JP7142992B1

JP7142992B1 - 多層構造織地

Info

Publication number: JP7142992B1
Application number: JP2022020025A
Authority: JP
Inventors: 幹晴藤井
Original assignee: 藤井株式会社
Priority date: 2022-02-12
Filing date: 2022-02-12
Publication date: 2022-09-28
Anticipated expiration: 2042-02-12
Also published as: JP2023117440A

Abstract

【課題】夏場の就寝時には寝具やパジャマ内で発汗による蒸れや濡れが生じ、不快感から就寝途中で目が覚める等良質な睡眠を確保することが難しい。そこで夏季用の寝装材料には発汗があっても蒸れない性能と寝具内にこもった熱を放出する性能が要求される。また、肌の露出が大きくなるため肌に直接接する寝具やパジャマは良好な肌触りであることが望ましい。これらを解決し、衛生を保つため洗濯・乾燥が容易な寝具生地はなかった。【解決手段】少なくとも３層からなる多層構造の織地であって、湿度調整層となる内層に紡績糸とフィラメント糸の撚糸であって更に脱脂加工を施した糸を使用するのである。また、表面層及び裏面層を綿素材とし、湿度調整層となる内層を構成する紡績糸に綿、フィラメント糸にポリエステルマイクロフィラメントを使用するのである。【選択図】図１

Description

本発明は、多層構造の寝具用又は衣料用織地に関する。より詳しくは、表面層・裏面層を綿ガーゼとし、中間層が脱脂した、紡績糸とフィラメント糸の撚糸を含む湿度調整層である、寝具用又は衣料用多層構造織地に関する。

従来より清潔感に優れ、アレルギー症状を引き起こしにくいなどの観点から脱脂綿繊維からなる中綿を、脱脂した綿ガーゼで被覆した寝装材料が知られている。この寝装材料に吹き出し防止の観点から改良を加えた寝装材料の発明がある（特許文献１）。

また、芯部に紡績糸を配し、鞘部にフィラメント糸を配した、耐摩耗性を有する複合紡績糸及び織編物の発明がある（特許文献２）。

特開２００５－６０８５６６号公報特開２００７－３３２４８５号公報

夏場の就寝時には寝具やパジャマ内で発汗による蒸れや濡れが生じ、不快感から就寝途中で目が覚めたり、寝苦しさを感じて良質な睡眠を確保することが難しい。そこで夏季用の寝装材料には発汗があっても蒸れない性能と寝具内にこもった熱を放出する性能が要求される。そのためには汗を素早く吸湿して拡散し寝具の外へ放出する必要がある。

さらには肌の露出が大きくなるため肌に直接接する寝具やパジャマは良好な肌触りであることが望ましい。

脱脂綿を中綿に使用した特許文献１記載の寝装材料は吸湿性に優れるがある程度の厚みが生じ、薄くて軽さが求められる夏用寝具の材料として好適とはいえない。また、使用中に脱脂綿がよじれたり固まったり、一部に偏ったりする不具合が生じ、このような状態での使用は脱脂綿本来の吸湿性能が充分に発揮できているとは言えない。

さらに夏季用の寝具は洗濯の頻度を上げて清潔に保つ事が望まれるが綿素材の寝装材料は耐摩耗性に劣り、乾燥にも時間がかかってしまう。

一方、素肌に直接接触する外層に、脱脂した糸を使用するとパサついたゴワゴワした触感となり肌触りが悪い。

特許文献２記載の複合紡績糸及びこれを利用した織編物は、耐摩耗性や強度に優れるが吸水性に劣るフィラメント糸と、保水性に優れるが耐摩耗性に劣る紡績糸の相反する欠点を解消したものであるが、夏用寝具又は衣料用生地に特に要求される高い吸放湿性能においては未だ充分とは言えない。

そこで本願発明では肌が接触する表面層及び裏面層を綿ガーゼとして良好な肌触りとしつつ、内層を吸放湿性能に優れた糸で構成し、耐選択性と速乾性を有する寝装材料に適した多層構造織地の提供を目的とするのである。

少なくとも３層からなる多層構造の織地であって、湿度調整層となる内層に紡績糸とフィラメント糸の撚糸であって更に脱脂加工を施した糸を使用するのである。

また、表面層及び裏面層を綿ガーゼとし、湿度調整層となる内層を構成する紡績糸に綿、フィラメント糸にポリエステルマイクロフィラメントを使用するのである。

内層に使用する糸は、吸湿性能に優れた綿をフィラメント糸で撚糸して開繊させた上で、更に脱脂加工した糸であるため、紡績糸の優れた吸湿性能がさらに向上し、吸い上げた湿気はフィラメント糸が素早く拡散して繊維外へと放出するのである。

紡績糸とフィラメント糸を撚糸することで開繊し、それぞれの吸湿性能、湿気拡散性能が更に向上するのである。

脱脂された綿のゴワゴワ感をフィラメントのソフトな風合いが補い、更に脱脂加工や開繊により切れやすくなった綿糸の強度や伸度をフィラメント糸が補強して、完成した多層構造織地に寸法安定性と耐摩耗性が付与されるのである。

脱脂した撚糸を内層に使用して湿度調整層とし、肌に接触する外層（表面層及び裏面層）には綿ガーゼを使用しているので肌触りは良好で通気性に優れる。かつ、内層が汗を素早く吸い上げて蒸れを防ぎかつ、開繊したフィラメント糸の毛細管現象で汗を迅速に拡散・蒸発させることで寝具内に湿気や体熱がこもることを防ぎ、良好な睡眠を提供することができる。

多層構造の織地であるが、薄くて軽いため洗濯・乾燥が容易となり、常に寝装具を清潔に保つことができる。綿１００％生地ではなくポリエステル糸を使用することで洗濯収縮性を抑えることができ、繰り返し洗濯による風合いの低下を抑制できる。

また、層の数を増減することや内層を構成する材料を適宜選択することで本願寝具の特徴を保持しながら生地の厚みや性能を変更することができ応用の幅が広がる。

透湿性に優れたポリエステルマルチフィラメント糸の使用は、例えば異型断面による空隙の多さに加え、更に開繊することで毛細管現象を促進し、素早く湿気を吸湿・拡散する事ができるのである。吸湿・拡散する際には体熱が奪われ、寝具内に熱気がこもらず、夏場に快適な睡眠を提供する。

中材に脱脂綿を使用すると脱脂綿を均一に保持するためのキルティング加工が必要となるが、本願では脱脂した綿糸を使用して交織するため均一性保持のための加工が不要である。

本願の３層構造の寝具用生地の断面説明図。

本願の実施形態について図を参照しながら詳説する。

図１は本願の３層構造からなる寝具用生地であり多層構造の織地として一体的に製造される。肌に直接接触する表面層１及び裏面層２は綿織物（ここでは綿ガーゼ）である。夏
用寝具及びパジャマ用生地として通気性に優れた薄くて軽い生地であることが望ましい。

一方湿度調整層となる、内層３の経糸には綿糸を使用し、緯糸には綿とポリエステルの撚糸を使用する。

湿度調整層となる内層３は、綿糸とポリエステル糸を撚糸し開繊させた後、さらに脱脂加工を施し、これを緯糸に打って製造される。このとき、脱脂率は８５％以上とする。このように製造された綿糸及びポリエステル糸からなる撚糸は開繊することで糸内部に空隙が生じる。更に脱脂加工することで綿糸の吸湿率が高まり、一旦吸湿された水分は毛細管減少により素早く拡散し蒸発が促されるのである。当該撚糸を緯糸にして構成される内層３が湿度調整層として機能するのである。

３層構造の生地は一体として同時に製造される。図１において各層は互いに接触しているが、完全に接触している必要はなく、粗い目の織地とすることで各層間に空気の層を形成することで、よりふんわりとした触感を有する生地となる。

フィラメント糸としてはナイロン系やポリエステル系の糸が考えられるが強度を考慮するとポリエステル系であって、ソフトな風合いのマイクロフィラメントが望ましい。

夏用パジャマ等には細い糸を使用して薄くて軽い生地とすることが望ましいが、本願では生地の使用用途や目的に応じて層の数を増減することで応用範囲が広がるのである。

パジャマや夏用寝具等汗に対する吸湿効果を重視する場合は、脱脂加工した、紡績糸とフィラメント糸の撚糸を含む湿度調整層をより外層に近い層に配置することが好ましい。肌に近いほうが迅速に汗を吸収することができるからである。

一方、タオル等吸収する水分量が多い場合は湿度調整層が特に外層に近い部分に配置されていなくても吸水機能は十分に発揮できる。

本願発明はタオルケットや敷パッドなどの寝具やパジャマなどの衣料用生地に応用可能である。

１、綿織物（綿ガーゼ）からなる表面層２、綿織物（綿ガーゼ）からなる裏面層３、内層（湿度調整層）

Claims

表面層及び裏面層及びこれらの間に配置された内層を有する３層以上からなる多層構造織地であって、
表面層及び裏面層が綿ガーゼからなり、
内層が、脱脂加工した、綿糸とポリエステルマルチフィラメント糸からなる撚糸を含む湿度調整層であることを特徴とする多層構造織地。