この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
図1は、本発明の一実施形態の車両用シートを概略的に示す側面図である。図2は、図1に示される車両用シートの底面図である。本実施形態の車両用シート1は、シートフレーム10と、ワイヤーハーネスWHと、車体側取付部材20と、フレーム側取付部材30と、を備えている。
シートフレーム10は、車体(図示略)の前後方向に沿って車体に対して相対変位可能となるように車体に取り付けられる。図1に示されるように、シートフレーム10は、前後方向に伸びる形状を有するスライドレール2に取り付けられる。スライドレール2は、車体に固定されたレール保持体3の上部に固定されている。
図3~図6に示されるように、シートフレーム10は、移動部12を有している。移動部12は、車体に設けられた取付座4と上下方向に重なる重なり位置(図2及び図3において二点鎖線で示される位置)と、車体の前後方向に取付座4から離間した離間位置(図2及び図3において二点鎖線で示される位置)と、の間で前後方向に移動する。本実施形態では、シートフレーム10が車体に対して最も前方の最前方位置に移動したときに、移動部12が重なり位置に位置し、シートフレーム10が車体に対して最も後方の最後方位置に移動したときに、移動部12が離間位置に位置する。
取付座4は、ワイヤーハーネスWHの一部を固定するための部材である。取付座4は、車体またはレール保持体3に固定されている。なお、取付座4は、車体自体で構成されてもよい。図2に示されるように、取付座4は、車体の幅方向に伸びる形状を有している。取付座4は、平板状に形成されている。図3及び図4に示されるように、取付座4は、移動部12が重なり位置に位置したときに当該移動部12と対向する対向面5を有している。
ワイヤーハーネスWHは、シートフレーム10に搭載された電装品(図示略)と車体に設けられたコネクタ等の接続部(図示略)とを接続している。ワイヤーハーネスWHは、移動部12が重なり位置と離間位置との間で移動する際に電装品と接続部とを接続可能な長さに設定されている。本実施形態では、移動部12が重なり位置に位置するときに、ワイヤーハーネスWHの余長部分が最も短くなり、移動部12が離間位置に位置するときに、ワイヤーハーネスWHの余長部分が最も長くなる。
図2及び図5に示されるように、ワイヤーハーネスWHは、車体側取付部材20に固定される第1被固定部WH1と、フレーム側取付部材30に固定される第2被固定部WH2と、第1被固定部WH1と第2被固定部WH2との間に位置する中間部WH3と、を有している。
車体側取付部材20は、ワイヤーハーネスWHの一部(第1被固定部WH1)を取付座4に固定するための部材である。図2に示されるように、車体側取付部材20は、ワイヤーハーネスWHの第1被固定部WH1が車体の幅方向と平行となるように当該第1被固定部WH1を取付座4に固定している。車体側取付部材20は、第1固定部21と、第2固定部22と、を有している。第1固定部21及び第2固定部22は、それぞれ第1被固定部WH1を取付座4に固定する部位である。第2固定部22は、第1固定部21から車体の幅方向に離間した位置に設けられている。
フレーム側取付部材30は、ワイヤーハーネスWHの他の一部(第2被固定部WH2)を移動部12に固定するための部材である。図3及び図4に示されるように、フレーム側取付部材30は、移動部12の下部に取り付けられる。図2に示されるように、フレーム側取付部材30は、車体の幅方向において車体側取付部材20よりも外側に設けられている。フレーム側取付部材30の詳細については、後述する。
図2及び図5に示されるように、ワイヤーハーネスWHの中間部WH3は、第1取付部h1と、第2取付部h2と、連結部h3と、を有している。
第1取付部h1は、第1被固定部WH1の端部に接続されている。第1取付部h1は、第1被固定部WH1の端部から車体の幅方向における内側に向かって伸びるように配策されている。
第2取付部h2は、車体の幅方向において第1取付部h1より外側において第2被固定部WH2の端部に接続されている。図2に示されるように、第2取付部h2が固定されている部位(第2被固定部WH2と中間部WH3との境界部)F2は、第1取付部h1が固定されている部位F1よりも車体の幅方向における外側に位置している。第2取付部h2は、第2被固定部WH2の端部から後方に向かって伸びるように配策されている。
連結部h3は、第1取付部h1と第2取付部h2とを連結している。連結部h3は、車体の幅方向の内向きに凸となる湾曲する形状を有している。
ここで、フレーム側取付部材30について説明する。図5~図8に示されるように、フレーム側取付部材30は、接続部31と、受け部32と、案内部33と、ハーネス保持部34と、押さえカバー35と、固定部36と、第2係合部37と、を有している。
接続部31は、移動部12に接続される部位である。接続部31は、移動部12が重なり位置に位置するときにおける接続部31と取付座4の対向面5との隙間d1(図4を参照)がワイヤーハーネスWHの直径Dよりも小さくなる位置で、かつ、移動部12が離間位置に位置するときにワイヤーハーネスWHの中間部WH3と上下方向に重なる位置に配置されている。接続部31は、基部31aと、第1係合部31bと、を有している。
基部31aは、平板状に形成されている。移動部12が重なり位置に位置するとき、基部31aと対向面5との隙間d1がワイヤーハーネスWHの直径Dよりも小さくなる。移動部12が離間位置に位置するとき、基部31aは、ワイヤーハーネスWHの中間部WH3と上下方向に重なる。基部31aは、矩形状に形成されている。基部31aは、フレーム側取付部材30のうち最も後方の位置に形成されている。
第1係合部31bは、基部31aに接続されている。第1係合部31bは、移動部12に接続される。第1係合部31bは、基部31aのうちワイヤーハーネスWHと対向する面と反対側の面(上面)から移動部12に向かって突出する形状を有している。
受け部32は、ワイヤーハーネスWHを受ける部位である。具体的に、受け部32は、移動部12が重なり位置に位置するときにワイヤーハーネスWHの第2取付部h2を受ける。受け部32は、移動部12が重なり位置に位置するときにおける受け部32と取付座4の対向面5との隙間d2(図4を参照)がワイヤーハーネスWHの直径Dよりも大きくなる位置に配置されている。つまり、受け部32は、基部31aと上下方向に離間した位置に形成されている。基部31aの厚さは、受け部32の厚さよりも大きい。
案内部33は、移動部12が離間位置から重なり位置に向けて移動する過程において、接続部31が取付座4と上下方向に重なる前にワイヤーハーネスWHを接続部31から受け部32に向けて案内する。案内部33は、基部31aと受け部32とを連結している。案内部33は、基部31a及び受け部32に対して傾斜している。案内部33と基部31aとの境界部33Bは、受け部32から基部31aに向かう向きに凸となるように湾曲する形状を有している。
ハーネス保持部34は、ワイヤーハーネスWHの第2被固定部WH2を保持する部位である。ハーネス保持部34は、受け部32から前方に向かって伸びる形状を有している。ハーネス保持部34は、第2被固定部WH2の周囲の一部を取り囲む形状を有している。
押さえカバー35は、ハーネス保持部34に保持されている第2被固定部WH2のハーネス保持部34からの離脱を阻止する。押さえカバー35は、ハーネス保持部34に対して係脱可能に構成されており、ハーネス保持部34に係合した状態(図5~図8に示される状態)で当該ハーネス保持部34とともに第2被固定部WH2の全周を取り囲む。
固定部36は、ハーネス保持部34のうち受け部32側の端部に設けられている。図5に示されるように、第2被固定部WH2は、バンド等の結束部材Bによって固定部36に取り付けられる。
第2係合部37は、ハーネス保持部34の前側の端部に接続されている。第2係合部37は、移動部12に接続される。第2係合部37のハーネス保持部34からの突出方向は、第1係合部31bの基部31aからの突出方向と同じである。
以上に説明したように、本実施形態の車両用シート1では、シートフレーム10の移動部12が離間位置から重なり位置に向けて移動する際、フレーム側取付部材30の案内部33は、接続部31が取付座4と上下方向に重なる前にワイヤーハーネスWHを接続部31から受け部32に向けて案内するため、移動部12が重なり位置に位置する状態において、接続部31と取付座4との間にワイヤーハーネスWHが挟み込まれることが抑制される。
また、基部31aと案内部33との境界部33Bは、受け部32から基部31aに向かう向きに凸となるように湾曲する形状を有しているため、ワイヤーハーネスWHが受け部32と基部31aとの間を移動する際における当該ワイヤーハーネスWHの破損が抑制される。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。