JP7141374B2 - ヘアブラシ - Google Patents

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Description

本発明は、ヘアブラシに関する。
毛髪の手入れを行う際に使用するヘアブラシとして、ブラシ面に複数の突起が一方向に並んだ突起列を有し、ブラシ面の領域又は突起列ごとに突起の長さや太さが異なっているものが知られている。例えば、特許文献1には、ブラシ台において、中央領域に毛足の短いブラシ毛を、該中央領域を囲う外周領域に毛足の長いブラシ毛を、それぞれ間隔を空けて配設したヘアブラシが記載されている。
また、特許文献2には、幅方向中央に細毛の毛束群からなるヘア処理液保持材と、該ヘア処理液保持材の両側に前記細毛より高さの高いブラシ毛からなるブラシ毛植毛列とを備えたヘアブラシが記載されている。
また、特許文献3には、2本のモノフィラメントを二つ折りにして、長短2本ずつのブリッスルが一方向に並んだブリッスル列を複数有するヘアブラシが記載されている。
また、特許文献4には、複数の歯が長手方向に直列したコームを複数組み合わせて構成されており、ブラシ面の中央に配されるコームの歯の長さが長く、ブラシ面の外側に配されるコームの歯の長さが短いヘアブラシが記載されている。
一方、特許文献5には、先端に向かって先細り形状を有する複数の毛材が所定の配列で並んでおり、該毛材の長さや太さが全て同じであるヘアブラシが記載されている。
実開昭61-192730号公報 実開昭61-202239号公報 特開2003-245131号公報 国際公開第2003/026457号公報 米国特許出願公開第2018/0228277号明細書
洗髪後、湿潤状態の毛髪に対しヘアブラシを用いてブラッシングを行う際、毛髪どうしの絡まりを容易に解すと共に、ブラッシングによる毛髪へのダメージを低減することが望まれている。湿潤状態の毛髪は、ヘアブラシの突起に引っ掛かり易く、過度に力を加えてブラッシングされることがあり、ダメージを受け易い。特許文献1~5に記載のヘアブラシは、ブラッシング時の毛髪へのダメージを考慮したものではない。
したがって、本発明の目的は、従来技術が有する種々の課題を解決し得るヘアブラシを提供することにある。
本発明は、棒状突起が立設されたブラシ面を有するヘッド部と柄とを有するヘアブラシであって、前記ブラシ面は、長手方向及び該長手方向と直交する幅方向を有しており、前記ブラシ面の前記幅方向の中央部に、第1突起が、相互間に間隔を設けて1本ずつ独立した状態に設けられた第1突起領域を有し、前記幅方向における第1突起領域を挟む両側それぞれに、第1突起に比して断面積が大きく長さが短い第2突起が、前記長手方向に沿って複数形成された第2突起列を有する、ヘアブラシを提供するものである。
本発明のヘアブラシは、湿潤状態の毛髪に対するブラッシング時のダメージを低減することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るヘアブラシの斜視図である。 図2は、図1に示すヘアブラシのブラシ面を示す斜視図である。 図3は、図1に示すヘアブラシにおける突起が立設された領域を模式的に示す平面図である。 図4は、図2のII-II線断面図(ブラシ面の幅方向に沿う断面図)である。 図5は、突起の曲げ剛性の測定方法を説明する模式図である。 図6は、図3に示す第1突起の配列を模式的に示す平面図である。 図7(a)~(c)は、本発明に係る第1突起の立設態様を説明する断面図である。 図8(a)及び(b)は、本発明に係る第2突起の立設態様を説明する、ブラシ面の長手方向に沿う断面図である。 図9は、本発明の別の実施形態に係るヘアブラシの図4相当図である。 図10は、本発明のさらに別の実施形態に係るヘアブラシの図4相当図である。 図11は、本発明のさらに別の実施形態に係るヘアブラシの図4相当図である。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明に係るヘアブラシの一実施形態が示されている。本実施形態のヘアブラシ10は、人の頭髪をブラッシングに用いられるヘアブラシであり、図1及び図2に示すように、柄12cと、ブラシ面13を有するヘッド部12とを備えている。ヘッド部12のブラシ面13には、図2に示すように、複数の棒状の突起15~17が立設されている。立設とは、立った状態に設けることをいう。ブラシ面13は、本実施形態においてブラシ面13は、後述するヘッド部12の装着開口12bを閉塞するように、該ヘッド部12にブラシ基部13aが嵌め込まれた状態において、該ブラシ基部13aの装着開口12bから露出した部分である。
ヘアブラシ10は、毛髪の手入れを行う際に、柄12cを手で把持し、ヘアブラシ10を毛髪の根元側から毛先側に向かって移動させながら、ブラシ面13に立設された複数の突起15~17で毛髪をブラッシングする。
ヘアブラシ10におけるブラシ面13は、長手方向X及び該長手方向Xに直交する幅方向Yを有している。ブラシ面13の長手方向Xは、柄12cの長手方向に対応する方向であり、ブラシ面13の幅方向Yは、ブラシ面の長手方向Xと直交する方向である。
ブラシ面13は、ブラシ面13の長手方向Xの長さが幅方向Yの長さ以上であり、通常、図2に示すように、長手方向Xの長さが幅方向Yの長さより長いことが好ましい。
ヘアブラシ10は、ブラシ面13の幅方向Yの中央部に、第1突起が、相互間に間隔を設けて1本ずつ独立した状態に設けられた第1突起領域Aを有している。本実施形態のヘアブラシ10は、第1突起として、断面積が相互に異なる2種類の第1突起15,17を有している。これら第1突起15,17は、長さが同じである。以下、本実施形態における第1突起のうち、断面積が小さい方の突起を第1小突起15ともいい、断面積が大きい方の突起を第1大突起17ともいう。複数の第1突起15,17は、図3に示すように、相互間に間隔を空けて1本ずつ独立した状態に設けられている。より具体的には、複数の第1突起15,17は散在しており、長手方向X及び幅方向Yに間隔を空けて配されている。本実施形態のヘアブラシ10においては、ブラシ面13に設けられた植毛穴18に、1本の突起が設けられている。
第1突起領域Aは、前述の第1突起15,17が相互間に間隔を空けて設けられた領域である。本実施形態における第1突起領域Aは、複数の第1突起15,17が長手方向X及び幅方向Yそれぞれに間隔を空けて設けられている。第1突起領域Aには、複数の第1小突起が長手方向Xに直列した第1小突起列J1が幅方向Yに複数列形成されている。複数の第1小突起列J1は、該第1小突起列J1中の第1小突起15の配置が1列置きに同位置になるように、長手方向Xにずれて配置されている。複数の第1小突起列J1は、該第1小突起列J1中の第1小突起15の配置が3列置きに同位置になるように、長手方向Xにずれて配置されていてもよい。また、第1突起領域Aには、その幅方向Yの両側それぞれにおいて、第1小突起列J1よりも幅方向Yの外側に、第1大突起列J5が1列ずつ形成されている。
ヘアブラシ10は、図3に示すように、ブラシ面13の幅方向Yにおける第1突起領域Aを挟む両側それぞれに、第1突起15,17に比して断面積が大きく長さが短い第2突起16が、長手方向Xに沿って複数形成された第2突起列J3を有している。
第2突起16は、第1突起15,17よりも断面積が大きい。本明細書において突起の断面積は、突起の突出方向に直交する断面の面積を意味する。本実施形態においては、ブラシ面と平行な平面方向の断面の面積である。突起の突出方向は、ヘアブラシの厚み方向Zに対応する方向である。突起の突出方向において突起の断面積が変化している場合、該断面積の最大値が、「突起の断面積」となる。また、本実施形態のように、第1突起15,17がその先端に球状体15aを有している場合、突起の断面積は、球状体15aを除く棒状の部分の断面積とする。
球状体15aを設ける場合、頭皮への感触をより向上させる観点から、球状体15aは、その最大径部分の断面積が、突起の断面積の110%以上400%以下が好ましく、より好ましくは120%以上250%以下である。
第2突起16は、第1突起15,17よりも長さが短い。本明細書において突起15,16,17の長さL3,L5,L7は、突起の突出高さであり、突起のブラシ面13から先端までの長さである(図4参照)。
ヘアブラシ10は、ドライヤー等を用いて乾燥させた毛髪や、タオルドライ後における湿潤状態の毛髪のブラッシングに用いられる。湿潤状態の毛髪どうしは、毛髪の流れが整っていない状態で集まり易く、この状態でブラッシングすると、該毛髪が絡まってヘアブラシの突起に引っ掛かり易い。
このような湿潤状態の毛髪に対し、ヘアブラシ10は、ブラッシング時において該毛髪に過度の力が加わり難く、ブラッシング時の毛髪へのダメージを低減するので、毛髪を円滑にブラッシングすることができる。具体的には、幅方向Yにおいて第2突起列J3に挟まれた第1突起領域Aを有していることにより、第1突起15,17よりも剛性が高い第2突起16によって毛髪どうしの絡まりが効果的に解かれる一方、第2突起16は、第1突起15,17よりも長さが短いため、該第2突起16と毛髪とが接触することによる抵抗を低減することができる。第2突起16は、ブラシ面13の幅方向Yの外方において長手方向Xに沿って複数形成されているので、ブラッシングの際に、第1突起15,17よりも先に毛髪どうしの絡まりと当接する。この第2突起16によって、毛髪の絡まりは容易に解かれ、スムーズに毛髪を梳くことができる。しかも、毛髪と最も広く接触する第1突起領域Aでは、第1突起15,17の断面積が第2突起よりも小さく、剛性が低いため、毛髪に加わる荷重を低減することができる。このようにしてヘアブラシ10は、湿潤状態の毛髪に対するブラッシング時のダメージを低減することができるので、該ヘアブラシ10は、特に、細くてウェーブ状の毛髪を有する傾向のあるコーカソイドの毛髪のブラッシングに有効である。
一方、第1突起領域Aを有していないヘアブラシでは、湿潤状態の毛髪に過度の荷重を加え、大きなダメージを与えてしまうことがある。また、第2突起列J3を有していないヘアブラシでは、湿潤状態の毛髪をスムーズに解すことが困難である。
各突起の剛性は、曲げ剛性で表すことができる。ブラッシング時に突起と毛髪が接触することによる抵抗力をより低減する観点から、第2突起16の曲げ剛性は、第1突起15,17よりも高いことが好ましい。
上記の効果をより確実に奏させる観点から、第2突起16の曲げ剛性は、第1突起15,17の曲げ剛性に対して好ましくは200%以上、より好ましくは250%以上であり、また好ましくは450%以下、より好ましくは350%以下であり、また好ましくは200%以上450%以下、より好ましくは250%以上350%以下である。本実施形態のヘアブラシのように、曲げ剛性の異なる第1突起を複数種類有する場合、曲げ剛性が最も大きい第1突起の該曲げ剛性に対して、第2突起16の曲げ剛性が前記の範囲であることが好ましい。
第2突起16の曲げ剛性は、好ましくは0.1N以上、より好ましくは0.12N以上であり、また好ましくは0.3N以下、より好ましくは0.25N以下であり、また好ましくは0.1N以上0.3N以下、より好ましくは0.12N以上0.25N以下である。
ブラッシング時の前記抵抗力をより低減すると共に、ブラッシング性能を向上させる観点から、第1大突起17の曲げ剛性は、第1小突起15の曲げ剛性に対して好ましくは130%以上、より好ましくは150%以上であり、また好ましくは230%以下、より好ましくは200%以下であり、また好ましくは130%以上230%以下、より好ましくは150%以上200%以下である。
突起の曲げ剛性(N)は、フォースゲージ(日本電産シンポ社製)用い、下記の方法で測定することができる。
〔曲げ剛性の測定方法〕
フォースゲージ(日本電産シンポ社製、品番FGP-5)を用いて、1本の突起Prの先端に6mmφの端子を当接させ、測定環境20℃、65%RH、速度30mm/minで、突起Prがその突出方向に対して曲がるように、荷重を水平方向に負荷させて、該突起Prを撓ませる(図5参照)。この際、突起Prの先端の移動距離が水平方向に10mmとなるまで、突起Prに荷重を負荷したときの最大強度を測定する。前記最大強度は3本の突起Prについて測定し、その平均値を曲げ剛性とする。
毛髪の流れを整えるブラッシング性能を確保すると共に、第1突起15,17の剛性をより低くする観点から、第1突起15,17の断面積は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.12mm以上、さらに好ましくは0.15mm以上であり、また好ましくは0.3mm以下、より好ましくは0.28mm以下、さらに好ましくは0.27mm以下であり、また好ましくは0.1mm以上0.3mm以下、より好ましくは0.12mm以上0.28mm以下、さらに好ましくは0.15mm以上0.27mm以下である。突起の突出方向において第1突起15,17の断面積が変化している場合、該断面積が上記範囲内であることが好ましい。
第2突起16によるブラッシング性能を向上させる観点から、第2突起16の断面積は、第1突起15,17の断面積に対して好ましくは300%以上、より好ましくは500%以上であり、また好ましくは1000%以下、より好ましくは900%以下であり、また好ましくは300%以上1000%以下、より好ましくは500%以上900%以下である。上記と同様の観点から、第2突起16は、断面積が0.3mm超であることが好ましい。本実施形態のように、断面積の異なる第1突起が複数種類存在する場合、該第1突起のうち、最も断面積の小さい突起の断面積に対する、第2突起16の断面積の割合(%)が、上述した範囲であることが好ましい。突起の突出方向において第2突起16の断面積が変化している場合、その最大値を該突起の断面積とする。
第1大突起17の断面積は、第1小突起よりも大きく、且つ第2突起よりも小さい。第1大突起17によるブラッシング性能を向上させる観点から、第1大突起17の断面積は、第1小突起15の断面積に対して好ましくは110%以上、より好ましくは130%以上であり、また好ましくは180%以下、より好ましくは150%以下であり、また好ましくは110%以上180%以下、より好ましくは130%以上180%以下である。突起の突出方向において第1大突起17の断面積が変化している場合、その最大値を該突起の断面積とする。
本実施形態において各突起15,16,17それぞれは、ブラシ面13に対し略垂直に立設している。斯かる構成により、ブラッシング時に毛髪に加えられる荷重をより低減することができる。
第2突起16の剛性を高める観点から、第2突起16の長さL5(図4参照)は、第1突起15,17の長さL3,L7(図4参照)の好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上であり、また好ましくは80%以下、より好ましくは75%以下であり、また好ましくは40%以上80%以下、より好ましくは50%以上75%以下である。
また、ブラッシングを効率的に行う観点から、第2突起の長さL5を第1大突起17の長さL7より短くすることが好ましい。即ち、第1大突起17の長さL7を第2突起の長さL5より長くすることが好ましい。斯かる構成により、毛髪に各突起を挿入して、ヘアブラシ10で毛髪を梳くと、毛髪どうしの強い絡まりを第2突起で解くことができ、さらに第1小突起15より剛性が高い第1大突起17によって、該突起の先端側で、毛髪どうしの弱い絡まりを効率的に解くと共に、毛髪の流れを効果的に整えることができる。第1大突起17の長さL7(図4参照)は、第1小突起15の長さL3(図4参照)の好ましくは85%以上、より好ましくは95%以上であり、また好ましくは100%以下、より好ましくは100%以下であり、また好ましくは85%以上100%以下、より好ましくは95%以上100%以下である。
ブラッシング時に突起と毛髪が接触することによる抵抗力をより低減すると共に、ブラッシング性能を向上させる観点から、第1小突起15の長さL3(図4参照)は、好ましくは14mm以上、より好ましくは16mm以上、さらに好ましくは18mm以上であり、また好ましくは22mm以下、より好ましくは21mm以下、さらに好ましくは20mm以下であり、また好ましくは14mm以上22mm以下、より好ましくは16mm以上21mm以下、さらに好ましくは18mm以上20mm以下である。
本実施形態のヘアブラシ10は、ヘッド基部12aと柄12cとが一体成形された基台本体11、及び該ヘッド基部12aに固定されるブラシ基部13aを備えている。基台本体11は、ヘッド基部12aの長手方向Xの一端側に柄12cが延設されており、該ヘッド基部12aと柄12cとが連続している。ヘッド部12は、図4に示すように、ブラシ面13を有するブラシ基部13aと、矩形形状の装着開口12bを有するヘッド基部12aとを含んで構成されている。ヘッド基部12aの片方の面には、装着開口12bが形成されており、該装着開口12bを閉塞するようにブラシ基部13aが嵌め込まれ固定されている。
基台本体11やブラシ基部13aは、合成樹脂からなるプラスチック製の成形品である。前記合成樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、PP(ポリプロピレン)樹脂、PE(ポリエチレン)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PCTA(ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート)樹脂、POM(ポリアセタール)樹脂、アクリル樹脂、AS(アクリル二トリルスチレン共重合体)樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂、熱可塑性エラストマー樹脂等が挙げられる。熱可塑性エラストマー樹脂としては、SBS、SIS、SEBS、SEPS等のスチレン系エラストマー(TPS)、オレフィン系エラストマー(TPO)、エステル系エラストマー(TPC)、ウレタン系エラストマー(TPU)、アミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、熱可塑性ゴム架橋(TPV)等が挙げられる。これらのエラストマーは一種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
突起15,16,17は、合成樹脂製であることが好ましい。突起を形成する合成樹脂としては、例えば、上述した基台本体11やブラシ基部13aの形成材料として用いられる各種の合成樹脂や、ナイロン、ナイロン6等のポリアミド樹脂等が挙げられる。剛性を低くして、ブラッシング時の毛髪に加わる荷重をより低減する観点から、第1突起15,17の形成材料はナイロンであることが好ましい。また、第2突起16の剛性を高める観点から、第2突起16の形成材料は、上述した熱可塑性エラストマー樹脂や直鎖状低密度ポリエチレン樹脂であることが好ましい。
第2突起の形成材料として用いられる熱可塑性エラストマー樹脂は、そのショアD硬度〔株式会社テクロック製のゴム硬度計(GS709N 形式D)〕が、好ましくは40以上、より好ましくは50以上であり、また好ましくは65以下、また好ましくは40以上65以下、より好ましくは50以上65以下である。このような硬さを有することで、第2突起によって毛髪どうしの絡まりをより容易に解くと共に、毛髪の引っ掛かりをより抑制することができる。
ショアD硬度の測定方法は以下のとおりである。
〔ショアD硬度の測定方法〕
平らな面に置いた試料の平面に、両手で保持したゴム硬度計の加圧面を真上から一定速度で垂直に押し付け、密着後、1秒以内の値を「硬さ」とする。試料の測定位置は試料の端から12mm以上内側、測定箇所の間隔は6mm以上とする。測定に使用する試料は、長さ及び幅をそれぞれ25mm以上、厚みを6mm以上の板状とし、試験環境は温度23±2度、湿度50±5%とする。5ヶ所の中央値あるいは平均値を測定値に採用し、ゴム硬度計(テクロック社製GS709N 形式D)で50を示した場合、ショアD硬度は50(「D50」)である。
本実施形態の第1突起領域Aにおいて第1突起15,17は、個々の植毛穴18に対して1本ずつのみ立設された植毛突起である。斯かる構成により、ブラッシング時に毛髪が突起間に引っ掛かることをより抑制する。
ブラシ基部13aのブラシ面13には、第1突起15,17が立設される植毛穴18が長手方向X及び幅方向Yに分散した状態に複数形成されており、該植毛穴18から突起15が突出している。ブラシ面13に形成される植毛穴18は、図7(a)に示すように、有底の凹陥部であってもよく、図7(b)及び(c)に示すようにブラシ基部13aをその厚み方向に貫通する貫通孔であってもよい。植毛穴18が前記凹陥部である場合、図7(a)に示すように、該凹陥部に棒状体を平線19で2つ折りにして形成された突起が立設されていてもよい。この場合、毛髪の引っ掛かりをより抑制する観点から、突起は、平線を用いて、折り部の片側のみが植毛穴18から突出するように固定された棒状体から形成されていることが好ましい。平線19としては、真鍮等の金属で形成されたものが挙げられる。また、植毛穴18が前記貫通孔である場合、該貫通孔に棒状体を挿入することにより、突起が立設されていてもよい。この場合、突起は、図7(b)に示すように、該突起のブラシ面13とは反対側の端部に形成された留め部21によって固定されていてもよく、図7(c)に示すように、突起のブラシ面13とは反対側の端部が固定部23によって固定されていてもよい。留め部21及び固定部23としては、突起の形成材料と同じ材料からなるものを用いることが好ましい。
第2突起16は、第1突起15,17と同様に、ブラシ面に形成された個々の植毛穴に対して1本ずつのみ立設された植毛突起であってもよく、ブラシ面13又は該ブラシ面13の下に配された連続部と一体に成形された成形突起であってもよい。ブラシ面13の下に配された連続部25は、図8(a)に示すように、複数の突起における一方の端部どうしを連結するものであり、貫通孔24を有するブラシ基部13aの下に設けられる。この貫通孔24は個々の成形突起に対応する。連続部25と一体に成形された突起は、図8(b)に示すように、ブラシ基部13aに設けられた貫通孔に挿入されることで設けられる。毛髪どうしの絡まりを効果的に解して、ブラッシング性能を向上させる観点から、第2突起16は、前記成形突起であることが好ましい。
ブラッシング時に毛髪にかかる荷重をより低減させる観点から、第2突起16が成形突起である場合、第2突起16と、第2突起16と一体に成形されているブラシ面13又は連続部25とが、軟質樹脂から形成されていることが好ましい。
軟質樹脂としては、例えば、オレフィン系エラストマー樹脂、スチレン系エラストマー樹脂、ポリエステル系エラストマー樹脂、ウレタン系エラストマー樹脂、アクリル系エラストマー樹脂、低密度ポリエチレン樹脂等が挙げられる。
ブラッシング時に生じ得る静電気の発生を抑制する観点から、第2突起16及び柄12cが、導電性樹脂で形成されており、第2突起16と該柄12cとの間が電気的に接続されていることが好ましい。斯かる構成により、使用状態では柄12cと使用者とが接触した状態となり、電気的に接続するため、静電気の発生を効果的に抑制することができる。第2突起16と該柄12cとの間が電気的に接続された形態としては、第2突起16が立設されたブラシ基部13aと、基台本体11とが同じ導電性樹脂によって成形されており、ヘアブラシ10がブラシ基部13aと基台本体11とが接触した状態で形成されていることが挙げられる。このような形態にする観点からも、第2突起16は前記成形突起であることが好ましい。ブラッシング時に生じ得る静電気の発生を抑制する観点から、導電性樹脂として、カーボン繊維、ステンレス繊維、及び帯電防止剤から選ばれる1種以上を練り込みした、アクリロニトリル・ブタジエン:スチレン 共重合合成樹脂、ポリオレフィン、ナイロン6、ポリカーボネート樹脂等を用いることができる。
ブラッシング時の毛髪の引っ掛かりをより抑制すると共に、ブラッシングをより容易に行う観点から、第1突起領域Aの幅方向Yの長さW1を2等分する二等分線は、ブラシ面13の幅方向Yの全長Wを二等分する二等分線CLと一致していることが好ましい。
また、ブラッシング時に毛髪に加えられる荷重をより低減する観点から、第1突起領域Aは、ブラシ面13の幅方向Yの全長Wを二等分する二等分線CLから両側それぞれに好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下の範囲に亘って配されていることが好ましい。
本実施形態のヘアブラシ10は、図3に示すように、ブラシ面13の幅方向Yの中央領域Mと、該中央領域Mを挟む一対のサイド領域S,Sとで、断面積が相互に異なる突起を有している。具体的には、中央領域Mは第1突起領域Aとなっており、複数の第1突起15が長手方向X及び幅方向Yそれぞれに配列されている。サイド領域S,Sには、第2突起列J3と、第1大突起17が長手方向Xに沿って配列した第1大突起列J5がそれぞれ配されている。このように、サイド領域S,Sにおいて、第2突起16はそれぞれ、長手方向Xに沿って複数形成されて、列を形成している。第1大突起列J5は、第1小突起列J1と第2突起列J3との間に配されている。
本実施形態のように、ブラシ面13における中央領域Mを挟む両側それぞれに、第1突起15,17より断面積が大きく、長さが該第1突起15,17よりも短い突起16を有する太突起領域Bを有していることが好ましい。太突起領域Bは、第1突起領域Aの幅方向Y外方に位置する領域であって、幅方向Yの最も外方側に位置する第1突起15,17の中心どうしを結んで形成される辺と、第1突起以外の突起の中心どうしを結んで形成される辺とから構成された領域である。第1突起以外の突起は、例えば、長手方向X又は幅方向Yの最も外方に位置する第2突起16等である。第1突起15,17より剛性が高い第2突起16をサイド領域S,Sに設けることで、ブラッシング時に毛髪どうしの絡まりをより容易に解くことができる。
第1突起領域Aには、10mm四方当たり、好ましくは5本以上10本以下、より好ましくは6本以上9本以下の存在密度で第1突起15,17が設けられていることが好ましい。第1突起領域Aの第1突起15,17の存在密度は以下の方法により求められる。
先ず、ブラシ面13の複数の第1突起15,17が形成された領域において、長手方向X及び幅方向Yの最も外方側に位置する第1突起15,17の中心どうしを結んで形成される領域Aを設定する。この領域Aが第1突起領域である。次いで、10mm四方の正方形領域aを、その頂点の1つが、第1突起領域A内の任意の第1突起と対応するように設定する。この正方形領域a内に含まれる第1突起15,17の本数をカウントする。ただし、平面視における前記正方形領域aの外縁と第1突起15,17とが重なっている場合、該正方形領域aの外縁と重なる第1突起15,17は、正方形領域a内に含まれる第1突起15,17としてカウントしない。この測定を第1突起領域A内の任意の3箇所で行い、これらの平均値を第1突起15,17の存在密度とする。
本実施形態のブラシ面13において、第1突起領域Aが平面方向に100mm以上連続している。ブラッシング時に毛髪に加えられる荷重をより低減する観点から、ブラシ面13における第1突起領域Aの面積は、仮領域Fの面積に対して好ましくは20%以上、より好ましくは35%以上であり、また好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下であり、また好ましくは20%以上80%以下、より好ましくは35%以上70%以下である。「仮領域F」は、ブラシ面13において、長手方向X及び幅方向Yの最も外方側に位置する突起の中心どうしを結んで形成される領域である。ここで、仮領域Fの外縁を形成する突起は、第1突起15,17に限られない。
上記と同様の観点から、ブラシ面13における第1突起領域Aの面積は、好ましくは1000mm以上、より好ましくは1300mm以上であり、さらに好ましくは1500mm以上であり、また好ましくは3500mm以下、より好ましくは3000mm以下、さらに好ましくは2500mm以下であり、また好ましくは1000mm以上3500mm以下、より好ましくは1300mm以上3000mm以下、さらに好ましくは1500mm以上2500mm以下である。
ブラッシング時、第1突起領域Aにおいて毛髪をより通し易くする観点から、第1突起領域Aにおける第1突起15,17の総断面積の割合は、好ましくは0.8%以上、より好ましくは1%以上であり、また好ましくは3%以下、より好ましくは2.5%以下であり、また好ましくは0.8%以上3%以下、より好ましくは1%以上2.5%以下である。第1突起領域Aにおける第1突起15,17の総断面積は以下の方法により求められる。
第1突起領域A内に、任意の10mm四方の正方形領域aを3箇所設定する。第1突起領域Aは、前述したように、第1突起15,17が設けられている領域であって、長手方向X及び幅方向Yの最も外方側に位置する第1突起15,17の中心どうしを結んで形成される領域である。次いで、前記正方形領域a内に含まれる第1突起15,17の総断面積を求める。平面視における正方形領域aの外縁と第1突起15,17とが重なっている場合、該第1突起15,17の断面積の1/2を、前記正方形領域a内に含まれる第1突起15,17の総断面積として含むこととする。突起の突出方向において第1突起15,17の断面積が変化している場合、その最大値を該第1突起15,17の断面積とする。そして、3箇所の正方形領域aそれぞれについて、正方形領域aの面積に対する第1突起15,17の総断面積の割合の平均値を求め、これを第1突起領域Aにおける第1突起15,17の総断面積の割合とする。
本実施形態において第1突起領域Aは、図3に示すように、幅方向Yの中央領域Mに長手方向Xに延びて形成されている。斯かる構成により、ブラッシング時の毛髪の引っ掛かりをより抑制することができる。
上記の効果をより向上させる観点から、第1突起領域Aは、長手方向Xの長さL1(図3参照)が、ブラシ面13の長手方向Xの全長L(図2参照)に対して好ましくは70以上、より好ましくは80%以上であり、また好ましくは95%以下、より好ましくは93%以下であり、また好ましくは70%以上95%以下、より好ましくは80%以上93%以下である。第1突起領域Aの長手方向Xの長さL1は、第1突起15,17が設けられている領域であって、長手方向X及び幅方向Yの最も外方側に位置する第1突起15,17の中心どうしを結んで形成される領域の長手方向Xの長さである。
ブラッシング時の毛髪の引っ掛かりをより抑制する観点から、第1突起領域Aは、幅方向Yの長さW1(図3参照)が、ブラシ面13の幅方向Yの全長W(図2参照)に対して好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であり、また好ましくは85%以下、より好ましくは75%以下であり、また好ましくは20%以上85%以下、より好ましくは30%以上75%以下である。第1突起領域Aの幅方向Yの長さW1は、前述の第1突起15,17が設けられている領域であって、長手方向X及び幅方向Yの最も外方側に位置する第1突起15,17の中心どうしを結んで形成される領域の幅方向Yの長さである。
ブラッシング時に毛髪に加わる荷重をより低減する観点から、第1突起領域Aは、第1突起15,17が10mm四方当たり5本以上10本以下の存在密度で設けられた細突起領域A1を有していることが好ましい。本実施形態のヘアブラシ10は、細突起領域A1が平面方向に100mm以上連続している。このように、細突起領域A1は、平面方向に連続していてもよく、複数の細突起領域A1がブラシ面13上の複数個所に存在していてもよい。
上記と同様の観点から、ブラシ面13における細突起領域A1の面積は、第1突起領域Aの面積に対して好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは35%以上であり、また好ましくは100%以下、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは80%以下であり、また好ましくは20%以上100%以下、より好ましくは30%以上90%以下、さらに好ましくは35%以上80%以下である。細突起領域A1の面積が、第1突起領域Aの面積に対して100%とは、第1突起領域Aの全域に細突起領域A1が形成されていることを意味する。
上記と同様の観点から、ブラシ面13における細突起領域A1の面積は、好ましくは1000mm以上、より好ましくは1300mm以上、さらに好ましくは1500mm以上であり、また好ましくは3500mm以下、より好ましくは3000mm以下、さらに好ましくは2500mm以下であり、また好ましくは1000mm以上3500mm以下、より好ましくは1300mm以上3000mm以下、さらに好ましくは1500mm以上2500mm以下である。
上述した細突起領域は以下の方法により特定する。
〔細突起領域の特定方法〕
第1突起領域Aとして、ブラシ面13の複数の第1突起が形成された領域において、長手方向X及び幅方向Yの最も外方側に位置する第1突起の中心どうしを結んで形成される領域Aを設定する。次いで、10mm四方の正方形領域aを、その頂点の1つが、第1突起領域A内の個々の第1突起と対応するように設定する。この正方形領域a内に含まれる第1突起15,17の本数が5本以上10本以下である場合、該正方形領域aを細突起領域A1又は細突起領域A1の一部と判定する。平面視における前記正方形領域aの外縁と第1突起15,17とが重なっている場合、該正方形領域aの外縁と重なる第1突起15,17は、正方形領域a内に含まれる第1突起15,17としてカウントしない。前記正方形領域aに、第1突起15,17より断面積が大きい突起が含まれている場合、該正方形領域aは細突起領域A1ではないと判定する。このような判定を、正方形領域aの1つの頂点を、長手方向X又は幅方向Yに隣り合う第1突起に順次ずらしながら行う。具体的には、正方形領域aにおける4つの頂点のうち、何れか1つの頂点を選択し、その選択した頂点を第1突起領域Aにおける全ての第1突起に合わせて、前記の判定を行う。第1突起15,17の本数が5本以上10本以下である正方形領域aが、長手方向X及び幅方向の少なくとも一方に連続して存在する場合、その連続した領域全域が細突起領域となる。
本実施形態において細突起領域A1は、ブラシ面13の幅方向Yの中央域に、より詳細には、第1突起領域Aの幅方向Yの中央域に形成されている。斯かる構成により、ブラッシング時の毛髪の引っ掛かりをより抑制することができる。本実施形態における細突起領域A1は、第1突起領域Aの全域に形成されている。
上記の効果をより向上させる観点から、細突起領域A1は、長手方向Xの長さが、ブラシ面13の長手方向Xの全長Lに対して好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であり、また好ましくは95%以下、より好ましくは93%以下であり、また好ましくは70%以上95%以下、より好ましくは80%以上93%以下である。細突起領域A1の長手方向Xの長さは、前述した〔細突起領域の特定方法〕によって特定された細突起領域A1の長手方向Xにおける前端と後端との間の長さである。長手方向Xにおける前端とは、同方向Xの柄12cとは反対側の端部であり、長手方向Xにおける後端とは、同方向Xの柄12c側の端部である。
ブラッシング時の毛髪の引っ掛かりをより抑制する観点から、細突起領域A1は、幅方向Yの長さが、ブラシ面13の幅方向Yの全長W(図2参照)に対して好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であり、また好ましくは85%以下、より好ましくは75%以下であり、また好ましくは20%以上85%以下、より好ましくは30%以上75%以下である。細突起領域A1の幅方向Yの長さは、前述した〔細突起領域の特定方法〕によって特定された細突起領域A1の幅方向Yの一端と他端との間の長さである。
本実施形態において第1小突起15は、図3に示すように、複数の第1小突起15が一定の間隔で長手方向Xに沿って直列した第1小突起列J1と、複数の第1小突起15が一定の間隔で幅方向Yに沿って直列した幅方向第1小突起列J2とを形成するように配置されている。幅方向Yにおいて隣り合う第1小突起列J1どうしは、第1小突起15の配置位置が、長手方向Xに半ピッチ分ずれており、長手方向Xにおいて隣り合う幅方向第1小突起列J2どうしは、第1小突起15の配置位置が、幅方向Yに半ピッチ分ずれている。このように、第1突起領域Aにおいて第1小突起15は、千鳥状に配置されていることが好ましい。第1小突起15が千鳥状に配置されている別の態様として、幅方向Yにおいて隣り合う第1小突起列J1どうしは、第1小突起15の配置位置が、長手方向Xに1/3ピッチ分ずれており、長手方向Xにおいて隣り合う幅方向第1小突起列J2どうしは、第1小突起15の配置位置が、幅方向Yに1/3ピッチ分ずれていてもよい。
また、第1大突起列J5は、幅方向Yにおいて隣り合う第1小突起列J1に対し、第1大突起17の配置位置が、長手方向Xに半ピッチ分ずれている。このように、第1突起領域Aにおいて第1突起は、第1大突起17も含めて千鳥状に配置されていることが好ましい。
ブラッシング時に毛髪に加えられる荷重をより低減する観点から、第1突起領域Aにおける第1突起列J1,J5の総列数は特に制限されないが、好ましくは4本以上10本以下、より好ましくは6本以上8本以下である。
ブラッシングを効果的に行う観点から、第1小突起列J1の配置ピッチP1(図6参照)は、好ましくは2mm以上、より好ましくは2.5mm以上であり、また好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下であり、また好ましくは2mm以上5mm以下、より好ましくは2.5mm以上4mm以下である。第1小突起列J1の配置ピッチP1は、幅方向Yに隣り合う第1小突起列J1間の離間距離であり、幅方向Yにおけるこれら第1小突起列J1を構成する第1小突起15の中心間の最短距離である。
上記と同様の観点から、第1小突起列J1中の第1小突起15の配置ピッチP3(図6参照)は、好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上であり、また好ましくは7mm以下、より好ましくは6.5mm以下であり、また好ましくは3mm以上7mm以下、より好ましくは4mm以上6.5mm以下である。第1小突起列J1中の第1小突起15の配置ピッチP3は、第1小突起列J1中の長手方向Xに隣り合う第1小突起15の中心間の距離である。第1小突起列J1と第1大突起列J5との離間距離は、第1小突起列J1の配置ピッチP1と同じであることが好ましい。また、ヘアブラシが第1大突起列J5を複数列有する場合、第1大突起列J5の配置ピッチ、即ち、幅方向Yに隣り合う第1大突起列J5間の離間距離は、第1小突起列J1の配置ピッチP1と同じであることが好ましい。第1大突起列J5中の第1大突起17の配置ピッチは、第1小突起列J1中の第1小突起15の配置ピッチP3と同じ範囲であることが好ましい。第1大突起列J5中の第1大突起17の配置ピッチは、第1大突起列J5中の長手方向Xに隣り合う第1大突起17の中心間の距離である。
なお、上述した第1小突起列J1の配置ピッチP1、及び第1小突起列J1中の第1小突起15の配置ピッチP3は、ブラシ面13を平面視したときの、第1小突起15の先端の中心どうしの離間距離である。
本実施形態においては、第2突起16が第1大突起17よりも幅方向Yの外方側に配されている。したがって、第2突起列J3は、第1小突起列J1及び第1大突起列J5よりも幅方向Yの外方側に配されており、第1大突起列J5に隣接した幅方向Yの外方側に配されている。サイド領域Sにおいて、幅方向Yの最も外方側に配される突起16の断面積が、第1突起領域Aにおいて、幅方向Yの最も外方側に配される突起17の断面積よりも大きいと、毛髪どうしの絡まりをより容易に解くと共に、毛髪の引っ掛かりをより抑制する点で好ましい。
本実施形態の各太突起領域Bは、2本の第2突起列J3を有している。第1突起15,17より断面積の大きい突起からなる突起列の本数は特に制限されないが、ブラッシング時の前記抵抗力を小さくすると共に、毛髪どうしの絡まりを容易に解く観点から、第1突起領域Aを挟む第2突起列J3の列数は、好ましくは2本以上5本以下、より好ましくは2本以上4本以下である。
毛髪どうしの絡まりを容易に解く観点から、太突起領域Bは、長手方向Xに延びて形成されていることが好ましく、長手方向Xの長さが幅方向Yの長さに比して長いことがより好ましい。上記と同様の観点から、太突起領域Bの長手方向Xの長さL2(図3参照)は、ブラシ面13の長手方向Xの全長L(図2参照)に対して好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であり、また好ましくは95%以下、より好ましくは93%以下であり、また好ましくは70%以上95%以下、より好ましくは80%以上93%以下である。
上記と同様の観点から、太突起領域Bは、長手方向Xに延びて形成されていることが好ましい。上記と同様の観点から、太突起領域Bの幅方向Yの長さW2(図3参照)は、ブラシ面13の幅方向Yの全長W(図2参照)に対して好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、また好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下であり、また好ましくは5%以上30%以下、より好ましくは10%以上25%以下である。
第1突起領域Aには、図3に示すように、第1大突起17が長手方向Xに沿って複数形成されている。より詳細には、第1突起領域Aの幅方向Yの両側それぞれにおいて、即ち、第1小突起列J1が形成された領域よりも幅方向Yの外方に、複数の第1大突起17が長手方向Xに直列した第1大突起列J5が形成されている。斯かる構成により、毛髪どうしの絡まりをより効果的に解くことができる。第1突起領域Aにおいて、第1大突起列J5は、1列のみ形成されていてもよく、複数列形成されていてもよい。ブラッシング性能を向上させる観点から、第1突起領域Aにおける、長手方向Xに沿って直列した第1大突起列J5の列数は、好ましくは1本以上3本以下である。
上述した各突起の形状は特に制限されず、先端に向けて先細りの形状であってもよく、突起の突出方向において断面積が同じ形状であってもよい。ブラッシング時に毛髪と突起とが接触することで生じる抵抗力をより低減する観点から、第1突起15,17は、突起の突出方向において断面積が同じ形状を有していることが好ましい。このような形状としては、例えば円柱、楕円柱状、角柱状等が挙げられる。
剛性をより高める観点から、第2突起16は、先端に向けて先細りの形状であることが好ましい。このような形状としては、例えば円錐台状、角錐台状等が挙げられる。
上述した各突起はその先端に球状体を有していてもよく、有していなくともよい。本実施形態における第1突起15,17は、その先端に球状体15a,17aを有している。突起の先端に球状体を有していると、頭皮への当たりが柔らかくなる。
基台本体11のヘッド基部12aは、例えば長手方向Xの長さが70~130mm程度、幅方向Yの長さが30~90mm程度の大きさの平面視矩形形状に形成されている。基台本体11の柄12cは、平面視において台形形状に形成されており、ヘッド基部12aから長手方向Xに離れていくにつれ漸次幅が拡大している。より具体的には、柄12cは、長手方向Xの長さが70~130mm程度、幅方向Yの短辺が15~25mm、幅方向Yの長辺が20~35mm程度の大きさの台形形状に形成されている。
ブラシ基部13aは、ヘッド基部12aの装着開口12bの開口形状に略一致する平面視矩形形状を有している。
ヘアブラシ10の好ましい製造方法は、ヘッド基部12aを有する基台本体11、ブラシ基部13a、及び突起15,16,17をそれぞれ射出成形等により形成する。ブラシ基部13aを成形する際、該ブラシ基部13aのブラシ面上に第2突起16が一体成形されていてもよい。得られたブラシ基部13aのブラシ面13には、切削加工等の公知の方法を用いて、突起15を立設させる植毛穴18を形成し、該植毛穴18に突起を植設する。そして、ブラシ面13に突起15が立設されたブラシ基部13aを、ヘッド基部12aの装着開口12bに嵌め込んで固定する。
植毛穴18に突起を立設する方法としては、公知の方法を採用することができる。例えば、植毛穴に棒状体を平線で2つ折りにして打ち込む方法や、植毛穴としての貫通孔に棒状体を挿入して、該貫通孔から突出する棒状体の片端部を加熱し、該端部に留め部21を形成して固定する方法、植毛穴としての貫通孔に棒状体を挿入して、該貫通孔から突出する突起の片端部を配した金型内に溶融樹脂を注入し、該溶融樹脂を固化して形成した固定部23によって該棒状体を固定する方法等を用いることができる。「植毛穴に棒状体を平線で2つ折りにして打ち込む方法」では、毛髪が突起の根元付近に挟まることを抑制する観点から、棒状体を2つ折りにしたときの一方の折り曲げ部がブラシ面13から突出していないことが好ましい。斯かる構成により、1個の植毛穴につき、1本の突起を設けることができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。
例えば、上述した実施形態におけるブラシ面13は平坦であったが、図9に示すヘアブラシ10aのように、ブラシ面13は、幅方向Yに沿う断面において、突起の突出方向に突出するように湾曲していてもよい。
また、上述した実施形態における第1突起15,17はその先端に球状体15a,17aを有していたが、図9に示すように、第1突起15,17はその先端に球状体15a,17aを有していなくともよい。
また、上述した実施形態における第2突起16はその先端に球状体16aを有していなかったが、図9に示すように、第2突起16はその先端に球状体16aを有していてもよい。
上述した実施形態におけるヘアブラシ10は、第1突起として断面積の異なる第1小突起15と第1大突起17とを有し、幅方向Yにおいて第1大突起列J5の外方に第2突起16を有していたが、図10に示すヘアブラシ10bのように、第1突起として第1小突起15のみを有していてもよい。
また、上述した実施形態におけるヘアブラシ10は、断面積が同一の第2突起16を複数有しているが、断面積が相互に異なる第2突起を有していてもよく、長さが相互に異なる第2突起を有していてもよく、断面積及び長さそれぞれが相互に異なる第2突起を有していてもよい。
図10に示すヘアブラシ10bは、同じ断面積及び同じ長さを有する第2突起16が長手方向Xに沿って並んだ第2突起列を2列有する、太突起領域Bを有している。図11に示すヘアブラシ10cは、長さが相互に異なる2種類の第2突起16r,16sを有しており、長さが長い方の第2突起16rが長手方向Xに沿って並んだ第2突起列を2列有し、長さが短い方の第2突起16sが長手方向Xに沿って並んだ第2突起列を1列有している。ブラッシング時の抵抗をより低減すると共に、毛髪の絡まりをより容易に解す観点から、長さが相互に異なる複数種類の第2突起を有する場合、ヘアブラシは、図11に示すように、長さが短い方の第2突起が、長さが長い方の第2突起よりも幅方向Y外方に配置されていることが好ましい。ヘアブラシが、長さの異なる第2突起を複数種類有する場合、ブラシ面13の幅方向Yの全長Wを二等分する二等分線CLに最も近い突起を基準とし、該二等分線CLから幅方向Yの外方に向かって各突起の断面積及び長さを順次比較したとき、前記基準とした突起よりも断面積が大きく且つ長さが短い突起を「第2突起」として特定する。
図10及び図11に示すように、太突起領域Bにおける第2突起列は2列以上であってもよく、例えば3列であってもよい。
本発明のヘアブラシは、主にヒトの頭髪のブラッシングに使用されるが、ペットや家畜等の身体や体毛のケア用に用いることもできる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下のヘアブラシを開示する。
<1>
棒状突起が立設されたブラシ面を有するヘッド部と柄とを有するヘアブラシであって、前記ブラシ面は、長手方向及び該長手方向と直交する幅方向を有しており、前記ブラシ面の前記幅方向の中央部に、第1突起が、相互間に間隔を設けて1本ずつ独立した状態に設けられた第1突起領域を有し、前記幅方向における第1突起領域を挟む両側それぞれに、第1突起に比して断面積が大きく長さが短い第2突起が、前記長手方向に沿って複数形成された第2突起列を有する、ヘアブラシ。
<2>
第2突起の曲げ剛性が、第1突起の曲げ剛性よりも高い、前記<1>に記載のヘアブラシ。
<3>
第2突起の曲げ剛性は、第1突起の曲げ剛性に対して200%以上、好ましくは250%以上であり、また450%以下、好ましくは350%以下であり、また200%以上450%以下、好ましくは250%以上350%以下である、前記<1>又は<2>に記載のヘアブラシ。
<4>
第2突起の曲げ剛性は、0.1N以上、好ましくは0.12N以上であり、また0.3N以下、好ましくは0.25N以下であり、また0.1N以上0.3N以下、より好ましくは0.12N以上0.25N以下である、前記<1>~<3>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<5>
第2突起の断面積は、第1突起の断面積に対して、300%以上、好ましくは500%以上であり、また1000%以下、好ましくは900%以下であり、また300%以上1000%以下、好ましくは500%以上900%以下である、前記<1>~<4>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<6>
第1突起の断面積は、0.1mm以上、好ましくは0.12mm以上、より好ましくは0.15mm以上であり、また0.3mm以下、好ましくは0.28mm以下、より好ましくは0.27mm以下であり、また0.1mm以上0.3mm以下、好ましくは0.12mm以上0.28mm以下、より好ましくは0.15mm以上0.27mm以下である、前記<1>~<5>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<7>
第2突起の長さが、第1突起の長さの40%以上80%以下である、前記<1>~<6>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<8>
第2突起の長さは、第1突起の長さの40%以上、好ましくは50%以上であり、また80%以下、好ましくは75%以下であり、また40%以上80%以下、好ましくは50%以上75%以下である、前記<1>~<7>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<9>
第1突起及び第2突起が、合成樹脂製である、前記<1>~<8>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<10>
前記合成樹脂が、ポリアミド樹脂であり、該ポリアミド樹脂が、ナイロン又はナイロン6である、前記<9>に記載のヘアブラシ。
<11>
第1突起の形成材料がナイロンである、前記<10>に記載のヘアブラシ。
<12>
第2突起の形成材料が、熱可塑性エラストマー樹脂又は直鎖状低密度ポリエチレン樹脂である、前記<9>~<11>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<13>
第1突起領域に、前記長手方向及び前記幅方向に分散した状態に複数の植毛穴が形成されており、第1突起は、個々の前記植毛穴に対して1本ずつのみ立設された植毛突起である、前記<1>~<12>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<14>
第2突起が、前記ブラシ面又は該ブラシ面の下に配された連続部と一体に成形された成形突起である、前記<1>~<13>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<15>
第2突起と、第2突起と一体に成形されている前記ブラシ面又は前記連続部とが、軟質樹脂から形成されている、前記<14>に記載のヘアブラシ。
<16>
第2突起及び前記柄が、導電性樹脂で形成されており、第2突起と該柄との間が電気的に接続されている、前記<1>~<15>何れか1に記載のヘアブラシ。
<17>
第1突起は、断面積が相互に異なる第1小突起及び第1大突起を有し、該第1大突起の断面積は、第1小突起よりも大きく、且つ第2突起よりも小さく、第1突起領域には、第1大突起が前記長手方向に沿って複数形成されている、前記<1>~<16>何れか1に記載のヘアブラシ。
<18>
第1大突起の曲げ剛性は、第1小突起の曲げ剛性に対して、130%以上、好ましくは150%以上であり、また230%以下、好ましくは200%以下であり、また130%以上230%以下、好ましくは150%以上200%以下である、前記<17>に記載のヘアブラシ。
<19>
第1小突起及び第1大突起は、長さが同じである、前記<17>又は<18>に記載のヘアブラシ。
<20>
第1突起領域は、複数の第1小突起が長手方向Xに直列した第1小突起列を有しており、
第1小突起列形成された領域よりも幅方向Yの外方に、複数の第1大突起が前記長手方向に直列した第1大突起列が形成されている、前記<17>~<19>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<21>
第1大突起列は、第1小突起列と第2突起列との間に配されている、前記<20>に記載のヘアブラシ。
<22>
前記幅方向における第1小突起列の配置ピッチP1は、2mm以上、好ましくは2.5mm以上であり、また5mm以下、好ましくは4mm以下であり、また2mm以上5mm以下、好ましくは2.5mm以上4mm以下である、前記<20>又は<21>に記載のヘアブラシ。
<23>
第1小突起列中の第1小突起の配置ピッチP3は、3mm以上、好ましくは4mm以上であり、また7mm以下、好ましくは6.5mm以下であり、また3mm以上7mm以下、好ましくは4mm以上6.5mm以下である、前記<20>~<22>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<24>
第1大突起の断面積は、第1小突起の断面積に対して110%以上、好ましくは130%以上であり、また180%以下、好ましくは150%以下であり、また110%以上180%以下、好ましくは130%以上180%以下である、前記<17>~<23>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<25>
第1大突起の長さL7は、第1小突起の長さL3の85%以上、好ましくは95%以上であり、また100%以下、好ましくは100%以下であり、また85%以上100%以下、好ましくは95%以上100%以下である、前記<17>~<24>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<26>
第1突起は、その先端に球状体を有している、前記<1>~<25>の何れか1項に記載のヘアブラシ。
<27>
前記球状体は、その最大径部分の断面積が、突起の断面積の110%以上400%以下、好ましくは120%以上250%以下である、前記<26>に記載のヘアブラシ。
<28>
第1突起領域には、10mm四方当たり、5本以上10本以下、好ましくは6本以上9本以下の存在密度で第1突起が設けられている、前記<1>~<27>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<29>
前記ブラシ面において、前記長手方向及び前記幅方向の最も外方側に位置する突起の中心どうしを結んで形成される領域を仮領域としたとき、
第1突起領域の面積は、前記仮領域の面積に対して20%以上、好ましくは35%以上であり、また80%以下、好ましくは60%以下であり、また20%以上80%以下、好ましくは35%以上60%以下である、前記<1>~<28>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<30>
第1突起領域における第1突起の総断面積の割合は、0.8%以上、好ましくは1%以上であり、また3%以下、好ましくは2.5%以下であり、また0.8%以上3%以下、好ましくは1%以上2.5%以下である、前記<1>~<29>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<31>
第1突起領域は、前記長手方向の長さL1が、前記ブラシ面の該長手方向の全長Lに対して70以上、好ましくは80%以上であり、また95%以下、好ましくは93%以下であり、また70%以上95%以下、好ましくは80%以上93%以下である、前記<1>~<30>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<32>
第1突起領域は、前記幅方向の長さW1が、前記ブラシ面の該幅方向の全長Wに対して80%以上、好ましくは85%以上であり、また95%以下、好ましくは93%以下であり、また80%以上95%以下、好ましくは85%以上93%以下である、前記<1>~<31>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<33>
第1突起領域は、第1突起が10mm四方当たり5本以上10本以下の存在密度で設けられた細突起領域を有し、該細突起領域が平面方向に100mm以上連続している、前記<1>~<32>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<34>
前記細突起領域の面積は、第1突起領域の面積に対して20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上であり、また100%以下、好ましくは90%以下、さらに好ましくは80%以下であり、また20%以上100%以下、好ましくは30%以上90%以下、より好ましくは35%以上80%以下である、前記<33>に記載のヘアブラシ。
<35>
前記細突起領域は、前記ブラシ面の前記幅方向の中央域に形成されており、該細突起領域の該幅方向の長さが、該ブラシ面の該幅方向の全長に対して20%以上、好ましくは30%以上であり、また85%以下、好ましくは75%以下であり、また20%以上85%以下、好ましくは30%以上75%以下である、前記<33>又は<34>に記載のヘアブラシ。
<36>
前記細突起領域において、第1突起が前記長手方向に直列した第1突起列を前記幅方向に複数列有しており、
第1突起列の配置ピッチが2mm以上5mm以下であり、
第1突起列中の第1突起の配置ピッチP3が3mm以上7mmであり、且つ前記幅方向において隣り合う第1突起列どうしは、第1突起の前記長手方向の配置位置が半ピッチ分ずれている、前記<33>~<35>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<37>
第1突起領域は、前記長手方向に延びて形成されている、前記<1>~<36>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<38>
第2突起は、断面積が0.3mm超である、前記<1>~<37>の何れか1に記載のヘアブラシ。
<39>
第2突起列の列数は、2本以上5本以下、好ましくは2本以上4本以下である、前記<1>~<38>の何れか1に記載のヘアブラシ。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
実施例1として、下記表3に示す棒状突起が立設されたブラシ面と、該ブラシ面を有するヘッド部と、柄とを有するヘアブラシを製造した。ブラシ面は、幅方向の長さが60mmであり、長手方向の長さが60mmであった。各棒状突起は、長手方向及び幅方向に互いに離間させ、且つ千鳥状に設けた。第1小突起の幅方向における配置ピッチP1、及び第1小突起の長手方向における配置ピッチP3を下記表3に示す。また、第1小突起列中の第1小突起の数、第1小突起列の列数を下記表3に示す。ブラシ面には、第1小突起がヘアブラシの長手方向に9本直列した第1小突起列を8列設け、さらに8列の第1小突起列が並んだ領域の幅方向外方の両側にそれぞれ第1大突起がヘアブラシの長手方向に9本直列した第1大突起列を1列ずつ設けた。また、第2突起として、長さが相互に異なる2種類の突起を用意し、第1突起領域の幅方向外方の両側それぞれに、即ち第1大突起列の幅方向外方に、第2突起がヘアブラシの長手方向に9本直列した第2突起列を3列設けた。具体的には、第1大突起列の幅方向Y外方に、長さが長い方の第2突起(以下、第2長突起ともいう)が直列した第2突起列を2列配置し、これら2列の幅方向Y外方に、長さが短い方の第2突起(以下、第2短突起ともいう)が直列した第2突起列を1列配置した。本実施例において「第2突起」は、第2長突起及び第2短突起の双方を意味する。第1大突起列は、幅方向において第1小突起列と、第2長突起が直列した第2長突起列との間に配置した。また、複数の第1小突起列及び第1大突起列が幅方向に並んだ第1突起領域と、該第1突起領域の幅方向の外方に、複数の第2突起列が幅方向に並んだ太突起領域とが形成されるように配置した。第1小突起列と第1大突起列との幅方向における離間距離を3mmとし、第1大突起列と第2突起列との幅方向における離間距離を6mmとし、第2突起列間の幅方向における離間距離を3mmとした。これら突起の長さ(mm)、断面積(mm)、曲げ剛性(N)を下記表3に示す。第1小突起及び第1大突起は、ナイロン樹脂を用いて作製し、第2突起はポリエステル系エラストマー樹脂を用いて射出成形によって作製した。ヘアブラシの基台本体及びブラシ基部は、アクリル樹脂を用いて射出成形によって作製した。各棒状突起は、図7(b)に示す突起と同様に、植毛穴である貫通孔に棒状体を挿入し、該棒状体におけるブラシ面とは反対側の端部を加熱して留め部を形成することによって固定した。
〔実施例2〕
第2長突起が長手方向に直列した第2長突起列の列数を1列とした以外は、実施例1と同じ方法でヘアブラシを作製した。実施例2では、実施例1よりも第2突起列の列数を少なくしたので、太突起領域の幅方向の長さW2が9mmであった。
〔実施例3〕
第2長突起を設けなかった以外は、実施例1と同じ方法でヘアブラシを作製した。実施例3では、実施例1よりも第2突起列の列数を少なくしたので、太突起領域の幅方向の長さW2が6mmであった。
〔実施例4〕
第2短突起について断面積を0.26mm、及び曲げ剛性を0.25Nとした以外は、実施例3と同じ方法でヘアブラシを作製した。第2突起はナイロン樹脂を用いて作製した。
〔実施例5〕
第1大突起を設けなかった以外は、実施例1と同じ方法でヘアブラシを作製した。
〔比較例1〕
第2長突起について長さを18mm、断面積を2.70mm、及び曲げ剛性を0.16Nとした以外は、実施例2と同じ方法でヘアブラシを作製した。
〔比較例2〕
第2突起を設けなかった以外は、実施例1と同じ方法でヘアブラシを作製した。
〔比較例3〕
第1大突起を設けなかった以外は、比較例2と同じ方法でヘアブラシを作製した
〔比較例4〕
第2短突起について長さを12mm、断面積を0.18mm、及び曲げ剛性を0.11Nとした以外は、実施例4と同じ方法でヘアブラシを作製した。
〔比較例5〕
第1小突起について断面積を0.27mm、及び曲げ剛性を0.12Nとした以外は、比較例3と同じ方法でヘアブラシを作製した。
各実施例及び比較例におけるヘアブラシの構成を下記表3に示す。表3における棒状突起の断面積及び長さ、第1突起領域における10mm四方当たり第1突起の本数、第1突起領域における第1突起の総数、ブラシ面の幅方向の全長Wに対する第1突起領域の幅方向の長さW1、並びに第1突起領域における第1突起の総断面積を、上述した方法により求めた。ここでいう第1突起は、第1小突起及び第1大突起のことを意味する。表3に示す、第2突起列の列数、太突起領域の幅方向の長さW2、及び第2突起の総数は、第1突起領域の両側に配された太突起領域のうちの片側のみの数である。また、表3に示す第1大突起列の列数は、第1小突起列が並んだ領域における幅方向両側のうちの片側のみの列数である。
〔評価用毛束〕
化学的処理履歴の無い日本人黒髪直毛で重さ40g、長さ35cm、幅5.5cmの毛束(トレス)を、市販のブリーチ剤(花王株式会社製、泡カラーハイブリーチ、1剤と2剤の混合比:1対2)でブリーチ処理した。このブリーチ処理として、以下の第1~第3工程を行った。
第1工程:毛束と同質量の前記ブリーチ剤を該毛束に塗布し、30分間室温で処理した後、40℃の水道水で30秒間すすぎ流した。
第2工程:次いで、毛束に、下記表1に処方を示すモデルシャンプーを3.0g塗布して30秒間泡立てて洗浄し、該毛束を40℃の水道水で1分間すすぎ流した。
第3工程:次いで、毛束の水を指で軽く切り、パイル地のフェイスタオルを用いて毛束を30秒間拭いた。
前記ブリーチ処理を3回行った毛束を、評価用毛束とし、下記のブラッシング時の抵抗性及び毛髪の絡まり性について評価した。
Figure 0007141374000001
〔ブラッシング時の抵抗性及び毛髪の絡まり性の評価〕
評価用毛束を、40℃の流水(水道水)で30秒間濡らした後、表1に示すモデルシャンプーを3.0g塗布し、30秒間泡立てて洗浄し、さらに40℃流水で1分間すすぎ流した。この評価用毛束に対し、下記表2に示すモデルコンディショナーを3.0g塗布し、30秒間なじませた後、40℃の流水で1分間すすいで、水を指で軽く切り、パイル地のフェイスタオルを用いて30秒間拭いた。これを、湿潤状態の評価用毛束とした。
Figure 0007141374000002
湿潤状態の評価用毛束に対し各実施例及び比較例で得たヘアブラシを用い、ブラッシングを10回行い、ブラッシング時の抵抗性を評価した。さらに、このブラッシング後の評価用毛束に残った毛髪の絡まり性を評価した。
ブラッシング時の抵抗性の評価は、3名の専門パネラーが下記に示す5段階評価に基づき評価し、その平均点を評価点として算出した。評価点を下記表3に示す。
5点:ブラッシング時の抵抗が弱い。
4点:ブラッシング時の抵抗がやや弱い。
3点:ブラッシング時の抵抗を感じる。
2点:ブラッシング時の抵抗がやや強い。
1点:ブラッシング時の抵抗が強い。
ブラッシング後における毛髪の絡まり性の評価は、3名の専門パネラーが、前記のブラッシング後の評価用毛束に指をとおした際の指どおりによって評価した。本評価は、下記に示す5段階評価に基づき評価し、その平均点を評価点として算出した。評価点を下記表3に示す。
5点:指どおりが良好であり、毛髪の絡まりが残っていない。
4点:指どおりがやや良好であり、毛髪の絡まりがほぼ残っていない。
3点:毛髪の引っ掛かりを弱く感じる程度に、毛髪の絡まりがやや残っている。
2点:毛髪の引っ掛かりを感じる程度に、毛髪の絡まりが残っている。
1点:毛髪の引っ掛かりを強く感じる程度に、毛髪の絡まりが残っている。
Figure 0007141374000003
上記の表3に示すように、実施例1~5のヘアブラシは、ブラッシング時の抵抗性の評価点が3.3点以上であり、ブラッシング後における毛髪の絡まり性の評価点が3.5以上であった。一方、比較例1~5のヘアブラシは、ブラッシング時の抵抗性及びブラッシング後における毛髪の絡まり性の何れか一方又は双方の評価点が3.0点を下回る評価であった。以上の結果から、実施例1~5のヘアブラシでは、湿潤状態の毛髪に対する抵抗を抑えながら、毛髪の絡まりを解消させることができた。即ち、湿潤状態の毛髪に対し、軽い荷重で効果的にブラッシングすることができるため、該毛髪に対するブラッシング時のダメージを低減することができる。
表3における実施例1と実施例5との対比から、第1突起領域に第1大突起列を設けることで、ブラッシング時の抵抗を低減する効果と、毛髪の絡まりを解消する効果とをより向上させることが示された。
10 ヘアブラシ
11 基台本体
12 ヘッド部
12a ヘッド基部
12b 装着開口
12c 柄
13 ブラシ面
13a ブラシ基部
15 第1小突起
16 第2突起
17 第1大突起
18 植毛穴
A 第1突起領域
B 太突起領域
F 仮領域
X 長手方向
Y 幅方向

Claims (10)

  1. 棒状突起が立設されたブラシ面を有するヘッド部と柄とを有するヘアブラシであって、
    前記ブラシ面は、長手方向及び該長手方向と直交する幅方向を有しており、
    前記ブラシ面の前記幅方向の中央部に、第1突起が、相互間に間隔を設けて1本ずつ独立した状態に設けられた第1突起領域を有し、前記幅方向における第1突起領域を挟む両側それぞれに、第1突起に比して断面積の最大値が大きく長さが短い第2突起が、前記長手方向に沿って複数形成された第2突起列を有しており、
    第1突起は、断面積の最大値が相互に異なる第1小突起及び第1大突起を有し、第1大突起の断面積の最大値は、第1小突起よりも大きく且つ第2突起よりも小さく、
    第1突起領域は、第1大突起が前記長手方向に沿って配列した第1大突起列と、第1小突起列が前記長手方向に沿って配列した第1小突起列とを有し、第1小突起列が形成された領域よりも前記幅方向の外方に、第1大突起列が配されている、ヘアブラシ。
  2. 前記幅方向において第1大突起列は、第1小突起列と第2突起列との間に配されている、請求項1に記載のヘアブラシ。
  3. 第2突起の曲げ剛性が、第1突起の曲げ剛性よりも高い、請求項1又は2に記載のヘアブラシ。
  4. 第2突起の長さが、第1突起の長さの40%以上80%以下である、請求項1~3の何れか1項に記載のヘアブラシ。
  5. 第1突起及び第2突起が、合成樹脂製である、請求項1~の何れか1項に記載のヘアブラシ。
  6. 第1突起領域に、前記長手方向及び前記幅方向に分散した状態に複数の植毛穴が形成されており、第1突起は、個々の前記植毛穴に対して1本ずつのみ立設された植毛突起である、請求項1~の何れか1項に記載のヘアブラシ。
  7. 第2突起が、前記ブラシ面又は該ブラシ面の下に配された連続部と一体に成形された成形突起である、請求項1~の何れか1項に記載のヘアブラシ。
  8. 第2突起と、第2突起と一体に成形されている前記ブラシ面又は前記連続部とが、ショアD硬度が40以上65以下である軟質樹脂から形成されている、請求項に記載のヘアブラシ。
  9. 第2突起及び前記柄が、導電性樹脂で形成されており、第2突起と該柄との間が電気的に接続されている、請求項1~の何れか1項に記載のヘアブラシ。
  10. 第1突起は、その先端に球状体を有している、請求項1~9の何れか1項に記載のヘアブラシ。
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