JP7141999B2 - 保護部材及び保護構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両におけるパワーコントロールユニットを保護するための保護部材及び保護構造に関する。
従来、ハイブリッド車や電気自動車においては、モーターの駆動用電力の供給、発電及び蓄電といった電力の制御を行うためにパワーコントロールユニット(以下、単にPCUとも称する)が搭載されている。また、最近では、環境問題対策や燃費の改善のために軽自動車やAセグメントといった小型車にもハイブリッド化や電動化が行われるようになってきている。しかしながら、これら小型車は、駆動部収容室(エンジンルームとも称する)が小さいため、上述のようなPCUを搭載するスペースを確保することが困難になってきている。特に小型車においては、車室や荷室を確保するために駆動部収容室をコンパクトに形成したいという要請があり、より一層駆動部収容室が小さく形成されるようになってきている。
そこで、PCUを搭載するためのものではないが、上述のような収容スペースの小さい小型車に補助バッテリを搭載すると共に、車両衝突時における補助バッテリの保護対策も同時に行うことができる電気自動車の補助バッテリ取り付け構造が開示されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の発明は、中空にしたリヤエンドクロスメンバに挿入孔を形成し、当該挿入孔に補助バッテリを挿入して固定するようにしている。
特開2000-85376号公報
ところで、PCUはモーター等の駆動用電力等の制御を行う必要があるため、モーター等の収容部に近い駆動部収容室内に設けられることが多い。また、PCUは、駆動用電力等の制御を行うため精密部材として構成されており、車両が衝撃を受けた際に、PCUが車体等と干渉しないようにする必要がある。しかしながら、駆動部収容室内は、スペースが限られており、PCUを配置する場所も限られるため、特許文献1の発明のようなフレームを形成するメンバがPCUを配置する場所に存在しない場合があった。このため、特許文献1の発明をPCUの取り付けに採用することができない問題がある。また、特許文献1の発明のような取り付け構造を採用してPCUをメンバの挿入孔に挿入した場合、当該メンバが衝撃を受けた際にメンバが変形してPCUとメンバとが干渉する問題がある。
そこで、本発明は、駆動部収容室が小さい小型車においてもハイブリッド化や電動化を容易にするPCUの保護部材及び保護構造を提供することを目的とする。また、小型車にPCUを搭載した場合であっても、PCUを保護すると共に作業性良く搭載が可能な保護部材及び保護構造を提供することを目的とする。
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の保護部材は、車両に形成された駆動部収容室の内部に配置されるパワーコントロールユニットの保護部材であって、前記保護部材は、本体部と、突出部とを有し、前記本体部は、前記パワーコントロールユニットをなす一又は複数の側面と対向して配置される側方保護部と、前記側方保護部の上端と傾斜状態で連結された傾斜部とを有し、前記突出部は、前記傾斜部及び前記側方保護部の幅方向一方側の端部側に設けられた第一突出部と、前記傾斜部及び前記側方保護部の幅方向他方側の端部側に設けられた第二突出部とを有し、前記傾斜部及び前記側方保護部の幅方向の端部側において、前記パワーコントロールユニットに向けて突き出しており、前記第一突出部及び前記第二突出部のうち少なくとも一方が、前記パワーコントロールユニットに対して締結されることを特徴とするものである。
本発明の保護部材は、本体部が、パワーコントロールユニットをなす一又は複数の側面と対向して配置される側方保護部を有するので、パワーコントロールユニットが側方から受ける衝撃を緩和することができる。また、保護部材が、側方保護部の上端と傾斜状態で連結された傾斜部を有するので、パワーコントロールユニットが上方や斜め上方から受ける衝撃を緩和することができる。また、突出部が、前記傾斜部及び前記側方保護部の幅方向の端部側において、パワーコントロールユニットに向けて突き出しているので、傾斜部や側方保護部で受けた衝撃を突出部の突き出し方向へも分散させることができる。また、傾斜部及び側方保護部が衝撃を受けた際に傾斜部及び側方保護部の幅方向に向けて衝撃を分散させることができる。これにより、保護部材の幅方向全体を使って衝撃を分散させることができるので、保護部材の小型化や軽量化を行うことが可能となる。また、保護部材は、側方保護部と傾斜部とを有する本体部と、突出部とを有するので、保護部材が受ける衝撃を一点に集中させることなく広く分散させることができる。これにより、保護部材の損傷を抑制すると共にパワーコントロールユニットに及ぶ衝撃を緩和させることができる。
また、上述した保護部材は、前記突出部が、前記傾斜部及び前記側方保護部の幅方向一方側の端部側に設けられた第一突出部と、前記傾斜部及び前記側方保護部の幅方向他方側の端部側に設けられた第二突出部とを有し、前記第一突出部及び前記第二突出部のうち少なくとも一方が、前記パワーコントロールユニットに対して締結されている。これにより、突出部を有効に利用してパワーコントロールユニットへの締結が可能となる。また、傾斜部及び側方保護部が衝撃を受けた際に傾斜部及び側方保護部の幅方向に向けて衝撃を分散させつつ、締結部分で保護部材を突っ張らせて保護部材の受ける衝撃を緩和することが可能となる。
(2)上述した保護部材は、前記第一突出部と前記第二突出部との間には、幅方向に沿って横方向補強ビードが配置されることを特徴とするものであると良い。
上述した保護部材は、第一突出部と第二突出部との間に、幅方向に沿って横方向補強ビードが配置されているので、保護部材が受ける衝撃を横方向補強ビードで受け止めると共に横方向補強ビードに沿って衝撃を分散させることが可能である。これにより、保護部材の破損を抑制し、パワーコントロールユニットに及ぶ衝撃を緩和させることが可能である。
(3)上述した保護部材は、前記突出部と前記パワーコントロールユニットとが、前記パワーコントロールユニットの上方側から締結されていることを特徴とするものであると良い。
上述した保護部材は、突出部とパワーコントロールユニットとが、前記パワーコントロールユニットの上方側から締結されているので、狭いスペースの中であっても保護部材の取り付けが容易となる。例えば、車両の製造において、駆動部収容室の上方側から保護部材の取り付け作業を行うことが可能となるので、作業者からの視認性も良く、また、締結工具を操作するスペースも確保しやすいという効果を奏する。
(4)上述した保護部材は、前記突出部が、前記傾斜部及び前記側方保護部の幅方向一方側の端部側に設けられた第一突出部と、前記傾斜部及び前記側方保護部の幅方向他方側の端部側に設けられた第二突出部とを有し、前記第一突出部及び前記第二突出部のうち少なくとも一方が、前記パワーコントロールユニットに対して非締結とされることを特徴とするものであると良い。
上述した保護部材は、第一突出部及び第二突出部のうち少なくとも一方が、パワーコントロールユニットに対して非締結とされている。このような非締結の突出部が存在するため、保護部材が衝撃を受けた際に、非締結である突出部が、パワーコントロールユニットに対して突っ張って衝撃を緩和させることができる。
(5)上述した保護部材は、前記パワーコントロールユニットに対して非締結とされた前記第一突出部又は前記第二突出部が、前記パワーコントロールユニットと当接及び離反が可能であることを特徴とするものであると良い。
上述した保護部材は、パワーコントロールユニットに対して非締結とされた第一突出部又は第二突出部が、前記パワーコントロールユニットと当接及び離反が可能である。上述の非締結である突出部は、パワーコントロールユニットから僅かに離間させておき、衝撃を受けた際にパワーコントロールユニットに当接するようにすれば良い。これにより、保護部材が衝撃を受けた際に、突出部が、パワーコントロールユニットに当接して突っ張ることにより、保護部材に受けた衝撃を緩和させることができる。また、保護部材をパワーコントロールユニットに取り付けた状態において、突出部がパワーコントロールユニットから離間した状態にしておくことにより、車体の振動が保護部材に伝わって、保護部材が共振することを抑制することが可能である。
(6)上述した保護部材は、前記パワーコントロールユニットと前記保護部材との締結が、前記パワーコントロールユニットに架け渡された支持ブラケットを介して当該支持ブラケットの上方側から行われることを特徴とするものであると良い。
上述した保護部材は、パワーコントロールユニットと保護部材との締結が、前記パワーコントロールユニットに架け渡された支持ブラケットを介して当該支持ブラケットの上方側から行われるものであるので、保護部材が受けた衝撃が直接パワーコントロールユニットに伝わらない。また、保護部材が受けた衝撃が支持ブラケットに分散される。従って、パワーコントロールユニットの破損が抑制される。例えば、支持ブラケットは、パワーコントロールユニットに架け渡すように設けると良い。
(7)上述した課題を解決すべく提供される本発明の保護構造は、上述のいずれかの保護部材をパワーコントロールユニットに取り付けたことを特徴とするものであると良い。
上述した保護構造は、パワーコントロールユニットに取り付けられた保護構造を呈している。従って、パワーコントロールユニットへの取り付け構造を含むパワーコントロールユニットの適確な保護構造が提供される。
本発明によれば、駆動部収容室が狭い場合であっても、車両が衝突した際にPCUが保護部材で適確に保護される。また、駆動部収容室が狭い場合であっても、PCUを保護できるので、ハイブリッド化や電動化を容易に行うことができる。
本発明の保護部材が車両に搭載されたPCUに締結された状態を表す説明図である。 本発明の保護部材がPCUに締結された状態を表す平面図である。 本発明の保護部材がPCUに締結された状態を表す正面図である。 本発明の保護部材が車両に搭載されたPCUに締結された状態を側面視した説明図である。 本発明の保護部材の一実施形態に係る正面図である。 本発明の保護部材の一実施形態に係る平面図である。 本発明の保護部材の一実施形態に係る左側面図である。 本発明の保護部材の一実施形態に係る右側面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る保護部材10及び保護構造11について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、保護部材10は、例えば車両1の前部に形成された駆動部収容室2内に収容されるパワーコントロールユニット50(以下、PCU50とも称する)に取付けられることで保護構造11を形成する。駆動部収容室2は、略矩形状に形成され、後方側(図示右側)に車室と仕切るダッシュパネル3(以下、第一部材3とも称する)が車幅方向に沿って形成されている。また、第一部材3の上端側にワイパー等が収容されるカウル4(以下、第二部材4とも称する)が形成されている。PCU50は、ハイブリッド車や電気自動車等のモーターを駆動するインバーター等の電力を制御するものである。本実施形態においては、PCU50は、図1から図4のように直方体状に形成されており、第一部材3の前方で、第二部材4の斜め下方に配置されている。なお、図示においてPCU50の表面上の凹凸や孔等は、便宜上、省略して描いている。
次に、保護部材10について、図2から図8を参照しながら詳細を説明する。保護部材10は、本体部12と、傾斜部30から側方保護部20に至る中間部において、PCU50に向けて突き出している突出部40と、適宜接続される配線52等を備えている。本体部12は、上下方向に形成された側方保護部20と、側方保護部20の上端と傾斜状態で連結された傾斜部30等を備えている。また、本実施形態においては、側方保護部20と、傾斜部30と、突出部40とが、樹脂や金属等の部材で一体形成されている。
図2から図4のように側方保護部20は、PCU50に締結する際にPCU50をなす一又は複数の側面と対向して配置される。本実施形態においては、図4のように側方保護部20がPCU50の後方側(図示右側)の側面と対向して配置されている。
また、図5から図8のように側方保護部20は、幅方向(横方向とも称する)に間隔を空けて3本の横方向補強ビード21が形成されている。横方向補強ビード21は、後述する傾斜部30における縦方向補強ビード33aの軸線方向と交差する方向に沿って形成される。また、横方向補強ビード21は、例えば、肉厚のリブ状に形成され、他の部分より強度が高められている。これにより、例えば図4の矢印bのような第一部材3側から受ける力を横方向に分散させることが可能である。横方向補強ビード21は、肉厚形成だけではなく、金属板や金属パイプ等を接合させたものであっても良い。
側方保護部20は、複数の横方向補強ビード21の間に抜き孔22が形成され、軽量化が図られている。また、本実施形態においては、複数の横方向補強ビード21の間であって縦方向(図示上下方向)に縦方向補強ビード33cが形成されている。これにより、縦方向に加わった力を縦方向に分散させ、横方向補強ビード21を通じて横方向にも分散させることが可能である。また、側方保護部20に設けられる縦方向補強ビード33cは、横方向補強ビード21より高さが低く形成されている。従って、軽量化を維持しつつ、側方保護部20の剛性を高めることが可能である。これにより、車体の振動による保護部材10の共振が抑制される。
図7及び図8のように傾斜部30は、側方保護部20の上端側に連なるように傾斜状に形成されている。これにより、図4のように傾斜部30がPCU50に締結された際に、第二部材4の斜め下方に位置し、第二部材4と対向するように配置される。
図5のように傾斜部30は、本実施形態においては、縦方向に間隔を空けて2本の縦方向補強ビード33aが形成されると共に縦方向補強ビード33a間に短い縦方向補強ビード33bが形成されている。縦方向補強ビード33a、33bは、横方向補強ビード21と同様に肉厚のリブ状に形成され、他の部分より強度が高められている。縦方向補強ビード33は、肉厚形成だけではなく、金属板や金属パイプ等を接合させたものであっても良い。これにより、例えば第二部材4の方向から加わる斜め上方又は上方からの力を縦方向に分散させることが可能である。
また、縦方向補強ビード33aは、下端側で横方向補強ビード21に連なっており、縦方向から傾斜部30に加わった力を側方保護部20にも分散させることが可能である。これにより、図4の矢印bのような第二部材4等の上方側から衝撃を受けた場合であっても、PCU50が保護される。また、縦方向補強ビード33と、横方向補強ビード21とは、それぞれに加わる衝撃の大きさのバランスを考慮して、それぞれの太さや高さ等の形状を定めることができる。本実施形態においては、例えば縦方向補強ビード33は横方向補強ビード21の高さより、少し低く形成されている。傾斜部30は、側方保護部20と同様に軽量化のための抜き孔22が複数の縦方向補強ビード33の間に形成されている。
図4、図7及び図8のように突出部40は、傾斜部30の上端側に傾斜状態で連結された第一突出部40aと、側方保護部20の幅方向一方に形成された第一突出部40bと、側方保護部20の幅方向の一方及び他方に形成された第二突出部40cとを有している。上述の突出部40において、第一突出部40a及び40bと第二突出部40cにおける第一及び第二は、便宜上、付したものであり、第一と第二とは入れ替わったものであっても良い。
図4のように傾斜部30は、第二部材4と傾斜面が対向する方向に傾斜方向が設定されている。これにより、第二部材4から受ける衝撃を傾斜部30の傾斜面で受け止めることが可能である。なお、傾斜部30の傾斜角度は、任意のものとすることができ、衝撃を受け得る方向によって例えば0~90度の範囲で設定すれば良い。第一突出部40aは、傾斜部30の上端からPCU50に向けて突出するように形成されている。第一突出部40aは、上方からのアクセスが可能なように平面状の板状部材から構成されている。また、第一突出部40aは、ボルトを挿し通すための締結用の孔が開孔され、突出部40が、当該ボルトにより後述するPCU50に架け渡された支持ブラケット51に締結される。これにより、保護部材10が支持ブラケット51を介してPCU50に締結され、保護構造11を形成する。保護構造11は、保護部材10がPCU50に取り付けられることにより形成される。
図2から図4のように、PCU50は、後方側の上方に支持ブラケット51が架け渡されている。支持ブラケット51は、保護部材10をPCU50に間接的に締結させるものであり、保護部材10に加わった衝撃による力を分散させる役割も果たすものである。また、保護部材10が車体の振動等により共振して音鳴り等することを抑制する役割も果たすものである。
第一突出部40bは、側方保護部20の側面の一方に、PCU50に向けて突出するように形成されている。第一突出部40bは、第一突出部40aと同様に先端部分が平面状の板状部材から構成され、締結用の孔が開孔されている。第一突出部40bは、第一突出部40aと同様にボルト等により、支持ブラケット51に締結される。
第二突出部40cは、側方保護部20の一方側の側面下端と、側方保護部20の他方側の側面上端付近とに、PCU50に向けて突出するように形成されている。第二突出部40cは、先端部分が側方保護部20の側面に対して、平面状に折り曲げ形成され、PCU50における平坦部分に対向するように配置されている。なお、第二突出部40cのうちの一つは、保護部材10の幅方向の中心線に対して第一突出部40bと線対称となる位置に設けると良い。
第二突出部40cは、PCU50の側面と離間した状態に配置されており、PCU50に対して当接及び離反が可能である。また、第二突出部40cは、例えば、図4における矢印aのような衝撃による力を受けた場合にPCU50の側面に当接し、PCU50に対して突っ張ることで衝撃による力を分散させることが可能である。この場合において、第一突出部40bから、線対称配置された第二突出部40cにわたって、横方向補強ビード21が延長形成されるようにすると良い。これにより、支持ブラケット51に締結された第一突出部40bに加わる力を横方向補強ビード21や縦方向補強ビード33を介して第二突出部40cへと分散させることが可能である。
本発明の保護部材10及び保護構造11は、上述のような構成となっている。次に図4に基づいて、例えば、車両1が、前方の障害物等に追突した場合を例として、保護部材10の作用について説明する。
車両1が前方の障害物等に追突した場合、当初は、前方側(図示左側)から衝撃による力を受けるが、続いて追突による慣性力により、保護部材10は、図示の矢印aや矢印bのような後方側からの力を受けることとなる。これに伴い、保護部材10は、第一部材3や第二部材4の方向からの力を受けたり、状況により直接第一部材3や第二部材4が破損して保護部材10と干渉したりする場合がある。上述のように保護部材10が、例えば矢印a及び矢印bの方向から力を受けた場合は、縦方向補強ビード33、横方向補強ビード21及び突出部40により、衝撃力が分散され、PCU50が保護される。また、支持ブラケット51を介して保護部材10をPCU50に締結している場合は、支持ブラケット51においても衝撃力が分散及び緩和される。以上が、本発明の実施形態であるが、本発明は、上述のような実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲内で適宜の変更が可能である。
上述の実施形態においては、駆動部収容室2が、車両1の前方に配置されるものであったが、駆動部収容室2は、車両1の形態に応じて、様々な場所に配置することが可能である。例えば、駆動部収容室2は、車両1の中央部又は後方部であっても良い。また、PCU50の形状は、矩形のものだけではなく、例えば平面視において矩形を複数組み合わせた凸形状等、様々な形状のものを採用することが可能である。また、側方保護部20と傾斜部30とは、PCU50の大きさや形状に合わせて、適宜の大きさや形状のものを採用することが可能である。また、保護部材10の材質は、金属だけではなく、CFRP等の強度が確保できる樹脂であっても良い。
また、上述の実施形態においては、PCU50の後方側側面に保護部材10を設けるようにしたが、後方側だけではなく衝撃を受けやすい方向に保護部材10が設けられるようにすれば良い。例えば、PCU50の幅方向(横方向)からの衝撃を受けやすい場合は、PCU50の幅方向側面に保護部材10を設けるものであっても良い。また、駆動部収容室2のスペースが許容する場合は、保護部材10を複数設けるものであっても良い。
傾斜部30の傾斜角度は、車体から衝撃を受ける可能性がある方向に沿うように各種の角度に設定することが可能である。上述の実施形態においては、傾斜部30が、斜め方向へ傾斜している例を記載したが、上方側からの衝撃を受ける等の可能性がある場合は、例えば側方保護部20に対する傾斜部30の傾斜角度を90度(水平面に対する傾斜角度を0度)となるように屈曲させ、側方保護部20に対して略L字状に折れ曲がった形状としても良い。また、傾斜部30と側方保護部20とは、円弧状に連結すると良い。上述の実施形態においては、傾斜部30と側方保護部20とが一体的に形成されているが、それぞれ分割された部材で構成しても良い。また、突出部40が、傾斜部30から側方保護部20に至る中間部において形成されているが、突出部40は、傾斜部30から側方保護部20に至る間であれば、任意の位置に形成することができる。また、突出部40は、傾斜部30及び側方保護部20の幅方向の端部側において、PCU50に向けて突き出すように形成されているが、突出部40のいずれかがPCU50に締結されるものであり、いずれかがPCU50と当接が可能なものであれば、突き出し方向は任意の方向に設定できる。
上述の実施形態においては、突出部40とPCU50とが、PCU50の上方側から締結されているが、突出部40とPCU50とを締結する方向は、保護部材10のPCU50への取り付け作業が容易な方向であれば、各種の方向を採用することが可能である。例えば、横方向からの取り付けが容易な場合は、横方向から締結されるものであっても良い。また、締結は、ボルトによるものだけではなく、各種の締結手段を採用できる。
上述の実施形態においては、第二突出部40cが、PCU50に対して非締結とされ、PCU50と当接可能に形成されているが、PCU50と突出部40との間隔は、保護部材10が受ける可能性のある衝撃や、保護部材10の剛性に併せて適宜の間隔に設定できる。また、上述の実施形態においては、第二突出部40cは、初期状態においてPCU50と離間した状態で配置されているが、保護部材10に必要とされる剛性に応じて、初めからPCU50に当接するものであっても良い。また、第二突出部40cが当接するPCU50の当接部は、任意の位置に設定可能であるが、受ける力を分散させるために平面とするのが良い。また、PCU50と当接する第二突出部40cは、当接するPCU50の当接面の形状に合わせて、任意の形状とすることが可能であるが、力が分散するよう一定の面積を有した平面状のものとすると良い。
上述の実施形態において、第一突出部40bと第二突出部40cとの間には、幅方向に沿って横方向補強ビード21が配置されているが、横方向補強ビード21が配置される位置は、第一突出部40bと第二突出部40cとの間で任意に設定できる。また、縦方向補強ビード33と横方向補強ビード21とは、側方保護部20や傾斜部30の大きさに合わせて、各種の本数を採用することが可能である。また、縦方向補強ビード33と横方向補強ビード21とは、想定される衝撃の大きさに応じて各種の形態のものが採用できる。例えば、縦方向補強ビード33と横方向補強ビード21の高さや太さがそれぞれ異なるものでも良い。これにより、保護部材10に加わる力の分散方向のバランスが変更可能となる。また、上述の実施形態においては、縦方向補強ビード33と横方向補強ビード21とは、側方保護部20及び傾斜部30と一体的に形成されているが、間接的に設けられるものであっても良い。また、縦方向補強ビード33の軸線方向と横方向補強ビード21との交差する方向は、直交方向だけではなく、保護部材10の強度を高めたい方向に合わせて各種の方向を採用することが可能である。
上述の実施形態においては、突出部40とPCU50とが支持ブラケット51を介して上方側から締結されているが、突出部40と支持ブラケット51とを締結する方向は、突出部40の支持ブラケット51への取り付け作業が容易な方向であれば、各種の方向を採用することが可能である。例えば、横方向からの取り付けが容易な場合は、横方向から締結されるものであっても良い。また、支持ブラケット51の形状は、PCU50の形状に合わせて任意の形状とすることが可能である。また、支持ブラケット51は、複数設けられるものであっても良い。また、締結は、ボルトによるものだけではなく、各種の締結手段を採用できる。
上述の実施形態においては、側方保護部20及び傾斜部30のいずれか一方又は双方に設けられる抜き孔22が、縦方向補強ビード33の軸線方向延長上に設けられているが、強度が確保できるものであれば、各種の位置に抜き孔22を形成することが可能である。抜き孔22の形状や大きさは、必要な剛性に応じて任意のものとすることができる。
上述の実施形態においては、第一部材3がダッシュパネルであり、第二部材4がワイパー等を収容するカウルであるが、第一部材3及び第二部材4には、各種の部材を採用することが可能である。第一部材3及び第二部材4は、車体のフレームの一部だけではなく、車両1に搭載される各種の部材であっても良い。
上述の実施形態においては、保護部材10が支持ブラケット51を介してPCU50に取り付けられることにより保護構造11が形成されているが、保護構造11は、保護部材10がPCU50に取り付けられるものであれば、各種の手段を採用できる。例えば、突出部40が直接的にPCU50に締結されるものであっても良い。
本発明の保護部材は、ハイブリッド車や電気自動車等に搭載されるPCUの保護部材として利用が可能である。
1 車両
2 駆動部収容室
3 ダッシュパネル(第一部材)
4 カウル(第二部材)
10 保護部材
11 保護構造
12 本体部
20 側方保護部
21 横方向補強ビード
22 抜き孔
30 傾斜部
33 縦方向補強ビード
33a 縦方向補強ビード
33b 縦方向補強ビード
33c 縦方向補強ビード
40 突出部
40a 第一突出部
40b 第一突出部
40c 第二突出部
50 PCU(パワーコントロールユニット)
51 支持ブラケット

Claims (2)

  1. 車両に形成された駆動部収容室の内部に配置されるパワーコントロールユニットの保護部材であって、
    前記保護部材は、本体部と、突出部とを有し、
    前記本体部は、
    前記パワーコントロールユニットの側面と対向して配置される側方保護部と、
    前記側方保護部の上端と傾斜状態で連結された傾斜部とを有し、
    前記突出部は、
    前記傾斜部及び前記側方保護部の幅方向一方側の端部側に設けられた第一突出部と、
    前記傾斜部及び前記側方保護部の幅方向他方側の端部側に設けられた第二突出部とを有し、前記傾斜部及び前記側方保護部の幅方向の端部側において、前記パワーコントロールユニットに向けて突き出しており、
    前記第一突出部及び前記第二突出部の一方が、前記パワーコントロールユニットに対して締結され、他方が前記パワーコントロールユニットの側面と離間した状態に配置されていることを特徴とする保護部材。
  2. 前記第一突出部と前記第二突出部との間には、幅方向に沿って横方向補強ビードが配置されることを特徴とする請求項1に記載の保護部材。
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