JP6666529B1 - メッキ部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

安定な処理液を用いた簡易な方法で基材に無電解メッキ触媒を付与でき、無電解メッキの反応性及び選択性が高く、更に、治具上のメッキ膜析出も抑制できるメッキ部品の製造方法を提供する。メッキ部品の製造方法は、基材の表面の一部に、レーザー光を照射することと、前記レーザー光を照射した基材に、重量平均分子量1,000以上の窒素含有ポリマーを含み、表面張力が20mN/m〜60mN/mである前処理液を接触させることと、前記前処理液を接触させた基材を洗浄することと、前記洗浄した基材に、金属塩を含むメッキ触媒液を接触させることと、前記メッキ触媒液を接触させた基材に、無電解メッキ液を接触させ、前記レーザー光照射部に無電解メッキ膜を形成することとを含む。

Description

本発明は、メッキ部品の製造方法、及び無電解メッキ触媒付与用の前処理液に関する。
三次元の樹脂成形品上に立体的に回路を形成した立体回路成形部品(MID:Molded Interconnected Device)が、スマートホン用の内蔵アンテナを中心に市場を拡大している。MIDは、プリント基板やフレキ基板の削減、製造工程数削減等のメリットがあり、様々な製造方法が開発されている。
絶縁性の基材(樹脂成形品)上に形成されるMIDの回路は、無電解メッキにより形成することが提案されている。無電解メッキでは、まず無電解メッキ触媒を基材表面に付与し、その後、無電解メッキ処理を行う。無電解メッキ触媒付与の主な方法として、センシタイザー・アクチベータ法と、キャタリスト・アクセラレータ法の2種類が知られている。センシタイザー・アクチベータ法では、スズコロイドを基材に吸着させた後(センシタイザー)、塩化パラジウム溶液に浸漬して(アクチベータ)、塩化第1スズで塩化パラジウムを還元して金属パラジウムを析出させる。キャタリスト・アクセラレータ法では、パラジウムスズコロイドを基材に吸着させた後(キャタリスト)、濃硫酸等で還元して金属パラジウムを析出させる(アクセラレータ)。これらの従来の触媒付与処理は、実際には、更に多くの工程が必要とされる。このため、従来の触媒付与処理では、工程数の削減が求められていた。
更に、従来の触媒付与処理は、以下のような課題も有している。キャタリスト・アクセラレータ法では、触媒であるパラジウムがコロイドであるため、不安定で沈降及び凝集し易い。このため、触媒使用量が多くなる。また、センシタイザー・アクチベータ法では、センシタイザー液が、スズが自己還元してしまう不安定なコロイド溶液であるため、連続処理が難しい。更に、センシタイザー液中のスズコロイドは吸着力が強い。例えば、基材を塩化ビニルで被覆した金属製の治具で保持した状態でセンシタイザー・アクチベータ法を用いて無電解メッキを行うと、メッキ膜を形成する対象である基材のみならず、基材を保持している治具にもメッキ膜が析出してしまう。このため、触媒付与処理とメッキ処理との間で、基材を保持する治具を取り換える必要があり、スループット向上の妨げとなっていた。
特許文献1では、センシタイザー・アクチベータ法及びキャタリスト・アクセラレータ法とは異なる無電解メッキ触媒付与処理を用いた、成形回路部品の製造方法が提案されている。特許文献1に開示される方法では、基材に特定波長のレーザービームを照射し、部分的に粗化および表面改質を行い、該レーザービーム照射部の表面改質部に金属イオンからなる触媒を吸着させ、該イオン触媒を還元した後、無電解メッキ処理を行う。金属イオンからなる触媒が、レーザービーム照射部に選択的に付着するため、レーザービーム照射部に無電解メッキ膜が選択的に形成される。
また、特許文献2には、回路部品の製造方法ではないが、基材を保持する治具にメッキ膜を析出させないメッキ方法が開示されている。特許文献2のメッキ方法では、基材(プラスチック)に対して、エッチング処理、触媒付与増強液の付与、無電解メッキ触媒の付与、及び無電解メッキをこの順に行う。触媒付与増強液は、基材(プラスチック)表面に露出した官能基に選択吸着性のある、窒素原子を含有する化合物を含有する。
特許5022501号公報 特開2008−31513号公報
しかし、特許文献1の成形回路部品の製造方法では、レーザービームの照射、非照射のみにより、基材への無電解メッキ触媒の付着を制御している。このため、メッキの選択性(メッキ膜有無のコントラスト)が不十分となる虞がある。また、本発明者らの検討によれば、レーザービームの照射、非照射のみにより、無電解メッキ触媒の付着を制御するためには、レーザーと樹脂基材の組み合わせを最適化する必要があることがわかった。したがって、実用上適用できる樹脂基材の選択範囲が狭くなる。また、特許文献1の成形回路部品の製造方法では、無電解メッキ処理中に無電解触媒が脱離することを抑制するため、無電解メッキ処理前に無電解メッキ触媒を還元することが必須である。更に、無電解メッキ触媒の基材への吸着力を強固にするため、レーザービームの照射後に、基材をアルカリ処理、界面活性剤処理することも提案されている。このため、特許文献1の成形回路部品の製造方法は、製造工程が長くなる。
また、特許文献2には、基材を保持する治具にメッキ膜を析出させないメッキ方法が開示されているが、触媒付与処理には、従来のキャタリスト・アクセラレータ法が用いられている。したがって、工程数の多さ、処理液の不安定さ等の従来の触媒付与処理における課題を解決するに到っていない。また、本発明者らの検討によれば、特許文献2に開示される触媒付与増強液を用いたメッキ方法では、メッキの選択性(メッキ膜有無のコントラスト)が不十分であり、MIDやアンテナ部材に求められる微細なメッキパターン(回路パターン、アンテナパターン)の形成が難しいことがわかった。
本発明は、これらの課題を解決するものであり、安定な処理液を用いた簡易な方法で基材に無電解メッキ触媒を付与でき、無電解メッキの反応性及び選択性が高く、更に、治具上のメッキ膜析出も抑制できるメッキ部品の製造方法を提供する。
本発明に従えば、メッキ部品の製造方法であって、基材の表面の一部に、レーザー光を照射することと、前記レーザー光を照射した基材に、重量平均分子量1,000以上の窒素含有ポリマーを含み、表面張力が20mN/m〜60mN/mである前処理液を接触させることと、前記前処理液を接触させた基材を洗浄することと、前記洗浄した基材に、金属塩を含むメッキ触媒液を接触させることと、前記メッキ触媒液を接触させた基材に、無電解メッキ液を接触させ、前記レーザー光照射部に無電解メッキ膜を形成することとを含み、前記窒素含有ポリマーが、ポリエチレンイミンであるメッキ部品の製造方法が提供される。
前記レーザー光を照射することにより、前記基材の表面を粗化及び/又は改質させてもよい。前記窒素含有ポリマーの重量平均分子量が、1,000〜100,000、10,000〜100,000又は、50,000〜100,000であってもよい。前記前処理液中の前記窒素含有ポリマーの配合量が、0.01g/L〜100g/L、又は2g/L〜50g/Lであってもよい。前記前処理液が界面活性剤を含んでもよい。
前記基材にレーザー光を照射する前に、前記基材の表面に触媒失活剤を付与することを更に含んでもよい。前記触媒失活剤がハイパーブランチポリマーであってもよい。前記メッキ触媒液の金属塩が塩化パラジウムであり、前記メッキ触媒液中の塩化パラジウムの配合量が、0.01g/L〜1.0g/Lであってもよい。前記無電解メッキ液が次亜リン酸ナトリウムを含んでもよい。前記メッキ触媒液を接触させることにより、前記金属塩由来の金属イオンが前記基材に吸着し、前記金属イオンが吸着している基材に前記無電解メッキ液を接触させてもよい。前記無電解メッキ膜が電気回路又はアンテナパターンを形成していてもよい。
本発明の参考態様に従えば、無電解メッキ触媒付与用の前処理液であって、水と、重量平均分子量1,000以上の窒素含有ポリマーと、界面活性剤とを含み、表面張力が20mN/m〜60mN/mである、前処理液が提供される。
本態様において、前記窒素含有ポリマーが、ポリエチレンイミンであってもよい。前記前処理液中の前記窒素含有ポリマーの配合量が、0.01g/L〜100g/Lであってもよい。
本発明のメッキ部品の製造方法は、安定な処理液を用いた簡易な方法で基材に無電解メッキ触媒を付与でき、無電解メッキの反応性及び選択性が高い。更に、基材を保持する治具上のメッキ膜析出を抑制できる。
図1は、第1の実施形態のメッキ部品の製造方法を示すフローチャートである。 図2は、第2の実施形態のメッキ部品の製造方法を示すフローチャートである。
[第1の実施形態]
第1の実施形態として、図1に示すフローチャートに従ってメッキ部品の製造方法について説明する。本実施形態のメッキ部品(選択的メッキ部品)とは、基材表面の一部に、選択的に無電解メッキ膜が形成されている部材(部品)である。
(1)レーザー光照射
まず、基材の表面の一部に、レーザー光を照射する(図1のステップS1)。
基材は、市販品を用いてもよいし、又は汎用の方法により、基材を構成する材料を所望の形状に成形してもよい。基材の材料は、特に限定されず、例えば、樹脂、ガラス、金属、セラミック、木材等を用いることができる。
樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられる。例えば、ナイロン6T(PA6T)、ナイロン9T(PA9T)、ポリアミドMXD6(MXD6PA)等の半芳香族ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、シンジオタックポリスチレン(SPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド等の耐熱性有する熱可塑性樹脂(耐熱樹脂)を用いることができる。また、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の結晶性樹脂も用いることができる。これらの耐熱樹脂及び/又は結晶性樹脂を含む基材は、ハンダリフロー耐性を有し、更に、高耐久性、高耐熱性、耐薬品性も有する。また、メッキ部品にハンダリフロー耐性が要求されない場合には、汎用エンプラであるABS樹脂、ポリカーボネート(PC)、ABS樹脂とPCとのポリマーアロイ(ABS/PC)、ポリプロピレン、脂肪族ポリアミド等を用いることができる。寸法安定性や剛性向上の観点から、これらの樹脂は、ガラスフィラーやミネラルフィラー等の無機フィラーを含有してもよい。また、これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
また、基材の少なくとも一部に、放熱性のある金属やセラミックスを用いてもよい。金属(導体)としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。セラミックス(不導体)としては、ジルコニア、アルミナ、窒化アルミ等のセラミックが挙げられる。これらの金属及びセラミックスは、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
本実施形態では、基材にレーザー光を照射することにより、基材表面を粗化及び/又は改質できる。ここで、基材の表面が粗化されるとは、基材表面の表面粗さ又は凹凸の大きさが、レーザー光照射前と比較して大きくなることを意味する。また、基材の表面が改質されるとは、例えば、基材を構成する材料の化学結合がレーザー光により切断されることにより、基材表面に官能基が生成することを意味する。基材表面の粗化と改質は、どちらか一方のみが生じてもよいし、両方が生じてもよい。また、基材へのレーザー光の照射の前及び/又は後に、化学又は物理エッチング等により、更に、基材の粗化や改質、膨潤、エッチング等の表面処理を行ってもよいし、行わなくてもよい。
レーザー光照射に用いるレーザーは特に限定されず、メッキ部品の用途に基づいて、適宜、選択してもよい。例えば、赤外領域のレーザー光を放射するYV0レーザー(λ=1064nm)、ファイバーレーザー(λ=1090nm)、COレーザー(λ=10μm)等を用いてもよい。赤外領域のレーザー光を用いると、樹脂、金属の表面が切削され、基材の粗化が進む。特に、基材がフィラーを含有する樹脂基材の場合、含有フィラーがレーザー光照射部に露出し、アンカリング(投錨)効果により、この上に形成される無電解メッキ膜の密着強度が向上する。また、例えば、短波長のレーザー光を放射するグリーンレーザー(λ=532nm)、UVレーザー(λ=355nm)、エキシマレーザー(λ=193nm)等を用いてもよい。短波長のレーザー光を用いると、スポット径を絞り、基材に過剰な熱やダメージを与えず、微細な加工及び基材の表面改質が可能となる。これにより、基材表面を大きく粗化することなく、平滑な基材表面に無電解メッキ膜を形成できる。
(2)触媒付与の前処理
次に、基材に無電解メッキ触媒を付与するための前処理として、前処理液を基材に接触させる(図1のステップS2)。前処理液は、重量平均分子量1,000以上の窒素含有ポリマーを含み、更に、水及び界面活性剤を含んでもよい。前処理液の表面張力は、20mN/m〜60mN/mである。
窒素含有ポリマーは、後工程で用いる無電解メッキ触媒である金属塩由来の金属イオンを吸着可能なポリマーであり、例えば、ポリアクリルアミド、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン等を用いることができ、中でもポリエチレンイミンが好ましい。ポリエチレンイミンは、1級、2級、3級のアミンを含み、分岐構造を有する反応性に優れたポリマーであり、金属イオンである無電解メッキ触媒を吸着する能力が高い。
窒素含有ポリマーの重量平均分子量は、1,000以上である。窒素含有ポリマーは、基材のレーザー光照射部、即ち、基材の粗化及び/又は改質された部分に吸着及び/又は浸透するが、窒素含有ポリマーの重量平均分子量が1,000未満であると、後工程である洗浄工程(図1のステップS3)において基材から脱離し易くなる。この結果、無電解メッキの反応性が低下する。窒素含有ポリマーの重量平均分子量を1,000以上とすることで、洗浄工程における窒素含有ポリマーの脱離を抑制し、無電解メッキの反応性を高められる。窒素含有ポリマーの脱離を更に抑制する観点から、窒素含有ポリマーの重量平均分子量は、例えば、10,000以上、又は50,000以上が好ましい。尚、洗浄工程において基材の洗浄を穏やかに行うことによっても、基材からの窒素含有ポリマーの脱離を抑制できるが、基材の洗浄が不十分となり、無電解メッキの選択性が低下する虞がある。この傾向は、基材の形状が複雑な場合に顕著である。
また、窒素含有ポリマーの重量平均分子量が大き過ぎると、窒素含有ポリマーはレーザー光照射部に吸着及び/又は浸透し難くなる。この現象は、メッキパターンが細線等の細密なパターンである場合に顕著である。この結果、レーザー光照射部においてメッキ膜の未析出が生じる虞や、反対に、細密なパターンの細線の間にメッキ膜が析出する虞がある。即ち、無電解メッキの反応性及び/又は選択性が低下する虞がある。以上の観点からは、窒素含有ポリマーの重量平均分子量は、例えば、100,000以下、80,000以下、又は70,000以下が好ましい。
以上から、窒素含有ポリマーの重量平均分子量は、例えば、1,000〜100,000、10,000〜100,000、50,000〜100,000、又は10,000〜70,000が好ましい。
前処理液中の窒素含有ポリマーの配合量は、例えば、0.01g/L〜100g/L、2g/L〜50g/L、又は、5g/L〜50g/Lが好ましい。尚、窒素含有ポリマー及び前処理液の比重は、ほぼ等しいため、配合量は、例えば、0.001重量%〜10重量%、0.2重量%〜5重量%、0.5重量%〜5重量%が好ましい。無電解メッキ触媒として用いる金属イオンは水中で安定であるため、基材表面に吸着し難い。前処理液中の窒素含有ポリマーの配合量を上記範囲の下限値以上とすることで、金属イオンを基材上に吸着させるのに十分な量の窒素含有ポリマーを基材に付与でき、洗浄工程(図1のステップS3)を経ても、レーザー光照射部に十分な量の窒素含有ポリマーを残存させることができる。また、窒素含有ポリマーの配合量が多過ぎると、前処理液中に窒素含有ポリマーが析出する虞があり、また、基材を保持する治具にメッキ膜が析出する虞がある。前処理液中の窒素含有ポリマーの配合量を上記範囲の上限値以下とすることで、前処理液中に窒素含有ポリマーが析出することを抑制して前処理液を安定に保つことができ、また、基材を保持する治具へのメッキ膜の析出を抑制できる。
窒素含有ポリマーを溶解させる前処理液の溶媒は、特に限定されず、窒素含有ポリマーの種類に応じて選択でき、例えば、水;エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、アセトン、エチルメチルケトン等の有機溶媒;これらの混合溶媒が挙げられる。中でも、前処理液の溶媒は水であることが好ましい。この場合、窒素含有ポリマーは水溶性ポリマーであり、前処理液は、窒素含有ポリマーの水溶液であることが好ましい。また、溶媒の全てが水であってもよいし、溶媒の主成分が水であり、更にアルコール等の水溶性有機溶媒を含んでもよい。
前処理液の表面張力は、20mN/m〜60mN/mであり、好ましくは、30mN/m〜50mN/mである。表面張力が上記範囲より小さいと、基材を保持する治具に前処理液が付着し易く、洗浄工程(図1のステップS3)を経ても除去し難くなる。この結果、治具表面にメッキ膜が析出する虞がある。一方、表面張力が上記範囲より大きいと、前処理液によって基材表面の粗化された領域や微細な凹凸を十分に濡らすことが難しくなる。この現象は、メッキパターンが細線等の細密なパターンである場合に顕著である。この結果、レーザー光照射部においてメッキ膜の未析出が生じる虞や、反対に、細密なパターンの細線の間にメッキ膜が析出する虞がある。即ち、無電解メッキの反応性及び/又は選択性が低下する。更に、表面張力が上記範囲より大きいと、メッキ膜の密着強度が低下する虞もある。前処理液の表面張力は、例えば、界面活性剤や表面調整剤を用いて調整できる。
界面活性剤の種類は特に限定されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等、適宜選択して使用できる。前処理液中の界面活性剤の配合量は、前処理液の表面張力を上記範囲内となるように調整すれば、特に限定されない。例えば、前処理液中の界面活性剤の配合量は、0.01重量%〜5重量%、0.05重量%〜1重量%である。尚、本発明者らの検討によれば、前処理液の溶媒が水、又は溶媒の主成分が水であり、前処理液が界面活性剤を含まない場合、前処理液の表面張力は上記範囲より大きくなる可能性が高く、この場合、無電解メッキの反応性及び選択性が低下することがわかっている(後述の実施例における実験16参照)。
前処理液は、必要に応じて、防腐剤等の汎用の添加剤を更に含んでもよい。前処理液は、窒素含有ポリマー、溶媒、更に必要に応じて、界面活性剤、汎用の添加剤を任意の方法により混合して調製できる。尚、前処理液は、更に還元剤を含んでもよいし、又は、含まなくてもよい。
基材に前処理液を接触させる方法は任意であり、例えば、前処理液に基材全体を浸漬させてもよい。また、基材の一部分のみに前処理液を接触させてもよいが、この場合、基材のレーザー光照射部を含む領域に前処理液を接触させる。また前処理液の温度及び前処理時間(基材に前処理液を接触させる時間)は、特に制限されない。前処理液の温度は、例えば、室温、又は、10℃〜50℃であり、前処理時間は、例えば、1〜10分である。前処理液の温度、及び前処理時間が上記範囲であれば、基材に十分な量の窒素含有ポリマーを吸着させることができ、また、前処理液の浸透による基材の劣化を抑制できる。
(3)基材の洗浄
次に、前処理液を接触させた基材を洗浄する(図1のステップS3)。窒素含有ポリマーは、基材のレーザー光照射部、即ち、基材の粗化及び/又は改質された部分に吸着及び/又は浸透している。一方、レーザー光非照射部には、窒素含有ポリマーは吸着していないか、または、比較的弱い力で吸着している。このため、基材の洗浄により、レーザー光非照射部、即ち、無電解メッキ膜を形成しない部分に付着している窒素含有ポリマーを除去し、レーザー光照射部のみに窒素含有ポリマーを残すことができる。また、基材を保持している治具に付着した窒素含有ポリマーを除去し、治具上のメッキ膜の析出を抑制できる。
洗浄は、例えば、前処理液に含まれる窒素含有ポリマーを溶解可能な液体(洗浄液)に基材を浸漬することによって行うことができる。洗浄液としては、上述の前処理液の溶媒として挙げたものを用いることができ、水であることが好ましい。即ち、基材の洗浄として、基材を水洗することが好ましい。また、洗浄効果を上げるために、基材の洗浄中、基材を浸漬した洗浄液を攪拌してもよい。ここで、洗浄液の撹拌とは、例えば、エアバブリング、ポンプ等により洗浄液を撹拌、循環、流動等させることを意味する。または、洗浄液中で、基材および治具を揺動してもよい。洗浄液に溶出した窒素含有ポリマーの濃度上昇を抑制するため、洗浄液をフィルター、活性炭等に通過循環させ、洗浄効果を維持することが好ましい。
洗浄液の温度及び洗浄時間(基材を洗浄液に浸漬している時間)は、特に制限されない。洗浄液の温度は、例えば、室温、又は、10℃〜80℃であり、洗浄時間は、例えば、1〜20分である。洗浄効果を高めるために、基材の洗浄は、複数回行ってもよい。
(4)無電解メッキ触媒の付与
次に、基材に金属塩を含むメッキ触媒液を接触させる(図1のステップS4)。これにより、基材のレーザー光照射部、即ち、粗化及び/又は膨潤した部分に、無電解メッキ触媒である金属塩由来の金属イオンが吸着する。
センシタイザー・アクチベータ法やキャタリスト・アクセラレータ法等の従来の触媒付与処理では、触媒である金属イオンを還元し、酸化数0(ゼロ)の金属状態として基材に吸着させる。その理由を以下に説明する。第1に、金属イオンは基材表面に吸着し難い。吸着したとしても吸着力が弱いため、無電解メッキ処理中に基材から脱離する虞がある。従来の触媒付与処理では、金属イオンを還元して金属状態とすることで、基材への吸着力を高めている。第2に、無電解メッキ触媒は、通常、酸化数0(ゼロ)の金属状態において触媒活性を示す。イオン状態では触媒活性を示さない。従来の触媒付与処理では、金属イオンを還元して基材に吸着させることで、無電解メッキ工程において、触媒活性を示す金属状態の無電解メッキ触媒が吸着した基材を無電解メッキ液に接触させている。
これに対して、本実施形態では、触媒付与処理(図1のステップS4)において、触媒である金属イオンを還元しなくてよい。本実施形態の基材のレーザー光照射部には、金属イオンを吸着可能な窒素含有ポリマーが存在する。窒素含有ポリマーにより、基材のレーザー光照射部に、金属イオンを吸着させることができる。窒素含有ポリマーにより無電解メッキ触媒の基材への吸着力が高まるため、無電解メッキ処理中の無電解メッキ触媒の脱離を抑制できる。本実施形態では、触媒付与処理において、基材に金属イオンを吸着させるため、無電解メッキ工程(図1のステップS5)において、触媒活性を示さないイオン状態の無電解メッキ触媒(金属の酸化数が正)が吸着した基材を無電解メッキ液に接触させる。しかし、本実施形態では、無電解メッキ触媒はイオン状態であっても基材表面に十分な濃度で存在でき、無電解メッキ液中に含まれる還元剤により還元されて、触媒活性を示すことができる。これにより、基材のレーザー光照射部に無電解メッキ膜を形成できる。
本実施形態では、無電解メッキ工程前において、無電解メッキ触媒(金属イオン)の還元処理を省略できる。このため、製造コストを削減でき、スループットが向上する。また、本実施形態では、従来の触媒付与処理において用いられている不安定なコロイド溶液が不要である。本実施形態で用いる金属塩を含むメッキ触媒液は安定であり、管理及び保存が容易である。
メッキ触媒液の含有する金属塩は、無電解触媒能を有する金属の塩であれば任意のものを用いることができる。例えば、Pd、Pt、Cu、Ni等の塩が挙げられ、中でも、触媒能の高いPdが好ましい。Pdの塩としては、例えば、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、パラジウム錯体が挙げられ、中でも、安価で安定な塩化パラジウムが好ましい。
メッキ触媒液中の金属塩の配合量は、特に限定されず、メッキ触媒液の温度、メッキ触媒液と基材との接触時間等の条件に基づいて、または、後述する無電解メッキ工程(図1のステップS5)で用いる無電解メッキ液の種類に基づいて適宜調整できる。例えば、メッキ触媒液中の金属塩の配合量は、0.01g/L〜1.0g/L、0.05g/L〜0.5g/L、又は、0.1g/L〜0.3g/Lである。金属塩の配合量が上記範囲より少ないと、基材への金属塩の吸着量にムラができ、メッキ膜の欠陥ができる虞がある。また、金属塩の配合量が上記範囲を超えると、基材の最表面でのメッキ反応が支配的となり、メッキ膜の密着強度が低下する虞がある。
金属塩を溶解させるメッキ触媒液の溶媒としては、特に限定されず、金属塩の種類に応じて選択でき、例えば、水;エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、アセトン、エチルメチルケトン等の有機溶媒;これらの混合溶媒が挙げられる。更に、金属塩の溶解度を上げるために、塩酸、硝酸、アンモニア、水酸化ナトリウムなどを加えて、液体のpHを調整していてもよい。例えば、メッキ触媒液が塩酸を含む場合、メッキ触媒液中の塩酸の濃度は、例えば、0.1N〜12Nであり、0.1N〜5Nが好ましく、1.0N〜4.0Nがより好ましい。また、本実施形態では、アルカリ性のメッキ触媒液を用いてもよい。
メッキ触媒液は、金属塩及び溶媒のみから構成されてもよいし、必要に応じて、汎用の添加剤を含んでもよい。メッキ触媒液は、例えば、安定剤、錯化剤、界面活性剤を含んでもよい。
メッキ触媒液は、金属塩と、溶媒と、更に必要に応じて汎用の添加剤等を混合して調製してもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、センシタイザー・アクチベータ法に用いる触媒化処理剤(アクチベータ)を用いることができる。通常のセンシタイザー・アクチベータ法では、Pd2+を含む触媒化処理剤(アクチベータ)を用いるアクチベータ処理の前に、不安定なコロイド溶液である感応性付与剤(センシタイザー)を用いたセンシタイザー処理が必要であるが、本実施形態ではコロイド溶液を用いた処理は不要である。このため、本実施形態の無電解メッキ触媒付与処理では、センシタイザー・アクチベータ法よりもスループットが向上する。
基材にメッキ触媒液を接触させる方法は任意であり、例えば、メッキ触媒液に基材全体を浸漬させてもよい。また、基材の一部分のみにメッキ触媒液を接触させてもよいが、この場合、基材のレーザー光照射部を含む領域にメッキ触媒液を接触させる。また、メッキ触媒液の温度及び基材にメッキ触媒液を接触させる時間は、特に制限されない。メッキ触媒液の温度は、例えば、室温、又は、20℃〜40℃であり、メッキ触媒液を接触させる時間は、例えば、30秒〜10分が好ましい。メッキ触媒液の温度、及び接触時間が上記範囲であれば、レーザー光照射部に均一に無電解メッキ触媒を吸着させることができる。また、メッキ触媒液の浸透による基材の劣化、及びレーザー光非照射部への触媒の付着を抑制できる。尚、メッキ触媒液に基材を浸漬した後、基材を水洗して洗浄することが好ましい。
(5)無電解メッキ
次に、メッキ触媒液を接触させた基材に、無電解メッキ液を接触させる(図1のステップS5)。本実施形態では、無電解メッキ触媒(金属イオン)を基材に付与した後(図1のステップS4)、無電解メッキ触媒(金属イオン)を還元する必要がない。即ち、金属イオンが吸着している基材に無電解メッキ液を接触させてよい。これにより、基材のレーザー光照射部に無電解メッキ膜を形成できる。
無電解メッキ液としては、目的に応じて任意の汎用の無電解メッキ液を使用しできる。無電解メッキ液は、例えば、次亜リン酸ナトリウム、ホルマリン、ジメチルアミンボラン等の還元剤を含有する。無電解メッキ液としては、無電解ニッケルメッキ液(無電解ニッケルリンメッキ液)、無電解銅ニッケルメッキ液、無電解銅メッキ液、無電解パラジウムメッキ液等を用いることができ、中でも無電解メッキ触媒(金属イオン)の還元効果の高い次亜リン酸ナトリウムを還元剤として含む、無電解ニッケルメッキ液、無電解銅ニッケルメッキ液が好ましい。また、次亜リン酸ナトリウムを還元剤として含む無電解銅ニッケルメッキ液は、更に、以下の利点を有する。一般的な無電解銅メッキとは異なり、人体に対する有害性が高く自然気化しやすいホルマリンを還元剤に用いる必要がない。形成される無電解銅ニッケルメッキ膜は、その直上に無電解又は電解銅メッキ膜を密着性良く形成でき、また、純銅に近い高い電気伝導性を有する。
次亜リン酸ナトリウムを還元剤として用いる場合、無電解メッキ液中の次亜リン酸ナトリウムの配合量は、5g/L〜50g/Lであることが好ましい。還元剤の配合量が上記範囲内であれば、基材に吸着している金属イオン(無電解メッキ触媒)を十分に還元できる。
無電解メッキ液の温度、無電解メッキ時間(基材に無電解メッキ液を接触させる時間)は、無電解メッキ液及び基材の種類等に応じて適宜決定できる。例えば、無電解メッキ液の温度は、50℃〜80℃であり、無電解メッキ時間は、1分〜1時間である。
また、無電解メッキ液を撹拌又は揺動させながら基材に接触させて、無電解メッキを行ってもよい。無電解メッキ液を撹拌又は揺動させることで、無電解メッキ液の温度及びメッキ反応性を均一化できる。これにより、複雑形状又は大型形状の基材上にも、均一で密着強度の高い無電解メッキ膜を形成できる。本実施形態では、窒素含有ポリマーにより、基材のレーザー光照射部に無電解メッキ触媒が比較的強固に吸着している。このため、無電解メッキ液を撹拌又は揺動させても無電解メッキ触媒が基材から脱離せず、メッキ反応のムラが生じ難い。ここで、無電解メッキ液の撹拌又は揺動とは、例えば、エアバブリング、ポンプ等により無電解メッキ液を撹拌、循環、流動等させることを意味する。
無電解メッキ膜上には、メッキ部品の用途及び意匠性向上等の目的から、更に異なる種類の無電解メッキ膜を複数層形成してもよいし、電解メッキにより電解メッキ膜を形成してもよい。また、無電解メッキ膜が形成された基材は、無電解メッキ後にアニール処理を施してもよいし、室温で放置して自然乾燥してもよい。また、アニール処理や自然乾燥を行わず、連続して電解メッキ膜を形成する等の次の工程を行ってもよい。
無電解メッキ膜は導電性を有していてもよい。この場合、無電解メッキ膜は、配線パターン、電気回路、アンテナ等として機能でき、メッキ部品は、電子部品として機能する。また、無電解メッキ膜は、基材の一面のみに平面的に形成させてもよいし、基材の複数の面に亘って立体的に形成されてもよい。また、基材が球面等を含む立体形状の表面を有する場合には、無電解メッキ膜は、その立体形状の表面に沿って立体的に形成されてもよい。無電解メッキ膜が成形体の複数の面に亘って、又は球面等を含む立体形状の表面に沿って立体的に形成され、且つ導電性を有する場合、無電解メッキ膜は立体電気回路として機能し、このような所定パターンのメッキ膜を有するメッキ部品は、立体回路成形部品(MID:Molded Interconnect Device)として機能する。
以上説明したように、本実施形態の製造方法では、レーザー光を照射した基材に、特定の重量平均分子量を有する窒素含有ポリマーを含み、特定の表面張力を有する前処理液を接触させて、触媒付与の前処理を行う。これにより、安定なメッキ触媒液である、金属塩を含むメッキ触媒液用いて基材に無電解メッキ触媒を付与でき、無電解メッキの反応性及び選択性が向上する。本実施形態では、基材のレーザー光照射部に、無電解メッキ膜を選択的に形成できる。
また、本実施形態では、治具上のメッキ膜の形成を抑制できる。このため、基材を治具で保持した状態で、基材及び治具の両方に、前処理液を接触させ、洗浄を行い、メッキ触媒液を接触させ、そして無電解メッキ液を接触させてもよい。即ち、触媒付与処理とメッキ処理との間で、基材を保持する治具を取り換える必要がない。これにより、スループットが向上する。
また、本実施形態の製造方法では、従来、行われていた、無電解メッキ触媒(金属イオン)の還元処理を省略できる。換言すれば、本実施形態の製造方法では、基材と接触する液体のうち、無電解メッキ液のみが還元剤を含有してもよい。無電解メッキ触媒(金属イオン)の還元処理を省略することで、製造コストを削減でき、スループットが向上する。尚、本実施形態の製造方法では、無電解メッキ触媒(金属イオン)を基材に付与した後で(図1のステップS4)、無電解メッキ処理の前に(図1のステップS5)に、無電解メッキ触媒(金属イオン)の還元処理を設けてもよい。無電解メッキの還元処理は必須の工程ではないが、無電解メッキの還元処理を設けることで、金属化する無電解メッキの割合が向上する。これにより、無電解メッキ液の種類の選択の幅が広がる可能性がある。
[第2の実施形態]
第2の実施形態として、図2に示すフローチャートに従って、メッキ部品の製造方法について説明する。本実施形態では、基材にレーザー光を照射する前に、基材表面に触媒失活剤(触媒活性妨害剤)を付与する(図2のステップS11)。それ以外は、第1の実施形態と同様の方法により、メッキ部品を製造する。
基材としては、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。触媒失活剤としては、無電解メッキ触媒が触媒能を発揮することを妨げ、結果として、無電解メッキの反応を抑制する物質であれば、任意の物質を用いることができる。触媒失活剤は、無電解メッキ触媒と直接反応して無電解メッキ触媒を被毒するか、又は無電解メッキ触媒と直接反応せずとも、無電解メッキ触媒が触媒能を発揮することを妨げると推測される。このような触媒失活剤としては、例えば、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)等のメッキ触媒毒となる重金属及びその化合物、ヨウ素及びその化合物、過酸化物等の酸化剤等が挙げられる。中でも、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)及びその化合物は、無電解メッキ触媒に対しての被毒性が強いという点で好ましく、ヨウ素は、基材への浸透性が高い点で好ましい。これらの触媒失活剤は、例えば、国際特許公開公報WO2016/013464号に開示される方法により、基材へ付与できる。基材に付与されたこれらの触媒失活剤は、基材に浸透するか、又は強固に吸着すると推測される。
また、触媒失活剤を含む触媒活性妨害層(以下、適宜、単に「妨害層」と記載する)を基材の表面に形成することにより、触媒失活剤を基材の表面に付与してもよい。例えば、上述したヨウ素等の触媒失活剤と、バインダとなる樹脂とを含む妨害層を形成する。バインダとなる樹脂を用いることで、触媒失活剤が直接、吸着又は浸透し難い基材の表面にも触媒失活剤を留めることができる。
また、触媒失活剤として、触媒活性を妨害する樹脂を用いてもよい。樹脂である触媒失活剤は、妨害層として基材上に付与できる。樹脂である触媒失活剤としては、側鎖にアミド基及びジチオカルバメート基を有するポリマーが好ましい。側鎖のアミド基及びジチオカルバメート基が無電解メッキ触媒となる金属イオンに作用し、触媒能を発揮することを妨げると推測される。また、樹脂である触媒失活剤は、デンドリマー、ハイパーブランチポリマー等のデンドリティックポリマーが好ましい。触媒活性を妨害する樹脂としては、例えば、国際特許公開公報WO2017/154470号、又はWO2018/131492号に開示されるポリマーを用いることができ、また、同公報に開示される方法により、基材表面に妨害層を形成できる。
デンドリティックポリマーとしては、例えば、国際特許公開公報WO2017/154470号、又はWO2018/131492号に開示されている、下記式(1)で表され、重量平均分子量が、1,000〜1,000,000であるハイパーブランチポリマーが好ましい。
Figure 0006666529
式(1)において、Aは芳香環を含む基であり、Aは、アミド基を含む基であり、Aは、硫黄を含む基であり、Rは、水素又は炭素数1〜10個の置換若しくは無置換の炭化水素基であり、m1は0.5〜11であり、n1は5〜100である。
次に、図2に示すように、第1の実施形態と同様の以下の工程を行う。まず、触媒失活剤が付与された基材の表面の一部にレーザー光を照射する(図2のステップS1)。レーザー光照射により、基材の表面には、レーザー光照射部と、レーザー光非照射部が形成される。レーザー光照射部では、触媒失活剤は除去されるか、変性又は変質して触媒失活剤として作用しなくなる。また、レーザー光照射部は、第1の実施形態と同様に粗化及び/又は改質される。
次に、第1の実施形態と同様に、触媒付与の前処理(図2のステップS2)、基材の洗浄(図2のステップS3)、無電解メッキ触媒の付与(図2のステップS4)及び無電解メッキ(図2のステップS5)をこの順に行う。これにより、レーザー光照射部に無電解メッキ膜が形成されたメッキ部品が得られる。
本実施形態の製造方法では、第1の実施形態と同様の効果を奏することができ、基材のレーザー光照射部に選択的に無電解メッキ膜を形成できる。また、本実施形態では、レーザー光非照射部に残存する触媒失活剤により、レーザー光非照射部におけるメッキ膜の析出をより確実に抑制できる。これにより、無電解メッキの選択性が向上する。
[第3の実施形態]
第3の実施形態として、無電解メッキ用の基材処理剤のセットについて説明する。本実施形態の無電解メッキ用の基材処理剤のセットは、無電解メッキ触媒付与用の前処理液と、触媒失活剤とを含む。無電解メッキ触媒付与用の前処理液は、水と、重量平均分子量1,000以上の窒素含有ポリマーと、界面活性剤とを含み、表面張力が20mN/m〜60mN/mである。本実施形態の前処理液は、第1の実施形態の前処理液と同様のものを用いることができる。触媒失活剤は、ハイパーブランチポリマーを含む。本実施形態の触媒失活剤は、第2の実施形態の触媒失活剤と同様のものを用いることができる。
無電解メッキ用の基材処理剤のセットとして、無電解メッキ触媒付与用の前処理液と、触媒失活剤とを併せて用いることにより、無電解メッキの反応性及び選択性をより向上させることができる。本実施形態の無電解メッキ用の基材処理剤のセットは、MIDやアンテナ部材に求められる微細なメッキパターン(回路パターン、アンテナパターン)の形成に特に有効である。
本実施形態のセットでは、窒素含有ポリマーとしてポリエチレンイミンを含む前処理液と、触媒失活剤として式(1)で表されるハイパーブランチポリマーとを組み合わせて用いることが好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例及び比較例により制限されない。
以下に説明する実験1〜17において、メッキ部品である試料1〜17を作製した。各実験で用いた基材及びレーザーの種類、触媒失活剤の使用の有無、前処理液の組成、触媒液中の金属塩配合量、無電解メッキ液の種類を表1及び2に示す。尚、実験1〜12は実施例に相当し、実験13〜17は比較例に相当する。
[実験1]
(1)基材
ポリフェニレンサルファイド(PPS)(DIC製、Z230)を射出成形し、80mm×80mm×2mmの平板形状の基材を得た。金型温度は150℃とした。成形した基材を塩化ビニルで被覆した銅製の治具で保持し、その状態で以下に説明する各工程を実施した。
(2)触媒失活剤の付与
基材の表面に、触媒失活剤である下記式(A)で表されるハイパーブランチポリマーを含む触媒活性妨害層を形成した。下記式(A)で表されるハイパーブランチポリマーは、国際特許公開公報WO2018/131492号に開示される方法により合成した。尚、式(A)において、Rは、ビニル基又はエチル基である。
Figure 0006666529
合成した式(A)で表されるポリマーをメチルエチルケトンに溶解して、ポリマー配合量0.3重量%のポリマー溶液を調製した。室温のポリマー溶液に基材を5秒間浸漬し、その後、85℃乾燥機中で5分間乾燥した。これにより、基材表面に膜厚約100nmの触媒活性妨害層が形成された。
(3)レーザー光照射(レーザー描画)
触媒活性妨害層を形成した基材にYVOレーザー(キーエンス製、MD−V9929WA、波長1064nm)を用いて、下記の配線パターンA及びBをレーザー描画した。レーザー描画時のパワーは80%、周波数は40kHz,線速度は600mm/sとした。レーザー描画後、基材の脱脂処理及び洗浄を行った。
配線パターンA(ライン/スペース:0.5mm/0.5mm):0.1mmピッチの格子パターンによって形成されたライン(0.5mm×5mm)をスペース0.5mmにて5本描画。
配線パターンB(ライン/スペース:0.2mm/0.2mm):0.05mmピッチの格子パターンによって形成されたライン(0.2mm×5mm)をスペース0.2mmにて5本描画。
(4)触媒付与の前処理
水に、窒素含有ポリマーとして、重量平均分子量70,000のポリエチレンイミン(PEI)(和光純薬製、30重量%濃度溶液)、界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を混合し、ポリエチレンイミンの配合量(固形分濃度)が10g/L、ラウリル硫酸ナトリウムの配合量が0.1g/Lとなるように前処理液を調製した。前処理液の表面張力は、34.5mN/mであった。30℃に調整した前処理液に、基材を5分間浸漬した。
(5)基材の洗浄
エアバブリングにより撹拌した常温の水に基材を5分間浸漬して洗浄した。同様の洗浄を更にもう1回行った。
(6)無電解メッキ触媒の付与
まず、塩化パラジウム水溶液を調合した。0.1gの塩化パラジウムを12Nの塩酸1mLに溶解させた後、水で希釈し1Lとした。これより、配合量0.1g/Lの塩化パラジウム水溶液を調製した。30℃に調整した塩化パラジウム水溶液中に基材を5分浸漬した。基材を塩化パラジウム水溶液から取り出した後、エアバブリングにより撹拌した常温の水に数秒間浸漬して洗浄した。同様の洗浄を更に2回行った。
(7)無電解メッキ
65℃に調整した無電解ニッケルメッキ液(奥野製薬工業製、ICPニコロンLTN−NP、還元剤:次亜リン酸ナトリウム)に、基材を5分間浸漬した。無電解メッキ中、エアバブリング及びポンプにより、無電解メッキ液を激しく撹拌した。基材表面に無電解ニッケルメッキ膜を約1μm成長させ、メッキ部品(試料1)を得た。
[実験2]
触媒付与の前処理において、窒素含有ポリマーとして、重量平均分子量10,000のポリエチレンイミン(和光純薬製、30重量%濃度溶液)を用いた以外は、実験1と同様の方法により、メッキ部品(試料2)を製造した。
[実験3]
触媒付与の前処理において、窒素含有ポリマーとして、重量平均分子量1,000のポリエチレンイミン(和光純薬製、30重量%濃度溶液)を用いた以外は、実験1と同様の方法により、メッキ部品(試料3)を製造した。
[実験4]
触媒付与の前処理において、窒素含有ポリマーとして、重量平均分子量100,000のポリエチレンイミン(和光純薬製、30重量%濃度溶液)を用いた以外は、実験1と同様の方法により、メッキ部品(試料4)を製造した。
[実験5]
触媒付与の前処理において、窒素含有ポリマーの配合量を0.01g/Lとした以外は、実験1と同様の方法により、メッキ部品(試料5)を製造した。
[実験6]
触媒付与の前処理において、窒素含有ポリマーの配合量を2g/Lとした以外は、実験1と同様の方法により、メッキ部品(試料6)を製造した。
[実験7]
触媒付与の前処理において、窒素含有ポリマーの配合量を50g/Lとした以外は、実験1と同様の方法により、メッキ部品(試料7)を製造した。
[実験8]
触媒付与の前処理において、窒素含有ポリマーの配合量を100g/Lとした以外は、実験1と同様の方法により、メッキ部品(試料8)を製造した。
[実験9]
前処理液の界面活性剤として、SLSに代えて、シリコーン系界面活性剤(ポリエーテル変性シロキサン)を用い、前処理液の表面張力を22.0mN/mとした以外は、実験1と同様の方法により、メッキ部品(試料9)を製造した。
[実験10]
前処理液の界面活性剤として、SLSに代えて、ノニオン系界面活性剤(花王株式会社製、エマルゲン(登録商標)A500、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル)を用い、前処理液の表面張力を52.7mN/mとした以外は、実験1と同様の方法により、メッキ部品(試料10)を製造した。
[実験11]
基材の材料として液晶ポリマー(LCP)(上野製薬工業製、5030G)を用い、レーザーとしてUVレーザー(キーエンス製、MD−U1000C)を用い、無電解メッキ液として還元剤に次亜リン酸ナトリウムを用いた銅とニッケルの合金メッキ液(無電解銅ニッケルメッキ液)(株式会社JCU製、AISL)を用いた。更に、塩化パラジウム水溶液の濃度を0.2g/Lとした。それ以外は、実験1と同様の方法により、メッキ部品(試料11)を製造した。
[実験12]
基材に触媒失活剤を付与しなかった以外は、実験11と同様の方法により、メッキ部品(試料12)を製造した。
[実験13]
窒素含有ポリマーの重量平均分子量を500とした以外は、実験1と同様の方法により、メッキ部品(試料13)を製造した。
[実験14]
前処理液の界面活性剤として、SLSに代えて、フッ素系界面活性剤(AGCセイミケミカル株式会社製、サーフロンS‐242)を用い、前処理液の表面張力を18.0mN/mとした以外は、実験1と同様の方法により、メッキ部品(試料14)を製造した。
[実験15]
前処理液の界面活性剤として、SLSに代えて、アルキルサクシネートスルホン酸ナトリウムを用い、前処理液の表面張力を67.9mN/mとした以外は、実験1と同様の方法により、メッキ部品(試料15)を製造した。
[実験16]
前処理液に界面活性剤を用いず、前処理液の表面張力を73.0mN/mとした以外は、実験1と同様の方法により、メッキ部品(試料16)を製造した。
[実験17]
実験17では、基材に触媒付与のための前処理液を付与せず、また、触媒失活剤も付与しなかった。更に、特許文献1の実施例1と同様の方法により、レーザー光照射(レーザー描画)の後に基材のアルカリ処理及び表面活性剤処理を行い、無電解メッキ触媒の付与後で且つ無電解メッキ処理の前に水素化ホウ素ナトリウムを用いた還元処理を行った。それ以外は、実験1と同様にメッキ部品(試料17)を製造した。したがって、実験17と、特許文献1の実施例1との主な相違点は、基材の種類とレーザーの種類である。実験17では、ポリフェニレンサルファイド(PPS)の基材と、YVOレーザー(波長1064nm)を用いたのに対し、特許文献1の実施例1では、無電解メッキ触媒の吸着性が高い芳香族ポリアミドの基材と、より短波長のグリーンレーザーを用いている。
[試料1〜17の評価]
(1)無電解メッキの反応性及び選択性
試料(メッキ部品)1〜17の表面を目視およびマイクロスコープ顕微鏡にて観察し、以下の評価基準に従って無電解メッキの反応性及び選択性を評価した。結果を表1及び2に示す。
<無電解メッキ反応性の評価基準>
○:レーザー描画部に無電解メッキ膜が形成されていない領域(膜抜け、未析出部)が無く、無電解メッキ膜が安定に形成されている。
△:レーザー描画部の一部に膜抜けがある。しかし、無電解メッキ時間を延長すると無電解メッキ反応が進み、膜抜けが消失した。
×:レーザー描画部の一部に膜抜けがある。無電解メッキ時間を延長しても、それ以上、無電解メッキ反応が進まなかった。
<無電解メッキ選択性の評価基準>
○:配線パターンA及びB両方において、隣接する配線間の短絡(繋がり)が無い。
△:配線パターンA(ライン/スペース:0.5mm/0.5mm)では、配線間の短絡(繋がり)が無いが、配線パターンB(0.2mm/0.2mm)では、一部の隣接する配線間に短絡が認められる。
×:配線パターンA及びB両方において、一部の隣接する配線間に短絡(繋がり)が認められる。
(2)治具上のメッキ膜の析出
メッキ部品の製造後に、基材を保持していた治具の表面(塩化ビニル)を目視で観察し、治具上の無電解メッキ膜の有無を以下の評価基準に従って評価した。結果を表1及び2に示す。
<治具上のメッキ膜の析出の評価基準>
○:治具上に無電解メッキ膜は全く析出していない。
△:治具上の一部にメッキ膜が析出している。
×:治具上の全面に無電解メッキ膜が析出している。
Figure 0006666529
Figure 0006666529
表1及び2に示すように、実験1〜12では、無電解メッキ反の応性及び選択性が共に良好であり、治具上のメッキ膜の析出も抑制された。一方、実験13〜17では、無電解メッキの選択性若しくは反応性が不良であるか、又は、治具上の全面に無電解メッキ膜が析出した。
前処理液に含まれる窒素含有ポリマー(PEI)の重量平均分子量が異なり、その他の条件が同様である実験1〜4及び13を比較する。窒素含有ポリマー(PEI)の重量平均分子量が1,000〜100,000である実験1〜4では、いずれも、無電解メッキの反応性及び選択性が良好であり、また、治具上にメッキ膜は析出しなかった。特に、窒素含有ポリマー(PEI)の重量平均分子量が70,000以下である実験1〜3では、無電解メッキの選択性がより良好であり、窒素含有ポリマー(PEI)の重量平均分子量が10,000以上である実験1、2及び4では無電解メッキの反応性がより良好であり、そして、窒素含有ポリマー(PEI)の重量平均分子量が10,000〜70,000である実験1及び2では、無電解メッキの反応性及び選択性がより良好であり、また、治具上にメッキ膜は析出しなかった。一方、窒素含有ポリマー(PEI)の重量平均分子量が1,000未満である実験13(重量平均分子量:500)では、無電解メッキの反応性が著しく低く、メッキ膜がほとんど析出しなかった。このため、無電解メッキの選択性の評価はできなかった。
前処理液中の窒素含有ポリマー(PEI)の配合量が異なり、その他の条件が同様である実験5〜8を比較する。窒素含有ポリマー(PEI)の配合量が0.01g/L〜100g/Lである実験5〜8では、いずれも、無電解メッキの選択性及び反応性が良好であり、治具上へのメッキ膜の析出が抑制されていた。得に、窒素含有ポリマー(PEI)の配合量が0.01g/L〜50g/Lである実験5〜7では、治具上にメッキ膜が析出せず、窒素含有ポリマー(PEI)の配合量が2g/L〜100g/Lである実験6〜8では、無電解メッキの反応性がより良好であり、そして、窒素含有ポリマー(PEI)の配合量が2g/L〜50g/Lである実験6及び7では、無電解メッキの反応性及び選択性がより良好であり、また、治具上にメッキ膜は析出しなかった。
前処理液の表面張力が異なり、その他の条件が同様である実験9〜10及び14〜16を比較する。前処理液の表面張力が20〜60mN/mの範囲内である実験9及び10では、無電解メッキの選択性及び反応性が良好であり、治具上にメッキ膜は析出しなかった。一方、前処理液の表面張力が20mN/m未満である実験14(18.0mN/m)では、治具上の全面に無電解メッキ膜が析出した。また、前処理液の表面張力が60mN/mより高い実験15(67.9mN/m)では、無電解メッキの反応性が不良であり、実験16(73.0mN/m)では無電解メッキの選択性及び反応性が不良であった。尚、実験16で用いた前処理液は、溶媒が水で、且つ、界面活性剤を含まない。このような前処理液の表面張力は60mN/mより高くなり、無電解メッキの反応性及び選択性が低下することがわかった。
実験11及び12について考察する。実験11及び12では、基材として液晶ポリマーを用い、レーザーとして短波長レーザー(UVレーザー)を用いた。液晶ポリマーに対しては、UVレーザーによる表面改質効果が大きいことが本発明者らの検討で明らかになっている。したがって、実験11及び12では、レーザー光照射部を大きく粗化することなく、表面改質することにより、無電解メッキ触媒の吸着を高めることできたと推測される。実験12では、基材に触媒失活剤を付与せずとも、無電解メッキの選択性が良好であることが確認できた。また、実験11では、基材に触媒失活剤を付与することにより、無電解メッキの選択性が更に向上することが確認できた。
また、実験11及び12では、次亜リン酸ナトリウムを還元剤として含む無電解銅ニッケルメッキ液を用いて、反応性及び選択性が良好な無電解メッキを行えることが確認できた。尚、無電解銅ニッケルメッキ液を用いた無電解メッキでは、無電解ニッケルメッキを用いた無電解メッキよりも、より多くの無電解メッキ触媒が必要となる。このため、実験11及び12では、実験1よりも、触媒液中の無電解メッキ触媒(PdCl)の配合量を多くした。
実験17について考察する。基材に前処理液を付与しなかった実験17では、無電解メッキの反応性が著しく低く、メッキ膜がほとんど析出しなかった。このため、無電解メッキの選択性の評価はできなかった。また、上述のように、特許文献1の実施例1との主な相違点は、基材の種類とレーザーの種類である。この結果から、基材に前処理液を付与せずに、レーザー光の照射、非照射のみにより、無電解メッキ触媒の付着を制御するためには、レーザー光源や樹脂基材の種類の組み合わせの最適化が必要であることが確認できた。
本発明のメッキ部品の製造方法によれば、安定な処理液を用いた簡易な方法で基材に無電解メッキ触媒を付与でき、微細なメッキパターンが求められるMID等のメッキ部品を製造できる。また、触媒付与処理とメッキ処理との間で、基材を保持する治具を取り換える必要がないため、スループットが向上する。

Claims (14)

  1. メッキ部品の製造方法であって、
    基材の表面の一部に、レーザー光を照射することと、
    前記レーザー光を照射した基材に、重量平均分子量1,000以上の窒素含有ポリマーを含み、表面張力が20mN/m〜60mN/mである前処理液を接触させることと、
    前記前処理液を接触させた基材を洗浄することと、
    前記洗浄した基材に、金属塩を含むメッキ触媒液を接触させることと、
    前記メッキ触媒液を接触させた基材に、無電解メッキ液を接触させ、前記レーザー光照射部に無電解メッキ膜を形成することとを含み、
    前記窒素含有ポリマーが、ポリエチレンイミンであるメッキ部品の製造方法。
  2. 前記レーザー光を照射することにより、前記基材の表面を粗化及び/又は改質させる、請求項1に記載のメッキ部品の製造方法。
  3. 前記窒素含有ポリマーの重量平均分子量が、1,000〜100,000である、請求項1又は2に記載のメッキ部品の製造方法。
  4. 前記窒素含有ポリマーの重量平均分子量が、10,000〜100,000である、請求項に記載のメッキ部品の製造方法。
  5. 前記窒素含有ポリマーの重量平均分子量が、50,000〜100,000である、請求項に記載のメッキ部品の製造方法。
  6. 前記前処理液中の前記窒素含有ポリマーの配合量が、0.01g/L〜100g/Lである、請求項1〜のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
  7. 前記前処理液中の前記窒素含有ポリマーの配合量が、2g/L〜50g/Lである、請求項に記載のメッキ部品の製造方法。
  8. 前記前処理液が界面活性剤を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
  9. 前記基材にレーザー光を照射する前に、前記基材の表面に触媒失活剤を付与することを更に含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
  10. 前記触媒失活剤がハイパーブランチポリマーである、請求項に記載のメッキ部品の製造方法。
  11. 前記メッキ触媒液の金属塩が塩化パラジウムであり、前記メッキ触媒液中の塩化パラジウムの配合量が、0.01g/L〜1.0g/Lである、請求項1〜10のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
  12. 前記無電解メッキ液が次亜リン酸ナトリウムを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
  13. 前記メッキ触媒液を接触させることにより、前記金属塩由来の金属イオンが前記基材に吸着し、
    前記金属イオンが吸着している基材に前記無電解メッキ液を接触させる、請求項1〜12のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
  14. 前記無電解メッキ膜が電気回路又はアンテナパターンを形成している、請求項1〜13のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
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