JP7137238B2 - 脆性材料基板の加工方法 - Google Patents
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Description
言い換えれば、基板を完全分断するには、ブレイク処理工程の前段階で、クラックCを伴うクラックラインCLを基板に確実に加工することができる基板加工方法を確立すればよいことになる。
すなわち、固定刃のスクライビングツールまたはカッターホイールを用いて、基板表面の一端縁に近い箇所から他端縁に近い箇所まで、端縁を含まないようにスクライブして、上記したクラックCを伴わない浅い溝状のスクライブラインSL(図8(a)参照)を形成する。これにより、スクライブ開始点に強い衝撃を与えることなくスクライブ開始位置からスクライブ加工することができるので、確実にクラックCを伴わない溝状のスクライブラインSLを加工できる。以下、クラックCを伴わない溝状のスクライブラインSL(図8(b)参照)を「トレンチラインTL」と称する。
また、第二工程での前記交差角度θが10°~25°の鋭角にすれば、さらに高い確率(90%以上)でクラックを誘導する加工を行うことができる。
また、カッターホイールには、外周稜線に溝が形成された刃が形成された溝付きカッターホイールを使用するようにしてもよい。
検査工程としては、例えばクラックCからの反射光を光学的に確認することでクラックCの形成を確認してもよい。
これによれば、検査工程で交点位置近傍にクラックが誘導されていないことが判明した場合に、追加の第二工程により、新たな交点位置近傍にクラックを誘導できるので、追加の第二工程後に、工程全体として、より高い成功確率でトレンチライン側にクラックを誘導する加工方法を確立することができる。
本発明に係る基板加工方法は、板厚に限定されず高品質な基板加工を行う上で有効であるが、ガラス基板では10μm~100μmのような極薄基板まで製造されており、そのような極薄基板に対しても、基板が割れることなく確実にクラックを伴うクラックラインを形成する他の有効な基板加工方法がないので、本発明の基板加工方法は上記板厚範囲の極薄ガラス基板に対して特に有効な加工方法となる。
スクライビングツール1は、ホルダ1aに支持された四角錐台形状の部材からなる刃先部1bを備えており、刃先部先端の天面1cと、刃先部周囲の稜線1dとが結ぶ角部がそれぞれ刃先1e(固定刃)を形成している。なお、刃先部1bは四角錘台の形態に代えて、三角錘台または五角錘台等の多角錘台として形成することもできる。また、角柱または多角形の板状の刃先部1bの角部に天面及び稜線を形成して刃先部1eとすることもできる。
なお、アシストラインから効率よくトレンチラインに確実にクラックを誘導してクラックラインに変化させるために、本実施形態では外周稜線に溝が形成された刃が形成された溝付きカッターホイールを用いている(溝付きカッターホイールについては例えば特開平9-188534号参照)。
また、上記スクライビングツールの刃先部1b並びにカッターホイール2はダイヤモンド、超硬合金などの超硬材料で形成するようにしている。
以下に説明する実施形態1では、本発明の基板加工方法の一例を説明するが、当該加工方法による統計的な検証結果(効果)を説明する便宜上、多数のトレンチラインを形成しているので、統計をとるために用いた基板形状およびトレンチラインの加工方法についても併せて説明する。
そして上記と同様な手法により、所定の間隔をあけて複数の(図では4本のみ図示)平行なスクライブラインSLを基板Wの表面に形成する。本発明の検証においては1つの基板上に30mmの間隔をあけて検証に必要な本数(例えば50本のトレンチラインTL)を加工するようにしている。
また、板厚が30μmでも、カッターホイールによるアシストラインの交差角度θ、スクライブ速度、スクライブ設定圧を最適化することで50回の測定で94~96%の確率でクラックCが誘導されていることが検証された(後述する検証例3、4参照)
目的:トレンチラインTLへのクラックC誘導の成功率が良好な最適交差角度(進入角度)θの範囲の確認
50μm基板(無アルカリガラス)に対して、スクライビングツール1でトレンチラインTLを形成し、続いて、溝付きのカッターホイール2で交差角度(進入角度)θをパラメータとして1°~85°の範囲で変化させてアシストラインALを形成したときに、θに対するトレンチラインTLへのクラックC形成の成功率(歩留まり)について検証する(θが90°~180°の交差角度についても検証したが全範囲で低成功率であったため検証結果の説明を省略する)。
検証での主な設定条件、測定方法を以下に示す。
・第一工程:
スクライビングツールの設定圧力:0.04MPa
スクライビングツールのスクライブ速度:50mm/sec
・第二工程:
カッターホイールの設定圧力:0.10MPa
カッターホイールのスクライブ速度:5mm/sec
交差角度θの範囲1~85°のうち、1~5°については1°刻み、5~85°については5°刻みで検証する。
1つのθに対し、5回(N数)の測定を行い、クラックCの成否を確認し、成功率(歩留まり)を求める。
目的:検証例1で見つけた最適交差角度(進入角度)θの一部についての成功率の詳細検討、および、追加の第二工程による成功率の100%化の確認
・第一工程:(検証例1と同じ)
スクライビングツールの設定圧力:0.04MPa
スクライビングツールのスクライブ速度:50mm/sec
・第二工程:
カッターホイールの設定圧力:0.10MPa
カッターホイールのスクライブ速度:5mm/sec
検証例1で得られた最適交差角度範θの範囲3~25°の範囲のうち、10°および25°について、50回の測定を行い、クラックCの成否を確認し、成功率(SSP)を求める。さらに1回目に成功しなかったラインについては、追加(2回目)の第二工程によるアシストライン形成を行い、クラックCの成否を再度確認し、成功率、歩留まりを求める。
目的:検証例1よりもさらに薄い基板(30μm)での最適交差角度(進入角度)θの一部についての成功率(歩留まり)の詳細検討
・第一工程:
スクライビングツールの設定圧力:0.03MPa
スクライビングツールのスクライブ速度:50mm/sec
・第二工程:
カッターホイールの設定圧力:0.10MPa
カッターホイールのスクライブ速度:20mm/sec
予備測定(検証1と同様の方法で最適交差角度範囲θを求めるための予備測定)で得られた最適交差角度θの一つである15°について、49回の測定を行い、クラックCの成否を確認し、成功率、歩留まりを求める。
目的:検証例3の基板(30μm)の最適交差角度θが15°での検証において、さらにスクライブ速度および設定圧をパラメータとして変化させたときの成功率の詳細検討
・第一工程:
スクライビングツールの設定圧力:0.03MPa
スクライビングツールのスクライブ速度:50mm/sec
・第二工程:
カッターホイールの設定圧力:0.05~0.20MPa
カッターホイールのスクライブ速度:5~100mm/sec
最適交差角度θの15°について、カッターホイールの設定圧力、スクライブ速度の設定条件の組み合わせを変更して50回(49回)の測定を行い、クラックCの成否を確認し、成功率、歩留まりを求める。
実施形態1では、基板上に直線状の複数本の基板加工を行う例について説明した。この実施形態は方形基板を短冊状に切り出す加工の場合に応用できる。
一方、以下の実施形態2では基板上に非直線状の加工を行う例について説明する。ここでは閉曲線を切出す加工について説明する。
図9に示すように、スクライビングツール1で基板W上に位置N1をスクライブ開始点として位置N2、N3を経て、スクライブ終点の位置N4までを、この方向を順方向として一筆書きでスクライブすることにより、「6」字状のトレンチラインTLを形成する。このときN1からN3までの閉曲線部分と、N3からN4までの非閉曲線部分(捨て切り部分)とが形成される。
AL2 2回目のアシストライン
C クラック
CL クラックライン
SL スクライブライン
W 基板
1 スプライビングツール
2 カッターホイール
3a 基板の一方の辺
3b 基板の他方の辺
Claims (6)
- 脆性材料基板の表面に対し、前記基板の端縁から内側に離れた位置をスクライブ開始点として固定刃のスクライビングツールを押し付けて順方向への移動を行うことによりクラックを伴わない溝状の少なくとも1本のトレンチラインを前記基板の端縁から内側に離れた位置をスクライブ終点として形成する第1工程と、
前記表面上で前記トレンチラインに対し、回転刃のカッターホイールを押し付けて前記順方向と逆方向で、かつ、前記トレンチラインとの交差角度θが3°~25°の鋭角で交差するように移動してアシストラインを形成することにより、交点位置から前記トレンチラインにクラックを誘導して当該トレンチラインの少なくとも一部を、クラックを伴うクラックラインに変化させる第二工程とを含む脆性材料基板の加工方法。 - 前記第二工程での前記交差角度θが10°~25°の鋭角である請求項1に記載の脆性材料基板の加工方法。
- 前記スクライビングツールには、先端角部を固定刃の刃先としたスクライビングツールを使用する請求項1~2の何れか1項に記載の脆性材料基板の加工方法。
- 前記カッターホイールには、外周稜線に溝が形成された刃が形成された溝付きカッターホイールである請求項1~3のいずれか1項に記載の脆性材料基板の加工方法。
- 前記第二工程の後に、前記交点位置近傍に前記クラックを伴うクラックラインが形成されているかを確認する検査工程を行い、前記トレンチラインにクラックが誘導されていないときに、前記トレンチライン上で前回の交点位置と異なる位置に追加のアシストラインを形成するための追加の第二工程を行う請求項1~4のいずれか1項に記載の脆性材料基板の加工方法。
- 前記脆性材料基板は板厚が100μm以下のガラス基板である請求項1~5のいずれか1項に記載の脆性材料基板の加工方法。
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