発明の詳細な説明
概要
本発明は、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを単剤として又は抗癌治療剤と組み合わせて使用して線維性癌及び癌関連線維症を治療するための新規治療法を提供する。
本発明は、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストが単剤としていくつかの線維性の癌を効果的に治療することができ、戦略の組み合わせがいくつかの線維性癌を治療することを確実することができるという発見に基づくものである。様々な癌及び増殖性状態は、高密度の線維性組織の存在によって特徴付けられる。本発明は、戦略の組み合わせが線維症、癌及び癌関連線維症を治療するのを確実にすることができるという発見に基づくものである。治療的介入の目標一つは、抗癌治療剤が癌細胞にアクセスするのを可能にするために線維性組織の過剰な蓄積を防止し又は減少させることである。治療的介入の別の目的は、過剰な線維性組織を防止する又は減少させることにより正常な臓器機能を回復させることである。
線維症に至る事象の調節は、少なくとも2つの主要な事象を伴う。一つは、線維細胞の増殖及び分化である。線維細胞は、組織の損傷部位に正常に侵入して血管形成及び創傷治癒を促進する末梢血単球に由来する線維芽細胞様細胞の別個の集団である。線維細胞は、腫瘍、特に腫瘍における間質組織の形成に重要である。線維細胞は、CD14+末梢血単核球から分化し、そして他のPBMC細胞から分化することができる。SAP、IL-12、ラミニン-1、抗FcγR抗体、架橋IgG及び/又は凝集IgGの存在は、このプロセスを阻害し、又はこのプロセスを少なくとも部分的に遅延させることができる。
第2の主要な事象は、線維性組織の形成及び維持である。線維性組織は、単球から線維細胞、線維芽細胞、マクロファージ又は筋線維芽細胞への分化、線維芽細胞の動員及び増殖、新たな細胞外マトリックスの形成及び新たな血管組織の増殖によって形成及び維持できる。次の慢性炎症、傷害、悪性腫瘍又は特発性線維症といった病理学的線維症では、組織の損傷及び破壊をもたらす可能性があるのは、この過剰線維性組織である。
近年、血清アミロイドP(SAP)又はペントラキシン-2(PTX-2)を治療剤として使用して様々な障害、例えば線維症関連障害、過敏性疾患、自己免疫疾患、粘膜炎及び炎症性疾患、例えば微生物感染によって引き起こされるものを治療することができることが示唆された。例えば、米国特許第8247370号及び同8497243号並びに米国特許出願公開第12/720845号及び同12/720847号を参照されたい。FcγRに結合するSAPは、線維細胞、線維細胞前駆体、筋線維芽細胞前駆体及び/又は造血単球前駆体の分化に対して阻害シグナルを与える。線維症のための治療的処置としてSAP及びSAPアゴニストを使用することは、米国特許第7763256号及び同8247370号に記載されている。これらの文献を参照により本明細書で援用する。ここに記載される方法のいずれかの所定の実施形態では、当該方法は、SAPポリペプチドを含むSAPなどのSAPの投与を含む(実施例を参照)。所定の実施形態では、SAPは、CHO細胞内で産生された組換えヒトSAPなどの組換えヒトペントラキシン-2とも呼ばれる組換えヒトSAPである。所定の実施形態では、SAPポリペプチドは、ヒト血清から精製されたSAPのグリコシル化とは異なるグリコシル化を有するヒトSAPポリペプチドといったヒトSAPポリペプチドを含む。
本発明は、線維性癌又は癌関連線維症を治療するための方法を提供する。この方法は、一般に、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストなどの抗線維化剤の有効量を単剤として又は抗癌治療剤の有効量と組み合わせて投与することを含む。SAPポリペプチド又はSAPアゴニスト及び抗癌治療剤は、異なる細胞集団を標的とすることができる。例えば、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、線維化の調節に関与する細胞を標的とすることができるのに対し、抗癌治療剤は癌細胞を標的とする。選択された実施形態では、これらの成分は、組み合わせ組成物として処方又は投与でき、或いは別個及び/又は独立して、例えば、全身的に又は標的位置に投与できる。この方法は、癌関連線維症又は線維性癌(例えば、骨髄線維症などの線維性癌、子宮筋腫、線維腫、線維腺腫及び線維肉腫を含めた乳房、子宮、膵臓又は結腸の癌)を治療する方法を含む。
いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストの有効量は、単独で又は併用療法で投与したときに、線維症を、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストによる治療の前の個体における線維化度と比較して少なくとも約10%、より好ましくは少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%或いは少なくとも約50%以上軽減するのに有効な量である。所定の実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、SAPポリペプチドを含むSAPであり、かつ、投与計画に従って投与され、また、単独又は併用療法で投与される場合には、線維症を、SAPによる治療の前の個体における線維化度と比較して少なくとも約10%、より好ましくは少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又はさらには少なくとも50%以上軽減するのに有効である。
他の実施形態では、本発明は、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストと抗癌治療剤との相乗的組み合わせを投与することを含む方法を提供する。本明細書で使用するときに、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストと抗癌治療剤の「相乗的組み合わせ」とは、(i)単剤療法として同じ投与量で投与したときのSAPポリペプチド又はSAPアゴニストの治療的又は予防的利益と、(ii)単剤療法として同じ投与量で投与されたときの抗癌剤の治療的又は予防的利益との単なる付加的組み合わせから予測又は予想できる治療結果の漸進的な改善よりも治療的又は予防的処置における効果が大きい複合投与量のことである。
ここで、SAPポリペプチド又はSAPアゴニスト、一例では、グリコシル化SAPポリペプチドを含むSAPアゴニスト(例えば、グリコシル化SAPポリペプチドを含むSAP、例えばヒト血清から精製されたSAPとは異なるグリコシル化を有するグリコシル化SAPポリペプチド;組換えヒトSAP、例えば組換えヒトペントラキシン-2又はPRM-151)を投与すると、治療開始時のベースラインレベルと比較して、線維性癌(例えば、骨髄線維症)症状、身体所見及び貧血、血小板減少症、血小板増加、白血球増加などの血球数の異常が改善したことが示される。また、SAPポリペプチド又はSAPアゴニスト、例えばグリコシル化SAPポリペプチドを含むSAPアゴニスト(例えば、グリコシル化SAPポリペプチドを含むSAP、例えばヒト血清から精製されたSAPとは異なるグリコシル化を有するグリコシル化SAPポリペプチド;組換えヒトSAP、例えば組換えヒトペントラキシン-2又はPRM-151)と、抗癌治療剤(例えばルキソリチニブなどのJakキナーゼ阻害剤)との組み合わせを投与すると、ベースラインレベルと比較して線維性癌(例えば、骨髄線維症)症状、脾腫及び貧血、血小板減少、血小板増加、白血球増加などの血球数の異常が改善することも示される。また、本発明の方法は、本発明のSAPポリペプチド又はSAPアゴニストが、SAP治療によって誘発される又はそれに関連する臨床的に有意な骨髄抑制の証拠なしに(例えば、治療関連骨髄抑制の証拠なしに)単独で又は別の抗癌治療剤と組み合わせて十分に許容されたという知見に基づくものである。実際に、所定の実施形態では、貧血などの骨髄抑制を示す基準の改善が治療後に達成された。併用療法の有効性のみならず、追加の抗癌治療剤単独の効果が弱まり始めた患者にとって適している場合もある。さらに、併用療法は、抗癌治療剤単独による治療を受けた患者が経験する場合の多い副作用のいくつかを改善させた。この場合、その治療計画に対してSAPを添加する前にルキソリチニブ(ヤヌスキナーゼ阻害剤)単独での治療を受けた患者について、本発明者は、SAPの添加前にこれらの患者が経験した副作用と比較して(例えばヤヌスキナーゼ阻害剤単独による治療と比較して)、ヘモグロビンレベル及び血小板数の増加によって評価されるときの貧血及び血小板減少症の改善を観察した。これらの結果は、線維性癌のための単剤療法として又は併用療法としてのSAPの有効性を実証するのみならず、SAPを使用して治療範囲及び他の治療剤に対する患者集団を拡大して、利用可能な治療が失敗した又は不十分である患者のための治療モダリティ及び患者の亜集団を与え、そして利用可能な治療法の安全性プロファイルを改善すると共に、それ自体が治療効果を有することも実証するものである。さらに、ここで、SAPポリペプチド又はグリコシル化SAPポリペプチドを含むSAPなどのSAPアゴニストを単剤として又は併用療法の一部として投与すると、臓器線維症が減少し、臓器の機能の回復及び線維性癌症状の改善につながることが示される。根本の線維性病変を正確に標的とするSAPの能力は、広範囲の線維癌における線維症を治療しかつ逆転させるその広範な可能性を有効にする。
定義
特に定義しない限り、ここで使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用される用語と、細胞培養、分子遺伝学、有機化学及び核酸化学並びにハイブリダイゼーションにおける実験手順とは周知であり、当該技術分野において一般的に使用されている。標準的な技術を核酸及びペプチド合成のために使用する。技術及び手順は、一般に、当該技術分野及び様々な一般的参考文献における従来の方法に従って実施され(例えば、Sambrook外,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.)、これらは、本明細書を通じて提供される。
ここで使用するときに、冠詞「a」及び「an」とは、冠詞の文法上の目的語の1又は複数(すなわち、少なくとも1)をいう。一例として、「an element」とは、1の要素又は複数の要素を意味する。
ここで使用するときに、用語「約」とは、使用されている数の数値のプラス又はマイナス10%を意味する。したがって、約50%とは、45%~55%の範囲を意味する。
ここで使用するときに、用語「実質的に」とは、特定されるものの大部分であるが全体ではないことを意味する。例えば、ヌクレオチド配列に関して、用語「実質的に類似」とは、その配列が同一のタンパク質又はペプチドについて報告された別の配列と大部分が同一であることを示す;ただし、そのヌクレオチド配列は、得られるタンパク質の構造や機能に影響を与えない任意の数の変種又は変異を包含することができる。
治療剤に関連して使用されるときに、「投与する」とは、標的組織に若しくは標的組織上に治療剤を直接投与し又は患者に治療剤を投与し、それによって治療剤が、標的とされる組織に正の影響を与えることをいう。したがって、ここで使用ときに、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストに関連して使用される場合の用語「投与する」には、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを被験体に全身的に、例えば静脈内注射(例えば、これは静脈内点滴とすることができる)によって与え、それによって治療剤が標的組織に到達することが包含されるが、これに限定されない。組成物を「投与する」ことは、例えば、静脈内、皮下、筋肉内若しくは病巣内注射、経口投与、局所投与又は他の既知の技術と組み合わせたこれらの方法によって達成できる。このような組み合わせ技術は、加熱、放射線、超音波及び送達物質の使用を含む。複数の異なる治療剤を投与する場合には、それらの薬剤は、同一又は異なる投与経路によって及び/又は同じ若しくは異なる時間に投与できる。当該技術分野で理解されているように、薬剤は投与計画に従って投与できる。
治療剤に関連して使用されるときに、「与える」とは、標的組織に又は標的組織上に直接治療剤を投与し又は患者に治療剤を投与し、それによって、治療剤が標的組織に正の影響を与えることをいう。
用語「改善する」は、本発明が、与えられる、適用される又は投与される組織の特性及び/又は物理的属性を変更することを伝えるために使用される。また、用語「改善する」は、疾患状態が「改善」されたときに、症状又は疾患状態に関連した物理的特性が低下し、低減し又はなくなるような疾患状態に関連して使用することもできる。
ここで使用するときに、「単離された」とは、人間の介入を通して天然の状態から変更される又は取り出されることを意味する。例えば、生きている動物において自然に存在するSAPは、「単離された」ものではないが、合成SAPポリペプチド又はその天然状態の共存する材料から部分的に又は完全に分離されたSAPポリペプチドは、「単離された」ものである。単離されたSAPポリペプチドは、実質的に精製された形態で存在することができ、又は例えば、SAPポリペプチドが送達された細胞などの非天然環境で存在することができる。
「ミメティック」、「ペプチド模倣物」及び「ペプチドミメティック」は、ここでは区別なく使用され、一般的に選択された天然ペプチド又はタンパク質機能ドメイン(例えば、結合モチーフ又は活性部位)の三次結合構造又は活性を模倣するペプチド、部分ペプチド又は非ペプチド分子をいう。これらのペプチド模倣物としては、組換えにより又は化学的に修飾されたペプチドのみならず、以下でさらに説明するような小分子薬剤模倣物などの非ペプチド薬剤が挙げられる。
ここで使用するときに、用語「核酸」とは、デオキシリボ核酸(DNA)及び適切な場合にはリボ核酸(RNA)などのポリヌクレオチドをいう。また、この用語は、均等物としてヌクレオチドアナログから作製されたRNA又はDNA、及び、説明される実施形態に該当する場合には、一本鎖(例えばセンス又はアンチセンス)及び二本鎖ポリヌクレオチドのアナログを包含するものと解すべきである。
「任意の」又は「任意に」とは、それに続いて記載される事象又は状況が生じても生じなくてもよいことを意味し、この記載は、その事象が生じる事例と、その事象が生じない事例とを包含する。
用語「ペプチド」、「タンパク質」及び「ポリペプチド」は、本明細書では区別無く使用する。用語「精製タンパク質」とは、好ましくは細胞又は細胞溶解液中のタンパク質に通常関連する他のタンパク質から単離された又はそうでなければ該他の蛋白質を実質的に含まない1種以上のタンパク質の調製物をいう。用語「他の細胞タンパク質を実質的に含まない」又は「他の混在タンパク質を実質的に含まない」とは、(乾燥重量基準で)20%未満の混在タンパク質、好ましくは5%未満の混在タンパク質を含むタンパク質のそれぞれ個別の調製物を包含するものと定義される。タンパク質のそれぞれの機能形態は、当該技術分野で知られているようにクローン化遺伝子を使用することによって精製調製物として調製できる。「精製(された)」とは、示された分子が他の生物学的高分子、例えば他のタンパク質(特に、精製調製物としての又は対象の再構成混合物中のそれらの機能におけるタンパク質の特性を実質的にマスクし、減らし、混乱させ又は変化させることができる他のタンパク質)の実質的非存在下で存在することを意味する。ここで使用するときに、用語「精製(された)」とは、好ましくは、存在する同じタイプの生体高分子の少なくとも80乾燥重量%、より好ましくは85重量%、より好ましくは95%~99重量%、最も好ましくは少なくとも99.8重量%を意味する(ただし、水、緩衝液及び他の小分子、特に5000未満の分子量を有する分子が存在することができる)。ここで使用するときに、用語「純粋な」とは、すぐ上の「精製(された)」と同じ数値範囲を有する。
「薬学的に許容される」、「生理学的に許容できる」及びその文法上の変形は、それらが組成物、キャリア、希釈剤及び試薬又は処方物の他の成分をいう場合には区別なく使用され、かつ、これらの材料がそのレシピエントに対して吐き気、めまい、発疹、胃の不調又は他の有害作用などの望ましくない生理学的影響を生じさせることなく投与することが可能であることを示す。
「薬学的に許容される塩」には、酸付加塩と塩基付加塩の両方が含まれる。「薬学的に許容される酸付加塩」とは、遊離塩基の生物学的有効性及び特性を保持し、かつ、生物学的その他の点で望ましくなくはなく、かつ、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸等の無機酸により形成される塩をいう。有機酸は、有機酸の脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボン酸及びスルホン酸の部類、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アントラニル酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、エンボン酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などから選択できる。
ここで使用するときに、用語「薬学的に許容される塩、エステル、アミド及びプロドラッグ」とは、確実な医学的判断の範囲内において、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などなしに患者の組織との接触に使用するのに適し、合理的な利益/リスク比に見合い、そしてそれらの使用目的に有効な化合物のカルボン酸塩、アミノ酸付加塩、エステル、アミド及びプロドラッグ並びに可能であれば本発明の化合物の双性イオンの形態をいう。
ここで使用するときに、用語「治療剤」とは、患者の望ましくない状態又は疾患を治療し、それと戦い、寛解させ、予防し又は改善するために使用される薬剤を意味する。一部、本発明の実施形態は、癌、骨髄増殖性疾患又は細胞の異常増殖の治療に関する。
組成物の「治療上有効な量」又は「有効量」とは、所望の結果を達成するように計算された所定の量のことである。本発明の方法によって企図される活性は、適宜、医学的治療及び/又は予防的処置を含む。治療及び/又は予防効果を得るために本発明に従って投与される化合物の特定の用量は、もちろん、例えば投与される化合物、投与経路及び治療される状態を含めた実情を取り巻く特定の状況によって決定される。本発明の化合物の治療上有効な量は、典型的には、これが生理学的に許容される賦形剤組成物で投与されるときに、それが十分であるような量である。治療上有効な量は、投与計画に従って投与できる。
「N結合」オリゴ糖とは、アスパラギン-N-アセチルグルコサミン結合によりアスパラギンを介してペプチド骨格に結合したオリゴ糖のことである。N結合オリゴ糖は「N-グリカン」とも呼ばれる。天然に生じるN-結合型オリゴ糖は、Man[(α1,6-)-(Man(α1,3)]-Man(β1,4)-GlcNAc(β1,4)-GlcNAc(β1,N)の共通の五糖コアを有する。これらのものは、N-アセチルグルコサミン、ガラクトース、N-アセチルガラクトサミン、フコース及びシアル酸などの周囲の糖の分岐の存在及び分岐数(アンテナとも呼ばれる)の点で相違する。任意に、この構造は、コアフコース分子及び/又はキシロース分子を含むこともできる。
用語「シアル酸」とは、9個の炭素のカルボキシル化糖ファミリーの任意のメンバーを意味する。シアル酸ファミリーの最も一般的なメンバーは、N-アセチルノイラミン酸である(Neu5Ac、NeuAc又はNANAと省略される場合が多い)。このファミリーの第2のメンバーは、N-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc又はNeuGc)である(ここで、NeuAcのN-アセチル基はヒドロキシル化されている)。第3のシアル酸ファミリーのメンバーは、2-ケト-3-デオキシ-ノヌロソン酸(KDN)である(Nadano外(1986)J.Biol.Chem.261:11550-11557;Kanamori外,J.Biol.Chem.265:21811-21819(1990))。挙げられるのは、9置換シアル酸、例えば9-O-ラクチル-Neu5Acなどの9-O-C1C6-アシル-Neu5Ac又は9-O-アセチルNeu5Ac、9-デオキシ-9-フルオロ-Neu5Ac及び9-アジド-9-デオキシ-Neu5Acである。シアル酸ファミリーの総説については、例えば、Varki,Glycobiology 2:25-40(1992);Sialic Acids:Chemistry,Metabolism and Function,R.Schauer著(Springer-Verlag,New York(1992))を参照されたい。
「遺伝子操作」又は「組換え」細胞は、その細胞の遺伝物質に1以上の修飾を有する細胞である。このような修飾としては、遺伝物質の挿入、遺伝物質の欠失及び遺伝物質の複数の挿入であるが、これらに限定されず、これらは、このような物質が安定に維持されているか否かを問わず染色体外である。
ここで使用するときに、用語「修飾糖」とは、本発明のプロセスにおいてペプチドのアミノ酸又はグリコシル残基に酵素的に付加された天然又は非天然炭水化物をいう。修飾糖は、多数の酵素基質から選択され、糖ヌクレオチド(モノ-、ジ-及びトリホスフェート)、活性化糖(例えば、ハロゲン化グリコシル、メシル酸グリコシル)及び活性化されておらずヌクレオチドでもない糖が挙げられるが、これらに限定されない。「修飾糖」は、「修飾基」で共有結合的に官能化されていてよい。有用な修飾基としては、水溶性及び水不溶性重合体、治療部分、診断部分及び生体分子が挙げられるが、これらに限定されない。修飾基による官能化の部位は、「修飾糖」がペプチ又はペプチドのグリコシル残基に酵素的に付加されることのないように選択される。
SAPポリペプチド及びSAPアゴニスト
本発明の一態様は、線維性癌及び癌関連線維症の治療に有用なSAPポリペプチド又はSAPアゴニストを提供する。SAPアゴニストは、SAP活性を増加させる化合物を含め、内因性SAPシグナル伝達を増加させ又はそうでなければ模倣する全ての化合物及び組成物を包含する。本開示を通して、「SAPポリペプチド又はSAPアゴニスト」或いは「本発明のSAPポリペプチド又はSAPアゴニスト」という。特に断りのない限り、このような言及は、本明細書に開示されたSAPアゴニストのいずれかの使用、例えばヒトSAPを含むSAPポリペプチドを含む5量体SAPなどの組換えSAPの使用を意図し、該SAPポリペプチドは、ヒト血清から単離されたSAPとは異なるグリコシル化を有する。本発明は、ここに記載される方法のいずれかにおいてここに開示されるSAPポリペプチド及びSAPアゴニストのいずれかの使用(単剤又は併用療法としての使用を含む)を意図する。
SAP
SAP又はペントラキシン-2は、円盤状複合体に非共有結合的に会合する5個の同一のサブユニット又はプロトマーから構成される、哺乳動物において天然に存在する血清タンパク質である。SAPは、タンパク質のペントラキシンスーパーファミリーに属し、これはこの環状5量体構造によって特徴づけられる。従来の短鎖ペントラキシンは、SAPのみならずC反応性タンパク質を含む(Osmand,A.P.外,Proc.Nat.Acad.Sci.,74:739-743,1997)。長鎖ペントラキシンとしてはペントラキシン-3が挙げられる。SAPは、通常は肝臓で合成され、24時間の生理学的半減期を有する。ヒトSAP(hSAP)は、ホモ5量体として血漿中において約20~40μg/mlで循環する。ヒトSAPサブユニットの配列は配列番号1に開示されており、これは、GenBankアクセッション番号NP_001630の20~223アミノ酸に相当する(シグナル配列は示されていない)。
以前の研究から、SAPは、免疫応答の開始及び消散段階の両方において重要な役割を果たすことが実証されている。hSAPは、微生物に対する先天的な耐性及び細胞破片の除去と食作用の機能を果たし、かつ、創傷治癒及び線維症の調節に所定の役割を果たしているように思われる。これらの機能は、(i)上記特定の微生物及び細胞破片に関連したリガンド及びCa2+依存性の態様での様々な細胞外マトリックスタンパク質への結合、(ii)C3b及びびiC3bでのオプソニン化の促進による補体活性化のためのC1qへの結合、(iii)Fcγ受容体に結合して直接オプソニン化及びその後の食作用又はエンドサイトーシスを開始すること、及び(iv)後の単球機能及び分化の調節に関与することができる。したがって、hSAP分子は、損傷及び修復の部位に局在化し、かつ、これらの分子を結合することによってこれらの部位で標的化及び/又は集中することがある。
hSAPの三次元構造は、X線結晶法によって決定され、異なるリガンドと複合体を形成したいくつかの結晶構造も報告されている。hSAPの5量体構造は、5倍の回転対称性を有し、孔についてかなり剛性である。hSAP5量体の直径は約100Åであり、その中央孔は、20Åの直径及び35Åの深さである。各プロトマーは、ゼリーロールトポロジーを有する疎水性コアを持つ2枚のシート状に配置された逆平行β鎖から構成される。hSAP5量体は、2つの面、すなわち、5個のαヘリックスを有し、各プロトマー上にある一方のA面と、二重のカルシウム結合部位の5セットを有するB面とを有する。B面は、カルシウム依存性リガンド結合面を与えると考えられ、そしてホスホリルエタノールアミン、DNA、ヘパランスルフェート、デルマタンスルフェート及びデキストランスルフェート、ラミニン及びコラーゲンIVを含めてB面に結合するいくつかのカルシウム依存性リガンドが同定されている。また、HSAPのA面は、C1qなどの分子を結合するとも考えられ、かつ、Fcγ受容体への結合により食作用を仲介することができる。各プロトマーは、Asn32で、すなわち単一部位でグリコシル化できる。
N末端及びC末端は、溶媒露出性であり、かつ、各プロトマー分子の内縁に配置されている。N末端は、各プロトマーの外縁及び5個のプロトマーによって形成された環の周囲に位置する。C末端は、さらに5量体環の内周及び孔の方に位置しているが、A面に向かって外側に向けられている。1個のプロトマー内のN末端とC末端は、約25Å離れている。これらの末端は、サブユニット相互作用に関与すると思われず、これらのものはAsn32に結合したグリカン鎖からは離れている。hSAPのサブユニットは一緒になって非共有結合的に保持され、各サブユニットの表面の約15%がこれらの相互作用に関与する。これらの広範な相互作用は、hSAP5量体のかなりの安定性の原因となる。
ここに記載された実施形態に包含されるSAPは、例えばヒトSAP又は他の脊椎動物若しくは哺乳動物源からの異性体若しくはアナログなどの任意の供給源からのSAPを含む。さらに、SAPは、例えば部位特異的突然変異誘発によって導入された天然PTX-2のアミノ酸配列からの修飾を有するSAP分子を包含する。このような修飾は、この分子の一般的な5量体ペントラキシンの性質を保持しつつ、この分子の特定のアミノ酸及び/又は他の機能を変更することができる。「SAP」は、SAP5量体とSAPプロトマーの両方を包含するように使用できる。「SAP5量体」又は「5量体SAP」とは、少なくとも5個のSAPプロトマーを含むタンパク質複合体をいい、「SAPプロトマー」とは、SAP5量体の個々のタンパク質単位をいう。本発明の態様及び実施形態のいずれかの所定の実施形態では、本発明は、SAPアゴニストの投与を含み、ここで、該SAPアゴニストは、配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むSAPポリペプチドを含むSAP5量体を含む。所定の実施形態では、SAPポリペプチドは、組換えヒトSAPを含む。典型的な組換えヒトSAPはPRM-151を含む。所定の実施形態では、SAPアゴニストは組換えSAPを含む。タンパク質を一般に及びヒトペントラキシン-2を特異的に、組換え的に作製する方法は、当該技術分野において知られている。昆虫又は哺乳動物細胞などの組換え発現に適した細胞を選択することができる。
ヒトSAPポリペプチド上についてのグリカン構造の修飾は、ヒト血清から単離された野生型SAPの対応するサンプルと比較してSAPポリペプチドの生物学的活性を増大させることができる。ヒト血清から単離されたSAPは、α2,6-結合シアル酸残基のみを含む。これに対し、CHO細胞で産生された組換えヒトSAP(rhSAP)は、α2,3-結合シアル酸残基のみを含む。試験管内細胞ベースバイオアッセイでは、α2,3-結合シアル酸SAPポリペプチドは、ヒト血清から単離された野生型SAP(すなわち、α2,6-結合シアル酸)よりも一貫して高い活性を示す。本発明の変異SAPポリペプチドは、それらの増大した生物学的効力のため、治療剤としてより効果的であろう。例えば、より強力なSAP変異体は、ヒト血清から単離された野生型のSAPと比較して低い用量及び/又は少ない投与頻度しか必要とされない場合がある。本発明は、変異ヒトSAPポリペプチド及びその作製方法の両方を提供する。特に、本発明は、糖残基を試験管内及び生体内付加、欠失又は修飾させて所望のグリコシル化パターンを有するヒトSAPポリペプチドを産生させるための方法及び組成物を含む。
変異SAPポリペプチド
一部、本発明は、線維性癌及び癌関連線維症の治療に使用するための変異血清アミロイドP(SAP)ポリペプチドを提供する。特に、本発明のSAP変異体は、それぞれ独立してα2,3-結合シアル酸部分を末端とする1、2、3、4又は5個の分岐を有する1個以上のN結合又はO結合オリゴ糖鎖を有するグリコシル化ヒトSAPポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、N結合又はO結合オリゴ糖鎖の全てのシアル化分岐は、α2,3-結合部分を末端とする。本発明の他のSAP変異体は、ヒト血清由来の野生型SAPポリペプチドよりも少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%又はさらに少なくとも95%少ないα2,6-結合シアル酸部分を有するN結合又はO結合オリゴ糖鎖を含有するグリコシル化ヒトSAPポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、N結合又はO結合オリゴ糖鎖は、α2,6-結合シアル酸部分を実質的に含まない。本発明のグリコ変異SAPポリペプチドは、1個以上の分岐を有する(例えば、2分岐、3分岐、4分岐、5分岐などの構造を有する)N-結合オリゴ糖又はO-結合鎖を含むことができる。所定の実施形態では、本発明のSAPポリペプチドは、N結合又はO結合オリゴ糖鎖を含み、ここで、該オリゴ糖鎖の1、2、3、4又は5個の分岐は、ガラクトース及びN-アセチルグルコサミンを実質的に含まない。本発明の所定のSAPポリペプチドは、ガラクトース及びN-アセチルグルコサミンを実質的に含まないN結合又はO結合オリゴ糖鎖を有する。いくつかの実施形態では、本発明のSAPポリペプチドは、N結合又はO結合オリゴ糖鎖を含み、ここで、該オリゴ糖鎖の1、2、3、4又は5個の分岐は、1個以上のマンノース残基を含む。所定の実施形態では、本発明のSAPポリペプチドは、Man[((α1,6)-(Man(α1,3)]-Man(β1,4)-GlcNAc(β1,4)-GlcNAc(β1,N)-Asnの五糖コアを有するN-結合オリゴ糖を含む。この五糖コアは、1個以上のフコース又はキシロース残基を含むことができる。所定の実施形態では、本発明のSAPポリペプチドは、N結合オリゴ糖鎖を含み、ここで、該オリゴ糖鎖の1、2、3、4又は5個の分岐構造NeuNAc2α3Galβ4GlcNAcβ2Manα6を有する。また、本発明のSAPポリペプチドは、N結合オリゴ糖鎖を含むことができ、ここで、全ての分岐は、構造NeuNAc2α3Galβ4GlcNAcβ2Manα6を有する。
本発明の変異SAPポリペプチドは、1個以上の「修飾」糖残基を含むことができる。修飾糖は、修飾部分又は修飾基の結合を可能にする任意の位置で置換されているが、それでもなお該糖が修飾糖をペプチドに結合させるために使用される酵素のための基質として機能することが可能である。修飾基は、酵素的手段、化学的手段又はそれらの組み合わせにより糖部分に結合でき、それによって修飾糖、例えば、修飾ガラクトース、フコース又はシアル酸を生成することができる。本発明で使用するのに好適な修飾基並びにこれらの修飾基を糖残基に結合させるための方法は、以下の節で説明する。
いくつかの実施形態では、本発明のSAPポリペプチドは、Brutlag外(Comp.App.Biosci.,6:237-245(1990))のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータプログラムを使用して決定されるときに、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。特定の実施形態では、アミノ酸アラインメントの同一性パーセント及び類似性を計算するために使用されるパラメータは、Matrix=PAM 150、k-tuple=2、Mismatch Penalty=1、Joining Penalty=20、Randomization Group Length=0、Cutoff Score=1、Gap Penalty=5及びGap Size Penalty=0.05を含む。
配列番号1と少なくとも95%の同一性を共有するポリペプチドは、これらの発散領域内における保存的置換を有するポリペプチドを含むことができる。用語「SAPポリペプチド」は、前記のいずれかを含む機能的断片及び融合タンパク質を包含する。一般に、SAPポリペプチドは、生物学的に関連する温度、pHレベル及び浸透圧の水溶液に可溶である。互いに非共有結合的に会合して5量体SAP複合体を形成するSAPプロトマーは、同一のアミノ酸配列及び/又は翻訳後修飾を有することができ、或いは、単一の複合体内の個々のSAPプロトマーは、異なる配列及び/又は修飾を有することができる。用語SAPポリペプチドには、任意の天然型SAPポリペプチド並びに任意の変異体(突然変異、断片及び融合体を含む)を含むポリペプチドが含まれる。本発明のSAPポリペプチドは、組換えポリペプチドとすることができる。好ましい実施形態では、本発明のSAPポリペプチドはヒトSAPポリペプチドである。
いくつかの実施形態では、本発明の変異SAPポリペプチド又はその機能的断片を含む医薬組成物が提供される。いくつかの態様では、SAP変異体のアミノ酸配列は、1以上の保存的又は非保存的置換によって配列番号1とは異なることができる。他の態様では、SAP変異体のアミノ酸配列は、1以上の保存的置換によって配列番号1とは異なることができる。本明細書で使用するときに、「保存的置換」は、対応する基準残基と物理的又は機能的に同様の残基である、すなわち、保存的置換及びその基準残基は、類似のサイズ、形状、電荷、共有結合又は水素結合を形成する能力などを含めた化学的特性を有する。好ましい保存的置換は、Dayhoff外,Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345-352(1978&Supp.)における受容点変異のために定義された基準を満たすものである。保存的置換の例は、次の群内の置換である:(a)バリン、グリシン;(b)グリシン、アラニン;(c)バリン、イソロイシン、ロイシン;(d)アスパラギン酸、グルタミン酸;(e)アスパラギン、グルタミン;(f)セリン、トレオニン;(g)リジン、アルギニン、メチオニン;及び(h)フェニルアラニン、チロシン。アミノ酸変化が表現型としてサイレントである可能性が高いものに関するさらなるガイダンスは、Bowie外,Science 247:1306-1310(1990)にある。
変異SAPポリペプチド及び生物学的機能を保持するその断片は、ここに記載の医薬組成物及び方法において有用である。いくつかの実施形態では、変異SAPポリペプチド又はその断片は、FcγRI、FcγRIIA及び/又はFcγRIIIBは特異的に結合する。いくつかの実施形態では、変異SAPポリペプチド又はその断片は、線維細胞、線維細胞前駆体、筋線維芽細胞前駆体及び/又は造血単球前駆体分化の一つ以上を阻害する。SAP変異体は、治療効果又は安定性を高めるなどの目的(例えば、生体外での貯蔵寿命及び生体内でのタンパク質分解に対する耐性)のためにSAPポリペプチドの構造を修飾することによって生成できる。
所定の態様では、本発明の変異SAPポリペプチドは、SAPポリペプチド中に天然に存在する任意のものの他に、翻訳後修飾をさらに含むことができる。このような修飾としては、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化(例えば、O結合オリゴ糖、N結合オリゴ糖など)、リン酸化、脂質化及びアシル化が挙げられるが、これらに限定されない。結果として、修飾SAPポリペプチドは、ポリエチレングリコール、脂質、多糖類又は単糖類、及びリン酸エステルなどの非アミノ酸要素を含むことができる。
改変N-グリコシル化を有する変異hSAPポリペプチドを産生する方法は、米国特許出願第12/794132号に記載されている。この文献を参照により本明細書で援用する。
所定の態様では、ここに記載のSAPポリペプチドに対する1以上の修飾は、SAPポリペプチドの安定性を高めることができる。例えば、このような修飾は、SAPポリペプチドの生体内半減期を増強する又はSAPポリペプチドのタンパク質分解を減少させることができる。
特定の態様では、本発明の変異SAPポリペプチドは、ヒトSAPポリペプチドの少なくとも一部及び1以上の融合ドメイン又は異種部分を有する融合タンパク質を含む。このような融合ドメインの周知例としては、ポリヒスチジン、Glu-Glu、グルタミン酸、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG及び免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)、又はヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。所望の特性を付与するように融合ドメインを選択することができる。例えば、いくつかの融合ドメインは、アフィニティークロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離に特に有用である。アフィニティー精製の目的のために、グルタチオン-、アミラーゼ-、及びニッケル-、又はコバルト-結合樹脂などのアフィニティークロマトグラフィーに関連するマトリックスが使用される。別の例として、SAPポリペプチドの検出を容易にするように融合ドメインを選択することができる。このような検出ドメインの例としては、様々な蛍光タンパク質(例えば、GFP)並びに特異的抗体が利用可能な通常は短鎖ペプチド配列である「エピトープタグ」が挙げられる。特異的モノクローナル抗体が容易に利用可能である周知のエピトープタグとしては、FLAG、インフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)及びc-mycタグが挙げられる。場合によっては、融合ドメインは、関連するプロテアーゼが融合タンパク質を部分的に消化し、それによってそこから組換えタンパク質を遊離させることを可能にするプロテアーゼ切断部位を有する。遊離したタンパク質は、その後のクロマトグラフィー分離によって融合ドメインから単離できる。場合によっては、SAPポリペプチドは、生体内でSAPポリペプチドを安定化させる異種ドメインに融合できる。「安定化」とは、血清半減期を増加させるものを意味し、それが肝臓及び/又は腎臓による破壊の減少、クリアランスの減少又は他の薬物動態学的効果によるものかどうかを問わない。免疫グロブリン及び血清アルブミンのFc部分との融合は安定性の増大を付与することが知られている。
融合タンパク質の異なる要素は、所望の機能性と一致する任意の方法で配置できると解される。例えば、SAPポリペプチドは異種ドメインに対してC末端に配置でき、あるいは異種ドメインはSAPポリペプチドに対してC末端に配置できる。SAPポリペプチド及び異種ドメインは、融合タンパク質に隣接する必要はなく、また、追加のドメイン又はアミノ酸配列(例えば、リンカー配列)がドメインに対してC末端若しくはN末端又はドメイン間に含まれていてよい。
本発明のSAPポリペプチドは、1個以上の「修飾」糖残基を含むことができる。修飾基は、酵素的手段、化学的手段又はそれらの組み合わせにより糖部分に結合でき、それによって修飾糖、例えば、修飾ガラクトース、フコース又はシアル酸を生成することができる。修飾シアル酸を使用する場合には、シアリルトランスフェラーゼ又はトランスシアリダーゼのいずれかをこれらの方法で使用することができる。糖は、修飾部分の結合を可能にするが、それでもなお該糖が修飾糖をペプチドに結合させるために使用される酵素のための基質として機能することを可能にする任意の位置で置換されていてもよい。
一般に、糖部分及び修飾基は、反応性基の使用により一緒になって結合されるが、これは、典型的には、結合プロセスによって新たな有機官能基又は非反応種に変換される。糖反応性官能基は、糖部分上の任意の位置に配置できる。本発明を実施する際に有用な反応性基及び反応の種類は、一般に、バイオコンジュゲート化学の技術分野において知られているものである。反応性糖部分で利用可能な現在のところ好ましい反応の種類は、比較的穏やかな条件下で進行するものである。これらのものとしては、求核置換(例えば、アミン及びアルコールとハロゲン化アシル、活性エステルとの反応)、求電子置換(例えば、エナミン反応)及び炭素-炭素及び炭素-ヘテロ原子多重結合への付加(例えば、マイケル反応、ディールス・アルダー付加)が挙げられるが、これらに限定されない。これら及び他の有用な反応は、例えば、Smith及びMarch,Advanced Organic Chemistry,第5版,John Wiley & Sons著,New York,2001;Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press,San Diego,1996;及びFeeney外,Modification of Proteins;Advances in Chemistry Series,Vol.198,American Chemical Society,Washington,D.C.,1982に記載されている。
糖核又は修飾基から懸垂する有用な反応性官能基としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:(a)カルボキシル基及びそれらの様々な誘導体(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、酸ハロゲン化物、アシルイミダゾール、チオエステル、p-ニトロフェニルエステル、アルキル、アルケニル、アルキニル及び芳香族エステル);(b)例えば、エステル、エーテル、アルデヒドなどに変換できるヒドロキシル基;(c)ハロゲン化基が後で例えばアミン、カルボン酸陰イオン、チオール陰イオン、カルバニオン又はアルコキシドイオンなどの求核基で置換され、それによって、ハロゲン原子の官能基で新たな基の共有結合が生じることのできるハロアルキル基;(d)ディールス・アルダー反応に関与することのできるジエノフィル基、例えばマレイミド基など;(e)後の誘導体化が例えばイミン、ヒドラゾン、セミカルバゾン又はオキシムなどのカルボニル誘導体の形成により又はグリニャール付加又はアルキルリチウム付加などの機構を介して可能であるようなアルデヒド又はケトン基;(f)後にアミンと反応して、例えばスルホンアミドを形成するためのハロゲン化スルホニル基;(e)例えばジスルフィドに変換できる又はアルキル及びアシルハロゲン化物と反応できるチオール基;(h)例えばアシル化、アルキル化又は酸化できるアミン又はスルフヒドリル基;(i)例えば付加環化、アシル化、マイケル付加、メタセシス、ヘック反応などを受けることができるアルケン;(J)例えばアミン及びヒドロキシル化合物と反応することができるエポキシド。
反応性官能基は、これらのものが反応性糖核又は修飾基を組み立てるのに必要な反応に関与しない又は該反応を妨害しないように選択できる。あるいは、反応性官能基は、保護基の存在により反応への関与から保護できる。当業者であれば、反応条件の選択されたセットを妨害しないように特定の官能基を保護する方法を理解する。有用な保護基の例については、例えば、Greene外,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,New York,1991を参照されたい。
いくつかの実施形態では、修飾糖は活性化糖である。本発明において有用な活性化修飾糖は、典型的には、活性化された脱離基を含むように化学的に改変された配糖体である。ここで使用するときに、用語「活性化脱離基」とは、酵素調節求核置換反応で容易に置換される部分をいう。多くの活性化糖が当該分野で知られている。例えば、Vocadlo外,In Carbohydrate Chemistry and Biology,Vol.2,Ernst外著,Wiley-VCH Verlag:Weinheim,Germany,2000;Kodama外,Tetrahedron Lett.34:6419(1993);Lougheed外,J.Biol.Chem.274:37717(1999))を参照されたい。このような脱離基の例としては、フルオロ、クロロ、ブロモ、トシレート、メシレート、トリフレートなどが挙げられる。本発明で使用するのに好ましい活性化脱離基は、グリコシドのアクセプターへの酵素的転移を立体的に有意に妨げないものである。したがって、活性化グリコシド誘導体の好ましい実施形態は、グリコシルフッ化物及びグリコシルメシレートを含み、フッ化グリコシルが特に好ましい。フッ化グリコシルのなかでは、フッ化α-ガラクトシル、フッ化α-マンノシル、フッ化α-グルコシル、フッ化α-フコシル、フッ化α-キシロシル、フッ化α-シアリル、フッ化α-N-アセチル、フッ化α-Nアセチルガラクトサミニル、フッ化β-ガラクトシ、フッ化β-マンノシル、フッ化β-グルコシル、フッ化β-フコシル、フッ化β-キシロシル、フッ化β-シアリル、フッ化β-N-アセチル及びフッ化β-N-アセチルガラクトサミニルが最も好ましい。
特定の態様では、修飾糖残基は、1種以上の水溶性重合体に結合する。多くの水溶性ポリマーが当業者に知られており、本発明を実施するのに有用である。用語「水溶性重合体」は、糖類(例えば、デキストラン、アミロース、ヒアルロン酸、ポリ(シアル酸)、ヘパラン、ヘパリンなど);ポリ(アミノ酸);核酸;合成重合体(例えば、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エーテル)、例えば、ポリ(エチレングリコール));ペプチド、タンパク質などを包含する。本発明は、任意の水溶性重合体により、その重合体が結合体の残りの部分を結合することができる箇所を含まなければならないという唯一の制限で実施できる。
水溶性重合体及び糖の活性化のための方法及び化学並びに糖及び重合体を様々な種に結合させるための方法は文献に記載されている。重合体の活性化のために一般に使用される方法としては、臭化シアン、ペリオデート、グルタルアルデヒド、ビエポキシド、エピクロロヒドリン、ジビニルスルホン、カルボジイミド、ハロゲン化スルホニル、トリクロロトリアジンなどによる官能基の活性化が挙げられる(R.F.Taylor,(1991),Protein Immobilisation,Fundamentals and Applications,Marcel Dekker,N.Y.;S.S.Wong,(1992),Chemistry of Protein Conjugation and Crosslinking,CRC Press,Boca Raton;G.T.Hermanson外,(1993),Immobilized Affinity Ligand Techniques,Academic Press,N.Y.;Dunn,R.L.外著.Polymeric Drugs and Drug Delivery Systems,ACS Symposium Series Vol.469,American Chemical Society,Washington,D.C.1991)。
特定の態様では、修飾糖残基は、1種以上の水不溶性重合体に結合する。いくつかの実施形態では、水不溶性重合体への結合を使用して制御された方法で治療用ペプチドを送達することができる。重合体薬物送達系は、当該分野において知られている。例えば、Dunn 外著.Polymeric drugs and Drug Delivery Systems,ACS Symposium Series Vol.469,American Chemical Society,Washington,D.C.1991を参照されたい。当業者であれば、実質的に任意の既知の薬物送達系が本発明の結合体に適用できることが分かるであろう。
代表的な水不溶性重合体としては、ポリホスファジン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアクリルアミド、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリハロゲン化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、プルロニック及びポリビニルフェノール並びにこれらの共重合体が挙げられるが、これらに限定されない。
これら及びここに記載された他の重合体は、Sigma Chemical社(米国ミズーリ州セントルイス)、Polysciences社(米国ペンシルバニア州ウォレントン)、Aldrich 社(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)、Fluka(米国ニューヨーク州ロンコンコマ)及びBioRad社(米国カリフォルニア州リッチモンド)などの商業的供給源から容易に得ることができ、或いは他の標準的な技術を使用してこれらの供給業者から入手した単量体から合成できる。本発明の結合体に有用な代表的な生分解性重合体としては、ポリポリラクチド、ポリグリコリド及びそれらの共重合体(エチレンテレフタレート)、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、それらのブレンド及び共重合体が挙げられるが、これらに限定されない。特に有用なのは、ゲルを形成する組成物、例えばコラーゲン及びプルロニックを含むものである。
好ましい実施形態では、1個以上の修飾糖残基が1個以上のPEG分子に結合する。
特定の態様では、修飾糖は生体分子に結合している。本発明の生体分子としては、機能性タンパク質、酵素、抗原、抗体、ペプチド、核酸(例えば、単一ヌクレオチド又はヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド及び単鎖及びそれよりも多い鎖の核酸)、レクチン、受容体又はそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
いくつかの好ましい生体分子は、本質的に非蛍光性であり、又はそれらがアッセイにおける蛍光マーカーとして使用するには不適切であるような最小量の蛍光を放出する。他の生体分子は蛍光性であることができる。
いくつかの実施形態では、生体分子は標的化部分である。ここで使用するときに、「標的化部分」及び「標的化剤」とは、身体の特定の組織又は領域に選択的に局在することになる種をいう。いくつかの実施形態では、生体分子は、本発明のSAPポリペプチドを特定の細胞内区画に誘導するように選択され、それによって組織に送達される非誘導体化ペプチドの量と比較して該細胞内区画へのペプチドの送達を向上させる。局在化は、分子決定因子の特異的認識、標的化剤又は結合体の分子サイズ、イオン相互作用、疎水性相互作用などによって仲介される。所定の因子を特定の組織又は領域に標的化する他の機構は、当業者に周知である。
いくつかの実施形態では、修飾糖は治療部分を含む。当業者であれば、治療部分と生体分子のカテゴリー間に重複があること、つまり、多くの生体分子が治療特性又は能力を有するが分かるであろう。
有用な治療部分の部類としては、例えば、非ステロイド性抗炎症薬;ステロイド性抗炎症薬;アジュバント;抗ヒスタミン薬;鎮咳薬;かゆみ止め薬;抗コリン薬;抗嘔吐と制嘔吐剤薬;拒食症薬;中枢神経刺激薬;抗不整脈薬;βアドレナリン遮断薬;強心薬;降圧薬;利尿薬;血管拡張薬;血管収縮薬;抗潰瘍薬;麻酔薬;抗うつ薬;精神安定剤及び鎮静薬;抗精神病薬;及び抗菌薬が挙げられる。
本発明を実施するのに有用な他の薬剤部分としては、抗腫瘍薬、細胞破壊剤、抗エストロゲン及び代謝拮抗物質が挙げられる。また、この部類に含まれるのは、診断(例えば、イメージング)及び治療用の放射性同位体系の薬剤並びに共役毒素である。
また、治療部分は、ホルモン、筋弛緩剤、抗痙攣、骨活性化剤、内分泌調節剤、糖尿病の調節剤、アンドロゲン、抗利尿剤又はカルシトニン薬であることができる。
他の有用な修飾基としては、免疫調節薬、免疫抑制剤などが挙げられる。スリンダク、エトドラク、ケトプロフェン及びケトロラクなどの抗炎症活性を有する基も使用される。本発明と組み合わせて使用する他の薬剤は、当業者には明らかであろう。
本発明の方法によって産生される改変N-グリコシル化SAPポリペプチドは、均質(すなわち、SAPポリペプチドのサンプルは、特定のN-グリカン構造が均一である)又は実質的に均質であることができる。「実質的に均質」とは、SAPポリペプチドの少なくとも約25%(例えば、少なくとも約27%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%又は少なくとも約99%)が、同じ特定のN-グリカン構造を含有することを意味する。
いくつかの実施形態では、本発明の変異SAPポリペプチドは、試験管内で単球から線維細胞への分化を阻害するために、ヒト血清から単離された野生型SAPの対応するサンプルの1/2未満、1/3未満、1/4未満、1/10未満又は1/100未満のIC50を有する。いくつかの実施形態では、本発明の変異SAPポリペプチドは、試験管内で単球から線維細胞への分化を阻害するために、ヒト血清から単離された野生型のSAPの対応するサンプルの半分未満のIC50を有する。線維細胞分化のためにSAPに対する末梢血単核細胞(PBMC)又は単球細胞の応答性を決定するためによく特徴づけられた多くの方法がある。これらの方法を使用してヒト血清由来のSAP、他のSAP変異ポリペプチド又は他の線維細胞抑制剤又は活性化剤のサンプルと比較した本発明のSAP変異ポリペプチドの任意の相対的効力を決定することができる。これらの方法での使用に適したPBMC又は単球は、様々な組織培養株から得ることができる。あるいは、線維細胞分化アッセイに好適な細胞は、PBMC又は単球細胞を含有する任意の生物学的サンプルから得ることができる。生物学的サンプルは、血清、血漿、健常組織又は線維性組織から得ることができる。一般に、線維細胞分化アッセイを、SAPポリペプチドの様々な濃度を有する培地中でPBMC単球又は単球細胞をインキュベートすることにより実施して線維細胞分化の程度を決定する。SAPの濃度は、0.0001μg/mL~1mg/mLの範囲であることができ、いくつかの実施形態では、0.001μg/mL、1.0μg/mL、5μg/mL、10μg/mL、15μg/mL、20μg/mL、25μg/mL、30μg/mL、35μg/mL、40μg/mL、45μg/mL、50μg/mL、100μg/mL、200μg/mL、300μg/mL、又は500μg/mLである。いくつかのアッセイでは、培地は、1~100ng/mLのhMCSFを補充することができる;hMCSFの好ましい濃度は25ng/mLである。PBMC及び単球が線維細胞に分化したことの指標は、当業者によって決定できる。一般に、線維細胞は、細長い紡錘形及び楕円形の核の存在を有する接着細胞であると形態学的には定義されている。いくつかのアッセイでは、細胞を固定され、Hema3で染色してから、例えば倒立顕微鏡を使用した直接計数によって線維細胞を数える。線維細胞分化の量は、SAPに対する細胞の応答性の指標として当業者によって解釈される。本発明の実施例で示されるように、線維細胞分化のより大きな抑制は、より大きなSAP応答度を示す。線維細胞分化を測定する別の方法は、線維細胞特異的細胞表面マーカー又は分泌因子(例えばサイトカイン(IL-1ra、ENA-78/CXCL-5、PAI-1など)、フィブロネクチン、コラーゲン1)の発現を決定することを含む。細胞表面マーカー又は分泌因子を検出及び/又は定量する方法は、当該技術分野において周知であり、1以上の線維細胞特異的マーカーに対する免疫反応抗体を用いた様々なELISA及びFACSベースの技術が挙げられるが、これに限定されない。本明細書の実施例に記載されるように、マクロファージ由来ケモカイン(MDC)の発現を測定することが線維細胞分化を決定する効果的な方法である。
SAPポリペプチドのN-グリコシル化(例えば、改変N-グリコシル化)を検出し及び/又は特徴付けるための方法としては、DNAシーケンサー支援(DSA)、フルオロフォア支援炭水化物電気泳動法(FACE)又は表面増強レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析法(SELDI-TOF MS)が挙げられる。例えば、分析はDSA-FACEを利用することができ、その際、例えば、糖タンパク質を変性させ、その後例えば膜に固定化させる。その後、糖タンパク質をジチオスレイトール(DTT)又はβ-メルカプトエタノールなどの好適な還元剤で還元することができる。タンパク質のスルフヒドリル基は、ヨード酢酸などの酸を使用してカルボキシル化できる。次に、N-グリカンを、N-グリコシダーゼFなどの酵素を使用してタンパク質から放出させることができる。任意に、N-グリカンを再構成し、そして還元的アミノ化によって誘導体化することができる。その後、誘導体化されたN-グリカンを濃縮することができる。N-グリカン分析に好適な計器としては、例えば、ABI PRISM(登録商標)377 DNAシーケンサー(Applied Biosystems社)が挙げられる。データ分析は、例えば、GeneScan(登録商標)3.1ソフトウェア(Applied Biosystems)を使用して実施できる。任意に、単離されたマンノプロテインを1種以上の酵素でさらに処理してそれらのN-グリカンの状態を確認することができる。酵素の例としては、例えば、αマンノシダーゼ又はα-1,2-マンノシダーゼが挙げられる。N-グリカン分析のさらなる方法としては、例えば、質量分析(例えば、MALDI-TOF-MS)、順相、逆相及びイオン交換クロマトグラフィーでの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(例えば、グリカン標識されない場合にはパルスアンペロメトリック検出で、またグリカンが適切に標識される場合にはUV吸収又は蛍光で)が挙げられる。また、Callewaert外(2001)Glycobiology 11(4):275-281及びFreire外(2006)Bioconjug.Chem.17(2):559-564も参照されたい。これらのそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書で援用される。
SAPアゴニストとしての抗FcγR抗体
本発明の一態様では、SAPシグナル伝達を模倣する1種以上の化合物が提供される。いくつかの実施形態では、SAPシグナル伝達アゴニストは、抗FcγR抗体であり、ここで、該抗体は、それぞれFcγRI、FcγRIIA又はFcγRIIIのいずれかに結合することができる抗FcγRI抗体、抗FcγRIIA抗体及び抗FcγRIII抗体のクラスから選択される。抗FcγR抗体は、IgG抗体のFc部分(FcγR)に対する受容体に結合するIgG抗体である。抗FcγR抗体は、それらの可変領域を介して結合するが、それらの定常(Fc)領域を介しては結合しない。抗FcγR抗体は、抗体の任意のアイソタイプを含むことができる。抗FcγR抗体は、追加の抗体又は他の手段により又はそれなしで架橋又は凝集できる。このプロセスは、FcγR活性化と一致する細胞内シグナル伝達事象を開始させる。いくつかの実施形態では、SAPシグナル伝達アゴニストは、架橋FcγRとすることができる。
凝集Fcドメイン及びFc含有抗体
いくつかの実施形態では、SAPシグナル伝達アゴニストは、架橋又は凝集IgGである。架橋又は凝集IgGは、そのFc領域を介して標的FcγRに結合することができる任意のIgGを含むことができるが、ただし、このようなIgG抗体の少なくとも2つは、互いに物理的に結合していることを条件とする。
架橋又は凝集IgGは、全抗体又はその一部、好ましくは線維性疾患を抑制する機能の部分を含むことができる。例えば、これらのものは、FcγRを架橋することができる任意の抗体部分を含むことができる。これは、凝集若しくは架橋抗体又はそれらの断片、例えば凝集又は架橋全抗体、F(ab’)2断片、さらに可能なFc断片を含むことができる。
抗体の凝集又は架橋は、熱的又は化学的凝集などの任意の既知の方法によって達成できる。任意のレベルの凝集又は架橋で十分な場合があるが、凝集の増加により、線維性疾患の抑制が増大することがある。抗体は、ポリクローナル又はモノクローナル、例えばハイブリドーマ細胞から産生された抗体とすることができる。組成物及び方法は、抗体の混合物、例えば複数のモノクローナル抗体の混合物を使用することができ、これらは同様又は異なる抗体に架橋又は凝集できる。
SAPペプチドミメティック
所定の実施形態では、SAPアゴニストはペプチドミメティックを含む。ここで使用するときに、用語「ペプチド」には、非天然型アミノ酸、ペプトイドなどを含む化学的に修飾されたペプチド及びペプチド様分子が含まれる。ペプチドミメティックを同定するための方法は、当該技術分野において周知であり、潜在的なペプチドミメティックのライブラリーを収容するデータベースのスクリーニングを含む。例えば、ケンブリッジ構造データベースは、既知の結晶構造を有する300,000種の化合物を超えるコレクションを収容する(Allen外,Acta Crystallogr.Section B,35:2331(1979))。標的分子の結晶構造が利用可能でない場合には、構造は、例えばプログラムCONCORDwo使用して生成することができる(Rusinko外,J.Chem.Inf.Comput.Sci.29:251(1989))。別のデータベースであるthe Available Chemicals Directory(Molecular Design Limited,Informations Systems;米国カリフォルニア州サンリアンドロ)は、市販の約100,000の化合物を収容しており、また、これらを検索してSAPポリペプチドの潜在的なペプチドミメティックを同定することもできる。
SAP活性の増加
いくつかの実施形態では、SAPアゴニストは、SAP活性を増加させる。SAP活性は、例えばSAP転写を増加させる、翻訳を増加させる、SAP分泌を増加させる、SAPのRNAの安定性を増加させる、SAPタンパク質安定性を増加させる又はSAPタンパク質分解を減少させることによってSAPの濃度を増加させることで増加できる。また、SAP活性は、SAPの「遊離濃度」を特に増加させることで、又はむしろ、例えばSAPの内因性結合相手を減少させることによって非結合形態を増加させることで増加できる。
FcγR架橋剤
いくつかの実施形態では、フィブロネクチンベースの足場ドメインタンパク質をSAPアゴニストとして使用してFcγRを架橋することができる。フィブロネクチンベースの足場ドメインタンパク質は、フィブロネクチンIII型ドメイン(Fn3)、特にフィブロネクチンIII型第10ドメイン(10Fn3)を含むことができる。
FcγRを架橋するために、FcγR結合Fn3ドメインの多量体を米国特許第7115396号に記載されるように生成することができる。
フィブロネクチンIII型(Fn3)ドメインは、N末端からC末端の順に、β又はβ様ストランドA;ループAB;β又はβ様ストランドB;ループBC;β又はβ様ストランドC;ループCD;β又はβ様ストランドD;ループDE;β又はβ様ストランドE;ループEF;β又はβ様ストランドF;ループFG;及びベータ又はβ様ストランドGを含む。BC、DE、及びFGループは、免疫グロブリンのFn3ドメインからの相補性決定領域(CDR)に構造的及び機能的に類似し、BC、DE及びFGループの一つ以上の配列を変更することによってほぼ全ての化合物を結合するように設計できる。特定の結合剤を生成するための方法は、高親和性TNFα結合剤を開示する米国特許第7115396号、及び高親和性VEGFR2結合剤を開示する米国特許出願公開第2007/0148126号に記載されている。フィブロネクチンベースの足場タンパク質の例は、アドネクチン(商標)(Adnexus、Bristol-Myers Squibb R&D Company)である。
いくつかの実施形態では、SAPアゴニストはアプタマーである。FcγRを架橋するために、FcγR結合アプタマーの多量体を生成することができる。
アプタマーは、タンパク質又は代謝物などの特定の標的分子に結合する、合成又は天然であることができるオリゴヌクレオチドである。一般に、結合は、従来のワトソン・クリック塩基対形成以外の相互作用による。アプタマーは、現在、前臨床及び臨床開発中の治療薬の有望な部類に相当する。生物製剤、例えば、ペプチド又はモノクローナル抗体と同様に、アプタマーは、分子標的に特異的に結合し、そして結合を介して、標的機能を阻害することができる。典型的なアプタマーは、10~15kDaのサイズ(すなわち、30~45ヌクレオチド)であり、ナノモル以下の親和性でその標的に結合し、そして密接に関連した標的を区別する(例えば、典型的には、同じ遺伝子ファミリーからの他のタンパク質を結合させない)(Griffin外(1993),Gene 137(1):25-31;Jenison外(1998),Antisense Nucleic Acid Drug Dev.8(4):265-79;Bell外(1999),In vitro Cell.Dev.Biol.Anim 35(9):533-42;Watson外(2000),Antisense Nucleic Acid Drug Dev.10(2):63-75;Daniels外(2002),Anal.Biochem.305(2):214-26;Chen外(2003),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.100(16):9226-31;Khati外(2003),J.Virol.77(23):12692-8;Vaish外(2003),Biochemistry 42(29):8842-51)。
アプタマーは、治療薬としての使用のための多数の魅力的な特性を有する。高い標的親和性及び特異性に加えて、アプタマーは、標準的なアッセイにおいてほとんど又は全く毒性や免疫原性を示さなかった(Wlotzka外(2002),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99(13):8898-902)。実際に、いくつかの治療アプタマーは、薬物動態解析、細胞及び動物疾患モデルにおける生物学的有効性のキャラクタリゼーション並びに予備的な安全性薬理評価を含めた予備臨床試験の様々な段階を経て最適化及び進歩してきた(Reyderman及びtavchansky(1998),Pharmaceutical Research 15(6):904-10;Tucker外,(1999),J.Chromatography B.732:203-212;Watson外(2000),Antisense Nucleic Acid Drug Dev.10(2):63-75)。
目的の標的に対するアプタマーを生成するための好適な方法は、「Systematic Evolution of Ligands by EXponential Enrichment」(「SELEX(商標)」)と題したプロセスである。SELEX(商標)プロセスは、標的分子に高度に特異的に結合する核酸分子の試験管内進化のための方法であり、例えば、1990年6月11日に出願された米国特許出願公開第07/536428号(現在は放棄されている)、「Nucleic Acid Ligands」という名称の米国特許第5475096号及び「Nucleic Acid Ligands」という名称の米国特許第5270163号(WO91/19813号も参照のこと)の記載されている。各SELEX(商標)単離核酸リガンドは、所与の標的化合物又は分子の特異的リガンドである。SELEX(商標)プロセスは、核酸が様々な二次元及び三次元構造を形成することができ、かつ、単量体であるか重合体であるかを問わず実質的にあらゆる化合物とのリガンドとして作用する(特異的結合対を形成する)のに十分な、それらの単量体内で利用可能な化学的多用途性を有するという知見に基づくものである。任意のサイズ又は組成の分子が標的として作用することができる。高親和性結合の用途に適用されるSELEX(商標)法は、結合親和性及び選択性の実質的にあらゆる所望の基準を達成するために、同一の一般的選択スキームを使用して、候補オリゴヌクレオチドの混合物から選択し、結合、分割及び増幅を段階的に反復することを含む。好ましくはランダム化配列のセグメントを含む核酸の混合物から出発して、SELEX(商標)方法は、次の工程を含む:結合のために好ましい条件下で該混合物と標的とを接触させ、標的分子に特異的に結合した核酸から未結合の核酸を分離し、核酸・標的複合体を解離させ、核酸・標的複合体から解離された核酸を増幅して核酸のリガンド富化混合物を得、その後、標的分子に対する高特異的高親和性核酸リガンドを得ることが必要な数のサイクルを通して結合、分離、解離及び増幅の工程を反復すること。SELEX(商標)は、例えば、米国特許第5475096号及び同5270163号、並びにPCT/ US91/04078に記載されるように、任意の所望の標的に対する核酸リガンドを作製するための方法である。これらの文献にそれぞれは、参照により本明細書で援用される。
いくつかの実施形態では、SAPアゴニストはNanobodies(登録商標)である。Nanobodies(登録商標)は、天然型重鎖抗体の独特の構造的及び機能的特性を有する抗体由来治療タンパク質である。Nanobody(登録商標)技術は、もともと、ラクダ科(ラクダ及びラマ)が軽鎖を欠失する完全機能抗体を有するという発見後に開発された。これらの重鎖抗体は、単一の可変ドメイン(VHH)及び2個の定常ドメイン(CH2及びCH3)を含む。重要なことに、クローニングされかつ単離されたVHHドメインは、元の重鎖抗体の完全な抗原結合能を保有する安定なポリペプチドである。独特の構造的及び機能的特性を有するこれらのVHHドメインは、治療用抗体の新世代の基礎となる。
癌関連線維症
多数の癌が線維症の存在によって特徴付けられる。一部、本発明のSAPポリペプチド又はSAPアゴニストを単独で又は抗癌治療剤と組み合わせて使用して、このような線維症によって特徴付けられる癌を治療する(例えば、線維性癌、例えば骨髄線維症、胃癌、膵臓癌、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞白血病、多発性骨髄腫、髄芽細胞腫、骨髄性白血病、急性リンパ性白血病並びに子宮筋腫、線維腫、線維腺腫及び線維肉腫を含めて乳房、子宮、又は結腸の癌)。他の実施形態では、SAPポリペプチド(グリコシル化SAPポリペプチドなどの組換えヒトSAPポリペプチドなど)などの本発明のSAPアゴニストは、単剤療法として使用される。
所定の実施形態では、本発明のSAPポリペプチド又はSAPアゴニスト(例えば、グリコシル化SAPポリペプチドを含むSAPアゴニスト;グリコシル化SAPポリペプチドを含むSAP;組換えヒトSAPなど)を単独で又は抗癌治療剤と組み合わせて使用して、線維性癌(例えば、線維性癌、例えば骨髄線維症、胃癌、膵臓癌、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞白血病、多発性骨髄腫、髄芽細胞腫、骨髄性白血病、急性リンパ性白血病並びに子宮筋腫、線維腫、線維腺腫及び線維肉腫を含めて乳房、子宮又は結腸の癌)を、線維症を低減させることによって治療して、器官の機能を回復させる。ここで、SAPポリペプチド又は本発明のSAPアゴニストを単剤として又は併用療法の一部として投与すると、臓器線維症(例えば、骨髄線維症)が低減し、臓器機能の回復及び/又は及び改善と線維性癌の症状の改善(例えば、完全な血球数(CBC)の改善)につながることが示される。臓器機能の改善は、例えば、治療の過程にわたって、例えば治療の12、20、24週間又は24週間を超えて被験体における血小板レベル及び/又はヘモグロビンの改善を評価することによって評価できる。いくつかの実施形態では、臓器は骨髄であり、治療は、臓器線維症を減少させ及び/又は臓器機能を改善する。いくつかの実施形態では、線維性器官は、肺、胃、膵臓、結腸、肝臓、腎臓、膀胱、乳房、子宮、子宮頸部、卵巣又は脳である。いくつかの実施形態では、線維性癌は骨髄線維症である。
ここで説明するように、所定の実施形態では、治療レジメンへのSAPの添加は、治療(SAPの不在下での)に対して非応答性、耐性若しくはそうでなければ不応性である又は治療の効果が弱い若しくは弱くなった被験体において使用される。所定の実施形態では、SAPの添加を使用して他の治療剤による治療が適切な患者集団を拡大させる(例えば、SAPは、別の薬物ついての治療範囲又は患者集団を拡大する)。一例として、所定の癌は、化学療法に応答しないことが知られている。理論に束縛されるものではないが、線維症は、腫瘍に対する薬物の効果的なアクセスを妨げる場合がある。
特定の実施形態では、ここで説明するように、治療レジメンへのSAPの添加を使用して、追加の抗癌治療単独での治療を受けた被験体において観察される1以上の副作用を減少させることによって治療の安全性を改善する。
所定の実施形態では、SAPアゴニスト又はSAPポリペプチドは、単剤療法として使用され及び/又は未処置患者を治療するために使用される。所定の実施形態では、SAPアゴニスト又はSAPポリペプチドは、疾患が所定の線維化スコア、例えば、骨髄線維症の等級付けに関する欧州コンセンサスにより評価されるときにグレード2又はグレード3の骨髄線維症を有する患者に使用される。
特定の態様では、本発明は、骨髄線維症の治療のための、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストの単剤として又は別の薬剤との組み合わせでの使用を包含する。骨髄線維症(「MF」)は、デノボ(一次)を示す又は真性多血症(「PV」)若しくは本態性血小板血症(「ET」)に先行することができるBCR-ABL1陰性骨髄増殖性腫瘍(「MPN」)である。原発性骨髄線維症(PMF)(文献では特発性骨髄様化生及び原発性骨髄線維症とも呼ばれる)は、単球系統の多能造血前駆細胞のクローン性疾患である(Abdel-Wahab,O.外(2009)Annu.Rev.Med.60:233-45;Varicchio,L.外(2009)Expert Rev.Hematol.2(3):315-334;Agrawal,M.外(2011)Cancer 117(4):662-76で検討されている)。この疾患は、貧血、脾腫及び髄外造血によって特徴付けられ、かつ、進行性骨髄線維症及び非定型巨核球過形成によって示される。CD34+幹細胞/前駆細胞は、末梢血中に異常に輸送され、多臓器骨髄外赤血球生成が、特に脾臓及び肝臓における疾患の特徴である。骨髄構造は、進行性線維症、血管新生及び骨沈着の増加のため変化する。生存期間中央値は、現在特定されている予後因子に基づいて2年未満~15年以上の範囲である(Cervantes外,Blood 113:2895-2901,2009;Hussein K外Blood 115:496-499,2010;Patnaik M M外,Eur J Haematol 84:105-108,2010)。PMF患者のかなりの割合は、異常巨核球増殖及び分化をもたらす造血を調節する遺伝子において機能獲得型突然変異を有する(例えばヤヌスキナーゼ2(JAK2)(約50%)(例えば、JAK2 V617F)又はトロンボポエチン受容体(MPL)(5~10%))。研究から、クローン性造血障害は、線維芽細胞の二次細胞増殖及び過剰コラーゲン沈着につながることが示唆された。骨髄線維症の低減は、貧血、血小板減少、白血球減少症及び脾腫を含めた臨床徴候及び症状を改善することができる。
文献においては、JAK2阻害剤が骨髄増殖性疾患の治療及び/又は予防に有用であることが知られている。例えば、Tefferi,A.及びGilliland,D.G.Mayo Clin.Proc.80(7):947-958(2005);Fernandez-Luna,J.L.外Haematologica 83(2):97-98(1998);Harrison,C.N.Br.J.Haematol.130(2):153-165(2005);Leukemia(2005)19,1843-1844;並びにTefferi,A.及びBarbui,T.Mayo Clin.Proc.80(9):1220-1232(2005)を参照されたい。しかし、MFの管理選択肢は、今のところ、全ての患者のニーズを満たすのに不十分である。したがって、MF患者のための付加的な治療選択肢を提供する必要がある。
ここで提供される方法のいくつかの実施形態では、被験体は、原発性骨髄線維症を有する。ここで提供される組成物及び方法のいくつかの実施形態では、被験体は、真性多血症後骨髄線維症(PV後MF)を有する。いくつかの実施形態では、被験体は、本態性血小板血症後骨髄線維症(ET後MF)を有する。いくつかの実施形態では、被験体は高リスク骨髄線維症を有する。いくつかの実施形態では、被験体は、中間リスク骨髄線維症を有する(中間リスクレベル1又は中間リスクレベル2など)。いくつかの実施形態では、被験体は、低リスク骨髄線維症を有する。いくつかの実施形態では、被験体は、線維症なしのPV又はETを有する。いくつかの実施形態では、被験体は、ヒトヤヌスキナーゼ2(JAK2)のフェニルアラニン変異に対してバリン617について陽性であり又はヒトJAK2のフェニルアラニンに対するバリン617に相当する変異に対して陽性である。いくつかの実施形態では、被験体は、ヒトヤヌスキナーゼ2(JAK2)のフェニルアラニン変異に対してバリン617に陰性である又はヒトJAK2のフェニルアラニン変異に対してバリン617に相当する変異について陰性である。いくつかの実施形態では、本発明のSAPアゴニスト又はSAPポリペプチドによる治療の開始前に、被験体は骨髄線維症を有し、該線維症は、骨髄線維症の等級付けに関する欧州コンセンサスの等級付けシステムにしたがって測定可能である。いくつかの実施形態では、本発明のSAPアゴニスト又はSAPポリペプチドによる治療の開始前に、被験体は、グレード2以上の骨髄線維症を有する。他の実施形態では、本発明のSAPアゴニスト又はSAPポリペプチドによる治療の開始前に、被験体は、グレード3の骨髄線維症を有する。
所定の態様では、線維性癌は、膵臓癌及び/又は神経内分泌腫瘍などの線維形成性腫瘍である。膵臓癌は、突起線維形成反応、すなわち化学療法剤に対する周知の耐性に寄与する膵臓癌の主要な組織病理学的な特徴によって特徴付けられる。この膵臓癌の特徴は、現在、膵臓癌の別の治療標的であると考えられている。本発明のSAPポリペプチド及びSAPアゴニストは、線維形成性間質及び/又は線維症を枯渇又は減少させ、腫瘍を化学療法によりアクセスしやすくするのに有効であると考えられる。
特定の態様では、癌関連線維症は骨髄線維症である。特定の実施形態では、骨髄の線維症状態は、原発性骨髄線維症などの骨髄の慢性骨髄増殖性腫瘍の固有の特徴である。他の実施形態では、骨髄線維症は、悪性状態又はクローン性増殖性疾患や血液学的障害、例えば有毛細胞白血病、リンパ腫(例えば、ホジキン又は非ホジキンリンパ腫)、多発性骨髄腫又は慢性骨髄性白血病(CML)など(これらに限定されない)によって引き起こされる状態と関連がある。さらに他の実施形態では、骨髄線維症は、骨髄への固形腫瘍転移と関連がある。
いくつかの実施形態では、線維症は、次のものを含めた癌に関連があるが、これらに限定されない:胆管癌(例えば胆管癌)、膀胱癌、乳癌(例えば、乳房の腺癌、乳房の炎症性腫、乳房の乳頭癌、乳癌の髄様癌)、脳腫瘍(例えば、髄膜腫、神経膠腫、例えば、星状細胞腫、乏突起膠腫、髄芽細胞腫)、子宮頸癌(例えば、子宮頸部の扁平上皮癌、子宮頸部腺癌)、結腸直腸癌(例えば、結腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌)、食道癌、胃癌、消化管間質腫瘍(GIST)、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌、口腔癌(例えば、口腔扁平上皮癌(OSCC))、ケロイド、腎臓癌(例えば、腎芽細胞腫別名ウィルムス腫瘍、腎細胞癌)、肝臓癌(例えば、肝細胞癌(HCC)、悪性肝癌)、肺癌(例えば、気管支癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺の腺癌)、白血病(例えば、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL))、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば限定されないが、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL))、髄芽腫、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)(例えば、真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、原発性骨髄線維症(AMM)別名原発性骨髄線維症(PMF)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増多症候群(HES))、神経芽細胞腫、神経線維腫(例えば、神経線維腫症(NF))1又は2型、神経鞘腫症)、神経内分泌癌(例えば、胃腸神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍)、骨肉腫、卵巣癌(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌)、膵臓癌(例えば、膵臓腺癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN))、前立腺癌(例えば、前立腺癌)、皮膚癌(例えば、扁平上皮癌(SCC)、角化棘細胞腫(KA)、メラノーマ、基底細胞癌(BCC)、皮膚線維腫)、軟部組織腫瘍(例えば、血管脂肪腫、血管平滑筋腫、悪性線維組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、骨肉腫)、及び線維形成に関連する任意の他の腫瘍。このような実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、線維症を低減させるため、薬物送達及び/又は生存を改善する。
治療方法
一態様では、本発明は、患者における線維性癌又は癌関連線維症を、本発明のSAPポリペプチド又はSAPアゴニストの治療有効量を単剤として又は抗癌治療剤と組み合わせてそれを必要とする患者に投与することによって治療するための方法を提供する。用量及び治療の頻度は、当業者によって決定でき、かつ、患者の症状、年齢及び体重並びに治療又は予防される疾患の性質及び重症度に応じて変動するであろう。本発明は、骨髄線維症を治療するのに有効な投与計画を特定した。
SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを単独で又は別の抗癌治療剤と組み合わせて毎週投与計画又はそれよりも少ない頻度の投与計画(例えば、毎週未満、例えば4週間ごと)のいずれかに応じて投与すると、線維性癌症状が有意に改善した。さらに、本発明の方法は、SAP治療によって誘発される臨床的に有意な骨髄抑制、例えば治療関連骨髄抑制の証拠なしに、本発明のSAPポリペプチド又はSAPアゴニストが単独及び別の抗癌治療剤の組み合わせの両方で許容されたという知見に基づくものである。
特定の態様では、本発明は、本発明のSAPポリペプチド又はSAPアゴニストをそれを必要とする患者に単剤として又は抗癌治療と組み合わせて罹患器官の機能を改善するのに有効な量で投与することにより、患者における線維性癌又は癌関連線維症を治療するための方法を提供する。機能の改善は、例えば、臓器線維症の減少、血小板レベルの改善及び/又はヘモグロビンの増加を評価することによって評価できる。いくつかの実施形態では、線維性器官は骨髄である。いくつかの実施形態では、線維性癌は骨髄線維症である。いくつかの実施形態では、線維性器官は、肺、胃、膵臓、結腸、肝臓、腎臓、膀胱、乳房、子宮、子宮頸部、卵巣又は脳である。
いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、患者に1日1回又は2回、週に1回又は2回、月に1回又は2回或いは症状の発症時直前又は発症時に投与される。いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを、依然として線維症を発症していないPV又はETを有する患者に投与して線維症の発症を予防する。
用量は、当業者に知られている技術又はここで教示するとおりに決定できる。SAPポリペプチド又はSAPアゴニストの毒性及び治療効力は、実験動物での標準的な薬学的手順によって決定でき、例えばLD50及びED50を決定することによって決定できる。ED50(有効量50)とは、動物集団の50%に特定の効果を生じさせるのに必要な薬物の量のことである。LD50(致死量50)とは、サンプル集団の50%を死滅させる薬物の用量のことである。
所定の態様では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、被験体における線維性癌又は癌関連線維症を治療するために単剤として投与される。所定の態様では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニスト(例えば、本発明の変異SAPポリペプチド)と抗癌治療剤(例えば、化学療法剤又はチロシンキナーゼ阻害剤)との組み合わせを投与すると、被験体において線維性癌、例えば骨髄線維症又は膵臓癌を治療するための相乗効果が得られる。このようなアプローチ、すなわち2種類の薬剤の組み合せ又は共投与は、現在利用可能な治療法に応答しない又は耐性のある、線維性癌に罹患した個体を治療するのに有用であり得る。また、ここで提供される併用療法は、このような療法に応答しない個体のために現在利用可能な癌治療の有効性を改善する及び/又はその副作用を低減させるためにも有用である。
試験した併用療法は、SAPによる治療開始前に、Jakキナーゼ阻害剤単独での治療を受けていた患者において観察される負の副作用(例えば、貧血及び血小板減少症)の改善をもたらした。
特定の実施形態では、本発明は、骨髄線維症を治療する方法であって、それを必要とする被験体にSAPポリペプチドなどのSAPアゴニストの所定量を投与レジメン(例えば、用量及び投与計画)及び/又は骨髄線維症の1以上の症状を改善するのに有効な投与計画に従って投与することを含み、ここで、該それを必要とする被験体は、JAKキナーゼ阻害剤による治療を予め受けており、かつ、該JAKキナーゼ阻害剤による治療に応答しなくなっている。これは、同様に、他の線維性癌を有する及び/又は他の抗癌治療剤での治療を受けている患者に対してもより広く適用可能である。
特定の実施形態では、本発明は、骨髄線維症を治療する方法であって、それを必要とする被験体にSAPポリペプチドなどのSAPアゴニストの所定量を投与レジメン(例えば、用量及び投与計画)及び/又は骨髄線維症の1以上の症状を改善するのに有効な投与計画に従って投与することを含み、ここで、該それを必要とする被験体は、現在JAKキナーゼ阻害剤による治療を受けている。したがって、本発明は、一部、SAPポリペプチドなどのSAPアゴニストをJAKキナーゼ阻害剤と併用して、JAKキナーゼ阻害剤単独により骨髄線維症患者を治療するときに観察されるよりも骨髄線維症の1以上の症状を改善する点で大きな治療効果を達成することができる方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、治療関連骨髄抑制を誘導しない(例えば、SAPアゴニストは、臨床的に有意な骨髄抑制を誘導しない)及び/又はベースラインで存在する骨髄抑制を増大させない(また、さらに減少させることができる)。換言すれば、所定の実施形態では、本発明の方法は、治療の開始前に観察された場合と比較して、骨髄抑制の悪化を誘導しない又はそれをもたらさない。骨髄抑制は、有害事象共通用語規準(CTCAE)に従ってグレード0~グレード5のスケールで評価できる(National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events v4.0,NCI,NIH,DHHS. May 29, 2009 NIH publication # 09-7473参照)。いくつかの実施形態では、貧血などの骨髄抑制の1以上の基準は、治療の結果として悪化しない(例えばグレード2~グレード3の有害事象;グレード3~グレード4の有害事象)。
「治療に応答しなくなった」とは、被験体がもはや治療に対するいかなる応答もないこと又は治療に対する応答性を減少していること、例えば用量の増加を必要とする又は利益の低下を受入れていることを意味する。所定の実施形態では、それを必要とする被験体は、ルキソリチニブ又は別のJakキナーゼ阻害剤による治療を予め受けており、かつ、それによる治療に応答しなくなった。所定の実施形態では、この方法は、追加の抗癌治療を施すことをさらに含む。所定の実施形態では、追加の抗癌治療は、被験体が以前に応答しなくなったのと同じ治療である。
一態様では、本発明は、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを抗癌治療剤と組み合わせて投与することによって癌関連線維症又は線維性癌を治療する方法を提供する。ここで使用するときに、「と組み合わせて」又は「併用投与」とは、第2の化合物が依然として体内において有効である(例えば、2種の化合物が患者において同時に有効であり、該2種の化合物の相乗効果を含むことができる)ような任意の投与形態をいう。有効性は、血液、血清又は血漿中の薬剤の測定可能な濃度に相関しない場合がある。例えば、異なる治療化合物を、同じ製剤又は別個の製剤で同時に又は連続的に及び異なるスケジュールで投与することができる。したがって、このような治療を受ける個体は、異なる治療薬の複合効果の利益を得ることができる。SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、1種以上の他の追加の薬剤と同時に、その前に又はその後に投与できる。
いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、安定な抗癌治療をすでに受けている患者に投与される。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも3ヶ月間にわたって安定な抗癌治療を受けている。いくつかの実施形態では、患者は、3ヶ月未満にわたって安定な抗癌治療を受けている。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、又は少なくとも1年間安定な抗癌治療を受けている。所定の実施形態では、安定な抗癌治療は、ルキソリチニブなどのJAKキナーゼ阻害剤である。
一般に、それぞれの治療剤は、該特定の薬剤について決定された用量及び/又はタイムスケジュールで投与される。レジメンで使用するための特定の組み合わせは、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストと薬剤との相溶性及び/又は達成すべき所望の治療効果を考慮する。
本発明の抗癌治療剤としては、化学療法剤、抗体ベースの薬剤、チロシンキナーゼ阻害剤、免疫調節剤及び生物学的薬剤又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。化学療法剤としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:アクチノマイシンD、アルデスロイキン、アリトレチノイン、全トランス型レチノイン酸/ATRA、アルトレタミン、アムサクリン、アスパラギナーゼ、アザシチジン、アザチオプリン、バチルスカルメットゲラン/BCG、ベンダムスチン塩酸塩、ベキサロテン、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カーフィルゾミブ、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン/シスプラチナム、クラドリビン、シクロホスファミド/シトホスファン、シタバリン、ダカルバジン、ダウノルビシン/ダウノマイシン、デニロイキンジフチトクス、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、フルダラビン、フルオロウラシル(5-FU)、ゲムシタビン、ゴセレリン、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、インターフェロンα、イリノテカンCPT-11、ラパチニブ、レナリドマイド、ロイプロリド、メクロレタミン/クロルメチン/ムスチン/HN2、メルカプトプリン、メトトレキサート、メチルプレドニゾロン、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、オクトレオチド、オプレルベキン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、パゾパニブ、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、PEGインターフェロン、ペメトレキセド、ペントスタチン、フェニルアラニンマスタード、プリカマイシン/ミトラマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロカルバジン、ラロキシフェン、ロミプロスチム、サルグラモスチム、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、サリドマイド、チオグアニン、チオホスホアミド/チオテパ、チオテパ、トポテカン塩酸塩、トレミフェン、トレチノイン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ボリノスタット、ゾレドロン酸又はそれらの組み合わせ。抗体ベースの薬剤としては、アレムツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、フレソリムマブ、ゲムツズマブ・オゾガミシン、イブリツモマブチウキセタン、オファツムマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、トラスツズマブDM1及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。免疫調節化合物としては、TNFα、LPS誘導単球IL1β、IL12及びIL6の産生を阻害する分子有機小分子が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、免疫調節化合物としては、メトトレキサート、レフルノミド、シクロホスファミド、シクロスポリンA、ミノサイクリン、アザチオプリン、抗生物質(例えば、タクロリムス)、メチルプレドニゾロン、コルチコステロイド、ステロイド、ミコフェノール酸モフェチル、ラパマイシン、ミゾリビン、デオキシスパガリン、ブレキナル、T細胞受容体修飾因子又はサイトカイン受容体修飾因子及びToll様受容体(TLR)アゴニストが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、免疫調節化合物としては、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、ラクトフェリン、ポリアデノシン-ポリウリジル酸(ポリAU)、リンタトリモド(ポリI:polyC12U;Hemispherx Biopharma社)、ポリ-L-リジン及びカルボキシメチルセルロースで安定化されたポリイノシン酸・ポリシチジル酸(ポリ-ICLC、Hiltonol(登録商標))、イミキモド(3M)及びレシキモド(3M;R848)、非メチル化CpGジヌクレオチド(CpG-ODN)及びイピリムマブが挙げられる。生物学的薬剤としては、モノクローナル抗体(MAB)、CSF、インターフェロン及びインターロイキンが挙げられる。いくつかの実施形態では、生物学的薬剤は、IL-2、IL-3、エリスロポエチン、G-CSF、フィルグラスチム、インターフェロンα、アレムツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ゲムツズマブ・オゾガミシン、イブリツモマブチウキセタン、オファツムマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、トシツモマブ又はトラスツズマブが挙げられる。
チロシンキナーゼ阻害剤としては、アキシチニブ、バフェチニブ、ボスチニブ、セジラニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ポナチニブ、クイザルチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、バンデタニブ、バタラニブ及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、抗癌治療剤は、JAKキナーゼ阻害剤、例えばAC-430、AZD1480、バリシチニブ、BMS-911453、CEP-33779、CYT387、GLPG-0634、レスタウルチニブ、LY2784544、NS-018、パクリチニブ、R-348、R723、ルキソリチニブ、TG101348(SAR302503)、トファシチニブ、及びVX-509であるが、これらに限定されない。
所定の実施形態では、抗癌治療剤としては、抗代謝物(例えば、5-フルオロウラシル、シタラビン、メトトレキサート、フルダラビンなど)、微小管阻害薬(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチンなどのビンカアルカロイド;パクリタキセル及びドセタキセルなどのタキサン)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、メルファラン、カルムスチン、ニトロソ尿素、例えばビスクロロエチルニトロソ尿素及びヒドロキシ尿素)、白金剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン及びCI-973)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン及びダウノルビシン)、抗腫瘍抗生物質(例えば、マイトマイシン、イダルビシン、アドリアマイシン及びダウノマイシン) 、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド及びカンプトテシン)、抗血管新生剤(例えば、スニチニブ、ソラフェニブ及びベバシズマブ)又は任意の他の細胞毒性剤(例えば、リン酸エストラムスチン、プレドニムスチン)、ホルモン又はホルモンアゴニスト、アンタゴニスト、部分アゴニスト又は部分アンタゴニスト、キナーゼ阻害剤(イマチニブなど)及び放射線治療が挙げられるが、これらに限定されない。
適宜又は必要に応じて、本発明の任意の治療方法を繰り返すことができる。例えば、治療は定期的に行うことができる。治療を施す頻度は、当業者によって決定できる。例えば、治療は、数週間の期間にわたって1週間に1回又は所定期間にわたって1週間複数回投与できる(例えば、治療の第1週にわたって3回)。いくつかの実施形態では、初期の負荷投与期間後に、維持用量とする。いくつかの実施形態では、負荷用量を周期的に繰り返す。いくつかの実施形態では、初期負荷投与期間は、1週間につき治療を複数回施すことを含む(例えば、治療の第1週にわたって3回)。いくつかの実施形態では、負荷用量は、隔週、毎月、隔月、3ヶ月ごと、又は6ヶ月毎に繰り返すことができ、或いは適宜負荷用量間に継続した定期的な投薬と共に又はそれなしで繰り返すことができる。一般に、癌関連線維症の改善は、ある程度の期間、好ましくは少なくとも数ヶ月持続するが、抗線維化作用の維持及び/又は線維症の再発予防は、時間無制限の期間にわたってSAPポリペプチド又はSAPアゴニストの定期的な投薬を続けることが必要な場合がある。時間経過につれて、患者は、症状の再発を経験する場合があるが、その時点で治療を繰り返すことができる。
所定の態様では、ここで、被験体において骨髄線維症を治療し、その発症を遅延させ及び/又は予防するための方法であって、その被験体にSAPポリペプチド若しくはSAPアゴニスト又はその薬学的に許容される塩の有効量を単独で又は抗癌治療剤と組み合わせて投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、被験体は骨髄線維症を有する。いくつかの実施形態では、被験体は骨髄線維症を発症する危険性がある。いくつかの実施形態では、被験体はヒト被験体である。ここに記載のカプセル又は単位投薬形態などの製剤のいずれか一つを使用して、骨髄線維症を有する被験者を治療することができる。
ここに記載の方法によって治療できる骨髄線維症としては、原発性骨髄線維症(PMF)及び続発性骨髄線維症(例えば、前駆真性多血症(PV後MF)又は本態性血小板血症(ET後MF)から生じる骨髄線維症)が挙げられる。ここに記載される方法によって治療できる骨髄線維症としては、高リスク、中リスク、例えば中間リスクレベル1又は中間リスクレベル2、及び低リスクの骨髄線維症が挙げられる。様々な種類の骨髄線維症を診断するための方法が当該技術分野において知られている。例えば、Cervantes外,Blood 2009,113(13):2895-901を参照されたい。いくつかの実施形態では、診断後のリスクプロファイルに対する変更を説明するダイナミック予後モデルが有用であろう。例えば、Passamonti外,Blood 2010,115:1703-1708を参照されたい。いくつかの実施形態では、被験体は明白な脾腫を有する。いくつかの実施形態では、骨髄線維症を有する被験者は、触診によって測定されたときに、肋骨縁の下に少なくとも5cmの脾臓を有する。いくつかの実施形態では、被験体は、貧血及び/又は血小板減少症及び/又は白血球減少症を有する。いくつかの実施形態では、被験体は、貧血又は血小板減少症又は白血球減少症を有しない。いくつかの実施形態では、被験体は、輸血依存性である。いくつかの実施形態では、被験体は輸血依存性ではない。いくつかの実施形態では、被験体は、IWG-MRTダイナミック国際予後スコアリングシステムに従って中間-1、中間-2又は高リスク疾患を有する少なくともグレード2骨髄線維症を含めてWHO診断基準又はET/PV後MFについての病理学的に確認されたPMF診断を有する。いくつかの実施形態では、被験体は、グレード0又は1の骨髄線維症及びIWG-MRTダイナミック国際予後スコアリングシステムに従って低リスク、中間-1、中間-2、高リスク又は低リスク疾患を有する、WHO診断基準又はET/PV後MFに関する病理学的に確定したPMF診断を有する。いくつかの実施形態では、被験体は「前繊維性」骨髄線維症を有する。いくつかの実施形態では、被験体は、PV又はETを有し、かつ、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを受容して骨髄線維症の発症を予防する。
いくつかの実施形態では、被験体は、被験体がヒトである場合にはヤヌスキナーゼ2(JAK2キナーゼ)(JAK2V617F)においてバリン617からフェニルアラニンに点変異を有し、又は被験体がヒトではない場合にはヤヌスキナーゼ2(JAK2キナーゼ)においてフェニルアラニンに対してバリン617に相当する点突然変異を有する。いくつかの実施形態では、被験体は、被験体がヒトである場合にはJAK2のフェニルアラニン変異に対してバリン617について陰性であり、又は被験体がヒトでない場合にはヤヌスキナーゼ2(JAK2キナーゼ)におけるフェニルアラニンに対してバリン617に相当する突然変異について陰性である。被験者がJAK2V617Fに対して陽性であるか陰性であるかどうかは、骨髄細胞又は血液細胞(例えば、全血白血球)からのゲノムDNAを使用してポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)分析により決定できる。PCR分析は、対立遺伝子特異的PCR(例えば、対立遺伝子特異的定量的PCR)又はPCRシークエンシングであることができる。Kittur J外,Cancer 2007,109(11):2279-84及びMcLornan D外,Ulster Med J.2006,75(2):112-9を参照されたい。これらの文献のそれぞれは、参照により本明細書で援用する。
いくつかの実施形態では、ここに記載の方法で治療された被験体は、別の骨髄線維症の治療若しくは処置を以前に受けており又は現在受けている。いくつかの実施形態では、被験体は、他の骨髄線維症の治療に対する非応答者であり、又は他の骨髄線維症の治療を受けた後に再発している。以前の治療は、JAK2の阻害剤(例えば、INCB018424(Incyte社製のルキソリチニブとしても知られている)、CEP-701(Cephalon社製のレスタウルチニブ)若しくはXL019(Exelixis社製))(Verstovsek S.,Hematology Am Soc Hematol Educ Program.2009:636-42を参照)又は非JAK2阻害剤(ヒドロキシウレアなど)であることができる。いくつかの実施形態では、以前の治療は、JAKキナーゼ阻害剤、例えば限定されないが、AC-430、AZD1480、バリシチニブ、BMS-911453、CEP-33779、CYT387、GLPG-0634、INCB18424、レスタウルチニブ、LY2784544、NS-018、パクリチニブ、ルキソリチニブ、TG101348(SAR302503)、トファシチニブ、VX-509、R-348 、又はR723であることができる。いくつかの実施形態では、被験体は、少なくとも3ヶ月間にわたって、原発性骨髄線維症、真性多血症後骨髄線維症(PV後MF)、本態性血小板血症後骨髄線維症(ET後MF)、真性多血症又は本態性血小板血症に対してルキソリチニブ治療を受けている。いくつかの実施形態では、被験体は、3ヶ月未満にわたって、原発性骨髄線維症、真性多血症後骨髄線維症(PV後MF)、本態性血小板血症後骨髄線維症(ET後MF)、真性多血症又は本態性血小板血症に対してルキソリチニブ治療を受けている。いくつかの実施形態では、被験体は、少なくとも3ヶ月間にわたって、原発性骨髄線維症、真性多血症後骨髄線維症(PV後MF)、本態性血小板血症後骨髄線維症(ET後MF)、真性多血症又は本態性血小板血症に対してルキソリチニブ治療を受けている。いくつかの実施形態では、少なくとも1以上の症状が継続ルキソリチニブ治療に関して改善しなくなっている。いくつかの実施形態では、被験体は、もはやルキソリチニブに応答していない。いくつかの実施形態では、被験体は、以前に、少なくとも6ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも1ヶ月、少なくとも3週間、又は少なくとも2週間にわたって別の骨髄線維症の治療を受けている。いくつかの実施形態では、被験体は、他の骨髄線維症の治療に対してもはや応答していない。いくつかの実施形態では、以前の治療は、ここに記載の抗癌治療剤であり、以前の治療は、被験体からの血清中におけるアミラーゼ、リパーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及び/又はクレアチニンの1以上の上昇レベルの指標及び/又は貧血、血小板減少及び好中球減少症よりなる群から選択される血液学的状態の指標に基づき中止されている、或いは治療を行う医師の決定又は患者の要求に基づく他の理由のために中止されている。いくつかの実施形態では、第2の治療における化合物の用量は、以前の治療の用量と同じか低い。いくつかの実施形態では、被験体は、輸血以外の治療を受けていない。いくつかの実施形態では、被験体は、任意の前治療を受けていない。
いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、JAKキナーゼ阻害剤、例えば限定されないが、AC-430、AZD1480、バリシチニブ、BMS-911453、CEP-33779、CYT387、GLPG-0634、INCB18424、レスタウルチニブ、LY2784544、NS-018、パクリチニブ、ルキソリチニブ、TG101348(SAR302503)、トファシチニブ、VX-509、R-348、又はR723と組み合わせて投与される(Kontzias外Curr Opin Pharmacol.2012,12(4):464-470)。いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、骨髄線維症の症状を軽減することが知られている薬剤、例えば限定されないが、AB0024、AZD1480、AT-9283、BMS-911543、CYT387、エベロリムス、ギビノスタット、イメテルスタット、レスタウルチニブ、LY2784544、経口ヒ素、NS-018、パクリチニブ、パノビノスタット、ペグインターフェロンα-2a、ポマリドマイド、プラシノスタット、ルキソリチニブ、TAK-901及びTG101438(SAR302503)と組み合わせて投与される(Mesa,Leuk Lymphoma 2013,54(2):242-251;Gupta外2012,2(3):170-186;Kucine及びLevine 2011,2(4):203-211)。
被験体(ヒトなどの)は、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを約0.1mg/kg~約40mg/kgの用量で投与することによって治療できる。いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは10mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、8mg/kg、10mg/kg、12mg/kg、15mg/kg、18mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg又は40mg/kgのほぼ任意の用量で投与される。いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、約0.1-0.3、0.3-0.5、0.5-0.8、0.8-1、1-5、5-10、10-15、15-20、20-25、25-30、30-35又は35-40mg/kgの用量で投与される。化合物は、ここで説明するカプセル及び/又は単位剤形とすることができる。いくつかの実施形態では、化合物は、静脈内(IV)で投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、注射によって(例えばSubQ、IM、IP)、吸入若しくはガス注入(口又は鼻から)によって投与され、又は、投与は、経口、頬側、舌下、経皮、経鼻、非経口又は直腸である。いくつかの実施形態では、SAPポリペプチドなどのSAPアゴニストは、静脈内注入によって投与される。所定の実施形態では、各用量について、点滴は約1時間にわたる。しかし、それよりも長い又は短い点滴期間を使用することができる(例えば、30分、40分、45分、50分、55分、1時間、10分、1時間、15分、90分など)。この方法が追加の抗癌治療剤を投与することを含む場合には、その治療剤は、同じ投与経路又は異なる投与経路で投与できる。所定の実施形態では、追加の抗癌治療剤を経口投与する。
また、ここで提供するのは、骨髄線維症に関連する1以上の徴候又は症状を改善するための方法である。例えば、ここに記載の方法を使用した治療は、脾臓のサイズを減少させ、全身症状を改善し(初期の満腹感、疲労、寝汗、咳及び掻痒など)、MPN-SAF総症状スコアを減少させ、白血球を減少させ、血小板を減少させ、貧血を改善し、血小板減少症を改善し、白血球減少症を改善し、輸血依存性を低減させ、JAK2V617F対立遺伝子負担を低減させ、末梢血芽球を減少させ、骨髄芽球を減少させ、骨髄線維症を低減させ、掻痒を改善し、悪液質を改善し、及び/又は骨髄細胞充実性を減少若しくは増大させるのに効果的である。低減、減少、向上又は改善は、ここで提供される方法による治療を開始する前のレベルと比較して少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80又は90%であることができる。いくつかの実施形態では、骨髄線維症は、治療後の被験体において低減する。いくつかの実施形態では、骨髄線維症は、治療後にグレード0になる。いくつかの実施形態では、骨髄線維症は、治療後にグレード1になる。いくつかの実施形態では、脾臓は、治療後の被験体において触診不能となる。いくつかの実施形態では、被験体は、治療後に白血球及び/又は血小板の完全な分割を有する。いくつかの実施形態では、被験体は、治療後に貧血、血小板減少症及び/又は白血球減少症の完全な消散を有する。いくつかの実施形態では、被験体は、治療後に輸血非依存性となる。いくつかの実施形態では、被験体は、治療後にそう痒の完全な消散を有する。いくつかの実施形態では、治療の有効性は、応答として少なくとも1のグレードによる骨髄線維症の改善を伴う安定な疾患を包含するように修正された国際ワーキンググループ(IWG)基準に従って分類された全応答率(ORR)を評価することによって評価される。いくつかの実施形態では、治療の有効性は、骨髄線維症のグレーディングに関する欧州コンセンサスに従う少なくとも1のグレードによって骨髄線維症スコアの改善を評価することによって評価される。いくつかの実施形態では、治療の有効性は、循環血漿サイトカイン(例えばCRP、IL-1Ra、MIP-1β、TNFα、IL-6及びVEGFが挙げられるが、これらに限定されない)レベルのレベル変化を評価することにより評価される。いくつかの実施形態では、治療の有効性は、PBMCのmRNA及びmiRNA発現レベルのレベル変化を評価することにより評価される。いくつかの実施形態では、治療の有効性は、PV又はETから骨髄線維症への進行がないことによって評価される。いくつかの実施形態では、治療の有効性は、少なくとも1のグレードによる骨髄線維症の増加の欠如によって評価される。
いくつかの実施形態では、ここに記載する方法による治療(例えば、SAPポリペプチド又はSAPアゴニスト使用した単剤又は併用療法)は、ここで提供される方法による治療を開始する前のレベルと比較して(例えば、ベースラインと比較して)、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、又は少なくとも70%脾臓体積を減少させるのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、脾臓体積を少なくとも25%減少させるのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、脾臓体積を少なくとも50%減少させるのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、脾臓体積を約20%~70%、約20%~60%、約25%~60%、約25~55%又は約25%~50%減少させるのに有効である。いくつかの実施形態では、脾臓体積は、触診により測定できる。当業者であれば、磁気共鳴イメージングによる測定などの脾臓体積を測定するための他の既知の方法を使用することができることが分かるであろう。所定の実施形態では、本発明は、脾臓体積を、それを必要とする患者において減少させるための方法であって、該それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、SAPポリペプチドなどのSAPアゴニストの所定量を単独で又は追加の抗癌治療剤(例えば、JAKキナーゼ阻害剤)と組み合わせて、脾臓体積を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも55%減少させるのに有効な投与計画に従って投与することを含む方法を提供する。所定の実施形態では、SAPアゴニストは、血清から精製したヒトSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPポリペプチドなどのSAPポリペプチドを含み、追加の抗癌治療はJAKキナーゼ阻害剤である。所定の実施形態では、JAKキナーゼ阻害剤はルキソリチニブである。所定の実施形態では、脾臓体積は、約25~55%、約25~50%、又は約25~40%減少する。
いくつかの実施形態では、ここに記載する方法による治療(例えば、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを使用した単剤又は併用療法)は、骨髄増殖性腫瘍症状評価フォーム(MPN-SAF)総症状スコアを、ここで提供される方法による治療を開始する前のスコアと比較して少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、又は少なくとも70%減少させるのに有効である。骨髄増殖性腫瘍症状評価フォーム総症状スコアの説明及び議論については、Emanuel外,2012,Journal of Clinical Oncology,volume 30, number 33,pages 4098-4013を参照されたい。いくつかの実施形態では、治療は、MPN-SAF総症状スコアを少なくとも25%減少させるのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、MPN-SAF総症状スコアを少なくとも50%減少させるのに有効である。いくつかの実施形態では、症状は、MPN-SAF患者報告結果ツールを使用して評価した(Emanuel外2012,Journal of Clinical Oncology 30(33): 4098-4103)。所定の実施形態では、本発明は、MPN-SAF総症状スコアをそれを必要とする患者において減少させるための方法であって、該それを必要とする患者が骨髄線維症を有し、SAPポリペプチドなどのSAPアゴニストの所定量を単独で又は追加の抗癌治療剤(例えば、JAKキナーゼ阻害剤)と組み合わせてMPN-SAF総症状スコアを少なくとも約25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%又は少なくとも60%減少させるのに有効な投与計画に従って投与することを含む方法を提供する。特定の実施形態では、SAPアゴニストは、血清から精製したヒトSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPポリペプチドなどのSAPポリペプチドを含み、追加の抗癌治療剤はJAKキナーゼ阻害剤である。所定の実施形態では、JAKキナーゼ阻害剤はルキソリチニブである。所定の実施形態では、MPN-SAF総症状スコアは、約25%~60%、約25~55%又は25~50%減少する。
いくつかの実施形態では、ここで説明する方法を使用した治療(例えば、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを使用した単剤又は併用療法)は、ヘモグロビンレベルを、ここで提供される方法による治療を開始する前のレベルと比較して(例えば、ベースラインと比較して)少なくとも約500mg/L、1g/L、2g/L、3g/L、又は5g/L増加させるのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、ヘモグロビンレベルを、ここで提供される方法による治療を開始する前のレベルと比較して(例えば、ベースラインと比較して)500~1000mg/L、1~2gL、2~3g/L又は3~5g/L増加させるのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、ヘモグロビンレベルを1g/L増加させるのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、ヘモグロビンレベルを少なくとも80g/L、90g/L、少なくとも100g/L、少なくとも110g/L、少なくとも120g/L、少なくとも130g/L、又は少なくとも140g/Lまで増加させるのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、ヘモグロビンレベルを少なくとも100g/L増加させるのに有効である。いくつかの実施形態では、ヘモグロビンレベルは、通常の全血球計算(CBC)の一部として測定される。当業者であれば、ヘモグロビンレベルを測定するための他の既知の方法も使用できることが分かるであろう。所定の実施形態では、本発明は、ヘモグロビンレベルを、それを必要とする患者において増加させるための方法であって、該それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、SAPポリペプチドなどのSAPアゴニストの所定量を単独で又は治療用の追加の抗癌治療剤(例えば、JAKキナーゼ阻害剤)と組み合わせてヘモグロビンレベルを少なくとも約500mg/L、1g/L、2g/L、3g/L又は5g/Lにまで増加させるのに有効な投与計画に従って投与することを含む方法を提供する。所定の実施形態では、SAPアゴニストは、血清から精製したヒトSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPポリペプチドなどのSAPポリペプチドを含み、追加の抗癌治療剤はJAKキナーゼ阻害剤である。所定の実施形態では、JAKキナーゼ阻害剤はルキソリチニブである。所定の実施形態では、ヘモグロビンレベルは、約500~1000mg/L、1~2g/L、2~3g/L、又は3~5g/L増加する。所定の実施形態では、ヘモグロビンレベルは、少なくとも約80g/L、90g/L、100g/L、110g/L、120g/L、130g/L又は140g/Lにまで増加する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する方法を使用する治療(例えば、SAPポリペプチド又はSAPアゴニスト用いた単剤又は併用療法)は、赤血球(RBC)輸血を、ここで提供される方法による治療を開始する前レベルと比較して少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、又は少なくとも60%低減するのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、RBC輸血を少なくとも25%低減するのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、RBC輸血を少なくとも50%低減するのに有効である。
いくつかの実施形態では、治療は、RBC輸血非依存性を達成するのに有効である。所定の実施形態では、本発明は、RBC輸血を、それを必要とする患者において低減させるための方法であって、該それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、SAPポリペプチドなどのSAPアゴニストの所定量を単独で又は追加の抗癌治療剤(例えば、JAKキナーゼ阻害剤)と組み合わせてRBC輸血を少なくとも約25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、又は少なくとも60%減少させるのに有効な投与計画に従って投与することを含む方法を提供する。特定の実施形態では、SAPアゴニストは、血清から精製したヒトSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPポリペプチドなどのSAPポリペプチドを含み、追加の抗癌治療剤はJAKキナーゼ阻害剤である。所定の実施形態では、JAKキナーゼ阻害剤はルキソリチニブである。所定の実施形態では、RBC輸血を約25%~60%、約25~55%又は25~50%低減させる。所定の実施形態では、患者は、治療後に輸血非依存性状態になる。
いくつかの実施形態では、ここに記載される方法を用いた治療(例えば、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを使用した単剤又は併用療法)は、存在する場合には血小板減少症を改善するのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、血小板を、ここで提供する方法による治療を開始する前のレベルと比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも100%増加させる。いくつかの実施形態では、この治療は、血小板を、ここで提供される方法による治療を開始する前のレベルと比較して少なくとも20%~30%、少なくとも30%~40%、少なくとも40%~50%、少なくとも50%~60%、少なくとも60%~70%、少なくとも70%~80%、少なくとも80%~90%又は少なくとも90%~100%増加させる。いくつかの実施形態では、治療は、血小板を少なくとも100%増加させるのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、血小板を少なくとも40×109/L、50×109/L、60×109/L、70×109/L、80×109/L、90×109/L又は100×109/Lにまで増加させる。いくつかの実施形態では、治療は、血小板を少なくとも50~75×109/L、75~100×109/L、又は100~150×109/Lにまで増加させる。いくつかの実施形態では、治療は、血小板を50×109/Lにまで増加させる。いくつかの実施形態では、治療は、血小板を100×109/Lにまで増加させる。いくつかの態様では、血小板は、通常の全血球計数(CBC)の一部として測定される。当業者であれば、血小板を使用するための他の既知の方法も使用できることが分かるであろう。所定の実施形態では、本発明は、血小板をそれを必要とする患者において増加させるための方法であって、該それを必要とする患者が骨髄線維症を有し、SAPポリペプチドなどのSAPアゴニストの所定量を単独で又は追加の抗癌治療剤(例えば、JAKキナーゼ阻害剤)と組み合わせて血小板を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも100%増加させるのに有効な投与計画に従って投与することを含む方法を提供する。所定の実施形態では、SAPアゴニストは、血清から精製したヒトSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPポリペプチドなどのSAPポリペプチドを含み、追加の抗癌治療剤はJAKキナーゼ阻害剤である。所定の実施形態では、JAKキナーゼ阻害剤はルキソリチニブである。所定の実施形態では、血小板は、約50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%増加する。
いくつかの実施形態では、ここに記載する方法を使用する治療(例えば、SAPポリペプチド又はSAPアゴニスト使用した単剤又は併用療法)は、血小板輸血をここで提供される方法による治療を開始する前のレベルと比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%又は100%減少させるのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、血小板輸血を少なくとも50%減少させる。所定の実施形態では、本発明は、血小板輸血をそれを必要とする患者において減少させるための方法であって、該それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、SAPポリペプチドなどのSAPアゴニストの所定量を単独で又は追加の抗癌治療剤(例えば、JAKキナーゼ阻害剤)と組み合わせて血小板輸血を少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%又は少なくとも70%減少させるのに有効な投与計画に従って投与することを含む。特定の実施形態では、SAPアゴニストは、血清から精製したヒトSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPポリペプチドなどのSAPポリペプチドを含み、追加の抗癌治療剤はJAKキナーゼ阻害剤である。所定の実施形態では、JAKキナーゼ阻害剤はルキソリチニブである。所定の実施形態では、血小板輸血は、約25%~40%、25%~50%、50%~70%、又は70%~100%減少する。
いくつかの実施形態では、ここに記載される方法を使用する治療(例えば、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを用いた単剤又は併用療法)は、存在する場合には血小板増加症を改善するのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、血小板を、ここで提供される方法による治療を開始する前のレベルと比較して少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも50%減少させる。いくつかの実施形態では、治療は血小板を25%減少させる。いくつかの実施形態では、治療は、血小板を正常レベルにまで減少させる。いくつかの実施形態では、血小板は、通常の全血球計算(CBC)の一部として測定される。当業者であれば、血小板を測定するための他の既知の方法も使用できることが分かるであろう。所定の実施形態では、本発明は、血小板をそれを必要とする患者において減少させるための方法であって、該それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、SAPポリペプチドなどのSAPアゴニストの所定量を単独で又は追加の抗癌治療剤(例えば、JAKキナーゼ阻害剤)と組み合わせて血小板を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも50%減少させるのに有効な投与計画に従って投与することを含む方法を提供する。特定の実施形態では、SAPアゴニストは、血清から精製したヒトSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPポリペプチドなどのSAPポリペプチドを含み、追加の抗癌治療剤はJAKキナーゼ阻害剤である。所定の実施形態では、JAKキナーゼ阻害剤はルキソリチニブである。所定の実施形態では、血小板は、約10%~15%、少なくとも15%~25%又は少なくとも25%~35%減少する。
いくつかの実施形態では、ここに記載される方法を使用する治療(例えば、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを用いた単剤又は併用療法)は、存在する場合には好中球減少症の改善に効果的である。いくつかの実施形態では、治療は、絶対好中球数(ANC)を、ここで提供される方法による治療を開始する前のレベルと比較して少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも100%増加させる。いくつかの実施形態では、治療は、ANCを、ここで提供される方法による治療を開始する前のレベルと比較して少なくとも20%~30%、少なくとも30%~40%、少なくとも40%~50%、少なくとも50%~60%、少なくとも60%~70%、少なくとも70%~80%、少なくとも80%~90%又は少なくとも90%~100%増加させる。いくつかの実施形態では、治療は、ANCを少なくとも50%増加させるのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、ANCを少なくとも1000/μL、少なくとも1250/μL、少なくとも1500/μL、少なくとも1750/μL又は少なくとも2000/μL増加させる。いくつかの実施形態では、治療は、ANCを少なくとも1500~1250/μL、少なくとも1500~1750/μL、又は少なくとも1750~2000/μL増加させる。いくつかの実施形態では、治療は、ANCを少なくとも1500/μL増加させる。いくつかの実施形態では、ANCは、通常の全血球計算(CBC)の一部として測定される。当業者であれば、ANCを測定するための他の既知の方法も使用することができることが分かるであろう。所定の実施形態では、本発明は、ANCをそれを必要とする患者において増加させるための方法であって、該それを必要とする患者が骨髄線維症を有し、SAPポリペプチドなどのSAPアゴニストの所定量を単独で又は追加の抗癌治療剤(例えば、JAKキナーゼ阻害剤)と組み合わせてANCを少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも100%増加させるのに有効な投与計画に従って投与することを含む。所定の実施形態では、SAPアゴニストは、血清から精製したヒトSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPポリペプチドなどのSAPポリペプチドを含み、追加の抗癌治療剤はJAKキナーゼ阻害剤である。所定の実施形態では、JAKキナーゼ阻害剤はルキソリチニブである。所定の実施形態では、ANCが約20%~30%、少なくとも30%~40%、少なくとも40%~50%、少なくとも50%~60%、少なくとも60%~70%、少なくとも70%~80%、少なくとも80%~90%、又は少なくとも90%~100%増加する。
いくつかの実施形態では、ここに記載される方法を使用する治療(例えば、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを用いた単剤又は併用療法)は、存在する場合には白血球減少症を改善するのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、白血球(WBC)を、ここで提供される方法による治療を開始する前のレベルと比較して少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも100%増加させる。いくつかの実施形態では、治療は、WBCをここで提供される方法による治療を開始する前のレベルと比較して少なくとも20%~30%、少なくとも30%~40%、少なくとも40%~50%、少なくとも50%~60%、少なくとも60%~70%、少なくとも70%~80%、少なくとも80%~90%、又は少なくとも90%~100%増加させる。いくつかの実施形態では、治療は、WBCを少なくとも50%増加させるのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、WBCを少なくとも4×109/L、5×109/L、7.5×109/L又は10×109/Lに増加させる。いくつかの実施形態では、治療は、WBCを10×109/Lに増加させる。いくつかの実施形態では、治療は、WBCを正常範囲にまで増加させる。いくつかの実施形態では、WBCは、通常の全血球計算(CBC)の一部として測定される。当業者であれば、WBCを測定するための他の既知の方法も使用できることが分かるであろう。特定の実施形態では、本発明は、WBCをそれを必要とする患者において増加させるための方法であって、該それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、SAPポリペプチドなどのSAPアゴニストの所定量を単独で又は追加の抗癌治療剤(例えば、JAKキナーゼ阻害剤)と組み合わせてWBCを少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも100%増加させるのに有効な投与計画に従って投与することを含む方法を提供する。特定の実施形態では、SAPアゴニストは、血清から精製したヒトSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPポリペプチドなどのSAPポリペプチドを含み、追加の抗癌治療剤はJAKキナーゼ阻害剤である。所定の実施形態では、JAKキナーゼ阻害剤はルキソリチニブである。所定の実施形態では、WBCは約20%~30%、少なくとも30%~40%、少なくとも40%~50%、少なくとも50%~60%、少なくとも60%~70%、少なくとも70%~80%、少なくとも80%~90%、又は少なくとも90%~100%増加する。
いくつかの実施形態では、ここに記載される方法を使用する治療(例えば、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを用いた単剤又は併用療法)は、存在する場合には白血球を改善するのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、ANCを1500/μL未満に低下させることなく、ANCを、ここに提供される方法による治療を開始する前のレベルと比較して少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%又は少なくとも70%減少させる。いくつかの実施形態では、治療はANCを25%減少させる。いくつかの実施形態では、治療は、ANCを50%減少させる。いくつかの実施形態では、治療は、ANCを正常レベルにまで減少させる。いくつかの実施形態では、治療は、白血球(WBC)を、ここに提供される方法による治療を開始する前のレベルと比較して少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、又は少なくとも70%減少させるが、WBCを正常下限値未満に低下させない。いくつかの実施形態では、治療は、WBCを25%減少させる。いくつかの実施形態では、治療はWBCを50%減少させる。いくつかの実施形態では、治療は、WBCを<35×109/L、<30×109/L、<25×109/L、<20×109/L、又は<15×109/Lまで減少させる。いくつかの実施形態では、治療は、白血球を<25×109/L減少させる。いくつかの実施形態では、治療は、WBCを正常範囲まで減少させる。いくつかの実施形態では、ANC及びWBCを通常の全血球計算(CBC)の一部として測定する。当業者であれば、ANC又はWBCを測定するための他の公知の方法も使用できることが分かるであろう。所定の実施形態では、本発明は、ANC又はWBCをそれを必要とする患者において減少させるための方法であって、該それを必要とする患者が骨髄線維症を有し、SAPポリペプチドなどのSAPアゴニストの所定量を単独で又は追加の抗癌治療剤(例えば、JAKキナーゼ阻害剤)と組み合わせてANC又はWBCを少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%又は少なくとも70%減少させるのに効果的な投与計画に従って、WBCを正常の下限値未満に低下させることなく投与することを含む方法を提供する。特定の実施形態では、SAPアゴニストは、血清から精製したヒトSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPポリペプチドなどのSAPポリペプチドを含み、追加の抗癌治療剤はJAKキナーゼ阻害剤である。所定の実施形態では、JAKキナーゼ阻害剤はルキソリチニブである。所定の実施形態では、ANC又はWBCは、WBCを正常の下限値未満に低下させることなく、約20%~30%、少なくとも30%~40%、少なくとも40%~50%、少なくとも50%~60%又は少なくとも60%~70%減少する。
いくつかの実施形態では、ここに記載の方法を使用する治療(例えば、SAPポリペプチド又はSAPアゴニスト使用した単剤又は併用療法)は、末梢血芽球を、ここで提供される方法による治療を開始する前のレベルと比較して少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、又は少なくとも70%減少させるのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、末梢血芽球を少なくとも50%減少させるのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、末梢血芽球を≧1~<1に減少させるのに有効である。当業者であれば、末梢血芽球を測定するための当該技術分野で既知の方法のいずれかも使用することができることが分かるであろう。特定の実施形態では、本発明は、末梢血芽球をそれを必要とする患者において減少させるための方法であって、該それを必要とする患者が骨髄線維症を有し、SAPポリペプチドなどのSAPアゴニストの所定量単独で又は追加の抗癌治療剤(例えば、JAKキナーゼ阻害剤)と組み合わせて末梢血芽球を少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%又は少なくとも70%減少させるのに効果的な投与計画に従って投与することを含む方法を提供する。特定の実施形態では、SAPアゴニストは、血清から精製したヒトSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPポリペプチドなどのSAPポリペプチドを含み、追加の抗癌治療剤はJAKキナーゼ阻害剤である。所定の実施形態では、JAKキナーゼ阻害剤はルキソリチニブである。所定の実施形態では、末梢血の芽球は、約20%~30%、少なくとも30%~40%、少なくとも40%~50%、少なくとも50%~60%又は少なくとも60%~70%減少する。所定の実施形態では、末梢血芽球≧1~<1に減少する。
いくつかの実施形態では、ここに記載する方法を使用する治療(例えば、SAPポリペプチド又はSAPアゴニスト使用する単剤又は併用療法)は、骨髄線維症をグレード3からグレード2に減少させるのに有効である(例えば、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを使用した単剤又は併用療法)。いくつかの実施形態では、治療は、骨髄線維症をグレード3からグレード1に減少させるのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、骨髄線維症をグレード3からグレード0に減少させるのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、骨髄線維症をグレード2からグレード1に減少させるのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、骨髄線維症をグレード2からグレード0に減少させるのに有効である。いくつかの実施形態では、治療は、骨髄線維症をここで提供される方法による治療を開始する前のレベルと比較して少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80又は90%減少させるのに有効である。当業者であれば、骨髄線維症を評価するための当該技術分野で既知の方法のいずれかを使用することができることが分かるであろう。所定の実施形態では、本発明は、骨髄線維症をそれを必要とする患者において減少させるための方法であって、該それを必要とする患者はその骨髄線維症を有し、SAPポリペプチドなどのSAPアゴニストの所定量を単独で又は追加の抗癌治療剤(例えば、JAKキナーゼ阻害剤)と組み合わせて骨髄線維症を少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80又は90%減少させるのに有効な投与計画に従って投与することを含む。特定の実施形態では、SAPアゴニストは、血清から精製したヒトSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPポリペプチドなどのSAPポリペプチドを含み、追加の抗癌治療剤はJAKキナーゼ阻害剤である。所定の実施形態では、JAKキナーゼ阻害剤はルキソリチニブである。所定の実施形態では、骨髄線維症を約20%~30%、少なくとも30%~40%、少なくとも40%~50%、少なくとも50%~60%又は少なくとも60%~70%減少させる。
いくつかの実施形態では、ここに記載される方法を使用する治療(例えば、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを用いた単剤又は併用療法)は、骨髄芽球を≧5%から<5%に減少させるのに有効である。当業者であれば、骨髄芽球を測定するための当該技術分野で既知の方法のいずれかを使用することもできることが分かるであろう。所定の実施形態では、本発明は、骨髄芽球をそれを必要とする患者において減少させる方法であって、該それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、SAPポリペプチドなどのSAPアゴニストの所定量を単独で又は追加の抗癌治療剤(例えば、JAKキナーゼ阻害剤)と組み合わせて骨髄芽球を少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%又は少なくとも70%減少させるのに有効な投与計画に従って投与することを含む。特定の実施形態では、SAPアゴニストは、血清から精製したヒトSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPポリペプチドなどのSAPポリペプチドを含み、追加の抗癌治療剤はJAKキナーゼ阻害剤である。所定の実施形態では、JAKキナーゼ阻害剤はルキソリチニブである。所定の実施形態では、骨髄芽球を約20%~30%、少なくとも30%~40%、少なくとも40%~50%、少なくとも50%~60%又は少なくとも60%~70%減少させる。
いくつかの実施形態では、治療は、骨髄細胞充実性の改善に有効である。改善は、ここで提供される方法による治療を開始する前のレベルと比較して少なくとも20、30、40、50、60又は70%であることができる。所定の実施形態では、本発明は、骨髄細胞充実性をそれを必要とする患者において改善するための方法であって、それを必要とする患者が骨髄線維症を有し、SAPポリペプチドなどのSAPアゴニストの所定量を単独で又は追加の抗癌治療剤(例えば、JAKキナーゼ阻害剤)と組み合わせて骨髄細胞充実性を少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%又は少なくとも70%改善させるのに有効な投与計画に従って投与することを含む方法を提供する。所定の実施形態では、SAPアゴニストは、血清から精製したヒトSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPポリペプチドなどのSAPポリペプチドを含み、追加の抗癌治療剤はJAKキナーゼ阻害剤である。所定の実施形態では、JAKキナーゼ阻害剤はルキソリチニブである。所定の実施形態では、骨髄細胞充実性は、約20%~30%、少なくとも30%~40%、少なくとも40%~50%、少なくとも50%~60%又は少なくとも60%~70%改善する。
所定の実施形態では、ここに記載の方法を使用する治療(例えば、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを使用する単剤又は併用療法)は、ここに記載の効果の少なくとも1つをもたらす(例えば脾臓体積の減少、MPN-SAF総症状スコアの減少、ヘモグロビンの増加、RBC輸血の減少、血小板減少症の改善、血小板輸血の減少、血小板増加症の改善、好中球減少症の改善、白血球の改善、末梢血芽球の減少、骨髄線維症の減少、骨髄芽球の減少又は骨髄細胞性の改善)。いくつかの実施形態では、ここに記載された方法を使用する治療は、ここに記載された効果の少なくとも2つをもたらす。いくつかの実施形態では、上記の方法を使用する治療は、ここに記載の効果の少なくとも3、4、5、6、7、8、9又は10をもたらす。前記いずれかの所定の実施形態では、所定の症状の改善度又は治療効果が達成されたかどうかの評価は、1以上の経時点、例えば、治療の少なくとも12、18、20若しくは少なくとも24週間後又は治療のより24週を超えた後に評価される。
いくつかの実施形態では、ここに記載される方法の1以上を使用する治療(例えば、本発明のSAPポリペプチド又はSAPアゴニストを用いた単剤又は併用療法)は、臨床的に有意な骨髄抑制を生じさせる又は誘導することなく、ここに記載の効果の少なくとも1つをもたらす(例えば、脾臓体積の減少、MPN-SAF総症状スコアの減少、ヘモグロビンの増加、RBC輸血の減少、輸血非依存性の達成、血小板減少症の改善、血小板輸血の減少、血小板増加症の改善、好中球減少症の改善、白血球の改善、末梢血芽球の減少、骨髄線維症の減少、骨髄芽球の減少又は骨髄細胞性の改善)。いくつかの実施形態では、ここに記載された方法の1つ以上を使用する治療は、臨床的に有意な骨髄抑制を生じさせる又は誘導することなく、ここに記載された効果の少なくとも2つをもたらす。いくつかの実施形態では、上記の方法の一つ以上を使用する治療は、臨床的に有意な骨髄抑制を生じさせる又は誘導することなく、ここに記載された効果の少なくとも3、4、5、6、7、8、9又は10をもたらす。いくつかの実施形態では、ここに記載した方法の一つ以上を使用する治療は、骨髄抑制をもたらさない。所定の実施形態では、前記の方法のいずれかは、ヒト血清から精製されたSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPポリペプチドを含むSAP、例えば組換えヒトSAP(例えば、CHO細胞中で産生された組換えヒトペントラキシン2)を投与することを含む。特定の実施形態では、上記の方法のいずれかは、SAPアゴニスト又はSAPポリペプチドを投与計画に従って投与することを含み、ここで、上記治療効果のいずれかが投与計画に従って投与した後に達成される。所定の実施形態では、上記治療効果の1つ以上は、投薬計画に従って投与した後に達成される(例えば、投与は、投薬計画に従って投与することを含む)。上記パラメータのいずれかにおける改善(例えば、症状の減少)は、治療中の1以上の時点で、例えば、治療の少なくとも12週、少なくとも18週、少なくとも20週、少なくとも24週又は24週を超えた後に評価される。
1以上の症状の改善などの患者における改善の上記例のいずれかについて、所定の実施形態では、本発明は、治療が、SAPアゴニスト又はSAPポリペプチドを、治療効果をもたらすのに有効な用量及び投与計画で投与することを含むことを提供する。所定の実施形態では、その用量及び投与計画は、別の抗癌療法で経験する1以上の副作用も減少させる。
他の実施形態では、治療は、その代わりに又はそれに加えて、線維性癌の1以上の他の症状を改善する。所定の実施形態では、治療は、疼痛を減少させ、腫瘍サイズを減少させ、体重損失を減少させ、体重増加を改善し、無増悪生存期間を増加させ又はそうでなければ患者の生活の質を改善する。
いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを、28日サイクルの少なくとも1サイクル、少なくとも2サイクル、少なくとも3サイクル、少なくとも4サイクル、少なくとも5サイクル、少なくとも6サイクル、少なくとも7サイクル又は少なくとも8サイクルについて1週間に少なくとも1回投与することを含む投与計画で被験体に投与される。いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、28日サイクルの少なくとも6サイクル、28日サイクルの少なくとも8サイクル、28日サイクルの少なくとも10サイクル、28日サイクルの少なくとも12サイクル、28日サイクルの少なくとも15サイクル、28日サイクルの少なくとも18サイクル又は28日サイクルの少なくとも24サイクルについて1週間に少なくとも1回被験体に投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも1年又は少なくとも2年にわたって1週間に1回被験体に投与される。さらなる実施形態では、化合物は、治療の第1週において1日おきに投与される。いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを4週間又は28日サイクルの少なくとも1サイクル、少なくとも2サイクル、少なくとも3サイクル、少なくとも4サイクル、少なくとも5サイクル、少なくとも6サイクル、少なくとも7サイクル又は少なくとも8サイクルにわたって4週間毎に投与することを含む投与計画で投与される。いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、28日サイクルの少なくとも6サイクル、28日サイクルの少なくとも8サイクル、28日サイクルの少なくとも10サイクル、28日サイクルの少なくとも12サイクル、28日サイクルの少なくとも15サイクル、28日サイクルの少なくとも18サイクル又は28日サイクルの少なくとも24サイクルにわたって4週ごとに1回被験体に投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも8ヶ月間、少なくとも1年又は少なくとも2年にわたって4週ごとに1回被験体に投与され、場合によっては患者の寿命にわたって慢性的に投与される。さらなる実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、治療の第1週において1日おきに投与される。いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、28日サイクルの少なくとも6サイクル、28日サイクルの少なくとも8サイクル、28日サイクルの少なくとも10サイクル、28日サイクルの少なくとも12サイクル、28日サイクルの少なくとも15サイクル、28日サイクルの少なくとも18サイクル又は28日サイクルの少なくとも24サイクルにわたって4週間毎に数日(例えば、1、3及び5日)投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも1年又は少なくとも2年にわたって4週間毎に数日間(例えば、1、3、5日)にわたって被験体に投与され、またおそらく患者の寿命にわたって慢性的に投与される。特定の実施形態では、投与計画は、ここに記載された効果の1つ以上をもたらす(例えば、1以上の症状又はパラメータの改善)(例えば、脾臓容積の減少、MPN-SAF総症状スコアの減少、ヘモグロビンの増加、RBC輸血の減少、輸血非依存性の達成、血小板減少症の改善、血小板輸血の減少、血小板増加症の改善、好中球減少症の改善、白血球の改善、末梢血芽球の減少、骨髄線維症の減少、骨髄芽球の減少又は骨髄細胞性の改善)。いくつかの実施形態では、投与計画は、ここに記載の効果の少なくとも2つをもたらす。いくつかの実施形態では、投与計画は、ここに記載の効果の少なくとも3、4、5、6、7、8、9又は10をもたらす。所定の実施形態では、SAPアゴニストは組換えヒトSAPを含む。
特定の実施形態では、本発明は、SAPポリペプチドなどのSAPアゴニストの所定量を単独で又は追加の抗癌治療剤(例えば、JAKキナーゼ阻害剤又は化学療法剤)と組み合わせて、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを投与することを含む投与計画に従って、血清から精製されたヒトSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPポリペプチドなどのSAPポリペプチド10mg/kgを、サイクル1の1、3、5、8、15及び22日目、その後の各28日サイクルの1、8、15及び22日目に投与することを含む投与レジメンを使用して投与するための方法を提供する。所定の実施形態では、SAPアゴニストはSAPポリペプチドを含み、追加の抗癌治療剤はJAKキナーゼ阻害剤である。所定の実施形態では、JAKキナーゼ阻害剤はルキソリチニブである。
所定の実施形態では、本発明は、SAPポリペプチドなどのSAPアゴニストの所定量を単独で又は追加の抗癌治療剤(例えば、JAKキナーゼ阻害剤)と組み合わせて、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを投与することを含む投与計画に従って、SAPポリペプチド又はSAPアゴニスト10mg/kgをサイクル1の1、3及び5日目、その後各28日サイクルの1日目に投与することを含む投与レジメンを使用して投与するための方法を提供する。所定の実施形態では、SAPアゴニストはSAPポリペプチドを含み、追加の抗癌治療剤はJAKキナーゼ阻害剤である。所定の実施形態では、JAKキナーゼ阻害剤はルキソリチニブである。
いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、第1週の間に複数回投与され(例えば、1、3及び5日目)、その後、毎週、2週間毎、3週間毎又は4週間毎に投与される。いくつかの実施形態では、SAPアゴニストは、隔週毎、3週間毎、毎月、隔月、3ヶ月毎、半年毎に又は適宜複数回投与される。いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、IV注射によって投与される。いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは10mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、ここに記載の用量のいずれかで投与される。いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、抗癌治療剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、被験体は、少なくとも6ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも1ヶ月、少なくとも3週間又は少なくとも2週間にわたって抗癌治療の安定の用量である。いくつかの実施形態では、被験体は、少なくとも3ヶ月間にわたって抗癌治療の安定用量である。いくつかの実施形態では、被験体は、抗癌療法による治療を受けたときに少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月間にわたって1以上の症状の任意の改善を示しさない。いくつかの実施形態では、抗癌治療剤は、ここに記載されるようなJAKキナーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、JAKキナーゼ阻害剤はルキソリチニブである。いくつかの実施形態では、抗癌治療は、有効であること予め判断された用量で施される。いくつかの実施形態では、投与レジメンを適宜調節して、ここに記載の治療結果の一つを達成する。
いくつかの実施形態では、ここに記載の方法は、初期応答を達成した後にSAPポリペプチド又はSAPアゴニストの1以上の追加の用量を投与することを含む。いくつかの実施形態では、後の応答は、被験体において初期応答を達成した後にSAPポリペプチド又はSAPアゴニストの1以上の追加の用量を投与した後に達成される。後の応答は、追加の応答(例えば、ここに記載の応答のいずれかが最初には観察されない)、初期応答の維持又は初期応答に関する改善であることができる。いくつかの実施形態では、1以上の追加用量の投与は、初期応答を実質的に維持する。いくつかの実施形態では、1以上の追加の用量の投与は、初期応答のさらなる改善を与える。いくつかの実施形態では、1以上の追加の用量の投与は、最初には観察されなかった1以上の追加の応答を与える。所定の実施形態では、SAPアゴニストは、組換えヒトSAPなどのSAPポリペプチドを含む。
いくつかの実施形態では、ヒト被験者などの被験体にSAPポリペプチド若しくはSAPアゴニスト又はその薬学的に許容される塩を投与すると、化合物のCmax(最大薬物濃度)が、投与後約0.5~約5時間、約1.5~約4.5時間、約2~約4時間又は約2.5~約3.5時間以内に達成される。いくつかの実施形態では、化合物をヒト被験者に投与したときに、化合物の排泄半減期は、約11~110時間、20~72時間、12~約40時間、約16~約34時間又は約20~約40時間である。いくつかの実施形態では、化合物の平均AUCは、1kg当たり約0.1mg~約40mgの範囲の用量を増加させることに比例して増加する。いくつかの実施形態では、化合物の蓄積は、化合物が週1回投与されたときに定常状態で約1.1倍~約5、約1.25~約4.0倍、約1.5~約3.5倍、約2~約3倍である。いくつかの実施形態では、毎週投与した場合には化合物は蓄積しない。
また、本発明は、1種以上のSAPポリペプチド又はSAPアゴニストを含む、線維性癌又は癌関連線維症を治療するためのキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、1種以上のSAPポリペプチド又はSAPアゴニストと共同投与される、ここに記載される抗癌治療剤を含むことができる。SAPポリペプチド又はSAPアゴニスト及び抗癌治療薬は、共同投与されるように処方できる。キットの活性薬剤は、別々に又は組み合わせ製剤で投与できる。活性薬剤は、同時に又は異なる投与計画で投与できる。上記のいずれかの所定の実施形態では、SAPアゴニストは組換えヒトSAPを含む。
医薬製剤及び処方物
特定の実施形態では、ここに記載の方法は、被験体に治療剤として本発明の少なくとも1種のSAPアゴニスト(例えば、変異SAPポリペプチド)を投与することを含む。本発明の治療剤は、1種以上の生理学的に許容されるキャリア又は賦形剤を使用して従来の方法で処方できる。例えば、治療剤並びにそれらの生理学的に許容される塩及び溶媒和物は、例えば静脈内注入(IV)、注射(例えばSubQ、IM、IP)、吸入若しくは注入(口又は鼻のいずれかを通して)又は経口、口腔、舌下、経皮、経鼻、非経口又は直腸投与による投与のために処方できる。所定の実施形態では、治療剤は、標的細胞が存在する部位に、すなわち、特定の組織、器官、又は体液(例えば、血液、脳脊髄液、腫瘤など)中に局所的に投与できる。
さらに、本発明は、本発明の任意のSAPポリペプチド又はSAPアゴニストの、ここに記載されるような患者における疾患又は状態の治療又は予防のための医薬の製造における使用、例えば、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストの、ここに記載の疾患又は状態の治療のための医薬の製造における使用を提供する。いくつかの態様では、本発明のSAPポリペプチド又はSAPアゴニストを使用して、ここに記載の疾患又は状態を治療又は予防する際の使用のための医薬製剤を製造することができる。
治療剤は、全身及び局所又は局所化投与を含めた様々な投与様式のために処方できる。一般にRemington’s Pharmaceutical Sciences, Meade Publishing Co.,Easton,PAに技術及び処方物を見出すことができる。非経口投与については、筋肉内、静脈内、腹腔内及び皮下を含めて注射が好ましい。注射については、化合物を液体溶液中、好ましくはハンクス液又はリンゲル液などの生理学的に適合性の緩衝液中で処方できる。さらに、化合物は、固体形態で処方でき、かつ、使用直前に再溶解又は懸濁できる。また、凍結乾燥形態も含まれる。いくつかの実施形態では、治療剤は、当業者に知られている様々な方法によって細胞に投与でき、例えば、リポソームへの封入、イオン導入又は他のビヒクルへの取り込み、例えばヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセル、及び生体接着性ミクロスフェアなどが挙げられるが、これらに限定されない。
経口投与について、医薬組成物は、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース又はリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ);崩壊剤(例えば、バレイショデンプン又はグリコール酸ナトリウムデンプン);又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)といった薬学的に許容される賦形剤により従来の手段によって調製された錠剤、トローチ、又はカプセルの形態をとることができる。錠剤は、当技術分野において周知の方法によりコーティングできる。経口投与用の液体製剤は、例えば溶液、シロップ又は懸濁液の形態を取ることができ、又はこれらのものは使用前に水又は他の適切なビヒクルで構成するための乾燥製品として提供できる。このような液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は水素化食用脂);乳化剤(例えば、レシチン又はアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール又は分画植物油);及び防腐剤(例えば、メチル又はプロピル-p-ヒドロキシベンゾエート又はソルビン酸)といった薬学的に許容される添加剤を用いた従来の手段によって調製できる。また、製剤は、適宜緩衝塩、香料、着色剤及び甘味剤を含むこともできる。経口投与用製剤を適切に処方して活性化合物の制御放出を与えることができる。
吸入による投与(例えば肺送達)について、治療剤は、好都合には、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切なガスを用いた加圧パック又はネブライザーからのエアロゾルスプレー提示の形態で送達できる。加圧エアロゾルの場合には、用量単位は、計量された量を送達するためのバルブを設けることによって決定できる。吸入器又は注入器で使用するための例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジは、化合物とラクトースやデンプンなどの好適な粉末基との粉末混合物を含有させて処方できる。
本発明の方法では、医薬化合物は、ガス注入、粉末及びエアロゾル製剤を含めた鼻腔内又は気管支内経路によっても投与できる(ステロイド吸入剤の例については、Rohatagi(1995)J.Clin.Pharmacol.35:1187-1193;Tjwa(1995)Ann.Allergy Asthma Immunol.75:107-111を参照されたい)。例えば、エアロゾル製剤を、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの許容される加圧噴射剤に入れることができる。また、これらのものは、ネブライザー又はアトマイザーなどの非加圧製剤用の医薬としても処方できる。典型的には、このような投与は、薬理学的に許容される水性緩衝液である。
SAPポリペプチド又はSAPアゴニストの呼吸送達(例えば、鼻腔内、吸入など)に適した医薬組成物は、固体又は液体の形態で調製できる。
本発明のSAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、注射、例えばボーラス注射又は連続注入による非経口投与のために処方できる。注射用処方物は、単位剤形、例えば防腐剤を添加したアンプル又は複数用量容器で提供できる。組成物は、油性又は水性ビヒクルへの懸濁液、溶液又はエマルジョンのような形態をとることができ、かつ、懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤などの処方剤を含有することができる。あるいは、活性成分は、使用前に適切なビヒクル、例えば発熱物質を含まない滅菌水で構成するための粉末形態であることができる。
さらに、本発明のSAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、デポー製剤としても処方できる。このような長時間作用型製剤は、移植(例えば、皮下若しくは筋肉内)又は筋肉内注射によって投与できる。したがって、例えば、治療剤は、適切な重合体又は疎水性材料(例えば許容される油へのエマルジョンとして)又はイオン交換樹脂と共に処方できる、あるいは難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として処方できる。また、放出制御処方物としてはパッチも挙げられる。
所定の実施形態では、ここに記載の化合物は、中枢神経系(CNS)への送達のために処方できる(Begley,Pharmacology & Therapeutics 104:29-45 (2004)で再検討)。CNSへの薬物送達のための従来の方法としては、脳神経外科戦略(例えば、脳内注射又は脳室内注入);薬剤の分子操作(例えば、血液脳関門の内因性輸送経路の一つを利用する試みにおいて自身が血液脳関門を横断することができない薬剤と組み合わせた、内皮細胞表面分子に対する親和性を有する輸送ペプチドを含むキメラ融合タンパク質の産生);薬剤の脂溶性を増加させるように設計された薬理学的戦略(例えば、脂質又はコレステロールキャリアに対する水溶性薬剤の結合);及び高浸透圧破壊によるBBBの完全性の一時的な破壊(マンニトール溶液の頸動脈への注入又はアンジオテンシンペプチドなどの生物学的に活性な薬剤の使用により生じる)が挙げられる。
所定の実施形態では、本発明のSAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、一般に局所薬物投与に適した局所用キャリアを含有し、かつ、当該技術分野において知られている任意の材料を含む局所用処方物に取り入れられる。局所用キャリアは、例えば軟膏、ローション、クリーム、マイクロエマルジョン、ゲル、油、溶液などの所望の形態の組成物を与えるように選択でき、かつ、天然又は合成起源の材料から構成できる。選択されたキャリアは、局所用処方物の活性剤又は他の成分に悪影響を及ぼさないことが好ましい。ここで、使用に適した局所用キャリアの例としては、水、アルコール及び他の非毒性有機溶媒、グリセリン、鉱油、シリコーン、ワセリン、ラノリン、脂肪酸、植物油、パラベン、ワックスなどが挙げられる。
医薬組成物(化粧品製剤を含む)は、ここに記載のSAPポリペプチド又はSAPアゴニストの1種以上を約0.00001~100%、例えば0.001~10重量%又は0.1重量%~5重量%含むことができる。所定の局所処方物では、活性剤は、処方物の約0.25重量%~75重量%の範囲、好ましくは処方物の約0.25重量%~30重量%の範囲、より好ましくは処方物の約0.5重量%~15重量%の範囲、最も好ましくは処方物の約1.0重量%~10重量%の範囲の量で存在する。
眼の状態は、例えば、治療剤の全身、局所、眼内注射によって又は治療剤を放出する徐放性装置の挿入によって治療又は予防できる。本発明のSAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、化合物が眼の角膜及び内部領域、例えば前房、結膜、房、硝子体、房水、硝子体液、角膜、虹彩/毛様体、水晶体、脈絡膜/網膜及び強膜に浸透するのに十分な時間にわたって化合物が眼表面と接触した状態に保持されるように薬学的に許容される眼科用ビヒクルで送達できる。薬学的に許容される眼科用ビヒクルは、例えば、軟膏、植物油又は封入材料とすることができる。あるいは、化合物は、硝子体液及び房水に直接注射できる。さらなる変形例では、化合物は、眼の治療のために、例えば静脈内注入又は注射により全身的に投与できる。
ここに記載の治療剤は、当該技術分野における方法に従って無酸素環境で保存できる。
典型的な組成物は、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストを1種以上の薬学的に許容されるキャリア及び任意に他の治療成分と共に含む。キャリアは、組成物の他の成分と相溶性があり、かつ、被験体において許容できない有害な作用を誘発しないという意味で「薬学的に許容される」ものでなければならない。このようなキャリアは、本明細書に記載されており又はそうでなければ薬理学の当業者に周知である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、発熱物質を含まず、かつ、ヒト患者への投与に適している。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、刺激性がなく、かつ、ヒト患者への投与に適している。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、アレルゲンフリーであり、かつ、ヒト患者への投与に適している。組成物は、薬学の分野において周知の方法のいずれかによって調製できる。
いくつかの実施形態では、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、経時放出処方物、例えば徐放性重合体を含む組成物で投与される。SAPポリペプチド又はSAPアゴニストは、急速な放出から保護するキャリアと共に調製できる。例としては、制御放出ビヒクル、例えば重合体、マイクロカプセル化送達システム又は生体接着性ゲルが挙げられる。あるいは、SAPポリペプチド又はSAPアゴニストの長期送達は、吸収を遅延させる組成物薬剤中に、例えばモノステアリン酸アルミニウムヒドロゲル及びゼラチンを含ませることによって達成できる。
核酸化合物を送達するための方法は、当該技術分野において知られている(Akhtar外,1992,Trends Cell Bio.,2,139;及びDelivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics,Akhtar著,1995;Sullivan外,PCT公開第WO94/02595号)。これらのプロトコールは、事実上任意の核酸化合物の送達のために利用できる。核酸化合物は、当業者に知られている様々な方法、例えばリポソームへの封入、イオン導入又はヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセル及び生体接着性マイクロスフェアなどの他のビヒクルへの取り込みによって細胞に投与できる。あるいは、核酸/ビヒクルの組み合わせは、直接注入又は注入ポンプの使用によって局所的に送達される。他の送達経路としては、経口(錠剤又は丸剤の形態)及び/又は髄腔内送達が挙げられる(Gold,1997,Neuroscience,76,1153-1158)。他のアプローチとしては、様々な輸送及びキャリア系の使用、例えば結合体及び生分解性重合体の使用が挙げられる。薬物送達戦略に関する包括的なレビューについては、Ho外,1999,Curr.Opin.Mol.Ther.,1,336-343及びJain,Drug Delivery Systems:Technologies and Commercial Opportunities,Decision Resources,1998及びGroothuis外,1997,J.NeuroVirol.,3,387-400を参照されたい。核酸送達及び投与のより詳細な説明は、Sullivan外,前出、Draper外,PCT WO93/23569、Beigelman外,PCTパンフレット第WO99/05094号及びKlimuk外,PCTパンフレット第WO99/04819号に提供されている。
次の実施例は、上記本発明を使用する方法をさらに完全に説明するのみならず、本発明の様々な態様を実施するための最良の形態を説明するのに役立つ。これらの実施例は、本発明の真の範囲を決して限定するものではなく、むしろ例示の目的で提示されると理解すべきである。
例1:α2,3シアル酸含有SAP単独及びルキソリチニブとの組み合わせによる骨髄線維症の治療:12週間での段階1の結果
組換えヒトSAP(この場合にはPRM-151として知られている組換えヒトSAP)を骨髄線維症(MF)患者に単独及びルキソリチニブ(RUX)との組み合わせで投与して、骨髄線維症(BMF)を治療する際の安全性及び有効性を評価した。中間-1、中間-2又はグレード≧2のBMFの高リスクMFを有し、治療を受けていない又はRUXの安定用量の患者がこの研究に適格であった。
20名の患者を、単剤療法として又は併用療法の一部としてPRM-151の投与に基づく4つのコホートの1つに割り当てた。コホート1:(i)少なくとも2週間以内にMFの治療を受けておらず、(ii)1、3及び5日目に静脈内注入(~1時間の注入)によって10mg/kgでのSAPの初期負荷用量を投与し及び(iii)その後4週間ごとに静脈内注入(~1時間の注入)により10mg/kgでのSAPの用量を投与した患者。コホート2:(i)少なくとも2週間以内にMFの治療を受けておらず、(ii)1、3及び5日目に静脈内注入(~1時間の注入)による10mg/kgでのSAPの初期負荷用量を投与し、及び(iii)その後静脈内注入(~1時間の注入)により10mg/kgでの毎週SAP用量を投与した患者。コホート3:(i)少なくとも12週間にわたるルキソリチニブの安定用量(例えば任意の用量の変更なしで少なくとも3ヶ月間にわたるルキソリチニブ)で、過去4週間の間に脾臓における改善なし、(ii)1、3及び5日目に静脈内注入(~1時間点滴)によって10mg/kgでのSAP初期負荷用量を投与し、(iii)その後静脈内注入(~1時間の注入)によって10mg/kgのSAPの用量を毎週投与し、及び(iv)研究に入った時点での用量でRUXを経口投与した患者。コホート4:(i)少なくとも12週間にわたるルキソリチニブの安定用量(例えば、任意の用量の変更なしで少なくとも3ヶ月間にわたるルキソリチニブ)で、過去4週間に脾臓における改善なし、(ii)1、3及び5日目に静脈内注入(~1時間点滴)によって10mg/kgのSAP初期負荷用量を投与し、(iii)その後静脈内注入(~1時間の注入)によって10mg/kgのSAP用量を4週間ごとに投与し、及び(iv)研究に入った時点での用量でRUXを経口投与した患者。
各コホートの患者を、BMFの改善並びに例えばMPN-SAFによって評価されるときの異常な血液細胞パラメータ、脾腫及び症状を含めた他のMF関連合併症について監視した。特に、患者を、骨髄様化生を有する骨髄線維症における治療応答のための国際ワーキンググループコンセンサス基準に従って全応答率を監視した(Tefferi A,Cervantes F,Mesa R外,Revised response criteria for myelofibrosis:International Working Group -Myeloproliferative Neoplasms Research and Treatment(IWG-MRT) and European LeukemiaNet(ELN) consensus report.Blood.2013;122:1395-1398)。また、患者を、有害事象の発生率、グレーディング骨髄線維症の欧州コンセンサスに従う骨髄線維症の変化(Thiele J,Kvasnicka HM,Facchetti F外,European consensus on grading bone marrow fibrosis and assessment of cellularity. Haematologica 2005;90:1128-1132.)、修正骨髄増殖性新生物症状査定フォーム(MPN-SAF)スコアの変化(Emanuel外2012,Journal of Clinical Oncology 30(33):4098- 4103)、並びに例えば最大薬物濃度(Cmax)、最大濃度までの時間(Tmax)、曲線下面積(AUC)、クリアランス及び分布容積を含めた薬物動態パラメータについて監視した。
治療の24週間後に、明確な治療関連骨髄抑制は無く、関連性にかかわらず≧2の被験者で生じるグレード≧2の有害事象を以下の表1にまとめる。グレードの下の各欄に示された数字は、有害事象が報告された患者の数を示す。空白のセルは、有害事象がそのコホートにおける被験者のいずれにおいても観察されなかったことを示す。
骨髄生検を、ベースライン及び治療の3ヶ月後に得、そして検討した。BMFの改善が試験した27名のうちの5名の被験者で観察された。具体的には、SAPによる治療を毎週受けた1名の患者(コホート2の患者)は、治療の12週間後にグレード3からグレード2に改善することが観察され、SAPによる治療を4週間ごとに受けた1名の患者(コホート1の患者)は、治療の12週間後にグレード2からグレード0に改善することが観察され、11回の前骨髄生検でグレード3の線維化を示す、ルキソリチニブに加えてSAPによる治療を4週間毎に受けた1名の患者(コホート4の患者)は、12週目にグレード3からグレード1及び24週目にグレード2に改善することが観察され、ルキソリチニブに加えて4週間ごとにSAPによる治療を受けた1名の患者(コホート4の患者)は、12週目にグレード3からグレード2に改善し及び24週目にグレード2からグレード1に改善することが観察された。したがって、MF患者はSAP単独及びRUXとの組み合わせの両方に対する良好な忍容性を示す。このデータは、組換えヒトSAPの単剤療法及びRUXとの同時治療の両方としての投与を使用してMF患者におけるBMFを改善することができることをさらに示す。以下で詳細に説明するように、BMFにおけるこれらの改善は、さらなる治療期間にわたるデータのさらなる分析で裏付けられた。これらの結果は、MFにおいて骨髄線維症を減少させる際にSAPを使用することを支持するのみならず、線維症を減少させかつ他の線維性癌において正常な組織機能を回復する際にSAPを使用するためのより一般的な支持も与える。
併用療法が有効であったのみならず、追加の抗癌治療単独の利益が衰え始めた患者にとっても好適な場合がある。さらに、併用療法は、抗癌治療単独による治療を受けた患者が経験する場合の多い副作用のいくつかを改善した。この場合には、治療レジメンに対するSAP添加前にルキソリチニブ(ヤヌスキナーゼ阻害剤)単独の治療を受けた患者について、本発明者は、SAPの添加前の患者が経験した副作用と比較して(例えば、ヤヌスキナーゼ阻害剤単独による治療と比較して)ヘモグロビンレベル及び血小板数の増加によって評価されるときの貧血及び血小板減少症の改善を観察した。代表的なデータを例3に示す。また、本発明者は、ルキソリチニブ単独での状態と比較して、SAP及びルキソリチニブについて患者における症状スコア及び脾臓の大きさの改善を観察した。これらの結果は、線維性癌のための単剤療法又は併用療法としてのSAPの有効性のみならず、SAPを使用して他の治療剤の治療範囲及び患者集団を拡大し、利用可能な治療が失敗したか不十分である患者のための治療モダリティ及び患者亜集団を与え、そして利用可能な治療法の安全性プロファイルを改善すると共に、それ自体が治療効果を有することを実証するものである。
例2:PRM-151単独及びルキソリチニブとの組み合わせによる骨髄線維症の治療:24週目でのステージ1の結果
例1で上記した研究の4つの治療群に登録された27名の患者の人口統計データを以下の表2にまとめる。研究に参加した患者は、ダイナミック国際予後スコアリングシステム(DIPSS)に従って中間-1、中間-2又は高リスクMFとして分類される原発性骨髄線維症(PMF)、真性多血症後骨髄線維症(PV後MF)又は本態性血小板血症後骨髄線維症(ET後MF)を有する者を包含した。27名の患者のうち15名は、現在の研究の前にJAK阻害剤による治療を受けていた。この研究に登録しかつ治療を開始した27名の患者のうち、18名の患者が24週を終え、評価は24週間のマークに達していなかった3名の患者について継続した。患者コホートは上記のとおりである。
脾臓サイズ、MPN-SAF及びCBCの評価を含めた臨床反応の評価を4週間ごとに実施した。BM生検を、ベースライン、12週及び24週目に実施した。この研究の24週目に観察されたIWG-MRTの症状及び骨髄応答を以下の表3にまとめる。1以上のIWG-MRT症状応答が4つの治療群のそれぞれで生じ、合計5名がこの24週間分析日時でのIWG-MRT症状応答を確認した。本発明者は、IWG-MRTを確認したときの応答をスコアするのに必要な応答の大きさが非常に高く(症状スコアの50%の減少が少なくとも12週間持続する)、6名の追加の患者が意味のある1以上のパラメータの改善を達成したが、この特定の閾値を達成しなかったことに注目する。この実験で設定した高閾値にもかかわらず、応答速度は、他の癌治療について達成されたものと一致しており、かつ、患者の臨床的に意味のある割合にわたって治療効果を示す。また、評価した患者の全ては、治療時点で有意な疾患を有しており、また全て(ただし2名をのぞく)は少なくとも1回の前治療を受け、かつ、それに失敗していた。この状況において、達成された応答性のレベルは特に注目に値する。
5名の患者では、骨髄線維症における≧1グレードの減少が観察された。1以上の骨髄応答、すなわち、骨髄線維症における少なくとも1グレードの減少が4つの治療群外の3名で観察された。例えば、2つの骨髄応答がそれぞれ4週間毎に組換えヒトSAPによる治療を受けた群(コホート1)及びルキソリチニブに加えて4週間毎に組換えヒトSAPによる治療を受けた群(コホート4)に見られた。脾臓体積の≧20%の減少が5名の患者において観察され、組換えヒトSAPによる治療を毎週受けた群(コホート2)において1名について50%の減少が8週間続いた。
ステージ1:27名の患者;ステージ2への移行のための基準=≧1応答
図1は、C6D29(サイクル6、29日目)又はその後に触知可能な脾臓を有する被験者における脾臓サイズの変化率を示す。評価された患者のほとんど(全4つの治療群からの13人の患者のうち10名)は、ベースラインと比較して、脾臓サイズの減少を示した。脾臓サイズの測定可能な減少を示した10名の患者のうち、2名の患者は、rhSAPによる治療を毎週受けた群(コホート2)からのものであり、3名の患者は、rhSAPによる治療を4週間毎に受けた群(コホート1)からのものであり、1名の患者はrhSAPとルキソリチニブとの組み合わせによる治療を毎週受けた群(コホート3)からのものであり、4名の患者は、rhSAPとルキソリチニブとの組み合わせによる治療を4週間ごとに受けた群(コホート4)からのものであった。コホート3及び4の患者は、研究前の少なくとも12週間にわたってルキソリチニブの安定用量(例えば、用量の変更なしに少なくとも3ヶ月間にわたるルキソリチニブ)であり、そしてSAP治療の開始前の最後の4週間前において脾臓サイズの改善を示さなくなった。したがって、コホート3及び4における応答性の患者(101~012、103~001、101~010、101~002及び103~004)は、以前にすでに前治療(ルキソリチニブ)での最大応答を達成していたものの、それでもルキソリチニブと組み合わせて使用されるSAP療法による治療の際に症状のさらなる改善を示したことに留意すべきである。実際に、患者101~012、103~001及び101~010は、併用療法で脾臓サイズの≧20%の改善を経験した。
図2は、C6D29(サイクル6、29日目)後、研究の終了時又はその後の被験者におけるMPN-SAF総症状スコアの変化率(TSS)を示す。評価された患者の大多数(全4つの治療群からの18名の患者のうち10名)は、ベースラインと比較してTSSの減少を示し、総症状スコアにおける≧50%の減少がサイクル6の29日目にこれらの患者の5名について観察された。2つ追加の被験者は≧8週間続く症状スコアの50%の減少があったが、サイクル6の29日には50%未満であった。測定可能な症状の応答を示した10名の患者のうち、1名の患者はrhSAPによる治療を毎週受けた群からのものであり(コホート2)、4名の患者は、rhSAPによる治療を4週間毎に受けた群からのものであり(コホート1)、3名の患者は、rhSAPとルキソリチニブとの組み合わせによる治療を毎週受けた群からのものであり(コホート3)、2名の患者は、rhSAPとルキソリチニブとの組み合わせによる治療を4週間毎に受けた群からのものであった(コホート4)。上記のように、コホート3及び4(108~002、101~011、108~001、101~010及び103~001)における応答患者は、以前にすでに前治療(ルキソリチニブ)について最大の応答を達成していたが、それにもかかわらず、ルキソリチニブに加えてSAPで治療すると症状のさらなる改善を示した。実際、コホート3及び4からの患者108~002及び101~010は、それぞれ、TSSにおいて≧50%の改善を示した患者群内にあった。
ヘモグロビン及び血小板レベルの改善、赤血球輸血の減少及び骨髄線維症の減少が4つ治療群全てにおける多数の患者について観察された。骨髄線維症の≧1グレード減少が12若しくは24週目又はその両方で5名の患者において観察された。
24週間後の結果の分析から、rhSAPの単独又は別の抗癌剤との組み合わせによる治療効果が非常に良好な安全性プロファイルと共に示される。これらの結果は、毎週及び4週間の投与計画で、骨髄線維症、ヘモグロビン、血小板、症状及び脾臓体積を含めた臨床関連基準にわたる改善により骨髄線維症患者における生物学的活性を実証するものである。評価された患者における疾患の重症度にもかかわらず、研究の初期段階であっても、また確認応答を評価するための高閾値を使用した場合であっても正の応答が4治療群全てで観察された。rhSAPによる治療は、他の治療法(例えば、治療関連骨髄抑制)で一般に観察されるように、臨床的に有意な骨髄抑制の証拠を生じることなく又はSAP療法の結果として安全で、かつ、単独及びルキソリチニブとの組み合わせでよく忍容した。認められた応答率は、他の癌治療剤で認められる効果と一致していた。1種以上のJAK阻害剤で治療した後に進行した又はルキソリチニブの安定用量によるさらなる利益が得られなかった患者において改善が認められた。SAPを受けた患者における線維症の病態の逆転は、このタンパク質の中枢機構を実証し、かつ、他の線維性癌にわたるSAPアゴニストの使用を裏付けるものである。
さらに、3の骨髄応答がrhSAP療法の36週目に評価された10名の追加の患者において観察され、また、12又は24週間段階で治療に応答性であることが確認されたこれらの患者は、治療の36週間後に応答し続けた。これは、長期rhSAP単剤又は別の抗癌剤との併用療法は、永続的な応答を生じさせる(例えば、有益な効果を付与し続ける)という追加の実証を与える。さらに、より長い患者が治療及び観察され、より多くの陽性応答が認められる:治療の24週間後の観察に基づいて推定されるよりもさらに高い応答率を示す。
例3:代表的な個々の患者データ
ここで、1名の応答性患者からの応答データの代表例を示す。患者101~005について24週間にわたるrhSAPによる治療に対するヘモグロビン、血小板、MPN-SAF TSS及び脾臓応答の傾向を図3A~Dに示す。患者101~005をSAPにより4週間毎に治療した(コホート1)。患者の特性を以下の表4にまとめる。
図3から分かるように、患者101~005は、治療の過程でヘモグロビン及び血小板のレベルの改善、MPN-SAF TSSの減少及び脾臓サイズの減少を示した。さらに、患者101~005は、12週目でグレード2からグレード0への骨髄線維症の減少を示した(図4)。
例4:代表的な骨髄線維症のデータ
骨髄線維症の≧1グレードの減少が5名の患者において観察された。患者101~005及び108~003からの代表的なレチクリン染色データをそれぞれ図4A及び図4Bに示す。患者101~005及び108~003は、それぞれ、コホート1及び4に属していた。骨髄生検をベースライン時並びに治療の3ヶ月及び6ヶ月後に得た。ベースライン時及び治療の3ヶ月後に患者101~005において骨髄線維症を評価するためのレチクリン染色の結果を図4Aに示す。図4Aから分かるように、3ヶ月目でのグレード2からグレード0への骨髄線維症の減少が患者101~005において観察された。ベースライン時、治療の3ヶ月後及び治療の6ヶ月後に患者108~003において骨髄線維症を評価するためレチクリン染色の結果を図4Bに示す。図4Bから分かるように、3ヶ月でのグレード3からのグレード2への骨髄線維症の減少及び6ヶ月でのグレード2からグレード1へのさらなる減少が患者108~003において観察された。線維症は、修復又は反応過程での器官又は線維における過剰な線維性結合組織の形成である。線維症の主成分はコラーゲンである。コラーゲンは、標準的なヘマトキシリン及びエオシン病理学においてピンク色のアモルファス組織として見える。レチクリン染色は、3型コラーゲンの繊維を黒色ストランドとして示し、これを使用して病理学者が全ての器官における線維症の存在を同定する。レチクリン染色は、骨髄線維症の等級のコア要素である(Thiele外,Hematologica 2005;90:1128-1132。いくつかのレチクリン染色は、正常の骨髄、特に血管壁中に存在する。
観察された骨髄線維症の反転(例えば減少)は、臓器機能、この場合には骨髄機能の回復及び/又は改善の指標である。骨髄機能の回復は、これ及び他の患者の全血球計算値(CBC)の改善によりさらに証明される。
例5:組換えヒトSAP(rhSAP)及びルキソリチニブ併用療法による骨髄線維症の治療
PMF、PV後MF又はET後-MFを含めた骨髄線維症を有すると診断され、かつ、脾臓の改善なしで少なくとも3ヶ月間にわたるルキソリチニブの安定用量の患者は、CHO細胞において組換えにより発現されたヒトα2,3シアル酸含有SAP(CHO細胞において発現するrhSAP;少なくとも1つのα2,3結合を含み、かつ、ヒト血清に由来するSAPのグリコシル化の点で異なるSAP)を、ルキソリチニブと組み合わせて受ける。有効性は、応答としての少なくとも1グレードによる骨髄線維症の改善に伴う安定な疾患を含むように修正された国際ワーキンググループ(IWG)基準に従って分類される全体的な応答率(ORR)の評価によって評価される。治療に応答する被験者は、利益がある限りそれを受け続ける。
例6:組換えヒトSAP(rhSAP)による骨髄線維症の治療
PMF、PV後MF又はET後-MFを含めた骨髄線維症を有すると診断された患者は、CHO細胞において組換えにより発現されたヒトα2,3シアル酸含有SAP(CHO細胞において発現するrhSAP;少なくとも1つのα2,3結合を含み、かつ、ヒト血清に由来するSAPのグリコシル化の点で異なるSAP)を受ける。有効性は、応答としての少なくとも1グレードによる骨髄線維症の改善に伴う安定な疾患を含むように修正された国際ワーキンググループ(IWG)基準に従って分類される全体的な応答率(ORR)の評価によって評価される。治療に応答する被験者は、利益がある限りそれを受け続ける。
参照による援用
ここで言及された全ての刊行物及び特許は、それぞれの刊行物又は特許が参照によって援用されるように具体的かつ個別に示されたかのように、その全体が参考として援用される。主題の特定の実施形態を議論してきたが、上記明細書は例示であって限定ではない。当業者であれば、本明細書及び特許請求の範囲を検討することにより多数の変形が明らかであろう。本発明の全範囲は、特許請求の範囲を均等の全範囲と共に、及び明細書をこのような変形と共に参照することによって決定すべきである。
配列表
配列番号1:ヒト血清アミロイドタンパク質P
HTDLSGKVFVFPRESVTDHVNLITPLEKPLQNFTLCFRAYSDLSRAYSLFSYNTQGRDNELLVYKERVGEYSLYIGRHKVTSKVIEKFPAPVHICVSWESSSGIAEFWINGTPLVKKGLRQGYFVEAQPKIVLGQEQDSYGGKFDRSQSFVGEIGDLYMWDSVLPPENILSAYQGTPLPANILDWQALNYEIRGYVIIKPLVWV
配列番号2:Gallus gallus血清アミロイドタンパク質P
QEDLYRKVFVFREDPSDAYVLLQVQLERPLLNFTVCLRSYTDLTRPHSLFSYATKAQDNEILLFKPKPGEYRFYVGGKYVTFRVPENRGEWEHVCASWESGSGIAEFWLNGRPWPRKGLQKGYEVGNEAVVMLGQEQDAYGGGFDVYNSFTGEMADVHLWDAGLSPDKMRSAYLALRLPPAPLAWGRLRYEAKGDVVVKPRLREALGA
配列番号3:Bos taurus血清アミロイドタンパク質P
QTDLRGKVFVFPRESSTDHVTLITKLEKPLKNLTLCLRAYSDLSRGYSLFSYNIHSKDNELLVFKNGIGEYSLYIGKTKVTVRATEKFPSPVHICTSWESSTGIAEFWINGKPLVKRGLKQGYAVGAHPKIVLGQEQDSYGGGFDKNQSFMGEIGDLYMWDSVLSPEEILLVYQGSSSISPTILDWQALKYEIKGYVIVKPMVWG
配列番号4:Cricetulus migratorius血清アミロイドタンパク質P
QTDLTGKVFVFPRESESDYVKLIPRLEKPLENFTLCFRTYTDLSRPHSLFSYNTKNKDNELLIYKERMGEYGLYIENVGAIVRGVEEFASPVHFCTSWESSSGIADFWVNGIPWVKKGLKKGYTVKTQPSIILGQEQDNYGGGFDKSQSFVGEMGDLNMWDSVLTPEEIKSVYEGSWLEPNILDWRALNYEMSGYAVIRPRVWH