JP7130569B2 - 熱交換器及びボイラ並びに熱交換器の吸熱量調整方法 - Google Patents
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また、煙道内に配置される熱交換器(例えば、過熱器など)は、多数の伝熱管によって構成されている。燃焼ガスは、隣接する伝熱管同士の間に形成された隙間を燃焼ガスが通過することで煙道内を流通する。燃焼ガスには様々な成分が含まれているので、燃焼ガスと接触する伝熱管の表面には、粘性クリンカ等が付着することがある。粘性クリンカ等が付着すると、隣接する伝熱管との隙間の長さが変化するため、粘性クリンカの付着の有無及び付着量によって各隙間を通過する燃焼ガスの流量や流速が異なる。よって、このような要因からも、燃焼ガスの偏流が発生して熱交換器を通過するガス流れの分布が変化する場合がある。
本発明の一態様に係る熱交換器は、内部に流体が流通していて、前記流体よりも高温である高温ガスと前記流体とを熱交換させ、前記高温ガスの流れ方向と交差する所定方向に延びる複数の伝熱管と、前記伝熱管に対して着脱可能に固定される偏流板と、を備え、複数の前記伝熱管は、前記高温ガスの流れ方向に並んで配置されるとともに、前記高温ガスの流れ方向及び前記所定方向の両方と交差する交差方向に並んで配置されていて、前記偏流板は、前記高温ガスの流れ方向の下流側端部に配置された前記伝熱管に固定されていて、板面が前記高温ガスの流れ方向と交差するように設けられている。
また、応急的に偏流板を取り付けて、その効果を確認した場合には、対策を実施する必要がある領域を限定してから恒久的な対策を実施することができる。
また、着脱可能な偏流板が複数設けられているので、各偏流板の取り付け又は取り外しを行うことで、高温ガスが流通する流路の阻害面積を調整することができる。したがって、精密に高温ガス流量を低減させることができるので、高温ガス流路のガス流量の偏りを抑制することができる。
上記構成では、過熱器は、煙道の燃焼ガス流れ方向が鉛直方向から水平方向に変わる連結位置付近に配置される熱交換器であるため、燃焼ガスの流れが外周側よりも内周側を流れやすくなるといった偏流の影響を受けやすい。このため、過熱器に偏流板を設けることで、燃焼ガスの流量が多い領域に偏流板を設置することができる。これにより、燃焼ガスの流量の偏りによる伝熱管の局所的な昇温が、より抑制されるので、伝熱管の損傷や伝熱性能の低下を抑制することができる。
偏流板81は、図3に示すように、過熱器42の複数の伝熱管43のうち、燃焼ガスの流れ方向(X方向)の下流側端部に配置された伝熱管43の第1鉛直管部43aに固定されていている。また、偏流板81は複数設けられている。
また、偏流板81の各部分の板厚は、例えば4mmから8mm程度に設定され、偏流板81の重量は例えば10kgから20kg程度に設定されている。なお、偏流板81の板厚及び重量は、これに限定されない。偏流板81を設置や調整するにあたり、煙道13のマンホールなどから搬入搬出が可能なサイズと重量になることが好ましい。
また、Uボルト83及びUボルト83の各軸部と螺合するナットは、偏流板81と同様に、高温雰囲気であって、かつ、酸化性雰囲気であり、更には腐食性雰囲気である煙道13に設けられている。このため、Uボルト83及びUボルト83の各軸部と螺合するナットは、偏流板81と同様に、例えば、耐熱性及び耐食性を有するSUS304,SUS316やSUS310Sなどのステンレス鋼で形成される。これにより、Uボルト83及びナットの損傷を抑制することができる。
また、応急的に偏流板81を取り付けて、その効果を確認した場合には、対策を実施する必要がある領域を限定してから恒久的な対策を実施することができる。
具体的には、本実施形態に係るボイラ10のように、煙道13が第1鉛直部13aと水平部13bとを有しているような場合には、第1鉛直部13aと水平部13bとの連結部分において、燃焼ガスがショートパスする場合がある。燃焼ガスがショートパスした場合、内周側を流れる燃焼ガス(図3の矢印A)の流量が、外周側を流れる燃焼ガス(図3の矢印B)の流量よりも多くなる傾向がある。このように、過熱器42は、煙道13の燃焼ガス流れ方向が鉛直方向から水平方向に変わる連結位置付近に配置されるため、偏流の影響を受け易い。このような場合には、上部に偏流板81を設けずに、下部のみに偏流板81を設けることで、上下方向(Z方向)における燃焼ガス流量の偏りを抑制することができる。よって、伝熱管43内を流れる流体への吸熱量が調整され、燃焼ガスの流量の偏りによる伝熱管の局所的な昇温がより抑制されるので、伝熱管の損傷や伝熱性能の低下を抑制することができる。
一方、本実施形態では、偏流板81をUボルト83で強固に固定している。これにより、偏流板81自体や、Uボルト83等の固定部81a材の脱落を抑制することができる。
例えば、上記実施形態では、ボイラ10として、重油や原油などの液体燃料を用いる油焚きボイラを例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、燃料として液体燃料に限らず、天然ガスや副生ガスなどのガス燃料を用いるガス焚きボイラであってもよく、更には、石炭やバイオマス、石油コークス、石油残渣などの固体燃料を使用する固体燃料焚きボイラであってもよい。そして、これら燃料の混焼焚きにも適用することができる。
10 :油焚きボイラ(ボイラ)
11 :火炉
12 :燃焼装置
13 :煙道(燃焼ガス流路)
13a :第1鉛直部
13b :水平部
13c :第2鉛直部
13d :突出部
13da :第1傾斜面
13db :第2傾斜面
13e :天井壁
41,42 :過熱器(熱交換器)
43 :伝熱管
43a :第1鉛直管部
43b :傾斜管部
43c :第2鉛直管部
44 :第2再熱器
45 :第1再熱器
46 :第2節炭器
47 :第1節炭器
48 :ガスダクト
74 :入口ヘッダ
75 :出口ヘッダ
81 :偏流板
81a :固定部
81b :上部水平部
81c :下部水平部
81d :外側部(曲折部)
81e :内側部(曲折部)
82 :ボルト孔
82a :第1ボルト孔
82b :第2ボルト孔
82c :第3ボルト孔
82d :第4ボルト孔
82e :第5ボルト孔
82f :第6ボルト孔
83 :Uボルト
83a :第1Uボルト
83b :第2Uボルト
83c :第3Uボルト
Claims (7)
- 内部に流体が流通していて、前記流体よりも高温である高温ガスと前記流体とを熱交換させ、前記高温ガスの流れ方向と交差する所定方向に延びる複数の伝熱管と、
前記伝熱管に対して着脱可能に固定される偏流板と、を備え、
複数の前記伝熱管は、前記高温ガスの流れ方向に並んで配置されるとともに、前記高温ガスの流れ方向及び前記所定方向の両方と交差する交差方向に並んで配置されていて、
前記偏流板は、前記高温ガスの流れ方向の下流側端部に配置された前記伝熱管に固定されていて、板面が前記高温ガスの流れ方向と交差するように設けられていて、
複数の前記偏流板は、前記所定方向に沿って並んで配置されている熱交換器。 - 前記偏流板は、複数設けられ、
複数の前記偏流板は、板面が前記所定方向と前記交差方向とで形成される面に沿うように並んで配置されている請求項1に記載の熱交換器。 - 前記偏流板には、長円形状のボルト孔が形成されていて、
前記偏流板と前記伝熱管とは、前記ボルト孔を挿通するUボルトによって固定されている請求項1または請求項2に記載の熱交換器。 - 前記偏流板は、前記板面の前記交差方向の端部から前記高温ガスの流れ方向の上流側もしくは下流側方向へ曲折して延びる曲折部を有している請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱交換器。
- 請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱交換器と、
火炉で生成された燃焼ガスが流通する燃焼ガス流路と、を備え、
前記熱交換器は、前記燃焼ガス流路内に設けられ、
前記高温ガスは、前記燃焼ガスであるボイラ。 - 前記熱交換器は過熱器である請求項5に記載のボイラ。
- 熱交換器の吸熱量調整方法であって、
前記熱交換器は、
内部に流体が流通していて、前記流体よりも高温である高温ガスと前記流体とを熱交換させ、前記高温ガスの流れ方向と交差する所定方向に延びる複数の伝熱管と、
前記伝熱管に対して着脱可能に固定される偏流板と、を備え、
複数の前記伝熱管は、前記高温ガスの流れ方向に並んで配置されるとともに、前記高温ガスの流れ方向及び前記所定方向の両方と交差する交差方向に並んで配置されていて、
前記偏流板は、前記高温ガスの流れ方向の下流側端部に配置された前記伝熱管に固定されていて、板面が前記高温ガスの流れ方向と交差するように設けられていて、
複数の前記偏流板は、前記所定方向に沿って並んで配置されていて、
前記偏流板によって、前記高温ガスの流れを変更する工程を備えた熱交換器の吸熱量調整方法。
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