JP7141956B2 - コンクリートの脱型時強度判定用型枠 - Google Patents

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Description

本発明は、型枠内に打設されたコンクリートの脱型時強度を推定するための脱型時強度判定用型枠に関する。
従来より、山岳トンネル施工における覆工コンクリートは、工期短縮のため短いサイクルで繰り返し打設することが求められている。実際の作業では、通常、1日目に脱型(セントルダウン)、セントル移動、設置及び褄型枠取付けを行い、2日目にコンクリート打設というサイクルで、週3回のペースで打設を繰り返すのが一般的である。このとき、作業工程上の制約や従来の実績から、覆工コンクリートの養生時間は概ね18時間程度とされていた。
脱型には、通常コンクリート強度2~3N/mm以上が必要といわれているが、脱型の都度確認するわけではなく、経験則や予備実験による養生時間と強度との関係から推定して脱型時期を決定していた。ところが、脱型時期を養生時間から一律に設定した場合には、現場環境の変化等に対応できないという問題があった。
そこで近年では、例えば下記特許文献1、2に示されるように、脱型時にコンクリート強度を推定し脱型時期を判定する手法が種々提案されている。下記特許文献1においては、型枠を用いて打設した覆工コンクリートの脱型時期を判定するために、覆工コンクリートの型枠内の任意の箇所のコンクリート温度を任意の時間毎に測定し、該測定温度から積算温度を算出し、該積算温度が任意の数値に達することで所望の圧縮強度に到達したと推定して脱型時期であると判定する覆工コンクリート脱型時期判定方法が開示されている。
また、下記特許文献2においては、打設されたコンクリートの養生中における品質を、硬化途中の型枠内にある状態の下で判定する方法であって、特定の等間隔で並設する4本を一組とする複数本の電極を、打設されたコンクリート内に各電極の少なくとも一部が埋没するように型枠外から配設し、該型枠内にコンクリートを打設し、養生を施した後、前記電極に対して打設されたコンクリート外から電圧を印可して計測した値に基づく四電極法によって打設されたコンクリート内の比抵抗値を算出し、得られた比抵抗値に基づいて打設されたコンクリートの水和反応の進行度を把握することにより品質を判定する打設されたコンクリートの養生中における品質判定方法が開示されている。
特開2012-26734号公報 特開2014-35269号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の方法では、覆工コンクリートを打設する度ごとに温度センサをコンクリートに埋設しなければならないとともに、それが埋め殺しになること、積算温度を長時間に亘って計測するため、複数箇所に設置した温度センサからデータロガーまでの配線が必要となり、設備が煩雑になること、積算温度はコンクリート自体の物性の変化を捉えているわけではなく、あくまでも温度条件からの間接的な推定であること、コンクリートの種類によって積算温度と強度との関係が異なるため脱型時期判定の精度が悪いことなどが問題となっていた。
一方、上記特許文献2記載の方法は、コンクリートの比抵抗を測定することにより脱型時期を判定する手法であるため、コンクリートの水和反応に伴う電気的物性の変化から脱型時期を直接的に推定することが可能となる点で有効であるが、所定の深さに位置させた電極は、覆工コンクリートを打設する度ごとにコンクリート内に埋設しなければならないとともに、それが埋め殺しになることが問題となっていた。
そこで本発明の主たる課題は、型枠内に打設されたコンクリートに複数の電極を接触させた状態で前記電極間の電位差を計測することによって比抵抗を求め、この比抵抗から脱型時の強度を推定するためのコンクリートの脱型時強度判定用型枠であって、前記電極をコンクリート内に埋め殺しとすることなく、脱型時強度判定用型枠を繰り返して使用可能とすることにある。
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、型枠内に打設されたコンクリートに複数の電極を接触させた状態で前記電極間の電位差を計測することによって比抵抗を求め、この比抵抗から脱型時の強度を推定するためのコンクリートの脱型時強度判定用型枠であって、
前記脱型時強度判定用型枠は、型枠を兼ねる絶縁性の板材と、絶縁性シートの一方面側に一定方向に間隔を空けて、可撓性を有し薄肉の電極が複数並設された電極付きシートとからなり、前記電極付きシートの他方面側を前記板材に対して、前記電極に対応する部分を避けた領域において接着し取り付けてあることを特徴とするコンクリートの脱型時強度判定用型枠が提供される。
上記請求項1記載の発明では、型枠内に打設されたコンクリートの脱型時の強度を推定するのに、養生時間や積算温度から間接的に推定するのではなく、水和反応に伴うコンクリート自体の電気的物性(電位差)を測定することにより、コンクリートの強度発現を直接的に推定可能とした手法を用いている。このため、脱型時の強度を直接的に推定でき、精度向上が図れるようになる。
本発明に係る脱型時強度判定用型枠は、型枠を兼ねる絶縁性の板材と、絶縁性シート材の一方面側に一定方向に間隔を空けて、可撓性を有する電極が複数並設された電極付きシートとからなり、前記電極付きシートの他方面側を前記板材に対して、前記電極に対応する部分を避けた領域において接着し取り付けてある構造としている。従って、電極をコンクリート内に埋設状態で設置するのではなく、絶縁性シート材の一方面側に電極が複数並設された電極付きシートを用いているため、脱型時に型枠とともに、絶縁性シートを外した際に電極も一緒にコンクリートから剥がし取ることができ、脱型時強度判定用型枠を繰り返し使用することができる。
また、本発明のように、シートの表面に取り付けた電極の場合、コンクリートを充填した後、コンクリートの収縮に伴いコンクリートとの密着性(接触性)が問題となる。そこで本発明では、前記電極付きシートの他方面側を前記板材に対して、前記電極に対応する部分を避けた領域において接着し取り付けるようにしている。すなわち、電極付きシートの電極部分は樹脂板から離隔し浮かせて状態としておくようにしている。その結果、コンクリートの硬化に伴う収縮に電極が追随して密着性(接着性)を確保できるため、電極とコンクリートとの接触状態を保持することが可能となり通電状態を維持できるようになっている。
なお、前記電極はシート材の表面に薄く形成されたものであり、コンクリートへの食い込みもほんの僅かであり、脱型したコンクリート面はほぼ平面が確保される。
請求項2に係る本発明として、前記電極は、所定幅で一方向に長い矩形状の平面形状を成している請求項1記載のコンクリート脱型時強度判定用型枠が提供される。
上記請求項2記載の発明では、電極の形状に関して、電極の平面形状を所定幅で一方向に長い矩形状とするものである。このような形状とすることにより、コンクリートとの接触面が面状に細長く形成されるため、コンクリートと電極との良好な接触状態が実現できるようになり、測定精度も向上できるようになる。
請求項3に係る本発明として、前記電極は、印刷型電極又はテープ型電極である請求項1、2いずれかに記載のコンクリートの脱型時強度判定用型枠が提供される。
上記請求項3記載の発明では、電極の具体例を例示したものであり、前記電極として、印刷型電極又はテープ型電極を好適に用いることができる。これらの電極は可撓性を有し薄肉で形成できるため、コンクリートの硬化に伴う収縮変形に容易に追従できるとともに、厚みも概ね500μm以下で済むため、コンクリートへの食い込み量も僅かである。
請求項4に係る本発明として、前記電極は、少なくとも4本以上が等間隔で並設されている請求項1~3いずれかに記載のコンクリートの脱型時強度判定用型枠が提供される。
上記請求項4記載の発明では、電極の本数に関して、少なくとも4本以上が等間隔で並設されている構造とするものである。比抵抗を計測する際、隣り合う4本の電極を一組とした四電極法を用いるためである。また、5本以上とする場合は、4本の電極を一組として電極を1本ずつずらして複数回計測し、その平均を前記比抵抗とすることにより、精度の高いデータ取得を可能にしている。例えば、5本の電極を並設した場合には、組とする電極を1本ずつずらして2回計測できるし、6本の電極を並設した場合には、組とする電極を1本ずつずらして3回計測できるようになる。これらの平均値を採用することにより、計測精度の向上を図れるようになる。
請求項5に係る本発明として、前記板材は樹脂板である請求項1~4いずれかに記載のコンクリート脱型時強度判定用型枠が提供される。
上記請求項5記載の発明は、前記板材として樹脂板を用いるものである。樹脂板は、強度や剛性が高く、電気絶縁性を備えることが容易である。
請求項6に係る本発明として、前記電極に対応する部分を避けた領域は、絶縁性シートにおける周縁部分である請求項1~5いずれかに記載のコンクリートの脱型強度判定用型枠が提供される。
上記請求項6記載の発明では、コンクリートの硬化に伴う収縮に電極部分が変形しながら接触状態を確保するために、電極付きシートの前記板材(樹脂板)に対する接着部分は、前記電極に対応する部分を避けた領域としているが、その具体的な接着領域としては、絶縁性シートにおける周縁部分とするのが望ましい。それによって、電極部分をコンクリートの硬化に伴う収縮に容易に追従させることが可能となる。
請求項7に係る本発明として、前記脱型時強度判定用型枠は、山岳トンネル施工における覆工コンクリートの褄型枠の一部として用いられるものである請求項1~6いずれかに記載のコンクリートの脱型時強度判定用型枠が提供される。
上記請求項7記載の発明は、本脱型時強度判定用型枠の具体的適用例を示したものである。本脱型時強度判定用型枠は、第1に山岳トンネル施工における覆工コンクリートの褄型枠の一部として用いられることを意図しているものである。
以上詳説のとおり本発明によれば、型枠内に打設されたコンクリートに複数の電極を接触させた状態で前記電極間の電位差を計測することによって比抵抗を求め、この比抵抗から脱型時の強度を推定するためのコンクリートの脱型時強度判定用型枠であって、前記電極をコンクリート内に埋め殺しとすることなく、脱型時強度判定用型枠を繰り返して使用できるようになる。
山岳トンネル施工における覆工コンクリート13の打設要領を示す斜視図である。 褄型枠における本発明に係る脱型時強度判定用型枠1の設置箇所を示す覆工セントル10の正面図である。 本発明に係る脱型時強度判定用型枠1の設置状態を示す要部縦断面図である。 本発明に係る脱型時強度判定用型枠1を示す、(A)は正面図、(B)は左側面図、(C)は平面図である。 本発明に係る脱型時強度判定用型枠1を示す、(A)は要部拡大正面図、(B)はその左側面図である。 比抵抗の測定要領を説明するための電流・電位配線図である。 キャリブレーションのための脱型時強度判定用型枠1を示す要部正面図である。 キャリブレーションのための比抵抗測定用プラモールド20を示す、(A)は横断面図、(B)は縦断面図である。 キャリブレーション結果を示す相関グラフである。 比抵抗(プラモールド)と強度との相関を示すグラフである。 比抵抗による推定強度と圧縮強度との相関を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
〔覆工コンクリート打設への適用例〕
図1に示されるように、山岳トンネルの施工では、発破などによる掘進後、掘削されたトンネル内壁面に吹付けによって吹付けコンクリートTを施工し、ロックボルトを打ち込んだ後、油圧ショベルなどの掘削機械によってトンネル底部のインバート掘削を行い、シート台車を使用して前記吹付けコンクリートTの内周面に防水シートを張設した状態で(この面が地山側壁面となる。)、覆工セントル10(移動式の鋼製型枠)をトンネル軸方向に順次移動させながら、トンネル軸方向に1スパン毎、前記地山側壁面との間に距離を空けて周方向に沿って前記覆工セントル10の型枠11を位置決めするとともに、端部に褄型枠12を設置した後、前記地山側壁面と型枠11との間の空間に天井部に設けたコンクリート打設孔14からコンクリートを流し込み、その硬化を待って脱型した後、次の打設箇所まで覆工用セントル10を移動して、次の覆工コンクリート13の打設が繰り返し行われる。
本発明に係るコンクリートの脱型時強度判定用型枠1は、図2に示されるように、覆工セントル10の型枠11を所定の位置に位置決めした状態で、その端部に設置される褄型枠12の一部として用いられるものである。図2に示されるように、脱型時強度判定用型枠1は、褄型枠12の内、天端部分に設置するのが望ましい。トンネル覆工の場合は、側壁作業窓及び天井部に設けたコンクリート打設孔14からコンクリートが流し込まれ下部側から徐々に充填されるため、褄側の天端がコンクリートが最後に充填される部位となる。この部分に脱型時強度判定用型枠1を取り付けることにより、最も若材齢の部位で脱型時の強度が推定できることになり、最も安全側で判定できるようになる。また、通電する電流は、覆工セントル10の型枠11の面に対して垂直に流れるので、覆工セントル10の型枠11(鋼材)の影響を受けにくくできる。
前記脱型時強度判定用型枠1は、型枠内に打設されたコンクリートに複数の電極を接触させた状態で前記電極間の電位差を計測することによって比抵抗を求め、この比抵抗から脱型時の強度を推定可能とした型枠であって、図3~図5に示されるように、型枠を兼ねる絶縁性の樹脂板2と、絶縁性シート3の一方面側に一定方向に間隔を空けて、可撓性を有し薄肉の電極4,4…が複数並設された電極付きシート5とからなり、前記電極付きシート5の他方面側を前記樹脂板2に対して、前記電極4,4…に対応する部分を避けた領域Aにおいて接着し取り付けてあるものである。
前記樹脂板2は、平面視で縦長の長方形で平板状に成形された板材であり、覆工コンクリート打設のための褄型枠12の一部として設置されるものである。材質は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでも良いが、強度や剛性が高く、電気絶縁性を備えた材質を用いるのがよい。具体的には、アクリル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、アセタール樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂など公知の樹脂を広く用いることができるが、強度や剛性が高く、コストが安く、電気絶縁性を有するアクリルを用いるのが好ましい。なお、前記樹脂板2に代えて、絶縁性を有する樹脂以外の板材を使用することも可能である。
前記樹脂板2の幅寸法Bは、概ね100~300mm程度とすることが望ましく、厚みtは20~40mm、好ましくは25~35mm程度とするのが好ましい。
前記絶縁性シート3は、平面視で矩形状、図示例では略正方形状に形成された樹脂シート材料からなる。材質は、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニールなどの材料から製造されたシート材を好適に用いることができる。厚みは概ね0.3~2.0mm、好ましくは0.5~1.0mmとし十分な可撓性(変形性)を有することが望ましい。
前記電極4は、可撓性を有し薄肉の通電性を有するものが用いられ、平面形状は所定幅で一方向に長い矩形状とされる。具体的には、幅wは1.5~10mm、好ましくは2~7mm程度とし、長さLは50~150mm、好ましくは70~120mm程度とするのが望ましい。
前記電極4としては具体的に、前記絶縁性シート3に対して、インクジェットやフレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷などの印刷方法によって、銅、チタン、アルミニウムなどの導電性材料を塗布して形成した印刷型電極や、銅箔、チタン箔、アルミ箔などのテープ型電極を貼設したものとすることができる。これらの電極であれば、十分な可撓性を有しかつ概ね0.1~0.5mm程度の薄肉の電極を簡単に形成することができる。
前記電極4は、一方面側に一定方向に間隔を空けて複数並設されている。前記電極4,4…は、隣り合う電極4,4同士の中心間距離が一定の間隔aとした等間隔に配置するのが好ましい。隣り合う電極4,4の間隔aは、10~30mm、好ましくは15~25mm程度とするのが望ましい。この間隔aはコンクリートの品質に応じて適宜設定することができる。
前記電極の数は、少なくとも4本、好ましくは5本以上、より好ましくは6本以上8本以下で並設されていることが望ましい。少なくとも4本を一組の電極を等間隔に配置するのは四電極法を用いた比抵抗の測定において、ウエンナ法を採用可能とするためである。ウエンナ法は、後述するように、隣り合う4本の電極を一組として、外側の2本の電極に通電装置が接続され、内側の2本の電極に電位計が接続され、前記通電装置によって所定の電流を通電させたときの前記内側2本の電極の電位差を電位計によって計測する手法である。なお、他に四電極法には、ダイポール・ダイポール法やシュランベルジャ法などがあるが、ウエンナ法が一般的に多く用いられている手法である。
前記電極4を5本並設した場合には、組とする電極を1本ずつずらして2回計測できるようになり、6本の電極を並設した場合には、組とする電極を1本ずつずらして3回計測できるようになる。比抵抗の計測値はこれらの平均値を採用することにより、測定精度を向上できるようになる。図示例では、6本の電極を並設し3回の計測を可能としている。
前記電極付きシート5の他方面側を前記樹脂板2に対して、前記電極4に対応する部分を避けた領域Aにおいて接着し取り付けてある。具体的には、電極4,4…を囲む周縁部分5において、電極付きシート3を樹脂板2に対して、両面テープや接着剤によって取り付けるようにするのがよい。すなわち、電極付きシート3の電極部分4,4…を樹脂板2から離隔させて浮かした状態(変形可能な状態)としておくことにより、コンクリートの硬化に伴う収縮に電極4,4…がコンクリートの変形に追従して密着性(接着性)を確保するため、電極4とコンクリートとの接触状態を保持することが可能となり、通電状態を維持できるようになる。前記両面テープを用いる場合は、比較的厚みを有するブチルゴム系粘着剤による両面テープを用いるのが望ましい。
前記各電極4,4…にはリード線6a、6a…が接続されており、これらのリード線6a、6a…は一束の電線ケーブル6となって外部に延長されており、接続端子に連結されている。この接続端子は、図3に示されるように、褄型枠として設置した状態では外部まで延長され、専用の比抵抗計測装置7に接続されるようになっている。
〔比抵抗の計測及び強度推定〕
前記脱型時強度判定用型枠1によって、打設したコンクリートの比抵抗を計測し、この比抵抗から脱型時の強度を推定する手法について詳述する。
<測定原理及びキャリブレーション>
従来より、セメントの水和反応に伴う強度発現の過程で比抵抗が変化し、コンクリートの比抵抗と強度との間に相関関係が存在することが知られている。この比抵抗ρを求めるには、対象物に既知の電流Iを入力したとき、それによって生じる電極間の電位差Vを測定し、下式(1)から算出する。
Figure 0007141956000001
ここで、c:キャリブレーションにより得られる定数
a:電極の間隔
前記定数cは、次の手順で行った脱型時期判定用型枠1のキャリブレーションにより得られる定数である。通常の強度試験用供試体(円柱体)の比抵抗を測定する場合は、両端に電極をあてて電流を流すため平行電流になっているのに対して、本発明に係る脱型時強度判定用型枠1はコンクリート面に接触した電極での計測となるため、キャリブレーションを行い換算定数cを設定する必要がある。
以下に、前記キャリブレーションの例について詳述する。
図7に示されるように、本発明に係る脱型時強度判定用型枠1を製作する。図示例では、型枠を兼ねる幅170mm×厚み30mmのアクリル板2と、150mm(横)×160mm(縦)×0.5mm(厚み)の樹脂シート3と、この樹脂シート3の一方側面に20mm間隔で平行配置された6本の電極4、4…とからなる。前記電極4は銅箔テープ(100mm(L)×2mm(w)×0.1mm(t))を用いている。前記電極付きシート5の他方面側を前記アクリル板2に対して、前記電極4,4…配置領域を避けて、15mm幅の周縁部で両面テープにより取り付けてある。
一方で、キャリブレーションのために、図8に示される比抵抗測定用プラモールド20を製作する。この比抵抗測定用プラモールド20は、蓋板21と底板22とに銅板が配設され、円柱枠に対して縦方向に3本の導線23,23…を貫通配置したものである。比抵抗の測定は、前記蓋板21と底板22とを電流電極とし、選択した2本の導線を電位電極として比抵抗の計測を行う。
そして、実際のコンクリート施工場所(覆工コンクリート打設)において、前記脱型時強度判定用型枠1によってコンクリート打設後の所定時期に比抵抗の計測を行う。計測要領は後述の〔覆工コンクリートの比抵抗計測〕で説明した手順による。
一方で、打設した覆工コンクリートと同一のコンクリートを用いて、前記比抵抗測定プラモールド20に対してコンクリートを充填し比抵抗測定用の供試体を作製する。
そして、養生時間を変えた複数のタイミングで、前記脱型時強度判定用型枠1によって覆工コンクリートの比抵抗を計測するのとほぼ同時に、前記比抵抗測定プラモールド20によって比抵抗を計測する。これら両者の計測結果をグラフにプロットすると図9に示されるような本発明型枠による比抵抗とプラモールドによる比抵抗との相関図(y=0.723x)が得られる。この計測結果によると、本発明の脱型時強度判定用型枠1によって計測された比抵抗をプラモールドによる比抵抗に換算するには、c=0.723に設定すればよいことが判明した。
〔覆工コンクリートの比抵抗計測〕
山岳トンネルの施工において、図2及び図3に示されるように、覆工セントル10を所定の位置に位置決めするとともに、型枠11を地山側壁面から所定距離だけ離間させた位置に位置決めしたならば、褄型枠12を設置するに当たって、天端部分に褄型枠12の一部分に代えて、本発明に係る脱型時強度判定用型枠1を取り付ける。脱型時強度判定用型枠1から伸びた電線ケーブル6は比抵抗計測装置7に接続する。
ここまでの準備が完了したならば、コンクリートの打設及び養生を行う。
比抵抗の計測は、図6に示されるように、一端側から順に、隣り合う4本の電極4、4、4、4を一組として、四電極法により比抵抗を求める。このとき、外側の2本の電極4、4に前記通電装置8を接続しこれらの電極4、4を電流電極として機能させるとともに、内側の2本の電極4、4に電位計9を接続しこれらの電極4、4を電位電極として機能させる。
前記比抵抗を求めるには、前記通電装置8から電流Iを電流電極4、4に通電させたとき、電位電極4、4間に生じる電位差Vを前記電位計9によって計測する。そして、上式(1)から比抵抗ρを求める。
次いで、前記4本一組の電極4、4…の組み合わせを次のように1つずつずらして、前記通電装置8を接続する電流電極及び前記電位計9を接続する電位電極の組み合わせを変化させ、各組み合わせについて前記比抵抗ρを計測するとともに、各組で求めた比抵抗の平均を平均比抵抗ρとする。図示例では、脱型時強度判定用型枠1に6本の電極4~4が取り付けられているため、次の3回の計測時の平均比抵抗ρを求める。
(1)1回目:電流電極4、4、電位電極4、4
(2)2回目:電流電極4、4、電位電極4、4
(3)3回目:電流電極4、4、電位電極4、4
<脱型時強度の推定>
次に、脱型前に以下の手順で脱型時の強度を予測し脱型時期の判定を行う。
予め、コンクリートの比抵抗と強度との関係を予備実験により求めておく。
具体的には、前述したキャリブレーション時に、比抵抗測定プラモールド20にコンクリートを充填して比抵抗用供試体を作製する際に、強度測定用供試体を幾つか作製しておき、比抵抗が異なる各段階で圧縮強度試験を実施し、図10に示されるように、比抵抗(プラモールド)(Ω・m)と強度(N/mm2)との相関式を得ておく。平均比抵抗(Ω・m)と強度(N/mm2)との関係は、図10に示されるように、1次式による直線近似が可能であり、測定した比抵抗から強度を推定するに当たっては、この1次式(y=0.717x-4.4109)に比抵抗の計測値を代入することによって強度を得るようにする。
現地で求めた比抵抗の平均値ρから強度を求め、この強度が目標強度(通常2~3N/mm)以上であることが確認できたら脱型時期と判定し脱型する。
なお、図11は実際の山岳トンネル施工現場において、比抵抗から強度の推定を行ったコンクリートを用いて幾つか供試体を作製し、その強度試験を行い、比抵抗による推定強度との比較を行った結果である。同図11に示すように、比抵抗による推定強度と圧縮強度試験値とはほぼ45°の勾配直線となっており、比抵抗による推定強度が高精度が推定できていることが検証された。
以上の構成からなる脱型時強度判定用型枠1では、型枠内に打設されたコンクリートの脱型時期を判定するのに、水和反応に伴うコンクリート自体の電気的物性(電位差)を測定し、コンクリートの強度発現を直接的に推定できる比抵抗法を用いているため、従来のように一律な養生時間の経過後に脱型する手法や、水和熱を利用して積算温度から間接的に推定する手法より、脱型時期の判定精度の向上を図ることができる。
また、本脱型時強度判定用型枠1は、前記電極付きシート5が樹脂板2の表面に設けられているため、コンクリートの表面が平坦な仕上がりとなるとともに、コンクリートの脱型時に、電極などのコンクリート側に埋め殺しになるものを残さずに済むようになる。
また、本脱型時強度判定用型枠1では、型枠の一部として組み込むだけで作業が簡便になるとともに、コンクリートとの接触面となる表面が平坦に形成されるため、コンクリート打設時に設備の故障や破損を生じる危険性が低減できる。
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、脱型時強度判定用型枠1を山岳トンネルのトンネル覆工に用いたが、建物などのコンクリート構造物を構築する際に使用される型枠の一部として、本脱型時強度判定用型枠1を用いることも可能である。
1…脱型時強度判定用型枠、2…樹脂板、3…絶縁性シート、4…電極、5…電極付きシート、6…電線ケーブル、7…比抵抗計測装置、8…通電装置、9…電位計、10…覆工セントル、11…型枠、12…褄型枠、13…覆工コンクリート、14…コンクリート打設孔、20…比抵抗測定プラモールド

Claims (7)

  1. 型枠内に打設されたコンクリートに複数の電極を接触させた状態で前記電極間の電位差を計測することによって比抵抗を求め、この比抵抗から脱型時の強度を推定するためのコンクリートの脱型時強度判定用型枠であって、
    前記脱型時強度判定用型枠は、型枠を兼ねる絶縁性の板材と、絶縁性シートの一方面側に一定方向に間隔を空けて、可撓性を有し薄肉の電極が複数並設された電極付きシートとからなり、前記電極付きシートの他方面側を前記板材に対して、前記電極に対応する部分を避けた領域において接着し取り付けてあることを特徴とするコンクリートの脱型時強度判定用型枠。
  2. 前記電極は、所定幅で一方向に長い矩形状の平面形状を成している請求項1記載のコンクリート脱型時強度判定用型枠。
  3. 前記電極は、印刷型電極又はテープ型電極である請求項1、2いずれかに記載のコンクリートの脱型時強度判定用型枠。
  4. 前記電極は、少なくとも4本以上が等間隔で並設されている請求項1~3いずれかに記載のコンクリートの脱型時強度判定用型枠。
  5. 前記板材は樹脂板である請求項1~4いずれかに記載のコンクリート脱型時強度判定用型枠。
  6. 前記電極に対応する部分を避けた領域は、絶縁性シートにおける周縁部分である請求項1~5いずれかに記載のコンクリートの脱型強度判定用型枠。
  7. 前記脱型時強度判定用型枠は、山岳トンネル施工における覆工コンクリートの褄型枠の一部として用いられるものである請求項1~6いずれかに記載のコンクリートの脱型時強度判定用型枠。
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