JP7137498B2 - 制御弁 - Google Patents

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Description

本発明は、制御弁に関する。
従来の制御弁としては、例えば以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
概略を説明すれば、この制御弁は、弁体の内周側における弁体の軸方向開口部の近傍に、弁体の内周部と外周部を繋ぐように弁体の径方向に沿って延びるリブが設けられている。
特表2008-504504号公報
しかしながら、前記従来の制御弁によれば、前記リブが、弁体の内周側を通流する冷却水の流れに対して直交するように設けられていて、冷却水の流れを妨げ得る構成となっていた。これにより、冷却水の流れに圧力損失が発生し、冷却水の吐出効率が低下してしまう問題があった。
本発明は、かかる技術的課題に鑑みて案出されたものであり、冷却水の流れの圧力損失を低減することができる制御弁を提供することを目的としている。
本発明は、自動車の機関の冷却回路に設けられる制御弁であって、その一態様として、弁体の内周側に、弁体の径方向内側に突出するリブを有し、かつ前記リブの外面の一部が、弁体の径方向開口部の端部に繋がっている。
本発明によれば、冷却水の流れの圧力損失を低減することができる。
本発明に係る制御弁が適用される自動車用冷却水の循環回路の構成を表したブロック図である。 本発明に係る制御弁の分解斜視図である。 本発明に係る制御弁を第2ハウジング側から見た斜視図である。 図3に示す制御弁の平面図である。 図4のA-A線断面図である。 本発明の第1実施形態に係る弁体を示し、(a)は弁体の側面図、(b)は同図(a)のB-B線断面図、(c)は同図(a)のC-C線断面図、(d)は同図(a)のD方向から見た矢視図、(e)は同図(d)のE-E線断面図、(f)は同図(d)のF-F線断面図である。 図3に示すG-G線に沿って切断した断面図であって、(a)は従来の制御弁に係る冷却水の流れの様子を表した図、(b)は本発明の第1実施形態に係る冷却水の流れの様子を表した図である。 本発明の第1実施形態の変形例を示し、(a)は弁体の縦断面図、(b)は同図(a)のH-H線断面図である。 本発明の第2実施形態に係る弁体を示し、(a)は弁体の側面図、(b)は同図(a)のB-B線断面図、(c)は同図(a)のC-C線断面図、(d)は同図(a)のD方向から見た矢視図、(e)は同図(d)のE-E線断面図、(f)は同図(d)のF-F線断面図である。 本発明の第2実施形態の変形例を示し、(a)は弁体の縦断面図、(b)は同図(a)のI-I線断面図である。 本発明の第3実施形態を示し、(a)は弁体の縦断面図、(b)は同図(a)のJ-J線断面図である。
以下、本発明に係る制御弁の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、下記の各実施形態では、本発明に係る制御弁を、従来と同様の自動車用冷却水(以下、単に「冷却水」と略称する。)の循環系に適用したものを例に説明する。
(冷却水の循環回路の構成)
図1は、本発明に係る制御弁が適用される、自動車の機関の冷却回路である冷却水の循環回路の構成を表したブロック図を示している。
制御弁CVは、エンジンEG(具体的には図示外のシリンダヘッド)の側部に配置される。そして、この制御弁CVは、図1に示すように、ヒータHTと、オイルクーラOCと、ラジエータRDとの間に配置されている。ヒータHTは、図示外のエアコンの温風を作り出すために熱交換を行う暖房熱交換器である。オイルクーラOCは、エンジンEG内部の摺動部分を潤滑するためのオイルを冷却する。ラジエータRDは、エンジンEGの冷却に供する冷却水を冷却する。
ここで、図中の符号WPは、冷却水の循環に供するウォータポンプである。また、符号WTは、制御弁CVの駆動制御に供する水温センサであって、当該水温センサWTの検出結果に応じて制御弁CVが駆動制御される。また、符号TCは、エンジンEG内で燃焼される燃料と混合される空気の流量を制御するスロットルチャンバーであり、符号ECは、エンジンEGの燃焼後の排気ガスを冷却するEGRクーラである。
具体的には、ウォータポンプWPから吐出された冷却水が、導入通路L0を通じて制御弁CVへと導かれる。そして、水温センサWTによる検出結果などエンジンEGの運転状態に基づいて、制御弁CV内の弁体3が駆動制御される。これにより、導入通路L0を介して制御弁CVへと導かれた冷却水が、第1~第3配管L1~L3を介して、ヒータHT、オイルクーラOC及びラジエータRDへとそれぞれ分配される。
また、制御弁CVには、導入通路L0をバイパスすることによって冷却水をエンジンEGからスロットルチャンバーTCへと直接導くためのバイパス通路BLが設けられている。これにより、バイパス通路BLを介して制御弁CVへと導かれた冷却水が、スロットルチャンバーTCへと常時供給される。なお、スロットルチャンバーTCに供給された冷却水は、ヒータHTと同様、EGRクーラECへと導かれて、EGRクーラEC及びウォータポンプWPを介してエンジンEG側へと還流される。
このように、制御弁CVは、いわゆる1in-3Out形式の分配デバイスとして適用され、導入通路L0より流入した冷却水を第1~第3配管L1~L3へと分配すると共に、当該分配時の冷却水の流量を制御する。
なお、本実施形態では、自動車の機関の一態様として、内燃機関であるエンジンEGを例示しているが、当該機関には、エンジンEGのみならず、例えばモータや燃料電池など、エネルギを動力に変換するあらゆる装置が含まれる。
〔第1実施形態〕
(制御弁の構成)
図2は、本発明に係る制御弁CVの分解斜視図を示している。また、図3は、本発明に係る制御弁CVを第2ハウジング12側から見た斜視図を示している。さらに、図4は、図3に示す制御弁CVの平面図を示している。なお、本図の説明では、回転軸2の回転軸線Zに平行な方向を「軸方向」、回転軸2の回転軸線Zに直交する方向を「径方向」、回転軸2の回転軸線Z周りの方向を「周方向」として説明する。また、前記「軸方向」については、図2中の上方を「一端側」、下方を「他端側」として説明する。
図2~図4に示すように、制御弁CVは、ハウジング1の内部において回転軸2を介して回転可能に支持された筒状の弁体3と、ハウジング1に収容され、弁体3を回転駆動する電動モータ4と、ハウジング1に収容され、電動モータ4の回転を減速して伝達する減速機構5と、を有する。
ハウジング1は、軸方向に2分割に形成されていて、弁体3及び電動モータ4を収容する第1ハウジング11と、第1ハウジング11の一端側の開口部を閉塞するように設けられ、減速機構5を収容する第2ハウジング12と、から構成される。第1ハウジング11と第2ハウジング12は、共に合成樹脂材料によって成形されていて、複数のボルト13により固定されている。
第1ハウジング11は、弁体3を収容する中空円筒状の弁体収容部111と、弁体収容部111に並列して付設され、電動モータ4のモータ本体41を収容する中空円筒状のモータ収容部112と、を有する。そして、この第1ハウジング11は、軸方向の他端部に設けられた取付部(具体的には、後述するフランジ部114a,114b,114c)を介して図示外のシリンダブロックに、図示外の固定部材、例えば複数のボルトにより固定される。
弁体収容部111は、軸方向の一端側が端壁113により閉塞され、他端側が開口形成される。弁体収容部111の軸方向の他端部には、第1ハウジング11を図示外のシリンダブロックに取り付ける複数(本実施形態では3つ)のフランジ部114a,114b,114cが、概ね放射状に、径方向の外側へ延びるように設けられている。各フランジ部114a,114b,114cは、周方向において、ほぼ等間隔に配置されている。また、各フランジ部114a,114b,114cの先端部には、断面が円形の貫通孔114dが、軸方向に沿って貫通形成されていて、各貫通孔114dには、円筒状に形成された金属製のスリーブ14が圧入されている。なお、このスリーブ14は、各フランジ部114a,114b,114cと同等の高さ(軸方向寸法)を有していて、このスリーブ14によって図示外のボルトの軸力を受ける構成となっている。
また、弁体収容部111の端壁113には、有蓋円筒状のボス部115が、第2ハウジング12側へ突出形成されている。ボス部115の端壁には、回転軸2が挿入され貫通する貫通孔116が貫通形成されている。また、この弁体収容部111の端壁113には、後述する減速機構5の支持軸51,52の軸受けに供する平板状の1対の軸受部117,117が、直立形成されている。1対の軸受部117,117には、それぞれ支持軸51,52を回転可能に支持する軸受孔117a,117aが貫通形成されている。
また、第1ハウジング11には、弁体収容部111の側壁(周壁)に、弁体収容部111とヒータHT、オイルクーラOC、ラジエータRD(図1参照)とを接続する第1~第3配管L1~L3が取り付けられている。なお、図2~図4中の符号L4については、弁体収容部111とスロットルチャンバーTC(図1参照)とを接続するバイパス通路BLを構成する第4配管を示している。第1~第4配管L1~L4は、いずれも複数のスクリュSWによって第1ハウジング11に固定されている。
第2ハウジング12は、弁体収容部111とモータ収容部112とに跨って当該弁体収容部111及びモータ収容部112を被覆可能に開口する有底筒状に形成されている。そして、この第2ハウジング12が、弁体収容部111及びモータ収容部112を覆うように第1ハウジング11に取り付けられることで、第2ハウジング12の内部空間によって、減速機構5を収容する減速機構収容部121が形成される。
電動モータ4は、出力軸42が第2ハウジング12側へ臨むかたちでモータ本体41がモータ収容部112内に収容される。そして、この電動モータ4は、モータ本体41の出力軸42側の端部に径方向の外側へと延びるように設けられたフランジ部43を介して、モータ収容部112の開口縁部に複数のボルト44により固定される。なお、電動モータ4は、図示しない車載の電子コントローラによって駆動制御され、車両の運転状態に応じて弁体3を回転駆動することによって、ラジエータRD等(図1参照)に対する冷却水の適切な分配が実現される。
減速機構5は、2組の食い違い歯車である第1歯車G1及び第2歯車G2により構成された駆動機構である。第1歯車G1は、電動モータ4の出力軸42と同軸上に設けられ、出力軸42と一体となって回転する第1ねじ歯車WG1と、電動モータ4の出力軸42と直交するように配置される第1支持軸51によって回転支持され、第1ねじ歯車WG1と噛み合う第1斜歯歯車HG1と、で構成される。第2歯車G2は、第2支持軸52によって回転支持され、第1斜歯歯車HG1と一体となって回転する第2ねじ歯車WG2と、回転軸2に固定され、第2ねじ歯車WG2と噛み合う第2斜歯歯車HG2と、で構成される。ここで、第1斜歯歯車HG1と第2ねじ歯車WG2とは、筒状に形成された両歯車HG1,WG2が直列に並んで一体に構成された複合歯車部材であって、この複合歯車部材の両端部に挿入される第1、第2支持軸51,52を介して、第1ハウジング11の1対の軸受部117,117に回転支持される。このような構成から、電動モータ4の出力軸42から出力された回転駆動力が、第1歯車G1及び第2歯車G2を介して2段階に減速されて弁体3へと伝達される。
図5は、図4のA-A線に沿って切断した制御弁CVの断面図を示している。なお、本図の説明では、回転軸2の回転軸線Zに平行な方向を「軸方向」、回転軸2の回転軸線Zに直交する方向を「径方向」、回転軸2の回転軸線Z周りの方向を「周方向」として説明する。また、前記「軸方向」については、図5中の上方を「一端側」、下方を「他端側」として説明する。
図5に示すように、第1ハウジング11には、軸方向の一端側が端壁113により閉塞され、かつ他端側が外部に開口する有底円筒状の弁体収容部111が形成されている。また、弁体収容部111の端壁113に設けられたボス部115には、回転軸2が挿入され貫通する貫通孔116が、弁体収容部111と後述する減速機構収容部121とを連通するように、軸方向に沿って形成されている。換言すれば、貫通孔116は、軸方向において、後述する導入口E0が開口する方向と反対側の方向に設けられ、弁体収容部111に開口形成されている。
また、第1ハウジング11の一端側に取り付けられる第2ハウジング12は、軸方向の一端側が底壁122により閉塞され、かつ端壁113と対向する他端側が開口する有底筒状に形成されている。すなわち、第1ハウジング11の軸方向の一端側を閉塞するように第2ハウジング12が被せられることで、第2ハウジング12の内部空間に減速機構収容部121が形成され、この減速機構収容部121に内に、減速機構5が収容されている。
また、第1ハウジング11には、弁体収容部111の軸方向の他端部に、図示外のシリンダブロックの内部と連通して当該シリンダブロック側から冷却水を導入するための主連通口である導入口E0が開口形成されている。すなわち、制御弁CVが図示外のエンジン(シリンダブロック)に取り付けられた状態で、この導入口E0が前記シリンダブロック側の開口部と連通し、当該導入口E0を介してシリンダブロック側から弁体収容部111に冷却水が導入されるようになっている。
また、弁体収容部111の周壁には、外部と弁体収容部111を連通する横断面ほぼ円形状となる複数の副連通口が、第1~第3排出口E1~E3として形成されている。換言すれば、弁体収容部111の周壁には、副連通口である第1~第3排出口E1~E3が、それぞれ径方向に沿って弁体収容部111に開口形成されている。この第1~第3排出口E1~E3には、対応する第1~第3配管L1~L3が接続されている(以下、第2排出口E2については、図2参照)。第1排出口E1は、第1配管L1を介して、例えばヒータHTに接続される。第2排出口E2は、第2配管L2を介して、例えばオイルクーラOCに接続される。第3排出口E3は、第3配管L3を介して、例えばラジエータRDに接続される。
ここで、第1~第3排出口E1~E3は、それぞれ第1ハウジング11の周壁上において異なる軸方向位置であって、かつ後述する第1~第3シール部材S1~S3が弁体3上においてそれぞれ隣接する軸方向位置に配置される第1~第3開口部M1~M3とオーバーラップ可能な軸方向間隔で配置されている。また、第1~第3排出口E1~E3は、それぞれ第1ハウジング11の周壁上において異なる周方向位置、具体的には、約90°ずつ位相をずらした位置に配置されている(図4参照)。
また、第1~第3排出口E1~E3の内周側には、当該各排出口E1~E3と弁体3との間を気密にシールするシール機構が設けられている。このシール機構は、合成樹脂材料からなる円筒状の第1~第3シール部材S1~S3と、これら第1~第3シール部材S1~S3を弁体3側へ付勢する金属製の第1~第3コイルスプリングSP1~SP3と、から構成される。また、第1~第3シール部材S1~S3の外周側には、第1~第3排出口E1~E3と摺接可能な第1~第3シールリングSR1~SR3が取り付けられている。
第1~第3シール部材S1~S3は、所定のフッ素樹脂(本実施形態では、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン))により形成され、第1~第3排出口E1~E3の内周側に収容されて、それぞれ弁体3側へ向けて進退移動可能に設けられている。第1~第3コイルスプリングSP1~SP3は、第1~第3シール部材S1~S3と第1~第3配管L1~L3との間に所定のセット荷重をもって配置され、それぞれシール部材S1~S3を弁体3側へ付勢する付勢部材である。
回転軸2は、一定の外径を有する棒状を呈し、貫通孔116を貫通して弁体収容部111と減速機構収容部121とに跨って配置され、ボス部115の内周側に収容保持された軸受B1によって回転可能に支持される。また、回転軸2と貫通孔116の間は、弁体収容部111側から圧入される円筒状のシール部材21によって液密にシールされている。すなわち、このシール部材21により、貫通孔116を通じた、弁体収容部111内の冷却水の第2ハウジング12側への流出が抑止されている。さらに、シール部材21と軸受B1との間には、ダストシール22が配置されている。すなわち、このダストシール22により、減速機構収容部121内の粉塵の弁体収容部111側への侵入が抑制されている。これにより、貫通孔116とシール部材21との間における粉塵の噛み込みが抑制され、シール部材21が保護されている。
弁体3は、所定の硬質樹脂材料によって形成され、一定の外径を有する有底円筒状を呈し、他端側の開口部である導入部M0が導入口E0側へ臨むように設けられることで、内周側に形成される内部通路118に冷却水を導入可能となっている。そして、この弁体3は、軸方向の一端部が、当該一端部の内周側に埋設された金属製のインサート部材30を介して回転軸2に圧入固定される一方、導入口E0側へと臨む他端部が、導入口E0の内周側に保持される軸受B2によって回転可能に支持されている。
また、弁体3の周壁には、第1ハウジング11の第1~第3排出口E1~E3に対応する軸方向位置に、所定の回転位置(位相)において第1~第3排出口E1~E3と連通可能な第1~第3開口部M1~M3が、それぞれ径方向に沿って貫通形成されている。なお、第1~第3開口部M1~M3については、例えば真円や周方向に延びる長円など、弁体3の制御内容に応じた形状や数量に設定されている。
以上のように構成された制御弁CVは、第1開口部M1と第1排出口E1の少なくとも一部が重なる周方向位置に弁体3が制御されることによって、第1配管L1に冷却水を分配する。同様に、制御弁CVは、第2開口部M2と第2排出口E2の少なくとも一部が重なる周方向位置に弁体3が制御されることにより第2配管L2に冷却水を分配し、第3開口部M3と第3排出口E3の少なくとも一部が重なる周方向位置に弁体3が制御されることにより第3配管L3に冷却水を分配する。また、この冷却水の分配に際し、第1~第3開口部M1~M3と第1~第3排出口E1~E3との重なり具合(重なり合う面積)が変化することで、当該分配時の冷却水の流量が変化する。
図6は、図5に示す弁体3を示し、(a)は弁体3の側面図、(b)は同図(a)のB-B線に沿って切断した弁体3の横断面図、(c)は同図(a)のC-C線に沿って切断した弁体3の横断面図、(d)は同図(a)のD方向から見た矢視図、(e)は同図(d)のE-E線に沿って切断した弁体3の縦断面図、(f)は同図(d)のF-F線に沿って切断した弁体3の縦断面図を示している。なお、本図の説明では、弁体3の回転軸線Zに平行な方向を「軸方向」、弁体3の回転軸線Zに直交する方向を「径方向」、弁体3の回転軸線Z周りの方向を「周方向」として説明する。また、前記「軸方向」については、図6の各図中の上方(回転軸2に接続される側)を「一端側」、下方(導入口E0側)を「他端側」として説明する。
図6に示すように、弁体3は、一定の外径を有し、かつ軸方向の一端側が閉塞されると共に、他端側が開口する円筒状に形成されていて、内部に内部通路118が形成されている。すなわち、弁体3の軸方向の一端側には、当該一端側を閉塞可能な端壁31が設けられている。また、端壁31の中央部には、軸方向の他端側へ向かって窪む凹部32が形成されていて、この凹部32の底部には、インサート部材30が埋設されている。インサート部材30は、中央部に、回転軸2に対して圧入により接続可能な接続孔301を有し、この接続孔301を介して弁体3が回転軸2に圧入固定される。一方、弁体3の軸方向の他端側には、概ね円形の主開口部である導入部M0が開口していて、この導入部M0を介して、ハウジング1(第1ハウジング11)の導入口E0から導入された冷却水を内部通路118に導入可能となっている。
また、弁体3の周壁には、前記各デバイス(ヒータHT、オイルクーラOC、ラジエータRDなど)に対する冷却水の流量制御に最適な任意の形状(例えば真円形状や、周方向に沿って延びる長円形状及び雨滴形状など)を有する3つの副開口部である第1~第3開口部M1~M3が開口している。これら第1~第3開口部M1~M3は、軸方向において、ハウジング1(第1ハウジング11)の第1~第3排出口E1~E3(図2、図5参照)に対応する位置に設けられている。すなわち、弁体3の回転位置に応じて、第1~第3開口部M1~M3と第1~第3排出口E1~E3とが重なり合うことで、内部通路118を流れる冷却水が、第1~第3開口部M1~M3を介して第1~第3排出口E1~E3から排出される。なお、第1~第3開口部M1~M3は、いずれも前記各デバイスに対する冷却水の流量制御に最適な数量に設定され、必ずしも1つに限られない。本実施形態の場合、第1開口部M3は周方向に1つ設けられ、第2、第3開口部M2,M3はそれぞれ周方向に2つ設けられている。また、弁体3の周壁には、導入部M0側となる軸方向の他端部に、軸受B2によって回転支持される軸受部33が、段差拡径状に形成されている。
また、弁体3の内周側には、軸方向に延びる第1のリブ34が突出形成されている。第1のリブ34は、側縁部341の一部が、第1~第3開口部M1~M3のうち所定の開口部における周方向端部と繋がるように設けられている。より具体的には、この第1のリブ34は、側縁部341が、第1、第3開口部M1,M3の縁部M1a,M3aに、ほぼ段差なく滑らかに接続されている。なお、第1のリブ34は、本実施形態のように、例えば第1、第3開口部M1,M3など所定の開口部に設定することが可能であり、全ての開口部M1~M3に対して設置されている必要はない。また、各開口部M1~M3において複数の開口部を有する場合(例えば本実施形態では、第2、第3開口部M2,M3が複数(2つ)の開口部を有する。)には、本実施形態のように、2つの開口部を有する第3開口部のうち符号M3が付された一方の開口部(図6(c)参照)に対してのみ設置することも可能である。
また、第1のリブ34は、特に図6(d)(e)(f)に示すように、導入部M0側から端壁31側へ向かって縦断面(軸方向に沿う断面)及び横断面(軸方向に直交する断面)の断面積が徐々に拡大するように設けられている。換言すれば、第1のリブ34は、導入部M0側から端壁31側へ向かって内部通路118の流路断面積が徐々に減少するように設けられている。かかる構成により、第1のリブ34の外面には、導入部M0側から端壁31側へ向かって径方向幅Hが徐々に拡大するように傾斜する軸方向傾斜面342が形成されている。軸方向傾斜面342は、図6(f)に示すように、断面が直線状に傾斜する平面によって構成されている。
また、第1のリブ34は、特に図6(e)に示すように、軸方向において、導入部M0から離れるほど、つまり導入部M0側から端壁31側へ向かうほど、第1のリブ34の側縁部341が第1、第3開口部M1,M3の縁部(周方向端部)M1a,M3aに近づくように、回転軸線Zに対して傾斜している。換言すれば、第1のリブ34は、軸方向において、導入部M0側から端壁31側へ向かうほど、周方向幅Wが徐々に拡大するように形成されている。さらに、第1のリブ34は、特に図6(b)(c)に示すように、軸方向において、第1、第3開口部M1,M3の縁部(周方向端部)M1a,M3aに向かって径方向幅Hが徐々に減少するように、側端部(符号343により示される部分)が弁体3の内周面に対して傾斜している。換言すれば、第1のリブ34の側端部に、第1、第3開口部M1,M3の縁部(周方向端部)M1a,M3aに向かって径方向幅Hが徐々に減少するように傾斜する周方向傾斜面343が形成されている。本実施形態では、周方向傾斜面343は、図6(b)(c)に示すように、リブ34の両側端に設けられていて、それぞれ断面が直線状に傾斜する平面によって構成されている。これら周方向傾斜面343は、それぞれ当該周方向傾斜面343と第1、第3開口部M1,M3との成す角θが、鈍角となるように構成されている。
なお、軸方向傾斜面342及び周方向傾斜面343は、弁体3を成形する際の、いわゆる抜きテーパとしても機能し、導入部M0側へ向かって径方向幅H及び周方向幅Wが徐々に減少するように構成されていることで、弁体3の成形後における金型の離脱が良好となる。また、周方向傾斜面343は、リブ34の周方向の両端側に限られず、周方向の一端側のみに設けられていてもよい。また、本実施形態では、周方向傾斜面343について、周方向の一端側と他端側がほぼ同じ傾斜角度に設定されているが、制御弁CVの仕様に応じて周方向の一端側と他端側の傾斜角度が異なる角度に設定されていてもよい。
このように、本実施形態では、例えば第1、第3開口部M1,M3の周方向端部に繋がる第1のリブ34が設けられていることによって、内部通路118から第1、第3開口部M1,M3に流入する冷却水の流れが整流される。すなわち、導入部M0側から端壁31側へ向かって第1のリブ34の断面積が徐々に大きくなるように形成されていることにより、内部通路118を流れる冷却水が、第1のリブ34の外面を伝って第1、第3開口部M1,M3に流入しやすくなり、冷却水の流れの圧力損失が低減される。
図7は、図5に示すG-G線に沿って切断した断面図を示し、(a)は従来の制御弁に係る冷却水の流れの様子を表した図、(b)は本実施形態に係る冷却水の流れの様子を表した図を示している。
従来の制御弁では、図7(a)に示すように、内部通路118から第1開口部M1に冷却水が流れ込む際に、第1開口部M1や第1シール部材S1の内側面に渦EDが発生し、圧力損失が大きくなる(圧力損失係数ξ=0.50)。また、第1開口部M1を介して第1配管L1に流入した冷却水は、図7(a)の矢印A1で示すような流線となり、第1配管L1内を直線状に流動する。このため、第1配管L1の屈曲部においても、圧力損失が大きくなる。
一方、本実施形態に係る制御弁CVは、図7(b)に示すように、内部通路118から第1開口部M1に冷却水が流れ込む際に、当該冷却水の流れが第1のリブ34によって整流される。具体的には、内部通路118を流れる冷却水が、軸方向傾斜面342及び周方向傾斜面343に沿って整流され、第1開口部M1へスムーズに流入可能となり、圧力損失が低減される(圧力損失係数ξ=0.25)。また、第1開口部M1を介して第1配管L1内に流入した冷却水は、図7(b)の矢印A2で示すような流線となり、第1配管L1の内部を当該第1配管L1の曲がりに沿って流動する。換言すれば、冷却水は、第1のリブ34の軸方向傾斜面342及び周方向傾斜面343に沿って第1開口部M1に流れ込むことで、第1配管L1の内部における流線(矢印A2)が放物線状となり、第1配管L1の屈曲形状に沿って流動することが可能となり、圧力損失がより効果的に低減される。
(本実施形態の作用効果)
従来の制御弁では、リブが、弁体の内周側を通流する冷却水の流れに対して直交するように設けられていて、当該弁体の内周側を通流する冷却水の流れを妨げ得る構成となっていた。これにより、冷却水の流れに圧力損失が発生し、冷却水の吐出効率が低下してしまう問題があった。
一方、リブを有しない従来の制御弁では、前述のように、弁体3の内部通路118から径方向開口部(第1開口部M1)に冷却水が流れ込む際に、径方向開口部(第1開口部M1)の内側面に、渦EDが発生してしまっていた(図7(a)参照)。これにより、冷却水の流れの圧力損失が大きくなってしまう問題があった。
これに対し、本実施形態に係る制御弁では、以下の効果が奏せられることで、前記従来の制御弁の課題を解決することができる。
すなわち、制御弁CVは、自動車の機関(本実施形態ではエンジンEG)の冷却回路に設けられる制御弁であって、回転軸2と、回転軸2が挿入される弁体収容部111と、回転軸2の回転軸線Zの方向において弁体収容部111に開口し、前記冷却回路から冷却水が導入される主連通口(導入口E0)と、回転軸線Zに対する径方向において弁体収容部111に開口し、主連通口(導入口E0)から導入される冷却水が排出される副連通口(第1~第3排出口E1~E3)と、を有するハウジング1と、弁体収容部111に配置され、回転軸2と繋がり、回転軸2と共に回転する筒状の弁体3であって、回転軸線Zの方向に開口し、主連通口(導入口E0)と重なり合う主開口部(導入部M0)と、前記径方向に開口し、副連通口(本実施形態では第1、第3排出口E1,E3)と重なり合う副開口部(本実施形態では第1、第3開口部M1,M3)と、弁体3の内周面から前記径方向の内側に突出したリブであって、リブ(本実施形態では第1のリブ34)の外面が、前記径方向における副開口部(本実施形態では第1、第3開口部M1,M3)の端部に繋がるリブ(本実施形態では第1のリブ34)と、を有する弁体3と、を備えている。
このように、本実施形態に係る制御弁CVでは、内部通路118から第1、第3開口部M1,M3に流れ込む冷却水の流れが、第1、第3開口部M1,M3の端部に繋がる第1のリブ34によって整流される。これにより、内部通路118から第1、第3開口部M1,M3に流れ込む際の冷却水の圧力損失を低減することができる。
また、本実施形態では、回転軸線Zの方向において、リブ(本実施形態では第1のリブ34)の側端部には、副開口部(本実施形態では第1、第3開口部M1,M3)の縁部M1a,M3aに向かってリブ(本実施形態では第1のリブ34)の前記径方向の幅(径方向幅H)が減少するように傾斜する周方向傾斜面343が形成されている。
かかる構成によれば、第1、第3開口部M1,M3の縁部M1a,M3aの周辺において、冷却水が周方向傾斜面343に沿って第1、第3開口部M1,M3へ流入しやすくなる。これにより、内部通路118から第1、第3開口部M1,M3に流入する冷却水の流れを効果的に整流することができる。
また、本実施形態では、リブ(本実施形態では第1のリブ34)は、回転軸線Zの方向において、主開口部(導入部M0)から副開口部(本実施形態では第1、第3開口部M1,M3)に近づくほど前記径方向の断面積が増大する。
かかる構成によれば、冷却水が第1のリブ34に沿って流れることによって、内部通路118から第1、第3開口部M1,M3に向かう冷却水の流れを整流することが可能となる。これにより、内部通路118から第1、第3開口部M1,M3に流入する冷却水の流れを効果的に整流することができる。
また、本実施形態では、回転軸線Zの方向において、リブ(本実施形態では第1のリブ34)の外面には、主開口部(導入部M0)から副開口部(本実施形態では第1、第3開口部M1,M3)に近づくほどリブ(本実施形態では第1のリブ34)の前記径方向の幅(径方向幅H)が拡大するように回転軸線Zに対して傾斜する軸方向傾斜面342が形成されている。
かかる構成によれば、冷却水が第1のリブ34の軸方向傾斜面342に沿って流れることで、内部通路118から第1、第3開口部M1,M3に向かう冷却水の流れ、特に回転軸線Zの方向の流れを整流することが可能となる。これにより、内部通路118から第1、第3開口部M1,M3に流入する冷却水の流れを効果的に整流することができる。
また、本実施形態では、リブ(本実施形態では第1のリブ34)の側縁部341は、回転軸線Zの方向において、主連通口(導入部M0)から離れるほど副開口部(本実施形態では第1、第3開口部M1,M3)の縁部M1a,M3aに近づくように、回転軸線Zに対して傾斜している。
かかる構成によれば、冷却水が上記傾斜に沿って流れることによって、内部通路118から第1、第3開口部M1,M3に向かう冷却水の流れを整流することが可能となる。換言すれば、上記傾斜によって、内部通路118を流れる冷却水が自ずと第1、第3開口部M1,M3へと導かれる。これにより、内部通路118から第1、第3開口部M1,M3に流入する冷却水の流れを効果的に整流することができる。
また、本実施形態では、前記径方向において、副開口部(本実施形態では第1、第3開口部M1,M3)の端部に繋がるリブ(本実施形態では第1のリブ34)の外面と、副開口部(本実施形態では第1、第3開口部M1,M3)の内周面との成す角θ(図6(b)(c)参照)は、鈍角である。
このように、第1、第3開口部M1,M3の端部に繋がる第1のリブ34の外面と、第1、第3開口部M1,M3の内周面との成す角θとが鈍角となっていることで、冷却水を、第1のリブ34の外面に沿って第1、第3開口部M1,M3へとスムーズに導くことができる。
また、本実施形態では、副連通口(本実施形態では第1開口部M1)には、副連通口(本実施形態では第1開口部M1)から吐出された冷却水をハウジング1の外部に送給可能な配管(本実施形態では第1配管L1)が設けられ、配管(本実施形態では第1配管L1)は、副連通口(本実施形態では第1開口部M1)の中心軸線に対して屈曲する形状を有し、リブ(本実施形態では第1のリブ34)は、配管(本実施形態では第1配管L1)の内部における冷却水の流れを配管(本実施形態では第1配管L1)の屈曲形状に沿うように整流する。
このように、本実施形態では、第1のリブ34により、第1配管L1の内部における冷却水の流れが、第1配管L1の屈曲形状に沿うように整流される。換言すれば、第1のリブ34の整流効果により、内部通路118から第1開口部M1を介して第1配管L1に流入した冷却水が、第1配管L1の屈曲形状に沿って流れるようになる。これにより、制御弁CVから前記各デバイスに供給される冷却水の圧力損失が一層低減され、制御弁CVの吐出効率を向上させることができる。
(変形例)
図8は、本発明に係る制御弁の第1実施形態の変形例を示し、前記第1実施形態におけるリブの数量を変更したものである。なお、かかる変更点以外の基本的な構成については、前記第1実施形態と同様である。そのため、前記第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
図8は、弁体3の内部通路118から第2開口部M2を介して第2配管L2に流入した冷却水の流れを示す概略図であって、(a)はハウジング1内に収容された弁体3の縦断面図、(b)は同図(a)のH-H線に沿って切断した断面図を示している。なお、本変形例では、図示の都合上、後述する第1、第2のリブ34,35の形態が簡略表示されているが、このリブ34,35の形態は、それぞれ図6に示す前記第1実施形態に係る第1のリブ34と同様に形成することができる。また、本図の説明では、弁体3の回転軸線Zに平行な方向を「軸方向」、弁体3の回転軸線Zに直交する方向を「径方向」、弁体3の回転軸線Z周りの方向を「周方向」として説明する。
図8に示すように、本変形例では、弁体3の内周側に、複数(2つ)のリブである第1、第2のリブ34,35が突出形成されている。具体的には、第2開口部M2の周方向両端部に、換言すれば第2開口部M2を挟んで周方向両側に、第1のリブ34と第2のリブ35が、対をなして設けられている。これら第1、第2のリブ34,35は、軸方向に沿って設けられていて、導入部M0側から端壁31側へ向かって断面積が拡大するように形成されている。かかる構成により、第1、第2のリブ34,35の外面には、周方向のほぼ中間部に、導入部M0側から端壁31側へ向かって径方向幅H(図8(b)参照)が徐々に拡大するように傾斜する軸方向傾斜面342,352が形成されている。軸方向傾斜面342,352は、それぞれ横断面がほぼ角状を呈し(図8(b)参照)、軸方向に沿って線状に形成されている(図8(a)参照)。また、第1、第2のリブ34,35の外面には、内側(軸方向傾斜面342,352よりも内側)の側端部に、それぞれ第2開口部M2に向かって径方向幅H(図8(b)参照)が徐々に減少する周方向傾斜面343,353が形成されている。なお、本変形例に係る周方向傾斜面343,353は、前記第1実施形態と同様に、いずれも平面状に形成された傾斜面によって構成されている。
以上のように、本変形例では、リブ(本実施形態では第1、第2のリブ34,35)は、回転軸線Zの方向において、副開口部(本実施形態では第2開口部M2)を挟んで両側に、複数設けられている。
かかる構成から、図8(a)に矢印A3で示すように、内部通路118を流れる冷却水が、第2開口部M2の周方向両端側に設けられた第1、第2のリブ34,35によって整流され、第2開口部M2へと流入しやすくなる。特に、第1、第2のリブ34,35が第2開口部M2の周方向両端側に配置されることで、第2開口部M2の周方向両端側から第2開口部M2に冷却水を導くことが可能となるため、高い整流効果を得ることができる。
また、図8(b)に矢印A4で示すように、本変形例では、内部通路118を流れる冷却水が第1、第2のリブ34,35の周方向傾斜面343,353に沿って第2開口部M2に流入することになる。このため、冷却水を第2開口部M2の周方向両端側から第2開口部M2内へとスムーズに導くことができる。これにより、第2開口部M2の縁部M2aの近傍における渦の発生がより効果的に抑制され、圧力損失を一層低減することができる。
その他、本変形例は、第2開口部M2のみに適用されるものではなく、制御弁の制御内容等に応じて、第1、第3開口部M1,M3にも適用可能である。また、重複した説明を避けるため省略するが、本変形例においても、前記第1実施形態によって奏せられる作用効果と同様の作用効果が奏せられる。
〔第2実施形態〕
図9は、本発明に係る制御弁の第2実施形態を示し、前記第1実施形態に対して、リブの態様を変更したものである。なお、かかる変更点以外の基本的な構成については、前記第1実施形態と同様である。そのため、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
図9は、本発明の第2実施形態に係る制御弁CV2の弁体3を表示した図であって、(a)は弁体3の側面図、(b)は同図(a)のB-B線に沿って切断した弁体3の横断面図、(c)は同図(a)のC-C線に沿って切断した弁体3の横断面図、(d)は同図(a)のD方向から見た矢視図、(e)は同図(d)のE-E線に沿って切断した弁体3の縦断面図、(f)は同図(d)のF-F線に沿って切断した弁体3の縦断面図を示している。なお、本図の説明では、弁体3の回転軸線Zに平行な方向を「軸方向」、弁体3の回転軸線Zに直交する方向を「径方向」、弁体3の回転軸線Z周りの方向を「周方向」として説明する。
図9(f)に示すように、本実施形態に係る制御弁CV2では、第1のリブ34の軸方向傾斜面342が、緩やかな円弧凹状(第1のリブ34の根元側に凹む円弧形状)に形成された曲面によって構成されている。また、図9(b)(c)に示すように、第1のリブ34の周方向傾斜面343が、緩やかな円弧凸状(第1、第3開口部M1,M3側に突出する円弧形状)に形成された曲面によって構成されている。
以上のように、本実施形態では、第1のリブ34の軸方向傾斜面342が円弧凹状となる曲面によって構成されていることで、かかる曲面状の軸方向傾斜面342によって、導入部M0から内部通路118に導入された冷却水が端壁31側、つまり第1、第3開口部M1,M3側へと、よりスムーズに導かれる。さらに、本実施形態では、第1のリブ34の周方向傾斜面343が円弧凸状となる曲面によって構成されていることで、かかる曲面状の周方向傾斜面343によって、第1、第3開口部M1,M3の縁部M1a,M3aの近傍を流れる冷却水が、第1、第3開口部M1,M3へと、よりスムーズに導かれる。こうして、上記のような円弧状の曲面を有する軸方向傾斜面342及び周方向傾斜面343により、内部通路118から第1、第3開口部M1,M3に流入する冷却水の圧力損失を低減することができる(圧力損失係数ξ=0.005~0.060)。
(変形例)
図10は、本発明に係る制御弁の第2実施形態の変形例を示し、前記第2実施形態におけるリブの数量を変更したものである。なお、かかる変更点以外の基本的な構成については、前記第1実施形態と同様である。そのため、前記第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
図10は、弁体3の内部通路118から第2開口部M2を介して第2配管L2に流入した冷却水の流れを示す概略図であって、(a)はハウジング1内に収容された弁体3の縦断面図、(b)は同図(a)のI-I線に沿って切断した断面図を示している。なお、本変形例では、図示の都合上、後述する第1、第2のリブ34,35の形態が簡略表示されているが、このリブ34,35の形態は、それぞれ図9に示す前記第2実施形態に係る第1のリブ34と同様に形成することができる。また、本図の説明では、弁体3の回転軸線Zに平行な方向を「軸方向」、弁体3の回転軸線Zに直交する方向を「径方向」、弁体3の回転軸線Z周りの方向を「周方向」として説明する。
図10に示すように、本変形例では、弁体3の内周側に、複数(2つ)のリブである第1、第2のリブ34,35が突出形成されている。具体的には、例えば第2開口部M2の周方向両端部に、換言すれば第2開口部M2を挟んで周方向両側に、第1のリブ34と第2のリブ35が、対をなして設けられている。
第1、第2のリブ34,35は、軸方向に沿って設けられ、導入部M0側から端壁31側へ向かって断面積が拡大するように形成されている。換言すれば、第1、第2のリブ34,35は、導入部M0側から端壁31側へ向かって内部通路118の流路断面積が徐々に減少するように設けられている。かかる構成により、第1、第2のリブ34,35の外面には、周方向ほぼ中間部に、それぞれ導入部M0側から端壁31側へ向かって径方向幅H(図10(b)参照)が徐々に拡大するように傾斜する軸方向傾斜面342,352が、図10(a)に示す仮想線に沿って形成されている。軸方向傾斜面342,352は、それぞれ横断面がほぼ凸円弧状を呈し(図10(b)参照)、軸方向に沿って緩やかな凹円弧状(図9(f)に示すようなリブ34,35の根元側に凹む円弧形状)に形成されている。また、第1、第2のリブ34,35の外面には、内側(軸方向傾斜面342,352よりも内側)の側端部に、それぞれ第2開口部M2に向かって径方向幅H(図10(b)参照)が徐々に減少する周方向傾斜面343,353が形成されている。なお、本変形例に係る周方向傾斜面343,353は、前記第2実施形態と同様に、いずれも曲面状に形成された傾斜面によって構成されている。
ここで、本変形例では、図示の都合上、図10(b)に示す横断面において、軸方向傾斜面342,352と周方向傾斜面343,353とがほぼ一連の円弧によって形成されているため、両者の境界が明確となっていないが、周方向において、図10(a)に示す仮想線に沿って軸方向傾斜面342,352が形成されていて、この仮想線で示された軸方向傾斜面342,352よりも内側(第2開口部M2側)が周方向傾斜面343,353となる。
以上のように、本変形例では、前記第1実施形態の変形例と同様、第2開口部M2を挟んで周方向の両側に第1、第2のリブ34,35が設けられている。これにより、第2開口部M2の周方向両端側から第2開口部M2へと、冷却水をスムーズに導くことができる。しかも、本変形例に係る第1、第2のリブ34,35は、軸方向傾斜面342,352及び周方向傾斜面343,353が、いずれも円弧状の曲面により構成されている。このように、第1、第2のリブ34,35と、円弧状の曲面により構成された軸方向傾斜面342,352及び周方向傾斜面343,353とによって、冷却水の流れがさらに効果的に整流され、圧力損失をより一層低減することができる。
〔第3実施形態〕
図11は、本発明に係る制御弁の第3実施形態を示し、前記第1実施形態に対して、リブの態様を変更したものである。なお、かかる変更点以外の基本的な構成については、前記第1実施形態と同様である。そのため、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
図11は、本発明の第3実施形態に係る制御弁CV3の弁体3を表示した図であって、(a)はハウジング1内に収容された弁体3の縦断面図、(b)は同図(a)のJ-J線に沿って切断した断面図を示している。なお、本図の説明では、弁体3の回転軸線Zに平行な方向を「軸方向」、弁体3の回転軸線Zに直交する方向を「径方向」、弁体3の回転軸線Z周りの方向を「周方向」として説明する。また、前記「軸方向」については、図11中の上方(端壁31側)を「一端側」、下方(導入口E0側)を「他端側」として説明する。
図11(a)に示すように、本実施形態に係る制御弁CV3では、弁体3の内周側に、前記第1実施形態の変形例に係る第1、第2のリブに相当する第1、第2の軸方向リブ34,35と、第3のリブに相当する周方向リブ36が設けられている。すなわち、弁体3の内周側に、第2開口部M2の周方向両端側に繋がる1対の第1、第2の軸方向リブ34,35と、第2開口部M2の軸方向一端側に設けられ、かつ第2開口部M2の軸方向一端側の縁部M2bに繋がる周方向リブ36とが、径方向の内側へ突出形成されている。そして、この第1、第2の軸方向リブ34,35と周方向リブ36とは、連続して設けられ、弁体3の内周側において一体的に構成され、有機的に機能する。
第1、第2の軸方向リブ34,35は、前記第1実施形態の変形例と同様、導入部M0側から第2開口部M2の周方向両端側へ向かって軸方向に沿って延びるように設けられ、導入部M0側から端壁31側へ向かって断面積が拡大するように形成されている。なお、当然のことながら、第1、第2の軸方向リブ34,35は、前記第1実施形態の変形例と同様、前記第1実施形態で例示したような形態に形成することができる。かかる構成により、第1、第2のリブ34,35の外面には、周方向のほぼ中間部に、導入部M0側から端壁31側へ向かって径方向幅H(本実施形態では図示外のため図8(b)を参照)が徐々に拡大するように傾斜する軸方向傾斜面342,352が形成されている。軸方向傾斜面342,352は、それぞれ横断面がほぼ角状を呈し(本実施形態では図示外のため図8(b)を参照)、軸方向に沿って線状に形成されている(図11(a)参照)。また、第1、第2の軸方向リブ34,35の外面には、内側(軸方向傾斜面342,352よりも内側)の側端部に、それぞれ第2開口部M2に向かって径方向幅H(本実施形態では図示外のため図8(b)を参照)が徐々に減少する周方向傾斜面343,353が形成されている。なお、本実施形態に係る周方向傾斜面343,353は、前記第1実施形態と同様、いずれも平面状に形成された傾斜面によって構成されている。
周方向リブ36は、第2開口部M2の軸方向中間部(図11(a)に示す境界線Y)よりも軸方向一端側に設けられる。具体的には、周方向リブ36は、第2開口部M2の軸方向中間部Q1,Q2よりも軸方向一端側を段差状に縮径(内周側に突出)させることによって形成されている。なお、この周方向リブ36の突出量は、第1、第2の軸方向リブ34,35の軸方向一端部の突出量と同じに設定されていて、第1、第2の軸方向リブ34,35の最大突出部である頂部344,354と、周方向リブ36の外面362とが、概ね段差なく滑らかに繋がるように構成されている。さらに、周方向リブ36の第2開口部M2の周縁部には、周方向傾斜面343,353と段差なく滑らかに繋がる周方向傾斜面363が設けられている。すなわち、第1、第2の軸方向リブ34,35の周方向傾斜面343,353と、周方向リブ36の周方向傾斜面363とによって、いわゆる半オーバル状の一連の傾斜面が構成されている。
以上のように、本実施形態では、リブは、回転軸線Zの方向に沿って設けられ、副開口部(本実施形態では第2開口部M2)の両側の縁部M2aに繋がる軸方向リブ(第1の軸方向リブ34及び第2の軸方向リブ35)と、回転軸線Zの周方向に沿って設けられ、副開口部(本実施形態では第2開口部M2)のうち回転軸線Zの方向において主開口部(導入部M0)と反対側の縁部M2bに繋がる周方向リブ36と、で構成される。
このように、本実施形態では、第2開口部M2の軸方向一端側を囲うように、第1、第2の軸方向リブ34,35と周方向リブ36が設けられている。これにより、第1、第2の軸方向リブ34,35によって整流された冷却水を、図11(b)に矢印A5で示すように、周方向リブ36を伝って第2開口部M2内にスムーズに導くことができる。
とりわけ、弁体3の端壁31に比較的近い位置においては、冷却水が端壁31側から第2開口部M2へとクランク状に流れ込むことになるため、第2開口部M2の内側に渦が発生しやすくなる。そこで、本実施形態では、弁体3の端壁31側に周方向リブ36が配置されていることで、端壁31側から流入する冷却水が、周方向リブ36の周方向傾斜面363によって整流され(図11(b)の矢印A5参照)、第2開口部M2へとスムーズに導かれる。これにより、端壁31側から流入する冷却水の第2開口部M2内側における前記渦の発生が抑制され、当該第2開口部M2に流入する冷却水の圧力損失を効果的に低減できる。
本発明に係る制御弁は、前記各実施形態等の構成に限定されるものではなく、本発明の作用効果を奏し得る形態であれば、適用する機関の仕様等に応じて自由に変更可能である。
特に、前記実施形態等では、制御弁の適用の一例として、冷却水の循環系に適用したものを例示したが、当該制御弁は、冷却水のみならず、例えば潤滑油など様々な流体について適用可能であることは言うまでもない。
また、前記実施形態等では、本発明に係る副連通口の一例として、導入口E0のほか、第1~第3排出口E1~E3からなる3つの開口部を設けた態様を例示したが、排出口については、少なくとも1つ設けられていればよく、第1~第3排出口E1~E3の3つに限定されるものではない。
また、本発明に係るリブは、前記実施形態等で開示された第1、第2のリブ34,35や、第1、第2の軸方向リブ34,35、周方向リブ36の形態に限定されるものではなく、例えば弁体の開口部の位置や、配管の屈曲形状など、制御弁の仕様等に応じて任意の形態に形成することができる。
以上説明した実施形態等に基づく制御弁としては、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
すなわち、当該制御弁は、その1つの態様において、自動車の機関の冷却回路に設けられる制御弁であって、回転軸と、前記回転軸が挿入される弁体収容部と、前記回転軸の回転軸線の方向において前記弁体収容部に開口し、前記冷却回路から冷却水が導入される主連通口と、前記回転軸線に対する径方向において前記弁体収容部に開口し、前記主連通口から導入される冷却水が排出される副連通口と、を有するハウジングと、前記弁体収容部に配置され、前記回転軸と繋がり、前記回転軸と共に回転する筒状の弁体であって、前記回転軸線の方向に開口し、前記主連通口と重なり合う主開口部と、前記径方向に開口し、前記副連通口と重なり合う副開口部と、前記弁体の内周面から前記径方向の内側に突出したリブであって、前記リブの外面が、前記径方向における前記副開口部の端部に繋がるリブと、を有する弁体と、を備えている。
前記制御弁の好ましい態様において、前記回転軸線の方向において、前記リブの側端部には、前記副開口部の縁部に向かって前記リブの前記径方向の幅が減少するように傾斜する周方向傾斜面が形成されている。
別の好ましい態様では、前記制御弁の態様のいずれかにおいて、前記リブは、前記回転軸線の方向において、前記主開口部から前記副開口部に近づくほど前記径方向の断面積が増大する。
さらに別の好ましい態様では、前記制御弁の態様のいずれかにおいて、前記回転軸線の方向において、前記リブの外面には、前記主開口部から前記副開口部に近づくほど前記リブの前記径方向の幅が拡大するように傾斜する軸方向傾斜面が形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記制御弁の態様のいずれかにおいて、前記リブは、前記回転軸線の方向において、前記副開口部を挟んで両側に、複数設けられている。
さらに別の好ましい態様では、前記制御弁の態様のいずれかにおいて、前記リブの側縁部は、前記回転軸線の方向において、前記主連通口から離れるほど前記副開口部の縁部に近づくように、前記回転軸線に対して傾斜している。
さらに別の好ましい態様では、前記制御弁の態様のいずれかにおいて、前記径方向において、前記副開口部の端部に繋がる前記リブの外面と、前記副開口部の内周面との成す角は、鈍角である。
さらに別の好ましい態様では、前記制御弁の態様のいずれかにおいて、前記副連通口には、前記副連通口から吐出された冷却水を前記ハウジングの外部に送給可能な配管が設けられ、前記配管は、前記副連通口の中心軸線に対して屈曲する屈曲形状を有し、前記リブは、前記配管の内部における冷却水の流れを前記配管の屈曲形状に沿うように整流する。
さらに別の好ましい態様では、前記制御弁の態様のいずれかにおいて、前記リブは、前記回転軸線の方向に沿って設けられ、前記副開口部の両側の縁部と繋がる軸方向リブと、前記回転軸線の周方向に沿って設けられ、前記副開口部のうち前記回転軸線の方向において前記主開口部と反対側の縁部と繋がる周方向リブと、で構成されている。
1…ハウジング、111…弁体収容部、2…回転軸、3…弁体、34…第1のリブ(リブ)、342…軸方向傾斜面、343…周方向傾斜面、CV…制御弁、E0…導入口(主連通口)、E1~E3…第1~第3排出口(副連通口)、M0…導入部(主開口部)、M1~M3…第1~第3開口部(副開口部)、Z…回転軸線、

Claims (9)

  1. 自動車の機関の冷却回路に設けられる制御弁であって、
    回転軸と、
    前記回転軸が挿入される弁体収容部と、前記回転軸の回転軸線の方向において前記弁体収容部に開口し、前記冷却回路から冷却水が導入される主連通口と、前記回転軸線に対する径方向において前記弁体収容部に開口し、前記主連通口から導入される冷却水が排出される副連通口と、を有するハウジングと、
    前記弁体収容部に配置され、前記回転軸と繋がり、前記回転軸と共に回転する筒状の弁体であって、前記回転軸線の方向に開口し、前記主連通口と重なり合う主開口部と、前記径方向に開口し、前記副連通口と重なり合う副開口部と、前記弁体の内周面から前記径方向の内側に突出したリブであって、前記リブの外面が、前記径方向における前記副開口部の端部に繋がるリブと、を有する弁体と、
    を備えたことを特徴とする制御弁。
  2. 請求項1に記載の制御弁において、
    前記回転軸線の方向において、前記リブの側端部には、前記副開口部の縁部に向かって前記リブの前記径方向の幅が減少するように傾斜する周方向傾斜面が形成されていることを特徴とする制御弁。
  3. 請求項1に記載の制御弁において、
    前記リブは、前記回転軸線の方向において、前記主開口部から前記副開口部に近づくほど前記径方向の断面積が増大することを特徴とする制御弁。
  4. 請求項3に記載の制御弁において、
    前記回転軸線の方向において、前記リブの外面には、前記主開口部から前記副開口部に近づくほど前記リブの前記径方向の幅が拡大するように傾斜する軸方向傾斜面が形成されていることを特徴とする制御弁。
  5. 請求項1に記載の制御弁において、
    前記リブは、前記回転軸線の方向において、前記副開口部を挟んで両側に、複数設けられたことを特徴とする制御弁。
  6. 請求項1に記載の制御弁において、
    前記リブの側縁部は、前記回転軸線の方向において、前記主連通口から離れるほど前記副開口部の縁部に近づくように、前記回転軸線に対して傾斜していることを特徴とする制御弁。
  7. 請求項1に記載の制御弁において、
    前記径方向において、前記副開口部の端部に繋がる前記リブの外面と、前記副開口部の内周面との成す角は、鈍角であることを特徴とする制御弁。
  8. 請求項1に記載の制御弁において、
    前記副連通口には、前記副連通口から吐出された冷却水を前記ハウジングの外部に送給可能な配管が設けられ、
    前記配管は、前記副連通口の中心軸線に対して屈曲する屈曲形状を有し、
    前記リブは、前記配管の内部における冷却水の流れを前記配管の屈曲形状に沿うように整流することを特徴とする制御弁。
  9. 請求項1に記載の制御弁において、
    前記リブは、前記回転軸線の方向に沿って設けられ、前記副開口部の両側の縁部と繋がる軸方向リブと、前記回転軸線の周方向に沿って設けられ、前記副開口部のうち前記回転軸線の方向において前記主開口部と反対側の縁部と繋がる周方向リブと、で構成されることを特徴とする制御弁。
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