JP7131416B2 - 変異型デカルボニラーゼ遺伝子、当該変異型デカルボニラーゼ遺伝子を有する組換え微生物及びアルカンの製造方法 - Google Patents

変異型デカルボニラーゼ遺伝子、当該変異型デカルボニラーゼ遺伝子を有する組換え微生物及びアルカンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アミノ酸置換変異を有するデカルボニラーゼ変異体をコードする変異型デカルボニラーゼ遺伝子、当該変異型デカルボニラーゼ遺伝子を有する組換え微生物及びアルカンの製造方法に関する。
アルカンは、石油に含まれており分留によって精製され、様々な用途に利用される。また、アルカンは、化学工業における原料物質として広く利用されるのみならず、石油から得られるディーゼル燃料の主成分でもある。近年、藍藻由来のアシルACPレダクターゼ遺伝子及びデカルボニラーゼ遺伝子を大腸菌で共発現させ、軽油成分であるアルカンを発酵生産する技術が開発されている(特許文献1)。
また、アルカン合成のキイ酵素であるデカルボニラーゼは活性にフェレドキシンとフェレドキシンレダクターゼが必要なことが報告されており(非特許文献1及び特許文献2)、サッカロマイセス・セルビシエでアルカンを合成する際にはデカルボニラーゼ遺伝子だけでなく、大腸菌由来のフェレドキシン遺伝子とフェレドキシンレダクターゼ遺伝子の共発現が必要なことが報告されている(非特許文献2)。しかし、非特許文献2によれば、アルカン生産量は3μg/g-dry cell程度である。このときサッカロマイセス・セルビシエはフルグロースのO.D.600nm=20程度であり、乾燥菌体量は4g-drycell/L程度である。このことから計算すると、非特許文献2に記載された方法では、生産量は12μg/L程度と低いことが理解できる。
ところで、デカルボニラーゼは、反応時に発生する過酸化水素により活性が低下又は失活することが指摘されている(非特許文献3)。非特許文献3によれば、デカルボニラーゼをカタラーゼとの融合タンパク質とした場合には、過酸化水素に起因する活性低下又は失活を改善できると記載されている。また、デカルボニラーゼに関しては、結晶構造解析が行われ、酵素反応機構や反応に関与するアミノ酸残基の情報が明らかになっている(非特許文献4及び5)。
US Patent No. 8,846,371 WO 2013/024527
Science, Vol. 329, p. 559-562, (2010) Biotechnology Bioengineering, Vol. 112, No. 6, p. 1275-1279, (2015) Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 110, 8 (2013) 3191-3196 Biochemical and Biophysical Research Communications 477 (2016) 395-400 Protein Cell 6, 1 (2015) 55-67
しかしながら、従来のデカルボニラーゼは酵素活性が十分ではないといった問題があった。そこで、本発明は、上述したような実情に鑑み、デカルボニラーゼの酵素活性を向上させる置換変異を特定し、当該置換変異を有するデカルボニラーゼをコードする変異型デカルボニラーゼ遺伝子、当該変異型デカルボニラーゼ遺伝子を有する組換え微生物及びアルカンの製造方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、デカルボニラーゼの特定のアミノ酸残基を置換することによって酵素活性が大幅に向上することを見いだし本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
(1)配列番号2に示すアミノ酸配列における
90番目のグリシンに相当するアミノ酸の疎水性度の高いアミノ酸への置換変異、
107番目のシステインに相当するアミノ酸の疎水性度の高いアミノ酸への置換変異、
163番目のセリンに相当するアミノ酸の疎水性度の高いアミノ酸への置換変異、及び
171番目のアスパラギンに相当するアミノ酸の疎水性度の高いアミノ酸への置換変異
からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換変異を有するデカルボニラーゼをコードする変異型デカルボニラーゼ遺伝子。
(2)上記疎水性度の高いアミノ酸は、フェニルアラニン、ロイシン、バリン及びイソロイシンからなる群から選ばれるアミノ酸であることを特徴とする(1)記載の変異型デカルボニラーゼ遺伝子。
(3)上記90番目のグリシンに相当するアミノ酸は、バリンへの置換変異であることを特徴とする(1)記載の変異型デカルボニラーゼ遺伝子。
(4)上記107番目のシステインに相当するアミノ酸は、バリンへの置換変異であることを特徴とする(1)記載の変異型デカルボニラーゼ遺伝子。
(5)上記163番目のセリンに相当するアミノ酸は、バリンへの置換変異であることを特徴とする(1)記載の変異型デカルボニラーゼ遺伝子。
(6)上記171番目のアスパラギンに相当するアミノ酸は、ロイシンへの置換変異であることを特徴とする(1)記載の変異型デカルボニラーゼ遺伝子。
(7)上記(1)~(6)のいずれかに記載された変異型デカルボニラーゼ遺伝子を宿主微生物に導入してなる組換え微生物。
(8)上記宿主微生物は大腸菌又はKlebsiella属細菌であることを特徴とする(7)記載の組換え微生物。
(9)上記(7)又は(8)記載の組換え微生物を培養する工程を含むアルカンの製造方法。
(10)上記組換え微生物を培養する培地よりアルカンを回収する工程を更に含むことを特徴とする(9)記載のアルカンの製造方法。
(11)上記組換え微生物を培養する培地よりアルカンを回収し、回収したアルカンを精製する工程を更に含むことを特徴とする(9)記載のアルカンの製造方法。
(12)炭素数9~20のアルカンを製造することを特徴とする(9)記載のアルカンの製造方法。
本発明に係る変異型デカルボニラーゼ遺伝子は、変異を有しない野生型のデカルボニラーゼと比較して、デカルボニラーゼ活性に優れたタンパク質をコードする。したがって、本発明に係る変異型デカルボニラーゼ遺伝子を利用することで、アルカン合成能に優れたた組換え微生物を取得することができる。また、本発明に係る変異型デカルボニラーゼ遺伝子を導入した組換え微生物を利用したアルカン合成系におけるアルカン生産性を大幅に向上させることができ、アルカン製造における大幅なコストダウンが可能となる。
N. punctiforme PCC 73102株由来のデカルボニラーゼのアミノ酸配列(配列番号2)における10個のαヘリックス構造(ヘリックス1~10、下線部)及び置換対象のアミノ酸残基(矢印)を示す模式図である。 置換変異デカルボニラーゼ遺伝子を導入した形質転換体における炭化水素(ペンタデカン及びヘプタデカン)生産量を測定した結果を示す特性図である。
以下、本発明を図面及び実施例を用いてより詳細に説明する。
本発明に係る変異型デカルボニラーゼ遺伝子(以下、単に変異型デカルボニラーゼ遺伝子と称する)は、野生型のデカルボニラーゼに所定の置換変異を導入したデカルボニラーゼ変異体をコードする遺伝子である。特に、置換変異を導入したデカルボニラーゼ変異体は、当該置換変異を導入する前のデカルボニラーゼ(例えば、野生型デカルボニラーゼ)と比較して優れたデカルボニラーゼ活性を示す。ここで、デカルボニラーゼ活性は、基質となるアルデヒド化合物を脱カルボニルして炭化水素を生成する活性を意味する。したがって、デカルボニラーゼ活性は、生産される炭化水素の量に基づいて評価することができる。
ここで、置換変異は、デカルボニラーゼを構成するαヘリックスに含まれる所定のアミノ酸残基を他のアミノ酸に置換する変異であり、αヘリックス間の疎水結合を高める作用を示す可能性のあるアミノ酸残基から選択されたものである。より具体的に、置換対象のアミノ酸残基は、αヘリックス間の疎水結合に関与するアミノ酸残基のうち、疎水性度の低いアミノ酸残基から選択されたものである。
この置換対象のアミノ酸残基を、より疎水性度の高いアミノ酸に置換変異することによって、置換変異前のデカルボニラーゼ活性と比較して優れたデカルボニラーゼ活性を示すこととなる。このとき、置換変異後のアミノ酸残基は、置換対象のアミノ酸と比較して疎水性度の高いアミノ酸残基から任意に選択することができる。
疎水性度としては、例えばKyte J & Doolittle RF, 1982, J Mol Biol, 157:105-132に記載されているhydropathy index(疎水性スケールとも呼称される)を利用することができる。疎水性度としては、このKyte J & Doolittle RFに規定された疎水性度に限定されず、例えば、Hopp TP, Woods KR (1983) Mol Immunol 20(4):483-489に開示された疎水性度やEngelman DM, Steitz TA, Goldman A (1986) Annu Rev Biophys Biophys Chem 15:321-353に開示された疎水性度を適宜使用することができる。
一例として、20種類のアミノ酸についてKyte J & Doolittle RFに規定された疎水性度を表1に示す。
Figure 0007131416000001
すなわち、置換変異後のアミノ酸残基としては、上記表1に基づいて、より疎水性度の高いアミノ酸を選択することができる。特に、置換変異後のアミノ酸残基としては、フェニルアラニン(F)、ロイシン(L)、バリン(V)及びイソロイシン(I)からなる群から選ばれるアミノ酸とすることがより好ましい。置換対象のアミノ酸残基をフェニルアラニン(F)、ロイシン(L)、バリン(V)及びイソロイシン(I)からなる群から選ばれるアミノ酸へ置換することで、αヘリックス間の疎水結合をより強化することができ、優れたデカルボニラーゼ活性を示すこととなる。
以下、野生型デカルボニラーゼのアミノ酸配列に基づいて、置換対象のアミノ酸残基について説明する。一例として、N. punctiforme PCC 73102株由来のデカルボニラーゼ遺伝子がコードする野生型デカルボニラーゼのアミノ酸配列を配列番号2に示す。なお、N. punctiforme PCC 73102株由来のデカルボニラーゼ遺伝子のコーディング領域の塩基配列を配列番号1に示す。
置換対象のアミノ酸残基は、配列番号2のアミノ酸配列における、90番目のグリシン、107番目のシステイン、163番目のセリン及び171番目のアスパラギンからなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基である。これら置換対象のアミノ酸残基は、デカルボニラーゼを構成するαヘリックス構造内に位置している。
ところで、N. punctiforme PCC 73102株由来のデカルボニラーゼについては、そのアミノ酸配列に基づく構造解析により、10個のαヘリックスを有することが示されている。これら10個のαヘリックスをN末端から順にヘリックス1~ヘリックス10と称する。図1に、N. punctiforme PCC 73102株由来のデカルボニラーゼのアミノ酸配列(配列番号2)を記載し、10個のαヘリックス構造(ヘリックス1~10、下線部)に対応するよう番号(丸数字)を付している。また、図1に、上述した置換対象のアミノ酸残基を矢印で示している。
図1に示すように、置換対象のアミノ酸残基は、ヘリックス3、ヘリックス4及びヘリックス8に位置している。90番目のグリシンは、ヘリックス3に位置し、立体構造解析の結果からヘリックス8に位置する177番目のイソロイシンと疎水結合を形成する可能性が高いアミノ酸残基である。107番目のシステインは、ヘリックス4に位置し、立体構造解析の結果からヘリックス1に位置する43番目のロイシン、ヘリックス1に位置する46番目のロイシン、ヘリックス3に位置する95番目のフェニルアラニン、ヘリックス3に位置する98番目のアラニン、及びヘリックス3に位置する99番目のアラニンと疎水結合を形成する可能性が高いアミノ酸残基である。163番目のセリンは、ヘリックス8に位置し、ヘリックス4の105番目のバリン及びヘリックス7の156番目のロイシンと疎水結合を形成する可能性の高いアミノ酸残基である。171番目のアスパラギンは、ヘリックス8に位置し、ヘリックス4の109番目のロイシン、ヘリックス9の207番目のチロシン、ヘリックス10の224番目のロイシン、及びヘリックス10の225番目のセリンと疎水結合を形成する可能性が高いアミノ酸残基である。
例えば、配列番号2のアミノ酸配列を有するN. punctiforme PCC 73102株由来のデカルボニラーゼに対して、90番目のグリシンをより疎水性度の高いアミノ酸残基に置換変異することで、ヘリックス3とヘリックス8との疎水結合を強化することができ、優れたデカルボニラーゼ活性を示すこととなる。特に、90番目のグリシンは、フェニルアラニン(F)、ロイシン(L)、バリン(V)及びイソロイシン(I)からなる群から選ばれるアミノ酸に置換変異することが好ましく、なかでもバリン(V)に置換変異することがより好ましい。
また、配列番号2のアミノ酸配列を有するN. punctiforme PCC 73102株由来のデカルボニラーゼに対して、107番目のシステインをより疎水性度の高いアミノ酸残基に置換変異することで、ヘリックス4とヘリックス1及び/又はヘリックス3との疎水結合を強化することができ、優れたデカルボニラーゼ活性を示すこととなる。特に、107番目のシステインは、フェニルアラニン(F)、ロイシン(L)、バリン(V)及びイソロイシン(I)からなる群から選ばれるアミノ酸に置換変異することが好ましく、なかでもバリン(V)に置換変異することがより好ましい。
さらに、配列番号2のアミノ酸配列を有するN. punctiforme PCC 73102株由来のデカルボニラーゼに対して、163番目のセリンをより疎水性度の高いアミノ酸残基に置換変異することで、ヘリックス8とヘリックス4及び/又はヘリックス7との疎水結合を強化することができ、優れたデカルボニラーゼ活性を示すこととなる。特に、163番目のセリンは、フェニルアラニン(F)、ロイシン(L)、バリン(V)及びイソロイシン(I)からなる群から選ばれるアミノ酸に置換変異することが好ましく、なかでもバリン(V)に置換変異することがより好ましい。
さらにまた、配列番号2のアミノ酸配列を有するN. punctiforme PCC 73102株由来のデカルボニラーゼに対して、171番目のアスパラギンをより疎水性度の高いアミノ酸残基に置換変異することで、ヘリックス8とヘリックス4、ヘリックス9及び/又はヘリックス10との疎水結合を強化することができ、優れたデカルボニラーゼ活性を示すこととなる。特に、171番目のアスパラギンは、フェニルアラニン(F)、ロイシン(L)、バリン(V)及びイソロイシン(I)からなる群から選ばれるアミノ酸に置換変異することが好ましく、なかでもロイシン(L)に置換変異することがより好ましい。
上述のように、所定のアミノ酸残基を置換変異してなるデカルボニラーゼ変異体は、当該置換変異を有しないデカルボニラーゼ(例えば、野生型デカルボニラーゼ)と比較して、優れたデカルボニラーゼ活性を示す。したがって、デカルボニラーゼ変異体を発現する組換え微生物は、例えば配列番号2のアミノ酸配列からなるデカルボニラーゼを発現する微生物と比較して炭化水素生産性能が優れたものとなる。
なお、上述した変異型デカルボニラーゼ遺伝子は、配列番号2のアミノ酸配列に対して上記置換変異を導入したデカルボニラーゼ変異体をコードするものに限定されず、配列番号2とは異なるアミノ酸配列に対して、上記置換変異を導入したデカルボニラーゼ変異体をコードするものであっても良い。ただし、詳細を後述するが、置換対象のアミノ酸残基に関するこれら具体的な数値及びアミノ酸の種類は、配列番号2のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有するデカルボニラーゼにおいては、異なる数値及びアミノ酸の種類として規定される。
配列番号2のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列からなるデカルボニラーゼとしては、N. punctiforme PCC 73102株由来のデカルボニラーゼ遺伝子がコードする野生型デカルボニラーゼと類似性及び/又は同一性の高いアミノ酸配列を有するものが挙げられる。具体的には、配列番号2のアミノ酸配列に対して50%以上の同一性、好ましくは60%以上の同一性、より好ましくは70%以上の同一性、更に好ましくは80%以上の同一性、更に好ましくは85%以上の同一性、最も好ましくは90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ上述したデカルボニラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を挙げることができる。或いは、具体的には、配列番号2のアミノ酸配列に対して80%以上の類似性、好ましくは85%以上の類似性、より好ましくは90%以上の類似性、更に好ましくは95%以上の類似性、更に好ましくは97%以上の類似性を有するアミノ酸配列からなり、且つ上述したデカルボニラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を挙げることができる。
同一性の値は、BLASTアルゴリズムを実装したBLASTNやBLASTXプログラムにより算出することができる(デフォルトの設定)。なお、同一性の値は、一対のアミノ酸配列をペアワイズ・アライメント分析した際に完全に一致するアミノ酸残基を算出し、比較した全アミノ酸残基中の上記残基数の割合として算出される。また、類似性の値は、一対のアミノ酸配列をペアワイズ・アライメント分析した際に完全に一致するアミノ酸残基と性質が類似するアミノ酸残基を算出し、比較した全アミノ酸残基中の上記残基数の割合として算出される。
また、配列番号2のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列からなるデカルボニラーゼとしては、配列番号2に示すアミノ酸配列に対して、1~50個のアミノ酸、好ましくは1~40個のアミノ酸、より好ましくは1~30個のアミノ酸、更に好ましくは1~20個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなりデカルボニラーゼ活性を有するタンパク質でも良い。
さらに、配列番号2のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列からなるデカルボニラーゼとしては、配列番号1示す塩基配列からなるDNAの相補鎖の全部又は一部に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつデカルボニラーゼ活性を有するタンパク質でも良い。ここでいう「ストリンジェントな条件」とはいわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件を意味し、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual(Third Edition)を参照して適宜決定することができる。具体的には、サザンハイブリダイゼーションの際の温度や溶液に含まれる塩濃度、及びサザンハイブリダイゼーションの洗浄工程の際の温度や溶液に含まれる塩濃度によりストリンジェンシーを設定することができる。
なお、配列番号2のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列からなるデカルボニラーゼをコードする塩基配列や、配列番号1に示す塩基配列と異なる塩基配列からなるDNAを作製する方法としては、特に限定することなく、従来公知の手法を適宜使用することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発方法を使用して、所定の塩基を置換することができる。部位特異的突然変異誘発方法としては、例えばT. クンケル(Kunkel)の部位特異的変異導入法(Kunkel, T. A. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 82, 488-492 (1985))、Gapped duplex法等が挙げられる。また、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutan-K(宝酒造社製)やMutan-G(宝酒造社製))などを用いて、あるいは、宝酒造社製のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて変異を導入することもできる。
ここで、N. punctiforme PCC 73102株由来のデカルボニラーゼ遺伝子がコードする野生型デカルボニラーゼと類似性及び/又は同一性の高いアミノ酸配列を有するデカルボニラーゼをコードする遺伝子を有する微生物の例を表2に挙げる。
Figure 0007131416000002
Figure 0007131416000003
Figure 0007131416000004
Figure 0007131416000005
(KEGG)を付したものは、KEGGのエントリー番号である。
なお、表2において「アルカン合成能」の欄に○を付けた微生物は、既報によりアルカン合成能を有することが示されている。表2に示した微生物が有するデカルボニラーゼ遺伝子に関しては、そのコーディング領域の塩基配列及びコードするアミノ酸配列については、表2に記載した遺伝子名及び又はGenBank accession No.に基づいてGenBank等のデータベースより入手することができる。
表2に示した微生物由来のデカルボニラーゼについては、データベースから取得したアミノ酸配列と、配列番号2のアミノ酸配列とペアワイズ・アライメントを取ることで、上述した置換対象のアミノ酸残基を特定することができる。例えば、上述した置換対象のアミノ酸残基のうち、配列番号2のアミノ酸配列における90番目のグリシンは、表2に示した微生物由来のデカルボニラーゼのアミノ酸配列においては、90番目に位置しない可能性が高く、また対応する位置のアミノ酸残基がグリシン以外のアミノ酸である可能性もある。この場合であっても、表2に示した微生物由来のデカルボニラーゼのアミノ酸配列において、配列番号2のアミノ酸配列における90番目のグリシンに対応する位置のアミノ酸残基が置換対象となる。なお、本書において、例えば「90番目のグリシンに相当するアミノ酸」と言う場合、配列番号2のアミノ酸配列における90番目のグリシンと、配列番号2と異なるアミノ酸配列における当該グリシンに対応する位置のアミノ酸との両者を含む意味である。
具体的に、配列番号2のアミノ酸配列における置換対象のアミノ酸は、上述のように、90番目のグリシン、107番目のシステイン、163番目のセリン及び171番目のアスパラギンである。したがって、表2に示した微生物由来のデカルボニラーゼのアミノ酸配列においては、配列番号2のアミノ酸配列における90番目のグリシンに相当するアミノ酸残基、配列番号2のアミノ酸配列における107番目のシステインに相当するアミノ酸残基、配列番号2のアミノ酸配列における163番目のセリンに相当するアミノ酸残基及び配列番号2のアミノ酸配列における171番目のアスパラギンに相当するアミノ酸残基が置換対象のアミノ酸となる。
また、表2に示した微生物由来のデカルボニラーゼにおいて、置換後のアミノ酸残基は、配列番号2のアミノ酸配列からなるデカルボニラーゼと同様に、置換前のアミノ酸残基と比較して、より疎水性度の高いアミノ酸から選択することができる。特に、置換変異後のアミノ酸残基としては、フェニルアラニン(F)、ロイシン(L)、バリン(V)及びイソロイシン(I)からなる群から選ばれるアミノ酸とすることがより好ましい。
ところで、変異型デカルボニラーゼ遺伝子は、配列番号2のアミノ酸配列における90番目のグリシンに相当するアミノ酸残基、配列番号2のアミノ酸配列における107番目のシステインに相当するアミノ酸残基、配列番号2のアミノ酸配列における163番目のセリンに相当するアミノ酸残基及び配列番号2のアミノ酸配列における171番目のアスパラギンに相当するアミノ酸残基からなる置換対象アミノ酸残基のうち、少なくとも1つのアミノ酸残基が置換されていれば良い。すなわち、変異型デカルボニラーゼ遺伝子は、これら置換対象のアミノ酸残基から選ばれる任意の2つのアミノ酸残基、任意の3つのアミノ酸残基、若しくは4つのアミノ残基が置換されたものであってもよい。
一方、他にも、デカルボニラーゼをコードするデカルボニラーゼ遺伝子としては、[1]Nostoc punctiformeのNpun_R1711に代表されるデカルボニラーゼ(上記Science)、[2]アルデヒドデヒドロゲナーゼ類縁のデカルボニラーゼ(特許第5867586号)、[3]シロイヌナズナのCer1遺伝子に代表される長鎖アルカン合成酵素(Plant Cell, 24, 3106-3118, 2012)及び[4]ショウジョウバエのCYP4G1遺伝子に代表されるP450系のアルカン合成酵素(PNAS, 109, 37, 14858-14863, 2012)の4種類を挙げることができる。
より具体的に上記[1]については、Nostoc punctiformeのNpun_R0380(Npun_R1711のパラログ)、Nostoc sp.のNos7524_4304、Anabaena cylindricaのAnacy_3389、Anabaena azollaeのAazo_3371、Cylindrospermum stagnaleのCylst_0697、Gloeocapsa sp.のGlo7428_0150、Calothrix sp.のCal7507_5586、Fischerella sp.のFIS3754_06310、Microcoleus sp.のMic7113_4535、Chroococcidiopsis thermalisのChro_1554、Geitlerinema sp.のGEI7407_1564、Cyanothece sp.のCyan8802_0468等を挙げることができる。
上記[2]については、Escherichia coli K-12 W3110由来のBAE77705、BAA35791、BAA14869、BAA14992、BAA15032、BAA16524、BAE77705、BAA15538及びBAA15073;Pseudomonas putida_F1由来のYP_001268218、YP_001265586、YP_001267408、YP_001267629、YP_001266090、YP_001270490、YP_001268439、YP_001267367、YP_001267724、YP_001269548、YP_001268395、YP_001265936、YP_001270470、YP_001266779及びYP_001270298;Bacillus subtilis 168株由来のNP_388129、NP_389813、NP_390984、NP_388203、NP_388616、NP_391658、NP_391762、NP_391865及びNP_391675;Corynebacterium glutamicum ATCC13032由来のNP_599351、NP_599725、NP_601988、NP_599302、NP_601867及びNP_601908;Lactobacillus reuteri DSM20016由来のYP_001270647;Saccharomyces cerevisiae由来のNP_010996、NP_011904、NP_015264、NP_013828、NP_009560、NP_015019、NP_013893、NP_013892及びNP_011902;Candida tropicalis MYA-3404由来のXP_002548035、XP_002545751、XP_002547036、XP_002547030、XP_002550712、XP_002547024、XP_002550173、XP_002546610及びXP_002550289;Debaryomyces hansenii CBS767由来のXP_460395、XP_457244、XP_457404、XP_457750、XP_461954、XP_462433、XP_461708及びXP_462528;Pichia pastoris GS115由来のXP_002489360、XP_002493450、XP_002491418、XP_002493229、XP_002490175、XP_002491360及びXP_002491779;Schizosaccharomyces pombe由来のNP_593172、NP_593499、NP_594582;Aspergillus oryzae RIB40由来のXP_001822148、XP_001821214、XP_001826612、XP_001817160、XP_001817372、XP_001727192、XP_001826641、XP_001827501、XP_001825957、XP_001822309、XP_001727308、XP_001818713、XP_001819060、XP_001823047、XP_001817717及びXP_001821011;Zea mays由来のNP_001150417、NP_001105047、NP_001147173、NP_001169123、NP_001105781、NP_001157807、NP_001157804、NP_001105891、NP_001105046、NP_001105576、NP_001105589、NP_001168661、NP_001149126及びNP_001148092;Arabidopsis thaliana由来のNP_564204、NP_001185399、NP_178062、NP_001189589、NP_566749、NP_190383、NP_187321、NP_190400、NP_001077676及びNP_175812;Drosophila melanogaster由来のNP_733183、NP_609285、NP_001014665、NP_649099、NP_001189159、NP_610285及びNP_610107;Rattus norvegicus由来のNP_001006999、XP_001067816、XP_001068348、XP_001068253、NP_113919、XP_001062926、NP_071609、NP_071852、NP_058968、NP_001011975、NP_115792、NP_001178017、NP_001178707、NP_446348、NP_071992、XP_001059375、XP_001061872及びNP_001128170;Homo sapiens由来のNP_036322、NP_001193826、NP_001029345、NP_000684、NP_000680、NP_000683、NP_000681、NP_001071、NP_000687、NP_001180409、NP_001173、NP_000682、NP_000373、NP_001154976、NP_000685及びNP_000686;Klebsiella sp. NBRC100048株由来のKPN_02991、KPN_1455及びKPN_4772等を挙げることができる。
上記[3]については、Arabidopsis thaliana(シロイヌナズナ)のAT1G02190とAT1G02205(CER1)、Oryza sativa(コメ)の4330012、Solanum lycopersicum(トマト)の101252060、Capsella rubella(ホソミナズナ)のCARUB_v10008547mg、Brassica napus(セイヨウアブラナ)の106437024、Brassica rapa (ハクサイ)の103843834、Eutrema salsugineum(ユリワサビ)のEUTSA_v10009534mg、Tarenaya hassleriana(セイヨウフウチョウソウ)の104810724、Gossypium raimondii(ワタ)の105773703、Theobroma cacao(カカオ)のTCM_042351、Vitis vinifera(ワインブドウ)の100243849、Sesamum indicum(ゴマ)の105167221、Eucalyptus grandis(ユーカリ)の104442848、Pyrus bretschneideri(中国白桃)の103929751、Arachis ipaensisの107618742及びMalus domestica(リンゴ)の103428452等を挙げることができる。
上記[4]については、Drosophila melanogaster(キイロショウジョウバエ)のCYP4G1、Musca domestica(イエバエ)の101887882、Aedes aegypti(ネッタイシマカ)のAaeL_AAEL006824及びAnopheles gambiae(ハマダラカ)のAgaP_AGAP000877等を挙げることができる。
上述した種々のデカルボニラーゼ遺伝子についても、配列番号2のアミノ酸配列を基準として定義した置換変異を有するデカルボニラーゼ変異体をコードする変異型デカルボニラーゼ遺伝子とすることができる。上述した種々のデカルボニラーゼ遺伝子に基づく変異型デカルボニラーゼ遺伝子もまた、デカルボニラーゼ活性が向上したデカルボニラーゼ変異体をコードする。
以上のように、本発明にかかる変異型デカルボニラーゼ遺伝子は、アシル-ACPから脂肪アルデヒドへの変換を触媒するアシルACPレダクターゼ遺伝子とともに宿主微生物に導入されるか、アシルACPレダクターゼ遺伝子を有する宿主微生物に導入することで、アルカン生産能を有する組換え微生物を作製することができる。
アシルACPレダクターゼ遺伝子としては、特に限定されず、EC 1.2.1.80として登録されたアシルACPレダクターゼをコードするものを使用することができる。例えば、アシルACPレダクターゼ遺伝子としては、Synechococcus elongatusのSynpcc7942_1594、Synechococcus sp.のM744_09025、Leptolyngbya sp.のLEP3755_23580、Gloeocapsa sp.のGlo7428_0151、Nostoc sp.のNos7107_1027、Anabaena variabilisのAva_2534、Calothrix sp.のIJ00_07395、Crinalium epipsammumのCri9333_4415及びFischerella sp.のFIS3754_06320等を挙げることができる。
例えば、Synechococcus elongatus PCC 7942株由来のアシルACPレダクターゼ遺伝子は配列番号4のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子である。ただし、アシルACPレダクターゼ遺伝子としては、配列番号4のアミノ酸配列に対して60%以上の同一性、好ましくは70%以上の同一性、好ましくは80%以上の同一性、より好ましくは90%以上の同一性、更に好ましくは95%の同一性、最も好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなりアシルACPレダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするものであっても良い。
同一性の値は、BLASTアルゴリズムを実装したBLASTNやBLASTXプログラムにより算出することができる(デフォルトの設定)。なお、同一性の値は、一対のアミノ酸配列をペアワイズ・アライメント分析した際に完全に一致するアミノ酸残基を算出し、比較した全アミノ酸残基中の上記残基数の割合として算出される。
さらに、アシルACPレダクターゼ遺伝子としては、配列番号4に示すアミノ酸配列をコードするものに限定されず、配列番号4に示すアミノ酸配列に対して、1~50個のアミノ酸、好ましくは1~40個のアミノ酸、より好ましくは1~30個のアミノ酸、更に好ましくは1~20個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなりアシル-ACPレダクターゼとして機能するタンパク質をコードする遺伝子でも良い。
さらにまた、アシルACPレダクターゼ遺伝子としては、配列番号3に示す塩基配列からなるものに限定されず、配列番号3示す塩基配列からなるDNAの相補鎖の全部又は一部に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアシル-ACPレダクターゼとして機能するタンパク質をコードする遺伝子でも良い。ここでいう「ストリンジェントな条件」とはいわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件を意味し、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual(Third Edition)を参照して適宜決定することができる。具体的には、サザンハイブリダイゼーションの際の温度や溶液に含まれる塩濃度、及びサザンハイブリダイゼーションの洗浄工程の際の温度や溶液に含まれる塩濃度によりストリンジェンシーを設定することができる。
なお、配列番号4に示すアミノ酸配列に対して所定のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列をコードする塩基配列や、配列番号3に示す塩基配列と異なる塩基配列からなるDNAを作製する方法としては、特に限定することなく、従来公知の手法を適宜使用することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発方法を使用して、所定の塩基を置換することができる。部位特異的突然変異誘発方法としては、例えばT. クンケル(Kunkel)の部位特異的変異導入法(Kunkel, T. A. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 82, 488-492 (1985))、Gapped duplex法等が挙げられる。また、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutan-K(宝酒造社製)やMutan-G(宝酒造社製))などを用いて、あるいは、宝酒造社製のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて変異を導入することもできる。
また、上述したアシルACPレダクターゼ遺伝子に代えて、上述したデカルボニラーゼ変異体の基質となるアルデヒドを合成する酵素をコードする遺伝子を使用することができる。
例えば、Photorhabdus luminescensのplu2079(luxC)、Photorhabdus asymbioticaのPAU_02514(luxC)、Aliivibrio fischeriのVF_A0923(luxC)及びVibrio campbelliiのVIBHAR_06244、Shewanella woodyiのSwoo_3633等の長鎖脂肪酸アシルCoAレダクターゼ [EC.1.2.1.50]をコードする遺伝子を使用することができる。また、例えばGlycine max(ダイズ)の100776505及び100801815等といった特開2015-226477記載のアシルCoAレダクターゼをコードする遺伝子を使用することができる。さらに、これらの他に、アルデヒドを合成できる酵素をコードする遺伝子であれば、何ら限定すること無く使用することができる。例えば、アルコールデヒドロゲナーゼ[EC.1.1.1.1]、アルコールオキシダーゼ[EC. 1.1.3.13]、アルデヒドデヒドロゲナーゼ[EC. 1.2.1.3]及びカルボン酸レダクターゼ[EC. 1.2.99.6]等の酵素をコードする遺伝子を使用することができる。
一方、変異型デカルボニラーゼ遺伝子を導入する微生物としては、特に限定されないが、大腸菌(Escherichia coli)及びKlebsiella属細菌を挙げることができる。また、変異型デカルボニラーゼ遺伝子を導入する微生物としては、Appl. Environ. Microbiol.,79(21):6776-6783 2013(Nov.)に開示されたCorynebacterium glutamicumを使用することができる。当該論文では、脂肪酸生産能を獲得したCorynebacterium glutamicum組換え体が開示されている。さらに、変異型デカルボニラーゼ遺伝子を導入する微生物としては、Food Bioprocess Technol (2011) 4:232-240に開示されたMortierella alpinaを使用することができる。Mortierella alpinaはアラキドン酸発酵で工業的に用いられている株であり、当該論文ではこれを用いて代謝工学を行っている。さらにまた、変異型デカルボニラーゼ遺伝子を導入する微生物としては、TRENDS IN BIOTECHNOLOGY, Vol. 34, No. 10, p. 798-809に開示されたYarrowia lipolyticaを使用することができる。
さらにまた、変異型デカルボニラーゼ遺伝子を導入する微生物としては、lipomyces属、Pseudozyma属、Rhodosporidium属及びRhodococcus属等に属する微生物を使用することができる。これら微生物に対してアルカン合成酵素遺伝子を導入するには、特に限定されないが、CRISPR/CasやTALEN等のゲノム編集システムを用いた遺伝子組換え技術を適用することができる。
さらにまた、変異型デカルボニラーゼ遺伝子を導入する微生物として酵母を使用する場合、酵母としては特に限定されないが、Pichia stipitis等のPichia属酵母、Saccharomyces cerevisiae等のSaccharomyces属酵母及びCandida tropicalisやCandida prapsilosis等のCandida属酵母等を挙げることができる。
上述した変異型デカルボニラーゼ遺伝子やアシルACPレダクターゼ遺伝子等を宿主に導入する際、例えば、変異型デカルボニラーゼ遺伝子やアシルACPレダクターゼ遺伝子等を含むDNA断片を、宿主微生物で機能する発現ベクター、好ましくはマルチコピー型のベクターと連結して組換えDNAを作製し、これを微生物に導入して形質転換すればよい。使用可能な発現ベクターは、特に限定されず、プラスミド型ベクター、又は宿主生物中のゲノムに組み込み可能な染色体導入型ベクターを挙げることができる。発現ベクターとしては、特に限定されず、入手可能な如何なる発現ベクターを宿主微生物に応じて適宜選択すればよい。なお、発現ベクターとしては、例えば、プラスミドDNA、バクテリオファージDNA、レトロトランスポゾンDNA、人工染色体DNA(YAC:yeast artificial chromosome)などが挙げられる。
プラスミドDNAとしては、例えばpRS413、pRS414、pRS415、pRS416、YCp50、pAUR112又はpAUR123などのYCp型大腸菌-酵母シャトルベクター、pYES2又はYEp13などのYEp型大腸菌-酵母シャトルベクター、pRS403、pRS404、pRS405、pRS406、pAUR101又はpAUR135などのYIp型大腸菌-酵母シャトルベクター、大腸菌由来のプラスミド(pBR322、pBR325、pUC18、pUC19、pUC118、pUC119、pTV118N、pTV119N、pBluescript、pHSG298、pHSG396又はpTrc99AなどのColE系プラスミド、pACYC177又はpACYC184などのp15A系プラスミド、pMW118、pMW119、pMW218又はpMW219などのpSC101系プラスミド等)、アグロバクテリウム由来のプラスミド(例えばpBI101等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110、pTP5等)などが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ(Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP)、φX174、M13mp18又はM13mp19などが挙げられる。レトロトランスポゾンとしては、Ty因子などが挙げられる。YAC用ベクターとしてはpYACC2などが挙げられる。さらに、レトロウイルス又はワクシニアウイルスなどの動物ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。
発現ベクターにおいて、変異型デカルボニラーゼ遺伝子は、発現可能な状態でベクターに組み込まれることが必要である。発現可能な状態とは、変異型デカルボニラーゼ遺伝子が導入される宿主生物において所定のプロモーターの制御下に発現されるように、変異型デカルボニラーゼ遺伝子とプロモーターとを連結してベクターに組み込むことを意味する。発現ベクターには、変異型デカルボニラーゼ遺伝子のほか、プロモーター及びターミネータ、所望によりエンハンサー等のシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(SD配列)等を連結することができる。なお、選択マーカーとしては、例えば、アンピシリン耐性遺伝子やカナマイシン耐性遺伝子やハイグロマイシン耐性遺伝子などの抗生物質耐性遺伝子が挙げられる。
また、発現ベクターを用いた形質転換法としても、従来公知の方法を適宜使用することができる。形質転換方法としては、塩化カルシウム法、コンピテントセル法、プロトプラスト又はスフェロプラスト法、電気パルス法等を例示することができる。
一方、変異型デカルボニラーゼ遺伝子のコピー数を高めるように導入しても良い。すなわち、変異型デカルボニラーゼ遺伝子を微生物の染色体DNA上に多コピー存在させるように導入しても良い。微生物の染色体DNA上に変異型デカルボニラーゼ遺伝子を多コピーで導入するには、染色体DNA上に多コピー存在する配列を標的に利用して相同組換えにより行うことができる。
さらに、変異型デカルボニラーゼ遺伝子の発現の増強は、導入した変異型デカルボニラーゼ遺伝子のプロモーター等の発現調節配列を、より高発現可能なものに置換する方法、所定の遺伝子の発現を上昇させるようなレギュレーターを導入する方法などによっても達成される。高発現可能なプロモーターとしては、特に限定されないが、例えば、lacプロモーター、trpプロモーター、trcプロモーター、pLプロモーター等を挙げることができる。また、内在する又は導入したフェレドキシン遺伝子やフェレドキシンレダクターゼ遺伝子の発現制御領域に突然変異を導入し、より高発現できるものに改変することも可能である。
<アルカン製造>
以上で説明したように、変異型デカルボニラーゼ遺伝子を導入した組換え微生物を使用することでアルカンを優れた生産性で合成できる。
変異型デカルボニラーゼ遺伝子を導入した組換え微生物を使用する系では、これら微生物に適した培地にて培養し、当該培地中にアルカンを生産することができる。より具体的には、本発明によれば、アルカン合成酵素によるアルカン合成能を向上させることができ、その結果、アルカンの生産性を向上することができる。
本発明において、生産対象のアルカンとしては特に限定されないが、例えば炭素数が9~20の範囲、好ましくは14~17の範囲、より好ましくは13~16の範囲のアルカンとする。これらは、粘度の高い液体であり、軽油(ディーゼル油)や航空機燃料に使用することができる。このようなアルカンは、上述した組換え微生物を培養した反応系から定法に従って単離し、その後、精製することができる。また、ENGINEERING IN LIFE SCIENCES、巻: 16 号: 1 ページ: 53-59“Biosynthesis of chain-specific alkanes by metabolic engineering in Escherichia coli”に記載の方法を適用することで、短い鎖長のアルカンを合成することができる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
[1.目的]
デカルボニラーゼは、次世代バイオディーゼル燃料であるアルカン(hydrocarbon)を大腸菌等の微生物で発酵生産する際のキイ酵素である。本実施例では、デカルボニラーゼの酵素活性を高める技術開発として、αへリックス間の疎水結合を強化させるアミノ酸置換変異を導入したデカルボニラーゼ変異体を作製し、デカルボニラーゼ活性の向上に寄与するアミノ酸置換変異の同定を行った。
[2.材料と方法]
2.1 試薬
本実施例で使用したプラスミド:pRSF-Duet-1とpCDF-Duet-1はNovagen社より購入した。また、本実施例において、製造元を個別に記載していない試薬は、ナカライテスクから購入した。
2.2 菌株
本実施例では、タカラバイオ社より購入したE. coli BL-21株と、ニッポンジーン社より購入したE. coli JM109株を使用した。
2.3 プラスミドの作製
2.3.1 pRSF-NpAD-PAの作製
先ず、以下のようにしてpRSF-NpAD-SeARを作製した。すなわち、Synechococcus elongatus PCC 7942株由来のアシル-ACPレダクターゼ遺伝子(YP_400611)とNostoc punctiforme PCC 73102株由来のデカルボニラーゼ遺伝子(YP_001865325)を化学合成した。これらの合成遺伝子はpUC57のEcoRVサイトに挿入し、それぞれpUC57-SeAAR、pUC57-NpADと命名した。
次に、これらpUC57-NpAD及びpUC57-SeAARをそれぞれ鋳型にし、Pfu Ultra II Fusion HS DNA Polymerase(STRATAGENE社製)を用いて下記PCRを行ない、それぞれ増幅したフラグメントNpADvoとSeAAvoを得た。
Figure 0007131416000006
Figure 0007131416000007
なお、各PCRの反応条件は、92℃で2分の後、92℃で10秒、55℃で20秒及び68℃で5分を1サイクルとして25サイクル行い、その後72℃で3分、16℃とする条件である。プライマー配列は以下のとおりである。
Primer pRSF-NpAS-inf-F:5’-cgagctcggcgcgcctgcagATGCAGCAGCTTACAGACCA-3’(配列番号5)
Primer pRSF-NpAS-inf-R:5’-gcaagcttgtcgacctgcagTTAAGCACCTATGAGTCCGT-3’(配列番号6)
Primer pRSF-SeAR-inf-F:5’-aaggagatatacatatgATGTTCGGTCTTATCGGTCA-3’(配列番号7)
Primer pRSF-SeAR-inf-R:5’-ttgagatctgccatatgTCAAATTGCCAATGCCAAGG-3’(配列番号8)
次に、Pst I処理したpRSF-1b(Novagen社製)とフラグメントNpADvoをIn-Fusion HD Cloning kit(Invitrogen社製)を用いて連結させ、得られたプラスミドをさらにNde I消化し、同様に同kitを用いてフラグメントSeAAvoと接続した。こうして得られたベクターをpRSF-NpAD-SeARと命名した。
そして、得られたpRSF-NpAD-SeARを鋳型として下記条件でPCRを行った。
Figure 0007131416000008
PCRの温度条件は、95℃で2分の後、95℃で20秒、55℃で20秒及び72℃で30秒を1サイクルとして25サイクル行い、その後、72℃で3分とする条件である。プライマーの配列は以下のとおりである。
Primer FW1: AGGAGATATACCATGCAGCAGCTTACAGACC(配列番号9)
Primer Rv1: GCTCGAATTCGGATCTTACACCACATCATCTTCGGCACCTGGCATGGCAACGCCAGCACCTATGAGTCCGTAGG(配列番号10)
次に、PCRで増幅したDNA断片をpRSF-Duet-1のNcoIサイトとBamHIサイトの間にIn-Fusion HD Cloning kit(クロンテック社製)を用いて挿入した。得られたプラスミドをpRSF-NpAD-PAと命名した。
2.3.2 pCDF-SeARの作製
また、上記pRSF-NpAD-SeARを鋳型として下記条件でPCRを行った。
Figure 0007131416000009
PCRの温度条件は、92℃で2分の後、92℃で10秒、55℃で20秒及び68℃で5分を1サイクルとして25サイクル行い、その後、72℃で3分とする条件である。プライマーの配列は以下のとおりである。
Primer FW2: AAGGAGATATACATATGATGTTCGGTCTTATCGGTCA(配列番号11)
Primer Rv2: TTGAGATCTGCCATATGTCAAATTGCCAATGCCAAGG(配列番号12)
次に、PCRで増幅したDNA断片をpCDD-Duet-1のNdeIサイトにIn-Fusion HD Cloning kit(クロンテック社製)を用いて挿入した。得られたプラスミドをpCDF-SeARと命名した。
2.3.3 NpAD変異型遺伝子発現プラスミドの作製
次に、上記で得られたpRSF-NpAD-PAを鋳型として、所定の位置に置換変異を導入することができるプライマーセットを用いて下記条件でPCRを行った。本実施例で使用したプライマーセットは表8にまとめた。
Figure 0007131416000010
PCRの温度条件は、98℃で10秒、58℃で15秒及び72℃で30秒を1サイクルとして30サイクル行う条件である。
Figure 0007131416000011
このPCRにて増幅した4.5kbのDNA断片を精製した。精製したDNA断片でE. coli JM109株を形質転換した。形質転換体から得られたプラスミド(No.201~215)に含まれる変異型デカルボニラーゼ遺伝子の塩基配列を決定し、目的の変異が導入され、且つ他の場所に変異がないことを確認した。
2.4 変異型デカルボニラーゼ遺伝子の評価
上記で得られたプラスミドNo. 201~215とpCDF-SeARでE. coli BL-21株を形質転換し、変異体を調製した。プラスミドNo. 201~215の代わりにpRSF-NpAD-PAを用い、pRSF-NpAD-PAとpCDF-SeARで作製した形質転換体を野生株とした。野生型及び形質転換体を培養し、MG/CMSにより、炭化水素の生産量を定量的に比較した。
本実施例では、野生株の生産したO.D.600nm当たりの炭化水素量を1とした相対値で変異型デカルボニラーゼ遺伝子を発現させた形質転換体の炭化水素生産能を評価した。
培養は、まず、必要な抗生物質を含むLB Broth Miller培地(Difco社製 Luria-Bertani)3mlを含むBD Falcon社製14mlラウンドチューブに形質転換体を植菌し、ABLE社製三段式培養器MW-312を用い、100ストローク/分で18時間、37℃で振盪培養した。得られた前培養液を抗生物質を含む3mlのM9YE培地に1%植菌し、ディスポーザブルガラス試験管(IWAKI社製f16mm x 150mm)で同培養装置を用い、30℃、90ストローク/分で2~3日間培養した。本培養においては、植菌後4時間に、IPTGを終濃度が1mMになるように添加した。
培養2日目または3日目に、培養液に等量(3ml)の酢酸エチルを添加し、ボルテックスを用いて10秒間混和した。TOMY社製LC-230遠心機を用いて室温で10分間2000rpmで遠心した後、酢酸エチル層1mlをGC/MSバイアルに移し、内部標準溶液(1μl/ml R-(-)-2-octanol/ethanol)を10 ml添加し締結した。
GC/MSによる定量方法は以下の通りである。まず、アガロースプレート上で生育した組換え体を、上記培地3mlを含むBD Falcon社製14mlラウンドチューブに植菌し、ABLE社製三段式培養器MW-312を用い、130ストローク/分で18時間所定の温度で培養した。こうして得られた前培養液を抗生物質を含む3mlのM9YE培地を含むディスポーザブルガラス試験管(IWAKI社製φ16×150mm)に1%植菌し、同様に90ストローク/分で4時間培養後、終濃度1mMのIPTGを添加し3日間培養した。
培養後、培養液1.5mlをエッペンドルフチューブに分取し、トミー社製小型遠心機MX-301を用いて、24℃、5800g、1分間遠心した。上清50μlを残して上清液を除去し菌体を懸濁した。次に、150μlの酢酸エチルを添加し、エッペンドルフ社製多サンプル用ボルテックスMixer5432を用いて5分間激しく混和した後、同様に24℃、13000g、1分間遠心し、酢酸エチル層100μlをGC/MSバイアルに移した。そして、50μlの内部標準物質溶液(2-プロパノールに溶解した0.4%(v/v)の2-オクタノール)を添加し、GC/MS(アジレント社製7890GC/5975MSD)に供した。分析条件を下記に示す。
Figure 0007131416000012
[3.結果]
詳細は省略するが、本実施例で使用したNostoc punctiforme PCC73102株由来のデカルボニラーゼについて、Oscillatoria sp.由来のアルデヒドデホルミレーティングオキシゲナーゼ (KNUA011, 1.80 Å)の立体構造データを元にSWISS MODELを用い、ホモロジーモデリングを行った。得られたモデルについて、FiatLux社製Mol Feet 5.0を用いて立体構造を表示させ、アミノ酸残基の位置関係を解析した。
このモデリング解析の結果を用いて、デカルボニラーゼを構成するαヘリックス間の疎水結合を強化し、デカルボニラーゼを安定化させる置換変異部位の候補を選択した。具体的には、まず、モデリング解析の結果に基づいて、相互作用する位置関係にあるアミノ酸残基のペア(残基間距離5Å以内)を選び出した。次に、選び出したアミノ酸残基のペアのうち、同一のαヘリックス内に位置するペアを除外し、αヘリックス以外の領域に位置するペアを除外した。また、基質であるアルデヒド化合物と結合するアミノ酸残基及び鉄と結合するアミノ酸残基(活性に関与すると考えられるアミノ酸残基)を特定し、選び出したアミノ酸残基のペアのうち、これら特定したアミノ酸残基を中心として前後3残基の範囲に位置するアミノ酸を含むものを除外した。さらに、選び出したアミノ酸残基のペアのうち、αヘリックスの末端2残基の範囲に位置するアミノ酸を含むものを除外した。
以上のように、相互作用する位置関係にあるアミノ酸残基のペアを絞り込み、絞り込んだアミノ酸残基のペアから、少なくとも一方のアミノ酸が親水性であるペアを選び出した。そして、選び出したペアに含まれる親水性のアミノ酸残基を置換対象アミノ酸の候補とした。具体的に、親水性のアミノ酸残基としては、フェニルアラニン(F)、ロイシン(L)、バリン(V)及びイソロイシン(I)以外のアミノ酸とした(表1参照)。
また、置換後のアミノ酸としては、疎水性の高いアミノ酸としてフェニルアラニン(F)、ロイシン(L)、バリン(V)及びイソロイシン(I)から選択した。特に、本実施例では、置換後のアミノ酸として立体構造場の障害を考慮し、また、置換対象アミノ酸残基がトリプトファン又はチロシンの場合には芳香性を加味してフェニルアラニンを置換後のアミノ酸とした。
このようにして、置換対象アミノ酸残基及び置換後のアミノ酸を選択し、15種の変異型デカルボニラーゼ遺伝子を作製し(表7)、pRSF-Duet-1に挿入した。これらとプラスミドpCDF-SeARを用いてE. coli BL-21株を形質転換し、培養時の炭化水素(ペンタデカンとヘプタデカン)量を野生株と比較した。その結果を図2に示した。
図2から判るように、配列番号2のアミノ酸配列における90番目のグリシンをバリンに置換変異した変異デカルボニラーゼ(以下、G90V変異デカルボニラーゼと表記。他の置換変異も同様)、C107V変異デカルボニラーゼ、S163V変異デカルボニラーゼ及びN171L変異デカルボニラーゼの4種類については、E. coliで発現させると炭化水素(ペンタデカンとヘプタデカン)量の生産量がいずれも1.5倍以上増加した。
特に、G90V変異デカルボニラーゼについては、E. coliで発現させると炭化水素(ペンタデカンとヘプタデカン)量の生産量がいずれも2.1倍増加することが明らかとなった。置換対象アミノ酸である90番目のグリシン残基は第3番αへリックスの曲がった部分に位置し、第7番αへリックスの177番目のイソロイシン残基と疎水結合を形成する位置関係にあった。第3番αへリックスは、第1、2、5及び4番αへリックスによって形成されている活性部位の裏側に位置し、第7番αへリックスは活性部位から離れた構造フレーム形成に関与する位置にある。したがって、G90V変異によってバリン残基とイソロイシン残基との間に疎水結合が形成され第3番αへリックスと第7番αへリックスからなる構造の安定化が向上しても、活性部位の構造変化に及ぼす影響は小さいと考えられる。

Claims (12)

  1. 配列番号2に示すアミノ酸配列、又は配列番号2に示すアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列に対して、
    上記配列番号2に示すアミノ酸配列における
    90番目のグリシンに相当するアミノ酸の、置換対象のアミノ酸と比較して疎水性度の高いアミノ酸への置換変異、
    107番目のシステインに相当するアミノ酸の、置換対象のアミノ酸と比較して疎水性度の高いアミノ酸への置換変異、
    163番目のセリンに相当するアミノ酸の疎水性度の、置換対象のアミノ酸と比較して疎水性度の高いアミノ酸への置換変異、及び
    171番目のアスパラギンに相当するアミノ酸の、置換対象のアミノ酸と比較して疎水性度の高いアミノ酸への置換変異
    からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換変異を含んでなるデカルボニラーゼをコードする変異型デカルボニラーゼ遺伝子。
  2. 上記疎水性度の高いアミノ酸は、フェニルアラニン、ロイシン、バリン及びイソロイシンからなる群から選ばれるアミノ酸であることを特徴とする請求項1記載の変異型デカルボニラーゼ遺伝子。
  3. 上記90番目のグリシンに相当するアミノ酸は、バリンへの置換変異であることを特徴とする請求項1記載の変異型デカルボニラーゼ遺伝子。
  4. 上記107番目のシステインに相当するアミノ酸は、バリンへの置換変異であることを特徴とする請求項1記載の変異型デカルボニラーゼ遺伝子。
  5. 上記163番目のセリンに相当するアミノ酸は、バリンへの置換変異であることを特徴とする請求項1記載の変異型デカルボニラーゼ遺伝子。
  6. 上記171番目のアスパラギンに相当するアミノ酸は、ロイシンへの置換変異であることを特徴とする請求項1記載の変異型デカルボニラーゼ遺伝子。
  7. 請求項1~6のいずれか一項記載の変異型デカルボニラーゼ遺伝子を宿主微生物に導入してなる組換え微生物。
  8. 上記宿主微生物は大腸菌又はKlebsiella属細菌であることを特徴とする請求項7記載の組換え微生物。
  9. 請求項7又は8記載の組換え微生物を培養する工程を含むアルカンの製造方法。
  10. 上記組換え微生物を培養する培地よりアルカンを回収する工程を更に含むことを特徴とする請求項9記載のアルカンの製造方法。
  11. 上記組換え微生物を培養する培地よりアルカンを回収し、回収したアルカンを精製する工程を更に含むことを特徴とする請求項9記載のアルカンの製造方法。
  12. 炭素数9~20のアルカンを製造することを特徴とする請求項9記載のアルカンの製造方法。
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