JP7132224B2 - 外傷性脳傷害のバイオマーカー - Google Patents

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Description

本発明は、外傷性脳傷害(TBI)を診断及び/又はモニターするための組成物、キット、系及び方法に関する。より詳細には、本発明は、miRNAバイオマーカーを用いるTBIの診断及びモニターに関する。
外傷性脳傷害(TBI)は、欧米諸国での45歳未満の死亡及び身体障害の主な原因である。その医療費負担及び社会的コストは上昇し続けることが予想され、世界保健機構は、2020年までに、TBIが全世界での身体障害の3番目に大きな原因となると見積もっている。
多数の研究にもかかわらず、TBIの重症度を評価しかつ回復を予測するための信頼性のあるバイオマーカーは見出されていない。これは、現在でも臨床実務での評価が困難な軽度TBI(mTBI)について特に言えることである。TBI患者は、初めに、グラスゴーコーマスケール(Glasgow Coma Score)(GCS)及び神経イメージング技術により評価されるが、これらは高価な機器を必要とし、現在の診断ツールは、脳傷害の実際の重症度を精密に規定及び定量化する能力に欠けており、つまり、それにより、重度TBIは容易に検出されるが、症例のうちの大多数(75~90%)を占めるmTBIは容易には検出されない。
mTBIの正確な診断は、繰り返されるmTBI、及び反復されたTBIの相乗的作用により深刻なダメージ及び死亡さえも引き起こされる、セカンドインパクト症候群(SIS)として知られる劇的な形態の脳傷害のリスクが高い、スポーツ選手、軍人及び小児などの患者では特に重要である。つまり、TBIの早期診断及びその重症度の評価は、患者の幸福のために、かつ最終的には患者の生命を救うために、非常に重要になる。
TBIバイオマーカーに対する必要性は、マスメディアでのスポーツ脳震盪への注目の高まりにより、顕著な推進力を得てきた。ここ数年、多数の研究が、競技場脇又はスポーツ外来での臨床的意思決定をサポートできるバイオマーカーに焦点を当てている。しかしながら、文献中で報告されるタンパク質バイオマーカーは、特異性若しくは感度を欠いているか、又は傷害後のしばらくの間は検出可能でない。これは、TBIの一形態である脳震盪後には、脳由来の化合物は非常に少量しか放出されず、かつ血液脳関門がほとんど閉鎖されたままであるという事実に起因する可能性がある。
マイクロRNA(miRNA)は、標的遺伝子の3'UTR中の部分的に相補的な部位との対形成を介して、mRNA分解、翻訳抑制、又はそれらの両方を引き起こす、約22ヌクレオチド長の非常に保存された非コードRNA分子の大きなクラスである。ヒトゲノムは、2000種類を超えるmiRNAをコードし、これらはすべての遺伝子のうちの約60%を標的とする可能性がある。しかしながら、miRNAの豊富さにもかかわらず、それらの生体分子機能及び病因への関与は完全には明らかになっていない。miRNAは、細胞周期、細胞代謝、アポトーシス及び免疫応答をはじめとする多数の生物学的プロセスでの中心的役割を担い、かつ癌及び神経変性疾患をはじめとする他の疾患状態の検出、特定及び分類のための可能性あるバイオマーカーとして、臨床研究での注目が高まってきている。
本発明はそれらの事柄を考慮して考案された。
本発明は、ヒト対象からの生物学的サンプル中の1種以上のmiRNA分子を検出することにより頭部への傷害を受けたヒト対象において軽度外傷性脳傷害(mTBI)を含む外傷性脳傷害(TBI)を診断、モニター及び処置することに関する方法及び検出系に関する。以下の開示の文脈で、生物学的サンプル中のmiRNA分子(1若しくは複数)のレベル又は量を参照する用語「レベル」及び「量」は、互換的に使用される。
本発明は、対象においてmTBIを診断及び/又はモニターする方法を提供し、該方法は対象から取得された唾液サンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定するステップを含み、該少なくとも1種のmiRNAはmiR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5p、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。実施形態において、少なくとも1種のmiRNAの上方調節レベルがmTBIを示す。実施形態において、少なくとも1種のmiRNAのレベルが所定の閾値を超える又は対照と比較して増大している場合に、対象がmTBIを有すると診断される。実施形態において、所定の閾値は、2-デルタデルタCT(2-ΔΔCT)法において2倍以上の倍率変化と同等である。実施形態において、少なくとも1種のmiRNはmiR-27b-3pである。実施形態において、少なくとも1種のmiRNAはlet-7i-5pである。実施形態において、少なくとも1種のmiRNAはmiR-142-3pである。実施形態において、少なくとも1種のmiRNAはmiR-107である。実施形態において、少なくとも1種のmiRNAはmiR-135b-5pである。
実施形態において、方法は、対象から取得された唾液サンプル中の少なくとも2種のmiRNAのレベルを決定するステップを含む。実施形態において、少なくとも2種のmiRNAは、miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107又はmiR-135b-5pから選択される。実施形態において、少なくとも2種のmiRNAの上方調節レベルはmTBIを示す。実施形態において、少なくとも2種のmiRNAのレベルが所定の閾値を超える又は対照と比較して増大している場合に、対象がmTBIを有すると診断される。実施形態において、所定の閾値は、2-デルタデルタCT(2-ΔΔCT)法において1.5倍以上の倍率変化と同等である。
実施形態において、唾液サンプルは傷害の24時間~15日後に取得される。実施形態において、唾液サンプルは傷害の24時間~7日後又は傷害の2~5日後に取得される。さらなる実施形態において、1を超える唾液サンプルを取得し得る。唾液サンプルは、対象のモニター又はmTBIのモニター又は対象の回復のモニターが可能となるように異なる時点で取得してもよい。
実施形態において、方法は、miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5pのmiRNAのそれぞれのレベルを決定するステップを含む。
方法は、let-7c-5p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、及びmiR-424-5p、miR-30a-5p、miR-107、miR-135b-5p、miR-199b-5p、miR-324-5p、又はmiR-652-3pから選択される1種以上の追加のmiRNAのレベルを決定するステップをさらに含んでもよい。
本発明はまた、mTBIの診断及び/又はモニターに使用するための検出センサー及び検出系を提供する。本発明はまた、miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107又はmiR-135b-5pの少なくとも1種に対して特異的なプローブを用いて官能化されている基板を含む、mTBIを診断及び/又はモニターするための検出系用センサー素子を提供する。実施形態において、プローブは少なくとも1種のmiRNAに結合可能な核酸を含む。実施形態において、プローブは、標的miRNAの配列の相補体である配列に対して少なくとも70%の同一性を有する核酸を含む。実施形態において、プローブは、配列番号25、26、35、39又は40の相補体である配列に対して少なくとも70%の同一性を有する核酸を含む。
本発明はまた、本明細書に記載のセンサー素子、及びプローブに対する標的miRNAの結合を検出することが可能である検出デバイスを備えた、mTBIを診断及び/又はモニターするための検出系を提供する。実施形態において、検出系は、標的miRNAが上方調節されているかどうかを決定するための手段をさらに含む。
本発明はまた、mTBIを有することが疑われる対象のための行動方針を決定する方法を提供し、該方法は、対象から取得された唾液サンプルを本明細書に記載の検出系に適用するステップ、及び少なくとも1種のmiRNAの上方調節レベルが検出された場合には、mTBIのための処置を施すステップを含む。
本発明はまた、mTBIが疑われる対象を処置する方法を提供し、該方法は、(i)miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAの上方調節レベルが対象から取得された唾液サンプルにおいて検出可能であるかどうかを決定するステップ、(ii)少なくとも1種のmiRNAの上方調節レベルが検出された場合に対象に対してmTBIのための処置を施すステップを含む。
3種類の異なる分類の外傷及びHVでのmiR-425-5p及びmiR-502発現を示す図である。qRT-PCR分析により検出された、10名のHV、10名のmTBI+EC(1日間)、10名のmTBI+EC(15日間)、10名のEC(1日間)、10名のEC(15日間)、10名のsTBI+EC(1日間)及び10名のsTBI+EC(15日間)患者での、miR-425-5p及びmiR-502発現。miR-425-5p発現は、mTBI+EC(1日間)で、HV(p<0.01)、mTBI+EC(15日間)(p<0.001)及びsTBI+EC(1日間)(p<0.01)と比較して、顕著に低下していることが見出された(図1A)。miR-502発現は、mTBI+EC(1日間)で、HV(p<0.05)、mTBI+EC(15日間)(p<0.01)及びsTBI+EC(1日間)(p<0.05)と比較して、顕著に低下していることが見出された(図1B)。 3種類の異なる分類の外傷及びHVでのmiR-21及びmiR-335発現を示す図である。qRT-PCR分析により検出された、10名のHV、10名のmTBI+EC(1日間)、10名のmTBI+EC(15日間)、10名のEC(1日間)、10名のEC(15日間)、10名のsTBI+EC(1日間)及び10名のsTBI+EC(15日間)患者でのmiR-21及びmiR-335発現。miR-21発現は、sTBI+EC(1日間及び15日間)で、HV(p<0.01)と比較して、有意にアップレギュレーションされていることが見出された(図2A)。miR-335発現は、sTBI+EC(1日間)で、HV(p<0.001)、EC(15日間)(p<0.001)及びmTBI+EC(1日間)(p<0.05)と比較して、顕著にアップレギュレーションされていることが見出された(図2B)。 3種類の異なる分類の外傷及びHVでのmiR-425-5p発現の時間経過を示す図である。qRT-PCR分析により検出された、30名のHV、30名のmTBI+EC、30名のEC、30名のsTBI+EC患者での、傷害からの様々な時点(T0、T4~12h、T48~72h、15日間)でのmiR-425-5p発現。miR-425-5p発現は、mTBI+EC(T0及びT4~12h)で、HV、sTBI+EC及びEC(p<0.05)と比較して、顕著に低下していることが見出された。p値は、テューキーの事後検定により決定された。*: HVと有意に異なる。 3種類の異なる分類の外傷及びHVでのmiR-502発現の時間経過を示す図である。qRT-PCR分析により検出された、30名のHV、30名のmTBI+EC、30名のEC、30名のsTBI+EC患者での、傷害からの様々な時点(T0、T4~12h、T48~72h、15日間)でのmiR-502発現。miR-502発現は、mTBI+EC(T0及びT4~12h)で、HV、sTBI+EC及びEC(p<0.05)と比較して、顕著に低下していることが見出された。p値は、テューキーの事後検定により決定された。*:HVと有意に異なる。 3種類の異なる分類の外傷及びHVでのmiR-21発現の時間経過を示す図である。qRT-PCR分析により検出された、30名のHV、30名のmTBI+EC、30名のEC、及び30名のsTBI+EC患者での、傷害からの様々な時点(T0、T4~12h、T48~72h、15日間)での、miR-21発現。miR-21発現は、sTBI+EC(T4~12h、T48~72h及び15日間)で、HV(p<0.01)と比較して、有意にアップレギュレーションされていることが見出された。p値は、テューキーの事後検定により決定された。*:HVと有意に異なる。 3種類の異なる分類の外傷及びHVでのmiR-335発現の時間経過を示す図である。qRT-PCR分析により検出された、30名のHV、30名のmTBI+EC、30名のEC、及び30名のsTBI+EC患者での、傷害からの様々な時点(T0、T4~12h、T48~72h、15日間)での、miR-335発現。miR-335発現は、sTBI+EC(T0、T4~12h、T48~72h及び15日間)で、HV及びmTBI+EC(p<0.001)と比較して、顕著にアップレギュレーションされていることが見出されたが、ECのみとの比較では顕著にアップレギュレーションされていなかった。p値は、テューキーの事後検定により決定された。*:HVと有意に異なる。 検証群において有意な上方調節(p<0.05)を示し、RT-PCRによって評価された5つのマイクロRNAの相対的発現のボックスプロットである。ノンパラメトリック検定(Mann-Whitney U検定)を用いて、2つの独立した群におけるマイクロRNAのレベルを比較した。 検証コホートにおいて同定されたバイオマーカーについての受信者動作特性(ROC)曲線及び対応する曲線下面積(AUC)統計を示す図である。
本発明は、対象での外傷性脳傷害(TBI)を診断又はモニターする方法を提供する。
本発明の第1の態様に従えば、対象由来のサンプル中での少なくとも1種のmiRNAの存在を検出し、かつ/又はそのレベルを決定するステップを含む、対象での外傷性脳傷害(TBI)を診断及び/又はモニターするための方法が提供される。
少なくとも1種のmiRNA(本明細書中では、「miR」とも称される)は、miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-335、miR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*、miR-671-3p、hsa-let-7c-5p、hsa-let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、miR-424-5p、miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199b-5p;miR-324-5p;miR-652-3p;miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3p及びmiR-629からなる群より選択することができる。これらのmiRNAは、本明細書中では、対象となるmiRNA又は標的miRNAと称される場合がある。
一部の実施形態では、少なくとも1種のmiRNAは、miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-335、hsa-miR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*、及びmiR-671-3pからなる群より選択される。これらのマイクロRNAは、すべてのTBI患者(軽度又は重度)で発現されるバイオマーカーであることが見出されている。
一部の実施形態では、少なくとも1種のmiRNAは、miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g及びmiR-335からなる群より選択される。
一部の実施形態では、少なくとも1種のmiRNAは、let-7c-5p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、及びmiR-424-5p;miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199b-5p;miR-324-5p;miR-652-3pからなる群より選択される。
一部の実施形態では、少なくとも1種のmiRNAはmiR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5pからなる群より選択される。
一部の実施形態では、少なくとも1種のmiRNAは、miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-194、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3p及びmiR-629からなる群より選択される。
疑義を避けるために、「少なくとも1種のmiRNAがmiRNAの群より選択される」とは、本明細書中で用いる場合、問題となる方法が、診断目的、予後診断目的、又は治療目的のいずれのために行なわれる場合であっても、列記されるmiRNAのうちのいずれか1種又は列記されるmiRNAのうちのいずれかの複数種類(例えば、列記されるmiRNAのうちの2種、3種、4種、又はそれ以上)を用いて行なうことができることを意味すると理解されるであろう。その結果、列記されるmiRNAのうちのいずれか1種以上は、明示的に排除される場合がある。例えば、少なくとも1種のmiRNAがmiR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g及びmiR-335からなる群より選択される場合、本方法は、miR-335を排除して、miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、及びmiR-let-7gのうちのいずれかの組み合わせを検出し、かつ/又はそのレベルを評価するステップを含むことができる。
例えば、本発明の一態様において、対象での外傷性脳傷害(TBI)を診断及び/又はモニターする方法が提供され、該方法は、対象由来のサンプル中の少なくとも2種のmiRNAのレベルを決定するステップを含み、該miRNAはmiR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5pからなる群より選択される。
本発明の一態様に従えば、対象由来のサンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定するステップを含む、対象での外傷性脳傷害(TBI)を診断及び/又はモニターする方法が提供され、このとき、miRNAは、miR-425-5p;miR-502;miR-21;及びmiR-335からなる群より選択される。
外傷性脳傷害は、外的な力が外傷性に脳を傷害する場合に生じる。例えば、重症度、傷害のタイプ及び予後に基づいて、TBIを分類するための種々のシステムがある。TBIを分類するために最も一般的に用いられるシステムは、グラスゴーコーマスケール(Glasgow Coma Scale)(GCS)であり、これは、刺激に対する、言語反応、運動反応及び開眼反応に基づいて、3~15のスケールに人物の意識レベルを等級分けする。一般的には、13以上のGCSスコアを有するTBIが軽度であると定義され、9~12が中等度であると定義され、8以下が重度であると定義される。別のシステムであるメイヨー分類システムは、決定的な中等度~重度TBI、推定軽度TBI、及びTBIの可能性を含む、3種類の主な分類を有する。各診断では複数の基準が用いられ、この基準には、意識消失、外傷後健忘、頭蓋骨骨折、並びに硬膜下血腫、脳挫傷、及び出血性挫傷をはじめとする神経放射線学的異常の徴候を含む。GCS又はメイヨーシステムを用いるTBIの分類は、当業者には公知であろう。
本明細書中で用いる場合、「軽度」、「中等度」及び「重度」TBIに対する言及は、GCSに従って行なわれる。「中等度~重度」TBIに対する本明細書中での言及は、GCSに従う中等度及び重度TBIの両方を包含する。
本明細書中で用いる場合、軽度TBI(mTBI)に対する言及は脳震盪に対する言及でもある。
本発明のバイオマーカーを用いるTBIの診断及び/又はモニターは、以下の状況をはじめとする様々な文脈での、臨床的意思決定及び治療レジメンを補助することが予測される:神経外科的専門技術、大型の外傷センター又は局所外傷ユニットを有する施設へと患者を搬送すべきか否かを決定するためのパラメディカルによる初期評価の一部として;CT脳スキャンの必要性をはじめとする、適切な処置を決定するために病院の救急部門で;選手を競技からはずすための意思決定及び選手を病院に運ぶ必要性の評価を補助するために、競技場脇で;脳震盪イベントを確認し、かつ競技に復帰することに関する意思決定を可能にするために、スポーツ外来で;レスキュー隊を派遣し、かつ被害者を避難させる必要性を決定するために、戦闘状況下で。つまり、本発明が特定の利益を提供する対象は、事故の被害者、スポーツ選手及び軍人を含む。
いずれの場合にも、特におそらくは対象が比較的高いTBIのリスクを有する場合(例えば、対象がプロスポーツ選手であるか又は軍隊に入隊している場合)には、サンプルは、いずれかの既知又は最近の外傷前の時点(例えば、スポーツキャリアの開始近く又は軍隊派遣前)に対象から取得することができ、かつ対象となるいずれかのmiRNAを、対象がTBIを被った可能性がある時点又はその後に、評価することができる。そのようなサンプルは、それにより、内部参照標準を提供することができる。
一部の実施形態では、対象はヒトである。
TBIは、軽度TBI(mTBI)、中等度TBI又は重度TBI(sTBI)であり得る。一部の実施形態では、TBIは、中等度~重度TBI(m-sTBI)である。
サンプル中のmiRNA又は各miRNAのレベルは、定量的又は半定量的に決定することができる。「定量的」とは、サンプル中のmiRNA若しくは各miRNAの絶対量又は濃度が決定されることであると理解されるであろう。サンプル中のmiRNA又は各miRNAの絶対量は続いて、所定の閾値(例えば、予測される正常レベルに関する公表された文献値)、健常対象から採取された対照サンプル中の同一若しくは参照miRNAの既知レベル、又は対象から採取されたサンプル中の参照miRNAの量と比較することができる。一部の実施形態では、対象は、miRNAのレベルが所定の閾値未満であるか、又は参照サンプル若しくは対照サンプルと比較して低下している場合、TBIを有すると診断される。他の実施形態では、対象は、miRNAのレベルが所定の閾値と比較して増大している場合に、TBIを有すると診断される。
「半定量的」とは、対象となるmiRNA又は各miRNAのレベルが、参照と比較して測定されることであると理解されるであろう。
参照は、不変miRNA、すなわち、健常対象とTBIを有する対象との間で実質的に変化しないまま保たれる発現レベルを有するmiRNAであり得る。対象は、対象となるmiRNA又は各miRNAのレベルが、不変miRNAのものと比較して増大又は低下している場合に、TBIに罹患していると診断することができる。好適な不変miRNAとしては、miR-331、miR-223*、miR-23a-3p及びmiR148b-3pが挙げられる。miR-23a-3p及びmiR148b-3pは、唾液中でのみ不変である。
一部の実施形態では、対象から取得されるサンプル中のmiRNA又は各miRNAのレベルは、対照サンプルでのレベル、参照レベル又は公開された値よりも、約0.01倍~約100倍、約0.05倍~約50倍、約0.1倍~約10倍、約0.5倍~約5倍、約1.0~約3倍、若しくは約1.5倍~約2.0倍、低いか又は高いことができる。
値を生成するためにデバイス又は方法が用いられる場合、本発明者らは、記載された値及び用いられるデバイス又は方法に固有のその値のいずれかの変動量を獲得するために、用語「約」を用いて値を条件付けする場合がある。値又は値の範囲が具体的に開示される場合、「約」は、記載される値又は範囲の±10%を意味することができる。例えば、約10分は、9~11分を意味することができる。
対象となるmiRNA又は各miRNAのレベルは、当業者に公知の方法を用いて決定することができる。一部の実施形態では、対象となるmiRNA又は各miRNAのレベルを決定するステップは、miRNAを増幅するステップを含む。一部の実施形態では、総miRNAは、標準的な技術を用いて、例えば、miRNeasy miniキット(Qiagen社)を用いて、サンプルからまず単離することができる。対象となるmiRNAの量を、続いて、決定することができる。一部の実施形態では、サンプル中の対象となるmiRNA又は各miRNAのレベルは、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を用いて決定される。例えば、定量的PCRを、対象となるmiRNA又は各miRNAのレベルの定量的決定に用いることができる。PCRはまた、サンプル中の対象となるmiRNA又は各miRNAのレベルを、参照(例えば、不変miRNA)のものと比較することにより、半定量的決定に用いることもできる。
miRNA検出及び/又は定量に好適な技術としては、当業者には公知であろうが、qPCR、miRNAアッセイ、次世代シーケンシング(NGS)、及びマルチmiRNAプロファイリングアッセイが挙げられる。
一部の実施形態では、対象となるmiRNA又は各miRNAのレベルは、例えば、miRNAに特異的なプローブ(例えば、標識プローブ)を用いて、in-situハイブリダイゼーションを用いて決定される。
miRNAのレベルは、傷害直後(すなわち、傷害後1時間未満)の対象から取得されたサンプル、及び/又は傷害の数時間又は数日後の1箇所以上の時点で取得されたサンプル中で決定することができる。つまり、miRNAレベルの変化は、TBIのモニターを可能にするために、経時的に検出することができる。miRNAレベルが経時的に変化する場合では、本明細書中に記載されるTBIをモニターするための方法が拡張されて、それに従って対象の治療レジメンを維持又は調整するステップを含むことができる。
具体的なmiRNA及びTBIの種類によっては、対象でのmiRNAのレベルが、経時的に著明に変化する場合がある。一部の実施形態では、したがって、正確な診断を可能にするために、傷害後、比較的すぐにmiRNAを測定することが有利であり得る。一部の実施形態では、miRNAのレベルは、傷害後、72時間以下、48時間以下、36時間以下、24時間以下、12時間以下、6時間以下、4時間以下、2時間以下又は1時間以下の対象から取得されたサンプル中で決定される。
一部のmiRNAのレベルは、経時的に実質的に安定であるので、傷害から数時間、数日間又は数週間後でさえも、診断を行なうことを可能にする。一部の実施形態では、miRNAのレベルは、傷害から最大で20、18、15、12、10、8、5又は2日間までに対象から取得されたサンプル中で決定される。
一部の実施形態では、miRNAのレベルは、傷害直後(例えば、T=0h)、傷害から4~12時間後、傷害から48~72時間後、又は傷害から15日間後に対象から取得されたサンプル中で決定される。
一部の実施形態では、miRNAのレベルは、傷害の少なくとも24時間後に対象から取得されたサンプル中で決定される。一部の実施形態では、miRNAのレベルは、傷害から15日後以内に対象から取得されたサンプル中で決定される。一部の実施形態では、miRNAのレベルは、傷害の24時間~15日後、又は傷害の24時間~10日後、又は傷害の24時間~7日後、又は傷害の48時間~5日後に、対象から取得されたサンプル中で決定される。
一部の実施形態では、TBIは、軽度TBI(mTBI)又は中等度~重度TBI(m-sTBI)であり、かつ、少なくとも1種のmiRNAが、miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-335、hsa-miR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*、及びmiR-671-3pからなる群より選択される。
一部の実施形態では、TBIは軽度TBI(mTBI)であり、かつmiRNAが、miR-425-5p及びmiR-502からなる群より選択される。対象は、miR-425-5p及び/若しくはmiR-502のレベルが所定の閾値未満であると決定されるか、又は参照と比較して低下している場合に、mTBIを有すると診断されることができる。
一部の実施形態では、所定の閾値未満であるか、若しくは参照と比較して低下しているmiR-425-5p及び/又はmiR-502のレベルは、傷害後48時間未満で取得されたサンプル中でレベルが決定される場合に、mTBIを診断するものである。
一部の実施形態では、TBIは中等度~重度TBI(m-sTBI)であり、かつ、miRNAが、miR-21及びmiR-335からなる群より選択される。miR-21及び/若しくはmiR-335のレベルが所定の閾値を超えていると決定されるか、又は参照と比較して増大している場合に、対象は、中等度~重度TBIを有すると診断されることができる。
一部の実施形態では、所定の閾値を超えるか、若しくは参照と比較して増大しているmiR-21及び/又はmiR-335のレベルは、傷害から最大15日間後までに取得されたサンプル中でレベルが測定される場合に、中等度~重度TBIを診断するものである。
一部の実施形態では、TBIは中等度~重度TBI(m-sTBI)であり、かつ、少なくとも1種のmiRNAが、miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-194、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3p及びmiR-629からなる群より選択される。
miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-194、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642及び/若しくはmiR-99aのレベルが所定の閾値を超えていると決定されるか、又は参照と比較して増大している場合に、対象は、m-sTBIを有すると診断されることができる。
miR-192、miR-429、miR-520D-3p及び/若しくはmiR-629のレベルが所定の閾値未満であると決定されるか、又は参照と比較して低下している場合に、対象は、m-sTBIを有すると診断されることができる。
miRNAは、TBIを診断するために、個別に用いることができる。例えば、スポーツ脳震盪では、miR-502又はmiR-425-5pを、外傷性脳傷害が生じていることを確認するために用いることができるであろう。
つまり、本発明のさらなる態様は、TBIの重症度を決定する方法であり、本方法のステップは、経時的に対象をモニターするために反復することができる。単一miRNAについての陽性結果(例えば、単一miRNAのレベルが、所定の閾値を超える/所定の閾値未満であると決定されるか、又は参照と比較して増大/低下している)は、TBIの重症度を決定するためには十分であることが理解されるであろう。例えば、miR-425-5pのレベルが所定の閾値未満であるか、又は参照と比較して低下している場合、TBIの重症度は軽度である(mTBI)と決定される。しかしながら、TBI重症度の評価を容易にするために、異なるmiRNAを組み合わせる(例えば、テストパネルで)ことが便利な場合がある。
一部の実施形態では、本方法は、サンプル中の複数の(例えば、2種類以上の)miRNAのレベルを決定するステップを含む。一部の実施形態では、2種類以上のmiRNAは、miR-425-5p;miR-502;miR-21;及びmiR-335からなる群より選択される。
一部の実施形態では、本方法は、以下のmiRNA:
(i) miR-425-5p及びmiR-502から選択される第1のmiRNA;及び
(ii) miR-21及びmiR-335から選択される第2のmiRNA
のレベルを決定するステップを含む。
miR-425-5p若しくはmiR-502のレベルが所定の閾値未満であると決定されるか、又は参照と比較して低下しているか、あるいはmiR-21若しくはmiR-335のレベルが所定の閾値を超えていると決定されるか、又は参照と比較して増大している場合に、対象は、TBIを有すると診断されることができる。
一部の実施形態では、TBIは軽度TBI(mTBI)であり、かつ、少なくとも1種のmiRNAが、let-7c-5p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miRmmiR-29a-3p、miR-29c-3p、miR-424-5p、miR-30a-5p、miR-107、miR-135b-5p、miR-199b-5p、miR-324-5p、及びmiR-652-3p、又はそれらの組み合わせからなる群より選択される。参照と比較して、マイクロRNAのレベルの変化倍率が、少なくとも0.5、少なくとも1.0、少なくとも1.5、少なくとも2.0、少なくとも2.5、少なくとも3.0、少なくとも3.5又は少なくとも4.0である場合に、対象は、mTBIを有すると診断されることができる。一部の実施形態では、マイクロRNAのレベルが参照と比較して増大している場合に、対象は、mTBIを有すると診断される。
一部の実施形態では、TBIはmTBI又は脳震盪であり、かつ、少なくとも1種のmiRNAは、miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5p、又はそれらの組み合わせからなる群より選択される。実施形態において、少なくとも1種のmiRNAの上方調節レベルの、所定の閾値を超えた増大又は対照と比較した増大は、mTBI又は脳震盪を示す。
本明細書中に記載されるmiRNAに関する配列及び登録番号が、表1に提供される:
Figure 0007132224000001
Figure 0007132224000002
Figure 0007132224000003
Figure 0007132224000004
簡便には、サンプルは、対象から取得されたいずれかの適切な体液又は組織サンプルであり得る。例えば、生物学的サンプルは、以下のサンプル:尿、唾液、全血、血漿、血清、喀痰、精液、糞便、鼻内スワブ、涙液、膣内スワブ、直腸スワブ、子宮頸部スメア、組織生検、及び尿道スワブからなる群のうちの少なくとも1種を含むことができる。一部の実施形態では、サンプルは、体液サンプルである。好適には、サンプルは、尿、唾液、血液及び喀痰などの、個体から容易に取得できるものである。一部の実施形態では、サンプルは、唾液、血液、血漿又は血清を含む。一部の実施形態では、サンプルを取得するプロセスは、本明細書中に記載される本発明の一部分を形成しないことが、理解されるであろう。
一部の実施形態では、サンプルは、血清を含むか又は血清から構成される。血清は、実用的な利点を有するだけでなく、PCR反応の潜在的な阻害物質であるヘパリンなどの抗凝固成分も含まない。血清は、血漿と比較して、溶血の影響も受けにくい可能性がある。
一部の実施形態では、サンプルは、唾液である。唾液は、専門家の訓練又は医療設備を用いずに、患者から容易に取得することができる(例えば、競技場脇で、又は野外で)。
唾液中の、mTBIを示すものであることが見出されているmiRNAとしては:hsa-let-7ca-5p、hsa-let-7i-5p、hsa-miR-1421-3p、hsa-miR-148a-3p、hsa-miR-15b-5p、hsa-miR-16-5p、hsa-miR-181a-5p、hsa-miR-20a-5p、hsa-miR-20b-5p、hsa-miR-221-3p、hsa-miR-24-3p、hsa-miR-27b-3p、hsa-miR-29a-3p、hsa-miR-29c-3p、hsa-miR-340-5p、hsa-miR-424-5p;miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199bが挙げられ、-5p;miR-324-5p;及びmiR-652-3pからなる群より選択される。
唾液中の、mTBIを示すものであることが見出されているmiRNAとしては:miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5pが挙げられる。
本発明は、対象での軽度外傷性脳傷害(mTBI)を診断及び/又はモニターする方法を提供し、該方法は、対象から取得された唾液サンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定するステップを含み、該少なくとも1種のmiRNAはmiR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5p又はその組み合わせからなる群より選択される。
場合により、少なくとも1種のmiRNAはmiR-27b-3pである。あるいは、少なくとも1種のmiRNAはlet-7i-5pである。好都合には、少なくとも1種のmiRNAはmiR-142-3pである。実施形態において、少なくとも1種のmiRNAはmiR-107である。他の実施形態において、少なくとも1種のmiRNAはmiR-135b-5pである。
実施形態において、miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAの唾液中の上方調節レベルは、mTBI又は脳震盪を示す。実施形態において、対象は、少なくとも1種のmiRNAのレベルが所定の閾値を超えるか又は対照と比較して増大している場合に、mTBIを有するとして診断される。
mTBIを示す上方調節レベルは、2-ΔΔCT法によって得られる2.0又はそれ以上の倍率変化と同等であり得る。実施形態において、mTBIを示す上方調節レベルは、miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAについて2-ΔΔCT法によって得られる2.0又はそれ以上の倍率変化と同等であり得る。
対象でのmTBIの診断及び/又はモニター方法は、対象から取得された唾液サンプルを、配列番号25、26、35、39又は40から選択される配列の相補体に少なくとも70%の同一性を有する少なくとも1種のmiRNA特異的オリゴヌクレオチドプローブと接触させることを含み得る。
方法はさらに、少なくとも1種のmiRNA特異的オリゴヌクレオチドプローブを定量すること、及び該発現レベルを参照miRNA又は健常対象から取得された若しくはそれ由来の対照発現レベルと比較することをさらに含み得る。対象と対照との間で、1.5倍又はそれ以上の差、例えば2.0倍又はそれ以上の差はmTBIを示す。
本発明の方法は、対象から取得された唾液サンプル中の少なくとも第2のmiRNAのレベルを決定することを含み得る。
本発明の方法は、対象から取得された唾液サンプル中の少なくとも2種のmiRNAのレベルを決定することを含み得る。実施形態において、少なくとも2種のmiRNAのうち最初のものは、miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5pからなる群より選択される。実施形態において、少なくとも2種のmiRNAは、miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5pからなる群より選択される。
場合により、少なくとも2種のmiRNAはlet-7i-5p及びmiR-142-3pである。
あるいは、少なくとも2種のmiRNAはlet-7i-5p及びmiR-27b-3pである。
好都合には、少なくとも2種のmiRNAはlet-7i-5p及びmiR-107である。
実施形態において、少なくとも2種のmiRNAはlet-7i-miR-135b-5pである。
さらなる実施形態において、少なくとも2種のmiRNAはmiR-142-3p及びmiR-27b-3pである。
場合により、少なくとも2種のmiRNAはmiR-142-3p及びmiR-107である。
あるいは、少なくとも2種のmiRNAはmiR-142-3p及びmiR-135b-5pである。
好都合には、少なくとも2種のmiRNAはmiR-27b-3p及びmiR-107である。
実施形態において、少なくとも2種のmiRNAはmiR27b-3p及びmiR-135b-5pである。
さらなる実施形態において、少なくとも2種のmiRNAはmiR-107及びmiR-135b-5pである。
実施形態において、方法は、miRNAであるmiR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5pのレベルを決定することを含む。
実施形態において、方法は、let-7c-5p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、 miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、及びmiR-424-5p、miR-30a-5p、miR-107、miR-135b-5p、miR-199b-5p、miR-324-5p及びmiR-652-3pからなる群より選択される1種以上の追加のmiRNAのレベルを決定することをさらに含む。
mTBIを示す2種以上のmiRNAの上方調節レベルは、2-ΔΔCT法によって得られる1.5若しくはそれ以上、又は2.0若しくはそれ以上の倍率変化と同等であり得る。
実施形態において、miRNAのレベルは、傷害の少なくとも24時間後に対象から取得された唾液サンプル中で決定される。一部の実施形態では、miRNAのレベルは、傷害から15日後以内に対象から取得された唾液サンプル中で決定される。一部の実施形態では、miRNAのレベルは、傷害の24時間~15日後、又は傷害の24時間~10日後、又は傷害の24時間~7日後、又は傷害の48時間~5日後に、対象から取得された唾液サンプル中で決定される。
miRNAのレベルは、傷害からの対象の回復を追跡するために用いることができる。つまり、本発明は、初期診断の代替として、又はそれに加えて、TBIからの対象の回復をモニターすることを包含する。
一部の実施形態では、本方法は、TBIをモニターするステップを含み、少なくとも1種のmiRNAのレベルは、傷害から少なくとも2日間後、少なくとも3日間後、少なくとも5日間後、少なくとも7日間後、少なくとも10日間後又は少なくとも14日間後に対象から取得されたサンプル中で決定される。一部の実施形態では、少なくとも1種のmiRNAのレベルは、傷害から15日間後に対象から取得されたサンプル中で決定される。一部の実施形態では、少なくとも1種のmiRNAのレベルは、傷害後の異なる時間間隔で取得された少なくとも2種のサンプル中で決定され、つまり、回復をモニターすることを可能にする。例えば、miRNAレベルは、傷害から7日間後及び14日間後、又は傷害から5日間後、10日間後及び15日間後に決定することができるであろう。正常値へのmiRNAレベルの復帰は、TBIからの対象の回復を示すものであり得る。
一部の実施形態では、対象は、miR-425-5p及び/若しくはmiR-502のレベルがもはや所定の閾値未満でないか、又はもはや参照と比較して低下していない場合に、mTBIから回復したと決定される。
一部の実施形態では、対象は、miR-21及び/若しくはmiR-335のレベルがもはや所定の閾値を超えていないか、又はもはや参照と比較して増大していない場合に、中等度~重度TBIから回復したと決定される。
TBIに罹患している対象の診断、特に軽度TBI又は中等度~重度TBIの診断は、適切な処置の決定を促進する場合がある。つまり、本発明は、外科医、臨床医、パラメディカルなどの医療従事者、及び非医療人(例えば、教師、スポーツコーチ、軍人)でさえも、TBIを有することが疑われる対象に対する適切な行動を決意することを可能にする試験を提供する。TBIを有すると決定された対象は、したがって、なされた診断の結果として、最も適切な処置を受けることができる。つまり、本発明の方法は、TBIを有すると診断された対象に対して適切な療法を受けさせるステップをさらに含むことができる。
TBIを有すると診断された対象は、例えば、CTスキャンにより、さらに評価することができる。一部の実施形態では、対象を病院に入院させる。一部の実施形態では、中等度~重度TBIが排除できる場合、対象は、評価のために病院に入院する必要がない場合がある。中等度~重度TBIを有すると診断された対象は、病院、又は神経外傷専門技術を有する専門センターに入院することができる。
病院環境外の、例えば、運動イベント中、戦闘中又は競技中の、TBI(特にmTBI)を有すると診断された対象は、競技又は戦闘から速やかに除外されることができる。続いて、対象に、競技又は戦闘への段階的な復帰を開始させることができる。
さらなる態様では、以下のステップ:
対象由来のサンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定するステップ;及び
該少なくとも1種のmiRNAのレベルに基づいて、TBIを軽減させるための療法を施すことが適切か否かを決定するステップ
を含む、TBIを軽減させるための療法を対象に施すことが適切か否かを決定するための方法が提供される。
対象に療法を施すステップが、具体的に明記されない限り、特許請求の範囲に記載される方法の一部分を形成しないことが、理解されるであろう。
一部の実施形態では、本方法は、適切な処置を対象に施すステップをさらに含むことができる。一部の実施形態では、処置は、TBIを軽減させるための療法を含むことができる。したがって、本発明は、以下のステップ:(a) 対象からサンプル(例えば、血液、血漿、血清、尿、又は唾液のサンプル)を取得するステップ;(b) 1種以上のmiRNA(本明細書中に記載されるものから選択される)を検出するステップ;miRNAのレベルが参照標準(本明細書中に記載される通り)とは異なる場合に、TBIを有するものと患者を診断するステップ;及びTBIに対する処置を施すステップを含む、対象でのTBIを診断及び処置する方法を特徴とする。
さらなる態様では、本発明は、対象由来のサンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定することにより、対象がTBIを有するか否かを特定するステップを含む、TBIに罹患していることが疑われる対象に対する適切な処置を決定する方法を提供する。
対象がTBIを有すると特定される場合、適切な処置は、以下の処置:例えば、さらなる検査(例えば、言語検査、認知検査、運動検査及び/又は視覚検査)、CT及び/又はMRIスキャンにより、対象をさらに評価すること;対象を活動(例えば、その最中にTBIが生じた活動)から除外すること;対象を、病院又は専門外来に収容すること;外科手術;及びTBIを軽減させるための療法を該対象に施すことのうちの1つ以上を含むことができる。
TBIを軽減させるための療法としては、神経保護薬、例えば、マンニトール及び高張食塩液などの脳腫脹を治療するための薬物、並びに/又は昇圧蘇生(hypertensive resuscitation)の回避及び鎮静剤の使用などの他の神経保護的手段が挙げられる。
一部の実施形態では、対象を、続いて、例えば、病院又は臨床環境で、その回復を追跡するためにモニターすることができる。
本発明のさらなる態様に従えば、以下のステップ:(a) 対象からサンプルを取得するステップ;及び(b) 標的miRNAに対して特異的なプローブと該サンプルを接触させることにより、該サンプル中の標的miRNAを検出し、かつ/又はそのレベルを決定するステップを含む、対象での標的miRNAを検出し、かつ/又はそのレベルを決定する方法が提供される。
サンプルは、上記で定義された通りの、対象から取得されたいずれかの適切な体液又は組織サンプルであり得る。一部の実施形態では、サンプルは、血液、血清、血漿、尿又は唾液である。
一部の実施形態では、本方法は、前記サンプル中の2種以上の標的miRNAのレベルを決定するステップを含むことができる。
本発明のさらなる態様に従えば、それを必要とする対象を処置する方法での使用のための、TBIを軽減させるための療法が提供され、このとき、該対象は、該対象由来のサンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定することにより、TBIを有すると特定されている。
標的miRNAのレベルを決定するステップは、プローブを用いて官能化(functionalized)された基板、例えば、プローブを備えたチップと、サンプルを接触させるステップを含むことができる。基板又はチップは、便利なことには、異なる標的miRNAに対してそれぞれ特異的である複数のプローブを含むことができる。
対象は、傷害、特に頭部傷害に罹患していることができる。対象は、TBIを有することが疑われている場合がある。対象は、mTBI又は脳震盪を有する疑いがあり得る。一部の実施形態では、サンプルは、傷害後、72時間以下、48時間以下、36時間以下、24時間以下、12時間以下、6時間以下、4時間以下、2時間以下又は1時間以下で取得される。一部の実施形態において、サンプルは、傷害の24時間以上後に取得される。さらなる実施形態において、サンプルは、傷害後、15日以下で対象から取得される。一部の実施形態において、サンプルは、傷害の24時間~15日後に、又は傷害の24時間~10日後に、又は傷害の24時間~7日後に、又は傷害の48時間~5日後に、対象から取得される。
一部の実施形態では、本方法は、対象を処置するステップをさらに含む。処置としては、以下の処置:例えば、さらなる検査(例えば、言語検査、認知検査、運動検査及び/又は視覚検査)、CT及び/又はMRIスキャンにより、対象をさらに評価すること;対象を活動(例えば、その最中にTBIが生じた活動)から除外すること;対象を、病院又は専門外来に収容すること;及びTBIを軽減させるための療法を対象に施すことのうちの1つ以上が挙げられる。一部の実施形態では、処置は、有効量の神経保護薬を投与することを含む。
つまり、またさらなる態様では、本発明は、以下のステップ:
対象由来のサンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定するステップ;及び
該少なくとも1種のmiRNAのレベルがmTBIを示すものである場合に、mTBIに対して適切な処置を施すステップ;又は
該少なくとも1種のmiRNAのレベルがm-sTBIを示すものである場合に、m-sTBIに対して適切な処置を施すステップ
を含む、TBIを処置する方法を提供する。
mTBI及びm-sTBIに対しては、異なる処置経路が用いられ得ることは、当業者により理解されるであろう。
またさらなる態様において、本発明は、mTBIが疑われる対象を処置する方法を提供し、該方法は、
(i)miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAの上方調節レベルが対象から取得された唾液サンプルにおいて検出可能であるかどうかを決定するステップ、
(ii)少なくとも1種のmiRNAの上方調節レベルが検出された場合に対象に対してmTBIのための処置を施すステップ
を含む。
mTBIを有する対象は以下の通り処置することができる:
-mTBIと診断された運動家(アスリート)は、典型的には、(Berlin Consensus Conference on Concussion及び個々のスポーツ当局、例えばRFUによって定義されているように)プレープロトコールへの段階的な復帰で開始されるだろう。これには、休息期間とそれに続く勤労及び接触暴露の段階的増加が含まれ得る。mTBIを有するアスリートは通常、医療監督のレベルと年齢に応じて、6日から23日の間で変動する期間にわたりプレーすることができない。逆に、mTBIが除外された場合、アスリートは制限を受けず、翌日には通常どおりトレーニングを行うことができる。
-入院前の設定で診断された場合、mTBIは患者が医療処置(例えば、入院又はプライマリケア)を受けるための適応となり得る。一方、mTBIが除外された場合、医学的レビューは示されない。
-mTBIを有する人は、24~48時間監視を受けずに放置してはいけない。また、回復するまでフォークリフトを運転若しくは操作し又は機械を開けたりしてはいけない。
-mTBIと診断された軍人は、作戦戦域(operational theatre)から除外され、休息する。一方、mTBIを除外することができれば、その人は活発な職務を継続することができる。
-NHSでは、mTBIを有する人は観察のために入院しているか、又はNICEが発行したガイダンスに従ってCTスキャンを受ける可能性があるが、mTBIを除外できれば、その患者は直ちに退院できる可能性がある。
-mTBIと診断された人は、通常、一定期間仕事又は勉強に戻らないように求められる。
-mTBIと診断された人は、軽度のTBIクリニック、又は神経内科クリニック、又は脳神経外科クリニックの紹介を受けうる。mTBIに対する典型的な介入は、教育、仕事、研究及び運転に関する助言、必要であれば医学的及び/又は心理的介入による頭痛又は不安又は気分障害又は心的外傷後ストレス障害などの典型的な後遺症の医学的管理、並びに示されている他のサービス、例えば神経心理学、神経前庭(neurovestibular)又は眼科学の紹介からなる。
-mTBIを有する患者は、英国脳神経外科医会(Society of British Neurological Surgeons)が発行したガイダンスに従って、心的外傷後の下垂体機能障害の遅延をモニターする必要があり得る。
医学法学的な文脈では、mTBIの診断は、放射線学的検査が通常は正常で症状が非特異的であるため、しばしば不明瞭で推測的であることが多い。mTBIを客観的に確認することで、損傷及びケアのニーズの判定に至ることがある。mTBIに対する適切な処置としては、以下の処置:対象を活動から除外すること;現場又は地域内での処置;泊りがけの入院を含まずに、病院で対象をさらに評価すること(典型的には、mTBI患者は、頭部傷害通知を得て迅速に退院する);又は観察期間(典型的には1~2日間)にわたる病院への入院が挙げられる。対象は、検査(例えば、言語検査、認知検査、運動検査及び/又は視覚検査)を用いてさらに評価することができる。CTスキャンは、一般的には、NICEガイドラインに従えば、頭蓋骨骨折の疑い、外傷後発作、局所神経障害、繰り返す嘔吐、当初の評価での13未満(小児に対しては14未満、又は1歳未満の乳幼児に対しては15未満)のGCSスコアをはじめとする、特定の徴候が存在する場合にのみ、必要とされる。
m-sTBIに対する適切な処置としては、以下の処置:MRI又はCTスキャン(特に、傷害から1時間以内);病院への入院(集中治療室への収容及び/又は専門外来若しくは神経外科施設を有する大規模外傷センターへの移送を含む場合がある);神経モニター;外科手術;神経保護薬(例えば、マンニトール及び高張食塩液などの脳腫脹を治療するための薬物)の投与、及び/又は昇圧蘇生の回避及び鎮静剤の使用などの他の神経保護的手段などの、TBIを軽減させるための療法を施すことが挙げられる。
つまり、本発明は、TBIを有する対象が、mTBI又はm-sTBIへと速やかに分類されることを可能にし、それにより、対象は最も適切な処置を受けることができるようになる。
本発明のさらなる態様に従えば、標的miRNAに対して特異的なプローブを用いて官能化された基板を含むセンサー素子を備えた、TBIを診断及び/又はモニターするための検出系が提供される。本検出系は、プローブに対する標的miRNAの結合を検出することが可能な検出デバイスをさらに備えることができる。
本発明のまたさらなる態様に従えば、標的miRNAに対して特異的なプローブを用いて官能化された基板を含む、TBIを診断及び/又はモニターするための検出系中での使用のためのセンサー素子が提供される。
センサー素子は、その上にサンプル(例えば、液体サンプル)を受け入れるためのサンプル添加ゾーンをさらに含むことができる。
プローブは、対象となるmiRNAに選択的に結合することが可能である。基板は、複数のプローブを用いて官能化されることができる。プローブは、すべて同一であり得、又は2種類以上の異なるプローブを提供することができる。例えば、一部の実施形態では、基板は、第1のmiRNAに対して特異的な第1のプローブ、及び第2のmiRNAに対して特異的な第2のプローブを用いて官能化することができる。第1及び第2のプローブは、例えば、センサー素子の異なる部分の上で、一緒にグループ化することができる。
本発明のさらなる態様では、標的miRNAに対して特異的なプローブを含む、対象での外傷性脳傷害(TBI)を診断及び/又はモニターする方法での使用のための組成物が提供される。本組成物は、列記されたmiRNAのうちのいずれか1種、又は列記されたmiRNAのうちのいずれかの複数種類(例えば、列記されたmiRNAのうちの2種、3種、4種、又はそれ以上)を含むことができる。
一部の実施形態では、標的miRNAは、miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-335、miR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*、miR-671-3p、hsa-let-7c-5p、hsa-let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199b-5p;miR-324-5p;miR-652-3p、miR-424-5p、miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3p及びmiR-629からなる群より選択される。
一部の実施形態では、標的miRNAは、miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g、miR-335、hsa-miR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*、及びmiR-671-3pからなる群より選択される。これらのマイクロRNAは、すべてのTBI患者(軽度又は重度)で発現されるバイオマーカーであることが見出されている。
一部の実施形態では、標的miRNAは、以下のmiRNA:miR-505、miR-203、miR-654-3p、miR-655、miR-184、miR-301b、miR-425-5p、miR-502、miR-21、miR-let-7g及びmiR-335からなる群より選択される。
一部の実施形態では、標的miRNAは、let-7c-5p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、及びmiR-424-5p;miR-30a-5p;miR-107;miR-135b-5p;miR-199b-5p;miR-324-5p;miR-652-3pからなる群より選択される。
一部の実施形態において、標的miRNAは、miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5pからなる群より選択される。一部の実施形態において、2種の標的miRNAが、miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5pからなる群より選択される。
一部の実施形態では、標的miRNAは、miR-10a、miR-132、miR-223、miR-143、miR-148b、miR-18a、miR-192、miR-429、miR-618、miR-95、miR-130a、miR-152、miR-194、miR-27b、miR-301、miR-326、miR-345、miR-361、miR-422a、miR-579、miR-642、miR-99a、miR-520D-3p及びmiR-629からなる群より選択される。
一部の実施形態では、標的miRNAは、以下のmiRNA:miR-425-5p、miR-502、miR-21及びmiR-335からなる群より選択される。
プローブは、タンパク質(例えば、抗体)又は核酸などの生物学的分子を含み得る。一部の実施形態では、プローブは、核酸を含む。核酸は、標的miRNAの全長配列の相補体である配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%同一である配列を含むことができる。一部の実施形態では、核酸は、標的miRNAの配列の相補体である配列に対して100%同一である配列を含む(すなわち、受容体が、標的miRNA配列の正確な相補体である核酸配列を含む)。
プローブは、当業者に公知のカップリング化学によるものなどの、いずれかの好適な手段により、基板の表面に連結させることができる。一部の実施形態では、各プローブは、リンカーを介して基板の表面に連結される。一部の実施形態では、プローブは、基板上にプローブを固定化するための、又は基板上に固定化されたリンカーにプローブを連結するための部分を含む。
あるいは、又はこれに加えて、プローブは、検出可能な標識を含むことができる。検出可能な標識は、例えば、放射活性、蛍光性、発光性、又は抗体ベースであり得る(例えば、慣用の四量体抗体又は検出可能なその断片を構成することができる)。
センサー素子の基板は、いずれかの好適な材料から形成することができる。一部の実施形態では、基板は、金属、プラスチック、ガラス、シリカ、シリコン、黒鉛、グラフェン、若しくはいずれかのそれらの組み合わせを含むか、又はそれから形成される。一部の実施形態では、基板は、複数の層を含む。例えば、基板は、炭化ケイ素若しくはシリカの層上にグラフェンの表面又は層を形成することにより作製することができる。グラフェン表面は、例えば、酸化グラフェン(GO)又はグラフェンアミン(graphene-amine)(GA)へと、化学的に修飾されていることができる。エピタキシャル成長及び昇華成長などの、グラフェン層を形成するための方法は、当業者に公知であろう。
慣用的には、核酸を含むか又は核酸から構成されるプローブは、アミドカップリング試薬(例えば、(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N,N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU))を用いて、リンカーを介してGO表面に連結することができる。核酸プローブを用いて官能化された表面を含むセンサー素子は、続いて、それに相補的なmiRNAを選択的に検出するために用いることができる。
好適なリンカーは、アニリン部分(又はその誘導体)、安息香酸部分(又はその誘導体)又はエテンジアミン部分(又はその誘導体)を含むことができる。アニリンリンカーは、グラフェン表面に(例えば、ジアゾニウム塩を用いて)ニトロベンゼン分子(又は誘導体)を連結させるステップ、及びニトロベンゼンをアニリンへと還元するステップにより、形成することができる。続いて、アニリンのアミン基を、プローブに連結するために用いることができる。同様に、ジアゾニウム塩(例えば、4-安息香酸ジアゾニウムテトラフルオロボレート)を、安息香酸又は安息香酸誘導体をグラフェン表面に連結させるために用いることができる。エタンジアミン部分を、カルボキシル化グラフェン又は酸化グラフェンに連結することができる。
センサー素子は、試験紙内に含まれることができる。試験紙は、使い捨てであり得る。
検出デバイスは、当業者に公知のいずれかの好適な手段により、例えば、電気インピーダンスの変化、水素イオン濃度、又はハイブリダイゼーションにより生じるコンホメーション変化を検出することにより、受容体への標的miRNAの結合を検出するために構成することができる。
検出デバイスは、ユーザーにデータを出力するユーザーインターフェースをさらに備えることができる。
一部の実施形態では、検出デバイスは、処置情報のデータベースを備える。デバイスは、対象となるmiRNA又は各miRNAのレベルに応じて、データベースから好適な処置オプションを特定することが可能であり得る。処置情報は、ユーザーインターフェースを介してユーザーに提供されることができる。
便利なことには、検出デバイスは、携帯可能、例えば、手持ち式であり得る。検出デバイスは、miRNAレベル及び対象に関する他の情報を格納するためのデータ格納ユニットを備えることができる。一部の実施形態では、デバイスは、他のデバイスに対してデータを通信するためのデータ通信手段を含む。例えば、デバイスは、WiFi、3G、4G、Bluetooth(登録商標)、又は他のモバイルアプリを介して、無線でデータを通信することができる。このことは、便利なことに、必要であれば、医療専門家が容易にデータにアクセスすることを可能にし得る。
つまり、本発明の検出デバイスは、手頃であり、携帯可能であり、非侵襲的にTBIを診断及びモニターするためのPOC(point of care)手段を提供することが予想される。デバイスは、救急隊員、軍隊、学校、スポーツクラブ及び医療専門家により用いられて、それにより、TBIを有することが疑われる患者の正確な評価及びトリアージを可能にすることができる。
本発明のさらなる態様は、対象でのmTBIの検出及び/又はモニターのための系である。
ある種の検出系は、標的miRNAと核酸プローブ、一般的にはオリゴヌクレオチドプローブとの間の相補性に基づく。したがって、本発明は、miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107又はmiR-135b-5pのうち少なくとも1種に結合することが可能なオリゴヌクレオチドで官能化された基板を含む、対象でのmTBIの検出及び/又はモニターのための検出系を包含する。オリゴヌクレオチドは、miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107又はmiR-135b-5pのうち少なくとも1種の少なくとも一部分に相補的な配列を有してもよいし、あるいはオリゴヌクレオチドは、配列番号25、26、35、39又は40の少なくとも一部分に対して相補的な配列を有してもよい。相補性又は塩基対合領域は、7若しくは8又はそれ以上のヌクレオチド長であり得る。実施形態において、相補性又は塩基対合領域は、9、10、12、15又はそれ以上のヌクレオチド長であるか、あるいは相補性又は塩基対合領域はmiRNAの全長であってもよい。オリゴヌクレオチドで官能化された基板はビーズ又はナノ粒子であり得る。検出系は、結合した核酸プローブ-miRNAを検出可能なシグナルに変換可能な成分をさらに有してもよい。
別のタイプの検出系はRT-PCTに基づく。したがって、本発明は、miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107又はmiR-135b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAのcDNA相補体の増幅のために設計されたプライマー対を含む、対象でのmTBIの検出及び/又はモニターのための検出系を包含する。
さらなる態様では、本方法での使用のためのキットが提供される。キットは、対象となるmiRNAに選択的に結合することが可能であるプローブ(例えば、抗体などのタンパク質、又は核酸)を少なくとも含むことができる。一部の実施形態では、キットは、複数のプローブを含むアレイを含む。一部の実施形態では、少なくとも1種のプローブは、PCRを行なうためのプライマーである。キットは、使用説明書、例えば、TBIの診断及び/又はモニターでの使用のための取扱説明書をさらに含むことができる。キットは、増幅プライマー及び酵素(例えば、DNAポリメラーゼ、miRNAからcDNAへの変換のための逆転写酵素)などの、好適なバッファー及び試薬をさらに含むことができる。
本発明のいずれかの態様と関連して本明細書中に行なわれる記述は、適切な場合、本発明のいずれかの他の態様に等しく適用できることが理解されるであろう。
本発明は、例えば以下の実施形態を包含する。
[実施形態1]対象において軽度外傷性脳傷害(mTBI)を診断及び/又はモニターする方法であって、対象から取得された唾液サンプル中の少なくとも1種のmiRNAのレベルを決定するステップを含み、該少なくとも1種のmiRNAがmiR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5p、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、上記方法。
[実施形態2]前記少なくとも1種のmiRNAの上方調節レベルがmTBIを示す、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]前記少なくとも1種のmiRNAのレベルが所定の閾値を超える又は対照と比較して増大している場合に、対象がmTBIを有すると診断される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態4]前記所定の閾値が、2-デルタデルタCT(2-ΔΔCT)法において2倍以上の倍率変化と同等である、実施形態3に記載の方法。
[実施形態5]前記少なくとも1種のmiRNAがmiR-27b-3pである、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
[実施形態6]前記少なくとも1種のmiRNAがlet-7i-5pである、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
[実施形態7]前記少なくとも1種のmiRNAがmiR-142-3pである、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
[実施形態8]前記少なくとも1種のmiRNAがmiR-107である、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
[実施形態9]前記少なくとも1種のmiRNAがmiR-135b-5pである、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
[実施形態10]前記対象から取得された唾液サンプル中の少なくとも2種のmiRNAのレベルを決定するステップを含む、実施形態1~9のいずれかに記載の方法。
[実施形態11]前記少なくとも2種のmiRNAが、miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107又はmiR-135b-5pから選択される、実施形態10に記載の方法。
[実施形態12]前記少なくとも2種のmiRNAの上方調節レベルがmTBIを示す、実施形態10又は11に記載の方法。
[実施形態13]前記少なくとも2種のmiRNAのレベルが所定の閾値を超える又は対照と比較して増大している場合に、対象がmTBIを有すると診断される、実施形態10又は11に記載の方法。
[実施形態14]前記所定の閾値が、2-デルタデルタCT(2-ΔΔCT)法において1.5倍以上の倍率変化と同等である、実施形態13に記載の方法。
[実施形態15]前記唾液サンプルが傷害の24時間~15日後に取得される、実施形態1~14のいずれかに記載の方法。
[実施形態16]前記唾液サンプルが傷害の24時間~7日後に取得される、実施形態15に記載の方法。
[実施形態17]前記唾液サンプルが傷害の2~5日後に取得される、実施形態16に記載の方法。
[実施形態18]miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5pのmiRNAのレベルを決定するステップを含む、実施形態1~17のいずれかに記載の方法。
[実施形態19]let-7c-5p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、 miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、及びmiR-424-5p、miR-30a-5p、miR-107、miR-135b-5p、miR-199b-5p、miR-324-5p、又はmiR-652-3pから選択される1種以上の追加のmiRNAのレベルを決定するステップをさらに含む、実施形態1~18のいずれかに記載の方法。
[実施形態20]miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107又はmiR-135b-5pの少なくとも1種に対して特異的なプローブを用いて官能化されている基板を含む、mTBIを診断及び/又はモニターするための検出系用センサー素子。
[実施形態21]前記プローブが少なくとも1種のmiRNAに結合可能な核酸を含む、実施形態20に記載のセンサー素子。
[実施形態22]前記プローブが、標的miRNAの配列の相補体である配列に対して少なくとも70%の同一性を有する核酸を含む、実施形態20又は21に記載のセンサー素子。
[実施形態23]前記プローブが、配列番号25、26、35、39又は40の相補体である配列に対して少なくとも70%の同一性を有する核酸を含む、実施形態20又は21に記載のセンサー素子。
[実施形態24]以下の構成要素:
・実施形態20~23のいずれかに記載のセンサー素子;及び
・前記プローブに対する標的miRNAの結合を検出することが可能である検出デバイスを備えた、mTBIを診断及び/又はモニターするための検出系。
[実施形態25]前記標的miRNAが上方調節されているかどうかを決定するための手段をさらに含む、実施形態24に記載の検出系。
[実施形態26]mTBIを有することが疑われる対象のための行動方針を決定する方法であって、対象から取得された唾液サンプルを実施形態24又は25に記載の検出系に適用するステップ、及び少なくとも1種のmiRNAの上方調節レベルが検出された場合には、mTBIのための処置を施すステップを含む、上記方法。
[実施形態27]mTBIが疑われる対象を処置する方法であって、
(i)miR-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAの上方調節レベルが対象から取得された唾液サンプルにおいて検出可能であるかどうかを決定するステップ、
(ii)少なくとも1種のmiRNAの上方調節レベルが検出された場合に対象に対してmTBIのための処置を施すステップ
を含む、上記方法。
本発明の実施形態を、ここで、例として、かつ添付の図面を参照して、説明する。
miRNAが、一定範囲の様々な病的状態での有望なバイオマーカーであることが分かってきたので、本発明者らは、TBIでのそれらの役割を探ろうと試みた。
実施例1
材料及び方法
患者及びサンプル採取
研究への参加者は、バーミンガムのクイーン・エリザベス病院(UK)の外科的再建・微生物学研究センター(Surgical Reconstruction and Microbiology Research Centre(SRMRC))から、外傷後脳バイオマーカー(ゴールデンアワー研究)研究(Ethics Ref. 13/WA/0399)の一部分として募集された。
まず、本発明者らは、軽度TBIと重度TBIとを鑑別し、かつ15日間後のmTBIの回復を予測することができる特異的候補バイオマーカーを選択する目的で、5名の頭蓋外傷害(extra-cranial injury)(EC)を有するmTBI患者、5名のsTBI+EC傷害患者及び健常ボランティア(HV)で、傷害から1日間及び15日間での、754種類のmiRNAのスクリーニングを行なった。この情報に基づいて(表2)、次に、以下の4種類の異なる分類に分けられる40名の個体の患者の拡大コホートでの研究の結果を確認することが可能であった:HV(n=10)、EC(n=10)、mTBI+EC(n=10)、sTBI+EC(n=10)。健常ボランティアは、同意して、RECOS研究に参加した。EC傷害患者は、放射線で確認された骨折を有し、頭部外傷なし、感染症なし、神経学的障害又は精神科障害の病歴なし、及びアルコール又は薬物依存なしであった。ECを有する軽度TBIには、非穿通性頭部外傷及びグラスゴーコーマスケール(GCS)スコア>13を有する患者が含められた。ECを有する重度TBIには、GCSスコア8以下の患者が含められた。すべての患者は、HVに対して、性別及び年齢を適合させた。
サンプル処理
末梢血サンプルは、各患者で、傷害から1日間及び15日間で取得された。血液サンプルは、採血後2時間以内に血清単離のために処理された。全血を、室温で30分間静置し、続いて4℃で10分間、3000rpmで遠心分離した。血清をアリコートに分け、分析まで-80℃で保存した。
RNA単離、逆転写及びTaqMan Low Densityアレイ(TLDA)によるmiRNAのプロフィール作成
初期スクリーニング(発見セット)を、5名のmTBI+EC患者及び5名のsTBI+EC患者に対して行ない、これを2つの異なる時点で(傷害から1日間及び15日間)、HVと比較した。これらの患者の血清を用いて、754種類のmiRNAのトランスクリプトームのプロフィールを作成した。血清サンプルを、2000rpmで10分間遠心分離してペレットにし、循環細胞又は残渣を取り出した。miRNAを、Qiagen miRNeasy miniキット(Qiagen社、GmbH、Hilden、Germany)を血清及び血漿からの小分子RNAの精製のためのQiagenの補足プロトコールに従って用いることにより、400μLの血清サンプルから抽出し、30μL体積のRNase不含水中に最終的に溶出させた。得られたRNAの濃度及び純度は、ND-1000 UV-Vis分光光度計(NanoDrop)を用いて決定した。20ngの血清RNAを、製造業者の取扱説明書に従って、レトロ転写(retrotranscribed)及び予備増幅した。予備増幅産物を、TLDAにロードした(TaqMan Human MicroRNAアレイv3.0 A及びB(Applied Biosystems LifeTechnologiesTM))。TLDAでのPCRは、7900HT Fast RealTime PCRシステム(Applied Biosystem、LifeTechnologiesTM)を用いて行なった。
データ解析
正確なmiRNAプロフィールを得るために、本発明者らは、包括的中央値標準化法(global median normalization method)を用いた。マイクロアレイ分析と同様に、各サンプル由来のCt値を、アレイの中央値Ctに対して標準化した。さらに、各アレイのCt中央値及び平均並びに各miRNAのCt間でのピアソン補正を計算することにより、本発明者らは、TLDAの中央値及び平均に近似した発現プロフィールを示した2種類のmiRNA、すなわち、miR-331及びmiR-223*を特定した。これらのmiRNAは、2種類の異なる方法:DataAssistv.3software(AppliedBiosystem Life TechnologiesTM)及びgeNormアルゴリズムを適用することにより、TLDAでは最も安定なものに入ることも確認された。したがって、miR-331及びmiR-223*が、単一TaqManアッセイによる検証のための参照遺伝子として用いられた。発現変化倍率は、2-ΔΔCT法により算出された。示差的に発現されるmiRNA(DE miRNA)を、Multi実験ビューワーv4.8.1により、ΔCt間の対応のない二項分類検定(two-class unpaired test)を適用し、かつ100順列に基づくp値を用いて、マイクロアレイ分析の有意性(Significance of Microarrays Analysis(SAM))により特定し;補完エンジン:K-最近傍(10近傍);誤発見率<0.15を、多重比較のための補正として用いた。本発明者らは、すべての内因性対照を用いることによるのと一致して、DE miRNAのみが信頼性が高いと認めた。
単一TaqManアッセイ
軽度TBIと重度TBIとを鑑別し、かつ軽度TBIの回復をモニターする目的で、10種類の示差的に発現されるmiRNAを、考えられる候補バイオマーカーとしてアレイから選択した。これらの候補を用いて、単一TaqManアッセイ(AppliedBiosystems、Life TechnologiesTM)により、2種類の異なる時点(傷害から1日間及び15日間)での3種類の異なる分類(mTBI+EC、sTBI+EC及びECのみ)に分けられる30名の患者(検証セット)及び10名の対照(HV)の拡大コホートでのデータを検証した。上記の通りに、サンプルを抽出及びレトロ転写し、Bio-Rad iQ5 Real-time PCR Detectionシステム(Bio-Rad社、CA、USA)でRT-qPCR分析を行なった。発現変化倍率は、2-ΔΔCT法により算出した。
統計解析
データを、正規分布に関してチェックし、パラメトリック検定を行なうために変換した。各時点での群間及び経時的な群内での比較を、一元配置分散分析及びテューキーの事後検定により、変換されたデータに対して行なった。受信者動作特性分析を用いて、曲線下面積(AUC)として表わした、mTBI又はsTBIのいずれかの診断での各バイオマーカーの感度及び特異度を算出した。すべての解析は、SPSS v.20(IBM社)を用いて行なった。p値が0.05未満である場合に差異が統計学的に有意であると見なされた。
結果
TaqMan Low Densityアレイ(TLDA)による発現プロフィール
TLDAの754種類のスクリーニング可能なmiRNAから、本発明者らは、10種類の循環型miRNA(1日間)及び13種類(15日間)をmTBI+ECで、19種類(1日間)及び22種類(15日間)をsTBI+ECで、示差的に発現されていると特定した(表2)。このリストから、hsa-miR-126*、miR-193a-5p、miR-144*、miR-190、miR-194、miR-365、miR-590-3p、miR-624、miR-625*及びmiR-671-3pは、それらが患者のうちの大多数で発現されていたため、軽度又は重度外傷のみに関する好適な候補バイオマーカーではないので、さらなる解析からは除外された。しかしながら、上記のマイクロRNAは、いずれの重症度のTBIでも特定することができ、したがって、有用なTBIバイオマーカーである。一方で、miR-184、miR-301b、miR-502及びmiR-505は、mTBI+EC(1日間)で特有にかつ示差的に発現され、mTBIの初期候補バイオマーカーとして選択された。加えて、mTBI+EC後15日間で示差的に発現されるmiR-203、miR-425-5p、miR-654-3p及びmiR-655は、mTBIの回復を追跡することができる候補バイオマーカーとして選択された。
最後に、sTBI+ECでの両方の時点で定常的に発現される2種類のmiRNAである、miR-21及びmiR-335が、さらなる研究のために選択された。
Figure 0007132224000005
mTBIの候補バイオマーカーに関する単一TaqManアッセイ
これらの知見を検証するために、本発明者らは、続いて、単一TaqManアッセイを用いて、2つの選択された時点(傷害から1日間及び15日間)での、3種類の別個の独立した群(10名のmTBI+EC、10名のsTBI+EC、10名のEC)での選択されたmiRNAの発現を調べた。結果を、10名のHVと比較した。変化倍率は、miR-331及びmiR-223*を参照遺伝子として用いて、2-ΔΔCT法により算出した。
両方の時点でのmTBIの候補バイオマーカー(miR-184、miR-301b、miR-502、miR-505、miR-203、miR-425-5p、miR-654-3p及びmiR-655)の中では、2種類が興味深い結果を示し、かつHVと比較して3種類の異なる分類で有意かつ示差的に発現した。特に、miR-425-5p及びmiR-502は、似通った傾向を示した(図1)。それらは両方とも、HV(p<0.001)、EC(p<0.001)及びsTBI+EC(p<0.001)とそれぞれ比較して、傷害から1日間で、mTBI+ECで有意にダウンレギュレーションされていた(平均0.387±0.201及び0.314±0.146)。軽度傷害から15日間では、miR425-5p及びmiR-502は、正常レベルに戻った(0.886±0.310及び1.157±0.258)。miR-425-5p及びmiR-502の発現はまた、傷害から1日間及び15日間のECサンプルではHVと類似することも見出され、このことは、これらの2種類のバイオマーカーが、脳傷害患者のみで示差的に発現されることを示唆する。さらに、それらのうちのいずれも、両方の時点で、HVと比較して、sTBI+ECでは有意差を示さなかった。したがって、miR-425-5p及びmiR-502は、外傷から15日間でのmTBIの初期診断及びモニターのための最も有望な候補バイオマーカーであると見なすことができるであろう。これらのバイオマーカーについてのAUCを、表3に示す。
sTBIの候補バイオマーカーに関する単一TaqManアッセイ
それらの両方が、初期スクリーニングでのsTBI+ECの両方の時点でアップレギュレーションされていたことが明らかになったので、miR-21及びmiR-335を、sTBIの考えられるバイオマーカーとして分析した。これらは、第2の患者のデータセットでも同様に、強力な候補であることが示された(図2)。miR-21は、ECを有するsTBIでの両方の時点で、HV(p、0.001)、EC(p<0.001)及びmTBI(p<0.001)に対して、有意にアップレギュレーションされた(7.106±4.192及び4.012±1.577)。HVと比較して、残余の分類では有意差が見出されなかった。miR-335は、sTBI+ECで、かつ両方の時点でのアップレギュレーションを示した(それぞれ、16.824±14.195及び12.324±8.931)。1日目には、これらの群は対照(p=0.001)及びmTBI+EC(p=0.031)とは有意に異なったが、ECとは有意に異ならなかった。興味深いことに、EC患者での有意なアップレギュレーションは、1日目では見られたが(7.951±4.870)、傷害から15日間では見られなかった(1.260±0.531)。この理由のために、15日目では、miR335は、HV(p=0.002)、EC(p=0.007)及びmTBI+EC(p=0.001)に対して、sTBI+EC群で有意に高かった。miR-335は、HVと比較して、両方の時点で、mTBI+ECではいかなる有意差も示さなかった。これらのバイオマーカーについてのAUCもまた、表3に示す。
Figure 0007132224000006
考察
本研究では、miRNAレベルの変化が、TBIの診断、及びその重症度の評価に適用できるか否かを調べた。4種類のmiRNAが、TBIで示差的に発現されるものと特定された:miR-425-5p、miR 502、miR-21及びmiR-335。
miR-425-5pは、HVと比較して、mTBI+ECでの1日目で有意な結果を示し、同様の結果が、すべての他の分類で得られた。軽度傷害からの最初の24時間以内でのそのダウンレギュレーション及び15日間後での正常レベルへの復帰により、miR-425-5pは、軽度外傷の好適な候補バイオマーカーとなる。
miR-502もまた、mTBI+ECで示差的に発現されることが見出された。このmiRNAの傾向は、 miR-425-5pと非常に似通っていた。このmiRNAは、脳傷害患者に対する特異性を示し、かつ、軽度傷害から15日間後に正常値に戻るので、回復を追跡するためにも用いることができるであろう。
sTBI後には、2種類のmiRNA(miR-21、miR-335)が、1日間及び15日間の両方で発現されることが着目され、つまり、sTBIに関する考えられるバイオマーカーとして選択された。miR-21及びmiR-335は、sTBI+ECでは、対照と比較した場合に、両方の時点で有意にアップレギュレーションされた。したがって、過剰発現は、アレイの結果を確認し、かつsTBIのバイオマーカーとしてのこれらの分子の可能性を示した。
miRNAの選択されたパネルは、正確にTBIを診断する能力を有し、かつ、その重症度に従った患者の階層化を可能にし、したがって、最も適切な処置の提供を可能にする。
実施例2
患者及びサンプル採取
研究の参加者は、バーミンガムのクイーン・エリザベス病院(UK)の外科的再建・微生物学研究センター(Surgical Reconstruction and Microbiology Research Centre(SRMRC))から、SIR(リハビリテーションを通した傷害からのステロイド及び免疫;Steroids and Immunity from injury through to Rehabilitation)研究(Ethics Ref. 11/SW/0177)、ReCoS(スポーツでの反復される脳震盪;REpetitive COncussion in Sport)研究(Ethics Ref. 11-0429AP28)及びゴールデンアワー研究(Ethics Ref. 13/WA/0399)の一部分として募集された。書面によるインフォームドコンセントを参加者から、又は法的に有効な委任状(家族又は研究に直接関与しない専門家)を、研究へと組み入れる前に受領した。
第2のサンプルのデータセットは、4種類の異なる分類:HV(n=30)、EC(n=30)、mTBI+EC(n=30)、sTBI+EC(n=30)に分けられた合計120名の個体由来の血清サンプルを用い、各患者で、異なる時点(T0~1h、T4~12h、T48~72h、15日間)で血液を採取した。健常なボランティアは、同意して、ReCoS研究に参加した。EC傷害患者は、放射線で確認された整形外科的骨折を有し、頭部外傷なし、感染症なし、神経学的障害又は精神科障害の病歴なし、及びアルコール又は薬物依存なしであった。ECを有する軽度TBIには、非穿通性頭部外傷及びグラスゴーコーマスケール(GCS)スコア≧13を有する患者が含められた。ECを有する重度TBIには、GCS≦8の患者が含められた。
サンプル処理
血液サンプルは、採血後2時間以内に血清単離のために処理された。全血を、室温で約30分間静置し、続いて4℃で10分間、3000rpmで遠心分離した。血清をアリコートに分け、分析まで-80℃で保存した。
RNA単離、データ分析、アッセイ及び統計学的解析は、実施例1に記載された通りに行なった。
結果
mTBIの候補バイオマーカーに関する単一TaqManアッセイ
実施例1での知見を検証するために、3種類の別個の独立した群(30名のmTBI+EC、30名のsTBI+EC、30名のEC)での選択されたmiRNAの発現を、種々の時点(傷害からT0、T4~12h、T48~72h及び15日間)で、単一TaqManアッセイを用いて測定した。結果を、10名のHVと比較した。変化倍率は、miR-331及びmiR-223*を参照として用いて、2-ΔΔCT法により算出した。
両方の時点でのmTBIの候補バイオマーカー(miR-184、miR-502、miR-505、miR-301b、miR-203、miR-425-5p、miR-654-3p及びmiR-655)の中では、2種類のみが興味深い結果を示し、かつHVと比較して3種類の異なる分類で有意かつ示差的に発現された。具体的には、miR-425-5p及びmiR-502は、似通った傾向を示した(図3)。これらは、両方ともmTBI+ECでダウンレギュレーションされており、HV又はEC及びsTBI+EC(p<0.05)と比較して、miR-425-5pは、それぞれT0~1h(p=0.01845)、及びT4~12h(p=0.01962)で、及びmiR-502は、HVと比較してT0~1h及びT4~12hで(それぞれ、p=0.02538及びp=0.03718)、又はEC及びsTBI+EC(p<0.01)と比較してダウンレギュレーションされた。軽度傷害の48時間後には、miR425-5p及びmiR-502は、正常レベルに戻った。miR-425-5p及びmiR-502の発現はまた、EC群ではHVと同等のレベルで見出され、このことは、これらの2種類のバイオマーカーが、脳傷害患者のみでダウンレギュレーションされることを示唆した。さらに、これらのうちのいずれも、すべての時点でHVと比較してsTBI+ECでの有意なダウンレギュレーションを示さなかった。したがって、miR-425-5p及びmiR-502は、mTBIの初期診断及びモニターのための最も有望な候補バイオマーカーであると見なすことができるであろう。最も重要な時点でのこれらのバイオマーカーについてのAUCは、表4に示される。
sTBIの候補バイオマーカーに関する単一TaqManアッセイ
miR-21及びmiR-335は、それらの両方が、初期スクリーニングでのsTBI+ECの両方の時点でアップレギュレーションされたことが明らかになったので、sTBIの考えられるバイオマーカーとして分析された。これらは、第2の患者のデータセットでも、強力な候補であることが示された(図4)。miR-21は、HV、EC及びmTBI+ECに対して、傷害から4時間後のすべての時点で、ECを有するsTBIで有意にアップレギュレーションされた(p=0.00306(T4~12h)、p=0.00844(T48~72h)及びp=0.00077(15日間))。残余の分類では、HVと比較して有意差は見られなかった。miR-335は、HVと比較して、sTBI+ECではすべての時点でアップレギュレーションを示し(p=0.00109(T0~1h)、p=0.00284(T4~12h)、p=0.00012(T48~72h)及びp=0.01284(15日間))、mTBI+ECでアップレギュレーションを示したが、ECと比較して有意なアップレギュレーションは見出されなかった。これらのバイオマーカーについてのAUCもまた、表4に示される。
Figure 0007132224000007
考察
本研究では、miRNAレベルの変化が、TBIの診断及びその重症度の評価に適用できるという以前の知見を検証した。本研究は、以下の4種類のmiRNAがTBIで示差的に発現されることを確認した:miR-425-5p、miR 502、miR-21及びmiR-335。
miR-425-5pは、HVと比較して、mTBI+ECで、T0及びT4~12hでの有意な結果を示し、同様の結果が、すべての他の分類で得られた。そのダウンレギュレーションは、T48~72h後に正常レベルに戻り、miR-425-5pが軽度外傷の好適な候補バイオマーカーであることを確認する。
miR-502もまた、mTBI+ECで示差的に発現されることが確認された。このmiRNAの傾向は、miR-425-5pと非常に似通っていた。このmiRNAは、脳傷害患者に対する特異性を示し、かつ、軽度傷害からT48~72h後には正常値に戻るので、回復を追跡するためにも用いることができるであろう。
sTBI後に、2種類のmiRNA(miR-21、miR-335)が、分析されたすべての時点で発現されることが着目され、つまり、sTBIに関する考えられるバイオマーカーとして確認された。miR-21及びmiR-335は、sTBI+ECでは、対照と比較した場合に、有意にアップレギュレーションされた。したがって、過剰発現は、sTBIのバイオマーカーとしてのこれらの分子の可能性を確認した。
実施例3
唾液サンプルを、脳震盪を起こしたプロスポーツ選手(アスリート)から、傷害から2~3日後に採取し、唾液中に存在するマイクロRNAを分析した。アスリートは、臨床的にmTBIを有すると診断された。
材料及び方法
マイクロRNAは、nCounter技術(nanoString Technologies(登録商標))を用いて分析され、この技術は、1回のハイブリダイゼーション反応で、最大で数百種類の固有の転写産物を検出及び計数するために、分子「バーコード」及び顕微鏡イメージングを用いる。各カラーコード化バーコードは、対象となるマイクロRNAに対応する単一の標的特異的プローブに連結されている。
分析は、以下のステップを含む製造業者のプロトコールに従って行なった:
ハイブリダイゼーション:本技術は、溶液中でハイブリダイズする、1つのマイクロRNA当たり2種類の約20塩基のプローブを利用する。レポータープローブはシグナルを保持し、捕捉プローブは、複合体がデータ収集のために固定化されることを可能にする。
精製及び固定化:ハイブリダイゼーション後、過剰なプローブを除去し、プローブ/標的複合体が、アライメントされ、nCounterカートリッジ中に固定化される。
データ収集:サンプルカートリッジは、データ収集のために、デジタルアナライザー装置に配置される。カートリッジの表面上のカラーコードが計数され、各標的分子について作表される。
結果
以下の表4は、健常ボランティアと比較して、脳震盪を起こしたアスリートで有意かつ示差的に発現されていることが見出されたマイクロRNAのリストである。本表は、対照群と比較した、患者でのマイクロRNAの発現の変化倍率を示す。変化倍率は、miR-23a-3p及びmiR-148b-3pを参照遺伝子として用いて算出した。健常ボランティアと比較して、脳震盪を起こしたアスリートで示差的に発現される。本表は、対照群と比較した、患者でのマイクロRNAの発現の変化倍率を示す。変化倍率は、miR-23a-3p及びmiR-148b-3pを参照遺伝子として用いて算出した。
Figure 0007132224000008
考察
本研究は、唾液中に存在するマイクロRNAが、脳震盪/mTBIの指標であることを示す。唾液は血液よりも容易に取得されるので、このことは重要であり、つまり、唾液中マイクロRNAの検出が、特に競技場脇での、TBIを診断するための迅速かつ簡便な手段を提供する。
実施例4
材料及び方法
研究承認
研究参加者は、ReCoS(The REpetitive COncussion in Sport)研究(倫理参照番号11-0429AP28)の一環として、英国バーミンガムのクイーンエリザベス病院にある外科的再建・微生物学研究センター(Surgical Reconstruction and Microbiology Research Centre:SRMRC)を通じて募集された。研究に含める前に、参加者から書面によるインフォームドコンセントを得た。
合計20名の対象(ディスカバリ群)からの唾液サンプルを分析した。特に、10名の脳震盪を起こしたアスリート及び10名の脳震盪を起こしていないアスリートの唾液サンプルを使用してタンパク質をスクリーニングし、6名の脳震盪を起こしたアスリート及び6名の脳震盪を起こしていないアスリートをマイクロRNA分析に使用した。参加している強化医療チームにより認定された脳震盪を起こした選手の唾液を脳震盪の48~72時間後に、関連するスポーツのための現在のプロトコールに従って採取した。これらのデータから、我々は、アルファ=0.05及び検出力=0.9でより大きな患者コホートでの検証に必要なサンプルサイズを計算した。必要なサンプルサイズは、ディスカバリ群で特定された最も変動のあるmiRNAに基づいて29名の対象であった。
第2のサンプルセット(検証群)を、合計22名の脳震盪を起こした選手及び10名の脳震盪を起こしていない選手から取得した。脳震盪の2~5日後にサンプルを採取した。
サンプル処理
氷上に保った50mlの滅菌プラスチック製万能容器チューブに、30分以内に5mlの唾液を集めた。次にサンプルを4℃で15分間、2600×gで遠心した。次いで、唾液をアリコートに分け、各mlの唾液に、miRNAの分析のためにRNase阻害剤(500ユニット/mL)を加えた。
分析までサンプルを-80℃に保管した。
RNA単離
血清又は血漿からのRNA(小型RNAを含む)の精製のためのQiagen補足プロトコルに従って、Qiagen miRNeasy Mini Kit(Qiagen, GmbH, Hilden,ドイツ)を使用することによって400μlの唾液から総RNAを単離した。最後に、RNAを200μlのRNAse不含水中に溶出し、続いて20μgのグリコーゲン、0.1容量の3M酢酸ナトリウム及び2.5容量の氷冷100%エタノールを添加することによって沈殿させた。-80℃で一晩インキュベートした後、RNAを遠心分離し、氷冷75%エタノール中で2回洗浄し、7μlのRNAse不含水に再懸濁した。RNAをNanodropにより定量した。
NanoString技術による循環miRNAプロファイリング
nCounter FLEX(Prep Station and Digital Analyzer(調製ステーション及びデジタルアナライザー))(NanoString Technologies)においてnCounter Human v3 miRNA発現アッセイキット(NanoString Technologies)を製造業者の指示に従って使用することによって、唾液からのmiRNAの発現プロファイルを、NanoString技術によって実施した。プロファイリングは、6名の脳震盪を起こしたアスリートと6名の脳震盪を起こしていないアスリートについて行った。3μl(約150ng)の総RNAをサンプル調製に使用した。データ解析は、nSolver 2.6ソフトウェアによって行った。内因性対照として使用されるmiRNAは、グローバル中央値正規化(GMN)法によって選択した。我々は、各レーンのカウント平均と各miRNAのカウントとの間のピアソン相関を計算し、発現がカートリッジのカウント平均に近いmiRNAを同定した(miR-23a-3p、miR-29b-3p、miR-148b-3p)。統計的解析は、100個の順列に基づくp値を使用して、有意性マイクロアレイ分析(SAM)(http://www.tm4.org)により行った。代入エンジン:K最近傍(10人)。誤発見率(FDR)< 0.05。
単一TaqManアッセイ
アレイから脳震盪の潜在的なバイオマーカー候補として21の示差的に発現されたmiRNAを選択した。これらの候補を使用して、22名の脳震盪を起こしたアスリートと10名の脳震盪を起こしていないアスリート(検証群)の拡大コホートでデータを検証した。傷害から2~5日後に唾液を採取し、単一TaqManアッセイ(AppliedBiosystems, Life Technologies(商標))によって分析した。サンプルを上記のように抽出し、逆転写し(AppliedBiosystems, Life Technologies(商標))、RT-qPCR分析をBio-Rad iQ5リアルタイムPCR検出系(Bio-Rad, CA, USA)で行った。参照遺伝子としてmiR-23a-3p及びmiR-148b-3pを使用することにより、2-ΔΔCT法によって発現倍率変化を計算した。
統計解析
ノンパラメトリック検定(Mann-Whitney U検定)を用いて、2つの独立した群におけるmiRNAのレベルを比較した。0.05未満のp値が有意であると認められた。
さらに、受信者動作特性(ROC)分析を利用して、曲線下面積(AUC)として表される、脳震盪の診断における各バイオマーカーの感度及び特異性を計算した。すべての分析はSPSS v.22(IBM)で実施した。
結果
Nanostringプロファイリング
脳震盪を起こした及び脳震盪を起こしていないアスリートの唾液中でnCounter NanoStringにより分析した800のマイクロRNAのうち、2つの集団において示差的に発現されたものとして21のmiRNAを選択した:hsa-let-7c-5p、hsa-let-7i-5p、hsa-miR-15b-5p、hsa-miR-16-5p、hsa-miR-20a-5p+ hsa-miR-20b-5p、hsa-miR-24-3p、hsa-miR-27b-3p、hsa-miR-29a-3p、hsa-miR-29c-3p、hsa-miR-30a-5p、hsa-miR-107、hsa-miR-135b-5p、hsa-miR-142-3p、hsa-miR-148a-3p、hsa-miR-181a-5p、hsa-miR-199b-5p、hsa-miR-221-3p、hsa-miR-324-5p、hsa-miR-424-5p、hsa-miR-652-3p。結果は、上述したmiRNAの全てについて有意な上方調節を示した。
単一TaqManアッセイ
これらの知見を検証するために、続いて、22名の脳震盪を起こしたアスリート及び10名の脳震盪を起こしていないアスリートから構成される別個のかつ独立した群において21の選択したmiRNAの発現を試験した。単一TaqManアッセイを使用することにより傷害の2~5日後に唾液を採取した。miR-23a-3p及びmiR-148b-3pを参照マーカーとして使用して、2-ΔΔCT法(2-デルタデルタCT法)により倍率変化を計算した。
脳震盪のためのこれらの候補バイオマーカーのうち、5個のバイオマーカーは検証群で有意に上方調節された。具体的には、miR-27b-3p(p=0.02)、let-7i-5p(p=0.001)、miR-142-3p(p=0.008)、miR-107(p=0.03)、miR-135b-5p(p=0.02)は、Nanostring分析によって得られた結果を確証した(図5)。これらの結果は表6にも示しており、これは対照群が0.6~1.4の間の倍率変化を有することを示す。これより上の倍率変化は、脳震盪の指標と見なされる。脳震盪を起こしたアスリートについて見られた中央値倍率変化は、同定された5個のmiRNAの各々について約2.5の倍率変化である。これらの同定された5つのバイオマーカーのいずれについても2-ΔΔCT法によって計算された2.0又はそれ以上の倍率変化値は、脳震盪の診断を与えるであろう。
Figure 0007132224000009
これらのバイオマーカーについての相対発現及びAUCのボックスプロット(それぞれ0.755、0.845、0.791、0.732及び0.755)を図6及び表7に示す。
Figure 0007132224000010
考察
この研究では、頭部傷害及び脳震盪(mTBI)の関連でバイオマーカーの検査のための潜在的に新規な液体である唾液を調べた。
脳震盪を起こした集団の唾液においてのみ5個のmiRNAが有意に上方調節されることが見出された。miRNA-27b-3p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-107及びmiR-135b-5pのそれぞれが、脳震盪を起こしたアスリートにおいて有意に上方調節された。これらの5個のバイオマーカーのそれぞれは、特に傷害の2~5日後において、脳震盪を起こしたアスリートと脳震盪を起こしていないアスリートとを区別する能力を有している。

Claims (16)

  1. 対象において軽度外傷性脳傷害(mTBI)を診断するために唾液サンプル中の少なくとも1種の標的miRNAの量を決定する方法であって、
    (a)対象から取得された唾液サンプルを準備するステップ、
    (b)前記唾液サンプルを、miR-27b-3p、let-7i-5pmiR-107及びmiR-135b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAに結合可能な核酸を含むプローブと接触させるステップ、
    (c)前記唾液サンプル中の少なくとも1種の標的miRNAの量を決定するステップであって、該少なくとも1種の標的miRNAが
    i)miR-107、
    ii)miR-135b-5p、又は
    iii)まとめてmiR-27b-3p、let-7i-5pmiR-107及びmiR-135b-5p
    を含む、前記ステップ
    を含み、少なくとも1種の標的miRNAの量が所定の閾値と比較して又は健常対象から採取された対照唾液サンプル中の少なくとも1種の標的miRNAの量と比較して増大している場合に、対象がmTBIを有すると同定され、該所定の閾値は、2-デルタデルタCT(2-ΔΔCT)法において参照miRNAの量に対する1.5倍以上の倍率変化と同等である、上記方法。
  2. 前記少なくとも1種の標的miRNAがmiR-107である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記少なくとも1種の標的miRNAがmiR-135b-5pである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記唾液サンプルが、傷害の24時間~15日に取得されたサンプルである、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記唾液サンプルが、傷害の24時間~7日後に取得されたサンプルである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記唾液サンプルが、傷害の2~5日後に取得されたサンプルである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  7. 傷害の後の1以上の追加の時点で対象から取得された1以上の追加の唾液サンプルを準備すること、各追加のサンプルについて前記接触ステップ及び決定ステッを反復することをさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記1以上の追加の唾液サンプルが、傷害から2日後、3日後、5日後、7日後、10日後、14日後、又は15日後に取得されたサンプルである、請求項に記載の方法。
  9. 前記少なくとも1種の標的miRNAの量の決定ステップが、PCRに基づくアッセイを用いて行われる、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記所定の閾値が、2-デルタデルタCT(2-ΔΔCT)法において参照miRNAの量に対する2倍以上の倍率変化と同等である、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記参照miRNAが、miR-331、miR-223 * 、miR-23a-3p、及びmiR148b-3pから選択される少なくとも1つのmiRNAを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記唾液サンプル中の少なくとも2種の標的miRNAの量を決定するステップを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記少なくとも2種の標的miRNAが、miR-27b-3p、let-7i-5pmiR-107又はmiR-135b-5pから選択される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記少なくとも1種の標的miRNAが、miR-27b-3p、let-7i-5pmiR-107及びmiR-135b-5pをまとめて含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. let-7c-5p、let-7i-5p、miR-142-3p、miR-148a-3p、miR-15b-5p、miR-16-5p、miR-181a-5p、miR-20a-5p、miR-20b-5p、miR-221-3p、 miR-24-3p、miR-27b-3p、miR-29a-3p、miR-29c-3p、miR-424-5p、miR-30a-5p、miR-107、miR-135b-5p、miR-199b-5p、miR-324-5p、及びmiR-652-3pから選択される1種以上の追加のmiRNAの量を決定するステップをさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 対象における軽度外傷性脳傷害(mTBI)の診断方法において使用するための、miR-27b-3p、let-7i-5pmiR-107及びmiR-135b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAに結合可能な核酸を含むプローブを含むキットであって、前記方法が、
    (a)対象から取得された唾液サンプルを準備するステップ、
    (b)前記唾液サンプルを、miR-27b-3p、let-7i-5pmiR-107及びmiR-135b-5pからなる群より選択される少なくとも1種のmiRNAに結合可能な核酸を含むプローブと接触させるステップ、
    (c)前記唾液サンプル中の少なくとも1種の標的miRNAの量を決定するステップであって、該少なくとも1種の標的miRNAが
    i)miR-107、
    ii)miR-135b-5p、又は
    iii)まとめてmiR-27b-3p、let-7i-5pmiR-107及びmiR-135b-5p
    を含む、前記ステップ、
    (d)少なくとも1種の標的miRNAの量が所定の閾値と比較して又は健常対象から採取された対照唾液サンプル中の少なくとも1種の標的miRNAの量と比較して増大している場合に、対象がmTBIを有すると同定するステップ
    を含むものであり、該所定の閾値は、2-デルタデルタCT(2-ΔΔCT)法において参照miRNAの量に対する1.5倍以上の倍率変化と同等である、上記キット。
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