JP7143998B2 - めっき樹脂成形品、及びめっき樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、めっき樹脂成形品、及びめっき樹脂成形品の製造方法に関する。
従来から、めっき層を備えた物品が広く開発されている。例えば、特許文献1には、素地表面に無機抗菌剤粒子を含むニッケルめっき処理を施したのち、さらにクロムめっき処理を施して、耐食性と抗菌性を有するニッケル-クロムめっき層を形成したものが開示されている。
また、めっき樹脂成形品も種々開発されている。例えば、ABS樹脂を6価クロムにてエッチングして、無電解めっきに必要な触媒金属を担持させた後に、めっきした成形品が開発されている。このものでは、エッチングによりブタジエンが酸化溶解されており、樹脂とめっき層は、アンカー効果によって接合されている。
特開平10-68100号公報
しかし、6価クロムは発がん性があり、環境負荷の高い化学物質である。また、6価クロムは、RoHSなど欧州での規制強化の動きもあり、環境負荷の小さいプロセスへの転換が求められている。
また、従来、実用上めっき層が形成された樹脂の多くは、6価クロムでエッチング可能なABS樹脂であった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、環境への負荷を少なく製造できるとともに、ABS樹脂以外の樹脂も用いることができるめっき樹脂成形品、及びその製造方法を提供することを目的とする。本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
〔1〕樹脂を含有する基体と、
前記基体の表面に形成された無電解めっき層と、を備え、
前記基体の前記表面の表面粗さRaは、10nm以下であり、
前記基体の前記表面に、触媒金属のナノ粒子が担持されていることを特徴とする、めっき樹脂成形品。
〔2〕前記触媒金属のナノ粒子は、触媒金属イオンの含まれた溶液に、電子線及び/又はγ線を照射して形成された粒子であることを特徴とする、請求項1に記載のめっき樹脂成形品。
〔3〕樹脂を含有する基体に、触媒金属イオンの含まれた溶液を接触させた状態で、電子線及び/又はγ線を照射して、前記基体の表面に、触媒金属のナノ粒子を担持する、触媒金属担持工程と、
前記触媒金属担持工程の後、前記基体の前記表面に無電解めっき層を形成する無電解めっき工程と、を備えたことを特徴とする、めっき樹脂成形品の製造方法。
本発明のめっき樹脂成形品は、表面粗さRaが10nm以下であり、6価クロムによるエッチングは不要であるから、環境への負荷を少なく製造できる。また、本発明のめっき樹脂成形品は、6価クロムによるエッチングは不要であるから、ABS樹脂以外の種々の樹脂にも適用できる。
本発明のめっき樹脂成形品の製造方法によれば、6価クロムによるエッチングを行わないから、環境への負荷を少なくできる。また、本発明のめっき樹脂成形品の製造方法によれば、6価クロムによるエッチングを行わずに、基体の表面に、触媒金属のナノ粒子を担持するから、ABS樹脂以外の種々の樹脂にも適用できる。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明する。
めっき樹脂成形品の一例を模式的に示す断面図である。 実験例1の無電解めっき後の外観写真である。 実験例2の無電解めっき後の外観写真である。 立体成形物の無電解めっき後の外観写真である。 密着力試験の結果を示すグラフである。 実験例1の基板側剥離面のSEM像(走査型電子顕微鏡像)である。
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。なお、本明細書において、数値範囲について「~」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10~20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10~20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
1.めっき樹脂成形品
本発明のめっき樹脂成形品1は、図1に示されるように、樹脂を含有する基体3と、基体3の表面に形成された無電解めっき層5と、必要に応じて無電解めっき層5の上に形成された電気めっき層7と、を備える。本発明において電気めっき層7は、必須の要件ではなく、任意要件である。
めっき樹脂成形品1は、基体3の表面の表面粗さRaが10nm以下である。そして、基体3の表面に、触媒金属のナノ粒子9が担持されている。
(1)基体
「基体3」は、樹脂を含有する。樹脂は、特に限定されない。樹脂としては、ABS、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PS(ポリスチレン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PA66(ポリアミド66)、PA6(ポリアミド6)、m-PPE(変性ポリフェニレンエーテル)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、SPS(シンジオタクチックポリスチレン)、POM(ポリアセタール)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPA(ポリフタルアミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、LPC(液晶ポリマー)、PEI(ポリエーテルイミド)、PAR(ポリアリレート)、PSU(ポリサルホン)、PES(ポリエーテルサルホン)等の熱可塑性樹脂が好ましい。
めっき樹脂成形品1では、上述のように、基体3の表面の表面粗さRa(算術平均粗さ)が10nm以下である。表面粗さRaは、JIS B0601に準拠して測定された値である。例えば、オリンパス社製レーザー顕微鏡を用いて、面スキャン法にて測定することができる。本発明のめっき樹脂成形品1では、基体3の表面は、エッチングされていない。ちなみに、6価クロムによるエッチングを行うと、基体3の表面の表面粗さRaは10nmよりも大きく、例えば100nm程度となる。
なお、基体3としては、射出成形後や、押出成形後の成形品をエッチングせずにそのまま用いることできる。
基体3には、樹脂以外の他の成分を添加することができる。他の成分は、特に限定されない。例えば、無機フィラー、酸化防止剤、耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系、及びこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤、滑剤(モンタン酸及びその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、着色用カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p-オキシ安息香酸オクチル、N-ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、燐酸エステル、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、熱安定剤、滑剤(ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム等)、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤等の添加剤を添加することができる。
(2)無電解めっき層
基体3の表面には、無電解めっき層5が形成されている。無電解めっき層5を構成する金属は特に限定されない。目的に応じた金属が選択され、例えば、Ni(ニッケル)、銅(銅)等を例示できる。
無電解めっき層5の厚さは、特に限定されない。厚さは、密着強度、めっき時間等の観点から、好ましくは0.1~10μmであり、より好ましくは0.1~5μmであり、更に好ましくは0.1~1μmである。
(3)電気めっき層
無電解めっき層5の上には、必要に応じて、電気めっき層7が形成されている。電気めっき層7を構成する金属は特に限定されない。目的に応じた金属が選択される。電気めっき層7を構成する金属は、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、Au(金)、Zn(亜鉛)、Sn(スズ)、Cd(カドミウム)、Ag(銀)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、及びPt(白金)等からなる群より選ばれる1種以上が好適に用いられる。
電気めっき層7の厚さは、目的に応じて選定され、特に限定されない。
(4)触媒金属のナノ粒子
触媒金属は、特に限定されないが、Pd(パラジウム)、Au(金)、Ag(銀)及びCu(銅)等からなる群より選ばれる少なくとも1種を好適に用いることができる。
触媒金属のナノ粒子は、基体の表面に担持されている。ナノ粒子は、基体の表面に直接担持されていればよく、例えばファンデルワールス力で担持されていることが好ましい。
ナノ粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、1~100nmであることが好ましく、より好ましくは5~50nm、更に好ましくは15~35nmである。
ナノ粒子の平均粒子径は、例えば、後述する製造方法において、照射用の溶液中の触媒金属イオン(活性金属イオン)の濃度を変化させることによって調節できる。具体的には、溶液中の触媒金属イオン濃度を高くすることにより平均粒子径を大きくすることができ、濃度を低くすることにより平均粒子径を小さくすることができる。なお、ナノ粒子の平均粒子径は、以下の方法によって決定され得る。樹脂表面のナノ粒子を走査型電子顕微鏡(日本電子社製、製品番号「SM-7001」)で観察および撮像する。得られた画像中の任意の50個のナノ粒子についてその一次粒子径を測定し、これらの平均値(相乗平均)を平均粒子径として算出する。なお、ナノ粒子が真球形状でない場合は、長径を測定する。
触媒金属のナノ粒子は、触媒金属イオンの含まれた溶液に、電子線及び/又はγ線を照射して形成された粒子であることが好ましい。このように形成された触媒金属のナノ粒子は、基体3の表面に、ファンデルワールス力で担持されているものと推測される。触媒金属は、基体上では原子価0である。例えば、Pd、Au、Ag及びCuである。
2.めっき樹脂成形品の製造方法
本発明のめっき樹脂成形品の製造方法は、次の工程を備える。
〔1〕樹脂を含有する基体に、触媒金属イオンの含まれた溶液を接触させた状態で、電子線及び/又はγ線を照射して、基体の表面に、触媒金属のナノ粒子を担持する、触媒金属担持工程と、
〔2〕触媒金属担持工程の後、基体の表面に無電解めっき層を形成する無電解めっき工程と、を備える。
さらに、〔3〕無電解めっき工程の後、無電解めっき層の上に電気めっき層を形成する電気めっき工程を備えてもよい。
(1) 触媒金属担持工程
触媒金属担持工程は、樹脂を含有する基体に、触媒金属イオンの含まれた溶液(以下、単に「溶液」ともいう)を接触させた状態で、電子線及び/又はγ線を照射して、基体の表面に、触媒金属のナノ粒子を担持する。
基体に、触媒金属イオンの含まれた溶液を接触させる方法は、特に限定されない。溶液に基体を浸漬させる方法、基体に溶液を塗工する方法、溶液を基体に噴霧する方法等が挙げられる。溶液に基体を浸漬させる方法が好ましい。溶液が良好に基体に付着するからである。
溶液は、触媒金属の可溶性化合物、又はその塩を水に溶解することによって調製され得る。触媒金属の可溶性化合物としては、例えば、触媒金属がパラジウムの場合には、硝酸パラジウム、塩化パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)ナトリウムが好適に例示される。触媒金属が金の場合には、塩化金(III)酸、テトラクロロ金(III)酸ナトリウムが好適に例示される。触媒金属が銀の場合には、硝酸銀、ジアンミン銀(I)イオン(銀アンミン錯体)が好適に例示される。触媒金属が銅の場合には、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、酢酸銅が好適に例示される。溶液中における触媒金属イオンの濃度は、好ましくは0.1mM~200mM、より好ましくは1mM~100mM、更に好ましくは1mM~10mMである。溶液が2種以上の触媒金属イオンを含む場合は、溶液中の触媒金属イオンの合計濃度は、好ましくは0.1mM~200mM、より好ましくは1mM~100mM、更に好ましくは1mM~10mMである。この範囲であれば、所望の粒子径を有するナノ粒子が好適に得られる。
溶液には、代表的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~3のアルコールをさらに含むことができる。アルコールが還元補助剤として機能することにより、触媒金属イオンが好適に還元される。溶液中におけるアルコールの含有量は、溶液中の溶媒全体を100体積%とした場合に、好ましくは0.1体積%~30体積%、より好ましくは0.5体積%~10体積%である。
溶液は、必要に応じて、pH調整剤、キレート剤等の任意の構成成分を更に含有していてもよい。任意の構成成分の具体例としては、水酸化ナトリウム、アンモニア、酒石酸、クエン酸等が挙げられる。
接触条件は、溶液の種類等に応じて適切に設定され得る。
本製造方法では、触媒金属イオンを含む溶液が接触している基体に電子線及び/又はγ線を照射する。これにより、触媒金属イオンが基体表面で還元されて、触媒金属のナノ粒子が基体に固定化される。電子線及び/又はγ線の照射は、溶液に浸漬された状態の基体に対して行われてもよい。溶液から浸漬後に引き上げられ、表面が濡れた状態の基体に対して行われてもよい(ディップEB法)。また、溶液に浸漬後に引き上げられ、外観的に乾燥した状態の基体に対して行われてもよい(ドライEB法)。ディップEB法を用いた場合は、溶液のコストが抑えられるという利点がある。
照射される電子線及び/又はγ線の加速エネルギーは、特に限定されない。
電子線の加速エネルギーは、好ましくは0.1MeV~10MeV、より好ましくは1MeV~10MeVである。また、電子線の照射における吸収線量は、好ましくは1kGy~100kGy、より好ましくは10kGy~40kGyである。
γ線源としては、コバルト60γ線源を用いることが好ましい。また、γ線の照射における吸収線量は、好ましくは1kGy~100kGy、より好ましくは10kGy~40kGyである。
このように電子線及び/又はγ線を照射することにより、所望の粒子径を有するナノ粒子が好適に得られる。
なお、線量が高すぎると、樹脂の劣化が起こる可能性がある。
電子線及び/又はγ線の照射条件は、目的等に応じて適切に設定され得る。例えば、電子線及び/又はγ線の照射は、大気圧及び室温条件で行うことができる。照射時間は、触媒金属イオン濃度、電子線、γ線の線量等に応じて適切に設定され得る。照射時間は、例えば商業用の高エネルギー加速器電子線照射装置を用いる場合、1秒~1分、好ましくは2秒~30秒、より好ましくは3秒~10秒程度でありうる。適用される線量率が低い場合には長時間の照射、例えば24時間以上程度であり得る。電子線及び/又はγ線は、連続的に照射されてもよく、間欠的に照射されてもよい。間欠的に照射される場合、上記照射時間は、その合計である。
溶液に浸漬された状態の基体に電子線及び/又はγ線照射を行う場合、電子線及び/又はγ線照射に先立って、照射用の溶液中の溶存酸素を窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスで置換することがより好ましい。
照射の際にはバッチ式だけでなく、ベルトコンベアー式も採用することができる。
(2) 無電解めっき工程(化学めっき工程)
無電解めっき工程では、触媒金属担持工程の後に、基体の表面に無電解めっき層を形成する。
無電解めっき工程は、触媒金属を担持した基体の表面において、金属イオンを還元析出させ、金属膜を形成させる工程である。無電解めっきの方法は、特に限定されず、樹脂のめっき処理において、慣用又は公知とされている方法を広く採用できる。例えば10~50℃程度の還元剤を含有するニッケル塩水溶液又は銅塩水溶液に、触媒金属を担持した基体を、例えば2~20分間程度浸漬することにより、その表面にニッケルめっき皮膜又は銅めっき皮膜を形成することができる。
(3) 電気めっき工程(任意工程)
電気めっき工程では、無電解めっき工程の後に、無電解めっき層の上に電気めっき層を形成する。
電気めっき層は、単一の金属皮膜であってもよく、複数の金属皮膜からなる多層皮膜であってもよい。
電気めっき層は、特定の機能を付与するために形成される。電気めっき層は、例えば、装飾、硬度アップ、撥水などを目的とするものである。電気めっき層の種類は、特には限定されない。電気めっき層の好適な例として、クロムめっき皮膜、銅めっき皮膜、ニッケルめっき皮膜を挙げることができる。
電気めっきの方法は、特に限定されず、樹脂のめっき処理において、慣用又は公知とされている方法を広く採用できる。
以下、実施例により更に具体的に説明する。実験例1~2は実施例に該当する。
1.実験例1~2の基板の作製
(1)基板洗浄
ABS樹脂の基板(「基体」に相当、サイズ50mm×50mm)を、2-プロパノールにて超音波洗浄を行った。洗浄条件は、室温で1分間とした。なお、洗浄前に基板表面の表面粗さRaを測定したところ7.7nmであった。
(2)触媒金属担持
(2.1)実験例1
ポリプロピレン製の容器に、超純水45mL、2-プロパノール5mL、及び硝酸パラジウム57.6mgを加え、混合することにより、照射用の溶液を調製した。この溶液のPd濃度は、表1に記載されているように5.0mMである。この照射用溶液に、ABS樹脂の基板を浸漬し、次いで、加速エネルギー4.8MeV、線量20kGy、照射時間約6秒の照射条件で電子線照射を行った。Pdナノ粒子が固定化された基体を取り出し、超純水に浸漬させて1分間超音波洗浄した。基体の表面をSEMにて観察した。基体の表面には、Pdナノ粒子が固定化されていた。また、Pdナノ粒子は10nm~50nmの粒子径を有しており、その平均粒子径は、22nmであった。また、基体の幾何学的表面積あたりの固定化されたPdの重量は2μg/cmであった。
(2.2)実験例2
照射用の溶液のPd濃度を表1に記載されているように10.0mMとしたこと以外は、実験例1と同様に触媒金属を担持した。Pdナノ粒子は10nm~50nmの粒子径を有しており、その平均粒子径は、22nmであった。また、基体の幾何学的表面積あたりの固定化されたPdの重量は3μg/cmであった。
Figure 0007143998000001
次に、基板に濡れ性を付与するために、各基板に対して表面処理を行った。具体的には、下記の薬剤を用いて下記の条件で表面処理を行った。

薬剤名:MTE-1-A(上村工業株式会社)
濃度:50ml/L
処理(浸漬)条件:50℃、2分間
続いて、各基板を湯洗(50℃、1分間)し、水洗した。
そして、触媒の活性化を行った。具体的には、下記の薬剤を用いて下記の条件で触媒を還元して活性化を行った。その後、基板を水洗した。

薬剤名:アルカップレデューサーMAB(上村工業株式会社)
濃度:標準濃度
処理(浸漬)条件:35℃、3分間
(3)無電解めっき
硫酸ニッケル(II)六水和物0.1mol/L、ホスフィン酸ナトリウム一水和物0.2mol/L、グリシン0.2mol/Lからなる無電解Ni-Pめっき浴(pH=5.0,70℃)を用いて、6分間、無電解めっきを行った。
(4)電気めっき
密着力を測定するために実験例1では、更に電気Cuめっきを30μm行った。
2.評価方法
(1)外観観察
無電解めっき後の各基板の外観を観察した。
(2)めっきの密着力試験(ピール強度の測定)
電気Cuめっきを行った実験例1の基板を用いた。従来技術を用いた比較例1として、次の基板を用いた。すなわち、比較例1は、ABS樹脂の基板を6価クロムにてエッチングして、その後、無電解めっき、電気Cuめっきした基板である。
試験は、JIS H 8630 附属書 1 密着力試験方法に基づいて行った。
3.評価結果
(1)外観観察
図2に実験例1の無電解めっき後の外観写真を示す。図3に実験例2の無電解めっき後の外観写真を示す。いずれも基板に無電解めっき層が形成されていた。
特に、触媒金属担持に用いた溶液の触媒金属イオン濃度が5mM以上であると、基板の全面に無電解めっき層が形成されることが確認された。
なお、ABS樹脂の基板に代えてABS樹脂の立体成形物を用いて、実験例1と同様の条件で無電解めっきを施した。図4に無電解めっき後の外観写真を示す。立体成形物の外面の全面、及び内面の全面に、無電解めっき層が形成された。
(2)めっきの密着力試験
試験結果を図5に示す。実験例1は、比較例1よりも、めっきの密着力が高かった。実験例1は、9N/cm以上の密着力を有していた。なお、密着力は高いほどよいが、通常の上限値は、20N/cmである。
図6に、密着力試験後における、実験例1の基板側剥離面のSEM像(走査型電子顕微鏡像)を示す。このSEM像では、基板側に延性破壊を示すディンプルが観察された。この結果より、めっき層と基板の密着強度が非常に高いため、めっき層と基板の間で剥離が起きずに、基板で延性破壊が起きていることが分かった。
4.まとめ
以上の結果から、実施例では、6価クロムによるエッチングを行わなくても、めっき層と基板の密着力が高く、実用的なめっき樹脂成形品を製造できることが確認できた。
また、実施例では、6価クロムによるエッチングを行わないから、6価クロムによりエッチング可能なABS樹脂のみならず、種々の樹脂にも適用できる。
実施例では、6価クロムを用いないから、環境への負荷を少なく製造できる。
5.その他
上述の実験では、ABS樹脂を用いた。他の実験で、PPS樹脂を用いた場合にも、ABS樹脂の場合と同様に、無電解めっき層及び電気めっき層が形成されることが確認された。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形又は変更が可能である。
本発明は、幅広い樹脂成形品に適用することができる。
1…めっき樹脂成形品
3…基体
5…無電解めっき層
7…電気めっき層
9…触媒金属のナノ粒子

Claims (8)

  1. 樹脂を含有する基体と、
    前記基体の表面に形成された金属膜たる無電解めっき層と、を備え、
    前記基体の前記表面の表面粗さRaは、10nm以下であり、
    前記基体の前記表面に、触媒金属のナノ粒子が担持されており、
    前記触媒金属のナノ粒子の平均粒子径は、1~100nmであり、
    前記触媒金属のナノ粒子は、触媒金属イオンの含まれた溶液に、電子線及び/又はγ線を照射して形成された粒子である、めっき樹脂成形品。
  2. 前記金属膜が無電解ニッケルめっき皮膜又は無電解銅めっき皮膜である、請求項1に記載のめっき樹脂成形品。
  3. 前記無電解めっき層の上に更に電気めっき層を備えた、請求項1又は2に記載のめっき樹脂成形品。
  4. 樹脂を含有する前記基体が立体成形物である、請求項1~3いずれか1項に記載のめっき樹脂成形品。
  5. 樹脂を含有する基体に、触媒金属イオンの含まれた溶液を接触させた状態で、電子線及び/又はγ線を照射して、前記基体の表面に、触媒金属のナノ粒子を担持する、触媒金属担持工程と、
    前記触媒金属担持工程の後、前記基体の前記表面に金属膜たる無電解めっき層を形成する無電解めっき工程と、を備えたことを特徴とする、めっき樹脂成形品の製造方法。
  6. 前記金属膜が無電解ニッケルめっき皮膜又は無電解銅めっき皮膜である、請求項5に記載のめっき樹脂成形品の製造方法。
  7. 前記無電解めっき層の上に更に電気めっき層を形成する電気めっき工程を更に備えた、請求項5又は6に記載のめっき樹脂成形品の製造方法。
  8. 樹脂を含有する前記基体が立体成形物である、請求項5~7いずれか1項に記載のめっき樹脂成形品の製造方法。
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青木智紀 他,電子線照射還元法によるPtナノ粒子触媒のABS樹脂上への固定化-エッチング処理と表面電荷調整処理による表面改質効果の調査-,精密工学会関西地方定期学術講演会講演論文集,公益社団法人 精密工学会関西支部,2016年07月12日,第8-9頁

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