以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。本実施の形態は、タマネギやレタス等の作物の苗を植え付ける移植機の一例である。
まず、図1から図5を参照しながら、本実施の形態の移植機の構成及び動作について具体的に説明する。
図1から図5においては、4条植えの移植機が示されており、植付機構40は機体左右方向に4個の植付ホッパ41を有する。該植付ホッパ41は、機体左右両外側に設けられる左右の外側植付ホッパ41a,41dと、該左右の外側植付ホッパ41a,41dの左右間に設けられる左右の内側植付ホッパ41b,41cで構成される。
また、車体10の上部には、上記機体左側の内外側の植付ホッパ41a,41bに作業者が投入した苗を搬送して供給する左側の苗供給テーブル42Lと、機体右側の内外側の植付ホッパ41c,41dに苗を搬送して供給する右側の苗供給テーブル42Rを設ける。該左右の苗供給テーブル42L,42Rは、複数の苗収容カップを、機体前後方向を長手方向とする周回状に配置して構成され、後部側が前記左側の内外側の植付ホッパ41a,41b、及び右側の内外側の植付ホッパ41c,41dの上方に臨むと共に、前部側が後述する搭乗ステップ34の機体後側の上方に臨む配置とする。
本実施の形態の移植機は、車体10の後部に非作業移動時などに作業者が把持する平面視でU字形状のハンドル13を設け、前部で且つ左右の苗供給テーブル42L,42Rの前側で且つ外側方には作業者が搭乗する座席14L,14Rを各々設け、該左右の座席14L,14Rの下方に前記搭乗ステップ34を各々設ける、所謂乗用型の移植機である。
車体10の前部には、エンジン20などが左右一対の従動前輪11とともに配置されている。エンジン20によって発生された駆動力は、左右一対の走行チェーンケース21を介して左右一対の駆動後輪12などへ伝達される。
前記ハンドル13のU字の内側には、走行や植付の伝動を入切操作するクラッチレバー、車体10の車高を調節する油圧昇降レバー、走行ギアを切り替える変速レバー、緊急停止スイッチ等を備える操作ユニット16を設け、作業者が植付作業前や走行時に操作を行う。
そして、前記左右の走行チェーンケース21,21のうち、左右どちらか一側を左右方向に摺動可能なスライド軸22により機体左右方向に位置調節自在に設け、該スライド軸22の外周を覆う軸カバー23を車体10の底部側に設ける。そして、該軸カバー23と、該軸カバー23よりも機体前側で車体10の底部側に位置するバンパー24の前後間には、圃場面に接地して凹凸を押圧する前側押圧装置25を左右一対、左右方向に間隔を空けて配置する。
そして、前記バンパー24の前側には、作業者が機体前側から乗り降りする際に足を載せる乗り降りステップ26,26を左右方向に間隔を空けて配置し、該左右の乗り降りステップ26,26の下面には、前側押圧アーム27を機体後側に向けて、且つ上下回動自在に配置する。また、該前側押圧アーム27に前側押圧ローラ28を回転自在に装着することで、接地抵抗で回転して圃場面の凹凸を押圧する前記左右の前側押圧装置25,25を構成する。
前記左右の前側押圧装置25,25は、前側押圧アーム27を上下回動可能に装着したことにより、圃場面の凹凸に合わせて上下位置が変更され、過剰な押圧により畝面に凹みを生じさせることや、畝面から浮いた状態となり、押圧が行われなくなることを防止している。このとき、凹凸を可能な限り押圧すると共に、石等の高い抵抗がかかる場合に前側押圧装置25の破損を防止すべく、前側押圧アーム27と車体10のフレーム10aの前側の間に、図1に示すとおり、スプリングロッド29を回動可能に装着する。
なお、該スプリングロッド29の回動部は前側押圧アーム27とし、スプリングロッド29の付勢方向は、前側押圧ローラ28を圃場面側に押す方向とする。また、スプリングロッド29は、ワッシャ等の留め位置を変更し、スプリングの圧縮率を増減させることにより、圃場の土質や作業時の環境に適した押圧荷重に調節可能なものとする。
これにより、前側押圧ローラ28はスプリングロッド29の付勢力を受けて圃場面を均すことができるので、負荷があまりかからない圃場面の凹凸を確実に均すことができ、苗の植付精度の向上が図られる。
また、前側押圧ローラ28が石等を踏んで、スプリングロッド29の付勢力に抗し得る負荷がかかると、前側押圧アーム27が上方に回動して前側押圧ローラ28が圃場面から一時的に退避するので、過負荷による前側押圧装置25の破損が防止される。
なお、上記のスプリングロッド29の付勢力を受けて圃場面側に押される前側押圧ローラ28は、重過ぎると圃場面を凹ませてかえって苗の植付深さを乱すおそれがあるので、ポリ塩化ビニル等の樹脂を中空の円筒形に形成したものとし、重量を抑えたものとすることが望ましい。
また、図3及び図4に示すとおり、前記車体10の機体前側の下面には、圃場面に接地させると車体10の前部を浮き上がらせて走行を規制する、T形状の前側スタンド30を上下回動可能に設け、機体上方に回動させると走行の規制を解除する収納状態となる構成とする。
該前側スタンド30は、基部側である回動ステー31を左右の乗り降りステップ26,26の左右の空間部に左右方向に移動可能に設け、スタンドロッド32を機体後側に突出させると共に左右の前側押圧ローラ28,28の左右間の空間部を通過させて配置する。なお、スタンドロッド32の後端部に溶接する接地バー33は、収納状態において、左右の前側押圧ローラ28,28の後部側に位置する構成とする。
なお、前記回動ステー31は、左右どちらか一方の乗り降りステップ26に向けてスプリング等により付勢し、乗り降りステップ26に形成する溝または穴にピン等を接触させ、前側スタンド30の接地状態または収納状態が意図せず切り替わることを防止すると共に、意図して切り替える際には回動ステー31を左右方向に移動させることで切替の規制が解除される構成とする。
また、前記回動ステー31には、スタンドロッド32の基部側を避ける位置、例えば機体前側に、一または複数の切欠孔31aを形成する。該切欠孔31aは、一般的な作業者が片手を差し込んで掴める程度の前後及び左右幅とした上で、矩形とすることが望ましい。
前記前側スタンド30を接地状態と収納状態に切替回動させるときは、作業者が機体前側から切欠孔31aを掴み、回動ステー31を左右方向に移動させて切替の規制状態を解除し、機体上側または下側に回動ステー31を回動させる。そして、前側スタンド30の切替後に回動ステー31を左右どちらか一側の乗り降りステップ26側に移動させる、あるいは作業者が切欠孔31aから手を離して回動ステー31を左右どちらか一側の乗り降りステップ26側に移動させ、前側スタンド30の切替を規制状態とする。
これにより、前側スタンド30の接地状態及び収納状態が意図せず切り替わることを防止できるので、作業能率の低下が防止される。
また、左右の乗り降りステップ26,26の前側の空間部から手を差し込み、回動ステー31に形成した切欠孔31aを把持して前側スタンド30の操作を行うことができるので、前側スタンド30の切替操作を容易に行うことができる。
前記前側押圧装置25の前側押圧ローラ28は、図1に示すとおり、側面視で前記従動前輪11と重複する位置に配置する。また、前記前側スタンド30のスタンドロッド32の前後長さは前側押圧装置25の前後長さよりも長く構成し、接地バー33が前側押圧ローラ28の後端部よりも機体後側に位置する構成とする。
前側押圧ローラ28を側面視で従動前輪11と重複する位置に配置したことにより、路上等で走行する際に前側押圧ローラ28を地面からある程度離間させた状態を保つことができるので、前側押圧ローラ28が地面の突起に接触しにくく、破損が防止される。
また、接地バー33が左右の前側押圧ローラ28,28の後端部よりも機体後側に位置することにより、収納時に左右の前側押圧ローラ28,28と干渉することを防止できると共に、接地バー33の左右長さが左右の前側押圧ローラ28,28によって制限されないので、接地時に車体10の走行を確実に規制できる構成とすることが可能になる。
図1から図5に示すとおり、前記乗り降りステップ26,26の後側で且つ機体上部位置には、作業者が車体10に乗り降りする際、及び作業の際に足を載せる搭乗ステップ34を左右各々設ける。該搭乗ステップ34は、金属または硬質樹脂の板体を折り曲げ加工、または鋳造して構成しており、足を載せる部分は基本的に平坦面であるので、作業者の靴の裏に水や土が付着していると若干滑りやすくなる傾向にある。この滑りを防止すべく、搭乗ステップ34には、機体前側から機体外側端部側を覆う、樹脂等で構成する滑り止めステップ51を装着する。
該滑り止めステップ51は、図2及び図5に示すとおり、搭乗ステップ34の前側の少なくとも前端面と上面を左右方向に亘って全部、あるいは目安として五分の三以上を覆うと共に、搭乗ステップ34の前側外側端部を経由して側端部とその上面を覆う、平面視L字形状で構成する。また、機体前側と側部の上面には、半球状の突起を前後及び左右方向に所定間隔毎に、あるいはランダムな間隔で形成すると共に、前部と側部の間、即ち角部の上面には、平面視の形状が長方形または正方形の突起を前後及び左右方向に所定間隔毎に、あるいはランダムな間隔で形成し、滑り止め作用を有する構成とする。
また、前記滑り止めステップ51の配置部分よりも後側には、作業者が作業時に搭乗する左右の作業座席14L,14Rが配置されており、該作業座席14L,14Rの下方位置には、作業者が足を載せる部分がある。この足を載せる部分について、立ち上がるときに靴底の水や土の影響で足が滑ることがあるので、この滑りを防止すべく、金属や樹脂の板の表面に滑り止めの細かい突起を加工形成する、あるいは樹脂繊維を格子状に編み込んで形成する、滑り止めマット52を表面にプラスチックリベット等で固定する。
さらに、前記搭乗ステップ34の機体後側、及び前記滑り止めステップ51の後部側の一部の側方に、搭乗ステップ34の一部を延長する、あるいは別の部材を接続して延設ステップ53を形成する。このとき、前記滑り止めマット52は、この延設ステップ53の一部を覆う形状とし、滑り止めとして作用する面積を拡大するものとする。
前記延設ステップ53を形成したことにより、作業者は乗り降り、あるいは作業の際に足を載せられる、あるいは移動させられる範囲が広くなるので、乗り降りがスムーズに行えて作業能率が向上すると共に、作業者が作業しやすい姿勢で車体10に搭乗でき、作業者の疲労の軽減に繋がる。
また、延設ステップ53と搭乗ステップ34の間に滑り止めステップ51が位置すると共に、滑り止めマット52の一部が延設ステップ53の一部を覆うことにより、移動時に作業者の足の一部が滑り止めに触れやすくなるので、乗り降りや作業の際に足を滑らせることが防止され、作業能率の低下が防止される。
図4に示すとおり、前記車体10は、畝の高さや移植する苗の品種や育苗段階に合わせて植付深さを適切に合わせるべく、前記左右の走行伝動ケース21,21を上下回動させて車高を変更する、車高調節機構54を左右中央部付近に伸縮自在に装着している。該車高調節機構54は、伸縮自在な昇降シリンダ55と、該昇降シリンダ55を構成する前後方向に摺動するピストンロッドの後端部側に、回動自在に設ける左右方向を長手方向とする天秤アーム56と、該天秤アーム56の左右両側に、一側端部が機体前側で走行伝動ケース21,21の回動機構と連結される昇降ロッド58,58を各々設ける。なお、該左右の昇降ロッド58,58のうち、左右どちらか一側には、ローリングシリンダ59を伸縮可能に設け、対応する側の走行伝動ケース21を上下回動させて車体10の左右傾斜角度を変更可能に構成する。
前記左右の昇降ロッド58,58は、天秤アーム56から機体前側に向かって直線的に設けられ、その一部は左右の搭乗ステップ34,31の機体内側を通過し、その上下位置は左右の搭乗ステップ34,31の上面付近である。したがって、昇降ロッド58がむき出しであると、作業者の足が接触し、昇降ロッド58が破損する、あるいは前後摺動が妨げられて車体10の車高調節やローリングが正常に行われなくなる問題がある。ただ、昇降ロッド58の上方をステップで覆ってしまうと、メンテナンスの度にステップを着脱する必要があり、メンテナンス作業に要する時間や労力が増大することになる。
この問題を防止すべく、図1から図3、及び図5に示すとおり、搭乗ステップ34の機体内側は上方に向けて折り曲げ、この折り曲げ部分にロッドカバー57を装着し、前記昇降ロッド58の上部と機体外側部を覆わせる。そして、該ロッドカバー57は、機体前側の上下方向の約下半分を機体後側に、昇降ロッド58が露出しない範囲で後退させ、四角形状の空隙部57aを形成する。
これにより、空隙部57aに作業者の足を入れることができるので、作業者がより作業しやすい姿勢で搭乗することができ、作業者の疲労の蓄積が軽減される。
なお、前記ロッドカバー57の上部には、走行伝動ケース21への伝動を入切するサイドクラッチ(図示省略)を入切操作するサイドクラッチレバー67、及び、後述する植付ホッパ41による、圃場に植え付けられる苗同士の前後間隔、所謂株間を調節操作する株間切替レバー68のガイド溝を各々形成し、レバーガイドを兼ねる構成としてもよい。
次に、植付機構40は、昇降されて苗を植え付ける、複数の植付条に各々対応する植付ホッパ41、即ち左右の外側植付ホッパ41a,41dと左右の内側植付ホッパ41b,41cを有する構成である。
本願においては、植付機構40は、機体左側の外側植付ホッパ41a及び内側植付ホッパ41b、及び機体右側の外側植付ホッパ41d及び内側植付ホッパ41cを各々昇降させて苗を植え付ける構成である。
なお、外側植付ホッパ41a,内側植付ホッパ41b,外側植付ホッパ41d及び内側植付ホッパ41cは、各々を区別すべく、機体左右一方の外側に配置される第1植付ホッパ41a、機体左右一方の内側に配置される第2植付ホッパ42b、機体左右他方の内側に配置される第3植付ホッパ41c、及び機体左右他方の外側に配置される第4植付ホッパ41dと呼称してもよい。
苗供給テーブル42は、ループ状に連結されて周回させられる、搭乗作業者により投入された苗を収容する複数の苗収容カップなどを有する。
車体10の後部には、苗供給テーブル42により供給された苗を植え付ける4つの植付ホッパ41、及び植付けられた苗の周辺の土壌に鎮圧荷重を負荷する鎮圧機構50等が、駆動後輪12と共に配置されている。
図6から図8に示すとおり、上記の第1から第4植付ホッパ41a,41b,41c,41dは、上部側を回動支点として下部側が開閉するクチバシ形状の左右一対のホッパ構成体39,39と、苗供給テーブル42から落下供給される苗を該左右のホッパ構成体39,39の内部に案内する苗ガイド38で構成する。
該苗ガイド38は平面視で楕円形状とし、機体左右外側に位置する外側植付ホッパ41a,41dの上部に設ける外側苗ガイド38a,38dは、長手方向が機体左右方向を向く姿勢で装着する。一方、機体左右内側に位置する内側植付ホッパ41b,41cの上部に設ける内側苗ガイド38b,38cは、長手方向が機体前後方向を向く姿勢で装着する。さらに、該左右の内側苗ガイド38b,38cは、苗供給テーブル42の左右方向の搬送経路の下方において、機体前側部分が搬送経路に臨む配置とする。
図1及び図2に示すとおり、前記苗供給テーブル42は、作業者が苗を一株または所定株数投入する、複数の苗搬送カップ42a…を円周状に繋げ、駆動力を受けて周回駆動させ、所定位置、即ち第1から第4の植付ホッパ41a,41b,41c,41dの上方で投入された苗を落下供給する構成としており、苗の植付の前後間隔、即ち株間の変速機構(図示省略)の切替操作に合わせて、この周回駆動による複数の苗搬送カップ42a…の回転ピッチが変化する構成とする。
本件においては、株間を切り替えた際、苗供給テーブル42の直線搬送部分と円弧搬送部分の境目付近に位置する第1及び第4の植付ホッパ41a,41dに苗が落下供給される位置が機体左右方向に大きく変わり、苗供給テーブル42の直線搬送部分に位置する第2及び第3の植付ホッパ41b,41cに苗が落下供給される位置はほとんど変化しない構成である。
左右の外側苗ガイド38a,38dの長手方向を機体左右方向に向けることにより、苗供給テーブル42の回転ピッチを変更して苗の落下供給位置が大きく変動しても、苗は左右の外側苗ガイド38a,38dの左右幅内に落下するので、苗の引継ぎミスにより、苗が植え付けられない箇所の発生が防止される。これにより、苗を手作業で植え直す必要が無くなり、作業者の労力が軽減される。
また、左右の内側苗ガイド38b,38cの長手方向を機体前後方向に向け、左右の内側苗ガイド38b,38cの機体前側部分を苗供給テーブル42の直線搬送部分の下方に配置したことにより、左右の内側苗ガイド38b,38c同士の左右間隔が広くなると共に、左右の内側苗ガイド38b,38cが植付機構40の昇降機構に接触することが防止でき、苗同士の左右間隔(条間)の狭い植付作業に適した移植機を構成できる。
上記第1から第4の植付ホッパ41a,41b,41c,41dが植え付けた苗の周囲を鎮圧する鎮圧機構50は、簡潔に言えば、左右の外側植付ホッパ41a,41dに各々対応する外側鎮圧具100a,100dと、左右の内側植付ホッパ41b,41cに各々対応する内側鎮圧具100b,100cで構成される。
図9から図10により、鎮圧機構50について具体的に説明する。
まず、車体10の後部に左右方向に配置する後部円筒フレーム70の左右両側に鎮圧支持プレート71,71を設け、該左右の鎮圧支持プレート71,71の左右間にローリング支持プレート72,72を設け、該左右の鎮圧支持プレート71,71及び左右のローリング支持プレート72,72の機体後側に各々形成する取付孔部(図示省略)を通して左右の鎮圧回動軸73,73を回転可能に設ける。なお、該左右の鎮圧回動軸73,73の機体内側端部同士は連結しないが、土や石等の接触防止や機体内側方向に鎮圧回動軸73,73が寄ることを防止すべく、一つの防護カラー69で左右の鎮圧回動軸73,73の機体内側端部付近の外周を覆う構成とする。
そして、前記左右の鎮圧回動軸73,73の機体外側端部から左右内側に向かう所定範囲に亘って、左右の外側鎮圧具100a,100dを構成する外側取付ボス74,74を連動して回転可能に装着する連動装着部73a,73aを各々形成する。
該連動装着部73a,73aは、四角柱、六角柱等の多角柱形状とし、連動装着部73a,73aに差し込んで装着する外側取付ボス74,74の孔部の形状を同形状とする。
なお、前記左右の外側取付ボス74,74の機体前側位置には、外側取付ボス74,74の左右方向の位置ずれを防止する前側ボルトを設け、左右の外側取付ボス74,74の機体外側端部には、抜け止めワッシャと抜け止めボルトを設けて、作業中に左右の外側鎮圧具100a,100dの鎮圧作用域が変化することを防止する。
上記の外側取付ボス74には、機体後側に向かって突出する左右一対の外側鎮圧フレーム75,75を設け、該左右の外側鎮圧フレーム75,75の後端部を連結する第1外側連結アーム76には、外側鎮圧具100a,100dを下方に付勢して鎮圧作用を強める外側鎮圧スプリング機構77の下端部を連結する。
さらに、該第1外側連結アーム76より機体前側位置で左右の外側鎮圧フレーム75,75を連結する第2外側連結アーム78を設け、該第2外側連結アーム78の機体前側で且つ左右の外側鎮圧フレーム75,75の左右間には、前記左右の外側植付ホッパ41a,41dに接触して土を擦り落とすホッパスクレーパ79,79を機体前側に装着すると共に、植え付けた苗の周囲の圃場面に接触して植付時に盛り上がり軟らかくなった土を踏み均す鎮圧輪80,80を機体後側に装着する鎮圧取付プレート81,81を各々装着する。
該左右の鎮圧取付プレート81,81は、機体後側の鎮圧輪取付部81b,81bの左右幅が、スクレーパ取付部81a,81aの左右幅よりも左右の外側鎮圧フレーム75,75の左右中央部に向かって突出する、平面視で「b」あるいは「d」形状とし、鎮圧輪取付部81b,81bには左右方向の長孔81cを形成する。該長孔81cは、機体前後方向に複数形成してもよい。
また、前記左右の鎮圧輪80,80は、正面(背面)視で上下反転したL字形状の鎮圧取付ステー82,82に回転可能に装着される。具体的には、機体左右方向を向く部分に固定ナット(図示省略)を溶着し、機体上下方向を向く部分に鎮圧輪80,80の鎮圧車軸83,83を各々溶着する。なお、該鎮圧車軸83,83は、左右の外側鎮圧フレーム75,75の左右中央部に向かって突出する配置とする。
さらに、前記鎮圧取付ステー82,82の機体上下方向を向く部分で、且つ鎮圧車軸83,83よりも機体上側には、鎮圧輪80,80の機体後側位置で外周面に臨み、鎮圧輪80,80に付着した土を掻き落とす鎮圧輪スクレーパ84,84を各々設ける。該左右の鎮圧輪スクレーパ84,84が鎮圧輪80,80の外周面に付着した土を掻き落とすことにより、鎮圧輪80,80の径が土により変化し、鎮圧作用が弱まることを防止できる。
上記により、左右の外側植付ホッパ41a,41dが植え付けた苗の周囲の土を均すと共に、圃場の凹凸に合わせて左右の鎮圧回動軸73,73を回転させる左右の外側鎮圧具100a,100dが構成される。
前記左右の外側取付ボス74,74の機体内側端部と左右の鎮圧支持プレート71,71の左右間にはスペーサカラー85,85を各々設け、該左右のスペーサカラー85,85より機体内側には、内側取付ボス86,86を各々回転自在に設ける。なお、該内側取付ボス86,86は中空の円筒とし、左右の鎮圧回動軸73,73を中心として回転する構成とする。
該左右の内側取付ボス86,86の外周面には、左右一対の内側鎮圧プレート87,87の基部を差し込んで溶着等により固定する。そして、該左右の内側鎮圧プレート87,87の機体後側端部には、内側鎮圧フレーム88,88を各々固定する。
なお、左右の内側鎮圧プレート87,87は、上下幅が左右幅よりも広い直方体の板体であり、この左右幅は内側鎮圧フレーム88,88の直径よりも狭くする。また、左右の内側鎮圧フレーム88,88は、左右の内側鎮圧プレート87,87の機体外側に各々装着する。そして、左右の内側鎮圧フレーム88,88の後端部を連結する内側連結アーム89には、内側鎮圧具100b,100cを下方に付勢して鎮圧作用を強める内側鎮圧スプリング機構90の下端部を連結する。
さらに、該内側連結アーム89の機体前側で且つ左右の内側鎮圧フレーム88,88の左右間には、前記左右の内側植付ホッパ41b,41cに接触して土を擦り落とす前記ホッパスクレーパ79,79を機体前側に装着すると共に、前記鎮圧輪80,80を機体後側に装着する鎮圧取付プレート81,81を各々装着する。
前記左右の鎮圧取付プレート81,81にも前記鎮圧取付ステー82,82を各々設け、前記鎮圧車軸83,83に鎮圧輪80,80を各々設けると共に、左右の鎮圧輪スクレーパ84,84を各々設ける。
上記により、左右の内側植付ホッパ41b,41cが植え付けた苗の周囲の土を均すと共に、圃場の凹凸に合わせて各々上下回動が可能である左右の内側鎮圧具100b,100cが構成される。
なお、左右の内側鎮圧フレーム88,88に装着する鎮圧取付プレート81,81は、左右の外側鎮圧フレーム75,75に装着する鎮圧取付プレート81,81よりも機体内側に配置され、これにより、内側鎮圧具100b,100cの各鎮圧輪80,80の鎮圧作用域は、外側鎮圧具100a,100dの鎮圧作用域よりも機体後側寄りとなる。
さらに、上記左右の内側鎮圧具100b,100cの左右間で、且つローリング支持プレート72,72の機体内側には、後述する傾斜検出部材300を構成する左右のケーブル部材アーム312,312が各々回動自在に装着される。該左右のケーブル部材アーム312,312は、前記左右の内側鎮圧プレート87,87の左右間で、且つ左右の内側鎮圧フレーム88,88の機体前方に形成される空間部91に臨んで配置される構成とする。
以上により、鎮圧装置50が構成される。
前記左右の外側鎮圧フレーム75,75のうち、機体内側に位置する外側鎮圧フレーム75の前後方向の中央部付近で且つ機体下側には、機体内側に向かって突出する連動ロッド92,92を設け、該連動ロッド92,92の機体内側の端部側を、前記左右の内側鎮圧フレーム88,88のうち、機体外側に位置する内側鎮圧フレーム88の下方に臨ませる。
該連動ロッド92,92を左右の内側鎮圧フレーム88,88の下方に各々臨ませて配置したことにより、左右の外側鎮圧具100a,100dの上方回動時には左右の内側鎮圧具100b,100cが連動して上方回動し、下方回動時には、左右の外側鎮圧具100a,100dの下方回動量に合わせて左右の内側鎮圧具100b,100cが下方回動する構成になる。
上記の構成により、左右の外側鎮圧具100a,100dの上下回動に連動して隣接する左右の内側鎮圧具100b,100cを上下回動させることができるので、車体10の左右傾斜を傾斜検出部材300で検知し、圃場面に対する車体10の姿勢を水平に保つことができる。これにより、苗が圃場面に斜めに植え付けられることや、車体10の傾斜により進行方向が乱れることが防止され、苗の植付精度の低下が防止される。
また、車体10の左右傾斜にはあまり関係しない、植付中の畝の中央付近に大きな凹凸や石があるとき、左右の内側鎮圧具100b,100cを各々独立して上下回動させることができるので、左右の内側鎮圧具100b,100cが凹凸や石の影響で走行抵抗になることが防止される。
また、各鎮圧輪80,80の左右間を調節することができるので、植え付ける苗の種類や生育段階に合わせて適切な位置を鎮圧させることができる。これにより、苗の周囲の土が固められず、苗が倒れたり外気の影響を受けて生育不良を起こすことや、鎮圧輪80,80が苗を踏み潰すことが防止され、苗の生育が良好になる。
また、左右の内側取付ボス86,86に左右幅の狭い左右の内側鎮圧プレート87,87を装着したことにより、ケーブル部材アーム312,312が内側鎮圧プレート87,87に干渉することなく上下回動可能となるので、車体10が左右方向に傾斜した際に水平姿勢に速やかに戻すことができ、苗の植付精度の低下が防止される。
上記の鎮圧装置50は、植付作業時には接地させる必要があるが、非作業走行時に圃場面近くにあると走行抵抗になる、あるいは地面付近にある物体と接触して破損するおそれがある。また、旋回時に鎮圧装置50が圃場面近くに位置していると、鎮圧装置50が旋回走行を妨げることや、接地抵抗で破損するおそれがある。
非作業走行時や旋回時は、昇降シリンダを伸長させて車体10の車高を植付作業時よりも高くするが、このとき昇降シリンダの伸長に合わせて鎮圧昇降ケーブル(図示省略)の一側端部が機体前側に引っ張られる構成とする。そして、該鎮圧昇降ケーブルの他側端部は、前記左右の外側取付ボス74,74に設ける昇降ケーブルステー93,93に連結する。なお、鎮圧昇降ケーブルは、車体10の車高が植付作業の上限位置を超えた位置で鎮圧装置50を上方に引き上げ始め、植付作業の上限位置よりも車高が低い状態では弛んで鎮圧装置50を上方に引き上げない張り方とする。
これにより、植付作業を行わない車高にすると鎮圧装置50が自動的に上方回動するので、走行中や旋回中に鎮圧装置50が地面に接触することが防止され、破損したり、車体10の走行を妨げることが防止される。
また、左右の外側鎮圧具100a,10Odを上方回動させる構成としたことにより、左右の内側鎮圧具100b,100cを連動して上方回動させることができるので、左右の内側鎮圧具100b,100cを車体10の車高調節に合わせて上下回動させる機構が不要となり、構成の簡略化が図られる。
図9及び図10に示す第1から第4の鎮圧具100a,100b,100c,100dの各鎮圧輪80,80は、接地面に対して水平乃至略水平な姿勢で配置されている。レタス苗等の左右幅がある程度大きな苗については、苗の左右両側を広く鎮圧できる上記の鎮圧輪80,80の配置が好ましい。
しかしながら、タマネギ苗等の左右幅が小さい苗については、鎮圧輪80,80の左右間隔を最小限にしても、苗の周囲の土を十分に鎮圧できず、苗が倒れたり、土の中に冷たい空気が入り込み、低温の影響を受けたりすることがある。
細い苗の傍の土を鎮圧する第2の鎮圧装置150は、次のとおり構成する。図11から図13に示すとおり、機体左右一側(機体左側)に位置する外側鎮圧フレーム75及び内側鎮圧フレーム88に左側取付プレート180Lを機体下方に向けて取り付け、該左側取付プレート180Lの下端部に、側面視で「へ」の字形状の左側鎮圧ステー181Lを機体前側下方で、且つ左右の外側鎮圧フレーム75,75または左右の内側鎮圧フレーム88,88の左右中央部に向かう姿勢で溶接等によって固定する。
そして、左側鎮圧車軸182Lを左右の外側鎮圧フレーム75,75または左右の内側鎮圧フレーム88,88の左右中央部に向かう姿勢で、且つ機体上方に向けて配置し、該左側鎮圧車軸182Lに左側鎮圧輪183Lを、背面視で機体下側ほど左右の外側鎮圧フレーム75,75または左右の内側鎮圧フレーム88,88の左右中央部に接近する左右傾斜姿勢で回転自在に配置する。
前記左側鎮圧輪183Lは、左側鎮圧車軸182Lの機体左右一側、即ち機体下側からボルトまたはナット等の固定部材184を用いて固定するが、この固定部材184は、左側鎮圧輪183Lの上下中心よりも機体下側に取り付ける構成とする。
また、左側鎮圧輪183Lを装着する左側鎮圧ステー181Lの機体前側端部付近には、上下方向の長孔、あるいは上下方向に複数の取付孔を形成し、左側鎮圧輪183Lの上下位置を調節可能に装着する。
さらに、左側鎮圧ステー181Lの機体前後部分には、機体下側に向かう左側スクレーパステー185Lを設け、該左側スクレーパステー185Lには、左側鎮圧輪183Lの側面を経由して後部側に作用部が臨む、L字形状の左側スクレーパ186Lを設ける。なお、該左側スクレーパステー185Lには、前後方向の長孔を形成し、左側鎮圧輪183Lと左側スクレーパ186Lの前後距離を調節可能に構成する。
そして、機体左右他側(機体右側)に位置する外側鎮圧フレーム75及び内側鎮圧フレーム88に右側取付プレート180Rを機体下方に向けて取り付け、該右側取付プレート180Rの下端部に、側面視で「へ」の字形状の右側鎮圧ステー181Rを機体後側下方で、且つ左右の外側鎮圧フレーム75,75または左右の内側鎮圧フレーム88,88の左右中央部に向かう姿勢で溶着等で固定する。
そして、右側鎮圧車軸182Rを左右の外側鎮圧フレーム75,75または左右の内側鎮圧フレーム88,88の左右中央部に向かう姿勢で、且つ機体上方に向けて配置し、該右側鎮圧車軸182Rに右側鎮圧輪183Rを、背面視で機体下側ほど左右の外側鎮圧フレーム75,75または左右の内側鎮圧フレーム88,88の左右中央部に接近する左右傾斜姿勢で回転自在に配置する。
前記右側鎮圧輪183Rは、右側鎮圧車軸182Rの機体左右他側、即ち機体下側からボルトまたはナット等の固定部材184を用いて固定するが、この固定部材184は、右側鎮圧輪183Rの上下中心よりも機体下側に取り付ける構成とする。
また、右側鎮圧輪183Rを装着する右側鎮圧ステー181Rの機体前側端部付近には、上下方向の長孔、あるいは上下方向に複数の取付孔を形成し、右側鎮圧輪183Rの上下位置を調節可能に装着する。
さらに、右側鎮圧ステー181Rの機体前後部分には、機体下側に向かう右側スクレーパステー185Rを設け、該右側スクレーパステー185Rには、右側鎮圧輪183Rの側面を経由して後部側に作用部が臨む、L字形状の右側スクレーパ186Rを設ける。なお、該右側スクレーパステー185Rには、前後方向の長孔を形成し、右側鎮圧輪183Rと右側スクレーパ186Rの前後距離を調節可能に構成する。
上記の構成では、背面視において、左右の鎮圧輪183L,183Rの下部側同士が近接し合うので、左右の鎮圧輪183L,183Rの鎮圧作用位置を植え付けた苗の際に近付けることができる。これにより、苗の周囲の土が柔らかいままとなり、苗が風等の影響で倒れることや、土中の温度が低下して生育に悪影響が出ることが防止される。
また、左側取付プレート180Lと右側取付プレート180Rの取付位置を機体前後方向で異ならせることにより、左右の鎮圧輪183L,183Rの前後位置にズレが生じにくく、苗の周囲の鎮圧を確実に行えると共に、外側の鎮圧具100a,100dの機体内側と内側の鎮圧具100b,100cの外側の左右間隔を各々狭くしつつ、外側の鎮圧具100a,100dと内側の鎮圧具100b,100cが干渉し合うことが防止される。
さらに、左右の鎮圧輪183L,183Rを固定する固定部材184の取付位置が、左右の鎮圧輪183L,183Rの上下中央部よりも下側であることにより、外側鎮圧具100a,100dの右側鎮圧輪183Rと内側鎮圧具100b,100cの左側鎮圧輪183Lの左右間隔が狭い配置でありながら、左右の鎮圧輪183L,183Rの斜め下に固定部材を着脱する空間部が形成されるので、着脱作業に要する作業時間の軽減が図られる。
次に、図14から図16に示すとおり、左右の外側鎮圧具100a,100dの上下回動量の差に基づき車体10の左右方向の傾斜を検知し、車体10を圃場面に対して水平姿勢にする傾斜検出部材300の配置について説明する。
前記左右の内側鎮圧具100b,100cの左右間には、ケーブル部材320が連結されている傾斜検出部材300を配置するためのスペースが形成されている。傾斜検出部材300は、上述のとおり、左右の外側鎮圧具100a,100dに各々対応する傾斜検出アーム部材310を有する。
左のケーブル部材320は機体左側の鎮圧回動軸73と連動する左の傾斜検出アーム部材310へ連結されており、右のケーブル部材320は機体右側の鎮圧回動軸73と連動する右の傾斜検出アーム部材310へ連結されている。
連携部材としてのローリングワイヤであるケーブル部材320の内の下側のケーブルは、回動可能な鎮圧装置50と干渉することなく、後方から前方へ向かって車体10のメインフレームまたはハンドルフレームの下方に配索される。
傾斜検出アーム部材ストッパー310cは、被当接部材としての車体貼付プレート10aへ下方から当接することにより、畝終端における車体10の下降に伴う鎮圧装置50の過度な上昇などによる昇降リンク装置40aとの干渉を抑制する。
種々の調節操作が行いやすいよう、左右の内側鎮圧プレート87,87及び左右の内側鎮圧フレーム88,88と、側面視においてオーバーラップしない傾斜角度で後方へ向かって突出する傾斜検出部材300には、第1から第4の鎮圧具100a,100b,100c,100dに連動して回動する左及び右の傾斜検出アーム部材310により牽引されるケーブル部材320が連結されている。
車体前後方向調節ボルト310bが車体前後方向調節長孔310aへ挿入されており、位置決めのためのワイヤ支持アームとしての傾斜検出アーム部材後部は車体前後方向に移動可能に傾斜検出アーム部材前部へ取付けられている。このため、傾斜検出部材300の検出結果に基づいて、第1から第4の植付ホッパ41a,41b,41c,41dが圃場面に対して垂直であるように車体10を傾斜させる、植付け水平維持機能としてのローリング機能がより確実に実現される。
調節操作が行いやすいように、ケーブル部材320のケーブルアウター部材受け321は、植付機構40の植付機構支持部40bの前方に位置する。
ケーブル部材320のケーブルインナー部材が通過するケーブル通過孔とともに傾斜検出アーム部材310の水平維持感度調節プレートに形成された傾斜検出アーム部材レギュレーター310dは、感度調節にともなうケーブル動作範囲の変化を招来することなく、ケーブル動作範囲を規制して過度なケーブル牽引にともなう油圧バルブ負荷の増大を抑制する。左の傾斜検出アーム部材310の傾斜検出アーム部材レギュレーター310dは右の傾斜検出アーム部材310へ上方から当接することにより左の傾斜検出アーム部材310のケーブル動作範囲を規制し、右の傾斜検出アーム部材310の傾斜検出アーム部材レギュレーター310dは左の傾斜検出アーム部材310へ下方から当接することにより右の傾斜検出アーム部材310のケーブル動作範囲を規制する。
左または右の傾斜検出アーム部材310が、左右の外側鎮圧具100a,100dと連動する鎮圧具アーム311と、ケーブル部材320が連結されているケーブル部材アーム312とに分割されている。
本実施の形態においては、左の傾斜検出アーム部材310が、左右の外側鎮圧具100a,100dと連動する鎮圧具アーム311と、ケーブル部材320が連結されているケーブル部材アーム312とに分割されている。
ケーブル部材アーム312は、取付け位置が調節可能であるように、鎮圧具アーム311へ取付けられている。
左の傾斜検出アーム部材310が、車体前側の回動支軸アームとしての鎮圧具アーム311と、車体後側の調節アームとしてのケーブル部材アーム312とに分割されており、車体上下方向調節ボルト311bが車体上下方向調節長孔311aへ挿入されている。これにより、植付け水平維持機能における左右移動量は、ケーブル部材アーム312を上下方向に回動させることにより調節される。
右の傾斜検出アーム部材310近傍には、凹凸を有する圃場面に接触して回動しながら回動量に基づいて車高を調節するためのいわゆる深さセンサー、及び車体ローリング機構において、左右の外側鎮圧具100a,100dの回動量の差を検知する基準部分などが設けられており、植付け水平維持機能における上下高さ基準となる右の傾斜検出アーム部材310は分割されていないので、車体10の左右傾斜は圃場傾斜及び圃場土質などに応じて設定しやすく、植付ホッパ41が圃場面に対してより垂直である植付け姿勢がより確実に実現され、苗植付け精度が向上される。
前記左右の外側鎮圧具100a,100dが上下回動すると、前記左右の鎮圧回動軸73,73が連動して回転し、さらに連動して左右のケーブル部材アーム312,312が前後方向に回動する。このとき、左右の傾斜検出アーム部材310,310の各々の上下位置の変化により、ケーブル部材320,320の各々の引っ張られる量が変動し、ケーブル部材320,320の各一側端部が接続されている油圧バルブ(図示省略)の開度を伸長方向、または収縮方向のいずれかにおいて変更する。油圧バルブの開度が変化すると、接続されているローリングシリンダが伸長し、左右一側の走行伝動ケース21を上下回動させて車体10の左右一側の車高を変更する。
これにより、車体10の左右傾斜を圃場面の傾斜に合わせて変化させることができるので、苗の植付姿勢が圃場面に対して垂直乃至略垂直になり、植付精度が向上する。
また、左右高さの差が生じにくい車体10の左右中央部近くに設けられる左右の外側鎮圧具100b,100cではなく、畝溝の深さ等の影響で左右高さの差が大きくなりやすい左右の外側鎮圧具100a,100dにより車体10の左右傾斜を検出されることにより、苗の植付に影響のある大きな左右傾斜があるときに車体10をローリングさせて水平姿勢とすることができる。
これにより、苗の植付に影響のない僅かな左右傾斜の検出時にローリングシリンダが伸縮作動して車体10が頻繁にローリング動作することを防止できるので、植付姿勢がかえって乱れることが防止される。
左右の外側鎮圧具100a,100dに関する車体上下方向調節のみを行うことができ、いわゆる左右バランス調節、リフト位置調節、及びストッパー位置調節などは不要である。
そして、ケーブル部材320は左右の内側植付ホッパ41b,41c及び左右の外側鎮圧具100a,100dの左右方向のスペースの後方に位置するので、ケーブル部材320の前後移動操作のみならず、ケーブル部材アーム312の上下回動などのような調節操作も行いやすい。
上記では、左右の外側鎮圧具100a,100d及び左右の外側鎮圧具100b,100cを用いてローリング制御を自動的に行わせ、車体10を苗の植付に適した左右傾斜姿勢としているが、畝端での植え始め位置のように左右の外側鎮圧具100a,100d及び左右の外側鎮圧具100b,100cを用いたローリング制御が行えない箇所や、あるいはローリング制御による車体10の左右傾斜が圃場の実態に合っていないときには、手動操作で車体10の左右傾斜を調節する必要がある。
しかしながら、従来の移植機では、ローリングの手動操作レバーは車体10の前側寄りに配置されていることが多く、畝端での作業開始前の左右傾斜調整時に畝と機体の左右傾斜角度を比較して調節し辛く、植え始めの斜体10の傾斜角度が畝の角度に合わず、苗の植付姿勢が乱れる問題がある。
これを防止すべく、図17から図19に示すとおり、操作ユニット16の前側に機体左右一側に突出する傾斜調節フレーム60を設ける。該傾斜調節フレーム60は、板体を折り曲げて側面視L字形状とし、前側左右一側の機体上側となる面に、左右方向に長い取付切欠部61を形成する。そして、該取付切欠部61を通して傾斜調節レバー62を設け、該傾斜調節レバー62の下端部付近を傾斜調節フレーム60の下部側に左右方向に回動可能に装着する。
また、前記傾斜調節レバー62の取付位置よりも機体左右他側寄りの位置で、且つ傾斜調節フレーム60の機体上側となる面の下方にケーブルステー64を設ける。そして、該ケーブルステー64と傾斜調節レバー60の上下一側には、傾斜調節レバー60を左右一側方向に回動操作するとローリングシリンダ59を伸長させて、車体10の左右一側が低くなる傾斜姿勢にさせる第1ケーブル65の一側部を取り付け、該ケーブルステー64と傾斜調節レバー60の上下他側には、傾斜調節レバー60を左右他側方向に回動操作するとローリングシリンダ59を収縮させて、車体10の左右他側が低くなる傾斜姿勢にさせる第2ケーブル66の一側部を装着する。
これにより、作業者は機体の後側から傾斜調節レバー60を操作して第1ケーブル65または第2ケーブル66を介してローリングシリンダ59を伸縮させ、車体10の左右傾斜角度を調節できるので、苗の植付姿勢を畝面に対して適切な姿勢、例えば垂直に植え付けることができ、苗の植付精度が向上する。
また、左右傾斜角度の調節の前後において、作業者がほぼ移動する必要が無いので、作業能率の低下が防止される。
なお、前記第1ケーブル65及び第2ケーブル66は、周囲の部材との干渉を防止すべく、車体10の後部に設ける操作ユニット16の支持フレーム17に、クランプ(図示省略)等で抑えて装着することが望ましい。
また、前記第1ケーブル65及び第2ケーブル66の端部側は、従来の斜体10の前側に位置する傾斜調節レバーの操作方向に合わせて各々装着し、作業者がどちら側から操作しても同様に車体10の左右傾斜角度調節が可能な構成とすると、第1ケーブル65及び第2ケーブル66以外にケーブルを追加する必要が無く、配策の複雑化が防止される。