以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下に説明する形態に限定されない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。実施形態に係る切削工具Tのクランプ構造CP1について、図面を用いて説明する。図1は、実施形態に係るクランプ構造CP1の一例を示す斜視図である。図2は、クランプ構造CP1の平面図である。
図1及び図2に示すように、クランプ構造CP1は、2つの(複数の)クランプ部材25を備える。クランプ構造CP1は、回転するワークW(後述する図7参照)を切削するための切削工具Tを、ホルダ24に予め設けられている壁部24Wと、2つのクランプ部材25とで挟んで保持する構造である。切削工具Tは、クランプ構造CP1により保持される部分が板状であり、表面側(ホルダ24の壁部24Wに当接する側)に平面部Tfを有し、裏面側(クランプ部材25に当接する側)に平面部Tgを有している。
切削工具Tは、ワークWの加工時に、例えば、ワークWに対する切削点が移動する線状の切刃Hを有している。本実施形態において、切刃Hは、直線切刃である。この場合、切刃Hに沿う方向(以下、「切刃方向DH」と表記する)は、直線方向又はほぼ直線方向である。なお、切刃Hは、直線切刃に限定されず、曲線を含む形状の切刃Hであってもよい。曲線を含む形状の切刃Hの場合、ワークWに対する切削点は、切刃Hの曲線に沿って移動する。切刃Hは、第1端部Ha及び第2端部Hbを有する。第1端部Haは、例えば、ワークWに対する切り始め側の端部である。第2端部Hbは、例えば、ワークWに対する切り終わり側の端部である。
ホルダ24は、不図示の刃物台等に固定されるベース部24Bと、切削工具T及びクランプ部材25を保持する保持部24Hとを有する。保持部24Hは、凹部24Cが設けられており、この凹部24Cには切削工具T及び2つのクランプ部材25が配置されている。凹部24Cは、壁部24Wと、係止壁部24Lと、テーパ面24Tとが設けられる。壁部24Wと係止壁部24Lとは屈曲した状態で連続して設けられている。
壁部24Wは、平面状又はほぼ平面状に形成されており、切削工具Tの一方の平面部Tfに当接する。壁部24Wに切削工具Tの平面部Tfが当接することにより、切削工具Tを切刃方向DHと交差する方向に位置決めする。係止壁部24Lは、平面状又はほぼ平面状に形成されており、切削工具Tのうちワークに対する切り終わり側の端部である第2端部Hb側の側面部Tsに当接する。切削工具Tは、平面部Tfが壁部24Wに当接し、側面部Tsが係止壁部24Lに当接した状態で配置される。係止壁部24Lは、切刃方向DH(切刃Hに沿った方向)に切削工具Tを位置決めする。係止壁部24Lは、例えば、切削工具TがワークWを切削している際に、切削工具Tに対して切刃方向DHに作用した力を受け止めて、切刃方向DHへの切削工具Tのずれを防止する。なお、壁部24W及び係止壁部24Lは、平面状であることに限定されず、例えば、波面状、又は複数の突起が設けられた形状などであってもよい。
クランプ部材25は、切刃方向DHに並んで2つ(複数)配置され、互いに独立して切削工具Tに当接しかつ切削工具Tをホルダ24の壁部24Wに向けて押し付ける。2つのクランプ部材25は、それぞれ凹部24Cのうち切削工具Tとテーパ面24Tとの間に配置される。本実施形態において、クランプ部材25は、2つ配置されているが複数(2つ以上)であれば、その数に限定されない。以下、2つのクランプ部材25を区別する場合、クランプ部材25a、25bと表記する。
2つのクランプ部材25a、25bは、切削工具Tの平面部Tgのうち、切刃方向DHにおける両端部分である第1端部Ha及び第2端部Hbの近傍にそれぞれ当接するように配置される。この2つのクランプ部材25a、25bにより、切刃HのうちワークWに対する切り始めの第1端部Ha、及び切り終わりの第2端部Hbの双方で切削工具Tを押さえることができ、切刃方向DHにおける各切削点において変位の変化を効率よく抑制できる。
2つのクランプ部材25のうちクランプ部材25aは、第1端部Ha側に配置される。クランプ部材25aは、平面部Tg側に突出し、平面部Tgの第1端部Ha側の位置に当接する当接部25pを有する。また、2つのクランプ部材25のうちクランプ部材25bは、第2端部Hb側に配置される。クランプ部材25bは、平面部Tg側に突出し、平面部Tgの第2端部Hb側の位置に当接する当接部25qを有する。2つのクランプ部材25a、25bは、互いに当接した状態であってもよいし、離間した状態であってもよい。それぞれの当接部25p、25qは、平面部Tgに対向する部分が平面状又はほぼ平面状に形成され、平面部Tgに対して面同士で当接する。当接部25pと当接部25qとは、切刃方向DHに離間して配置される。なお、当接部25p、25qは、平面状であることに限定されず、例えば、波面状、又は複数の突起が設けられた形状などであってもよい。
図3は、図2におけるA-A線に沿った断面図である。図3に示すように、クランプ部材25aは、凹部24Cのテーパ面24Tに当接するテーパ面25eを有する。また、クランプ部材25bは、凹部24Cのテーパ面24Tに当接するテーパ面25fを有する。クランプ部材25a、25bは、それぞれに設けられている貫通孔に挿入されたボルト26によりホルダ24に取り付けられる。クランプ部材25a、25bは、ボルト26を締めることにより、それぞれのテーパ面25e、25fがホルダ24のテーパ面24Tにガイドされて切削工具Tを押す方向に移動し、当接部25p、25qで切削工具Tを壁部24Wに押し付ける。
当接部25p、25qは、切刃方向DHにおける寸法がそれぞれ幅L11であって等しくなっている。当接部25p、25qのそれぞれは、切刃方向DHにおける切刃Hの長さの半分以下となっている。また、クランプ部材25a、25bにおいて、ボルト26が配置される部分の切刃方向DHの寸法がそれぞれ幅L12となっている(図2においてクランプ部材25aの幅L12の表記を省略している)。また、当接部25p、25qの切刃方向DHの幅L11は、クランプ部材25a、25bにおけるボルト26が配置される部分の切刃方向DHの幅L12よりも小さい。
この構成により、切削工具Tに当接する部分を小さくしてクランプ部材25a、25bにおける公差の影響を小さくすることができる。すなわち、クランプ部材25を作成した際、当接部25p、25qが幅L11と狭いので平面度のバラつきが少なくなり、公差があってもその影響を小さくすることができる。さらに、ボルト26が配置される部分を幅L12と広くしているため、ボルト26に対応する部分の剛性を高めることができる。なお、クランプ部材25a、25bにおいて、当接部25p、25qの幅L11と、ボルト26が配置される部分の幅L12とが同一であってもよいし、幅L11が幅L12より大きくてもよい。
また、切刃HのうちワークWに対する切り始め側の第1端部Haに対応するクランプ部材25aは、他のクランプ部材25bよりボルト26の締め付け力を大きくしてもよい。ボルト26の締め付け力を大きくすると、図3に示すように、クランプ部材25aは、強く切削工具Tを壁部24Wに押し付けることになる。この構成により、切刃HによりワークWを切り始める際に切削工具Tが大きく変位すること(切刃Hの位置がワークWに対する切削量を規定する方向に大きく変位すること)を確実に抑制することができる。なお、上記のように複数のクランプ部材25においてボルト26の締め付け力を変えることに限定されず、複数のクランプ部材25においてボルト26の締め付け力を等しくしてもよい。
図4は、実施形態に係るクランプ構造の他の例を示す平面図である。図4に示すクランプ構造CP2は、3つのクランプ部材125が設けられる点で上記したクランプ構造CP1とは異なっており、他の構成についてはクランプ構造CP1と同様である。なお、図4に示す切削工具Tは、図1に示す切削工具Tよりも切刃Hが切刃方向DHに長いタイプが用いられている。また、図4に示すホルダ24は、切削工具Tに合わせての凹部24Cが広くなっている。以下、3つのクランプ部材125を区別する場合、クランプ部材125a、125b、125cと表記する。
クランプ部材125aは、第1端部Ha側に配置される。クランプ部材125aは、平面部Tg側に突出し、平面部Tgの第1端部Ha側の近傍に当接する当接部125pを有する。また、クランプ部材125bは、第2端部Hb側に配置される。クランプ部材125bは、平面部Tg側に突出し、平面部Tgの第2端部Hb側の近傍に当接する当接部125qを有する。クランプ部材125cは、クランプ部材125aとクランプ部材125bとの間に配置される。クランプ部材125cは、平面部Tgにおいて切刃方向DHの中央部分に当接する当接部125rを有する。3つのクランプ部材125a、125b、125cは、互いに当接した状態であってもよいし、離間した状態であってもよい。
当接部125p、125q、125rは、それぞれ平面部Tgに対向する部分が平面状又はほぼ平面状に形成され、平面部Tgに対して面同士で当接する。当接部125p、125qは、それぞれ当接部125rに対して切刃方向DHに離間して配置される。なお、当接部125p、125q、125rは、平面状であることに限定されず、例えば、波面状、又は複数の突起が設けられた形状などであってもよい。
クランプ部材125a、125b、125cは、凹部24Cのテーパ面24Tに当接するテーパ面125e、125f、125gをそれぞれ有する。クランプ部材125a、125b、125cのそれぞれは、ボルト26によりホルダ24に取り付けられており、ボルト26を締めることにより、それぞれのテーパ面125e、125f、125gがホルダ24のテーパ面24Tにガイドされて切削工具Tを押す方向に移動し、当接部125p、125q、125rで切削工具Tを壁部24Wに押し付ける。
当接部125p、125qは、切刃方向DHの寸法が幅L21と等しくなっている。また、クランプ部材125a、125bにおいて、ボルト26が配置される部分の切刃方向DHの寸法はそれぞれ幅L22となっている。当接部125rは、切刃方向DHの幅が当接部125p、125qとは異なり、その寸法が幅L23となっている。また、クランプ部材125cは、ボルト26が配置される部分の切刃方向DHの幅がクランプ部材125a、125bとは異なり、その寸法が幅L24となっている。
当接部125p、125qの切刃方向DHの幅L21は、クランプ部材125a、125bにおけるボルト26が配置される部分の切刃方向DHの幅L22よりも小さい。この構成により、切削工具Tに当接する部分を小さくしてクランプ部材125a、125bにおける公差の影響を小さくすることができ、さらに、ボルト26に対応する部分の剛性を高めることができる。一方、当接部125rの切刃方向DHの幅L23は、クランプ部材125cにおけるボルト26が配置される部分の切刃方向DHの幅L24と同一又はほぼ同一である。この構成により、切刃HのうちワークWに対する切り始め側の第1端部Haと、切り終わり側の第2端部Hbとを、クランプ部材125a、125bにより確実に押さえつつ、中央部分をクランプ部材125cにより押さえることができる。
図5は、実施形態に係るクランプ構造の他の例を示す平面図である。図5に示すクランプ構造CP3は、異なる形態の2つのクランプ部材225を用いている点で上記したクランプ構造CP1とは異なっており、他の構成についてはクランプ構造CP1と同様である。なお、図5に示す切削工具Tは、図1に示す切削工具Tと同一又はほぼ同一である。また、図5に示すホルダ24は、図1に示すホルダ24とほぼ同一である。以下、2つのクランプ部材225を区別する場合、クランプ部材225a、225bと表記する。
クランプ部材225aは、第1端部Ha側に配置される。クランプ部材225aは、平面部Tg側に突出し、平面部Tgの第1端部Ha側の近傍に当接する当接部225pを有する。また、クランプ部材225bは、第2端部Hb側に配置される。クランプ部材225bは、平面部Tg側に突出し、平面部Tgの第2端部Hb側の近傍に当接する当接部225qを有する。2つのクランプ部材225a、225bは、互いに当接した状態であってもよいし、離間した状態であってもよい。当接部225p、225qは、それぞれ平面部Tgに対向する部分が平面状又はほぼ平面状に形成され、平面部Tgに対して面同士で当接する。当接部225p、225qは、切刃方向DHに離間して配置される。なお、当接部225p、225qは、平面状であることに限定されず、例えば、波面状、又は複数の突起が設けられた形状などであってもよい。
クランプ部材225a、225bは、凹部24Cのテーパ面24Tに当接するテーパ面225e、225fをそれぞれ有する。クランプ部材225a、225bのそれぞれは、ボルト26によりホルダ24に取り付けられており、ボルト226a、226bを締めることにより、それぞれのテーパ面225e、225fがホルダ24のテーパ面24Tにガイドされて切削工具Tを押す方向に移動し、当接部225p、225qで切削工具Tを壁部24Wに押し付ける。
クランプ部材225aは、クランプ部材225bに比べて、ボルト226aが配置される部分の切刃方向DHの幅が大きくなっている。すなわち、クランプ部材225a、225bにおいて、ボルト226a、226bが配置される部分の寸法をそれぞれ幅L32、幅L33とすると、L32>L33となっており、クランプ部材225aがクランプ部材225bよりも大きい。また、クランプ部材225aを固定するボルト226aは、クランプ部材225bを固定するボルト226bに比べて、径が大きくなっている。すなわち、大きなクランプ部材225b、及び締め付けトルクが大きなボルト226aを用いることにより、ワークWに対する切り始め側である第1端部Ha側を強く壁部24Wに押し付けることができる。
また、当接部225p、225qは、それぞれ切刃方向DHの寸法が幅L31であって等しくなっている。当接部225p、225qの幅L31は、クランプ部材225a、225bにおけるボルト226aが配置される部分の切刃方向DHの幅L32、L33よりも小さい。この構成により、切削工具Tに当接する部分を小さくしてクランプ部材225a、225bにおける公差の影響を小さくすることができ、さらに、ボルト226a、226bに対応する部分の剛性を高めることができる。
図6は、実施形態に係るクランプ構造の他の例を示す平面図である。図6に示すクランプ構造CP4は、異なる形態の2つのクランプ部材325を用いている点で上記したクランプ構造CP1とは異なっており、他の構成についてはクランプ構造CP1と同様である。なお、図6に示す切削工具Tは、図1に示す切削工具Tとほぼ同一又はほぼ同一である。また、図6に示すホルダ24は、図1に示すホルダ24とほぼ同一である。以下、2つのクランプ部材325を区別する場合、クランプ部材325a、325bと表記する。
クランプ部材325aは、第1端部Ha側に配置される。クランプ部材325aは、平面部Tg側に突出し、平面部Tgの第1端部Ha側の近傍に当接する当接部325pを有する。また、クランプ部材325bは、第2端部Hb側に配置される。クランプ部材325bは、平面部Tg側に突出し、平面部Tgの第2端部Hb側の近傍に当接する当接部325qを有する。2つのクランプ部材325a、325bは、互いに当接した状態であってもよいし、離間した状態であってもよい。当接部325p、325qは、それぞれ平面部Tgに対向する部分が平面状又はほぼ平面状に形成され、平面部Tgに対して面同士で当接する。当接部325p、325qは、切刃方向DHに離間して配置される。なお、当接部325p、325qは、平面状であることに限定されず、例えば、波面状、又は複数の突起が設けられた形状などであってもよい。
クランプ部材325a、325bは、凹部24Cのテーパ面24Tに当接するテーパ面325e、325fをそれぞれ有する。クランプ部材325a、325bのそれぞれは、ボルト26によりホルダ24に取り付けられており、ボルト26を締めることにより、それぞれのテーパ面325e、325fがホルダ24のテーパ面24Tにガイドされて切削工具Tを押す方向に移動し、当接部325p、325qで切削工具Tを壁部24Wに押し付ける。
当接部325pは、当接部325qに比べて、切刃方向DHの幅が小さくなっている。すなわち、当接部325p、325qの切刃方向DHの寸法をそれぞれ幅L41、幅L42とすると、L41<L42となっている。この構成では、ワークWに対する切り始め側である第1端部Ha側の当接部325pの幅L41がさらに狭くなっているので、第1端部Ha側を確実に保持することができ、クランプ部材325aを作成した際、当接部325pの平面度のバラつきがさらに少なくなり、公差があってもその影響をより一層小さくすることができる。
また、クランプ部材325a、325bは、ボルト26が配置される部分の切刃方向DHの寸法が幅L43であって等しくなっている。当接部325p、325qの幅L41、幅L42は、それぞれ幅L43よりも小さい。この構成により、クランプ部材325a、325bにおいて、ボルト226a、226bに対応する部分の剛性を高めることができる。なお、クランプ部材325bにおいても、切削工具Tに当接する部分を小さくして公差の影響を小さくすることができ、さらに、ボルト26に対応する部分の剛性を高めることができる。
次に、実施形態に係る工作機械100について説明する。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をYZ平面とする。このYZ平面において主軸7(対向軸8)の軸線AX方向をZ方向と表記し、水平面においてZ方向に直交する方向をY方向と表記する。また、YZ平面に垂直な方向はX方向と表記する。X方向は、ワークWに対する切削量を規定する方向である。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、矢印の指す方向を+方向とし、矢印の方向と反対の方向を-方向として説明する。
図7は、実施形態に係る工作機械100の一例を示す正面図である。図8は、図7に示す工作機械100をZ方向から見た側面図である。図7及び図8に示す工作機械100は、旋盤である。図7及び図8において、工作機械100の+Y側が正面であり、-Y側が背面である。また、工作機械100の+Z側及び-Z側は側面であり、Z方向は工作機械100の左右方向である。
図7及び図8に示すように、工作機械100は、機械本体部であるベース1を有している。ベース1には、主軸台2と心押し台4とが設けられる。主軸台2は、不図示の軸受け等により主軸7を回転可能な状態で支持している。なお、主軸台2は、ベース1に固定されるが、Z方向、X方向、Y方向等に移動可能に形成され、モータ等の駆動によって移動する構成でもよい。主軸7の+Z側の端部には、チャック駆動部9が設けられている。チャック駆動部9は、複数の把握爪9aを主軸7の径方向に移動させてワークWを保持させる。図1では、主軸7の軸線AXまわりに等間隔に配置された3つの把握爪9aを用いてワークWを把持しているが、この形態に限定されず、把握爪9aの個数や形状は、ワークWを保持可能な任意の構成が適用可能である。把握爪9aによって保持されるワークWは、例えば円柱形などに形成されており、表面Waを有する。
主軸7の-Z側の端部は主軸台2から-Z方向に突出しており、この端部にプーリ11が取り付けられる。プーリ11と、ベース1に設けられたモータ12の軸線との間にはベルト13が掛け渡されている。主軸7は、モータ12の駆動によりベルト13を介して回転する。モータ12は、制御部CONTからの指示により回転数等が制御される。モータ12としては、例えば、トルク制御機構を備えたモータが用いられる。また、主軸7は、モータ12及びベルト13によって駆動されることに限定されず、モータ12の駆動を歯車列等で主軸7に伝達する構成、又はモータ12によって直接主軸7を回転させる構成であってもよい。
心押し台4は、ベース1上に設置されたZ軸ガイド3に沿って移動可能に形成される。心押し台4は、不図示の軸受け等により対向軸8を回転可能な状態で支持している。主軸7の軸線AX方向と、対向軸8の軸線方向とはZ方向に一致した状態となっている。心押し台4の-Z側の端部には、センタ10が取り付けられている。なお、対向軸8は、心押し台4に固定され、デッドセンタとして使用されてもよい。
ワークWが長尺である場合(Z方向に長い場合)は、ワークWの+Z側の端部を心押し台4のセンタ10で保持する。長尺のワークWは主軸7と対向軸8とに挟まれた状態で回転するため、切削加工時に安定してワークWを回転させることができる。ワークWが短尺の場合(Z方向に短い場合)、ワークWは、主軸7の把握爪9aのみにより保持されて回転する。この場合には、心押し台4を用いなくてもよい。
ベース1には、Z方向に配置された2本のZ軸ガイド5が設けられる。2本のZ軸ガイド5は、上下方向(X方向)に並んで配置され、それぞれZ方向に延びて設けられる。なお、Z軸ガイド5は、図示のように上下に2本設けられることに限定されず、1本又は3本以上設けられてもよい。Z軸ガイド5には、Z軸ガイド5に沿ってZ方向に移動可能なZ軸スライダ17が設けられる。また、2本のZ軸ガイド5は、Z軸スライダ17の下方においてY方向に並んで配置されてもよい。Z軸スライダ17は、Z方向駆動系M1(移動装置)の駆動によりZ方向に移動し、所定位置で保持される。なお、Z方向駆動系M1は、例えば、電気モータや油圧等の駆動装置が用いられる。
Z軸スライダ17の+Y側の面には、2本のX軸ガイド18が形成される。2本のX軸ガイド18は、所定の間隔で平行するように、それぞれがX方向に延びて設けられる。X軸ガイド18には、2本のX軸ガイド18に沿って移動可能なX軸スライダ15が設けられる。X軸スライダ15は、X方向駆動系M2(移動装置)の駆動によりX方向に移動し、所定位置で保持される。なお、X方向駆動系M2は、例えば、電気モータや油圧等の駆動装置が用いられる。
X軸スライダ15の+X側の面には、2本のY軸ガイド16が形成される。2本のY軸ガイド16は、所定の間隔で平行するように、それぞれがY方向に延びて設けられる。Y軸ガイド16には、2本のY軸ガイド16に沿って移動可能なY軸スライダ19が設けられる。Y軸スライダ19は、Y方向駆動系M3(移動装置)の駆動によりY方向に移動し、所定位置で保持される。Y方向駆動系M3は、例えば、電気モータや油圧等の駆動装置が用いられる。なお、上記のZ方向駆動系M1、X方向駆動系M2及びY方向駆動系M3は、制御部CONTによって制御される。従って、制御部CONTで制御されることにより、Z方向駆動系M1、X方向駆動系M2及びY方向駆動系M3の2つ又は3つを同時に駆動させることができる。
Y軸スライダ19の+X側の面である取付面19aには、プレート状刃物台21が設けられる。プレート状刃物台21は、例えば金属などの素材で板状に形成されている。プレート状刃物台21は、ホルダ24を介して複数の切削工具Tを装着可能である。複数のホルダ24は、複数の切削工具Tのいずれか一つをワークWの切削加工に用いる際に、他の切削工具TがワークWと干渉しないようにプレート状刃物台21に配置される。このため、複数の切削工具Tをプレート状刃物台21に装着したまま、いずれかの切削工具TによりワークWの切削加工を行うことが可能であり、ワークWが変わって(あるいは1つのワークWのうち加工対象面が変わって)切削工具Tを変更するときでも、プレート状刃物台21をY方向あるいはZ方向に移動させるだけで、ワークWの切削加工に用いる切削工具Tを容易に切り替えることができる。
切削工具Tには、軸線AXまわりに回転するワークWを切削加工した場合に、切削工具Tの送り方向(+Z方向又は-Z方向)と反対の方向(-Z方向又は+Z方向)の送り分力が作用し、ワークWに対して切込み量を規定する向き(+X方向)と逆向きの下向き(-X方向)に背分力が作用し、図7の紙面と垂直の方向(+Y方向)に主分力が作用する。本実施形態の工作機械100では、切削工具Tが、2本のY軸ガイド16のスパンの間、及び2本のX軸ガイド18のスパンの間に配置される。この構成により。送り分力、背分力、主分力は、2本のY軸ガイド16及び2本のX軸ガイド18に適切に分散されて、バランスよく受け止められる。その結果、切削工具Tは、ワークWを切削加工する場合であっても、切刃Hの刃先位置の変動が抑制される。
図9は、プレート状刃物台21の一例を示す斜視図である。図9に示すように、プレート状刃物台21は、上面(-X側の面)に、ワークWを切削するための複数の切削工具T(T1~T4)を、ホルダ24を介して装着可能である。ホルダ24は、それぞれ1つの切削工具Tを保持しているが、この形態に限定されず、1つのホルダ24で2つ以上の切削工具Tを保持させてもよい。ホルダ24は、ボルト等の締結部材によってプレート状刃物台21に取り付けられ、取り外し可能である。なお、プレート状刃物台21に取り付けられるホルダ24の数は任意であり、例えば、1つのホルダ24がプレート状刃物台21に取り付けられてもよい。
複数のホルダ24は、切削工具Tの位置が互いにY方向にずれた状態で、Z方向に並んで配置される。この構成により、いずれか1つの切削工具Tを用いてワークWの切削加工を行う場合でも、他の切削工具TがワークWに干渉しない。各切削工具Tは、Y方向から見て、切刃Hに沿う方向(切刃方向DH)がワークWの表面Waと平行である(図7及び図8参照)。各切削工具Tは、切刃H(H1~H4)の方向がX方向から見てZ方向に対して傾いた状態となるように、上記したクランプ構造CP1~CP4によりホルダ24に保持される。切刃HのZ方向に対する角度θ(図10(A)参照)は任意に設定可能でありホルダ24の壁部24Wの向きによって設定される。
切削工具Tは、ワークWの表面Waにおける接線方向(軸線AXと交差する方向)に移動しながらワークWの切削加工を行う。切削工具Tは、Y方向、又はY方向とZ方向とを含んだ合成方向Pに移動することにより、X方向から見てZ方向に沿うワークWの表面Wa上の母線D(図10参照)に対して切刃HがY方向ずれ、母線D上において切削点C(図10参照)がZ方向にずれながらワークWの切削加工を行う。すなわち、各切削工具Tは、ワークWの切削加工を行う際に、切刃Hにおける切削点Cが移動する。
次に、以上のように構成された工作機械100の動作について説明する。以下の説明に際して、適宜図1から図9の内容を参照する。なお、以下の説明では、4つの切削工具T1~T4のうち切削工具T1を用いてワークWを加工する場合を説明するが、他の切削工具T2~T4を用いて説明する場合も同様である。図10は、X方向からワークWを見たときの切削工具T1の動きの一例を示す平面図であり、(A)は切削加工前の図、(B)は切削加工中の図、(C)は切削加工後の図である。
先ず、加工対象であるワークWを主軸7に保持させる。ワークWを把持した後、モータ12を駆動して主軸7を回転させることにより、ワークWを軸線AXまわりに回転させる。なお、主軸7と対向軸8とでワークWを把持する場合には、主軸7と対向軸8とを同期させて回転させる。また、ワークWの回転数は、加工処理に応じて適宜設定される。
続いて、切削工具T1のX方向の位置が調整される。この調整では、切刃H1がワークWの表面Waに対応するように、X方向駆動系M2によってプレート状刃物台21をX方向に移動させる。切刃H1のX方向の位置は、ワークWの表面Waに対する切削量を規定する。切削量は、制御部CONTによって予め設定された値に設定されてもよく、また、作業者のマニュアル操作によって設定されてもよい。
続いて、ワークWの回転が安定した段階で、切削工具T1のY方向及びZ方向の位置合わせを行う。切削工具T1のY方向及びZ方向の位置合わせ、並びに後述する合成方向Pへの移動は、Z軸スライダ17のZ方向への移動、及びY軸スライダ19(プレート状刃物台21)のY方向への移動によって行われる。切削工具T1は、ワークWの切削範囲Lに応じて位置合わせされる。図10(A)に示すように、切削工具T1の切刃H1の+Y側の端部H1aが、ワークWの母線Dの-Y側近傍であって切削範囲Lの+Z側に配置される。このとき、他の切削工具T2~T4及びホルダ24は、ワークWに対して-Y側に位置するため、加工動作においてワークWと干渉することはない。
続いて、図10(A)に示すように、切刃H1を、+Y方向と-Z方向とを合成した合成方向Pに移動させる。合成方向Pは、例えば、切刃H1の刃先に沿った長さと、ワークWの切削範囲Lとに応じて設定される。すなわち、切削工具T1が母線Dの-Y側から+Y側に抜けた際に(1回のパスで)切削範囲Lを切刃H1で切削加工するような合成方向Pに設定されている。ただし、合成方向Pに代えてY方向のみに切削工具T1を移動させてもよいし、合成方向Pとして複数回のパスで切削範囲Lを切削加工するような方向に設定されてもよい。
続いて、切削工具T1の切刃H1を、合成方向Pに移動させることによりワークWの表面Waに対して切削加工を行う。切削工具T1の切刃H1は、ワークWの表面Wa上のZ方向の母線Dに対して-Y側から+Y側に移動し、切刃H1の+Y側の端部H1aが先にワークWに当接し、この端部H1aにおいて表面Waの切削を行う。続いて、切削工具T1は、合成方向Pに移動しながらワークWの切削加工を行う。なお、合成方向Pは、ワークWの表面Waに対する接平面に沿った方向である。また、切削工具T1は、切刃H1の刃先に沿った方向が、母線Dと平行を保ちながら合成方向Pに移動する。
切刃H1は、図10(B)に示すように、表面Waに沿って合成方向Pに移動することにより、ワークWへの切削部分が端部H1aから端部H1bに向けて徐々にずれていく。さらに、切刃H1が合成方向Pに向けて移動する間に、ワークWの表面Waにおいて母線D上の切削点Cは、母線Dに沿って-Z方向に進んでいく。すなわち、切削工具T1は、ワークWの切削加工を行う際に、切刃H1における切削点Cが移動する。
その後、図10(C)に示すように、切刃H1の端部H1bが母線Dから+Y側に離れた段階で、切削工具T1による表面Waの切削加工が終了する。上記した切削動作では、切削工具T1の切刃H1において端部H1aから端部H1bまでの全体を用いて表面Waの切削加工を行っているが、この形態に限定されず、切刃H1の一部を用いて表面Waの切削範囲Lを切削加工してもよい。
上記のように切削工具T1でワークWを切削加工している間、切削工具T1は背分力を受けることにより、-X方向に変位した状態となっている。本実施形態では、クランプ構造CP1~CP4を用いることにより、切削工具T1(切削工具T)を複数のクランプ部材25で保持しているので、切削工具T1を強く押さえる部分を複数個所に分散させている。その結果、ワークWの切削加工中に、切削点Cの位置によって切刃Hの-X方向への変位が変化することを抑制し、ワークWの加工精度を向上させることができる。
例えば、切削工具T1を1つのクランプ部材によりホルダ24に保持した場合、ワークWの切り始めで端部H1aが-X方向に大きく変位し、切刃H1において切削点Cが移動するにしたがって-X方向の変位が小さくなって切刃H1がワークWから抜けるといった現象が生じてしまう。その結果、加工後のワークWは、切始め部分の外径が大きく、切始め以降に徐々に小径となるといった形状となり、ワークWの加工精度を低下させていた。この現象は、切削工具T1への当接部分を複数にした場合、又は締め付け用のボルトを複数にした場合であっても生じてしまう。
本実施形態では、上記のように複数のクランプ部材25を用いて切削工具T1(切削工具T)を押さえているため、切削点Cが切刃H1の端部H1aであるとき(ワークWの切り始めのとき)を含めて、ワークWの切削加工中に切削点Cが移動したときでも切刃H1の-X方向の変位の変化を抑えることができ、ワークWの加工精度を向上させることができる。
次に、本発明の実施例を説明する。図11は、実施例と比較例とを模式的に示した図であり、(A)は比較例の模式図、(B)は実施例の模式図である。本実施例では、プレート状刃物台21にホルダ24を取り付け、切削工具Tの代わりにテストバーBをホルダ24に保持させ、このテストバーBに対してホルダ24側に力を加えた場合に、テストバーBの先端の変位量を測定した。比較例においては、図11(A)に示すように、1つのクランプ部材425を用いたクランプ構造CP5により、切削工具Tの代わりにテストバーBを保持させ、本実施例と同様に、テストバーBに対してホルダ24側に力を加えた場合に、テストバーBの先端の変位量を測定した。
テストバーBには、ホルダ24側の4か所にフォースゲージF1~F4を設置した。フォースゲージF1~F4が配置された部分が力点1~力点4となる。また、テストバーBは、フォースゲージF1側がクランプ部材から延びて形成されており、この延びた部分の2か所に変位計D1、D2を設置した。この状態で、テストバーBに対してフォースゲージF1~F4で100Nの力となるように測定しつつ、力点1~力点4にそれぞれ100Nの力を与えた場合の先端側の変位量を変位計D1、D2により測定した。
なお、力点1(フォースゲージF1が配置される位置)を基準点とし、基準点から図中左方向(負の方向)に7mm離れた位置を力点2としてフォースゲージF2を配置し、基準点から図中左方向に15mm離れた位置を力点3としてフォースゲージF3を配置し、基準点から図中左方向に22mm離れた位置を力点4としてフォースゲージF4を配置した。また、基準点から図中右方向(正の方向)に90mm離れた位置に変位計D1を配置し、基準点から図中右方向に40mm離れた位置に変位計D2を配置した。また、変位計D1、D2の測定結果については、ホルダ24とは反対側(図中上方向)への変位を正方向の変位とし、ホルダ24側(図中下方向)への変位を負方向の変位とした。
図12は、変位計の測定結果を示すグラフであり、(A)は比較例の測定結果、(B)は実施例の測定結果である。図12(A)及び(B)において、横軸は基準点からの位置(mm)を示し、縦軸は変位量(μm)を示しており、テストバーBを点線V11から点線V14、又は点線V21から点線V24として表している。図12(A)及び(B)に示すように、比較例は、力点1(フォースゲージF1が配置される位置)からテストバーBに力を与えた場合に、点線V11に示すように、変位計D1、D2において負方向への変位量が最も大きくなった。また、比較例は、力点4(フォースゲージF4が配置される位置)からテストバーBに力を与えた場合に、点線V14に示すように、変位計D1、D2において正方向への変位量が最も大きくなった。力点2及び力点3は、変位計D1、D2においてそれぞれ点線V12、V13に示すように負方向の変位量、正方向の変位量が計測された。
本実施例は、力点1(フォースゲージF1が配置される位置)からテストバーBに力を与えた場合に、点線V21に示すように、変位計D1、D2において負方向への変位量が最も大きくなったが、比較例に対してその変位が小さいことが確認された。また、本実施例は、力点4(フォースゲージF4が配置される位置)からテストバーBに力を与えた場合に、点線V24に示すように、変位計D1、D2において正方向への変位量が最も大きくなったが、変位量が小さく、比較例に対してその変位が大幅に小さくなることが確認された。力点2及び力点3は、変位計D1、D2においてそれぞれ点線V22、V23に示すように負方向の変位量、正方向の変位量が計測された。
また、図12(A)及び(B)に示すように、力点1から力を与えた場合の変位量と、力点4から力を与えた場合の変位量との差、つまりテストバーBの振りの大きさは、比較例よりも実施例の方が小さくなっていることが確認された。
図13(A)は比較例における各力点の変位を示すグラフであり、(B)は実施例における各力点の変位を示すグラフである。図13(A)は図12(A)中の一点鎖線の部分に相当し、図12(A)の測定結果から導き出される。図13(B)は図12(B)中の一点鎖線の部分に相当し、図12(B)の測定結果から導き出される。図13(A)に示すように、比較例における力点1の変位は、点線V11と力点1との交点により示される。同様に、比較例における力点2から力点4の変位は、点線V12から点線V14と、力点2から力点4とのそれぞれの交点により示される。比較例において、力点1から力点4の各変位を結ぶと、図13(A)の点線に示すような折れ線となる。なお、基準位置(例えば変位量0)から各交点までの距離が各力点における変位量である。図13(B)に示すように、本実施例における力点1の変位は、点線V21と力点1との交点により示される。同様に、本実施例における力点2から力点4の変位は、点線V22から点線V24と、力点2から力点4とのそれぞれの交点により示される。本実施例において、力点1から力点4の各変位を結ぶと、図13(B)の実線に示すような折れ線となる。なお、基準位置(例えば変位量0)から各交点までの距離が各力点における変位量である。
図14は、比較例と実施例との力点の変位を比較したグラフである。図14では、図13(A)の比較例における各力点の変位と、図13(B)の本実施例における各力点の変位とを重ねて表しており、実線が本実施例であり、点線が比較例である。図14に示すように、本実施例では力点1から力点4における変位の変化が変化量Aであるのに対し、比較例では力点1から力点4における変位の変化が変化量Aより大きい変化量Bとなっている。なお、変化量A、Bは、力点1から力点4における変位の差である。従って、本実施例のように2つのクランプ部材25を用いたクランプ構造CP1の方が、1つのクランプ部材425を用いたクランプ構造CP5よりもテストバーB(切削工具Tにおける刃先)の変位の変化(変位の差)を抑制する効果があることが確認された。また、力点を移動させた際にその力点での変位が変化すると、力点の位置によって切削工具Tの刃先の位置が変化し、ワークWの加工形状が所望の形状から変化する。従って、比較例では大きな変化量Bであるため、切削点を移動させながらワークWを加工すると刃先の変位の変化によってワークWの加工形状が所望の形状から大きく外れてしまう。この比較例に対して、本実施例は変化量Bより小さい変化量Aであるため、切削点を移動させながらワークWを加工しても刃先の変位の変化が小さく、ワークWを所望の形状に加工することができる。
以上、実施形態及び実施例について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。上記した実施形態では、ボルト26を締めることでクランプ部材25等をホルダ24のテーパ面24eによって切削工具T側に押す構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、ボルトの先端でブロック状のクランプ部材を切削工具T側に押す構成であってもよい。また、複数のボルトの先端がそれぞれ切削工具Tに当接して押すことにより切削工具Tを保持する構成であってもよい。この場合、ボルトがクランプ部材となる。
また、上記した実施形態では、クランプ部材25等が切刃方向DHにおいてホルダ24の凹部24C内に収容された構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されず、例えば、クランプ部材25等がホルダ24の凹部24Cから切刃方向DHにはみ出した形態であってもよい。この場合、クランプ部材25の当接部25p等の一部が切削工具Tに当接しない状態となるが、切削工具Tにおける切り始め側又は切り終わり側をクランプ部材25によって確実に押さえることが可能となる。
上記した実施形態では、工作機械100において、ホルダ24がプレート状刃物台21に配置される構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、プレート状刃物台21に代えて、回転可能な刃物台が用いられてもよい。この場合、刃物台の外周の一部にホルダ24を介して切削工具Tが保持され、刃物台が回転することにより、切削加工を行う切削工具Tが選択される構成であってもよい。