概観
本開示は、対立遺伝子荷重を低下するためおよび/または対立遺伝子荷重を使用して処置有効性を評価するための方法およびキットを含む、骨髄増殖性障害を有する対象における対立遺伝子荷重を評価するための方法およびキットを提供する。本開示は、骨髄増殖性障害を有する対象を処置するための方法であって、対象が、1種または複数の遺伝子に突然変異を保有する(carrier)方法も提供する(例えば、対象は、骨髄増殖性障害に関連する1種または複数の突然変異を含む細胞を含む)。
多数の予後的に関連性がある体細胞突然変異および細胞遺伝学的異常が、骨髄増殖性障害に関連することが見出された。予後的に関連性がある突然変異が、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、SRSF2、EZH2、IDH1およびIDH2を含む、多様なセットの遺伝子において同定された。JAK2、MPL、CALR、ASXL1およびSRSF2突然変異の存在は、近年の試験(Tefferiら、ASH 2014年要約406)において、原発性骨髄線維症における生存短縮の独立予測因子であることが見出され、JAK2、MPLおよびCALR(TN)のトリプルネガティブ、JAK2またはMPL突然変異、ならびにASXL1、SRSF2、EZH2またはIDH1/2における突然変異は、別のコホートにおける劣った生存のリスク因子として同定された(Vanucchiら、ASH 2015年要約405)。よって、突然変異状態は、不良な転帰の予測因子である。
原発性骨髄線維症における細胞遺伝学的異常は近年、4種のリスク表記に層別化された:非常に高リスク(MK、inv(3)、i(17q)、−7/7q−、11qまたは12p異常)、高(MKなしの複合型;非常に高リスクのカテゴリーに含まれない2種の異常、5q−、+8;+9を除く他の常染色体トリソミー;および他のリスクカテゴリーに含まれない他の単独異常)、中間(20q−の単独異常;1q重複または他のいずれかの転座;および−Yまたは他の性染色体異常)および低(正常または13q−もしくは+9の単独異常)(Tefferiら、ASH 2014年要約631)。
対立遺伝子荷重は、例えば、造血細胞における突然変異型および野生型核酸の間の比である。現在のところ、ヒトにおけるJAK阻害剤療法は、JAK2V617F対立遺伝子荷重または骨髄の線維症に殆ど効果がなかった(Tefferi.Blood 119巻(12号):2721〜2730頁)。JAK2V617Fに加えて、PMFおよび他のBCR−ABL1陰性骨髄増殖性新生物は、MPL、TET2、ASXL1、CBL、IDH1、IDH2、IKZF1、LNK、EZH2、DNMT3A、CUX1およびSF3B1突然変異を含む、上述の多くの他の体細胞突然変異によって特徴付けられる(Tefferiら、Mayo Clin Proc.2012年、87巻(1号):25〜33頁)。他の予後的に関連性がある体細胞突然変異の定量的解析および細胞遺伝学的解析も、骨髄増殖性障害のモニターおよび管理に有用になるであろう。
本開示は、SAPタンパク質を使用して骨髄増殖性障害を処置するための新たな遺伝学に基づく治療レジメンを提供する。
骨髄線維症は、骨髄における高密度の線維性組織の存在によって特徴付けられる。治療介入の目標の1つは、過剰な線維性組織を予防または低下させることによって、正常臓器機能を回復させることである。線維症をもたらす事象の調節は、少なくとも2種の主要な事象を伴う。その1つは、線維細胞の増殖および分化である。線維細胞は、組織傷害の部位に正常に進入して、血管新生および創傷治癒を促進する、末梢血単球に由来する線維芽細胞様細胞の別個の集団である。線維細胞は、腫瘍、特に、腫瘍における間質組織の形成において重要である。線維細胞は、CD14+末梢血単球から分化し、他のPBMC細胞から分化することができる。SAP、IL−12、ラミニン−1、抗FcγR抗体、架橋したIgGおよび/または凝集したIgGの存在は、この過程を阻害または少なくとも部分的に遅延し得る。
第2の主要な事象は、線維性組織の形成および維持である。線維性組織は、単球から線維細胞、マクロファージまたは筋線維芽細胞への分化、線維芽細胞のリクルートメントおよび増殖、新たな細胞外マトリックスの形成、ならびに新たな血管組織の成長によって形成および維持され得る。例えば、慢性炎症、傷害、悪性疾患または特発性線維症の後、病的線維症において、組織損傷および破壊を生じ得るのは、このような過剰な線維性組織である。
近年、血清アミロイドP(SAP)またはペントラキシン−2(PTX−2)が、微生物感染に起因する障害などの、線維症関連障害、過敏性障害、自己免疫性障害、粘膜炎および炎症性障害を含む、様々な障害を処置するための治療剤として使用され得ることが示唆された。例えば、米国特許第8,247,370号および同第8,497,243号、ならびに米国特許出願第12/720,845号および同第12/720,847号を参照されたい。FcγRへのSAP結合は、線維細胞、線維細胞前駆体、筋線維芽細胞前駆体および/または造血単球前駆体分化に対する阻害性シグナルをもたらす。線維症の治療的処置としてのSAPおよびSAPアゴニストの使用は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,763,256号および同第8,247,370号に記載されている。本明細書に記載されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、この方法は、SAPタンパク質の投与を含む(実施例を参照)。ある特定の実施形態では、SAPは、CHO細胞において産生される組換えヒトSAPなどの、組換えヒトペントラキシン−2とも称される組換えヒトSAPである。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、ヒト血清から精製されたSAPのものとは異なるグリコシル化を有するヒトSAPタンパク質などの、ヒトSAPタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、N結合型オリゴ糖鎖のシアル酸付加された分枝の全てが、α2,3結合型シアル酸部分において終結する、および/またはN結合型オリゴ糖鎖が、α2,6結合型シアル酸部分を実質的に含まないヒトSAPタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、本開示の方法は、グリコシル化ヒトSAPタンパク質を含む組成物を投与するステップを含み、このヒトSAPタンパク質は、5個のSAPプロトマーを含む。ある特定の実施形態では、プロトマーの少なくとも1個、または1、2、3、4もしくは5個のこのようなプロトマーは、N結合型オリゴ糖鎖を含み、このオリゴ糖鎖の少なくとも1本の分枝は、α2,3結合型シアル酸部分で終結する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、5個のSAPプロトマーを含み、各プロトマーは、N結合型オリゴ糖鎖を含み、オリゴ糖鎖の少なくとも1本の分枝は、α2,3結合型シアル酸部分で終結する、またはSAPタンパク質のシアル酸付加された(sialyated)分枝の全てが、α2,3結合型シアル酸部分において終結する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質を含む組成物またはSAPタンパク質は、血清由来(derivated)SAPと比較して、85%少ないα2,6結合型シアル酸を含む。一部の実施形態では、オリゴ糖鎖(複数可)のシアル酸付加された分枝の全ては、α2,3結合型シアル酸部分で終結する。一部の実施形態では、オリゴ糖鎖(複数可)は、α2,6結合型シアル酸部分を実質的に含まない。
本開示は、骨髄増殖性障害を処置するための方法を提供する。本方法は一般に、単剤としてまたは追加的な薬剤と組み合わせて、SAPタンパク質などの抗線維化剤の有効量を投与するステップを含む。
一部の実施形態では、SAPタンパク質の有効量は、単独でまたは併用療法において投与されると、SAPタンパク質による処置前の個体における突然変異型対立遺伝子荷重と比較して、突然変異型対立遺伝子荷重を少なくとも約10%、より好ましくは、少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%またはさらには少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%またはそれを超えて低下させるのに有効となる量である。ある特定の実施形態では、突然変異型対立遺伝子荷重の低下は、約10%〜90%、10%〜75%、10%〜50%、20%〜75%、30%〜75%、20%〜50%、30%〜60%などである。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、投薬スケジュールおよび/または投与レジメンに従った複数の投薬で投与され、対立遺伝子荷重の低下は、複数用量後に(例えば、約1、2、3、4または5カ月間の処置後に)評価される。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、投薬スケジュールおよび/または投与レジメンに従って投与され、単独でまたは併用療法において投与されると、SAPによる処置前の個体における線維症の程度と比較して、線維症を少なくとも約10%、より好ましくは、少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%またはさらには少なくとも約50%またはそれを超えて低下させるのに有効となる。ある特定の実施形態では、線維症は、骨髄の線維症であり、有効な処置は、骨髄の線維症の少なくとも1グレード、任意選択で少なくとも2グレードの低下である。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、投薬スケジュールおよび/または投与レジメンに従って複数用量で投与され、線維症の低下は、複数用量後に(例えば、約1、2、3、4または5カ月間の処置後に)評価される。
本開示の方法は、骨髄増殖性障害に蔓延している選択された遺伝的突然変異および細胞遺伝学的異常ならびにSAPタンパク質の間の相互作用の評価において有用である。本開示の方法は、ベースライン突然変異状態または細胞遺伝学的異常およびSAPタンパク質による処置に対する応答の関連の評価において有用である。一部の実施形態では、SAPタンパク質は、グリコシル化SAPタンパク質を含む(例えば、ヒト血清から精製されたSAPのものとは異なるグリコシル化を有するグリコシル化SAPタンパク質などのグリコシル化SAPタンパク質を含むSAP;組換えヒトペントラキシン−2またはPRM−151などの組換えヒトSAP)。
定義
他に規定がなければ、本明細書に使用されているあらゆる技術および科学用語は全般的に、当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。一般に、本明細書に使用されている命名法、ならびに細胞培養、分子遺伝学、有機化学および核酸化学およびハイブリダイゼーションにおける研究室手順は、当技術分野で周知のものであり、一般的に用いられている。標準技法が、核酸およびペプチド合成のために使用されている。技法および手順は、本文書を通じて提供されている、当技術分野の従来方法および様々な一般の参考文献(例えば、Sambrookら、1989年、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.)に従って一般に実施されている。
冠詞「ある(a)」および「ある(an)」は、この冠詞の文法上の目的語の1個または2個以上(すなわち、少なくとも1個)を指すように本明細書で使用されている。例として、「あるエレメント(an element)」は、1個のエレメントまたは2個以上のエレメントを意味する。
本明細書において使用する場合、用語「約」は、この用語が使用されている数の数値のプラスマイナス10%を意味する。したがって、約50%は、45%〜55%の範囲内を意味する。
本明細書において使用する場合、用語「実質的に」は、指定されている事柄の大部分ではあるが、全体ではないことを意味する。例えば、ヌクレオチド配列に関する用語「実質的に同様」は、この配列が、同じタンパク質またはペプチドに関する別の報告された配列に対し大部分は同一であることを示す;しかし、このヌクレオチド配列は、その結果得られるタンパク質の構造または機能に影響を与えない、いずれかの数の変異または突然変異を含むことができる。
「投与」は、治療薬と併せて使用されている場合、標的組織の中もしくはその上に治療薬を直接的に投与すること、または患者に治療薬を投与し、それにより治療薬が患者に影響を与えることができることを意味する。よって、本明細書において使用する場合、用語「投与」は、SAPタンパク質と併せて使用される場合、例えば、静脈内注射(例えば、静脈内注入となり得る)、皮下送達(例えば、皮下注射または皮下送達デバイスの植え込み)によって全身的に対象にSAPタンパク質を与え、それにより治療薬が標的組織に達することを含むことができるがこれらに限定されない。
組成物の「投与」は、例えば、静脈内、皮下、筋肉内もしくは病巣内注射、経口投与、局所投与、または他の公知技法と組み合わせたこれらの方法によって達成することができる。このような組合せ技法は、加熱、照射、超音波および送達剤の使用を含む。2種以上の異なる治療剤が投与される場合、薬剤は、同じもしくは異なる投与経路によって、および/または同じもしくは異なる時点で投与することができる。当技術分野で理解される通り、薬剤は、投薬スケジュールに従って投与することができる。
本明細書において使用する場合、用語「投与レジメン」は、用量または投薬量(すなわち、SAPタンパク質の量)および投薬スケジュール(すなわち、SAPタンパク質の投与(aministration)頻度または逐次的用量間の間隔)の両方を包含する。
「与える」は、治療薬と併せて使用されている場合、標的組織の中もしくはその上に治療薬を直接的に投与すること、または患者に治療薬を投与し、それにより治療薬が患者に影響を与えることができることを意味する。
用語「改善する」は、本開示が、これが与えられている、適用されているまたは投与されている組織の特徴および/または物理的属性のいずれかを変化させることを伝えるように使用される。罹患状態が「改善された」場合、この罹患状態に関連する症状、徴候または物理的特徴が、縮小、低下または排除されるように、用語「改善する」は、罹患状態と併せて使用することもできる。
本明細書において使用する場合、「単離される」は、ヒトの介入により天然状態から変更または除去されることを意味する。例えば、生きている動物に天然に存在するSAPは、「単離されて」いないが、合成SAPタンパク質または組換えSAPタンパク質、またはその天然状態の共存する材料から部分的にもしくは完全に分離されたSAPタンパク質は、「単離されて」いる。単離されたSAPタンパク質は、実質的に精製された形態で存在することができる、または例えば、SAPタンパク質が送達された細胞などの非天然環境において存在することができる。
用語「模倣物」、「ペプチド模倣物」および「ペプチドミメティック(peptidomimetic)」は、本明細書で互換的に使用されており、一般に、選択された天然のペプチドまたはタンパク質機能ドメイン(例えば、結合モチーフまたは活性部位)の三次結合構造または活性を模倣するペプチド、部分的ペプチドまたは非ペプチド分子を指す。これらのペプチド模倣物は、さらに後述する通り、組換えによりまたは化学的に修飾されたペプチドと共に、小分子薬物模倣物などの非ペプチド薬剤を含む。
本明細書において使用する場合、用語「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA)および必要に応じて、リボ核酸(RNA)などのポリヌクレオチドを指す。この用語は、等価物として、ヌクレオチドアナログから作製されたRNAまたはDNAのいずれかのアナログ、また、記載されている実施形態に適用可能な場合、一本鎖(例えば、センスまたはアンチセンス)および二本鎖ポリヌクレオチドを含むと理解されるべきでもある。
「任意選択の」または「任意選択で」は、その後に記載される事象または状況が、起こっても起こらなくてもよく、この記載が、事象が起こる実例および事象が起こらない実例を含むことを意味する。
用語「ペプチド」、「タンパク質」および「ポリペプチド」は、本明細書で互換的に使用されている。用語「精製されたタンパク質」は、好ましくは、細胞または細胞ライセートにおいてこのタンパク質(複数可)と正常においては会合する他のタンパク質から単離された、さもなければそれを実質的に含まない、タンパク質(単数または複数)の調製物を指す。用語「他の細胞タンパク質を実質的に含まない」または「他の混入タンパク質を実質的に含まない」は、20%(乾燥重量で)未満の混入タンパク質を含むタンパク質のそれぞれの個々の調製物を包含するものとして定義され、これは好ましくは、5%未満の混入タンパク質を含む。タンパク質のそれぞれの機能性形態は、当技術分野で周知の通りクローニングされた遺伝子を使用することにより、精製された調製物として調製することができる。「精製された」とは、示されている分子が、他のタンパク質(特に、精製された調製物として、または対象の再構成された混合物中のその機能においてのいずれかで、構成要素タンパク質の特徴を実質的に遮蔽、縮小、混乱または変更し得る他のタンパク質)などの他の生体高分子の実質的非存在下で存在することを意味する。用語「精製された」は、本明細書において使用する場合、好ましくは、存在する同じ種類の生体高分子の、少なくとも80乾燥重量%、より好ましくは、85重量%、より好ましくは95〜99重量%、最も好ましくは少なくとも99.8重量%の範囲内を意味する(ただし、水、緩衝液および他の小分子、特に、5000未満の分子量を有する分子は存在してよい)。用語「純粋」は、本明細書において使用する場合、好ましくは、直前に記載の「精製された」と同じ数値的限界を有する。
「薬学的に許容される」、「生理学的に耐容できる」およびそれらの文法上の変種は、組成物、担体、希釈剤および試薬または製剤の他の成分を指す場合、互換的に使用することができ、そのレシピエントに悪心、眩暈感、発疹、胃の不調(gastric upset)または他の有害効果などの望ましくない生理学的効果を生じることなく、その材料を投与することができることを示す。
「薬学的に許容される塩」は、酸および塩基付加塩の両方を含む。「薬学的に許容される酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的にも他の点でも望ましくないことがなく、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸などの無機酸により形成される塩を指す。有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)、複素環式、カルボン酸(carboxylic)およびスルホン酸(sulfonic)クラスの有機酸から選択することができ、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アントラニル酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、エンボン酸(embonic acid)、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸(salicyclic acid)などが挙げられる。
本明細書において使用する場合、用語「薬学的に許容される塩、エステル、アミドおよびプロドラッグ」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激作用、アレルギー性応答などを伴わない、患者の組織と接触した使用に適した、妥当な利益/リスク比と釣り合った、その意図される使用に有効であると共に、可能であれば、本開示の化合物の両性イオン型である化合物のカルボン酸塩、アミノ酸付加塩、エステル、アミドおよびプロドラッグを指す。
本明細書において使用する場合、用語「治療薬」は、患者の望まれない状態または疾患を処置する、戦う、好転させる(ameliorate)、予防するまたは改善するために利用される薬剤を意味する。一部には、本開示の実施形態は、骨髄増殖性疾患、または細胞の異常増殖の処置を対象とする。
組成物の「有効量」は、所望の結果を達成するように計算された既定量である。有効量は、ある期間にわたって所望の治療効果を生じる投与レジメンと一貫した量である。治療上有効となる有効量のため、経時的な複数用量が要求される場合がある。本明細書におけるある特定の実施形態では、有効量が特異的である場合、治療有効量が同様に参照され得る。所望の結果は、症状、徴候の維持、好転もしくは消散、または本明細書に記載されている効果のいずれか、または当技術分野で有用な効果として一般的に認識されている効果のいずれかとなり得る。本方法によって企図される活性は、必要に応じて医学的治療および/または予防的処置の両方を含む。治療および/または予防的効果を得るために本開示に従って投与される化合物の特異的な用量は、当然ながら、例えば、投与される化合物、投与経路、および処置されている状態を含む、その事例を取り巻く特定の状況によって決定されるであろう。本開示の化合物の有効量は、典型的には、生理学的に耐容できる賦形剤組成物において投与された場合に、十分となるような量である。「治療有効量」は、投薬スケジュールに従って投与することができる。投薬スケジュールに従って薬物を投与する場合、症状または徴候における改善が観察される前に、ある程度の期間を要し得ることが理解される。にもかかわらず、単独でまたは組み合わせて、症状もしくは徴候における改善および/または対立遺伝子荷重の減少をもたらすまたはそれをもたらすように意図される、1つまたは複数の用量での投与が、有効量の投与の例示である。
「N結合型」オリゴ糖は、アスパラギンを介して、アスパラギン−N−アセチルグルコサミン結合によってペプチド主鎖に連結されたオリゴ糖である。N結合型オリゴ糖は、「N−グリカン」とも呼ばれる。天然に存在するN結合型オリゴ糖は、Man[(α1,6−)−(Man(α1,3)]−Man(β1,4)−GlcNAc(β1,4)−GlcNAc(β1,N)の共通五糖コアを有する。これは、N−アセチルグルコサミン、ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、フコースおよびシアル酸などの、末梢の糖の分枝(アンテナ(antennae)とも呼ばれる)の存在およびその数が異なる。任意選択で、この構造は、コアフコース分子および/またはキシロース分子を含有することもできる。
用語「シアル酸」は、9−炭素カルボキシル化糖のファミリーのいずれかのメンバーを指す。シアル酸ファミリーの最も一般的なメンバーは、N−アセチル−ノイラミン酸(多くの場合、Neu5Ac、NeuAcまたはNANAと省略)である。ファミリーの第2のメンバーは、NeuAcのN−アセチル基がヒドロキシル化された、N−グリコリル−ノイラミン酸(Neu5GcまたはNeuGc)である。第3のシアル酸ファミリーメンバーは、2−ケト−3−デオキシ−ノヌロソン酸(nonulosonic acid)(KDN)(Nadanoら(1986年)J. Biol. Chem.261巻:11550〜11557頁;Kanamoriら、J. Biol. Chem.265巻:21811〜21819頁(1990年))である。9−O−C1C6−アシル−Neu5Ac、例えば、9−O−ラクチル(lactyl)−Neu5Acまたは9−O−アセチル−Neu5Ac、9−デオキシ−9−フルオロ−Neu5Acおよび9−アジド−9−デオキシ−Neu5Acなどの9−置換シアル酸も含まれる。シアル酸ファミリーの総説については、例えば、Varki、Glycobiology 2巻:25〜40頁(1992年);Sialic acids: Chemistry, Metabolism and Function、R. Schauer編(Springer−Verlag、New York(1992年))を参照されたい。
「遺伝子操作された」または「組換え」細胞は、細胞の遺伝物質に1個または複数の修飾を有する細胞である。このような修飾として、遺伝物質の挿入、遺伝物質の欠失、および染色体外(extrachromasomal)での遺伝物質の挿入が挙げられるが、これらに限定されず、このような材料が安定的に維持されているか否かは問わない。
本明細書において使用する場合、用語「修飾された糖」は、本開示のプロセスにおいてペプチドのアミノ酸またはグリコシル残基に酵素により付加された、天然に存在するまたは天然に存在しない炭水化物を指す。修飾された糖は、糖ヌクレオチド(一、二および三ホスフェート)、活性化された糖(例えば、グリコシルハライド、グリコシルメシレート)、および活性化されていなければヌクレオチドでもない糖が挙げられるが、これらに限定されない、多数の酵素基質から選択される。「修飾された糖」は、「修飾基」により共有結合により官能化(functionalize)することができる。有用な修飾基として、水溶性および水不溶性ポリマー、治療部分、診断部分、ならびに生体分子が挙げられるが、これらに限定されない。修飾基による官能化の位置は、「修飾された糖」が、ペプチドまたはペプチドのグリコシル残基に酵素により付加されるのを妨げないように選択される。
用語「接合生殖性状態」は、本明細書において使用する場合、当技術分野で公知のおよび本明細書に記載されている検査方法によって決定される、ヘテロ接合、ホモ接合またはヘミ接合を現す試料、細胞集団または生物を指す。用語「核酸の接合生殖性状態」は、核酸の供給源が、ヘテロ接合、ホモ接合またはヘミ接合を現すかに関する決定を意味する。「接合生殖性状態」は、配列中の単一ヌクレオチドの差を指すことができる。一部の方法において、単一突然変異に関する試料の接合生殖性状態は、ホモ接合野生型、ヘテロ接合(すなわち、一方が野生型対立遺伝子で、もう一方が突然変異型対立遺伝子)、ホモ接合突然変異型またはヘミ接合(すなわち、野生型または突然変異型対立遺伝子のいずれかの単一コピー)としてカテゴリー化することができる。臨床研究室で慣例的に行われている血漿または細胞試料の直接的配列決定は、ヘミ接合性およびホモ接合性の間を確実に識別しないため、一部の実施形態では、これらのクラスは、グループにまとめられる。例えば、野生型核酸が全く検出されないまたは最小量検出される試料は、「ヘミ接合/ホモ接合突然変異型」と命名される。一部の実施形態では、「最小量」は、約1〜2%の間となり得る。他の実施形態では、最小量は、約1〜3%の間となり得る。さらに他の実施形態では、「最小量」は、1%未満となり得る。
処置方法
一部には、本開示は、SAPタンパク質を使用した、骨髄増殖性障害(MPD)を処置するための新たな遺伝学に基づく治療レジメンを提供する。一態様では、本開示は、MPDに関連する1種または複数の体細胞突然変異または細胞遺伝学的異常を保有する対象におけるMPDを処置する方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2から選択される1種または複数の遺伝子におけるMPDに関連する突然変異を保有する対象に(例えば、突然変異は、対象の一部の造血細胞に見出され得る)、治療有効量の血清アミロイドP(SAP)タンパク質を投与するステップを含む。本開示のSAPタンパク質は、単独でまたは追加的な薬剤と組み合わせて使用されて、MPDを処置する。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独療法として使用される。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、抗がん剤と組み合わせて使用される。一部の実施形態では、MPDに関連する突然変異は、JAK2V617Fではない。本開示は、本明細書に記載されている特色のいずれかの組合せを有する、本明細書に記載されている方法のいずれかを企図する。
一態様では、本開示は、突然変異型対立遺伝子荷重および/または細胞遺伝学的異常を低下させるのに有効な投薬スケジュールおよび/または投与レジメンに従ってSAPタンパク質を投与することによって、MPDに関連する1種または複数の体細胞突然変異および/または細胞遺伝学的異常を保有する対象におけるMPDを処置する方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2から選択される1種または複数の遺伝子における骨髄増殖性障害に関連する突然変異を保有する対象に(例えば、突然変異は、対象の一部の造血細胞に見出され得る)、治療有効量の血清アミロイドP(SAP)タンパク質を投与するステップを含み、SAPタンパク質は、前記対象における前記遺伝子の突然変異型対立遺伝子荷重を低下させるのに有効な投与レジメンに従って投与される。本開示のSAPタンパク質は、単独でまたは追加的な薬剤と組み合わせて使用されて、MPDを処置する。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独療法として使用される。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、抗がん剤と組み合わせて使用される。一部の実施形態では、MPDに関連する突然変異は、JAK2V617Fではない。
一態様では、本開示は、SAPタンパク質を投与することによって、MPDに関連する突然変異型対立遺伝子荷重および/または細胞遺伝学的異常を低下させる方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2から選択される1種または複数の遺伝子における突然変異型対立遺伝子荷重を低下させるための方法を提供する。本開示のSAPタンパク質は、単独でまたは追加的な薬剤と組み合わせて使用されて、MPDを処置する。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独療法として使用される。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、抗がん剤と組み合わせて使用される。一部の実施形態では、MPDに関連する突然変異は、JAK2V617Fではない。
一態様では、本開示は、SAPタンパク質を与えている対象の突然変異状態および/または細胞遺伝学的情報の定量的および定性的解析に基づき、MPDに対するSAPタンパク質療法の有効性をモニターする方法を提供する。突然変異状態の定量的解析は、突然変異型対立遺伝子荷重の測定を含むことができ、SAPタンパク質療法の開始前、および療法の経過における異なる時点での突然変異状態の比較を含むことができる。同様に、細胞遺伝学的解析は、療法の開始前および療法の経過における異なる時点で行われる。一部の実施形態では、本方法は、(i)JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2から選択されるMPDに関連する1種または複数の遺伝子における突然変異の第1の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第1の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与前に測定される、ステップと、(ii)(i)で測定された同じ突然変異の第2の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第2の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与後に測定される、ステップと、(iii)第2の突然変異型対立遺伝子荷重および第1の突然変異型対立遺伝子荷重の間の差を同定するステップとを含む。さらなる実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重の減少は、SAPタンパク質の投与が、MPDの処置において有効であり、投与レジメンを維持することができる、または投薬量および/または投与頻度を減少させるように修飾することができることを示す。本開示のSAPタンパク質は、単独でまたは追加的な薬剤と組み合わせて使用されて、MPDを処置する。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独療法として使用される。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、抗がん剤と組み合わせて使用される。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害に関連する突然変異は、JAK2V617Fではない。
一態様では、本開示は、MPDに関連する1種または複数の体細胞突然変異および/または細胞遺伝学的異常の存在または非存在に基づき、SAPタンパク質またはアゴニスト療法に対する応答性を決定する方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、(i)骨髄増殖性障害を有する対象の細胞が、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2から選択される1種または複数の遺伝子における骨髄増殖性障害に関連する突然変異を保有するかどうかを決定するステップと、対象が、前記突然変異型対立遺伝子を保有する場合、(ii)治療有効量の血清アミロイドP(SAP)タンパク質を対象に投与するステップとを含む。本開示のSAPタンパク質は、単独でまたは追加的な薬剤と組み合わせて使用されて、MPDを処置する。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独療法として使用される。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、抗がん剤と組み合わせて使用される。一部の実施形態では、MPDに関連する突然変異は、JAK2V617Fではない。本開示の上述の態様のいずれかの一部の実施形態では、対象は、TET2、CBL、IKZF1、LNK、DNMT3A、CUX1、U2AF1およびSF3B1から選択される1種または複数の遺伝子における突然変異を含む、および/または本開示の方法は、TET2、CBL、IKZF1、LNK、DNMT3A、CUX1、U2AF1およびSF3B1から選択される1種または複数の遺伝子の突然変異解析を行うステップをさらに含む。
本開示の上述の態様のいずれかは、細胞遺伝学的解析とさらに組み合わせて、MPD関連細胞遺伝学的異常のうちの1種または複数に関してアッセイすることができ、そのような異常として、モノソーム核型;inv(3);i(17q);−7/7q−;11qもしくは12p異常;複合非モノソーム;5q−;+8;+9を除く他の常染色体トリソミー;20q−の単独異常;1q重複もしくは他のいずれかの転座;および−Yもしくは他の性染色体異常;正常、または13q−もしくは+9の単独異常;または他の単独異常が挙げられるが、これらに限定されない。Tefferiら、ASH 2014年要約631。一部の実施形態では、細胞遺伝学的解析は、International System for Human Cytogenetic Nomenclature(Cytogenetic and genome research.2013年、DOI 10.1159/000353118として2013/07/03に事前公開)に従って行われる。一部の実施形態では、「正常」核型への割り当ては、最小で10個の分裂中期が解析されることを必要とする。一部の実施形態では、複合核型は、3種またはそれを超える別個の構造的または数的異常の存在として定義される。一部の実施形態では、モノソーム核型は、少なくとも1種の構造的異常に関連する、2種もしくはそれを超える別個の常染色体モノソームまたは単一常染色体モノソームとして定義される(JCO.2008年;26巻:4791頁;Tefferiら、ASH 2014年要約631)。
骨髄増殖性疾患(MPD)は、骨髄における様々な血液細胞の過剰な産生をもたらす、造血細胞のクローン性異常によって特徴付けられる障害の一群を指す。造血幹細胞は、骨髄系、赤血球系および血小板細胞を生じるため、これらの細胞株のいずれかまたは全てにおいて、定性的および定量的変化を見ることができる。骨髄増殖性障害は、診断および処置が困難となり得る。用語「骨髄増殖性障害(MPD)」または「骨髄増殖性疾患」は、造血幹細胞またはその後代から生じる非リンパ系異形成または新生物状態を含むことを意味する。「MPD患者」は、MPDと診断された患者を含む。「骨髄増殖性疾患」は、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)および特発性骨髄線維症(IMF)または原発性骨髄線維症(PMF)を含む、骨髄増殖性疾患の特異的な分類型を包含することを意味する。この定義には、好酸球増加症候群(HES)、慢性好中球性白血病(CNL)、骨髄様化生を伴う骨髄線維症(MMM)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、若年性骨髄単球性白血病、慢性好塩基球性白血病、慢性好酸球性白血病および全身性肥満細胞症(SM)も含まれる。「骨髄増殖性障害」は、いずれかの未分類骨髄増殖性疾患(UMPDまたはMPD−NC)を包含することも意味する。
ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症の遺伝学に基づく処置のための、単剤としてのまたは別の薬剤と組み合わせたSAPタンパク質の使用を包含する。骨髄線維症(「MF」)は、de novo(原発性)であるか、または真性赤血球増加症(「PV」)もしくは本態性血小板血症(「ET」)によって先行され得る、BCR−ABL1陰性骨髄増殖性新生物(「MPN」)である。原発性骨髄線維症(PMF)(文献において、特発性骨髄様化生および原因不明骨髄様化生とも称される)は、単球系列の多能性造血前駆体細胞のクローン性障害である(Abdel−Wahab, O.ら(2009年)Annu. Rev. Med.60巻:233〜45頁;Varicchio, L.ら(2009年)Expert Rev. Hematol.2巻(3号):315〜334頁;Agrawal, M.ら(2011年)Cancer 117巻(4号):662〜76頁に総説されている)。骨髄線維症は、造血幹細胞を標的とし、キナーゼシグナル伝達の調節不全、クローン性骨髄増殖および異常サイトカイン発現を誘導する、後天的突然変異に起源をもつ(Tefferi、Blood 2011年、117巻(13号):3494〜3504頁)。この疾患は、貧血、脾腫および髄外造血によって特徴付けられ、進行性骨髄線維症および異型巨核球性過形成を特徴とする。CD34+幹/前駆体細胞は、末梢血において異常に輸送し、多臓器髄外赤血球生成は、特に、脾臓および肝臓におけるこの疾患の特徴である。骨髄構造は、進行性線維症、血管新生および骨沈着増加により変更される。生存期間中央値は、現在同定される予後因子に基づき、2年間未満から15年間超に及ぶ(Cervantes Fら、Blood 113巻:2895〜2901頁、2009年;Hussein Kら、Blood 115巻:496〜499頁、2010年;Patnaik M Mら、Eur J Haematol 84巻:105〜108頁、2010年)。
文献において、JAK2の阻害剤が、MPDの処置および/または予防において有用であることが公知である。例えば、Tefferi, A.およびGilliland, D. G.、Mayo Clin. Proc.80巻(7号):947〜958頁(2005年);Fernandez−Luna, J. L.ら、Haematologica 83巻(2号):97〜98頁(1998年);Harrison, C. N.、Br. J. Haematol.130巻(2号):153〜165頁(2005年);Leukemia(2005年)19巻、1843〜1844頁;ならびにTefferi, A.およびBarbui, T.、Mayo Clin. Proc.80巻(9号):1220〜1232頁(2005年)を参照されたい。しかし、MFの管理選択肢は、あらゆる患者の必要を満たすには現在不適切である。したがって、本明細書に提供されているものなどの、MF患者のための追加的な治療法選択肢を提供する必要がある。
本明細書に提供されている方法の一部の実施形態では、対象は、原発性骨髄線維症を有する。本明細書に提供されている組成物および方法の一部の実施形態では、対象は、真性赤血球増加症後の骨髄線維症(PV後MF)を有する。一部の実施形態では、対象は、本態性血小板血症後の骨髄線維症(ET後MF)を有する。一部の実施形態では、対象は、高リスク骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、対象は、中間リスク骨髄線維症(例えば、中間リスクレベル1または中間リスクレベル2)を有する。一部の実施形態では、対象は、低リスク骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、対象は、線維症を伴わないPVまたはETを有する。一部の実施形態では、対象は、ヒトヤヌスキナーゼ2(JAK2)のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異が陽性である(例えば、突然変異が存在する)、またはヒトJAK2のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異に対応する突然変異が陽性である。一部の実施形態では、対象は、ヒトヤヌスキナーゼ2(JAK2)のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異が陰性である(例えば、突然変異が存在しない)、またはヒトJAK2のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異に対応する突然変異が陰性である。一部の実施形態では、対象は、JAK2のエクソン12またはエクソン14に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLのコドン515に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLにW515L、W515K、W515AまたはW515Rアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLのエクソン10に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、CALRのエクソン9に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、ASXL1のエクソン12に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH1のエクソン4に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH1のコドン132に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のエクソン4に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のコドン140に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のコドン172に突然変異を有する。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質による処置の開始に先立ち、対象は、骨髄の線維症を有し、線維症は、European Consensus on Grading of Bone Marrow Fibrosisの段階分けシステムに従って測定可能である。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質による処置の開始に先立ち、対象は、グレード2を超えるまたはこれに等しい骨髄の線維症を有する。他の実施形態では、本開示のSAPタンパク質による処置の開始に先立ち、対象は、グレード3の骨髄の線維症を有する。他の実施形態では、本開示のSAPタンパク質による処置の開始に先立ち、対象は、グレード1の骨髄の線維症を有する。
ある特定の実施形態では、骨髄の線維性状態は、原発性骨髄線維症などの、骨髄の慢性骨髄増殖性新生物の固有の特色である。他の実施形態では、骨髄の線維症は、悪性+状態またはクローン性増殖性疾患に起因する状態、またはヘアリー細胞白血病、リンパ腫(例えば、ホジキンまたは非ホジキンリンパ腫)、多発性骨髄腫もしくは慢性骨髄性白血病(CML)などが挙げられるが、これらに限定されない血液学的障害に関連する。さらに他の実施形態では、骨髄の線維症は、骨髄への固形腫瘍転移に関連する。
ある特定の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質を含むSAPタンパク質;組換えヒトSAPタンパク質など)は、線維症を減少させて臓器機能を回復させることによる、骨髄線維症の処置に使用される。単剤としてのまたは併用療法の一部としての本開示のSAPタンパク質の投与は、臓器の線維症(例えば、骨髄の線維症)の減少をもたらし、臓器機能の改善および/または回復、ヘモグロビンにおける改善、血小板もしくは白血球細胞などの血球数における改善、または症状における改善をもたらした。臓器機能における改善は、例えば、12、20、24週間または24週間超の処置にわたる(例えば、30週間超、36週間超、42週間超、48週間超)、処置経過にわたって対象における血小板レベルおよび/またはヘモグロビンにおける改善を評価することにより評価することができる。
本明細書に記載されている通り、ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、1種もしくは複数のMPD関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)に突然変異を有する、または1種もしくは複数のMPD関連細胞遺伝学的異常を有する対象において単独療法として使用される。任意選択で、対象は、他の特色(例えば、骨髄の線維症または他の症状の初期レベルなどの徴候のレベル)に基づき特徴付けられる。一部の実施形態では、対象は、ヒトヤヌスキナーゼ2(JAK2)のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異が陽性である(例えば、突然変異が存在する)、またはヒトJAK2のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異に対応する突然変異が陽性である。一部の実施形態では、対象は、ヒトヤヌスキナーゼ2(JAK2)のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異が陰性である(例えば、突然変異が存在しない)、またはヒトJAK2のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異に対応する突然変異が陰性である。一部の実施形態では、対象は、JAK2のエクソン12またはエクソン14に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLのコドン515に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLにW515L、W515K、W515AまたはW515Rアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLのエクソン10に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、CALRのエクソン9に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、ASXL1のエクソン12に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH1のエクソン4に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH1のコドン132に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のエクソン4に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のコドン140に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のコドン172に突然変異を有する。一部の実施形態では、MPDに関連する突然変異は、JAK2V617Fではない。一部の実施形態では、対象は、TET2、CBL、IKZF1、LNK、DNMT3A、CUX1、U2AF1およびSF3B1から選択される1種または複数の遺伝子に1個または複数の突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、モノソーム核型;inv(3);i(17q);−7/7q−;11qもしくは12p異常;複合非モノソーム;5q−;+8;+9を除く他の常染色体トリソミー;20q−の単独異常;1q重複もしくは他のいずれかの転座;および−Yもしくは他の性染色体異常;正常、または13q−もしくは+9の単独異常;または他の単独異常から選択される1種または複数の細胞遺伝学的異常を有する。
本明細書に記載されている通り、ある特定の実施形態では、治療レジメンへのSAPの追加またはSAP療法による治療レジメンの置き換えは、処置(SAPの非存在下での)に対して無応答性、抵抗性または他の点で不応性である対象、または処置の有効性が衰えているもしくは衰えた対象において使用される。ある特定の実施形態では、SAPの追加またはこれによる置換は、別の治療剤による処置が適した患者集団の拡大に使用される(例えば、SAPは、別の薬物のための治療ウィンドウまたは患者集団を拡大する)。一部の実施形態では、患者は、処置に不耐性である、またはこれに対し不適格である(例えば、SAPの非存在下でのルキソリチニブ療法)。例として、ある特定のがんは、化学療法に対して無応答性であることが公知である。理論に制約されることなく、線維症は、腫瘍への有効な薬物アクセスを邪魔する場合がある。一部の実施形態では、対象は、ヒトヤヌスキナーゼ2(JAK2)のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異が陽性である(例えば、突然変異が存在する)、またはヒトJAK2のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異に対応する突然変異が陽性である。一部の実施形態では、対象は、ヒトヤヌスキナーゼ2(JAK2)のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異が陰性である(例えば、突然変異が存在しない)、またはヒトJAK2のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異に対応する突然変異が陰性である。一部の実施形態では、対象は、JAK2のエクソン12またはエクソン14に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLのコドン515に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLにW515L、W515K、W515AまたはW515Rアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLのエクソン10に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、CALRのエクソン9に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、ASXL1のエクソン12に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH1のエクソン4に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH1のコドン132に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のエクソン4に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のコドン140に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のコドン172に突然変異を有する。一部の実施形態では、MPDに関連する突然変異は、JAK2V617Fではない。一部の実施形態では、対象は、TET2、CBL、IKZF1、LNK、DNMT3A、CUX1、U2AF1およびSF3B1から選択される1種または複数の遺伝子に1個または複数の突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、モノソーム核型;inv(3);i(17q);−7/7q−;11qもしくは12p異常;複合非モノソーム;5q−;+8;+9を除く他の常染色体トリソミー;20q−の単独異常;1q重複もしくは他のいずれかの転座;および−Yもしくは他の性染色体異常;正常、または13q−もしくは+9の単独異常;または他の単独異常から選択される1種または複数の細胞遺伝学的異常を有する。
ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、単独療法として使用される、および/または無処置患者の処置に使用される。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、その疾患が、European Consensus on Grading of Bone Marrow Fibrosisによって評価されるグレード2またはグレード3の骨髄の線維症などの、ある特定の線維性スコアを有する患者において使用される。一部の実施形態では、対象は、ヒトヤヌスキナーゼ2(JAK2)のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異が陽性である(例えば、突然変異が存在する)、またはヒトJAK2のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異に対応する突然変異が陽性である。一部の実施形態では、対象は、ヒトヤヌスキナーゼ2(JAK2)のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異が陰性である(例えば、突然変異が存在しない)、またはヒトJAK2のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異に対応する突然変異が陰性である。一部の実施形態では、対象は、JAK2のエクソン12またはエクソン14に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLのコドン515に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLにW515L、W515K、W515AまたはW515Rアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLのエクソン10に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、CALRのエクソン9に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、ASXL1のエクソン12に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH1のエクソン4に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH1のコドン132に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のエクソン4に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のコドン140に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のコドン172に突然変異を有する。一部の実施形態では、MPDに関連する突然変異は、JAK2V617Fではない。一部の実施形態では、対象は、TET2、CBL、IKZF1、LNK、DNMT3A、CUX1、U2AF1およびSF3B1から選択される1種または複数の遺伝子に1個または複数の突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、モノソーム核型;inv(3);i(17q);−7/7q−;11qもしくは12p異常;複合非モノソーム;5q−;+8;+9を除く他の常染色体トリソミー;20q−の単独異常;1q重複もしくは他のいずれかの転座;および−Yもしくは他の性染色体異常;正常、または13q−もしくは+9の単独異常;または他の単独異常から選択される1種または複数の細胞遺伝学的異常を有する。
ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、単独療法として使用される、および/または貧血もしくは血小板減少性である患者の処置に使用される。一部の実施形態では、対象は、ヒトヤヌスキナーゼ2(JAK2)のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異が陽性である(例えば、突然変異が存在する)、またはヒトJAK2のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異に対応する突然変異が陽性である。一部の実施形態では、対象は、ヒトヤヌスキナーゼ2(JAK2)のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異が陰性である(例えば、突然変異が存在しない)、またはヒトJAK2のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異に対応する突然変異が陰性である。一部の実施形態では、対象は、JAK2のエクソン12またはエクソン14に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLのコドン515に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLにW515L、W515K、W515AまたはW515Rアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLのエクソン10に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、CALRのエクソン9に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、ASXL1のエクソン12に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH1のエクソン4に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH1のコドン132に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のエクソン4に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のコドン140に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のコドン172に突然変異を有する。一部の実施形態では、MPDに関連する突然変異は、JAK2V617Fではない。一部の実施形態では、対象は、TET2、CBL、IKZF1、LNK、DNMT3A、CUX1、U2AF1およびSF3B1から選択される1種または複数の遺伝子に1個または複数の突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、モノソーム核型;inv(3);i(17q);−7/7q−;11qもしくは12p異常;複合非モノソーム;5q−;+8;+9を除く他の常染色体トリソミー;20q−の単独異常;1q重複もしくは他のいずれかの転座;および−Yもしくは他の性染色体異常;正常、または13q−もしくは+9の単独異常;または他の単独異常から選択される1種または複数の細胞遺伝学的異常を有する。
ある特定の態様では、骨髄増殖性疾患は、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄線維症または未分類骨髄増殖性疾患である。一部の実施形態では、骨髄線維症は、原発性骨髄線維症(myleofibrosis)、PV後の骨髄線維症またはET後の骨髄線維症である。
上述の態様のいずれかでは、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、本明細書に記載されている追加的な治療剤のいずれかと組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、追加的な治療剤は、抗がん剤である。
骨髄増殖性障害に関連する例示的な突然変異
JAK2
ヤヌスキナーゼ2(JAK2)は、非受容体型チロシンキナーゼであり、膜結合型サイトカイン受容体と、その後に核内で転写因子として作用するSTAT(シグナル伝達転写活性化因子タンパク質)分子などのシグナル伝達経路の下流メンバーとの間の中間として作用する。古くから、突然変異および他の遺伝的変更によるタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)シグナル伝達の撹乱は、MPDに関連すると仮定されてきた。例えば、ヤヌスキナーゼ2(JAK2)遺伝子突然変異などの突然変異型PTKは、MPDまたは他の欠損を有する患者において構成的活性をもたらすことができる。そのようなものとして、ある特定の実施形態では、処置されている対象は、本明細書に記載されている突然変異などのJAK2に突然変異を有する、および/または対象は、処置の前および/またはその最中に対立遺伝子荷重に関して評価される。
JAK2 V617F置換は、そのキナーゼ活性の自己阻害を軽減し、構成的に活性なキナーゼをもたらし、下流JAK2−STATシグナル伝達経路を増大する(例えば、Saharinenら、Mol Cell Biol.2000年、20巻:3387〜3395頁;Saharinenら、Mol Biol Cell 2003年、14巻(4号):1448〜1459頁を参照)。突然変異が、血液試料、骨髄および頬側試料から検出され、MPDの病因に寄与し(例えば、Baxterら、Lancet 2005年、365巻:1054〜1060頁;Jamesら、Nature 2005年、438巻:1144〜1148頁;Zhaoら、J. Biol. Chem.2005年、280巻(24号):22788〜22792頁;Levineら、Cancer Cell 2005年、7巻:387〜397頁;Kralovicsら、New Eng. J. Med.2005年、352巻(17号):1779〜1790頁を参照)、ホモ接合およびヘテロ接合細胞集団が、MPD患者において報告された(Baxterら、Lancet 2005年、365巻:1054〜1060頁)。転座、点突然変異、欠失および挿入を含む、ヒトにおける他のJAK2突然変異が報告されている。例えば、Scottら、N Engl J Med.2007年、356巻:459〜468頁;Liら、Blood 2008年、111巻:3863〜3866頁を参照されたい。
大部分はコドン536〜544の間で生じ、3〜6ヌクレオチドの欠失を伴う、10種を超える異なる配列変異が、JAK2のエクソン12において見出された。いくつかの重複およびいくつかの2bp置き換えも見出された(Laughlinら、J Mol Diagn.2010年、12巻(3号):278〜282頁)。
JAK2における他の例示的な突然変異は、T514M、N533Y、L545V、F547Lなどのエクソン12ミスセンス突然変異;F556V、R564L、R564Q、V567L、V567A、G571S、G571R、L579F、H587N、S591Lなどのエクソン13ミスセンス突然変異、エクソン14ミスセンス突然変異H606Q、エクソン14欠失S593−N622;エクソン15ミスセンス突然変異L624P、I645V(例えば、米国特許出願公開第2010/0112571号を参照);K539L、V617I、C618R、L624P、全体的エクソン14欠失(Leeら、BMC Struct Biol.2009年、9巻:58頁)を含む。
JAK2ゲノム核酸は、ヒト第9染色体に位置する。ヒトJAK2 mRNAの全体または部分の例示的な配列として、GenBank受託番号NM_004972(配列番号5)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの配列は、参照により本明細書に組み込まれる。
JAK2核酸配列に関して、「突然変異」は、参照配列GenBank受託番号NM_004972(配列番号5)と比較して少なくとも1個の核酸変異を含むJAK2核酸配列を意味する。JAK2核酸における突然変異は、コードされるポリペプチド配列に変化を生じることができる、またはこの突然変異は、コードされるポリペプチド配列に関してサイレントになることができる。アミノ酸配列の変化は、参照アミノ酸配列としてのNP_004963(配列番号6)と比較して決定することができる。
一部の実施形態では、JAK2突然変異は、ミスセンス突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異または転座である。一部の実施形態では、JAK2における突然変異は、エクソン12突然変異またはエクソン14突然変異を含む。一部の実施形態では、JAK2突然変異は、JAK2V617Fである。一部の実施形態では、JAK2突然変異は、T514M、N533Y、L545V、F547L、F556V、R564L、R564Q、V567L、V567A、G571S、G571R、L579F、H587N、S591L、H606Q、L624P、I645V、K539L、V617I、C618R、L624P、エクソン14欠失S593−N622または全体的エクソン14欠失である。
一部の実施形態では、本開示は、MPDを処置する方法であって、JAK2に突然変異を保有する対象に(例えば、対象の造血細胞の一部は、JAK2突然変異を保有する)、治療有効量のSAPタンパク質を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、MPDを処置する方法であって、JAK2に突然変異を保有する対象に(例えば、突然変異は、対象の一部の造血細胞に見出され得る)、前記対象における突然変異型JAK2対立遺伝子荷重を低下させるのに有効な投与レジメンに従って、治療有効量のSAPタンパク質を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄増殖性障害を患う対象において、JAK2における突然変異型対立遺伝子荷重を低下させるための方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、JAK2突然変異状態に基づいてMPDに対するSAPタンパク質療法の有効性をモニターする方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(i)JAK2における突然変異の第1の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第1の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与前に測定される、ステップと、(ii)(i)で測定された同じ突然変異の第2の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第2の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与後に測定される、ステップと、(iii)第2の突然変異型対立遺伝子荷重および第1の突然変異型対立遺伝子荷重の間の差を同定するステップとを含む。さらなる実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重の減少は、SAPタンパク質の投与が、骨髄増殖性障害の処置において有効であり、投与レジメンを維持しても、投薬量および/または投与頻度を減少させるように修飾してもよいことを示す。代替的な実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重に変化がない場合、投与レジメンは、投薬量および/または投与頻度を増加させるように修飾することができる。一態様では、本開示は、JAK2における1個または複数の体細胞突然変異の存在または非存在に基づいて、SAPタンパク質またはアゴニスト療法に対する応答性を決定する方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、(i)骨髄増殖性障害を有する対象の細胞が、JAK2において骨髄増殖性障害に関連する突然変異を保有するかどうかを決定するステップと、対象が、前記突然変異型対立遺伝子を保有する場合、(ii)治療有効量のSAPタンパク質を対象に投与するステップとを含む。一態様では、本開示は、本開示のSAPタンパク質による処置に対する応答を測定するための予後マーカーとしてJAK2突然変異を使用する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(i)JAK2における突然変異の第1の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第1の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与前に測定される、ステップと、(ii)(i)で測定された同じ突然変異の第2の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第2の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与後に測定される、ステップと、(iii)第2の突然変異型対立遺伝子荷重および第1の突然変異型対立遺伝子荷重の間の差を測定するステップとを含む。さらなる実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重の減少は、肯定的な予後を示す。代替的な実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重に変化がない場合、これは、中立的または否定的な予後を示す。一部の実施形態では、JAK2突然変異は、ミスセンス突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異または転座である。一部の実施形態では、JAK2における突然変異は、エクソン12突然変異またはエクソン14突然変異を含む。一部の実施形態では、JAK2突然変異は、JAK2V617Fである。一部の実施形態では、JAK2突然変異は、T514M、N533Y、L545V、F547L、F556V、R564L、R564Q、V567L、V567A、G571S、G571R、L579F、H587N、S591L、H606Q、L624P、I645V、K539L、V617I、C618R、L624P、エクソン14欠失S593−N622または全体的エクソン14欠失である。本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独でまたは追加的な薬剤と組み合わせて使用されて、骨髄増殖性障害を処置する。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独療法として使用される。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、抗がん剤と組み合わせて使用される。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害に関連する突然変異は、JAK2V617Fではない。ある特定の実施形態では、前述の方法のいずれかは、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2などが挙げられるが、これらに限定されない、1種または複数のMPD関連遺伝子における1個または複数の突然変異に関してアッセイするステップをさらに含む。一部の実施形態では、前述の方法のいずれかは、TET2、CBL、IKZF1、LNK、DNMT3A、CUX1、U2AF1またはSF3B1における1個または複数の突然変異に関してアッセイするステップをさらに含む。一部の実施形態では、前述の方法のいずれかは、モノソーム核型;inv(3);i(17q);−7/7q−;11qもしくは12p異常;複合非モノソーム;5q−;+8;+9を除く他の常染色体トリソミー;20q−の単独異常;1q重複もしくは他のいずれかの転座;および−Yもしくは他の性染色体異常;正常、または13q−もしくは+9の単独異常;または他の単独異常などの1種または複数の細胞遺伝学的異常に関してアッセイするステップをさらに含む。本開示の上述の態様のいずれかの一部の実施形態では、MPDは、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄線維症または未分類骨髄増殖性疾患である。一部の実施形態では、骨髄線維症は、原発性骨髄線維症、PV後の骨髄線維症またはET後の骨髄線維症である。
本開示の方法は、JAK2突然変異の存在または非存在に関して、MPDを有するまたはこれを有すると疑われる個体由来の核酸を含有する試料を評価するステップを含む。試料は、例えば、全血(例えば、細胞画分から抽出されたJAK2核酸)、血漿、血清、骨髄および組織試料(例えば、生検材料およびパラフィン包埋組織)を含む、いずれか適した生体試料となることができる。JAK2核酸は、例えば、ゲノムDNA、RNA(例えば、mRNA)または対象RNAから調製されたcDNAを含む、いずれか都合のよい核酸型となることができる。あるいは、JAK2核酸突然変異は、個体由来のJAK2タンパク質を評価することによって推論することができる。例えば、突然変異型JAK2タンパク質の同定は、JAK2遺伝子における突然変異を示す。適した検出方法論は、オリゴヌクレオチドプローブハイブリダイゼーション、プライマー伸長反応、核酸配列決定およびタンパク質配列決定を含む。一部の実施形態では、個体は、JAK2核酸突然変異に関するスクリーニングと同時にまたはそれに先立って、1種または複数の追加的なMPD関連遺伝子(例えば、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)における他の病的突然変異の存在に関してスクリーニングされる。一部の実施形態では、JAK2突然変異に加えて、1個または複数(例えば、2、3、4、5、6、7または8個)の突然変異が、本開示のSAPタンパク質による処置に対する応答を測定するための予後マーカーとして使用される。
MPL
骨髄増殖性白血病タンパク質(MPL)は、骨髄による血小板の産生を調節するトロンボポエチンの受容体である。近年、MPLの膜貫通−膜近傍領域における後天的突然変異(MPL W515突然変異)が、JAK2V617F陰性PMFのおよそ5%およびETの全症例の約1%において報告された(Pardananiら、Blood.2006年、108巻(10号):3472〜3476頁およびPikmanら、PLoS Med.2006年、3巻:e270頁)。JAK2V617Fと同様に、MPL突然変異は、JAK−STAT経路の構成的活性化を付与する。
他の例示的なMPL突然変異は、米国特許出願公開第2013/0053262号に記載されているエクソン10および11における欠失/挿入突然変異などの、MPL核酸における突然変異を含む。
MPLゲノム核酸は、ヒト第1染色体に位置する。ヒトMPL mRNAの全体または部分の例示的な配列として、GenBank受託番号NM_005373(配列番号7)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの配列は、参照により本明細書に組み込まれる。
MPL核酸配列に関して、「突然変異」は、参照配列GenBank受託番号NM_005373(配列番号7)と比較して少なくとも1個の核酸変異を含むMPL核酸配列を意味する。MPL核酸における突然変異は、コードされるポリペプチド配列に変化を生じることができる、またはこの突然変異は、コードされるポリペプチド配列に関してサイレントになることができる。アミノ酸配列の変化は、参照アミノ酸配列としてのNP_005364(配列番号8)と比較して決定することができる。
一部の実施形態では、MPL突然変異は、ミスセンス突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異または転座である。一部の実施形態では、MPLにおける突然変異は、MPLのエクソン10における挿入/欠失突然変異を含む。一部の実施形態では、MPLにおける突然変異は、MPLのエクソン11における挿入/欠失突然変異を含む。一部の実施形態では、MPLにおける突然変異は、コドン515における突然変異を含む。一部の実施形態では、MPLにおける突然変異は、MPLW515L、MPLW515K、MPLW515AまたはMPLW515Rを含む。
一部の実施形態では、本開示は、MPDを処置する方法であって、MPLに突然変異を保有する対象に(例えば、対象の造血細胞の一部は、MPL突然変異を保有する)、治療有効量のSAPタンパク質を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、MPDを処置する方法であって、MPLに突然変異を保有する対象に(例えば、突然変異は、対象の一部の造血細胞に見出され得る)、前記対象における突然変異型MPL対立遺伝子荷重を低下させるのに有効な投与レジメンに従って、治療有効量のSAPタンパク質を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄増殖性障害を患う対象において、MPLにおける突然変異型対立遺伝子荷重を低下させるための方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、MPL突然変異状態に基づいてMPDに対するSAPタンパク質療法の有効性をモニターする方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(i)MPLにおける突然変異の第1の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第1の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与前に測定される、ステップと、(ii)(i)で測定された同じ突然変異の第2の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第2の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与後に測定される、ステップと、(iii)第2の突然変異型対立遺伝子荷重および第1の突然変異型対立遺伝子荷重の間の差を同定するステップとを含む。さらなる実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重の減少は、SAPタンパク質の投与が、骨髄増殖性障害の処置において有効であり、投与レジメンを維持しても、投薬量および/または投与頻度を減少させるように修飾してもよいことを示す。代替的な実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重に変化がない場合、投与レジメンは、投薬量および/または投与頻度を増加させるように修飾することができる。一態様では、本開示は、MPLにおける1個または複数の体細胞突然変異の存在または非存在に基づいて、SAPタンパク質療法に対する応答性を決定する方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、(i)骨髄増殖性障害を有する対象の細胞が、MPLにおいて骨髄増殖性障害に関連する突然変異を保有するかどうかを決定するステップと、対象が、前記突然変異型対立遺伝子を保有する場合、(ii)治療有効量のSAPタンパク質を対象に投与するステップとを含む。一態様では、本開示は、本開示のSAPタンパク質による処置に対する応答を測定するための予後マーカーとしてMPL突然変異を使用する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(i)MPLにおける突然変異の第1の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第1の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与前に測定される、ステップと、(ii)(i)で測定された同じ突然変異の第2の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第2の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与後に測定される、ステップと、(iii)第2の突然変異型対立遺伝子荷重および第1の突然変異型対立遺伝子荷重の間の差を測定するステップとを含む。さらなる実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重の減少は、肯定的な予後を示す。代替的な実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重に変化がない場合、これは、中立的または否定的な予後を示す。一部の実施形態では、MPL突然変異は、ミスセンス突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異または転座である。一部の実施形態では、MPLにおける突然変異は、MPLのエクソン10における挿入/欠失突然変異を含む。一部の実施形態では、MPLにおける突然変異は、MPLのエクソン11における挿入/欠失突然変異を含む。一部の実施形態では、MPLにおける突然変異は、コドン515における突然変異を含む。一部の実施形態では、MPLにおける突然変異は、MPLW515L、MPLW515K、MPLW515AまたはMPLW515Rを含む。本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独でまたは追加的な薬剤と組み合わせて使用されて、骨髄増殖性障害を処置する。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独療法として使用される。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、抗がん剤と組み合わせて使用される。ある特定の実施形態では、前述の方法のいずれかは、JAK2、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2などが挙げられるが、これらに限定されない、1種または複数のMPD関連遺伝子における1個または複数の突然変異に関してアッセイするステップをさらに含む。一部の実施形態では、前述の方法のいずれかは、TET2、CBL、IKZF1、LNK、DNMT3A、CUX1、U2AF1またはSF3B1における1個または複数の突然変異に関してアッセイするステップをさらに含む。一部の実施形態では、前述の方法のいずれかは、モノソーム核型;inv(3);i(17q);−7/7q−;11qもしくは12p異常;複合非モノソーム;5q−;+8;+9を除く他の常染色体トリソミー;20q−の単独異常;1q重複もしくは他のいずれかの転座;および−Yもしくは他の性染色体異常;正常、または13q−もしくは+9の単独異常;または他の単独異常などの1種または複数の細胞遺伝学的異常に関してアッセイするステップをさらに含む。本開示の上述の態様のいずれかの一部の実施形態では、MPDは、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄線維症または未分類骨髄増殖性疾患である。一部の実施形態では、骨髄線維症は、原発性骨髄線維症、PV後の骨髄線維症またはET後の骨髄線維症である。
本開示の方法は、MPL突然変異の存在または非存在に関して、MPDを有するまたはこれを有すると疑われる個体由来の核酸を含有する試料を評価するステップを含む。試料は、例えば、全血(すなわち、細胞画分から抽出されたMPL核酸)、血漿、血清、骨髄および組織試料(例えば、生検材料およびパラフィン包埋組織)を含む、いずれか適した生体試料となることができる。MPL核酸は、例えば、ゲノムDNA、RNA(例えば、mRNA)または対象RNAから調製されたcDNAを含む、いずれか都合のよい核酸型となることができる。あるいは、MPL核酸突然変異は、個体由来のMPLタンパク質を評価することによって推論することができる。例えば、突然変異型MPLタンパク質の同定は、MPL遺伝子における突然変異を示す。適した検出方法論は、オリゴヌクレオチドプローブハイブリダイゼーション、プライマー伸長反応、核酸配列決定およびタンパク質配列決定を含む。一部の実施形態では、個体は、MPL核酸突然変異に関するスクリーニングと同時にまたはそれに先立って、1種または複数の追加的な骨髄増殖性障害関連遺伝子(例えば、JAK2、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)における他の病的突然変異の存在に関してスクリーニングされる。一部の実施形態では、MPL突然変異に加えて、1個または複数(例えば、2、3、4、5、6、7または8個)の突然変異が、本開示のSAPタンパク質による処置に対する応答を測定するための予後マーカーとして使用される。
CALR
カルレティキュリン(CALR)は、高度に保存された多機能性小胞体(ER)タンパク質であり、ER内側でのカルシウム恒常性およびタンパク質フォールディングにおける不可欠な役割を果たす。ERの外側では、CALRは、様々なインテグリン媒介性細胞接着、遺伝子核輸送、プログラムされた細胞除去および免疫原性細胞死を調節する。CALRタンパク質をコードするCALRは、染色体19p13.2に位置し、9個のエクソンを含有し、4.2kb領域に及ぶ。CALRのエクソン9における体細胞挿入または欠失は、変異していないJAK2を有する骨髄増殖性新生物の試料の70%〜84%という高い比率で見出された(Klampflら、N Engl J Med.2013年、369巻(25号):2379〜90頁およびNangaliaら、N Engl J Med.2013年、369巻(25号):2391〜2405頁)。CALR突然変異は、多数の正電荷を持つアミノ酸を含有する新規C末端をもたらすフレームシフトを引き起こすが、野生型C末端の大部分は負電荷を持つ。
本態性血小板血症および原発性骨髄線維症において、CALR突然変異ならびにJAK2およびMPL突然変異は、相互排他的であった(Klampflら、N Engl J Med.2013年、369巻(25号):2379〜90頁)。CALR突然変異は、その相対的に高い頻度のため、JAK2/MPL陰性ETまたはPMF患者に有用な診断マーカーである。さらに、表現型徴候は、JAK2突然変異のものとは異なる。
CALRゲノム核酸は、ヒト第19染色体に位置する。ヒトCALR mRNAの全体または部分の例示的な配列として、GenBank受託番号NM_004343(配列番号9)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの配列は、参照により本明細書に組み込まれる。
CALR核酸配列に関して、「突然変異」は、参照配列GenBank受託番号NM_004343(配列番号9)と比較して少なくとも1個の核酸変異を含むCALR核酸配列を意味する。CALR核酸における突然変異は、コードされるポリペプチド配列に変化を生じることができる、またはこの突然変異は、コードされるポリペプチド配列に関してサイレントになることができる。アミノ酸配列の変化は、参照アミノ酸配列としてのNP_004334(配列番号10)と比較して決定することができる。
一部の実施形態では、CALR突然変異は、ミスセンス突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異または転座である。一部の実施形態では、CALRにおける突然変異は、CALRのエクソン9における挿入/欠失突然変異を含む。
一部の実施形態では、本開示は、MPDを処置する方法であって、CALRに突然変異を保有する対象に(例えば、対象の造血細胞の一部は、CALR突然変異を保有する)、治療有効量のSAPタンパク質を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、MPDを処置する方法であって、CALRに突然変異を保有する対象に(例えば、突然変異は、対象の一部の造血細胞に見出され得る)、前記対象における突然変異型CALR対立遺伝子荷重を低下させるのに有効な投与レジメンに従って、治療有効量のSAPタンパク質を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄増殖性障害を患う対象において、CALRにおける突然変異型対立遺伝子荷重を低下させるための方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、CALR突然変異状態に基づいてMPDに対するSAPタンパク質療法の有効性をモニターする方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(i)CALRにおける突然変異の第1の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第1の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与前に測定される、ステップと、(ii)(i)で測定された同じ突然変異の第2の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第2の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与後に測定される、ステップと、(iii)第2の突然変異型対立遺伝子荷重および第1の突然変異型対立遺伝子荷重の間の差を同定するステップとを含む。さらなる実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重の減少は、SAPタンパク質の投与が、骨髄増殖性障害の処置において有効であり、投与レジメンを維持しても、投薬量および/または投与頻度を減少させるように修飾してもよいことを示す。代替的な実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重に変化がない場合、投与レジメンは、投薬量および/または投与頻度を増加させるように修飾することができる。一態様では、本開示は、CALRにおける1個または複数の体細胞突然変異の存在または非存在に基づいて、SAPタンパク質療法に対する応答性を決定する方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、(i)骨髄増殖性障害を有する対象の細胞が、CALRにおいて骨髄増殖性障害に関連する突然変異を保有するかどうかを決定するステップと、対象が、前記突然変異型対立遺伝子を保有する場合、(ii)治療有効量のSAPタンパク質を対象に投与するステップとを含む。一態様では、本開示は、本開示のSAPタンパク質による処置に対する応答を測定するための予後マーカーとしてCALR突然変異を使用する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(i)CALRにおける突然変異の第1の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第1の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与前に測定される、ステップと、(ii)(i)で測定された同じ突然変異の第2の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第2の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与後に測定される、ステップと、(iii)第2の突然変異型対立遺伝子荷重および第1の突然変異型対立遺伝子荷重の間の差を測定するステップとを含む。さらなる実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重の減少は、肯定的な予後を示す。代替的な実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重に変化がない場合、これは、中立的または否定的な予後を示す。一部の実施形態では、CALR突然変異は、ミスセンス突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異または転座である。一部の実施形態では、CALRにおける突然変異は、CALRのエクソン9における挿入/欠失突然変異を含む。本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独でまたは追加的な薬剤と組み合わせて使用されて、骨髄増殖性障害を処置する。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独療法として使用される。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、抗がん剤と組み合わせて使用される。ある特定の実施形態では、前述の方法のいずれかは、JAK2、MPL、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2などが挙げられるが、これらに限定されない、1種または複数のMPD関連遺伝子における1個または複数の突然変異に関してアッセイするステップをさらに含む。一部の実施形態では、前述の方法のいずれかは、TET2、CBL、IKZF1、LNK、DNMT3A、CUX1、U2AF1またはSF3B1における1個または複数の突然変異に関してアッセイするステップをさらに含む。一部の実施形態では、前述の方法のいずれかは、モノソーム核型;inv(3);i(17q);−7/7q−;11qもしくは12p異常;複合非モノソーム;5q−;+8;+9を除く他の常染色体トリソミー;20q−の単独異常;1q重複もしくは他のいずれかの転座;および−Yもしくは他の性染色体異常;正常、または13q−もしくは+9の単独異常;または他の単独異常などの1種または複数の細胞遺伝学的異常に関してアッセイするステップをさらに含む。本開示の上述の態様のいずれかの一部の実施形態では、MPDは、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄線維症または未分類骨髄増殖性疾患である。一部の実施形態では、骨髄線維症は、原発性骨髄線維症、PV後の骨髄線維症またはET後の骨髄線維症である。
本開示の方法は、CALR突然変異の存在または非存在に関して、MPDを有するまたはこれを有すると疑われる個体由来の核酸を含有する試料を評価するステップを含む。試料は、例えば、全血(例えば、細胞画分から抽出されたCALR核酸)、血漿、血清、骨髄および組織試料(すなわち、生検材料およびパラフィン包埋組織)を含む、いずれか適した生体試料となることができる。CALR核酸は、例えば、ゲノムDNA、RNA(例えば、mRNA)または対象RNAから調製されたcDNAを含む、いずれか都合のよい核酸型となることができる。あるいは、CALR核酸突然変異は、個体由来のCALRタンパク質を評価することによって推論することができる。例えば、突然変異型CALRタンパク質の同定は、CALR遺伝子における突然変異を示す。適した検出方法論は、オリゴヌクレオチドプローブハイブリダイゼーション、プライマー伸長反応、核酸配列決定およびタンパク質配列決定を含む。一部の実施形態では、個体は、CALR核酸突然変異に関するスクリーニングと同時にまたはそれに先立って、1種または複数の追加的なMPD関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)における他の病的突然変異の存在に関してスクリーニングされる。一部の実施形態では、CALR突然変異に加えて、1個または複数(例えば、2、3、4、5、6、7または8個)の突然変異が、本開示のSAPタンパク質による処置に対する応答を測定するための予後マーカーとして使用される。
ASXL1
追加的性櫛様転写調節因子1(additional sex combs like transcriptional regulator 1)(ASXL1)は、正常な造血に必要とされ、転写因子の活性化および転写抑制に関与すると考えられる。ASXL1突然変異は、骨髄増殖性新生物における効果のエピジェネティック調節不全に寄与すると考えられる。ASXL1突然変異は、エクソン12を伴い、ASXL1のプレクストリン相同ドメインをトランケートする。近年の試験では、ASXL1突然変異頻度は、PMFにおいて13%であり、PV/ET後のMFにおいて23%であり、急性転化期(blast-phase)MPNにおいて18%であった(同じ試験は、TET2、JAK2、EZH2、IDHおよびMPL突然変異と突然変異型ASXL1の共起性(co-occurrence)を実証した(Abdel-Wahabら、ASH Annu Meet Abstr.2010年、116巻:3070号))。
ASXL1ゲノム核酸は、ヒト第20染色体に位置する。ヒトASXL1 mRNAの全体または部分の例示的な配列として、GenBank受託番号NM_001164603(配列番号11)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの配列は、参照により本明細書に組み込まれる。
ASXL1核酸配列に関して、「突然変異」は、参照配列GenBank受託番号NM_001164603(配列番号11)と比較して少なくとも1個の核酸変異を含むASXL1核酸配列を意味する。ASXL1核酸における突然変異は、コードされるポリペプチド配列に変化を生じることができる、またはこの突然変異は、コードされるポリペプチド配列に関してサイレントになることができる。アミノ酸配列の変化は、参照アミノ酸配列としてのNP_001158075(配列番号12)と比較して決定することができる。
一部の実施形態では、ASXL1突然変異は、ミスセンス突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異または転座である。一部の実施形態では、ASXL1における突然変異は、ASXL1のエクソン12における挿入/欠失突然変異を含む。
一部の実施形態では、本開示は、MPDを処置する方法であって、ASXL1に突然変異を保有する対象に(例えば、対象の造血細胞の一部は、ASXL1突然変異を保有する)、治療有効量のSAPタンパク質を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、MPDを処置する方法であって、ASXL1に突然変異を保有する対象に(例えば、突然変異は、対象の一部の造血細胞に見出され得る)、前記対象における突然変異型ASXL1対立遺伝子荷重を低下させるのに有効な投与レジメンに従って、治療有効量のSAPタンパク質を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄増殖性障害を患う対象において、ASXL1における突然変異型対立遺伝子荷重を低下させるための方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、ASXL1突然変異状態に基づいてMPDに対するSAPタンパク質療法の有効性をモニターする方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(i)ASXL1における突然変異の第1の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第1の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与前に測定される、ステップと、(ii)(i)で測定された同じ突然変異の第2の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第2の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与後に測定される、ステップと、(iii)第2の突然変異型対立遺伝子荷重および第1の突然変異型対立遺伝子荷重の間の差を同定するステップとを含む。さらなる実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重の減少は、SAPタンパク質の投与が、骨髄増殖性障害の処置において有効であり、投与レジメンを維持しても、投薬量および/または投与頻度を減少させるように修飾してもよいことを示す。代替的な実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重に変化がない場合、投与レジメンは、投薬量および/または投与頻度を増加させるように修飾することができる。一態様では、本開示は、ASXL1における1個または複数の体細胞突然変異の存在または非存在に基づいて、SAPタンパク質療法に対する応答性を決定する方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、(i)骨髄増殖性障害を有する対象の細胞が、ASXL1において骨髄増殖性障害に関連する突然変異を保有するかどうかを決定するステップと、対象が、前記突然変異型対立遺伝子を保有する場合、(ii)治療有効量のSAPタンパク質を対象に投与するステップとを含む。一態様では、本開示は、本開示のSAPタンパク質による処置に対する応答を測定するための予後マーカーとしてASXL1突然変異を使用する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(i)ASXL1における突然変異の第1の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第1の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与前に測定される、ステップと、(ii)(i)で測定された同じ突然変異の第2の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第2の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与後に測定される、ステップと、(iii)第2の突然変異型対立遺伝子荷重および第1の突然変異型対立遺伝子荷重の間の差を測定するステップとを含む。さらなる実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重の減少は、肯定的な予後を示す。代替的な実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重に変化がない場合、これは、中立的または否定的な予後を示す。一部の実施形態では、ASXL1突然変異は、ミスセンス突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異または転座である。一部の実施形態では、ASXL1における突然変異は、ASXL1のエクソン12における挿入/欠失突然変異を含む。本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独でまたは追加的な薬剤と組み合わせて使用されて、骨髄増殖性障害を処置する。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独療法として使用される。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、抗がん剤と組み合わせて使用される。ある特定の実施形態では、前述の方法のいずれかは、JAK2、MPL、CALR、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2などが挙げられるが、これらに限定されない、1種または複数のMPD関連遺伝子における1個または複数の突然変異に関してアッセイするステップをさらに含む。一部の実施形態では、前述の方法のいずれかは、TET2、CBL、IKZF1、LNK、DNMT3A、CUX1、U2AF1またはSF3B1における1個または複数の突然変異に関してアッセイするステップをさらに含む。一部の実施形態では、前述の方法のいずれかは、モノソーム核型;inv(3);i(17q);−7/7q−;11qもしくは12p異常;複合非モノソーム;5q−;+8;+9を除く他の常染色体トリソミー;20q−の単独異常;1q重複もしくは他のいずれかの転座;および−Yもしくは他の性染色体異常;正常、または13q−もしくは+9の単独異常;または他の単独異常などの1種または複数の細胞遺伝学的異常に関してアッセイするステップをさらに含む。本開示の上述の態様のいずれかの一部の実施形態では、MPDは、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄線維症または未分類骨髄増殖性疾患である。一部の実施形態では、骨髄線維症は、原発性骨髄線維症、PV後の骨髄線維症またはET後の骨髄線維症である。
本開示の方法は、ASXL1突然変異の存在または非存在に関して、MPDを有するまたはこれを有すると疑われる個体由来の核酸を含有する試料を評価するステップを含む。試料は、例えば、全血(例えば、細胞画分から抽出されたASXL1核酸)、血漿、血清、骨髄および組織試料(すなわち、生検材料およびパラフィン包埋組織)を含む、いずれか適した生体試料となることができる。ASXL1核酸は、例えば、ゲノムDNA、RNA(例えば、mRNA)または対象RNAから調製されたcDNAを含む、いずれか都合のよい核酸型となることができる。あるいは、ASXL1核酸突然変異は、個体由来のASXL1タンパク質を評価することによって推論することができる。例えば、突然変異型ASXL1タンパク質の同定は、ASXL1遺伝子における突然変異を示す。適した検出方法論は、オリゴヌクレオチドプローブハイブリダイゼーション、プライマー伸長反応、核酸配列決定およびタンパク質配列決定を含む。一部の実施形態では、個体は、ASXL1核酸突然変異に関するスクリーニングと同時にまたはそれに先立って、1種または複数の追加的なMPD関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)における他の病的突然変異の存在に関してスクリーニングされる。一部の実施形態では、ASXL1突然変異に加えて、1個または複数(例えば、2、3、4、5、6、7または8個)の突然変異が、本開示のSAPタンパク質による処置に対する応答を測定するための予後マーカーとして使用される。
EZH2
enhancer of zeste 2 polycomb repressive complex 2 subunit(zesteエンハンサー2ポリコーム抑制性複合体2サブユニット)(EZH2)は、メチルトランスフェラーゼ(H3 Lys−27トリメチル化に関連するポリコーム抑制性複合体2)の一部である。一試験において、EZH2の突然変異頻度は、CMMLにおいて13%であり、異型CMLにおいて13%であり、MF(PMFまたはPV/ET後のMF)において13%であり、MDS/MPN−Uにおいて10%であり、MDSにおいて6%であり、PVにおいて3%であり、好酸球増加症候群/慢性好酸球性白血病において3%であった(Ernstら、Nat Genet.2010年、42巻:722〜726巻)。この試験におけるEZH2変異体は、早期の鎖終結または重大なドメインのトランケーションをもたらすことが予想される、ミスセンス、フレームシフトまたは停止突然変異を含んだ。MPN関連EZH2突然変異は、腫瘍サプレッサー活性を有することが考えられる。
EZH2ゲノム核酸は、ヒト第7染色体に位置する。ヒトEZH2 mRNAの全体または部分の例示的な配列として、GenBank受託番号NM_001203247(配列番号13)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの配列は、参照により本明細書に組み込まれる。
EZH2核酸配列に関して、「突然変異」は、参照配列GenBank受託番号NM_001203247(配列番号13)と比較して少なくとも1個の核酸変異を含むEZH2核酸配列を意味する。EZH2核酸における突然変異は、コードされるポリペプチド配列に変化を生じることができる、またはこの突然変異は、コードされるポリペプチド配列に関してサイレントになることができる。アミノ酸配列の変化は、参照アミノ酸配列としてのNP_001190176(配列番号14)と比較して決定することができる。
一部の実施形態では、EZH2突然変異は、ミスセンス突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異または転座である。
一部の実施形態では、本開示は、MPDを処置する方法であって、EZH2に突然変異を保有する対象に(例えば、対象の造血細胞の一部は、EZH2突然変異を保有する)、治療有効量のSAPタンパク質を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、MPDを処置する方法であって、EZH2に突然変異を保有する対象に(例えば、突然変異は、対象の一部の造血細胞に見出され得る)、前記対象における突然変異型EZH2対立遺伝子荷重を低下させるのに有効な投与レジメンに従って、治療有効量のSAPタンパク質を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄増殖性障害を患う対象において、EZH2における突然変異型対立遺伝子荷重を低下させるための方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、EZH2突然変異状態に基づいてMPDに対するSAPタンパク質療法の有効性をモニターする方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(i)EZH2における突然変異の第1の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第1の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与前に測定される、ステップと、(ii)(i)で測定された同じ突然変異の第2の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第2の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与後に測定される、ステップと、(iii)第2の突然変異型対立遺伝子荷重および第1の突然変異型対立遺伝子荷重の間の差を同定するステップとを含む。さらなる実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重の減少は、SAPタンパク質(例えば、SAPタンパク質)の投与が、骨髄増殖性障害の処置において有効であり、投与レジメンを維持しても、投薬量および/または投与頻度を減少させるように修飾してもよいことを示す。代替的な実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重に変化がない場合、投与レジメンは、投薬量および/または投与頻度を増加させるように修飾することができる。一態様では、本開示は、EZH2における1個または複数の体細胞突然変異の存在または非存在に基づいて、SAPタンパク質療法に対する応答性を決定する方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、(i)骨髄増殖性障害を有する対象の細胞が、EZH2において骨髄増殖性障害に関連する突然変異を保有するかどうかを決定するステップと、対象が、前記突然変異型対立遺伝子を保有する場合、(ii)治療有効量のSAPタンパク質を対象に投与するステップとを含む。一態様では、本開示は、本開示のSAPタンパク質による処置に対する応答を測定するための予後マーカーとしてEZH2突然変異を使用する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(i)EZH2における突然変異の第1の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第1の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与前に測定される、ステップと、(ii)(i)で測定された同じ突然変異の第2の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第2の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与後に測定される、ステップと、(iii)第2の突然変異型対立遺伝子荷重および第1の突然変異型対立遺伝子荷重の間の差を測定するステップとを含む。さらなる実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重の減少は、肯定的な予後を示す。代替的な実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重に変化がない場合、これは、中立的または否定的な予後を示す。一部の実施形態では、EZH2突然変異は、ミスセンス突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異または転座である。本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独でまたは追加的な薬剤と組み合わせて使用されて、骨髄増殖性障害を処置する。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独療法として使用される。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、抗がん剤と組み合わせて使用される。ある特定の実施形態では、前述の方法のいずれかは、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、SRSF2、IDH1またはIDH2などが挙げられるが、これらに限定されない、1種または複数のMPD関連遺伝子における1個または複数の突然変異に関してアッセイするステップをさらに含む。一部の実施形態では、前述の方法のいずれかは、TET2、CBL、IKZF1、LNK、DNMT3A、CUX1、U2AF1またはSF3B1における1個または複数の突然変異に関してアッセイするステップをさらに含む。一部の実施形態では、前述の方法のいずれかは、モノソーム核型;inv(3);i(17q);−7/7q−;11qもしくは12p異常;複合非モノソーム;5q−;+8;+9を除く他の常染色体トリソミー;20q−の単独異常;1q重複もしくは他のいずれかの転座;および−Yもしくは他の性染色体異常;正常、または13q−もしくは+9の単独異常;または他の単独異常などの1種または複数の細胞遺伝学的異常に関してアッセイするステップをさらに含む。本開示の上述の態様のいずれかの一部の実施形態では、MPDは、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄線維症または未分類骨髄増殖性疾患である。一部の実施形態では、骨髄線維症は、原発性骨髄線維症、PV後の骨髄線維症またはET後の骨髄線維症である。
本開示の方法は、EZH2突然変異の存在または非存在に関して、MPDを有するまたはこれを有すると疑われる個体由来の核酸を含有する試料を評価するステップを含む。試料は、例えば、全血(すなわち、細胞画分から抽出されたEZH2核酸)、血漿、血清、骨髄および組織試料(例えば、生検材料およびパラフィン包埋組織)を含む、いずれか適した生体試料となることができる。EZH2核酸は、例えば、ゲノムDNA、RNA(例えば、mRNA)または対象RNAから調製されたcDNAを含む、いずれか都合のよい核酸型となることができる。あるいは、EZH2核酸突然変異は、個体由来のEZH2タンパク質を評価することによって推論することができる。例えば、突然変異型EZH2タンパク質の同定は、EZH2遺伝子における突然変異を示す。適した検出方法論は、オリゴヌクレオチドプローブハイブリダイゼーション、プライマー伸長反応、核酸配列決定およびタンパク質配列決定を含む。一部の実施形態では、個体は、EZH2核酸突然変異に関するスクリーニングと同時にまたはそれに先立って、1種または複数の追加的なMPD関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、SRSF2、IDH1またはIDH2)における他の病的突然変異の存在に関してスクリーニングされる。一部の実施形態では、EZH2突然変異に加えて、1個または複数(例えば、2、3、4、5、6、7または8個)の突然変異が、本開示のSAPタンパク質による処置に対する応答を測定するための予後マーカーとして使用される。
SRSF2
セリン/アルギニンリッチスプライシング因子2(SRSF2)は、RNAスプライシング機構の構成要素である。SRSF2突然変異は、プレmRNAスプライシングを変更し、原発性骨髄線維症において相対的に一般的であり、不良な転帰を予測するものと思われる。一試験において、187名のPMF患者を試験したところ、17%が、P95H、P95L、P95RおよびP95Sなどのミスセンス突然変異、24bp欠失(delP95−R102)ならびに挿入突然変異274−275insACC(G93D;P95R)を含むSRSF2突然変異を持つことが見出された。SRSF2突然変異は、IDH突然変異とクラスター形成した(Lashoら、Blood 2012年、120巻(20号):4168〜71頁)。
SRSF2ゲノム核酸は、ヒト第17染色体に位置する。ヒトSRSF2 mRNAの全体または部分の例示的な配列として、GenBank受託番号NM_001195427(配列番号15)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの配列は、参照により本明細書に組み込まれる。
SRSF2核酸配列に関して、「突然変異」は、参照配列GenBank受託番号NM_001195427(配列番号15)と比較して少なくとも1個の核酸変異を含むSRSF2核酸配列を意味する。SRSF2核酸における突然変異は、コードされるポリペプチド配列に変化を生じることができる、またはこの突然変異は、コードされるポリペプチド配列に関してサイレントになることができる。アミノ酸配列の変化は、参照アミノ酸配列としてのNP_001182356(配列番号16)と比較して決定することができる。
一部の実施形態では、SRSF2突然変異は、ミスセンス突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異または転座である。一部の実施形態では、SRSF2における突然変異は、P95H、P95L、P95R、P95S、delP95−R102またはG93D;P95R挿入を含む。
一部の実施形態では、本開示は、MPDを処置する方法であって、SRSF2に突然変異を保有する対象に(例えば、対象の造血細胞の一部は、SRSF2突然変異を保有する)、治療有効量のSAPタンパク質を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、MPDを処置する方法であって、SRSF2に突然変異を保有する対象に(例えば、突然変異は、対象の一部の造血細胞に見出され得る)、前記対象における突然変異型SRSF2対立遺伝子荷重を低下させるのに有効な投与レジメンに従って、治療有効量のSAPタンパク質を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄増殖性障害を患う対象において、SRSF2における突然変異型対立遺伝子荷重を低下させるための方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、SRSF2突然変異状態に基づいてMPDに対するSAPタンパク質療法の有効性をモニターする方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(i)SRSF2における突然変異の第1の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第1の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与前に測定される、ステップと、(ii)(i)で測定された同じ突然変異の第2の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第2の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与後に測定される、ステップと、(iii)第2の突然変異型対立遺伝子荷重および第1の突然変異型対立遺伝子荷重の間の差を同定するステップとを含む。さらなる実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重の減少は、SAPタンパク質の投与が、骨髄増殖性障害の処置において有効であり、投与レジメンを維持しても、投薬量および/または投与頻度を減少させるように修飾してもよいことを示す。代替的な実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重に変化がない場合、投与レジメンは、投薬量および/または投与頻度を増加させるように修飾することができる。一態様では、本開示は、SRSF2における1個または複数の体細胞突然変異の存在または非存在に基づいて、SAPタンパク質療法に対する応答性を決定する方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、(i)骨髄増殖性障害を有する対象の細胞が、SRSF2において骨髄増殖性障害に関連する突然変異を保有するかどうかを決定するステップと、対象が、前記突然変異型対立遺伝子を保有する場合、(ii)治療有効量のSAPタンパク質を対象に投与するステップとを含む。一態様では、本開示は、本開示のSAPタンパク質による処置に対する応答を測定するための予後マーカーとしてSRSF2突然変異を使用する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(i)SRSF2における突然変異の第1の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第1の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与前に測定される、ステップと、(ii)(i)で測定された同じ突然変異の第2の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第2の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与後に測定される、ステップと、(iii)第2の突然変異型対立遺伝子荷重および第1の突然変異型対立遺伝子荷重の間の差を測定するステップとを含む。さらなる実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重の減少は、肯定的な予後を示す。代替的な実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重に変化がない場合、これは、中立的または否定的な予後を示す。一部の実施形態では、SRSF2突然変異は、ミスセンス突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異または転座である。一部の実施形態では、SRSF2における突然変異は、P95H、P95L、P95R、P95S、delP95−R102またはG93D;P95R挿入を含む。本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独でまたは追加的な薬剤と組み合わせて使用されて、骨髄増殖性障害を処置する。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独療法として使用される。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、抗がん剤と組み合わせて使用される。ある特定の実施形態では、前述の方法のいずれかは、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、IDH1またはIDH2などが挙げられるが、これらに限定されない、1種または複数のMPD関連遺伝子における1個または複数の突然変異に関してアッセイするステップをさらに含む。一部の実施形態では、前述の方法のいずれかは、TET2、CBL、IKZF1、LNK、DNMT3A、CUX1、U2AF1またはSF3B1における1個または複数の突然変異に関してアッセイするステップをさらに含む。一部の実施形態では、前述の方法のいずれかは、モノソーム核型;inv(3);i(17q);−7/7q−;11qもしくは12p異常;複合非モノソーム;5q−;+8;+9を除く他の常染色体トリソミー;20q−の単独異常;1q重複もしくは他のいずれかの転座;および−Yもしくは他の性染色体異常;正常、または13q−もしくは+9の単独異常;または他の単独異常などの1種または複数の細胞遺伝学的異常に関してアッセイするステップをさらに含む。本開示の上述の態様のいずれかの一部の実施形態では、MPDは、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄線維症または未分類骨髄増殖性疾患である。一部の実施形態では、骨髄線維症は、原発性骨髄線維症、PV後の骨髄線維症またはET後の骨髄線維症である。
本開示の方法は、SRSF2突然変異の存在または非存在に関して、MPDを有するまたはこれを有すると疑われる個体由来の核酸を含有する試料を評価するステップを含む。試料は、例えば、全血(例えば、細胞画分から抽出されたSRSF2核酸)、血漿、血清、骨髄および組織試料(すなわち、生検材料およびパラフィン包埋組織)を含む、いずれか適した生体試料となることができる。SRSF2核酸は、例えば、ゲノムDNA、RNA(例えば、mRNA)または対象RNAから調製されたcDNAを含む、いずれか都合のよい核酸型となることができる。あるいは、SRSF2核酸突然変異は、個体由来のSRSF2タンパク質を評価することによって推論することができる。例えば、突然変異型SRSF2タンパク質の同定は、SRSF2遺伝子における突然変異を示す。適した検出方法論は、オリゴヌクレオチドプローブハイブリダイゼーション、プライマー伸長反応、核酸配列決定およびタンパク質配列決定を含む。一部の実施形態では、個体は、SRSF2核酸突然変異に関するスクリーニングと同時にまたはそれに先立って、1種または複数の追加的なMPD関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、IDH1またはIDH2)における他の病的突然変異の存在に関してスクリーニングされる。一部の実施形態では、SRSF2突然変異に加えて、1個または複数(例えば、2、3、4、5、6、7または8個)の突然変異が、本開示のSAPタンパク質による処置に対する応答を測定するための予後マーカーとして使用される。
IDH1およびIDH2
イソシトレートデヒドロゲナーゼ(IDH)突然変異は、エクソン4を伴い、3個のアルギニン残基である、IDH1におけるR132およびR172、ならびにIDH2におけるR140に影響を与える。IDH1突然変異は、イソシトレートから2−ケトグルタレートへの変換活性の喪失、および2−ケトグルタレートから2−ヒドロキシグルタレートへの変換活性の獲得をもたらす。一試験は、PVにおけるほぼ2%、ETにおける1%、PMFにおける4%および急性転化期MPNにおける22%のIDH突然変異頻度を同定した(Tefferiら、Leukemia.2010年、24巻:1302〜1309頁)。IDHが突然変異した患者は、JAK2 46/1ハプロタイプがヌル欠損である可能性が高く、複合核型を呈する可能性が低い。
IDH1ゲノム核酸は、ヒト第2染色体に位置する。ヒトIDH1 mRNAの全体または部分の例示的な配列として、GenBank受託番号NM_005896(配列番号17)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの配列は、参照により本明細書に組み込まれる。
IDH1核酸配列に関して、「突然変異」は、参照配列GenBank受託番号NM_005896(配列番号17)と比較して少なくとも1個の核酸変異を含むIDH1核酸配列を意味する。IDH1核酸における突然変異は、コードされるポリペプチド配列に変化を生じることができる、またはこの突然変異は、コードされるポリペプチド配列に関してサイレントになることができる。アミノ酸配列の変化は、参照アミノ酸配列としてのNP_005887(配列番号18)と比較して決定することができる。
一部の実施形態では、IDH1突然変異は、ミスセンス突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異または転座である。一部の実施形態では、IDH1における突然変異は、IDH1のエクソン4における挿入/欠失突然変異を含む。一部の実施形態では、IDH1における突然変異は、R132におけるミスセンス突然変異を含む。
一部の実施形態では、本開示は、MPDを処置する方法であって、IDH1に突然変異を保有する対象に(例えば、対象の造血細胞の一部は、IDH1突然変異を保有する)、治療有効量のSAPタンパク質を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、MPDを処置する方法であって、IDH1に突然変異を保有する対象に(例えば、突然変異は、対象の一部の造血細胞に見出され得る)、前記対象における突然変異型IDH1対立遺伝子荷重を低下させるのに有効な投与レジメンに従って、治療有効量のSAPタンパク質を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄増殖性障害を患う対象において、IDH1における突然変異型対立遺伝子荷重を低下させるための方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、IDH1突然変異状態に基づいてMPDに対するSAPタンパク質療法の有効性をモニターする方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(i)IDH1における突然変異の第1の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第1の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与前に測定される、ステップと、(ii)(i)で測定された同じ突然変異の第2の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第2の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与後に測定される、ステップと、(iii)第2の突然変異型対立遺伝子荷重および第1の突然変異型対立遺伝子荷重の間の差を同定するステップとを含む。さらなる実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重の減少は、SAPタンパク質の投与が、骨髄増殖性障害の処置において有効であり、投与レジメンを維持しても、投薬量および/または投与頻度を減少させるように修飾してもよいことを示す。代替的な実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重に変化がない場合、投与レジメンは、投薬量および/または投与頻度を増加させるように修飾することができる。一態様では、本開示は、IDH1における1個または複数の体細胞突然変異の存在または非存在に基づいて、SAPタンパク質またはアゴニスト療法に対する応答性を決定する方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、(i)骨髄増殖性障害を有する対象の細胞が、IDH1において骨髄増殖性障害に関連する突然変異を保有するかどうかを決定するステップと、対象が、前記突然変異型対立遺伝子を保有する場合、(ii)治療有効量のSAPタンパク質を対象に投与するステップとを含む。一態様では、本開示は、本開示のSAPタンパク質による処置に対する応答を測定するための予後マーカーとしてIDH1突然変異を使用する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(i)IDH1における突然変異の第1の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第1の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与前に測定される、ステップと、(ii)(i)で測定された同じ突然変異の第2の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第2の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与後に測定される、ステップと、(iii)第2の突然変異型対立遺伝子荷重および第1の突然変異型対立遺伝子荷重の間の差を測定するステップとを含む。さらなる実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重の減少は、肯定的な予後を示す。代替的な実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重に変化がない場合、これは、中立的または否定的な予後を示す。一部の実施形態では、IDH1突然変異は、ミスセンス突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異または転座である。一部の実施形態では、IDH1における突然変異は、IDH1のエクソン4における挿入/欠失突然変異を含む。一部の実施形態では、IDH1における突然変異は、R132におけるミスセンス突然変異を含む。本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独でまたは追加的な薬剤と組み合わせて使用されて、骨髄増殖性障害を処置する。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独療法として使用される。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、抗がん剤と組み合わせて使用される。ある特定の実施形態では、前述の方法のいずれかは、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2またはIDH2などが挙げられるが、これらに限定されない、1種または複数のMPD関連遺伝子における1個または複数の突然変異に関してアッセイするステップをさらに含む。一部の実施形態では、前述の方法のいずれかは、TET2、CBL、IKZF1、LNK、DNMT3A、CUX1、U2AF1またはSF3B1における1個または複数の突然変異に関してアッセイするステップをさらに含む。一部の実施形態では、前述の方法のいずれかは、モノソーム核型;inv(3);i(17q);−7/7q−;11qもしくは12p異常;複合非モノソーム;5q−;+8;+9を除く他の常染色体トリソミー;20q−の単独異常;1q重複もしくは他のいずれかの転座;および−Yもしくは他の性染色体異常;正常、または13q−もしくは+9の単独異常;または他の単独異常などの1種または複数の細胞遺伝学的異常に関してアッセイするステップをさらに含む。本開示の上述の態様のいずれかの一部の実施形態では、MPDは、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄線維症または未分類骨髄増殖性疾患である。一部の実施形態では、骨髄線維症は、原発性骨髄線維症、PV後の骨髄線維症またはET後の骨髄線維症である。
本開示の方法は、IDH1突然変異の存在または非存在に関して、MPDを有するまたはこれを有すると疑われる個体由来の核酸を含有する試料を評価するステップを含む。試料は、例えば、全血(すなわち、細胞画分から抽出されたIDH1核酸)、血漿、血清、骨髄および組織試料(例えば、生検材料およびパラフィン包埋組織)を含む、いずれか適した生体試料となることができる。IDH1核酸は、例えば、ゲノムDNA、RNA(例えば、mRNA)または対象RNAから調製されたcDNAを含む、いずれか都合のよい核酸型となることができる。あるいは、IDH1核酸突然変異は、個体由来のIDH1タンパク質を評価することによって推論することができる。例えば、突然変異型IDH1タンパク質の同定は、IDH1遺伝子における突然変異を示す。適した検出方法論は、オリゴヌクレオチドプローブハイブリダイゼーション、プライマー伸長反応、核酸配列決定およびタンパク質配列決定を含む。一部の実施形態では、個体は、IDH1核酸突然変異に関するスクリーニングと同時にまたはそれに先立って、1種または複数の追加的なMPD関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2またはIDH2)における他の病的突然変異の存在に関してスクリーニングされる。一部の実施形態では、IDH1突然変異に加えて、1個または複数(例えば、2、3、4、5、6、7または8個)の突然変異が、本開示のSAPタンパク質による処置に対する応答を測定するための予後マーカーとして使用される。
IDH2ゲノム核酸は、ヒト第15染色体に位置する。ヒトIDH1 mRNAの全体または部分の例示的な配列として、GenBank受託番号NM_001289910(配列番号19)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの配列は、参照により本明細書に組み込まれる。
IDH2核酸配列に関して、「突然変異」は、参照配列GenBank受託番号NM_001289910(配列番号19)と比較して少なくとも1個の核酸変異を含むIDH2核酸配列を意味する。IDH2核酸における突然変異は、コードされるポリペプチド配列に変化を生じることができる、またはこの突然変異は、コードされるポリペプチド配列に関してサイレントになることができる。アミノ酸配列の変化は、参照アミノ酸配列としてのNP_001276839(配列番号20)と比較して決定することができる。
一部の実施形態では、IDH2突然変異は、ミスセンス突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異または転座である。一部の実施形態では、IDH2における突然変異は、IDH2のエクソン4における挿入/欠失突然変異を含む。一部の実施形態では、IDH2における突然変異は、R172またはR140におけるミスセンス突然変異を含む。
一部の実施形態では、本開示は、MPDを処置する方法であって、IDH2に突然変異を保有する対象に(例えば、対象の造血細胞の一部は、IDH2突然変異を保有する)、治療有効量のSAPタンパク質を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、MPDを処置する方法であって、IDH2に突然変異を保有する対象に(例えば、突然変異は、対象の一部の造血細胞に見出され得る)、前記対象における突然変異型IDH2対立遺伝子荷重を低下させるのに有効な投与レジメンに従って、治療有効量のSAPタンパク質を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄増殖性障害を患う対象において、IDH2における突然変異型対立遺伝子荷重を低下させるための方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、IDH2突然変異状態に基づいてMPDに対するSAPタンパク質療法の有効性をモニターする方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(i)IDH2における突然変異の第1の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第1の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与前に測定される、ステップと、(ii)(i)で測定された同じ突然変異の第2の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第2の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与後に測定される、ステップと、(iii)第2の突然変異型対立遺伝子荷重および第1の突然変異型対立遺伝子荷重の間の差を同定するステップとを含む。さらなる実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重の減少は、SAPタンパク質の投与が、骨髄増殖性障害の処置において有効であり、投与レジメンを維持しても、投薬量および/または投与頻度を減少させるように修飾してもよいことを示す。代替的な実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重に変化がない場合、投与レジメンは、投薬量および/または投与頻度を増加させるように修飾することができる。一態様では、本開示は、IDH2における1個または複数の体細胞突然変異の存在または非存在に基づいて、SAPタンパク質療法に対する応答性を決定する方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、(i)骨髄増殖性障害を有する対象の細胞が、IDH2において骨髄増殖性障害に関連する突然変異を保有するかどうかを決定するステップと、対象が、前記突然変異型対立遺伝子を保有する場合、(ii)治療有効量のSAPタンパク質を対象に投与するステップとを含む。一態様では、本開示は、本開示のSAPタンパク質による処置に対する応答を測定するための予後マーカーとしてIDH2突然変異を使用する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(i)IDH2における突然変異の第1の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第1の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与前に測定される、ステップと、(ii)(i)で測定された同じ突然変異の第2の突然変異型対立遺伝子荷重を測定するステップであって、前記第2の突然変異型対立遺伝子荷重が、SAPタンパク質の投与後に測定される、ステップと、(iii)第2の突然変異型対立遺伝子荷重および第1の突然変異型対立遺伝子荷重の間の差を測定するステップとを含む。さらなる実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重の減少は、肯定的な予後を示す。代替的な実施形態では、第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重に変化がない場合、これは、中立的または否定的な予後を示す。一部の実施形態では、IDH2突然変異は、ミスセンス突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異または転座である。一部の実施形態では、IDH2における突然変異は、IDH2のエクソン4における挿入/欠失突然変異を含む。一部の実施形態では、IDH2における突然変異は、R172またはR140におけるミスセンス突然変異を含む。本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独でまたは追加的な薬剤と組み合わせて使用されて、骨髄増殖性障害を処置する。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、単独療法として使用される。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質(例えば、グリコシル化SAPタンパク質などの組換えヒトSAPタンパク質)は、抗がん剤と組み合わせて使用される。ある特定の実施形態では、前述の方法のいずれかは、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2またはIDH1などが挙げられるが、これらに限定されない、1種または複数のMPD関連遺伝子における1個または複数の突然変異に関してアッセイするステップをさらに含む。一部の実施形態では、前述の方法のいずれかは、TET2、CBL、IKZF1、LNK、DNMT3A、CUX1、U2AF1またはSF3B1における1個または複数の突然変異に関してアッセイするステップをさらに含む。一部の実施形態では、前述の方法のいずれかは、モノソーム核型;inv(3);i(17q);−7/7q−;11qもしくは12p異常;複合非モノソーム;5q−;+8;+9を除く他の常染色体トリソミー;20q−の単独異常;1q重複もしくは他のいずれかの転座;および−Yもしくは他の性染色体異常;正常、または13q−もしくは+9の単独異常;または他の単独異常などの1種または複数の細胞遺伝学的異常に関してアッセイするステップをさらに含む。本開示の上述の態様のいずれかの一部の実施形態では、MPDは、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄線維症または未分類骨髄増殖性疾患である。一部の実施形態では、骨髄線維症は、原発性骨髄線維症、PV後の骨髄線維症またはET後の骨髄線維症である。
本開示の方法は、IDH2突然変異の存在または非存在に関して、MPDを有するまたはこれを有すると疑われる個体由来の核酸を含有する試料を評価するステップを含む。試料は、例えば、全血(すなわち、細胞画分から抽出されたIDH2核酸)、血漿、血清、骨髄および組織試料(例えば、生検材料およびパラフィン包埋組織)を含む、いずれか適した生体試料となることができる。IDH2核酸は、例えば、ゲノムDNA、RNA(例えば、mRNA)または対象RNAから調製されたcDNAを含む、いずれか都合のよい核酸型となることができる。あるいは、IDH2核酸突然変異は、個体由来のIDH2タンパク質を評価することによって推論することができる。例えば、突然変異型IDH2タンパク質の同定は、IDH2遺伝子における突然変異を示す。適した検出方法論は、オリゴヌクレオチドプローブハイブリダイゼーション、プライマー伸長反応、核酸配列決定およびタンパク質配列決定を含む。一部の実施形態では、個体は、IDH2核酸突然変異に関するスクリーニングと同時にまたはそれに先立って、1種または複数の追加的なMPD関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2またはIDH1)における他の病的突然変異の存在に関してスクリーニングされる。一部の実施形態では、IDH2突然変異に加えて、1個または複数(例えば、2、3、4、5、6、7または8個)の突然変異が、本開示のSAPタンパク質による処置に対する応答を測定するための予後マーカーとして使用される。
前述のいずれかのある特定の方法において、本開示は、前述の遺伝子のうちの1種または複数における突然変異などの、MPDに関連する突然変異を含むと決定された対象(例えば、対象の細胞の一部は、突然変異を保有する)を処置する方法を提供する。前述のいずれかのある特定の実施形態では、対象は、ヘテロ接合またはホモ接合である。ある特定の実施形態では、対象は、MPDに関連する2個以上の突然変異(例えば、2個、3個または4個以上)を保有する。
検出方法
本開示の方法を使用して、骨髄増殖性障害関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)における突然変異を検出する、または細胞遺伝学的異常などの他の遺伝的変更を検出することもできる。ある特定の実施形態では、本方法は、対象由来の細胞(例えば、血液細胞、骨髄細胞などの体液細胞(bodily fluid cell)など)の試料において、骨髄増殖性障害関連遺伝子における遺伝的突然変異の存在または非存在を検出するステップを含む。例えば、このような遺伝的突然変異は、1)1種または複数の遺伝子からの1個または複数のヌクレオチドの欠失;2)1種または複数の遺伝子への1個または複数のヌクレオチドの付加;3)1種または複数の遺伝子の1個または複数のヌクレオチドの置換;4)1種または複数の遺伝子の染色体再配列(例えば、転座);5)1種または複数の遺伝子のメッセンジャーRNA転写物のレベルの変更;6)ゲノムDNAのメチル化パターンの異常修飾などの、1種または複数の遺伝子の異常修飾;7)1種または複数の遺伝子のメッセンジャーRNA転写物の非野生型スプライシングパターンの存在;8)1種または複数のタンパク質の非野生型レベル;9)1種または複数の遺伝子の対立遺伝子喪失;および10)1種または複数のタンパク質の不適正な翻訳後修飾のうち少なくとも1種の存在を確認することにより検出することができる。本明細書に記載されている通り、1種または複数の遺伝子における突然変異の検出に使用することができる、当技術分野で公知の多数のアッセイが存在する。一部の実施形態では、遺伝子の突然変異状態は、末梢血試料を収集し、試料からDNAを抽出し、PCRによって解析することにより測定される。一部の実施形態では、ゲノムDNAは、末梢血白血球から抽出される。一部の実施形態では、ゲノムDNAは、末梢血顆粒球から抽出される。一部の実施形態では、1種または複数の遺伝子における突然変異は、PCRによって検出される。一部の実施形態では、1種または複数の遺伝子における突然変異は、全エクソーム配列決定によって検出される。一部の実施形態では、1種または複数の遺伝子における突然変異は、Sanger配列決定によって検出される。一部の実施形態では、1種または複数の遺伝子における突然変異は、全ゲノム配列決定によって検出される。
ある特定の実施形態では、遺伝的突然変異の検出は、リアルタイムPCR、COLD−PCR、アンカーPCR、再帰的(recursive)PCRまたはRACE PCRなどのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)における(例えば、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号および同第5,854,033号を参照)、あるいはライゲーション連鎖反応(LCR)における(例えば、Landegranら(1988年)Science 241巻:1077頁;ProdromouおよびPearl(1992年)Protein Eng.5巻:827頁;ならびにNakazawaら(1994年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91巻:360頁を参照)、プローブ/プライマーの使用を含み、そのうち後者は、骨髄増殖性障害関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)における点突然変異の検出に特に有用となり得る(Abravayaら(1995年)Nucleic Acids Res.23巻:675頁を参照)。本方法は、対象から細胞の試料を収集し、試料の細胞から核酸(例えば、ゲノム、mRNAまたはその両方)を単離し、遺伝子(存在するのであれば)のハイブリダイゼーションおよび増幅が起こるような条件下で、骨髄増殖性障害関連遺伝子に特異的にハイブリダイズする1種または複数のプライマーと核酸試料とを接触させ、増幅産物の存在または非存在を検出する、または増幅産物のサイズを検出して対照試料と長さを比較するステップを含むことができる。PCRおよび/またはLCRが、本明細書に記載されている突然変異の検出に使用される技法のいずれかと併せた予備的増幅ステップとしての使用に望ましくなり得ることが予期される。
代替増幅方法は、自家持続配列複製法(Guatelliら(1990年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87巻:1874頁)、転写増幅系(Kwohら(1989年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86巻:1173頁)、Q−ベータレプリカーゼ(Lizardiら(1988年)Bio-Technology 6巻:1197頁)または他のいずれかの核酸増幅方法を含み、続いて、当業者に周知の技法を使用した増幅された分子の検出が行われる。これらの検出スキームは、非常に少数で存在する場合の核酸分子の検出に特に有用である。
代替的な実施形態では、試料細胞由来の1種または複数の骨髄増殖性障害関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)における突然変異は、制限酵素切断パターンの変更によって同定することができる。例えば、試料および対照DNAが単離され、任意選択で増幅され、1種または複数の制限エンドヌクレアーゼで消化され、ゲル電気泳動によって断片長サイズが決定され比較される。試料および対照DNAの間の断片長サイズにおける差は、試料DNAにおける突然変異を示す。さらに、配列特異的リボザイムの使用(例えば、米国特許第5,498,531号を参照)を使用して、リボザイム切断部位の発生または喪失による特異的突然変異の存在をスコア付けすることができる。
他の実施形態では、本明細書に記載されている骨髄増殖性障害関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)のうちの1種または複数における遺伝的突然変異は、試料および対照核酸、例えば、DNAまたはRNAを、数百種または数千種のオリゴヌクレオチドプローブを含有する高密度アレイにハイブリダイズさせることにより同定することができる(Croninら(1996年)Human Mutation 7巻:244頁;Kozalら(1996年)Nature Medicine 2巻:753頁)。例えば、核酸における遺伝的突然変異は、Cronin, M. T.ら、上記参照に記載されている発光DNAプローブを含有する二次元アレイで同定することができる。簡潔に説明すると、プローブの第1のハイブリダイゼーションアレイを使用して、試料および対照中のDNAの長いストレッチを走査して、逐次的な重複プローブの線形アレイを作製することにより、配列間の塩基変化を同定することができる。このステップは、点突然変異の同定を可能にする。このステップに続いて、検出された全ての変異体または突然変異に相補的な、より小型の特殊化されたプローブアレイを使用することにより、特異的突然変異の特徴付けを可能にする第2のハイブリダイゼーションアレイが為される。各突然変異アレイは、一方が野生型遺伝子に相補的であり、他方が突然変異型遺伝子に相補的である、平行したプローブセットで構成される。
さらに別の実施形態では、当技術分野で公知の種々の配列決定反応のいずれかを使用して、骨髄増殖性障害関連遺伝子を直接的に配列決定し、試料遺伝子の配列を対応する野生型(対照)配列と比較することにより、突然変異を検出することができる。配列決定反応の例として、MaxamおよびGilbert((1977年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74巻:560頁)またはSanger((1977年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74巻:5463頁)によって開発された技法に基づく反応が挙げられる。質量分析による配列決定(例えば、PCT国際出願公開番号WO94/16101;Cohenら(1996年)Adv. Chromatogr.36巻:127〜162頁;およびGriffinら(1993年)Appl. Biochem. Biotechnol.38巻:147頁を参照)を含む、診断アッセイ((1995年)Biotechniques 19巻:448頁)を行う際に種々の自動配列決定手順のいずれかを利用することができることも企図される。
骨髄増殖性障害関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)における突然変異を検出するための他の方法は、切断剤からの保護が使用されて、RNA/RNAまたはRNA/DNAヘテロデュプレックスにおけるミスマッチした塩基を検出する方法を含む(Myersら(1985年)Science 230巻:1242頁)。一般に、当技術分野の技法である「ミスマッチ切断」は、野生型配列を含有する(標識された)RNAまたはDNAを、組織試料から得られた潜在的な突然変異型RNAまたはDNAとハイブリダイズさせることによって形成されたヘテロデュプレックスを提供することにより開始される。二本鎖デュプレックスは、対照および試料ストランドの間の塩基対ミスマッチにより存在するものなどの、デュプレックスの一本鎖領域を切断する薬剤で処理される。例えば、RNA/DNAデュプレックスは、RNaseで処理することができ、DNA/DNAハイブリッドは、S1ヌクレアーゼで処理して、ミスマッチした領域を酵素により消化することができる。他の実施形態では、DNA/DNAまたはRNA/DNAデュプレックスのいずれかは、ミスマッチした領域を消化するために、ヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウムでおよびピペリジンで処理することができる。ミスマッチした領域の消化後に続いて、得られた材料を変性ポリアクリルアミドゲルにおいてサイズによって分離して、突然変異の部位を決定する。例えば、Cottonら(1988年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85巻:4397頁;Saleebaら(1992年)Methods Enzymol.217巻:286頁を参照されたい。一実施形態では、対照DNAまたはRNAは、検出のために標識することができる。
また別の実施形態では、ミスマッチ切断反応は、細胞の試料から得たcDNAにおける点突然変異を検出およびマッピングするための定義されたシステムにおいて、二本鎖DNAにおけるミスマッチした塩基対を認識する1種または複数のタンパク質(いわゆる「DNAミスマッチ修復」酵素)を用いる。例えば、E.coliのmutY酵素は、G/AミスマッチにおけるAを切断し、HeLa細胞由来のチミジンDNAグリコシラーゼは、G/TミスマッチにおけるTを切断する(Hsuら(1994年)Carcinogenesis 15巻:1657頁)。例示的な実施形態によれば、骨髄増殖性障害関連遺伝子配列、例えば、野生型配列に基づくプローブを、被験細胞(複数可)由来のcDNAまたは他のDNA産物にハイブリダイズさせる。デュプレックスをDNAミスマッチ修復酵素で処理し、切断産物があるとすれば、電気泳動プロトコールなどから検出することができる。例えば、米国特許第5,459,039号を参照されたい。
他の実施形態では、電気泳動の移動度の変更は、骨髄増殖性障害関連遺伝子における突然変異の同定に使用されるであろう。例えば、一本鎖高次構造多型分析(SSCP)を使用して、突然変異型および野生型核酸の間の電気泳動の移動度における差を検出することができる(Oritaら(1989年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86巻:2766頁、さらには、Cotton(1993年)Mutat. Res.285巻:125頁;およびHayashi(1992年)Genet. Anal. Tech. Appl.9巻:73頁も参照されたい)。試料および対照核酸の一本鎖DNA断片は、変性され、復元させられるであろう。一本鎖核酸の二次構造は、配列に応じて変動し、その結果生じる電気泳動の移動度変更は、単一の塩基変化の検出でさえも可能にする。DNA断片は、標識することができる、または標識されたプローブにより検出することができる。アッセイの感度は、二次構造が配列の変化により感受性である場合に、RNA(DNAよりも)を使用することにより増強することができる。一実施形態では、対象方法は、ヘテロデュプレックス解析を利用して、電気泳動の移動度の変化に基づいて二本鎖ヘテロデュプレックス分子を分離する(Keenら(1991年)Trends Genet.7巻:5頁)。
さらに別の実施形態では、変性剤の勾配を含有するポリアクリルアミドゲル中の突然変異型または野生型断片の動きは、変性濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)を使用してアッセイされる(Myersら(1985年)Nature 313巻:495頁)。解析方法としてDGGEが使用される場合、例えば、PCRによりおよそ40bp(by)の高融解温度のGCリッチDNAのGCクランプを付加することにより、DNAは、完全には変性しないことを保証するように修飾されるであろう。さらなる実施形態では、変性勾配の代わりに温度勾配が使用されて、対照および試料DNAの移動度における差を同定する(RosenbaumおよびReissner(1987年)Biophys. Chem.265巻:12753頁)。
点突然変異を検出するための他の技法の例として、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅または選択的プライマー伸長が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、公知の突然変異が中央に配置された、オリゴヌクレオチドプライマーを調製し、完全なマッチが見出される場合のみにハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、標的DNAにハイブリダイズさせることができる(Saikiら(1986年)Nature 324巻:163頁;Saikiら(1989年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86巻:6230頁)。オリゴヌクレオチドが、ハイブリダイズ用の膜に取り付けられ、標識された標的DNAとハイブリダイズする場合、このような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、PCR増幅された標的DNAまたは多数の異なる突然変異にハイブリダイズされる。
あるいは、選択的PCR増幅に依存する対立遺伝子特異的増幅技術は、本開示と併せて使用することができる。特異的増幅のためのプライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドは、分子の中央に(増幅が、差次的ハイブリダイゼーションに依存することができるように)(Gibbsら(1989年)Nucl. Acids Res.17巻:2437頁)、または適切な条件下で、ミスマッチがポリメラーゼ伸長を防止または低下することができる、一方のプライマーの3’末端の最も端に(Prossner(1993年)Tibtech 11巻:238頁)、目的の突然変異を保有することができる。加えて、突然変異の領域に新規制限部位を導入して、切断に基づく検出を作製することが望ましくなり得る(Gaspariniら(1992年)Mol. Cell Probes 6巻:1頁)。ある特定の実施形態では、増幅は、増幅のためのTaqリガーゼを使用して行うこともできることが予期される(Barany(1991年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88巻:189頁)。そのような場合、ライゲーションは、5’配列の3’末端に完全なマッチが存在する場合にのみ起こり、増幅の存在または非存在を探索することにより特異的部位における公知の突然変異の存在を検出することを可能にするであろう。一部の実施形態では、例えば、対立遺伝子識別が、−1位におけるミスマッチおよび−2位におけるロックド核酸(LNA)の相乗効果によって増強される、定量的リアルタイム対立遺伝子特異的PCRが使用されて、突然変異の存在または非存在を検出および/または定量化する(Nussenzveigら(2007年)Exp Hematol.35巻(1号):32〜8頁)。
ある特定の例示的な実施形態では、骨髄増殖性障害関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)に対応するmRNAのレベルは、当技術分野で公知の方法を使用して、生体試料におけるin situおよび/またはin vitro形式のいずれかによって決定することができる。一部の実施形態では、MPD関連miRNAのレベルは、当技術分野で公知の方法を使用して、生体試料におけるin situおよび/またはin vitro形式のいずれかによって決定することができる。一部の実施形態では、MPD関連mRNAまたはmiRNAは、エキソソームに存在する。多くの発現検出方法は、単離されたRNAを使用する。in vitro方法のため、mRNAの単離に対して選択しないいずれかのRNA単離技法を、血液細胞由来のRNAの精製に利用することができる(例えば、Ausubelら編、Current Protocols in MolecularBiology、John Wiley & Sons、NewYork 1987年1999頁を参照)。その上、多数の細胞および/または試料は、例えば、Chomczynski(1989年、米国特許第4,843,155号)の単一ステップRNA単離プロセスなどの当業者に周知の技法を使用して、容易に加工することができる。
単離されたmRNAは、サザンまたはノーザン解析、ポリメラーゼ連鎖反応解析およびプローブアレイが挙げられるが、これらに限定されない、ハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイにおいて使用することができる。ある特定の例示的な実施形態では、mRNAレベルの検出のための診断方法は、検出されている遺伝子によってコードされるmRNAにハイブリダイズすることができる核酸分子(プローブ)と、単離されたmRNAとを接触させるステップを含む。核酸プローブは、例えば、少なくとも7、15、30、50、100、250または500ヌクレオチドの長さの、骨髄増殖性障害関連遺伝子をコードするmRNAまたはゲノムDNAにストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチドなどの全長cDNAまたはその部分となることができる。本開示の診断アッセイにおける使用のための他の適したプローブは、本明細書に記載されている。プローブとmRNAとのハイブリダイゼーションは、問題となっている突然変異が発現されていることを示す。
一形式において、例えば、単離されたmRNAをアガロースゲルで泳動し、ゲルからニトロセルロースなどの膜へとmRNAを移動させることにより、mRNAは、固体表面に固定化され、プローブと接触させられる。代替形式において、例えば、遺伝子チップアレイにおいては、プローブ(複数可)が固体表面に固定化され、mRNAがプローブ(複数可)と接触させられる。当業者であれば、骨髄増殖性障害関連遺伝子によってコードされるmRNAのレベルの検出における使用のために、公知のmRNA検出方法を容易に適応させることができる。
試料における骨髄増殖性障害関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)に対応するmRNAのレベルを決定するための代替法は、例えば、rtPCR(米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号に示されている実験的実施形態)、定量的リアルタイム対立遺伝子特異的PCR(Borowczykら(2015年)Thromb Res.135巻(2号):272〜80頁)、COLD−PCR(Liら(2008年)Nat. Med.14巻:579頁)、リガーゼ連鎖反応(Barany、1991年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、88巻:189頁)、自家持続配列複製法(Guatelliら、1990年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87巻:1874頁)、転写増幅系(Kwohら(1989年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86巻:1173頁)、Q−ベータレプリカーゼ(Lizardiら(1988年)Bio/Technology 6巻:1197頁)、ローリング・サークル複製(米国特許第5,854,033号)または他のいずれかの核酸増幅方法による核酸増幅のプロセスと、それに続く、当業者に周知の技法を使用した増幅された分子の検出を含む。これらの検出スキームは、非常に少数で存在する場合の核酸分子の検出に特に有用である。本明細書において使用する場合、増幅プライマーは、遺伝子の5’または3’領域(それぞれプラスおよびマイナスストランド、または逆もまた同じ)にアニールし、それらの間に短い領域を含有することができる、一対の核酸分子であると定義されている。一般に、増幅プライマーは、約10〜30ヌクレオチドの長さであり、約50〜200ヌクレオチドの長さの領域を挟む。適切な条件下で、適切な試薬を用いると、このようなプライマーは、プライマーに挟まれたヌクレオチド配列を含む核酸分子の増幅を可能にする。
in situ方法のため、mRNAは、検出に先立ち試料(例えば、体液(例えば、血液細胞))から単離される必要はない。このような方法において、細胞または組織試料は、公知の組織学的方法を使用して調製/加工される。続いて、試料は、支持体、典型的にはスライドガラス上に固定化された後に、本開示のmRNAにハイブリダイズすることができるプローブと接触させられる。
決定は、骨髄増殖性障害関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)の正規化された発現レベルに基づくことができる。発現レベルは、マーカーの発現をマーカーではない遺伝子、例えば、構成的に発現されるハウスキーピング遺伝子の発現と比較することにより、マーカーの絶対的発現レベルを補正することにより正規化される。正規化に適した遺伝子は、アクチン遺伝子などのハウスキーピング遺伝子または上皮細胞特異的遺伝子を含む。この正規化は、ある供給源由来の患者試料に対する別の供給源由来の患者試料における発現レベルの比較を可能にする。
本開示によれば、骨髄増殖性障害関連突然変異の存在または非存在は、突然変異した遺伝子によってコードされるタンパク質(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)を解析することにより決定することもできる。タンパク質レベルでの突然変異の検出は、当該分野で周知のいずれかの方法によって検出することができる。一実施形態では、骨髄増殖性障害関連タンパク質における突然変異の検出は、タンパク質を単離し、これをアミノ酸配列決定に付すことにより行われる。この操作は、配列決定に先立ちタンパク質分解的または化学的手段によるタンパク質の断片化を必要とする場合がある。アミノ酸配列を決定する方法は、当技術分野で周知である。
突然変異したタンパク質の検出は、例えば、抗体、アプタマー、リガンド;基質、他のタンパク質もしくはタンパク質断片、他のタンパク質結合剤、または断片の質量分析を使用して達成することができる。好ましくは、タンパク質検出剤は、本開示の突然変異したタンパク質に特異的であり、したがって、突然変異したタンパク質および野生型タンパク質または別の変異体形態の間を識別することができる。これは一般に、例えば、変異体および野生型タンパク質の間で異なるタンパク質の領域に結合する検出剤を選択または設計することにより達成することができる。
突然変異したタンパク質を検出するための好ましい薬剤の1つは、タンパク質の変異体形態に選択的に結合することができる抗体である。野生型および突然変異したタンパク質の間を識別することができる抗体は、当技術分野で公知のいずれか適した方法によって作製することができる。抗体は、モノクローナルもしくはポリクローナル抗体、単一鎖もしくは二本鎖、キメラもしくはヒト化抗体、または抗原結合性断片に対応することが当業技術の水準で公知の部分を含有する免疫グロブリン分子の部分となることができる。
ポリクローナル抗体を製造するための方法は、当技術分野で周知である。典型的には、抗体は、突然変異を含有する突然変異したタンパク質免疫原性断片をホワイトニュージーランドウサギに投与することにより(例えば、皮下注射により)作製される。抗原(例えば、突然変異型JAK2、MPL、CLR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)は典型的に、複数の部位に注射され、注射は、複数回反復されて(例えば、およそ隔週)、免疫応答を誘導する。望ましくは、ウサギは、免疫を増強するためのアジュバントを同時に投与される。続いて、ポリクローナル抗体は、例えば、抗体を捕捉するために同じ抗原を使用したアフィニティークロマトグラフィーによって、血清試料から精製される。抗体は、天然のタンパク質と交差反応する抗体を除去することにより、突然変異に対して特異的になるように作製することができる。
突然変異したタンパク質(例えば、突然変異型JAK2、MPL、CLR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)の検出のためのin vitro方法は、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ウエスタンブロット、免疫沈降、免疫蛍光およびタンパク質アレイチップ(例えば、抗体またはアプタマーのアレイ)も含む。イムノアッセイおよび関連するタンパク質検出方法に関するさらなる情報については、Current Protocols in Immunology、John Wiley& Sons、N.Y.およびHage「Immunoassays」、Anal Chem:1999年6月15日;71巻(12号):294R〜304R頁を参照されたい。アミノ酸変異体を検出する追加的な分析方法として、電気泳動の移動度変更(例えば、2次元電気泳動)、トリプシンペプチド消化変更、細胞に基づくまたは無細胞アッセイにおけるJAK2キナーゼ活性変更、リガンドまたは抗体結合パターンの変更、等電点変更、および直接的アミノ酸配列決定が挙げられるが、これらに限定されない。
本開示は、生体試料における1種または複数の骨髄増殖性障害関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)における1個または複数の突然変異の存在を検出するためのキットも包含する。例えば、本キットは、生体試料におけるマーカーゲノムDNA、ポリペプチド、タンパク質、mRNAなどを検出することができる標識された化合物または薬剤;および試料における突然変異の存在または非存在を決定するための手段を含むことができる。化合物または薬剤は、適した容器内に包装することができる。本キットは、本キットを使用して、マーカーペプチドまたは核酸における突然変異を検出するための指示をさらに含むことができる。
生体試料収集および調製
本開示の方法および組成物を使用して、個体から得た生体試料を使用して、骨髄増殖性障害関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)および/または骨髄増殖性障害関連タンパク質(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)における突然変異を検出することができる。被験試料を得る方法は、当業者に周知であり、そのようなものとして、吸引、組織切片、血液または他の液の採取、外科的または針生検などが挙げられるが、これらに限定されない。被験試料は、骨髄増殖性障害を有すると診断された、または骨髄増殖性障害を患っていると疑われる、または骨髄増殖性障害のための治療法を受けている個体または患者から得ることができる。被験試料は、細胞を含有する液体または組織となることができる。試料として、羊水、生検材料、血液、血液細胞、骨髄、細針生検試料、腹水(peritoneal fluid)、羊水、血漿、胸膜液、唾液、精液、血清、組織または組織ホモジネート、組織の凍結またはパラフィン切片を挙げることができるがこれらに限定されない。試料は、組織の切片作製、分画、精製または細胞オルガネラ分離など、加工することもできる。必要であれば、試料は、遠心分離などによって収集または濃縮することができる。試料の細胞は、例えば、酵素、熱、界面活性剤、超音波処理またはこれらの組合せによる処理によって、溶解に付すことができる。溶解処理は、個体の細胞に由来する十分な量の核酸を得て、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を使用して検出するために行われる。あるいは、骨髄増殖性障害関連遺伝子における突然変異は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第11/408,241号(公開番号US2007−0248961)に記載されている方法に従って、無細胞体液を使用して検出することができる。
血漿および血清調製方法は、当技術分野で周知である。「新鮮」血漿もしくは血清、または凍結(貯蔵)しその後に解凍した血漿もしくは血清のいずれかを使用することができる。凍結(貯蔵)した血漿または血清は、解凍および使用するまで−20〜−70セ氏温度の貯蔵条件で最適に維持するべきである。「新鮮」血漿または血清は、使用するまで冷蔵または氷上で維持するべきであり、核酸(例えば、RNA、DNAまたは総核酸)抽出は、可能なかぎり迅速に行われるべきである。例示的な方法について後述する。血液は、標準方法によって、血清調製のための抗凝固薬なしで、またはEDTA、クエン酸ナトリウム、ヘパリンもしくは血漿調製のための同様の抗凝固薬ありのいずれかで、収集チューブ、典型的にはシリコン処理したガラスへと採取することができる。貯蔵のための血漿または血清を調製する場合、絶対要件ではないが、凍結に先立ち全血から血漿または血清が先ず分画されることが好ましい。これは、ポルフィリンおよびヘマチンなどの、PCRに対する阻害剤の放出により、増幅アッセイの感度を低下させ得るまたは増幅アッセイに干渉し得る、凍結解凍された細胞の溶解から放出された外来性細胞内RNAの負荷を低下させる。「新鮮」血漿または血清は、300〜800倍の重力で5〜10分間の穏やかな遠心分離を使用した遠心分離によって全血から分画することができる、または他の標準方法によって分画することができる。アポトーシス小体を分画することができる高速の遠心分離速度は、回避するべきである。ヘパリンは、RT−PCRに干渉する場合があるため、ヘパリン処理した血液の使用は、逆転写に先立つヘパラナーゼによる前処理とそれに続くカルシウム除去を必要とし得る。Imai, H.ら、J. Virol. Methods 36巻:181〜184頁(1992年)。よって、EDTAは、PCR増幅が計画されている血液検体に適した抗凝固薬である。
核酸抽出および増幅
増幅されるべき核酸は、例えば、生物、細胞培養物、組織試料など、生体試料に由来することができる。生体試料は、いずれかの動物、好ましくは、哺乳動物を含む対象に由来することができる。好ましい対象は、疾患の診断または処置のために医療提供者による診察を受けている患者となり得るヒトである。生体試料は、例えば、胎児、若年成人、成人などのライフステージから得ることができる。特に好ましい対象は、骨髄増殖性障害関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)における突然変異に関して検査されているヒトである。
様々な抽出方法が、DNAまたはRNAの単離に適している。適した方法は、フェノール・クロロホルム抽出を含む。Maniatisら、Molecular Cloning, A LaboratoryManual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、16.54頁(1989年)を参照されたい。多数の市販のキットも、適したDNAおよびRNAを生じ、そのようなものとして、QIAamp(商標)mini血液キット、Agencourt Genfind(商標)、Roche Cobas(登録商標)Roche MagNA Pure(登録商標)またはEppendorf Phase Lock Gels(登録商標)を使用したフェノール:クロロホルム抽出、およびNucliSens抽出キット(Biomerieux、Marcy l’Etoile、France)が挙げられるが、これらに限定されない。他の方法において、mRNAは、MagNA Pure LC mRNA HSキットおよびMag NA Pure LC Instrument(Roche Diagnostics Corporation、Roche Applied Science、Indianapolis、Ind.)を使用して、患者血液/骨髄試料から抽出することができる。
血液、血清、血漿および骨髄または他の造血組織から総核酸、DNAおよびRNAを単離するための多数の方法が、当技術分野で公知である。実際に、多数の発表されたプロトコール、ならびに市販のキットおよびシステムを利用することができる。例として、ただし限定を目的とすることなく、このようなキット、システムおよび発表されたプロトコールの例について後述する。市販のキットは、QiaAmp DNA Blood MiniKit(Cat.#51104、Qiagen、Valencia、Calif.)、QiaAmp RNA Blood MiniKit(Cat.#52304、Qiagen、Valencia、Calif.)などのQiagen製品;WizardゲノムDNAキット(Cat.#A1620、Promega Corp.、Madison、Wis.)、Wizard SVゲノムDNAキット(Cat.#A2360、Promega Corp.、Madison、Wis.)、SV全RNAキット(Cat.#X3100、Promega Corp.、Madison、Wis.)、PolyATractシステム(Cat.#Z5420、Promega Corp.、Madison、Wis.)またはPurYield RNAシステム(Cat.#23740、Promega Corp.、Madison、Wis.)などのPromega製品を含む。
血漿または血清からのRNAの抽出
血漿RNAは、非常に感受性であり、RNAの相対的存在量および例えば、JAK2エクソン14の欠失などの欠失の検出し易さのため、DNAに基づく検査に取って代わることができる。腫瘍に由来または関連する細胞外DNAを含む、循環する細胞外デオキシリボ核酸(DNA)も、血漿および血清中に存在する。Stroun,M.ら、Oncology 46巻:318〜322頁(1989年)を参照されたい。このDNAはその上、上述のRNA抽出方法において変動する程度まで抽出されることになるため、さらなるRNA解析に進む前に、RNA抽出物をさらに精製し、微量DNAを除去することが望ましくまたは必要となり得る(臨床目標に応じて)。これは、例えば、次の通りRashtchian, A.、PCR Methods Applic.4巻:S83〜S91頁(1994年)によって記載された方法により、DNaseを使用して達成することができる。
ガラスビーズ、シリカ粒子または珪藻抽出:RNAは、Boom, R.ら、J. Clin. Micro.28巻:495〜503頁(1990年);Cheung,R. C.ら、J. Clin Micro.32巻:2593〜2597頁(1994年)の方法または適応の通り、シリカ粒子、ガラスビーズまたは珪藻を使用して、血漿または血清から抽出することができる。
酸性チオシアン酸グアニジウム(Acid GuanidiniumThiocyanate)−フェノール−クロロホルム抽出:代替法として、RNAは、次の通りChomczynski,P.およびSacchi, N.、AnalyticalBiochemistry 162巻:156〜159頁(1987年)によって記載された酸性チオシアン酸グアニジウム−フェノール−クロロホルム抽出方法を使用して、血漿または血清から抽出することができる。
代替核酸抽出方法:代替法を使用して、体液からRNAを抽出することができ、そのようなものとして、RNA抽出のための、Chirgwin,J.M.ら、Biochemistry 18巻:5294〜5299頁(1979年)によって記載された方法を含む、塩化セシウム勾配による遠心分離、およびFournie,G.J.ら、Analytical Biochemistry 158巻:250〜256頁(1986年)の方法の適応によるなど、血漿または血清からの細胞外RNAのゼラチンによる共沈が挙げられるが、これらに限定されない。
細胞遺伝学的解析
分裂中期細胞遺伝学的解析は、標準核型方法、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、スペクトル核型決定またはマルチプレックス−FISH(M−FISH)、マルチカラーFISH(mFISH)および比較ゲノムハイブリダイゼーション、および/またはin situハイブリダイゼーションによって行うことができる。FISH解析を行うための市販のプローブのいずれか(例えば、Abbott Molecular VYSIS FISH Technology)を、本開示の方法において用いることができることが理解されよう。一実施形態では、この方法は、ハイブリダイゼーションに適した条件下で、対象から得た試料、例えば、染色体試料または分画、濃縮もしくは他の仕方で前処理した試料を、プローブ(例えば、所望の配列に特異的なプローブ)と接触させるステップと、遺伝子における異常(例えば、細胞遺伝学的異常に関連する染色体領域におけるゲノムDNA)のうちの1種または複数の存在または非存在を決定するステップとを含む。一部の実施形態では、細胞遺伝学的解析は、当技術分野で公知の標準技法(Tamら、Blood 113巻(18号):4171〜4178頁)を使用して、無刺激骨髄吸引物培養物から得た分裂中期において行われる。この方法は、任意選択で、遺伝子または遺伝子産物に関して試料を濃縮するステップを含むことができる。一部の実施形態では、細胞遺伝学的解析は、International System for Human Cytogenetic Nomenclature.(Cytogenetic and genome research.2013年、DOI 10.1159/000353118として2013/07/03に事前公開)に従って行われる。
前述または後述のいずれかのある特定の実施形態では、処置方法は、骨髄の線維症などのMPDの1種もしくは複数の徴候または本明細書に記載されている他の徴候の改善に有効となり得る。ある特定の実施形態では、処置方法は、対立遺伝子荷重の減少および1種または複数の追加的な徴候の改善の両方に対して有効である。ある特定の実施形態では、経時的な改善は、骨髄の線維症などの1種または複数の徴候の変化を決定することにより評価される。
投与の方法
一態様では、本開示は、それを必要とする患者に治療有効量の本開示のSAPタンパク質を投与することによって、患者における骨髄増殖性障害を処置するための方法を提供する。一態様では、本開示は、治療有効量の本開示のSAPタンパク質を投与することによって、骨髄増殖性障害に関連する突然変異(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2における突然変異)を保有する患者における骨髄増殖性障害を処置するための方法を提供する。投薬量および処置の頻度は、当業者によって決定されることができ、患者の症状、年齢および体重、ならびに処置または予防されるべき疾患の性質および重症度に依存して変動する。本開示は、骨髄線維症を処置することにおいて有効な投薬レジメンを同定した。
一態様では、本開示は、それを必要とする患者に治療有効量の本開示のSAPタンパク質を、突然変異型対立遺伝子荷重を低下させるために有効な投与レジメンに従って投与することによって、骨髄増殖性障害に関連する突然変異(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2における突然変異)を保有する患者における骨髄増殖性障害を処置するための方法を提供する。一部の実施形態では、患者は、SAPタンパク質の投与前に輸血以外のいかなる治療も受けていなかった。一部の実施形態では、患者は貧血または血小板減少症である。
本明細書中で使用される場合、用語「投与レジメン」は、用量または投薬量(すなわち、SAPタンパク質の量)および投薬スケジュール(すなわち、SAPタンパク質の投与の頻度または逐次的な用量の間の間隔)の両方を包含する。
単独でまたは追加の抗がん剤などの別の薬剤と組み合わせた、毎週の投薬スケジュールまたは(例えば、4週間毎などの、毎週よりも少ない)より低頻度の投薬スケジュールに従う本開示のSAPタンパク質の投与は、骨髄増殖性障害の症状の顕著な改善をもたらした。さらに、本開示の方法は、本開示のSAPタンパク質が、SAP処置により誘導された臨床的に有意な骨髄抑制、例えば、処置関連骨髄抑制のエビデンスがなく、単独および別の抗がん療法薬との組合せの両方で良好に耐容性を示したという知見にも基づく。
ある特定の態様では、本開示は、それを必要とする患者に突然変異型対立遺伝子荷重を低下させるために有効な量の本開示のSAPタンパク質を投与することによって、患者における骨髄増殖性障害を処置するための方法を提供する。ある特定の態様では、本開示は、それを必要とする患者に罹患臓器の機能を改善するために有効な量の本開示のSAPタンパク質を投与することによって、患者における骨髄増殖性障害を処置するための方法を提供する。機能の改善は、例えば、臓器の線維症の減少、血小板レベルの改善および/またはヘモグロビンの増加を評価することにより評価されてもよい。一部の実施形態では、線維性の臓器は骨髄である。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は骨髄線維症である。
一部の実施形態では、SAPタンパク質は1日当たり1回もしくは2回、1週間当たり1回もしくは2回、1カ月当たり1回もしくは2回、または1カ月当たり1回、あるいは症状の発生の直前または発生時に患者に投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は、処置レジメンの開始時により頻繁に(例えば、最初の1週間は1日おき、その後は4週間毎に1回)患者に投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は、線維症の発症を予防するために、いまだ線維症を発症していない、PVまたはETを有する患者に投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は、骨髄増殖性障害に関連する突然変異または細胞遺伝学的異常(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2のうちの1種または複数における突然変異)を保有すると決定された患者に、症状の発症前に投与される。
投薬量は、当業者に公知のまたは本明細書に教示された技術によって容易に決定されうる。SAPタンパク質の毒性および治療有効性は、実験動物における標準的な薬学的手順、例えば、LD50およびED50を決定することによって決定されうる。ED50(有効用量50)は、動物集団の50%において特定の効果をもたらすために必要とされる薬物の量である。LD50(致死用量50)は、サンプル集団の50%を殺滅する薬物の用量である。
ある特定の態様では、SAPタンパク質は、対象における骨髄増殖性障害を処置するための単剤として投与される。ある特定の態様では、SAPタンパク質(例えば、本開示の変異型SAPタンパク質)および追加的な抗がん療法薬(例えば、化学療法剤またはキナーゼ阻害剤)は、任意選択で対象における骨髄増殖性障害、例えば、骨髄線維症を処置するための相乗効果をもたらす。一部の実施形態では、SAPタンパク質および追加的な抗がん療法薬(例えば、化学療法剤またはキナーゼ阻害剤)は、疾患の異なる側面に対して作用する。そのようなアプローチ、2つのタイプの薬剤の組合せまたは共投与は、現在利用可能な治療法に応答しないかまたは抵抗性である、骨髄増殖性障害を患っている個体を処置するために有用であることができる。本明細書に提供される併用療法は、現在利用可能な治療法に応答する個体のために、そのような治療法の有効性を改善および/または副作用を低減させるためにも有用である。
ある特定の実施形態では、本開示は、1種もしくは複数の骨髄線維症関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1もしくはIDH2)における突然変異および/または1種もしくは複数のMPDに関連する細胞遺伝学的異常を保有する患者における骨髄線維症を処置する方法であって、それを必要とする対象に、ある量の本開示のSAPタンパク質を、骨髄線維症の1つまたは複数の症状を好転させ、突然変異型対立遺伝子荷重を低下させるために有効な投薬レジメン(例えば、用量および投薬スケジュール)および/または投薬スケジュールに従って投与するステップを含み、それを必要とする患者は輸血以外の骨髄線維症のための治療を受けていない、方法を提供する。一部の実施形態では、対象は貧血または血小板減少症である。一部の実施形態では、本開示の方法は処置関連骨髄抑制を誘発しない[例えば、SAPタンパク質は臨床的に有意な骨髄抑制を誘発せずおよび/またはベースラインにおいて存在する骨髄抑制を増大させない(さらには減少させることもある)]。言い換えれば、ある特定の実施形態では、本開示の方法は、例えば、処置の開始前に観察されたものに比較して、骨髄抑制の悪化を誘発することももたらすこともない。骨髄抑制は、有害事象共通用語規準(Common Terminology for Coding of Adverse Events)(CTCAE)に従ってグレード0〜グレード5のスケールで評価されうる(National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events v4.0, NCI. NIH. DHHS.、2009年5月29日、NIH publication # 09−7473を参照されたい)。一部の実施形態では、処置の結果として、貧血などの1種または複数の骨髄抑制の尺度は悪化しない(例えば、有害事象グレード3からグレード4に;有害事象グレード2からグレード3または4に;有害事象グレード1からグレード2、3または4に;有害事象グレード0からグレード1、2、3または4に)。
一態様では、本開示は、個体の一部の細胞における骨髄増殖性障害に関連する突然変異(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1もしくはIDH2の突然変異)および/または1種もしくは複数の骨髄増殖性障害に関連する細胞遺伝学的異常を保有する個体において骨髄増殖性障害を処置するための方法であって、a)前記個体から試料を得るステップであって、前記試料が目的の核酸を含む、ステップと、b)目的の核酸における1種または複数の突然変異および/または細胞遺伝学的異常の存在または非存在について、個体からの試料を評価するステップと、c)骨髄増殖性障害に関連する突然変異および/または細胞遺伝学的異常(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2における突然変異)を保有する個体に、本開示のSAPタンパク質を投与するステップとを含む方法を提供する。
一態様では、本開示は、個体の一部の細胞における骨髄増殖性障害に関連する突然変異(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1もしくはIDH2における突然変異)および/または1種もしくは複数の骨髄増殖性障害に関連する細胞遺伝学的異常を保有する個体において骨髄増殖性障害を処置する方法であって、a)前記個体から試料を得るステップであって、前記試料がJAK2核酸を含む、ステップと、b)JAK2核酸における1種または複数の突然変異の存在または非存在について、個体からの試料を評価するステップと、c)JAK2突然変異型対立遺伝子荷重を減少させるために有効な投与レジメンに従って、本開示のSAPタンパク質を投与するステップとを含む方法を提供する。
一態様では、本開示は、骨髄増殖性障害を有する患者における突然変異型対立遺伝子荷重を減少させるための方法であって、本開示のSAPタンパク質を投与するステップを含む方法を提供する。
一態様では、本開示は、骨髄増殖性疾患と診断された個体における処置の有効性を決定する方法であって、(a)JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2核酸試料における1種または複数の突然変異の存在を決定するステップと;b)本開示のSAPタンパク質を投与するステップと、(c)核酸試料中に存在する1種または複数の突然変異の突然変異型対立遺伝子荷重が減少している場合、処置が有効であったと同定するステップとを含む方法を提供する。一部の実施形態では、既存の異常(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2における突然変異の対立遺伝子荷重)の根絶が完全奏効と考えられる一方、対立遺伝子荷重の50%超の減少は部分応答と考えられる。一部の実施形態では、部分応答は、ベースラインにおいて少なくとも20%の突然変異型対立遺伝子荷重を有する患者にのみあてはまる(Tefferiら、Blood 2013年、122巻:1395〜1398頁)。
一態様では、本開示は、骨髄増殖性疾患と診断された個体における処置の有効性を決定する方法であって、(a)1種または複数の細胞遺伝学的異常の存在を決定するステップと;b)本開示のSAPタンパク質を投与するステップと、(c)1種または複数の細胞遺伝学的異常が減少した場合、処置が有効であったと同定するステップとを含む方法を提供する。一部の実施形態では、既存の異常(例えば、細胞遺伝学的異常)の根絶は完全奏効と考えられる一方、異常な分裂中期の50%超の減少は部分応答と考えられる。一部の実施形態では、部分応答はベースラインにおいて少なくとも10の異常な分裂中期を有する患者にのみあてはまる(Tefferiら、Blood 2013年、122巻:1395〜1398頁)。
別の態様では、本開示は、造血障害を有する個体のための治療法を選択するための方法であって、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2核酸における1種または複数の突然変異の存在または非存在について、個体由来の核酸を含有する試料を評価するステップと、1種または複数の突然変異の存在に基づいて治療法を選択するステップとを含む方法を提供する。
以下の決定:骨髄増殖性障害に関連する特定の突然変異(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2における突然変異)の存在または非存在を決定すること、試料の接合生殖性状態を決定すること、および試料中の突然変異型核酸またはmRNA 対 野生型核酸またはmRNAの比を決定すること(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2についての突然変異型 対 野生型の比)のうちの1つまたは複数が、処置計画を選択するために使用されてもよい。例えば、本開示の方法により、特定のJAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1もしくはIDH2突然変異を保有することが見出された患者は、本開示のSAPタンパク質による処置を推奨されうるか、または突然変異の検出は、本開示のSAPタンパク質による処置の有効性を測定するために使用されてもよい。同様に、本開示の方法は、MPDに関して無症候性の患者、例えば、MPDのごく初期の病期にある患者を処置するために使用されてもよい。突然変異は処置を受けているMPD患者においても検出されることができ:突然変異型核酸 対 野生型核酸の比または試料の接合生殖性状態が処置の間に変化する場合、異なる診断がなされうる。
以下の決定:骨髄増殖性障害に関連する特定の突然変異(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2における突然変異)の存在または非存在を決定すること、試料の接合生殖性状態を決定すること、および試料中の突然変異型核酸 対 野生型核酸の比を決定すること(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2についての突然変異型 対 野生型の比)のうちの1つまたは複数が、本開示のSAPタンパク質により患者を処置するために使用されてもよい。医師または処置専門家は、1つまたは複数の決定に基づいて処置または処置レジメンを投与し、先行させまたは変更しうる。あるいは、医師または処置専門家は、1つまたは複数の決定に基づいて処置レジメンを維持することを決定しうる。さらに、突然変異を保有する細胞の数は、MPDの経過中に変化する可能性があり、突然変異の比、接合生殖性状態および/または存在もしくは非存在をモニタリングすることは、疾患状態または処置の有効性の指標でありうる。例えば、処置は突然変異細胞の数を減少させることができ、または疾患は時間とともに悪化する可能性があり、疾病細胞の数は増加する可能性がある。加えて、決定のうちの1つまたは複数は、患者の予後予測および生活の質の決定の助けとなりうる。例えば、化学療法などの有痛性かつ消耗性の処置を継続するかまたはどのくらい継続するかについての決定がなされうる。
試料中の接合生殖性状態および野生型核酸 対 突然変異型核酸の比は、配列特異的な定量的検出法を含む、本技術分野で公知の方法によって決定されうる。他の方法は、ABI Sequencing Systems(Applied Biosystems、Foster City Calif.)を使用して作成されるものなどの標準的な配列決定電気泳動図から、配列決定ピークの曲線下面積を決定することを含みうる。例えば、特定のヌクレオチドを代表する位置における電気泳動図の「G」などの単一ピークのみの存在は、試料中の核酸がその位置「G」に1つのヌクレオチドだけを含有することの指標である。その場合、1つだけの対立遺伝子が検出されるため、試料はホモ接合として分類されうる。電気泳動図の同じ位置における2つのピーク、例えば、「G」ピークおよび「T」ピークの存在は、試料が2種の核酸を含有し;一方の種が問題のヌクレオチド位置に「G」を保有し、他方は問題のヌクレオチド位置に「T」を保有することを示す。その場合、1種超の対立遺伝子が検出されるため、試料はヘテロ接合として分類されうる。
2つのピークのサイズが(例えば、各曲線下の面積を決定することによって)決定されることができ、2つの異なる核酸種の比が計算されることができる。野生型核酸 対 突然変異型核酸の比(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2についての突然変異型 対 野生型の比)が、疾患の進行をモニタリングし、処置を決定し、または診断するために使用されうる。例えば、特定のJAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2突然変異を保有するがん性細胞の数は、MPDの経過中に変化しうる。疾患の初期にベースラインの比が確立される場合、後に決定された、野生型核酸に対する突然変異型核酸のより高い比は、疾患が悪化してきているかまたは処置が有効でないことの指標であることができ;突然変異を保有する細胞の数は、患者において増加している可能性がある。野生型核酸に対する突然変異型核酸のより低い比率は、処置が効いているかまたは疾患が進行していないことの指標であることができ;突然変異を有する細胞の数が患者において減少している可能性があることの指標であることができ;突然変異を保有する細胞の数は患者において減少している可能性がある。
一部の実施形態では、対象は、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2などであるが、それらに限定されない1種または複数の骨髄増殖性障害関連遺伝子に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、JAK2のコドン617に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、JAK2のエクソン12またはエクソン14に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLのコドン515に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLにおいてW515L、W515K、W515AまたはW515Rアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLのエクソン10に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、CALRのエクソン9に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、ASXL1のエクソン12に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH1のエクソン4に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH1のコドン132に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のエクソン4に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のコドン140に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のコドン172に突然変異を有する。
本開示の上記態様のいずれかのある特定の実施形態では、骨髄増殖性疾患は、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄線維症または未分類骨髄増殖性疾患である。一部の実施形態では、骨髄線維症は、原発性骨髄線維症、PV後の骨髄線維症またはET後の骨髄線維症である。
一部の実施形態では、目的の核酸試料における1種または複数の突然変異の存在または非存在を評価することまたは決定することは、対立遺伝子特異的PCRを実行することを含む。本開示の上記態様のいずれかの他の実施形態では、目的の核酸試料における1種または複数の突然変異の存在または非存在を評価することまたは決定することは、目的の核酸を増幅することおよび増幅された核酸の直接的配列決定分析を実行することを含む。他の好適な検出方法論は、プライマー伸長反応、およびタンパク質配列決定を含む。上記態様のある特定の実施形態では、試料を評価することまたは骨髄増殖性障害に関連するポリペプチドにおける1種もしくは複数の突然変異の存在もしくは非存在を決定することは、突然変異したJAK2ポリペプチドに特異的に結合する抗体を使用することを含む。本開示の上記態様のいずれかの一部の実施形態では、核酸および/またはポリペプチド試料は、例えば、全血(すなわち、細胞画分から抽出されているJAK2核酸)、血漿、血清および組織試料(例えば、生検材料およびパラフィン包埋組織)を含む好適な生体試料に由来する。
一態様では、本開示は、別の抗がん療法薬などの1種または複数の追加的な薬剤と組み合わせてSAPタンパク質を投与することによって、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を処置するための方法を提供する。本明細書中で使用される場合、「と組み合わせて」または「共同投与」は、1種または複数の追加的な薬剤が体内でなお有効であるような任意の投与形態を指す(例えば、2種の薬剤、3種の薬剤、4種の薬剤などが、患者において同時に有効であり、これが、2つの化合物の相乗効果を含みうる)。有効性は、血液、血清または血漿中の薬剤の測定可能な濃度に相関しなくてもよい。例えば、異なる治療剤は、同じ製剤中または別個の製剤中のいずれかで、同時にまたは逐次的に、異なるスケジュールで投与されてもよい。よって、そのような処置を受ける個体は、異なる治療剤の併用効果の利益を受けることができる。SAPタンパク質は、1種または複数の追加的な薬剤と同時に、その前にまたはその後に投与されうる。
一般に、各治療剤は、その具体的な薬剤について決定された用量および/または時間スケジュールで投与される。レジメンにおいて採用する具体的な組合せは、その薬剤とのSAPタンパク質の適合性および/または達成されるべき所望の治療効果を考慮する。
本開示の抗がん療法薬としては、化学療法剤、抗体に基づく薬剤、キナーゼ阻害剤(例えば、チロシンキナーゼ阻害剤、セリン/スレオニンキナーゼ阻害剤など)、免疫調節剤および生物学的薬剤またはこれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。化学療法剤としては、アクチノマイシンD、アルデスロイキン、アリトレチノイン、オールトランスレチノイン酸/ATRA、アルトレタミン、アムサクリン、アスパラギナーゼ、アザシチジン、アザチオプリン、カルメット・ゲラン桿菌/BCG、ベンダムスチン塩酸塩、ベキサロテン、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルフィルゾミブ、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン/シスプラチナム、クラドリビン、シクロホスファミド/サイトホスファン、シタラビン、ダカルバジン、ダウノルビシン/ダウノマイシン、デニロイキンジフチトクス、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、フルダラビン、フルオロウラシル(5−FU)、ゲムシタビン、ゴセレリン、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、インターフェロンアルファ、イリノテカンCPT−11、ラパチニブ、レナリドミド、リュープロリド、メクロレタミン/クロルメチン/ムスチン/HN2、メルカプトプリン、メトトレキセート、メチルプレドニゾロン、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、オクトレオチド、オプレルベキン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、パゾパニブ、ペグアスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、PEGインターフェロン、ペメトレキセド、ペントスタチン、フェニルアラニンマスタード、プリカマイシン/ミスラマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プロカルバジン、ラロキシフェン、ロミプロスチム、サルグラモスチム、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、サリドマイド、チオグアニン、チオホスホアミド(thiophosphoamide)/チオテパ、チオテパ、トポテカン塩酸塩、トレミフェン、トレチノイン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ボリノスタット、ゾレドロン酸またはこれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。抗体に基づく薬剤としては、アレムツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、フレソリムマブ(fresolimumab)、ゲムツズマブオゾガマイシン、イブリツモマブチウキセタン、オファツムマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、トラスツズマブDM1およびこれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。免疫調節化合物としては、TNFα、LPS誘発単球IL1β、IL12およびIL6産生を阻害する小有機分子が挙げられるが、それらに限定されない。一部の実施形態では、免疫調節化合物としては、メトトレキサート、レフルノミド、シクロホスファミド、シクロスポリンA、ミノサイクリン、アザチオプリン、抗生物質(例えば、タクロリムス)、メチルプレドニゾロン、コルチコステロイド、ステロイド、ミコフェノール酸モフェチル、ラパマイシン、ミゾリビン、デオキシスパガリン、ブレキナル、T細胞受容体調節剤またはサイトカイン受容体調節剤およびToll様受容体(TLR)アゴニストが挙げられるが、それらに限定されない。一部の実施形態では、免疫調節化合物としては、5,6−ジメチルキサンテノン(dimethylxanthenone)−4−酢酸(DMXAA)、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、ラクトフェリン、ポリアデノシン−ポリウリジル酸(ポリAU)、リンタトリモド(rintatolimod)(ポリI:ポリC12U;Hemispherx Biopharma)、ポリ−L−リシンおよびカルボキシメチルセルロースにより安定化されたポリイノシン−ポリシチジン酸(ポリ−ICLC、Hiltonol(登録商標))、イミキモド(3M)およびレシキモド(resiquimod)(R848;3M)、非メチル化CpGジヌクレオチド(CpG−ODN)およびイピリムマブ(ipilumumab)が挙げられる。生物学的薬剤としては、モノクローナル抗体(MAB)、CSF、インターフェロンおよびインターロイキンが挙げられる。一部の実施形態では、生物学的薬剤は、IL−2、IL−3、エリスロポエチン、G−CSF、フィルグラスチム、インターフェロアルファ、アレムツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イブリツモマブチウキセタン、オファツムマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、トシツモマブまたはトラスツズマブである。
キナーゼ阻害剤(例えば、チロシンキナーゼ阻害剤、セリン/スレオニンキナーゼ阻害剤など)としては、アキシチニブ、バフェチニブ、ボスチニブ、セジラニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、バンデタニブ、バタラニブ、ベムラフェニブ(vemurafinib)およびこれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。
一部の実施形態では、抗がん療法薬は、AC−430、AZD1480、バリシチニブ、BMS−911453、CEP−33779、CYT387、GLPG−0634、レスタウルチニブ、LY2784544、NS−018、パクリチニブ(pacritinib)、R−348、R723、ルキソリチニブ、TG101348(SAR302503)、トファシチニブおよびVX−509などであるが、それらに限定されないJAKキナーゼ阻害剤である。
ある特定の実施形態では、抗がん療法薬としては、代謝拮抗薬(例えば、5−フルオロ−ウラシル、シタラビン、メトトレキセート、フルダラビンなど)、微小管阻害剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチンなどのビンカアルカロイド;パクリタキセルおよびドセタキセルなどのタキサン)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、メルファラン、カルムスチン、ビスクロロエチルニトロソウレア(bischloroethylnitrosurea)およびヒドロキシウレアなどのニトロソウレア)、白金剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチンおよびCI−973)、アンスラサイクリン(例えば、ドキソルビシンおよびダウノルビシン)、抗腫瘍抗生物質(例えば、マイトマイシン、イダルビシン、アドリアマイシンおよびダウノマイシン)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドおよびカンプトテシン)、抗血管新生剤(例えば、スニチニブ、ソラフェニブおよびベバシズマブ)、または任意の他の細胞傷害性薬物(例えば、リン酸エストラムスチン、プレドニムスチン)、ホルモンまたはホルモンアゴニスト、アンタゴニスト、部分アゴニストもしくは部分アンタゴニスト、(イマチニブなど)キナーゼ阻害剤、ならびに放射線治療が挙げられるが、それらに限定されない。
本開示の任意の処置方法は、必要または要求に応じて繰り返されてもよい。例えば、処置は周期的に行われてもよい。投与処置の頻度は、当業者によって決定されうる。例えば、処置は、数週間の間に週1回、4週間毎に1回、またはある期間の間1週間に複数回(例えば、処置の最初の週にわたって3回)投与されてもよい。一部の実施形態では、初期負荷用量期間に維持用量が続く。一部の実施形態では、負荷用量は周期的に繰り返される。一部の実施形態では、初期負荷用量期間は、処置を1週間に複数回投与すること(例えば、処置の最初の週にわたって3回)を含む。一部の実施形態では、負荷用量は、1週間おき、毎月、2カ月毎に、3カ月毎にもしくは6カ月毎に、または必要に応じて、負荷用量の間に持続した周期的投薬を伴うかまたは伴わずに繰り返されてもよい。一般に、がんに関連する線維症の好転は、ある期間、好ましくは少なくとも数カ月持続するが、抗線維化効果の維持および/または線維症の再発の予防は、無制限の期間にわたるSAPタンパク質の持続する周期的投薬を必要としうる。時間の経過とともに、患者は症状の再発を経験する可能性があり、その時点で処置が繰り返されてもよい。
ある特定の態様では、対象における骨髄線維症を処置し、発症を遅延させおよび/または予防するための方法であって、有効量のSAPタンパク質または薬学的に許容されるその塩を、単独でまたは抗がん療法薬と組み合わせて対象に投与するステップを含む方法が、本明細書に提供される。一部の実施形態では、対象は骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、対象は骨髄線維症を発症するリスクを有する。一部の実施形態では、対象はヒト対象である。一部の実施形態では、対象は、骨髄増殖性障害に関連する突然変異(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2における突然変異)を保有すると決定されている。カプセルなどの本明細書に記載の製剤または本明細書に記載の単位剤形のうちのいずれか1つが、骨髄線維症を有する対象を処置するために使用されうる。
本明細書に記載の方法によって処置されうる骨髄線維症は、原発性骨髄線維症(PMF)および続発性骨髄線維症(例えば、先行する真性赤血球増加症から生じる骨髄線維症(PV後のMF)または先行する本態性血小板血症から生じる骨髄線維症(ET後のMF))を含む。本明細書に記載の方法によって処置されうる骨髄線維症は、高リスクの骨髄線維症、中間リスクレベル1または中間リスクレベル2などの中間リスクおよび低リスクも含む。多様なタイプの骨髄線維症を診断するための方法は、本技術分野で公知である。例えば、Cervantesら、Blood 2009年、113巻(13号):2895〜901頁を参照されたい。一部の実施形態では、診断後のリスクプロファイルの修正を考慮した動的予後予測モデルが有用であると判明する可能性がある。例えば、Passamontiら、Blood 2010年、115巻:1703〜1708頁を参照されたい。一部の実施形態では、対象は触知できる脾腫を有する。一部の実施形態では、骨髄線維症を有する対象は、触診により測定して、肋下縁の少なくとも5cm下に脾臓を有する。一部の実施形態では、対象は、貧血および/または血小板減少症および/または白血球減少症を有する。一部の実施形態では、対象は貧血も血小板減少症も白血球減少症も有さない。一部の実施形態では、対象は輸血に依存する。一部の実施形態では、対象は輸血に依存しない。一部の実施形態では、対象は、IWG−MRT Dynamic International Prognostic Scoring Systemによる中間−1、中間−2または高リスク疾患を有する少なくともグレード2の骨髄線維症の存在を含む、WHO診断基準によるPMFまたはET/PV後のMFの病理学的に確定された診断を有する。一部の実施形態では、対象は、グレード0または1の骨髄線維症およびIWG−MRT Dynamic International Prognostic Scoring Systemによる低リスク、中間−1、中間−2、高リスクまたは低リスク疾患を伴う、WHO診断基準によるPMFまたはET/PV後のMFの病理学的に確定された診断を有する。一部の実施形態では、対象は「前線維化期(prefibrotic)」骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、対象は、PVまたはETを有し、骨髄線維症の発症を予防するために、SAPタンパク質を受容する。一部の実施形態では、対象は、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1、またはIDH2における突然変異を有する。
一部の実施形態では、対象は、対象がヒトである場合には、ヤヌスキナーゼ2(JAK2キナーゼ)におけるバリン617からフェニルアラニンへの点突然変異(JAK2V617F)、または対象がヒトでない場合には、ヤヌスキナーゼ2(JAK2キナーゼ)におけるバリン617からフェニルアラニンに相当する点突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、対象がヒトである場合には、JAK2のバリン617からフェニルアラニンへの突然変異について陰性であるか、または対象がヒトでない場合には、ヤヌスキナーゼ2(JAK2キナーゼ)におけるバリン617からフェニルアラニンに相当する突然変異について陰性である。対象がJAK2V617Fについて陽性または陰性であるかは、骨髄細胞または血液細胞(例えば、全血白血球)からのゲノムDNAを使用するポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)解析によって決定されうる。PCR解析は、対立遺伝子特異的PCR(例えば、対立遺伝子特異的な定量的PCR)またはPCR配列決定であることができる。それぞれが参照により本明細書に明示的に組み込まれる、Kittur Jら、Cancer 2007年、109巻(11号):2279〜84頁およびMcLornan Dら、Ulster Med J. 2006年、75巻(2号):112〜9頁を参照されたい。一部の実施形態では、対象は、JAK2のエクソン12またはエクソン14に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLのコドン515に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、MPL中のW515L、W515K、W515AまたはW515Rアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLのエクソン10に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、CALRのエクソン9に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、ASXL1のエクソン12に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH1のエクソン4に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH1のコドン132に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のエクソン4に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のコドン140に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のコドン172に突然変異を有する。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法により処置される対象は、別の骨髄線維症療法または処置を以前に受けたことがあるかまたは現在受けている。一部の実施形態では、対象は、他の骨髄線維症療法に対して応答しないかまたは他の骨髄線維症療法を受けた後に再発している。以前の治療法はJAK2阻害剤(例えば、(ルキソリチニブとしても公知の、Incyteから入手可能な)INCB018424、(レスタウルチニブ、Cephalonから入手可能な)CEP−701もしくは(Exelixisから入手可能な)XL019)(Verstovsek S.、Hematology Am Soc Hematol Educ Program. 2009年:636〜42頁を参照されたい)または(ヒドロキシウレアなどの)非JAK2阻害剤であってもよい。一部の実施形態では、以前の治療法は、AC−430、AZD1480、バリシチニブ、BMS−911453、CEP−33779、CYT387、GLPG−0634、INCB18424、レスタウルチニブ、LY2784544、NS−018、パクリチニブ、ルキソリチニブ、TG101348(SAR302503)、トファシチニブ、VX−509、R−348またはR723などであるが、それらに限定されないJAKキナーゼ阻害剤であってもよい。一部の実施形態では、対象は、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後の骨髄線維症(PV後のMF)、本態性血小板血症後の骨髄線維症(ET後のMF)、真性赤血球増加症または本態性血小板血症のためにルキソリチニブ処置を少なくとも3カ月受容している。一部の実施形態では、対象は、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後の骨髄線維症(PV後のMF)、本態性血小板血症後の骨髄線維症(ET後のMF)、真性赤血球増加症または本態性血小板血症のためにルキソリチニブ処置を3カ月未満受容している。一部の実施形態では、対象は、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後の骨髄線維症(PV後のMF)、本態性血小板血症後の骨髄線維症(ET後のMF)、真性赤血球増加症または本態性血小板血症のためにルキソリチニブ処置を少なくとも3カ月受容している。一部の実施形態では、少なくとも1つまたは複数の症状が、持続したルキソリチニブ治療において停止して、改善した。一部の実施形態では、対象はもはやルキソリチニブに応答しない。一部の実施形態では、対象は、以前に別の骨髄線維症療法を少なくとも6カ月、少なくとも5カ月、少なくとも4カ月、少なくとも3カ月、少なくとも2カ月、少なくとも1カ月、少なくとも3週間、または少なくとも2週間受けている。一部の実施形態では、対象はもはや他の骨髄線維症療法に応答しない。一部の実施形態では、以前の治療法は、本明細書に記載の抗がん療法薬であり、以前の治療法は、対象からの血清中のアミラーゼ、リパーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)および/もしくはクレアチニンのうちの1つもしくは複数の上昇したレベルの兆候に際して、ならびに/または貧血、血小板減少症および好中球減少症からなる群から選択される血液学的状態の兆候に際して、または処置する医師による決定もしくは患者の要求に基づく任意の他の理由のために中断されている。一部の実施形態では、第2の処置における化合物の用量は、以前の治療法における用量と同一またはそれより低い。一部の実施形態では、対象は、輸血以外のいかなる治療法も受容していない。一部の実施形態では、対象はいかなる以前の治療法も受容していない。
一部の実施形態では、SAPタンパク質は、AC−430、AZD1480、バリシチニブ、BMS−911453、CEP−33779、CYT387、GLPG−0634、INCB18424、レスタウルチニブ、LY2784544、NS−018、パクリチニブ、ルキソリチニブ、TG101348(SAR302503)、トファシチニブ、VX−509、R−348またはR723などであるが、それらに限定されないJAKキナーゼ阻害剤と組み合わせて投与される(Kontziasら、Curr Opin Pharmacol. 2012年、12巻(4号)、464〜470頁を参照されたい)。一部の実施形態では、SAPタンパク質は、AB0024、AZD1480、AT−9283、BMS−911543、CYT387、エベロリムス、ギビノスタット(givinostat)、イメテルスタット、レスタウルチニブ、LY2784544、経口ヒ素、NS−018、パクリチニブ、パノビノスタット、ペグインターフェロンアルファ−2a、ポマリドミド、プラシノスタット(pracinostat)、ルキソリチニブ、TAK−901およびTG101438(SAR302503)などであるが、それらに限定されない、骨髄線維症の症状を低減させることが公知である薬剤と組み合わせて投与される(Mesa、Leuk Lymphoma 2013年、54巻(2号):242〜251頁;Guptaら、2012年、2巻(3号):170〜186頁;KucineおよびLevine 2011年、2巻(4号):203〜211頁)。
(ヒトなどの)対象は、SAPタンパク質を約0.1mg/kg〜約40mg/kgの用量で投与することによって処置されうる。一部の実施形態では、SAPタンパク質は0.3mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は3mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は10mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物は約0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、8mg/kg、10mg/kg、12mg/kg、15mg/kg、18mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kgまたは40mg/kgのいずれかの用量で投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は約0.1〜0.3、0.3〜0.5、0.5〜0.8、0.8〜1、1〜5、5〜10、10〜15、15〜20、20〜25、25〜30、30〜35または35〜40mg/kgの用量で投与される。化合物は、カプセルおよび/または本明細書に記載の単位剤形で投与されうる。一部の実施形態では、化合物は静脈内投与(IV)される。一部の実施形態では、化合物は注射(例えば、皮下(SubQ)、筋肉内(IM)、腹腔内(IP))により、吸入またはガス注入(口もしくは鼻のいずれかを通す)により投与されるか、あるいは投与は、経口、頬側、舌下、経皮、鼻、非経口または直腸である。一部の実施形態では、SAPタンパク質は静脈内注入により投与される。ある特定の実施形態では、各用量について、注入は約1時間の期間にわたる。しかしながら、より長いまたはより短い注入期間が使用されてもよい(例えば、30分、40分、45分、50分、55分、60分、1時間10分、1時間15分、90分など)。方法が、追加的な抗がん療法薬を投与することを含む場合、療法薬は同じ投与経路によりまたは異なる投与経路により投与されてもよい。ある特定の実施形態では、追加的な抗がん療法薬は経口投与される。
一部の実施形態では、SAPタンパク質は0.3mg/kgの用量でIV注入により投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は0.3mg/kgの用量で皮下に投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は0.3mg/kg未満の用量で皮下に投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は3mg/kgの用量でIV注入により投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は10mg/kgの用量でIV注入により投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は4週間毎に1回投与される。一部の実施形態では、初期負荷用量期間に維持用量が続く(例えば、最初の週については1週間に3回、その後は4週間毎に1回)。
骨髄線維症に関連する1種または複数の徴候または症状を好転させる方法も本明細書に提供される。例えば、本明細書に記載の方法を使用する処置は、1種または複数の骨髄線維症関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)における突然変異型対立遺伝子荷重を減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置は、脾臓サイズを低下させること、(早期満腹感、疲労、寝汗、せき、およびそう痒などの)全身症状を好転させること、MPN−SAF合計症状スコアを低下させること、EORTC QLQ−C30により測定した生活の質を改善すること、白血球増加症を低下させること、血小板増加症を低下させること、貧血を改善すること、血小板減少症を改善すること、白血球減少症を改善すること、輸血依存性を低下させること、JAK2V617F対立遺伝子荷重を減少させること、MPL515W対立遺伝子荷重を減少させること、CALR突然変異型対立遺伝子荷重を減少させること、ASXL1突然変異型対立遺伝子荷重を減少させること、EZH2突然変異型対立遺伝子荷重を減少させること、SRSF2突然変異型対立遺伝子荷重を減少させること、IDH1突然変異型対立遺伝子荷重を減少させること、IDH2突然変異型対立遺伝子荷重を減少させること、末梢血芽球(peripheral blood blast)の減少、骨髄芽球(bone marrow blast)の減少、骨髄線維症を低下させること、骨髄、脾臓および/または肝臓における線維症の減少の指標であるFDGもしくはFLT PET−CTスキャンにより測定した代謝活性の変化を誘導すること、そう痒を改善すること、悪液質を改善することおよび/または骨髄の細胞充実性を低下もしくは増加させることにおいて有効である。低下、減少、好転または改善は、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べて、少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80または90%であることができる。一部の実施形態では、骨髄線維症は、処置後に対象において低下される。一部の実施形態では、骨髄線維症は、処置後にグレード0となる。一部の実施形態では、骨髄線維症は、処置後にグレード1となる。一部の実施形態では、骨髄線維症は、少なくとも1グレード、例えば、グレード3からグレード2もしくはグレード1に、またはグレード2からグレード1もしくはグレード0に低下される。一部の実施形態では、骨髄線維症は、定量的画像解析または他の定量手段により測定したベースラインから、測定可能なパーセントだけ低下される。一部の実施形態では、脾臓は、処置後の対象において触知できなくなる。一部の実施形態では、対象は処置後に、白血球増加症および/または血小板血症の完全な消散を有する。一部の実施形態では、対象は処置後に、貧血、血小板減少症および/または白血球減少症の完全な消散を有する。一部の実施形態では、対象は処置後に、輸血非依存性(例えば、赤血球輸血または血小板輸血)となる。一部の実施形態では、対象は輸血が50%減少する。一部の実施形態では、対象は輸血が40%〜60%、30%〜70%、40%〜50%、50%、60%減少する。一部の実施形態では、対象は処置後にそう痒の完全な消散を有する。一部の実施形態では、処置の有効性は、応答として、骨髄線維症において少なくとも1グレード改善する安定病態を含むように改良されたInternational Working Group(IWG)基準に従って分類された全奏効率(ORR)の評価によって評価される。一部の実施形態では、処置の有効性は、European Consensus on Grading of Bone Marrow Fibrosisに従う少なくとも1グレードの骨髄線維症スコアの改善の評価によって評価される。一部の実施形態では、処置の有効性は、遺伝的突然変異などの既存の異常に対する分子効果を評価することによって評価される。既存の異常(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2における突然変異の対立遺伝子荷重)の根絶は、完全奏効と考えられるが、対立遺伝子荷重の50%超の減少は部分応答と考えられる。部分応答は、少なくとも20%の突然変異型対立遺伝子荷重をベースラインにおいて有する患者にのみあてはまる(Tefferiら、Blood 2013年、122巻、1395〜1398頁)。一部の実施形態では、処置の有効性は、CRP、IL−1Ra、MIP−1β、TNFα、IL−6およびVEGFを含むがそれらに限定されない循環している血漿サイトカインレベルのレベル変化を評価することによって評価される。一部の実施形態では、処置の有効性は、PBMC mRNAおよびmiRNA発現レベルのレベル変化を評価することによって評価される。一部の実施形態では、処置の有効性は、骨髄線維症へのPVまたはETの進行のないことを評価することによって評価される。一部の実施形態では、処置の有効性は、骨髄線維症における少なくとも1グレードの増加のないことを評価することによって評価される。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、1種または複数の骨髄増殖性障害関連遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2)における突然変異型対立遺伝子荷重を、本明細書に記載の方法による処置の開始前の対立遺伝子荷重と比べて(例えば、ベースラインと比べて)少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%または少なくとも70%減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、突然変異型対立遺伝子荷重を、約20〜70%、約20〜60%、約25〜60%、約25〜55%または約25%〜50%減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、突然変異型対立遺伝子荷重は、25%〜50%減少される。一部の実施形態では、突然変異型対立遺伝子荷重は少なくとも50%減少される。一部の実施形態では、処置は完全な分子応答を達成することにおいて有効である。一部の実施形態では、対立遺伝子荷重は、血液から抽出された核酸試料に対して実行されるPCRによって測定されうる。当業者により、対立遺伝子荷重を測定するための他の公知の方法も採用されうることが理解される。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において対立遺伝子荷重を減少させるための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、対立遺伝子荷重を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%または少なくとも50%減少させるために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含み、追加的な抗がん療法薬はJAKキナーゼ阻害剤である。ある特定の実施形態では、対立遺伝子荷重は、約25〜55%、約25〜50%または約25〜40%減少する。一部の実施形態では、対象は、JAK2V617F突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、JAK2のエクソン12またはエクソン14に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLのコドン515に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLにおけるW515L、W515K、W515A、またはW515Rアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、対象は、MPLのエクソン10に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、CALRのエクソン9に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、ASXL1のエクソン12に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH1のエクソン4に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH1のコドン132に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のエクソン4に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のコドン140に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、IDH2のコドン172に突然変異を有する。ある特定の実施形態では、対立遺伝子荷重の減少は、処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)見られる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、脾臓体積を、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べて(例えば、ベースラインと比べて)少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%または少なくとも70%減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、脾臓体積を少なくとも10%減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、脾臓体積を少なくとも25%減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、脾臓体積を少なくとも35%減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、脾臓体積を少なくとも50%減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、脾臓体積を約20〜70%、約20〜60%、約25〜60%、約25〜55%または約25%〜50%減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、脾臓体積は手による触診により測定されてもよい。当業者により、磁気共鳴画像法による測定などの脾臓体積を測定するための他の公知の方法も採用されうることが理解される。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において脾臓体積を減少させるための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、脾臓体積を少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%または少なくとも55%減少させるために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含み、追加的な抗がん療法薬はJAKキナーゼ阻害剤である。ある特定の実施形態では、脾臓体積は、約10〜25%、約25〜55%、約25〜50%または約25〜40%減少する。ある特定の実施形態では、少なくとも10%、少なくとも25%または少なくとも50%の脾臓体積の減少は、処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)見られる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、骨髄増殖性腫瘍症状評価フォーム(Myeloproliferative Neoplasms Symptom Assessment Form)(MPN−SAF)合計症状スコアを、本明細書に提供される方法による処置の開始前のスコアと比べて(例えば、ベースラインと比べて)少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%または少なくとも70%低下させることにおいて有効である。骨髄増殖性腫瘍症状評価フォーム合計症状スコアの説明および議論については、Emanuelら、2012年、Journal of Clinical Oncology、30巻、33号、4098〜4013頁を参照されたい。一部の実施形態では、処置は、MPN−SAF合計症状スコアを少なくとも25%低下させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、MPN−SAF合計症状スコアを少なくとも50%低下させることにおいて有効である。一部の実施形態では、症状は、MPN−SAF患者報告転帰ツール(MPN−SAF patient reported outcome tool)を使用して評価された(Emanuelら、2012年、Journal of Clinical Oncology、30巻(33号):4098〜4013頁)。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者においてMPN−SAF合計症状スコアを低下させるための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、MPN−SAF合計症状スコアを少なくとも約25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%または少なくとも60%低下させるために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含み、追加的な抗がん療法薬はJAKキナーゼ阻害剤である。ある特定の実施形態では、MPN−SAF合計症状スコアは、約25〜60%、約25〜55%または約25〜50%低下される。ある特定の実施形態では、少なくとも25%または少なくとも50%のMPN−SAF合計症状スコアの低下は、処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)低下される。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、EORTC QLQ−C30スコアに基づく生活の質を、本明細書に提供される方法による処置の開始前のスコアと比べて少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%または少なくとも70%改善することにおいて有効である。EORTC QLQ−C30質問表およびスコアリングシステムの説明および議論については、EORTC QLQ−C30(バージョン3)1995年、EORTC Quality of Life Groupを参照されたい。一部の実施形態では、処置は、EORTC QLQ−C30スコアを少なくとも25%改善することにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、EORTC QLQ−C30スコアを少なくとも50%改善することにおいて有効である。一部の実施形態では、スコアは、EORTC QLQ−C30(バージョン3)1995年、EORTC Quality of Life Groupにおいて概説された質問およびスコアリングシステムを使用して評価された。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者においてEORTC QLQ−C30スコアを改善するための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、EORTC QLQ−C30スコアを少なくとも約25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%または少なくとも60%改善するために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含み、追加的な抗がん療法薬はJAKキナーゼ阻害剤である。ある特定の実施形態では、EORTC QLQ−C30スコアは、約25〜60%、約25〜55%または約25〜50%改善される。ある特定の実施形態では、EORTC QLQ−C30スコアの改善は、処置後の連続した12週間以上、少なくとも25%または少なくとも50%である。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、ヘモグロビンレベルを、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べて(例えば、ベースラインと比べて)少なくとも約500mg/L、1g/L、2g/L、3g/L、5g/L、10g/Lまたは20g/L増加させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、ヘモグロビンレベルを、本明細書に記載の方法による処置の開始前のレベルと比べて(例えば、ベースラインと比べて)も500〜1000mg/L、1〜2g/L、2〜3g/Lまたは3〜5g/L増加させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、ヘモグロビンレベルを1g/L増加させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、ヘモグロビンレベルを少なくとも80g/L、少なくとも90g/L、少なくとも100g/L、少なくとも110g/L、少なくとも120g/L、少なくとも130g/Lまたは少なくとも140g/Lまで増加させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、ヘモグロビンレベルを少なくとも100g/Lまで増加させることにおいて有効である。一部の実施形態では、ヘモグロビンレベルは慣例的な全血球計算(CBC)の一部として測定される。当業者により、ヘモグロビンレベルを測定するための他の公知の方法も採用されうることが理解される。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者においてヘモグロビンレベルを増加させるための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、ヘモグロビンレベルを少なくとも約500mg/L、1g/L、2g/L、3g/Lまたは5g/L増加させるために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含み、追加的な抗がん療法薬はJAKキナーゼ阻害剤である。ある特定の実施形態では、ヘモグロビンレベルは、約500〜1000mg/L、1〜2g/L、2〜3g/Lまたは3〜5g/L増加される。ある特定の実施形態では、ヘモグロビンレベルは、少なくとも約80g/L、90g/L、100g/L、110g/L、120g/L、130g/Lまたは140g/Lまで増加される。一部の実施形態では、ヘモグロビンレベルの増加は、処置後の連続した12週間以上見られる。一部の実施形態では、ヘモグロビンレベルは、輸血せずに処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)、約10g/L以上増加される。一部の実施形態では、ヘモグロビンレベルは、輸血せずに処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)、約20g/L以上増加される。一部の実施形態では、少なくとも約100g/Lまでのヘモグロビンレベルの増加は、処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)見られる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、赤血球(RBC)輸血を、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べて少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%または少なくとも60%減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、RBC輸血を少なくとも25%減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、RBC輸血を少なくとも50%減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、RBC輸血非依存性を達成することにおいて有効である。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者においてRBC輸血を減少させるための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、RBC輸血を少なくとも約25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%または少なくとも60%減少させるために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含み、追加的な抗がん療法薬はJAKキナーゼ阻害剤である。ある特定の実施形態では、RBC輸血は、約25〜60%、約25〜55%、または約25〜50%減少する。ある特定の実施形態では、患者は処置後に輸血非依存性となる。ある特定の実施形態では、患者は、処置後の連続した12週間以上輸血非依存性となる。ある特定の実施形態では、患者は、処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)50%以上の輸血の減少を有する。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、存在する場合、血小板減少症を好転させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べて血小板を少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%増加させる。一部の実施形態では、処置は、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べて血小板を少なくとも20%〜30%、少なくとも30%〜40%、少なくとも40%〜50%、少なくとも50%〜60%、少なくとも60%〜70%、少なくとも70%〜80%、少なくとも80%〜90%または少なくとも90%〜100%増加させる。一部の実施形態では、処置は、血小板を少なくとも100%増加させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、血小板を少なくとも25×109個/L、30×109個/L、40×109個/L、50×109個/L、60×109個/L、70×109個/L、80×109個/L、90×109個/Lまたは100×109個/Lまで増加させる。一部の実施形態では、処置は、血小板を少なくとも25〜50×109個/L、50〜75×109個/L、75〜100×109個/Lまたは100〜150×109個/Lまで増加させる。一部の実施形態では、処置は、血小板を50×109個/Lまで増加させる。一部の実施形態では、処置は、血小板を100×109個/Lまで増加させる。一部の実施形態では、血小板は、慣例的な全血球計算(CBC)の一部として測定される。当業者により、血小板を測定するための他の公知の方法も採用されうることが理解される。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において血小板を増加させるための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、血小板を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%増加させるために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含み、追加的な抗がん療法薬はJAKキナーゼ阻害剤である。ある特定の実施形態では、血小板は、約50%〜60%、60%〜70%、70%〜80%、80%〜90%または90%〜100%増加される。ある特定の実施形態では、患者は、25×109個/L超の血小板数を、処置後の連続した12週間以上有する。ある特定の実施形態では、患者は、50×109個/L超の血小板数を、処置後の連続した12週間以上有する。ある特定の実施形態では、患者は、100×109個/L超の血小板数を、処置後の連続した12週間以上有する。ある特定の実施形態では、患者は、輸血せずにベースラインの血小板数の倍化を、連続した12週間以上有する。ある特定の実施形態では、患者は、50%以上の輸血の減少を、処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)有する。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、100g/L未満のヘモグロビンおよび50×109個/L未満の血小板の両方を有する対象において、ヘモグロビンレベルまたは血小板レベルのいずれかまたは両方を、ベースラインからのヘモグロビンまたは血小板の悪化を伴わずに、改善することにおいて有効である。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、100g/L未満のヘモグロビンを有する対象におけるヘモグロビンレベルを、50×109個/L未満への血小板の悪化を伴わずに、改善することにおいて有効である。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、50×109個/L未満の血小板を有する対象における血小板レベルを、100g/L未満へのヘモグロビンの悪化も新たな輸血依存性も伴わずに、改善することにおいて有効である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPを使用する単剤または併用療法)は、標準治療などに対して、無増悪生存および/または全生存を増加させる。ある特定の実施形態では、無増悪生存および/または全生存は、無処置に対してまたは標準治療に対して測定される。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、血小板輸血を、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べて少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%または100%減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、血小板輸血を少なくとも50%減少させる。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において血小板輸血を減少させるための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、血小板輸血を少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%減少させるために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、血小板輸血は、約25%〜40%、25%〜50%、50%〜70%または70%〜100%減少される。ある特定の実施形態では、患者は、処置後の連続した12週間以上輸血非依存性となる。ある特定の実施形態では、患者は、50%以上の輸血の減少を、処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)有する。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、存在する場合、血小板増加症を好転させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べて血小板を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%または少なくとも50%減少させる。一部の実施形態では、処置は、血小板を25%減少させる。一部の実施形態では、処置は、血小板を正常レベルまで減少させる。一部の実施形態では、血小板は、慣例的な全血球計算(CBC)の一部として測定される。当業者により、血小板を測定するための他の公知の方法も採用されうることが理解される。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において血小板を減少させるための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、血小板を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%または少なくとも50%減少させるために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、血小板は、約10%〜15%、少なくとも15%〜25%または少なくとも25%〜35%減少される。ある特定の実施形態では、血小板数の減少は、処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)見られる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、存在する場合、好中球減少症を好転させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べて好中球絶対数(ANC)を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%増加させる。一部の実施形態では、処置は、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べてANCを少なくとも20%〜30%、少なくとも30%〜40%、少なくとも40%〜50%、少なくとも50%〜60%、少なくとも60%〜70%、少なくとも70%〜80%、少なくとも80%〜90%または少なくとも90%〜100%増加させる。一部の実施形態では、処置は、ANCを少なくとも50%増加させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、ANCを少なくとも細胞1000個/μL、少なくとも細胞1250個/μL、少なくとも細胞1500個/μL、少なくとも細胞1750個/μLまたは少なくとも細胞2000個/μLまで増加させる。一部の実施形態では、処置は、ANCを少なくとも細胞1250〜1500個/μL、少なくとも細胞1500〜1750個/μLまたは少なくとも細胞1750〜2000個/μLまで増加させる。一部の実施形態では、処置は、ANCを少なくとも細胞1500個/μLまで増加させる。一部の実施形態では、ANCは、慣例的な全血球計算(CBC)の一部として測定される。当業者により、ANCを測定するための他の公知の方法も採用されうることが理解される。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者においてANCを増加させるための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、ANCを少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%増加させるために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、ANCは、約20%〜30%、少なくとも30%〜40%、少なくとも40%〜50%、少なくとも50%〜60%、少なくとも60%〜70%、少なくとも70%〜80%、少なくとも80%〜90%または少なくとも90%〜100%増加される。一部の実施形態では、処置は、ANCを少なくとも細胞1500個/μLまで、処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)増加させる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、存在する場合、白血球減少症を好転させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べて白血球(WBC)を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%増加させる。一部の実施形態では、処置は、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べてWBCを少なくとも20%〜30%、少なくとも30%〜40%、少なくとも40%〜50%、少なくとも50%〜60%、少なくとも60%〜70%、少なくとも70%〜80%、少なくとも80%〜90%または少なくとも90%〜100%増加させる。一部の実施形態では、処置は、WBCを少なくとも50%増加させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、WBCを少なくとも4×109個/L、5×109個/L、7.5×109個/Lまたは10×109個/Lまで増加させる。一部の実施形態では、処置は、WBCを10×109個/Lまで増加させる。一部の実施形態では、処置は、WBCを正常範囲まで増加させる。一部の実施形態では、WBCは、慣例的な全血球計算(CBC)の一部として測定される。当業者により、WBCを測定するための他の公知の方法も採用されうることが理解される。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者においてWBCを増加させるための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、WBCを少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%増加させるために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、WBCは、約20%〜30%、少なくとも30%〜40%、少なくとも40%〜50%、少なくとも50%〜60%、少なくとも60%〜70%、少なくとも70%〜80%、少なくとも80%〜90%または少なくとも90%〜100%増加される。一部の実施形態では、WBCの増加は、処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)見られる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、存在する場合、白血球増加症を好転させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、ANCを1500個/μL未満に減少させることなく、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べてANCを少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%減少させる。一部の実施形態では、処置は、ANCを25%減少させる。一部の実施形態では、処置は、ANCを50%減少させる。一部の実施形態では、処置は、ANCを正常レベルまで減少させる。一部の実施形態では処置は、白血球(WBC)を正常の下限未満に減少させることなく、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べてWBCを少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、すくなくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%減少させる。一部の実施形態では、処置は、WBCを25%減少させる。一部の実施形態では、処置は、WBCを50%減少させる。一部の実施形態では、処置は、WBCを35×109個/L未満、30×109個/L未満、25×109個/L未満、20×109個/L未満または15×109個/L未満まで減少させる。一部の実施形態では、処置は、WBCを25×109個/L未満まで減少させる。一部の実施形態では、処置はWBCを正常範囲まで減少させる。一部の実施形態では、ANCおよびWBCは、慣例的な全血球計算(CBC)の一部として測定される。当業者により、ANCまたはWBCを測定するための他の公知の方法も採用されうることが理解される。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者においてANCまたはWBCを減少させるための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、WBCを正常の下限未満に減少させることなく、ANCまたはWBCを少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%減少させるために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、WBCを正常の下限未満に減少させることなく、ANCまたはWBCは、約20%〜30%、少なくとも30%〜40%、少なくとも40%〜50%、少なくとも50%〜60%または少なくとも60%〜70%減少される。一部の実施形態では、処置は、WBCを25×109個/L未満まで、処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)減少させる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、末梢血芽球を、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べて少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%または少なくとも70%減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、末梢血芽球を少なくとも50%減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、末梢血芽球を1%以上から1%未満に減少させることにおいて有効である。当業者により、末梢血芽球を測定するための本技術分野で公知の任意の方法が採用されうることが理解される。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において末梢血芽球を減少させるための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、末梢血芽球を少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%または少なくとも70%減少させるために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、末梢血芽球は、約20〜30%、少なくとも30%〜40%、少なくとも40%〜50%、少なくとも50%〜60%または少なくとも60%〜70%減少される。ある特定の実施形態では、末梢血芽球が、1%以上から1%未満に減少される。ある特定の実施形態では、末梢血芽球が、処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)1%以上から1%未満に減少される。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、骨髄線維症をグレード3からグレード2に減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、骨髄線維症をグレード3からグレード1に減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、骨髄線維症をグレード3からグレード0に減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、骨髄線維症をグレード2からグレード1に減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は骨髄線維症をグレード2からグレード0に減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、骨髄線維症を、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べて少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80または90%減少させることにおいて有効である。当業者により、骨髄線維症を評価するための本技術分野で公知の任意の方法が採用されうることが理解される。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において骨髄線維症を減少させるための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、骨髄線維症を少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80または90%減少させるために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、骨髄線維症は、約20%〜30%、少なくとも30%〜40%、少なくとも40%〜50%、少なくとも50%〜60%または少なくとも60%〜70%減少される。ある特定の実施形態では、1グレードよりも大きい骨髄線維症における減少は、処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)見られる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、定量的画像解析によって測定された骨髄線維症を減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、骨髄線維症を、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べて少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80または90%減少させることにおいて有効である。当業者により、骨髄線維症を評価するための本技術分野で公知の任意の定量的画像解析法が採用されうることが理解される。一部の実施形態では、コンピュータ支援画像解析(CIA)が、ベースライン試料に比べたすべての処置後の試料の全体的な線維症レベルおよび骨硬化症の客観的定量化のために、患者からの逐次的な骨髄検体(speciments)のスライドスキャン全体に対して実行される。骨梁(bone trabeculae)によって占有される領域(全コア生検材料の%)およびレチクリン線維(reticulin fiber)によって占有される領域(脂肪を除く造血領域の%)が計算される。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において骨髄線維症を減少させるための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、骨髄線維症を少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80または90%減少させるために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、骨髄線維症は、約20%〜30%、少なくとも30%〜40%、少なくとも40%〜50%、少なくとも50%〜60%または少なくとも60%〜70%減少される。ある特定の実施形態では、10%を超える骨髄線維症の減少は、処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)見られる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、治癒および造血の回復を示す骨髄形態を改善することにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、巨核球のトポグラフィーを、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べて少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80または90%改善することにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、骨髄球系 対 赤血球系(M:E)比を、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べて少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80または90%正常化することにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、コラーゲンおよび骨硬化症を、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べて少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80または90%減少させることにおいて有効である。当業者により、骨髄形態を評価するための本技術分野で公知の任意の方法が採用されうることが理解される。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において骨髄形態を改善する(例えば、巨核球のトポグラフィーを改善すること、M:E比を正常化すること、コラーゲンおよび骨硬化症を減少させることのうちの1つまたは複数)ための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、骨髄形態を少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80または90%改善するために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、骨髄形態は、約20%〜30%、少なくとも30%〜40%、少なくとも40%〜50%、少なくとも50%〜60%または少なくとも60%〜70%改善される。ある特定の実施形態では、10%超の骨髄形態の改善は、処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)見られる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、骨髄、脾臓および肝臓における線維症を減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、線維症は、ポジトロン断層撮影/コンピュータ断層撮影(PET/CT)によって測定される。一部の実施形態では、線維症は、3’−18フルオロ−3’−デオキシ−L−チミジン(18F−FLT)PETによって測定される(Andreoliら、ASH 2014年要約3195)。一部の実施形態では、線維症は、186618F−フルオロデオキシグルコースポジトロン断層撮影/コンピュータ断層撮影18FDG−PET/CTによって測定される(Derlinら、ASH 2014年要約1866)。一部の実施形態では、処置は、骨髄、脾臓または肝臓の線維症を、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べて少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80または90%減少させることにおいて有効である。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において骨髄、脾臓または肝臓の線維症を減少させるための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、骨髄、脾臓または肝臓の線維症を少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80または90%減少させるために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、骨髄、脾臓または肝臓の線維症は、約20%〜30%、少なくとも30%〜40%、少なくとも40%〜50%、少なくとも50%〜60%または少なくとも60%〜70%減少される。ある特定の実施形態では、骨髄、脾臓または肝臓の線維症の10%超の減少は、処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)見られる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、骨髄芽球を5%以上から5%未満に減少させることにおいて有効である。当業者により、骨髄芽球を測定するための本技術分野で公知の任意の方法が採用されうることが理解される。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において骨髄芽球を減少させるための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、骨髄芽球を少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%または少なくとも70%減少させるために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、骨髄芽球は、約20%〜30%、少なくとも30%〜40%、少なくとも40%〜50%、少なくとも50%〜60%または少なくとも60%〜70%減少される。ある特定の実施形態では、骨髄芽球の減少は、処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)見られる。
一部の実施形態では、処置は、骨髄の細胞充実性を改善することにおいて有効である。改善は、本明細書に提供される方法による処置の開始前のレベルと比べて、少なくとも20、30、40、50、60または70%であることができる。ある特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において骨髄の細胞充実性を改善するための方法であって、それを必要とする患者は骨髄線維症を有し、この方法は、ある量のSAPタンパク質を、骨髄の細胞充実性を少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%または少なくとも70%改善するために有効な投薬スケジュールに従って投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、血清から精製されたヒトSAPタンパク質とは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、骨髄の細胞充実性は、約20%〜30%、少なくとも30%〜40%、少なくとも40%〜50%、少なくとも50%〜60%または少なくとも60%〜70%改善される。ある特定の実施形態では、骨髄形態の改善は、処置後の連続した12週間以上(例えば、24週間を超えて、30週間を超えて、36週間を超えて、42週間を超えて、48週間を超えて)見られる。
一部の実施形態では、処置は、白赤芽球症を減少させることにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、白赤芽球症を除去することにおいて有効である。一部の実施形態では、処置は、処置後の連続した12週間以上にわたり白赤芽球症を減少させるかまたは除去することにおいて有効である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置(例えば、SAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、本明細書に記載の効果(例えば、突然変異型対立遺伝子荷重の減少、脾臓体積の減少、MPN−SAF合計症状スコアの低下、EORTC QLQ−C30により測定した生活の質を改善させること、ヘモグロビンの増加、RBC輸血の減少、血小板減少症における改善、血小板輸血の減少、血小板増加症における改善、好中球減少症の改善、白血球増加症の改善、末梢血芽球の減少、骨髄線維症の減少、骨髄芽球の減少、末梢血芽球の減少または骨髄の細胞充実性の改善)のうちの少なくとも1つをもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用する処置は、本明細書に記載の効果のうちの少なくとも2つをもたらす。一部の実施形態では、上記方法を使用する処置は、本明細書に記載の効果のうちの少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10個をもたらす。上記のいずれかのある特定の実施形態では、症状の特定の程度の改善または治療効果が達成されたかどうかの評価は、少なくとも12週間、18週間、20週間もしくは少なくとも24週間の処置の後、または24週間超の処置の後(例えば、30週間超、36週間超、42週間超、48週間超)などの、時間をわたって1つまたは複数の時点で評価される。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法のうちの1つまたは複数を使用する処置(例えば、本開示のSAPタンパク質を使用する単剤または併用療法)は、臨床的に有意な骨髄抑制を引き起こすことも誘発することもなく、本明細書に記載の効果(例えば、脾臓体積の減少、MPN−SAF合計症状スコアの低下、EORTC QLQ−C30により測定した生活の質を改善すること、ヘモグロビンの増加、RBC輸血の減少、輸血非依存性の達成、血小板減少症の改善、血小板輸血の減少、血小板増加症における改善、好中球減少症における改善、白血球増加症における改善、末梢血芽球の減少、骨髄線維症の減少、骨髄芽球の減少または骨髄の細胞充実性の改善)のうちの少なくとも1つをもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法のうちの1つまたは複数を使用する処置は、臨床的に有意な骨髄抑制を引き起こすことも誘発することもなく、本明細書に記載の効果のうちの少なくとも2つをもたらす。一部の実施形態では、上記方法のうちの1つまたは複数を使用する処置は、臨床的に有意な骨髄抑制を引き起こすことも誘発することもなく、本明細書に記載の効果のうちの少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10個をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法のうちの1つまたは複数を使用する処置は骨髄抑制をもたらさない。ある特定の実施形態では、任意の上記方法は、組換えヒトSAP(例えば、CHO細胞において産生された組換えヒトペントラキシン−2)などのヒト血清から精製されたSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含むSAPを投与するステップを含む。ある特定の実施形態では、任意の上記方法は、投薬スケジュールに従ってSAPタンパク質を投与するステップを含み、ここで、投薬スケジュールに従う投与後に、任意の上記治療効果が達成される。ある特定の実施形態では、投薬スケジュールに従う投与(例えば、投与するステップは、投薬スケジュールに従って投与することを含む)後に、上記治療効果のうちの1つまたは複数が達成される。任意の上記パラメータの改善(例えば、症状の減少)は、処置の間の1つまたは複数の時点、例えば、少なくとも12週間、少なくとも18週間、少なくとも20週間、少なくとも24週間、または24週間超の処置(例えば、30週間超、36週間超、42週間超、48週間超)後に評価される。
1種または複数の症状の改善などの、患者における改善の上記例のいずれかのために、ある特定の実施形態では、本開示は、処置が、治療効果を有するために有効な用量および投薬スケジュールでSAPタンパク質を投与するステップを含むことを示す。上記のいずれかのある特定の実施形態などのある特定の実施形態では、SAPは追加的な抗がん療法薬なしに投与される。
一部の実施形態では、SAPタンパク質は、28日または4週間サイクルで少なくとも1サイクル、少なくとも2サイクル、少なくとも3サイクル、少なくとも4サイクル、少なくとも5サイクル、少なくとも6サイクル、少なくとも7サイクルまたは少なくとも8サイクルの間、4週間毎のSAPタンパク質の投与を含む投薬スケジュールで投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は、28日サイクルで少なくとも6サイクル、28日サイクルで少なくとも8サイクル、28日サイクルで少なくとも10サイクル、28日サイクルで少なくとも12サイクル、28日サイクルで少なくとも15サイクル、28日サイクルで少なくとも18サイクルまたは28日サイクルで少なくとも24サイクルの間、4週間毎に1回対象に投与される。一部の実施形態では、化合物は、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも8カ月、少なくとも1年または少なくとも2年の間、4週間毎に1回、対象に投与され、おそらくは、患者の人生にわたって慢性的に投与される。さらなる実施形態では、SAPタンパク質は、処置の最初の週において1日おきに投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は、28日サイクルで少なくとも6サイクル、28日サイクルで少なくとも8サイクル、28日サイクルで少なくとも10サイクル、28日サイクルで少なくとも12サイクル、28日サイクルで少なくとも15サイクル、28日サイクルで少なくとも18サイクルまたは28日サイクルで少なくとも24サイクルの間、4週間毎に数日(例えば、1、3、5日目)投与される。一部の実施形態では、化合物は、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも8カ月、少なくとも1年または少なくとも2年の間、4週間毎に数日(例えば、1、3、5日目)投与され、おそらくは、患者の人生にわたって慢性的に投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は、28日サイクルで少なくとも1サイクル、少なくとも2サイクル、少なくとも3サイクル、少なくとも4サイクル、少なくとも5サイクル、少なくとも6サイクル、少なくとも7サイクルまたは少なくとも8サイクルの間、1週間に少なくとも1回のSAPタンパク質の投与を含む投薬スケジュールで対象に投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は、28日サイクルで少なくとも6サイクル、28日サイクルで少なくとも8サイクル、28日サイクルで少なくとも10サイクル、28日サイクルで少なくとも12サイクル、28日サイクルで少なくとも15サイクル、28日サイクルで少なくとも18サイクルまたは28日サイクルで少なくとも24サイクルの間、1週間に少なくとも1回、対象に投与される。一部の実施形態では、化合物は、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも8カ月、少なくとも1年または少なくとも2年の間、1週間に1回、対象に投与される。さらなる実施形態では、化合物は、処置の最初の1週間、1日おきに投与される。ある特定の実施形態では、投薬スケジュールは、本明細書に記載の効果(例えば、1種または複数の症状またはパラメータの改善)のうちの少なくとも1つ(例えば、脾臓体積の減少、MPN−SAF合計症状スコアの低下、ヘモグロビンの増加、RBC輸血の減少、輸血非依存性の達成、血小板減少症の改善、血小板輸血の減少、血小板増加症における改善、好中球減少症における改善、白血球増加症における改善、末梢血芽球の減少、骨髄線維症の減少、骨髄芽球の減少または骨髄の細胞充実性の改善)をもたらす。一部の実施形態では、投薬スケジュールは、本明細書に記載の効果のうちの少なくとも2つをもたらす。一部の実施形態では、投薬スケジュールは、本明細書に記載の効果のうちの少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10個をもたらす。ある特定の実施形態では、SAPアゴニストは組換えヒトSAPを含む。
ある特定の実施形態では、本開示は、10mg/kgの、血清から精製されたヒトSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質などのSAPタンパク質をサイクル1の1、3、5日目および各後続の28日サイクルの1日目に投与することを含む投与レジメンを使用して、SAPタンパク質を投与することを含む投薬スケジュールに従って、ある量のSAPタンパク質を投与するための方法を提供する。
ある特定の実施形態では、本開示は、3mg/kgのSAPタンパク質をサイクル1の1、3、5日目および各後続の28日サイクルの1日目に投与することを含む投与レジメンを使用して、SAPタンパク質を投与することを含む投薬スケジュールに従って、ある量のSAPタンパク質を投与するための方法を提供する。
ある特定の実施形態では、本開示は、0.3mg/kgのSAPタンパク質をサイクル1の1、3、5日目および各後続の28日サイクルの1日目に投与することを含む投与レジメンを使用してSAPタンパク質を投与することを含む投薬スケジュールに従って、ある量のSAPタンパク質を投与するための方法を提供する。
一部の実施形態では、SAPタンパク質は、最初の週の間に複数回(例えば、1、3、5日目)投与され、その後は毎週、2週間毎、3週間毎または4週間毎に投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は、1週間に複数回、1週間おきに、3週間毎に、毎月、1カ月おきに、3カ月毎に、6カ月毎にまたは必要に応じて投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質はIV注入により投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は皮下に投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は10mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は3mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は0.3mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、SAPタンパク質は本明細書に記載のいずれかの投薬量で投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載の投与レジメンは、本明細書に記載の処置転帰のうちの1つを達成するために必要に応じて調整される。
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、最初の応答を達成した後、1つまたは複数の追加の用量のSAPタンパク質を投与するステップを含む。一部の実施形態では、後続の応答は、対象における最初の応答を達成した後に、1つまたは複数の追加の用量のSAPタンパク質の投与に続いて達成される。後続の応答は、追加の応答(例えば、最初は観察されなかった、本明細書に記載の任意の応答)、最初の応答の維持、または最初の応答に対する改善であることができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の用量の投与は、最初の応答を実質的に維持する。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の用量の投与は、最初の応答に対するさらなる改善を提供する。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の用量の投与は、最初に観察されなかった1つまたは複数の追加の応答を提供する。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は組換えヒトSAPを含む。
一部の実施形態では、ヒト対象などの対象へのSAPタンパク質または薬学的に許容されるその塩の投与に際して、用量後約0.5〜約5時間、約1.5〜約4.5時間、約2〜約4時間または約2.5〜約3.5時間内に、化合物のCmax(最大薬物濃度)が達成される。一部の実施形態では、ヒト対象への化合物の投与に際して、化合物の排出半減期は、約11〜110時間、20〜72時間、12〜約40時間、約16〜約34時間または約20〜約40時間である。一部の実施形態では、化合物の平均AUCは、1kg当たり約0.1mg〜約40mgにわたる漸増用量に比例するよりも大きく増加する。一部の実施形態では、化合物の蓄積は、化合物が毎週1回投薬される場合、定常状態において約1.1〜約5倍、約1.25〜約4.0倍、約1.5〜約3.5倍、約2〜約3倍である。一部の実施形態では、毎週投薬された場合、化合物は蓄積しない。
SAPタンパク質およびSAPアゴニスト
本開示の一態様は、骨髄増殖性障害の処置において有用なSAPタンパク質を提供する。本開示の一態様は、骨髄増殖性障害の処置において有用なSAPアゴニストを提供する。SAPアゴニストは、SAP活性を増大させる化合物を含む、内因性SAPシグナル伝達を増大させるかまたは他の方法で模倣するすべての化合物および組成物を包含する。任意の上記方法のある特定の実施形態では、SAPアゴニストは、SAPタンパク質が使用されているところではどこでも、単独でまたは本開示のSAPタンパク質と組み合わせて使用可能である。例示的なSAPアゴニストが以下に記載される。本開示を通じて、「SAPタンパク質」が言及される。別段の定めのない限り、そのような言及は、ヒトSAPを含むSAPタンパク質などの組換えSAPであって、ヒト血清から単離されたSAPとは異なるグリコシル化を有するSAPタンパク質を含む、本明細書に開示された任意のSAPタンパク質の使用を企図する。本開示は、本明細書に開示された任意のSAPタンパク質およびSAPアゴニストの、単独でまたは併用療法としての使用を含む、本明細書に記載の任意の方法における使用を企図する。
SAP
SAPまたはペントラキシン−2は、円盤様の複合体に非共有結合により会合した5つの同一のサブユニットまたはプロトマーで構成される、哺乳動物における天然に存在する血清タンパク質である。SAPは、タンパク質のペントラキシンスーパーファミリーに属し、この環状の5量体構造を特徴とする。古典的な短いペントラキシンは、SAPならびにC−反応性タンパク質を含む(Osmand, A.P.ら、Proc. Nat. Acad. Sci.、74巻:739〜743頁、1997年)。長いペントラキシンは、ペントラキシン−3を含む。SAPは通常、肝臓で合成され、24時間の生理学的半減期を有する。ヒトSAP(hSAP)は、血漿中、およそ20〜40μg/mlでホモ五量体として循環している。ヒトSAPサブユニットの配列は、配列番号1に開示され、これはGenbank Accession番号NP_001630(シグナル配列は示されない)のアミノ酸20〜223に相当する。
以前の研究は、SAPが免疫応答の開始期および消散期の両方において重要な役割を有することを実証する。hSAPは微生物に対する先天的な抵抗性ならびに細胞残屑の除去および食作用において機能し、創傷治癒および線維症の制御において役割を演じるようである。これらの機能は、(i)上で特定した微生物および細胞残屑と関連したリガンドならびに多様な細胞外マトリックスタンパク質にCa2+依存性の様式で結合すること、(ii)C3bおよびiC3bによるオプソニン化を促進することによって、補体活性化のためにClqに結合すること、(iii)直接的なオプソニン化および続く食作用またはエンドサイトーシスを開始するためにFcγ受容体に結合すること、ならびに(iv)単球の機能および分化のその後の制御を含みうる。したがって、hSAP分子は、傷害および修復の部位に局在し、これらの分子を結合することによって、これらの位置を標的としおよび/または濃縮しうる。
hSAPの3D構造がX線結晶学により決定され、異なるリガンドと複合体を形成した数種の結晶構造も報告されている。hSAPの五量体構造は、五回回転対称を有し、ポアによってかなり剛性である。hSAP五量体の直径はおよそ100Åであり、中心のポアは直径が20Åで深さ35Åである。各プロトマーは、ゼリーロールトポロジーを有する疎水性コアを有する、2つのシートに配置された逆平行のβストランドから構築される。hSAP五量体は、各プロトマーに1つある、5つのαヘリックスを有するA面および5組の二重カルシウム結合部位(double calcium−binding site)を有するB面の2つの面を有する。B面は、カルシウム依存性のリガンド結合面を提供すると考えられ、ホスホリルエタノールアミン、DNA、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸およびデキストラン硫酸、ラミニンおよびIV型コラーゲンを含む、B面に結合する数種のカルシウム依存性リガンドが同定されている。hSAPのA面もClqなどの分子を結合するように見え、Fcγ受容体への結合によって食作用を媒介しうる。各プロトマーは単一の部位、Asn32においてグリコシル化されうる。
NおよびC末端は溶媒が接触可能であり、各プロトマー分子の内側縁に位置している。N末端は各プロトマーの外側縁および5つのプロトマーにより形成される環の周縁に位置している。C末端は内側周縁および五量体環のポアにより近く位置するが、A面に向かって外側に方向づけられている。1つのプロトマー内のNおよびC末端は、約25Å離れている。末端はサブユニット相互作用に関与しないように見え、それらはAsn32に結合したグリカン鎖から離れている。hSAPのサブユニットはこれらの相互作用に関与する各サブユニットの表面のおよそ15%と、非共有結合により一緒に保持されている。これらの広範囲にわたる相互作用は、hSAP五量体の顕著な安定性の原因となる。
本明細書に記載の実施形態により包含されるSAPとしては、例えば、ヒトSAPまたは他の脊椎動物もしくは哺乳動物供給源由来の異性体もしくはアナログなどの任意の供給源由来のSAPが挙げられる。SAPは、例えば、部位特異的変異誘発によって導入された天然のPTX−2アミノ酸配列からの修飾を有するSAP分子をさらに包含する。そのような修飾は、分子の一般的な五量体ペントラキシンの性質を保持する一方、分子の特異的アミノ酸および/または他の特徴を変更しうる。「SAPタンパク質」は、SAP五量体およびSAPプロトマーの両方を包含するように使用されうる。「SAP五量体」または「五量体SAP」は、少なくとも5つのSAPプロトマーを含むタンパク質複合体を指し、「SAPプロトマー」はSAP五量体の1つの個別のタンパク質単位を指す。本開示の任意の態様および実施形態のある特定の実施形態では、本開示は、配列番号1に示されたアミノ酸配列を含む1つまたは複数のプロトマーを含むSAPタンパク質の投与を含む。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は、5つのプロトマーを含むタンパク質である。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は組換えヒトSAPを含む。例示的な組換えヒトSAPは、RPM−151を含む。ある特定の実施形態では、SAPアゴニストは組換えSAPを含む。一般的にタンパク質を作製する方法および具体的にヒトペントラキシン−2を組換えにより作製する方法は本技術分野で公知である。昆虫または哺乳動物細胞などの組換え発現に好適な細胞が選択されうる。配列番号1は、ヒトSAPプロトマーのアミノ酸配列に相当する。
ヒトSAPタンパク質のグリカン構造の修飾は、ヒト血清から単離された野生型SAPの対応する試料に比較してSAPタンパク質の生物学的活性を増加させることができる。ヒト血清由来の単離されたSAPはα2,6結合型シアル酸残基のみを含有する。対照的に、CHO細胞において産生された組換えヒトSAP(rhSAP)はα2,3結合型シアル酸残基のみを含有する。in vitroの細胞ベースのバイオアッセイでは、α2,3結合型シアル酸SAPタンパク質は、ヒト血清から単離された野生型SAP(すなわち、α2,6結合型シアル酸)よりも一貫して高い活性を示す。本開示の変異型SAPタンパク質は、それらの増大した生物学的効力によって治療剤としてより有効でありうる。例えば、より強力なSAP変異体は、ヒト血清から単離された野生型SAPに比較してより低量の投薬および/またはより頻度の低い投薬を必要とする可能性がある。本開示は、変異型ヒトSAPタンパク質およびそれを製造する方法の両方を提供する。特に、本開示は、所望のグリコシル化パターンを有するヒトSAPタンパク質を産生するための、in vitroおよびin vivoの糖残基の付加、欠失または修飾のための方法および組成物を含む。
変異型SAPタンパク質
一部分において、本開示は骨髄増殖性障害の処置における使用のための変異型血清アミロイドP(SAP)ポリペプチドを提供する。特に、本開示のSAP変異体は、それぞれが独立してα2,3結合型シアル酸部分で終端した分枝を1本、2本、3本、4本または5本有する、1つまたは複数のN結合型またO結合型オリゴ糖鎖を含む、グリコシル化ヒトSAPタンパク質を含む。一部の実施形態では、N結合型またはO結合型オリゴ糖鎖のすべてのシアル酸付加された分枝は、α2,3結合部分で終端する。一部の実施形態では、N結合型またはO結合型オリゴ糖鎖のシアル酸付加された分枝の15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%またはなお少なくとも95%は、α2,3結合部分で終端する。本開示の他のSAP変異体としては、ヒト血清由来の野生型SAPタンパク質よりも、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%またはなお少なくとも95%少ないα2,6結合型シアル酸部分を有するN結合型またはO結合型オリゴ糖鎖を含有するグリコシル化ヒトSAPタンパク質が挙げられる。一部の実施形態では、N結合型またはO結合型オリゴ糖鎖は、α2,6結合型シアル酸部分を実質的に含まない。本開示の糖変異型SAPタンパク質は、(例えば、二分岐(bi−antennary)、三分岐(tri−antennary)、四分岐(tetra−antennary)、五分岐(penta−antennary)などの構造を有する)1本または複数の分枝を有するN結合型またはO結合型オリゴ糖鎖を含んでもよい。ある特定の実施形態では、本開示のSAPタンパク質は、N結合型またはO結合型オリゴ糖鎖を含み、ここで、オリゴ糖鎖の1本、2本、3本、4本または5本の分枝は、ガラクトースおよびN−アセチルグルコサミンを実質的に含まない。本開示のある特定のSAPタンパク質は、ガラクトースおよびN−アセチルグルコサミンを実質的に含まないN結合型またはO結合型オリゴ糖鎖を有する。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質は、N結合型またはO結合型オリゴ糖鎖を含み、ここで、オリゴ糖鎖の1本、2本、3本、4本または5本の分枝は1つまたは複数のマンノース残基を含有する。ある特定の実施形態では、本開示のSAPタンパク質は、Man[(α1,6−)−(Man(α1,3)]−Man(β1,4)−GlcNAc(β1,4)−GlcNAc(β1,N)−Asnの五糖コアを有するN結合型オリゴ糖を含む。この五糖コアは、1つまたは複数のフコースまたはキシロース残基も含んでもよい。ある特定の実施形態では、本開示のSAPタンパク質は、N結合型オリゴ糖鎖を含み、ここで、オリゴ糖鎖の1本、2本、3本、4本または5本の分枝は、構造NeuNAc2α3Galβ4GlcNAcβ2Manα6を有する。本開示のSAPタンパク質はまた、すべての分枝が構造NeuNAc2α3Galβ4GlcNAcβ2Manα6を有するN結合型オリゴ糖鎖を含んでもよい。
本開示の変異型SAPタンパク質は、1つまたは複数の「修飾された」糖残基を含んでもよい。修飾された糖は、修飾部分または基の付着であって、なお糖が修飾された糖をペプチドにカップリングさせるために使用される酵素の基質として機能することを許容するものの付着を可能とする任意の位置で置換される。修飾基は、酵素的手段、化学的手段またはこれらの組合せによって糖部分に付着可能であり、それによって修飾された糖、例えば、修飾されたガラクトース、フコースまたはシアル酸を産生する。本開示における使用に好適な修飾基ならびにこれらの修飾基を糖残基にコンジュゲートさせる方法が、以下の項において記載される。
一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質は、Brutlagらのアルゴリズム(Comp. App. Biosci.、6巻:237〜245頁(1990年))に基づくFASTDBコンピュータプログラムを使用して決定された、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一であるアミノ酸配列を含みうる。特定の実施形態では、アミノ酸アラインメントの同一性および類似性パーセントを計算するために採用されるパラメータは:マトリックス=PAM 150、k−タプル=2、ミスマッチペナルティー=1、ジョイニングペナルティー=20、無作為化グループ長(Randomization Group Length)=0、カットオフスコア=1、ギャップペナルティー=5およびギャップサイズペナルティ=0.05を含む。
配列番号1と少なくとも95%の同一性を共有するポリペプチドは、これらの多様性領域において保存的置換を有するポリペプチドを含みうる。用語「SAPタンパク質」は、上記のいずれかを含む機能的断片および融合タンパク質を包含する。一般に、SAPタンパク質は、生体関連温度、pHレベルおよび容量オスモル濃度において水溶液に可溶性である。非共有結合により一緒に会合し五量体のSAP複合体を形成するSAPプロトマーは、同一のアミノ酸配列および/または翻訳後修飾を有してもよく、あるいは単一の複合体内の個々のSAPプロトマーは異なる配列および/または修飾を有してもよい。用語SAPタンパク質は、天然に存在する任意のSAPタンパク質ならびに任意の(突然変異体、断片および融合体を含む)その変異体を含むポリペプチドを含む。本開示のSAPタンパク質は、組換えポリペプチドであってもよい。好ましい実施形態では、本開示のSAPタンパク質はヒトSAPタンパク質である。
一部の実施形態では、本開示の変異型SAPタンパク質またはその機能的断片を含む医薬組成物が提供される。一部の態様では、SAP変異体のアミノ酸配列は、1つまたは複数の保存的または非保存的置換によって配列番号1と異なってもよい。他の態様では、SAP変異体のアミノ酸配列は、1つまたは複数の保存的置換によって配列番号1と異なってもよい。本明細書中で使用される場合、「保存的置換」は、対応する参照残基と物理的または機能的に類似する、すなわち、保存的置換およびその参照残基は類似のサイズ、形状、電荷、共有結合もしくは水素結合を形成する能力を含む化学的性質などを有する。好ましい保存的置換は、Dayhoffら、Atlas of Protein Sequence and Structure、5巻:345〜352頁(1978年および補遺)において認められた点突然変異に関して定められた基準を満たすものである。保存的置換の例は、以下の群内の置換である:(a)バリン、グリシン;(b)グリシン、アラニン;(c)バリン、イソロイシン、ロイシン;(d)アスパラギン酸、グルタミン酸;(e)アスパラギン、グルタミン;(f)セリン、スレオニン;(g)リシン、アルギニン、メチオニンおよび(h)フェニルアラニン、チロシン。どのアミノ酸変化が表現型としてサイレントである可能性が高いかに関する追加のガイダンスは、Bowieら、Science、247巻:1306〜1310頁(1990年)に見出されうる。
変異型SAPタンパク質および生物学的機能を保持するその断片は、本明細書に記載の医薬組成物および方法において有用である。一部の実施形態では、変異型SAPタンパク質またはその断片は、1つまたは複数のFcγ受容体に結合する。一部の実施形態では、Fcγ受容体は、FcγRI、FcγRIIAおよび/またはFcγRIIIBである。一部の実施形態では、変異型SAPタンパク質またはその断片は、線維細胞、線維細胞前駆体、筋線維芽細胞前駆体および/または造血単球前駆体の分化のうちの1つまたは複数を阻害する。一部の実施形態では、変異型SAPタンパク質またはその断片は、単球の線維細胞への分化を阻害する。マクロファージ由来ケモカイン(MDC)の発現を測定することは、線維細胞の分化を決定する有効な方法である。SAP変異体は、治療有効性または安定性(例えば、ex vivoの貯蔵寿命およびin vivoのタンパク質分解に対する抵抗性)を高めるような目的のために、SAPタンパク質の構造を修飾することによって生成される。
ある特定の態様では、本開示の変異型SAPタンパク質は、SAPタンパク質中に天然に存在する任意のものに加えて翻訳後修飾をさらに含んでもよい。そのような修飾としては、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化(例えば、O結合型オリゴ糖、N結合型オリゴ糖など)、リン酸化、脂質化およびアシル化が挙げられるが、それらに限定されない。結果として、修飾SAPタンパク質は、ポリエチレングリコール、脂質、多糖または単糖、およびホスフェートなどの非アミノ酸要素を含有しうる。
変更されたNグリコシル化を有する変異型hSAPタンパク質を産生する方法は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第12/794,132号に記載されている。一部の実施形態では、変異型SAPタンパク質の1つまたは複数のプロトマーは、配列番号1の位置32にアスパラギンでないアミノ酸を含み、変更されたグリコシル化パターンをもたらす。一部の実施形態では、1つまたは複数のSAPプロトマー(promoters)は実質的にN結合型またはO結合型グリカンを含まない。
ある特定の態様では、本明細書に記載のSAPタンパク質への1つまたは複数の修飾は、SAPタンパク質の安定性を増強しうる。例えば、そのような修飾は、SAPタンパク質のin vivo半減期を増強するかまたはSAPタンパク質のタンパク質分解を減少させる。
ある特定の態様では、本開示の変異型SAPタンパク質は、ヒトSAPタンパク質の少なくとも一部および1つまたは複数の融合ドメインまたは異種部分を有する、融合タンパク質を含む。そのような融合ドメインの周知例としては、ポリヒスチジン、Glu−Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA,プロテインGおよび免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)、またはヒト血清アルブミンが挙げられるが、それらに限定されない。融合ドメインは、所望の性質を付与するように選択されうる。例えば、一部の融合ドメインは、アフィニティークロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離に特に有用である。アフィニティー精製の目的のために、グルタチオン、アミラーゼおよびニッケル、またはコバルトがコンジュゲートされた樹脂などのアフィニティークロマトグラフィーのための関連マトリックスが使用される。別の例としては、融合ドメインは、SAPタンパク質の検出を容易化するように選択されうる。そのような検出ドメインの例としては、多様な蛍光タンパク質(例えば、GFP)ならびに特異抗体が利用可能な通常は短いペプチド配列である「エピトープタグ」が挙げられる。特異的なモノクローナル抗体が容易に利用可能な周知のエピトープタグとしては、FLAG、インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)およびc−mycタグが挙げられる。一部の場合には、融合ドメインは、関連プロテアーゼが融合タンパク質を部分消化し、それによって組換えタンパク質をそこから遊離することを可能とするプロテアーゼ切断部位を有する。次いで、遊離したタンパク質は後続のクロマトグラフィーによる分離によって融合ドメインから単離される。一部の場合には、SAPタンパク質は、SAPタンパク質をin vivoで安定化する異種ドメインに融合されてもよい。「安定化すること」によって、それが、破壊の減少、肝臓および/または腎臓によるクリアランスの減少、または他の薬物動態効果によるかにかかわらず、血清半減期を増加させる任意のものが意味される。免疫グロブリンのFc部分および血清アルブミンとの融合物は、増大した安定性を付与することが公知である。
融合タンパク質の様々な要素が、所望の機能性と一致した任意の様式で配置されうることは理解される。例えば、SAPタンパク質は、異種ドメインに対してC末端に置かれてもよく、あるいは異種ドメインがSAPタンパク質に対してC末端に置かれてもよい。SAPタンパク質および異種ドメインは融合タンパク質中で隣接する必要はなく、追加のドメインまたはアミノ酸配列(例えば、リンカー配列)がいずれかのドメインに対するC末端またはN末端にまたはドメインの間に含まれてもよい。
本開示のSAPタンパク質は、1つまたは複数の「修飾された」糖残基を含んでもよい。修飾基は、酵素的手段、化学的手段またはこれらの組合せによって糖部分に結合され、それによって修飾された糖、例えば、修飾されたガラクトース、フコースまたはシアル酸を産生することができる。修飾されたシアル酸が使用される場合、シアリルトランスフェラーゼまたはトランスシアリダーゼのいずれかがこれらの方法において使用可能である。糖は、修飾部分の結合を可能とするが、なお糖が修飾された糖をペプチドにカップリングするために使用される酵素の基質として機能することを可能とする、任意の位置で置換されてもよい。
一般に、糖部分および修飾基は、典型的に連結プロセスによって新しい有機官能基または非反応性種に変換される反応性基の使用によって、一緒に連結される。糖反応性官能基(複数可)は、糖部分の任意の位置にあってよい。本開示を実施するのに有用な反応性基および反応のクラスは、一般に、バイオコンジュゲート化学の技術分野で周知のものである。反応性糖部分とともに利用可能な反応の現在好ましいクラスは、比較的穏やかな条件下で進行するものである。これらとしては、求核置換(例えば、アミンおよびアルコールとアシルハライドとの反応、活性エステル)、求電子置換(例えば、エナミン反応)ならびに炭素−炭素および炭素−ヘテロ原子多重結合への付加(例えば、マイケル反応、ディールス・アルダー付加)が挙げられるが、それらに限定されない。これらおよび他の有用な反応は、例えば、SmithおよびMarch、Advanced Organic Chemistry、第5版、John Wiley & Sons、New York、2001年;Hermanson、Bioconjugate Techniques、Academic Press、San Diego、1996年;およびFeeneyら、Modification of Proteins;Advances in Chemistry Series.、198巻、American Chemical Society、Washington、D.C.、1982年において議論されている。
糖核基(sugar nucleus group)または糖修飾基から張り出た有用な反応性官能基としては:(a)カルボキシル基および多様なその誘導体(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、酸ハライド、アシルイミダゾール、チオエステル、p−ニトロフェニルエステル、アルキル、アルケニル、アルキニルおよび芳香族エステル);(b)例えば、エステル、エーテル、アルデヒドなどに変換可能なヒドロキシル基;(c)ハライドが後に例えば、アミン、カルボキシレートアニオン、チオールアニオン、カルバニオンまたはアルコキシドイオンなどの求核基で置換され、それによってハロゲン原子の官能基における新たな基の共有結合をもたらす、ハロアルキル基;(d)例えば、マレイミド基などの、ディールス・アルダー反応に加わることのできる求ジエン体基;(e)例えば、イミン、ヒドラゾン、セミカルバゾンまたはオキシムなどのカルボニル誘導体の形成を介してまたはグリニヤール付加もしくはアルキルリチウム付加などのメカニズムを介して後の誘導体化が可能であるような、アルデヒドまたはケトン基;(f)例えば、スルホンアミドを形成するためのアミンとの後の反応のためのスルホニルハライド基;(e)例えば、ジスルフィドに変換されるかまたはアルキルおよびアシルハライドと反応させられることのできるチオール基;(h)例えば、アシル化、アルキル化または酸化されることのできるアミンまたはスルフヒドリル基;(i)例えば、付加環化、アシル化、マイケル付加、メタセシス、ヘック反応などを受けることのできるアルケン;(j)例えば、アミンおよびヒドロキシル化合物と反応することのできるエポキシドが挙げられるが、それらに限定されない。
反応性官能基は、それらが、反応性の糖核基または糖修飾基を組み立てるのに必要な反応に参加しないかまたはそれを妨害するように選択され得る。あるいは、反応性官能基は、保護基の存在によって反応に加わることから保護され得る。当業者は、具体的な官能基を、それが、選ばれた反応条件の組を妨害しないようにどのように保護するかを理解している。有用な保護基の例については、例えば、Greeneら、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons、New York、1991年を参照されたい。
一部の実施形態では、修飾された糖は活性化された糖である。本開示において有用な活性化され修飾された糖は、典型的には、活性化された脱離基を含むように合成的に変更されているグリコシドである。本明細書中で使用される場合、用語「活性化された脱離基」は、酵素により調節された求核置換反応において容易に置換される部分を指す。多くの活性化された糖が本技術分野で公知である。例えば、Vocadloら、In Carbohydrate Chemistry and Biology、2巻、Ernstら編、Wiley−VCH Verlag:Weinheim、Germany、2000年;Kodamaら、Tetrahedron Lett.34巻:6419頁(1993年);Lougheedら、J. Biol. Chem.、274巻:37717頁(1999年)を参照されたい。そのような脱離基の例としては、フルオロ、クロロ、ブロモ、トシレート、メシレート、トリフレートなどが挙げられる。本開示における使用のために好ましい活性化された脱離基は、アクセプターへのグリコシドの酵素による転移を著しく立体的に妨害しないものである。したがって、活性化されたグリコシド誘導体の好ましい実施形態としては、フッ化グリコシルおよびグリコシルメシレートが挙げられ、フッ化グリコシルが特に好ましい。フッ化グリコシルのなかで、フッ化α−ガラクトシル、フッ化α−マンノシル、フッ化α−グルコシル、フッ化α−フコシル、フッ化α−キシロシル、フッ化α−シアリル、フッ化α−N−アセチルグルコサミニル、フッ化α−N−アセチルガラクトサミニル、フッ化β−ガラクトシル、フッ化β−マンノシル、フッ化β−グルコシル、フッ化β−フコシル、フッ化β−キシロシル、フッ化β−シアリル、フッ化β−N−アセチルグルコサミニルおよびフッ化β−N−アセチルガラクトサミニルが最も好ましい。
ある特定の態様では、修飾された糖残基が、1種または複数の水溶性ポリマーにコンジュゲートされる。多くの水溶性ポリマーが当業者に公知であり、本開示を実施することにおいて有用である。用語、水溶性ポリマーは、糖(例えば、デキストラン、アミロース、ヒアルロン酸、ポリ(シアル酸)、へパラン、ヘパリンなど);ポリ(アミノ酸);核酸;合成ポリマー(例えば、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エーテル)、例えば、ポリ(エチレングリコール));ペプチド、タンパク質などの種を包含する。本開示は、ポリマーがコンジュゲートの残部が結合されうる場所を含まなくてはいけないという制限があるのみで、任意の水溶性ポリマーにより実施されうる。
水溶性ポリマーおよび糖の活性化のための方法および化学ならびに糖およびポリマーを多様な種にコンジュゲートする方法が文献に記載されている。ポリマーの活性化のために一般に使用される方法は、臭化シアン、過ヨウ素酸塩、グルタルアルデヒド、ジエポキシド(biepoxide)、エピクロロヒドリン、ジビニルスルホン、カルボジイミド、スルホニルハライド、トリクロロトリアジンなどによる官能基の活性化を含む(R. F. Taylor、(1991年)、Protein Immobilisation, Fundamentals and Applications、Marcel Dekker、N.Y.;S. S. Wong、(1992年)、Chemistry of Protein Conjugation and Crosslinking、CRC Press、Boca Raton;G. T. Hermansonら、(1993年)、Immobilized Affinity Ligand Techniques、Academic Press、N.Y.;Dunn, R. L.ら編、Polymeric Drugs and Drug Delivery Systems、ACS Symposium Series、469巻、American Chemical Society、Washington, D.C. 1991年を参照されたい)。
ある特定の態様では、修飾された糖残基が1種または複数の水不溶性ポリマーにコンジュゲートされる。一部の実施形態では、水不溶性ポリマーへのコンジュゲーションが、治療用ペプチドを制御された様式で送達するために使用可能である。ポリマー性薬物送達系(polymeric drug delivery system)は本技術分野で公知である。例えば、Dunnら編、Polymeric drugs and Drug Delivery Systems、ACS Symposium Series、469巻、American Chemical Society、Washington, D.C.、1991年を参照されたい。当業者は、実質的に任意の公知の薬物送達系が本開示のコンジュゲートに適用可能であることを理解する。
代表的な水不溶性ポリマーとしては、ポリホスファジン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアクリルアミド、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハライド、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、プルロニックおよびポリビニルフェノールならびにそのコポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。
本明細書中で議論される、これらおよび他のポリマーは、Sigma Chemical Co.(St. Louis、Mo)、Polysciences(Warrenton、Pa)、Aldrich(Milwaukee、Wis.)、Fluka(Ronkonkoma、N.Y.)およびBioRad(Richmond、Calif)などの商業的供給源から容易に得られるか、またはそうでなければこれらの供給元から得られた単量体から標準的な技術を使用して合成されうる。本開示のコンジュゲートにおいて有用な代表的な生分解性ポリマーとしては、ポリラクチド、ポリグリコリドおよびそのコポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、それらのブレンドおよびコポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。特に使用されるのは、コラーゲンおよびプルロニックを含むものなどのゲルを形成する組成物である。
好ましい実施形態では、1つまたは複数の修飾された糖残基が、1つまたは複数のPEG分子にコンジュゲートされる。
ある特定の態様では、修飾された糖が生体分子にコンジュゲートされる。本開示の生体分子としては、機能性タンパク質、酵素、抗原、抗体、ペプチド、核酸(例えば、単一のヌクレオチドまたはヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドならびに一本鎖およびより本数の多い核酸)、レクチン、受容体またはこれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。
一部の好ましい生体分子は、本質的に非蛍光性であるかまたはそれらがアッセイにおける蛍光マーカーとしての使用に不適切であるような最小量の蛍光を発する。他の生体分子は蛍光性であってもよい。
一部の実施形態では、生体分子はターゲティング部分である。本明細書中で使用される場合、「ターゲティング部分」または「ターゲティング剤」は、身体の特定の組織または領域に選択的に局在化する種を指す。一部の実施形態では、生体分子は、本開示のSAPタンパク質を特定の細胞内コンパートメントに方向づけ、それによって組織に送達された非誘導体化ペプチドの量に比較してその細胞内コンパートメントへのペプチドの送達を高めるために選択される。局在化は、ターゲティング剤またはコンジュゲートの分子決定基の特異的認識、分子サイズ、イオン相互作用、疎水性相互作用などにより媒介される。ある薬剤を特定の組織または領域にターゲティングさせる他のメカニズムは、当業者に公知である。
一部の実施形態では、修飾された糖は、治療的部分を含む。当業者は、治療的部分と生体分子のカテゴリーの間に重複があること、すなわち、多くの生体分子が治療的性質または能力を有することを理解する。
有用な治療的部分のクラスとしては、例えば、非ステロイド系抗炎症薬;ステロイド系抗炎症薬;アジュバント;抗ヒスタミン薬;鎮咳薬;止痒薬;抗コリン薬;制吐薬および制嘔吐薬;食欲抑制薬;中枢神経刺激薬;抗不整脈薬;β−アドレナリンブロッカー薬;強心薬;抗高血圧薬;利尿薬;血管拡張薬;血管収縮薬;抗潰瘍薬;麻酔薬;抗うつ薬;トランキライザーおよび鎮静薬;抗精神病薬;ならびに抗微生物薬が挙げられる。
本開示を実施することにおいて有用な他の薬物部分としては、抗新生物薬、細胞破壊剤(cytocidal agent)、抗エストロゲン剤および代謝拮抗薬が挙げられる。このクラスには、診断(例えば、画像化)および治療の両方のための放射性同位体に基づく薬剤、ならびにコンジュゲートされた毒素も含まれる。
治療的部分は、ホルモン、筋肉弛緩剤、鎮痙薬、骨活性化剤(bone activating agent)、内分泌調節薬、糖尿病の調節薬、アンドロゲン、抗利尿薬またはカルシトニン薬(calxitonin drug)であることもできる。
他の有用な調節薬群(modifying group)としては、免疫調節薬、免疫抑制剤などが挙げられる。スリンダク、エトドラク、ケトプロフェンおよびケトロラクなどの抗炎症活性を有する群も役に立つ。本開示に関連して役に立つ他の薬物は、当業者に明らかである。
本開示の方法により産生される変更されたN−グリコシル化SAPタンパク質は、均質(すなわち、SAPタンパク質の試料は、特定のN−グリカン構造において均質である)または実質的に均質であることができる。「実質的に均質」によって、少なくとも約25%(例えば、少なくとも約27%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%または少なくとも約95%または少なくとも約99%)のSAPタンパク質が、同じ特定のN−グリカン構造を有することが意味される。
一部の実施形態では、本開示の変異型SAPタンパク質は、ヒト血清から単離された野生型SAPの対応する試料の1/2未満、1/3未満、1/4未満、1/10未満または1/100未満である、in vitroの単球の線維細胞への分化を阻害することに関するIC50を有する。一部の実施形態では、本開示の変異型SAPタンパク質は、ヒト血清から単離された野生型SAPの対応する試料の2分の1未満である、in vitroの単球の線維細胞への分化を阻害することに関するIC50を有する。線維細胞分化に関する末梢血単核細胞(PBMC)または単球細胞のSAPに対する応答性を決定するためのよく特徴付けされた方法が多数ある。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質は、IL−8の産生を阻害する。一部の実施形態では、本開示のSAPタンパク質の、酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)誘導性のIL−8の産生をブロックする阻害効果が測定される。これらの方法は、ヒト血清由来SAP試料、任意の他のSAP変異体ポリペプチドまたは他の線維細胞抑制剤もしくは活性化剤と比較した、いずれかの本開示のSAP変異体ポリペプチドの相対的効力を決定するために使用されてもよい。これらの方法における使用に好適なPBMCまたは単球は、多様な組織培養系から得られうる。あるいは、線維細胞分化アッセイのための好適な細胞は、PBMCまたは単球細胞を含有する任意の生体試料から得られうる。生体試料は、血清、血漿、健常組織、または線維性組織から得られうる。一般に、線維細胞分化アッセイは、多様な濃度のSAPタンパク質を含む培地中でPBMCまたは単球細胞をインキュベートして、線維細胞分化の程度を決定することによって実行される。SAPの濃度は、0.0001μg/mL〜1mg/mlにわたることができ、一部の実施形態では、0.001μg/mL、1.0μg/mL、5μg/mL、10μg/mL、15μg/mL、20μg/mL、25μg/mL、30μg/mL、35μg/mL、40μg/mL、45μg/mL、50μg/mL、100μg/mL、200μg/mL、300μg/mLまたは500μg/mLである。一部のアッセイにおいて、培地は、1〜100ng/mlのhMCSFを補充されることができ;hMCSFの好ましい濃度は25ng/mLである。PBMCおよび単球が線維細胞に分化したという指標は、当業者によって決定されうる。一般に、線維細胞は、細長い紡錘形で楕円形の核が存在する接着細胞として形態学的に定義される。一部のアッセイでは、細胞は固定され、例えば、倒立顕微鏡による直接的な計数によって線維細胞を数え上げる前にHema3で染色される。線維細胞分化の量は、当業者により、SAPに対する細胞の応答性の指標と解釈される。線維細胞分化のより大きな抑制は、より大きな程度のSAP反応性の指標である。線維細胞分化を測定する別の方法は、線維細胞特異的な細胞表面マーカーまたは分泌因子、例えば、(IL−1ra、ENA−78/CXCL−5、PAI−1などの)サイトカイン、フィブロネクチン、コラーゲン−1の発現を決定することを含む。細胞表面マーカーまたは分泌因子を検出および/または定量化する方法は、本技術分野で周知であり、1種または複数の線維細胞特異的マーカーに対する免疫反応性の抗体を使用する、多様なELISAおよびFACSに基づく技術が挙げられるが、それらに限定されない。マクロファージ由来ケモカイン(MDC)の発現を測定することは、線維細胞分化を決定する有効な方法である。
SAPタンパク質のN−グリコシル化(例えば、変更されたN−グリコシル化)を検出および/または特徴付けするための方法としては、DNAシーケンサー支援(DSA)、フルオロフォア支援炭水化物電気泳動法(FACE)または表面増強レーザー脱離/イオン化飛行時間質量分析(SELDI−TOF MS)が挙げられる。例えば、分析は、例えば、糖タンパク質が変性され、続いて例えば膜に固定されるDSA−FACEを利用しうる。次いで、糖タンパク質は、ジチオスレイトール(DTT)またはβ−メルカプトエタノールなどの好適な還元剤によって還元されうる。タンパク質のスルフヒドリル基は、ヨード酢酸などの酸を使用してカルボキシル化されうる。次に、N−グリコシダーゼFなどの酵素を使用してタンパク質からN−グリカンが放出される。任意選択でN−グリカンは再構成され、還元的アミノ化によって誘導体化されうる。次いで、誘導体化されたN−グリカンは濃縮されうる。N−グリカンの分析に好適な機器としては、例えば、ABI PRISM(登録商標)377DNAシーケンサー(Applied Biosystems)が挙げられる。データ解析は、例えば、GENESCAN(登録商標)3.1ソフトウエア(Applied Biosystems)を使用して実行されうる。任意選択で、単離されたマンノタンパク質は、それらのN−グリカン状態を確認するために、1種または複数の酵素でさらに処理されうる。例示的な酵素としては、例えば、α−マンノシダーゼまたはα−1,2マンノシダーゼが挙げられる。N−グリカン分析の追加的方法としては、例えば、質量分析(例えば、MALDI−TOF−MS)、順相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、(例えば、グリカンが標識されていない場合のパルス電流滴定検出による、およびグリカンが適切に標識されている場合のUV吸光度または蛍光による)逆相およびイオン交換クロマトグラフィーが挙げられる。それぞれの開示が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるCallewaertら、(2001年)、Glycobiology、11巻(4号):275〜281頁およびFreireら、(2006年)、Bioconjug.Chem.17巻(2号):559〜564頁も参照されたい。
SAPアゴニストとしての抗FcγR抗体
本開示の一態様では、SAPシグナル伝達を模倣する1種または複数の化合物が提供される。一部の実施形態では、SAPシグナル伝達アゴニストは、抗FcγR抗体であり、ここで、抗体は、それぞれFcγRI、FcγRIIA、またはFcγRIIIに結合することのできる抗FcγRI、抗FcγRIIAおよび抗FcγRIII抗体から選択される。抗FcγR抗体は、IgG抗体のFc部分の受容体(FcγR)に結合する抗体である。抗FcγR抗体は、それらの定常(Fc)領域でなくそれらの可変領域を介して結合する。抗FcγR抗体は、任意のアイソタイプの抗体を含みうる。抗FcγR抗体は、追加の抗体もしくは他の手段とともにまたはこれらを伴わずに、さらに架橋されるかまたは凝集されうる。このプロセスは、FcγRの活性化と一致した、細胞内シグナル伝達事象を開始する。一部の実施形態では、SAPシグナル伝達アゴニストは、架橋されたFcγRであってもよい。
凝集したFcドメインおよびFc含有抗体
一部の実施形態では、SAPシグナル伝達アゴニストは、架橋されたまたは凝集したIgGである。架橋されたまたは凝集したIgGは、少なくとも2つのそのようなIgG抗体がお互いに物理的に接続されることを条件として、そのFc領域によって標的FcγRに結合することのできる任意のIgGを含む。
架橋されたまたは凝集したIgGは、全抗体またはその一部、好ましくは線維性障害の抑制において機能的な一部を含みうる。例えば、それらは、FcγRを架橋することのできる任意の抗体の一部を含んでもよい。これは、凝集したまたは架橋された全抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fab’断片およびことによるとFc断片などの、凝集したまたは架橋された抗体またはその断片を含んでもよい。
抗体の凝集または架橋は、熱または化学的凝集などの、任意の公知の方法により達成されうる。任意のレベルの凝集または架橋が十分でありうるが、増大した凝集は増大した線維性障害の抑制をもたらす可能性がある。抗体は、ハイブリドーマ細胞から産生された抗体などの、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であってもよい。組成物および方法は、類似のまたは異なる抗体に架橋されまたは凝集しうる複数のモノクローナル抗体の混合物などの、抗体の混合物を採用してもよい。
SAPペプチドミメティック
ある特定の実施形態では、SAPアゴニストはペプチドミメティックを含む。本明細書中で使用される場合、用語「ペプチドミメティック」は、化学修飾されたペプチドおよび天然に存在しないアミノ酸を含有するペプチド様分子、ペプトイドなどを含む。ペプチドミメティックを同定するための方法は、本技術分野で周知であり、可能性のあるペプチドミメティックのライブラリーを含有するデータベースのスクリーニングを含む。例えば、Cambridge Structural Databaseは、公知の結晶構造を有する300,000種超の化合物のコレクションを含有する(Allenら、Acta Crystallogr. Section B、35巻:2331頁(1979年))。標的分子の結晶構造が利用可能でない場合、構造は、例えば、プログラムCONCORDを使用して生成可能である(Rusinkoら、J. Chem. Inf. Comput. Sci.、29巻:251頁(1989年))。別のデータベース、Available Chemicals Directory(Molecular Design Limited, Informations Systems;San Leandro Calif.)は、市販され、可能性のあるSAPタンパク質のペプチドミメティックを同定するために検索可能な約100,000種の化合物を含有する。
SAP活性を増大させる
一部の実施形態では、SAPアゴニストはSAP活性を増大させる。SAP活性は、例えば、SAPの転写を増加させること、翻訳を増加させること、SAP分泌を増加させること、SAP RNAの安定性を増大させること、SAPタンパク質の安定性を増大させること、またはSAPタンパク質の分解を減少させることにより、SAPの濃度を増加させることによって増大させられうる。SAP活性は、特異的にSAPの「遊離濃度」を増加させることによって、またはむしろ未結合型を、例えば、SAPの内因性結合パートナーを減少させることによって増加させることによっても増大させられうる。
FcγR架橋剤
一部の実施形態では、フィブロネクチンに基づく足場ドメインタンパク質が、FcγRを架橋するためのSAPアゴニストとして使用されてもよい。フィブロネクチンに基づく足場ドメインタンパク質は、フィブロネクチンIII型ドメイン(Fn3)、特にフィブロネクチンIII型第10ドメイン(10Fn3)を含んでもよい。
FcγRを架橋するために、FcγR結合性Fn3ドメインの多量体が米国特許第7,115,396号に記載の通りに生成されてもよい。
フィブロネクチンIII型(Fn3)ドメインは、N末端からC末端の順番でベータまたはベータ様ストランド、A;ループ、AB;ベータまたはベータ様ストランド、B;ループ、BC;ベータまたはベータ様ストランドC;ループCD;ベータまたはベータ様ストランドD;ループ、DE;ベータまたはベータ様ストランド、E;ループ、EF;ベータまたはベータ様ストランドF;ループ、FG;およびベータまたはベータ様ストランドGを含む。BC、DEおよびFGループは、免疫グロブリンからの相補性決定領域(CDR)に構造的および機能的の両方で類似する。Fn3ドメインは、BC、DEおよびFGループのうちの1つまたは複数の配列を変更することによって、ほとんどいかなる化合物にも結合するようにデザインされうる。特異的なバインダーを生成するための方法は、高親和性TNFαバインダーを開示する米国特許第7,115,396号および高親和性VEGFR2バインダーを開示する米国特許出願公開第2007/0148126号に記載されている。フィブロネクチンに基づく足場タンパク質の例は、Adnectins(商標)(Adnexus、a Bristol−Myers Squibb R&D Company)である。
一部の実施形態では、SAPアゴニストはアプタマーである。FcγRを架橋するために、FcγR結合性アプタマーの多量体が生成されてもよい。
アプタマーは、タンパク質または代謝物などの、特定の標的分子に結合するオリゴヌクレオチドであり、合成または天然のものであることができる。典型的に、結合は、古典的なワトソン−クリック塩基対形成以外の相互作用による。アプタマーは、現在前臨床および臨床開発中の有望なクラスの治療剤を代表する。生物製剤、例えば、ペプチドまたはモノクローナル抗体のように、アプタマーは分子標的に特異的に結合し、結合によって標的の機能を阻害することができる。典型的なアプタマーは、10〜15kDaのサイズ(すなわち、30〜45ヌクレオチド)であり、ナノモル濃度未満の親和性でその標的に結合し、密接に関連した標的を識別する(例えば、典型的に、同じ遺伝子ファミリー由来の他のタンパク質には結合しない)(Griffinら、(1993年)、Gene、137巻(1号):25〜31頁;Jenisonら、(1998年)、Antisense Nucleic Acid Drug Dev.8巻(4号):265〜79頁;Bellら、(1999年)、In vitro Cell. Dev. Biol. Anim、35巻(9号):533〜42頁;Watsonら、(2000年)、Antisense Nucleic Acid Drug Dev.10巻(2号):63〜75頁;Danielsら、(2002年)、Anal. Biochem.305巻(2号):214〜26頁;Chenら、(2003年)、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.100巻(16号):9226〜31頁;Khatiら、(2003年)、J. Virol.77巻(23号):12692〜8頁;Vaishら、(2003年)、Biochemistry、42巻(29号):8842〜51頁)。
アプタマーは、治療薬としての使用のための多数の魅力的な特徴を有する。高い標的親和性および特異性に加えて、アプタマーは、標準的なアッセイにおいて毒性または免疫原性をわずかに示すかまたはまったく示さない(Wlotzkaら、(2002年)、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.99巻(13号):8898〜902頁)。実際に、薬物動態解析、細胞および動物疾患モデルにおける生物学的有効性の特徴付けならびに予備的な安全性薬理学評価を含む、前臨床開発の様々な段階を通して数種の治療用アプタマーが最適化され、進歩してきた(ReydermanおよびStavchansky(1998年)、Pharmaceutical Research、15巻(6号):904〜10頁;Tuckerら、(1999年)、J. Chromatography B.732巻:203〜212頁;Watsonら、(2000年)、Antisense Nucleic Acid Drug Dev.10巻(2号):63〜75頁)。
目的の標的に対するアプタマーを生成するための好適な方法は、「Systematic Evoloution of Ligands by EXponential Enrichment」(「SELEX(商標)」)と題されたプロセスによる。SELEX(商標)プロセスは、標的分子に高い特異性で結合する核酸分子のin vitroの進化のための方法であり、例えば、1990年6月11日に出願され、現在は放棄されている米国特許出願第07/536,428号、「Nucleic Acid Ligands」と題された米国特許第5,475,096号、および「Nucleic Acid Ligands」と題された米国特許第5,270,163号(国際公開第WO91/19813号も参照されたい)に記載されている。SELEX(商標)により同定された各核酸リガンドは、所与の標的化合物または分子の特異的リガンドである。SELEX(商標)プロセスは、核酸が様々な二次元および三次元構造を形成可能であり、単量体または重合体であるかにかかわらず、実質的に任意の化合物との(特異的な結合対を形成する)リガンドとして作用するために、それらの単量体内に利用可能な十分な化学的多用途性を有し得るという洞察に基づく。任意のサイズまたは組成の分子が標的としての役割を果たすことができる。高親和性の結合の用途に適用されるSELEX(商標)法は、結合親和性および選択性の実質的にいかなる所望の基準も達成するために、候補オリゴヌクレオチドの混合物からの選別ならびに同じ一般的選別スキームを使用する結合、分割および増幅の段階的な繰り返しを含む。SELEX(商標)法は、好ましくは無作為化された配列のセグメントを含む核酸の混合物から出発して、結合に好ましい条件下で標的と混合物を接触させるステップ、標的分子に特異的に結合している核酸から未結合の核酸を分割するステップ、核酸−標的複合体を解離させるステップ、核酸−標的複合体から解離した核酸を増幅して、リガンド富化された核酸混合物を得るステップ、次いで、結合、分割、解離および増幅のステップを、標的分子に対して高度に特異的かつ高親和性の核酸リガンドを得るために望ましいサイクル回数、繰り返すステップを含む。SELEX(商標)は、例えば、それぞれが参照により具体的に本明細書に組み込まれる米国特許第5,475,096号および同第5,270,163号ならびにPCT/US91/04078号に記載された通り、任意の所望の標的のための核酸リガンドを作製するための方法である。
一部の実施形態では、SAPアゴニストはNanoboies(登録商標)である。Nanobodies(登録商標)は、天然に存在する重鎖抗体の特有の構造的および機能的性質を含有する抗体由来の治療用タンパク質である。Nanobody(登録商標)技術は、もともと、ラクダ科(ラクダおよびラマ)が軽鎖のない完全な機能的抗体を有するという発見に続いて開発された。これらの重鎖抗体は、単一の可変ドメイン(VHH)および2つの定常ドメイン(CH2およびCH3)を含有する。重要なことは、クローン化され単離されたVHHドメインが、元の重鎖抗体の完全な抗原結合能力を保持する安定なポリペプチドであることである。その特有の構造的および機能的性質を有するこれらのVHHドメインは、新世代の治療用抗体の基礎を形成する。
医薬調製物および製剤
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は少なくとも1種の本開示のSAPタンパク質の治療剤として対象への投与を含む。本開示の治療剤は、1種または複数の
生理学的に許容される担体または賦形剤を使用する従来の様式で製剤化されうる。例えば、治療剤ならびに生理学的に許容されるそれらの塩および溶媒和物は、例えば、静脈内注入(IV)、注射(例えば、SubQ、IM、IP)、吸入もしくはガス注入(口もしくは鼻のいずれかを通す)または経口、頬側、舌下、経皮、鼻、非経口または直腸投与による投与のために製剤化されうる。ある特定の実施形態では、治療剤は、標的細胞が存在する部位、すなわち、特定の組織、臓器または流体(例えば、血液、脳脊髄液、腫瘤など)に局所投与されてもよい。言い換えれば、本開示は、本明細書に記載の任意の方法に関して、方法がSAPまたはSAPを含む組成物(例えば、医薬組成物)の投与を含むことを企図する。ある特定の好ましい実施形態では、組成物は、SAPを含む組成物であり、組成物全体にわたる活性および/またはSAPのシアル化は、ヒト血清におけるものと異なる。
本開示は、患者における、本明細書に記載の障害または状態の処置または予防のための医薬の製造における本開示の任意のSAPタンパク質の使用、例えば、本明細書に記載の障害または状態の処置のための医薬の製造におけるSAPタンパク質の使用を提供する。一部の態様では、本開示のSAPタンパク質は、本明細書に記載の疾患または状態を処置することまたは予防することにおける使用のための医薬調製物を作製するために使用されうる。
治療剤は、全身および外用または局所投与を含む、様々な投与様式のために製剤化可能である。技術および製剤は、一般に、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Meade Publishing Co.、Easton、PAに見出される。非経口投与のためには、筋肉内、静脈内、腹腔内および皮下を含む注射が好ましい。注射のためには、化合物は、好ましくは、ハンクス液またはリンゲル液などの生理学的に適合性の緩衝液中の液体溶液に製剤化されうる。加えて、化合物は、固体形態に製剤化され、使用直前に再溶解または懸濁されてもよい。凍結乾燥形態も含まれる。一部の実施形態では、治療剤は、イオン導入によるリポソーム中への封入、またはヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセルおよび生体付着性ミクロスフィアなどの他のビヒクル中への取り込みを含むが、それらに限定されない、本技術分野に精通した者に公知の様々な方法によって細胞に投与可能である。
経口投与のために、医薬組成物は、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロースもしくはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクもしくはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンもしくはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容される賦形剤とともに従来手段によって調製された、例えば、錠剤、ロゼンジまたはカプセルの形態をとってもよい。錠剤は、本技術分野で周知の方法によってコーティングされてもよい。経口投与のための液体調製物は、例えば、溶液、シロップもしくは懸濁物の形態をとりうるかまたはそれらは使用前の水もしくは他の好適なビヒクルによる構成のための乾燥製品として提示されてもよい。そのような液体調製物は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体もしくは水素付加食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンもしくはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールもしくは分画された植物油);および防腐剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはp−ヒドロキシ安息香酸プロピルまたはソルビン酸)などの薬学的に許容される添加物とともに従来手段によって調製されてもよい。調製物は、適宜、緩衝塩、矯味矯臭剤、着色剤および甘味料も含有してもよい。経口投与のための調製物は、活性化合物の制御放出を与えるために好適に製剤化されてもよい。
吸入による投与(例えば、肺送達)のために、治療剤は、好適な噴霧体、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適な気体の使用によって、加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示の形態で便利に送達されてもよい。加圧エアロゾルの場合、投薬量単位は、計量された量を送達するための弁を提供することによって決定されうる。吸入器または注入器における使用のための、例えば、ゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物およびラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤の粉末混合物を含有して製剤化されてもよい。
本開示の方法では、医薬化合物は、ガス注入、散剤およびエアロゾル製剤(ステロイド吸入剤の例については、Rohatagi、(1995年)、J. Clin. Pharmacol.35巻:1187〜1193頁;Tjwa、(1995年)、Ann. Allergy Asthma Immunol.75巻:107〜111頁を参照されたい)を含む鼻腔内または気管支内経路によって投与されることもできる。例えば、エアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの加圧された許容される噴霧体中に入れられることができる。それらは、ネブライザーまたはアトマイザー中などの非加圧調製物のための医薬品として製剤化されることもできる。典型的に、そのような投与は、水性の薬理学的に許容される緩衝液中におけるものである。
SAPタンパク質の呼吸器送達(例えば、鼻腔内、吸入など)のための好適な医薬組成物は、固体または液体形態のいずれかで調製されうる。
本開示のSAPタンパク質は、注射による、例えば、ボーラス注射または持続注入による非経口投与のために製剤化されてもよい。ある特定の実施形態では、SAPタンパク質は静脈内送達のために製剤化される。注射のための製剤は、例えば、添加された防腐剤とともにアンプルまたは複数用量容器中の単位剤形で提示されてもよい。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁物、溶液またはエマルジョンのような形態をとることができ、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの調合剤(formulatory agent)を含有してもよい。あるいは、活性成分は、好適なビヒクル、例えば、発熱物質を含まない無菌の水による使用前の構成のための粉末形態であってもよい。
本開示のSAPタンパク質は、例えば、注射による皮下送達のために製剤化されてもよい。注射のための製剤は、例えば、添加された防腐剤を含んでまたは含まずにアンプルまたは複数用量容器中の単位剤形で提示されてもよい。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁物、溶液またはエマルジョンのような形態をとることができ、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの調合剤を含有してもよい。あるいは、活性成分は、好適なビヒクル、例えば、発熱物質を含まない無菌の水による使用前の構成のための粉末形態であってもよい。
加えて、本開示のSAPタンパク質は、デポー調製物として製剤化されてもよい。そのような長時間作用する製剤は、(例えば、皮下もしくは筋肉内への)埋め込みによりまたは筋肉内注射により投与されうる。よって、例えば、治療剤は、好適なポリマー性もしくは疎水性材料とともに(例えば、許容できる油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂とともに、あるいは可溶性の乏しい誘導体、例えば、可溶性の乏しい塩として製剤化されてもよい。制御放出製剤はパッチも含む。
ある特定の実施形態では、本開示のSAPタンパク質は、一般的に外用の薬物投与に適し、本技術分野で公知の任意のそのような材料を含む外用担体を含有する外用製剤中に組み込まれる。外用担体は、所望の形態で、例えば軟膏、ローション、クリーム、マイクロエマルジョン、ゲル、油、溶液などとして組成物を提供するように選択され、天然に存在するまたは合成起源いずれかの材料で構成されることができる。選択された担体が、活性薬剤または外用製剤の他の成分に悪影響を与えないことが好ましい。本明細書中での使用のための好適な外用担体の例としては、水、アルコールおよび他の無毒性有機溶媒、グリセリン、鉱油、シリコーン、ワセリン、ラノリン、脂肪酸、植物油、パラベン、ワックスなどが挙げられる。
(美容調製物を含む)医薬組成物は、0.001〜10重量%または0.1%〜5重量%などの約0.00001〜100重量%の本明細書に記載の1種または複数のSAPタンパク質を含んでもよい。ある特定の外用製剤では、活性薬剤は、製剤のおよそ0.25wt%〜75wt%の範囲、好ましくは製剤のおよそ0.25wt%〜30wt%の範囲、より好ましくは製剤のおよそ0.5wt%〜15wt%の範囲、最も好ましくは製剤のおよそ1.0wt%〜10wt%の範囲の量で存在する。
本明細書に記載の治療剤は、本分野の方法に従って酸素を含まない環境に保存されうる。
例示的な組成物は、SAPタンパク質を1種または複数の薬学的に許容される担体および任意選択で他の治療用成分とともに含む。担体(複数可)は、組成物の他の成分と適合性であり、対象において許容できない有害な効果を誘発しないという意味で「薬学的に許容され」なければならない。そのような担体は、本明細書に記載されているかまたはそうでなければ薬理学の技術分野の当業者に周知である。一部の実施形態では、医薬組成物は発熱物質を含まず、ヒト患者への投与に好適である。一部の実施形態では、医薬組成物は刺激物を含まず、ヒト患者への投与に好適である。一部の実施形態では、医薬組成物は、アレルゲンを含まず、ヒト患者への投与に好適である。組成物は、薬学の技術分野で周知の任意の方法によって調製されうる。
一部の実施形態では、SAPタンパク質は時限放出製剤(time release formulation)中で、例えば、遅延放出ポリマーを含む組成物中で投与される。SAPタンパク質は、急速な放出に対して保護する担体とともに調製されうる。例としては、ポリマーなどの制御放出ビヒクル、マイクロカプセル化送達系または生体付着性ゲルが挙げられる。あるいは、SAPタンパク質の持効性送達が、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムヒドロゲルおよびゼラチンを組成物中に含ませることによって達成されうる。
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、静脈内または皮下などの任意の上記投与経路を介する投与を含む。ある特定の実施形態では、投与は、特に投与される各用量の体積が小さい場合には皮下である。ある特定の実施形態では、投与は静脈内である。
以下の例は、上記の開示を使用する方法をより完全に説明するため、ならびに本開示の多様な態様を実行するために企図されるベストモードを示すために役目を果たす。これらの例が、決して本開示の真の範囲を限定する役目を果たすのではなく、むしろ例示目的のために示されることは理解される。
(実施例1 組換えヒトSAP(rhSAP)による骨髄線維症の処置)
PMF、PV後のMFまたはET後のMFを含む骨髄線維症を有すると診断された患者を、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1およびIDH2などの1種または複数の遺伝子における彼らのベースラインの突然変異状態に関して試験する。ベースラインの突然変異状態を測定するために、患者から末梢血試料を収集し、試料からDNAを抽出し、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1およびIDH2などの1種または複数の遺伝子の突然変異状態を測定する(すなわち、1種または複数の突然変異の存在または非存在を同定する)ためにリアルタイム定量的対立遺伝子特異的PCRによって分析する。患者は、CHO細胞において組換え発現させた、ヒトα2,3型シアル酸含有SAP(CHO細胞中で発現させたrhSAP;少なくとも1つのα2,3型結合を含み、グリコシル化がヒト血清由来のSAPと異なるSAP;本開示の例示的なSAPタンパク質)を受容する。EUコンセンサス基準に記載のWHO骨髄線維症グレードにおける1グレードの低下として定義される骨髄奏功率の評価によって有効性を評価する。SAP処置への奏功率を患者の突然変異状態と相関させる。この方法は、rhSAPによる処置に特に適した骨髄線維症患者(例えば、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1およびIDH2などの遺伝子における突然変異の1種または複数の特異的な組合せを有する患者)の亜集団を同定するために使用可能である。さらに、応答性のあらゆる相違または対立遺伝子荷重の変化を評価するために、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1およびIDH2などの1種または複数の遺伝子の突然変異状態における変化を、規則的な間隔で測定する。1種または複数の遺伝子における対立遺伝子荷重の減少を観察したら、投与レジメンを維持する。治療に応答している対象は、利益のある限り、治療を受けることを継続する。
(実施例2 組換えヒトSAP(rhSAP)による骨髄線維症の処置)
PMF、PV後のMFまたはET後のMFを含む骨髄線維症を有すると診断された患者を、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1およびIDH2などの1種または複数の遺伝子における彼らのベースラインの突然変異状態に関して試験する。ベースラインの突然変異状態を測定するために、患者から末梢血試料を収集し、試料からDNAを抽出し、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1およびIDH2などの1種または複数の遺伝子の突然変異状態を測定する(すなわち、1種または複数の突然変異の存在または非存在を同定する)ためにリアルタイム定量的対立遺伝子特異的PCRによって分析する。患者は、CHO細胞において組換え発現させた、ヒトα2,3型シアル酸含有SAP(CHO細胞中で発現させたrhSAP;少なくとも1つのα2,3型結合を含み、グリコシル化がヒト血清由来のSAPと異なるSAP)を受容する。EUコンセンサス基準に記載のWHO骨髄線維症グレードにおける1グレードの低下として定義される骨髄奏功率の評価によって有効性を評価する。応答性のあらゆる相違または対立遺伝子荷重の変化を評価するために、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1およびIDH2などの1種または複数の遺伝子の突然変異状態における変化を、規則的な間隔で測定する。試験した遺伝子のいずれにおいても対立遺伝子荷重の変化を観察しない場合、投与レジメンを改変して、rhSAPの投薬量を増加させおよび/またはrhSAP投与の頻度を増加させる。
(実施例3 組換えヒトSAP(rhSAP)による骨髄線維症における突然変異型対立遺伝子荷重の減少)
PMF、PV後のMFまたはET後のMFを含む骨髄線維症を有すると診断された患者を、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1およびIDH2などの1種または複数の遺伝子における彼らのベースラインの突然変異状態に関して試験する。ベースラインの突然変異状態を測定するために、患者から末梢血試料を収集し、試料からDNAを抽出し、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1およびIDH2などの1種または複数の遺伝子の突然変異状態を測定する(すなわち、1種または複数の突然変異の存在または非存在を同定する)ためにリアルタイム定量的対立遺伝子特異的PCRによって分析する。1種または複数の遺伝子における突然変異を有する患者は、CHO細胞において組換え発現させた、ヒトα2,3型シアル酸含有SAP(CHO細胞中で発現させたrhSAP;少なくとも1つのα2,3型結合を含み、グリコシル化がヒト血清由来のSAPと異なるSAP)を受容する。1種または複数の遺伝子における突然変異型対立遺伝子荷重を減少させるのに有効であるように投薬量を調整する。治療に応答している対象は、利益のある限り、治療を受けることを継続する。
(実施例4 組換えヒトSAP(rhSAP)による処置の有効性の指標としての突然変異型対立遺伝子荷重の減少)
PMF、PV後のMFまたはET後のMFを含む骨髄線維症を有すると診断された患者を、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1およびIDH2などの1種または複数の遺伝子における彼らのベースラインの突然変異状態に関して試験する。ベースラインの突然変異状態を測定するために、患者から末梢血試料を収集し、試料からDNAを抽出し、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1またはIDH2などの1種または複数の遺伝子の対立遺伝子荷重を測定するためにリアルタイム定量的対立遺伝子特異的PCRによって分析する。患者は、CHO細胞において組換え発現させた、ヒトα2,3型シアル酸含有SAP(CHO細胞中で発現させたrhSAP;少なくとも1つのα2,3型結合を含み、グリコシル化がヒト血清由来のSAPと異なるSAP)を受容する。SAPタンパク質の投与後に、同じ突然変異の第2の突然変異型対立遺伝子荷重を測定する。第1の突然変異型対立遺伝子荷重と比べた第2の突然変異型対立遺伝子荷重の減少は、SAPタンパク質の投与が骨髄増殖性障害の処置において有効であることを示す。突然変異型対立遺伝子荷重は、約1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間または5カ月間の処置の後などの、処置の開始後の1つまたは複数の時点において測定してもよい。突然変異型対立遺伝子のレベルを続いてモニタリングして、応答の持続性を評価する。
(実施例5 JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1およびIDH2のうちの1種または複数における突然変異を有する骨髄線維症患者の組換えヒトSAP(rhSAP)による処置)
PMF、PV後のMFまたはET後のMFを含む骨髄線維症を有すると診断された患者を、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1およびIDH2などの1種または複数の遺伝子における彼らの突然変異状態に関して試験する。ベースラインの突然変異状態を測定するために、患者から末梢血試料を収集し、試料からDNAを抽出し、JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1およびIDH2などの1種または複数の遺伝子の突然変異状態を測定する(すなわち、1種または複数の突然変異の存在または非存在を同定する)ためにリアルタイム定量的対立遺伝子特異的PCRによって分析する。上記遺伝子のうちの1種または複数において突然変異を保有する患者は、CHO細胞において組換え発現させた、ヒトα2,3型シアル酸含有SAP(CHO細胞中で発現させたrhSAP;少なくとも1つのα2,3型結合を含み、グリコシル化がヒト血清由来のSAPと異なるSAP)を受容する。EUコンセンサス基準に記載のWHO骨髄線維症グレードにおける1グレードの減少として定義される骨髄奏功率の評価によって有効性を評価する。治療に応答している対象は、利益のある限り、治療を受けることを継続する。任意選択で、ヘモグロビン、血小板数、症状、突然変異型対立遺伝子の状態などの追加の基準を測定する。これらの基準のうちの任意の1種または複数を、約1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間または5カ月間の処置の後などの、処置の開始後の1つまたは複数の時点において測定してもよい。応答の持続性を評価するために、続いてこれらの基準のうちの任意の1種または複数を測定してもよい。
(実施例6 PRM−151単独による骨髄線維症患者の処置:ステージ2)
この研究は、負荷期間に続いて4週間毎の投薬スケジュールを評価する。組換えヒトSAP、この場合では、PRM−151として公知の組換えヒトSAPを、骨髄線維症の1グレード以上の低下における3つの異なる用量のPRM−151の安全性および有効性を評価するために、PMF、PV後のPMFまたはET後のPMFを有する中間−2または高リスク患者に投与する。貧血または血小板減少症であり、かつ輸血以外のMFの治療を受けていない患者が、この研究のために適格である。50×109個/L未満の血小板数または100g/L未満のHgbのいずれかに基づいて、研究登録前の12週間に2単位以上のPRBCを受容しており、ルキソリチニブに耐容性がないかまたは不適切な応答をしたこと、患者はルキソリチニブの候補ではない。
適格性要件を満たす中間−2または高リスクのMFを有する84人の患者を、単剤PRM−151による処置を受ける3群のうちの1つに無作為化する。群1:少なくとも4週間以内にMFのためのMF向けの薬物処置を受容していない患者は、(i)静脈内注入による0.3mg/kgのPRM−151の初期負荷用量を、サイクル1(28日サイクル)の1、3および5日目に受容し、(ii)その後、静脈内注入による0.3mg/kgの用量のPRM−151を、後続の9サイクルの間、各28日サイクルの1日目に投与された。群2:少なくとも4週間以内にMFのためのMF向けの薬物処置を受容していない患者は、(i)静脈内注入による3mg/kgのPRM−151の初期負荷用量を、サイクル1(28日サイクル)の1、3および5日目に受容し、(ii)その後、静脈内注入による3mg/kgの用量のPRM−151を、後続の9サイクルの間、各28日サイクルの1日目に投与された。群3:少なくとも4週間以内にMFのためのMF向けの薬物処置を受容していない患者は、(i)静脈内注入による10mg/kgのPRM−151の初期負荷用量を、サイクル1(28日サイクル)の1、3および5日目に受容し、(ii)その後、静脈内注入による10mg/kgの用量のPRM−151を、後続の9サイクルの間、各28日サイクルの1日目に投与された。ある特定の実施形態では、無作為化を、対象のタイプ(100g/L未満のHgbを有し、研究登録前の12週間以内に2単位以上のPRBCを受容している対象または血小板数が50×109個/L未満の対象)に従って階層化し、最終的な研究集団が、第2の階層(血小板数が50×109個/L未満)からの対象を少なくとも50%含むことを確実にする。すべての対象が、非盲検拡大試験に切り替え、4週間毎に10mg/kgのPRM−151を受容し、もともと割り当てられた9サイクルの処置を完了し得る。研究完了およびデータ解析後、PRM−151に留まっているすべての対象が、研究結果に基づいて、将来の開発のために選択された用量に切り替える。登録した対象は、彼らが少なくとも12週間の間、研究薬物を継続している場合には、応答に関して評価可能と考えられる。
各コホートの患者を、(例えば、定量的画像解析による)骨髄線維症(BMF)および疾患関連の貧血、血小板減少症、末梢血芽球、全身症状および脾臓サイズにおける改善に関してモニタリングする。IWG−MRT応答(完全奏効、部分応答、臨床的改善)および安定病態および進行性疾患の比率に対するPRM−151の効果を評価する。さらに、他の疾患に関連する血液学的異常の変化、DIPSS(動的国際予後スコアリングシステム(Dynamic International Prognostic Scoring System))によって測定した死亡率増加と関連する予後因子の変化、骨髄形態の変化、PET画像法によって測定した骨髄代謝の変化に関して、患者をモニタリングする。加えて、遺伝的突然変異および細胞遺伝学的異常およびPRM−151に対する応答の間の相互作用を評価し、骨髄試料中のPRM−151活性のバイオマーカーを評価する。ベースラインのSAPレベルと患者の転帰の間の相関を評価する。骨髄線維症の減少と血液学的改善の間の関係を評価する。骨髄様化生を伴う骨髄線維症における処置応答に関するInternational Working Groupコンセンサス基準(Tefferi A、Cervantes F、Mesa Rら、Revised response criteria for myelofibrosis: International Working Group−Myeloproliferative Neoplasms Research and Treatment (IWG−MRT)およびEuropean LeukemiaNet (ELN) consensus report、Blood. 2013年;122巻:1395〜1398頁)に従って、全奏効率に関しても患者をモニタリングする。有害事象の発生率、European Consensus of Grading Bone Marrow Fibrosis(Thiele J、Kvasnicka HM、Facchetti F.ら、European consensus on grading bone marrow fibrosis and assessment of cellularity.、Haematologica 2005年;90巻:1128〜1132頁)に記載のWHO基準による骨髄線維症の変化、修正された骨髄増殖性腫瘍症状評価フォーム(MPN−SAF)スコア(Emanuelら、2012年、Journal of Clinical Oncology 30巻(33号):4098〜4103頁)の変化およびEORTC QLQ−C30スコア(EORTC QLQ−C30(バージョン3)、1995年、EORTC Quality of Life Group)によって測定した生活の質の変化に関しても患者をモニタリングする。無増悪生存期間および全生存期間を測定する。
任意選択で、各コホートの患者を、本明細書に記載の効果のうちの1種または複数に関してモニタリングし、例えば、WHO基準による少なくとも1グレードの骨髄線維症スコアの低下に対する処置の効果を、対象、処置および生検の時点に関して盲検にされた、熟練した血液病理学者の中央判定パネル(central adjudication panel)によって決定される通りに評価する。任意選択で、RBC輸血非依存性、血小板輸血依存性またはヘモグロビンレベルにおける10〜20g/Lの増加などの血液学的改善に対する処置の効果をさらにモニタリングする。
任意選択で、突然変異状態および対立遺伝子荷重を処置の開始前に評価する。任意選択で対立遺伝子荷重を処置の開始後に評価し、処置の経過の間に複数回評価してもよい(例えば、1、2、3、4、5または6サイクル後に)。研究を通しての時点で、ベースラインの突然変異状態を選択した一次および二次エンドポイントと関連付ける目的で血液試料を収集し、末梢全血からDNAを単離する。JAK2、MPL、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1および/またはIDH2の突然変異状態に関して試料を分析する。例えば、36週目にJAK2V617Fの対立遺伝子荷重の変化(サイクル1の1日目〜サイクル9の29日目)を評価するためにも試料を分析する。例えば、36週目にMPLW515、CALR、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1および/またはIDH2の対立遺伝子荷重の変化を評価するためにも試料を分析する。
疾患およびメカニズムに関連するタンパク質および細胞マーカーに関して、追加の骨髄生検試料の免疫組織化学分析を任意選択で実行する。
参照による組み込み
本明細書中で示されるすべての刊行物および特許は、各刊行物または特許が参照により組み込まれると具体的かつ個別に示されたかのように、参照によりそれらの全体として本明細書に組み込まれる。
主題の特定の実施態様が議論されたが、上記明細書は、例示的であり限定的なものではない。この明細書および以下に列挙される特許請求の範囲の再検討に際して、当業者には多くの変形が明らかとなる。本開示の完全な範囲は、それらの等価物の完全な範囲とともに特許請求の範囲を、およびそのような変形とともに明細書を参照することによって決定されるべきである。
配列表
配列番号1 ヒト血清アミロイドタンパク質P
配列番号2 Gallus gallus血清アミロイドタンパク質P
配列番号3 Bos taurus血清アミロイドタンパク質P
配列番号4 Cricetulus migratorius血清アミロイドタンパク質P
(配列番号5) NM_004972 Homo sapiensヤヌスキナーゼ2(JAK2)、mRNA
(配列番号6) NP_004963 チロシンプロテインキナーゼJAK2[Homo sapiens]
(配列番号7) NM_005373 Homo sapiens MPL癌原遺伝子、トロンボポエチン受容体(MPL)、mRNA
(配列番号8) NP_005364 トロンボポエチン受容体前駆体[Homo sapiens]
(配列番号9) NM_004343 Homo sapiensカルレティキュリン(CALR)、mRNA
(配列番号10) NP_00433 カルレティキュリン前駆体[Homo sapiens]
(配列番号11) NM_001164603 Homo sapiens追加的性櫛様転写調節因子1(ASXL1)、転写変異体2、mRNA
(配列番号12) NP_001158075 推定上のポリコーム群タンパク質ASXL1アイソフォーム2[Homo sapiens]
(配列番号13) NM_001203247 Homo sapienszesteエンハンサーホモログ2(enhancer of zeste homolog 2)(Drosophila)(EZH2)、転写変異体3、mRNA
(配列番号14) NP_001190176 ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼEZH2アイソフォームc[Homo sapiens]
(配列番号15) NM_001195427 Homo sapiensセリン/アルギニンリッチスプライシング因子2(SRSF2)、転写変異体2、mRNA
(配列番号16) NP_001182356 セリン/アルギニンリッチスプライシング因子2[Homo sapiens]
(配列番号17) NM_005896 Homo sapiensイソシトレートデヒドロゲナーゼ1(NADP+)、可溶性(IDH1)、転写変異体1、mRNA
(配列番号18) NP_005887 イソシトレートデヒドロゲナーゼ[NADP]細胞質[Homo sapiens]
(配列番号19) NM_001289910 Homo sapiensイソシトレートデヒドロゲナーゼ2(NADP+)、ミトコンドリア(IDH2)、転写変異体2、mRNA
(配列番号20) NP_001276839 イソシトレートデヒドロゲナーゼ[NADP]、ミトコンドリアアイソフォーム2[Homo sapiens]