煙道内に設けられる熱交換器は、煙道等の天井部分に吊り下げられるように固定されている。煙道内には燃焼ガスが流通することから、熱交換器は、流動する燃焼ガスに曝されて、固定部分を支点として振動する。これにより、熱交換器が振動すると、固定部分には負荷が作用するため、疲労損傷が進行する。このような疲労損傷の進行を抑制するために、熱交換器の振動を抑制する防振装置が設けられる場合がある。
防振装置の構造は、熱交換器の種類や配置位置によって異なるが、例えば、煙道の壁部に近い場所に配置される熱交換器では、壁部に設けられた炉壁管を利用する構造とすることが考えられる。具体的には、複数の炉壁管のうち、2本の炉壁管(アンカー管)の一部を炉内側へ湾曲させるとともに、熱交換器の伝熱管の一部(ガードリング管)を炉壁側へ湾曲させる。そして、伝熱管側の湾曲部分を2本の炉壁管の湾曲部分で挟むことで、湾曲部分同士が当接することで、熱交換器の振動を抑制する構造とすることが考えられる。
このような構成とした場合には、アンカー管及びガードリング管の湾曲部分同士は、繰り返し接触することとなるため、湾曲部分が摩耗してしまう。このため、ガードリング管とアンカー管の接触部分にそれぞれスリーブを取り付け、ガードリング管とアンカー管自体の摩耗を防止することが考えられる。
ガードリング管とアンカー管の接触部分にそれぞれスリーブを取り付けた場合には、スリーブ同士が接触することとなるため、スリーブが摩耗する。スリーブの中には摩耗が予想以上に早いものがある。発明者の鋭意なる検討の結果、スリーブの外周面を円筒状に形成していることで、各々のスリーブが点接触して接触面圧が高くなることとなるため、摩耗の進行が早くなり、各スリーブの寿命が短くなってしまう可能性があると判明した。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、伝熱管スリーブと炉壁管スリーブとの接触に起因する炉壁管スリーブ及び伝熱管スリーブの摩耗を抑制することができ、炉壁管スリーブ及び伝熱管スリーブの長寿命化を図ることができるボイラ及び熱交換器並びにボイラの運転方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のボイラ及び熱交換器並びにボイラの運転方法は以下の手段を採用する。
本発明の一態様に係るボイラは、所定方向に延在する複数の炉壁管を有する壁部によって規定され、火炉で生成された燃焼ガスが流通する燃焼ガス流路と、前記所定方向に延在する複数の伝熱管を有し、前記燃焼ガス流路内で前記壁部と隣接して設けられる熱交換器と、複数の前記炉壁管は、前記熱交換器方向へ湾曲することで突出するとともに外周面が炉壁管スリーブによって覆われている炉壁管凸部を有する前記炉壁管を複数含み、複数の前記伝熱管は、前記壁部方向へ湾曲することで突出するとともに外周面が伝熱管スリーブによって覆われている伝熱管凸部を有する前記伝熱管を含み、複数の前記炉壁管凸部は、前記伝熱管凸部を挟むように配置されていて、前記炉壁管スリーブの外周面には、前記伝熱管スリーブと対向する位置に平面状の炉壁管平面部が形成されていて、前記伝熱管スリーブの外周面には、前記炉壁管スリーブと対向する位置に平面状の伝熱管平面部が形成されている。
上記構成では、壁部の複数の炉壁管凸部が、壁部に隣接した熱交換器の伝熱管凸部を挟むように配置されている。これにより、熱交換器が振動した場合、伝熱管凸部(詳細には、伝熱管スリーブの伝熱管平面部)と、炉壁管凸部(詳細には、炉壁管スリーブの炉壁管平面部)とが干渉(接触)する。このように、伝熱管凸部と炉壁管凸部とが干渉することで、伝熱管凸部の移動が炉壁管凸部によって規制される。すなわち、熱交換器の振動が抑制される。熱交換器の振動を抑制することで、熱交換器の固定箇所に作用する負荷を抑制することができる。
また、伝熱管凸部及び炉壁管凸部が、スリーブによって覆われている。これにより、伝熱管自体及び炉壁管自体は直接相互に接触しない。したがって、伝熱管自体及び炉壁管自体の摩耗を防止することができる。
また、炉壁管スリーブの外周面には、伝熱管スリーブと対向する位置に平面状の伝熱管平面部が形成されている。また、伝熱管スリーブの外周面には、炉壁管スリーブと対向する位置に平面状の炉壁管平面部が形成されている。これにより、熱交換器が振動し、伝熱管と炉壁管とが接触する際には、伝熱管スリーブの伝熱管平面部と、炉壁管スリーブの炉壁管平面部とが接触することとなる。このように、伝熱管が振動した際に接触する部分を平面状とする(すなわち、面接触させる)ことで、接触時における接触面圧を低減し、局所的な荷重の発生を抑制することができる。したがって、伝熱管スリーブと炉壁管スリーブとが点接触し、接触面圧が高い状態での接触とならない。よって、接触に起因する炉壁管スリーブ及び伝熱管スリーブの摩耗を抑制することができる。したがって、炉壁管スリーブ及び伝熱管スリーブの長寿命化を図ることができる。以上から、炉壁管スリーブ及び伝熱管スリーブのメンテナンス頻度が低減し、熱交換器のメンテナンス性を向上させることができる。
また、本発明の一態様に係るボイラは、前記伝熱管スリーブは、前記伝熱管凸部に対して周方向に回転可能に設けられていて、前記伝熱管スリーブと前記炉壁管スリーブとは、前記伝熱管平面部と前記炉壁管平面部とが対面する状態において離間するとともに、前記伝熱管スリーブが前記伝熱管凸部に対して回転した際に接触するように配置されていてもよい。
上記構成では、伝熱管スリーブは、伝熱管凸部に対して回転可能に設けられている。これにより、熱交換器が振動して、伝熱管平面部と炉壁管平面部とが接触する際に、伝熱管スリーブが回転することで、確実に伝熱管平面部と炉壁管平面部とが面接触するようになる。すなわち、例えば、熱交換器の振動方向によっては、伝熱管スリーブのうち、伝熱管平面部の周方向の端部から炉壁管平面部へ接触する場合がある。このような場合であっても、伝熱管スリーブが伝熱管平面部と炉壁管平面部とが面接触するように回転するので、確実に伝熱管平面部と炉壁管平面部とが面接触するようになる。したがって、確実に、伝熱管スリーブと炉壁管スリーブとの接触に起因する炉壁管スリーブ及び伝熱管スリーブの摩耗を抑制することができる。
また、上記構成では、伝熱管スリーブと炉壁管スリーブとが伝熱管平面部と炉壁管平面部とが平行の状態において離間するとともに、伝熱管スリーブが伝熱管凸部に対して回転した際に接触するように配置されている。これにより、伝熱管平面部と炉壁管平面部とが対面する状態(すなわち離間した状態)から、伝熱管スリーブが回転した場合であっても、所定距離回転したのちに、伝熱管平面部の周方向の端部と炉壁管平面部とが接触することで、伝熱管スリーブの周方向の回転が規制される。したがって、常に伝熱管平面部と炉壁管平面部とが対向した状態を維持することができる。よって、伝熱管スリーブの意図しない過剰な回転により、伝熱管平面部以外の伝熱管スリーブの外周面と、炉壁管スリーブとが接触する事態を抑制することができる。
また、燃焼ガス流路内に配置される熱交換器は、高温のガスに曝されるため、熱交換器に設けられる部材は焼損や腐食する可能性がある。このため、熱交換器に設けられる部材は、部品点数の少ない簡素な構成が好適である。上記構成では、伝熱管スリーブの回転を規制する構成として、接触する相手方である炉壁管スリーブを適用している。すなわち、伝熱管スリーブの回転を規制する構成として、ストッパ等の新たな部材を設けていない。これにより、伝熱管スリーブの回転を規制するために新たな構成を設ける場合と比較して、構成を簡素化することができる。したがって、部材の焼損等のリスクを抑制することができる。
また、本発明の一態様に係るボイラは、前記伝熱管平面部及び/又は前記炉壁管平面部の表面を覆うように当板が設けられていてもよい。
上記構成では、伝熱管平面部及び/又は炉壁管平面部の表面を覆うように当板が設けられている。例えば、円筒状の外周面を有する伝熱管スリーブまたは炉壁管スリーブの一部を切削して平面とすることで、伝熱管平面部または炉壁管平面部を形成する場合に、切削前の伝熱管スリーブまたは炉壁管スリーブの厚さ(径方向の長さ)によっては、伝熱管平面部または炉壁管平面部における肉厚を十分に確保することができずに必要な管強度を得られない場合がある。このような場合であっても、当板を設けることで、接触部分から伝熱管または炉壁管までの距離を十分に設けることができるので、伝熱管及び炉壁管を露出し難くすることができる。したがって、伝熱管凸部と炉壁管凸部との干渉に起因する伝熱管及び炉壁管の損傷を抑制することができる。
また、本発明の一態様に係るボイラは、前記伝熱管スリーブ及び前記炉壁管スリーブが設けられていない場合に、前記伝熱管スリーブ及び/又は前記炉壁管スリーブは、前記伝熱管凸部と前記炉壁管凸部とが接触する領域に設けられていてもよい。
上記構成では、伝熱管スリーブ及び/又は炉壁管スリーブを設ける位置を、伝熱管スリーブ及び炉壁管スリーブを設けない場合に、伝熱管凸部と炉壁管凸部とが接触する領域としている。これにより、可及的に伝熱管スリーブ及び/又は炉壁管スリーブの必要な部分の接触を確実に防止するとともに、過剰に接触範囲を対象にしないので小型化することができる。したがって、伝熱管スリーブ及び/又は炉壁管スリーブを小型化した分、構成が簡素化される。このため、損傷や腐食により伝熱管スリーブ及び/又は炉壁管スリーブが脱落する事態を抑制することができる。
本発明の一態様に係るボイラは、前記熱交換器は、前記火炉の鉛直方向上方に設けられ、前記燃焼ガス流路に対して固定される過熱器であってもよい。
熱交換器は過熱器であり、過熱器は火炉の上方に位置しており、高温の燃焼ガスに曝されるため、過熱器に設けられる部材は焼損や腐食する可能性がある。上記構成を適用することによって、炉壁管スリーブ及び伝熱管スリーブの長寿命化を図り、炉壁管スリーブ及び伝熱管スリーブのメンテナンス頻度を低減し、ボイラのメンテナンス性を向上させることができる。
本発明の一態様に係る熱交換器は、所定方向に延在する複数の伝熱管を備え、複数の前記伝熱管は、前記所定方向と交差する方向へ湾曲することで突出するとともに外周面が伝熱管スリーブによって覆われている伝熱管凸部を有する前記伝熱管を含み、前記伝熱管スリーブの外周面には、平面状の伝熱管平面部が形成されている。
上記構成では、複数の前記伝熱管は、前記所定方向と交差する方向へ湾曲することで突出する伝熱管凸部を有する前記伝熱管を含んでいる。例えば、熱交換器が、ボイラの内部に設けられるとともに、複数の炉壁管凸部(ボイラの壁部を構成する路壁管の一部を突出させた部分)が、伝熱管凸部を挟むように配置されていている場合がある。この場合には、熱交換器が振動した際に、伝熱管凸部と炉壁管凸部とが干渉することで、伝熱管凸部の移動が炉壁管凸部によって規制される。すなわち、熱交換器の振動が抑制される。熱交換器の振動を抑制することで、熱交換器の固定箇所に作用する負荷を抑制することができる。
また、上記構成では、伝熱管凸部が、スリーブによって覆われている。これにより、熱交換器が振動し、伝熱管凸部と他の部材とが接触する際に、伝熱管凸部自体が、直接路壁管に接触しない。したがって、伝熱管自体の摩耗を防止することができる。
また、伝熱管スリーブの外周面には、平面状の炉壁管平面部が形成されている。これにより、伝熱管と他の部材とが接触する際に、伝熱管スリーブの伝熱管平面部が接触する場合がある。この場合、接触時における接触面圧を低減し、局所的な荷重の発生を抑制することができる。したがって、伝熱管スリーブの摩耗を抑制することができる。よって、伝熱管スリーブの長寿命化を図ることができる。以上から、伝熱管スリーブのメンテナンス頻度が低減し、熱交換器のメンテナンス性を向上させることができる。
本発明の一態様に係るボイラの運転方法は、前記ボイラは、所定方向に延在する複数の炉壁管を有する壁部によって規定され、火炉で生成された燃焼ガスが流通する燃焼ガス流路と、前記所定方向に延在する複数の伝熱管を有し、前記燃焼ガス流路内で前記壁部と隣接して設けられる熱交換器と、複数の前記炉壁管は、前記熱交換器方向へ湾曲することで突出するとともに外周面が炉壁管スリーブによって覆われている炉壁管凸部を有する前記炉壁管を複数含み、複数の前記熱交換器は、前記壁部方向へ湾曲することで突出するとともに外周面が伝熱管スリーブによって覆われている伝熱管凸部を有する前記伝熱管を含み、複数の前記炉壁管凸部は、前記伝熱管凸部を挟むように配置されていて、前記炉壁管スリーブの外周面には、前記伝熱管スリーブと対向する位置に平面状の伝熱管平面部が形成されていて、前記伝熱管スリーブの外周面には、前記炉壁管スリーブと対向する位置に平面状の炉壁管平面部が形成されていて、前記伝熱管平面部と前記炉壁管平面部とを接触させて、前記熱交換器と前記壁部との相対移動を規制する工程を備える。
本発明によれば、伝熱管スリーブと炉壁管スリーブとの接触に起因する炉壁管スリーブ及び伝熱管スリーブの摩耗を抑制することができ、炉壁管スリーブ及び伝熱管スリーブの長寿命化を図ることができる。
以下に本発明に係る好適な実施形態について図面を参照して説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
本実施形態のボイラは、石炭を粉砕した微粉炭を微粉燃料(炭素含有固体燃料)として用い、この微粉炭を燃焼バーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収して給水や蒸気と熱交換して過熱蒸気を生成することが可能な石炭焚き(微粉炭焚き)ボイラである。以降の説明で、上や上方とは鉛直方向上側を示し、下や下方とは鉛直方向下側を示すものである。
本実施形態に係るボイラシステム1は、石炭焚きボイラ10と、石炭焚きボイラ10へ供給する石炭を粉砕する粉砕機31,32,33,34,35と、石炭焚きボイラ10で生成された燃焼ガスから煤塵等を除去する煤塵処理装置51等によって構成されている。
本実施形態において、図1に示すように、石炭焚きボイラ10は、火炉11と燃焼装置12と煙道(燃焼ガス流路)13を有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置されている。火炉11を構成する火炉壁は、複数の蒸発管(炉壁管)とこれらを接続するフィンとで構成され、給水や蒸気と熱交換することにより火炉壁の温度上昇を抑制している。
燃焼装置12は、火炉11を構成する火炉壁の下部側に設けられている。本実施形態では、燃焼装置12は、火炉壁に装着された複数の燃焼バーナ(例えば21,22,23,24,25)を有している。例えば燃焼バーナ21,22,23,24,25は、周方向に沿って均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って複数段配置されている。但し、火炉の形状や一つの段における燃焼バーナの数、段数はこの実施形態に限定されるものではない。
各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭供給管26,27,28,29,30を介して粉砕機(ミル)31,32,33,34,35に連結されている。この粉砕機31,32,33,34,35は、図示しないが、例えばハウジング内に回転テーブルが駆動回転可能に支持され、この回転テーブルの上方に複数のローラが回転テーブルの回転に連動して回転可能に支持されて構成されている。石炭が複数のローラと回転テーブルとの間に投入されると、ここで所定の微粉炭の大きさに粉砕され、搬送用ガス(一次空気)により図示しない分級機へ搬送されて分級された微粉炭を微粉炭供給管26,27,28,29,30から燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができる。
また、火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置に風箱36が設けられており、この風箱36に空気ダクト37の一端部が連結されている。空気ダクト37は、他端部に送風機38が設けられている。
更に、火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置より上方にアディショナル空気ノズル39が設けられている。アディショナル空気ノズル39に空気ダクト37から分岐した分岐空気ダクト40の端部が連結されている。したがって、送風機38により送られた燃焼用空気(燃料ガス燃焼用空気/二次空気)を空気ダクト37から風箱36に供給し、この風箱36から各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができると共に、送風機38により送られた燃焼用追加空気(アディショナル空気)を分岐空気ダクト40からアディショナル空気ノズル39に供給することができる。
煙道13は、火炉11の鉛直方向上部に連結されている。煙道13は、燃焼ガスの熱を回収するための熱交換器として、過熱器41,42,43、再熱器44,45、節炭器46,47が設けられており、火炉11での燃焼で発生した燃焼ガスと各熱交換器を流通する給水や蒸気との間で熱交換が行われる。
煙道13は、その下流側に熱交換を行った燃焼ガスが排出されるガスダクト48が連結されている。ガスダクト48は、空気ダクト37との間にエアヒータ(空気予熱器)49が設けられ、空気ダクト37を流れる空気と、ガスダクト48を流れる燃焼ガスとの間で熱交換を行い、燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給する燃焼用空気を昇温することができる。
また、煙道13は、エアヒータ49より上流側の位置に脱硝触媒50が設けられている。脱硝触媒50は、アンモニア、尿素水等の窒素酸化物を還元する作用を有する還元剤を煙道13内に供給し、還元剤が供給された燃焼ガスを窒素酸化物と還元剤との反応を促進させることで、燃焼ガス中の窒素酸化物を除去、低減するものである。そして、煙道13に連結されるガスダクト48は、エアヒータ49より下流側の位置に煤塵処理装置(電気集塵機、脱硫装置)51、誘引送風機52などが設けられ、下流端部に煙突53が設けられている。
一方、微粉炭燃料は、粉砕機31,32,33,34,35が駆動すると、生成された微粉炭が搬送用ガスと共に微粉炭供給管26,27,28,29,30を通して燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。また、加熱された燃焼用空気が空気ダクト37から風箱36を介して各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。すると、燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭と搬送用ガス(一次空気)とが混合した微粉燃料混合気を火炉11に吹き込むと共に燃焼用空気を火炉11に吹き込み、このときに着火することで火炎を形成することができる。火炉11内の下部で火炎が生じ、燃焼ガスがこの火炉11内を上昇し、煙道13に排出される。
火炉11は、下部の領域Aにて、微粉燃料混合気と燃焼用空気(二次空気)とが燃焼して火炎が生じる。ここで火炉11は、空気の供給量が微粉炭の供給量に対して理論空気量未満となるように設定されることで、内部が還元雰囲気に保持される。即ち、領域Bにて、微粉炭の燃焼により発生したNOxが火炉11で還元され、その後、アディショナル空気ノズル39からアディショナル空気が追加供給されることで微粉炭の酸化燃焼が完結され、微粉炭の燃焼によるNOxの発生量が低減される。
その後、燃焼ガスは、煙道13に配置される過熱器41,42,43、再熱器44,45、節炭器46,47で熱交換した後、脱硝触媒50により窒素酸化物が還元除去され、煤塵処理装置51で粒子状物質が除去されると共に硫黄分が除去された後、煙突53から大気中に排出される。
次に、熱交換器として、煙道13に設けられた過熱器41,42,43、再熱器44,45、節炭器46,47について詳細に説明する。図2は、石炭焚きボイラ10に設けられた熱交換器と、蒸気及び給水系統と、を示す概略図である。なお、図2では蒸気及び給水系統を説明するための図であって、煙道13内の各熱交換器(過熱器41,42,43、再熱器44,45、節炭器46,47)の位置を正確に示しているものではない。
図2に示すように、本実施形態において、煙道13は、内部に燃焼ガスが通過する燃焼ガス通路60が設けられており、この燃焼ガス通路60に過熱器41,42,43、再熱器44,45、節炭器46,47が配置されている。なお、過熱器41,42,43は、ヘッダを介して直列に設けられてもよいが、図2では、このヘッダを省略している。
石炭焚きボイラ10で生成した蒸気により運転される蒸気タービン61は、例えば、高圧タービン62と低圧タービン63とから構成されている。低圧タービン63は、復水器64が連結されており、低圧タービン63を駆動した蒸気がこの復水器64で冷却水(例えば、海水)により冷却されて復水となる。復水器64は、給水ラインL1を介して第1節炭器47の入口ヘッダ65に連結されている。入口ヘッダ65は、燃焼ガス通路60に設けられており、給水ラインL1は、燃焼ガス通路60の外側に給水ポンプ66が設けられている。第2節炭器46は、第1節炭器47の上方に配置されており、各節炭器46,47の間に中間ヘッダ67が設けられている。第2節炭器46は、上部に出口ヘッダ68が連結されており、この出口ヘッダ68は、燃焼ガス通路60の外側に配置されている。
出口ヘッダ68は、給水ラインL2を介して燃焼ガス通路60の外側に配置される蒸気ドラム69に連結されている。蒸気ドラム69は、火炉壁の各伝熱管(図示略)に連結されると共に、入口ヘッダ74を介して、過熱器41,42,43に連結されている。また、過熱器41,42,43は、蒸気ラインL3を介して高圧タービン62に連結されている。なお、L3には出口ヘッダ75が設けられている。そして、高圧タービン62は、蒸気ラインL4を介して第1再熱器45の入口ヘッダ(管寄せ)70に連結されている。入口ヘッダ70は、燃焼ガス通路60に設けられており、第1再熱器45は、中間ヘッダ71を介して第2再熱器44に連結され、第2再熱器44は、上部に出口ヘッダ72が連結されている。中間ヘッダ71及び出口ヘッダ72は、燃焼ガス通路60の外側に配置されている。そして、出口ヘッダ72は、蒸気ラインL5を介して低圧タービン63に連結され低圧タービン63を回転駆動している。
そのため、燃焼ガスが煙道13の燃焼ガス通路60を流れるとき、この燃焼ガスは、過熱器41,42,43、再熱器44,45、節炭器46,47の順に熱回収される。一方、給水ポンプ66から供給された水は、節炭器47,46によって予熱された後、蒸気ドラム69に供給され、図示しない火炉壁の各伝熱管に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、蒸気ドラム69に戻される。蒸気ドラム69の飽和蒸気は、過熱器41,42,43に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器41,42,43で生成された過熱蒸気は、高圧タービン62に供給され、この高圧タービン62を回転駆動する。高圧タービン62から排出された蒸気は、再熱器45,44に導入されて再度過熱された後、低圧タービン63に供給され、この低圧タービン63を回転駆動する。蒸気タービン61の回転軸には、発電機が接続されており、発電が行われる。低圧タービン63から排出された蒸気は、復水器64で冷却されることで復水となり、再び、節炭器47,46に送られる。
また、煙道13は、入口ヘッダ70と節炭器47との間にスーツブロワ(噴射装置)80が配置されていてもよい。スーツブロワ80は、入口ヘッダ70の長手方向と平行な方向に延在して入口ヘッダ70に対向する位置に配置される。スーツブロワ80は、入口ヘッダ70の長手方向を軸方向として、軸方向に直交する方向に蒸気(気体)を噴射し、また噴射方向も変動することができる噴射装置である。スーツブロワ80から節炭器47に向けて噴射された蒸気は、節炭器47の伝熱管の表面に堆積した燃焼灰を除去する。
次に、本実施形態の煙道13を構成する壁部81及び、煙道13に設けられた過熱器(熱交換器)41について、図3から図7Bを用いて、より詳細に説明する。
煙道13は、図3に示されているように、内部に設けられた燃焼ガス通路60の側方を規定する壁部81(火炉壁の上部、もしくは煙道壁)と、燃焼ガス通路60の上方を規定する天井部82と、を有している。
壁部81は、図5に示すように、内部に冷媒(給水や蒸気)が流通し上下方向に延びる複数の炉壁管83と、隣接する炉壁管83同士を接続する板状のフィン(図示省略)と、を有している。
複数の炉壁管83のうちの2本は、一部が壁部81に隣接して設けられた過熱器41の方向へ湾曲することで突出するアンカー管86となっている。2本のアンカー管86は、略同一の構成であるので、以下では、一方のアンカー管86の説明をし、もう一方のアンカー管86の説明は省略する。
アンカー管86は、図5に示すように、天井部82から鉛直下方へ延びる上部鉛直部86aと、上部鉛直部86aの下端から過熱器41方向へ湾曲することで突出する突出湾曲部(炉壁管凸部)86bと、突出湾曲部86bの下端から鉛直下方へ延びる下部鉛直部86cと、を有する。
突出湾曲部86bは、図4に示すように、所定の曲率を有するように過熱器41方向へ突出するように設けられている。突出湾曲部86bの軸方向の略全域は、アンカースリーブ(炉壁管スリーブ)87によって覆われている。なお、2本のアンカー管86の各々に設けられた突出湾曲部86b同士は、所定距離で離間するように配置されている。所定距離とは、例えば、後述するガードリングスリーブ91によって覆われたガードリング管90を挟むことができる距離とされる。
アンカースリーブ87は、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼(例えば、SUS310やSUS304など)で形成されている。また、アンカースリーブ87は、突出湾曲部86bの周方向の全域を覆っている。アンカースリーブ87は、長手方向が突出湾曲部86bの長手方向の形状に沿って湾曲する筒状の部材である。また、アンカースリーブ87は、内周面が突出湾曲部86bの外周面と溶接固定されている。すなわち、アンカースリーブ87と突出湾曲部86bとは、相対移動しないように固定されている。なお、アンカースリーブ87は、例えば長手方向に半割れ分割されていて、突出湾曲部86bを覆うように取り付けて、半割れ部材間を溶接接合されてもよい。
また、図7A及び図7Bに示すように、アンカースリーブ87の外周面の一部には、平面状のアンカースリーブ平面部(炉壁管平面部)87aが形成されている。アンカースリーブ平面部87aは、後述するガードリングスリーブ平面部(伝熱管平面部)91aと対向するように設けられている。アンカースリーブ平面部87aは、アンカースリーブ87の長手方向の略全域に設けられている。なお、アンカースリーブ平面部87a以外のアンカースリーブ87の外周面は、円筒状に形成されている。
過熱器41は、図3に示すように、燃焼ガス通路60の最も上流側に設けられた熱交換器である。過熱器41は火炉11の鉛直上方に設けられており、煙道13の壁部81の近傍に隣接して設けられている。過熱器41は、煙道13の天井部82に、支持部材(図示省略)によって、吊り下げられるように支持されている。
過熱器41は、入口ヘッダ74と、出口ヘッダ75とを連結する複数の伝熱管89によって構成されている。各伝熱管89は、入口ヘッダ74から略鉛直下方へ延びる第1鉛直管部89aと、第1鉛直管部89aの下端から曲折して壁部81方向へ略水平に延びる水平管部89bと、水平管部89bの端部から曲折して略鉛直上方へ延びて出口ヘッダ75に接続する第2鉛直管部89cと、を備えている。すなわち、第1鉛直管部89a及び第2鉛直管部89cは、上下方向(所定方向)に沿って延在している。入口ヘッダ74及び出口ヘッダ75は、煙道13の外側に設けられているため、第1鉛直管部89a及び第2鉛直管部89cは、煙道13の天井部82を貫通している。
複数の伝熱管89のうちの1本は、第2鉛直管部89cの一部が壁部81方向へ湾曲することで突出しているガードリング管90となっている。ガードリング管90は、第2鉛直管部89cが最も壁部81側の伝熱管89である。
ガードリング管90は、図4及び図5に示すように、第2鉛直管部89cの途中位置から略直角に屈曲して壁部81方向に湾曲する上部湾曲部90aと、上部湾曲部90aの壁部81側端部から鉛直下方に直線状に延びる直線部(伝熱管凸部)90bと、直線部90bの下端から略直角に屈曲して壁部81とは反対側方向へ湾曲する下部湾曲部90cと、を有する。なお、屈曲する角度は、略直角に限定されない。
直線部90bは、図5に示すように、2つの突出湾曲部86bの間に配置される。また、図4に示すように、直線部90bは、軸方向の一部領域が、ガードリングスリーブ(伝熱管スリーブ)91によって覆われている。ガードリングスリーブ91は、直線部90bの周方向の全域を覆っていて、直線部90bの周方向に回転とされている。また、直線部90bには、ガードリングスリーブ91の上方に位置する上部ストッパ94と、ガードリングスリーブ91の下方に位置する下部ストッパ95と、が設けられている。上部ストッパ94及び下部ストッパ95は、リング状の部材であって、内周面が直線部90bの外周面に溶接固定されている。
ガードリングスリーブ91は、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼(例えば、SUS310やSUS304など)で形成されている。ガードリングスリーブ91は、直線部90bに沿って延びる円筒状の部材である。また、ガードリングスリーブ91は、内径が直線部90bの外径よりもわずかに(一例として、0.5mmから1mm程度)大きくなるように形成されている。ガードリングスリーブ91と直線部90bとは固定されていない。すなわち、ガードリングスリーブ91の内周面と、直線部90bの外周面とは、わずかに離間可能とされている。したがって、ガードリングスリーブ91は、直線部90bに対して、周方向に相対移動して回転可能に設けられている。すなわち、ガードリングスリーブ91は、図6Aに示すように、ガードリングスリーブ91の長手方向の中心軸Cを中心に回転可能に直線部90bに設けられている。
また、ガードリングスリーブ91の上方への移動は、上部ストッパ94により規制されている。また、ガードリングスリーブ91の下方への移動は、下部ストッパ95により規制されている。上部ストッパ94と下部ストッパ95との距離は、ガードリングスリーブ91の長手方向の長さよりも長く設定されている。このように構成することで、ガードリングスリーブ91が熱伸びした場合であっても、上部ストッパ94及び下部ストッパ95の両方にガードリングスリーブ91が接触することがない。このため、上部ストッパ94及び下部ストッパ95によってガードリングスリーブ91の回転が抑制される事態を抑制することができる。
また、図6A及び図6Bに示すように、ガードリングスリーブ91の外周面には、平面状のガードリングスリーブ平面部91a(伝熱管平面部)が2か所に形成されている。2つの平面部は、周方向に等間隔に設けられている。各ガードリングスリーブ平面部91aは、アンカースリーブ平面部87aと対向するように設けられている。また、ガードリングスリーブ平面部91aは、ガードリングスリーブ91の長手方向の略全域に設けられている。なお、ガードリングスリーブ平面部91a以外のガードリングスリーブ91の外周面は、円筒状に形成されている。
ガードリングスリーブ91とアンカースリーブ87とは、ガードリングスリーブ平面部91aとアンカースリーブ平面部87aとが対面する状態において離間するとともに、ガードリングスリーブ91が直線部90bに対して周方向に回転した際にアンカースリーブ87に接触するように配置されている。
すなわち、例えば、ガードリングスリーブ平面部91aとアンカースリーブ平面部87aとが対面する状態において、ガードリングスリーブ91の中心からアンカースリーブ平面部87aまでの距離が、ガードリングスリーブ91の半径よりも短くなるように、ガードリングスリーブ91とアンカースリーブ87とが配置されてもよい。このように配置することで、ガードリングスリーブ91が回転方向に所定の角度分を回転移動すると、ガードリングスリーブ平面部91aの周方向の端部と、アンカースリーブ平面部87aとが干渉する。したがって、それ以上のガードリングスリーブ91の回転を規制することができ、ガードリングスリーブ平面部91aがアンカースリーブ平面部87aから反対側へ回転移動することを抑制する。
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、壁部81の複数の突出湾曲部86bが、過熱器41の直線部90bを挟むように配置されている。これにより、過熱器41が振動した場合、直線部90b(詳細には、ガードリングスリーブ91のガードリングスリーブ平面部91a)と、突出湾曲部86b(詳細には、アンカースリーブ87のアンカースリーブ平面部87a)とが干渉(接触)する。このように、直線部90bと突出湾曲部86bとが干渉することで、直線部90bの移動が突出湾曲部86bによって規制される。すなわち、過熱器41の振動が抑制される。過熱器41の振動を抑制することで、過熱器41を支持する支持部材に作用する負荷を抑制することができる。
また、直線部90b及び突出湾曲部86bが、スリーブによって覆われている。これにより、伝熱管89自体及び炉壁管83自体は直接接触しない。したがって、接触による伝熱管89自体及び炉壁管83自体の摩耗を防止することができる。
また、アンカースリーブ87の外周面には、ガードリングスリーブ91と対向する位置に平面状のアンカースリーブ平面部87aが形成されている。また、ガードリングスリーブ91の外周面には、アンカースリーブ87と対向する位置に平面状のガードリングスリーブ平面部91aが形成されている。これにより、過熱器41が振動し、伝熱管89に設けたガードリングスリーブ91と炉壁管83に設けたアンカースリーブ87とが接触する際には、ガードリングスリーブ91のガードリングスリーブ平面部91aと、アンカースリーブ87のアンカースリーブ平面部87aとが接触することとなる。このように、過熱器41が振動した際に接触する部分を平面状とする(すなわち、面接触させる)ことで、接触時における接触面圧を低減して局所的な荷重の発生を抑制することができる。したがって、ガードリングスリーブ91とアンカースリーブ87との接触に起因するアンカースリーブ87及びガードリングスリーブ91の摩耗を抑制することができる。よって、アンカースリーブ87及びガードリングスリーブ91の長寿命化を図ることができる。以上から、アンカースリーブ87及びガードリングスリーブ91のメンテナンス頻度が低減し、壁部81と過熱器41(熱交換器)のメンテナンス性を向上させることができる。
また、本実施形態では、ガードリングスリーブ91は、直線部90bに対して周方向へ回転可能に設けられている。これにより、過熱器41が振動して、ガードリングスリーブ平面部91aとアンカースリーブ平面部87aとが接触する際に、ガードリングスリーブ91が周方向へ回転することで、確実にガードリングスリーブ平面部91aとアンカースリーブ平面部87aとが面接触するようになる。すなわち、例えば、過熱器41の振動方向によっては、ガードリングスリーブ91のうち、ガードリングスリーブ平面部91aの周方向の端部(換言すれば、ガードリングスリーブ91の外周面のうち、ガードリングスリーブ平面部91aと円筒状の外周面との境界部分)からアンカースリーブ平面部87aへ接触する場合がある。このような場合であっても、ガードリングスリーブ91がガードリングスリーブ平面部91aとアンカースリーブ平面部87aとが面接触するように周方向へ回転するので、確実にガードリングスリーブ平面部91aとアンカースリーブ平面部87aとが面接触して接触面圧を低減するようになる。したがって、確実に、ガードリングスリーブ91とアンカースリーブ87と点接触して接触面圧が高い状態での接触に起因するアンカースリーブ87及びガードリングスリーブ91の摩耗を抑制することができる。
また、本実施形態では、ガードリングスリーブ91とアンカースリーブ87とがガードリングスリーブ平面部91aとアンカースリーブ平面部87aとが対面する状態において離間するとともに、ガードリングスリーブ91が直線部90bに対して周方向へ回転した際にアンカースリーブ87と接触するように配置されている。これにより、ガードリングスリーブ平面部91aとアンカースリーブ平面部87aとが対面する状態(すなわち離間した状態)から、ガードリングスリーブ91が周方向へ回転した場合であっても、所定距離回転したのちに、ガードリングスリーブ平面部91aの周方向の端部とアンカースリーブ平面部87aとが接触することで、ガードリングスリーブ91の回転が規制される。したがって、常にガードリングスリーブ平面部91aとアンカースリーブ平面部87aとが対向した状態を維持することができる。よって、ガードリングスリーブ91の意図しない周方向への過剰な回転が生じて反対側へと回転移動することにより、ガードリングスリーブ91の円筒状の外周面と、アンカースリーブ87とが点接触する事態を抑制することができる。
また、過熱器41は火炉11の上方に位置しており、高温の燃焼ガスに曝されるため、過熱器41に設けられる部材は焼損や腐食する可能性がある。このため、過熱器41に設けられる部材は、部品点数の少ない簡素な構成が好適である。本実施形態では、ガードリングスリーブ91の回転を規制する構成として、接触する相手方であるアンカースリーブ87を適用している。すなわち、ガードリングスリーブ91の回転を規制する構成として、ストッパ等の新たな部材を設けていない。これにより、ガードリングスリーブ91の回転を規制するために新たな構成を設ける場合と比較して、構成を簡素化することができる。したがって、部材の焼損等のリスクを抑制することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に係る発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
例えば、図7Cに示すように、アンカースリーブ87に、アンカースリーブ平面部87aの略全域を覆うように当板97を設けてもよい。当板97は、板状の部材であり、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼(例えば、SUS310やSUS304など)で形成されている。また、当板97は、板面がアンカースリーブ平面部87aと当接するように配置されている。当板97とアンカースリーブ平面部87aとは、溶接固定されている。
このように当板97を設けることで、以下の作用効果を奏する。例えば、円筒状の外周面を有するアンカースリーブ87の一部を切削することで、アンカースリーブ平面部87aを形成する場合に、切削前のアンカースリーブ87の厚さ(径方向の長さ)によっては、アンカースリーブ平面部87aの肉厚を十分に確保することができずに、必要な管強度を確保できない場合がある。このような場合であっても、当板97を設けることで、ガードリングスリーブ91と接触する部分から伝熱管89または炉壁管83までの距離を十分に設けることができるので、炉壁管83を露出し難くするとともに、アンカースリーブ平面部87aの強度を補うことができる。したがって、突出湾曲部86bと直線部90bとの干渉に起因する伝熱管89及び炉壁管83の損傷を抑制することができる。
なお、ガードリングスリーブ平面部91aの厚さを十分に確保することができない場合には、ガードリングスリーブ91に当板を設けてもよい。ガードリングスリーブ平面部91aを覆うように当板を設けることで、伝熱管89を露出し難くするとともに、ガードリングスリーブ平面部91aの強度を補うことができる。
また、上記実施形態では、突出湾曲部86bの軸方向の略全域にアンカースリーブ87を設ける例として、アンカースリーブ87とガードリングスリーブ91を設けない場合に、突出湾曲部86bと直線部90bとが接触する領域を含むようにしたものについて説明した。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、過去の摩耗状況等からアンカースリーブ87とガードリングスリーブ91との接触範囲が特定できる場合には、図8及び図9に示すように、アンカースリーブ87とガードリングスリーブ91を設けない場合に、突出湾曲部86bと直線部90bとが接触する接触範囲にアンカースリーブ87’を設けてもよい。図8及び図9に記載の例では、突出湾曲部86bと直線部90bとが、正面視で交差する箇所にアンカースリーブ87’を設けている。すなわち、突出湾曲部86bと直線部90bとが、正面視で交差する箇所は2か所存在するため、2つのアンカースリーブ87’が設けられている。
このように接触範囲のみにアンカースリーブ87’を設けることで、以下の作用効果を奏する。接触範囲にアンカースリーブ87’を設けることで、アンカースリーブ87’を小型化することができる。したがって、小型化した分、構成が簡素化され、損傷や腐食によりアンカースリーブ87’が脱落する事態を抑制することができる。
なお、ガードリングスリーブ91における接触範囲が特定できる場合には、ガードリングスリーブ91を接触範囲に設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、直線部90bに上部ストッパ94及び下部ストッパ95を設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上部ストッパ94は設けてなくて、下部ストッパ95のみを設けてもよい。このような構成とすることで、部品点数の少ない簡素な構成とすることができる。
また、上記実施形態では、本発明を過熱器41に適用する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、他の熱交換器(例えば、過熱器42,43や、再熱器44,45や、節炭器46,47)に適用してもよい。