JP7137737B2 - 金属ナノ粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
1.プラズマ処理装置
図1は、第1の実施形態のプラズマ処理装置100の概略構成図である。プラズマ処理装置100は、マイクロ波を導波する導波管を用いてプラズマを発生させる。プラズマ処理装置100は、内導体110と、第1の外導体120と、第2の外導体130と、外部管140と、マイクロ波発生部150と、誘電体160と、ショートプランジャー170と、を有する。
図2は、第1の外導体120および第2の外導体130の対面箇所の周辺を示す断面図である。第1の外導体120と第2の外導体130とは別体である。そして、第1の外導体120と第2の外導体130とは非接触状態で対面している。第1の外導体120の中心軸および第2の外導体130の中心軸は、内導体110の中心軸と共通である。また、第1の外導体120の内径および第2の外導体130の内径は同じである。そして、第1の外導体120の内面120aを延長すると、第2の外導体130の内面130aと一致するように、第1の外導体120および第2の外導体130は配置されている。ただし、場合によっては、第1の外導体120の内径と第2の外導体130の内径とは多少異なっていてもよい。
図2に示すように、第1の外導体120の第1の端部E1と第2の外導体130の第2の端部E2とは、非接触状態で対面している。
図2に示すように、プラズマ処理装置100は、プラズマを発生させるプラズマ発生領域PG1を有する。プラズマ発生領域PG1は、スリットS1に沿う領域である。つまり、プラズマ発生領域PG1は、第1の外導体120の第1の凸部121と第2の外導体130の第2の凸部131との対面箇所に沿う領域である。
第1の外導体120は、第1の傾斜面122を有する。第1の傾斜面122は、第1の外導体120の外周から外部管140に向かって突出している。第1の傾斜面122は、第1の凸部121に近くなるほど外部管140に突出している。そのため、流路LP1は、第1の端部E1に近づくほど狭くなっている。第1の傾斜面122は、第1の外導体120の外周を周回するように形成されている。
図2の矢印L1の向きに液体を流路LP1に流す。この段階では、プラズマ発生領域PG1にはプラズマが発生していないが、プラズマ発生領域PG1の周辺の気圧が低下する。
本実施形態のプラズマ処理装置100は、均一な円環状のプラズマを発生させることができる。そのため、流路LP1に流す液体に対して均一にプラズマ処理を実施することができる。また、本実施形態では、減圧ポンプ等を用いずに、減圧下でプラズマを発生させることができる。また、液体をバッチ処理ではなく、インラインで連続的にプラズマ処理することができる。このプラズマ処理装置100を用いることにより、液体が流れているわずかな時間の間に金属ナノ粒子が生成される。つまり、プラズマの処理時間は、従来に比べて非常に短い。
5-1.溶液準備工程
まず、金属または金属化合物を含有する溶液を準備する。この溶液として、例えば、硝酸銀水溶液または塩化金酸水溶液が挙げられる。もちろん、その他の水溶液であってもよい。
次に、準備した溶液をプラズマ処理装置100の流路LP1に流しながら、プラズマ処理装置100のプラズマ発生領域PG1にプラズマを発生させる。つまり、流路LP1に対面する位置にマイクロ波を用いてプラズマを発生させる。このように、流路LP1に溶液を流しながらプラズマを溶液に照射する。この溶液にプラズマが照射されると、溶液の内部に金属ナノ粒子が生成される。なお、プラズマを液体に照射する向きは、流路における液体が流れる向きと交差している。
ここで、処理溶液に分散剤を添加する。分散剤の添加量は、処理溶液に対して3体積%以上15体積%以下である。分散剤として、例えば、オレイン酸、オレイルアミン、ヘキサン酸、ヘキシルアミン、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)が挙げられる。
次に、分散剤を添加した処理溶液に有機溶媒を添加する。有機溶媒の添加量は、処理溶液の体積に対して、50体積%以上200体積%以下である。有機溶媒として、例えば、MIBK、MEK、ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、2-プロパノールが挙げられる。
このように、プラズマを照射された液体の内部では、金属ナノ粒子が生成する。
6-1.後処理
分散剤添加工程と有機溶媒添加工程との少なくとも一方については、省略してよい場合がある。生成した金属ナノ粒子の凝集を抑制することが出来れば、その他の技術を用いてもよい。
本実施形態のプラズマ処理装置100は、誘電体160を有する。しかし、プラズマ処理装置は、必ずしも誘電体160を有さなくてもよい。
図3に示すように、誘電体160の代わりに、第1の外導体120と第2の外導体130とを絶縁する絶縁体260を設けてもよい。その絶縁体260は、第1の外導体120と第2の外導体130とを絶縁するとともに、第1の外導体120および第2の外導体130の内部からプラズマ発生領域PG1にガスが漏れることを抑制することができる。そして、その絶縁体260は、マイクロ波の伝播領域に重ならない位置に配置するとよい。
外部管140は、必ずしも円筒形状である必要はない。また、外部管140の内径は、上記のように一定でなくともよい。液体の流路LP1は、プラズマ発生領域PG1の箇所だけ通過すればよい。ただし、第1の外導体120および第2の外導体130の少なくとも一方の中心軸の方向と、外部管140の中心軸の方向と、が平行であるとよい。
本実施形態では、外部管140の材質は、例えばガラスである。しかし、ガラスの代わりに、ガラス以外の金属および絶縁体を用いてもよい。ただし、プラズマ発生領域PG1の周辺では、第1の外導体120および第2の外導体130と、外部管140との間の距離が比較的小さい。そのため、外部管140は、絶縁体であることが好ましい。また、外部管140が透明材料であるとよい。外部からプラズマを観察しやすいからである。
内導体110と第1の外導体120と第2の外導体130とは、ほぼ円筒形状である。しかし、内導体110と第1の外導体120と第2の外導体130とはテーパ形状であってもよい。また、内導体110と第1の外導体120と第2の外導体130とは、多角形の断面を有する筒形状であってもよい。この場合、外部管の形状を導波管の形状と合わせることが好ましい。
本実施形態では、液体は流路LP1を自然に流れる。しかし、プラズマ処理装置は、液体を送出するポンプを有していてもよい。これにより、液体の流速を上げることができる。つまり、一度に処理する液体の量が増える。また、プラズマ発生領域PG1の周辺をさらに低圧にすることができる。
本実施形態では、液体を流路LP1に流した後にマイクロ波を空間MP1に伝播させる。しかし、液体を流路LP1に流す前にマイクロ波を空間MP1に流してもよい。プラズマ処理装置100は、大気圧下でも、プラズマ発生領域PG1にプラズマを発生させることができるからである。また、何らかのダミー液体を流路LP1に流した後にマイクロ波を伝播させ、プラズマを発生させた後に、処理したい液体を流路LP1に流してもよい。このときダミー液体は、プラズマ処理されずに、プラズマ発生領域PG1に減圧状態を発生させるためだけに用いられる。
本実施形態では、誘電体160とショートプランジャー170との間の空間K1に定在波を発生させる。その際に、第1の凸部121および第2の凸部131の間に強い電界が加わるように、誘電体160の材質と、誘電体160およびショートプランジャー170の間の距離と、を選定するとよい。
図5は、第1の実施形態の変形例におけるプラズマ処理装置400の概略構成図である。プラズマ処理装置400は、マイクロ波を導波する導波管の内側に液体を流すことにより液体をプラズマ処理する。プラズマ処理装置400は、第1の内導体410と、第2の内導体420と、外導体430と、注入管441と、排出管442と、マイクロ波発生部150と、誘電体460と、ショートプランジャー470と、を有する。
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
1.プラズマ発生領域の圧力
プラズマ処理装置100におけるプラズマ発生領域の圧力を測定した。測定箇所は、プラズマ発生領域(第1の凸部121と第2の凸部131との対面箇所)である。しかし、測定時には、プラズマ発生領域にプラズマを発生させてはいない。
図8は、プラズマ処理装置100のプラズマ生成物を示すグラフである。プラズマ生成物の種類を同定するために、プラズマからの発光を測定した。図8の横軸は検出した光の波長である。図8の縦軸はその発光波長における強度である。図8に示すように、このプラズマ中では、酸素ラジカル、水素ラジカル、ヒドロキシラジカルが発生している。このように、水由来の化学活性種が観測された。そして、大気由来の化学活性種、例えば、硝酸イオン等はほとんど観測されなかった。なお、このプラズマ処理装置100のプラズマ密度は1×1014cm-3程度である。
3-1.実験手順
溶液としてAgNO3 溶液を準備した。AgNO3 の濃度は0.1mol/Lであった。AgNO3 溶液をプラズマ処理装置100の流路LP1に流しながら、AgNO3 溶液にプラズマを照射した。そのときの溶液の流量は55L/minであった。図6より、そのときのプラズマ圧力は0.2気圧程度であった。マイクロ波の周波数は2.45GHzであった。マイクロ波の電力は1kWであった。プラズマ照射後のAgNO3 溶液に5体積%の分散剤を混合した。場合によって、その混合溶液に、AgNO3 溶液と同体積の有機溶媒を混合した。
表1に実験結果を示す。表1に示すように、金属ナノ粒子が有機溶媒によく分散する有機溶媒と分散剤の組み合わせは、ブタノールとオレイン酸、MEKとオレイルアミン、MIBKとヘキサン酸、MEKとヘキサン酸、ブタノールとヘキサン酸、MIBKとヘキシルアミン、MEKとヘキシルアミン、ブタノールとヘキシルアミンの組み合わせだった。
4-1.実験手順
図10に示すプラズマ処理装置(特開2015-50010)を用いた。図10のプラズマ処理装置は、溶液の流れに対してほぼ垂直な方向からマイクロ波を照射する。AgNO3 の濃度は2mmol/Lであった。そのときの溶液の流量は9L/minであった。マイクロ波の周波数は2.45GHzであった。マイクロ波の電力は1.8kWであった。このときの分散剤として、5体積%のオレイン酸を用いた。そして、有機溶媒として、硝酸銀溶液と同体積の1-メトキシ-2-プロパノールを用いた。その後、マイクログリッドによりサンプルを採取し、自然乾燥させた。
図11(a)は、銀ナノ粒子の電子顕微鏡写真(その2)である。図11(b)は、銀ナノ粒子のエネルギー分散型X線分析(EDX)の画像である。図11(a)および図11(b)に示すように、溶液の内部に粒径100nm程度の銀ナノ粒子が発生している。
第1の態様における金属ナノ粒子の製造方法においては、金属または金属化合物を含有する溶液をプラズマ処理装置の流路に流し、流路に対面する位置にマイクロ波を用いてプラズマを発生させる。流路に溶液を流しながらプラズマを溶液に照射して溶液の内部に金属ナノ粒子を生成する。プラズマのガスは、溶液の溶媒が揮発した気体または大気である。プラズマの圧力は、0.01気圧以上0.9気圧以下である。
110…内導体
120…第1の外導体
121…第1の凸部
122…第1の傾斜面
130…第2の外導体
131…第2の凸部
132…第2の傾斜面
140…外部管
150…マイクロ波発生部
160…誘電体
170…ショートプランジャー
E1…第1の端部
E2…第2の端部
S1…スリット
LP1…流路
PG1…プラズマ発生領域
Claims (5)
- 金属ナノ粒子の製造方法において、
金属または金属化合物を含有する溶液をプラズマ処理装置の流路に流し、
スリットを有する導波管にマイクロ波を伝搬させて前記スリットの箇所であって前記流路に対面する位置にプラズマを発生させ、
前記流路に前記溶液を流しながら前記プラズマを前記溶液に照射して前記溶液の内部に金属ナノ粒子を生成し、
前記プラズマのガスは、
前記溶液の溶媒が揮発した気体または大気であり、
前記プラズマの圧力は、
0.01気圧以上0.9気圧以下であること
を特徴とする金属ナノ粒子の製造方法。 - 請求項1に記載の金属ナノ粒子の製造方法において、
前記プラズマを前記液体に照射する向きは、
前記流路における前記液体が流れる向きと交差していること
を特徴とする金属ナノ粒子の製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載の金属ナノ粒子の製造方法において、
前記プラズマ処理装置は、
第1の端部を有する第1の導体と、
第2の端部を有する第2の導体と、
を有し、
前記第1の導体の前記第1の端部と前記第2の導体の前記第2の端部とは、
非接触状態で対面しており、
前記プラズマを発生させるプラズマ発生領域は、
前記スリットにおける、 前記第1の導体の前記第1の端部と前記第2の導体の前記第2の端部との対面箇所に沿う領域であること
を特徴とする金属ナノ粒子の製造方法。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法において、
前記溶液は、硝酸銀水溶液であり、
前記金属ナノ粒子は、銀ナノ粒子であること
を特徴とする金属ナノ粒子の製造方法。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法において、
前記溶液は、塩化金酸水溶液であり、
前記金属ナノ粒子は、金ナノ粒子であること
を特徴とする金属ナノ粒子の製造方法。
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