以下、実施形態を図1~図15にしたがって説明する。
<吸気及び排気の通路構成>
まず、車両の内燃機関10における吸気及び排気の通路構成について説明する。
図1に示すように、内燃機関10は、当該内燃機関10の外部からの吸気が流通する吸気管11を備えている。吸気管11の下流端には、内部に気筒が区画された機関本体12が接続されている。機関本体12の気筒内では、燃料が吸気と混合されて燃焼する。機関本体12には、当該機関本体12から排出された排気が流通する排気管13の上流端が接続されている。排気管13の途中には、排気を浄化するための触媒15が取り付けられている。
内燃機関10は、排気の流れを利用して吸気を圧縮するためのターボチャージャ20を備えている。ターボチャージャ20のコンプレッサハウジング30は、吸気管11の途中に取り付けられている。また、ターボチャージャ20のタービンハウジング60は、排気管13における触媒15よりも上流側の部分に取り付けられている。コンプレッサハウジング30及びタービンハウジング60は、ターボチャージャ20におけるベアリングハウジング50を介して接続されている。
コンプレッサハウジング30の内部には、吸気を圧縮するコンプレッサホイール70が収容されている。コンプレッサホイール70には、連結シャフト80の一端部が接続されている。連結シャフト80の中央部分は、ベアリングハウジング50の内部に収容されている。連結シャフト80は、ベアリングハウジング50に対して回転可能に支持されている。連結シャフト80の他端部には、排気の流通によって回転するタービンホイール90が接続されている。タービンホイール90は、タービンハウジング60の内部に収容されている。タービンホイール90が排気の流通によって回転すると、連結シャフト80を介して連結されているコンプレッサホイール70が共に回転する。そして、コンプレッサホイール70が回転することで吸気が圧縮される。
<ターボチャージャの全体構成>
次に、ターボチャージャ20の全体的な構成について説明する。なお、以下では、内燃機関10が車両に搭載されているものとし、車両の上下方向をターボチャージャ20の上下方向とする。また、連結シャフト80の回転軸線80aに沿う方向を回転軸線方向と略記し、回転軸線方向のコンプレッサホイール70側を一方側、回転軸線方向のタービンホイール90側を他方側とする。
図2及び図3に示すように、コンプレッサハウジング30におけるハウジング本体39は、回転軸線方向に延びる略円筒形状の筒状部30Aと、筒状部30Aの外周を取り囲むように延びる略円弧形状の円弧部30Bとを備えている。円弧部30Bは、筒状部30Aにおける回転軸線方向の他方側(図2における右側)の端部を取り囲んでいる。
図4に示すように、ハウジング本体39の筒状部30Aの内部空間のうち、回転軸線方向の他方側の一部は、コンプレッサホイール70を収容するための収容空間32になっている。収容空間32の中心軸線は、連結シャフト80の回転軸線80aと同軸になっている。
収容空間32における回転軸線方向の一方側の端からは、回転軸線方向の一方側に向かって挿通孔31が延びている。挿通孔31は、ハウジング本体39の外面に開口している。挿通孔31の中心軸線は、連結シャフト80の回転軸線80aと同軸になっている。
ハウジング本体39の筒状部30Aの外周面からは、ボス部38が突出している。ボス部38は、回転軸線方向に延びる略円筒形状になっている。このボス部38には、図示しないボルトを介してコンプレッサハウジング30よりも上流側に位置する吸気管11が固定されている。
ハウジング本体39における回転軸線方向の他方側には、全体として円板形状のシールプレート40が配置されている。シールプレート40の外径は、ハウジング本体39における円弧部30Bの外径と略同じになっている。シールプレート40における径方向外側の部分は、ハウジング本体39の円弧部30Bにおける回転軸線方向の他方側の端部に対してボルト191によって固定されている。また、シールプレート40における径方向の中央部には、回転軸線方向に挿通孔41が貫通している。この挿通孔41には、連結シャフト80が挿通されている。
ハウジング本体39の円弧部30Bには、ハウジング本体39から吸気を排出するスクロール通路34が区画されている。スクロール通路34は、コンプレッサホイール70を取り囲むように、連結シャフト80の回転軸線80aを中心とした周方向に延びている。ハウジング本体39における円弧部30Bの延設方向の端部には、コンプレッサハウジング30よりも下流側に位置する吸気管11が固定されている。また、スクロール通路34における回転軸線方向の他方側の端は、円弧部30Bにおける回転軸線方向の他方側の端にまで至っている。そして、スクロール通路34における回転軸線方向の他方側の部分は、シールプレート40における回転軸線方向の一方側の端面40aによって塞がれている。すなわち、シールプレート40の端面40aは、スクロール通路34の内壁面の一部を構成している。また、収容空間32における回転軸線方向の他方側の部分は、シールプレート40の端面40aによって塞がれている。
シールプレート40における回転軸線方向の一方側の端面40aと、ハウジング本体39の筒状部30Aにおける回転軸線方向の他方側の端面30Aaとの間には、隙間が確保されている。この隙間は、筒状部30Aの収容空間32と円弧部30Bのスクロール通路34とを接続する接続通路33として機能している。
図7に示すように、シールプレート40における回転軸線方向の他方側には、ベアリングハウジング50の本体部51が配置されている。本体部51は、全体として円柱形状になっており、シールプレート40から回転軸線方向の他方側に向かって延びている。本体部51における径方向の中央部には、回転軸線方向に支持孔52が貫通している。支持孔52の中心軸線は、連結シャフト80の回転軸線80aと同軸になっている。
図9に示すように、本体部51には、ベアリングハウジング50の外部から本体部51の内部にオイルを供給するためのオイル導入通路53が区画されている。オイル導入通路53の一端は、支持孔52に接続されている。オイル導入通路53の他端は、本体部51の外周面に開口している。また、オイル導入通路53の他端は、本体部51の外周面のうちの下側に位置している。オイル導入通路53には図示しないオイル供給管が接続されており、このオイル供給管を介してオイル導入通路53にオイルが供給される。
本体部51には、当該本体部51の内部から外部にオイルを排出するためのオイル排出空間54が区画されている。オイル排出空間54の大部分は、支持孔52よりも下側に位置している。図7に示すように、オイル排出空間54は、回転軸線方向に延びている。オイル排出空間54における回転軸線方向の一方側の端は、本体部51における回転軸線方向の一方側の端にまで至っている。そして、オイル排出空間54における回転軸線方向の一方側の部分は、シールプレート40における回転軸線方向の他方側の端面40bによって塞がれている。すなわち、シールプレート40の端面40bは、オイル排出空間54の内壁面の一部を構成している。オイル排出空間54は、回転軸線方向において本体部51の両端から中央側に向かうほど下側に位置するように広がっている。
図7に示すように、本体部51には、オイル排出空間54と本体部51の外部とを連通するオイル排出口55が区画されている。オイル排出口55の一端は、オイル排出空間54の最下部に接続されている。オイル排出口55の他端は、本体部51の外周面に開口している。また、オイル排出口55の他端は、本体部51の外周面のうちの下側に位置しており、オイル導入通路53の他端(開口)と隣接している。オイル排出口55には図示しないオイル排出管が接続されており、オイル排出管を介してオイル排出口55からオイルが排出される。
本体部51には、冷却水が流通する冷却水通路56が区画されている。冷却水通路56は、回転軸線方向に延びている。冷却水通路56には、図示しないウォータポンプから圧送された冷却水が流通し、冷却水通路56を流通する冷却水との熱交換によってベアリングハウジング50が冷却される。
図7に示すように、支持孔52の内部には、略円筒形状のフロートベアリング120が挿入されている。回転軸線方向におけるフロートベアリング120の寸法は、回転軸線方向における本体部51の寸法よりも小さくなっている。フロートベアリング120は、回転軸線方向における本体部51の中央部に配置されている。図9に示すように、フロートベアリング120には、当該フロートベアリング120の径方向に供給孔121が貫通している。供給孔121は、オイル導入通路53に連通している。
フロートベアリング120の外周面と支持孔52の内周面との間には、ベアリングハウジング50のオイル導入通路53を介してオイルが供給される。したがって、フロートベアリング120は、フロートベアリング120の外周面と支持孔52の内周面との間に供給されたオイルの中で浮いたような状態で、ベアリングハウジング50の本体部51に支持される。
フロートベアリング120の内部には、連結シャフト80が挿入されている。連結シャフト80の外周面とフロートベアリング120の内周面との間には、供給孔121を介してオイルが供給される。したがって、連結シャフト80は、連結シャフト80の外周面とフロートベアリング120の内周面との間に供給されたオイルを介して回転可能に支持される。
図7に示すように、ベアリングハウジング50の本体部51の外周面における回転軸線方向の中央部よりも他方側の部分からは、連結シャフト80の径方向外側に向かって挟持フランジ部59が突出している。挟持フランジ部59は、連結シャフト80の周方向全域に亘って延びており、略円環形状になっている。
図8に示すように、ベアリングハウジング50における回転軸線方向の他方側には、タービンハウジング60が配置されている。タービンハウジング60は、ベアリングハウジング50から回転軸線方向の他方側に向かって延びる略円筒形状の筒状部60Bと、筒状部60Bの外周を取り囲むように延びる略円弧形状の円弧部60Aとを備えている。円弧部60Aは、筒状部60Bにおける回転軸線方向の中央部よりもやや一方側の部分を取り囲んでいる。
図8に示すように、タービンハウジング60の筒状部60Bの外周面における回転軸線方向の一方側の端部からは、連結シャフト80の径方向外側に向かって挟持フランジ部68が突出している。挟持フランジ部68は、連結シャフト80の周方向全域に亘って延びており、略円環形状になっている。タービンハウジング60の挟持フランジ部68の外径は、ベアリングハウジング50の挟持フランジ部59の外径と略同じになっている。
タービンハウジング60の挟持フランジ部68及びベアリングハウジング50の挟持フランジ部59の径方向外側には、固定部材としてのVクランプ140が取り付けられている。Vクランプ140は、連結シャフト80の周方向に延びており、全体として円環形状になっている。Vクランプ140は、当該Vクランプ140の延設方向に直交する断面視において連結シャフト80の径方向内側が開いた略V字形状になっている。Vクランプ140の径方向内側の部分にはタービンハウジング60の挟持フランジ部68及びベアリングハウジング50の挟持フランジ部59が配置されており、Vクランプ140によってタービンハウジング60の挟持フランジ部68及びベアリングハウジング50の挟持フランジ部59が回転軸線方向に締め付けられて互いに固定されている。また、タービンハウジング60の筒状部60Bとベアリングハウジング50の本体部51との間には、タービンハウジング60の内部を流通する排気の熱がベアリングハウジング50に伝達されることを抑制する遮熱板130が配置されている。
図8に示すように、円弧部60Aには、タービンハウジング60の外部から排気を導入するためのスクロール通路61が区画されている。スクロール通路61は、タービンホイール90を取り囲むように、連結シャフト80の回転軸線80aを中心とした周方向に延びている。図4に示すように、タービンハウジング60における円弧部60Aの延設方向の端部からは、スクロール通路61の径方向外側に向かって上流側フランジ部66が突出している。この上流側フランジ部66には、図示しないボルトによってタービンハウジング60よりも上流側に位置する排気管13が固定されている。本実施形態では、2つのスクロール通路61が円弧部60Aに区画されており、これら2つのスクロール通路61は回転軸線方向に並設されている。
図8に示すように、筒状部60Bの内部空間のうち、回転軸線方向の一方側の一部は、タービンホイール90を収容するための収容空間62になっている。収容空間62の中心軸線は、連結シャフト80の回転軸線80aと同軸になっている。
収容空間62における回転軸線方向の他方側の端からは、回転軸線方向の他方側に向かって排出通路63が延びている。排出通路63における回転軸線方向の他方側の端は、筒状部60Bにおける回転軸線方向の他方側の端にまで至っていて、タービンハウジング60の外面に開口している。したがって、収容空間62に導入された排気は、排出通路63を介してタービンハウジング60の外部に排出される。タービンハウジング60の筒状部60Bにおける回転軸線方向の他方側の端部には、タービンハウジング60よりも下流側に位置する排気管13が固定されている。
タービンハウジング60における円弧部60A及び筒状部60Bには、スクロール通路61と排出通路63とを接続するバイパス通路64が区画されている。すなわち、バイパス通路64は、タービンホイール90をバイパスしている。バイパス通路64は、スクロール通路61から排出通路63の下流端に向かって略直線状に延びている。本実施形態では、2つのスクロール通路61に対応して2つのバイパス通路64が区画されている。
図13に示すように、タービンハウジング60には、バイパス通路64を開閉するためのウェイストゲートバルブ150が取り付けられている。ウェイストゲートバルブ150におけるシャフト151は、タービンハウジング60の筒状部60Bの壁部を貫通しており、タービンハウジング60に対して回転可能に支持されている。シャフト151におけるタービンハウジング60の内部側の端部からは、径方向外側に向かって弁体152が延びている。弁体152は、タービンハウジング60における排出通路63に配置されている。
図2に示すように、シャフト151におけるタービンハウジング60の外部側の端部には、駆動力を伝達するリンク機構170の一端部が連結されている。リンク機構170の他端部には、アクチュエータ180が連結されている。アクチュエータ180は、固定プレート185を介してコンプレッサハウジング30におけるハウジング本体39の円弧部30Bに固定されている。アクチュエータ180の駆動力がリンク機構170を介してウェイストゲートバルブ150に伝達されると、ウェイストゲートバルブ150がバイパス通路64を開閉する。
<ターボチャージャ20の各部の構成>
次に、ターボチャージャ20の各所の構成についてより具体的に説明する。先ず、ベアリングハウジング50、フロートベアリング120及び連結シャフト80等の詳細について説明する。
<ベアリングハウジング50及びフロートベアリング120の構成>
図7に示すように、ベアリングハウジング50における支持孔52は、回転軸線方向においてオイル排出空間54よりも他方側に位置する他方側支持孔52aと、回転軸線方向において他方側支持孔52aよりも一方側に位置する一方側支持孔52bとに大別できる。一方側支持孔52bの内径は、フロートベアリング120の外径よりも僅かに大きくなっている。また、一方側支持孔52bの回転軸線方向における寸法は、回転軸線方向におけるフロートベアリング120の寸法よりもやや大きくなっている。支持孔52における一方側支持孔52bの内部には、フロートベアリング120が挿入されている。図9に示すように、支持孔52における一方側支持孔52bには、オイル導入通路53の一端が接続されている。
図7に示すように、ベアリングハウジング50における本体部51には、支持孔52における一方側支持孔52bから下方に向かって延びる貫通孔57が区画されている。貫通孔57の下端は、オイル排出空間54に接続されている。貫通孔57の延長線上には、オイル排出口55が位置している。また、貫通孔57における下側部分の内径が上側部分の内径よりも大きくなっており、貫通孔57には、下側部分と上側部分との境界部分に段差がある。
図10(a)に示すように、フロートベアリング120には、当該フロートベアリング120の径方向に固定孔122が貫通している。固定孔122の中心軸線は、貫通孔57の中心軸線と同軸になっている。図7に示すように、固定孔122及び貫通孔57には固定ピン129が挿通されており、フロートベアリング120は、ベアリングハウジング50の本体部51に対して回転不可能且つ回転軸線方向に移動不可能に固定されている。なお、固定ピン129は貫通孔57の段差によって軸方向に位置決めされており、固定ピン129の上端は連結シャフト80の外周面に当接していない。
図11に示すように、連結シャフト80におけるシャフト本体81は、回転軸線方向に延びており、全体として円棒状になっている。シャフト本体81は、回転軸線方向の他方側の端から順に、大径部82と、大径部82よりも外径の小さい中径部83と、中径部83よりも外径の小さい小径部84とに大別できる。
大径部82の外径は、ベアリングハウジング50の支持孔52における他方側支持孔52aの内径よりもやや小さくなっている。回転軸線方向における大径部82の寸法は、回転軸線方向におけるベアリングハウジング50の他方側支持孔52aの寸法と略同じになっている。
図11に示すように、大径部82の外周面からは、連結シャフト80の径方向内側に向かって第1凹部82aが窪んでいる。第1凹部82aは、連結シャフト80の周方向全域に亘って環状に延びている。図7に示すように、第1凹部82aには、タービンハウジング60の内部の排気がベアリングハウジング50の内部に流入することを抑制する第1シール部材106が取り付けられている。第1シール部材106は、連結シャフト80の周方向に延びるC字状になっている。この実施形態では第1シール部材106は、連結シャフト80の周方向に約359度に亘って延びている。換言すると、第1シール部材106は、環の一部に切れ目が設けられたような形状になっている。第1シール部材106の外径は、ベアリングハウジング50の支持孔52における他方側支持孔52aの内径と略同じになっている。
図11に示すように、大径部82の外周面のうちの回転軸線方向における第1凹部82aよりも一方側の部分からは、連結シャフト80の径方向内側に向かって第2凹部82bが窪んでいる。第2凹部82bは、連結シャフト80の周方向全域に亘って環状に延びている。図7に示すように、第2凹部82bには、タービンハウジング60の内部の排気がベアリングハウジング50の内部に流入することを抑制する第2シール部材107が取り付けられている。第2シール部材107は、連結シャフト80の周方向に延びるC字状になっている。この実施形態では第2シール部材107は、連結シャフト80の周方向に約359度に亘って延びている。換言すると、第2シール部材107は、環の一部に切れ目が設けられたような形状になっている。第2シール部材107の外径は、ベアリングハウジング50の支持孔52における他方側支持孔52aの内径と略同じになっている。
図7に示すように、連結シャフト80の大径部82は、ベアリングハウジング50の支持孔52における他方側支持孔52aの内部に挿入されている。したがって、連結シャフト80における大径部82の外周面とベアリングハウジング50の支持孔52における他方側支持孔52aの内周面との間には、第1シール部材106が介在されている。また、連結シャフト80における大径部82の外周面とベアリングハウジング50の支持孔52における他方側支持孔52aの内周面との間であって、回転軸線方向において第1シール部材106よりも一方側には、第2シール部材107が介在されている。
回転軸線方向から視たときに、第2シール部材107は、C字の切れ目の部分が、第1シール部材106のC字の切れ目の部分に対して180度対称的な位置になるように、取り付けられている。したがって、回転軸線方向から視たときに、連結シャフト80の周方向全域において第1シール部材106及び第2シール部材107の少なくとも一方が介在されている。
上述したとおり、ベアリングハウジング50には、冷却水通路56が区画されている。この冷却水通路56を流通する冷却水との熱交換によってベアリングハウジング50が冷却される。冷却水通路56における回転軸線方向の他方側の端は、第1シール部材106及び第2シール部材107の近傍まで延びている。具体的には、冷却水通路56における回転軸線方向の他方側の端は、回転軸線方向において第2シール部材107よりも他方側にまで延びている。また、冷却水通路56における回転軸線方向の他方側の端部は、径方向外側から第1シール部材106及び第2シール部材107を取り囲むように区画されている。
連結シャフト80における中径部83の外径は、フロートベアリング120の内径よりも僅かに小さくなっている。回転軸線方向における中径部83の寸法は、回転軸線方向におけるフロートベアリング120の寸法よりもやや大きくなっている。中径部83は、フロートベアリング120の内部に挿入されている。したがって、連結シャフト80の中径部83の外周面とフロートベアリング120の内周面との間には、供給孔121を介してオイルが供給される。また、中径部83における回転軸線方向の他方側の一部は、フロートベアリング120から回転軸線方向の他方側に突出している。中径部83におけるフロートベアリング120から突出している部分からは、連結シャフト80の径方向外側に向かって規制部85が突出している。規制部85は、連結シャフト80の周方向全域に亘って環状に延びている。規制部85の外径は、支持孔52の一方側支持孔52bの内径よりも僅かに小さく、フロートベアリング120の外径と略同じになっている。規制部85は、回転軸線方向においてフロートベアリング120における回転軸線方向の他方側の端面125と対向している。また、連結シャフト80における規制部85は、支持孔52の一方側支持孔52bの内部に位置している。
連結シャフト80における小径部84の外径は、シールプレート40の挿通孔41の内径よりも小さくなっている。小径部84における中径部83側の端部には、全体として筒形状の規制ブッシュ110が取り付けられている。規制ブッシュ110における回転軸線方向の他方側の端部は、小径部84と中径部83との境界部の段差に当接している。
規制ブッシュ110におけるブッシュ本体111は、回転軸線方向に延びる略円筒形状になっている。ブッシュ本体111の外径は、支持孔52の一方側支持孔52bの内径よりも小さく、シールプレート40の挿通孔41の内径よりもやや小さくなっている。ブッシュ本体111の内径は、連結シャフト80における小径部84の外径と略同じになっている。ブッシュ本体111は、小径部84に対して固定されており、小径部84と一体に回転する。なお、本実施形態では、回転軸線方向における他方側から一方側を視たときに、連結シャフト80は、当該連結シャフト80の周方向一方側(時計回り側)に回転する。
ブッシュ本体111の外周面における回転軸線方向の他方側の端部からは、連結シャフト80の径方向外側に向かって規制環部112が突出している。すなわち、規制環部112は、連結シャフト80におけるシャフト本体81の外周面から径方向外側に向かって突出するようになっている。規制環部112は、連結シャフト80の周方向全域に亘って環状に延びている。規制環部112の外径は、支持孔52の一方側支持孔52bの内径よりも僅かに小さく、フロートベアリング120の外径と略同じになっている。規制環部112は、回転軸線方向においてフロートベアリング120における回転軸線方向の一方側の端面128と対向している。また、連結シャフト80における規制環部112は、支持孔52の一方側支持孔52bの内部に位置している。
ブッシュ本体111の外周面における回転軸線方向の略中央部からは、連結シャフト80の径方向外側に向かって円環部113が突出している。円環部113は、連結シャフト80の周方向全域に亘って環状に延びている。円環部113は、回転軸線方向において規制環部112と離れている。したがって、円環部113と規制環部112との間には、略円環形状の空間として円環溝部114が区画されている。また、円環溝部114は、支持孔52の一方側支持孔52bの内部に位置している。したがって、円環溝部114における径方向外側は、支持孔52の一方側支持孔52bの内周面によって区画されている。
ブッシュ本体111の外周面における回転軸線方向の一方側の端部からは、連結シャフト80の径方向内側に向かって第1凹部111aが窪んでいる。第1凹部111aは、連結シャフト80の周方向全域に亘って環状に延びている。第1凹部111aには、コンプレッサハウジング30の内部の吸気がベアリングハウジング50の内部に流入することを抑制する第1シールリング101が取り付けられている。第1シールリング101は、円環形状になっている。第1シールリング101の外径は、シールプレート40の挿通孔41の内径と略同じになっている。
また、ブッシュ本体111の外周面における回転軸線方向の一方側の端部のうちの第1凹部111aよりも他方側の部分からは、連結シャフト80の径方向内側に向かって第2凹部111bが窪んでいる。第2凹部111bは、連結シャフト80の周方向全域に亘って環状に延びている。第2凹部111bには、コンプレッサハウジング30の内部の吸気がベアリングハウジング50の内部に流入することを抑制する第2シールリング102が取り付けられている。第2シールリング102は、円環形状になっている。第2シールリング102の外径は、シールプレート40の挿通孔41の内径と略同じになっている。
規制ブッシュ110のブッシュ本体111における回転軸線方向の一方側の端部は、シールプレート40の挿通孔41の内部に挿通されている。したがって、規制ブッシュ110のブッシュ本体111の外周面とシールプレート40の挿通孔41の内周面との間には、第1シールリング101が介在されている。また、規制ブッシュ110のブッシュ本体111の外周面とシールプレート40の挿通孔41の内周面との間であって、第1シールリング101よりも回転軸線方向の他方側には、第2シールリング102が介在されている。なお、小径部84の回転軸線方向の一方側の一部分は、コンプレッサハウジング30の収容空間32に位置している。
図10(b)に示すように、フロートベアリング120の端面125は、連結シャフト80の規制部85に対向するランド面125aと、当該ランド面125aに対して傾斜するテーパ面125bとに大別できる。
ランド面125aは、連結シャフト80の回転軸線80aに直交した平坦な面になっている。ランド面125aは、連結シャフト80の周方向において互いに離間して4つ配置されている。4つのランド面125aの離間幅は、連結シャフト80の周方向において等間隔になっている。なお、図10(b)では、一部の符号を省略している。
テーパ面125bは、連結シャフト80の周方向においてランド面125aの間にそれぞれ配置されている。すなわち、テーパ面125bは、連結シャフト80の周方向において4つ配置されている。また、テーパ面125bは、連結シャフト80の周方向においてランド面125aと隣り合っている。すなわち、連結シャフト80の周方向において、ランド面125a及びテーパ面125bが接続されている。テーパ面125bは、ランド面125aに対して回転軸線方向に窪んでいる。テーパ面125bは、連結シャフト80の回転方向進行側である周方向一方側(図10(b)における時計回り側)ほど、回転軸線方向における窪み深さが浅くなっている。すなわち、テーパ面125bは、連結シャフト80の周方向一方側ほど、回転軸線方向において規制部85に近づくように傾斜している。また、テーパ面125bにおける連結シャフト80の周方向一方側の端は、ランド面125aと面一になっている。
テーパ面125bからは、回転軸線方向に溝部125cが窪んでいる。溝部125cは、連結シャフト80の回転方向進行側とは反対側の周方向他方側(図10(b)における反時計回り側)のテーパ面125bにおける端部に位置している。溝部125cは、端面125における内周縁125dから連結シャフト80の径方向外側に向かって直線状に延びている。溝部125cは、連結シャフト80の径方向外側に向かうほど窪み深さが浅くなっており、テーパ面125bの軽方向外側の縁に至る前に深さがゼロになっている。つまり、溝部125cにおける連結シャフト80の径方向外側の端部は、端面125における外周縁125eにまでは至っていない。なお、フロートベアリング120の端面128は端面125と同様の構成であるため、フロートベアリング120の端面128の説明を省略する。
図7に示すように、オイル排出空間54は、回転軸線方向の一方側の端部に位置する一方側端部空間54aと、回転軸線方向の中央部に位置する中央空間54bと、回転軸線方向の他方側の端部に位置する他方側端部空間54cとを備えている。中央空間54bの全域は、連結シャフト80よりも下側に位置している。
一方側端部空間54aは、連結シャフト80よりも上側にまで至っている。また、一方側端部空間54aは、連結シャフト80における規制ブッシュ110を径方向外側から囲むように広がっており、全体として円環形状になっている。
他方側端部空間54cは、連結シャフト80よりも上側にまで至っている。また、他方側端部空間54cは、連結シャフト80の中径部83における規制部85よりも回転軸線方向の他方側の部分を径方向外側から囲むように広がっており、全体として円環形状になっている。
オイル排出空間54の中央空間54bにおける一方側の部分からは、上側に向かってオイル排出空間54の一方側環状空間54dが延びている。一方側環状空間54dは、フロートベアリング120における回転軸線方向の一方側の端部を径方向外側から取り囲むように区画されており、全体として円環形状になっている。一方側環状空間54dは、フロートベアリング120の端面128と連結シャフト80における規制ブッシュ110の規制環部112との空間に接続されている。
オイル排出空間54の中央空間54bにおける他方側の部分からは、上側に向かってオイル排出空間54の他方側環状空間54eが延びている。他方側環状空間54eは、フロートベアリング120における回転軸線方向の他方側の端部を径方向外側から取り囲むように区画されており、全体として円環形状になっている。他方側環状空間54eは、フロートベアリング120の端面125と連結シャフト80における規制部85との空間に接続されている。
<コンプレッサホイール70及びコンプレッサハウジング30等の具体的な構成>
次に、コンプレッサホイール70及びコンプレッサハウジング30等の詳細について説明する。
図11に示すように、コンプレッサホイール70における軸部73は、回転軸線方向に延びており、全体として円筒形状になっている。軸部73の内径は、連結シャフト80の小径部84の外径と略同じになっている。軸部73の内部には、連結シャフト80の小径部84が挿入されている。軸部73は、ナット76によって連結シャフト80の小径部84に対して固定されている。
軸部73の外周面からは、連結シャフト80の径方向外側に向かって羽部71が突出している。羽部71は、軸部73における回転軸線方向の略全域に亘って延びている。羽部71は、回転軸線方向における他方側から一方側を視たときに、回転軸線方向の一方側に向かうほど、連結シャフト80の周方向において時計回り側に位置するように湾曲している。羽部71は、連結シャフト80の周方向において互いに離間して6つ配置されている。各羽部71は、連結シャフト80の周方向において互いの離間幅が等しくなるように等間隔毎に配置されている。
軸部73の外周面からは、連結シャフト80の径方向外側に向かって補助羽部72が突出している。補助羽部72は、連結シャフト80の周方向において並んだ羽部71の間に配置されている。本実施形態では、羽部71の数に対応して合計6つの補助羽部72が配置されている。補助羽部72は、回転軸線方向において羽部71よりも延設長さが短くなっている。また、補助羽部72における回転軸線方向の一方側の端は、軸部73における回転軸線方向の略中央に位置している。したがって、羽部71における回転軸線方向の一方側の端は、補助羽部72における回転軸線方向の一方側の端よりも、回転軸線方向の一方側に位置している。また、補助羽部72は、回転軸線方向における他方側から一方側を視たときに、回転軸線方向の一方側に向かうほど、連結シャフト80の周方向において時計回り側に位置するように湾曲している。
図6に示すように、上記コンプレッサホイール70が配置されているハウジング本体39における収容空間32からは、回転軸線方向の一方側に向かって挿通孔31の小径部31bが延びている。小径部31bからは、回転軸線方向の一方側に向かって挿通孔31における大径部31aが延びている。大径部31aは、筒状部30Aの端部にまで至っている。すなわち、挿通孔31の大径部31aは、ハウジング本体39の外部に開口している。大径部31aの内径は、小径部31bの内径よりも大きくなっている。
挿通孔31の大径部31aには、コンプレッサホイール70へ導入する吸気を整流するためのインレットダクト36Aが取り付けられている。インレットダクト36Aは、略円筒形状の筒状部材36を備えている。回転軸線方向における筒状部材36の寸法は、回転軸線方向におけるハウジング本体39の大径部31aの寸法と略同じになっている。筒状部材36の外径は、ハウジング本体39の大径部31aの内径と略同じになっている。また、筒状部材36の内径は、ハウジング本体39の小径部31bの内径と略同じになっている。筒状部材36は、ハウジング本体39の大径部31aに嵌め込まれている。筒状部材36の内部空間は、ハウジング本体39の小径部31bの内部空間と共に、ハウジング本体39の収容空間32に吸気を導入する導入通路35として機能している。
図6に示すように、筒状部材36(導入通路35)の内壁面からは、連結シャフト80の径方向内側に向かって略四角板状のガイドベーン37が突出している。ガイドベーン37は、回転軸線方向に対して平行に延びている。ここで、回転軸線方向において、筒状部材36における回転軸線方向の一方側の端からの距離と、羽部71における回転軸線方向の一方側の端からの距離とが等しい点を中点Xとする。ガイドベーン37は、筒状部材36における回転軸線方向の一方側の端から中点Xよりも回転軸線方向の他方側(羽部71側)まで延びている。ガイドベーン37は、連結シャフト80の周方向において互いに離間して7つ配置されている。すなわち、ガイドベーン37の数(7つ)は、羽部71の数(6つ)よりも大きい最小の奇数である。また、各ガイドベーン37は、連結シャフト80の周方向において互いの離間幅が等しくなるように配置されている。本実施形態では、ガイドベーン37は、樹脂成型によって筒状部材36と一体に構成された一体成形物である。また、本実施形態では、インレットダクト36A及びハウジング本体39によってコンプレッサハウジング30が構成されている。なお、インレットダクト36Aは、樹脂成型によってコンプレッサハウジング30よりも上流側の吸気管11とも一体に構成されている。
<シールプレート40の周辺構成>
次に、シールプレート40とベアリングハウジング50との組み付け構造の詳細について説明する。
図5に示すように、ベアリングハウジング50の本体部51の外周面における回転軸線方向の一方側の端部からは、連結シャフト80の径方向外側に向かって支持部58が突出している。支持部58における回転軸線方向の一方側の面は、シールプレート40における回転軸線方向の他方側の面に当接している。すなわち、シールプレート40は、回転軸線方向の一方側からベアリングハウジング50の支持部58に対して当接している。支持部58には、図示しないボルト孔が設けられており、このボルト孔に挿通されるボルト192によって、支持部58(ベアリングハウジング50)がシールプレート40に固定されている。
図9に示すように、支持部58は、連結シャフト80の周方向において互いに離間して3つ配置されている。ここで、3つの支持部58のうちの一つ(図9において最も右側の支持部58)を第1支持部58aとし、3つの支持部58のうちの第1支持部58a以外の一つ(図9において最も左側の支持部58)を第2支持部58bとする。また、3つの支持部58のうちの第1支持部58a及び第2支持部58b以外の一つ(図9において最も上側の支持部58)を第3支持部58cとする。そして、連結シャフト80の回転軸線80aに直交するとともに、第1支持部58aの中央を通過する直線を仮想直線58dとする。
第1支持部58aは、連結シャフト80の回転軸線80aよりも仮想直線58dに沿う方向の一方側(図9における右下側)に位置している。また、第2支持部58b及び第3支持部58cは、連結シャフト80の回転軸線80aよりも仮想直線58dに沿う方向の他方側(図9における左上側)に位置している。すなわち、仮想直線58dに沿う方向において、第1支持部58a及び第2支持部58bは、互いに連結シャフト80の回転軸線80aの反対側に位置している。また、仮想直線58dに沿う方向において、第1支持部58a及び第3支持部58cは、互いに連結シャフト80の回転軸線80aの反対側に位置している。
<連結シャフト80とタービンホイール90との連結構造>
次に、連結シャフト80とタービンホイール90との連結構造の詳細について説明する。
図7に示すように、シャフト本体81の大径部82における回転軸線方向の他方側の端からは、回転軸線方向の他方側に向かって略円柱形状の連結部86が延びている。連結部86の外径は、大径部82の外径よりも小さくなっている。大径部82と連結部86との境界部分は、曲面になっていて、いわゆるフィレット形状になっている。この連結部86にタービンホイール90が固定されている。
図11に示すように、タービンホイール90における軸部92は、回転軸線方向に延びており、全体として円柱形状になっている。軸部92の外径は、連結シャフト80の連結部86の外径よりも大きく、連結シャフト80の大径部82の外径と略同じになっている。
軸部92における回転軸線方向の一方側の端面からは、回転軸線方向の他方側に向かって略円柱形状の連結凹部93が窪んでいる。連結凹部93の内径は、連結シャフト80の連結部86の外径と略同じになっている。連結凹部93における回転軸線方向の一方側の開口縁は、面取り形状になっている。軸部92における連結凹部93の内部には、連結シャフト80における連結部86が挿入されている。そして、連結シャフト80における大径部82の回転軸線方向の他方側の端面と、タービンホイール90における軸部92の回転軸線方向一方側の端面とが当接した状態で、連結シャフト80とタービンホイール90とが固定されている。本実施形態では、連結シャフト80とタービンホイール90とが溶接で固定されている。
軸部92の外周面からは、連結シャフト80の径方向外側に向かって羽部91が突出している。羽部91は、軸部92における回転軸線方向の略全域に亘って延びている。羽部91は、連結シャフト80の周方向において互いに離間して9つ配置されている。各羽部91は、連結シャフト80の周方向において互いの離間幅が等しくなるように等間隔毎に配置されている。
<ベアリングハウジング50とタービンハウジング60との連結構造>
次に、ベアリングハウジング50とタービンハウジング60との連結構造の詳細について説明する。
図7に示すように、ベアリングハウジング50の本体部51における挟持フランジ部59よりも回転軸線方向の他方側の端部である連結部51aの外径は、ベアリングハウジング50の本体部51における挟持フランジ部59よりも回転軸線方向の一方側の部分の外径よりも小さくなっている。連結部51aは、回転軸線方向の一方側の端から順に、連結大径部51bと、連結大径部51bよりも外径の小さい連結小径部51cとに大別できる。連結大径部51bと連結小径部51cとの境界部には、連結シャフト80の周方向全域に延びる段差があり、この段差を構成する連結大径部51bにおける回転軸線方向の他方側の端面が挟持面51dとして機能する。挟持面51dは、連結シャフト80の回転軸線80aに直交した平坦な面になっている。
図8に示すように、タービンハウジング60における筒状部60Bの内部空間のうち、収容空間62よりも回転軸線方向の一方側の部分は、ベアリングハウジング50の連結部51aが挿入される連結孔67になっている。図7に示すように、連結孔67は、回転軸線方向の一方側の端から順に、連結大径孔67aと、連結大径孔67aよりも内径の小さい連結小径孔67bとに大別できる。連結大径孔67aの内径は、ベアリングハウジング50の連結大径部51bの外径と略同じになっている。また、連結小径孔67bの内径は、ベアリングハウジング50の連結小径部51cの外径よりも大きくなっている。連結大径孔67aと連結小径孔67bとの境界部には、連結シャフト80の周方向全域に延びる段差があり、この段差を構成する連結小径孔67bにおける回転軸線方向の一方側の端面が挟持面67dとして機能する。挟持面67dは、連結シャフト80の回転軸線80aに直交した平坦な面になっている。タービンハウジング60における連結孔67の内部には、ベアリングハウジング50における連結部51aが挿入されている。
ベアリングハウジング50における連結部51aとタービンハウジング60における連結孔67との間には、全体として円環形状の遮熱板130が配置されている。遮熱板130の径方向外側の部分である外周部133は、平板円環形状になっている。外周部133の外縁の径は、タービンハウジング60における連結孔67の連結大径孔67aの内径よりも小さくなっている。外周部133は、当該外周部133の厚み方向において、ベアリングハウジング50における連結部51aの挟持面51dとタービンハウジング60における連結孔67の挟持面67dとの間に挟み込まれている。また、上述したように外周部133は平板環形状になっているため、外周部133は、連結シャフト80の周方向全域において、ベアリングハウジング50における連結部51aの挟持面51dとタービンハウジング60における連結孔67の挟持面67dとの間に挟み込まれている。外周部133の内縁の径は、タービンハウジング60の挟持面67dの内縁の径よりも小さくなっている。外周部133の内縁からは、回転軸線方向の他方側に向かって湾曲部132が延びている。湾曲部132は、回転軸線方向他方側ほど連結シャフト80の径方向内側に位置するように湾曲している。湾曲部132は、外周部133の内縁の全域から延びている。湾曲部132の内縁からは、連結シャフト80の径方向内側に向かって内周部131が延びている。内周部131は、湾曲部132の内縁の全域から延びており、平板円環形状になっている。遮熱板130の外周部133が挟み込まれた状態では、回転軸線方向に湾曲部132が弾性変形しており、ベアリングハウジング50の連結部51aにおける回転軸線方向の他方側の端部に内周部131が当接している。そして、遮熱板130の内周部131は、ベアリングハウジング50における連結部51aとタービンホイール90の羽部91との間に配置されている。
ベアリングハウジング50の挟持フランジ部59における回転軸線方向の他方側の端面である対向面59aは、連結シャフト80の回転軸線80aに直交している。また、タービンハウジング60の挟持フランジ部68における回転軸線方向の一方側の端面である対向面68aは、連結シャフト80の回転軸線80aに直交している。ベアリングハウジング50の挟持フランジ部59における対向面59aとタービンハウジング60の挟持フランジ部68における対向面68aとは、回転軸線方向において互いに対向している。ベアリングハウジング50の挟持フランジ部59における対向面59aとタービンハウジング60の挟持フランジ部68における対向面68aとが回転軸線方向において対向する全領域では、回転軸線方向において両者が離間しており、両者の間に隙間が生じている。
<ウェイストゲートバルブ150の周辺構成>
次に、タービンハウジング60のバイパス通路64、及びウェイストゲートバルブ150の詳細について説明する。
図8に示すように、タービンハウジング60においては、2つのスクロール通路61に対応して、2つのバイパス通路64が区画されている(図8では1つのバイパス通路64のみを図示)。2つのバイパス通路64はタービンハウジング60の内部に向けて開口しているとともに、これらの開口位置が並設されている。タービンハウジング60の内壁面のうちのバイパス通路64の出口部分64aの開口縁を取り囲むように弁座65が設けられている。本実施形態では、弁座65は、タービンハウジング60の内壁面から突出する円筒状になっていて、その内部に2つのバイパス通路64の出口部分64aがそれぞれ区画されている。弁座65の端面である当接面65aは、平坦な面になっている。
図13に示すように、タービンハウジング60の筒状部60Bの壁部には、貫通孔69が貫通している。貫通孔69は、タービンハウジング60における弁座65よりも下流側(回転軸線方向の他方側)に位置している。貫通孔69の中心軸線は、弁座65の当接面65aに対して平行になっている。貫通孔69の内部には、円筒形状のブッシュ160が挿入されている。ブッシュ160の外径は、貫通孔69の内径と略同じになっている。ブッシュ160の中心軸線は、貫通孔69の中心軸線と同軸になっている。
図13に示すように、タービンハウジング60には、バイパス通路64を開閉するウェイストゲートバルブ150が取り付けられている。ウェイストゲートバルブ150のシャフト151は、略円柱形状になっている。シャフト151の外径は、ブッシュ160の内径と略同じになっている。シャフト151は、ブッシュ160の内部に挿通されており、タービンハウジング60に対して回転可能に支持されている。シャフト151の回転軸線151aは、貫通孔69の中心軸線と同軸になっている。また、上述したように、貫通孔69はタービンハウジング60における弁座65よりも下流側に位置しているため、シャフト151の回転軸線151aは、弁座65の当接面65aと直交する方向において弁座65の当接面65aからバイパス通路64を流通する排気の下流側に離れるように位置している。
シャフト151におけるタービンハウジング60の内部側の端部からは、シャフト151の径方向外側に向かって弁体152の接続部153が延びている。図12(c)に示すように、接続部153におけるシャフト151の周方向一方側には、略円板形状の弁本体154が接続されている。弁本体154のうちの接続部153と反対側に位置する面は、シャフト151の周方向に対して交差しており、タービンハウジング60の弁座65に対する当接面154aとして機能する。弁本体154の当接面154aは、全域が平坦な面になっている。また、接続部153における弁本体154の当接面154aに直交する方向の寸法は、シャフト151側(図12(c)における左側)ほど大きくなっている。本実施形態では、鋳造によってシャフト151及び弁体152が一体に構成されている。したがって、ウェイストゲートバルブ150は、シャフト151及び弁体152が一体に構成された一体成形物である。
図2に示すように、ウェイストゲートバルブ150のシャフト151におけるタービンハウジング60の外部側の端部には、リンク機構170が連結されている。具体的には、シャフト151には、略長方形板状のリンクアーム171の一端部が連結されている。リンクアーム171の他端部には、全体として棒状のリンクロッド172の一端部が連結されている。したがって、シャフト151の径方向において、リンクロッド172及びリンクアーム171の連結中心177は、リンクアーム171及びシャフト151の連結中心176から離れている。リンクロッド172は、全体として回転軸線方向の他方側から一方側に向かって延びている。リンクロッド172の他端部には、アクチュエータ180の出力軸が連結されている。
図2に示すように、アクチュエータ180の駆動によってリンクロッド172が当該リンクロッド172の長手方向の一方側(図2における左側)に運動すると、リンクアーム171は、リンクロッド172の運動を回転運動に変換して、シャフト151の周方向一方側(図2における反時計回り側)に回転する。そして、ウェイストゲートバルブ150は、シャフト151の周方向一方側に回転する。すると、ウェイストゲートバルブ150における弁体152の当接面154aが、タービンハウジング60の弁座65の当接面65aに当接する。こうしてバイパス通路64の下流端がウェイストゲートバルブ150の弁体152に覆われることで、バイパス通路64が全閉状態になる。なお、本実施形態では、弁体152の当接面154aと弁座65の当接面65aとが当接してウェイストゲートバルブ150がそれ以上閉側に回転できなくなる状態が全閉状態である。なお、本実施形態では、図13に示すように、バイパス通路64の全閉状態において、リンクロッド172の長手方向に沿う仮想直線172aが、弁座65の当接面65aと平行な仮想平面65bに対して交差するようになっている。
一方、図2に示すように、アクチュエータ180の駆動によってリンクロッド172が当該リンクロッド172の長手方向の他方側(図2における右側)に運動すると、リンクアーム171は、リンクロッド172の運動を回転運動に変換して、シャフト151の周方向他方側(図2における時計回り側)に回転する。そして、ウェイストゲートバルブ150は、シャフト151の周方向他方側に回転する。すると、ウェイストゲートバルブ150における弁体152の当接面154aが、タービンハウジング60の弁座65の当接面65aから離間する。こうしてバイパス通路64の下流端がウェイストゲートバルブ150の弁体152に覆われないことで、バイパス通路64が開状態になる。
図12(a)に示すように、弁体152の当接面154aは、リンクアーム171からシャフト151の回転軸線151aに沿う方向である回転軸線151a方向に離れるほど(図12(a)における下側ほど)、シャフト151の回転軸線151aに対してシャフト151の径方向外側(図12(a)における左側)に位置するように傾斜している。したがって、バイパス通路64の全閉状態において、弁体152の当接面154aは、リンクアーム171からシャフト151の回転軸線151aに沿う方向である回転軸線151a方向に離れるほど、シャフト151の回転軸線151aに対してリンクロッド172の長手方向の一方側(弁座65が位置する側)に位置するように傾斜する。本実施形態では、弁体152の当接面154aがシャフト151の回転軸線151aに対して1度以下で傾斜している。なお、図12(a)では、シャフト151の回転軸線151aに対する弁体152の当接面154aの傾斜を誇張して図示している。
シャフト151の回転軸線151aに直交するとともに弁座65の当接面65aを含む断面において、図12(c)に示すように、弁体152の当接面154aに直交する方向における弁体152の当接面154aからシャフト151の回転軸線151aまでの距離のうちの最も長い距離を距離Aとする。また、シャフト151の回転軸線151aに直交するとともに弁座65の当接面65aを含む断面において、図13に示すように、弁座65の当接面65aに直交する方向における弁座65の当接面65aからシャフト151の回転軸線151aまでの距離のうちの最も短い距離を距離Bとする。本実施形態では、距離Aが、距離Bよりも短くなるように、弁座65の当接面65aに対する弁本体154の当接面154aの位置が設計されている。
<バイパス通路64と触媒15との構成>
次に、バイパス通路64と触媒15との位置関係の詳細について説明する。
図8に示すように、触媒15における筒状部16は、排気管13の上流側から下流側に向かって直線状に延びている。筒状部16は、円筒形状になっている。筒状部16の内部には、当該筒状部16の内部空間を区画する複数の区画壁17が設けられている。区画壁17は、筒状部16の中心軸線16aと平行に、筒状部16の上流端から下流端にまで延びている。区画壁17は、筒状部16の中心軸線16aに直交する第1方向に延びる複数の第1区画壁17aと、第1方向に直交する第2方向に延びる複数の第2区画壁17bとで構成されている。したがって、筒状部16の中心軸線16aに沿う方向から視たときに、複数の第1区画壁17a及び複数の第2区画壁17bは、格子状になっている。なお、図8では、区画壁17の数を減らして触媒15の構成を簡略化して図示している。
バイパス通路64の出口部分64aの中心軸線64b上には、触媒15の上流端面の中央部が位置している。また、バイパス通路64の出口部分64aの中心軸線64bは、触媒15の第1区画壁17aと交差している。図8に示すように、バイパス通路64の出口部分64aの中心軸線64b及び触媒15の筒状部16の中心軸線16aにそれぞれ直交する方向から視たときに、バイパス通路64の出口部分64aの中心軸線64bと触媒15の筒状部16の中心軸線16aとがなす鋭角の角度Cは、30度になっている。なお、本実施形態では、2つのバイパス通路64の出口部分64aが平行に延びている。
<タービンホイール90と連結シャフト80とを溶接する製造方法>
次に、タービンホイール90の軸部92における回転軸線方向の一方側の端部と連結シャフト80の大径部82における回転軸線方向の他方側の端部との接触部分とを溶接する製造方法について説明する。まず、溶接に用いる溶接装置200について説明する。
図14に示すように、溶接装置200は、タービンホイール90及び連結シャフト80の溶接位置を調整するための昇降台201を備えている。昇降台201の上面は、図示しないアクチュエータによって昇降可能になっている。昇降台201の上面には、連結シャフト80の回転軸線方向の一方側の端部を支持するための下部チャック202が取り付けられている。下部チャック202は、昇降台201に対して回転可能になっている。下部チャック202の回転軸線は、上下方向に沿うように延びている。また、昇降台201の上面には、真空空間を区画するための真空チャンバ206が取り付けられている。真空チャンバ206の内部から空気が排出されることで真空チャンバ206の内部が略真空になる。真空チャンバ206の上部には、タービンホイール90の回転軸線方向の他方側の端部を支持するための上部チャック203が取り付けられている。上部チャック203は、下部チャック202の回転軸線上に位置している。また、上部チャック203は、下部チャック202と同軸で、真空チャンバ206に対して回転可能になっている。上部チャック203には、電動モータ204が連結されている。電動モータ204の駆動によって上部チャック203に支持されたタービンホイール90及び連結シャフト80が回転する。また、真空チャンバ206の側部には、電子ビームを照射するための電子銃205が取り付けられている。
続いて、タービンホイール90の軸部92における回転軸線方向の一方側の端部と連結シャフト80の大径部82における回転軸線方向の他方側の端部との接触部分とを溶接する製造方法について具体的に説明する。
まず、連結シャフト80の連結部86をタービンホイール90の軸部92の連結凹部93の内部に挿入する。次に、連結シャフト80における回転軸線方向の一方側(図14における下側)の端部を下部チャック202で支持し、タービンホイール90における回転軸線方向の他方側(図14における上側)の端部を上部チャック203で支持する。そして、真空チャンバ206の内部から空気を排出し、真空チャンバ206の内部を略真空状態にする。
次に、タービンホイール90の軸部92における回転軸線方向の一方側の端部と連結シャフト80の大径部82における回転軸線方向の他方側の端部との接触部分に対して、連結シャフト80の径方向外側に電子銃205を配置する。そして、その電子銃205から電子ビーム(例えば、電流が数mA、電圧が数十kV)を照射する。電子銃205による電子ビームを照射した状態で、タービンホイール90及び連結シャフト80を連結シャフト80の回転軸線80a周りに1周回転(例えば、数秒の時間をかけて回転)させて仮溶接を行う。
続いて、電子銃205による電子ビームの出力を大きくする(例えば、電流が十数mA、電圧が数十kV)。そして、タービンホイール90の軸部92における回転軸線方向の一方側の端部と連結シャフト80の大径部82における回転軸線方向の他方側の端部との接触部分に対して、連結シャフト80の径方向外側に電子銃205を配置する。そして、その電子銃205から電子ビームを照射する。そして、電子銃205による電子ビームを照射した状態で、タービンホイール90及び連結シャフト80を連結シャフト80の回転軸線80a周りに1周回転(例えば、数秒の時間をかけて回転)させて本溶接を行う。
次に、電子銃205による電子ビームの出力を小さくする(例えば、電流が数mA、電圧が数十kV)。そして、タービンホイール90の軸部92における回転軸線方向の一方側の端部と連結シャフト80の大径部82における回転軸線方向の他方側の端部との接触部分に対して、連結シャフト80の径方向外側に電子銃205を配置する。そして、その電子銃205から電子ビームを照射する。そして、電子銃205による電子ビームを照射した状態で、タービンホイール90及び連結シャフト80を連結シャフト80の回転軸線80a周りに1周回転(例えば、数秒の時間をかけて回転)させて焼き戻しを行う。
上記の仮溶接の工程では、タービンホイール90の軸部92と連結シャフト80の大径部82との連結強度が、ターボチャージャ20の駆動に耐え得る連結強度に満たない。また、上記の焼き戻しの工程では、タービンホイール90の軸部92と連結シャフト80の大径部82とが溶融しない。そのため、本実施形態では、上記の本溶接の工程において、タービンホイール90の軸部92と連結シャフト80の大径部82との連結強度が、ターボチャージャ20の駆動に耐え得る連結強度となる溶接が1回だけ行われている。
本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)ガイドベーン37の周辺構成に関連する効果について。
(1-1)ターボチャージャ20では、コンプレッサハウジング30の内部のコンプレッサホイール70が回転すると、コンプレッサハウジング30よりも上流側の吸気管11から導入通路35に導入された吸気が、収容空間32、接続通路33、及びスクロール通路34を介して、コンプレッサハウジング30よりも下流側の吸気管11に排出される。
図6に示すように、コンプレッサハウジング30における筒状部材36(導入通路35)の内壁面からは、連結シャフト80の径方向内側に向かって略四角板状のガイドベーン37が突出している。そのため、導入通路35における径方向外側の部分においては、導入通路35におけるガイドベーン37がある部分で吸気が流れず、導入通路35における隣り合うガイドベーン37の間の部分で吸気が流れてガイドベーン37の数に応じた吸気流が生じる。すると、導入通路35におけるガイドベーン37よりも下流側では、吸気流が生じた部分の吸気の流れが強い一方、吸気流が生じていない部分の吸気の流れが弱い。このように導入通路35の周方向において吸気の流れの強さがばらついていると、吸気流が生じて吸気の流れが強い部分が、コンプレッサホイール70における羽部71の上流端部に当たることで、コンプレッサホイール70全体に振動が生じる。
ここで、仮に、ガイドベーン37の数が、コンプレッサホイール70の羽部71の数と同じ7つであるとする。この場合には、ガイドベーン37の数に応じた吸気流の数が7つとなってコンプレッサホイール70の羽部71の数と同じ7つになるため、導入通路35から下流側に流れたそれぞれの吸気流がコンプレッサホイール70の羽部71の上流端部に同じようなタイミングで当たる。すると、吸気流が羽部71の上流端部に当たることによって発生する振動が重なることで、コンプレッサホイール70に過度に大きな振動が発生するおそれがある。
本実施形態では、ガイドベーン37の数(7つ)は、羽部71の数(6つ)よりも大きい最小の奇数である。すなわち、ガイドベーン37の数は、コンプレッサホイール70の羽部71の数と同じではなく、羽部71の数の倍数でもない。そのため、吸気流がコンプレッサホイール70の羽部71の上流端部に同じようなタイミングで当たらないため、吸気流が羽部71の上流端部に当たることによって発生する振動が同じタイミングで発生しない。これにより、吸気流が羽部71の上流端部に当たることによって発生するそれぞれの振動が互いに干渉して、コンプレッサホイール70全体の振動が減衰しやすい。
また、ガイドベーン37の数は羽部71の数よりも大きくなっているため、ガイドベーン37の数が羽部71の数よりも小さくなっている構成に比べて、ガイドベーン37の数に応じた吸気流の数が大きくなる。そのため、吸気流と羽部71とが当たることで発生するそれぞれの羽部71の振動を小さくできる。さらに、ガイドベーン37の数は、羽部71の数よりも大きい奇数のうちの最小値であり、必要最小限の数になっているため、ガイドベーン37の存在による吸気抵抗の増大を最小にできる。
(1-2)羽部71における回転軸線方向の一方側(上流側)の端は、補助羽部72における回転軸線方向の一方側(上流側)の端よりも、回転軸線方向の一方側(上流側)に位置している。ここで、導入通路35から収容空間32に吸気が流れる際には、コンプレッサホイール70が回転しているため、導入通路35から収容空間32に流れる吸気の大半が羽部71の上流端部に当たる。そのため、吸気流がコンプレッサホイール70に当たることによって発生する振動の大半は、吸気流が羽部71に当たることによって発生する。したがって、ガイドベーン37の数と補助羽部72の数との関係は、コンプレッサホイール70の振動に与える影響が極めて小さい。本実施形態では、ガイドベーン37の数が羽部71の数に対して設定されているため、補助羽部72の数によってガイドベーン37の数が変わらない。これにより、補助羽部72の数に応じてガイドベーン37の数が増えることがなく、そのようにガイドベーン37の数が増えることに伴って吸気抵抗が増大することもない。
(1-3)ガイドベーン37は、筒状部材36における回転軸線方向の一方側の端から中点Xよりも回転軸線方向の他方側(羽部71側)まで延びている。そのため、本実施形態では、ガイドベーン37における回転軸線方向の他方側の端が中点Xよりも回転軸線方向の一方側に位置する構成に比べて、ガイドベーン37の整流効果が大きくなる。また、ガイドベーン37における回転軸線方向の他方側(下流側)の端と羽部71における回転軸線方向の一方側(上流側)の端との距離が比較的に近いため、整流された吸気が拡散されることなく羽部71へと至りやすい。ここで、整流された吸気が拡散されることなく羽部71に流れると、導入通路35の周方向における吸気が流れる強さのばらつきが大きくなる。そして、吸気の流れが強い部分が羽部71に当たって発生する羽部71の振動は、大きくなりやすい。このようなガイドベーン37に対して、上記のようにガイドベーン37の数を設定することで、コンプレッサホイール70の振動抑制効果を特に有効に得られる。
(1-4)インレットダクト36Aはハウジング本体39とは別の部材として構成されており、インレットダクト36Aにおける筒状部材36がハウジング本体39の大径部31aに嵌め込まれている。そして、インレットダクト36Aにおけるガイドベーン37及び筒状部材36は一体成形物になっている。そのため、ハウジング本体39の大径部31aにインレットダクト36Aにおける筒状部材36を嵌め合わせるという簡便な作用によって、コンプレッサハウジング30の内部にガイドベーン37を形成できる。また、ハウジング本体39には、ガイドベーン37が形成されていないため、ハウジング本体39の形状が複雑化することを抑制できる。
(2)連結シャフト80の周辺構成に関連する効果について。
(2-1)図7に示すように、連結シャフト80の大径部82の外周面とベアリングハウジング50の支持孔52の内周面との間には、第1シール部材106が介在されている。この第1シール部材106によって、タービンハウジング60の収容空間62を流通する排気がベアリングハウジング50のオイル排出空間54に流入することが抑制される。
ところで、内燃機関10の運転状況等によっては、タービンハウジング60の内部の排気の圧力が過度に高くなることがある。すると、タービンハウジング60の収容空間62を流通する排気が、連結シャフト80の大径部82の外周面とベアリングハウジング50の支持孔52の内周面との間のうちの第1シール部材106よりも回転軸線方向の一方側に流入するおそれがある。
本実施形態では、連結シャフト80における大径部82の外周面とベアリングハウジング50の支持孔52における他方側支持孔52aの内周面との間であって、回転軸線方向において第1シール部材106よりも一方側には、第2シール部材107が介在されている。そのため、上記のように、連結シャフト80の大径部82の外周面とベアリングハウジング50の支持孔52の内周面との間のうちの第1シール部材106よりも回転軸線方向の一方側に排気が流入したとしても、第2シール部材107よりも回転軸線方向の一方側に排気が流入することを抑制できる。
(2-2)第1シール部材106及び第2シール部材107は、連結シャフト80の周方向に約359度に亘って延びており、一部に切れ目が生じている。そのため、連結シャフト80の大径部82の外周面とベアリングハウジング50の支持孔52の内周面との間のうちの第1シール部材106の切れ目の部分の隙間を介して、第1シール部材106よりも回転軸線方向の一方側に排気が流入するおそれがある。
本実施形態では、回転軸線方向から視たときに、連結シャフト80の周方向全域において第1シール部材106及び第2シール部材107の少なくとも一方が介在されている。このように第1シール部材106及び第2シール部材107が互いに連結シャフト80の反対側に位置しているため、第1シール部材106の切れ目の部分の隙間を介して、第1シール部材106よりも回転軸線方向の一方側に排気が流入したとしても、第2シール部材107によって排気が流入することを抑制できる。
特に、本実施形態では、回転軸線方向から視たときに、第2シール部材107は、C字の切れ目の部分が、第1シール部材106のC字の切れ目の部分に対して180度対称的な位置になるように、取り付けられている。そのため、連結シャフト80の大径部82の外周面とベアリングハウジング50の支持孔52の内周面との間のうち、第1シール部材106のC字の切れ目の部分から第2シール部材107のC字の切れ目の部分までの距離を確保しやすい。
(2-3)本実施形態では、第1シール部材106は、第2シール部材107よりも回転軸線方向の他方側に介在されているため、第2シール部材107に比べて排気に晒されやすい。そのため、第1シール部材106は、排気の熱によって劣化することがある。
図7に示すように、ベアリングハウジング50の冷却水通路56における回転軸線方向の他方側の端は、回転軸線方向において第2シール部材107よりも他方側にまで延びている。そのため、冷却水通路56を流通する冷却水との熱交換によって、ベアリングハウジング50における第2シール部材107の近傍部分に加えて、ベアリングハウジング50における第1シール部材106の近傍部分も冷却される。そして、ベアリングハウジング50の支持孔52の内部に介在されている第1シール部材106や第2シール部材107が冷却される。これにより、第1シール部材106や第2シール部材107の温度が過度に高くなることを抑制でき、第1シール部材106や第2シール部材107に劣化が生じることを抑制できる。
(3)フロートベアリング120の周辺構成に関連する効果について。
(3-1)図7に示すように、連結シャフト80の規制部85は、回転軸線方向においてフロートベアリング120における回転軸線方向の他方側の端面125と対向している。ここで、連結シャフト80が回転しているときに、連結シャフト80の規制部85とフロートベアリング120の端面125とが当接すると、規制部85やフロートベアリング120の端面125が摩耗するおそれがある。
本実施形態では、連結シャフト80の外周面とフロートベアリング120の内周面との間に供給されたオイルの一部が、連結シャフト80の規制部85とフロートベアリング120の端面125との間に流れる。そのため、連結シャフト80が回転しているときには、フロートベアリング120の端面125と連結シャフト80の規制部85との間に存在するオイルが、連結シャフト80の規制部85の回転に引き連れられて、連結シャフト80の回転方向進行側に流動する。
ここで、フロートベアリング120の端面125におけるテーパ面125bは、連結シャフト80の周方向一方側ほど、回転軸線方向において規制部85に近づくように傾斜している。すなわち、フロートベアリング120のテーパ面125bと連結シャフト80の規制部85との回転軸線方向の間隔が、連結シャフト80の回転方向進行側ほど小さくなっている。したがって、連結シャフト80の規制部85の回転に引き連れられてオイルが流動すると、この間隔の小さい箇所にオイルが流入しようとするため、当該間隔の小さい箇所のオイルの圧力が高くなる。このようにフロートベアリング120のテーパ面125bと連結シャフト80の規制部85との間のオイルの圧力が高くなることで、フロートベアリング120の端面125と連結シャフト80の規制部85との間に隙間を確保することができる。その結果、フロートベアリング120の端面125と連結シャフト80の規制部85とが当接して摩耗することを抑制できる。
(3-2)フロートベアリング120の端面125においては、ランド面125a及びテーパ面125bが、連結シャフト80の周方向に離間してそれぞれ4つ形成されている。そのため、フロートベアリング120におけるそれぞれのテーパ面125bと連結シャフト80の規制部85との間でオイルの圧力が高まる箇所が、周方向に等間隔で4つ生じることになる。その結果、連結シャフト80の規制部85に作用するオイルの圧力によって、フロートベアリング120に対して連結シャフト80が傾くことを抑制できる。
(3-3)フロートベアリング120の端面125における溝部125cは、端面125の内周縁125dから連結シャフト80の径方向外側に向かって延びている。そのため、連結シャフト80の外周面とフロートベアリング120の内周面との間のオイルを、溝部125cを介してフロートベアリング120のテーパ面125bと連結シャフト80の規制部85との間に供給できる。したがって、フロートベアリング120のテーパ面125bと連結シャフト80の規制部85との間に供給されるオイルの量が不足することが抑制できる。
(3-4)また、フロートベアリング120の端面125における溝部125cは、端面125における外周縁125eには至っていない。そのため、フロートベアリング120の溝部125cに流入したオイルが、溝部125cを介して端面125における外周縁125eよりも径方向外側に流出しにくい。これにより、溝部125cを介してフロートベアリング120のテーパ面125bと連結シャフト80の規制部85との間に供給されるオイル量の低下を抑制できる。
(3-5)フロートベアリング120の端面125における溝部125cは、連結シャフト80の回転方向進行側とは反対側の周方向他方側(図10(b)における反時計回り側)のテーパ面125bにおける端部に位置している。すなわち、フロートベアリング120のテーパ面125bと連結シャフト80の規制部85との間のオイルの圧力が比較的に低い部分に溝部125cが位置している。そのため、本実施形態では、連結シャフト80の回転方向進行側の周方向一方側(図10(b)における時計回り側)のテーパ面125bにおける端部に溝部125cが位置している構成に比べて、溝部125cに流入したオイルが、フロートベアリング120のテーパ面125bと連結シャフト80の規制部85との間に供給されやすい。
(3-6)本実施形態では、フロートベアリング120における回転軸線方向の一方側の端面128が、フロートベアリング120における回転軸線方向の他方側の端面125と同様の構成になっている。また、フロートベアリング120の端面128は、連結シャフト80における規制ブッシュ110の規制環部112と対向している。そして、規制ブッシュ110はシャフト本体81と一体に回転するため、連結シャフト80が回転しているときには、フロートベアリング120の端面128と規制ブッシュ110の規制環部112との間に存在するオイルが、規制ブッシュ110の規制環部112の回転に引き連れられて、連結シャフト80の回転方向進行側に流動する。これにより、フロートベアリング120の端面128と連結シャフト80における規制ブッシュ110の規制環部112との間に隙間を確保することができる。
(3-7)フロートベアリング120は、当該フロートベアリング120の固定孔122に挿通された固定ピン129によってベアリングハウジング50に対して、回転不可能且つ回転軸線方向に移動不可能になっている。そのため、例えば、フロートベアリング120における回転軸線方向の一方側の端面128には、フロートベアリング120をベアリングハウジング50に対して固定するための構成を採用する必要がない。これにより、上述したように、フロートベアリング120における回転軸線方向の一方側の端面128には、フロートベアリング120における回転軸線方向の他方側の端面125と同様の構成を採用している。
(3-8)上記のように、フロートベアリング120における回転軸線方向の一方側の端面128には、フロートベアリング120をベアリングハウジング50に対して固定するための構成を採用する必要がない。そのため、ベアリングハウジング50の本体部51における回転軸線方向の一方側の部分には、フロートベアリング120の端面128を支持するためのスラストベアリング等を取り付ける必要がない。これにより、ベアリングハウジング50の本体部51における回転軸線方向の一方側の部分にはスラストベアリング等を取り付けるための構造を採用する必要もないため、ベアリングハウジング50の本体部51における回転軸線方向の一方側の部分の設計自由度を向上できる。そして、本実施形態では、ベアリングハウジング50の本体部51における回転軸線方向の一方側の部分には、オイル排出空間54の一方側端部空間54aが全体として円環形状に区画されている。これにより、一方側端部空間54aの内部のオイルは、中央空間54bを介してオイル排出口55からベアリングハウジング50の外部に速やかに排出される。
(3-9)ベアリングハウジング50におけるオイル排出空間54の他方側環状空間54eは、フロートベアリング120における回転軸線方向の他方側の端部を径方向外側から取り囲むように区画されている。また、オイル排出空間54の他方側環状空間54eは、フロートベアリング120の端面125と連結シャフト80における規制部85との空間に接続されている。そのため、フロートベアリング120の端面125と連結シャフト80の規制部85との間に供給されたオイルは、連結シャフト80の径方向外側に流れてオイル排出空間54の他方側環状空間54eに至る。そして、オイル排出空間54及びオイル排出口55を介して、ベアリングハウジング50の外部に排出される。これにより、フロートベアリング120の端面125と連結シャフト80の規制部85との間でオイルが滞留することを抑制できる。その結果、フロートベアリング120の端面125と連結シャフト80の規制部85との間のオイルの流動が、オイルの滞留に起因して妨げられることを抑制できる。また、オイル排出空間54の一方側環状空間54dによって、フロートベアリング120の端面128と連結シャフト80における規制ブッシュ110の規制環部112との間でオイルが滞留することを抑制できる。
(3-10)フロートベアリング120の端面128と連結シャフト80における規制ブッシュ110の規制環部112との間からオイル排出空間54の一方側環状空間54dに流れるオイル量が過度に大きくなることがある。このように一方側環状空間54dに流れるオイル量が大きいと、一方側環状空間54d内のオイルの圧力が高くなることがある。すると、一方側環状空間54d内のオイルが、ベアリングハウジング50の支持孔52における一方側支持孔52bの内周面と連結シャフト80における規制ブッシュ110の規制環部112の外周面との間を介して回転軸線方向の一方側に流れることがある。そして、このように回転軸線方向の一方側に流れるオイルの圧力も高くなっているため、シールプレート40の挿通孔41の内周面と連結シャフト80における規制ブッシュ110のブッシュ本体111の外周面との間を介して、コンプレッサハウジング30の収容空間32にオイルが流入するおそれがある。
本実施形態では、規制ブッシュ110における円環部113と規制環部112との間には、略円環形状の空間として円環溝部114が区画されている。そのため、ベアリングハウジング50の支持孔52における一方側支持孔52bの内周面と連結シャフト80における規制ブッシュ110の規制環部112の外周面との間を介して回転軸線方向の一方側に流れたオイルは、規制ブッシュ110の円環溝部114の内部に導入される。このように規制ブッシュ110の円環溝部114の内部にオイルが導入されると、回転軸線方向の一方側に流れたオイルの圧力が低下する。これにより、シールプレート40の挿通孔41の内周面と連結シャフト80における規制ブッシュ110のブッシュ本体111の外周面との間を介して、コンプレッサハウジング30の収容空間32にオイルが流入することを抑制できる。
(4)シールプレート40の周辺構成に関連する効果について。
(4-1)仮に、ベアリングハウジング50が支持部58を備えていない場合には、ベアリングハウジング50の本体部51とシールプレート40の中央部分とが回転軸線方向に当接しているのみとなる。この構成においては、例えば、内燃機関10の振動等によって、シールプレート40の径方向外側の部分に対して回転軸線方向の力が作用すると、シールプレート40が撓むように変形することがある。このようにシールプレート40が変形すると、シールプレート40の端面40aとコンプレッサハウジング30の回転軸線方向の他方側の端面との間の密閉性が確保できなくなり、シールプレート40の端面40aとコンプレッサハウジング30の回転軸線方向の他方側の端面との間から吸気が漏れる可能性がある。
図5に示すように、本実施形態では、ベアリングハウジング50の本体部51の外周面における回転軸線方向の一方側の端部からは、連結シャフト80の径方向外側に向かって支持部58が突出している。そして、シールプレート40は、回転軸線方向の一方側からベアリングハウジング50の支持部58に対して当接している。そのため、ベアリングハウジング50の本体部51よりも径方向外側に位置するシールプレート40の径方向外側の部分が回転軸線方向の一方側から他方側に向かって変形しようとしても、そのシールプレート40の変形が、ベアリングハウジング50の支持部58によって規制される。これにより、シールプレート40における径方向外側の部分に対して回転軸線方向の一方側から他方側への力が作用したとしても、シールプレート40の変形を抑制できる。
(4-2)ベアリングハウジング50の支持部58は、ボルト192によってシールプレート40に固定されている。支持部58にシールプレート40が固定されていることで、シールプレート40における径方向外側の部分が回転軸線方向の他方側から一方側に向かって変形しようとしたとしても、そのシールプレート40の変形は、ベアリングハウジング50の支持部58によって規制される。これにより、シールプレート40における径方向外側の部分においては、回転軸線方向に力が作用したとしても、回転軸線方向の両側の変形を抑制できる。
(4-3)図9に示すように、支持部58は、連結シャフト80の周方向において互いに離間して3つ配置されている。そのため、本実施形態では、支持部58が連結シャフト80の周方向全域に延びている構成に比べて、支持部58の存在による重量増加を最小限にしつつ、シールプレート40の変形を抑制できる。
(4-4)支持部58が連結シャフト80の周方向において互いに離間して配置されているため、ベアリングハウジング50では、支持部58が設けられていない部分の外径が小さくなる。ここで、例えば、ベアリングハウジング50を鋳造によって構成する際において、1つの金型の内部に複数のベアリングハウジング50のためのキャビティを形成するものとする。この場合には、金型の内部において、ベアリングハウジング50の支持部58が互い違いなるようにキャビティを形成することで、1つの金型の内部で鋳造できるベアリングハウジング50の数を増やしやすい。
(4-5)第1支持部58aは、連結シャフト80の回転軸線80aよりも仮想直線58dに沿う方向の一方側に位置している。また、第2支持部58bは、連結シャフト80の回転軸線80aよりも仮想直線58dに沿う方向の他方側に位置している。すなわち、仮想直線58dに沿う方向において、第1支持部58a及び第2支持部58bは、互いに連結シャフト80の回転軸線80aの反対側に位置している。そのため、シールプレート40における径方向外側の部分は、互いに連結シャフト80の回転軸線80aの反対側に位置する第1支持部58a及び第2支持部58bに当接する。そのため、連結シャフト80の周方向において、シールプレート40における径方向外側の部分の回転軸線方向の変形を抑制できる。同様に、仮想直線58dに沿う方向において、第1支持部58a及び第3支持部58cは、互いに連結シャフト80の回転軸線80aの反対側に位置している。これにより、シールプレート40における径方向外側の部分は、互いに連結シャフト80の回転軸線80aの反対側に位置する第1支持部58a及び第3支持部58cとの当接によっても、回転軸線方向の変形を抑制できる。
(5)遮熱板130の周辺構成に関連する効果について。
(5-1)ターボチャージャ20では、タービンハウジング60の内部に排気が導入されることで、タービンハウジング60の温度が高くなる。ここで、仮に、タービンハウジング60における挟持フランジ部68の対向面68aがベアリングハウジング50における挟持フランジ部59の対向面59aに接触していると、タービンハウジング60の筒状部60Bにおける回転軸線方向の一方側の部分は、ベアリングハウジング50側に熱が伝達されて温度が低下する。これに対して、タービンハウジング60の筒状部60Bにおける回転軸線方向の他方側の部分は、ベアリングハウジング50側に熱が伝達されにくいので温度が低下しにくい。すなわち、タービンハウジング60の筒状部60Bにおける回転軸線方向の一方側の部分は比較的に温度が低い一方、タービンハウジング60の筒状部60Bにおける回転軸線方向の他方側の部分は比較的に温度が高い。このようにタービンハウジング60において温度差が生じると、熱膨張量の違いによってタービンハウジング60に大きな内部応力が発生し、タービンハウジング60の変形や割れの原因となるおそれがある。
本実施形態では、図7に示すように、ベアリングハウジング50の挟持フランジ部59における対向面59aとタービンハウジング60の挟持フランジ部68における対向面68aとが回転軸線方向において対向する全領域において、両者の間に隙間が生じている。このように隙間が生じている箇所においては、タービンハウジング60における挟持フランジ部68側からベアリングハウジング50における挟持フランジ部59側に向かって熱が伝達されにくい。そのため、タービンハウジング60の筒状部60Bにおける回転軸線方向の一方側の部分は、温度が低下しにくい。これにより、タービンハウジング60においては、温度が低い部分と温度が高い部分とが生じにくい。その結果、タービンハウジング60では、熱膨張量の違いによる内部応力が発生しにくく、変形や割れが生じることを抑制できる。
(5-2)遮熱板130の外周部133は、当該外周部133の厚み方向において、ベアリングハウジング50における連結部51aの挟持面51dとタービンハウジング60における連結孔67の挟持面67dとの間に挟み込まれている。ここで、遮熱板130の外周部133は平板形状になっているため、外周部133の厚み方向に変形しにくい。そのため、遮熱板130の外周部133を介して、ベアリングハウジング50及びタービンハウジング60の回転軸線方向の位置関係を決定できる。これにより、上述したように、ベアリングハウジング50の挟持フランジ部59における対向面59aとタービンハウジング60の挟持フランジ部68における対向面68aとの間に隙間が生じていて、両者が接触していなくても、ベアリングハウジング50とタービンハウジング60との回転軸線方向の位置関係にずれが生じることを抑制できる。
(5-3)遮熱板130の外周部133は、連結シャフト80の周方向全域において、ベアリングハウジング50における連結部51aの挟持面51dとタービンハウジング60における連結孔67の挟持面67dとの間に挟み込まれている。そのため、遮熱板130の外周部133は、連結シャフト80の周方向全域において、ベアリングハウジング50における連結部51aの挟持面51dとタービンハウジング60における連結孔67の挟持面67dとに密着している。これにより、遮熱板130の外周部133は、タービンハウジング60の内部の排気が外部に漏れ出ることを抑制するシール部材としても機能する。したがって、ベアリングハウジング50の挟持フランジ部59における対向面59aとタービンハウジング60の挟持フランジ部68における対向面68aとの間に隙間が生じていたとしても、両者の隙間を介して排気が外部に漏れ出ることがない。その結果、タービンハウジング60の内部の排気が外部に漏れ出ることを抑制するシール部材を別途取り付ける必要がない。
(5-4)上述したように、遮熱板130の外周部133は、ベアリングハウジング50における連結部51aの挟持面51dとタービンハウジング60における連結孔67の挟持面67dとの間に挟み込まれている。そのため、遮熱板130の外周部133は、連結シャフト80の回転軸線80aに直交する方向に移動しない。したがって、遮熱板130の外周部133が、ベアリングハウジング50における連結部51aの挟持面51dやタービンハウジング60における連結孔67の挟持面67dに対して摺動して、遮熱板130の外周部133に摩耗が生じることもない。
(6)ウェイストゲートバルブ150の周辺構成に関連する効果について。
(6-1)仮に、ウェイストゲートバルブ150におけるシャフト151と弁体152とが別部材になっており、両者を組み付けてウェイストゲートバルブ150が構成されていたとする。この構成においては、ウェイストゲートバルブ150がバイパス通路64を開状態から全閉状態にするときや、ウェイストゲートバルブ150がバイパス通路64を開状態にしている際にバイパス通路64を流通する排気の圧力が変動したときに、シャフト151と弁体152との組み付け部分で、がたつき音が生じることがある。このようながたつき音は、車両の乗員に異音として知覚されるおそれがある。
本実施形態では、図12(b)に示すように、ウェイストゲートバルブ150は、シャフト151及び弁体152が一体に構成された一体成形物である。このようにシャフト151及び弁体152が一体に構成されているため、シャフト151に対して弁体152が揺動することがなく、揺動に伴ってがたつき音が発生することもない。
(6-2)仮に、図12(c)に示している弁体152の当接面154aに直交する方向における当接面154aからシャフト151の回転軸線151aまでの距離Aと、図13に示している弁座65の当接面65aに直交する方向における当接面65aからシャフト151の回転軸線151aまでの距離Bとが同じになるように設計されていたとする。そして、この設計通りにウェイストゲートバルブ150及びタービンハウジング60が製造されたとすれば、バイパス通路64の全閉状態において、タービンハウジング60の弁座65の当接面65aとウェイストゲートバルブ150の弁体152の当接面154aとが面接触する。
しかし、上記のように、バイパス通路64の全閉状態において、タービンハウジング60の弁座65の当接面65aとウェイストゲートバルブ150の弁体152の当接面154aとが面接触するように設計されていたとしても、実際には製造誤差等が発生するため両者が面接触するとは限らない。特に、図15(a)に示すように、実際の距離A1が設計値である距離Aよりも長くなると、バイパス通路64を全閉状態にする際には、ウェイストゲートバルブ150が弁座65の当接面65aに対してお尻付きするように当接する。具体的には、バイパス通路64を全閉状態にする際に、ウェイストゲートバルブ150が閉じきる前に当接面154aにおけるシャフト151に近い側の一端部154bが弁座65の当接面65aに干渉してウェイストゲートバルブ150がそれ以上回転できなくなる。
本実施形態では、距離Aが、距離Bよりも短くなるように設計されている。そのため、ウェイストゲートバルブ150やタービンハウジング60に多少の製造誤差が生じても、図15(b)に示すように、バイパス通路64を全閉状態にする際には、ウェイストゲートバルブ150が弁座65の当接面65aに対して頭付きするように当接する。具体的には、バイパス通路64を全閉状態にする際に、弁体152の当接面154aにおけるシャフト151から遠い側(図15(b)における右側)の他端部154cが弁座65の当接面65aに当接する。したがって、ウェイストゲートバルブ150が閉じきる前に弁体152の当接面154aが弁座65の当接面65aに干渉するといった事態は生じない。これにより、製造誤差量が同じだけ生じたとしても、バイパス通路64の全閉状態において、図15(a)及び図15(b)に示すように、弁体152の当接面154aと弁座65の当接面65aとがなす角度Eは、弁体152の当接面154aと弁座65の当接面65aとがなす角度Dに比べて小さくなる。その結果、バイパス通路64の全閉状態において、弁体152の当接面154aと弁座65の当接面65aとの間の隙間を小さくでき、バイパス通路64から排出通路63に漏れ出る排気量を小さくできる。なお、図15(a)及び図15(b)では、角度D及び角度Eを誇張して図示している。
(6-3)図13に示すように、バイパス通路64を全閉状態にする際には、リンクロッド172が、アクチュエータ180の駆動によってリンクロッド172の長手方向の他方側(図13における上側)から一方側(図13における下側)に運動する。そして、バイパス通路64の全閉状態が維持されているときには、ウェイストゲートバルブ150のシャフト151におけるタービンハウジング60の外部側の端部には、リンクアーム171を介してリンクロッド172の長手方向の他方側から一方側に向かう力が作用する。すると、ウェイストゲートバルブ150のシャフト151は、タービンハウジング60の外部側の端部がリンクロッド172の長手方向の一方側に、タービンハウジング60の内部側の端部がリンクロッド172の長手方向の他方側に位置するように傾く。そして、ウェイストゲートバルブ150の弁体152の当接面154aは、タービンハウジング60の外部側の端部がリンクロッド172の長手方向の一方側に、タービンハウジング60の内部側の端部がリンクロッド172の長手方向の他方側に位置するように傾く。
本実施形態では、図12(a)に示すように、上記のようなバイパス通路64の全閉状態に生じるウェイストゲートバルブ150のシャフト151の傾きを見越して、弁体152の当接面154aがシャフト151の回転軸線151aに対して傾斜している。具体的には、弁体152の当接面154aは、リンクアーム171からシャフト151の回転軸線151aに沿う方向である回転軸線151a方向に離れるほど、シャフト151の回転軸線151aに対してシャフト151の径方向外側に位置するように傾斜している。そして、図13に示すように、バイパス通路64の全閉状態においては、弁体152の当接面154aと弁座65の当接面65aとが平行になる。これにより、バイパス通路64の全閉状態においてシャフト151が傾いたとしても、弁体152の当接面154aと弁座65の当接面65aとの間に生じる隙間を小さくできる。
(6-4)図15(b)に示すように、バイパス通路64を全閉状態にする際には、ウェイストゲートバルブ150がシャフト151の回転軸線151aを中心に回転して、弁体152の当接面154aにおけるシャフト151から遠い側の他端部154cが弁座65の当接面65aに当接する。そして、弁体152の当接面154aにおける他端部154cが弁座65の当接面65aに当接している際には、弁体152においてシャフト151に近い側ほど、弁体152が弁座65を押し付けているときに生じる応力が大きくなる。ここで、接続部153における弁本体154の当接面154aに直交する方向の寸法は、シャフト151側(図15(b)における左側)ほど大きくなっている。そのため、ウェイストゲートバルブ150では、弁体152における接続部153の剛性を向上できる。これにより、弁体152の接続部153において変形やひび割れ等が生じることを抑制できる。
(7)バイパス通路64の周辺構成に関連する効果について。
(7-1)図8に示すように、ターボチャージャ20では、バイパス通路64の開状態において、バイパス通路64を排気が流通すると、当該排気がタービンハウジング60よりも下流側に位置する触媒15に向かって流れる。そして、排気によって触媒15が暖められることで、触媒15が活性化して浄化能力を発揮する。
ところで、触媒15に向かって流れる排気の流量や温度が同じであったとしても、触媒15の区画壁17と排気の流通方向とがなす角度によって、触媒15の暖気速度に違いが生じる。例えば、仮に、バイパス通路64の出口部分64aの中心軸線64bと触媒15の筒状部16の中心軸線16aとがなす鋭角の角度Cが大きい(例えば80度)場合には、バイパス通路64を流通した排気が触媒15の上流端に衝突して排気管13における触媒15よりも上流側の部分で排気が滞留することがある。また、仮に、バイパス通路64の出口部分64aの中心軸線64bと触媒15の筒状部16の中心軸線16aとが平行になっている場合には、バイパス通路64を流通した排気が、触媒15の区画壁17の壁面に衝突せずに下流側に流れてしまうことがある。すなわち、バイパス通路64の出口部分64aの中心軸線64bと触媒15の筒状部16の中心軸線16aとがなす鋭角の角度Cが大きすぎても小さすぎても、触媒15の暖気速度が低下して、触媒15を速やかに活性化することができない。
本実施形態では、バイパス通路64の出口部分64aの中心軸線64bは、触媒15の第1区画壁17aと交差している。そして、バイパス通路64の出口部分64aの中心軸線64bと触媒15の筒状部16の中心軸線16aとがなす鋭角の角度Cは、30度になっている。そのため、バイパス通路64の開状態において、バイパス通路64を流通した排気が触媒15に至ると、触媒15における第1区画壁17aの壁面に衝突する。そして、第1区画壁17aの壁面に衝突した排気は、当該第1区画壁17aの壁面に沿うように下流側に流れる。すると、排気の熱が触媒15の第1区画壁17aに伝達され、触媒15の温度を速やかに高くできる。
(7-2)図8に示すように、ウェイストゲートバルブ150の弁体152の当接面154aは、弁座65に当接する箇所を含めた全体が平坦な面になっている。そのため、本実施形態では、弁体152の当接面154aの一部が曲面になっている場合に比べて、バイパス通路64の開状態において、バイパス通路64を流通した排気の流れがウェイストゲートバルブ150の弁体152によって妨げられない。これにより、バイパス通路64を流通した排気を、ウェイストゲートバルブ150の弁体152によって触媒15側へと案内することもできる。
(8)タービンホイール90と連結シャフト80との溶接方法に関連する効果について。
(8-1)上記の本溶接の工程では、タービンホイール90の軸部92における回転軸線方向の一方側の端部と連結シャフト80の大径部82における回転軸線方向の他方側の端部との接触部分に対して、連結シャフト80の回転軸線80a周りに1周回転させて本溶接を行う。そのため、本実施形態では、タービンホイール90及び連結シャフト80を連結シャフト80の回転軸線80a周りに複数回回転させて溶接する製造方法に比べて、溶接時間を短くできる。これにより、タービンホイール90及び連結シャフト80の溶接時間が長くなることに起因して、ターボチャージャ20の製造コストが増大することを抑制できる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
<コンプレッサハウジング30の周辺構成についての変更例>
・上記実施形態において、ガイドベーン37の数は変更できる。例えば、コンプレッサホイール70における羽部71の数を変更した場合には、ガイドベーン37の数が羽部71の数よりも大きい、最小の奇数になっていればよい。
・また、例えば、コンプレッサホイール70に発生する振動が比較的に小さく、ターボチャージャ20の駆動に際して問題にならないのであれば、ガイドベーン37の数は、羽部71の数に拘らず変更してもよい。
・上記実施形態において、コンプレッサホイール70の構成は変更できる。例えば、上述したように、羽部71の数は変更してもよい。同様に、補助羽部72の数は変更してもよく、補助羽部72を省略してもよい。また、羽部71の数と補助羽部72の数の関係は変更できる。具体的には、羽部71の数は、補助羽部72の数よりも多くても、少なくてもよい。
・上記実施形態において、コンプレッサハウジング30の構成は変更できる。例えば、ガイドベーン37の回転軸線方向の延設長さは変更できる。具体的には、ガイドベーン37は、筒状部材36における中点Xよりも回転軸線方向の一方側にのみ設けられていてもよい。また、ガイドベーン37は、筒状部材36における中点Xよりも回転軸線方向の他方側にのみ設けられていてもよい。
・上記実施形態において、コンプレッサハウジング30におけるインレットダクト36A及びハウジング本体39が一体的に構成されていてもよい。この場合にも、コンプレッサハウジング30における導入通路35の内壁面から、ガイドベーン37が突出していればよい。
・上記実施形態において、インレットダクト36Aと吸気管11とが別部材になっていてもよい。
<連結シャフト80の周辺構成の変更例>
・上記実施形態において、連結シャフト80の構成は変更できる。例えば、タービンハウジング60の内部の排気がベアリングハウジング50の内部に流入する可能性が低いのであれば、第2シール部材107を省略できるため、それに伴って、連結シャフト80における第2凹部82bを省略してもよい。
・上記実施形態において、第1シール部材106に対する第2シール部材107の取り付け向きは変更できる。例えば、タービンハウジング60の内部から第1シール部材106よりも回転軸線方向の一方側に流入する排気の量が比較的に少ない場合には、回転軸線方向から視たときに、第1シール部材106の切れ目の部分と第2シール部材107の切れ目の部分とが周方向において同一の位置に存在していてもよい。すなわち、回転軸線方向から視たときに、連結シャフト80の周方向の一部において第1シール部材106及び第2シール部材107のいずれもが存在しない箇所があってもよい。
・上記実施形態において、第1シール部材106及び第2シール部材107の構成は変更できる。例えば、第1シール部材106は、切れ目のない環状になっていてもよい。この場合、回転軸線方向から視たときに、第1シール部材106に対する第2シール部材の取り付け向きは適宜変更できる。また、第1シール部材106における連結シャフト80の周方向の延設範囲は、180度未満になっていてもよい。この場合には、第1シール部材106の周方向の延設範囲と第2シール部材107の周方向の延設範囲との合計が360度を超えていれば、回転軸線方向から視たときに、第1シール部材106及び第2シール部材107のいずれかが介在されるように、第1シール部材106及び第2シール部材107を配置することができる。
・上記実施形態において、ベアリングハウジング50の冷却水通路56の形状は変更できる。例えば、タービンハウジング60の内部から流入する排気の熱によって高くなる第1シール部材106の温度が比較的に低いのであれば、冷却水通路56における回転軸線方向の他方側の端は、回転軸線方向において第2シール部材107よりも回転軸線方向の一方側に位置していてもよい。
<フロートベアリング120の周辺構成の変更例>
・上記実施形態において、フロートベアリング120の構成は変更できる。例えば、連結シャフト80の規制部85とフロートベアリング120の端面125との間に流れるオイル量が大きく、連結シャフト80の規制部85とフロートベアリング120の端面125とが当接する可能性が低いのであれば、フロートベアリング120の端面125におけるテーパ面125bを省略してもよい。
・上記実施形態において、フロートベアリング120の端面125におけるランド面125a及びテーパ面125bの数は変更できる。例えば、ランド面125a及びテーパ面125bの数は、3つ以下や5つ以上にしてもよい。
・上記実施形態において、フロートベアリング120のテーパ面125bにおける溝部125cの位置は変更できる。例えば、溝部125cは、テーパ面125bにおける周方向の中央部や、連結シャフト80の回転方向進行側のテーパ面125bにおける端部に位置していてもよい。
・上記実施形態において、フロートベアリング120のテーパ面125bにおける溝部125cの形状は変更できる。例えば、溝部125cにおける連結シャフト80の径方向外側の端部は、端面125における外周縁125eにまで至っていてもよい。また、溝部125cにおける窪み深さは、一定になっていてもよい。
・上記実施形態において、フロートベアリング120のテーパ面125bにおける溝部125cは省略してもよい。例えば、連結シャフト80の外周面とフロートベアリング120の内周面との間からフロートベアリング120のテーパ面125bに供給されるオイルの量が十分に大きい場合には、溝部125cを省略しても差し支えない。
・上記実施形態において、ベアリングハウジング50の構成は変更できる。例えば、連結シャフト80の規制部85とフロートベアリング120の端面125との間から径方向外側に流れるオイルの量が小さい場合には、ベアリングハウジング50におけるオイル排出空間54の他方側環状空間54eを省略してもよい。同様に、ベアリングハウジング50におけるオイル排出空間54の一方側環状空間54dを省略してもよい。
・上記実施形態において、フロートベアリング120を固定するための固定ピン129を省略してもよい。例えば、フロートベアリング120における回転軸線方向の一方側の端部に凹部を形成し、その凹部に凸部材を嵌め込むことでベアリングハウジング50に対してフロートベアリング120を固定すれば、固定ピン129を省略してもよい。また、このような場合において、フロートベアリング120における回転軸線方向の一方側の端面128に、フロートベアリング120における回転軸線方向の他方側の端面125と同様の構成を採用できないときには、フロートベアリング120の端面128を支持するためにスラストベアリング等をベアリングハウジング50に取り付けてもよい。
<シールプレート40の周辺構成の変更例>
・上記実施形態において、ベアリングハウジング50の構成は変更できる。例えば、内燃機関10の振動等によって生じるシールプレート40の径方向外側の部分における変形量が小さい場合には、ベアリングハウジング50の支持部58を省略してもよい。
・上記実施形態において、シールプレート40に対するベアリングハウジング50の支持部58の固定構成は変更できる。例えば、溶接によってベアリングハウジング50の支持部58がシールプレート40の径方向外側の部分に固定されていてもよい。
・また、ベアリングハウジング50の支持部58は、シールプレート40に固定されていなくてもよい。例えば、ベアリングハウジング50の本体部51がシールプレート40の中央部に対して固定されていれば、ベアリングハウジング50の支持部58がシールプレート40に固定されていなくてもよい。
・上記実施形態において、ベアリングハウジング50における支持部58の形状や数は変更できる。例えば、ベアリングハウジング50における支持部58は、2つ以下でも4つ以上でもよい。また、ベアリングハウジング50は、連結シャフト80の周方向全域に延びる支持部58を一つ備えていてもよい。
・上記実施形態において、ベアリングハウジング50における各支持部58の位置関係は変更できる。例えば、第1支持部58a、第2支持部58b、及び第3支持部58cの全てが、連結シャフト80の回転軸線80aよりも仮想直線58dに沿う方向の一方側に位置していてもよい。シールプレート40の径方向外側の部分において、回転軸線方向の撓みの生じやすい箇所があるならば、その箇所の近傍に支持部58を配置すればよい。
<遮熱板130の周辺構成についての変更例>
・上記実施形態において、ベアリングハウジング50及びタービンハウジング60の間の遮熱板130の固定構成は変更できる。例えば、遮熱板130の外周部133は、連結シャフト80の周方向の一部においてベアリングハウジング50とタービンハウジング60との間に挟み込まれていてもよい。この場合には、例えば、ベアリングハウジング50とタービンハウジング60との間に別途シール部材を取り付けることで、タービンハウジング60の内部の排気が外部に漏れ出ることを抑制できる。
・また、例えば、ベアリングハウジング50とタービンハウジング60との回転軸線方向の位置関係のずれが比較的に小さい場合には、遮熱板130の外周部133が、当該外周部133の厚み方向において、ベアリングハウジング50とタービンハウジング60との間に挟み込まれていなくてもよい。
・上記実施形態において、タービンハウジング60の挟持フランジ部68及びベアリングハウジング50の挟持フランジ部59を固定する構成は変更できる。例えば、タービンハウジング60の挟持フランジ部68及びベアリングハウジング50の挟持フランジ部59は、ボルト及びナットによって固定されていてもよい。
・上記実施形態において、タービンハウジング60の挟持フランジ部68及びベアリングハウジング50の挟持フランジ部59の形状は変更できる。例えば、タービンハウジング60における挟持フランジ部68の対向面68aからは、回転軸線方向に凹部が窪んでいてもよい。また、ベアリングハウジング50における挟持フランジ部59の対向面59aからは、回転軸線方向に凹部が窪んでいてもよい。そして、タービンハウジング60における凹部とベアリングハウジング50における凹部との間に位置決め用のピンが嵌め込まれていてもよい。この場合にも、タービンハウジング60における挟持フランジ部68の対向面68aとベアリングハウジング50における挟持フランジ部59の対向面59aとの間に隙間が設けられていれば、タービンハウジング60における挟持フランジ部68側からベアリングハウジング50における挟持フランジ部59側に向かって熱が伝達されにくい。
<ウェイストゲートバルブ150の周辺構成の変更例>
・上記実施形態において、ウェイストゲートバルブ150の構成は変更できる。例えば、ウェイストゲートバルブ150において、シャフト151と弁体152とが別部材になっていてもよい。ウェイストゲートバルブ150のがたつき音が比較的に小さい場合には、別部材のシャフト151と弁体152とを組み付けてウェイストゲートバルブ150を構成しても、車両の運転者に異音として知覚されるおそれは低い。
・上記実施形態において、弁体152の当接面154aに直交する方向における当接面154aからシャフト151の回転軸線151aまでの距離Aと、弁座65の当接面65aに直交する方向における当接面65aからシャフト151の回転軸線151aまでの距離Bとの関係構成は変更できる。例えば、ウェイストゲートバルブ150の製造精度が高くて、製造誤差が無視できるほどに小さいのであれば距離Aと距離Bとが同じになるように設計しても問題は生じない。
・上記実施形態において、シャフト151の回転軸線151aに対する弁体152の当接面154aの傾斜構成は変更できる。例えば、タービンハウジング60の貫通孔69、ブッシュ160、ウェイストゲートバルブ150のシャフト151の構成によっては、バイパス通路64の全閉状態において、タービンハウジング60の貫通孔69に対するウェイストゲートバルブ150のシャフト151の傾き量が異なる。そのため、バイパス通路64の全閉状態におけるタービンハウジング60の貫通孔69に対するウェイストゲートバルブ150のシャフト151の傾き量に応じて、シャフト151の回転軸線151aに対する弁体152の当接面154aの傾斜は変更すればよい。なお、タービンハウジング60の貫通孔69に対するウェイストゲートバルブ150のシャフト151の傾き量が比較的に小さい場合には、弁体152の当接面154aがシャフト151の回転軸線151aに対して傾斜していなくてもよい。
・また、例えば、リンク機構170の連結構成によっては、バイパス通路64を全閉状態にする際に、リンクロッド172が、当該リンクロッド172の長手方向の一方側(図13における下側)から他方側(図13における上側)に運動する。すると、バイパス通路64の全閉状態において、ウェイストゲートバルブ150のシャフト151は、タービンハウジング60の外部側の端部がリンクロッド172の長手方向の他方側に、タービンハウジング60の内部側の端部がリンクロッド172の長手方向の一方側に位置するように傾く。この場合、弁体152の当接面154aは、リンクアーム171からシャフト151の回転軸線151aに沿う方向である回転軸線151a方向に離れるほど(図12(a)における下側ほど)、シャフト151の回転軸線151aに対してシャフト151の径方向内側(図12(a)における右側)に位置するように傾斜していればよい。
・上記実施形態において、ウェイストゲートバルブ150における弁体152の構成は変更できる。例えば、ウェイストゲートバルブ150における弁体152の当接面154aと弁座65の当接面65aとが面接触する場合には、弁体152の当接面154aが弁座65の当接面65aに当接している際に弁体152に生じる応力が小さくなりやすい。このような場合には、接続部153における弁本体154の当接面154aに直交する方向の寸法が一定になっていてもよい。
<タービンハウジング60及び触媒15の周辺構成の変更例>
・上記実施形態において、バイパス通路64の出口部分64aの中心軸線64bと触媒15の筒状部16の中心軸線16aとがなす鋭角の角度Cは変更できる。例えば、バイパス通路64の出口部分64aの中心軸線64bと触媒15の筒状部16の中心軸線16aとがなす鋭角の角度Cは、25度~35度の範囲内で変更してもよい。なお、この角度Cが25度~35度の範囲内である場合には、触媒15の区画壁17に排気が衝突することで当該触媒15の温度を速やかに高くなることを発明者が実験等によって発見した。
・また、例えば、タービンハウジング60の収容空間62を流通した排気によって触媒15を十分に暖めることができる場合には、バイパス通路64の出口部分64aの中心軸線64bと触媒15の筒状部16の中心軸線16aとがなす鋭角の角度Cは、25度未満であったり35度以上であったりしてもよい。
・上記実施形態において、触媒15の構成は変更できる。例えば、筒状部16の中心軸線16aに沿う方向から視たときに、触媒15における区画壁17は、ハニカム形状になっていてもよい。この場合にも、バイパス通路64の出口部分64aの中心軸線64bと触媒15の筒状部16の中心軸線16aとがなす鋭角の角度Cを25度~35度の範囲内にすることで、区画壁17の壁面に沿うように排気を流通させることができる。
<タービンホイール90と連結シャフト80とを溶接する製造方法に関する変更例>
・上記実施形態において、タービンホイール90と連結シャフト80とを溶接する製造方法は変更できる。例えば、タービンホイール90及び連結シャフト80を溶接して固定するのに要する時間が比較的短く、ターボチャージャ20の製造コストが増大しにくい場合には、タービンホイール90及び連結シャフト80を連結シャフト80の回転軸線80a周りに複数回回転させて溶接してもよい。
<その他の変更例>
・特開2009-092026号公報のターボチャージャにおけるタービンハウジング内には、タービンホイールが収容されている。また、タービンハウジングには、タービンホイールよりも排気上流側とタービンホイールよりも排気下流側とをバイパスするバイパス通路が区画されている。このタービンハウジングには、バイパス通路を開閉するウェイストゲートバルブが取り付けられている。ウェイストゲートバルブにおけるシャフトは、タービンハウジングの壁部に回転可能に支持されている。シャフトの端部からは、当該シャフトの径方向外側に向かって支持アームが延びている。この支持アームには、弁体が支持アームに対して揺動可能に取り付けられている。
特開2009-092026号公報のターボチャージャにおいては、弁体は支持アームに対する揺動が許容されているため、例えば、ウェイストゲートバルブがバイパス通路を開状態から全閉状態にするときや、ウェイストゲートバルブがバイパス通路を開状態にしている際にバイパス通路からの排気の圧力が変動したときに、弁体の支持アームに対する取り付け部分からがたつき音が生じる。このようながたつき音は、車両の乗員に異音として知覚されるおそれがあり、好ましくない。
このような課題を鑑みれば、タービンハウジングにおけるフランジ部の対向面とベアリングハウジングにおけるフランジ部の対向面との間に隙間を設けるか否かに拘らず、ウェイストゲートバルブを一体化するという構成を採用すればよい。
・国際公開第2015/001644号の内燃機関における吸気管には、ターボチャージャのコンプレッサハウジングが取り付けられている。コンプレッサハウジングの内部には、コンプレッサホイールを収容するための収容空間が区画されている。また、コンプレッサハウジングには、収容空間に吸気を導入するための導入通路が区画されている。導入通路における内壁面からは、吸気を整流する板状のガイドベーンが突出している。このガイドベーンは、導入通路の周方向に互いに離間して複数配置されている。また、コンプレッサハウジングの収容空間には、コンプレッサホイールが収容されている。コンプレッサホイールは、当該コンプレッサホイールの回転軸線方向に延びる軸部と、軸部から径方向外側に向かって突出する複数の羽部とを備えている。
国際公開第2015/001644号のターボチャージャでは、コンプレッサホイールが回転して導入通路から収容空間へと吸気が流通する際、吸気がコンプレッサホイールに当たる。そのため、コンプレッサホイールは、吸気が当たった衝撃で僅かに振動する。そして、コンプレッサホイールの羽部の数とコンプレッサハウジングにおけるガイドベーンの数との関係によっては、コンプレッサホイールに生じる振動が無視できないほど大きくなることがある。
このような課題を鑑みれば、タービンハウジングにおけるフランジ部の対向面とベアリングハウジングにおけるフランジ部の対向面との間に隙間を設けるか否かに拘らず、コンプレッサハウジングのガイドベーンの数をコンプレッサホイールの羽部の数よりも大きい最小の奇数にするという構成を採用すればよい。
・特開2015-127517号公報のターボチャージャは、略筒状のベアリングハウジングを備えている。このベアリングハウジングの内部には、タービンホイールとコンプレッサホイールとを連結する連結シャフトが回転可能に支持されている。ベアリングハウジングにおける連結シャフトの回転軸線方向の一方側(コンプレッサホイール側)には、略円板形状のシールプレートが固定されている。具体的には、シールプレートの外径は、ベアリングハウジングの外径よりも大きくなっている。シールプレートの中央部分は、ベアリングハウジングに対してねじによって固定されている。シールプレートにおけるベアリングハウジングとは反対側には、コンプレッサハウジングが固定されている。これらシールプレート及びコンプレッサハウジングによって、コンプレッサホイールが収容される空間や、コンプレッサホイールが圧送する吸気が流通するスクロール通路が区画されている。
特開2015-127517号公報のターボチャージャでは、シールプレートが、ベアリングハウジングの外周面よりも径方向外側にまで張り出している。そのため、シールプレートの径方向外側の部分に対してベアリングハウジングの軸線方向の力が作用すると、シールプレートが撓むように変形するおそれがある。仮に、シールプレートが変形すると、シールプレートとコンプレッサハウジングとの間の密閉性が確保できなくなり、シールプレートとコンプレッサハウジングとの間から吸気が漏れる可能性がある。
このような課題を鑑みれば、タービンハウジングにおけるフランジ部の対向面とベアリングハウジングにおけるフランジ部の対向面との間に隙間を設けるか否かに拘らず、シールプレートがベアリングハウジングの支持部に対して回転軸線方向の一方側から当接するという構成を採用すればよい。
・特表2004-512453号公報のターボチャージャにおけるベアリングハウジングの内部には、円筒状のフロートベアリングが挿入されている。フロートベアリングの内部には、タービンホイール及びコンプレッサホイールを連結する連結シャフトが挿入されている。この連結シャフトは、その回転軸線方向の端部がフロートベアリングの外部に突出している。
特表2004-512453号公報のような連結シャフトの端部には、他の箇所よりも外径の大きい規制部が設けられることがある。そして、フロートベアリングの軸線方向の端部に、連結シャフトの規制部が当接することで、フロートベアリングに対する連結シャフトの回転軸線方向の移動が規制される。そのため、フロートベアリングの軸線方向の端部や連結シャフトの規制部においては摩耗が発生しやすい。したがって、ターボチャージャにおいては、このような摩耗を抑制できる構造が求められる。
このような課題を鑑みれば、タービンハウジングにおけるフランジ部の対向面とベアリングハウジングにおけるフランジ部の対向面との間に隙間を設けるか否かに拘らず、連結シャフトの規制部に対向するフロートベアリングの端面においてランド面及びテーパ面を設けるという構成を採用すればよい。
・特開2009-068380号公報には、ターボチャージャにおけるタービンホイールの端部と連結シャフトの端部とを溶接で固定する技術が記載されている。具体的には、特開2009-068380号公報に記載の技術においては、タービンホイールの端部及び連結シャフトの端部を接触させ、両者の接触部分に対して連結シャフトの径方向外側から電子銃による電子ビームを照射した状態で、電子銃に対してタービンホイール及び連結シャフトを当該連結シャフトの回転軸線周りに回転させる。すると、この電子ビームの熱によって連結シャフト及びタービンホイールのそれぞれの端部が溶接される。その後、タービンホイール及び連結シャフトの溶接部分の外表面に対して連結シャフトの径方向外側から電子銃による電子ビームを照射した状態で、電子銃に対してタービンホイール及び連結シャフトを当該連結シャフトの回転軸線周りに回転させる。すると、タービンホイール及び連結シャフトの溶接部分が滑らかに仕上がる。
特開2009-068380号公報の製造方法においては、電子ビーム溶接を2回行うことになるため、連結シャフトの端部及びタービンホイールの端部を固定するための溶接時間が長くなる。このように溶接時間が長くなると、ターボチャージャの製造コスト増大の原因となる。
このような課題を鑑みれば、タービンハウジングにおけるフランジ部の対向面とベアリングハウジングにおけるフランジ部の対向面との間に隙間を設けるか否かに拘らず、電子銃に対してタービンホイール及び連結シャフトを当該連結シャフトの回転軸線周りに1回だけ回転させることでタービンホイールの端部と連結シャフトの端部とを溶接するという製造方法を採用すればよい。
・特開2017-078435号公報のターボチャージャにおけるタービンハウジングには、タービンホイールが収容されている。タービンホイールには、連結シャフトの一端が固定されている。連結シャフトは、ベアリングハウジングに区画された支持孔の内部に収容されている。連結シャフトにおけるタービンホイール側の端部の外周面には、略環状のシール部材が取り付けられている。このシール部材によって、連結シャフトにおけるタービンホイール側の端部の外周面とベアリングハウジングの支持孔の内周面との隙間が埋められる。
特開2017-078435号公報のターボチャージャにおいては、内燃機関の駆動時に、タービンハウジングの内部を流通する排気の圧力が過度に上昇することがある。このように排気の圧力が高くなると、シール部材によって隙間が埋められているとはいえ、タービンハウジングの内部を流通する排気がベアリングハウジングの内部に流入する可能性がある。
このような課題を鑑みれば、タービンハウジングにおけるフランジ部の対向面とベアリングハウジングにおけるフランジ部の対向面との間に隙間を設けるか否かに拘らず、連結シャフトにおける回転軸線方向の他方側の端部の外周面とベアリングハウジングにおける支持孔の内周面との間であって第1シール部材よりも回転軸線方向の一方側に第2シール部材を介在させるという構成を採用すればよい。
・特開2018-087556号公報の内燃機関における排気管の途中には、排気を浄化するための触媒が取り付けられている。排気管における触媒よりも上流側の部分には、ターボチャージャのタービンハウジングが取り付けられている。タービンハウジングには、排気の流通によって回転するタービンホイールが収容されている。また、タービンハウジングには、タービンホイールよりも排気上流側及び排気下流側をバイパスするバイパス通路が設けられている。このバイパス通路の出口部分は、タービンハウジングよりも下流側に位置する触媒に向かって延びている。
特開2018-087556号公報のターボチャージャにおいては、内燃機関の駆動時に、バイパス通路を排気が流通すると、当該排気がタービンハウジングよりも下流側に位置する触媒に向かって流れる。そして、排気によって触媒が暖められることで、触媒が活性化して浄化能力を発揮する。ここで、触媒に向かって流れる排気の流量や温度が同じであったとしても、触媒の区画壁と排気の流通方向とがなす角度によって、触媒の暖機速度に違いが生じる。特開2018-087556号公報のターボチャージャは、触媒の暖機速度という観点では、バイパス通路からの排気の流通方向についての検討がなされておらず、さらなる改良の余地がある。
このような課題を鑑みれば、タービンハウジングにおけるフランジ部の対向面とベアリングハウジングにおけるフランジ部の対向面との間に隙間を設けるか否かに拘らず、バイパス通路における出口部分の中心軸線及び触媒における筒状部の中心軸線のそれぞれに直交する方向から視たときに、バイパス通路の出口部分の中心軸線と触媒の筒状部の中心軸線とがなす鋭角の角度が25~35度になっているという構成を採用すればよい。
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想とその効果について記載する。
・タービンホイールを収容するとともに前記タービンホイールよりも排気上流側及び排気下流側をバイパスするバイパス通路が区画されたタービンハウジングと、前記タービンハウジングに取り付けられて前記バイパス通路を開閉するウェイストゲートバルブとを備えているターボチャージャであって、前記タービンハウジングの内壁面における前記バイパス通路の開口縁には、前記ウェイストゲートバルブに対する弁座が設けられており、前記ウェイストゲートバルブは、前記タービンハウジングの壁部を貫通して当該壁部に回転可能に支持されたシャフトと、前記シャフトにおける前記タービンハウジングの内部側の端部から前記シャフトの径方向に延びる弁体とを備えており、前記弁体に対する前記弁座の当接面、及び前記弁座に対する前記弁体の当接面は、いずれも平面になっており、前記ウェイストゲートバルブは、前記シャフト及び前記弁体を含む一体成形物であるターボチャージャ。
上記構成では、シャフト及び弁体が一体成形されているため、シャフトに対して弁体が揺動しない。これにより、弁体の揺動に伴ってがたつき音が発生することを抑制できる。
・上記構成において、前記シャフトの回転軸線は、前記弁座の前記当接面と直交する方向において前記弁座から前記バイパス通路の排気下流側に離れるように位置しており、前記シャフトの回転軸線に直交するとともに前記弁座の前記当接面を含む断面において、前記弁体の前記当接面と直交する方向における前記弁体の前記当接面から前記シャフトの回転軸線までの距離は、前記弁座の前記当接面と直交する方向における前記弁座の前記当接面から前記シャフトの回転軸線までの距離よりも短い。
ターボチャージャでは、バイパス通路の全閉状態において、タービンハウジングの弁座とウェイストゲートバルブの弁体とが面接触するように設計されていたとしても、製造誤差等が発生すると両者が面接触しない。特に、弁体の当接面と直交する方向における弁体の当接面からシャフトの回転軸線までの距離が、設計よりも長くなると、ウェイストゲートバルブが閉じきる前に弁体が弁座に干渉して、ウェイストゲートバルブがそれ以上閉側に回転できなくなる。上記構成では、弁体の当接面と直交する方向における弁体の当接面からシャフトの回転軸線までの距離が短いため、タービンハウジングやウェイストゲートバルブに多少の製造誤差が生じても、ウェイストゲートバルブが閉じきる前に弁体が弁座に干渉するといった事態は発生しにくい。これにより、弁体の当接面と直交する方向における弁体の当接面からシャフトの回転軸線までの距離が長くなる構成に比べて、バイパス通路の全閉状態において弁座の当接面と弁体の当接面とがなす角度を小さくできる。その結果、バイパス通路の全閉状態において、弁座の当接面と弁体の当接面との間に生じる隙間を小さくできる。
・上記構成において、前記シャフトにおける前記タービンハウジングの外部側の端部に連結されてアクチュエータからの駆動力を前記シャフトに伝達するリンク機構を備え、前記リンク機構は、前記シャフトにおける前記タービンハウジングの外部側の端部に連結されたリンクアームと、前記リンクアームにおける当該リンクアーム及び前記シャフトの連結中心から前記シャフトの径方向に離れた部分に連結されたリンクロッドとを備え、前記リンクロッドは、前記バイパス通路を開状態から全閉状態にする際において、前記リンクロッドの長手方向の一方側から他方側へと運動するものであり、前記バイパス通路の全閉状態において、前記リンクロッドの長手方向に沿う仮想直線は、前記弁座の前記当接面と平行な仮想平面に対して交差しており、前記弁体の前記当接面は、前記バイパス通路の全閉状態において、前記リンクアームから前記シャフトの回転軸線方向に離れるほど、前記シャフトの回転軸線に対して前記リンクロッドの長手方向の他方側に位置するように傾斜している。
上記構成において、バイパス通路が全閉状態に維持されているときには、ウェイストゲートバルブのシャフトには、リンク機構のリンクアームから、リンクロッドの長手方向の一方側から他方側に向かう力が作用する。すると、ウェイストゲートバルブのシャフトは、タービンハウジングの外部側の端部が長手方向の他方側に、タービンハウジングの内部側の端部が長手方向の一方側に位置するように傾く。上記構成では、ウェイストゲートバルブがシャフト及び弁体を含んだ一体成型物であるため、シャフトが傾くとシャフトに固定された弁体も傾くことになる。上記構成では、このような弁体の傾きを見越して、当該弁体の当接面が傾斜しているので、ウェイストゲートバルブのシャフトが傾くことに伴って弁体と弁座との間に生じる隙間を小さくできる。
・上記構成において、前記弁体は、当該弁体の前記当接面を有する弁本体と、前記弁本体及び前記シャフトを接続する接続部とを含み、前記接続部は、前記シャフト側ほど前記弁体の前記当接面と直交する方向の寸法が大きい。
上記構成では、弁体においてシャフトに近い側ほど、弁体が弁座を押し付けているときに生じる応力が大きくなる。上記構成によれば、弁体の応力が大きくなる部分ほど厚みが大きくなっているため、弁体において変形やひび割れ等が生じることを抑制できる。
・吸気管に取り付けられたコンプレッサハウジングと、前記コンプレッサハウジングの内部に収容されたコンプレッサホイールとを備えているターボチャージャであって、前記コンプレッサホイールは、当該コンプレッサホイールの回転軸線方向に延びる軸部と、前記軸部から径方向外側に向かって突出する羽部とを備え、前記羽部は、前記コンプレッサホイールの周方向に互いに離間して複数配置されており、前記コンプレッサハウジングには、前記コンプレッサホイールを収容するための収容空間と、前記収容空間に対して前記回転軸線方向の一方側から接続されて前記収容空間に吸気を導入する導入通路とが区画されており、前記導入通路の内壁面からは、板状のガイドベーンが突出しており、前記ガイドベーンは、前記導入通路の周方向に互いに離間して複数配置されており、前記ガイドベーンの数は、前記羽部の数よりも大きい最小の奇数であるターボチャージャ。
上記構成では、ガイドベーンがある部分では吸気が流れず、ガイドベーンがない部分では吸気が流れるため、ガイドベーンの数に応じた吸気流が生じる。これらの吸気流が、コンプレッサホイールにおける羽部の端部に当たることで、コンプレッサホイールに振動が生じる。仮に、吸気流の数(ガイドベーンの数)とコンプレッサホイールの羽部の数とが同一であると、各羽部に同じようなタイミングで吸気流が当たって互いの振動が打ち消し合うことがないため、コンプレッサホイール全体としての振動が大きくなることがある。この点、上記構成においては、ガイドベーンの数は、コンプレッサホイールの羽部の数と同じでなく、羽部の数の倍数でもない。したがって、整流された吸気流が羽部の端部に当たって生じる振動が同じタイミングで発生することはなく、各振動が互いに干渉して減衰しやすい。さらに、上記構成では、ガイドベーンの数が羽部の数よりも小さくなっている構成に比べて、ガイドベーンの数に応じた吸気流の数が大きくなることで、一つの吸気流によって羽部に発生する振動を小さくできる。また、ガイドベーンの数は羽部の数よりも大きい奇数のうちの最小値であるため、ガイドベーンによる吸気抵抗の増大を最小にできる。
・上記構成において、前記コンプレッサホイールは、前記軸部から径方向外側に向かって突出する補助羽部を備え、前記補助羽部は、前記コンプレッサホイールの周方向において並んだ前記羽部の間に配置されており、前記羽部における前記回転軸線方向の一方側の端は、前記補助羽部における前記回転軸線方向の一方側の端よりも、前記回転軸線方向の一方側に位置している。
上記構成においては、羽部の上流端が補助羽部の上流端よりも上流側に位置しているため、ガイドベーンよりも下流側に流れた気流の大半が羽部の上流端に当たる。上記構成では、上流側に位置する羽部の数に対してガイドベーンの数が設定されているため、コンプレッサホイールの振動を効果的に抑制できる。
・上記構成において、前記導入通路の中心軸線は、前記回転軸線と一致しており、前記導入通路における前記回転軸線方向の一方側は、前記コンプレッサハウジングの外部に開口しており、前記回転軸線方向において、前記導入通路における前記回転軸線方向の一方側の端からの距離と、前記羽部の前記回転軸線方向の一方側の端からの距離が等しい点を中点としたとき、前記ガイドベーンは、前記コンプレッサホイールの回転軸線方向において、前記導入通路における前記回転軸線方向の一方側の端から、前記中点よりも前記羽部側にまで延びている。
上記構成によれば、導入通路の開口からコンプレッサホイールの羽部にまで至る導入通路の半分を超えてガイドベーンが延びているため、当該ガイドベーンによる吸気の整流効果が大きい。また、ガイドベーンの端部とコンプレッサホイールの羽部との距離が比較的に近いため、整流された吸気が拡散されることなく羽部へと至りやすい。
・上記構成において、前記コンプレッサハウジングは、前記収容空間が区画されているとともに当該収容空間から前記回転軸線方向の一方側に延びて前記コンプレッサハウジングの外部に開口する挿入孔が区画されているハウジング本体と、前記挿入孔に挿入される筒状部材とを備え、前記挿入孔は、小径部と、前記小径部よりも内径が大きく、前記小径部よりも前記回転軸線方向の一方側に位置して前記小径部から前記挿入孔の前記回転軸線方向の一方側の端部に至る大径部とを含んでおり、前記筒状部材は、前記大径部に嵌め込まれており、前記筒状部材の内部が前記導入通路を構成しており、前記筒状部材及び前記ガイドベーンは、一体成形物である。
上記構成によれば、ハウジング本体における挿入孔の開口に筒状部材を嵌め合わせるという簡便な作業で、コンプレッサハウジングにガイドベーンを設けることができる。また、ハウジング本体にはガイドベーンは設けられていないため、ガイドベーンを設けるのに伴ってハウジング本体の形状が複雑化することを抑制できる。
・タービンホイール及びコンプレッサホイールを連結する連結シャフトが挿入されるベアリングハウジングと、前記ベアリングハウジングにおける前記連結シャフトの回転軸線方向の一方側に固定されたシールプレートと、前記シールプレートにおける前記連結シャフトの回転軸線方向の一方側に固定され、前記シールプレートとともに前記コンプレッサホイールの収容空間を区画するコンプレッサハウジングとを備えているターボチャージャであって、前記ベアリングハウジングは、前記連結シャフトを回転可能に支持する本体部と、前記本体部の外周面から前記連結シャフトの径方向外側に向かって突出する支持部とを備え、前記シールプレートは、前記支持部に対して前記連結シャフトの回転軸線方向の一方側から当接しているターボチャージャ。
上記構成によれば、ベアリングハウジングの本体部よりも径方向外側に位置するシールプレートの径方向外側の部分が連結シャフトの回転軸線方向の一方側から他方側に向かって変形しようとしても、その変形は、ベアリングハウジングの支持部によって規制される。したがって、シールプレートにおける径方向外側の部分に対して連結シャフトの回転軸線方向の一方側から他方側への力が作用しても、シールプレートの変形を抑制できる。
・上記構成において、前記シールプレートは、前記支持部に固定されている。
上記構成では、支持部にシールプレートが固定されていることで、シールプレートにおける径方向外側の部分が連結シャフトの回転軸線方向の他方側から一方側に向かって変形しようとしても、その変形は、ベアリングハウジングの支持部によって規制される。したがって、シールプレートにおける径方向外側の部分においては、連結シャフトの回転軸線方向に力が作用しても、連結シャフトの回転軸線方向の両側の変形を抑制できる。
・上記構成において、前記支持部は、前記連結シャフトの周方向に互いに離間して複数配置されている。
上記構成では、シールプレートの変形を抑制しつつも、支持部が周方向全域に延びている構成に比べて、支持部を設けたことによるベアリングハウジングの重量増加等を最小限にできる。
・上記構成において、前記連結シャフトの周方向に配置された複数の前記支持部のうちの一つを第1支持部とし、前記連結シャフトの周方向に配置された複数の前記支持部のうちの前記第1支持部以外の一つを第2支持部とし、前記連結シャフトの回転軸線に直交するとともに前記第1支持部を通過する直線を仮想直線としたとき、前記第1支持部は、前記連結シャフトの回転軸線よりも前記仮想直線方向の一方側に位置しており、前記第2支持部は、前記連結シャフトの回転軸線よりも前記仮想直線方向の他方側に位置している。
上記構成では、シールプレートの径方向外側の部分は、互いに連結シャフトの反対側に位置する第1支持部及び第2支持部に当接する。そのため、連結シャフトの周方向において、シールプレートの径方向外側の部分の変形を抑制できる。
・タービンホイールを収容するタービンハウジングとコンプレッサホイールを収容するコンプレッサハウジングとがベアリングハウジングを介して連結されており、前記ベアリングハウジングの内部には、筒状のフロートベアリングが挿入されており、前記フロートベアリングの内部には、前記タービンホイールと前記コンプレッサホイールとを連結する連結シャフトが挿入されており、前記フロートベアリングの内周面と前記連結シャフトの外周面との間にオイルが供給されるターボチャージャであって、前記連結シャフトは、前記フロートベアリングの内部に挿入される棒状のシャフト本体と、前記シャフト本体の外周面から径方向外側に向かって突出するとともに前記シャフト本体の周方向全域に亘って延びている規制部とを備え、前記シャフト本体の一部分は、前記フロートベアリングの軸線方向の端面よりも前記フロートベアリングの外側に突出しており、前記規制部は、前記シャフト本体における前記一部分の外周面から突出しており、前記フロートベアリングの前記端面には、前記規制部に対向するランド面と、前記連結シャフトの周方向において前記ランド面と隣り合っているとともに前記ランド面に対して傾斜しているテーパ面とが設けられており、前記テーパ面は、前記ランド面に対して窪んでいるとともに、ターボチャージャの駆動時における前記連結シャフトの回転方向進行側ほど、前記連結シャフトの回転軸線方向において前記規制部に近づくように傾斜しているターボチャージャ。
上記構成では、フロートベアリングの端面と連結シャフトの規制部との間に存在するオイルが、連結シャフトの規制部の回転に引き連れられて、連結シャフトの回転方向進行側に流動する。上記構成によれば、フロートベアリングのテーパ面が連結シャフトの回転方向進行側ほど規制部に近づくように傾斜している。すなわち、テーパ面と規制部との間隔が、連結シャフトの回転方向進行側ほど小さくなる。この間隔の小さい箇所に、オイルが流入しようとするため、この箇所におけるオイルの圧力は高くなる。このように、テーパ面と規制部との間のオイルの圧力を高くすることで、フロートベアリングの端面と連結シャフトの規制部との間に隙間を確保することができ、両者が当接して摩耗することを抑制できる。
・上記構成において、前記フロートベアリングの前記端面には、前記連結シャフトの周方向において互いに離間した複数の前記ランド面と、前記連結シャフトの周方向において離間した前記ランド面の間に位置する複数の前記テーパ面とが設けられている。
上記構成では、フロートベアリングの端面と連結シャフトの規制部との間のオイルの流動によって、各テーパ面と規制部との間においてオイルの圧力が高まる。これにより、連結シャフトの周方向においてオイルの圧力が高い部分を分散でき、連結シャフトの規制部に作用するオイルの圧力によってフロートベアリングに対して連結シャフトが傾くことを抑制できる。
・上記構成において、前記フロートベアリングの前記端面には、前記テーパ面から窪んだ溝部が設けられており、前記溝部は、前記フロートベアリングの前記端面における内周縁から前記連結シャフトの径方向外側に向かって延びている。
上記構成では、フロートベアリングの内周面と連結シャフトにおけるシャフト本体の外周面との間のオイルを、溝部を介してテーパ面に供給できる。これにより、テーパ面と規制部との間に十分なオイルが供給される。
・上記構成において、前記溝部は、前記フロートベアリングの外周縁には至っていない。
上記構成では、フロートベアリングの内周縁側から溝部に流入したオイルが、フロートベアリングの外周縁よりも径方向外側には流出しにくい。すなわち、溝部を介してテーパ面に供給されるオイル量が低下することを抑制できる。したがって、オイルによるフロートベアリングの端面と連結シャフトの規制部との間の潤滑性を向上できる。
・上記構成において、前記溝部は、ターボチャージャの駆動時における前記連結シャフトの回転方向進行側とは反対側の前記テーパ面の端部に位置する。
上記構成では、連結シャフトの回転軸線方向においてテーパ面と規制部との間隔が最も離れた部分に溝部が位置している。すなわち、テーパ面と規制部との間のオイルの圧力が比較的に低い部分に溝部が位置している。そのため、溝部に流入したオイルが、フロートベアリングのテーパ面と連結シャフトの規制部との間の隙間に供給されやすい。
・上記構成において、前記ベアリングハウジングには、前記フロートベアリングと前記連結シャフトとの間に供給されるオイルを外部に排出するためのオイル排出空間が区画されるとともに、前記オイル排出空間と前記ベアリングハウジングの外部とを連通するオイル排出口が区画されており、前記オイル排出空間の少なくとも一部は、前記フロートベアリングにおける前記規制部側の端部を径方向外側から囲むように区画されているとともに、前記フロートベアリングの前記端面と前記規制部との空間に接続されている。
上記構成では、フロートベアリングの端面と連結シャフトの規制部との間に供給されたオイルが、連結シャフトの径方向外側に流れてオイル排出空間に至る。そして、オイル排出口を介してベアリングハウジングの外部に排出される。これにより、フロートベアリングの端面と連結シャフトの規制部との間でオイルが滞留することを抑制できる。その結果、フロートベアリングの端面と連結シャフトの規制部との間のオイルの流動が、オイルの滞留に起因して妨げられることを抑制できる。
・タービンハウジングに収容されるタービンホイールと、コンプレッサハウジングに収容されるコンプレッサホイールと、前記タービンホイール及び前記コンプレッサホイールを連結する連結シャフトとを備えているターボチャージャの製造方法であって、前記タービンホイールの端部及び前記連結シャフトの端部の接触部分に対して前記連結シャフトの径方向外側から電子銃による電子ビームを照射した状態で、前記電子銃に対して前記タービンホイール及び前記連結シャフトを当該連結シャフトの回転軸線周りに1回だけ回転させることで前記タービンホイールの端部と前記連結シャフトの端部とを溶接するターボチャージャの製造方法。
上記構成では、電子銃に対してタービンホイール及び連結シャフトを当該連結シャフトの回転軸線周りに1回だけ回転させて溶接を行っているため、タービンホイール及び連結シャフトを当該連結シャフトの回転軸線周りに複数回回転させて溶接する製造方法に比べて溶接時間を短くできる。
・タービンホイールを収容するタービンハウジングと、コンプレッサホイールを収容するコンプレッサハウジングと、前記タービンハウジング及び前記コンプレッサハウジングを接続するベアリングハウジングと、前記タービンホイール及び前記コンプレッサホイールを連結するとともに前記ベアリングハウジングに収容される連結シャフトとを備えているターボチャージャであって、前記ベアリングハウジングには、前記連結シャフトが収容される支持孔が、前記タービンハウジング側から前記コンプレッサハウジング側へ貫通しており、前記連結シャフトにおける前記タービンホイール側の端部の外周面と前記支持孔の内周面との間には、前記連結シャフトの周方向に延びている第1シール部材が介在しており、前記連結シャフトにおける前記タービンホイール側の端部の外周面と前記支持孔の内周面との間であって前記第1シール部材よりも前記コンプレッサホイール側には、前記連結シャフトの周方向に延びている第2シール部材が介在しているターボチャージャ。
上記構成において、タービンハウジングの内部を流通する排気の圧力が上昇すると、連結シャフトの外周面と支持孔の内周面との間における第1シール部材よりもコンプレッサホイール側に排気が流入することがある。上記構成では、このように第1シール部材よりもコンプレッサホイール側に排気が流入したとしても、連結シャフトの外周面と支持孔の内周面との間に介在した第2シール部材によって、当該第2シール部材よりもコンプレッサホイール側に排気が流入することを抑制できる。
・上記構成において、前記第1シール部材は、前記連結シャフトの周方向における延設範囲が180度以上360度未満であり、前記第2シール部材は、前記連結シャフトの周方向における延設範囲が180度以上360度未満であり、前記連結シャフトの回転軸線方向から視たときに、前記連結シャフトの周方向全域において前記第1シール部材及び前記第2シール部材の少なくとも一方が介在している。
上記構成においては、連結シャフトの外周面と支持孔の内周面との間における第1シール部材が介在されていない隙間を介して第1シール部材よりもコンプレッサホイール側に排気が流入することがある。上記構成では、第1シール部材及び第2シール部材が互いに連結シャフトの反対側に位置しているため、第1シール部材における隙間から排気が流入したとしても、第2シール部材によって排気が流入することを抑制できる。
・上記構成において、前記ベアリングハウジングには、冷却水が流通する冷却水通路が区画されており、前記冷却水通路の一部は、前記連結シャフトの回転軸線方向において前記第2シール部材よりも前記タービンホイール側にまで延びている。
上記構成では、連結シャフトの回転軸線方向において、冷却水通路の一部が、第2シール部材を越えて第1シール部材側に延びている。そのため、冷却水通路を流通する冷却水との熱交換によって、第2シール部材に加えて第1シール部材も冷却される。これにより、タービンハウジングの内部を流通する排気の熱によって、第1シール部材や第2シール部材の温度が過度に高くなることを抑制できる。その結果、過度に温度が高くなることに起因して、第1シール部材や第2シール部材に劣化が生じることを抑制できる。
・排気が流通する排気管と、前記排気管に取り付けられたターボチャージャのタービンハウジングと、前記排気管における前記タービンハウジングよりも下流側の部分に取り付けられて排気を浄化するための触媒とを備えている内燃機関の排気構造であって、前記触媒は、筒状の筒状部と、前記筒状部の中心軸線方向に延びている複数の区画壁とを備え、前記タービンハウジングには、タービンホイールが収容される収容空間と、前記収容空間に接続されるとともに前記タービンハウジングの外部から前記収容空間に排気を導入するスクロール通路と、前記収容空間に接続されるとともに前記収容空間から前記タービンハウジングの外部に排気を排出する排出通路と、前記スクロール通路及び前記排出通路に接続されるとともに前記タービンホイールをバイパスするバイパス通路とが区画されており、前記バイパス通路の排気の出口部分の中心軸線上には前記触媒の上流端面が位置するとともに前記出口部分の中心軸線は前記区画壁と交差しており、前記出口部分の中心軸線及び前記筒状部の中心軸線のそれぞれに直交する方向から視たときに、前記出口部分の中心軸線と前記筒状部の中心軸線とがなす鋭角の角度は、25~35度になっている内燃機関の排気構造。
仮に、バイパス通路の出口部分の中心軸線と触媒の筒状部の中心軸線とが平行になっていると、バイパス通路を流通した排気が、触媒の区画壁の壁面に衝突せずに下流側に流れてしまう可能性がある。また、バイパス通路の出口部分の中心軸線と触媒の筒状部の中心軸線とがなす角度が90度に近づくと、バイパス通路を流通した排気が、触媒の上流端面に衝突して触媒よりも上流側の部分で滞留する可能性がある。
上記構成では、バイパス通路を流通した排気が下流側の触媒に至ると、触媒における区画壁の壁面に排気が衝突する。そして、触媒における区画壁の壁面に衝突した排気は、区画壁の壁面に沿うように下流側に流れる。そのため、排気の熱が触媒の区画壁に伝達され、触媒の温度を速やかに高くできる。また、上記構成では、バイパス通路を流通した排気が触媒の上流端に衝突して排気管における触媒よりも上流側の部分で排気が滞留することを抑制できる。