図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
第1実施形態
燃料電池システム1は、例えば燃料電池ハイブリッド車(FCHV)に搭載されて走行用モータへ供給する電力を発電する。また、定置型燃料電池システムとして、電気と熱を同時に取り出して給湯や暖房などを行う。
燃料電池システム1は、燃料電池セルにおいて、燃料ガスと酸化剤ガスとの化学反応によって、発電を行うシステムである。以下では、燃料ガスとして水素を用い、酸化剤ガスとして酸素を含む空気を用いる場合を例に説明を行う。
図1において、燃料電池システム1は、燃料電池11と、水素供給部20と、水素減圧部30と、空気供給部50と、FC冷却部60とを備えている。燃料電池11は、燃料電池セルを備えている。燃料電池セルは、水素イオンを透過可能な電解質膜の一方の面に正極を備え、他方の面に負極を備えて構成されている。燃料電池セルは、正極に酸化剤として機能する酸素を含む空気が供給され、負極に還元剤として機能する水素が供給されることで、化学反応によって発電を行う固体高分子形燃料電池である。燃料電池11は、複数の燃料電池セルがセパレータを介して重なるように構成されている。燃料電池11は、FCあるいはFCスタックとも呼ばれる。
水素供給部20は、燃料電池システム1において、燃料電池11に燃料である水素を供給するための部分である。水素供給部20は、充填部21と水素貯蔵部25とを備えている。充填部21は、水素ステーションから燃料電池システム1に水素を充填する際に、水素の入口として機能する開口である充填口を形成している部分である。水素貯蔵部25は、高圧の水素を貯蔵するための装置である。水素貯蔵部25は、複数のタンクを有している。
水素供給部20は、充填部21と水素貯蔵部25とを接続して、水素の流路を提供する充填流路29uを備えている。充填流路29uは、複数のタンクそれぞれに水素を分配して流入させる分配部22を備えている。分配部22には、水素の圧力を計測するための充填側圧力センサ22pが設けられている。分配部22と充填流路29uとは、燃料流路の一例を提供する。分配部22における圧力は、充填側圧力の一例を提供する。
水素供給部20は、水素貯蔵部25から燃料電池11に向かって水素を供給するための流路の一部を構成する高圧流路29dを備えている。高圧流路29dは、水素貯蔵部25と燃料電池11との間での水素の流れを制御するためのタンク開閉弁26を備えている。タンク開閉弁26は、開度を電気的に制御可能な電気的駆動弁である。タンク開閉弁26は、タンクシャットバルブとも呼ばれる。高圧流路29dは、複数のタンクから燃料電池11に向かって流出した水素を合流させる合流部28を備えている。合流部28には、水素の圧力を計測するための高圧センサ28pが設けられている。合流部28と高圧流路29dとは、燃料流路の一例を提供する。合流部28における圧力は、供給側圧力の一例を提供する。高圧センサ28pは、供給側圧力センサの一例を提供する。
水素減圧部30は、水素供給部20と燃料電池11との間に設けられている。水素減圧部30は、燃料電池システム1において、燃料電池11に水素を供給する過程で水素の圧力を減圧するための部分である。水素減圧部30は、レギュレータ31とインジェクタ35との2つの減圧装置を備えている。
レギュレータ31は、高圧流路29dを流れてきた高圧の水素を高圧よりも低い圧力である中圧に減圧する装置である。レギュレータ31は、レギュレータ31の上流側と下流側との圧力差を所定の値に保つ機械式の駆動弁である。ただし、レギュレータ31として、開度を電気的に制御可能な電気的駆動弁を用いて、上流側と下流側との圧力差を電気的に制御してもよい。
インジェクタ35は、レギュレータ31で減圧され、中圧となった水素を中圧よりも低い圧力である低圧に減圧する装置である。インジェクタ35は、開度を電気的に制御可能な電気的駆動弁を複数並列に配置して構成されている。インジェクタ35は、例えば3つの電気的駆動弁で構成されている。インジェクタ35は、燃料電池11に流す水素の量を制御するための装置として機能する。言い換えると、燃料電池11で消費する水素の量が少ない場合には、インジェクタ35を構成する弁のうち、開状態とする弁の数を少なくする。一方、燃料電池11で消費する水素の量が多い場合には、インジェクタ35を構成する弁のうち、開状態とする弁の数を多くする。このように、インジェクタ35を構成する複数の弁のうち、開状態とする弁の数を制御することで燃料電池11に流す水素の量を制御する。
水素減圧部30は、高圧流路29dとインジェクタ35とを接続して、水素の流路を提供する中圧流路39uを備えている。レギュレータ31は、高圧流路29dと中圧流路39uとの境界上に位置することとなる。中圧流路39uには、水素の圧力を計測するための中圧センサ33pが設けられている。
水素減圧部30は、中圧流路39uと燃料電池11とを接続して、水素の流路を提供する低圧流路39dを備えている。インジェクタ35は、中圧流路39uと低圧流路39dとの境界上に位置することとなる。低圧流路39dには、水素の圧力を計測するための低圧センサ36pが設けられている。
燃料電池システム1において、水素は、高圧流路29d、中圧流路39u、低圧流路39dの順に燃料電池11に向かって段階的に圧力を低下させながら流れることとなる。ただし、水素の圧力は、高圧と中圧と低圧との3段階に低下する場合に限られない。中圧流路39uと低圧流路39dとは、燃料流路の一例を提供する。
燃料電池システム1は、燃料電池11での化学反応に使用されなかった水素を循環させる水素循環部を備えている。水素循環部は、水素ポンプ41と排水弁43とを備えている。水素ポンプ41は、燃料電池11から流出した水素を吸い込んで低圧流路39dに戻すための流体輸送装置である。水素ポンプ41は、出力の大きさを電気的に制御可能な電動ポンプである。排水弁43は、燃料電池11において水素と酸素との化学反応によって生じた水を排水するための装置である。排水弁43は、水を排水する際に一部の水素も排水と同時に排気することがある。
水素循環部は、燃料電池11と水素ポンプ41と排水弁43とを接続して水素などの流体が流れる水素循環流路49を備えている。水素循環流路49は、燃料電池11における水素と水の流出部分から低圧流路39dまでを接続して流体の循環する流路を構成している。
空気供給部50は、燃料電池システム1において、燃料電池11に酸化剤である酸素を含む空気を供給するための部分である。空気供給部50は、エアクリーナ51とエアコンプレッサ52とを備えている。エアクリーナ51は、空気に含まれる異物を除去するための装置である。エアクリーナ51の内部には、フィルタが設けられており、エアクリーナ51を通過する空気から異物を除去する。エアコンプレッサ52は、吸い込んだ空気を圧縮して燃料電池11に送る装置である。エアコンプレッサ52は、運転制御を電気的に制御可能な電動コンプレッサである。
空気供給部50は、燃料電池11とエアクリーナ51とエアコンプレッサ52とを接続して空気などの流体が流れる空気流路59を備えている。空気流路59は、燃料電池11に空気を供給するまでの流路と、燃料電池11を流れた空気を外部に排出するまでの流路とを備えている。空気流路59のうち、燃料電池11を流れた空気を外部に排出するまでの部分には、マフラー58が設けられている。マフラー58は、燃料電池システム1の内部から外部に流体を適切に排出するための装置である。
空気流路59のうち、燃料電池11を流れた空気を外部に排出するまでの部分は、排水弁43と接続している。このため、排水弁43から排水された水および水素と燃料電池11を流れた空気とが合流した後に、マフラー58を通過して外部へと排出されることとなる。
空気流路59は、燃料電池11を経由せずにマフラー58に空気を流す水素希釈用流路を備えている。空気流路59には、水素希釈用流路に流す空気の量を制御する分流バルブ53が設けられている。分流バルブ53は、排水弁43から排出される水素の量が多い場合に、水素希釈用流路に流れる空気の量を多くする。これにより、マフラー58から外部に排出される水素を希釈して、外部に排出される水素濃度が高くなり過ぎることを抑制している。空気流路59には、調圧バルブ54が設けられている。調圧バルブ54の開度制御によって、燃料電池11に供給される空気の量が調整される。分流バルブ53と調圧バルブ54とは、開度を電気的に制御可能な電気的駆動弁である。
空気流路59には、エアコンプレッサ52で圧縮する空気である吸気の温度を計測する吸気温度センサ51tが設けられている。吸気温度センサ51tは、エアクリーナ51よりも空気の流れの上流側に設けられている。空気流路59には、吸気の流れる量を計測するためのエアフロメータ51sが設けられている。エアフロメータ51sは、エアクリーナ51とエアコンプレッサ52との間に設けられている。
FC冷却部60は、燃料電池システム1において、発電にともなって発熱する燃料電池11を冷却するための部分である。FC冷却部60は、冷却水ポンプ61とラジエータ64と送風機66とを備えている。冷却水ポンプ61は、燃料電池11に冷却水を流すためのポンプである。冷却水ポンプ61は、出力の大きさを電気的に制御可能な電動ポンプである。ラジエータ64は、冷却水と空気とを熱交換させて冷却水を冷却するための装置である。送風機66は、ラジエータ64を流れる空気の量を制御して、ラジエータ64による冷却水の冷却効果を制御する装置である。
FC冷却部60は、燃料電池11と冷却水ポンプ61とラジエータ64とを環状に接続する冷却流路69を備えている。冷却流路69は、ラジエータ64を経由せずに冷却水を燃料電池11に循環させるためのバイパス流路69iを備えている。バイパス流路69iには、バイパス流路69iに流れる冷却水の量を制御するバイパス弁63が設けられている。
冷却流路69には、燃料電池11よりも冷却水の流れの下流側であって、バイパス弁63よりも上流側に高温温度センサ62tが設けられている。高温温度センサ62tは、発熱部品である燃料電池11との熱交換によって加熱され、高温になった冷却水の温度を計測するセンサである。冷却流路69には、ラジエータ64よりも冷却水の流れの下流側であって、冷却流路69におけるバイパス流路69iとの接続部分よりも上流側に低温温度センサ65tが設けられている。低温温度センサ65tは、ラジエータ64との熱交換によって冷却され、低温になった冷却水の温度を計測するセンサである。
燃料電池システム1における発電の流れについて以下に説明する。燃料電池11での発電を開始する際、タンク開閉弁26を開いて水素貯蔵部25に貯蔵されている水素を水素貯蔵部25から流出可能な状態とする。水素貯蔵部25から流出した高圧の水素は、レギュレータ31で減圧されて中圧の状態となる。その後、中圧の水素は、インジェクタ35で減圧されて低圧の状態となる。低圧の水素は、燃料電池11の負極に供給される。
また、燃料電池11での発電を開始する際、エアコンプレッサ52を駆動して、圧縮した空気を燃料電池11の正極に供給する。燃料電池11の内部では、供給された水素と空気によって、水素と酸素の化学反応が引き起こされて発電する。この時、燃料電池11では、電気の発生に伴って熱も発生することとなる。
燃料電池11に流入した水素の一部は、燃料電池11での化学反応に使用されて、水が生成される。燃料電池11に流入した水素のうち燃料電池11での化学反応に使用されなかった水素は、水素循環流路49を循環して、再び燃料電池11に流入する。化学反応によって生じた水や反応に使用されなかった水素などを含む流体は、マフラー58を通過して燃料電池システム1の外部へと流出する。
発電を行わない場合には、タンク開閉弁26やインジェクタ35を閉状態として、水素貯蔵部25からの水素供給を停止する。さらに、水素ポンプ41とエアコンプレッサ52との駆動を停止する。これにより、燃料電池11への水素の再循環や酸素の供給を停止する。
燃料電池11の温度が冷却開始温度を超えた場合には、冷却水ポンプ61を駆動して燃料電池11の冷却を開始する。この時、ラジエータ64に冷却水が流れるようにバイパス弁63を制御する。さらに、送風機66を制御してラジエータ64に空気を流す。これにより、燃料電池11を冷却して温度の上昇した冷却水を、ラジエータ64で冷却して温度を低下させてから再び燃料電池11に流すことができる。
図2において、水素貯蔵部25は、第1水素タンク25aと第2水素タンク25bとの2つのタンクによって構成されている。第1水素タンク25aと第2水素タンク25bとは、タンク容積や耐圧などの特性が互いに等しいタンクである。第1水素タンク25aは、燃料タンクの一例を提供する。第2水素タンク25bは、燃料タンクの一例を提供する。
タンク開閉弁26は、第1タンク開閉弁26aと第2タンク開閉弁26bとの2つの弁によって構成されている。第1タンク開閉弁26aは、第1水素タンク25aと合流部28との間の燃料流路に設けられている。一方、第2タンク開閉弁26bは、第2水素タンク25bと合流部28との間の燃料流路に設けられている。
充填流路29uにおいて、分配部22から第1水素タンク25aまでの間には、第1充填側逆止弁23aが設けられている。第1充填側逆止弁23aは、分配部22から第1水素タンク25aに向かう水素の流れを許容し、第1水素タンク25aから分配部22に向かう水素の逆流を妨げる。言い換えると、第1充填側逆止弁23aは、充填部21から第1水素タンク25aに充填された水素が、逆流して充填部21から外部に流出することを防止する弁である。第1充填側逆止弁23aは、充填側逆止弁の一例を提供する。
高圧流路29dにおいて、第1水素タンク25aから合流部28までの間には、第1供給側逆止弁27aが設けられている。第1供給側逆止弁27aは、第1水素タンク25aから合流部28に向かう水素の流れを許容し、合流部28から第1水素タンク25aに向かう水素の逆流を妨げる。言い換えると、第1供給側逆止弁27aは、第1水素タンク25aから燃料電池11に向かって供給された水素が、逆流して第1水素タンク25aに戻ることを防止する弁である。第1供給側逆止弁27aは、供給側逆止弁の一例を提供する。
充填流路29uと高圧流路29dとの共通部分であって、第1水素タンク25aの出入口の近傍には、第1マニュアル弁24aが設けられている。第1マニュアル弁24aは、第1水素タンク25aと燃料電池システム1の水素流路とが連通した状態と分離した状態とに切り替えるための弁である。第1マニュアル弁24aの開状態においては、第1水素タンク25aと燃料電池システム1の水素流路とが連通しており、水素が自由に行き来可能である。一方、第1マニュアル弁24aの閉状態においては、第1水素タンク25aと燃料電池システム1の水素流路とが分離しており、水素が自由に行き来できない。第1水素タンク25aを交換する場合などには、第1マニュアル弁24aを閉状態としてから第1水素タンク25aの交換を行うこととなる。
まとめると、第1水素タンク25aに貯蔵される水素は、上流側から順に、第1充填側逆止弁23a、第1マニュアル弁24a、第1タンク開閉弁26a、第1供給側逆止弁27aの4つの弁によって流れが制御されることとなる。第1水素タンク25aと、第1充填側逆止弁23aと、第1マニュアル弁24aと、第1タンク開閉弁26aと、第1供給側逆止弁27aとは、第1タンクユニット20aを構成している。第1タンクユニット20aは、タンクユニットの一例を提供する。
第2水素タンク25bに貯蔵される水素についても第1水素タンク25aに貯蔵される水素と同様に流れが制御される。言い換えると、第2水素タンク25bに貯蔵される水素は、上流側から順に、第2充填側逆止弁23b、第2マニュアル弁24b、第2タンク開閉弁26b、第2供給側逆止弁27bの4つの弁によって流れが制御されることとなる。第2水素タンク25bと、第2充填側逆止弁23bと、第2マニュアル弁24bと、第2タンク開閉弁26bと、第2供給側逆止弁27bとは、第2タンクユニット20bを構成している。第2タンクユニット20bは、タンクユニットの一例を提供している。第2充填側逆止弁23bは、充填側逆止弁の一例を提供する。第2供給側逆止弁27bは、供給側逆止弁の一例を提供する。
燃料電池システム1に対して、水素ステーションから水素が充填される際には、高圧の水素が第1充填側逆止弁23aや第2充填側逆止弁23bを開弁して水素貯蔵部25に充填されることになる。このとき、充填部21に付着したごみなどの異物が水素の流れに乗って燃料電池システム1の内部に侵入することがある。燃料電池システム1の内部に侵入した異物は、第1充填側逆止弁23aなどの弁に到達すると弁において異物の噛み込みを引き起こして、弁を故障させる可能性がある。仮に、第1充填側逆止弁23aが異物を噛み込んだ状態となると、異物が閉弁を妨げることによって、弁が開き続ける故障である開故障が引き起こされる場合がある。
また、燃料電池システム1に対して、水素ステーションから低温の水素が充填される際には、異物の噛み込みだけでなく、弁の凍結が引き起こされる可能性がある。仮に、第1充填側逆止弁23aが閉弁した状態で凍結すると、凍結箇所が開弁を妨げることによって、弁が閉じ続ける故障である閉故障が引き起こされる場合がある。また、第1充填側逆止弁23aが開弁した状態で凍結すると、凍結箇所が閉弁を妨げることによって、開故障が引き起こされる場合がある。
第1充填側逆止弁23aは、第1供給側逆止弁27aよりも水素の流れの上流に位置している。このため、第1充填側逆止弁23aは、第1供給側逆止弁27aよりも異物の噛み込みが引き起こされやすい。また、第1充填側逆止弁23aは、第1供給側逆止弁27aよりも温度の低い水素が流れやすく、凍結が引き起こされやすい。したがって、第1充填側逆止弁23aにおける開故障や閉故障を検知することは非常に重要である。第2充填側逆止弁23bは、第2供給側逆止弁27bよりも水素の流れの上流に位置している。このため、第2充填側逆止弁23bについても、第1充填側逆止弁23aと同様に開故障や閉故障を検知することは非常に重要である。
図3は、制御システムを示す図である。この明細書における制御装置(ECU)は、電子制御装置(Electronic Control Unit)とも呼ばれる場合がある。制御装置は、(a)if-then-else形式と呼ばれる複数の論理としてのアルゴリズム、または(b)機械学習によってチューニングされた学習済みモデル、例えばニューラルネットワークとしてのアルゴリズムによって提供される。
制御装置は、少なくとも1つのコンピュータを含む制御システムによって提供される。制御システムは、データ通信装置によってリンクされた複数のコンピュータを含む場合がある。コンピュータは、ハードウェアのプロセッサである少なくとも1つのハードウェアプロセッサを含む。ハードウェアプロセッサは、以下の(i)、(ii)、または(iii)により提供することができる。
(i)ハードウェアプロセッサは、少なくとも1つのメモリに格納されたプログラムを実行する少なくとも1つのプロセッサコアである場合がある。この場合、コンピュータは、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサコアとによって提供される。プロセッサコアは、CPU:Central Processing Unit、GPU:Graphics Processing Unit、RISC-CPUなどと呼ばれる。メモリは、記憶媒体とも呼ばれる。メモリは、プロセッサによって読み取り可能な「プログラムおよび/またはデータ」を非一時的に格納する非遷移的かつ実体的な記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリ、磁気ディスク、または光学ディスクなどによって提供される。プログラムは、それ単体で、またはプログラムが格納された記憶媒体として流通する場合がある。
(ii)ハードウェアプロセッサは、ハードウェア論理回路である場合がある。この場合、コンピュータは、プログラムされた多数の論理ユニット(ゲート回路)を含むデジタル回路によって提供される。デジタル回路は、ロジック回路アレイ、例えば、ASIC:Application-Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、PGA:Programmable Gate Array、CPLD:Complex Programmable Logic Deviceなどとも呼ばれる。デジタル回路は、プログラムおよび/またはデータを格納したメモリを備える場合がある。コンピュータは、アナログ回路によって提供される場合がある。コンピュータは、デジタル回路とアナログ回路との組み合わせによって提供される場合がある。
(iii)ハードウェアプロセッサは、上記(i)と上記(ii)との組み合わせである場合がある。(i)と(ii)とは、異なるチップの上、または共通のチップの上に配置される。これらの場合、(ii)の部分は、アクセラレータとも呼ばれる。
制御装置と信号源と制御対象物とは、多様な要素を提供する。それらの要素の少なくとも一部は、ブロック、モジュール、またはセクションと呼ぶことができる。さらに、制御システムに含まれる要素は、意図的な場合にのみ、機能的な手段と呼ばれる。
この開示に記載の制御部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つまたは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。代替的に、この開示に記載の制御部およびその手法は、1つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。代替的に、この開示に記載の制御部およびその手法は、1つまたは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと1つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された1つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
図3において、制御部90には、各圧力センサ22p、28p、33p、36p、各温度センサ51t、62t、65t、エアフロメータ51sが接続されている。制御部90は、充填側圧力センサ22pで計測した充填側圧力を取得する。制御部90は、高圧センサ28pで計測した高圧の供給側圧力を取得する。制御部90は、中圧センサ33pで計測した中圧の供給側圧力を取得する。制御部90は、低圧センサ36pで計測した低圧の供給側圧力を取得する。制御部90は、吸気温度センサ51tで計測した吸気温度を取得する。制御部90は、高温温度センサ62tで計測した燃料電池11を流出した直後の冷却水温度を取得する。制御部90は、低温温度センサ65tで計測したラジエータ64を流出した直後の冷却水温度を取得する。制御部90は、エアフロメータ51sで計測した吸気流量を取得する。
制御部90には、冷却水ポンプ61とバイパス弁63と送風機66とが接続されている。制御部90は、冷却水ポンプ61を制御して冷却流路69を流れる冷却水の量を制御する。制御部90は、バイパス弁63の開度を制御してバイパス流路69iを流れる冷却水の量を制御する。制御部90は、送風機66を制御してラジエータ64を流れる空気の量を制御する。
制御部90には、燃料電池11とタンク開閉弁26とインジェクタ35と水素ポンプ41とが接続されている。制御部90は、燃料電池11を制御して発電量や発熱量を制御する。制御部90は、タンク開閉弁26の開度を制御して燃料電池11に供給する水素の量を制御する。制御部90は、インジェクタ35を制御して燃料電池11に供給する水素の量を制御する。制御部90は、水素ポンプ41を制御して水素循環流路49を循環する水素の量を制御する。
制御部90には、エアコンプレッサ52と分流バルブ53と調圧バルブ54とが接続されている。制御部90は、エアコンプレッサ52を制御して燃料電池11に供給する空気の量を制御する。制御部90は、分流バルブ53を制御して燃料電池11に供給する空気の量を制御する。制御部90は、調圧バルブ54を制御して燃料電池11に供給する空気の量を制御する。
制御部90は、弁制御部91と判定部92とを備えている。制御部90は、弁制御部91と判定部92とを用いて、故障検知モードを実行可能である。弁制御部91は、バイパス弁63、タンク開閉弁26、分流バルブ53、調圧バルブ54などの弁の開度を制御する。判定部92は、各センサで取得した情報や算出した情報に基づいて、制御内容を判断するための判定を行う。
第1充填側逆止弁23aの開故障検知を行う場合を例に、故障検知モードにおける制御の一例を以下に説明する。この場合、第1タンクユニット20aが検知対象ユニットであり、第2タンクユニット20bが非検知対象ユニットである。開故障検知の説明にあたっては、図4から図8を用いる。ここで、図5から図8における水素流路のうち、実線で示した部分は、水素が流れている部分を示している。一方、破線で示した部分は、水素の流れていない部分もしくは水素の流量がかなり少ない部分を示している。
図4において、水素貯蔵部25内に検知開始量以上の水素が貯蔵されており、かつ、故障検知モードを実行する故障検知要求があると判断された場合に、開故障検知を開始する。検知開始量とは、燃料電池11で燃料を消費した際に、高圧センサ28pで圧力変化を適切に計測できる程度の量である。故障検知要求については、制御部90が燃料電池システム1への水素の充填が完了したと判断した場合に、故障検知要求が出力される。故障検知要求が出力されるタイミングは、上述のタイミングに限られない。例えば、燃料電池システム1が駆動している間、常に故障検知要求が出力されていてもよい。あるいは、燃料電池システム1が駆動を開始するタイミングで故障検知要求が出力されてもよい。あるいは、前回の故障検知モードの実行から所定時間経過した場合に、故障検知要求が出力されてもよい。
開故障検知を開始するにあたり、第1タンク開閉弁26aと第2タンク開閉弁26bと充填側圧力センサ22pと高圧センサ28pとが、適切に機能していることを確認した後に、故障検知を開始することが好ましい。言い換えると、故障検知モードに使用する各電気駆動弁と各センサとに異常がないことを確認してから、故障検知モードを実行することが好ましい。また、故障検知モードにおいて、第1マニュアル弁24aと第2マニュアル弁24bとは、常に開状態とする。
第1充填側逆止弁23aの開故障検知を開始すると、ステップS101において、一部のタンク開閉弁26を閉じる。第1充填側逆止弁23aを故障検知の対象とする場合は、第1充填側逆止弁23aの下流に位置している第1タンク開閉弁26aを閉じることとなる。これにより、第1水素タンク25aに貯蔵されている水素が、第1タンク開閉弁26aを通過できない状態となる。第1タンク開閉弁26aを閉じた後、ステップS102に進む。
ステップS102では、ステップS101で閉じた第1タンク開閉弁26a以外のタンク開閉弁26を開く。言い換えると、第2タンク開閉弁26bを開く。これにより、第2水素タンク25bに貯蔵されている水素が、第2タンク開閉弁26bを通過して燃料電池11に供給可能な状態となる。このステップS102が完了した状態が、開故障検知状態である。
図5は、ステップS102が完了した時点での水素供給部20を示す説明図であって、第1充填側逆止弁23aが正常な場合を示している。第1水素タンク25aに貯蔵されている水素は、第1タンク開閉弁26aと第1充填側逆止弁23aとのどちらの弁も通過できない。言い換えると、第1水素タンク25a内に水素が封止され、第1水素タンク25aの圧力が維持される。
一方、第2水素タンク25bに貯蔵されている水素は、第2タンク開閉弁26bを通過できる。このため、第2水素タンク25bから燃料電池11に向かって水素が流出する。これにより、燃料電池11での水素の消費が進むことで、第2水素タンク25bの圧力が低下することとなる。第2水素タンク25bの圧力が低下することで、分配部22の圧力の方が第2水素タンク25bの圧力よりも高くなると、第2充填側逆止弁23bが開いて一部の水素が第2水素タンク25b側に流れ込む。すなわち、第2充填側逆止弁23bは、第2水素タンク25bの圧力と分配部22の圧力とに応じて開状態と閉状態とを繰り返す。まとめると、第1水素タンク25aの圧力が維持されたまま、燃料電池11で消費された水素の分、第2水素タンク25bの圧力と分配部22の圧力と合流部28の圧力とが低下することとなる。
図6は、ステップS102が完了した時点での水素供給部20を示す説明図であって、第1充填側逆止弁23aが開故障している場合を示している。第1水素タンク25aに貯蔵されている水素は、第1タンク開閉弁26aを通過することができないが開故障している第1充填側逆止弁23aを通過できる。このため、第1水素タンク25aの圧力と分配部22の圧力とが等しくなる。したがって、第2充填側逆止弁23bにおいて、分配部22と連通している側の圧力が、第2水素タンク25bと連通している側の圧力よりも高くなると、水素が第2充填側逆止弁23bを通過することとなる。
一方、第2水素タンク25bに貯蔵されている水素は、第2タンク開閉弁26bを通過して、燃料電池11に向かって水素が流出する。これによって、燃料電池11での水素の消費が進むことで、第2水素タンク25bの圧力が低下することとなる。ただし、第2水素タンク25bの圧力が低下することで、第1水素タンク25a側の圧力が相対的に高まると、第1水素タンク25a側から第2水素タンク25b側に水素が流入することとなる。まとめると、第1水素タンク25aの圧力と第2水素タンク25bの圧力と分配部22の圧力と合流部28の圧力とが互いに略等しい状態を維持することとなる。さらに、燃料電池11で消費された水素の分、第1水素タンク25aの圧力と第2水素タンク25bの圧力と分配部22の圧力と合流部28の圧力とが全体的に低下することとなる。第2タンク開閉弁26bを開いた後、ステップS104に進む。
図4のステップS104では、燃料電池11での水素消費量が検知可能量以上であるか否かを判定する。ここで、水素消費量は、ステップS102で第2タンク開閉弁26bを開いてから燃料電池11で消費した水素の合計の値である。この水素消費量には、消費される水素の量が通常運転に比べて少ない間欠運転などで消費された水素の量を含んでいてもよい。燃料電池11での発電量が多いほど、多くの水素を消費することになる。このため、水素消費量は、燃料電池11の発電量から推定可能である。また、第1水素タンク25a内の圧力を計測する圧力センサと、第2水素タンク25b内の圧力を計測する圧力センサとを備え、各圧力センサの値から水素消費量を推定してもよい。水素消費量の検知可能量とは、高圧センサ28pで瞬間的な圧力変化の有無を検知できる程度の量である。
水素消費量が検知可能量以上である場合には、ステップS111に進む。一方、水素消費量が検知可能量未満である場合には、ステップS101に戻る。言い換えると、水素消費量が検知可能量以上になるまで第1タンク開閉弁26aの閉状態と第2タンク開閉弁26bの開状態を維持する。
ステップS111では、高圧センサ28pを用いて開弁前圧力を取得する。言い換えると、第1タンク開閉弁26aの閉状態における合流部28の圧力を計測する。高圧センサ28pを用いて計測した開弁前圧力を取得した後、ステップS112に進む。
ステップS112では、ステップS101で閉じた第1タンク開閉弁26aを開く。これにより、第1水素タンク25aに貯蔵されている水素が、第1タンク開閉弁26aを通過して燃料電池11に供給可能な状態となる。
図7は、ステップS112が完了した時点での水素供給部20を示す説明図であって、第1充填側逆止弁23aが正常な場合を示している。第1水素タンク25aに貯蔵されている水素は、第1タンク開閉弁26aを通過可能である。このため、第1水素タンク25aから燃料電池11に向かって水素が流出する。したがって、第1水素タンク25aには、水素消費量が所定量になるまで封止されていた水素が、相対的に圧力の低い合流部28側に一気に流入する。よって、第1水素タンク25aの圧力が下がるとともに合流部28の圧力が上がることで、第1水素タンク25aの圧力と合流部28の圧力とが等しくなる。
第1タンク開閉弁26aを開いた直後において、第2供給側逆止弁27bにおける合流部28側の圧力が第2水素タンク25b側の圧力よりも高くなる。これにより、第1水素タンク25a内の水素が消費されて第1水素タンク25aの圧力と第2水素タンク25bの圧力とが等しくなるまでの間、第2水素タンク25b内の水素は、第2水素タンク25b内に封止されることとなる。まとめると、合流部28の圧力が、第2水素タンク25bの低い圧力から第1水素タンク25aの高い圧力に復圧することで、圧力に大きな変化が生じることとなる。
図8は、ステップS112が完了した時点での水素供給部20を示す説明図であって、第1充填側逆止弁23aが開故障している場合を示している。第1水素タンク25aに貯蔵されている水素は、第1タンク開閉弁26aを通過できる。このため、第1水素タンク25aに貯蔵されている水素は、開故障している第1充填側逆止弁23aを逆流する代わりに、第1タンク開閉弁26aを通過して燃料電池11に供給される。したがって、第1タンク開閉弁26aの開弁後も、第1水素タンク25aの圧力と第2水素タンク25bの圧力と合流部28の圧力とが等しい状態が維持される。まとめると、第1タンク開閉弁26aの開弁の前後において、圧力に大きな変化が生じない。第1タンク開閉弁26aを開いた後、ステップS113に進む。
図4のステップS113では、高圧センサ28pを用いて開弁後圧力を取得する。言い換えると、第1タンク開閉弁26aを開状態にした直後における合流部28の圧力を計測する。高圧センサ28pを用いて計測した開弁後圧力を取得した後、ステップS114に進む。
ステップS114では、第1タンク開閉弁26aの開弁前後の圧力差である開弁前後圧力差を算出する。具体的には、ステップS111で取得した開弁前圧力とステップS113で取得した開弁後圧力との差分を算出する。第1タンク開閉弁26aの開弁前後圧力差を算出した後、ステップS115に進む。
ステップS115では、算出した開弁前後圧力差が所定圧力差未満であるか否かを判定する。開弁前後圧力差が所定圧力差未満である場合には、ステップS112で第1タンク開閉弁26aを開く前の状態において、第1充填側逆止弁23aが適切に逆止弁としての機能を発揮できていないと推定できる。したがって、第1充填側逆止弁23aにおいて、開故障が引き起こされていると判断して、ステップS116に進む。
一方、開弁前後圧力差が所定圧力差以上である場合には、ステップS112での第1タンク開閉弁26aの開弁によって、第1水素タンク25a内に適切に封止されていた水素が合流部28に流れ込み、合流部28の圧力が上昇したと推定できる。この場合、ステップS112で第1タンク開閉弁26aを開く前の状態において、第1充填側逆止弁23aが適切に逆止弁としての機能を発揮していると推定できる。したがって、第1充填側逆止弁23aにおいて、少なくとも開故障は引き起こされていないと判断して、開故障検知を終了する。
ステップS116では、第1充填側逆止弁23aが開故障していることをユーザに報知する。より具体的には、メータなどの画面に第1充填側開閉弁が開故障中であることを表示する。また、コーションランプを点灯させることで報知してもよい。また、スピーカーから警告音を発してユーザに注意を促して報知してもよい。複数の報知方法を組み合わせて、複数回にわたって報知してもよい。また、水素ステーションからの水素の充填を禁止するために、充填部21をロックするなどして開故障を報知してもよい。第1充填側逆止弁23aが開故障していることをユーザに報知した後、開故障検知を終了する。
ステップS112において、第1タンク開閉弁26aを開くタイミングとしては、燃料電池11での発電量が所定値未満の状態である間欠運転時が好ましい。燃料電池11の発電量が所定値未満となる間欠運転時には、水素の消費量が通常運転時に比べて少なくなる。仮に、燃料電池11での水素消費量が多い通常運転時に第1タンク開閉弁26aを開くと、第1水素タンク25a内に封止されていた水素の一部は、流入した合流部28からすぐに流出して燃料電池11で消費される。すなわち、燃料電池11で水素が多く消費される分、間欠運転時に比べて、合流部28における圧力の上昇量が小さくなりやすい。逆に、燃料電池11の間欠運転時にステップS112で第1タンク開閉弁26aを開くことで、開弁前後圧力差を正確に計測しやすい。よって、第1充填側逆止弁23aが開故障しているか否かを、圧力差に基づいて正確に判定しやすい。
ステップS112において、間欠運転時よりも発電量が多い通常運転時に、第1タンク開閉弁26aを開く場合には、燃料電池11で水素が多く消費される分、開弁前後圧力差が小さくなりやすい。このため、開故障しているか否かの判断基準となる所定圧力差を、通常運転時に第1タンク開閉弁26aを開いた場合と、間欠運転時に第1タンク開閉弁26aを開いた場合とで異なる値とすることが好ましい。この場合、開弁前後圧力差が小さくなりやすい通常運転時に第1タンク開閉弁26aを開いた場合の所定圧力差を、間欠運転時の場合の所定圧力差に比べて小さな値とする。これにより、開弁前後圧力差が小さくなりやすい状況か否かに応じて、所定圧力差を適切に切り替えて、開故障の有無を正確に判定しやすい。
第1充填側逆止弁23aの開故障検知を終了した後、第2充填側逆止弁23bの開故障検知を開始することで、第2充填側逆止弁23bについても開故障しているか否かの判定を行うことができる。第2充填側逆止弁23bの開故障判定を行う場合、一部のタンク開閉弁26に相当する弁は、第2タンク開閉弁26bとなる。この場合、第2タンク開閉弁26bをしばらく閉じた後に開き、高圧センサ28pで計測した開弁前後圧力差に基づいて、第2充填側逆止弁23bが開故障して水素が逆流しているか否かを判定できる。
水素貯蔵部25として第1水素タンク25aと第2水素タンク25bとの2つのタンクを備えた場合を例に説明を行ったが、水素貯蔵部25として3つ以上のタンクを備える構成であってもよい。例えば、水素貯蔵部25として5つのタンクを備える構成である場合、開故障検知を5回繰り返して、5つのタンクそれぞれの充填側逆止弁の開故障を検知してもよい。また、1回の故障検知で複数の充填側逆止弁の開故障をまとめて検知してもよい。この場合には、例えば故障検知の対象である2つの充填側逆止弁の下流に位置している2つの開閉弁を1つのセットとし、残りの3つの開閉弁を別の1つのセットとして開閉を切り替えることとなる。これによると、3つ以上の充填側逆止弁について1つずつ開故障検知を行う場合に比べて、開故障検知を行う回数を減らし、開故障検知全体で要する時間を短縮できる。
上述した実施形態によると、燃料電池システム1は、故障検知モードにおいて、閉じていた第1タンク開閉弁26aを開く直前と直後における供給側圧力の変化に基づいて、第1充填側逆止弁23aが故障しているか否かを判定している。このため、タンク開閉弁26の開閉制御と、高圧センサ28pによる圧力の計測によって第1充填側逆止弁23aが開故障しているか否かを判定できる。言い換えると、第1充填側逆止弁23aが開故障しているか否かを判定するための専用のセンサなどの専用部品を用いることなく、開故障しているか否かを判定できる。また、第2充填側逆止弁23bについても、タンク開閉弁26の開閉制御と、高圧センサ28pによる圧力の計測によって開故障しているか否かを判定できる。したがって、逆止弁の故障を検知可能な燃料電池システム1を提供できる。
判定部92は、故障検知モードにおける開弁前後圧力差が所定圧力差以上である場合には、開故障はしていないと判定する。一方、開弁前後圧力差が所定圧力差未満である場合には、開故障していると判定する。このため、1つの圧力センサでタイミングをずらして計測することで得られる情報である開弁前後圧力差によって、開故障しているか否かを判定できる。したがって、複数の圧力センサを用いて圧力差を算出するなど、複数のセンサで取得した物理量に基づいて開故障を検知する場合に比べて、簡単な構成で開故障を検知できる。
弁制御部91は、故障検知モードにおいて、燃料電池11の発電量が所定値未満のときに、検知対象ユニットのタンク開閉弁26を開く。言い換えると、燃料電池11の発電量が所定値未満のときに、開故障検知の制御におけるステップS112を実行している。このため、開弁後圧力が燃料電池11で消費される水素の影響を受けにくい。したがって、取得した圧力の情報から開故障を正確に検知しやすい。
制御部90は、第1水素タンク25aと第2水素タンク25bとに貯蔵されている水素の量が検知開始量以上である場合には、故障検知モードの実行を許可する。一方、第1水素タンク25aと第2水素タンク25bとに貯蔵されている水素の量が検知開始量未満である場合には、故障検知モードの実行を許可しない。このため、水素貯蔵部25に貯蔵されている水素の量が少なく、開故障検知の制御におけるステップS104で水素消費量が検知可能量以上にならないなどの理由で故障検知モードが長時間続いてしまうことを抑制できる。また、第1水素タンク25aや第2水素タンク25bから燃料電池11に水素を適切に供給して、故障検知モードを実行しながら燃料電池11の発電を適切に行うことができる。
制御部90は、故障検知モードによって第1充填側逆止弁23aや第2充填側逆止弁23bが故障していると判定した場合に、第1充填側逆止弁23aや第2充填側逆止弁23bが故障していることを報知する。このため、燃料電池システム1のユーザが、第1充填側逆止弁23aや第2充填側逆止弁23bの故障を容易に認識することができる。
制御部90は、故障検知モードによって第1充填側逆止弁23aや第2充填側逆止弁23bが故障していると判定した場合に、充填部21からの水素の充填を禁止する。このため、充填中に水素が逆流して充填部21から外部に流出することを防止できる。したがって、燃料電池システム1の安全性を高めることができる。
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、故障検知モードにおいて、第1充填側逆止弁23aや第2充填側逆止弁23bにおける閉故障の有無を検知する。
第1充填側逆止弁23aの閉故障検知を行う場合を例に、故障検知モードにおける制御の一例を以下に説明する。閉故障検知の説明にあたっては、図9から図11を用いる。ここで、図10と図11における水素流路のうち、実線で示している部分は、水素の流れている部分を示している。一方、破線で示している部分は、水素の流れていない部分もしくは水素の流量がかなり少ない部分を示している。
図9において、水素貯蔵部25内に検知開始量以上の水素が貯蔵されており、かつ、故障検知モードを実行する故障検知要求があると判断された場合に、閉故障検知を開始する。ここで、第1タンク開閉弁26aと第2タンク開閉弁26bと充填側圧力センサ22pと高圧センサ28pとが、適切に機能していることを確認した後に、故障検知を開始することが好ましい。また、故障検知モードにおいて、第1マニュアル弁24aと第2マニュアル弁24bとを常に開状態とする。
第1充填側逆止弁23aの閉故障検知を開始すると、ステップS201において、一部のタンク開閉弁26を開く。第1充填側逆止弁23aを故障検知の対象とする場合は、第1充填側逆止弁23aの下流に位置している第1タンク開閉弁26aを開くこととなる。これにより、第1水素タンク25aに貯蔵されている水素が、第1タンク開閉弁26aを通って燃料電池11に供給可能な状態となる。第1タンク開閉弁26aを開いた後、ステップS202に進む。
ステップS202では、ステップS201で開いた第1タンク開閉弁26a以外のタンク開閉弁26を閉じる。言い換えると、第2タンク開閉弁26bを閉じる。これにより、第2水素タンク25bに貯蔵されている水素が、第2タンク開閉弁26bを通過できない状態となる。このステップS202が完了した状態が、閉故障検知状態である。
図10は、ステップS202が完了した時点での水素供給部20を示す説明図であって、第1充填側逆止弁23aが正常な場合を示している。第1水素タンク25aに貯蔵されている水素は、第1タンク開閉弁26aを通過して、燃料電池11に供給される。これにより、第1充填側逆止弁23aの第1水素タンク25a側の圧力が低下することとなる。第1充填側逆止弁23aにおいて、第1水素タンク25a側の圧力よりも分配部22側の圧力が高くなると、第1充填側逆止弁23aが開く。このため、第1充填側逆止弁23aの第1水素タンク25a側の圧力と分配部22側の圧力とが略等しくなる。言い換えると、第1水素タンク25aの水素が消費されて減圧されることで、分配部22側の圧力が低下する。
一方、第2水素タンク25bに貯蔵されている水素は、第2タンク開閉弁26bと第2充填側逆止弁23bとのどちらの弁も通過できない。言い換えると、第2水素タンク25b内に水素が封止され、第2水素タンク25bの圧力が維持される。まとめると、第2水素タンク25bの圧力が維持されたまま、燃料電池11で消費された水素の分、第1水素タンク25aの圧力と分配部22の圧力と合流部28の圧力とが低下することとなる。
図11は、ステップS202が完了した時点での水素供給部20を示す説明図であって、第1充填側逆止弁23aが閉故障している場合を示している。第1水素タンク25aに貯蔵されている水素は、第1タンク開閉弁26aを通過して、燃料電池11に供給されることとなる。これにより、第1充填側逆止弁23aの第1水素タンク25a側の圧力が低下する。ただし、第1充填側逆止弁23aにおいて、第1水素タンク25a側の圧力よりも分配部22側の圧力が高くなった場合であっても、閉故障している第1充填側逆止弁23aは閉じた状態を維持する。このため、第1充填側逆止弁23aの第1水素タンク25a側と分配部22側との間に圧力差が生じている状態が維持される。
一方、第2水素タンク25bに貯蔵されている水素は、第2タンク開閉弁26bと第2充填側逆止弁23bとのどちらの弁も通過することができない。言い換えると、第2水素タンク25b内に水素が封止され、第2水素タンク25bの圧力が維持されることとなる。まとめると、第2水素タンク25bの圧力と分配部22の圧力とが維持されたまま、燃料電池11で消費された水素の分、第1水素タンク25aの圧力と合流部28の圧力とが低下することとなる。第2タンク開閉弁26bを閉じた後、ステップS203に進む。
図9のステップS203では、燃料電池11での水素消費量が検知停止量以上であるか否かを判定する。ここで、検知停止量とは、第1供給側逆止弁27aが故障することを防ぐ目的で故障検知を停止する必要があると判断する水素消費量のことである。第1供給側逆止弁27aは、合流部28から第1水素タンク25aに向かう水素の逆流を妨げる機能を有する。しかしながら、合流部28側の圧力が第1水素タンク25a側の圧力に比べて高くなりすぎるなどして、第1供給側逆止弁27aの耐圧を超えると、第1供給側逆止弁27aが故障して逆止弁としての機能を適切に発揮できなくなる場合がある。水素消費量が検知停止量以上である場合には、第1供給側逆止弁27aが故障することを防止するために故障検知を停止する必要があると判断して、ステップS217に進む。一方、水素消費量が検知停止量未満である場合には、故障検知を継続しても第1供給側逆止弁27aの耐圧を超えることがないと判断して、ステップS204に進む。
ステップS204では、燃料電池11での水素消費量が検知可能量以上であるか否かを判定する。ここで、水素消費量は、ステップS202で第2タンク開閉弁26bを閉じてから燃料電池11で消費した水素の合計の値である。水素消費量の検知可能量は、ステップS203における検知停止量よりも小さい値である。
水素消費量が検知可能量以上である場合には、ステップS211に進む。一方、水素消費量が検知可能量未満である場合には、ステップS201に戻る。言い換えると、水素消費量が検知可能量以上になるまで第1タンク開閉弁26aの開状態と第2タンク開閉弁26bの閉状態を維持する。
ステップS211では、充填側圧力センサ22pを用いて充填側圧力を取得する。言い換えると、第1タンク開閉弁26aの開状態における分配部22の圧力を計測する。充填側圧力センサ22pを用いて計測した充填側圧力を取得した後、ステップS213に進む。
ステップS213では、高圧センサ28pを用いて供給側圧力を取得する。言い換えると、第1タンク開閉弁26aの開状態における合流部28の圧力を計測する。高圧センサ28pを用いて計測した供給側圧力を取得した後、ステップS214に進む。
ステップS214では、充填側圧力と供給側圧力との圧力差である二点間圧力差を算出する。具体的には、ステップS211で取得した充填側圧力とステップS213で取得した供給側圧力との差分を算出する。二点間圧力差を算出した後、ステップS215に進む。
ステップS215では、算出した二点間圧力差が所定圧力差以上であるか否かを判定する。二点間圧力差が所定圧力差以上である場合には、ステップS211を実行する前の段階において、第1水素タンク25a内の水素が消費されても、分配部22側から第1水素タンク25aに向かって水素が第1充填側逆止弁23aを通過できなかったと推定できる。したがって、第1充填側逆止弁23aにおいて、閉故障が引き起こされていると判断して、ステップS216に進む。
一方、二点間圧力差が所定圧力差未満である場合には、ステップS211を実行する前の段階において、第1水素タンク25a内の水素が消費された場合に、分配部22側から第1水素タンク25aに向かって水素が第1充填側逆止弁23aを通過できたと推定できる。したがって、第1充填側逆止弁23aにおいて、少なくとも閉故障は引き起こされていないと判断して、ステップS217に進む。
ステップS216では、第1充填側逆止弁23aが閉故障していることをユーザに報知する。より具体的には、メータなどの画面に第1充填側開閉弁が閉故障中であることを表示する。また、コーションランプの点灯や、スピーカーによる警告音の発音によって報知してもよい。複数の報知方法を組み合わせ、報知を複数回にわたって行ってもよい。また、水素ステーションから水素を充填できないように、充填部21をロックするなどして閉故障を報知してもよい。特に、第1充填側逆止弁23aが閉故障している場合には、第1水素タンク25aに水素を充填することができない。したがって、水素充填における水素の漏出や第1供給側逆止弁27aの故障を防止するためにも、充填部21をロックすることは重要である。第1充填側逆止弁23aが開故障していることをユーザに報知した後、ステップS217に進む。
ステップS217は、ステップS202で閉じた第2タンク開閉弁26bを開く。これにより、第2水素タンク25bに貯蔵されている水素が、第2タンク開閉弁26bを通って燃料電池11に供給可能な状態となる。第2タンク開閉弁26bを開くことで、全てのタンク開閉弁26を開いた状態とした後、閉故障検知を終了する。
上述した実施形態によると、燃料電池システム1は、故障検知モードにおいて、燃料電池11で水素を消費した後に、充填側圧力と供給側圧力との圧力差である二点間圧力差に基づいて、第1充填側逆止弁23aが故障しているか否かを判定している。このため、タンク開閉弁26の開閉制御と、充填側圧力センサ22pと高圧センサ28pとによる圧力の計測によって第1充填側逆止弁23aが閉故障しているか否かを判定できる。言い換えると、第1充填側逆止弁23aが閉故障しているか否かを判定するための専用のセンサを用いることなく、閉故障しているか否かを判定できる。また、第2充填側逆止弁23bについても、タンク開閉弁26の開閉制御と、充填側圧力センサ22pと高圧センサ28pとによる圧力の計測によって閉故障しているか否かを判定できる。よって、逆止弁の故障を検知可能な燃料電池システム1を提供できる。
判定部92は、閉じているタンク開閉弁26を開く直前における二点間圧力差が、所定圧力差未満である場合には、閉故障はしていないと判定する。一方、二点間圧力差が所定圧力差以上である場合には、閉故障していると判定する。このため、二点間圧力差が適切に算出されたことを確認してからタンク開閉弁26を開くことができる。言い換えると、圧力を適切に計測できなかった場合でも、圧力を計測し直すことで二点間圧力差を適切に算出することができる。したがって、閉故障しているか否かを正確に判定しやすい。
弁制御部91は、故障検知モードにおいて、いずれかのタンク開閉弁26を閉じた状態を維持している間に、燃料電池11で消費した水素の量が検知停止量以上となった場合に、閉じているタンク開閉弁26を開いて故障検知モードを終了する。このため、燃料電池11で短時間に多くの水素が消費され、水素貯蔵部25のうち、燃料電池11と連通しているタンクと連通していないタンクとの間での圧力差が大きくなり過ぎることを抑制できる。したがって、閉じていたタンク開閉弁26を開いた際に、合流部28の圧力が一気に上昇して、第1供給側逆止弁27aや第2供給側逆止弁27bに耐圧を超えるような圧力が加えられることを抑制できる。よって、故障検知モードを実行したことによって第1供給側逆止弁27aや第2供給側逆止弁27bが故障してしまうことを防ぎやすい。
第3実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、第1充填側逆止弁23aや第2充填側逆止弁23bにおける閉故障の有無を検知する故障検知モードにおいて、全てのタンク開閉弁26を開いた直後における二点間圧力差に基づいて、閉故障の判定を行う。
第1充填側逆止弁23aの閉故障検知を行う場合を例として、故障検知モードにおける制御の一例を以下に説明する。閉故障検知の説明にあたっては、図12から図14を用いる。ここで、図12と図14とにおける水素流路のうち、実線で示した部分は、水素の流れている部分を示している。一方、破線で示した部分は、水素の流れていない部分または水素の流量がかなり少ない部分を示している。
図12において、第1充填側逆止弁23aの閉故障検知を開始すると、ステップS201で、第1タンク開閉弁26aを開く。その後、ステップS202で、第2タンク開閉弁26bを閉じる。その後、ステップS204で、水素消費量が検知可能量以上であるか否かを判定し、水素消費量が検知可能量以上であれば、ステップS305に進む。一方、水素消費量が検知可能量未満であれば、ステップS201に戻って水素消費量が検知可能量以上となるまで、第1タンク開閉弁26aの開状態と第2タンク開閉弁26bの閉状態とを維持する。
ステップS305では、ステップS202で閉じた第2タンク開閉弁26bを開く。これにより、第2水素タンク25bに貯蔵されている水素が、第2タンク開閉弁26bを通過して燃料電池11に供給可能な状態となる。
図13は、ステップS305が完了した時点での水素供給部20を示す説明図であって、第1充填側逆止弁23aが正常な場合を示している。第2水素タンク25bに貯蔵されている水素は、第2タンク開閉弁26bを通過して、燃料電池11に供給される。これにより、合流部28の圧力が一気に上昇することとなる。しかしながら、第2水素タンク25bに貯蔵されている水素は、第2充填側逆止弁23bを逆流することができない。また、第2水素タンク25bに貯蔵されている水素は、第1供給側逆止弁27aを逆流することができない。このため、分配部22の圧力は、第1水素タンク25aと同等の圧力が維持されることとなる。まとめると、第2水素タンク25bの圧力と合流部28の圧力が、第1水素タンク25aの圧力と分配部22の圧力とに比べて相対的に高くなる。言い換えると、高圧センサ28pで計測する合流部28の圧力が、充填側圧力センサ22pで計測する分配部22の圧力よりも高くなる。
図14は、ステップS305が完了した時点での水素供給部20を示す説明図であって、第1充填側逆止弁23aが閉故障している場合を示している。第2水素タンク25bに貯蔵されている水素は、第2タンク開閉弁26bを通過して、燃料電池11に供給されることとなる。これにより、合流部28の圧力が一気に上昇する。さらに、第2充填側逆止弁23bの第2水素タンク25b側の圧力が、分配部22側の圧力よりも低くなると、第2充填側逆止弁23bを水素が通過する。このため、分配部22の圧力と第2水素タンク25bの圧力と合流部28の圧力とが同程度となる。まとめると、第2水素タンク25bの圧力と分配部22の圧力と合流部28の圧力とが、第1水素タンク25aの圧力に比べて相対的に高くなる。言い換えると、高圧センサ28pで計測する合流部28の圧力と、充填側圧力センサ22pで計測する分配部22の圧力とが同程度となる。第2タンク開閉弁26bを開いた後、ステップS311に進む。
図12のステップS311では、充填側圧力センサ22pを用いて充填側圧力を取得する。言い換えると、第2タンク開閉弁26bを開いた直後における分配部22の圧力を計測する。充填側圧力センサ22pを用いて計測した充填側圧力を取得した後、ステップS313に進む。
ステップS313では、高圧センサ28pを用いて供給側圧力を取得する。言い換えると、第2タンク開閉弁26bを開いた直後における合流部28の圧力を計測する。高圧センサ28pを用いて計測した供給側圧力を取得した後、ステップS314に進む。
ステップS314では、充填側圧力と供給側圧力との圧力差である二点間圧力差を算出する。具体的には、ステップS311で取得した充填側圧力とステップS313で取得した供給側圧力との差分を算出する。二点間圧力差を算出した後、ステップS315に進む。
ステップS315では、算出した二点間圧力差が所定圧力差未満であるか否かを判定する。二点間圧力差が所定圧力差未満である場合には、ステップS311を実行する前の段階において、第1水素タンク25a内の水素が消費されても、分配部22側から第1水素タンク25aに向かって水素が第1充填側逆止弁23aを通過できなかったと推定できる。したがって、第1充填側逆止弁23aにおいて、閉故障が引き起こされていると判断して、ステップS216に進む。ステップS216では、第1充填側逆止弁23aが閉故障していることを報知した後、閉故障検知を終了する。
一方、二点間圧力差が所定圧力差以上である場合には、ステップS311を実行する前の段階において、第1水素タンク25a内の水素が消費された場合に、分配部22側から第1水素タンク25aに向かって水素が第1充填側逆止弁23aを通過できたと推定できる。したがって、第1充填側逆止弁23aにおいて、少なくとも閉故障は引き起こされていないと判断して、閉故障検知を終了する。
上述した実施形態によると、判定部92は、閉じているタンク開閉弁26を開いた直後における二点間圧力差が、所定圧力差以上である場合には、閉故障はしていないと判定する。一方、二点間圧力差が所定圧力差未満である場合には、閉故障していると判定する。このため、充填側圧力センサ22pと高圧センサ28pとを用いて、第1充填側逆止弁23aや第2充填側逆止弁23bの閉故障を検知できる。したがって、第1充填側逆止弁23aや第2充填側逆止弁23bごとに故障を検知するための専用部品を用いることなく、閉故障検知を行うことができる。よって、簡単な構成で故障を検知可能な燃料電池システム1を提供できる。
他の実施形態
空気流路59において、エアコンプレッサ52と燃料電池11との間にインタークーラなどの空気冷却装置を備えてもよい。これによると、エアコンプレッサ52で圧縮されて温度の上昇した空気を冷却してから燃料電池11に流すことができる。このため、燃料電池11の温度上昇を抑制しやすい。したがって、燃料電池11の劣化を抑制して、発電効率が高い状態を維持しやすい。
バイパス流路69iに、イオン交換器を備えてもよい。これによると、燃料電池11を冷却するための冷却水の絶縁性を安定して確保することができる。したがって、燃料電池システム1の安全性を高めやすい。
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、1つの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。