JP7128932B1 - 光学積層体 - Google Patents

光学積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP7128932B1
JP7128932B1 JP2021069196A JP2021069196A JP7128932B1 JP 7128932 B1 JP7128932 B1 JP 7128932B1 JP 2021069196 A JP2021069196 A JP 2021069196A JP 2021069196 A JP2021069196 A JP 2021069196A JP 7128932 B1 JP7128932 B1 JP 7128932B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
group
liquid crystal
film
stress relaxation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021069196A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022164005A (ja
Inventor
佑介 北河
伸行 幡中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2021069196A priority Critical patent/JP7128932B1/ja
Priority to TW111110847A priority patent/TW202306772A/zh
Priority to KR1020220044164A priority patent/KR20220142935A/ko
Priority to CN202210387596.XA priority patent/CN115220142A/zh
Application granted granted Critical
Publication of JP7128932B1 publication Critical patent/JP7128932B1/ja
Publication of JP2022164005A publication Critical patent/JP2022164005A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • G02B5/3083Birefringent or phase retarding elements
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • G02B5/3025Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state
    • G02B5/3033Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state in the form of a thin sheet or foil, e.g. Polaroid
    • G02B5/3041Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state in the form of a thin sheet or foil, e.g. Polaroid comprising multiple thin layers, e.g. multilayer stacks
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B7/00Layered products characterised by the relation between layers; Layered products characterised by the relative orientation of features between layers, or by the relative values of a measurable parameter between layers, i.e. products comprising layers having different physical, chemical or physicochemical properties; Layered products characterised by the interconnection of layers
    • B32B7/02Physical, chemical or physicochemical properties
    • B32B7/023Optical properties
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B7/00Layered products characterised by the relation between layers; Layered products characterised by the relative orientation of features between layers, or by the relative values of a measurable parameter between layers, i.e. products comprising layers having different physical, chemical or physicochemical properties; Layered products characterised by the interconnection of layers
    • B32B7/04Interconnection of layers
    • B32B7/12Interconnection of layers using interposed adhesives or interposed materials with bonding properties
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B2307/00Properties of the layers or laminate
    • B32B2307/40Properties of the layers or laminate having particular optical properties
    • B32B2307/42Polarizing, birefringent, filtering
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B2457/00Electrical equipment
    • B32B2457/20Displays, e.g. liquid crystal displays, plasma displays
    • B32B2457/206Organic displays, e.g. OLED

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】薄型でありながら、被転写体に転写する際に貼合ズレやシワの発生を抑制し、任意の被転写体へ容易に転写可能な光学積層体を提供することを目的とする。【解決手段】第1基材フィルム、第1応力緩和層、偏光層、粘接着層、位相差層、第2応力緩和層、および第2基材フィルムをこの順に含む光学積層体であって、第1応力緩和層と第2応力緩和層との間に位置する層の合計厚みが20μm以下であり、第1基材フィルムの23℃における弾性率が、2,500~6,000MPaであり、第1応力緩和層が、第1応力緩和層の第1基材フィルムとは反対側の面に隣接する層との間で剥離可能であって、第2基材フィルムが剥離可能な基材フィルムである、光学積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、転写可能な光学積層体に関する。
有機EL表示装置等のフラットパネル表示装置(FPD)には、偏光膜と位相差膜とを含む円偏光板が広く用いられている。このような円偏光板として、偏光膜および/または位相差膜が、重合性液晶化合物を基材上に塗布して重合させることにより得られるコーティング層からなる光学異方性層である光学積層体が知られている(特許文献1~5)。
特開2014-63143号公報 特開2017-83843号公報 特開2020-56834号公報 特開2019-91088号公報 特開2020-13164号公報
前記特許文献に開示されるような光学積層体は、基材上に形成された光学異方性層を被転写体に転写すること、すなわち、前記基材を剥離し、粘接着層等を介して被転写体に貼合することによって表示装置等に組み込むことができる。
しかしながら、光学積層体が薄型化されるとハンドリングが難しくなる傾向にあり、基材を剥離して光学異方性層を被転写体に転写する際に、貼合ズレやシワが生じるなどの不具合が出ることがある。
本発明は、薄型でありながら、被転写体に転写する際に貼合ズレやシワの発生を抑制し、任意の被転写体へ容易に転写可能な光学積層体を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]第1基材フィルム、第1応力緩和層、偏光層、粘接着層、位相差層、第2応力緩和層、および第2基材フィルムをこの順に含む光学積層体であって、
第1応力緩和層と第2応力緩和層との間に位置する層の合計厚みが20μm以下であり、
第1基材フィルムの23℃における弾性率が、2,500~6,000MPaであり、
第1応力緩和層が、第1応力緩和層の第1基材フィルムとは反対側の面に隣接する層との間で剥離可能であって、第2基材フィルムが剥離可能な基材フィルムである、光学積層体。
[2]第1応力緩和層と偏光層との間にさらに拡散防止層を含む、[1]に記載の光学積層体。
[3]偏光層が、スメクチック液晶相を示す重合性液晶化合物と二色性色素とを含む重合性液晶組成物の液晶硬化層である、[1]または[2]に記載の光学積層体。
[4]位相差層が、重合性液晶化合物が基材面内に対して水平方向に配向した状態で硬化した水平配向液晶硬化層である、[1]~[3]のいずれかに記載の光学積層体。
[5]第1基材フィルムの厚みが30~120μmである、[1]~[4]のいずれかに記載の光学積層体。
[6]第1基材フィルムから第1応力緩和層までの層からなる積層体(積層体a)の膜厚(T1)と、第1応力緩和層と偏光層との間に位置する拡散防止層から第2応力緩和層までの層からなる積層体(積層体b)の膜厚(T2)とが式(1):
T1/T2 ≧ 1.5 (1)
を満たす、[2]~[5]のいずれかに記載の光学積層体。
[7]第1基材フィルムから第1応力緩和層までの層からなる積層体(積層体a)を光学積層体から剥離する際の剥離力(F1)と、光学積層体から第2基材フィルムを剥離する際の剥離力(F2)とが式(2):
0.02(N/25mm)≦|F1-F2| (2)
を満たす、[1]~[6]のいずれかに記載の光学積層体。
[8]拡散防止層の厚みが5μm以下である、[2]~[7]のいずれかに記載の光学積層体。
[9]重合性液晶化合物が基材面内に対して垂直方向に配向した状態で硬化した垂直配向液晶硬化層を、偏光層と第2応力緩和層との間にさらに含む、[1]~[8]のいずれかに記載の光学積層体。
本発明によれば、薄型でありながら、被転写体に転写する際に貼合ズレやシワの発生を抑制し、任意の被転写体へ容易に転写可能な光学積層体を提供することができる。
本発明の光学積層体の層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の光学積層体の層構成の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
本発明の光学積層体は、第1基材フィルム、第1応力緩和層、偏光層、粘接着層、位相差層、第2応力緩和層、および第2基材フィルムをこの順に含む。以下、本発明の光学積層体の層構成の一例を図1および図2に基づいて説明するが、本発明の積層体はこれらの態様に限定されるものではない。
図1に示される光学積層体11は、第1基材フィルム1、第1応力緩和層2、偏光層3、粘接着層4、位相差層5、第2応力緩和層6および第2基材フィルム7をこの順に積層してなる。図1に示される光学積層体11において、第1応力緩和層2と、第1応力緩和層2の第1基材フィルム1とは反対側の面に隣接する層との間(図1においては第1応力緩和層2と偏光層3との間)で剥離可能であり、かつ、第2基材フィルム7は剥離可能である。光学積層体11から、剥離可能な第2基材フィルム7を剥離して、第1基材フィルム1、第1応力緩和層2、偏光層3、粘接着層4、位相差層5、第2応力緩和層6からなる積層体構造12を、例えばOLED基板等の被転写体(基板)へ転写することができる。その後、第1応力緩和層2を第1基材フィルムが積層された状態で剥離して、偏光層3、粘接着層4、位相差層5および第2応力緩和層6からなる積層体構造13を含む表示装置が得られる。第1応力緩和層2を剥離することにより露出する偏光層3の面に、例えば、粘着剤付き前面板などを貼合することができる。なお、本発明の光学積層体から第1応力緩和層および第2基材フィルムを剥離する順は、必ずしも限定されるものではないが、基板へ貼合する側の層を先に剥離する場合に本発明の効果をより顕著に得られるため、本発明の一実施態様においては、第2基材フィルムを先に剥離して基板へ貼合後、第1応力緩和層を第1基材フィルムとともに剥離する。
本発明の好ましい一実施態様において、本発明の光学積層体は、第1応力緩和層と偏光層との間にさらに拡散防止層を含む。図2に示される光学積層体11は、第1応力緩和層2と偏光層3との間に拡散防止層8を有する。偏光子からの二色性色素の拡散抑制効果を向上させるために、偏光層3の第1応力緩和層2とは反対側の面にも拡散防止層9を有していてよい。
本発明の光学積層体は、第1基材フィルム、第1応力緩和層、偏光層、粘接着層、位相差層、第2応力緩和層および第2基材フィルムおよび拡散防止層に加えて、本発明の効果に影響を及ぼさない限りにおいて、さらに他の層を含んで構成されていてもよい。他の層としては、例えば、偏光層を形成するための配向膜、位相差層を形成するための配向膜、第2の位相差層、偏光層および位相差層間の粘接着層以外の粘接着層、UV吸収能を有する樹脂層等が挙げられる。
以下、本発明の光学積層体の各構成について詳細に説明する。
〔第1基材フィルムおよび第2基材フィルム〕
本発明の光学積層体において、第1基材フィルムは、第1応力緩和層とともに光学積層体の第1応力緩和層の第1基材フィルムとは反対側の面に隣接する層から剥離可能なように、光学積層体に積層される層である。第1基材フィルムから第1応力緩和層までの層は、剥離時に一体となって剥離し得るよう、ある程度の密着性をもって積層されていることが好ましい。一般的に、基板に転写される側(本発明の光学積層体においては、通常、第2基材側)と反対の側には基材フィルムを設ける必要はない。本発明においては、第2基材フィルムを剥離して基板に転写する際に、転写する側とは反対側の最外層に存在する第1基材フィルムと第1基材フィルムに積層される第1応力緩和層とが一体として積層体構造を補強する役割を果たすことにより、薄型でありながら、第2基材フィルムを剥離して基板へ転写する際の気泡やシワの発生、基板との貼合ズレに対する高い抑制効果が得られる。一方、第2基材フィルムは剥離可能に光学積層体に積層される層である。
本発明の一実施態様において、第1基材フィルムの23℃における弾性率は2,500~6,000MPaである。第1基材フィルムにおける該弾性率が上記下限以上であると、強度が高くなりやすく、いわゆる「コシ」が強いフィルムといえる。このような基材フィルムを第2基材フィルムとは反対側の最外層に配置することにより、第2基材フィルムを剥離して基板へ転写する際に気泡やシワが生じ難い傾向がある。また、弾性率が上記上限以下であると、応力に対する強さや剛性のバランスがよく、適度なしなりを持つことで、第2基材フィルムを剥離して基板へ転写する際に基板との貼合ズレを抑制する効果に優れる傾向がある。本発明において、第1基材フィルムの23℃のおける弾性率は、より好ましくは3,000MPa以上、さらに好ましくは3,500MPa以上であり、また、より好ましくは5,500MPa以下である。
本発明の一実施態様において、第2基材フィルムの23℃における弾性率は2500~6000MPaであることが好ましい。第2基材フィルムにおける該弾性率が上記範囲内であると、第2基材フィルムを剥離する際の剥離性を確保しやすく、基板への良好な貼合を実現しやすい。本発明において、第2基材フィルムの23℃のおける弾性率は、より好ましくは3000MPa以上、さらに好ましくは3500MPa以上であり、より好ましくは5500MPa以下である。
基材フィルムの弾性率は、引張試験機を用いて測定できる。詳細には、例えば、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
第1基材フィルムの厚みは、基材フィルムの材料、基材フィルムの弾性率、該基材フィルムに隣接する層の構成等に応じて適宜決定すればよいが、好ましくは30~120μmである。第1基材フィルムの厚みが上記範囲内であると、第2基材フィルムを剥離して基板に転写される積層体構造をより効果的に補強しやすくなり、貼合ズレやシワの発生に対する高い抑制効果を期待できる。かかる効果をより高める観点から、第1基材フィルムの厚みは、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上、さらに好ましくは70μm以上であってもよく、また、より好ましくは120μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。
第2基材フィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、基材フィルムの構成、該基材フィルムに隣接する層の構成等に応じて適宜決定すればよいが、塗布・乾燥時における膜面品質の観点から、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上であり、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。本発明の光学積層体において、第1基材フィルムと第2基材フィルムの厚みは、互いに同じであっても異なっていてもよい。
基材フィルムの厚みはレーザー顕微鏡や膜厚計等により測定でき、以下、光学積層体を構成する偏光層や位相差層等の各層や膜の厚みの測定も同様である。
第1基材フィルムおよび第2基材フィルムは、例えば、光学フィルムの分野において従来公知の樹脂フィルム等を用いることができる。第1基材フィルムおよび第2基材フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびノルボルネン系ポリマーのようなポリオレフィン;環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースおよびセルロースアセテートプロピオネートのようなセルロース系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィドおよびポリフェニレンオキシドのようなプラスチックが挙げられる。中でも、平滑性や塗布基材としての品質の観点から、セルロース系樹脂、環状オレフィン系樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂から選択される少なくとも1種が好ましい。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このような樹脂を、溶媒キャスト法、溶融押出法等の公知の手段により製膜して樹脂フィルムとすることができる。第1基材フィルムと第2基材フィルムは、同じであっても、異なっていてもよい。なお、本明細書において、単に「基材フィルム」と記載する場合、該「基材フィルム」としては第1基材フィルムおよび第2基材フィルムが包含されるものとする。
基材フィルム表面に所望の離型性や密着性を付与しやすくするために、隣接する層の構成等に応じて、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等により基材フィルム表面に改質処理を施してもよい。本発明の光学積層体において、第1基材フィルムおよび第2基材フィルムを表面改質処理する場合、その処理方法は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
また、第2基材フィルムの応力緩和層に隣接する側に、光学積層体から基材フィルムを剥離する際の剥離力を制御する機能を有する層(以下、「剥離力調整層」ともいう)を設けてもよい。剥離力調整層は、例えば、第2基材フィルムとなる樹脂フィルムの表面に、該基材フィルムに積層される第2応力緩和層に対する第2基材フィルムの密着性を調整し得る成分を含む剥離力調整層形成用組成物を塗布することにより形成し得る。剥離力調整層は、所望の剥離力を確保し得る限り、当該分野で従来公知の材料等を用いることができる。本発明において剥離力調整層を形成し得る剥離力調整層形成用組成物としては、例えば、シラン化合物を含む溶液;シリカ粉等を含有する溶液;硬化性樹脂組成物;フッ素系材料、長鎖アルキル系材料、脂肪酸アミド系材料等の離型材料を含む組成物等が挙げられる。中でも、薄膜で、所望の剥離力を付与し得る層を容易に形成しやすい観点から、シラン化合物を含む溶液から形成することが好ましい。
剥離力調整層を構成し得るシラン化合物としては、例えば、ポリシランのようなケイ素ポリマー、シリコーンオイルおよびシリコーンレジンのようなシリコーン樹脂、並びにシリコーンオリゴマー、シルセスシロキサンおよびアルコキシシランのような有機無機シラン化合物、より具体的にはシランカップリング剤等のSi元素を含む非イオン性の化合物が挙げられる。これらのシラン化合物は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤としては、ビニル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基、イミダゾール基およびエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有するシラン化合物が好ましく、前記少なくとも1種の官能基と、少なくとも1つのアルコキシシリル基またはシラノール基とを有するSi元素を含む化合物であることがより好ましい。ビニル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基、イミダゾール基およびエポキシ基は極性を有し、これらの官能基を適宜選定することにより、基材フィルムと応力緩和層との密着性を制御することができる。かかる観点からは、シランカップリング剤がアルコキシシリル基と前記少なくとも1種の官能基とを有するシランカップリング剤であることが好ましい。なお、前記官能基は、シランカップリング剤の反応性を制御するために適宜置換基または保護基を有していてもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、および3-グリシドキシプロピルエトキシジメチルシランが挙げられる。
市販のシランカップリング剤を用いてもよく、例えば、KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341、X22-161A、KF6001、KBM-1003、KBE-1003、KBM-303、KBM-402、KBM-403、KBE-402、KBE-403、KBM-1403、KBM-502、KBM-503、KBE-502、KBE-503、KBM-5103、KBM-602、KBM-603、KBM-903、KBE-903、KBE-9103、KBM-573、KBM-575、KBM-9659、KBE-585、KBM-802、KBM-803、KBE-846、およびKBE-9007のような信越化学工業(株)製のシランカップリング剤が挙げられる。
剥離力調整層として機能するシラン化合物を含む層は、例えば、シラン化合物を適当な溶剤に混合溶解したシラン化合物含有溶液から形成することができる。
シラン化合物含有溶液に用いる溶剤は、用いるシラン化合物の溶解性等に応じて適宜選択することができる。具体的には例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶剤、および、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素化炭化水素溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、単独または2種以上組合せて使用できる。
シラン化合物含有溶液におけるシラン化合物の含有量は、剥離力を制御しやすい観点から、シラン化合物含有溶液の総質量に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上である。シラン化合物の含有量は、シラン化合物含有溶液の総質量に対して、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
剥離力調整層として機能するシラン化合物を含む層は、例えば、シラン化合物含有溶液を第2基材フィルムの剥離力調整層を形成する面に塗布した後、溶剤を乾燥、除去することにより形成することができる。
剥離力調整層を形成する面にシラン化合物含有溶液を塗布する方法としては、例えば、スピンコーティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法などの塗布法、フレキソ法などの印刷法などの公知の方法が挙げられる。
シラン化合物含有溶液から得られる塗膜中に含まれる溶剤を除去する乾燥方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。乾燥温度および乾燥時間等の各条件は、シラン化合物含有溶液の組成、基材フィルムの材料等に応じて適宜決定し得る。
剥離力調整層として機能するシラン化合物を含む層の厚みは、通常、10nm~1000nmであり、好ましくは10nm~500nm、より好ましくは30nm~300nmである。
〔第1応力緩和層および第2応力緩和層〕
本発明の光学積層体は、第1基材フィルムの偏光層側の面に第1応力緩和層を、第2基材フィルムの位相差層側の面に第2応力緩和層を有する。本発明において応力緩和層とは、第1基材フィルムの偏光層側の面および第2基材フィルムの位相差層側の面に形成される層であって、光学積層体から第2基材フィルムを剥離する際に光学積層体にかかる応力を緩和する機能を有する層を意味する。本発明においては、第1基材フィルムおよび第2基材フィルムがそれぞれ応力緩和層を介して光学積層体を構成しており、表示装置内へ組み込まれる(転写される)積層体構造の一方の外層に基材フィルムと積層された第1応力緩和層が、他方の外層に第2応力緩和層が存在する。本発明の光学積層体は、このような構造により、転写対象となる薄型の積層体構造の強度が高まり、第2基材フィルムを剥離して基板に転写する際に生じ得るシワや、貼合ズレ、気泡の発生等の抑制効果に優れる。その理由は定かではないが、前記構造を有することにより、転写対象となる薄型の積層体構造の強度が高まるとともに、光学積層体から基材フィルムを剥離する際に光学積層体にかかる応力を各応力緩和層が相互に作用して緩和することによって、応力緩和層が存在しない、または、一方の側にしか応力緩和層が存在しない光学積層体よりも貼合ズレやシワ等の発生抑制効果が高くなるものと考えられる。かかる効果を十分に得るために、本発明の光学積層体において、第1基材フィルムと第1応力緩和層は隣接して配置されることが好ましい。また、第2基材フィルムと第2応力緩和層は隣接して、または剥離力調整層のみを介して配置されることが好ましい。なお、本明細書において、単に「応力緩和層」と記載する場合、該「応力緩和層」としては第1応力緩和層および第2応力緩和層が包含されるものとする。
応力緩和層は、基材フィルムを剥離する際に光学積層体に生じる応力を緩和できる層である。また、第2応力緩和層は、前記応力を緩和し得る層であるとともに、基材フィルムを剥離後には、基板や前面板等の被転写体と貼合するための粘着層として機能する層であることが好ましい。応力緩和層における応力の緩和性および被転写体に対する粘着性は、応力緩和層を構成する成分の種類、その含有量比、厚み等によって制御し得る。そのような機能を有する応力緩和層は、当該分野で従来公知の材料等を用いて調製できる。例えば、(メタ)アクリル系、ゴム系、ウレタン系、エステル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系のような樹脂を主成分とする組成物(以下、「応力緩和層形成用組成物」ともいう)が挙げられる。中でも、透明性、粘着性、耐候性、耐熱性等に優れる観点から、応力緩和層は(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとする組成物から形成されることが好ましい。
応力緩和層形成用組成物に用いられる(メタ)アクリル系樹脂(ベースポリマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステルの1種または2種以上をモノマーとする重合体または共重合体が好適に用いられる。ベースポリマーには、極性モノマーを共重合させることが好ましい。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーを挙げることができる。
本発明の一実施態様において応力緩和層を構成する(メタ)アクリル系樹脂における(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位は、(メタ)アクリル系樹脂を構成する全構造単位の総質量に対して、好ましくは80~99.9質量%であり、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。また、(メタ)アクリル系樹脂が極性モノマーに由来する構造単位を含んでなる場合、該極性モノマーに由来する構造単位は、(メタ)アクリル系樹脂を構成する全構造単位の総質量に対して0.1~10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、また、より好ましくは8質量%以下である。
応力緩和層を構成する(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法など、公知の各種方法によって製造することができる。このアクリル樹脂の製造においては、通常、重合開始剤が用いられる。重合開始剤の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂の製造に用いられる全ての単量体の合計100質量部に対して、0.001~5質量部であることが好ましい。
重合開始剤としては、熱重合開始剤や光重合開始剤などが用いられる。熱重合開始剤として、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、および2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)などのアゾ系化合物;ラウリルパーオキサイド、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジプロピルパーオキシジカーボネート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシピバレート、および(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイドなどの有機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、および過酸化水素などの無機過酸化物などを挙げることができる。光重合開始剤として、例えば、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトンなどを挙げることができる。
アクリル系樹脂を溶液重合法により調製する場合、所望の単量体および有機溶媒を混合し、窒素雰囲気下で熱重合開始剤を添加して、40~90℃、好ましくは50~80℃で攪拌する方法を挙げることができる。また、反応を制御するために、単量体や重合開始剤を重合中に連続的または間欠的に添加したり、有機溶媒に溶解した状態で添加したりしてもよい。ここで、有機溶媒としては、例えば、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤;酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;プロピルアルコールやイソプロピルアルコールなどの脂肪族アルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、およびメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤等を用いることができる。
応力緩和層は、上記アクリル系樹脂のみを含むものであってもよいが、架橋剤を併用して形成されるものであってもよい。架橋剤としては、2価以上の金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの;ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの;ポリエポキシ化合物やポリオールであって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの;ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものが例示される。
応力緩和層は、上記アクリル系樹脂成分の他に、必要に応じて、応力緩和層と隣接する層との剥離性や密着性を制御するために有用な成分等を含んでいてもよい。そのような成分としては、例えば、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、帯電防止成分等が挙げられる。応力緩和層形成用組成物がこれらの成分を含む場合、その含有量は、配合する成分、所望する効果等に応じて適宜決定すればよい。
本発明の一実施態様において、第1応力緩和層は、該層の第1基材フィルムとは反対側の面で隣接する層から剥離可能となるよう、前述したような有用な成分を含んで構成されることが好ましい。また、別の方法としては、第1基材フィルムと第1応力緩和層間の密着力が上がるように、例えば第1基材フィルムに表面処理などを適宜実施してもよい。
一方、第2応力緩和層は、第2基材フィルムを剥離した後、表示装置内部に組み込まれる層であり、該層の第2基材フィルムとは反対側の面で隣接する層と適度な密着性を有して積層される層であることが好ましい。
応力緩和層は、例えば、主成分として上述のアクリル系樹脂を溶剤に溶解させた応力緩和層形成用組成物を、応力緩和層を積層しようとする基材フィルムまたは剥離力調整層上にバーコート法などによって塗布し、乾燥させる方法によって設けることができる。溶剤としては、アクリル系樹脂の調製方法において例示したものと同様のものが挙げられる。
応力緩和層の厚みは、応力緩和層の構成、表示装置の構成や大きさ等に応じて適宜決定すればよい。
本発明の一実施態様において、第1応力緩和層および第2応力緩和層の厚みは、それぞれ、好ましくは5~80μmであり、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上であり、また、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。第1応力緩和層の厚みと第2応力緩和層の厚みとは同じであっても、異なっていてもよい。
〔偏光層〕
本発明において、偏光層は偏光機能を有する層(偏光子)である。偏光層は、吸収異方性を有する色素である二色性色素を含み、光学積層体の薄型化に有利である観点から、本発明の光学積層体において偏光層はコーティング層であり、少なくとも1種の液晶化合物を含む、好ましくは重合性液晶化合物と二色性色素とを含む重合性液晶組成物(以下、「偏光層形成用組成物」ともいう)から形成される硬化層であることが好ましい。
本発明の偏光層を形成する偏光層形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物(以下、「重合性液晶化合物(A)」ともいう)は、少なくとも1つの重合性基を有する化合物である。ここで、重合性基とは、重合開始剤から発生する活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性液晶化合物(A)が有する重合性基としては、例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイル基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、ラジカル重合性基が好ましく、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、ビニルオキシ基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましい。偏光層を形成する重合性液晶化合物が、後述する偏光層を形成するための配向膜を形成する化合物が有する官能基と同じ官能基(重合性基)、例えば(メタ)アクリロイル基を有すると、配向膜および偏光層間の相溶性が高く、層間の優れた密着性を発現できる。
本発明において、重合性液晶化合物(A)はスメクチック液晶性を示す化合物であることが好ましい。スメクチック液晶性を示す重合性液晶化合物を用いることにより、配向秩序度の高い偏光層を形成することができる。より高い配向秩序度を実現し得る観点から、重合性液晶化合物(A)の示す液晶状態は、高次スメクチック相(高次スメクチック液晶状態)であることがより好ましい。ここで、高次スメクチック相とは、スメクチックB相、スメクチックD相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相およびスメクチックL相を意味し、これらの中でも、スメクチックB相、スメクチックF相およびスメクチックI相がより好ましい。液晶性はサーモトロピック性液晶でもリオトロピック性液晶でもよいが、緻密な膜厚制御が可能な点でサーモトロピック性液晶が好ましい。また、重合性液晶化合物(A)はモノマーであってもよいが、重合性基が重合したオリゴマーであってもポリマーであってもよい。
重合性液晶化合物(A)としては、少なくとも1つの重合性基を有する液晶化合物であれば特に限定されず、公知の重合性液晶化合物を用いることができるが、スメクチック液晶性を示す化合物が好ましい。そのような重合性液晶化合物としては、例えば、下記式(A1)で表される化合物(以下、「重合性液晶化合物(A1)」ということがある)が挙げられる。
-V-W-(X-Y-X-W-V-U (A1)
[式(A1)中、
およびXは、互いに独立して、2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基を表し、ここで、該2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基に置換されていてもよく、該2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子が、酸素原子または硫黄原子または窒素原子に置換されていてもよい。ただし、XおよびXのうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基または置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基である。
は、単結合または二価の連結基である。
nは1~3であり、nが2以上の場合、複数のXは互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。Xは、複数のXのうちのいずれかまたは全てと同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、nが2以上の場合、複数のYは互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。液晶性の観点からnは2以上が好ましい。
は、水素原子または重合性基を表わす。
は、重合性基を表わす。
およびWは、互いに独立して、単結合または二価の連結基である。
およびVは、互いに独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成する-CH-は、-O-、-CO-、-S-またはNH-に置き換わっていてもよい。]
重合性液晶化合物(A1)において、XおよびXは、互いに独立して、好ましくは、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、または、置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基であり、XおよびXのうちの少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、または、置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基であり、トランス-シクロへキサン-1,4-ジイル基であることが好ましい。置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、または、置換基を有していてもよいシクロへキサン-1,4-ジイル基が任意に有する置換基としては、メチル基、エチル基およびブチル基などの炭素数1~4のアルキル基、シアノ基および塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子が挙げられる。好ましくは無置換である。
また、重合性液晶化合物(A1)は、式(A1)中、式(A1-1):
-(X-Y-X- (A1-1)
〔式中、X、Y、Xおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を示す。〕
で示される部分〔以下、部分構造(A1-1)ともいう〕が非対称構造であることが、スメクチック液晶性を発現し易い点で好ましい。
部分構造(A1-1)が非対称構造である重合性液晶化合物(A1)としては、例えば、nが1であり、1つのXとXとが互いに異なる構造である重合性液晶化合物(A1)が挙げられる。また、nが2であり、2つのYが互いに同じ構造である化合物であって、2つのXが互いに同じ構造であり、1つのXはこれら2つのXとは異なる構造である重合性液晶化合物(A1)、2つのXのうちのWに結合するXが、他方のXおよびXとは異なる構造であり、他方のXとXとは互いに同じ構造である重合性液晶化合物(A1)も挙げられる。さらに、nが3であり、3つのYが互いに同じ構造である化合物であって、3つのXおよび1つのXのうちのいずれか1つが他の3つの全てと異なる構造である重合性液晶化合物(A1)が挙げられる。
は、-CHCH-、-CHO-、-CHCHO-、-COO-、-OCOO-、単結合、-N=N-、-CR=CR-、-C≡C-、-CR=N-または-CO-NR-が好ましい。RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表わす。Yは、-CHCH-、-COO-または単結合であることがより好ましく、複数のYが存在する場合、Xと結合するYは、-CHCH-またはCHO-であることがより好ましい。XおよびXが全て同一構造である場合、互いに異なる結合方式である2以上のYが存在することが好ましい。互いに異なる結合方式である複数のYが存在する場合には、非対称構造となるため、スメクチック液晶性が発現しやすい傾向にある。
は、重合性基である。Uは、水素原子または重合性基であり、好ましくは重合性基である。UおよびUがともに重合性基であることが好ましく、ともにラジカル重合性基であることが好ましい。重合性基としては、重合性液晶化合物(A)が有する重合性基として先に例示した基と同様のものが挙げられる。Uで示される重合性基とUで示される重合性基とは、互いに異なっていてもよいが、同じ種類の基であることが好ましく、UおよびUの少なくとも一方が(メタ)アクリロイル基であることが好ましく、両方が(メタ)アクリロイル基であることがより好ましい。また、重合性基は重合している状態であってもよいし、未重合の状態であってもよいが、好ましくは未重合の状態である。
およびVで表されるアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基およびイコサン-1,20-ジイル基等が挙げられる。VおよびVは、好ましくは炭素数2~12のアルカンジイル基であり、より好ましくは炭素数6~12のアルカンジイル基である。
該アルカンジイル基が任意に有する置換基としては、シアノ基およびハロゲン原子等が挙げられるが、該アルカンジイル基は、無置換であることが好ましく、無置換の直鎖状アルカンジイル基であることがより好ましい。
およびWは、互いに独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-または-OCOO-が好ましく、単結合または-O-がより好ましい。
重合性液晶化合物(A)としては、少なくとも1つの重合性基を有する重合性液晶化合物であれば特に限定されず、公知の重合性液晶化合物を用いることができるが、スメクチック液晶性を示すことが好ましく、スメクチック液晶性を示しやすい構造としては、分子構造中に非対称性の分子構造を有することが好ましく、具体的には下記(A-a)~(A-i)の部分構造を有する重合性液晶化合物であってスメクチック液晶性を示す重合性液晶化合物であることがより好ましい。高次スメクチック液晶性を示しやすいという観点から(A-a)、(A-b)または(A-c)の部分構造を有することがより好ましい。なお、下記(A-a)~(A-i)において、*は結合手(単結合)を表す。
Figure 0007128932000001
重合性液晶化合物(A)としては、具体的には例えば、式(A-1)~式(A-25)で表される化合物が挙げられる。重合性液晶化合物(A)がシクロヘキサン-1,4-ジイル基を有する場合、そのシクロヘキサン-1,4-ジイル基は、トランス体であることが好ましい。
Figure 0007128932000002
Figure 0007128932000003
Figure 0007128932000004
これらの中でも、式(A-2)、式(A-3)、式(A-4)、式(A-5)、式(A-6)、式(A-7)、式(A-8)、式(A-13)、式(A-14)、式(A-15)、式(A-16)および式(A-17)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。重合性液晶化合物(A)として、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
重合性液晶化合物(A)は、例えば、Lub等、Recl.Trav.Chim.Pays-Bas、115、321-328(1996)、または特許第4719156号などに記載の公知の方法で製造できる。
本発明において、偏光層形成用組成物は、重合性液晶化合物(A)以外の他の重合性液晶化合物を含んでいてもよいが、配向秩序度の高い偏光層を得る観点から、偏光層形成用組成物に含まれる全重合性液晶化合物の総質量に対する重合性液晶化合物(A)の割合は、好ましくは51質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。
偏光層形成用組成物が2種以上の重合性液晶化合物(A)を含む場合、そのうちの少なくとも1種が重合性液晶化合物(A1)であってもよく、その全てが重合性液晶化合物(A1)であってもよい。複数の重合性液晶化合物を組合せることにより、液晶-結晶相転移温度以下の温度でも一時的に液晶性を保持することができる場合がある。
偏光層形成用組成物における重合性液晶化合物の含有量は、偏光層形成用組成物の固形分に対して、好ましくは40~99.9質量%であり、より好ましくは60~99質量%であり、さらに好ましくは70~99質量%である。重合性液晶化合物の含有量が上記範囲内であると、重合性液晶化合物の配向性が高くなる傾向がある。なお、ここでいう「固形分」とは、偏光層形成用組成物から溶剤等の揮発成分を除いた成分のことをいい、以下、本明細書において「固形分」という場合は、同様に、対象とする組成物から溶剤等の揮発性成分を除いた成分をいう。
本発明において、偏光層を形成する偏光層形成用組成物は、通常、二色性色素を含む。ここで、二色性色素とは、分子の長軸方向における吸光度と、短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素を意味する。本発明において用い得る二色性色素は、上記性質を有するものであれば特に制限されず、染料であっても、顔料であってもよい。また、2種以上の染料または顔料をそれぞれ組合せて用いてもよいし、染料と顔料とを組合せて用いてもよい。また、二色性色素は、重合性を有していてもよいし、液晶性を有していてもよい。
二色性色素としては、300~700nmの範囲に極大吸収波長(λMAX)を有するものが好ましい。このような二色性色素としては、例えば、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素およびアントラキノン色素等が挙げられる。
アゾ色素としては、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素およびスチルベンアゾ色素等が挙げられ、ビスアゾ色素およびトリスアゾ色素が好ましく、例えば、式(I)で表される化合物(以下、「化合物(I)」ともいう)が挙げられる。
(-N=N-K-N=N-K (I)
[式(I)中、KおよびKは、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよい安息香酸フェニルエステル基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表わす。Kは、置換基を有していてもよいp-フェニレン基、置換基を有していてもよいナフタレン-1,4-ジイル基、置換基を有していてもよい4,4’-スチルベニレン基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表わす。pは0~4の整数を表わす。pが2以上の整数である場合、複数のKは互いに同一でも異なっていてもよい。可視域に吸収を示す範囲で-N=N-結合が-C=C-、-COO-、-NHCO-、-N=CH-結合に置き換わっていてもよい。]
1価の複素環基としては、例えば、キノリン、チアゾール、ベンゾチアゾール、チエノチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾールなどの複素環化合物から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。2価の複素環基としては、前記複素環化合物から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
およびKにおけるフェニル基、ナフチル基、安息香酸フェニルエステル基および1価の複素環基、並びにKにおけるp-フェニレン基、ナフタレン-1,4-ジイル基、4,4’-スチルベニレン基および2価の複素環基が任意に有する置換基としては、炭素数1~20のアルキル基、重合性基を有する炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~4のアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1~20のアルコキシ基;重合性基を有する炭素数1~20のアルコキシ基;トリフルオロメチル基などの炭素数1~4のフッ化アルキル基;シアノ基;ニトロ基;ハロゲン原子;アミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジノ基などの置換または無置換アミノ基(置換アミノ基とは、炭素数1~6のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、重合性基を有する炭素数1~6のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、あるいは2つの置換アルキル基が互いに結合して炭素数2~8のアルカンジイル基を形成しているアミノ基を意味する。無置換アミノ基は-NHである。)等が挙げられる。なお、前記重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。
化合物(I)の中でも、以下の式(I-1)~式(I-8)のいずれかで表される化合物が好ましい。
Figure 0007128932000005
[式(I-1)~(I-8)中、
~B30は、互いに独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルケニル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換または無置換のアミノ基(置換アミノ基および無置換アミノ基の定義は前記のとおり)、塩素原子またはトリフルオロメチル基を表わす。
n1~n4は、互いに独立に0~3の整数を表わす。
n1が2以上である場合、複数のBは互いに同一でも異なっていてもよく、
n2が2以上である場合、複数のBは互いに同一でも異なっていてもよく、
n3が2以上である場合、複数のBは互いに同一でも異なっていてもよく、
n4が2以上である場合、複数のB14は互いに同一でも異なっていてもよい。]
前記アントラキノン色素としては、式(I-9)で表される化合物が好ましい。
Figure 0007128932000006
[式(I-9)中、
~Rは、互いに独立して、水素原子、-R、-NH、-NHR、-NR 、-SRまたはハロゲン原子を表わす。
は、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表わす。]
前記オキサゾン色素としては、式(I-10)で表される化合物が好ましい。
Figure 0007128932000007
[式(I-10)中、
~R15は、互いに独立して、水素原子、-R、-NH、-NHR、-NR 、-SRまたはハロゲン原子を表わす。
は、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表わす。]
前記アクリジン色素としては、式(I-11)で表される化合物が好ましい。
Figure 0007128932000008
[式(I-11)中、
16~R23は、互いに独立して、水素原子、-R、-NH、-NHR、-NR 、-SRまたはハロゲン原子を表わす。
は、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表わす。]
式(I-9)、式(I-10)および式(I-11)において、Rの炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基等が挙げられ、炭素数6~12のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基およびナフチル基等が挙げられる。
前記シアニン色素としては、式(I-12)で表される化合物および式(I-13)で表される化合物が好ましい。
Figure 0007128932000009
[式(I-12)中、
およびDは、互いに独立に、式(I-12a)~式(I-12d)のいずれかで表される基を表わす。
Figure 0007128932000010
n5は1~3の整数を表わす。]
Figure 0007128932000011
[式(I-13)中、
およびDは、互いに独立に、式(I-13a)~式(1-13h)のいずれかで表される基を表わす。
Figure 0007128932000012
n6は1~3の整数を表わす。]
これらの二色性色素の中でも、アゾ色素は直線性が高いため偏光性能に優れる偏光層の作製に好適である。したがって、本発明の一実施態様において、偏光層を形成する偏光層形成用組成物に含まれる二色性色素は、好ましくはアゾ色素である。
本発明において、二色性色素の重量平均分子量は、通常、300~2000であり、好ましくは400~1000である。
本発明の一実施態様において、偏光層を形成する偏光層形成用組成物に含まれる二色性色素は疎水性であることが好ましい。二色性色素が疎水性であると、二色性色素と重合性液晶化合物との相溶性が向上し、二色性色素と重合性液晶化合物が均一な相状態を形成し、高い配向秩序度を有する偏光層を得ることができる。なお、本発明において、疎水性の二色性色素とは、25℃、100gの水に対する溶解度が1g以下である色素を意味する。
偏光層形成用組成物における二色性色素の含有量は、用いる二色性色素の種類などに応じて適宜決定し得るが、重合性液晶化合物100質量部に対して、好ましくは0.1~50質量部であり、より好ましくは0.1~20質量部であり、さらに好ましくは0.1~12質量部である。二色性色素の含有量が、上記範囲内であると、重合性液晶化合物の配向を乱し難く、高い配向秩序度を有する偏光層を得ることができる。
本発明において、偏光層を形成するための偏光層形成用組成物は、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤は、重合性液晶化合物の重合反応を開始し得る化合物であり、より低温条件下で重合反応を開始できる点において光重合開始剤が好ましい。具体的には、光の作用により活性ラジカルまたは酸を発生できる光重合開始剤が挙げられ、中でも、光の作用によりラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。重合開始剤は単独または二種以上組合せて使用できる。
光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤を用いることができ、例えば、活性ラジカルを発生する光重合開始剤としては、自己開裂型の光重合開始剤、水素引き抜き型の光重合開始剤がある。
自己開裂型の光重合開始剤として、自己開裂型のベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ヒドロキシアセトフェノン系化合物、α-アミノアセトフェノン系化合物、オキシムエステル系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、アゾ系化合物等を使用できる。また、水素引き抜き型光重合開始剤として、水素引き抜き型のベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジルケタール系化合物、ジベンゾスベロン系化合物、アントラキノン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、ハロゲノアセトフェノン系化合物、ジアルコキシアセトフェノン系化合物、ハロゲノビスイミダゾール系化合物、ハロゲノトリアジン系化合物、トリアジン系化合物等を使用できる。
酸を発生する光重合開始剤としては、ヨードニウム塩およびスルホニウム塩等を使用できる。
この中でも、色素の溶解を防ぐ観点から低温での反応が好ましく、低温での反応効率の観点から自己開裂型の光重合開始剤が好ましく、特にアセトフェノン系化合物、ヒドロキシアセトフェノン系化合物、α-アミノアセトフェノン系化合物、オキシムエステル系化合物が好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には例えば、以下のものが挙げられる。
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系化合物;
2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1,2-ジフェニル-2,2-ジメトキシエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよび2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(1-メチルビニル)フェニル〕プロパン-1-オンのオリゴマー等のヒドロキシアセトフェノン系化合物;
2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン等のα-アミノアセトフェノン系化合物;
1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;
2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドおよびビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合物;
ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;
ジエトキシアセトフェノンなどのジアルコキシアセトフェノン系化合物;
2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチ_ル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジンおよび2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン等のトリアジン系化合物。光重合開始剤は、例えば上記の光重合開始剤から偏光層形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物との関係において適宜選択すればよい。
また、市販の光重合開始剤を用いてもよい。市販の重合開始剤としては、イルガキュア(Irgacure)(登録商標)907、184、651、819、250、および369、379、127、754、OXE01、OXE02、OXE03(BASF社製);Omnirad BCIM、Esacure 1001M、Esacure KIP160(IDM Resins B.V.社製);セイクオール(登録商標)BZ、Z、およびBEE(精工化学株式会社製);カヤキュアー(kayacure)(登録商標)BP100、およびUVI-6992(ダウ・ケミカル株式会社製);アデカオプトマーSP-152、N-1717、N-1919、SP-170、アデカアークルズNCI-831、アデカアークルズNCI-930(株式会社ADEKA製);TAZ-A、およびTAZ-PP(日本シイベルヘグナー株式会社製);並びに、TAZ-104(株式会社三和ケミカル製);等が挙げられる。
偏光層を形成するための偏光層形成用組成物における重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、好ましくは1~10質量部であり、より好ましくは1~8質量部、さらに好ましくは2~8質量部、特に好ましくは4~8質量部である。重合開始剤の含有量が上記の範囲内であると、重合性液晶化合物の配向を大きく乱すことなく、重合性液晶化合物の重合反応を行うことができる。
また、本発明において重合性液晶化合物の重合率は、製造時のライン汚染や取扱いの観点から、60%以上であることが好ましく、65%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。
偏光層形成用組成物は光増感剤をさらに含有していてもよい。光増感剤を用いることにより重合性液晶化合物の重合反応をより促進させることができる。光増感剤としては、キサントン、チオキサントンなどのキサントン化合物(例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントンなど);アントラセン、アルコキシ基含有アントラセン(例えば、ジブトキシアントラセンなど)などのアントラセン化合物;フェノチアジンおよびルブレン等が挙げられる。光増感剤は単独または2種以上組合せて使用できる。
偏光層形成用組成物が光増感剤を含む場合、その含有量は、重合開始剤および重合性液晶化合物の種類およびその量に応じて適宜決定すればよいが、重合性液晶化合物100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましく、0.5~8質量部がさらに好ましい。
また、偏光層形成用組成物はレベリング剤を含んでいてもよい。レベリング剤は、偏光層形成用組成物の流動性を調整し、該偏光層形成用組成物を塗布することにより得られる塗膜をより平坦にする機能を有し、具体的には、界面活性剤が挙げられる。レベリング剤としては、ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤およびフッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。レベリング剤は単独または2種以上組合せて使用できる。
ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤としては、例えば、“BYK-350”、“BYK-352”、“BYK-353”、“BYK-354”、“BYK-355”、“BYK-358N”、“BYK-361N”、“BYK-380”、“BYK-381”および“BYK-392”(BYK Chemie社)が挙げられる。
フッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤としては、例えば、“メガファック(登録商標)R-08”、同“R-30”、同“R-90”、同“F-410”、同“F-411”、同“F-443”、同“F-445”、同“F-470”、同“F-471”、同“F-477”、同“F-479”、同“F-482”および同“F-483”(DIC(株));“サーフロン(登録商標)S-381”、同“S-382”、同“S-383”、同“S-393”、同“SC-101”、同“SC-105”、“KH-40”および“SA-100”(AGCセイミケミカル(株));“E1830”、“E5844”((株)ダイキンファインケミカル研究所);“エフトップEF301”、“エフトップEF303”、“エフトップEF351”および“エフトップEF352”(三菱マテリアル電子化成(株))が挙げられる。
偏光層形成用組成物がレベリング剤を含有する場合、その含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、0.05~5質量部が好ましく、0.05~3質量部がより好ましい。レベリング剤の含有量が上記の範囲内であると、重合性液晶化合物を配向させやすく、かつ、ムラが生じ難く、より平滑な偏光層を得られる傾向がある。
偏光層形成用組成物は、光増感剤およびレベリング剤以外の他の添加剤を含有してよい。他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、離型剤、安定剤、ブルーイング剤等の着色剤、難燃剤および滑剤などが挙げられる。偏光層形成用組成物が他の添加剤を含有する場合、他の添加剤の含有量は、偏光層形成用組成物の固形分に対して、0%を超えて20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0%を超えて10質量%以下である。
偏光層形成用組成物は、従来公知の偏光層形成用組成物の調製方法により製造することができ、通常、重合性液晶化合物および二色性色素、並びに、必要に応じて重合開始剤および上記添加剤等を混合、撹拌することにより調製することができる。また、一般にスメクチック液晶性を示す化合物は粘度が高いため、偏光層形成用組成物の塗布性を向上させて偏光層の形成を容易にする観点から、偏光層形成用組成物に溶剤を加えることにより粘度調整を行ってもよい。
偏光層形成用組成物に用いる溶剤は、用いる重合性液晶化合物および二色性色素の溶解性等に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶剤、および、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素化炭化水素溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、単独または2種以上組合せて使用できる。溶剤の含有量は、偏光層形成用組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは100~1900質量部であり、より好ましくは150~900質量部であり、さらに好ましくは180~600質量部である。
本発明において、偏光層は配向秩序度の高い偏光子であることが好ましい。配向秩序度の高い偏光子は、X線回折測定においてヘキサチック相やクリスタル相といった高次構造由来のブラッグピークが得られる。ブラッグピークとは、分子配向の面周期構造に由来するピークを意味する。したがって、本発明の光学積層体を構成する偏光層はX線回折測定においてブラッグピークを示すことが好ましい。すなわち、本発明の光学積層体を構成する偏光層においては、重合性液晶化合物またはその重合体が、X線回折測定において該偏光層がブラッグピークを示すように配向していることが好ましく、光を吸収する方向に重合性液晶化合物の分子が配向する「水平配向」していることがより好ましい。本発明においては分子配向の面周期間隔が3.0~6.0Åである偏光子が好ましい。ブラッグピークを示すような高い配向秩序度は、用いる重合性液晶化合物の種類、二色性色素の種類やその量、および重合開始剤の種類やその量等を制御することにより実現し得る。
本発明において偏光層は、例えば、基材または後述する配向膜上に偏光層形成用組成物の塗膜を形成すること、該塗膜から溶剤を除去すること、重合性液晶化合物が液体相に相転移する温度以上まで昇温した後降温して、該重合性液晶化合物を液晶相(スメクチック相)に相転移させること、および、前記液晶相を保持したまま重合性液晶化合物を重合させることを含む方法により得ることができる。
偏光層形成用組成物を基材または配向膜に塗布する方法としては、例えば、スピンコーティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法などの塗布法、フレキソ法などの印刷法などの公知の方法が挙げられる。
次いで、偏光層形成用組成物から得られた塗膜中に含まれる重合性液晶化合物が重合しない条件で、溶剤を乾燥等によって除去することにより、乾燥塗膜が形成される。乾燥方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。
さらに、重合性液晶化合物を液体相に相転移させるため、重合性液晶化合物が液体相に相転移する温度以上まで昇温した後降温し、該重合性液晶化合物を液晶相(スメクチック相)に相転移させる。かかる相転移は、前記塗膜中の溶剤除去後に行ってもよいし、溶剤の除去と同時に行ってもよい。
重合性液晶化合物の液晶状態を保持したまま、重合性液晶化合物を重合させることにより、偏光層形成用組成物の硬化物として偏光層が形成される。重合方法としては光重合法が好ましい。光重合において、乾燥塗膜に照射する光としては、当該乾燥塗膜に含まれる重合性液晶化合物の種類(特に、該重合性液晶化合物が有する重合性基の種類)、重合開始剤の種類およびそれらの量等に応じて適宜選択される。その具体例としては、可視光、紫外光、赤外光、X線、α線、β線およびγ線からなる群より選択される1種以上の光や活性電子線が挙げられる。中でも、重合反応の進行を制御し易い点や、光重合装置として当分野で広範に用いられているものが使用できるという点で、紫外光が好ましく、紫外光によって、光重合可能なように、偏光層形成用組成物に含有される重合性液晶化合物や重合開始剤の種類を選択しておくことが好ましい。また、重合時に、適切な冷却手段により乾燥塗膜を冷却しながら光照射することで、重合温度を制御することもできる。光重合の際、マスキングや現像を行うなどによって、パターニングされた偏光層を得ることもできる。
前記活性エネルギー線の光源としては、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、波長範囲380~440nmを発光するLED光源、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
紫外線照射強度は、通常、10~3,000mW/cmである。紫外線照射強度は、好ましくは光重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度である。光を照射する時間は、通常0.1秒~10分であり、好ましくは1秒~5分、より好ましくは5秒~3分、さらに好ましくは10秒~1分である。このような紫外線照射強度で1回または複数回照射すると、その積算光量は、10~3,000mJ/cm、好ましくは50~2,000mJ/cm、より好ましくは100~1,000mJ/cmである。
光重合を行うことにより、重合性液晶化合物は、液晶相、特にスメクチック相、好ましくは高次スメクチック相の液晶状態を保持したまま重合し、偏光層が形成される。重合性液晶化合物がスメクチック相の液晶状態を保持したまま重合して得られる偏光層は、前記二色性色素の作用にも伴い、従来のホストゲスト型偏光フィルム、すなわち、ネマチック相の液晶状態からなる偏光層と比較して、偏光性能が高いという利点がある。さらに、二色性色素やリオトロピック液晶のみを塗布したものと比較して、強度に優れるという利点もある。
偏光層の厚みは、適用される表示装置に応じて適宜選択でき、好ましくは0.1~5μm、より好ましくは0.3~4μm、さらに好ましくは0.5~3μmである。偏光層の膜厚が、上記の下限値以上であると、必要な光吸収が得られなくなることを防止しやすく、上記の上限値以下であると、配向膜による配向規則力の低下による配向欠陥の発生を抑制しやすい。
偏光層は、配向膜上に形成されていてもよい。配向膜は、重合性液晶化合物を所望の方向に液晶配向させる配向規制力を有するものであり、配向膜上に偏光層形成用組成物を塗布することにより精度よく配向した偏光層が得られやすい。配向膜としては、前記偏光層形成用組成物の塗布等により溶解しない溶剤耐性を有し、また、溶剤の除去や重合性液晶化合物の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。本発明において、配向膜としては、配向角の精度および品質、並びに、配向膜を含む光学積層体の耐水性や耐屈曲性等の観点から光配向膜が好ましい。光配向膜は、照射する偏光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御できる点でも有利である。
光配向膜は、通常、光反応性基を有するポリマー、オリゴマーまたはモノマー(以下、「光反応性基を有するポリマー等」ともいう)と溶剤とを含む組成物(以下、「光配向膜形成用組成物」ともいう)を、基材または必要に応じて基材上に設けられた拡散防止層上に塗布し、偏光(好ましくは、偏光UV)を照射することで得られる。光配向膜形が形成される基材としては、本発明の光学積層体の基材フィルムと同様のものが挙げられる。光配向膜形成用組成物に含まれるポリマー等が、偏光層を形成する重合性液晶化合物が有する重合性基が有する官能基と同じ反応性基(例えば、(メタ)アクリロイル基)を有すると、偏光層との間の密着性が向上する傾向にある。
光反応性基とは、光照射することにより液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光照射により生じる分子の配向誘起または異性化反応、二量化反応、光架橋反応もしくは光分解反応等の液晶配向能の起源となる光反応に関与する基が挙げられる。中でも、二量化反応または光架橋反応に関与する基が、配向性に優れる点で好ましい。光反応性基として、不飽和結合、特に二重結合を有する基が好ましく、炭素-炭素二重結合(C=C結合)、炭素-窒素二重結合(C=N結合)、窒素-窒素二重結合(N=N結合)および炭素-酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも1つを有する基が特に好ましい。
C=C結合を有する光反応性基としては、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾール基、スチルバゾリウム基、カルコン基及びシンナモイル基等が挙げられる。C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基、芳香族ヒドラゾンなどの構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基、ホルマザン基、及び、アゾキシベンゼン構造を有する基等が挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基及びマレイミド基等が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ハロゲン化アルキル基などの置換基を有していてもよい。
中でも、光二量化反応に関与する光反応性基が好ましく、光配向に必要な偏光照射量が比較的少なく、かつ、熱安定性や経時安定性に優れる光配向膜が得られやすいという点で、シンナモイル基およびカルコン基が好ましい。光反応性基を有するポリマー等としては、ポリマー側鎖の末端部が桂皮酸構造となるようなシンナモイル基を有するものが特に好ましい。
光配向膜形成用組成物を、例えば、基材または基材上に設けられた拡散防止層上に塗布することにより光配向誘起層を形成することができる。該組成物に含まれる溶剤としては、偏光層を形成する際に用い得る溶剤として先に例示した溶剤と同様のものが挙げられ、光反応性基を有するポリマー等の溶解性に応じて適宜選択することができる。
光配向膜形成用組成物中の光反応性基を有するポリマー等の含有量は、ポリマー等の種類や目的とする光配向膜の厚みによって適宜調節できるが、光配向膜形成用組成物の質量に対して、少なくとも0.2質量%とすることが好ましく、0.3~10質量%の範囲がより好ましい。光配向膜の特性が著しく損なわれない範囲で、光配向膜形成用組成物は、ポリビニルアルコールやポリイミドなどの高分子材料や光増感剤を含んでいてもよい。
光配向膜形成用組成物を基材上または拡散防止層上に塗布する方法、および、塗布された光配向膜形成用組成物から溶剤を除去する方法としては、偏光層形成用組成物を基材等に塗布する方法および溶剤を除去する方法と同様の方法が挙げられる。
偏光の照射は、光配向膜形成用組成物の塗膜から溶剤を除去したものに直接偏光UVを照射する形式でも、基材側から偏光を照射し、偏光を透過させて照射する形式でもよい。また、当該偏光は、実質的に平行光であると特に好ましい。照射する偏光の波長は、光反応性基を有するポリマー等の光反応性基が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250~400nmの範囲のUV(紫外線)が特に好ましい。当該偏光照射に用いる光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArFなどの紫外光レーザーなどが挙げられ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプがより好ましい。これらの中でも、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプが、波長313nmの紫外線の発光強度が大きいため好ましい。前記光源からの光を、適当な偏光子を通過して照射することにより、偏光UVを照射することができる。かかる偏光子としては、偏光フィルターやグラントムソン、グランテーラーなどの偏光プリズムやワイヤーグリッドタイプの偏光子を用いることができる。
なお、偏光照射を行う時に、マスキングを行えば、液晶配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を形成することもできる。
光配向膜の数平均分子量は、好ましくは20000~100000であり、より好ましくは25000以上であり、また、より好ましくは90000以下、さらに好ましくは80000以下である。光配向膜の数平均分子量が上記範囲内であると、光配向膜に隣接する層との密着性が向上しやすい。光配向膜の数平均分子量は、光配向膜形成用組成物に用いるモノマーの量、重合開始剤の種類や量等により制御できる。
なお、ここでいう「光配向膜の数平均分子量」とは、実質的に、硬化した光配向膜を構成しているポリマーの数平均分子量に相当し、ゲル浸透クロマトグラフィー等の測定機器を用いて、硬化した光配向膜自体を測定することにより算出される分子量である。
光配向膜の厚みは、好ましくは10~5000nmであり、より好ましくは10~1000nmであり、さらに好ましくは30~300nmである。光配向膜の厚みが上記範囲であると、偏光層との界面において良好な密着性を発現しつつ、配向規則力を発揮することができ、高い配向秩序で偏光層を形成できる。
〔拡散防止層〕
本発明の光学積層体は、第1応力緩和層と偏光層との間および/または偏光層と粘接着層との間に、さらに拡散防止層を含んでいてもよい。第1応力緩和層と偏光層との間や偏光層と粘接着層との間に拡散防止層が存在することにより、偏光層中の二色性色素の他の層への拡散を効果的に抑制することができ、本発明の光学積層体を表示装置等へ組み込んだ場合に、二色性色素の拡散に起因する経時的な光学特性の低下を抑制することができる。かかる効果を十分に得る観点から、拡散防止層は偏光層の第1応力緩和層側に偏光層と隣接して設けられていることが好ましく、偏光層の第1応力緩和層側と位相差層側との両方に、それぞれ偏光層と隣接して、または、偏光層を形成する配向膜のみを介して設けられていることがより好ましい。拡散防止層が偏光層の第1応力緩和層側および位相差層側の両方に設けられる場合、それらは同じであっても、異なっていてもよい。
拡散防止層としては、二色性色素の拡散防止機能を有する層である限り特に限定されるものではなく、例えば、水溶性ポリマーを含む樹脂組成物から形成される層、活性エネルギー線硬化性樹脂を含む硬化性組成物から形成される層などが挙げられる。
水溶性ポリマーは二色性色素と極性が大きく異なるため二色性色素の拡散を妨げることができる。拡散防止層を形成し得る水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリルアミド系ポリマー;ポリビニルアルコール、およびエチレン-ビニルアルコール共重合体、(メタ)アクリル酸またはその無水物-ビニルアルコール共重合体等のビニルアルコール系ポリマー;カルボキシビニル系ポリマー;ポリビニルピロリドン;デンプン類;アルギン酸ナトリウム;またはポリエチレンオキシド系ポリマー等が挙げられる。これらのポリマーは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
拡散防止層が水溶性ポリマーを含む樹脂組成物(以下、「水溶性ポリマー含有樹脂組成物」ともいう)から形成される層である場合、該層における水溶性ポリマーの含有量は、好ましくは75質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは85質量%以上である。
拡散防止層が水溶性ポリマー含有樹脂組成物から形成される層である場合、該層の緻密性を高めて、二色性色素の拡散防止機能を向上させるために架橋剤を用いることにより架橋構造を導入してもよい。そのような架橋剤としては、例えば、グリオキシル酸塩等のイオン結合性架橋剤やエポキシ系架橋剤などの水溶性添加剤や架橋剤の他、耐水性付与を目的として、イソシアネート系架橋剤、グリオキザールやグリオキザール誘導体等の多価アルデヒド系架橋剤、塩化ジルコニウム系またはチタンラクテート系等の金属化合物系架橋剤などの疎水性架橋剤を用いてもよい。
拡散防止層に架橋構造を導入するために架橋剤を使用する場合、その添加量は用いる架橋剤の種類等に応じて適宜決定すればよい。例えば、水溶性ポリマー100質量部に対して、0.1~100質量部であってよく、好ましくは1~50質量部、より好ましくは10~30質量部である。架橋剤の含有量が上記範囲であると、拡散防止層が緻密になり、光吸収異方性膜中の二色性色素に対する遮蔽効果が向上しやすい。
拡散防止層を形成し得る水溶性ポリマー含有樹脂組成物は、通常、水溶性ポリマーを溶剤に溶解させた溶液として調製される。溶剤は、用いる水溶性ポリマーに応じて選択すればよいが、典型的には、水、アルコール、水とアルコールの混合物等が挙げられ、水が好ましい。
水溶性ポリマーや架橋剤等の拡散防止層を構成する成分に溶剤を添加することにより得られる水溶性ポリマー含有樹脂組成物の固形分濃度は、好ましくは1~50質量%、より好ましくは2~30質量%である。水溶性ポリマー含有樹脂組成物の固形分濃度が上記範囲内であると該組成物の粘度が低くなることから、塗工性や取扱性が良好となる。
水溶性ポリマー含有樹脂組成物は、水溶性ポリマー、架橋剤および水などの溶剤に加えて、添加剤等の他の成分を含んでいてもよい。そのような他の成分としては、例えば、防腐剤、レベリング剤などが挙げられる。水溶性ポリマー含有樹脂組成物が添加剤等の他の成分を含む場合、その量は、該樹脂組成物の固形分に基づき、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
例えば、拡散防止層を形成する面に水溶性ポリマー含有樹脂組成物を塗工し、該塗膜を乾燥して硬化させることにより拡散防止層を得ることができる。
水溶性ポリマー含有樹脂組成物を塗布する方法は特に限定されず、偏光層形成用組成物を基材等へ塗布する方法と同様の公知の方法が挙げられる。
水溶性ポリマー含有樹脂組成物の塗膜から拡散防止層を形成するための乾燥温度や時間等は特に限定されず、用いる水溶性ポリマー含有樹脂組成物の組成等に応じて適宜決定すればよい。乾燥処理は、例えば、熱風を吹き付けることなどによって行なうことができ、その温度は、通常40~100℃、好ましくは60~100℃の範囲内である。また、乾燥時間は通常、10~600秒である。
活性エネルギー線硬化性樹脂は高度に重合し得るため二色性色素の拡散防止機能に優れる傾向にある。拡散防止層を形成し得る活性エネルギー線硬化性樹脂を含む硬化性組成物(以下、「拡散防止層形成用硬化性組成物」ともいう)としては、硬化性化合物としてカチオン重合性化合物を含むカチオン重合型の硬化性組成物、硬化性化合物としてラジカル重合性化合物を含むラジカル重合型の硬化性組成物、カチオン重合性化合物およびラジカル重合性化合物の双方を含むハイブリッド型の硬化性組成物等が挙げられる。カチオン重合性化合物の具体例としては、分子内に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、分子内に1個以上のオキセタン環を有するオキセタン化合物、ビニル化合物等が挙げられる。また、ラジカル重合性化合物の具体例としては、分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系化合物、ビニル化合物等が挙げられる。拡散防止層形成用硬化性組成物は、カチオン重合性化合物を1種または2種以上含むことができ、および/または、ラジカル重合性化合物を1種または2種以上含むことができる。
カチオン重合型の硬化性組成物の主成分であるカチオン重合性化合物は、紫外線、可視光、電子線、X線等の活性エネルギー線の照射や加熱によりカチオン重合反応が進行し、硬化する化合物またはオリゴマーをいい、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニル化合物等を例示することができる。中でも、好ましいカチオン重合性化合物はエポキシ化合物である。
エポキシ化合物とは、分子内に1個以上、好ましくは2個以上のエポキシ基を有する化合物である。エポキシ化合物は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、水素化エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等を挙げることができる。中でも、耐候性、硬化速度および接着性の観点から、エポキシ化合物は、脂環式エポキシ化合物や脂肪族エポキシ化合物を含むことが好ましい。
本発明の一実施態様において、拡散防止層形成用硬化性組成物がカチオン重合性化合物としてエポキシ化合物を含む場合、エポキシ化合物の含有量は、硬化性組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であり、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下である。
カチオン重合性化合物を含む拡散防止層形成用硬化性組成物(ハイブリッド型の場合を含む)に含まれる硬化性化合物の全量を100質量%とするとき、カチオン重合性化合物の含有量(2種以上のカチオン重合性化合物が含まれる場合にはそれらの合計含有量)は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。また、カチオン重合型の硬化性組成物は、ポリマー成分(熱可塑性樹脂等)をさらに含んでいてもよい。
拡散防止層形成用硬化性組成物がカチオン重合性化合物を含む場合、光カチオン重合開始剤を含有することが好ましい。光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、または電子線のような活性エネルギー線の照射によって、カチオン種またはルイス酸を発生し、カチオン硬化性化合物の重合反応を開始させるものである。光カチオン重合開始剤は、光で触媒的に作用するため、光カチオン硬化性化合物に混合しても保存安定性や作業性に優れる。活性エネルギー線の照射によりカチオン種またはルイス酸を生じる化合物として、例えば、芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、鉄-アレーン錯体等を挙げることができる。
光カチオン重合開始剤は、1種のみを単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。中でも、芳香族スルホニウム塩は、300nm付近の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械的強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため好ましく用いられる。
拡散防止層形成用硬化性組成物における光カチオン重合開始剤の含有量は、硬化性化合物の固形分100質量部に対して、好ましくは1~10質量部、より好ましくは2~8質量部である。光カチオン重合開始剤の含有量が上記範囲内であると、カチオン重合性化合物を十分に硬化させることができ、得られる拡散防止層に高い機械的強度や接着強度を付与し得る。
カチオン重合型の硬化性組成物に、カチオン重合性化合物に加えてラジカル重合性化合物を含有させることによりハイブリッド型の硬化性組成物とすることもできる。ラジカル重合性化合物を併用することにより、拡散防止層の硬度や機械的強度を高める効果が期待でき、さらには硬化性組成物の粘度や硬化速度等の調整がより行いやすくなる。
ラジカル重合型の硬化性組成物の主成分であるラジカル重合性化合物は、紫外線、可視光、電子線、X線等の活性エネルギー線の照射や加熱によりラジカル重合反応が進行し、硬化する化合物またはオリゴマーをいい、具体的にはエチレン性不飽和結合を有する化合物を挙げることができる。エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系化合物の他、スチレン、スチレンスルホン酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N-ビニル-2-ピロリドンのようなビニル化合物等が挙げられる。中でも、好ましいラジカル重合性化合物は(メタ)アクリル系化合物である。
(メタ)アクリル系化合物は、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物であり、モノマー、オリゴマーまたはポリマーであってもよい。(メタ)アクリル化合物としては、例えば、単官能(メタ)アクリレート化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物などの(メタ)アクリレート化合物;多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物などのウレタン(メタ)アクリレート化合物;多官能エポキシ(メタ)アクリレート化合物などのエポキシ(メタ)アクリレート化合物;カルボキシル基変性エポキシ(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。(メタ)アクリル系化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリレート化合物としては、分子内に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート化合物を用いる場合、該化合物の架橋点間分子量および架橋点数を制御することにより、拡散防止層の架橋密度を調整できる。より詳細には、架橋点間分子量が小さくなるほど架橋密度が上がり、また架橋点数が多くなるほど架橋密度が密になり、光吸収異方性膜中の二色性色素に対する遮蔽性を高めることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、一般に、イソシアネート化合物とポリオール化合物と(メタ)アクリレート化合物の反応物を意味し、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、架橋構造を形成できるため、拡散防止層の二色性色素拡散防止機能を向上する観点から有利であるとともに、適度な靱性を付与することができる。多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物の官能基数は、好ましくは2~5である。
エポキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ポリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応により得ることができ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ポリエステル(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、分子内にエステル結合と少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基(典型的には(メタ)アクリロイルオキシ基)とを有する化合物が挙げられる。
本発明の一実施態様において拡散防止層形成用硬化性組成物がラジカル重合性化合物を含有する場合、ラジカル重合性化合物として多官能(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。この場合、多官能(メタ)アクリレート化合物の含有量は、硬化性組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは60質量部以上、さらに好ましくは70質量部以上であり、好ましくは100質量部以下、より好ましくは95質量部以下、さらに好ましくは90質量部以下である。
また、本発明の一実施態様において拡散防止層形成用硬化性組成物がラジカル重合性化合物を含有する場合、ラジカル重合性化合物として多官能(メタ)アクリレート化合物と多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。この場合、多官能(メタ)アクリレート化合物とウレタン(メタ)アクリレート化合物とを、好ましくは95:5~50:50、より好ましくは90:10~70:30の比率(多官能(メタ)アクリレート化合物:ウレタン(メタ)アクリレート化合物、質量比)で含むことが好ましい。
拡散防止層形成用硬化性組成物がラジカル重合性化合物を含有する場合、光ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。光ラジカル重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、または電子線のような活性エネルギー線の照射によって、ラジカル硬化性化合物の重合反応を開始させるものである。光ラジカル重合開始剤は、1種のみを単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、3-メチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オンおよび2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のアセトフェノン系開始剤;ベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノンおよび4,4’-ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤;2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン等のアルキルフェノン系開始剤;ベンゾインプロピルエーテルおよびベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル系開始剤;4-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系開始剤;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系開始剤;その他、キサントン、フルオレノン、カンファーキノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン等が挙げられる。
拡散防止層形成用硬化性組成物における光ラジカル重合開始剤の含有量は、硬化性化合物の固形分100質量部に対して、好ましくは1~10質量部、より好ましくは2~8質量部である。光ラジカル重合開始剤の含有量が上記範囲内であると、重合開始能を十分に発現させ、硬化性を向上させながら、光ラジカル重合開始剤が残存しにくくなるため、可視光線透過率の低下等を抑制しやすくなる。
本発明において、拡散防止層形成用硬化性組成物は、例えば、採用する塗工方式に適した粘度に調整するために有機溶剤を含有してもよく、実質的に溶剤を含まないもの(無溶剤である)であってもよい。なお、「実質的に含まない」とは、溶剤が不可避的に混入する場合を排除しないことを意味する。
溶剤としては、拡散防止層を構成する成分を溶解し得るものであればよく、偏光層形成用組成物に用い得る溶剤と同様のものが例示される。これらの溶剤は、単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。
溶剤の種類および含有量は、拡散防止層を構成する成分の種類や含有量、形状、塗布方法、拡散防止層の厚みなどに応じて適宜選択される。溶剤を含む場合にその量は、例えば、硬化性組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは3~1000質量部、より好ましくは5~100質量部、さらに好ましくは7~50質量部である。
拡散防止層形成用硬化性組成物は、必要に応じて、カチオン重合促進剤、光増感剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、帯電防止剤、レベリング剤等の添加剤を含有してもよい。
例えば、拡散防止層を形成する面に拡散防止層形成用硬化性組成物を塗工し、該塗膜に活性エネルギー線を照射して、該組成物を硬化することにより拡散防止層を得ることができる。拡散防止層形成用硬化性組成物を塗布する方法、硬化に用いる活性エネルギー線の種類、光源、照射条件等としては、偏光層形成用組成物を塗布する方法および硬化する方法と同様の方法および条件等を採用し得る。
拡散防止層の厚みは、好ましくは0.1μm以上5μm以下、より好ましくは0.3μm以上4μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上3μm以下である。上記範囲内であると、偏光層中の二色性色素の他の層への拡散を効果的に抑制することができる。偏光層の第1応力緩和層側および位相差層側の両方に拡散防止層を含む場合、その厚みは同じであってもよく、異なっていてもよい。
〔位相差層〕
本発明の光学積層体に含まれる位相差層は、位相差を発現する層である。光学積層体の薄型化の観点から位相差層は、好ましくはコーティング層であり、より好ましくは、少なくとも1種の重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物の硬化層からなる。本発明の光学積層体は、第1基材フィルムおよび第2基材フィルムを剥離して現れる2つの外層面をそれぞれ転写して表示装置へ組み込む際の、貼合ズレやシワ等の発生を抑制する効果に優れるため、両面転写により表示装置等へ組み込んだ後も高い円偏光機能が期待できる。本発明の光学積層体において位相差層は1つであっても、2つ以上含まれていてもよい。
本発明の光学積層体は、下記式(3)を満たす位相差層を含むことが好ましい。
120nm≦Re(550)≦170nm (3)
〔式中、Re(λ)は波長λnmにおける位相差層の面内位相差値を表す。〕
位相差層の面内位相差Re(550)が式(3)の範囲内であると、該位相差層は1/4波長板として機能する位相差層となり、該位相差層を含む光学積層体(円偏光板)を有機EL表示装置等に適用した場合の正面反射色相を向上させる効果(着色を抑制させる効果)が高まりやすい。面内位相差値のさらに好ましい範囲は、130nm≦Re(550)≦150nmである。
また、前記式(3)を満たす位相差層が、下記式(4)および(5)を満たすことが好ましい。
Re(450)/Re(550)≦1.00 (4)
1.00≦Re(650)/Re(550) (5)
〔式中、Re(λ)は波長λnmにおける位相差層の面内位相差値を表す。〕
位相差層が式(4)および(5)を満たす場合、当該位相差層は、短波長での面内位相差値が長波長での面内位相差値よりも小さくなる、いわゆる逆波長分散性を示す。このような位相差層を有する光学積層体(円偏光板)は、有機EL表示装置等に組み込んだ場合の正面色相に優れる傾向にある。逆波長分散性が向上し、正面方向の反射色相の向上効果をより高め得る観点から、Re(450)/Re(550)は、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.78以上であり、また、好ましくは0.92以下、より好ましくは0.90以下、さらに好ましくは0.87以下、特に好ましくは0.86以下、より特に好ましくは0.85以下である。また、Re(650)/Re(550)は、好ましくは1.01以上、より好ましくは1.02以上である。
上記面内位相差値は、位相差層の膜厚dによって調整することができる。面内位相差値は、上記式Re(λ)=(nx(λ)-ny(λ))×dによって決定されることから、所望の面内位相差値(Re(λ):波長λ(nm)における位相差層の面内位相差値)を得るには、3次元屈折率と膜厚dとを調整すればよい。なお、前記式において、dは対象とする位相差層の厚みを表し、nxは、該位相差層が形成する屈折率楕円体において、位相差層の平面に平行な方向の波長λnmにおける主屈折率を表し、nyは、位相差層が形成する屈折率楕円体において、位相差層の平面に対して平行であり、且つ、前記nxの方向に対して直交する方向の波長λnmにおける屈折率を表す。
本発明の光学積層体は、重合性液晶化合物が基材面内に対して水平方向に配向した状態で硬化した「水平配向液晶硬化層」からなる位相差層を含むことが好ましく、前記式(3)~(5)を満たす水平配向液晶硬化層を含むことがより好ましい。本発明の光学積層体が1つの位相差層を含む場合、通常、該位相差層を構成する位相差層は「水平配向液晶硬化層」である。
本発明の光学積層体は、水平配向液晶硬化層である位相差層に加えて、さらに、ポジティブCプレートである液晶硬化層(位相差層)である位相差層を含んでいてもよい。ポジティブCプレートである液晶硬化層は、重合性液晶化合物が基材面に対して鉛直方向に配向した状態で硬化した「垂直配向液晶硬化層」である。水平配向液晶硬化層である位相差層と垂直配向液晶硬化層である位相差層とを組み合わせて含むことにより、該光学積層体を有機EL表示装置等に適用した場合に正面反射色相の向上に加えて斜方反射色相の向上も期待し得る。本発明の光学積層体が、垂直配向液晶硬化層を含む場合、該垂直配向液晶硬化層である位相差層は偏光層と第2応力緩和層との間に配置されることが好ましい。
本発明の光学積層体が垂直配向液晶硬化層を含む場合、該液晶硬化層は、式(6)を満たすことが好ましい。
-100nm≦Rth(550)≦-40nm (6)
〔式中、Rth(550)は液晶硬化層の波長550nmにおける厚み方向の位相差値を表し、Rth=((nx(λ)+ny(λ))/2-nz)×dである(dは液晶硬化層の厚みを表し、nxは、液晶硬化層が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化層の平面に平行な方向の波長λnmにおける主屈折率を表し、nyは、液晶硬化層が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化層の平面に対して平行であり、且つ、前記nxの方向に対して直交する方向の波長λnmにおける屈折率を表し、nzは、液晶硬化層が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化層の平面に対して垂直な方向の波長λnmにおける屈折率を表す)。〕
垂直配向液晶硬化層が式(6)を満たす場合、該液晶硬化層を含む光学積層体(円偏光板)を有機EL表示装置に適用した場合の斜方反射色相を向上させることができる。前記液晶硬化層の膜厚方向の位相差値Rth(550)は、より好ましくは-90nm以上、さらに好ましくは-80nm以上であり、また、より好ましくは-50nm以下である。
本発明において位相差層(水平配向液晶硬化層および垂直配向液晶硬化層)は、少なくとも1種の重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物(以下、「位相差層形成用組成物」ともいう)の硬化層からなる。重合性液晶化合物としては、所望する光学特性に応じて、位相差フィルムの分野において従来公知の重合性液晶化合物から適宜選択することができる。
重合性液晶化合物は、重合性基を有する液晶化合物である。重合性液晶化合物としては、一般に、該重合性液晶化合物を単独で特定方向に配向した状態で重合することにより得られる重合体(硬化物)が、正波長分散性を示す重合性液晶化合物と逆波長分散性を示す重合性液晶化合物とが挙げられる。本発明においては、どちらか一方の種類の重合性液晶化合物のみを使用してもよく、両方の種類の重合性液晶化合物を混合して用いてもよい。また、光学積層体が、水平配向液晶硬化層と垂直配向液晶硬化層とを含む場合、これらを構成する重合性液晶化合物は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。光学積層体としての光学特性を向上させやすい観点から、本発明の一実施態様において、水平配向液晶硬化層は、いわゆる逆波長分散性を示す重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物の硬化層であることが好ましい。
本発明において位相差層を形成する重合性液晶化合物が有する重合性基は、好ましくは光重合性基である。光重合性基とは、重合性基であって、光重合開始剤から発生した反応活性種、例えば活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基のことをいう。光重合性基としては、例えばビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイル基、オキシラニル基、オキセタニル基が挙げられる。中でも、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、オキシラニル基およびオキセタニル基が好ましく、アクリロイル基がより好ましい。
重合性液晶化合物が示す液晶性はサーモトロピック性液晶であってもよいし、リオトロピック性液晶であってもよいが、緻密な膜厚制御が可能な点でサーモトロピック性液晶が好ましい。また、サーモトロピック性液晶における相秩序構造としてはネマチック液晶でもスメクチック液晶でもディスコチック液晶でもよい。重合性液晶化合物は単独または二種以上組み合わせて使用できる。
いわゆるT字型またはH型の分子構造を有する重合性液晶化合物は、重合して硬化させた際に逆波長分散性を発現しやすく、T字型の分子構造を有する重合性液晶化合物はより強い逆波長分散性を発現する傾向にある。
逆波長分散性を示す重合性液晶化合物としては、下記(A)~(D)の特徴を有する化合物であることが好ましい。
(A)ネマチック相またはスメクチック相を形成し得る化合物である。
(B)該重合性液晶化合物の長軸方向(a)上にπ電子を有する。
(C)長軸方向(a)に対して交差する方向〔交差方向(b)〕上にπ電子を有する。
(D)長軸方向(a)に存在するπ電子の合計をN(πa)、長軸方向に存在する分子量の合計をN(Aa)として下記式(i)で定義される重合性液晶化合物の長軸方向(a)のπ電子密度:
D(πa)=N(πa)/N(Aa) (i)
と、交差方向(b)に存在するπ電子の合計をN(πb)、交差方向(b)に存在する分子量の合計をN(Ab)として下記式(ii)で定義される重合性液晶化合物の交差方向(b)のπ電子密度:
D(πb)=N(πb)/N(Ab) (ii)
とが、式(iii)
0≦〔D(πa)/D(πb)〕<1 (iii)
の関係にある〔すなわち、交差方向(b)のπ電子密度が、長軸方向(a)のπ電子密度よりも大きい〕。上記記載のように長軸およびそれに対して交差方向上にπ電子を有する重合性液晶化合物は、一般にT字構造となりやすい。
上記(A)~(D)の特徴において、長軸方向(a)およびπ電子数Nは以下のように定義される。
・長軸方向(a)は、例えば棒状構造を有する化合物であれば、その棒状の長軸方向である。
・長軸方向(a)上に存在するπ電子数N(πa)には、重合反応により消失するπ電子は含まない。
・長軸方向(a)上に存在するπ電子数N(πa)には、長軸上のπ電子およびこれと共役するπ電子の合計数であり、例えば長軸方向(a)上に存在する環であって、ヒュッケル則を満たす環に存在するπ電子の数が含まれる。
・交差方向(b)に存在するπ電子数N(πb)には、重合反応により消失するπ電子は含まない。
上記を満たす重合性液晶化合物は、長軸方向にメソゲン構造を有している。このメソゲン構造によって、液晶相(ネマチック相、スメクチック相等)を発現する。
上記(A)~(D)を満たす重合性液晶化合物を、相転移温度以上に加熱することにより、ネマチック相やスメクチック相を形成することが可能である。この重合性液晶化合物が配向して形成されたネマチック相またはスメクチック相では通常、重合性液晶化合物の長軸方向が互いに平行になるように配向しており、この長軸方向がネマチック相またはスメクチック相の配向方向となる。このような重合性液晶化合物を膜状とし、ネマチック相またはスメクチック相の状態で重合させると、長軸方向(a)に配向した状態で重合した重合体からなる重合体膜を形成することができる。この重合体膜は、長軸方向(a)上のπ電子と交差方向(b)上のπ電子により紫外線を吸収する。ここで、交差方向(b)上のπ電子により吸収される紫外線の吸収極大波長をλbmaxとする。λbmaxは通常300nm~400nmである。π電子の密度は、上記式(iii)を満足していて、交差方向(b)のπ電子密度が長軸方向(a)のπ電子密度よりも大きいので、交差方向(b)に振動面を有する直線偏光紫外線(波長はλbmax)の吸収が、長軸方向(a)に振動面を有する直線偏光紫外線(波長はλbmax)の吸収よりも大きな重合体膜となる。その比(直線偏光紫外線の交差方向(b)の吸光度/長軸方向(a)の吸光度の比)は、例えば1.0超、好ましくは1.2以上、通常30以下であり、例えば10以下である。
上記特徴を有する重合性液晶化合物は、一般に、一方向に配向した状態で重合させたときにその重合体の複屈折率が逆波長分散性を示すものであることが多い。具体的には、例えば、下記式(X)で表される化合物(以下、「重合性液晶化合物(X)」ともいう)が挙げられる。
Figure 0007128932000013
式(X)中、Arは置換基を有していてもよい芳香族基を有する二価の基を表す。ここでいう芳香族基とは、例えば後述する(Ar-1)~(Ar-23)で例示される基が挙げられる。またArは芳香族基を2個以上有していてもよい。該芳香族基中には窒素原子、酸素原子、硫黄原子のうち少なくとも1つ以上が含まれていてもよい。Arに含まれる芳香族基が2つ以上である場合、2つ以上の芳香族基は互いに単結合、-CO-O-、-O-などの二価の結合基で結合していてもよい。
式(X)中、GおよびGはそれぞれ独立に、二価の芳香族基または二価の脂環式炭化水素基を表す。ここで、該二価の芳香族基または二価の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基に置換されていてもよく、該二価の芳香族基または二価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子が、酸素原子、硫黄原子または窒素原子に置換されていてもよい。
式(X)中、L、L、BおよびBはそれぞれ独立に、単結合または二価の連結基である。
式(X)中、k、lは、それぞれ独立に0~3の整数を表し、1≦k+lの関係を満たす。ここで、2≦k+lである場合、BおよびB、GおよびGは、それぞれ互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(X)中、EおよびEはそれぞれ独立に、炭素数1~17のアルカンジイル基を表し、炭素数4~12のアルカンジイル基がより好ましい。また、アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる-CH-は、-O-、-S-、-C(=O)-で置換されていてもよい。
式(X)中、PおよびPは互いに独立に、重合性基または水素原子を表し、少なくとも1つは重合性基である。
およびGは、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子および炭素数1~4のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい1,4-フェニレンジイル基、ハロゲン原子および炭素数1~4のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい1,4-シクロヘキサンジイル基であり、より好ましくはメチル基で置換された1,4-フェニレンジイル基、無置換の1,4-フェニレンジイル基、または無置換の1,4-trans-シクロヘキサンジイル基であり、特に好ましくは無置換の1,4-フェニレンジイル基、または無置換の1,4-trans-シクロへキサンジイル基である。
また、複数存在するGおよびGのうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることが好ましく、また、LまたはLに結合するGおよびGのうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることがより好ましい。
およびLはそれぞれ独立に、好ましくは、単結合、炭素数1~4のアルキレン基、-O-、-S-、-Ra1ORa2-、-Ra3COORa4-、-Ra5OCORa6-、-Ra7OC=OORa8-、-N=N-、-CR=CR-、または-C≡C-である。ここで、Ra1~Ra8はそれぞれ独立に単結合、または炭素数1~4のアルキレン基を表し、RおよびRは炭素数1~4のアルキル基または水素原子を表す。LおよびLはそれぞれ独立に、より好ましくは単結合、-ORa2-1-、-CH-、-CHCH-、-COORa4-1-、または-OCORa6-1-である。ここで、Ra2-1、Ra4-1、Ra6-1はそれぞれ独立に単結合、-CH-、-CHCH-のいずれかを表す。LおよびLはそれぞれ独立に、さらに好ましくは単結合、-O-、-CHCH-、-COO-、-COOCHCH-、または-OCO-である。
およびBはそれぞれ独立に、好ましくは、単結合、炭素数1~4のアルキレン基、-O-、-S-、-Ra9ORa10-、-Ra11COORa12-、-Ra13OCORa14-、または-Ra15OC=OORa16-である。ここで、Ra9~Ra16はそれぞれ独立に単結合、または炭素数1~4のアルキレン基を表す。BおよびBはそれぞれ独立に、より好ましくは単結合、-ORa10-1-、-CH-、-CHCH-、-COORa12-1-、または-OCORa14-1-である。ここで、Ra10-1、Ra12-1、Ra14-1はそれぞれ独立に単結合、-CH-、-CHCH-のいずれかを表す。BおよびBはそれぞれ独立に、さらに好ましくは単結合、-O-、-CHCH-、-COO-、-COOCHCH-、-OCO-、または-OCOCHCH-である。
kおよびlは、逆波長分散性発現の観点から2≦k+l≦6の範囲が好ましく、k+l=4であることが好ましく、k=2かつl=2であることがより好ましい。k=2かつl=2であると対称構造となるため好ましい。
またはPで表される重合性基としては、エポキシ基、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイル基、オキシラニル基、およびオキセタニル基等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリロイル基、ビニル基およびビニルオキシ基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、置換基を有していてもよい芳香族複素環、および電子吸引性基から選ばれる少なくとも1つを有することが好ましい。当該芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましい。当該芳香族複素環としては、フラン環、ベンゾフラン環、ピロール環、インドール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアゾール環、トリアジン環、ピロリン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、およびフェナンスロリン環等が挙げられる。なかでも、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、またはベンゾフラン環を有することが好ましく、ベンゾチアゾール環を有することがさらに好ましい。また、Arに窒素原子が含まれる場合、当該窒素原子はπ電子を有することが好ましい。
式(X)中、Arで表される基が有するπ電子の合計数Nπは、通常6以上であり、8以上が好ましく、より好ましくは10以上であり、さらに好ましくは14以上であり、特に好ましくは16以上である。また、好ましくは36以下であり、より好ましくは32以下であり、さらに好ましくは26以下であり、特に好ましくは24以下である。
Arに含まれる芳香族基としては、例えば以下の基が挙げられる。
Figure 0007128932000014
式(Ar-1)~式(Ar-23)中、*印は連結部を表し、Z、ZおよびZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~12のアルキルスルフィニル基、炭素数1~12のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1~12のフルオロアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数1~12のアルキルチオ基、炭素数1~12のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~12のN-アルキルスルファモイル基または炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基を表す。また、Z、ZおよびZは、重合性基を含んでいてもよい。
式(Ar-1)~式(Ar-23)中、QおよびQは、それぞれ独立に、-CR2’3’-、-S-、-NH-、-NR2’-、-CO-または-O-を表し、R2’およびR3’は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表す。
式(Ar-1)~式(Ar-23)中、JおよびJは、それぞれ独立に、炭素原子、または窒素原子を表す。
式(Ar-1)~式(Ar-23)中、Y、YおよびYは、それぞれ独立に、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。
式(Ar-1)~式(Ar-23)中、WおよびWは、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、メチル基またはハロゲン原子を表し、mは0~6の整数を表す。
、YおよびYにおける芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ビフェニル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。芳香族複素環基としては、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも1つ含む炭素数4~20の芳香族複素環基が挙げられ、フリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基が好ましい。
、YおよびYは、それぞれ独立に、置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基または多環系芳香族複素環基であってもよい。多環系芳香族炭化水素基は、縮合多環系芳香族炭化水素基、または芳香環集合に由来する基をいう。多環系芳香族複素環基は、縮合多環系芳香族複素環基、または芳香環集合に由来する基をいう。
、ZおよびZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~12のアルコキシ基であることが好ましく、Zは、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基がさらに好ましく、ZおよびZは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、シアノ基がさらに好ましい。また、Z、ZおよびZは重合性基を含んでいてもよい。
およびQは、-NH-、-S-、-NR2’-、-O-が好ましく、R2’は水素原子が好ましい。中でも-S-、-O-、-NH-が特に好ましい。
式(Ar-1)~(Ar-23)の中でも、式(Ar-6)および式(Ar-7)が分子の安定性の観点から好ましい。
式(Ar-16)~(Ar-23)において、Yは、これが結合する窒素原子およびZと共に、芳香族複素環基を形成していてもよい。芳香族複素環基としては、Arが有していてもよい芳香族複素環として前記したものが挙げられるが、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピロリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、インドール環、キノリン環、イソキノリン環、プリン環、ピロリジン環等が挙げられる。この芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。また、Yは、これが結合する窒素原子およびZと共に、前述した置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基または多環系芳香族複素環基であってもよい。例えば、ベンゾフラン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環等が挙げられる。
式(X)で表される化合物は、例えば、特開2010-31223号公報に記載の方法に準じて製造し得る。
本発明において位相差層を形成する重合性液晶化合物として、例えば、下記式(Y)で表される基を含む化合物(以下、「重合性液晶化合物(Y)」ともいう)を用いてもよい。重合性液晶化合物(Y)は一般に正波長分散性を示す傾向にある。これらの重合性液晶化合物は単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
P11-B11-E11-B12-A11-B13- (Y)
[式(Y)中、P11は、重合性基を表わす。
A11は、2価の脂環式炭化水素基または2価の芳香族炭化水素基を表わす。
B11は、-O-、-S-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-、-CO-NR16-、-NR16-CO-、-CO-、-CS-または単結合を表わす。R16は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表わす。
B12およびB13は、それぞれ独立に、-C≡C-、-CH=CH-、-CH-CH-、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-C(=O)-NR16-、-NR16-C(=O)-、-OCH-、-OCF-、-CHO-、-CFO-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-H、-C≡Nまたは単結合を表わす。
E11は、炭素数1~12のアルカンジイル基を表わし、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、炭素数1~5のアルコキシ基で置換されていてもよく、該アルコキシ基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。また、該アルカンジイル基を構成する-CH-は、-O-または-CO-に置き換わっていてもよい。]
A11の芳香族炭化水素基および脂環式炭化水素基の炭素数は、3~18の範囲であることが好ましく、5~12の範囲であることがより好ましく、5または6であることが特に好ましい。A11で表される2価の脂環式炭化水素基および2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6アルコキシ基、シアノ基またはニトロ基で置換されていてもよく、該炭素数1~6のアルキル基および該炭素数1~6アルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。A11としては、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、1,4-フェニレン基が好ましい。
E11としては、直鎖状の炭素数1~12のアルカンジイル基が好ましい。該アルカンジイル基を構成する-CH-は、-O-に置き換っていてもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、へキサン-1,6-ジイル基、へプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基およびドデカン-1,12-ジイル基等の炭素数1~12の直鎖状アルカンジイル基;-CH-CH-O-CH-CH-、-CH-CH-O-CH-CH-O-CH-CH-および-CH-CH-O-CH-CH-O-CH-CH-O-CH-CH-等が挙げられる。
B11としては、-O-、-S-、-CO-O-、-O-CO-が好ましく、中でも、-CO-O-がより好ましい。
B12およびB13としては、それぞれ独立に、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-が好ましく、中でも、-O-または-O-C(=O)-O-がより好ましい。
P11で示される重合性基としては、重合反応性、特に光重合反応性が高いという点で、ラジカル重合性基またはカチオン重合性基が好ましく、取り扱いが容易な上、液晶化合物の製造自体も容易であることから、重合性基は、下記の式(P-11)~式(P-15)で表わされる基であることが好ましい。
Figure 0007128932000015
[式(P-11)~(P-15)中、
17~R21はそれぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基または水素原子を表わす。]
式(P-11)~式(P-15)で表わされる基の具体例としては、下記式(P-16)~式(P-20)で表わされる基が挙げられる。
Figure 0007128932000016
P11は、式(P-14)~式(P-20)で表わされる基であることが好ましく、ビニル基、p-スチルベン基、エポキシ基またはオキセタニル基がより好ましい。
P11-B11-で表わされる基が、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であることがさらに好ましい。
重合性液晶化合物(Y)としては、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)または式(VI)で表わされる化合物が挙げられる。
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-B16-E12-B17-P12 (I)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-F11 (II)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-E12-B17-P12 (III)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-F11 (IV)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-E12-B17-P12 (V)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-F11 (VI)
[式中、
A11、B11~B13およびP11は上記と同義であり、
A12~A14はそれぞれ独立に、A11と同義であり、B14~B16はそれぞれ独立に、B12と同義であり、B17はB11と同義であり、E12はE11と同義であり、P12はP11と同義である。
F11は、水素原子、炭素数1~13のアルキル基、炭素数1~13のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基、ヒドロキシル基、メチロール基、ホルミル基、スルホ基(-SOH)、カルボキシル基、炭素数1~10のアルコキシカルボニル基またはハロゲン原子を表わし、該アルキル基およびアルコキシ基を構成する-CH-は、-O-に置き換っていてもよい。]
重合性液晶化合物(Y)の具体例としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)平成12年10月30日発行)の「3.8.6 ネットワーク(完全架橋型)」、「6.5.1 液晶材料 b.重合性ネマチック液晶材料」に記載された化合物の中で重合性基を有する化合物、特開2010-31223号公報、特開2010-270108号公報、特開2011-6360号公報および特開2011-207765号公報記載の重合性液晶が挙げられる。
重合性液晶化合物(X)および重合性液晶化合物(Y)は、いずれも、水平配向させて使用することも垂直配向して使用することもできる。また、重合性液晶化合物(X)および重合性液晶化合物(Y)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよく、両者を組み合わせて用いてもよい。
位相差層形成用組成物中の重合性液晶化合物の含有量は、位相差層形成用組成物の固形分100質量部に対して、例えば70~99.5質量部であり、好ましくは80~99質量部であり、より好ましくは85~98質量部であり、さらに好ましくは90~95質量部である。重合性液晶化合物の含有量が上記範囲内であれば、得られる位相差層の配向性の観点から有利である。なお、位相差層形成用組成物が2種以上の重合性液晶化合物を含む場合、位相差層形成用組成物に含まれる全ての液晶化合物の総量が上記含有量の範囲内であることが好ましい。
位相差層形成用組成物は、重合性液晶化合物の重合反応を開始するための重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤としては、当該分野で従来用いられているものから適宜選択して用いることができ、熱重合開始剤であっても、光重合開始剤であってもよいが、より低温条件下で重合反応を開始できる点で、光重合開始剤が好ましい。好適には、偏光層形成用組成物において使用し得る光重合開始剤として先に例示したものと同様のものが挙げられる。
位相差層形成用組成物は、通常、溶剤に溶解した状態で基材フィルム等に塗布されるため、溶剤を含むことが好ましい。溶剤としては、重合性液晶化合物を溶解し得る溶剤が好ましく、また、重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶剤であることが好ましい。溶剤としては、偏光層形成用組成物において使用し得るものとして先に例示したものと同様のものが挙げられる。
また、位相差層形成用組成物は、必要に応じて、光増感剤、レベリング剤および偏光層形成用組成物に含まれる添加剤として例示した添加剤等を含有してもよい。光増感剤およびレベリング剤としては、偏光層形成用組成物において使用し得るものとして先に例示したものと同様のものが挙げられる。
位相差層形成用組成物は、例えば、重合性液晶化合物および必要に応じて重合開始剤、溶媒、添加剤等を混合および撹拌することにより調製できる。
位相差層は、例えば、位相差層形成用組成物を、基材または配向膜上に塗布し、得られる塗膜を乾燥し、かつ、該位相差層形成用組成物中の重合性液晶化合物を配向させた後、配向状態を保持したまま光照射等により重合性液晶化合物を重合させることにより得ることができる。基材としては、本発明の光学積層体を構成する基材フィルムと同様のものが挙げられる。配向膜としては、本発明の偏光層を作製する際に用い得るものとして先に例示した光配向膜の他に、配向性ポリマーを含む配向膜、表面に凹凸パターンや複数の溝を有するグルブ配向膜などが挙げられ、所望する配向規制力等に応じて適宜選択すればよい。
配向性ポリマーとしては、例えば、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミドおよびその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸エステル類が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。配向性ポリマーは単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
配向性ポリマーを含む配向膜は、通常、配向性ポリマーが溶剤に溶解した組成物(以下、「配向性ポリマー組成物」ともいう)を基材フィルム等の配向膜を形成すべき表面に塗布し、溶剤を除去する、または、配向性ポリマー組成物を基材に塗布し、溶剤を除去し、ラビングする(ラビング法)ことで得られる。溶剤としては、偏光層形成用組成物に用い得る溶剤として先に例示した溶剤と同様のものが挙げられる。
配向性ポリマー組成物中の配向性ポリマーの濃度は、配向性ポリマー材料が、溶剤に完溶できる範囲であればよいが、溶液に対して固形分換算で0.1~20%が好ましく、0.1~10%程度がさらに好ましい。
配向性ポリマー組成物として、市販の配向膜材料をそのまま使用してもよい。市販の配向膜材料としては、サンエバー(登録商標、日産化学工業(株)製)、オプトマー(登録商標、JSR(株)製)などが挙げられる。
配向性ポリマー組成物を基材等の配向膜を形成すべき表面に塗布する方法および塗膜中の溶剤を除去する方法としては、偏光層形成用組成物を基材フィルム等へ塗布する方法および塗膜中の溶剤を除去する方法と同様の方法を採用し得る。
得られた配向性ポリマー組成物の乾燥塗膜に対してラビング処理を施すことによりラビング配向膜が得られる。ラビング処理方法としては、例えば、ラビング布が巻きつけられ回転しているラビングロールに、前記配向性ポリマー組成物の乾燥塗膜を接触させる方法が挙げられる。ラビング処理を行う時に、マスキングを行えば、配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を配向膜に形成することもできる。
グルブ(groove)配向膜は、膜表面に凹凸パターンまたは複数のグルブ(溝)を有する膜である。等間隔に並んだ複数の直線状のグルブを有する膜に重合性液晶化合物を塗布した場合、その溝に沿った方向に液晶分子が配向する。
グルブ配向膜を得る方法としては、感光性ポリイミド膜表面にパターン形状のスリットを有する露光用マスクを介して露光後、現像およびリンス処理を行って凹凸パターンを形成する方法、表面に溝を有する板状の原盤に、硬化前のUV硬化性樹脂の層を形成し、形成された樹脂層を基材等へ移してから硬化する方法、および、配向膜を形成すべき表面に形成した硬化前のUV硬化性樹脂の膜に、複数の溝を有するロール状の原盤を押し当てて凹凸を形成し、その後硬化する方法等が挙げられる。
位相差層を形成するための配向膜(配向性ポリマーを含む配向膜または光配向膜)の厚みは、通常10~10000nmの範囲であり、好ましくは10~2500nmの範囲であり、より好ましくは10~1000nm以下であり、さらに好ましくは10~500nm、特に好ましい50~250nmの範囲である。
本発明の光学積層体において、位相差層の厚みは適用される表示装置に応じて適宜選択できるが、薄膜化の観点から、好ましくは0.1~10μm、より好ましくは0.5~5μm、さらに好ましくは1~3μmである。本発明の光学積層体が複数の位相差層を含む場合、該位相差層に含まれる各位相差層の厚みは互いに同じであっても異なっていてもよいが、それぞれ上記範囲内にあることが好ましい。
本発明の光学積層体が水平配向液晶硬化層からなる位相差層と垂直配向液晶硬化層からなる位相差層とを含む場合、垂直配向液晶硬化層は偏光層と第2応力緩和層との間に配置されることが好ましい。水平配向液晶硬化層からなる位相差層と垂直配向液晶硬化層からなる位相差層とを含む場合、偏光層、粘接着層、第1の位相差層、第2の位相差層および第2応力緩和層の順に積層されていることが好ましい。この場合、水平配向液晶硬化層である位相差層および垂直配向液晶硬化層である位相差層のいずれが偏光層側に配置(すなわち、第1位相差層)されてもよい。水平配向液晶硬化層からなる位相差層と垂直配向液晶硬化層からなる位相差層とは粘接着層を介して貼合されていてもよいし、水平配向液晶硬化層上に、垂直配向規制力を有する配向膜を介してまたは介さずに、垂直配向液晶硬化層が積層されている、または、垂直配向液晶硬化層上に、水平配向規制力を有する配向膜を介してまたは介さずに水平配向液晶硬化層が積層されていてもよい。
〔粘接着層〕
本発明において偏光層と位相差層との間に配置される粘接着層は、粘接着剤から形成される層である。該粘接着層は、偏光層と位相差層とを貼合する層として機能し得るものであれば公知の粘接着剤から形成することができる。粘着剤または接着剤は、特に限定されるものではなく、従来公知の粘着剤および接着剤を特に制限なく用いることができる。粘着剤としては、例えば、アクリル系、ゴム系、ウレタン系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系などのベースポリマーを有する粘着剤が挙げられる。また、エネルギー線硬化型粘着剤、熱硬化型粘着剤などであってもよい。接着剤としては、活性エネルギー線硬化型接着剤、水系接着剤、有機溶剤系接着剤、および無溶剤系接着剤を挙げることができる。本発明の一実施態様において、該粘接着層は粘着剤から形成される。
粘接着層の厚みは、通常1~40μmであり、好ましくは3~25μmである。
偏光層と位相差層とを積層する場合、位相差層の遅相軸(光軸)と偏光層の吸収軸とを実質的に45°となるように積層することが好ましい。位相差層の遅相軸(光軸)と偏光層の吸収軸とを実質的に45°となるように積層することによって、円偏光板としての機能を得ることができる。なお、実質的に45°とは通常45±5°の範囲である。
〔光学積層体〕
本発明の光学積層体は、その用途等に応じて所望の構成になるよう、第1基材フィルム、第1応力緩和層、偏光層、粘接着層、位相差層、第2応力緩和層、および第2基材フィルム、並びに、必要に応じて配向膜、拡散防止層等を、各層について先に記載した製造方法等に従い、適切な順に形成、積層することにより製造できる。
本発明の光学積層体は、例えば、拡散防止層を有する場合、以下のような手順で製造し得る:基材フィルム上に形成された拡散防止層上に配向膜を形成し、該配向膜上に偏光層を形成後、さらに該偏光層上に拡散防止層を形成して、2つの拡散防止層の間に偏光層を設けた積層体を作製する;これとは別に、基材フィルム上に配向膜を介して位相差層を形成することにより、位相差層を有する積層体を作製し、該位相差層を有する積層体と前記偏光層を有する積層体とを粘接着剤により接着させることにより、基材フィルム/拡散防止層/配向膜/偏光層/拡散防止層/粘接着剤層/位相差層/配向膜/基材フィルムをこの順に含む積層体(A)を作製する;さらに、第1基材フィルム上に第1応力緩和層を形成し、第1基材フィルム/第1応力緩和層/基材フィルムからなる積層体(B)と、第2基材フィルム上に第2応力緩和層を形成し、第2基材フィルム/第2応力緩和層/基材フィルムからなる積層体(C)とを作製する;積層体(A)の基材フィルムと積層体(B)の基材フィルムとを剥離して、拡散防止層と第1応力緩和層とを貼合し、積層体(A)の両外層の基材フィルム、積層体(B)の基材フィルムおよび積層体(C)の基材フィルムをそれぞれ剥離して、拡散防止層と第1応力緩和層、位相差層と第2応力緩和層とをそれぞれ貼合することにより、第1基材フィルム/第1応力緩和層/拡散防止層/配向膜/偏光層/拡散防止層/粘接着剤層/位相差層/配向膜/第2応力緩和層/第2基材フィルムをこの順に含む光学積層体が得られる。
本発明の光学積層体において、第1応力緩和層と第2応力緩和層との間に位置する層の合計厚みは20μm以下である。本発明は、薄型の光学積層体において転写時に生じやすい貼合ズレやシワの発生を抑制するのに適した構成をしており、第1応力緩和層と第2応力緩和層との間に配置される、偏光層および位相差層等からなる円偏光機能をもたらすための構造(積層体)の厚みが薄い積層体において、本発明のより顕著な効果が得られやすい。本発明において、第1応力緩和層と第2応力緩和層との間に位置する層の合計厚みは、所望する層構成によっても異なるが、好ましくは18μm以下、より好ましくは16μm以下である。第1応力緩和層と第2応力緩和層との間に位置する層の合計厚みの下限は特に限定されるものではないが、通常5μm以上である。
本発明の一実施態様において、第1基材フィルムから第1応力緩和層までの層からなる積層体(以下、「積層体a」ともいう)の膜厚(T1)と、第1応力緩和層と偏光層との間に位置する拡散防止層から第2応力緩和層までの層からなる積層体(以下、「積層体b」ともいう)の膜厚(T2)とが式(1):
T1/T2 ≧ 1.5 (1)
を満たすことが好ましい。積層体aの膜厚T1と、積層体bの膜厚T2とが式(1)を満たす関係にあると、第2基材フィルムを剥離して基板に転写される積層体構造をより効果的に補強しやすくなり、貼合ズレやシワの発生に対する高い抑制効果を更に高くすることができる。かかる効果をより高める観点から、T1/T2の値は、より好ましくは1.8以上、さらに好ましくは2.0以上であり、2.5以上であってもよい。
また、本発明の一実施態様において、第1基材フィルムの厚みT3と、積層体bの膜厚T2とが、式(7):
T3/T2 ≧ 1.0 (7)
を満たすことが好ましい。第1基材フィルムの厚みT3と、積層体bの膜厚T2とが、式(7)を満たす関係にあると、第2基材フィルムを剥離して基板に転写される積層体構造がより強固に補強されやすく、貼合ズレやシワの発生に対する抑制効果を更に高くすることができる。かかる効果をより高める観点から、T3/T2の値は、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.5以上であり、2.0以上であってもよい。
本発明の一実施態様において、第1基材フィルムから第1応力緩和層までの層からなる積層体(積層体a)を光学積層体から剥離する際の剥離力(F1)と、光学積層体から第2基材フィルムを剥離する際の剥離力(F2)とが、式(2):
0.02(N/25mm)≦|F1-F2| (2)
を満たすことが好ましい。
剥離力F1と剥離力F2とが前記式(2)で表される関係を満たすと、光学積層体における第1応力緩和層の密着力と、光学積層体における第2基材フィルムの密着力との間に適度な強弱関係が生じる。このため、上記関係を満たす場合、光学積層体から第2基材フィルムまたは積層体aを所望する順に容易に剥離することができる。特に、光学積層体から第2基材フィルムを先に剥離する場合に、第2基材フィルムが剥離しやすく、被転写体へ転写する際の貼合ズレやシワが発生し難くなる。これにより、転写に起因して生じる光学積層体の光学性能の低下を抑える効果が期待できる。かかる効果がより向上しやすくなる点から、本発明におけるF1-F2の絶対値は、好ましくは0.03N/25mm以上、より好ましくは0.04N/25mm以上である。また、F1-F2の絶対値の上限値は、通常0.3N/25mm以下であり、好ましくは0.2N/25mm以下、より好ましくは0.08N/25mm以下である。F1-F2の値は、剥離力F1と剥離力F2とをそれぞれ調整することにより制御し得る。通常、剥離力F1および剥離力F2は、先に剥離される側の剥離力が後で剥離される側の剥離力よりも小さくなるよう設計される。
本発明において、剥離力F1は、好ましくは0.30N/25mm未満、より好ましくは0.25N/25mm以下、さらに好ましくは0.15N/25mm以下である。剥離力F1の上限が前記範囲内であると、光学積層体から積層体aを剥離しやすく、剥離力F2との関係において貼合ズレやシワの発生等の抑制に効果的な範囲に剥離力F1を制御しやすい。また、剥離力F1は、好ましくは0.04N/25mm以上、より好ましくは0.06N/25mm以上、さらに好ましくは0.08N/25mm以上である。剥離力F1が前記下限以上であると、光学積層体から積層体aを剥離する際の易剥離性を確保しながら、表示装置等へ組み込む転写前の意図しない積層体aの剥離を抑制することができる。
本発明において、剥離力F2は、好ましくは0.30N/25mm未満、より好ましくは0.25N/25mm以下、さらに好ましくは0.15N/25mm以下である。剥離力F2の上限が前記範囲内であると、光学積層体から第2基材フィルムを剥離しやすく、第2基材フィルムを剥離して基板に転写する際に生じ得るシワや、貼合ズレ、気泡の発生等の抑制効果が向上しやすい。また、剥離力F2は、好ましくは0.01N/25mm以上、より好ましくは0.02N/25mm以上、さらに好ましくは0.03N/25mm以上である。剥離力F2が前記下限以上であると、光学積層体から第2基材フィルムを剥離する際の易剥離性を確保しながら、積層体を表示装置等へ組み込む転写前の意図しない第2基材フィルムの剥離を抑制することができる。
剥離力F1およびF2は、それぞれ、測定対象とする光学積層体の、剥離力を測定する基材フィルムと反対側の基材フィルムまたは積層体(例えば、F1測定時は第2基材フィルム、F2測定時は積層体a)を剥離した面を、粘接着剤によりガラス板に貼合するなどして固定した試験片において、剥離力を測定する積層体aまたは第2基材フィルムを試験片の光学積層体から剥離するために必要となる剥離力として測定される値である。前記剥離力の測定は、JIS K 6854-1:1999に規定される90°剥離試験法に準じて行うことができる。剥離力F1およびF2の詳細な測定方法は、後述する実施例に記載する。
剥離力F1および剥離力F2は、例えば、積層体aおよび第2基材フィルムとそれぞれ隣接する層の構成およびその厚み、第1応力緩和層および第2基材フィルムの種類やその厚み、第1応力緩和層、第2基材フィルムおよび/またはこれらの層若しくは基材フィルムと隣接する層の表面処理等により調整し得る。例えば、第1応力緩和層および/または第2基材フィルム表面上に改質処理を施したり、隣接する層として剥離力調整層を設けたりすることにより、積層体aまたは第2基材フィルムの光学積層体からの剥離力を制御することができる。
本発明の光学積層体において、該光学積層体を構成する剥離可能な積層体a、並びに、剥離可能な第2基材フィルムはいずれも剥離され、円偏光板機能を有する積層体構造のみを被転写体へ転写して利用するものである。本発明の光学積層体は、第1応力緩和層および第2応力緩和層を備えており、基材フィルムを剥離して基板へ転写する際の貼合ズレやシワの発生を抑制する効果に優れる。本発明の光学積層体は、光学フィルムや光学積層体等を製造するために当該分野で従来広く使用されている一般的な装置を用いて、積層体a、並びに、第2基材フィルムを所望する順に光学積層体から連続的に容易に剥離することができる。
本発明の光学積層体は、薄型でありながら、基材フィルム剥離に起因する貼合ズレやシワが生じ難く、転写後の積層体における高い光学性能を期待し得る。このため、本発明の光学積層体は、様々な表示装置の製造に好適に用いることができる。
表示装置とは、表示素子を有する装置であり、発光源として発光素子または発光装置を含む。表示装置としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、タッチパネル表示装置、電子放出表示装置(例えば電場放出表示装置(FED)、表面電界放出表示装置(SED))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置、プラズマ表示装置、投射型表示装置(例えばグレーティングライトバルブ(GLV)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する表示装置)および圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置および投写型液晶表示装置などのいずれをも含む。これらの表示装置は、2次元画像を表示する表示装置であってもよいし、3次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。実施例および比較例中の「%」および「部」は、特記しない限り、「質量%」および「質量部」である。
1.積層体A1の作製
(1)水溶性ポリマー(1)の調製
以下の合成スキームに従って、下記構造単位からなる水溶性ポリマー(1)を得た。
Figure 0007128932000017
ジメチルスルホキシド400g中に、分子量1000のポリビニルアルコール(和光純薬工業株式会社製)20gと、求核剤としてN,N-ジメチル-4-アミノピリジンを0.55mg、トリエチルアミン4.6gを溶解し、撹拌しながら60℃まで昇温した。その後、ジメチルスルホキシド50g中にメタクリル酸無水物10.5gを溶解させた溶液を1時間かけて滴下し、60℃で14時間加熱撹拌することにより反応させた。得られた反応溶液を室温まで冷却後、反応溶液中にメタノール481gを加えて完全に混合するように撹拌することで、反応溶液とメタノールとの比率(質量)が1:1となるように調整した。この溶液中に1500mLのアセトンを徐々に加えることで、水溶性ポリマー(1)を晶析法により結晶化させた。得られた白色結晶を含む溶液を濾過し、アセトンでよく洗浄した後に真空乾燥することで、水溶性ポリマー(1)を20.2g得た。得られた水溶性ポリマー(1)を水に溶解させ、3質量%の水溶性ポリマー(1)水溶液を調製した。
(2)光配向膜形成用組成物の調製
下記成分を混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、光配向膜形成用組成物を得た。
・光配向性ポリマー:特開2013-033249号公報に記載のポリマー(数平均分子量:約28200、Mw/Mn:1.82) 2部
Figure 0007128932000018
・溶剤:o-キシレン 98部
(3)偏光層形成用組成物の調製
以下の各成分を混合し、80℃で1時間攪拌することにより偏光層形成用組成物を得た。二色性色素には、特開2013-101328号公報の実施例に記載のアゾ色素を用いた。
・重合性液晶化合物:A1 75部
Figure 0007128932000019
・重合性液晶化合物:A2 25部
Figure 0007128932000020
・二色性色素:アゾ色素1 2.5部
Figure 0007128932000021
・二色性色素:アゾ色素2 2.5部
Figure 0007128932000022
・二色性色素:アゾ色素3 2.5部
Figure 0007128932000023
・重合開始剤:2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(イルガキュア369;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 6部
・レベリング剤:ポリアクリレート化合物(BYK-361N;BYK-Chemie社製) 1.2部
・溶剤:o-キシレン 250部
(4)位相差層形成用組成物の調製
以下の各成分を混合し、80℃で1時間攪拌することで、位相差層形成用組成物を得た。
・重合性液晶化合物:X1 100部
Figure 0007128932000024
・重合性液晶化合物:X2 33部
Figure 0007128932000025
・重合開始剤:2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(イルガキュア(登録商標)369;BASFジャパン社製) 8部
・レベリング剤:ポリアクリレート化合物(BYK-361N;BYK-Chemie社製) 0.1部
・その他の添加剤:LALOMER LR9000(BASFジャパン社製) 6.7部
・溶剤:シクロペンタノン 546部
・溶剤:N-メチルピロリドン 364部
(5)偏光板(1)の作製
基材1として離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ユニチカ(株)製「FF-50」、片面離型処理PETフィルム、基材の厚さ:50μm)の離型処理面に、上記で調製した3質量%の水溶性ポリマー(1)水溶液をバーコーターで塗布し、100℃で2分間乾燥して水溶性ポリマー(1)の膜からなる2μmの拡散防止層Aを形成した。
得られた拡散防止層Aの表面にプラズマ処理を施した後、バーコーターを用いて上記光配向膜形成用組成物を塗布して塗布膜を形成した。この塗布膜を100℃で2分間乾燥することにより溶剤を除去して乾燥被膜を形成した。該乾燥被膜に偏光UV光を20mJ/cm(313nm基準)の強度となるように照射することで配向規制力を付与し、50nmの光配向膜Aを形成した。
得られた光配向膜A上に、バーコーターを用いて上記偏光層形成用組成物を塗布し、塗布膜を形成した。さらに、110℃で2分間乾燥することにより溶剤を除去するとともに、重合性液晶化合物を液体相に相転移させた後、室温まで冷却して該重合性液晶化合物をスメクチック液晶状態に相転移させた。その後、得られた乾燥被膜に高圧水銀灯を用いて紫外光を1000mJ/cm(365nm基準)で照射して、前記乾燥被膜に含まれる重合性液晶化合物のスメクチック液晶状態を保持したまま重合させることで3μmの偏光層を形成した。
次いで、形成した偏光層上にプラズマ処理を施した後、バーコーターを用いて3質量%の水溶性ポリマー(1)水溶液をバーコーターで塗布し、100℃で2分間乾燥して水溶性ポリマー(1)の膜からなる2μmの拡散防止層Bを形成し、基材1/拡散防止層A/光配向膜A/偏光層/拡散防止層Bからなる偏光板(1)を得た。
(6)位相差フィルム(1)の作製
基材2として離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ユニチカ(株)製「FF-50」、片面離型処理PETフィルム、基材の厚さ:50μm)の離型処理面とは反対側の表面にコロナ処理を施した後に、上記光配向膜形成用組成物をバーコーターにより塗布した。得られた塗布膜を120℃で2分間乾燥させた後、室温まで冷却して乾燥被膜を形成した。その後、偏光紫外光100mJ(313nm基準)を照射し、100nmの光配向膜Bを形成した。
得られた光配向膜B上に、上記位相差層形成用組成物をバーコーターにより塗布し、塗布膜を形成した。この塗布膜を120℃で2分間加熱乾燥後、室温まで冷却して乾燥被膜を得た。次いで、紫外光照射装置を用いて、露光量1000mJ/cm(365nm基準)の紫外光を前記乾燥被膜に照射することにより、重合性液晶化合物が基材面内に対して水平方向に配向した状態で硬化した2μmの位相差層を形成し、基材2/光配向膜B/位相差層(水平配向液晶硬化層)からなる位相差フィルム(1)を得た。
(7)積層体A1の作製
上記で作製した偏光板(1)の拡散防止層B面と、位相差フィルム(1)の位相差層面とを、粘着剤(リンテック社製、感圧式粘着剤5μm厚)を介して、偏光板(1)の吸収軸と位相差フィルム(1)の遅相軸とが成す角度が45°となるように貼合し、基材1/拡散防止層A/光配向膜A/偏光層/拡散防止層B/粘着層/位相差層/光配向膜B/基材2からなる積層体A1を得た。
2.積層体A2の作製
(1)配向性ポリマー組成物(1)の調製
表1に示す組成に従い、市販の配向性ポリマーであるサンエバーSE-610(日産化学工業株式会社製)に2-ブトキシエタノールを加えて配向性ポリマー組成物(1)を調製した。なお、表1における値は、調製した組成物の全量に対する各成分の含有割合を表す。SE-610については、固形分量を納品仕様書に記載の濃度から換算した。
Figure 0007128932000026
(2)垂直配向液晶硬化層形成用組成物の調製
垂直配向液晶硬化層形成用組成物の組成を表2に示す。各成分を混合し、得られた溶液を80℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却し、垂直配向液晶硬化層形成用組成物を得た。
Figure 0007128932000027
表2における括弧内の値は、調製した組成物の全量に対する各成分の含有割合を表す。
表2中のLR9000は、BASFジャパン社製のLaromer(登録商標)LR-9000を、Irg907は、BASFジャパン社製のイルガキュア(登録商標)907を、BYK361Nは、ビックケミージャパン製のレベリング剤を、LC242は、下記式で示されるBASF社製の重合性液晶を、PGMEAは、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタートを表す。
Figure 0007128932000028
(3)垂直配向液晶硬化層を含む積層体の作製
基材3として、シクロオレフィンポリマーフィルム(COP)(ZF-14、日本ゼオン株式会社製)の表面を、コロナ処理装置を用いて出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回処理した。コロナ処理を施した表面に、配向性ポリマー組成物(1)をバーコーターを用いて塗布し、90℃で1分間乾燥して配向膜Cを得た。得られた配向膜Cの膜厚をレーザー顕微鏡で測定したところ1μmであった。次いで、配向膜C上に垂直配向液晶硬化層形成用組成物をバーコーターを用いて塗布し、90℃で1分間乾燥した後、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長365nmにおける積算光量:1000mJ/cm)することにより、重合性液晶化合物が基材面内に対して垂直方向に配向した状態で硬化した厚み500nmの垂直配向液晶硬化層を形成し、基材3/配向膜C/垂直配向液晶硬化層からなる積層体を得た。
(4)接着層形成用硬化性組成物の調製
下記に記載のカチオン重合性化合物およびカチオン重合開始剤を混合した後、脱泡して、カチオン重合型の接着層形成用硬化性組成物を調製した。
なお、カチオン重合開始剤は、50質量%プロピレンカーボネート溶液として配合し、その固形分量を示した。
・1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(商品名:EX-212L、ナガセケムテックス(株)製) 25部
・4-ヒドロキシブチルビニルエーテル 10部
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名:EXA-830CRP、DIC(株)製) 65部
・カチオン重合開始剤(商品名:CPI-100P、サンアプロ(株)製、50質量%溶液) 3部
(5)積層体A2の作製
上記で作製した基材3/配向膜C/垂直配向液晶硬化層からなる積層体の垂直配向液晶硬化層の表面にコロナ処理を施した後、積層体A1の基材2を剥離して露出した面と、前記コロナ処理を施した垂直配向液晶硬化層の面とを、接着層形成用硬化性組成物を介して貼合し、UV照射装置(SPOT CURE SP-7;ウシオ電機株式会社製)を用いて露光量500mJ/cm(365nm基準)の紫外線を照射した。これにより、基材1/拡散防止層A/光配向膜A/偏光層/拡散防止層B/粘着層/位相差層/光配向膜B/接着層/垂直配向液晶硬化層/配向膜C/基材3からなる積層体A2を得た。なお、接着層の厚みは2μmであった。
3.応力緩和層を含む積層体の作製
(1)重合例1:アクリル樹脂溶液(1)の調製
撹拌機、温度計、還流冷却および窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを導入して反応装置内の空気を窒素ガスで置換した。その後、反応装置に2-エチルヘキシルアクリレート93部、8-ヒドロキシオクチルアクリレート5.5部、アクリル酸1.5部とともに溶剤(酢酸エチル)を60部加えた。その後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1部を2時間かけて滴下し、65℃で6時間反応を行って、アクリル樹脂溶液(1)を得た。アクリル樹脂溶液(1)に含まれるアクリル系ポリマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算値で約50万であった。
(2)重合例2:アクリル樹脂溶液(2)の調製
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応器に、アセトン81.8部、アクリル酸ブチル98.4部、アクリル酸0.6部、およびアクリル酸2-ヒドロキシエチル1.0部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら、内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.14部をアセトン10部に溶かした溶液を全量添加した。重合開始剤を添加した1時間後に、単量体を除くアクリル樹脂の濃度が35%になるよう、添加速度17.3部/hrでアセトンを連続的に反応器に添加しながら、内温54~56℃で12時間保温し、最後に酢酸エチルを添加して、アクリル樹脂の濃度が20%となるように調節した。このようにして、アクリル樹脂溶液(2)を得た。
(3)応力緩和層Aを含む積層体A3の作製
(i)応力緩和層形成用組成物(1)の調製
上記重合例1で得たアクリル樹脂溶液(1)に含まれるアクリル系ポリマー100部に対して、帯電防止剤としての1-オクチルピリジニウム ドデシルベンゼンスルホン酸塩2.0部を加え撹拌した後、コロネートHX(ヘキサメチレンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体:東ソー株式会社製)1.5部を加えて撹拌混合して応力緩和層形成用組成物(1)を得た。
(ii)応力緩和層を含む積層体A3の作製
応力緩和層形成用組成物(1)を、シリコーン樹脂コートされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる厚み15μmのセパレートフィルム(基材B)の上に塗布後、90℃で乾燥することによって溶剤を除去し、乾燥後の厚みが15μmである応力緩和層Aを形成した。その後、一方の面に帯電防止処理および防汚処理が施された厚み38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(基材A)における帯電防止処理および防汚処理が施された面とは反対側の面を応力緩和層Aに積層して、基材A/応力緩和層A/基材Bからなる、応力緩和層Aを備える積層体A3を作製した。
(4)応力緩和層Aを含む積層体A4の作製
帯電防止処理および防汚処理が施された厚み75μmのPETフィルム(基材C)を用いたこと以外は、基材A/応力緩和層A/基材Bからなる積層体A3の作製と同様にして、基材C/応力緩和層A/基材Bからなる、応力緩和層Aを備える積層体A4を作製した。
(5)応力緩和層Bを含む積層体A5の作製
応力緩和層形成用組成物(1)中に1-オクチルピリジニウム ドデシルベンゼンスルホン酸塩2.0部を配合しなかったこと以外は基材A/応力緩和層A/基材Bからなる積層体A3の作製と同様にして、基材A/応力緩和層B/基材Bからなる、応力緩和層Bを備える積層体A5を作製した。
(6)応力緩和層Cを含む積層体A6の作製
(i)応力緩和層形成用組成物(2)の調製
下記組成に従って、応力緩和層形成用組成物(2)を調製した。
・重合例2で得られたアクリル樹脂溶液(2):100部(不揮発分量)
・イソシアネート系化合物:コロネートL、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル溶液(固形分濃度75%)(東ソー株式会社製) 0.5部
・シラン系化合物:KBM-403、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製) 0.5部
を混合し、固形分濃度が10%になるように酢酸エチルを添加して、応力緩和層形成用組成物(2)を得た。
(ii)応力緩和層Cを含む積層体A6の作製
応力緩和層形成用組成物(2)を、離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み38μm)(基材D)の離型処理面に、アプリケータを利用して乾燥後の厚みが15μmになるように塗布した。塗布層を100℃で1分間乾燥して、応力緩和層Cを備えるフィルムを得た。その後、応力緩和層C上に、離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み38μm)(基材D)を貼合し、温度23℃、相対湿度50%RHの条件で7日間養生させ、基材D/応力緩和層C/基材Dからなる、応力緩和層Cを備える積層体A6を作製した。
4.光学積層体の作製
(1)実施例1
基材1/拡散防止層A/光配向膜A/偏光層/拡散防止層B/粘着層/位相差層/光配向膜B/基材2からなる積層体A1の基材2を剥離して露出した面と、基材D/応力緩和層C/基材Dからなる積層体A6の基材Dを剥離して露出した面とを貼合し、基材1/拡散防止層A/光配向膜A/偏光層/拡散防止層B/粘着層/位相差層/光配向膜B/応力緩和層C/基材Dからなる光学積層体B1を作製した。さらに、上記光学積層体B1の基材1を剥離して露出した面と、基材A/応力緩和層A/基材Bからなる積層体A3の基材Bを剥離して露出した面とを貼合し、基材A/応力緩和層A/拡散防止層A/光配向膜A/偏光層/拡散防止層B/粘着層/位相差層/光配向膜B/応力緩和層C/基材Dからなる光学積層体(1)を得た。
(2)実施例2
基材1/拡散防止層A/光配向膜A/偏光層/拡散防止層B/粘着層/位相差層/光配向膜B/接着層/垂直配向液晶硬化層/配向膜C/基材3からなる積層体A2の基材3を剥離して露出した面と、基材D/応力緩和層C/基材Dからなる積層体A6の基材Dを剥離して露出した面とを貼合し、基材1/拡散防止層A/光配向膜A/偏光層/拡散防止層B/粘着層/位相差層/光配向膜B/接着層/垂直配向液晶硬化層/配向膜C/応力緩和層C/基材Dからなる光学積層体B2を作製した。さらに、上記光学積層体B2の基材1を剥離して露出した面と、基材A/応力緩和層A/基材Bからなる積層体A3の基材Bを剥離して露出した面とを貼合し、基材A/応力緩和層A/拡散防止層A/光配向膜A/偏光層/拡散防止層B/粘着層/位相差層/光配向膜B/接着層/垂直配向液晶硬化層/配向膜C/応力緩和層C/基材Dからなる光学積層体(2)を得た。
(3)実施例3
積層体A3に代えて積層体A4を用い、光学積層体B1の基材1を剥離して露出した面と、積層体A4の基材Bを剥離して露出した面とを貼合した以外は実施例1と同様にして、基材C/応力緩和層A/拡散防止層A/光配向膜A/偏光層/拡散防止層B/粘着層/位相差層/光配向膜B/応力緩和層C/基材Dからなる光学積層体(3)を得た。
(4)実施例4
積層体A3に代えて積層体A4を用い、光学積層体B2の基材1を剥離して露出した面と、積層体A4の基材Bを剥離して露出した面とを貼合した以外は実施例2と同様にして、基材C/応力緩和層A/拡散防止層A/光配向膜A/偏光層/拡散防止層B/粘着層/位相差層/光配向膜B/接着層/垂直配向液晶硬化層/配向膜C/応力緩和層C/基材Dからなる光学積層体(4)を得た。
(5)実施例5
積層体A3に代えて積層体A5を用い、積層体B1の基材1を剥離して露出した面と、積層体A5の基材Bを剥離して露出した面とを貼合した以外は実施例1と同様にして、基材A/応力緩和層B/拡散防止層A/光配向膜A/偏光層/拡散防止層B/粘着層/位相差層/光配向膜B/応力緩和層C/基材Dからなる光学積層体(5)を得た。
(6)比較例1
実施例1における手順と同様にして作製した光学積層体B1の基材1を剥離して、拡散防止層A/光配向膜A/偏光層/拡散防止層B/粘着層/位相差層/配向膜B/応力緩和層C/基材Dからなる光学積層体(6)を得た。
5.光学積層体の物性/特性評価
(1)第1基材フィルムの弾性率(23℃)
基材フィルムからMD長さ100mm×TD長さ25mmの試験片を切り出した。次いで、引張試験機〔(株)島津製作所製 AUTOGRAPH AG-1S試験機〕の上下つかみ具で、つかみ具の間隔が5cmとなるように上記試験片の長辺方向両端を挟み、温度23℃、相対湿度55%の環境下、引張速度1mm/分で試験片を長辺方向に引張り、得られる応力-ひずみ曲線における初期の直線の傾きから、23℃でのMDにおける引張弾性率〔MPa〕を算出した。
(2)第1基材フィルムと第1応力緩和層からなる積層体(積層体a)の剥離力、並びに、第2基材フィルムの剥離力
実施例1~5および比較例1で作製した光学積層体(1)~(6)において、偏光層側の基材を第1基材フィルム、位相差側の基材を第2基材フィルムとして、第1基材フィルムからこれに隣接する応力緩和層までの層からなる積層体aを光学積層体から剥離する際の剥離力F1、および、第2基材フィルムを光学積層体から剥離する際の剥離力F2を、それぞれ、以下の方法により測定した。結果を表3に示す。
引張り試験機を用いて、試験片(幅25mm×長さ約150mm)の長さ方向の一端をつかみ、温度23℃、相対湿度60%の雰囲気下、クロスヘッドスピード(つかみ移動速度)200mm/分で、JIS K 6854-1:1999「接着剤-はく離接着強さ試験方法-第1部:90度はく離」に準拠した90°剥離試験を行い測定した。
(3)貼合試験
実施例および比較例で作製した各光学積層体(1)~(6)を、それぞれ、160mm×80mmのシートに切り出し、ハルテック(三共社製“ハルテックHAL650”)を用いて、第1基材フィルムの面を吸着させた状態で第2基材フィルムを剥離し、露出した第2応力緩和層の面をガラスに貼合した。その後、外観を検査して外観不良(貼合気泡、シワ、第1基材の浮き、破れ)が確認された場合は貼合失敗、外観不良が確認されなかった場合を貼合成功とし、試験を20回実施した。成功率から試験結果を分類した。結果を表3に示す。
<評価基準>
〇:成功率90%以上
△:成功率60%以上90%未満
×:成功率60%未満
Figure 0007128932000029
表3中の積層体aの膜厚T1は、第1基材フィルムから第1応力緩和層までの層からなる積層体の合計膜厚であり、積層体bの膜厚T2は、第1応力緩和層と偏光層との間に位置する拡散防止層から第2応力緩和層までの層からなる積層体の合計膜厚である(T1およびT2について、表中の厚みは小数点第一位を四捨五入した値である)。また、第1応力緩和層と剤2応力緩和層との間の層の厚みには、第1応力緩和層および第2応力緩和層の厚みはいずれも含まれない。
1:第1基材フィルム
2:第1応力緩和層
3:偏光層
4:粘接着層
5:位相差層
6:第2応力緩和層
7:第2基材フィルム
8、9:拡散防止層
11:光学積層体
12、13:積層体構造

Claims (7)

  1. 第1基材フィルム、第1応力緩和層、偏光層、粘接着層、位相差層、第2応力緩和層、および第2基材フィルムをこの順に含む光学積層体であって、
    第1応力緩和層と第2応力緩和層との間に位置する層の合計厚みが20μm以下であり、
    第1基材フィルムの23℃における弾性率が、2,500~6,000MPaであり、
    第1基材フィルムの厚みが50~120μmであり、
    第1応力緩和層が、第1応力緩和層の第1基材フィルムとは反対側の面に隣接する層との間で剥離可能であって、第2基材フィルムが剥離可能な基材フィルムであり、
    第1基材フィルムから第1応力緩和層までの層からなる積層体(積層体a)を光学積層体から剥離する際の剥離力(F1)と、光学積層体から第2基材フィルムを剥離する際の剥離力(F2)とが式(2):
    0.03(N/25mm)≦|F1-F2| (2)
    を満たす、光学積層体。
  2. 第1応力緩和層と偏光層との間にさらに拡散防止層を含む、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 偏光層が、スメクチック液晶相を示す重合性液晶化合物と二色性色素とを含む重合性液晶組成物の液晶硬化層である、請求項1または2に記載の光学積層体。
  4. 位相差層が、重合性液晶化合物が基材面内に対して水平方向に配向した状態で硬化した水平配向液晶硬化層である、請求項1~3のいずれかに記載の光学積層体。
  5. 第1基材フィルムから第1応力緩和層までの層からなる積層体(積層体a)の膜厚(T1)と、第1応力緩和層と偏光層との間に位置する拡散防止層から第2応力緩和層までの層からなる積層体(積層体b)の膜厚(T2)とが式(1):
    T1/T2 ≧ 1.5 (1)
    を満たす、請求項2~のいずれかに記載の光学積層体。
  6. 拡散防止層の厚みが5μm以下である、請求項2~のいずれかに記載の光学積層体。
  7. 重合性液晶化合物が基材面内に対して垂直方向に配向した状態で硬化した垂直配向液晶硬化層を、偏光層と第2応力緩和層との間にさらに含む、請求項1~のいずれかに記載の光学積層体。
JP2021069196A 2021-04-15 2021-04-15 光学積層体 Active JP7128932B1 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021069196A JP7128932B1 (ja) 2021-04-15 2021-04-15 光学積層体
TW111110847A TW202306772A (zh) 2021-04-15 2022-03-23 光學積層體
KR1020220044164A KR20220142935A (ko) 2021-04-15 2022-04-08 광학 적층체
CN202210387596.XA CN115220142A (zh) 2021-04-15 2022-04-13 光学层叠体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021069196A JP7128932B1 (ja) 2021-04-15 2021-04-15 光学積層体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP7128932B1 true JP7128932B1 (ja) 2022-08-31
JP2022164005A JP2022164005A (ja) 2022-10-27

Family

ID=83112435

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021069196A Active JP7128932B1 (ja) 2021-04-15 2021-04-15 光学積層体

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP7128932B1 (ja)
KR (1) KR20220142935A (ja)
CN (1) CN115220142A (ja)
TW (1) TW202306772A (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018028573A (ja) 2016-08-15 2018-02-22 日東電工株式会社 フレキシブル画像表示装置用積層体、及び、フレキシブル画像表示装置
JP2018120119A (ja) 2017-01-26 2018-08-02 日東電工株式会社 光学積層体および画像表示装置
JP2018120120A (ja) 2017-01-26 2018-08-02 日東電工株式会社 光学積層体の製造方法および画像表示装置の製造方法
WO2019240048A1 (ja) 2018-06-12 2019-12-19 富士フイルム株式会社 光学異方性層の製造方法
JP2020046649A (ja) 2018-09-12 2020-03-26 住友化学株式会社 前面板付き偏光板
JP2020147029A (ja) 2019-03-05 2020-09-17 住友化学株式会社 積層体
JP6792736B1 (ja) 2019-11-20 2020-11-25 住友化学株式会社 光学積層体及び表示装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6123563B2 (ja) 2012-08-31 2017-05-10 住友化学株式会社 円偏光板および表示装置
TWI645962B (zh) 2013-08-09 2019-01-01 住友化學股份有限公司 光學異向性薄片
TWI713619B (zh) 2015-10-30 2020-12-21 日商住友化學股份有限公司 偏光板、具備該偏光板的顯示裝置,及其製造方法
JP6662992B2 (ja) 2018-05-25 2020-03-11 住友化学株式会社 円偏光板の製造方法
JP7082021B2 (ja) 2018-09-28 2022-06-07 住友化学株式会社 偏光フィルム及びその製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018028573A (ja) 2016-08-15 2018-02-22 日東電工株式会社 フレキシブル画像表示装置用積層体、及び、フレキシブル画像表示装置
JP2018120119A (ja) 2017-01-26 2018-08-02 日東電工株式会社 光学積層体および画像表示装置
JP2018120120A (ja) 2017-01-26 2018-08-02 日東電工株式会社 光学積層体の製造方法および画像表示装置の製造方法
WO2019240048A1 (ja) 2018-06-12 2019-12-19 富士フイルム株式会社 光学異方性層の製造方法
JP2020046649A (ja) 2018-09-12 2020-03-26 住友化学株式会社 前面板付き偏光板
JP2020147029A (ja) 2019-03-05 2020-09-17 住友化学株式会社 積層体
JP6792736B1 (ja) 2019-11-20 2020-11-25 住友化学株式会社 光学積層体及び表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
TW202306772A (zh) 2023-02-16
JP2022164005A (ja) 2022-10-27
KR20220142935A (ko) 2022-10-24
CN115220142A (zh) 2022-10-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7403584B2 (ja) 偏光フィルム及びその製造方法
CN112740084B (zh) 偏光膜及其制造方法
WO2019216076A1 (ja) 光学積層体および表示装置
JP2023143910A (ja) 重合性液晶組成物、偏光膜およびその製造方法、偏光板ならびに表示装置
JP7128932B1 (ja) 光学積層体
WO2022220083A1 (ja) 光学積層体
WO2023100716A1 (ja) 粘着剤層付き円偏光板
JP7130789B2 (ja) 光学積層体
JP2021135503A (ja) 偏光板およびその製造方法
JP7339014B2 (ja) 重合性液晶組成物
US20230288751A1 (en) Optical laminate and method of producing the optical laminate
WO2022163398A1 (ja) 重合性液晶組成物、偏光膜、偏光フィルム、円偏光板ならびに表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210419

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210419

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20210419

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210824

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210928

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220201

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220329

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220526

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220802

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220819

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7128932

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150