以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
(管の構成)
図1は、本実施形態に係る管の模式的な断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る管1は、内管10、12が、外管14によって継手された管である。管1は、内部に水Wを導通する管であり、本実施形態では、水Wが大気圧より高い圧となっている水圧管(本実施形態では水圧鉄管)である。本実施形態では、管1は、水力発電所に用いられる水圧管であるが、用途は任意である。本実施形態は、管1に漏水が生じた場合に管1を補修して漏水を抑える補修方法を説明するものであるが、補修方法の説明の前に、管1の構成について説明する。
以下において、管1の延在方向、すなわち軸方向を、方向Xとする。従って、管1の中心軸AXは、方向Xに沿う。さらに、方向Xに沿った方向であって一方に向かう方向を、方向X1とし、他方に向かう方向、すなわち方向X1の反対方向を、方向X2とする。また、以下、鉛直方向を、方向Zとする。そして、方向Zに沿った方向であって一方に向かう方向を、方向Z1とし、他方に向かう方向、すなわち方向Z1の反対方向を、方向Z2とする。本実施形態では、方向Z1が、鉛直方向上方、すなわち地表から離れる方向であり、方向Z2が、鉛直方向下方、すなわち地表に向かう方向である。なお、本実施形態では、方向Xが、水平方向に沿っており、方向Zに直交する方向となっている。ただし、方向X、すなわち管1の軸方向は、方向Zに直交する方向に限られず、方向Zに交差する方向であればよく、さらに、方向Zに沿った方向であってもよい。
図1に示すように、管1は、より具体的には、内管10、12と、外管14と、充填部材16と、フランジ部20と、保持部21とを有する。内管10、12は、方向Xに沿って延在して内部に水Wを流通させる管であり、本実施形態では水圧管である。内管10と内管12とは、方向Xに沿って直列に並んで設けられる。より詳しくは、内管10は、方向X1側の端部10Aが、内管12の方向X2側の端部12Aに対し、離間しつつ方向Xにおいて対向して設けられている。このように内管10と内管12とが離間していることで、この離間している箇所で、内管10、12の熱伸びによる変形の影響を吸収することができる。なお、本実施形態では、内管10、12は、内径が60cm以上2m以下程度の大きさであり、さらに言えば、内径が60cm以上1m以下であることが好ましいが、内径の大きさは任意である。また、内管10と内管12とは、径が等しいが、径が異なってもよい。内管10、12は、鉄製の水圧鉄管であるが、材料は金属であれば任意である。
外管14は、方向X1側の端部14Aから、方向X2側の端部14Bまで、方向Xに沿って延在する管である。外管14は、内管10、12より径が大きい管であり、内周面14C内に、内管10、12の端部10A、12Aが収納される。また、外管14は、外周面14Dに、外管フランジ部30が設けられている。外管フランジ部30は、方向Xにおいて端部14Aと端部14Bとの間に設けられており、外周面14Dから、外管14の放射方向の外側に向けて延在している。外管フランジ部30は、外管14の周方向における全周にわたって設けられる。外管フランジ部30には、方向X1側の表面から方向X2側の表面までを貫通する開口30Aが設けられている。開口30Aは、外管14の周方向に沿って複数設けられており、外管フランジ部30の周方向における全周にわたって、所定の間隔をおいて設けられている。開口30Aには、後述するボルト40が挿入される。なお、外管14の放射方向とは、外管14の中心軸AXを中心とした放射方向であり、外管14の周方向とは、外管14の中心軸AXを中心とした円周方向である。また、外管14は、内管10、12と同じ材料の金属製(ここでは鉄製)の管であるが、材料が異なってもよい。また、外管14は、例えば湾曲しているなど、内管10、12と異なる方向に延在してもよい。
また、外管14は、内周面14Cに、突起部32が設けられている。突起部32は、方向Xにおいて端部14Aと端部14Bとの間に設けられており、内周面14Cから、外管14の放射方向の内側(中心軸AX側)に向けて延在している。また、突起部32は、外管14の周方向における全周にわたって設けられる。突起部32の内径は、内管12の外径よりも大きくなっている。突起部32は、後述するフランジ部20のフランジつば部24と共に、充填部材16を保持する。
外管14は、内管10、12が内部に挿入されることで、内管10と内管12とを接続する継手である。より詳しくは、外管14は、内管10の端部10Aと内管12の端部12Aとを内部に位置させ、内管10の端部10Aと内管12の端部12Aとを離間させたまま保持することで、内管10と内管12とを接続する。
外管14は、内管10の端部10Aが、内部に挿入されており、端部14B側において、内管10に固定されている。すなわち、外管14は、内管10の端部10Aの端部が端部14B側から挿入された状態で、内管10に対して固定されている。外管14と内管10とは、シールされた状態で固定されるため、管1(内管10、12及び外管14)内の水Wが、外管14と内管10と間からの漏れ出すことを抑制している。より詳しくは、外管14は、取付部15を介して、内管10の外周面10Dに固定されている。取付部15は、例えば、内管10の径より大きく外管14の径より小さい輪状の部材であり、内管10の端部10A側の外周面10Dと、外管14の端部14B側の内周面14Cとの間に設けられる。外管14は、取付部15を介して、内管10に溶接されることで、内管10に固定されて、シールされている。なお、外管14と内管10との固定方法はこれに限られず任意である。また、本実施形態においては、外管14と内管12との間の漏水を抑えるものであるため、必ずしも内管10が設けられていなくてもよい。
外管14は、充填部材16及びフランジ部20を介して、内管12に固定されている。充填部材16は、内管12の外周面12Dと外管14の内周面14Cとの間の空間である空間Sに充填されることで、管1(内管10、12及び外管14)内の水Wが空間Sから漏れ出すことが抑制されている。充填部材16は、止水パッキン17と、止水パッキン17よりも方向X2側(外管14の端部14A側)に位置するグリスコットン18とを有している。止水パッキン17は、中心軸AXを中心とした円周方向である周方向における全周にわたって延在するリング状の部材であり、樹脂又はゴムなどの高分子材料である。また、グリスコットン18は、中心軸AXを中心とした円周方向である周方向における全周にわたって延在するリング状の部材であり、断面角径に網組されてグリス仕上げされた綿製のパッキンである。言い換えれば、グリスコットン18は、綿製の輪状の部材にグリスがしみ込んだ部材である。ただし、充填部材16は、空間Sに充填されることで漏水を抑制可能な部材であれば材料は任意であり、例えば、内管10、12及び外管14より変形しやすい非金属の材料であればよい。
フランジ部20は、フランジ固定部22と、フランジつば部24とを有する。フランジ固定部22は、輪状の部材であり、中心軸AXを中心とした円周方向である周方向における全周にわたって延在している。フランジ固定部22は、方向Xに直交する方向に沿って表面が延在している。また、フランジ固定部22は、方向X1側の表面から方向X2側の表面までを貫通する開口22Aが設けられている。開口22Aは、フランジ固定部22の周方向に沿って複数設けられており、フランジ固定部22の周方向における全周にわたって、所定の間隔をおいて設けられている。開口22Aには、後述するボルト40が挿入される。
フランジつば部24は、フランジ固定部22の内周部22Bから、フランジ固定部22の表面に交差する方向に延在する。さらに言えば、フランジつば部24は、フランジ固定部22の表面に直交する方向、すなわち方向X(軸方向)に沿って延在する。より詳しくは、フランジつば部24は、フランジ固定部22の内周部22Bに接続された基端部24Aから、先端部24Bまで、方向X2に沿って延在している。また、フランジつば部24は、フランジ固定部22の内周部22Bにおいて、フランジ固定部22の周方向における全周にわたって設けられている。従って、フランジつば部24は、管状の部材であるということができる。また、フランジつば部24は、先端部24Bの内周側が面取りされているため、先細りの形状となっているが、先端部24Bの形状はそれに限られない。なお、フランジ部20は、例えば内管10、12や外管14と同材料の部材、すなわち鉄であるが、金属であれば任意である。
外管14と内管12とを接続(固定)する際には、内管12の端部12Aが、端部14A側から外管14内に挿入される。そして、内管12の外周面12Dと外管14の内周面14Cとの間に、周方向にわたった空間Sが確保され、空間Sに、充填部材16が挿入される。充填部材16は、止水パッキン17が、外管14の突起部32の方向X1側の表面に接触する位置に配置され、グリスコットン18が、止水パッキン17の方向X1側に配置される。そして、フランジ部20のフランジつば部24が、先端部24B側から空間S内に挿入される。より詳しくは、外管14の端部14Aから、フランジつば部24の先端部24Bが挿入される。そして、フランジ部20は、フランジ固定部22を、外管14の外管フランジ部30に対向させて、フランジ固定部22と外管フランジ部30とを、ボルト40で固定する。すなわち、フランジ固定部22と外管フランジ部30とを対向させた状態で、ボルト40を、開口22Aから開口30Aにわたって挿入する。そして、フランジ固定部22の方向X1側の表面と、外管フランジ部30の方向X2側の表面とから、ボルト40にナット42を締め込む。ボルト40及びナット42は、複数の開口22A、30Aのそれぞれに対して取り付けられる。これにより、フランジ部20に方向X2側の力を作用させつつ、フランジ部20を外管14に対して固定する。これにより、フランジつば部24の先端部24Bは、充填部材16、すなわち止水パッキン17及びグリスコットン18を、方向X2側(端部14Aと反対方向側)に押し込む。止水パッキン17とグリスコットン18とは、フランジつば部24の先端部24Bに方向X2側に押し込まれること、先端部24Bと突起部32とに挟まれつつ変形して、内管12の外周面12Dと外管14の内周面14Cとに接触して、周方向の全周にわたって、空間Sに充填されることで、空間Sを閉塞する。これにより、空間Sがシールされ、管1の内部の水Wが、空間Sを介して外部に漏れだすことが抑制される。
このようにして、外管14と内管12とは、充填部材16とフランジ部20によって接続される。すなわち、管1は、外管14と、外管14の端部14Aから外管14の内部に挿入される内管12と、充填部材16と、フランジ部20とを有するといえる。充填部材16は、内管12の外周面12Dと外管14の内周面14Cとの間の空間Sに設けられるものである。フランジ部20は、輪状のフランジ固定部22と、フランジつば部24とを有するものである。フランジつば部24は、フランジ固定部22の内周部22Bから延在して、空間Sに挿入されることで、充填部材16を外管14の端部14Aの反対側(方向X2側)に押し込むものである。
保持部21は、内管10、12の外周面10D、12Dにそれぞれ取付けられ、内管10、12を保持する台座である。内管10、12は、保持部21に固定されることで、方向Z2側への変形が抑制される。
管1は、以上のような構成になっている。管1は、内管12と外管14とが、空間Sを充填部材16で閉塞した状態で、フランジ部20によって固定されている。しかし、経年と共に、内管12と外管14とが、位置ずれを起こしたり変形したりする場合があり、箇所によっては、空間Sが広がって、隙間T(後述の図4を参照)が生じる場合がある。このように隙間Tが生じることにより、充填部材16による水密性が低下して、水Wが隙間Tから外部に漏れだす場合がある。さらに、水Wが漏れ出す場合、水圧が充填部材16に作用することとなり、さらに空間Sが広がっていることもあり、充填部材16(ここではグリスコットン18)が、水圧により方向X1側に押されて、空間S(隙間T)の外側にはみ出してしまう場合がある。充填部材16が空間S(隙間T)の外側にはみ出してしまうと、例えボルト40を増し締めしても、充填部材16がはみ出したままとなるため、漏水を適切に抑えることができなくなる。一方、充填部材16を取替える補修を行うことにより漏水を抑えることはできるが、この場合、管1内の水Wの導通を停止させて、管1内に残留している水Wを排出させる必要がある。管1内の水Wの導通を停止させるためには、管1を用いた設備(ここでは水力発電所)の機能を一時的に停止させることになる。設備の運用面やコスト面を勘案すると、管1内の水Wの導通を停止させず、管1を用いた設備の機能を一時的に停止させることなく、管1の補修を行う事が好ましい。本実施形態においては、漏水が発生した場合であって、このように隙間Tが生じて充填部材16がはみ出してしまった場合に、後述の補修用部材50を用いて管1を補修することで、管1内の水Wの導通を停止させることなく、漏水を抑えることを可能とする。以下、本実施形態に係る補修方法について説明する。なお、本実施形態に係る補修方法は、隙間Tが生じた場合に管1を補修するものであればよく、例えば漏水の発生前であったり、充填部材16がはみ出していなかったりする場合であっても、隙間Tが生じている場合には、適用することができる。
(補修用部材について)
本実施形態に係る管1の補修方法は、補修用部材50を用いる。図2及び図3は、本実施形態に係る補修用部材の模式図である。図3は、図2の矢印Aから見た補修用部材50の断面図である。図2及び図3に示すように、補修用部材50は、固定部52とつば部54とを有する。補修用部材50は、金具、すなわち金属製の部材であり、本実施形態では鉄製であるが、材料は任意である。ただし、補修用部材50は、充填部材16を押し込むため、充填部材16より変形し難い部材であることが好ましい。
固定部52は、板状の部材であり、弧状となっている。弧状とは、輪状の一部が欠けた形状を指す。言い換えれば、固定部52は、図2に示すように、一方の端部52Aから他方の端部52Bまで延在する部材であり、一方の端部52Aから他方の端部52Bまで、曲線状、さらに言えば円弧状に延在している。ここで、固定部52の中心軸を中心とした円周方向を、固定部52の周方向とする。固定部52の中心軸は、固定部52の表面に直交する方向X0に沿った方向である。この場合、固定部52は、一方の端部52Aから他方の端部52Bまで、固定部52の周方向に沿って延在しているといえる。さらに言えば、固定部52は、固定部52の周方向における全周にわたって設けられず、一方の端部52Aから他方の端部52Bまで、固定部52の周方向における全周のうちの一部にわたって設けられているといえる。すなわち、フランジ固定部22(図1参照)が、周方向における全周にわたって設けられる輪状の部材であるのに対し、固定部52は、周方向における全周のうちの一部のみにわたって設けられる弧状の部材であるといえる。なお、補修用部材50は、方向X0側から管1に取付けられるため、管1に取付けられた際には、軸方向である方向X0が、管1の方向X2(中心軸AX)に沿う。
固定部52には、固定部52の方向X0側の表面から方向X0と反対側の表面までを貫通する複数の開口60が設けられる。開口60は、固定部52の周方向、すなわち一方の端部52Aから他方の端部52Bまでにわたって、所定の間隔をおいて設けられている。なお、固定部52の開口60は、フランジ固定部22の開口22A(図1参照)、及び外管フランジ部30の開口30A(図1参照)と、周方向において隣り合う開口同士の距離、すなわちピッチが、等しくなっている。図2の例では、開口60として、開口60A、60B1、60B2、60Cが設けられている。開口60A、60B1、60B2、60Cは、一方の端部52Aから他方の端部52Bへの方向において、この順で設けられている。ただし、開口60の数は、4つに限られず任意であり、一方の端部52Aから他方の端部52Bまでの長さに応じて設定される。すなわち、開口60のピッチはフランジ固定部22の開口22Aと統一されているため、例えば、一方の端部52Aから他方の端部52Bまでの長さが長いと、開口60の数が多くなる。なお、開口60には、後述するように、ボルト40が挿入される。
ここで、一方の端部52Aと、最も一方の端部52A側の開口60(ここでは開口60A)との間の固定部52の表面を、領域52F1とする。すなわち、一方の端部52Aと開口60Aとの間の距離は、固定部52の表面に領域52F1が確保されるよう、ある程度の長さが保たれる。同様に、他方の端部52Bと、最も他方の端部52B側の開口60(ここでは開口60C)との間の固定部52の表面を、領域52F2とする。すなわち、他方の端部52Bと開口60Cとの間の距離は、領域52F2が確保されるよう、ある程度の長さが保たれる。この領域52F1、52F2には、後述する万力70が取り付けられる。
ここで、固定部52の一方の端部52Aから他方の端部52Bまでの間における一方の側面であって、固定部52の外周側の面を、外周部52Cとする。そして、固定部52の一方の端部52Aから他方の端部52Bまでの間における他方の側面であって、固定部52の内周側の面を、内周部52Dとする。すなわち、内周部52Dは、外周部52Cよりも固定部52の放射方向内側の部分である。つば部54は、固定部52の内周部52Dに設けられる。以下、つば部54についてより具体的に説明する。
つば部54は、固定部52の内周部52Dから、固定部52の表面に交差する方向に延在する。さらに言えば、つば部54は、固定部52の表面に直交する方向、すなわち方向X0(軸方向)に沿って延在する。より詳しくは、つば部54は、図3に示すように、固定部52の内周部52Dに接続された基端部54Cから、先端部54Dまで、方向X0に沿って延在している。また、つば部54は、図2に示すように、固定部52の周方向に沿って、第1端部54Aから第2端部54Bまでにわたって延在している。第1端部54Aは、固定部52の周方向において、固定部52の一方の端部52Aと他方の端部52Bとの間に位置している。そして、第2端部54Bは、第1端部54Aよりも他方の端部52B側の端部であり、固定部52の周方向において、つば部54の第1端部54Aと固定部52の他方の端部52Bとの間に位置している。すなわち、つば部54は、周方向における長さが、固定部52の周方向における長さよりも短くなっている。
また、図2に示すように、固定部52は、固定部52の周方向において、つば部54の第1端部54Aと第2端部54Bとの間に、少なくとも1つの開口60(ここでは開口60B1、60B2の2つ)が設けられている。また、固定部52は、固定部52の周方向において、一方の端部52Aとつば部54の第1端部54Aとの間に、少なくとも1つの開口60(ここでは開口60A)が設けられている。また、固定部52は、固定部52の周方向において、つば部54の第2端部54Bと他方の端部52Bとの間に、少なくとも1つの開口60(ここでは開口60C)が設けられている。固定部52は、第1端部54Aと第2端部54Bとの間における開口60の数が、一方の端部52Aと第1端部54Aとの間の開口の数と、第2端部54Bと他方の端部52Bとの間の開口の数よりも多い方が好ましい。ただし、開口60の位置及び数は、任意に設定可能である。
(補修方法について)
補修用部材50は、以上のような構成となっている。以下、補修用部材50を用いた管1の補修方法について説明する。図4から図9は、本実施形態に係る管の補修方法を説明する模式図である。図4及び図5は、管1に漏水が生じている状態を示しており、図5は、図4の矢印Bから見た断面図である。管1は、経年と共に、内管12と外管14とが位置ずれを起こしたり変形したりすることで、図4に示すように、空間Sが広がって、隙間Tが形成されることがある。隙間Tは、フランジつば部24の内周面24Cと内管12の外周面12Dとの間に形成された空間である。このような場合、充填部材16の水密性が低下するため、管1の内部の水Wが、空間S及び隙間Tを通って、外部に漏れだす場合がある。さらに、隙間Tが大きい場合、充填部材16、ここではグリスコットン18が、水圧によって押されて、空間Sから隙間Tを通って、外部、すなわちフランジつば部24の方向X1側にはみ出してしまう場合がある。このような隙間Tの形成と、漏水と、グリスコットン18のはみ出しとは、図5に示すように、フランジつば部24の内周面24Cの周方向における全周ではなく、周方向における一部の区間にのみ生じることが多い。例えば、図5に示すように、方向Z2側、すなわち鉛直方向下側では、重力による変形が大きくなるため、隙間Tが生じやすく、漏水とグリスコットン18のはみ出しとが生じやすい。ただし、図5における、隙間Tの形成と、漏水と、グリスコットン18のはみ出しとの発生位置は一例であり、状況によって様々な位置に生じる可能性がある。
本実施形態に係る補修方法は、管1内に水Wの導通を続けながら行われる。すなわち、管1内には、水Wが存在しており、無断水状態となっている。本実施形態に係る補修方法は、最初に、隙間Tが生じているかを検出する隙間検出ステップを実行する。例えば、隙間Tから漏水が起こっているかを検出し、隙間Tから充填部材16(グリスコットン18)がはみ出しているかを検出する。すなわち、隙間検出ステップにおいては、漏水が起こっており、かつ、充填部材16がはみ出している場合に、隙間Tが生じていると判断する。なお、隙間検出ステップは、本実施形態では、作業者によって目視で行われるものであるが、例えば漏水やはみ出しを検出する検出装置などによって自動で行われてもよい。
隙間Tが検出された場合、すなわち隙間Tが生じていると判断された場合、作業者は、図4に示す隙間Tの幅D0と、図5に示す隙間Tの長さE0とを測定する、幅D0は、隙間Tの放射方向における長さであり、言い換えれば、フランジつば部24の内周面24Cと内管12の外周面12Dとの間の放射方向における長さである。放射方向における長さとは、中心軸AXを中心とした放射方向における長さである。また、長さE0は、隙間Tの周方向における長さであり、周方向における長さとは、中心軸AXを中心とした円周方向における長さである。隙間Tの長さE0は、図5に示すように、フランジつば部24の内周面24Cと内管12の外周面12Dとの間において、グリスコットン18がはみ出している区間の長さであるが、漏水している区間の長さであってもよい。また、幅D0は、フランジつば部24の内周面24Cと内管12の外周面12Dとの間において、グリスコットン18がはみ出している区間における幅であるが、漏水している区間における幅であってもよい。
なお、隙間検出ステップにおいては、隙間Tが生じているかを検出すればよく、漏水や、グリスコットン18のはみ出しを検出しなくてもよい。すなわち、隙間検出ステップにおいては、漏水やはみ出しがなくても、隙間Tが生じている場合に、隙間Tが生じていると検出してもよい。なお、漏水やはみ出しが起こっていない場合には、例えば、隙間Tの幅D0が所定の閾値以上である場合に、隙間Tが生じていると検出する。例えば漏水が起こる前に隙間Tを検出すれば、後述するように隙間Tに補修用部材50を挿入することで、漏水を予防することができるし、グリスコットン18がはみ出す前に隙間Tを検出すれば、隙間Tに補修用部材50を挿入することで、グリスコットン18のはみ出しを予防することができる。
隙間検出ステップにおいて、隙間Tの長さE0と幅D0とを測定したら、補修用部材50を準備する準備ステップを実行する。準備ステップにおいては、隙間Tの長さE0と幅D0とに基づき、補修用部材50の形状を設定して、設定した形状で、補修用部材50を準備(製造)する。準備ステップにおいては、長さE0、すなわち漏水やはみ出しが起きている領域の長さに基づき、図2に示すつば部54の周方向の長さE1(第1端部54Aから第2端部54Bまでの長さ)が設定される。具体的には、準備ステップにおいては、長さE0より長くなるように、つば部54の周方向の長さE1が設定される。長さE1は、例えば、長さE0に対し、1倍以上、2倍以下であることが好ましい。また、準備ステップにおいては、幅D0、すなわち漏水やはみ出しが起きている領域の幅に基づき、図3に示すつば部54の幅D1が設定される。幅D1は、放射方向におけるつば部54の長さである。具体的には、準備ステップにおいては、幅D0より短く(薄く)なるように、補修用部材50のつば部54の幅D1が設定される。幅D1は、例えば、幅D0に対し1mm程度大きいことが好ましい。また、準備ステップにおいて、つば部54の長さL1も設定してよい。長さL1は、図3に示すように、方向X0、すなわち軸方向における、つば部54の長さである。また、図1に示すように、フランジ部20の方向X0、すなわち軸方向における長さを、長さL2とする。長さL1は、長さL2の半分以上の長さであり、長さL2の長さより短い、すなわち、(L2/2)≦L1<L2であることが好ましい。さらに言えば、長さL1は、長さL2より短く、長さL2に近い長さであることが好ましい。
そして、準備ステップにおいては、つば部54の周方向の長さE1に基づき、固定部52の周方向の長さ(一方の端部52Aから他方の端部52Bまでの長さ)が設定される。固定部52の周方向の長さは、つば部54の第1端部54Aの位置よりも一方の端部52A側に、少なくとも1つの開口60(図2の例では開口60A)が形成され、つば部54の第2端部54Bの位置よりも他方の端部52B側に、少なくとも1つの開口60(図2の例では開口60B)が形成されるように、設定される。
以上のようにつば部54及び固定部52の形状(本実施形態では、幅D1、長さE1、固定部52の周方向の長さ)が設定されたら、設定された形状で、補修用部材50を準備(製造)する。なお、隙間Tの検出とつば部54及び固定部52の形状の設定とは、例えば半日程度で実施可能であるが、実施に要する時間は任意である。また、補修用部材50の準備、すなわち製造に要する時間は、例えば2日程度(部材の手配に1日程度、設定された形状への加工に1日程度)であるが、要する時間は任意である。
補修用部材50の準備が完了したら、補修用部材50を隙間Tに挿入する挿入ステップを実行する。最初に、図6に示すように、フランジ固定部22と外管フランジ部30とに、万力70を取り付ける。万力70は、取付部70Aと、取付部70Bと、取付部70Aと取付部70Bとを連結する連結部70Cと、を有する。取付部70Aは、外管フランジ部30の方向X2側の表面に取付けられ、取付部70Bは、フランジ固定部22の方向X1側の表面に取付けられる。そして、この状態で、万力70を締め付けることで、取付部70Aを介して、外管フランジ部30に方向X1側への力を作用させ、取付部70Bを介して、フランジ固定部22に方向X2側への力を作用させる。さらに言えば、万力70は、図5に示すように、補修箇所の周方向における両端部よりも外側の領域Mに、それぞれ取付けられる。補修箇所とは、隙間Tが生じて漏水及びはみ出しが生じている箇所である。すなわち、万力70は、周方向において、補修箇所を挟むように2つ取付けられる。なお、領域Mは、補修用部材50が取り付けられる領域以外の領域であればよい。すなわち、万力70は、補修用部材50と干渉しない領域に取付けられればよい。また、万力70は、フランジ固定部22と外管フランジ部30とを挟持して互いに近づく方向に軸力を付与する挟持部として機能するものであれば、万力に限られず、任意の機構であってよい。
万力70を取り付けた後、図6に示すように、補修箇所に取付けられているボルト40とナット42とを取り外す。ボルト40を取り外す前に万力70を取り付けておくことで、フランジつば部24に軸力を加え続けることができるため、ボルト40を取り外しても、充填部材16がさらにはみ出したり、フランジ部20が押し出されたりすることが抑制される。なお、ボルト40は、補修箇所に取付けられているもののみが取り外される。すなわち、図5の例では、万力70が取り付けられた領域Mよりも内側のボルト40(ここでは方向Z2側の4つのボルト40A、40B、40C、40D)が取り外され、残りのボルト40は、取り外されない。ボルト40を取り外す際には、周方向に1つずつ間隔をおいた順番で取り外される。すなわち、例えば、ボルト40A、40C、40B、40Dの順で取り外される。また、ボルト40を1つ取り外す毎に、万力70を締め付け直すことが好ましい。
補修箇所のボルト40を取り外したら、図7に示すように、挿入ステップと固定ステップとを実行する。挿入ステップにおいては、補修箇所の隙間Tに、補修用部材50を挿入する。より具体的には、挿入ステップにおいて、補修用部材50のつば部54を、隙間Tに挿入する。例えば、作業者は、隙間Tの方向X1側から、方向X2に向けて、つば部54の先端部54Dを隙間T内に挿入する。そして、補修用部材50の固定部52の方向X2側の表面を、フランジ固定部22の方向X1側の表面と対向させる。そして、固定部52の開口60と、フランジ固定部22の開口22Aと、外管フランジ部30の開口30Aとの位置を合わせて、それらの開口60、22A、30Aに、ボルト40を挿入し、ナット42で締め付ける。ボルト40及びナット42は、開口60のそれぞれに取付けられる。これにより、補修用部材50とフランジ固定部22とが重ね合わされ、補修用部材50の固定部52の方向X2側の表面がフランジ固定部22の方向X1側の表面に密着する。そして、これにより、補修用部材50に方向X2側の力を作用させつつ、補修用部材50をフランジ部20及び外管14に対して固定する(固定ステップ)。このように挿入ステップ及び固定ステップを実行することで、隙間Tの少なくとも一部が、つば部54によって閉塞される。また、つば部54は、隙間Tに挿入されることで、先端部54Dにより、はみ出した充填部材16(グリスコットン18)を、隙間Tの内部に押し込む。充填部材16はこのように隙間Tの内部に押し込まれることで変形して、内管12の外周面12Dと外管14の内周面14Cとに接触し、隙間Tに充填され、隙間Tを閉塞する。これにより、充填部材16を隙間T内に戻しつつ、漏水を抑えることができる。
なお、挿入ステップと固定ステップとにおいて、つば部54が適切に隙間Tに挿入されなかったり、固定部52が適切にフランジ部20に固定されなかったりする場合には、補修用部材50が適切に取り付けられなかったと判断して、補修用部材50を外して取り付け直す。この際には、つば部54の形状を調整してもよい。例えば、図7に示すつば部54の長さL1が長すぎて、隙間Tに入りきらない場合、つば部54の長さL1を短くするよう加工して、再度挿入ステップを実行する。また、例えば、つば部54の幅D1が厚すぎて、隙間Tに挿入できない場合は、幅D1を薄くするよう加工して、再度挿入ステップを実行する。
ボルト40で補修用部材50を固定したら、図9に示すように、領域Mにおいてフランジ部20に取付けられていた万力70を取り外し、補修用部材50の領域52F1、52F2に万力70を取付け直す。具体的には、図8に示すように、取付部70Aを、外管フランジ部30の方向X2側の表面に取付け、取付部70Bを、補修用部材50の固定部52の領域52F1、52F2に取付ける。そして、この状態で、万力70を締め付けることで、取付部70Aを介して、外管フランジ部30に方向X1側への力を作用させ、取付部70Bを介して、固定部52に方向X2側への力を作用させる。なお、フランジ部20に取付けられていた万力70と、補修用部材50に取付け直す万力70とは、別のものであってもよいし同じものであってもよい。また、万力70は、固定部52と外管フランジ部30、すなわち固定部52とフランジ固定部22とを挟持して互いに近づく方向に軸力を付与する挟持部として機能するものであれば、万力に限られず、任意の機構であってよい。また、万力70は、補修用部材50に取付けられず、補修用部材50がボルト40だけで固定されてもよい。
以上のように、補修箇所に補修用部材50を挿入、固定することで、管1の補修は完了する。この処理に要する時間は、例えば半日程度であるが、状況によって任意の時間となる。このように管1を補修することで、管1内の水Wの導通を停止することなく、充填部材16を隙間T内に戻した状態で保持し、漏水を抑えることができる。以下、この管1の補修方法を、フローチャートで説明し直す。図10は、本実施形態に係る管の補修方法のフローチャートである。図10に示すように、本実施形態に係る補修方法においては、最初に、管1から漏水が発生しているかを検出し(ステップS10)、漏水が発生している場合(ステップS10;Yes)、隙間Tから充填部材16がはみ出しているかを検出する(ステップS12)。漏水が発生していない場合(ステップS10;No)、補修は不要であるとして、本処理を終了する。ただし、上述のように、漏水が発生していなくても、隙間Tがあると判断された場合は、本処理を行ってもよい。なお、ステップS10、S12が、隙間検出ステップに相当する。
隙間Tから充填部材16がはみ出していない場合(ステップS12;No)、本実施形態に係る補修方法は不要であるとして、本処理を終了する。この場合、例えば、補修用部材50を挿入しなくても、ボルト40を増し締めすることで、漏水を抑えることができる場合がある。ただし、上述のように、充填部材16がはみ出していなくても、隙間Tがあると判断された場合は、補修用部材50を用いた本処理を行ってもよい。また、ボルト40の増し締め代が無い場合は、本処理やボルト40の増し締め処理を行わずに、水Wの流通を停止して、充填部材16を取り換えて補修作業を行ってもよい。
充填部材16がはみ出している場合(ステップS12;Yes)、補修用部材50の準備を行う(ステップS14)。具体的には、隙間Tの長さE0と幅D0とを測定し、その測定結果に基づき、補修用部材50の形状を設定し、設定した形状で、補修用部材50を準備する。補修用部材50を準備したら、フランジ部20の領域Mに万力70を取り付け(ステップS16)、補修箇所のボルト40を取り外す(ステップS18)。そして、隙間Tに補修用部材50のつば部54を挿入して(ステップS20;挿入ステップ)、補修用部材50の固定部52とフランジ固定部22と外管フランジ部30とを、ボルト40で仮締めする(ステップS22)。仮締めしたら、補修用部材50が適切に取り付けられているかを確認し(ステップS24)、適切に取り付けられている場合(ステップS24;Yes),ボルト40を本締めして、補修用部材50をフランジ固定部22に固定する(ステップS26)。この際、周方向における全周において止水されているかを確認しながら、ボルト40を本締めし、さらに、補修用部材50の固定部52とフランジ固定部22とが密着しているかを確認しながら、ボルト40を本締めする。すなわち、補修用部材50を固定する際には、固定部52とフランジ固定部22とが密着していることが好ましい。
ボルト40を本締めしたら、フランジ部20に取付けた万力70を取り外し、補修用部材50の固定部52の領域52F1、52F2に、万力70を取り付け直して(ステップS28)、本処理を終了する。このステップS22からステップS28が、固定ステップに該当する。なお、補修箇所が複数ある場合は、補修箇所毎に、補修用部材50を準備し、補修箇所毎に、ステップS16からステップS24を繰り返す。そして、全ての補修用部材50が適切に取り付けられた場合に、ステップS26でボルト40を本締めする。なお、補修用部材50が適切に固定されていない場合(ステップS24;No)、ステップS18に戻り、仮締めしたボルト40を取り外し、例えば補修用部材50の形状を調整するなどして、補修用部材50を取り付け直す。
また、管1の補修時に、持ち上げステップを実行してよい。持ち上げステップは、例えば木クサビやジャッキなどの持ち上げ部材で、管1、ここでは外管14を方向Z1側に持ち上げて、持ち上げた状態で保持することで、管1の方向Z2側への変形を抑える処理である。この持ち上げ処理を行うことで、局所的に隙間Tが大きくなることが抑制され、更に適切に漏水を抑えることができる。この持ち上げステップは、どの段階で実行されてもよいが、例えば、ステップS26を行っても漏水が抑えられない場合などに実行する。この場合、持ち上げステップの実行後に、さらにボルト40を増し締めすることが好ましい。
以上説明したように、本実施形態に係る管1は、外管14と、外管14の端部14Aから外管14の内部に挿入された内管12と、内管12の外周面12Dと外管14の内周面14Cとの間に設けられた充填部材16と、フランジ固定部22及びフランジつば部24を有するフランジ部20と、を有する。フランジ固定部22は、輪状の部材である。フランジつば部24は、フランジ固定部22の内周部22Bから延在して、外管14の端部14Aから内管12の外周面12Dと外管14の内周面14Cとの間に挿入されることで、充填部材16を外管14の端部14Aの反対側に押し込む。そして、本実施形態に係る管1の補修方法は、隙間検出ステップと、挿入ステップと、固定ステップと、を有する。隙間検出ステップは、フランジつば部24の内周面24Cと内管12の外周面12Dとの間に隙間Tがあるかを検出する。挿入ステップは、隙間Tがある場合に、隙間Tに補修用部材50を挿入する。固定ステップは、隙間Tに補修用部材50を挿入した状態で、補修用部材50をフランジ部20に固定する。
フランジつば部24の内周面24Cと内管12の外周面12Dとの間に、隙間Tが形成されている場合、この隙間Tから漏水したり、充填部材16がはみ出したりするおそれがある。特に、充填部材16がはみ出した場合は、ボルト40を増し締めするだけでは、充填部材16を戻すことができず、漏水を抑えることが出来ない場合がある。一方、充填部材16を取り換える場合には、管1内の水Wの流通を停止する必要が生じる。それに対し、本実施形態に係る補修方法は、隙間Tが生じていることを検出して、隙間Tに補修用部材50を挿入する。従って、隙間Tを好適に閉塞して、隙間Tから充填部材16がはみ出すことを抑制して、管1内の水Wの流通を停止させることなく、管1を適切に補修することができる。また、補修部材50をシンプルな形状とすることが可能なので、補修部材50の加工が容易で、早急に補修を行うことができる。また、ボルト40などを再利用可能なので、撤去する部材が不要となり、廃棄物の発生を抑えることもできる。
また、隙間検出ステップにおいて、隙間Tから漏水が発生し、かつ、充填部材16が隙間Tからはみ出しているかを検出し、挿入ステップにおいて、隙間Tに補修用部材50を挿入することで、補修用部材50によって、充填部材16を隙間T内に押し込んで、隙間Tからの漏水を抑える。この補修方法は、隙間Tからはみ出した充填部材16を、補修用部材50によって隙間T内に押し込む。従って、隙間Tを好適に閉塞して、管1内の水Wの流通を停止させることなく、管1を適切に補修することができる。
また、補修用部材50は、板状の固定部52と、固定部52から、固定部52の表面と交差する方向に延在するつば部54と、を有する。そして、挿入ステップにおいて、隙間Tにつば部54を挿入し、固定ステップにおいて、フランジ固定部22の表面に、固定部52を固定する。この補修方法によると、隙間Tにつば部54を挿入することで、充填部材16のはみ出しを抑制しつつ、フランジ固定部22の表面に固定部52を固定することで、その状態を適切に保つことができる。
また、固定部52及びフランジ固定部22は、ボルト40が挿入される開口60、22Aが設けられ、固定ステップにおいて、固定部52とフランジ固定部22との開口60、22Aにボルト40を挿入することで、補修用部材50を固定する。この補修方法によると、固定部52を適切に固定することができる。
また、補修用部材50は、固定部52が、一方の端部52Aから他方の端部52Bまで延在する弧状である。そして、つば部54は、固定部52の一方の端部52Aと他方の端部52Bとの間に位置する第1端部54Aと、第1端部54Aと固定部52の他方の端部52Bとの間に位置する第2端部54Bまで、固定部52の内周に沿って延在する。そして、開口60は、固定部52の一方の端部52Aとつば部54の第1端部54Aとの間の箇所と、つば部54の第1端部54Aと第2端部54Bとの間の箇所と、つば部54の第2端部54Bと固定部52の他方の端部52Bとの間の箇所と、に設けられている。この補修方法によると、このような形状の補修用部材50を取り付けることで、漏水を適切に抑えることができる。すなわち、つば部54に対し、このような位置に開口60を設けることで、開口60に挿入されるボルト40によって、補修用部材50に好適に軸力を付与することが可能となり、漏水を適切に抑えることができる。
また、外管14は、フランジ固定部22と対向し、ボルト40が挿入される開口30Aが設けられる外管フランジ部30を有している。固定ステップにおいて、固定部52とフランジ固定部22と外管フランジ部30との開口60、22A、30Aにボルト40を挿入することで、補修用部材50を固定する。この補修方法によると、固定部52とフランジ固定部22と外管フランジ部30とを固定するため、固定部52を適切に固定することができる。
また、固定ステップにおいて、さらに、挟持部(万力70)によって、固定部52と外管フランジ部30とを挟み込む。この補修方法によると、ボルト40での固定に加え、挟持部の挟持によっても、固定部52に軸力を付与することが可能となるため、漏水を適切に抑えることができる。
また、本実施形態に係る管1は、外管14と、外管14の内部に設けられる内管12と、内管12の外周面12Dと外管14の内周面14Cとの間に設けられる充填部材16と、フランジ固定部22及びフランジつば部24を有するフランジ部20と、を有する。フランジ固定部22は、輪状の部材であり、フランジつば部24は、フランジ固定部22の内周部22Bから延在して内管12の外周面12Dと外管14の内周面14Cとの間に挿入される。本実施形態に係る補修用部材50は、この管1の補修用部材であり、固定部52と、つば部54と、開口60とを有する。固定部52は、一方の端部52Aから他方の端部52Bまで延在する弧状の部材である。つば部54は、固定部52の一方の端部52Aと他方の端部52Bとの間に位置する第1端部54Aと、第1端部54Aと固定部52の他方の端部52Bとの間に位置する第2端部54Bまで、固定部52の内周部52Dに沿って延在する。開口60は、固定部52の一方の端部52Aとつば部54の第1端部54Aとの間の箇所と、つば部54の第1端部54Aと第2端部54Bとの間の箇所と、つば部54の第2端部54Bと固定部52の他方の端部52Bとの間の箇所と、に設けられ、ボルト40が挿入可能である。そして、つば部54は、内管12の外周面12Dと外管14の内周面14Cとの間に挿入可能であり、固定部52は、フランジ固定部22に固定可能に構成される。この補修用部材50は、このような構造となっているため、隙間Tを好適に閉塞して、隙間Tから充填部材16がはみ出すことを抑制して、管1内の水Wの流通を停止させることなく、管1を適切に補修することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これら実施形態の内容によりこの発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。