JP7130944B2 - 検査システム、検査方法及び検査システムの製造方法 - Google Patents

検査システム、検査方法及び検査システムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、検査システム、検査方法及び検査システムの製造方法に関する。
従来、樹脂層を備える樹脂シートの状態を非破壊で検査するシステム及び方法が提案されている。例えば特許文献1は、光を樹脂シートに照射し、樹脂シートによって散乱された光を検出し、散乱光に含まれる長波長成分と短波長成分の輝度比に基づいて、樹脂シートにおけるキズや異物などの欠陥を検出する方法を開示している。
特開2015-175815号公報
樹脂シートには、キズや異物などの、樹脂シートの表面形状に反映される欠陥だけでなく、脆化など、樹脂シートの表面形状には反映されない欠陥が生じることがある。この場合、脆化の影響が散乱光には明確には現れず、欠陥の有無を検査することが困難であると考えられる。
本開示の実施形態は、このような課題を解決することができる検査システム、検査方法及び検査システムの製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一実施形態は、樹脂材料を含む樹脂層を備える樹脂シートの状態を検査する検査システムであって、前記樹脂シートに照射光として近赤外線を照射する照射部を含む照射装置と、前記照射光を前記樹脂シートに照射することにより生じる反射光を受光し、複数の波長点における前記反射光の強度に関する情報を含む拡散反射スペクトルを取得する検出装置と、複数の波長点における前記反射光の強度の値、又は、前記拡散反射スペクトルに平均化、平滑化、正規化、微分、散乱補正、ベースライン補正、ピークシフト補正、又はそれらの組み合わせを含む処理を施すことによって複数の波長点において得られる値を、各波長点に対応するパラメータ値として算出する処理装置と、複数のパラメータ値と樹脂材料の分子量との関係を表す回帰式が予め記憶された記憶部と、前記記憶部の前記回帰式及び前記処理装置が算出した前記樹脂層の複数のパラメータ値に基づいて前記樹脂層の樹脂材料の分子量を算出する解析部と、前記樹脂層の樹脂材料の分子量に基づいて前記樹脂シートの状態を判定する判定部と、を含む判定装置と、を備える、検査システムである。
本開示の一実施形態による検査システムにおいて、前記記憶部の前記回帰式は、樹脂材料を含む複数の標準試料の複数のパラメータ値と各標準試料の樹脂材料の分子量との関係を表していてもよい。
本開示の一実施形態による検査システムにおいて、前記記憶部の前記回帰式は、複数のパラメータ値に対応する複数の回帰係数を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による検査システムにおいて、前記処理装置は、800nm以上2500nm以下の波長範囲内において、前記樹脂層のパラメータ値を69個以上含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による検査システムにおいて、前記照射装置は、前記照射光を拡散させる拡散部をさらに含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による検査システムにおいて、前記樹脂シートは、前記樹脂層に重なり、セルロース樹脂を含む基材シートを更に含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による検査システムにおいて、前記樹脂層の樹脂材料は、ゴムを含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による検査システムにおいて、前記検出装置は、近赤外分光器を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による検査システムにおいて、前記検出装置は、近赤外ハイパースペクトルカメラを含んでいてもよい。
本開示の一実施形態は、樹脂材料を含む樹脂層を備える樹脂シートの状態を検査する検査方法であって、前記樹脂シートに照射光として近赤外線を照射する照射工程と、前記照射光を前記樹脂シートに照射することにより生じる反射光を受光し、複数の波長点における前記反射光の強度に関する情報を含む拡散反射スペクトルを取得する検出工程と、複数の波長点における前記反射光の強度の値、又は、前記拡散反射スペクトルに平均化、平滑化、正規化、微分、散乱補正、ベースライン補正、ピークシフト補正、又はそれらの組み合わせを含む処理を施すことによって複数の波長点において得られる値を、各波長点に対応するパラメータ値として算出する処理工程と、複数のパラメータ値と樹脂材料の分子量との関係を表す回帰式、及び前記処理工程において算出された前記樹脂層の複数のパラメータ値に基づいて前記樹脂層の樹脂材料の分子量を算出し、前記樹脂層の樹脂材料の分子量に基づいて前記樹脂シートの状態を判定する判定工程と、を備える、検査方法である。
本開示の一実施形態による検査方法において、前記回帰式は、樹脂材料を含む複数の標準試料の複数のパラメータ値と各標準試料の樹脂材料の分子量との関係に基づいて予め作成されていてもよい。
本開示の一実施形態による検査方法において、前記回帰式は、複数のパラメータ値に対応する複数の回帰係数を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による検査方法において、前記処理工程は、800nm以上2500nm以下の波長範囲内において、前記樹脂層のパラメータ値を69個以上算出してもよい。
本開示の一実施形態による検査方法において、前記照射工程は、前記照射光を拡散させることを含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による検査方法において、前記樹脂シートは、前記樹脂層に重なり、セルロース樹脂を含む基材シートを更に含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による検査方法において、前記樹脂層の樹脂材料は、ゴムを含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による検査方法において、前記検出工程は、近赤外分光器を用いて前記拡散反射スペクトルを取得してもよい。
本開示の一実施形態による検査方法において、前記検出工程は、近赤外ハイパースペクトルカメラを用いて前記拡散反射スペクトルを取得してもよい。
本開示の一実施形態は、上記記載の検査システムの製造方法であって、樹脂材料を含む樹脂層を備える樹脂シートを有する複数の標準試料に近赤外線を照射する標準試料照射工程と、前記照射光を複数の前記標準試料に照射することにより得られる反射光をそれぞれ受光し、各々が複数の波長点における前記反射光の強度に関する情報を含む、複数の標準試料拡散反射スペクトルを取得する標準試料検出工程と、複数の標準試料拡散反射スペクトルの複数の波長点における前記反射光の強度の値、又は、複数の前記標準試料拡散反射スペクトルの各々に平均化、平滑化、正規化、微分、散乱補正、ベースライン補正、ピークシフト補正、又はそれらの組み合わせを含む処理を施すことによって複数の波長点において得られる値を、各波長点に対応する複数のパラメータ値としてそれぞれ算出する標準試料処理工程と、各標準試料の複数のパラメータ値と各標準試料の樹脂材料の分子量との関係を表す回帰式を、多変量解析手法を用いて作成する回帰式作成工程と、を備える、検査システムの製造方法である。
本開示の一実施形態による検査システムの製造方法において、前記回帰式作成工程は、重回帰分析、主成分回帰分析又はPLS回帰分析を行うことを含んでいてもよい。
本開示の実施形態によれば、樹脂シートの状態を判定することができる。
一実施形態に係る樹脂シートを示す断面図である。 一実施形態に係る検査システムを示すブロック図である。 一実施形態に係る検査システムの照射装置及び検出装置を模式的に示す図である。 実施例1において、標準試料からの反射光を受光することによって取得した拡散反射スペクトルを反転させることによって得られる吸収スペクトルを示す図である。 実施例1において、標準試料の吸収スペクトルに二次微分の処理を施すことによって算出したパラメータ値を示す図である。 実施例1において、標準試料の分子量についての基準値と予測値との対応関係を示す図である。 実施例1において、検証用試料のパラメータ値を回帰式に代入して分子量の予測値を算出した結果を示す図である。 実施例1において、検証用試料のパラメータ値を回帰式に代入することによって得られた分子量の予測値と、検証用試料の分子量の実測値との対応関係を示す図である。 実施例1において、評価対象試料のパラメータ値を回帰式に代入して分子量の予測値を算出した結果を示す図である。 実施例2において、標準試料からの反射光を受光することによって取得した拡散反射スペクトルに平均化処理を施して得た拡散反射平均化スペクトルを示す図である。 実施例2において、標準試料の拡散反射平均化スペクトルに二次微分の処理を施すことによって算出したパラメータ値を示す図である。 実施例2において、標準試料の分子量についての基準値と予測値との対応関係を示す図である。 実施例2において、検証用試料のパラメータ値を回帰式に代入して分子量の予測値を算出した結果を示す図である。 実施例2において、検証用試料のパラメータ値を回帰式に代入することによって得られた分子量の予測値と、検証用試料の分子量の実測値との対応関係を示す図である。
以下、本開示の実施形態に係る樹脂シート及び検査システムの構成について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本明細書において、「基材」や「シート」など用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「基材」は、シートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
まず、検査対象の樹脂シート10について説明する。図1は、本実施の形態における樹脂シート10を示す断面図である。
樹脂シート
樹脂シート10は、床材などの建材の化粧シート、農業用シート、半導体素子の封止シート、包装用シートなど、様々な用途で用いられ得るシートである。樹脂シート10は、基材シート11と、基材シート11に積層された樹脂層12と、を備える。樹脂層12は、基材シート11の面の全域に設けられていてもよく、若しくは、模様を呈するように基材シート11の面に部分的に設けられていてもよい。以下の説明において、樹脂シート10の面のうち、樹脂層12側に位置する面を第1面10xと称し、基材シート11側に位置する面を第2面10yと称する。
基材シート11は、樹脂層12に重なり、樹脂層12を支持するシートである。基材シート11は、例えば紙、合成樹脂などを含む。より具体的には、基材シート11は、紙などの材料として、セルロース樹脂を含んでいてもよく、ポリプロピレンなどのオレフィン系合成樹脂を含んでいてもよい。基材シート11の厚みは、例えば50μm以上且つ400μm以下である。
樹脂層12は、樹脂材料を含む。樹脂層12に含まれる樹脂材料は、特に限定されないが、例えば高分子樹脂である。高分子樹脂の例としては、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリビニルアルコール樹脂(PVA)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミドなどを挙げることができる。
ポリエチレン系樹脂の例としては、ポリエチレンの他、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)などの、エチレンとエチレン以外の成分とをモノマーとするエチレン共重合体などを挙げることができる。また、樹脂層12の樹脂材料は、ゴムを含んでいてもよい。
ゴムの例としては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴムなどを挙げることができる。樹脂層12の厚みは、例えば50μm以上且つ600μm以下である。
樹脂層12は、着色材を更に含んでいてもよい。着色材の例としては、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、酸化クロム、群青(ウルトラマリン)などの無機材料を含む無機粒子を挙げることができる。着色材の配合量は、好ましくは樹脂材料100質量部に対して3質量部以上且つ40質量部以下であり、例えば樹脂材料100質量部に対して30質量部である。
樹脂層12は、樹脂層12の強度や硬度を高めるための多数のフィラーを更に含んでいてもよい。例えば、樹脂層12は、炭酸カルシウムなどの無機材料を含む多数のフィラーを更に含む。フィラーの配合量は、例えば、ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、好ましくは3質量部以上且つ40質量部以下であり、例えば15質量部である。
その他にも、樹脂層12は、防カビ剤、防虫剤、防腐剤、抗菌剤、消臭剤、重合開始剤、重合禁止剤、増感剤、架橋剤、可塑剤、難燃剤、帯電制御剤、熱安定剤、光安定剤、導電剤、消泡剤、防錆剤、酸化防止剤、発泡剤、発泡助剤、近赤外吸収剤、紫外吸収剤、乳化剤などの添加剤を更に含んでいてもよい。
検査システム
次に、上述の樹脂シート10の状態を検査するための検査システム20について説明する。はじめに、検査システム20の原理について説明する。
ポリエチレン系樹脂などの高分子樹脂を含む樹脂層12を備える樹脂シート10は、時間が経つにつれて脆くなることがある。例えば、樹脂シート10の表面を摩擦した場合に、樹脂シート10の表面に傷や圧痕が形成され易くなる。
本件発明者らが研究を重ねたところ、樹脂シート10の脆化などの状態と、樹脂層12に含まれる樹脂材料の分子量との間に相関関係が存在することを見出した。具体的には、樹脂シート10の脆化が進行するにつれて、樹脂層12に含まれる樹脂材料の分子量が小さくなることを見出した。なお本願において、分子量とは、重量平均分子量である。
上述の相関関係は、樹脂層12に含まれる高分子樹脂の重合架橋が分断されることが、樹脂の分子量の低下及び樹脂シート10の脆化を生じさせることに起因していると考えられる。なお、相関関係の原因は、上記の原因に特には限定されない。また、本実施の形態による検査システム20によって検査され得る樹脂シート10の状態が、樹脂シート10の脆化に関する状態に限定されることもない。
また、本件発明者らが研究を重ねたところ、樹脂シート10の樹脂層12に含まれる樹脂材料の分子量と、樹脂シート10に近赤外線を照射した場合に得られる拡散反射スペクトルとの間に相関関係が存在することを見出した。本実施の形態による検査システム20は、拡散反射スペクトルとの相関関係に基づいて樹脂層12に含まれる樹脂材料の分子量を推定し、推定された分子量に基づいて樹脂シート10の状態を判定するよう構成されている。
図2を参照して、検査システム20の各構成要素について説明する。図2は、検査システム20を示すブロック図である。検査システム20は、照射装置21、検出装置24、処理装置27及び判定装置28を備える。
(照射装置)
照射装置21は、樹脂シート10に照射光として近赤外線を照射するための構成要素である。図2に示すように、照射装置21は、近赤外線を照射することが可能な照射部211を含む。照射部211によって、樹脂シート10の第1面10x側から樹脂シート10の領域に照射光を照射することができる。照射光とする近赤外線の波長は、例えば800nm以上2500nm以下である。
図3を参照して、照射装置21について更に詳細に説明する。図3は、検査システム20の照射装置21及び検出装置24を模式的に示す図である。図3に示すように、照射装置21は、照射部211から照射された照射光を拡散させる拡散部212を有していてもよい。拡散部212によって、照射光L1を拡散させ、樹脂シート10に対して様々な方向から照射光L1を照射して、拡散反射スペクトルを得ることができる。拡散部212は、例えば、照射部211と樹脂シート10との間に配置される拡散板である。
(検出装置)
検出装置24は、樹脂シート10によって反射された照射光L1を受光して拡散反射スペクトルを取得するための構成要素である。検出装置24は、上述の照射装置21と一体化していてもよい。検出装置24の大きさは、特に限定されないが、小型であることが好ましい。「小型」とは、検出装置24の質量(検出装置24が照射装置21と一体化している場合には、検出装置24と照射装置21との質量を合わせた質量)が1000g以下であることを意味する。検出装置24が照射装置21と一体化していること、及び検出装置24が小型であることにより、検査システム20の持ち運びが容易になり、屋外での検査や、固定されていて動かせない試料の検査がより容易になる。以下の説明において、樹脂シート10によって反射された照射光L1のことを、反射光L2とも称する。
検出装置24は、反射光L2を検出する検出部241を少なくとも含む。検出部241としては、近赤外分光器、近赤外ハイパースペクトルカメラなどを用いることができる。
検出部241は、樹脂シート10によって正反射された反射光L2だけでなく、樹脂シート10によって拡散反射された反射光L2をも検出することができるよう構成されている。これにより、樹脂シート10の樹脂層12に含まれる樹脂材料に関する情報をより多く得ることができ、分子量の推定の精度を向上させることができる。図3において、符号H1は、検出部241と樹脂シート10との距離を表し、符号W1は、検出部241の幅を表す。距離H1及び幅W1は、樹脂シート10によって拡散反射された反射光L2が検出部241に入射するよう適切に定められている。
検出部241は、複数の波長点における反射光L2の強度に関する情報を含む拡散反射スペクトルを生成する。波長点の数は、検出部241の分解能に応じて定まる。例えば、検出部241が800nm以上2500nm以下の範囲内において、1nmの分解能で反射光L2の強度を検出する場合、波長点の数は1701である。
なお、後述する実施例1に示すように、検出部241は、拡散反射スペクトルから吸収スペクトルを生成してもよい。この場合に、吸収スペクトルを生成する方法は特に限定されない。例えば、拡散反射スペクトルを反転させることによって吸収スペクトルを生成してもよい。また、拡散反射スペクトルから吸光度を算出し、吸光度を、吸収スペクトルを表す値として用いてもよい。吸光度は、例えば拡散反射スペクトルが百分率により表示された反射率Rとして表されている場合には、以下の式により算出することができる。
(吸光度)=log{100/(100-R)}
吸収スペクトルは、樹脂シート10の樹脂層12に含まれる樹脂材料との相関関係に関して、拡散反射スペクトルと同等の情報を含んでいる。従って、検出装置24の下流側に位置する処理装置27及び判定装置28は、拡散反射スペクトルに基づいて樹脂シート10の状態を判定することもでき、また、吸収スペクトルに基づいて樹脂シート10の状態を判定することもできる。
(処理装置)
処理装置27は、検出装置24が取得した拡散反射スペクトルに所定の処理を施すための構成要素である。処理装置27は、上述の検出装置24と一体化していてもよい。以下の説明において、拡散反射スペクトルに所定の処理を施すことにより複数の波長点において得られた値のことを、パラメータ値と称する。なお、「拡散反射スペクトルに処理を施す」とは、拡散反射スペクトルそのものに処理を施す場合だけでなく、上述の吸収スペクトルなど、拡散反射スペクトルと同等の情報を含むスペクトルに対して処理を施す場合も含む概念である。
処理装置27は、例えば、拡散反射スペクトルに、平均化、平滑化、正規化、微分、散乱補正、ベースライン補正、ピークシフト補正、又はそれらの組み合わせを含む処理を施すことにより、複数の波長点に対応する複数のパラメータ値を算出する。
ここで、平均化処理とは、以下のような処理である。まず前提として、状態を判定しようとする樹脂シート10の第1面10x側の複数の領域に対して、それぞれ照射装置21により照射光を照射して、検出装置24によりそれぞれの領域における複数の拡散反射スペクトルを取得しておく。そして、処理装置27において、複数の拡散反射スペクトルの値を、波長点毎に足し合わせて、拡散反射スペクトルの数で割り、平均化する。照射光を照射する領域の数は、特に限定されないが、例えば10箇所以上である。
平均化処理を行うことにより、樹脂シート10の表面に凹凸があったり、表面の状態が均一でなかったりする場合であっても、複数の領域から取得した拡散反射スペクトルを平均化して判定に用いることにより、より精度よく分子量を算出し、樹脂シート10の状態を判定することができる。
また、平滑化とは、拡散反射スペクトルにおいて、ある波長点の値が他の波長点の値と乖離している場合に、乖離している値を除去したり、他の値に近づけたりして、全体的に突出の少ない拡散反射スペクトルを得る処理をいう。
また、散乱補正とは、散乱体のスペクトル測定をする際に、散乱因子を最小二乗法により推定して最適なスペクトルを得る処理をいう。
また、ベースライン補正とは、取得した拡散反射スペクトルからベースラインを差し引く処理である。
また、ピークシフト補正とは、取得した拡散反射スペクトルにおけるピークの位置のずれを補正する処理である。
また、上述の検出装置24において、拡散反射スペクトルから吸収スペクトルを生成しない場合には、処理装置27において、拡散反射スペクトルを反転させることにより吸収スペクトルを生成してもよい。
処理装置27による処理は、以下の目的を有していてもよい。検出装置によって取得した拡散反射スペクトルは、反射光の強度の絶対値に関する情報を含むため、照射部211の出力、照射部211と樹脂シート10との間の距離、樹脂シート10と検出部241との間の距離などによって変化する。この結果、分子量の推定値がばらついたり、樹脂シート10の状態の判定がばらついたりしてしまう可能性がある。処理装置27による処理は、このようなばらつきを低減することを目的としてもよい。ばらつきを低減する処理は、反射光の強度の絶対値に関する情報を除く、又は低減することができる処理であれば特に限定されないが、例えば微分又は正規化である。ばらつきを低減する処理として微分を行う場合における微分の回数は特に限定されないが、例えば二次微分を行うことができる。
処理装置27が有するパラメータ値の個数、及びパラメータ値の求められる波長範囲は、パラメータ値に基づいて精度よく分子量を求めることができる限りにおいて、特に限定されない。例えば、処理装置は、800nm以上2500nm以下の波長範囲内において、樹脂層12のパラメータ値を69個以上含むことが好ましい。
(判定装置)
判定装置28は、処理装置27が算出したパラメータ値に基づいて樹脂層12の樹脂材料の分子量を算出することにより、樹脂シート10の状態を判定するための構成要素である。判定装置28は、上述の処理装置27と一体化していてもよい。図2に示すように、判定装置28は、記憶部281と、解析部282と、判定部283と、を含む。
記憶部281は、複数のパラメータ値と樹脂材料の分子量との関係を表す回帰式が予め記憶された構成要素である。記憶部281は、例えばROMやRAMなどのメモリーである。
記憶部281に記憶された回帰式は、パラメータ値に基づいて樹脂材料の分子量を算出することができる限り、特に限定されない。例えば、回帰式は、樹脂材料を含む複数の標準試料の複数のパラメータ値と各標準試料の樹脂材料の分子量との関係を表している。また、回帰式は、複数のパラメータ値に対応する複数の回帰係数を含んでいてもよい。記憶部281には、各標準試料の樹脂材料の種類の数に応じた回帰式が記録されていてもよい。その場合には、分子量を測定する樹脂材料の種類によって、分子量の算出に用いる回帰式を変更することができる。
解析部282は、記憶部281の回帰式及び樹脂シート10の複数のパラメータ値に基づいて、樹脂層12の樹脂材料の分子量を算出するための構成要素である。解析部282は、例えばCPUである。
解析部282における分子量の算出のために、以下の算出方法を採用してもよい。事前に、状態を判定する一つの樹脂シート10の一つの測定点に複数回近赤外線を照射し、又は一つの樹脂シート10の複数の異なる測定点にそれぞれ近赤外線を照射して、複数の拡散反射スペクトルを取得しておく。次に、取得した複数の拡散反射スペクトルに対応する複数の分子量をそれぞれ算出する。次に、複数の分子量を平均して、樹脂シート10の分子量として算出する。
判定部283は、樹脂層12の樹脂材料の分子量に基づいて樹脂シート10の状態を判定するための構成要素である。判定部283により樹脂シート10の状態を判定する方法は、特に限定されない。例えば、樹脂材料としてポリエチレン系樹脂を含む樹脂層12を備える樹脂シート10が脆化しているか否かを判定する場合には、樹脂材料の重量平均分子量が80000以上と算出された樹脂シート10は脆化しておらず、80000未満と算出された樹脂シート10は脆化している、と判定してもよい。
図示はしないが、判定装置28は、判定結果を表示する表示部を有していてもよい。表示部における判定結果の表示の仕方は、表示から判定結果が理解できる限り、特に限定されない。例えば、樹脂シート10が脆化しているか否かを判定する場合には、解析部282において算出された分子量を表示してもよく、判定部283において樹脂シートが脆化していないと判定された場合には丸等の記号を表示してもよい。また、分子量と丸等の記号との両方を表示してもよい。
検査方法
次に、上述の検査システム20を用いて樹脂シート10の状態を検査するための検査方法について説明する。
まず、照射装置21の照射部211を用いて、樹脂シート10に、照射光として近赤外線を照射する照射工程を行う。
次に、近赤外線を樹脂シート10に照射することにより生じる反射光を、検出装置24により受光し、複数の波長点における反射光の強度に関する情報を含む拡散反射スペクトルを取得する検出工程を行う。
次に、検出工程において取得した拡散反射スペクトルに、処理装置27により、平均化、平滑化、正規化、微分、散乱補正、ベースライン補正、ピークシフト補正、又はそれらの組み合わせを含む処理を施して、複数の波長点に対応する複数のパラメータ値を算出する処理工程を行う。
次に、判定工程を行う。判定工程においては、まず判定装置28の記憶部281に記憶された回帰式、及び処理工程において算出したパラメータ値に基づいて、解析部282において樹脂材料の分子量を算出する。そして、算出した分子量に基づいて、判定部283において樹脂シート10の状態を判定する。
以上の方法により、樹脂シート10の状態を判定することができる。検査方法の具体例については、実施例において後述する。
検査システムの製造方法
次に、上述の検査システム20を製造するための製造方法について説明する。
まず、図2に示すような照射装置21、検出装置24、処理装置27及び判定装置28を準備する。
次に、照射装置21の照射部211を用いて、樹脂材料を含む樹脂層12を備える樹脂シート10を有する複数の標準試料に近赤外線を照射する標準試料照射工程を行う。
次に、照射光を複数の標準試料に照射することにより得られる反射光を、それぞれ検出装置24により受光し、各々が複数の波長点における反射光の強度に関する情報を含む、複数の標準試料拡散反射スペクトルを取得する標準試料検出工程を行う。
次に、複数の標準試料拡散反射スペクトルの各々に、処理装置27により、平均化、平滑化、正規化、微分、散乱補正、ベースライン補正、ピークシフト補正、又はそれらの組み合わせを含む処理を施して、複数の波長点に対応する複数のパラメータ値をそれぞれ算出する標準試料処理工程を行う。
次に、判定装置28の解析部282において、各標準試料の複数のパラメータ値と各標準試料の樹脂材料の分子量との関係を表す回帰式を、多変量解析手法を用いて作成する回帰式作成工程を行う。多変量解析手法としては、例えばPLS回帰分析を行うことができる。多変量解析は、記憶部281に多変量解析用のプログラムを記録しておき、このプログラムを解析部282において実行することによって行うことができる。作成した回帰式は、判定装置28の記憶部281に記録しておく。
以上の方法により、上述の検査システム20を製造することができる。回帰式作成工程の具体例については、実施例において後述する。
(変形例)
なお、上述の実施の形態においては、検出装置24が取得した拡散反射スペクトル又は吸収スペクトルに微分などの処理を施すことによって得られるパラメータ値に基づいて、多変量解析を実施する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、拡散反射スペクトル又は吸収スペクトルに含まれる、各波長点における強度、反射率、吸収率などの値に基づいて、多変量解析を実施してもよい。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
検査システムの製造方法
(標準試料の準備工程)
まず、実施例1に係る検査システム20の製造方法について説明する。具体的には、検査システム20の記憶部281に記憶させておく回帰式の作成方法について説明する。
最初に、図1に示す樹脂シート10の試料を準備した。具体的には、樹脂材料としてポリエチレン系樹脂を含み、ポリエチレン系樹脂100質量部に対して酸化チタンを30質量部、炭酸カルシウムを15質量部含む樹脂層12と、セルロース樹脂を含む基材シート11とを備えた樹脂シート10のサンプルを約270個準備した。これらのサンプルを、回帰式を作成するための標準試料として用いた。各サンプルの樹脂材料の分子量を液体クロマトグラフ付属のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)システムにより測定したところ、各試料の分子量は、10000以上220000以下であった。以下、液体クロマトグラフ付属のゲル浸透クロマトグラフィーシステムによって測定した樹脂材料の分子量の値を「基準値」とも称する。
(標準試料照射工程及び標準試料検出工程)
次に、準備した約270個のサンプルのそれぞれについて、3箇所に近赤外線を照射し、3つの拡散反射スペクトルを取得した。図4に、取得した拡散反射スペクトルを反転させることによって得られる吸収スペクトルを示す。近赤外線を照射する照射装置21、及び反射光を検出して吸収スペクトルを生成する検出装置24としては、近赤外線の照射機能と検出機能とが一体化した近赤外線分光器を用いた。具体的には、テキサス・インスツルメンツ製の近赤外線分光器 DLP NIR Scan Nanoを用いた。検出装置24の波長分解能は10nmであり、出力波長間隔は3.5nmであるため、吸収スペクトルは、波長900nm以上1700nm以下の範囲内の228個の波長点における、樹脂シート10の吸収率に関する情報を含む。
(標準試料処理工程)
次に、処理装置27を用いて、吸収スペクトルの各々に二次微分の処理を施し、波長900nm以上1700nm以下の範囲内の各波長点におけるパラメータ値を算出した。パラメータ値の算出結果を図5に示す。
(回帰式作成工程)
次に、判定装置28の解析部282を用いて、多変量解析としてPLS回帰分析を行って、各サンプルの吸収スペクトルに処理を施して得たパラメータ値と、各サンプルの分子量の基準値との関係を示す回帰式を作成した。結果を図6に示す。また、作成した回帰式を、判定装置28の記憶部281に記憶させた。PLS回帰分析には、カモソフトウェア製の多変量解析ソフト The Unscrambler Xを用いた。
図6において、横軸は、各サンプルにおける分子量の基準値を表す。また、縦軸は、各サンプルの各波長点におけるパラメータ値及び回帰式に基づいて、各サンプルの樹脂材料の分子量を算出した予測値を表す。図6において符号L3が付された直線は、分子量の基準値と予測値から最小二乗法で求められた基準線である。PLS回帰分析においては、各サンプルの各波長点におけるパラメータ値に基づいて算出される予測値が基準線L3に回帰されるよう、回帰式を作成する。具体的には、複数のパラメータ値(説明変数)に対応する複数の回帰係数(目的変数)を作成する。
なお、図6には、回帰式を作成する時に用いられた、符号P1で示す点に加えて、作成した回帰式に用いられた各サンプルの各波長点におけるパラメータ値を、回帰式に代入して得られた分子量の予測値を表す点P2も示されている。図6に示すように、点P1と点P2は近接した位置に現れている。
(検証工程)
回帰式作成工程の後、回帰式の精度などを検証する検証工程を行った。まず、標準試料として用いたサンプルと同様のサンプルを約130個準備した。これらのサンプルを、回帰式の精度などを検証するための検証用試料として用いた。検証用試料においても、樹脂層12の樹脂材料の分子量は既知である。続いて、標準試料の場合と同様に、準備した約130個のサンプルのそれぞれについて、3箇所に近赤外線を照射し、3つの拡散反射スペクトルを取得した。続いて、拡散反射スペクトルを吸収スペクトルに変換し、二次微分の処理を施してパラメータ値を算出した。続いて、算出したパラメータ値、及び、上述の回帰式作成工程において作成した回帰式に基づいて、各サンプルの樹脂層12の樹脂材料の分子量の予測値を算出した。結果を図7に示す。図7において、横軸は、約130個のサンプルの各3箇所から得られた吸収スペクトルのそれぞれに付したシリアル番号である。また、縦軸は、各吸収スペクトルから得られたパラメータ値に基づいて算出された分子量の予測値である。なお、図7には、分子量の予測値の誤差範囲を併せて示している。誤差範囲は、上述の多変量解析ソフト「The Unscrambler X」を用いて分子量の予測値を算出する際に出力される。
図8に、検証用試料として用いた各サンプルの樹脂材料の分子量の予測値を菱形のマーカーで示し、各サンプルの既知の分子量を正方形のマーカーで示す。図8に示すように、各検証用試料の分子量の予測値は、基準値と近い値となっていた。よって、作成した回帰式によって、各サンプルの分子量を精度良く予測できたと言える。
検査方法
次に、検査システム20を用いた検査方法について説明する。最初に、樹脂層12の樹脂材料の分子量が未知の樹脂シート10からなるサンプルを57個準備した。
次に、標準試料の場合と同様に、照射装置21を用いて各サンプルに照射する照射工程を実施した。また、標準試料の場合と同様に、検出装置24を用いて、各サンプルから生じる反射光を受光して拡散反射スペクトルを取得し、拡散反射スペクトルを吸収スペクトルに変換する検出工程を実施した。続いて、標準試料の場合と同様に、処理装置27を用いて、吸収スペクトルの各々に二次微分の処理を施し、波長900nm以上1700nm以下の範囲内の各波長点におけるパラメータ値を算出した。続いて、判定装置28の解析部282を用いて、記憶部281に記憶されている回帰式、及び各サンプルの各波長点におけるパラメータ値に基づいて、各サンプルの樹脂層12の樹脂材料の分子量の予測値を算出した。結果を図9に示す。
次に、判定装置28の判定部283を用いて、各サンプルの樹脂層12の樹脂材料の分子量の予測値に基づいて、各サンプルの状態を判定した。本実施例においては、樹脂材料の分子量が80000以上である樹脂シート10からなるサンプルは脆化しておらず、分子量が80000未満である樹脂シート10からなるサンプルは脆化している、と判定した。図9において符号L4が付された直線は、分子量が80000である場合を示す基準線である。各サンプルの分子量の予測値は、誤差範囲を含む値の中央値とした。
本実施例においては、樹脂シート10からなるサンプルに近赤外線を照射することによって得られるスペクトルに含まれる情報を、多変量解析手法を用いて解析することにより、サンプルの樹脂層12の樹脂材料の分子量を算出した。このため、サンプルの樹脂層12の樹脂材料の分子量を、サンプルを破壊することなく精度良く算出することができた。
従って、本実施例による検査システム20を用いることにより、現場で簡易に樹脂シート10の樹脂層12の樹脂材料の分子量を算出することができ、このため、樹脂シートの状態を判定することができる。
[実施例2]
検査システムの製造方法
(標準試料照射工程及び標準試料検出工程)
近赤外線を照射する照射装置21として、オーシャンフォトニクス社製の重水素ハロゲン光源 DH-2000を用い、反射光の受光及び拡散反射スペクトルの取得を行う検出装置24としてJFEテクノリサーチ株式会社製の近赤外線用イメージング分光解析装置
SWIR-2400を用いたこと以外は、実施例1の場合と同様にして、標準試料の拡散反射スペクトルを取得した。標準試料としては、実施例1の場合と同様の樹脂シート10からなり、樹脂層12の樹脂材料の分子量が既知である15個のサンプルを用いた。
拡散反射スペクトルの取得は、具体的には以下のように行った。まず、10cm四方の大きさの試料を用意し、試料の全範囲から、1画素0.3mmの分解能にて、波長900nm以上2400nm以下の範囲にて、各波長点における、反射光の強度に関する情報を含む拡散反射スペクトルを取得した。検出装置24の波長分解能は12nmであり、出力波長間隔は6nmであるため、拡散反射スペクトルは、波長900nm以上2400nm以下の範囲内の251個の波長点における、樹脂シート10の反射率に関する情報を含む。
(標準試料処理工程)
次に、測定領域において1画素毎に得た拡散反射スペクトルに対して、全て波長点毎に平均化処理を行って、領域全体における拡散反射平均化スペクトルを得た。取得したサンプルの拡散反射平均化スペクトルを図10に示す。
次に、実施例1の場合と同様に、処理装置27を用いて、拡散反射平均化スペクトルの各々に二次微分の処理を施し、波長900nm以上2400nm以下の範囲内の各波長点におけるパラメータ値を算出した。パラメータ値の算出結果を図11に示す。
(回帰式作成工程)
次に、実施例1と同様の方法により、判定装置28の解析部282を用いて回帰式を作成した。結果を図12に示す。
(検証工程)
回帰式作成工程の後、実施例1と同様の方法により、樹脂層12の樹脂材料の分子量が既知である7個のサンプルを検証用試料として用いて検証工程を行った。結果を図13に示す。また、図14に、検証用試料として用いた各サンプルの樹脂材料の分子量の予測値を菱形のマーカーで示し、各サンプルの既知の分子量を正方形のマーカーで示す。図14に示すように、各検証用試料の分子量の予測値は、基準値と近い値となっていた。よって、作成した回帰式によって、各サンプルの分子量を精度良く予測できたと言える。
10 樹脂シート
10x 第1面
10y 第2面
11 基材シート
12 樹脂層
20 検査システム
21 照射装置
211 照射部
212 拡散部
24 検出装置
241 検出部
27 処理装置
28 判定装置
281 記憶部
282 解析部
283 判定部

Claims (20)

  1. 重合したポリエチレン系樹脂である樹脂材料を含む樹脂層を備える樹脂シートの状態を検査する検査システムであって、
    前記樹脂シートに照射光として近赤外線を照射する照射部を含む照射装置と、
    前記照射光を前記樹脂シートに照射することにより生じる反射光を受光し、複数の波長点における前記反射光の強度に関する情報を含む拡散反射スペクトルを取得する検出装置と、
    複数の波長点における前記反射光の強度の値、又は、前記拡散反射スペクトルに平均化、平滑化、正規化、微分、散乱補正、ベースライン補正、ピークシフト補正、又はそれらの組み合わせを含む処理を施すことによって複数の波長点において得られる値を、各波長点に対応する複数のパラメータ値として算出する処理装置と、
    複数のパラメータ値と前記樹脂材料の重量平均分子量との関係を表す回帰式が予め記憶された記憶部と、前記記憶部の前記回帰式及び前記処理装置が算出した前記樹脂層の複数のパラメータ値に基づいて前記樹脂層の前記樹脂材料の重量平均分子量を算出する解析部と、前記樹脂層の前記樹脂材料の重量平均分子量に基づいて前記樹脂シートの脆化の状態を判定する判定部と、を含む判定装置と、を備える、検査システム。
  2. 前記記憶部の前記回帰式は、前記樹脂材料を含む複数の標準試料の複数のパラメータ値と各標準試料の前記樹脂材料の重量平均分子量との関係を表している、請求項1に記載の検査システム。
  3. 前記記憶部の前記回帰式は、複数のパラメータ値に対応する複数の回帰係数を含む、請求項1又は2に記載の検査システム。
  4. 前記処理装置は、800nm以上2500nm以下の波長範囲内において、前記樹脂層のパラメータ値を69個以上含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検査システム。
  5. 前記照射装置は、前記照射光を拡散させる拡散部をさらに含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の検査システム。
  6. 前記樹脂シートは、前記樹脂層に重なり、セルロース樹脂を含む基材シートを更に含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の検査システム。
  7. 前記樹脂層の前記樹脂材料は、ゴムを含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の検査システム。
  8. 前記検出装置は、近赤外分光器を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の検査システム。
  9. 前記検出装置は、近赤外ハイパースペクトルカメラを含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の検査システム。
  10. 重合したポリエチレン系樹脂である樹脂材料を含む樹脂層を備える樹脂シートの状態を検査する検査方法であって、
    前記樹脂シートに照射光として近赤外線を照射する照射工程と、
    前記照射光を前記樹脂シートに照射することにより生じる反射光を受光し、複数の波長点における前記反射光の強度に関する情報を含む拡散反射スペクトルを取得する検出工程と、
    複数の波長点における前記反射光の強度の値、又は、前記拡散反射スペクトルに平均化、平滑化、正規化、微分、散乱補正、ベースライン補正、ピークシフト補正、又はそれらの組み合わせを含む処理を施すことによって複数の波長点において得られる値を、各波長点に対応する複数のパラメータ値として算出する処理工程と、
    複数のパラメータ値と前記樹脂材料の重量平均分子量との関係を表す回帰式、及び前記処理工程において算出された前記樹脂層の複数のパラメータ値に基づいて前記樹脂層の前記樹脂材料の重量平均分子量を算出し、前記樹脂層の前記樹脂材料の重量平均分子量に基づいて前記樹脂シートの脆化の状態を判定する判定工程と、を備える、検査方法。
  11. 前記回帰式は、前記樹脂材料を含む複数の標準試料の複数のパラメータ値と各標準試料の前記樹脂材料の重量平均分子量との関係に基づいて予め作成されている、請求項10に記載の検査方法。
  12. 前記回帰式は、複数のパラメータ値に対応する複数の回帰係数を含む、請求項10又は11に記載の検査方法。
  13. 前記処理工程は、800nm以上2500nm以下の波長範囲内において、前記樹脂層のパラメータ値を69個以上算出する、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の検査方法。
  14. 前記照射工程は、前記照射光を拡散させることを含む、請求項10乃至13のいずれか一項に記載の検査方法。
  15. 前記樹脂シートは、前記樹脂層に重なり、セルロース樹脂を含む基材シートを更に含む、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の検査方法。
  16. 前記樹脂層の前記樹脂材料は、ゴムを含む、請求項10乃至15のいずれか一項に記載の検査方法。
  17. 前記検出工程は、近赤外分光器を用いて前記拡散反射スペクトルを取得する、請求項10乃至16のいずれか一項に記載の検査方法。
  18. 前記検出工程は、近赤外ハイパースペクトルカメラを用いて前記拡散反射スペクトルを取得する、請求項10乃至16のいずれか一項に記載の検査方法。
  19. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の検査システムの製造方法であって、
    前記樹脂材料を含む樹脂層を備える樹脂シートを有する複数の標準試料に近赤外線を照射する標準試料照射工程と、
    前記照射光を複数の前記標準試料に照射することにより得られる反射光をそれぞれ受光し、各々が複数の波長点における前記反射光の強度に関する情報を含む、複数の標準試料拡散反射スペクトルを取得する標準試料検出工程と、
    複数の標準試料拡散反射スペクトルの複数の波長点における前記反射光の強度の値、又は、複数の前記標準試料拡散反射スペクトルの各々に平均化、平滑化、正規化、微分、散乱補正、ベースライン補正、ピークシフト補正、又はそれらの組み合わせを含む処理を施すことによって複数の波長点において得られる値を、各波長点に対応する複数のパラメータ値としてそれぞれ算出する標準試料処理工程と、
    各標準試料の複数のパラメータ値と各標準試料の前記樹脂材料の重量平均分子量との関係を表す回帰式を、多変量解析手法を用いて作成する回帰式作成工程と、を備える、検査システムの製造方法。
  20. 前記回帰式作成工程は、重回帰分析、主成分回帰分析又はPLS回帰分析を行うことを含む、請求項19に記載の検査システムの製造方法。
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