JP7134706B2 - ウェアラブル身体冷却装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ウェアラブル身体冷却装置、特に、身体冷却用繊維製品および身体冷却用衣服に関する。
従来、高温環境下において作業等を行う際に熱中症予防等を目的として着用することのできる、種々の身体冷却用装置や身体冷却用衣服等が提案されている。例えば、特許文献1には、軸流ファンにより衣服内に送風することにより、汗などの気化熱でからだを冷却することのできる冷却衣服が記載されている。
特開2018-21266号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されるような冷却衣服は、ファンにより使用環境下の空気をそのまま送風し、皮膚表面の汗の気化熱を利用するものであり、使用開始直後は冷却効果を感じられるものの皮膚表面の汗がすぐに乾いてしまい、真夏の屋外などの猛暑環境下となる作業場等においては短時間で気化熱源が消失し、持続的に十分な冷却効果を得ることが困難であるという問題がある。
そこで、本発明は、猛暑環境下等においても十分な冷却効果を得ることができ、特に、上記先行技術のような従来の冷却衣服と比較して冷却効果が持続し、長時間快適な着用性を得ることのできる身体冷却装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の好適な態様を提供するものである。
[1]空気ファンと、前記空気ファンに対して離隔して配置された気化式冷却フィルタとを備えてなり、前記空気ファンの空気流入側および送出側の少なくとも一方の側に前記気化式冷却フィルタが配置され、35℃、相対湿度50%における気化量が15g/hr以上である、ウェアラブル身体冷却装置。
[2]前記気化式冷却フィルタの通気度が100~800cm/cm/秒である、前記[1]に記載のウェアラブル身体冷却装置。
[3]前記気化式冷却フィルタが吸水性多孔質体から構成される、前記[1]または[2]に記載のウェアラブル身体冷却装置。
[4]温度20℃、相対湿度65%における、前記吸水性多孔質体の水分率が0.5~10質量%である、前記[3]に記載のウェアラブル身体冷却装置。
[5]吸水性多孔質体の見かけ密度が0.08~0.3g/cmである、前記[3]または[4]に記載のウェアラブル身体冷却装置。
[6]吸水性多孔質体のバイレック式吸水量が30mm以上である、前記[3]~[5]のいずれかに記載のウェアラブル身体冷却装置。
[7]吸水性多孔質体が不織繊維成形体である、前記[3]~[6]のいずれかに記載のウェアラブル身体冷却装置。
[8]不織繊維成形体が、湿熱接着性樹脂から構成される鞘部と、非湿熱接着性樹脂から構成される芯部とを含んでなる芯鞘複合繊維の成形体である、前記[7]に記載のウェアラブル身体冷却装置。
[9]湿熱接着性樹脂がエチレン-ビニルアルコール系共重合体樹脂である、前記[8]に記載のウェアラブル身体冷却装置。
[10]前記[1]~[9]のいずれかに記載の身体冷却装置を備えてなる身体冷却用繊維製品。
[11]身体冷却用繊維製品は身体冷却用衣料である、前記[10]に記載の身体冷却用繊維製品。
本発明によれば、猛暑環境下等においても十分な冷却効果を得ることができ、特に、従来の冷却衣服と比較して冷却効果が持続し、長時間快適な着用性を得ることのできる身体冷却装置を提供することができる。
図1aは、本発明の身体冷却装置の構成を説明する図である。 図1bは、本発明の身体冷却装置の構成を説明する図である。 図2は、本発明の一実施態様である身体冷却装置の概略断面図である。 図3は、図2の身体冷却装置を空気流入側から示した正面図である。 図4は、本発明の一実施態様である身体冷却用衣服の概略背面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
本発明のウェアラブル身体冷却装置(以下、「本発明の身体冷却装置」ともいう)は、空気ファンと、前記空気ファンに対して離隔して配置された気化式冷却フィルタとを備えてなり、前記空気ファンの空気流入側および送出側の少なくとも一方の側に前記気化式冷却フィルタが配置されてなる装置である。本発明において、ウェアラブル身体冷却装置とは、冷却対象者の皮膚に対して直接、または、肌着や衣類等を介して送風することにより使用者の身体を冷却する、身に着けて使用することのできる身体冷却用の装置を意味する。本発明の身体冷却装置は、気化式冷却フィルタを備えており、該気化式冷却フィルタが含む水を気化させることにより気化式冷却フィルタを通る空気から熱を吸収させるため、冷却対象となる使用者の皮膚表面の汗が蒸発した後であっても、気化式冷却フィルタに含まれる水による気化熱を利用して冷気を供給できるため、長時間冷却効果を持続することができ、体温の上昇を継続的に抑えることができる。このため、本発明の身体冷却装置は、特に、猛暑環境等の過酷な環境下での作業における熱中症の予防を目的とした使用、例えば、身体冷却用衣料としての使用に好適である。
以下、本発明の一実施態様に係る身体冷却装置の構成について、図に基づいて説明する。
図1は、本発明の身体冷却装置の構成を簡易的に示す図である。本発明の一実施態様において、身体冷却装置(1)は、空気ファン(11)と、前記空気ファン(11)に対して離隔して配置された気化式冷却フィルタ(21)とを備えてなり、前記気化式冷却フィルタ(21)は、前記空気ファン(11)を駆動した場合に生じる空気の流れにおいて、該空気ファン(11)を中心として空気が流れ込む空気流入側(A)、および、空気が送出される空気送出側(B)の少なくとも一方の側に配置されている。図1(a)は気化式冷却フィルタが空気流入側(A)に配置された構成を示し、図1(b)は気化式冷却フィルタが空気送出側(B)に配置された構成を示す。空気ファン(11)の空気流入側(A)および空気送出側(B)の少なくとも一方の側に気化式冷却フィルタ(21)を設けることにより、空気ファン(11)を駆動した際に、身体冷却装置(1)の外部から装置内部に流れ込んだ後、空気ファン(11)の空気流入側とは反対側に送出される空気が、そのいずれかの時点で前記気化式冷却フィルタ(21)の気化熱を利用して冷却される。したがって、冷却対象となる使用者側に前記空気送出側(B)が位置するように身体冷却装置(1)を装着することで、気化式冷却フィルタ(21)を介して送出される冷気(空気)により、持続的な身体冷却効果を得ることができる。
本発明の身体冷却装置は、空気ファン(11)と離隔して配置される気化式冷却フィルタ(21)を備える。本発明において、「離隔して配置される」とは、気化式冷却フィルタ(21)と空気ファン(11)とが互いに接しない位置関係で配置されていることを意味するが、気化式冷却フィルタ(21)による気化熱を効率よく利用するために、気化式冷却フィルタ(21)は空気ファン(11)の近傍に配置することが好ましく、空気ファン(11)と気化式冷却フィルタ(21)とが隣り合う位置関係にあることが好ましい。
空気ファン(11)が駆動した際に生じる空気の流れを制御しやすく、一定方向に安定して空気を送出することができるため、本発明の身体冷却装置(1)において空気ファン(11)は、通常、空気ファン(11)の羽根の回転方向に対して交差する方向に側壁を有する本体収納部材(10)、例えば、両端部が開口し、空気取込み口(12)および空気排出口(13)を有する筒状の本体収納部材(10)に備え付けられている。
空気ファン(11)を駆動した際に、身体冷却装置(1)に取り込まれて送出される空気のうち、気化式冷却フィルタ(21)を通過する空気の量が多いほど冷却効果が高くなるため、空気ファン(11)を駆動した際に生じる空気の流れ方向に対して交差する方向の平面上に気化式冷却フィルタ(21)を配置することが好ましく、身体冷却装置(1)に取り込まれて送出される空気の全てが気化式冷却フィルタ(21)を通過するよう、身体冷却装置(1)を構成する本体収納部材(10)の空気取込み口(12)および空気排出口(13)の少なくとも一方の開口部全体に気化式冷却フィルタ(21)が存在していることがより好ましい。
本発明の身体冷却装置は、35℃、相対湿度50%において15g/hr以上の気化量を有する。35℃、相対湿度50%における気化量が15g/hr未満であると、猛暑環境下等で外部から取り込んだ空気の温度を下げることが困難であり、十分な冷却効果を持続的に得ることができない。本発明の身体冷却装置における上記気化量は、好ましくは18g/hr以上であり、より好ましくは20g/hr以上であり、さらに好ましくは25g/hr以上である。上記気化量の上限値は特に限定されるものではないが、使用者の身体を冷やし過ぎることなく、長時間快適な温度を維持し得る観点から、好ましくは200g/hr以下であり、より好ましくは100g/hr以下である。
本発明において、身体冷却装置における気化量は、気化式冷却フィルタを水につけ任意の保水量に調整した後、10分間、35℃、相対湿度50%において、空気ファンにより送風を行い、気化式冷却フィルタに送風した場合の気化式冷却フィルタの保水量の変化(送風前後)を測定し、下記式に従い算出される値である。
気化量(g/hr)=[送風前気化式フィルタ質量(g)-10分送風後気化式フィルタ質量(g)]×6
なお、上記測定方法において「任意の保水量に調整」するとは、気化式冷却フィルタに含まれる(浸み込ませる)水の量を、測定対象とする身体冷却装置の使用時の保水量に調整することを意味し、例えば、気化式冷却フィルタに水を含ませた後、該フィルタから水が滴り落ちない程度に軽く水を切る、自然乾燥させるなどして過剰量の水を除去することにより調整することができる。上記測定においては、通常、測定対象とする身体冷却装置が備える空気ファンの有する動力下で送風を行い、気化量の測定を行えばよい。
身体冷却装置における上記気化量は、通常、気化式冷却フィルタの構成により制御される。本発明の身体冷却装置において気化式冷却フィルタは、通常、水による気化熱を利用して空気を冷却する方式のフィルタであり、例えば、気化式冷却フィルタの通気度、保水率、気化式冷却フィルタを構成する材料および形状、風量、送風空気の温湿度等を調整することにより上記気化量を制御することができる。一実施態様において、本発明の身体冷却装置は、上記気化量の測定条件下で測定される気化量が15g/hr以上である気化式冷却フィルタを備えていることが好ましい。
本発明において、身体冷却装置が備える気化式冷却フィルタにおける気化量は、気化式冷却フィルタを水につけ任意の保水量に調整した後、10分間、35℃、相対湿度50%において、風速82m/分(気化式冷却フィルタがない状態で空気ファン直下での風速)の条件で空気ファンにより送風を行い、気化式冷却フィルタに送風した場合の気化式冷却フィルタの保水量の変化(送風前後)を測定し、下記式に従い算出される値である。
気化量(g/hr)=[送風前気化式フィルタ質量(g)-10分送風後気化式フィルタ質量(g)]×6
なお、上記測定方法において「任意の保水量に調整」するとは、上記身体冷却装置の気化量の測定時における保水量の調整方法と同じである。また、上記「風速」は、気化式冷却フィルタが存在しない状態における空気ファン直下の風速を意味し、空気ファン直下(空気ファンから1~3cm)において風速計で測定される風速である。気化式冷却フィルタの気化量は、気化式冷却フィルタを取り付けていない状態で上記風速を生じさせ得る空気ファンにより気化式冷却フィルタに対して上記条件の送風を行うことにより測定することができる。具体的には、例えば、後述する実施例に記載の方法(条件)に従って測定することができる。
本発明において、気化式冷却フィルタの通気度は、100~800cm/cm/秒であることが好ましい。気化式冷却フィルタの通気度が100cm/cm/秒以上であると、空気ファンにより身体冷却装置内に取り込まれる空気および/または身体冷却装置から送出される空気の流れを気化式冷却フィルタにより妨げることなく、使用者の体温上昇を抑えるために必要となる十分な量の空気を通過させることができる。また、気化式冷却フィルタの通気度が800cm/cm/秒以下であると、身体冷却装置内に取り込まれる空気および/または身体冷却装置から送出される空気と気化式冷却フィルタに含まれる水との接触面積を十分に確保することができるため、気化式冷却フィルタを通過する空気の温度を効果的に下げることができる。本発明において、気化式冷却フィルタの通気度は、より好ましくは120cm/cm/秒以上であり、さらに好ましくは150cm/cm/秒以上であり、また、より好ましくは700cm/cm/秒以下であり、さらに好ましくは600cm/cm/秒以下である。
なお、本発明における上記通気度は、JIS L 1096「一般織物試験方法」に規定される方法に従い、測定算出することができる。
また、気化式冷却フィルタの保水率は、気化式冷却フィルタの乾燥時の総質量に対して、好ましくは50~850質量%である。気化式冷却フィルタの保水率が上記下限値以上であると、一度の給水で長時間高い冷却効果を得ることができ、保水率が上記上限値以下であると、使用時の振動等による液漏れが起こりにくい。本発明において、気化式冷却フィルタの保水率は、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは100質量%以上であり、より好ましくは800質量%以下、さらに好ましくは750質量%以下である。
なお、上記保水率は、後述する実施例に記載の方法に従い測定、算出できる。
本発明の一実施態様において、気化式冷却フィルタは吸水性多孔質体から構成されることが好ましい。気化式冷却フィルタが吸水性多孔質体から構成されることにより、気化式フィルタを通過する空気との接触面積が大きくなるため、気化式冷却フィルタを通過する空気を効率よく冷却することができる。気化式冷却フィルタを構成する吸水性多孔質体としては、水を吸収し保持し得るものであれば用いることができるが、例えば、ポリウレタンフォームやポリエチレンフォームなどの三次元網目状に連続孔を有する多孔質体、不織布などの繊維状多孔質体、多孔質セルロースビーズ等が挙げられる。気化式冷却フィルタとして、これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、上記吸水性多孔質体の20℃、相対湿度65%における水分率は0.5~10質量%であることが好ましい。多孔質体の水分率が上記範囲であると、水分保持性能が高いフィルタとなるため、給水後長時間冷却効果を発揮することができる。本発明の身体冷却装置の気化式冷却フィルタを構成する吸水性多孔質体の上記水分率は、より好ましくは0.8質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
なお、前記多孔質体の水分率は、下記式に従って算出される。
水分率(質量%)=[(W-W)/W]×100
〔式中、Wは標準状態(20℃、65%RH)における質量であり、Wは20℃、絶乾状態における質量である。〕
本発明において、吸水性多孔質体の見かけ密度は0.08~0.3g/cmであることが好ましい。吸水性多孔質体の見かけ密度が上記下限値以上であると、保水時でも安定した多孔質構造を保持することができるため、使用時の振動等によるフィルタからの水漏れを抑制することができる。また、見かけ密度が上記上限値以下であると、十分な量の水を吸収して保持することができる上に、多孔質体の内部に吸収された水が適度な速さで多孔質体表面へ移行することができるため、適当な気化量を確保することができる。本発明の身体冷却装置の気化式冷却フィルタを構成する吸水性多孔質体の見かけ密度は、より好ましくは0.09g/cm以上であり、さらに好ましくは0.1g/cm以上であり、また、より好ましくは0.25g/cm以下であり、さらに好ましくは0.2g/cm以下である。
なお、吸水性多孔質体の見かけ密度は、繊維状多孔質体の場合には、JIS L 1913に規定の方法に準じて、厚みと目付の値から算出することができる。ウレタンフォームなどの連続気泡型多孔質体では、JIS K 6401に従って測定、算出することができる。
また、吸水性多孔質体のバイレック式吸水量は30mm以上であることが好ましい。バイレック式吸水量が30mm以上であると、十分な量の水を吸収して保持することができるため、給水後長時間冷却効果を発揮することができる。本発明において、上記吸水性多孔質体のバイレック式吸水量は35mm以上であることがより好ましい。吸水性多孔質体のバイレック式吸水量の上限値は特に限定されないが、冷却フィルタ内部に保持した水の表面への移行速度の観点から、通常、130mm以下である。
なお、吸水性多孔質体のバイレック式吸水量は、JIS L 1907に従って測定、算出することができる。
吸水性多孔質体の厚みは、好ましくは0.2~10mmである。多孔質体の厚みが上記下限値以上であると、気化式冷却フィルタとして適度な強度および剛性を有し、保水時の形態安定性が向上する。また、厚みが上記上限値以下であると、気化式フィルタを通過する空気との接触面積を十分確保することができるため、気化式冷却フィルタを通過する空気を効率よく冷却することができる。本発明において、多孔質体の厚みは、より好ましくは0.5mm以上であり、さらに好ましくは1mm以上であり、特に好ましくは3mm以上である。また、より好ましくは8mm以下であり、さらに好ましくは6mm以下である。
本発明の一実施態様において、吸水性多孔質体は繊維状多孔質体であることが好ましい。本発明において繊維状多孔質体を形成する繊維としては、該繊維から得られる多孔質体に、温度20℃、相対湿度65%において0.5~10質量%の水分率を付与し得る親水性繊維を用いることができる。
親水性繊維の種類としては、例えば、綿、亜麻、ウッドパルプなどのセルロース系繊維、キチン、キトサン、羊毛、絹などの天然繊維、アセテート、トリアセテート、プロミックスなどの半合成繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジックレーヨン、リヨセル、テンセルなどの再生繊維、およびポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール系共重合体、ポリアミドなどの合成繊維が挙げられる。本発明においては、気化式冷却フィルタを構成する繊維状多孔質体に用いる親水性繊維としてこれらの繊維の1種のみを単独で用いてもよく、また2種以上の複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、加工性(縫製の容易性)および繊維形状の安定性の観点から、親水性繊維がポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール系共重合体およびポリアミドからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、エチレン-ビニルアルコール系共重合体またはポリアミドを含むことがより好ましい。
前記ポリビニルアルコールとしては、ケン化度が、例えば80~99モル%のものが好ましく、85~99モル%のものがより好ましく、90~99モル%であるものがさらに好ましい。また、平均重合度は500~1000であることが好ましく、600~900であることがより好ましく、650~850であることが特に好ましい。
前記エチレン-ビニルアルコール系共重合体としては、エチレン単位の含有量(共重合割合)が、例えば10~60モル%であるものが好ましく、20~55モル%であるものがより好ましく、30~50モル%であるものがさらに好ましい。ビニルアルコール単位のケン化度は、例えば、90~99.99モル%程度であり、好ましくは95~99.98モル%、さらに好ましくは96~99.97モル%程度である。また、粘度平均重合度は、例えば、200~2500、好ましくは300~2000、さらに好ましくは400~1500程度である。
前記ポリアミドとしては、例えば、ポリイミノ-1-オキソテトラメチレン(ナイロン4)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリウンデカナミド(ナイロン11)、ポリラウロラクタミド(ナイロン12)、ポリメタキシレンアジパミド、ポリパラキシリレンデカナミド、ポリビスシクロヘキシルメタンデカナミド等が挙げられ、これらの共重合体やブレンド体であってもよい。中でも、水分率の高さからナイロン6が好ましい。
本発明において、親水性繊維は単一の成分からなる単一繊維であってもよく、複数の成分からなる複合繊維であってもよい。複合繊維の形状としては、芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、分割型複合繊維等が挙げられる。高い吸水性および繊維強度を有することから、気化式冷却フィルタを構成する吸水性多孔質体に用いる親水性繊維は、芯鞘複合繊維であることが好ましい。
親水性繊維が芯鞘複合繊維である場合、温度20℃、相対湿度65%において0.5~10質量%の水分率を有するものが好ましく、その構成および形態は特に限定されるものではないが、親水性繊維として先に例示したポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール系共重合体およびポリアミドからなる群から選択される少なくとも1種を鞘成分として含む芯鞘複合繊維であることが好ましく、エチレン-ビニルアルコール系共重合体またはポリアミドを鞘成分として含む芯鞘複合繊維であることがより好ましい。前記成分を鞘成分として含む芯鞘複合繊維を用いて多孔質体を構成することにより、高い吸水性および水分保持性を有し、かつ、強度が高く保水時の形態安定性にも優れる気化式冷却フィルタを得ることができる。
本発明において、吸水性多孔質体は不織繊維成形体であることがより好ましい。不織繊維成形体とは、不織繊維構造を有する成形体であり、不織繊維構造を形成する繊維としては先に記載した親水性繊維が挙げられる。
本発明の一実施態様において、不織繊維成形体は、湿熱接着性樹脂から構成される鞘部と、非湿熱接着性樹脂から構成される芯部とを含んでなる芯鞘複合繊維の成形体であることが好ましい。このような芯鞘複合繊維の成形体から気化式冷却フィルタを形成することにより、軽量で高い吸水性および水分保持性を有し、かつ、強度が高く保水時の形態安定性に優れる気化式冷却フィルタを得ることができる。
不織繊維成形体を構成する芯鞘複合繊維の鞘部を構成する湿熱接着性樹脂としては、例えば、高温水蒸気や熱水(例えば、80~120℃、特に95~100℃程度)で軟化して自己接着または他の繊維に接着可能な熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には例えば、セルロース系樹脂(メチルセルロースなどのC1-3アルキルセルロースエーテル、ヒドロキシメチルセルロースなどのヒドロキシC1-3アルキルセルロースエーテル、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシC1-3アルキルセルロースエーテル又はその塩など)、ポリアルキレングリコール樹脂(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなどのポリC2-4アルキレンオキサイドなど)、ポリビニル系樹脂(ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ビニルアルコール系重合体、ポリビニルアセタールなど)、アクリル系共重合体およびそのアルカリ金属塩[(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミドなどのアクリル系単量体で構成された単位を含む共重合体またはその塩など]、変性ビニル系共重合体(イソブチレン、スチレン、エチレン、ビニルエーテルなどのビニル系単量体と、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸またはその無水物との共重合体またはその塩など)、親水性の置換基を導入したポリマー(スルホン酸基やカルボキシル基、ヒドロキシル基などを導入したポリエステル、ポリアミド、ポリスチレンまたはその塩など)、脂肪族ポリエステル系樹脂(ポリ乳酸系樹脂など)などが挙げられる。さらに、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマーまたはゴム(スチレン系エラストマーなど)などのうち、熱水(高温水蒸気)の温度で軟化して接着機能を発現可能な樹脂も含まれる。
これらの湿熱接着性樹脂は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。湿熱接着性樹脂は、通常、親水性高分子または水溶性樹脂で構成される。これらの湿熱接着性樹脂のうち、エチレン-ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系重合体、ポリ乳酸などのポリ乳酸系樹脂、(メタ)アクリルアミド単位を含む(メタ)アクリル系共重合体、特に、エチレンやプロピレンなどのα-C2~10のオレフィン単位を含むビニルアルコール系重合体、特に、エチレン-ビニルアルコール系共重合体が好ましい。
エチレン-ビニルアルコール系共重合体において、エチレン単位の含有量(共重合割合)は、例えば、10~60モル%、好ましくは20~55モル%、さらに好ましくは30~50モル%程度である。エチレン単位がこの範囲にあることにより、湿熱接着性を有するが、熱水溶解性はないという特異な性質が得られ、変形が生じ難い、実用性のある強度を得ることができる。エチレン単位の割合が、特に30~50モル%の範囲にあると、シートまたは板状への加工性が特に優れる。
エチレン-ビニルアルコール系共重合体におけるビニルアルコール単位のケン化度は、例えば、90~99.99モル%程度であり、好ましくは95~99.98モル%、さらに好ましくは96~99.97モル%程度である。ケン化度が上記範囲にあると熱安定性が高く、繊維の加工性にも優れる。
エチレン-ビニルアルコール系共重合体の粘度平均重合度は、必要に応じて選択できるが、例えば、200~2500、好ましくは300~2000、さらに好ましくは400~1500程度である。重合度がこの範囲にあると、紡糸性と湿熱接着性とのバランスに優れる。
不織繊維成形体を構成する芯鞘複合繊維の芯部を構成する非湿熱接着性樹脂としては、非水溶性または疎水性樹脂、例えば、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの非湿熱接着性樹脂は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
これらの非湿熱接着性樹脂のうち、耐熱性および寸法安定性の点から、融点が湿熱接着性樹脂(特にエチレン-ビニルアルコール系共重合体)よりも高い樹脂、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、特に、耐熱性や繊維形成性などのバランスに優れる点から、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂が好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、ポリC2-4アルキレンアリレート系樹脂などの芳香族ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、特に、PETなどのポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましい。ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、エチレンテレフタレート単位の他に、他のジカルボン酸(例えば、イソフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、フタル酸、4,4’-ジフェニルカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)エタン、5-ナトリウムスルホイソフタル酸など)やジオール(例えば、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど)で構成された単位を20モル%以下程度の割合で含んでいてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド12、ポリアミド6-12などの脂肪族ポリアミドおよびその共重合体、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとから合成された半芳香族ポリアミドなどが好ましい。これらのポリアミド系樹脂にも、共重合可能な他の単位が含まれていてもよい。
不織繊維成形体を構成する芯鞘複合繊維において、湿熱接着性樹脂と非湿熱接着性樹脂の割合(質量比)は、湿熱接着性樹脂が表面に存在すれば特に限定されないが、例えば、湿熱接着性樹脂/非湿熱接着性樹脂=90/10~10/90、好ましくは80/20~15/85、さらに好ましく60/40~20/80程度である。湿熱接着性樹脂と非湿熱接着性樹脂の割合が上記範囲内であると、湿熱接着性および繊維強度を確保しやすい。
不織繊維成形体を構成する芯鞘複合繊維の横断面形状(繊維の長さ方向に垂直な断面形状)は、一般的な中実断面形状である丸型断面や異型断面[偏平状、楕円状、多角形状、3~14葉状、T字状、H字状、V字状、ドッグボーン(I字状)など]であってよい。
不織繊維成形体を構成する芯鞘複合繊維の平均繊度は、用途に応じて、例えば、0.01~100dtex程度の範囲から選択でき、好ましくは0.1~50dtex、さらに好ましくは0.5~30dtex(特に1~10dtex)程度である。平均繊度がこの範囲にあると、繊維の強度と湿熱接着性の発現とのバランスに優れる。
不織繊維成形体を構成する芯鞘複合繊維の平均繊維長は、例えば、10~100mm程度の範囲から選択でき、好ましくは20~80mm、さらに好ましくは25~75mm(特に35~55mm)程度である。平均繊維長がこの範囲にあると、繊維が十分に絡み合うため、成形体の機械的強度が向上する。
不織繊維成形体を構成する芯鞘複合繊維の捲縮率は、例えば、1~50%、好ましくは3~40%、さらに好ましくは5~30%(特に10~20%)程度である。また、捲縮数は、例えば、1~100個/インチ、好ましくは5~50個/インチ、さらに好ましくは10~30個/インチ程度である。
このような芯鞘複合繊維として、商業的に入手可能な市販品を用いてもよく、具体的には、「ソフィスタ」(株式会社クラレ製)などを用いることができる。
本発明の一実施態様において、気化式冷却フィルタを構成する不織繊維成形体は、前記芯鞘複合繊維で構成されたウェブから得られる不織繊維構造を有している。その形状は特に限定されないが、通常、シート状または板状である。
本発明において上記不織繊維成形体は、高い表面硬さおよび曲げ硬さを有するとともに、軽量性と通気性とをバランスよく備えた不織繊維構造を有するために、繊維ウェブを構成する繊維が、概ね繊維ウェブ(不織繊維)面に対して平行に配列しながら、お互いに交差するように配列させるのが望ましい。さらに、各繊維が交差した交点で融着しているのが好ましい。特に、交点以外の繊維が略平行に並んでいる部分において、数本~数十本程度で束状に融着した束状融着繊維を形成していると、高い硬度および強度が得られる傾向にある。これらの繊維が、単繊維同士の交点、束状繊維同士の交点、または単繊維と束状繊維との交点において融着した構造を部分的に形成することにより、「スクラム」を組んだような構造(繊維が交点部で接着し、網目のように絡み合った構造、または交点で繊維が接着し隣接する繊維を互いに拘束する構造)とし、気化式冷却フィルタとして要求される保水率や形態安定性などを確保することができる。本発明では、このような構造が、繊維ウェブの面方向および厚さ方向に沿って概ね均一に分布するような形態とするのが望ましい。
ここでいう「概ね繊維ウェブ面に対し平行に配列している」とは、局部的に多数の繊維が厚さ方向に沿って配列している部分が繰り返し存在するようなことがない状態を示す。より具体的には、成形体の繊維ウェブにおける任意の断面を顕微鏡観察した際に、繊維ウェブでの厚さの30%以上に亘り、厚さ方向に連続して延びる繊維の存在割合(本数割合)が、その断面における全繊維に対して10%以下(特に5%以下)である状態をいう。
繊維を繊維ウェブ面に対して平行に配列するのは、厚さ方向(ウェブ面に対して垂直な方向)に沿って配向している繊維が多く存在すると周辺に繊維配列の乱れが生じて不織繊維内に必要以上に大きな空隙を生じ、成形体の保水性や形態安定性が低減するためである。従って、できるだけこの空隙を少なくすることが好ましく、このために繊維を可能な限り繊維ウェブ面に対して平行に配列させるのが望ましい。かかる繊維配列を実現する観点から、ニードルパンチなどの手段による繊維の交絡の程度は低いことが好ましく、交絡しないことがより好ましい。
繊維の方向をウェブの面方向に沿って平行に並べ、分散させる(または繊維方向をランダム方向に向ける)ことにより、繊維同士がお互いに交差し、その交点で接着することにより、小さな空隙を生じて軽量性を確保できる。さらに、このような繊維構造が連続することにより、適度な通気度および表面硬さも確保できる。特に、他の繊維と交差せず概ね平行に並んでいる箇所において、繊維長さ方向に並行に融着した束状繊維を形成させた場合には、単繊維のみから構成される場合に比べて高い曲げ強度を主に確保できる。繊維一本一本が交差する交点で接着しながら、交点と交点との間で、各繊維が束状に並ぶ部分において、数本の束状繊維を形成することにより硬さおよび強度をより向上させ得る。このような構造は、成形体断面を観察したときの単繊維の存在状態から確認できる。
不織繊維構造を構成する繊維が前記芯鞘複合繊維の融着により繊維接着率85%以下(例えば、1~85%)、好ましくは3~70%、さらに好ましくは5~60%(特に10~35%)程度で接着されていることが好ましい。前記繊維接着率は、不織繊維断面における全繊維の断面数に対して、2本以上接着した繊維の断面数の割合を示す。従って、繊維接着率が低いことは、複数の繊維同士が融着する割合(集束して融着した繊維の割合)が少ないことを意味する。
また、不織繊維構造を構成する繊維は、各々の繊維の接点で接着しているが、できるだけ少ない接点数で大きな曲げ応力を発現するためには、この接着点が、厚さ方向に沿って、成形体表面から内部(中央)、そして裏面に至るまで、均一に分布していると十分な曲げ応力を確保することができ、形態安定性が向上する。
従って、不織繊維成形体は、その厚さ方向の断面において、厚さ方向に三等分した各々の領域における繊維接着率がいずれも前記範囲にあるのが好ましく、各領域における繊維接着率の最大値と最小値との差が20%以下(例えば、0.1~20%)、好ましくは15%以下(例えば、0.5~15%)、さらに好ましくは10%以下(例えば、1~10%)である。繊維接着率が、厚さ方向において、このような均一性を有していると、硬さや曲げ強度、耐折性や靱性において優れる。なお、本発明において、「厚さ方向に三等分した領域」とは、板状成形体の厚さ方向に対して直交する方向にスライスして三等分した各領域のことを意味する。
本発明において、不織繊維成形体における目付は特に限定されず、吸水性多孔質体として適する見掛け密度および厚みを満たすよう適宜決定することができる。
本発明において、気化式冷却フィルタを構成する不織繊維成形体(またはこれを構成する親水性繊維、芯鞘複合繊維等)は、気化式冷却フィルタとしての機能を損なわない範囲において、慣用の添加剤、例えば、安定剤(銅化合物などの熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤など)、微粒子、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤などを含有していてもよい。これらの添加剤は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤は、成形体表面に担持されていてもよく、繊維中に含まれていてもよい。また、必要とされる保水性を確保できる限りにおいて、不織繊維成形体が、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維、ポリビニル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維およびポリ塩化ビニリデン系繊維等の非湿熱接着性繊維を含んでいてもよい。
気化式冷却フィルタを構成する不織繊維成形体は、不織繊維構造を作製するための公知の方法および装置等を用いて製造することができる。具体的には、例えば、特許第4951618号公報、特許第5719834号公報等に記載される成形体の製造方法に従い、製造することができる。
本発明において気化式冷却フィルタの形態は特に限定されず、例えば、シート状、板状やブロック状等に成形した上記不織繊維成形体などの吸水性多孔質体からなるものであってよい。本発明の身体冷却装置に必要とされる気化量を確保し得る限りにおいて、1つ(一塊)の吸水性多孔質体が気化式冷却フィルタを形成していてもよいが、気化式冷却フィルタの通気度を制御しやすく、気化式フィルタを通過する空気との接触面積を大きくする観点から、気化式冷却フィルタは複数個の小片の吸水性多孔質体から構成されることが好ましい。
気化式冷却フィルタが複数個の小片の吸水性多孔質体から構成される場合、各小片の形状は特に限定されず、シート状、板状、ブロック状などであってよく、異なる形状の小片を組み合わせて構成してもよい。また、各小片の大きさも特に限定されず、用いる吸水性多孔質体の種類、身体冷却装置の大きさ、冷却に必要な保水量等に応じて適宜決定すればよい。例えば、本発明の一実施態様において、気化式冷却フィルタを構成する吸水性多孔質体の形状は、生産性の観点からシート状、板状またはブロック状であり、その大きさは、0.2~10mm程度の厚みの多孔質体において好ましくは5~20mm角程度であり、より好ましくは5~15mm角程度である。
気化式冷却フィルタを複数個の小片の吸水性多孔質体から構成し、その充填率(体積%)を調整することにより、気化式冷却フィルタの通気度を容易に制御することができる。気化式冷却フィルタを構成する吸水性多孔質体の充填率は、用いる吸水性多孔質体の種類、身体冷却装置の大きさ、冷却に必要な保水量、等に応じて適宜選択すればよいが、例えば、気化式冷却フィルタの収納容積に対して、好ましくは0.5体積%以上、より好ましくは1.0体積%以上、また、好ましくは10体積%以下、より好ましくは8体積%以下である。
本発明の身体冷却装置(1)において、気化式冷却フィルタ(21)は、例えば、身体冷却装置(1)を構成する本体収納部材(10)の空気取込み口(12)および空気排出口(13)の少なくとも一方の開口部に気化式冷却フィルタ(21)の収納部材(20)を設け、該収容部材(20)内に収容することにより使用時に気化式冷却フィルタ(21)が移動したり偏ったりするのを抑制できる。
気化式冷却フィルタ(21)の収納部材(20)は、空気ファン(11)を収容する本体収納部材(10)の空気取込み口(12)および空気排出口(13)の少なくとも一方の側に空気の流出入のための間隙を有する隔壁(14)を設けることにより、本体収納部材(10)の一部として一体的に形成されていてもよい。隔壁(14)による圧力損失を抑えるために、隔壁(14)は、空気の流出入を阻害しない直線状、格子状または円心状などの形状で設けられていることが好ましい。また、例えば、シート状または板状等の1つ(一塊)の吸水性多孔質体から気化式冷却フィルタを構成する場合には、吸水性多孔質体に通風孔を設けるなどして吸水性多孔質体による圧力損失を抑えることが好ましい。図1において、気化式冷却フィルタ(21)は複数個の小片の吸水性多孔質体(24)から構成されている。かかる構成とすることで、気化式冷却フィルタ(21)による圧力損失を抑え、また、気化式冷却フィルタ(21)の通気度を制御しやすくなる。
気化式冷却フィルタ(21)が複数個の小片の吸水性多孔質体(24)から構成される場合は、給水を容易にするため、水および空気の流出入を妨げないネット状またはメッシュ状の袋や気化式冷却フィルタ(21)の収納部材(20)に対応する形状および大きさを有する容器等に吸水性多孔質体(24)を収容することが好ましい。また、気化式冷却フィルタ(21)の収納部材(20)を、空気ファン(11)を収容する本体収納部材(10)の空気取込み口(12)および空気排出口(13)の少なくとも一方の外側に着脱可能に設けることで、本体収納部材(10)から取り外した気化式冷却フィルタ(21)の収納部材(20)ごと水に浸すなどして容易に給水することができる。
本発明の身体冷却装置において、気化式冷却フィルタは、空気ファンの空気流入側および空気送出側の少なくとも一方の側に配置されていればよい。例えば、空気ファンの空気流入側および空気送出側の両方に配置するなど複数個の気化式冷却フィルタを備えていてもよいが、気化式冷却フィルタによる圧力損失を抑える観点から、気化式冷却フィルタは空気ファンの空気流入側および空気送出側のいずれか一方に設けることが好ましい。さらに、使用時に気化式冷却フィルタが装着者に触れることがなく、より快適な着用性が期待できることから、気化式冷却フィルタは空気ファンの空気流入側に設けることがより好ましい。
以下、本発明の身体冷却装置の一実施態様について、図2に基づきより具体的に説明する。
図2は、本発明の一実施態様である身体冷却装置を繊維生地に取り付けた状態の概略断面図である。図2に示す通り、本発明の一実施態様において、身体冷却装置(1)は、空気ファン(11)と、前記空気ファン(11)の空気流入側(A)に気化式冷却フィルタ(21)とを備えてなる。図2に示す一実施態様において、身体冷却装置(1)は、空気ファン(11)が収容された本体収納部材(10)と、該本体収納部材(10)の空気取込み口(12)の外側に着脱可能に設けられた気化式冷却フィルタ(21)の収納部材(20)とを含む。身体冷却装置(1)の本体収納部材(10)の空気流入側および空気送出側の端部には、空気ファン(11)の回転方向と平行に格子状の空気取込み口(12)および空気排出口(13)が形成されている。両端部が開口した筒状の気化式冷却フィルタ(21)の収納部材(20)の端部には、図3に示すように、本体収納部材(10)の空気取込み口(12)と同様の格子状のフィルタ部空気取込み口(22)およびフィルタ部空気排出口(23)が形成されている。気化式冷却フィルタ(21)の収納部材(20)は、本体収納部材(10)と、本体収納部材(10)の空気取込み口(12)と気化式冷却フィルタ(21)の収納部材(20)のフィルタ部空気排出口(23)とが対向するように隣り合って配置されている。気化式冷却フィルタ(21)の収納部材(20)は、係合部(15)により本体収納部材(10)に接続している。
身体冷却装置(1)は、空気送出側(B)が冷却対象となる使用者側に位置するように、繊維生地(18)に設けられた取付け孔に固定リング(17)により固定して装着され、空気ファン(11)と接続されるバッテリ(図示しない)からモーター(16)に電力を供給することにより空気ファン(11)を駆動することにより、気化式冷却フィルタ(21)の収納部材(20)のフィルタ部空気取込み口(22)から外部の空気が取り込まれ、吸水性多孔質体(24)から構成される気化式冷却フィルタ(21)を通過することにより冷却された空気が、収納部材(20)のフィルタ部空気排出口(23)、本体収納部材(10)の空気取込み口(12)を経て、本体収納部材(10)の空気排出口(13)から送出される。
本発明の身体冷却装置は、使用前に気化式冷却フィルタに給水して用いる。気化式冷却フィルタへの給水は、気化式冷却フィルタを直接、または、気化式冷却フィルタの収納部材ごと水に浸す、流水にさらす、水を滴下するなどの方法で行うことができる。気化式冷却フィルタに過剰量の水が付着している場合には、軽く水切りを行うなどして余分な水を取り除くことにより、使用時の水漏れを防ぐことができる。
本発明の身体冷却装置において、気化式冷却フィルタを通過する空気の風量は、本発明の身体冷却装置に必要とされる上記気化量を確保し得る限り、特に限定されない。効率よく高い冷却効果を実現しながら、長時間の使用において必要以上に皮膚表面温度を低下させない観点から、気化式冷却フィルタを通過して身体に対して送出される際の身体冷却装置の空気排出口(最も身体側に位置する空気排出口)における風量は、好ましくは0.1~0.5m/分であり、より好ましくは0.2~0.4m/分である。上記風量は、身体冷却装置の空気排出口(身体冷却装置の身体側に気化式冷却フィルタが配置される場合には、該気化式冷却フィルタの空気排出口)の直下(空気排出口から1~3cm)において風速計により測定される風速に、前記空気排出口の断面積を乗じた値として算出することができる。
本発明の身体冷却装置は、気化式冷却フィルタを備えることにより、長時間冷却効果を持続することができ、体温の上昇を継続的に抑えることができる。このため、本発明の身体冷却装置は、特に、猛暑環境等の過酷な環境下での作業等における熱中症の予防を目的とした使用に好適である。本発明のウェアラブル身体冷却装置は、例えば、身体冷却用の繊維製品、プラスチック製ヘルメット等に着脱可能に取り付けて使用し得る。したがって、本発明は、本発明の身体冷却装置を備えた身体冷却用繊維製品を対象とする。
本発明の身体冷却用繊維製品の形態は、身体を冷却するために用いる繊維製品の形態であれば特に限定されるものではなく、例えば、種々の作業服、防護服、スポーツウェア、介護服、肌着等の衣服、手袋、ソックス、ストール、マフラー、帽子、頭巾等の身体を冷却するために着用し得る衣料の形態、ブランケット、布団、枕などの寝具等であってもよい。
本発明の身体冷却用繊維製品を構成する生地は、特に限定されるものではなく、用途や衣料の形態、使用時期、嗜好等に応じて、当該分野で一般的に用いられている公知の繊維から形成される生地を適宜選択して用いることができる。気化した汗が生地から蒸散しやすいことから、比較的、高い通気性を有する生地であることが好ましい。身体冷却用繊維製品の生地を構成する繊維としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、ビニロン、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、アクリル、アラミド、液晶性を有するポリマーなどの合成繊維や綿、亜麻、ウッドパルプ等のセルロース系繊維、キチン、キトサン、羊毛、絹などの天然繊維、アセテート、トリアセテート、プロミックスなどの半合成繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジックレーヨン、リヨセル、テンセルなどの再生繊維等が挙げられる。
本発明の身体冷却用繊維製品は、表生地のみからなってもよく、表生地と裏生地の二層構造からなってもよい。身体冷却用繊維製品が表生地と裏生地とから構成される場合、表生地と裏生地とは同じ種類の繊維からなる生地であってもよく、異なる繊維からなる生地であってもよいが、裏生地としては、着心地と吸水性の観点から、表生地よりも高い吸水性と通気性、高い引き裂き強度を有する生地であることが好ましい。
身体冷却用繊維製品において、本発明の身体冷却装置は、身体冷却用繊維製品を構成する生地に取付け孔を設け、該取付け孔に取り付けることができる。身体冷却装置の生地への取付けは、接着、縫製、熱溶着などにより生地の取付け孔に固着させてもよく、固定リング等の取付け部材を用いて取り外し可能に取り付けてもよい。
以下、本発明の身体冷却用繊維製品の実施態様を、図面に基づき例示する。
図4は、本発明の身体冷却用繊維製品の一実施態様である身体冷却用衣服の概略背面図である。図4に示す本発明の身体冷却用衣服(2)において、本発明の身体冷却装置(1)は、身体冷却用衣服(2)を構成する後見頃(30)に設けられた身体冷却装置(1)の取付け孔に装着される。身体冷却装置(1)は、空気取込み口側が身体冷却用衣服(2)の外側に位置し、空気排出口側が身体側に位置するよう装着される。図4に示す身体冷却用衣服(2)において、気化式冷却フィルタ(21)は身体冷却用衣服(2)の外側(すなわち、空気取込み口側)に備えられている。空気ファンと接続されるバッテリからモーターに電力を供給することにより空気ファンを駆動し、気化式冷却フィルタ(21)を介して取り込まれた空気が気化式冷却フィルタ(21)に含まれる水の気化熱を利用して冷却され、冷気が身体側に供給される。
身体冷却用繊維製品および身体冷却用衣料において、本発明の身体冷却装置を取り付ける位置やその数は特に限定されず、身体冷却用繊維製品および身体冷却用衣料の形態や構造、用途等に応じて、空気(冷気)の流れや作業性、着用感、意匠性等を考慮して適宜決定すればよい。例えば、高温環境下等において着用する作業着においては、図4に示すように腰部に2つの身体冷却装置を左右対象に配置してもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
下記実施例および比較例における各種物性および特性は、それぞれ、以下の方法に従い測定、算出した。
<多孔質体水分率>
吸水性多孔質体の水分率(質量%)は、JIS L 0105(2006)に準拠して以下の方法に従い算出した。
水分率を測定する多孔質体(繊維)を、20℃、65%RHの環境に24時間静置して標準状態の質量(W)を測定した。次に、20℃の乾燥条件で30分以上の間隔で測定した質量差が0.25%以下になるまで乾燥させることで絶乾状態の質量(W)を求め、下記式に従い水分率(質量%)を算出した。
水分率(質量%)=[(W-W)/W]×100
<多孔質体の見かけ密度>
多孔質体の見かけ密度は、JIS L 1913に規定の方法に準じて、目付(A)と厚み(B)の値から算出した。
多孔質体の見かけ密度(g/cm)=A(g/m)/B(mm)/1000
<多孔質体のバイレック式吸水量>
JIS L 1907「繊維製品の吸水性試験法」に準じて、600秒後の吸い上げ高さを測定した。
<フィルタの保水率>
吸水前のフィルタ質量(フィルタDRY質量)を測定後、フィルタを水中に1分間沈め、その後引き上げて、保水質量(フィルタWET質量)を測定し、以下の式に基づいて算出した。
保水率(質量%)=[(フィルタWET質量-フィルタDRY質量)/フィルタDRY質量]×100
<フィルタの充填率>
収納部材におけるフィルタの充填率(体積%)は、フィルタDRY体積(cm)および収納部材内容積(cm)を測定し、以下の式に基づいて算出した。
充填率(体積%)=フィルタDRY体積(cm)/収納部材内容積(cm)×100
<フィルタの通気度>
気化式冷却フィルタの収納部材にフィルタを充填した状態で、JIS L 1096「一般織物試験方法」に規定のフラジール型通気度測定機で圧力損失125Paの条件下で測定、算出した。
<フィルタの気化量>
身体冷却装置における気化量は、気化式冷却フィルタを水に1分間浸し、任意の重量になるまで自然乾燥で重量調整した後、35℃、相対湿度50%の高温恒温槽内に設置した直径12cmの羽根を含む定格電圧7V、定格電流2Aの電気空気ファンを有する送風装置の空気取込口の外側に取り付け可能な気化式フィルタの収納部材(収納部材内容積339cm、断面積113cm、空気ファンから収納部材の空気排出口までの距離1cm)に、気化式冷却フィルタを充填し、10分間送風した。送風終了後の気化式冷却フィルタの質量を測定し、気化量を算出した。
気化量(g/hr)=[送風前気化式フィルタ質量(g)-10分送風後気化式フィルタ質量(g)]×6
<風量>
実施例および比較例における風量(m/分)は、各実験例の気化式冷却フィルタを取り付けた状態の上記送風装置(空気ファン)において、風速82m/分(気化式冷却フィルタがない状態の空気ファン直下での風速)で送風した場合に該送風装置の空気排出口から3cmの地点で風速計により測定された値に、空気排出口の断面積を乗じて算出した。
1.実施例1
(1)身体冷却装置(身体冷却衣料)の作製および物性評価
(i)不織繊維成形体および気化式冷却フィルタ
芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がエチレン-ビニルアルコール共重合体(エチレン含有量44モル%、鹸化度98.4モル%)である芯鞘型複合ステープル繊維((株)クラレ製、「ソフィスタ」、繊度3.3dtex、繊維長51mm、芯鞘質量比=50/50)を用いて、目付500g/mのカードウェブを作製した。次いでこのカードウェブを0.4MPaの高温水蒸気で、カードウェブの厚み方向に向けて通過するように(垂直に)噴出して水蒸気処理を施し、厚み5mm、見かけ密度0.1g/cmの不織繊維成形体を作製した。該不織繊維成形体のバイレック式吸水量を上記方法に従い測定した。
得られた不織繊維成形体を1cm×1cm角の小片に切り分け、直径12cmの羽根を含む電動空気ファンを有する送風装置の空気取込み口の外側に取り付け可能な気化式冷却フィルタの収納部材(収納部材内容積339cm、断面積113cm)に、前記不織繊維成形体の小片を20g(体積24cm)充填した後、140gの水を吸収させ、160gの気化式冷却フィルタを得た。充填時の収納部材における気化式冷却フィルタの高さは約3cmであった。該気化式フィルタの保水率、通気度および気化量を上記方法に従い測定した。結果を表1に示す。
(ii)身体冷却装置の性能評価
吸水後の不織繊維成形体の小片を収容した気化式冷却フィルタの収納部材を、前記送風装置の空気取込み口の外側に取り付けた。35℃、相対湿度50%の恒温槽内に送風装置を置き、定格電圧7V、定格電流2Aの空気ファンを駆動して10分間送風を行った。気化式冷却フィルタの保水量の変化(送風前後)を測定し、気化量を求め、以下の式に基づいて気化潜熱を算出した。
気化潜熱(W)=[送風前気化式フィルタ質量(g)-10分送風後気化式フィルタ質量(g)]×水の蒸発潜熱(2257kJ/kg)/600
結果を表1に示す。
(2)着用試験
上記送風装置を腰部に2つ左右対称に取り付けた長袖作業服を用意した。一般的な肌着を着用した5名の被験者に、気化式冷却フィルタを取り付けた前記長袖作業服(冷却衣服)を着用させ、10分間の軽作業(パソコンによる文字入力)を行い、快適性と作業性を官能評価した。着用時の液漏れの有無および快適性と作業性を下記基準に従い評価した。結果を表1に示す。
〔快適性評価〕
○:被験者の4名以上が快適と感じた。
△:被験者の3名以上が快適と感じた。
×:被験者の3名以上が不快と感じた。
〔作業性評価〕
○:被験者の4名以上が作業しやすいと感じた。
△:被験者の3名以上が作業しやすいと感じた。
×:被験者の3名以上が作業しにくいと感じた。
2.実施例2~8、13および14並びに比較例1および2
表1に示す不織繊維成形体の充填量および保水量とした以外は、実施例1と同様の手順により身体冷却装置の性能試験および着用試験を行った。結果を表1に示す。
3.実施例9
目付750g/mのカードウェブを用いた以外は、実施例1と同様の手順により身体冷却装置の性能試験および着用試験を行った。結果を表1に示す。
4.実施例10
目付1000g/mのカードウェブを用い、不織繊維成形体の厚みを10mmにした以外は、実施例1と同様の手順により身体冷却装置の性能試験および着用試験を行った。結果を表1に示す。
5.実施例11
ビスコースレーヨン繊維(「ホープ」オーミケンシ社製、繊度3.3dtex)を用いて目付60g/mのカードウェブを作製した。次いでこのカードウェブを水流絡合にて厚み0.5mm、見かけ密度0.12g/cmの不織繊維成形体を作製した以外は、実施例1と同様の手順により身体冷却装置の性能試験および着用試験を行った。結果を表1に示す。
6.実施例12
ビスコースレーヨン繊維(「ホープ」オーミケンシ社製、繊度3.3dtex)を用いて目付60g/mのカードウェブを作製した。次いでこのカードウェブを高圧水流絡合(7MPa)にて厚み0.5mm、見かけ密度0.12g/cmの不織繊維成形体を作製し、得られた不織成形体を直径10cm(Φ100)の円状に打ち抜いた以外は、実施例1と同様の手順により身体冷却装置の性能試験および着用試験を行った。結果を表1に示す。
7.比較例3
不織繊維成形体を直径10cm(Φ100)の円状に打ち抜いた以外は、実施例1と同様の手順により身体冷却装置の性能試験および着用試験を行った。結果を表1に示す。
8.比較例4
送風を行わない以外は、実施例1の身体冷却装置を用いて、実施例1と同様の手順により身体冷却装置の性能試験および着用試験を行った。結果を表1に示す。
9.比較例5
気化式冷却フィルタを備えない以外は、表1に示す風速で送風を行い、実施例1と同様の手順により身体冷却装置の性能試験および着用試験を行った。
10.比較例6
ポリオレフィン繊維(芯がポリプロピレン、鞘がポリエチレンの芯鞘複合繊維、芯鞘質量比=50/50、繊度1.7dtex、繊維長51mm)を用いた以外は、実施例1と同様の手順により身体冷却装置の性能試験および着用試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007134706000001
本発明の身体冷却装置は、猛暑環境等の過酷な環境下での作業における熱中症の予防を目的とした使用に好適であり、特に、種々の作業服、防護服、スポーツウェア、介護服、ガードマン、シークレットサービスの制服、寝具、運転時のウエアなどの身体冷却衣料に好適である。
1:身体冷却装置
2:身体冷却用衣服
10:本体収納部材
11:空気ファン
12:空気取込み口
13:空気排出口
14:隔壁
15:係合部
16:モーター
17:固定リング
18:繊維生地
20:フィルタ収納部材
21:気化式冷却フィルタ
22:フィルタ部空気取込み口
23:フィルタ部空気排出口
24:吸水性多孔質体
30:後身頃
A:空気流入側
B:空気送出側

Claims (10)

  1. 空気ファンと、前記空気ファンに対して離隔して配置された気化式冷却フィルタとを備えてなり、前記空気ファンの空気流入側および送出側の少なくとも一方の、前記空気ファンを駆動した際に生じる空気の流れ方向に対して交差する方向の平面上に前記気化式冷却フィルタが配置され、
    前記気化式冷却フィルタの通気度が100~800cm /cm /秒であり、
    前記気化式冷却フィルタに保水した後、10分間、35℃、相対湿度50%において前記空気ファンにより送風した場合の気化式冷却フィルタの保水量の変化量により算出される気化量が15g/hr以上200g/hr以下である、ウェアラブル身体冷却装置。
  2. 前記気化式冷却フィルタが吸水性多孔質体から構成される、請求項1に記載のウェアラブル身体冷却装置。
  3. 温度20℃、相対湿度65%における、前記吸水性多孔質体の水分率が0.5~10質量%である、請求項に記載のウェアラブル身体冷却装置。
  4. 吸水性多孔質体の見かけ密度が0.08~0.3g/cmである、請求項またはに記載のウェアラブル身体冷却装置。
  5. 吸水性多孔質体のバイレック式吸水量が30mm以上130mm以下である、請求項のいずれかに記載のウェアラブル身体冷却装置。
  6. 吸水性多孔質体が不織繊維成形体である、請求項のいずれかに記載のウェアラブル身体冷却装置。
  7. 不織繊維成形体が、湿熱接着性樹脂から構成される鞘部と、非湿熱接着性樹脂から構成される芯部とを含んでなる芯鞘複合繊維の成形体である、請求項に記載のウェアラブル身体冷却装置。
  8. 湿熱接着性樹脂がエチレン-ビニルアルコール系共重合体樹脂である、請求項に記載のウェアラブル身体冷却装置。
  9. 請求項1~のいずれかに記載の身体冷却装置を備えてなる身体冷却用繊維製品。
  10. 身体冷却用繊維製品は身体冷却用衣料である、請求項に記載の身体冷却用繊維製品。
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