簡便かつ迅速に抗NP抗体を検出できる。当該SFTSV抗体検出キットは、下記実施例2に示すように、高い特異性及び感度で抗NP抗体を検出できる。
さらに、当該SFTSV抗体検出キットは、急性期及び回復期のいずれの血清からも抗NP抗体を検出できる。近年、SFTSに有効なSFTS治療薬が開発されつつある。当該SFTS治療薬は発症早期での投与が望ましいとされている。当該SFTSV抗体検出キットは、SFTS治療薬による早期治療のためのコンパニオン診断にも有用である。
(実施の形態2)
本実施の形態に係るSFTSV抗体検出キットは、ELISAではなく、イムノクロマトグラフィーで血液検体中の抗NP抗体を検出する。このため、SFTSV抗体検出キットは、担体としてクロマトグラフ媒体10を備える。
図1(A)はクロマトグラフ媒体10の構成を示す図である。図1(A)に示されたX-X’破線でクロマトグラフ媒体10を切断し、分解したクロマトグラフ媒体10を矢視したときの状態を図1(B)に示す。クロマトグラフ媒体10は、サンプルパッド1、コンジュゲートパッド2、メンブレン3、吸収パッド4及びバッキングシート5を備える。
サンプルパッド1は、血液検体が滴下される部材である。サンプルパッド1は、サンプルパッド1に滴下された血液検体が浸透する媒体であれば、任意の媒体で形成される。サンプルパッド1は、コンジュゲートパッド2に接している。
検体反応部としてのコンジュゲートパッド2は、検出用rNPを有する。当該検出用rNPは、公知の方法によって、例えば金コロイドで標識されている。コンジュゲートパッド2は、サンプルパッド1と接する面の反対側の面でメンブレン3と接している。
メンブレン3は、例えば、ニトロセルロースシート等のイムノクロマトグラフ用濾紙である。メンブレン3は、捕捉用rNPが固定化された捕捉部31を有する。捕捉用rNPは、メンブレン3の表面に直線状に塗布することでメンブレン3に固定化される。捕捉部31は、血液検体に含まれる抗NP抗体を捕捉する。
メンブレン3に固定化されるrNPの濃度は特に限定されず、例えば、適用する血液検体の希釈倍率に応じて適宜調製される。血液検体として適切な溶媒で10~50倍に希釈した被検者の血清を用いる場合、例えば、捕捉部31に直線状に塗布されるrNP溶液の濃度は、0.1~10μg/cm、好ましくは0.5~5μg/cm、より好ましくは1~3μg/cm又は1~1.5μg/cm、特に好ましくは1.25μg/cmである。
また、メンブレン3は、検出用rNPに対する抗体を表面に直線状に塗布し固定したコントロールライン32を有する。コントロールライン32に固定化された抗体は、例えば、抗NPウサギIgG抗体、抗NPヤギIgG抗体、抗NPウサギIgM抗体及び抗NPニワトリIgM抗体等である。当該抗体は、動物に抗原としてのrNPを免疫し、公知の方法で作製できる。
メンブレン3に固定化される抗体の濃度は特に限定されず、例えば、適用する血液検体の希釈倍率に応じて適宜調製される。血液検体として10~50倍に適切な溶媒で希釈した被検者の血清を用いる場合、例えば、コントロールライン32に直線状に塗布される抗体の濃度は、0.1~10μg/cm、好ましくは0.3~5μg/cm、より好ましくは0.5~3μg/cm、特に好ましくは1μg/cmである。
メンブレン3は、コンジュゲートパッド2と接する面と同じ面で吸収パッド4と接している。吸収パッド4は、サンプルパッド1に滴下された血液検体を吸い上げる。吸収パッド4は、液体を速やかに吸収保持できるものであればよく、例えば、濾紙、綿布、ポリエチレン又はポリプロピレン等からなる不織布等を吸収パッド4に用いることができる。
メンブレン3は、コンジュゲートパッド2と接する面の反対側の面でバッキングシート5に貼り付けられている。バッキングシート5は、サンプルパッド1、コンジュゲートパッド2、メンブレン3、及び吸収パッド4を固定する台紙である。サンプルパッド1、コンジュゲートパッド2、メンブレン3及び吸収パッド4は、上から図1(B)に示す順番でバッキングシート5の表面に固定される。
続いて、本実施の形態に係るSFTSV抗体検出方法について説明する。当該SFTSV抗体検出方法は、第1の反応ステップ、第2の反応ステップ及び検出ステップを含む。第1の反応ステップでは、コンジュゲートパッド2に保持された検出用rNPを血液検体に暴露する。より詳細には、サンプルパッド1に反応用緩衝液に混合された血液検体が滴下されると、血液検体は毛細管現象によってコンジュゲートパッド2へ浸透する。そして、コンジュゲートパッド2に保持された検出用rNPと血液検体に含まれる抗NP抗体とが抗原抗体反応によって結合して、検出用rNPと抗NP抗体との複合体(検出用rNP-抗NP抗体複合体)が形成される。検出用rNPと抗NP抗体との複合体は、毛細管現象でメンブレン3を移動する。
第2の反応ステップでは、検出用rNPに結合した抗NP抗体を、メンブレン3に固定化された捕捉用rNPに捕捉させる。これにより、検出用rNPと抗NP抗体と捕捉用rNPとの複合体(検出用rNP-抗NP抗体-捕捉用rNP複合体)が形成される。検出用rNP-抗NP抗体-捕捉用rNP複合体は、捕捉部31のメンブレン3上に直線状に固定された捕捉用rNPに堰き止められる。第1の反応ステップにおいて、抗NP抗体と複合体を形成しなかった検出用rNPは、捕捉部31で捕捉されずに、コントロールライン32に達する。コントロールライン32において、抗NP抗体と複合体を形成しなかった検出用rNPは検出用rNPに対する抗体によって捕捉される。
検出ステップでは、捕捉用rNPに捕捉された血液検体に含まれる抗NP抗体を、該抗NP抗体に結合した検出用rNPを介して検出する。捕捉部31には、検出用rNP-抗NP抗体-捕捉用rNP複合体の検出用rNPが有する金コロイドが濃縮されるため、捕捉部31が直線状に呈色する。目視で呈色を判定することで、抗NP抗体を検出できる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係るSFTSV抗体検出キットは、イムノクロマトグラフィーを用いることで、さらに簡便かつ迅速に抗NP抗体を検出できる。当該SFTSV抗体検出キットは、下記実施例5に示すように、急性期及び回復期のいずれの血清からも高い特異性及び感度で抗NP抗体を検出できる。
なお、本実施の形態に係るSFTSV抗体検出キットは、サンプルパッド1を備えることとしたが、サンプルパッド1を省いた構成でもよい。この場合、コンジュゲートパッド2に血液検体を滴下すればよい。
また、SFTSV抗体検出キットは、コンジュゲートパッド2を備えない構成、すなわちハーフストリップの構成をとることもできる。ハーフストリップの構成とする場合、例えば、SFTSV抗体検出キットは、サンプルパッド1、メンブレン3、及び吸収パッド4を備えるクロマトグラフ媒体10と、試薬として検出用rNPとを備える。当該SFTSV抗体検出キットを用いたSFTSV抗体検出方法では、まず、検出用rNPが血液検体に加えられて検体が調製される。当該検体中では、血液検体に含まれていた抗NP抗体が検出用rNPと反応し、検出用rNP-抗NP抗体複合体が形成される。
続いて、当該検体がサンプルパッド1に滴下されると、検出用rNPと抗NP抗体との複合体は、毛細管現象でメンブレン3を移動する。そして、検出用rNPに結合した抗NP抗体を、メンブレン3に固定化された捕捉用rNPに捕捉させる。これにより、検出用rNP-抗NP抗体-捕捉用rNP複合体が形成される。検出用rNP-抗NP抗体-捕捉用rNP複合体は、捕捉部31で上記のように捕捉される。
なお、サンプルパッド1から捕捉部31までの長さは、滴下する血液検体の量及び濃度等によって適宜設定される。また、本実施の形態では、サンプルパッド1に血液検体が滴下されることとしたが、サンプルパッド1を血液検体に浸してもよい。
本実施の形態に係るSFTSV抗体検出キットは、簡便に使用するために、上記SFTSV抗体検出キットの構成が一体となったカセット型又はカートリッジ型の検出キットであることが好ましい。
なお、血液検体から抗NP抗体が検出されることは被検者のSFTSVへの感染あるいは既往を示すため、上記実施の形態1及び実施の形態2に係るSFTSV抗体検出キットは、SFTSV検出キットとして使用されてもよい。また、上記実施の形態1及び実施の形態2に係るSFTSV抗体検出キットは、SFTS診断キットとして使用されてもよい。また、当該SFTSV抗体検出キットは、感染急性期におけるベッドサイドでの迅速診断を実現し、発症早期の投与が望ましいとされる上記SFTS治療薬のコンパニオン診断としても有用である。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。実施例において臨床検体として、同意の得られた患者4名の血清を用いた。健常人血清にはNormal serum 60検体(Noeton社製)を用いた。
実施例1:抗NP抗体測定用のELISAの検討
(SFTSVのNPをコードする遺伝子の増幅及び発現ベクターへの組み込み)
SFTSV株SPL030Aの全cDNA(国立感染症研究所より取得、Accession No.AB818000)を鋳型に用い、NP遺伝子を増幅した。NP遺伝子増幅用のプライマー対には、NcoIサイトを付加したNP-F1(配列番号2)及びEcoRIサイトを付加したNP-R1(配列番号3)を用いた。増幅酵素としてPrimeSTAR(商標) GXL DNA Polymerase(タカラバイオ社製)を用いて、98℃で20秒間変性させた後、98℃で10秒間、60℃で10秒間及び72℃で1分間を1サイクルとして30サイクルの増幅を行った。0.8%アガロースゲルを用いた電気泳動で、増幅産物がNP遺伝子であることを確認した。
得られた増幅産物を制限酵素NcoIとEcoRIで消化した。大腸菌発現ベクターpET 6xHN-C Vector(タカラバイオ社製)のマルチクローニングサイトをNcoIとEcoRIで消化し、当該サイトにNP遺伝子をライゲートした。この発現ベクターによって、インサートのC末端にHis tagが付加される。
(大腸菌への発現プラスミドの導入)
上記のプラスミドDNAを、タンパク質発現用の大腸菌BL21(DE3)Competent Cell(Novagen社製)に導入した。形質転換した大腸菌にSOC溶液350μLを添加し、37℃で30分間振とう培養した後、アンピシリン(最終濃度100μg/mL)を添加したLBプレートに播種し、37℃で一昼夜培養した。得られたコロニーの一部を25mM NaOH 20μLで溶菌し、98℃で5分間加温後、100mM Tris HCl(pH7.0)20μLを添加した。ボルテックスで混和後、遠心して得た上清を鋳型として、インサートDNAを増幅するプライマーpET-F1(配列番号4)及びpET-R1(配列番号5)を用いてTaKaRa Ex Taq HS(タカラバイオ社製)でインサートDNAを増幅した。インサートDNAの塩基配列はABI PRISMTM 310 Genetic Analyzer(Thermo Fisher Scientific社製)を用いてダイレクトシーケンス法で確認した。
(組換えタンパク質の発現と精製)
NP発現ベクターを導入した大腸菌BL21(DE3)を、アンピシリン(最終濃度100μg/mL)を添加したLB培地において、37℃で16時間、振とう培養した。その培養液3.2mLを新しいアンピシリン添加LB培地160mLに添加し、37℃で振とう培養した。600nmの吸光度が0.4~0.5に達した時点で、IPTGを最終濃度1mMになるように添加し、さらに4時間培養して組換えタンパク質の発現を誘導した。培養液を3500rpmで20分間、遠心し、その菌体にHiTALONTM Buffer Set(タカラバイオ社製)のTractor Buffer 16mLを添加し超音波処理で可溶化を行った。
この溶液を4℃で10000×gで20分間、遠心し、上清を回収した。得られた上清をHisTALONTM Column(タカラバイオ社製)5mLにアプライし、Washing Buffer(0.5M NaCl、50mMリン酸緩衝液、5mMイミダゾール)200mLで洗浄後、Elution Buffer 30mLで溶出し、rNPを回収した。溶出した組換えNPタンパク質(rNP)溶液は、Amicon Ultra-15 10K Centrifugal Filter Devices(Merck Millipore社製)で濃縮した後、PD-10 column(GE Healthcare社製)を用いてバッファーをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に交換し、最終的に1mg/mLのrNP溶液に調製した。
(組換えNPタンパク質のペルオキシダーゼ標識)
rNPのHRPによる標識は、Peroxidase Labeling Kit-NH2(同仁化学研究所製)を用いて以下のように行った。300μgのrNPにWashing Bufferを100μL加え、分画分子量1万の限界濾過膜スピンカラム NANOSEP 10K OMEGA(Pall corporation社製)にアプライし8000×gで10分間遠心し、再度Washing Bufferを100μL加え、バッファーを交換した。Reaction buffer 10μLで溶解したNH-Reaction Perxidaseをメンブレン上のrNPに添加し、37℃で2時間反応させ、rNPにペルオキシダーゼを結合させた。メンブレンにWashing Bufferを100μL添加し、8000×gで10分間遠心し、最終的に200μLのStorage Bufferでペルオキシダーゼ標識rNPを溶出して回収し、4℃で保存した。
(ELISAによる抗NP抗体の測定)
PBSでrNPを希釈し、ELISA用96ウェルプレートであるF96 MAXISORP NUNC-IMMUNOPLATE(Thermo Fisher Scientific社製)の1ウェルに100μLずつ添加し、4℃で16時間静置し、rNPを固相化した。固相化後、TBST(20mM Tris-HCl(pH7.4)、0.1M NaCl、0.05%Tween20)で洗浄し、ブロッキングとして5%スキムミルクを含むTBSTを200μL添加し、室温(24~26℃)で2時間静置した。
静置後、TBSTでウェルを洗浄後、0.5%スキムミルクを含むTBST(0.5%SM/TBST)で25倍希釈した血清検体を100μLずつウェルに分注し、室温で2時間反応させた。反応後、TBSTで3回洗浄し、0.5%SM/TBSTで2000倍希釈したペルオキシダーゼ標識rNP(NP-HRP)を100μL添加し、室温で1時間反応させた。反応後TBSTで3回洗浄し、酵素基質溶液1 Step(商標) ABTS(Thermo Fisher Scientific社製)を100μL加え、室温で30分間反応させた。吸光度はMULTISKAN FC(Thermo Fisher Scientific社製)を用い、405nm及び495nmの2波長で測定し、吸光度の差(405nm-495nm)を求めた。以下では、当該吸光度の差を吸光度とする。
ELISA用96ウェルプレートに固相化するrNP溶液のrNPの至適濃度を検討した。凍結保存したSFTS患者2症例の血清(症例M2の発症後63日、及び症例M4の発症後350日)を、0.5%SM/TBSTで100倍又は500倍に希釈し、10ng/mLから段階希釈したrNP溶液を固相化した上記ELISAで抗NP抗体を測定した。コントロールとして10μg/mLウシ血清アルブミン(BSA)を用いた。
(結果)
図2及び図3は、それぞれ症例M2及び症例M4について、rNP溶液の濃度に対する吸光度を示す。血清の希釈倍率に関わらず、rNPの濃度が2.5μg/mLまで、rNPの濃度依存的な吸光度の増大が確認された。
実施例2:ELISAによる抗NP抗体の測定
(カットオフ指標の設定)
健常人血清60検体を0.5%SM/TBSTで25倍希釈し、上記ELISAで抗NP抗体を測定した。得られた吸光度の平均+6×標準偏差をカットオフ値とした。なお、固相化したrNP溶液におけるrNPの濃度は3ng/mLとした。
(患者血清の抗NP抗体測定)
凍結保存したSFTS患者3症例の血清(症例M1の発症後4、6、8、10、375日、症例M2の発症後6、9、11、18、32、63、622日、症例M6の発症後7、11、13、23、57、126日)を0.5%SM/TBSTで25倍希釈し、上記ELISAで抗NP抗体を測定した。なお、固相化したrNP溶液のrNPの濃度は3ng/mLとした。
(結果)
健常人60名の血清の吸光度の分布を図4に示す。カットオフ値は0.041と算出された(0.005+6×0.005=0.041)。
図5(A)、(B)及び(C)は、それぞれ症例M1、症例M2及び症例M6のSFTS患者の血清から得られた、カットオフ値に対する吸光度の比(Cut off index;COI)を示す。図5において、カットオフ値が矢印で示されている。症例M1、M2及びM6について、それぞれ発症後4日、6日及び7日目の血清における抗NP抗体を検出できることが示された。
実施例3:ELISAによる抗NP抗体測定の特異性確認
0.5%SM/TBSTで25倍希釈した症例M1(発症後4日)、症例M2(発症後6日)、症例M6(発症後7日)の血清にrNPを0、1、3、10μg/mLの濃度で添加し室温(25℃)で1時間反応させた後、ELISAの検体として測定した。また、25倍希釈した患者血清にMock細胞ライセート又はSFTSV感染細胞ライセートをそれぞれ1/30量加えて室温(25℃)で1時間反応させた検体もELISAで測定した。
上記のSFTSV感染細胞ライセートは次のように調製した。Huh7細胞(8×10個)にSFTSV(MOI=0.05)を感染させ3日培養後、PBSで3回洗浄した。当該細胞に1mLの1%NP40/PBSを加え室温で15分静置し、細胞溶液を回収した。その溶液を8000rpmで10分間遠心し、上清を分離した。得られた上清にトランスイルミネータで紫外線を15分間照射しウイルスを不活化し、SFTSV感染細胞ライセートとして用いた。また、SFTSVを感染させずに同様の操作を行った細胞上清をMock細胞ライセートとして用いた。
ウサギ(2羽)を次のように免疫してウサギ抗NP血清を得た。ウサギ1羽当たり初回が0.4mg、2~5回目は0.2mgのrNPをアジュバント・コンプリート(Difco社製)と等量混合して2週間の間隔でウサギに感作した。最終免疫の2週間後に採血し、ウサギ抗NP血清を得た。
0.5%SM/TBSTで5000倍希釈したウサギ抗NP血清に、10μg/mLの濃度でrNP、Mock細胞ライセートを1/30量及びSFTSV感染細胞ライセートを1/30量それぞれ添加した検体を得た。これら検体に加え、無添加のウサギ抗NP血清を検体としてELISAで測定した。陰性コントロール(NC)には免疫前のウサギ血清を0.5%SM/TBSTで5000倍希釈した溶液を検体として用いた。
(結果)
図6(A)~(C)は、それぞれ症例M1、症例M2及び症例M6の血清に関する結果を示す。いずれもrNPの濃度依存的に吸光度が減少し、終濃度10μg/mL rNPで吸光度がほぼ0となった。また、SFTSV感染細胞ライセート(感染細胞)でも吸光度が低下し、非感染細胞のMock細胞ライセートではrNPを添加しなかった検体と比較して吸光度が低下しなかったことから、上記ELISAは特異的に抗NP抗体を測定していることが示された。図6(D)に示すように、コントロールとしてrNPを免疫源として感作して得られたウサギ抗NP血清でも同様の結果が得られた。
実施例4:イムノクロマトグラフィーの作製及び測定
(NP抗原感作金コロイドの作製)
上記のrNP溶液(1mg/mL)を5mMリン酸緩衝液(pH7.0)で、100μg/mLに調製した。10mL梨型沈殿管に、50mMリン酸緩衝液(pH7.0)を100μL添加した。当該沈殿管に金コロイド(40nm、BBI Solutions社製、EMGC40)液を900μL添加し、軽く撹拌した。当該沈殿管に100μg/mLに調製したrNP溶液を撹拌しながら添加し、室温で10分静置した。当該沈殿管に1%ポリエチレングリコール(PEG、和光工業社製、169-21105)を55μL添加し、軽く撹拌した。さらに、当該沈殿管に10%BSA(SIGMA社製、AA3050-50G)を110μL添加し、軽く撹拌した。
上清を100μL程度残して取り除き、残した上清に沈殿を、超音波洗浄機を用いて分散させた。当該沈殿管に金コロイド保存バッファー(1%BSA、0.1%アジ化ナトリウム、0.05%PEG、20mM Tris及び150mM NaCl、pH8.2)を2mL添加した。8000×g、4℃で15分間、遠心し、上清を100μL程度残して取り除き、超音波洗浄機を用いて残した上清に沈殿を分散させた。上記の金コロイド保存バッファーの添加から沈殿の分散までを再度繰り返した。分散させた感作金コロイド液を16μL分取し、金コロイド保存バッファーを384μL加え、O.D520を測定した。測定値から換算し、金コロイド保存バッファーでO.D520=6.0に調整し、そのまま冷蔵で保存した。
(抗体及び抗原を固相化したメンブレンの作製)
上記のウサギ抗NP血清10mLにPBS10mLを加え、硫酸ナトリウム3.6gを添加し4℃で1時間静置した後、12000rpmで20分間遠心した。沈殿を17.5mMリン酸緩衝液(pH6.3)で溶解し、同じリン酸緩衝液で平衡化したPD10(GEヘルスケア社製)カラムに添加し、同じリン酸緩衝液3.5mLで溶出しバッファーを交換した。この溶液を17.5mMリン酸緩衝液(pH6.3)で平衡化したDE-52(ワットマン社製)カラムに添加し、同じ緩衝液で溶出した。280nmに吸収が認められた溶出分画をIgG分画として得た。さらに、このIgG分画をSepharose4B(GEヘルスケア社製)にrNP1.4mgを結合させて作成した抗原カラムにアプライし、20mM Tris-HCl(pH8.0)、0.5M NaClで洗浄した後、0.1M Glycin-HCl(pH2.5)で溶出した。280nmで吸収の認められた溶出分画をプールし、PBSで平衡化したPD-10カラムでバッファーを交換し、アフィニティ精製ウサギ抗NP IgGとして用いた。
コントロールライン用として、アフィニティ精製ウサギ抗NP IgG(ウサギ抗NP抗体)を最終液量が40μLになるようUltracel 100K(MILLIPORE社製、UFC510096)を使用し、5mMリン酸緩衝液に置換し、1.0mg/mLに調製した。96ウェル等にウサギ抗NP抗体溶液を15μL、テストライン用のrNP溶液(1mg/mL)を18.7μLそれぞれ入れ、ウサギ抗NP抗体溶液に筆を浸し、全量をメンブレン(ニトロセルロースメンブレン、mdi社製、90CNPH-N-SS40、25mm×150mm)の下端から13mmに水平方向に直線状に塗布した(1μL/cm)。rNP溶液に筆を浸し、全量をメンブレンの下端から8mmに水平方向に直線状に塗布した(1.25μL/cm)。メンブレンを37℃で1時間乾燥させた。
メンブレンの下端をブロッキング液(0.25%BSA及び25mMホウ酸、pH7.5)に浸し、ブロッキング液が上端まで吸いあげられた後、メンブレン全体をブロッキング液中に浸し、室温で30分間静置した。液切りした後、メンブレンを洗浄・安定化液(0.5%スクロース、0.05%コール酸ナトリウム及び50mM Tris、pH7.5)に移し、室温30分間、軽く振とうした。液切りした後、ペーパータオル上に置き、デシケータで一昼夜以上乾燥させた。乾燥剤を入れた袋で、メンブレンを冷蔵保存した。
(イムノクロマトストリップの組み立て)
上記の抗体及び抗原を固相化したメンブレン(固相化メンブレン)を、コントロールライン側が上、テストラインが下になるようにバッキングシート(ニップエンジニアリング社製、34042/9107)の下端から20mmの位置に貼り付けた。サンプル吸収パッド(20mm×150mm、Cellulose Fiber Sample Pad、MILLIPORE社製、CFSP223000)を、固相化メンブレンとサンプル吸収パッドが5mm重なるようにして、バッキングシートの上端に合わせて貼り付けた。サンプルパッド(21.5mm×150mm、ABSORBENT TYPE 111、ポール社製、BSP111PK)を、固相化メンブレンとサンプルパッドが2mm重なるようにして、バッキングシートの下端に合わせて貼り付けた。乾燥剤を入れた袋で、冷蔵保存した。使用時に5mm幅にカットし、イムノクロマトストリップとした。
(健常人血清を用いたウサギ抗NP抗体検出試験)
Tris-HCl、Triton X100及びBSAを混合し、反応用緩衝液を調製した。ウサギ抗NP抗体溶液を、健常人血清を用いて2000、1000、500、250、100、50及び10ng/mLに調整し、試料とした。試料と反応用緩衝液とを9:1(試料:反応用緩衝液)で混合し、検体とした。また、NCとして健常人血清と反応用緩衝液とを混合した検体も調製した。
各試料93μLと、超音波洗浄機を用いて分散させたNP抗原感作金コロイド溶液7μLをウェル内で混合した。試料の入ったウェルにストリップを挿入した。15分後、ラインの有無を確認した。
(結果)
図7に示すように、イムノクロマトグラフィーによって、ウサギ抗NP抗体の濃度として50ng/mLまで検出できた。また、ウサギ抗NP抗体を含まない健常人血清で非特異反応が出ないことを確認した。
実施例5:イムノクロマトグラフィーによる抗NP抗体の検出
上記実施例4で作製したイムノクロマトストリップを用いて、SFTS患者の血清検体に関する抗NP抗体の検出を以下のように検討した。凍結保存したSFTS患者5症例の血清(症例M1の発症後4日及び375日、症例M2の発症後63日、症例M3の発症後430日、症例M4の発症後7日及び350日、症例M6の発症後7日及び57日)4μLに反応用緩衝液89μL及びNP抗原感作金コロイド溶液7μLを加えた。
なお、NCとして健常人血清と反応用緩衝液とを混合した検体を調製した。陽性コントロール(PC)として、ウサギ抗NP抗体溶液(終濃度1μg/mL)を調製した。
得られた反応溶液全量をマイクロタイタープレートのウェルに移し、イムノクロマトストリップのサンプルパッドを反応溶液のウェルに挿入し室温で15分間反応させた。判定はコントールラインに金コロイドのバンドが形成されたのを確認して、テストラインに金コロイドのラインが形成されたものを陽性と判定した。
(結果)
図8に回復期血清(症例M1の発症後375日、症例M2の発症後63日、症例M3の発症後430日、症例M4の発症後350日、症例M6の発症後57日)に関する結果を示す。いずれの検体についてもテストラインに金コロイドのラインが確認され、陽性と判定された。
図9に急性期血清(症例M1の発症後4日、症例M6の発症後7日)に関する結果を示す。回復期血清と同様に、いずれの検体についてもテストラインに金コロイドのラインが確認され、陽性と判定された。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等な発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
本発明は、SFTSV抗体の検出及びSFTSの診断に好適である。
1 サンプルパッド
2 コンジュゲートパッド
3 メンブレン
4 吸収パッド
5 バッキングシート
10 クロマトグラフ媒体
31 捕捉部
32 コントロールライン

Claims (6)

  1. 重症熱性血小板減少症候群ウイルスの第1の組換え核タンパク質が固定化された担体と、
    重症熱性血小板減少症候群ウイルスの標識された第2の組換え核タンパク質と、
    を備え、
    前記第1の組換え核タンパク質及び前記第2の組換え核タンパク質のアミノ酸配列は、
    配列番号1に示されるアミノ酸配列である、
    重症熱性血小板減少症候群ウイルス抗体検出キット。
  2. 前記担体は、
    ELISA用プレートに設けられたウェルである、
    請求項1に記載の重症熱性血小板減少症候群ウイルス抗体検出キット。
  3. 前記第2の組換え核タンパク質は、
    西洋ワサビペルオキシダーゼで標識されている、
    請求項に記載の重症熱性血小板減少症候群ウイルス抗体検出キット。
  4. 前記担体は、
    血液検体に暴露される検体反応部及び前記血液検体に含まれる重症熱性血小板減少症候群ウイルスの核タンパク質に対する抗体を捕捉する捕捉部を有するクロマトグラフ媒体であって、
    前記検体反応部は、前記第2の組換え核タンパク質を有し、
    前記捕捉部には、前記第1の組換え核タンパク質が固定化されている、
    請求項1に記載の重症熱性血小板減少症候群ウイルス抗体検出キット。
  5. 前記第2の組換え核タンパク質は、
    金コロイドで標識されている、
    請求項に記載の重症熱性血小板減少症候群ウイルス抗体検出キット。
  6. 担体に固定化された重症熱性血小板減少症候群ウイルスの第1の組換え核タンパク質に捕捉された血液検体に含まれる重症熱性血小板減少症候群ウイルスの核タンパク質に対する抗体を、前記抗体に結合した、重症熱性血小板減少症候群ウイルスの標識された第2の組換え核タンパク質を介して検出
    前記第1の組換え核タンパク質及び前記第2の組換え核タンパク質のアミノ酸配列は、
    配列番号1に示されるアミノ酸配列である、
    重症熱性血小板減少症候群ウイルス抗体検出方法。
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