以下、本実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態における画像検査システム1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態における画像検査システム1を構成する各装置間での信号の流れ等を説明するための制御系の主要部である。
図1および図2に示す画像検査システム1は、画像形成装置20によって用紙Sに画像を形成(出力)した後、当該用紙Sの画像を読み取り、当該読み取り結果に基づいて出力画像の品質の良否(画像不良の発生の有無)を検査し、該検査結果の表示等の処理を行うものである。
図1に示すように、画像検査システム1は、入力画像データに基づく画像を用紙Sに形成する画像形成装置20、画像形成装置20に用紙Sを給紙する給紙装置10、画像形成装置20から排紙された用紙Sの画像を読み取る画像読取装置30、複数の排紙トレイ(42,43)を有する後処理装置40を備える。
画像検査システム1では、用紙Sの搬送方向の上流側から、給紙装置10、画像形成装置20、画像読取装置30、および後処理装置40が順に物理的に接続される(装置本体同士が連結される)ことにより、用紙Sの搬送経路Pがこれら複数の装置間に連なって構成される。この搬送経路Pは、後処理装置40の仕分け部41によって、下方の排紙トレイ42に連なる経路P1と、上方の排紙トレイ43に連なる経路P2と、に分岐される。
簡明のため、図1では、画像形成装置20内の搬送経路Pを1本の線で示しているが、実際の画像形成装置20では、両面印刷のための両面搬送路が設けられている。また、簡明のため、図1では、後処理装置40内で分岐される経路をP1およびP2の2本としたが、排紙トレイの数などに応じて、より多くの分岐経路を設けることができる。
給紙装置10は、種々のサイズや紙種の用紙Sを収容することができる。給紙装置10は、収容(積載)された用紙Sを1枚ずつ給紙するための給紙ローラー、給紙ローラーを駆動するモーターなどを有する。
画像形成装置20は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式の画像形成部21を有する。この例では、画像形成部21は、図示しない感光体ドラム上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト(図示せず)に一次転写し、中間転写ベルト上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Sに二次転写することにより、トナー像を形成する。また、用紙Sの搬送方向における画像形成部21の下流側には、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを加熱および加圧して、用紙Sにトナー像を定着させる定着部22が配置されている。これら画像形成部21および定着部22は、公知の構成であるため、詳細な説明を省略する。また画像形成装置20における画像形成の方式は、上記の方式に限られるものではなく、他の種々の方式が適用可能である。
画像形成装置20の装置本体には操作表示部25が備えられる。この操作表示部25は、例えばタッチパネル付きの液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部26及び操作部27として機能する。表示部26は、後述する制御部200から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部27は、テンキー、スタートキー等の各種操作キー(いわゆるハードウエアスイッチ)を備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部200に出力する。また、表示部26は、後述する各種画面において、カーソル(ポインタ)等で選択可能な種々のアイコン(いわゆるソフトウエアスイッチ)を表示し、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部200に出力する。
画像形成装置20は、図2に示すように、この画像形成装置20全体の制御を司る制御部200を備える。制御部200は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203等を備え、上述した画像形成部21、定着部22、および操作表示部25の他、画像形成装置20に備えられる各部の動作を制御する。すなわち、制御部200のCPU201は、ROM202から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM203に展開し、展開したプログラムと協働して、画像形成部21、定着部22、操作表示部25および画像形成装置20内の他のブロックの動作を集中制御する。
画像形成装置20に備えられる他のブロックとしては、入力画像データに対して階調補正などの種々の補正を行う画像処理部、用紙Sを搬送する複数の搬送ローラーを駆動する用紙搬送部、通信ネットワーク等を通じてサーバー等の外部装置と通信する通信部などが挙げられる。また、画像形成装置20は、原稿画像を用紙Sに複写するコピー機としての構成、すなわち、ADF(Auto Document Feeder)などの自動原稿給紙装置および原稿画像走査装置(スキャナー)等を備える構成としてもよい。上述したこれらのブロックは、公知の構成であり、簡明のため図示および説明を省略する。
画像読取装置30は、図1および図2に示すように、画像形成装置20から排紙された用紙Sの画像(トナー像)を光学的に読み取る出力画像読取部31を有する。具体的には、出力画像読取部31は、用紙Sを光学的に走査(スキャニング)し、用紙Sからの反射光を図示しないCCD(Charge Coupled Device)センサーの受光面上に結像させて、用紙Sの両面の画像を読み取り、読取結果に基づいて読取画像データを生成する。出力画像読取部31によって生成された読取画像データは、後述する画像検査装置50に入力される。
後処理装置40は、図1および図2に示すように、画像読取装置30によって画像を読み取られた用紙Sを搬送する搬送ローラー、かかる用紙Sを排出する複数の排紙トレイ42,43、および、用紙Sの排出先(搬送ルート)を切り替える仕分け部41を備える。簡明のため、図1では、2つの排紙トレイ42,43を備えた構成を例示するが、排紙トレイの数は任意であり、より多くの排紙トレイを設けてもよい。仕分け部41は、用紙Sの排出先(搬送ルート)を経路P1と経路P2のいずれかに切り替える切り替えゲート、切り替えゲートを駆動するソレノイド等の駆動源、画像形成装置20および画像検査装置50とデータの送受信を行うためのインターフェースなどを備える。
加えて、後処理装置40は、用紙Sを裁断するカッター、用紙Sのステープルとじを行うステイプラー、用紙Sの折りを行う紙折り機構、など、用途に応じた種々の付加的な機能を備えることができる。これらの付加的な機能は公知の構成であり、簡明のため図示および説明を省略する。
図2に示すように、画像検査システム1は、画像読取装置30によって生成された読取画像データに基づいて、当該用紙Sに形成(出力)された出力画像の品質の良否(画像不良の有無)を検査する画像検査装置50を備える。この画像検査装置50は、CPUなどのハードウェアプロセッサやROM、後述するデータ格納部51などを備え、ROMに格納されたプログラムをCPUが読み出して実行することにより、出力画像の品質の良否(画像不良の有無)を検査するジョブ(以下、検品ジョブという)を実行する。
本実施の形態では、画像検査装置50は、画像読取装置30によって生成された第1の読取画像に基づいて、画像検査を行うための基準画像(いわゆる正解画像)を生成する基準画像生成部としての機能を担う。また、画像検査装置50は、画像読取装置30によって生成された第2の読取画像と基準画像とを比較して画像不良の有無の検査を行う画像検査部の機能を担う。さらに、画像検査装置50は、画像形成装置20の操作表示部25と協働して、画像検査を行う用紙S上の画像検査領域を、印刷ジョブの内容に応じて設定する設定部としての機能を担う。なお、画像検査装置50のこれら各機能の詳細については後述する。
画像検査装置50は、例えば、画像形成装置20、または画像読取装置30や後処理装置40の筐体内に物理的に組み込まれることができ、または、これら装置とは物理的に独立した装置として構成することもできる。図2に示す例では、画像検査装置50は、前者すなわち画像形成装置20に設けられた画像検査専用のハードウェア構成(CPU等)となっており、画像形成装置20の後述する制御部200等に電気的に接続されている。
また、画像検査システム1は、図2に示すように、入力画像データおよび印刷条件(印刷の方法や部数などの種々のユーザー設定値)のデータを出力するPC60を備える。図2に示す例では、PC60は、これらのデータを画像形成装置20の制御部200に供給する。なお、基準画像(正解画像)の生成方式によっては(例えば基準画像を入力画像データから直接生成するような場合)、PC60は、上記のデータを画像形成装置20(制御部200)と画像検査装置50の両方に供給する構成としてもよい。
さらに、図2に示すように、画像検査システム1は、印刷ジョブおよび検品ジョブに関する各種データを格納するためのデータ格納部51を備える。データ格納部51は、例えば画像形成装置20の本体(筐体)内に設けられ、図示しないインターフェースを介して、制御部200および画像検査装置50のCPUに接続されている。データ格納部51は、印刷ジョブにおける上述した入力画像データや印刷条件のデータ、生成された基準画像のデータ、後述する操作表示部25を通じて設定された各種の設定データ、画像検査の結果を示すデータなど、種々のデータを格納する。データ格納部51は、HDDや半導体のメモリなど、各種のデータ記憶媒体を使用することができる。
次に、図3のフローチャートを参照して、画像検査装置50が実行する検品ジョブの処理の概略について説明する。この例では、8ページで一部数となる印刷物を片面印刷の設定で複数の部数印刷し、印刷された複数部数の印刷物の全ての画像の良否を検査する場合で、この印刷物(用紙8枚分)の基準画像のデータを新規に登録する事例を前提とする。
ステップS10において、画像検査装置50(図2に示す画像検査装置50のCPU、以下同じ。)は、印刷ジョブの実行の際に、画像形成装置20により印刷され画像読取装置30により読み取られた一部数分の読取画像データを、基準画像のデータとして登録(新規作成)する。
具体的には、画像検査装置50は、画像読取装置30により生成された一部数分(この例では用紙8枚分)の画像(読取画像データ)を、基準画像の候補としてRAM等に一時保存する。また、実際の印刷物(8枚分)の画像がユーザーによって確認され、問題がない場合、表示部26に表示された図示しない基準画像登録画面での操作入力を通じて、一時保存されたデータが、正式な基準画像のデータとして、データ格納部51に格納(登録)される。この後、画像形成装置20によって、第二部目からの印刷ジョブの実行が連続的に開始される。
ステップS20において、画像検査装置50は、画像形成装置20により本印刷され画像読取装置30の出力画像読取部31によって生成された第二部目(この例では9枚目)からの読取画像データを取得する。一具体例では、画像検査装置50は、生成された読取画像データを画像読取装置30から直接受信する。
ステップS30において、画像検査装置50は、ステップS20で取得された読取画像データを、ステップS10で登録された対応する基準画像のデータと比較することによって、基準画像と読取画像の同一性を検査する。
ステップS40において、画像検査装置50は、読取画像データに画像不良があるか否かを判定する。かかる判定の処理は、基準画像と読取画像の一致度(画像不良の種類)に関する項目および合否の基準値(閾値)等によって異なるものとなり、これらは公知の手法と同様であるため、判定手法の詳述を省略する。
ここで、画像検査装置50は、読取画像データに画像不良がないと判定した場合(ステップS40、NO)、かかる印刷物の画像品質が合格であるとみなす。この場合、画像検査装置50は、この読取画像データに対応する用紙Sを、予め設定された第1トレイ(例えば図1の排紙トレイ42)に排出するように、後処理装置40に通知する。そして、画像検査装置50は、当該検品に関する印刷ジョブが完了するまでステップS20~ステップS40の処理を繰り返し、かかる印刷ジョブが完了すると、処理を終了する。この場合、画像検査装置50は、例えば「全ての印刷ページで画像品質が合格した」旨を画像形成装置20の制御部200に通知する。
一方、画像検査装置50は、読取画像データに画像不良があると判定した場合(ステップS40、YES)、ステップS50に移行する。
ステップS50において、画像検査装置50は、例えば「100枚目の印刷ページで画像不良が発生した」等のメッセージを画像形成装置20の制御部200に送信する。このとき、画像検査装置50は、当該画像不良の種類、用紙S内における画像不良の位置などを併せて画像形成装置20の制御部200に送信する。また、画像検査装置50は、当該画像不良がある読取画像データに対応する用紙Sを、予め設定された第2トレイ(例えば図1の排紙トレイ43)に排出するように、後処理装置40に通知する。
画像検査装置50から画像不良の有無についての通知を受けた後処理装置40は、対象となる用紙Sを該当する排紙トレイ(42または43)に排出するように、仕分け部41の切り替えゲートを駆動する。
画像検査装置50は、検品ジョブが完遂されるまで、上述したステップS20~ステップS50の処理を繰り返し行い、検品ジョブが完了(完遂)された場合、検品結果を画像形成装置20に送信して、検品ジョブを終了する。
ところで、不良画像であるとの検査結果(いわゆヤレ紙)を可能な限り減らしたい等の観点から、印刷物を構成する各ページの画像の重要度に応じて、特定のページだけ画像検査を行いたい場合がある。例えば、第1ページ目は文字だけなので画像検査の必要なし、第2ページは重要な画像なので画像検査を行う必要があり、宛名やロゴの入っている第5ページも画像検査を行う必要がある、といったケースが挙げられる。このような要求に応じて、近年の画像検査装置ないしシステム(以下、画像検査装置等という。)では、印刷物を構成するページ毎に画像検査を行うか否かを設定できるものがある。また、近年の画像検査装置等では、ユーザーの入力操作によって、ページ毎に画像検査の検査基準(厳しい/中程度/緩い、など)を設定できるものがある。さらに、近年の画像検査装置等では、用紙Sの一頁内の画像検査領域を個別に指定することができるものもある。
以下、図4を参照して、特定のページのみ画像検査を行う場合の検品ジョブの流れについて、適宜図3の処理を読み替えて説明する。以下は、一具体的として、上述した8ページ分で一部をなす印刷物について、図4に示すように、第2頁(用紙Sの2枚目)および第5頁目(同5枚目)の画像のみを画像検査の対象とする場合について説明する。
ステップS10において、画像検査装置50は、印刷ジョブの実行の際に、画像形成装置20により印刷され画像読取装置30により読み取られた一部数分の読取画像データの内、ユーザーにより選択された画像検査対象となるものを、基準画像のデータとして登録(新規作成)する。
具体的には、画像検査装置50は、画像読取装置30により生成された一部数分(この例では用紙8枚分)の画像(読取画像データ)を、基準画像の候補としてRAM等に一時保存する。また、実際の印刷物(8枚分)の画像がユーザーによって目視で確認され、第2頁および第5頁目の用紙Sの画像が問題ない場合、上述した基準画像登録画面での操作入力を通じて、かかる第2頁および第5頁目の画像のデータが、正式な基準画像のデータとして、データ格納部51に格納(登録)される。この後、画像形成装置20によって、第二部目からの印刷ジョブの実行が連続的に開始される。
ステップS20において、画像検査装置50は、画像形成装置20により印刷され画像読取装置30の出力画像読取部31によって生成された第二部目(この例では9枚目)からの読取画像データを取得する。
ステップS30において、画像検査装置50は、ステップS20で取得された読取画像データのうち画像検査の対象となるもの(すなわち第2頁および第5頁目の画像)を、ステップS10で登録された対応する基準画像のデータと比較することによって、基準画像と読取画像の同一性を検査する。
ステップS40およびステップS50の処理は上述と同様であり、説明を省略する。
ところで、上記のように印刷物を構成するページ毎に画像検査を行うか否かを任意に設定できるシステムであっても、印刷ジョブにおいて用紙Sの一面(一頁)に複数ページの画像を集約して印刷する集約機能を使用する場合、画像検査の段階で問題が生じていた。以下、この問題を、図5~図8を参照して説明する。
図5~図8は、図4と同様に、一部数が8ページで構成される印刷物のうち第2ページと第5ページを画像検査の対象とする場合を想定する図である。一方、図5~図8は、図4とは異なり、上記印刷物を種々の集約態様で印刷する場合を例示している。
ここで、図5Aおよび図5Bは、両面印刷かつ集約態様が横配置(連続するページを横に並べる場合)の4in1の設定で8ページ分の印刷を行う場合を示している。この場合、画像検査(検品)の対象となる第2ページ目が用紙Sの表面(1ページ目)の右上となり、第5ページ目が用紙Sの裏面(2ページ目)の左上になることが分かる。
一方、図6Aおよび図6Bは、図5Aおよび図5Bと同様に両面印刷かつ4in1の集約であるが、縦配置(連続するページを縦に並べる場合)の集約設定で8ページ分の印刷を行う場合を示している。この場合、画像検査の対象となる第2ページ目が用紙Sの表面の左下となり、第5ページ目が用紙Sの裏面の左上になることが分かる。
また、図7A~図7Dは、両面印刷かつ集約態様が小冊子の2in1の設定で8ページ分の印刷を行う場合を示している。この場合、画像検査の対象となる第2ページ目が1枚目の用紙Sの表面の左側となり(図7A参照)、第5ページ目が2枚目の用紙Sの表面の右側になる(図7C参照)。
さらに、図8Aは、集約態様が横配列の8in1の設定で8ページ分の印刷を行う場合を示している。この場合、画像検査の対象となる第2ページ目が用紙Sの上段中央左寄り側となり、第5ページ目が用紙Sの下段左隅側になることが分かる。また、図8Bは、集約態様が縦配列の8in1の設定で8ページ分の印刷を行う場合を示している。この場合、画像検査の対象となる第2ページ目が用紙Sの左側2段目となり、第5ページ目が用紙Sの右上隅側になることが分かる。
なお、図5~図8で上述した説明は例示であり、例えば16in1など、他にも様々な集約態様で印刷ジョブを実行することができる。
このように、画像形成装置では、様々な集約態様で用紙S上に複数ページの画像を印刷することができる。これに対して、従来の画像検査装置等では、このような集約印刷に対応した機能を備えておらず、一律に画像検査を行うか、あるいは用紙Sの一面内の画像検査領域をユーザーが個別に指定する必要があった。
しかしながら、前者すなわち一律に画像検査を行う設定とした場合、本来画像検査の対象としたくないページの画像も画像検査対象となってしまい、余計なヤレ紙が発生するおそれがある。一方、後者すなわち用紙Sの一面(一頁)内の画像検査領域をユーザーが個別に指定するのは、ユーザーの負担が過大化する。加えて、図5~図8で例示したように、現在の集約機能には多くの種類の設定態様があるため、画像検査領域の個別設定時におけるミス(誤指定)が生じやすい問題もある。
そこで、本実施の形態では、用紙Sの一面(すなわち一ページ分)に複数ページの画像を集約して印刷する集約印刷のジョブが実行される場合、画像検査装置50は、当該集約の態様および画像検査を行うページの指定(設定)内容に応じて、用紙Sに形成される画像のうち画像検査を行う画像検査領域を自動で設定する構成とした。
一具体例では、画像検査装置50は、画像形成装置20で上記の集約印刷が行われる場合において、画像の検査を行うか否かがページ毎に指定されている場合、画像の検査を行うページに対応する用紙S上の領域を、画像検査領域として設定する。そして、画像検査装置50は、当該設定された用紙S上の画像検査領域に対して画像検査を行い、画像検査領域以外の用紙Sの領域に対しては画像検査を行わない。このような構成とすることにより、集約印刷のジョブに対応してユーザーが所望する領域についての画像検査を行うことができる。
以下、図9のフローチャートを参照して、画像形成装置20で集約印刷が行われる場合において画像検査装置50が実行する第1の処理の流れを説明する。ここで、図9に示すフローチャートは、図3を参照して説明した基準画像のデータの登録が行われた後に実行されるものであり、後述する図12または図15に示すフローチャートも同様である。
なお、一具体例では、集約印刷が行われる場合における基準画像は、従来と同様に、印刷物の印刷態様(図5~図8参照)に従って読み出された画像をデータ格納部51に格納(登録)するものとする。この場合、登録される基準画像は、画像検査の対象となるページの画像と画像検査の対象とならない画像とが混在したものとなり得る(例えば図5Aおよび図5Bを参照)。
ステップS110において、画像検査装置50は、印刷物を構成する入力画像データに対する画像検査(検品)の対象を設定する。一具体例では、画像検査装置50は、図示しないユーザー設定画面を画像形成装置20の表示部26に表示させて、ユーザーの入力操作を促す。ここで行われる入力操作としては、例えば印刷部数の設定、一部数を構成する複数の印刷ページの内どのページを画像検査の対象とするかの頁指定の操作が含まれる。そして、画像検査装置50は、ユーザーの入力操作の内容に従って、画像検査の対象(ページ)を設定し、該設定内容を上述したデータ格納部51に保存する。
ステップS120において、画像検査装置50は、印刷物を構成する入力画像データに対する集約設定を行う。一具体例では、画像検査装置50は、表示部26に表示された上記のユーザー設定画面において、図5~図8で例示したような集約の態様(用紙Sの一面(一ページ)に何ページ分の画像を印刷するか、縦配列または横配列の別、片面印刷または両面印刷の別、小冊子設定とするか、など)についてのユーザーの設定操作を促す。そして、画像検査装置50は、ユーザーの上記の設定操作の内容を上述したデータ格納部51に保存する。
ステップS130において、画像検査装置50は、上述したステップS110およびステップS120で設定(保存)した内容に基づいて、画像検査の対象となる領域(以下、「検査対象領域」という)を、印刷される用紙S毎に設定する(図5~図8参照)。
ステップS140において、画像検査装置50は、当該印刷物について、ステップS110およびステップS120で設定された内容(集約態様、部数等)に従った印刷を行うように、画像形成装置20に指示を出力する。
印刷開始後のステップS150において、画像検査装置50は、出力画像読取部31によって読み取られた用紙S上の画像のデータ(読取画像データ)を、画像読取装置30から受信してデータ格納部51に保存する。
続くステップS160において、画像検査装置50は、読取画像データのうち、ステップS130で設定された検査対象領域に対する画像検査(検品)の処理を行う。一具体例では、画像検査装置50は、データ格納部51に保存された読取画像データのうち、ステップS130で設定された検査対象領域の画像部分を抽出し、当該抽出された画像部分を、対応する基準画像の対応する画像部分と比較することにより、検査対象領域の画像に画像不良があるか否かを判定する。かかる判定の処理は、上述した公知の手法と同様であるため、詳述を省略する。
このような処理を行う本実施の形態によれば、集約印刷のジョブに対応してユーザーが所望する領域についての画像検査を行うことができる。また、本実施の形態によれば、集約印刷および画像検査(検品ジョブ)を行う場合のユーザーが設定する操作の簡略化(ひいては設定ミスの防止)を図りつつ、余計なヤレ紙の発生を防ぐことができる。
次に、図10~図12を参照して、画像検査(検品ジョブ)の検査基準がページ毎に指定されている場合について説明する。
本実施の形態では、検品ジョブの設定の際に、画像の検査の検査基準がページ毎に指定できるようになっている。図10は、上述した各例と同様に、8ページ分で一部をなす印刷物について画像検査対象を設定する場合を例示するものであり、ここでは、第2ページおよび第5ページを検品レベル1(以下、単にレベル1という)の検査基準とし、第3ページおよび第6ページを検品レベル2(同、レベル2という)の検査基準として設定した場合を想定する。ここで、レベル2の検査基準は、レベル1の検査基準よりも高い(より厳しい)ものとする。
図11Aおよび図11Bは、図10で説明した検査基準の設定内容について、集約印刷を行う場合を例示する。ここで、図11Aは、集約態様が横配列の8in1の設定で8ページ分の印刷を行う場合を示している。この場合、レベル1の検査基準での画像検査の対象となる第2ページおよび第5ページは、各々、用紙Sの上段中央左寄り側および下段左隅側になる。また、レベル2の検査基準での画像検査の対象となる第3ページおよび第6ページは、各々、第2ページおよび第5ページの右隣の領域になる。
一方、図11Bは、集約態様が縦配列の8in1の設定で8ページ分の印刷を行う場合を示している。この場合、レベル1の検査基準での画像検査の対象となる第2ページおよび第5ページは、各々、用紙Sの左側2段目および右上隅側になる。また、レベル2の検査基準での画像検査の対象となる第3ページおよび第6ページは、各々、第2ページおよび第5ページの下隣の領域になる。
なお、図11Aおよび図11Bに示す例の他にも、様々な集約態様および検査基準で印刷ジョブおよび検品ジョブを実行することができる。
このように、様々な集約態様で用紙S上に複数ページの画像を印刷するのみならず、様々なレベルの検査基準で画像検査しようとすると、ユーザーの負担がさらに過大化し、設定操作のミスがより発生しやすくなる。
そこで、本実施の形態では、画像検査装置50は、画像の検査の検査基準が検査対象となるページ毎に指定されている場合、該指定されている検査基準に従って画像検査領域の画像の検査を行う。以下、この場合における画像検査装置50が実行する処理の流れを、図12のフローチャートを参照して説明する。なお、図12では、上述した図9のフローチャートのステップに対応するステップには、対応する(同一または類似の)ステップ番号を付しており、この点、後述する図15のフローチャートも同様である。
ステップS110Aにおいて、画像検査装置50は、印刷物を構成する入力画像データに対する画像検査(検品)の対象および画像検査のレベル(検品レベル)を設定する。一具体例では、画像検査装置50は、図示しないユーザー設定画面を画像形成装置20の表示部26に表示させて、ユーザーの入力操作を促す。
ここで行われる入力操作としては、例えば印刷部数の設定、どのページを画像検査の対象とするかの頁指定、および画像検査の対象として指定されたページに対する検品レベル(この例ではレベル1またはレベル2)の設定操作が含まれる。そして、画像検査装置50は、ユーザーの入力操作の内容に従って、画像検査の対象およびレベル(ページおよびレベル1またはレベル2の別)を設定し、該設定内容を上述したデータ格納部51に保存する。
ステップS120において、画像検査装置50は、印刷物を構成する入力画像データに対する集約設定を行う。ステップS120における具体的な処理内容は、図9のフローチャートと同様であり、詳細な説明を省略する。
ステップS130Aにおいて、画像検査装置50は、上述したステップS110AおよびステップS120で設定(保存)した内容に基づいて、用紙S内における検査対象領域および検品レベルを設定する(図11A等を参照)。
ステップS140において、画像検査装置50は、当該印刷物について、ステップS110AおよびステップS120で設定された内容(集約態様、部数等)にしたがった印刷を行うように、画像形成装置20に指示を出力する。
印刷開始後のステップS150において、画像検査装置50は、出力画像読取部31によって読み取られた用紙S上の画像のデータを、画像読取装置30から受信してデータ格納部51に保存する。
続くステップS160Aにおいて、画像検査装置50は、ステップS130Aで設定された検査対象領域に対して、設定された検品レベルに応じた画像検査(検品)の処理を行う。一具体例では、画像検査装置50は、データ格納部51に保存された読取画像データのうち、ステップS130Aで設定された検査対象領域の画像部分を抽出し、当該抽出された画像部分を、設定された検査基準を用いて、対応する基準画像の対応する画像部分と比較することにより、検査対象領域の画像に画像不良があるか否かを判定する。
このような処理を行う本実施の形態によれば、集約印刷のジョブに対応してユーザーが所望する領域について所望する検査基準での画像検査を行うことができる。また、本実施の形態によれば、集約印刷および画像検査(検品ジョブ)を行う場合のユーザーが設定する操作の簡略化(ひいては設定ミスの防止)を図りつつ、余計なヤレ紙の発生を防ぐことができる。
次に、図13~図15を参照して、集約印刷においてページ間の余白が設定されており、かつ、画像検査(検品ジョブ)の検査基準がページ毎に指定されている場合について説明する。
本実施の形態では、検品ジョブの設定の際に、上述した各種設定の他に、集約印刷時におけるページ間の余白およびそのサイズを設定できるようになっている。図13Aは、2in1の集約設定において2つのページ間に余白Eを設定し、かつ、第2ページをレベル1の基準で画像検査する場合を示す。また、図13Bは、図11Aで説明した横配置の8in1(2つの検査レベル)の設定例において、各ページ間に余白Eを設定した場合を示す。
図13Aおよび図13Bに示すように、余白Eの領域は画像が印刷されない領域であることから、本来は検査対象領域として設定する必要がないとも考えられる。一方で、集約印刷の設定とともに、画像検査の対象となるページを選択的に設定する場合には、当該選択されたページは、重要な画像が印刷されていることから、余白Eへの画像のはみ出しの有無や余白Eの汚れ等についても検査を所望するケースが多いと考えられる。
そこで、本実施の形態では、画像検査装置50は、集約印刷が行われる場合において、ページ間に余白Eが設定され、かつ、画像の検査を行うか否かがページ毎に指定されている場合、検査対象となるページの周囲の余白Eの領域を、検査対象領域に含める設定を行う。具体的には、図13Aの例の場合、画像検査装置50は、第1ページと第2ページとの間に設定された余白Eの領域を、第2ページの検査基準(この例ではレベル1)で画像検査を行う領域として設定する。
一方、図13Bに示すように、隣り合ったページが異なる検査基準(この例ではレベル1とレベル2)で画像検査を行う設定となっている場合、当該ページ間の余白Eの領域において検査基準のコンフリクトが生じることになる。具体的には、図13Bに示す例では、第2ページ(レベル1)と第3ページ(レベル2)との間の余白Eの領域、第5ページ(レベル1)と第6ページ(レベル2)との間の余白Eの領域、および第2ページ(レベル1)と第6ページ(レベル2)との間の余白Eの領域で、各々検査基準のコンフリクトが生じる。
かかるコンフリクト解消のため、本実施の形態の画像検査装置50は、当該余白Eにおける画像の検査を、図14に示すように、レベルの高い方の検査基準(この例ではより厳しいレベル2)に従って行う。このような検査基準の設定を各々の余白Eの領域について行うことにより、より重要な画像の周囲の余白Eの領域が、より高い(厳しい)基準で画像検査されることになり、画像の重要度に応じた検品処理を完遂することができる。
以下、図15のフローチャートを参照して、ページ間に余白Eを設ける集約印刷が行われる場合に画像検査装置50が実行する処理の流れを説明する。
ステップS110Aにおいて、画像検査装置50は、印刷物を構成する入力画像データに対する画像検査(検品)の対象および画像検査のレベル(検品レベル)を設定する。ステップS110Aにおける具体的な処理内容は、図12のフローチャートと同様であり、詳細な説明を省略する。
ステップS120において、画像検査装置50は、印刷物を構成する入力画像データに対する集約設定を行う。ステップS120における具体的な処理内容は、図9のフローチャートと同様であり、詳細な説明を省略する。
ステップS125において、画像検査装置50は、当該設定された集約印刷におけるページ間の余白を設定する。一具体例では、画像検査装置50は、図示しないユーザー設定画面(余白設定画面)を画像形成装置20の表示部26に表示させて、余白設定(例えば余白Eの幅)に関するユーザーの入力操作を促す。そして、画像検査装置50は、ユーザーの入力操作の内容に従って、集約印刷時におけるページ間の余白Eを設定し、該設定内容を上述したデータ格納部51に保存する。
ステップS130Aにおいて、画像検査装置50は、上述したステップS110AおよびステップS120で設定(保存)した内容に基づいて、用紙S内における検査対象領域および検品レベルを設定する(図13Bを参照)。
続くステップS135において、画像検査装置50は、上述したステップS125で設定(保存)したページ間の各々の余白Eの領域について、検査対象となるページの周囲の余白Eの領域を、検査対象領域に含める設定を行う。このとき、画像検査装置50は、検査対象領域に含めた各々の余白Eの領域について、検品レベルのコンフリクトが生じる場合には、隣り合う検品レベル適用領域のレベルの高い(厳しい)方の基準を、検品レベルとして設定する(図13Bおよび図14を参照)。
ステップS140において、画像検査装置50は、当該印刷物について、上述したステップS110A~ステップS135で設定された内容(集約態様および余白E、部数等)にしたがった印刷を行うように、画像形成装置20に指示を出力する。
印刷開始後のステップS150において、画像検査装置50は、出力画像読取部31によって読み取られた用紙S上の画像のデータ(読取画像データ)を、画像読取装置30から受信してデータ格納部51に保存する。
続くステップS160Bにおいて、画像検査装置50は、ステップS130AおよびステップS135で設定された(余白領域を含む)検査対象領域に対して、設定された検品レベルに応じた画像検査(検品)の処理を行う。一具体例では、画像検査装置50は、データ格納部51に保存された読取画像データのうち、ステップS135で設定された検査対象領域(画像部分および余白領域)を抽出し、当該抽出された画像部分および余白領域を、設定された検査基準を用いて、対応する基準画像の対応する画像部分と比較することにより、検査対象領域の画像に画像不良があるか否かを判定する。
このような処理を行う本実施の形態によれば、集約印刷のジョブに対応してユーザーが所望する画像印刷領域およびその周囲の余白について、所望する検査基準での画像検査を行うことができる。
上述した例では、余白Eの領域で検査基準のコンフリクトが生じた場合に、レベルの高い方の検査基準を用いて画像検査を行う構成について説明した。他の例として、画像検査装置50は、画像検査処理の負荷を低減する等の観点から、余白Eの領域で検査基準のコンフリクトが生じた場合に、レベルの低い(緩い)方の検査基準を用いて画像検査を行うようにしてもよい。
以上、詳細に説明したように、本実施の形態の画像検査装置50および画像検査システム1によれば、集約印刷のジョブに対応してユーザーが所望する領域についての画像検査を行うことができる。
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。